JP2004173149A - 通信システムおよび通信回線切替装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、通信系の切替時間を短縮する。
【解決手段】マスタ通信回線切替装置1−1は、現用通信系を介してスレーブ通信回線切替装置1−2〜1−Nに定期的に確認メッセージを送信し、返信メッセージに基づいて現用通信系に障害発生有りと判定した場合、バックアップ通信系を介して切替装置1−2〜1−Nに切替メッセージを送信し、バックアップ通信系に切り替える。切替装置1−2〜1−Nは、一定時間内に確認メッセージを受信しない場合、現用通信系に障害発生有りと判定し、バックアップ通信系を介して切替装置1−1に返信メッセージを送信し、切替メッセージを受信した場合、バックアップ通信系に切り替える。
【選択図】 図1
【解決手段】マスタ通信回線切替装置1−1は、現用通信系を介してスレーブ通信回線切替装置1−2〜1−Nに定期的に確認メッセージを送信し、返信メッセージに基づいて現用通信系に障害発生有りと判定した場合、バックアップ通信系を介して切替装置1−2〜1−Nに切替メッセージを送信し、バックアップ通信系に切り替える。切替装置1−2〜1−Nは、一定時間内に確認メッセージを受信しない場合、現用通信系に障害発生有りと判定し、バックアップ通信系を介して切替装置1−1に返信メッセージを送信し、切替メッセージを受信した場合、バックアップ通信系に切り替える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノード機器間を接続するネットワークの障害監視と障害発生時の回線切替とを行う通信システムおよび通信回線切替装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プラントや建物などを監視する監視システムでは、監視対象となる複数の現場設備からの設備データを、所定の通信回線を介して収集している。このような監視システムでは24時間稼働がほとんどであり、通信異常に起因するシステムダウンは、生産や設備運転に対して多大な影響を与えてしまう。このため、設備データの欠損の原因となるようなネットワークの障害が発生した場合の対策としてネットワークの二重化を実施している。
【0003】
このような監視システムで用いる通信回線の二重化技術は、現用通信系とバックアップ系からなる2つの系統に分けてそれぞれ通信回線を配線するとともに、その通信回線の途中に設けられたスイッチを設け、通信に用いられている現用通信系での通信状態に障害が認められた場合は、その障害を検出した通信回線切替装置で、それぞれ個別に通信回線をバックアップ系へ切り替えるものとなっていた。この通信回線切替装置を用いた場合、障害検出に応じて当該通信回線切替装置から最初のハブ(HUB )までの区間でのみ通信回線の切り替えを行う。したがって、ハブ階層のハブは冗長配線を用いて相互接続されている。また、ハブ間の各階層についてはSTP(Spaning Tree Plotcool :スパニング・ツリー・プロトコル)スイッチを複数設けて、これらSTPスイッチ階層でも冗長配線を用いて相互接続し、障害発生に応じてその経路を迂回したルートを選択するものとなっている。
【0004】
ただし、この方法によると、通信回線切替装置のセグメントでのみ通信回線の切り替えを行うものとなっているため、現用通信系とバックアップ系とを相互に接続する冗長配線が必要となり、二重化を実現するために膨大な作業負担や設備コストが必要となり、その保守性や信頼性も低下するという問題点があった。この問題点を解決するため、出願人は、複雑な配線や高価なスイッチなどを必要とすることなく、通信ネットワークの二重化を実現できる図7に示すような通信回線切替装置を提供している(特許文献1参照)。
【0005】
図7において、通信回線切替装置101は、現用通信系105aとバックアップ通信系105bとノード機器106との間に接続され、通信状態に応じてこれら通信系のいずれかをノード機器106へ接続する。通信回線切替装置102は、現用通信系105aとバックアップ通信系105bとノード機器107との間に接続され、通信状態に応じてこれら通信系のいずれかをノード機器107へ接続する。現用通信系105aの経路上には、ハブ103aやスイッチ104aが設けられている。また、バックアップ通信系105bの経路上には、ハブ103bやスイッチ104bが設けられている。通信回線切替装置101,102は、マスタ・スレーブ方式に基づいてそのいずれか1つの通信回線切替装置がマスタ機器として動作し、現用通信系105aの通信状態を監視するとともに障害発生の検出に応じて通信回線の切り替えを制御する。他の通信回線切替装置はスレーブ機器として動作し、マスタ機器からの指示に応じて通信回線の切り替えを行う。これにより、通信回線切替装置101,102の両方で同時に通信回線の切り替えが行われる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−247017号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
通信回線に何らかの障害が発生した場合、バックアップ通信系への切り替えは即時に行うことが望ましい。図7に示した二重化ネットワークにおいて、マスタ機器は、各スレーブ機器に対してチェック要求メッセージを定期的に送信し、全てのスレーブ機器からチェック要求メッセージに対するチェック応答メッセージを受信した場合には、障害発生なしと判断していた。したがって、従来の通信回線切替装置では、各スレーブ機器からのチェック応答メッセージを待った上で障害が発生しているかどうかを判定するので、現用通信系に障害が発生した場合、回線の切り替えまでに時間を要するという問題点があった。このため、ノード機器間で通信不能によるデータの欠損が生じ、ファイル再送によるデータ修復等の人為的な操作が避けられないという問題点があった。また、通信障害を早く検出するためには、チェック要求メッセージの送信周期をできるだけ短くすればよいが、送信周期を短くすると、通信負荷が増大し、ノード間で通信に遅れがでる
