JP2004173083A - 同時複数映像の蓄積・再生方法及び蓄積・再生装置 - Google Patents

同時複数映像の蓄積・再生方法及び蓄積・再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、同一場面(対象物)を複数方向から別々に撮影し、これを時間を軸にして蓄積し、ついで再生映像とすることを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、映像又は音声に撮影時刻を対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致する映像又は音声の検出手段と、該検出手段により同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像音声再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置により目的を達成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は同一場合の対象物を、複数の方向(同一又は異なる距離)から撮影、録音し、夫々の映像又は音声を同一時刻毎に蓄積すると共に、同一時刻毎に複数映像として出力し、再生するようにした同時複数映像の蓄積・再生方法及び蓄積・再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の技術進歩によりデジタルビデオカメラは小型化・軽量化しており、家族の撮影、旅行先での撮影、スポーツの撮影、機器操作風景の撮影、実験観察のための撮影など、極めて幅広い分野で用いられている。例えば、小学校の運動会では、数多くの親がビデオカメラで自分の子供の姿を撮影するという光景が一般的に見られる。また、実験観察の用途では、複数のビデオカメラで固定撮影又は手持ち撮影して、それを後からテープ再生して事象を分析するというような用途で用いられている。前記、ビデオ映像又はマルチメディアを活用した実習支援環境を構築する際にでも、これらデジタルビデオカメラを利用し、手術映像や機器操作映像を複数のビデオカメラで多視点から撮影して用いることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−52842号公報
【0004】
【特許文献2】特開2001−36867号公報
【0005】
【発明により解決しようとする課題】
従来、複数のビデオカメラで撮影した映像は通常関連性がなく、再生する際には、それぞれの映像を独立して再生するのが普通である。例えば、運動会を複数の人がそれぞれ別のビデオカメラで撮影したような場合、映像が別々のビデオテープに記録されるため、同じ撮影時刻の映像を同時に再生することは難しい。具体的には、カメラ設置位置を変えて複数のビデオカメラで同じ時刻に同じ走者を撮影した時、走者を多視点から撮影した動画を作成する際には、同時刻に撮影した複数映像を、複数のテープから早送りや巻き戻しをして探し出す必要があり、非常に手間がかかるという問題があった。
【0006】
一般に普及しているデジタルビデオカメラにはSMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers) タイムコードがビデオテープに記録されるようになっており、タイムコードを指定してそのタイムコードから再生を開始できるようになっている。通常タイムコードは、ビデオテープの最初を起点とした通しフレーム番号であるため、全てのビデオテープを最初に巻き戻しておいて、全てのビデオカメラで一斉に録画を開始すれば、同一タイムコードの箇所に同一時刻の映像が記録されるようになり、この場合には、再生時に、複数のビデオカメラで同じタイムコードを指定することによって同一時刻の映像を同時再生できるようになる。
【0007】
しかしながら、運動会での撮影のような場合、撮影を開始するタイミングおよび撮影を終了するタイミングはそのビデオカメラの撮影者が独自に決定しているため、ビデオテープのタイムコードと撮影時刻とを一致させることができないという問題がある。また、複数のカットを連続して撮影する場合、いちいちカット毎にビデオテープを最初に巻き戻すようなことはせず、ビデオテープの続きから撮影することが普通であるため、この点からも、ビデオテープのタイムコードと撮影時刻とを一致させることが難しいという問題があった。このため従来は、ビデオ撮影する度に、撮影内容と、撮影日時と、タイムコードとの対応関係を紙に書き留めておき、ビデオテープと一緒にこの紙を管理するというのが普通となっている。すなわちこれらは全て人手で行う作業であるため、そのために膨大なコストがかかるだけでなく、対応関係を書き留めた紙を紛失したり、ビデオテープと紙のメモ書きとの対応関係がわからなくなり、シーンが見つけられなくなるという問題があった。
【0008】
また、特許文献1には、手話を多視点撮影する装置が記載されており、複数ビデオテープに撮影した映像をキャプチャリングして複数の動画ファイルとしてPCに取り込み、ユーザからの指示があったタイミングで同時再生するように構成されている。しかしながら、同一撮影時刻の映像が同一タイミングで再生されるようにするための仕組みを備えていないため、ビデオ編集ツールを用いるなどしてユーザが手作業で複数映像のタイミングあわせをしなければならず、非常に手間がかかるという問題があった。
【0009】
この問題に対処するための方法として、タイムコードを音声信号として生成するタイムコードジェネレータという装置を用い、撮影前にあらかじめこのタイムコードジェネレータが発生する音声信号を全てのビデオテープに録音しておくことで、複数ビデオテープのタイムコードを統一させるという方法が提案されている。例えば、特許文献2には、電子音発生器、ホイッスル、肉声等による音声発生方法によって、デジタルビデオカメラの音声トラック部分に同期信号を刻印する動画像同期表示装置が記載されている。この装置の場合、ビデオテープに記録された映像をデジタルキャプチャしてハードディスクにファイルとして保存し、保存されたファイルの中から音声信号のパターンマッチによって同期信号を検出するようにしている。
【0010】
しかしながら、撮影を開始する前、又は撮影開始後に全てのビデオカメラにタイムコード音声信号を録音する必要がありビデオカメラの数が多い場合には非常に手間がかかるという問題や、途中でビデオ録画を停止した場合にはそれ以降の同期がとれなくなるために一連の撮影が終了するまで全てのビデオカメラを録画中にしたままにしておかなければならないという問題点があった。さらに、ビデオカメラ以外にタイムコードジェネレータや音声発生器が必要になるということや、ビデオテープに音声信号として記録された同期信号を検出するためのさらに別の同期信号検出装置が必要になるということから、システム全体のコストが著しく高くなってしまうという問題があった。
【0011】
さらに、ビデオカメラを複数設置して別々の箇所を撮影した場合には、あるビデオテープに記録されている物体又は被写体が、他のビデオテープに記録されている他の物体又は被写体と連動して動いていることがわからないという問題がある。ある医療機器をビデオカメラで撮影する時、その医療機器の部分Aを動かした時は部分Bが連動して動き、部分Cを動かしたときは部分Dと部分Eが連動して動くとする。この時、部分Aと部分Bとが連動して動いている様子を同一映像の中で再生したり、部分Cと部分Dと部分Eの動きを同期をとって同時再生できれば、機器の動きを把握する上ですこぶる便利であるが、部分A、部分B、部分C、部分D、部分Eを別々のビデオカメラで撮影した場合には、それぞれの部分が別々のビデオテープに記録されるため、どの部分とどの部分とが関連して動いたのかがわからなくなるという問題があった。
【0012】
連動して動く複数の部分を別々のビデオカメラで撮影した際にでも、連動して動く部分又は連動して起きる事象を自動的に検出し、その連動している部分だけを選択的に再生できれば便利である。また、機器の全体を映像又は静止画で撮影している場合には、連動部分を検出した結果をその全体図に反映させ、どの部分とどの部分が連動して動いたかを図示又はハイパーリンク化できればすこぶる便利である。
【0013】
また、機器の操作を学習するための映像コンテンツ作成に関して、どのボタンを押せばどのような動作が起きるかというのをわかりやすく映像で説明したいというニーズがある。このような場合、従来は、ボタン1を押した時に起きる動作の映像はビデオテープの時