という問題点があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる通信システムおよび通信回線切替装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、独立した2つの通信系からなる二重化ネットワークを介してデータ通信を行う複数のノード機器と、これらノード機器と前記二重化ネットワークとの間にそれぞれ設けられ当該ノード機器を前記2つの通信系のうち障害のない通信系へ切替接続する複数の通信回線切替装置とからなる通信システムであって、前記複数の通信回線切替装置は、マスタ・スレーブ方式に基づきマスタ機器として動作する1つのマスタ通信回線切替装置と、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する他の1つ以上のスレーブ通信回線切替装置とからなり、前記マスタ通信回線切替装置は、現用通信系を介して全てのスレーブ通信回線切替装置に定期的に確認メッセージを送信する確認メッセージ送信手段と、前記スレーブ通信回線切替装置からバックアップ通信系を介して受信した返信メッセージに基づいて前記現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定する第1の障害判定手段と、この第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、前記バックアップ通信系を介して全てのスレーブ通信回線切替装置に切替メッセージを送信する切替指示手段と、前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第1の回線切替手段とを有し、前記スレーブ通信回線切替装置は、一定時間内に前記確認メッセージを受信しない場合、前記現用通信系に障害が発生していると判定する第2の障害判定手段と、この第2の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、前記バックアップ通信系を介して前記マスタ通信回線切替装置に返信メッセージを送信する返信メッセージ送信手段と、前記マスタ通信回線切替装置から切替メッセージを受信した場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第2の回線切替手段とを有するものである。マスタ通信回線切替装置は、全てのスレーブ通信回線切替装置に定期的に確認メッセージを送信し、スレーブ通信回線切替装置は、一定時間内に確認メッセージを受信しない場合、現用通信系に障害が発生していると判定し、マスタ通信回線切替装置に返信メッセージを送信する。そして、マスタ通信回線切替装置は、返信メッセージに基づいて現用通信系に障害が発生していると判定した場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を自装置も含めて切り替える。
また、本発明の通信システムの1構成例において、前記第1の障害判定手段は、前記確認メッセージの送信に対して前記返信メッセージを受信した後、前記確認メッセージの次の送信に対して前記返信メッセージを再度受信した場合、前記現用通信系に障害発生有りと判定するものである。
また、本発明の通信システムの1構成例において、前記確認メッセージおよび前記返信メッセージは、前記二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズである。
【0010】
また、本発明の通信回線切替装置は、マスタ・スレーブ方式に基づき唯一つのマスタ機器として動作する場合に、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する他の全ての通信回線切替装置に現用通信系を介して定期的に確認メッセージを送信する確認メッセージ送信手段と、前記マスタ機器として動作する場合に、前記スレーブ機器からバックアップ通信系を介して受信した返信メッセージに基づいて前記現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定する第1の障害判定手段と、前記マスタ機器として動作し、かつ前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、前記バックアップ通信系を介して全てのスレーブ機器に切替メッセージを送信する切替指示手段と、前記マスタ機器として動作し、かつ前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第1の回線切替手段と、前記スレーブ機器として動作し、かつ一定時間内に前記確認メッセージを受信しない場合に、前記現用通信系に障害が発生していると判定する第2の障害判定手段と、前記スレーブ機器として動作し、かつ前記第2の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、前記バックアップ通信系を介して前記マスタ機器に返信メッセージを送信する返信メッセージ送信手段と、前記スレーブ機器として動作し、かつ前記マスタ機器から切替メッセージを受信した場合に、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第2の回線切替手段とを有するものである。
また、本発明の通信回線切替装置の1構成例において、前記第1の障害判定手段は、前記確認メッセージの送信に対して前記返信メッセージを受信した後、前記確認メッセージの次の送信に対して前記返信メッセージを再度受信した場合、前記現用通信系に障害発生有りと判定するものである。
また、本発明の通信回線切替装置の1構成例において、前記確認メッセージおよび前記返信メッセージは、前記二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。この通信システムには、通信回線切替装置1(1−1,1−2,1−3〜1−N)と、ノード機器2−1,2−2,2−3〜2−Nと、A系ネットワーク3Aと、B系ネットワーク3Bとが設けられている。
【0012】
通信回線切替装置1には、マスタ・スレーブ方式に基づきマスタ機器として動作する1つの通信回線切替装置1−1と、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する1つ以上の通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nとがある。
【0013】
ノード機器2−1は、例えばノード機器2−2,2−3〜2−NとA系ネットワーク3AあるいはB系ネットワーク3Bを介してデータ通信を行うことにより、ノード機器2−2,2−3〜2−Nの稼働・運転状態を監視する監視装置である。ノード機器2−2,2−3〜2−Nは、例えば設備機器を制御したりセンサからのデータを収集したりするコントローラである。
【0014】
A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bは、ノード機器2−1とノード機器2−2,2−3〜2−Nとのデータ通信に用いられる二重化ネットワークであり、通常、データ通信についてはいずれか一方の系を用いて行われる。通信回線切替装置1−1は、ノード機器2−1とA系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bとの間に設けられ、これら通信系のいずれかをノード機器2−1へ切替接続する。通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nは、ノード機器2−2,2−3〜2−NとA系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bとの間に設けられ、これら通信系のいずれかをそれぞれノード機器2−2,2−3〜2−Nへ切替接続する。
【0015】
図2に、通信回線切替装置1(1−1,1−2,1−3〜1−N)の構成を示す。通信回線切替装置1は、ノード機器2をA系ネットワーク3AあるいはB系ネットワーク3Bのいずれか一方に切り替え接続する回線切替部11と、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bを介して他の通信回線切替装置とデータ通信を行うことにより、回線切替部11の切替動作を制御する制御部12とを有する。
【0016】
マスタ機器となる通信回線切替装置1−1においては、制御部12が確認メッセージ送信手段と第1の障害判定手段と切替指示手段とを構成し、回線切替部11と制御部12とが第1の回線切替手段を構成する。また、スレーブ機器となる通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nにおいては、制御部12が第2の障害判定手段と返信メッセージ送信手段とを構成し、回線切替部11と制御部12とが第2の回線切替手段を構成する。
【0017】
次に、図3、図4を参照して、本実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。図3はマスタ機器(通信回線切替装置1−1)におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャート、図4はスレーブ機器(通信回線切替装置1−2,1−3〜1−N)におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャートである。
【0018】
マスタ機器である通信回線切替装置1−1の制御部12は、現用通信系(ここでは、A系ネットワーク3A)を介してスレーブ機器である通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nに定期的(例えば1秒周期)に確認メッセージCMを送信する(図3ステップS1)。
【0019】
図5に確認メッセージCMの構成例を示す。ここでは、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bがイーサネット(登録商標)である場合について示しており、確認メッセージCMはイーサネットのUDP(User Datagram Protocol)プロトコルに準拠している。確認メッセージCMは、イーサネットヘッダ201と、IPヘッダ202と、UDPヘッダ203と、データ部204と、エラーチェック用のCRC(Cyclic Redundancy Check )符号205とからなる。
【0020】
データ部204には、通信フレーム番号として例えば「03」が設定され、送信元アドレスとして例えば「00」が設定され、送信先アドレスとして例えば「FF」が設定されている。送信フレーム番号はメッセージの識別番号であり、送信フレーム番号「03」は確認メッセージであることを示している。送信元アドレス「00」は通信回線切替装置1−1のアドレスであり、送信先アドレス「FF」はブロードキャスト、すなわち全てのスレーブ機器にメッセージを送信することを意味する。
【0021】
次に、スレーブ機器である通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nの制御部12は、マスタ機器からの確認メッセージCMを常時待ち受けしており(図4ステップS11)、前回マスタ機器からの確認メッセージCMを受信してから一定時間(例えば2秒)内に次の確認メッセージCMを受信できたかどうかを判定する(ステップS12)。一定時間内に確認メッセージCMを受信できた場合、スレーブ機器の制御部12は、マスタ機器との間の通信経路が正常であると判断する。
【0022】
一方、一定時間内に受信できなかった場合、スレーブ機器の制御部12は、マスタ機器との間の通信経路に何らかの障害が発生したと判断し(ステップS13)、バックアップ通信系(ここでは、B系ネットワーク3B)を介してマスタ機器に返信メッセージRMを送信する(ステップS14)。ステップS12の判定は一定時間ごとに行われる。したがって、マスタ機器からの確認メッセージCMを受信できない場合には、返信メッセージRMが繰り返し送信されることになる。
【0023】
図6に返信メッセージRMの構成例を示す。図5の場合と同様に、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bがイーサネットである場合について示す。返信メッセージRMは、イーサネットヘッダ301と、IPヘッダ302と、UDPヘッダ303と、データ部304と、CRC符号305とからなる。
【0024】
データ部304には、通信フレーム番号として例えば「82」が設定され、送信元アドレスとして例えば「XX」が設定され、送信先アドレスとして例えば「00」が設定されている。送信フレーム番号「82」は返信メッセージであることを示している。送信元アドレス「XX」は障害発生ありと判断した通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nのアドレスであり、送信先アドレス「00」は通信回線切替装置1−1のアドレスである。
【0025】
前述のように、マスタ機器である通信回線切替装置1−1の制御部12は、全てのスレーブ機器に定期的に確認メッセージCMを送信するが、前回の周期で確認メッセージCMを送信した後にバックアップ通信系から返信メッセージRMを受信し(ステップS2においてYES)、かつ現在の周期で確認メッセージCMを送信した後に返信メッセージRMを受信した場合(ステップS3においてYES)、現用通信系に障害が発生したと判断する(ステップS4)。
【0026】
現用通信系に障害が発生したと判断した場合、マスタ機器の制御部12は、バックアップ通信系を介して全てのスレーブ機器に通信回線切替メッセージを送信すると共に(ステップS5)、自装置の回線切替部11を制御して、A系ネットワーク3AからB系ネットワーク3Bへ切替接続させる(ステップS6)。
【0027】
スレーブ機器である通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nの制御部12は、マスタ機器から通信回線切替メッセージを受信した場合(ステップS15においてYES)、自装置の回線切替部11を制御して、A系ネットワーク3AからB系ネットワーク3Bへ切替接続させる(ステップS16)。以上のようにして、B系ネットワーク3Bが現用通信系となる回線切替処理が行われる。
【0028】
本実施の形態では、確認メッセージCMおよび返信メッセージRMの長さをA系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bの通信フォーマットで規定される最小サイズに設定している。したがって、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bがイーサネットの場合、確認メッセージCMおよび返信メッセージRMの長さは64バイトである。確認メッセージCMおよび返信メッセージRMを最小サイズにすることにより、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bにおいて、障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができる。
【0029】
また、本実施の形態において、マスタ機器は、スレーブ機器からの返信メッセージRMに基づいて通信障害が発生しているかどうかを判定するが、スレーブ機器は、マスタ機器との間の通信経路が正常と判断した場合、返信メッセージRMを送信しない。これにより、現用通信系が正常か否かに関係なく返信メッセージを送信する場合に比べて、ネットワーク障害監視のためのデータ送受信の回数を少なくすることができ、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bにおいて、障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができる。
【0030】
その結果、本実施の形態では、通信系の高速切替と通信系の使用率の低減とを両立させることができる。すなわち、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる。
【0031】
本実施の形態では、障害監視のために使用される通信系の使用率を10BASE−Tの場合例えば0.02%以下、100BASE−Tの場合例えば0.002%以下に抑えることができ、障害発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を例えば2.5秒以下にすることができる。一方、STPを使う通信システムでは、STPの通信メッセージが膨大なことから、例えば6〜40秒の長い通信周期を設定せざるを得ず、障害発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間が例えば20秒以上になる。
【0032】
なお、マスタ機器において、確認メッセージCMの送信に対して返信メッセージRMを受信した後、確認メッセージCMの次の送信に対して返信メッセージRMを再度受信した場合、現用通信系に障害発生有りと判定するのは、ごく短期間の通信障害に対する回線切替を避けるためである。つまり、通信回線の障害の程度によっては、すぐに復旧する場合もあり得る。したがって、このような場合には、回線切替を実施しないことにより、回線切替によってノード機器間の通信が一時的に途絶えることをなくすことができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、スレーブ通信回線切替装置の返信メッセージ送信手段は、第2の障害判定手段により現用通信系に障害発生有りと判定された場合、バックアップ通信系を介してマスタ通信回線切替装置に返信メッセージを送信し、マスタ通信回線切替装置の第1の障害判定手段は、スレーブ通信回線切替装置から受信した返信メッセージに基づいて現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定するようにしたことにより、確認メッセージを正常に受信している場合にはスレーブ通信回線切替装置からマスタ通信回線切替装置への返信メッセージの送信を省略したので、二重化ネットワークにおいて障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができ、ノード機器間の通信や通信回線切替装置間の他の通信に影響を与えることがなくなる。その結果、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる。
【0034】
また、確認メッセージの送信に対してスレーブ通信回線切替装置から返信メッセージを受信した後、確認メッセージの次の送信に対して返信メッセージを再度受信した場合、マスタ通信回線切替装置の第1の障害判定手段が、現用通信系に障害発生有りと判定するようにしたので、ごく短期間の通信障害に対する回線切り替えを避けることができる。
【0035】
また、確認メッセージおよび返信メッセージを、二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズとすることにより、二重化ネットワークにおいて障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができ、ノード機器間の通信や通信回線切替装置間の他の通信に影響を与えることがなくなる。その結果、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における通信回線切替装置の構成を示すブロック図である。
【図3】マスタ機器におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャートである。
【図4】スレーブ機器におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャートである。
【図5】確認メッセージの構成例を示す図である。
【図6】返信メッセージの構成例を示す図である。
【図7】従来の通信回線切替装置を用いた二重化ネットワークの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…通信回線切替装置、2…ノード機器、3A…A系ネットワーク、3B…B系ネットワーク、11…回線切替部、12…制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノード機器間を接続するネットワークの障害監視と障害発生時の回線切替とを行う通信システムおよび通信回線切替装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プラントや建物などを監視する監視システムでは、監視対象となる複数の現場設備からの設備データを、所定の通信回線を介して収集している。このような監視システムでは24時間稼働がほとんどであり、通信異常に起因するシステムダウンは、生産や設備運転に対して多大な影響を与えてしまう。このため、設備データの欠損の原因となるようなネットワークの障害が発生した場合の対策としてネットワークの二重化を実施している。
【0003】
このような監視システムで用いる通信回線の二重化技術は、現用通信系とバックアップ系からなる2つの系統に分けてそれぞれ通信回線を配線するとともに、その通信回線の途中に設けられたスイッチを設け、通信に用いられている現用通信系での通信状態に障害が認められた場合は、その障害を検出した通信回線切替装置で、それぞれ個別に通信回線をバックアップ系へ切り替えるものとなっていた。この通信回線切替装置を用いた場合、障害検出に応じて当該通信回線切替装置から最初のハブ(HUB )までの区間でのみ通信回線の切り替えを行う。したがって、ハブ階層のハブは冗長配線を用いて相互接続されている。また、ハブ間の各階層についてはSTP(Spaning Tree Plotcool :スパニング・ツリー・プロトコル)スイッチを複数設けて、これらSTPスイッチ階層でも冗長配線を用いて相互接続し、障害発生に応じてその経路を迂回したルートを選択するものとなっている。
【0004】
ただし、この方法によると、通信回線切替装置のセグメントでのみ通信回線の切り替えを行うものとなっているため、現用通信系とバックアップ系とを相互に接続する冗長配線が必要となり、二重化を実現するために膨大な作業負担や設備コストが必要となり、その保守性や信頼性も低下するという問題点があった。この問題点を解決するため、出願人は、複雑な配線や高価なスイッチなどを必要とすることなく、通信ネットワークの二重化を実現できる図7に示すような通信回線切替装置を提供している(特許文献1参照)。
【0005】
図7において、通信回線切替装置101は、現用通信系105aとバックアップ通信系105bとノード機器106との間に接続され、通信状態に応じてこれら通信系のいずれかをノード機器106へ接続する。通信回線切替装置102は、現用通信系105aとバックアップ通信系105bとノード機器107との間に接続され、通信状態に応じてこれら通信系のいずれかをノード機器107へ接続する。現用通信系105aの経路上には、ハブ103aやスイッチ104aが設けられている。また、バックアップ通信系105bの経路上には、ハブ103bやスイッチ104bが設けられている。通信回線切替装置101,102は、マスタ・スレーブ方式に基づいてそのいずれか1つの通信回線切替装置がマスタ機器として動作し、現用通信系105aの通信状態を監視するとともに障害発生の検出に応じて通信回線の切り替えを制御する。他の通信回線切替装置はスレーブ機器として動作し、マスタ機器からの指示に応じて通信回線の切り替えを行う。これにより、通信回線切替装置101,102の両方で同時に通信回線の切り替えが行われる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−247017号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
通信回線に何らかの障害が発生した場合、バックアップ通信系への切り替えは即時に行うことが望ましい。図7に示した二重化ネットワークにおいて、マスタ機器は、各スレーブ機器に対してチェック要求メッセージを定期的に送信し、全てのスレーブ機器からチェック要求メッセージに対するチェック応答メッセージを受信した場合には、障害発生なしと判断していた。したがって、従来の通信回線切替装置では、各スレーブ機器からのチェック応答メッセージを待った上で障害が発生しているかどうかを判定するので、現用通信系に障害が発生した場合、回線の切り替えまでに時間を要するという問題点があった。このため、ノード機器間で通信不能によるデータの欠損が生じ、ファイル再送によるデータ修復等の人為的な操作が避けられないという問題点があった。また、通信障害を早く検出するためには、チェック要求メッセージの送信周期をできるだけ短くすればよいが、送信周期を短くすると、通信負荷が増大し、ノード間で通信に遅れがでる
という問題点があった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる通信システムおよび通信回線切替装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、独立した2つの通信系からなる二重化ネットワークを介してデータ通信を行う複数のノード機器と、これらノード機器と前記二重化ネットワークとの間にそれぞれ設けられ当該ノード機器を前記2つの通信系のうち障害のない通信系へ切替接続する複数の通信回線切替装置とからなる通信システムであって、前記複数の通信回線切替装置は、マスタ・スレーブ方式に基づきマスタ機器として動作する1つのマスタ通信回線切替装置と、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する他の1つ以上のスレーブ通信回線切替装置とからなり、前記マスタ通信回線切替装置は、現用通信系を介して全てのスレーブ通信回線切替装置に定期的に確認メッセージを送信する確認メッセージ送信手段と、前記スレーブ通信回線切替装置からバックアップ通信系を介して受信した返信メッセージに基づいて前記現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定する第1の障害判定手段と、この第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、前記バックアップ通信系を介して全てのスレーブ通信回線切替装置に切替メッセージを送信する切替指示手段と、前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第1の回線切替手段とを有し、前記スレーブ通信回線切替装置は、一定時間内に前記確認メッセージを受信しない場合、前記現用通信系に障害が発生していると判定する第2の障害判定手段と、この第2の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、前記バックアップ通信系を介して前記マスタ通信回線切替装置に返信メッセージを送信する返信メッセージ送信手段と、前記マスタ通信回線切替装置から切替メッセージを受信した場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第2の回線切替手段とを有するものである。マスタ通信回線切替装置は、全てのスレーブ通信回線切替装置に定期的に確認メッセージを送信し、スレーブ通信回線切替装置は、一定時間内に確認メッセージを受信しない場合、現用通信系に障害が発生していると判定し、マスタ通信回線切替装置に返信メッセージを送信する。そして、マスタ通信回線切替装置は、返信メッセージに基づいて現用通信系に障害が発生していると判定した場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を自装置も含めて切り替える。
また、本発明の通信システムの1構成例において、前記第1の障害判定手段は、前記確認メッセージの送信に対して前記返信メッセージを受信した後、前記確認メッセージの次の送信に対して前記返信メッセージを再度受信した場合、前記現用通信系に障害発生有りと判定するものである。
また、本発明の通信システムの1構成例において、前記確認メッセージおよび前記返信メッセージは、前記二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズである。
【0010】
また、本発明の通信回線切替装置は、マスタ・スレーブ方式に基づき唯一つのマスタ機器として動作する場合に、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する他の全ての通信回線切替装置に現用通信系を介して定期的に確認メッセージを送信する確認メッセージ送信手段と、前記マスタ機器として動作する場合に、前記スレーブ機器からバックアップ通信系を介して受信した返信メッセージに基づいて前記現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定する第1の障害判定手段と、前記マスタ機器として動作し、かつ前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、前記バックアップ通信系を介して全てのスレーブ機器に切替メッセージを送信する切替指示手段と、前記マスタ機器として動作し、かつ前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第1の回線切替手段と、前記スレーブ機器として動作し、かつ一定時間内に前記確認メッセージを受信しない場合に、前記現用通信系に障害が発生していると判定する第2の障害判定手段と、前記スレーブ機器として動作し、かつ前記第2の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、前記バックアップ通信系を介して前記マスタ機器に返信メッセージを送信する返信メッセージ送信手段と、前記スレーブ機器として動作し、かつ前記マスタ機器から切替メッセージを受信した場合に、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第2の回線切替手段とを有するものである。
また、本発明の通信回線切替装置の1構成例において、前記第1の障害判定手段は、前記確認メッセージの送信に対して前記返信メッセージを受信した後、前記確認メッセージの次の送信に対して前記返信メッセージを再度受信した場合、前記現用通信系に障害発生有りと判定するものである。
また、本発明の通信回線切替装置の1構成例において、前記確認メッセージおよび前記返信メッセージは、前記二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。この通信システムには、通信回線切替装置1(1−1,1−2,1−3〜1−N)と、ノード機器2−1,2−2,2−3〜2−Nと、A系ネットワーク3Aと、B系ネットワーク3Bとが設けられている。
【0012】
通信回線切替装置1には、マスタ・スレーブ方式に基づきマスタ機器として動作する1つの通信回線切替装置1−1と、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する1つ以上の通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nとがある。
【0013】
ノード機器2−1は、例えばノード機器2−2,2−3〜2−NとA系ネットワーク3AあるいはB系ネットワーク3Bを介してデータ通信を行うことにより、ノード機器2−2,2−3〜2−Nの稼働・運転状態を監視する監視装置である。ノード機器2−2,2−3〜2−Nは、例えば設備機器を制御したりセンサからのデータを収集したりするコントローラである。
【0014】
A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bは、ノード機器2−1とノード機器2−2,2−3〜2−Nとのデータ通信に用いられる二重化ネットワークであり、通常、データ通信についてはいずれか一方の系を用いて行われる。通信回線切替装置1−1は、ノード機器2−1とA系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bとの間に設けられ、これら通信系のいずれかをノード機器2−1へ切替接続する。通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nは、ノード機器2−2,2−3〜2−NとA系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bとの間に設けられ、これら通信系のいずれかをそれぞれノード機器2−2,2−3〜2−Nへ切替接続する。
【0015】
図2に、通信回線切替装置1(1−1,1−2,1−3〜1−N)の構成を示す。通信回線切替装置1は、ノード機器2をA系ネットワーク3AあるいはB系ネットワーク3Bのいずれか一方に切り替え接続する回線切替部11と、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bを介して他の通信回線切替装置とデータ通信を行うことにより、回線切替部11の切替動作を制御する制御部12とを有する。
【0016】
マスタ機器となる通信回線切替装置1−1においては、制御部12が確認メッセージ送信手段と第1の障害判定手段と切替指示手段とを構成し、回線切替部11と制御部12とが第1の回線切替手段を構成する。また、スレーブ機器となる通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nにおいては、制御部12が第2の障害判定手段と返信メッセージ送信手段とを構成し、回線切替部11と制御部12とが第2の回線切替手段を構成する。
【0017】
次に、図3、図4を参照して、本実施の形態にかかる通信システムの動作について説明する。図3はマスタ機器(通信回線切替装置1−1)におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャート、図4はスレーブ機器(通信回線切替装置1−2,1−3〜1−N)におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャートである。
【0018】
マスタ機器である通信回線切替装置1−1の制御部12は、現用通信系(ここでは、A系ネットワーク3A)を介してスレーブ機器である通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nに定期的(例えば1秒周期)に確認メッセージCMを送信する(図3ステップS1)。
【0019】
図5に確認メッセージCMの構成例を示す。ここでは、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bがイーサネット(登録商標)である場合について示しており、確認メッセージCMはイーサネットのUDP(User Datagram Protocol)プロトコルに準拠している。確認メッセージCMは、イーサネットヘッダ201と、IPヘッダ202と、UDPヘッダ203と、データ部204と、エラーチェック用のCRC(Cyclic Redundancy Check )符号205とからなる。
【0020】
データ部204には、通信フレーム番号として例えば「03」が設定され、送信元アドレスとして例えば「00」が設定され、送信先アドレスとして例えば「FF」が設定されている。送信フレーム番号はメッセージの識別番号であり、送信フレーム番号「03」は確認メッセージであることを示している。送信元アドレス「00」は通信回線切替装置1−1のアドレスであり、送信先アドレス「FF」はブロードキャスト、すなわち全てのスレーブ機器にメッセージを送信することを意味する。
【0021】
次に、スレーブ機器である通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nの制御部12は、マスタ機器からの確認メッセージCMを常時待ち受けしており(図4ステップS11)、前回マスタ機器からの確認メッセージCMを受信してから一定時間(例えば2秒)内に次の確認メッセージCMを受信できたかどうかを判定する(ステップS12)。一定時間内に確認メッセージCMを受信できた場合、スレーブ機器の制御部12は、マスタ機器との間の通信経路が正常であると判断する。
【0022】
一方、一定時間内に受信できなかった場合、スレーブ機器の制御部12は、マスタ機器との間の通信経路に何らかの障害が発生したと判断し(ステップS13)、バックアップ通信系(ここでは、B系ネットワーク3B)を介してマスタ機器に返信メッセージRMを送信する(ステップS14)。ステップS12の判定は一定時間ごとに行われる。したがって、マスタ機器からの確認メッセージCMを受信できない場合には、返信メッセージRMが繰り返し送信されることになる。
【0023】
図6に返信メッセージRMの構成例を示す。図5の場合と同様に、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bがイーサネットである場合について示す。返信メッセージRMは、イーサネットヘッダ301と、IPヘッダ302と、UDPヘッダ303と、データ部304と、CRC符号305とからなる。
【0024】
データ部304には、通信フレーム番号として例えば「82」が設定され、送信元アドレスとして例えば「XX」が設定され、送信先アドレスとして例えば「00」が設定されている。送信フレーム番号「82」は返信メッセージであることを示している。送信元アドレス「XX」は障害発生ありと判断した通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nのアドレスであり、送信先アドレス「00」は通信回線切替装置1−1のアドレスである。
【0025】
前述のように、マスタ機器である通信回線切替装置1−1の制御部12は、全てのスレーブ機器に定期的に確認メッセージCMを送信するが、前回の周期で確認メッセージCMを送信した後にバックアップ通信系から返信メッセージRMを受信し(ステップS2においてYES)、かつ現在の周期で確認メッセージCMを送信した後に返信メッセージRMを受信した場合(ステップS3においてYES)、現用通信系に障害が発生したと判断する(ステップS4)。
【0026】
現用通信系に障害が発生したと判断した場合、マスタ機器の制御部12は、バックアップ通信系を介して全てのスレーブ機器に通信回線切替メッセージを送信すると共に(ステップS5)、自装置の回線切替部11を制御して、A系ネットワーク3AからB系ネットワーク3Bへ切替接続させる(ステップS6)。
【0027】
スレーブ機器である通信回線切替装置1−2,1−3〜1−Nの制御部12は、マスタ機器から通信回線切替メッセージを受信した場合(ステップS15においてYES)、自装置の回線切替部11を制御して、A系ネットワーク3AからB系ネットワーク3Bへ切替接続させる(ステップS16)。以上のようにして、B系ネットワーク3Bが現用通信系となる回線切替処理が行われる。
【0028】
本実施の形態では、確認メッセージCMおよび返信メッセージRMの長さをA系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bの通信フォーマットで規定される最小サイズに設定している。したがって、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bがイーサネットの場合、確認メッセージCMおよび返信メッセージRMの長さは64バイトである。確認メッセージCMおよび返信メッセージRMを最小サイズにすることにより、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bにおいて、障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができる。
【0029】
また、本実施の形態において、マスタ機器は、スレーブ機器からの返信メッセージRMに基づいて通信障害が発生しているかどうかを判定するが、スレーブ機器は、マスタ機器との間の通信経路が正常と判断した場合、返信メッセージRMを送信しない。これにより、現用通信系が正常か否かに関係なく返信メッセージを送信する場合に比べて、ネットワーク障害監視のためのデータ送受信の回数を少なくすることができ、A系ネットワーク3AおよびB系ネットワーク3Bにおいて、障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができる。
【0030】
その結果、本実施の形態では、通信系の高速切替と通信系の使用率の低減とを両立させることができる。すなわち、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる。
【0031】
本実施の形態では、障害監視のために使用される通信系の使用率を10BASE−Tの場合例えば0.02%以下、100BASE−Tの場合例えば0.002%以下に抑えることができ、障害発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を例えば2.5秒以下にすることができる。一方、STPを使う通信システムでは、STPの通信メッセージが膨大なことから、例えば6〜40秒の長い通信周期を設定せざるを得ず、障害発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間が例えば20秒以上になる。
【0032】
なお、マスタ機器において、確認メッセージCMの送信に対して返信メッセージRMを受信した後、確認メッセージCMの次の送信に対して返信メッセージRMを再度受信した場合、現用通信系に障害発生有りと判定するのは、ごく短期間の通信障害に対する回線切替を避けるためである。つまり、通信回線の障害の程度によっては、すぐに復旧する場合もあり得る。したがって、このような場合には、回線切替を実施しないことにより、回線切替によってノード機器間の通信が一時的に途絶えることをなくすことができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、スレーブ通信回線切替装置の返信メッセージ送信手段は、第2の障害判定手段により現用通信系に障害発生有りと判定された場合、バックアップ通信系を介してマスタ通信回線切替装置に返信メッセージを送信し、マスタ通信回線切替装置の第1の障害判定手段は、スレーブ通信回線切替装置から受信した返信メッセージに基づいて現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定するようにしたことにより、確認メッセージを正常に受信している場合にはスレーブ通信回線切替装置からマスタ通信回線切替装置への返信メッセージの送信を省略したので、二重化ネットワークにおいて障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができ、ノード機器間の通信や通信回線切替装置間の他の通信に影響を与えることがなくなる。その結果、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる。
【0034】
また、確認メッセージの送信に対してスレーブ通信回線切替装置から返信メッセージを受信した後、確認メッセージの次の送信に対して返信メッセージを再度受信した場合、マスタ通信回線切替装置の第1の障害判定手段が、現用通信系に障害発生有りと判定するようにしたので、ごく短期間の通信障害に対する回線切り替えを避けることができる。
【0035】
また、確認メッセージおよび返信メッセージを、二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズとすることにより、二重化ネットワークにおいて障害監視のために使用される通信時間の割合(使用率)を低減することができ、ノード機器間の通信や通信回線切替装置間の他の通信に影響を与えることがなくなる。その結果、ノード機器間の通信スループットを落とすことなく、現用通信系の障害の発生からバックアップ通信系に切り替えるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における通信回線切替装置の構成を示すブロック図である。
【図3】マスタ機器におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャートである。
【図4】スレーブ機器におけるネットワーク障害監視処理手順を示すフローチャートである。
【図5】確認メッセージの構成例を示す図である。
【図6】返信メッセージの構成例を示す図である。
【図7】従来の通信回線切替装置を用いた二重化ネットワークの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…通信回線切替装置、2…ノード機器、3A…A系ネットワーク、3B…B系ネットワーク、11…回線切替部、12…制御部。
Claims (6)
- 独立した2つの通信系からなる二重化ネットワークを介してデータ通信を行う複数のノード機器と、これらノード機器と前記二重化ネットワークとの間にそれぞれ設けられ当該ノード機器を前記2つの通信系のうち障害のない通信系へ切替接続する複数の通信回線切替装置とからなる通信システムであって、
前記複数の通信回線切替装置は、マスタ・スレーブ方式に基づきマスタ機器として動作する1つのマスタ通信回線切替装置と、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する他の1つ以上のスレーブ通信回線切替装置とからなり、
前記マスタ通信回線切替装置は、
現用通信系を介して全てのスレーブ通信回線切替装置に定期的に確認メッセージを送信する確認メッセージ送信手段と、
前記スレーブ通信回線切替装置からバックアップ通信系を介して受信した返信メッセージに基づいて前記現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定する第1の障害判定手段と、
この第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、前記バックアップ通信系を介して全てのスレーブ通信回線切替装置に切替メッセージを送信する切替指示手段と、
前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第1の回線切替手段とを有し、
前記スレーブ通信回線切替装置は、
一定時間内に前記確認メッセージを受信しない場合、前記現用通信系に障害が発生していると判定する第2の障害判定手段と、
この第2の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合、前記バックアップ通信系を介して前記マスタ通信回線切替装置に返信メッセージを送信する返信メッセージ送信手段と、
前記マスタ通信回線切替装置から切替メッセージを受信した場合、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第2の回線切替手段とを有することを特徴とする通信システム。 - 請求項1記載の通信システムにおいて、
前記第1の障害判定手段は、前記確認メッセージの送信に対して前記返信メッセージを受信した後、前記確認メッセージの次の送信に対して前記返信メッセージを再度受信した場合、前記現用通信系に障害発生有りと判定することを特徴とする通信システム。 - 請求項1記載の通信システムにおいて、
前記確認メッセージおよび前記返信メッセージは、前記二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズであることを特徴とする通信システム。 - 独立した2つの通信系からなる二重化ネットワークと複数のノード機器との間にそれぞれ設けられ当該ノード機器を前記2つの通信系のうち障害のない通信系へ切替接続する通信回線切替装置であって、
マスタ・スレーブ方式に基づき唯一つのマスタ機器として動作する場合に、マスタ・スレーブ方式に基づきスレーブ機器として動作する他の全ての通信回線切替装置に現用通信系を介して定期的に確認メッセージを送信する確認メッセージ送信手段と、
前記マスタ機器として動作する場合に、前記スレーブ機器からバックアップ通信系を介して受信した返信メッセージに基づいて前記現用通信系に障害が発生しているかどうかを判定する第1の障害判定手段と、
前記マスタ機器として動作し、かつ前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、前記バックアップ通信系を介して全てのスレーブ機器に切替メッセージを送信する切替指示手段と、
前記マスタ機器として動作し、かつ前記第1の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第1の回線切替手段と、
前記スレーブ機器として動作し、かつ一定時間内に前記確認メッセージを受信しない場合に、前記現用通信系に障害が発生していると判定する第2の障害判定手段と、
前記スレーブ機器として動作し、かつ前記第2の障害判定手段により前記現用通信系に障害発生有りと判定された場合に、前記バックアップ通信系を介して前記マスタ機器に返信メッセージを送信する返信メッセージ送信手段と、
前記スレーブ機器として動作し、かつ前記マスタ機器から切替メッセージを受信した場合に、ノード機器間の通信に用いる通信系を前記現用通信系から前記バックアップ通信系に切り替える第2の回線切替手段とを有することを特徴とする通信回線切替装置。 - 請求項4記載の通信回線切替装置において、
前記第1の障害判定手段は、前記確認メッセージの送信に対して前記返信メッセージを受信した後、前記確認メッセージの次の送信に対して前記返信メッセージを再度受信した場合、前記現用通信系に障害発生有りと判定することを特徴とする通信回線切替装置。 - 請求項4記載の通信回線切替装置において、
前記確認メッセージおよび前記返信メッセージは、前記二重化ネットワークの通信フォーマットで規定される最短のサイズであることを特徴とする通信回線切替装置。
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JP2002339088A JP2004173149A (ja) | 2002-11-22 | 2002-11-22 | 通信システムおよび通信回線切替装置 |
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Cited By (1)
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JP2007110612A (ja) * | 2005-10-17 | 2007-04-26 | Daifuku Co Ltd | 物品処理設備 |
-
2002
- 2002-11-22 JP JP2002339088A patent/JP2004173149A/ja active Pending
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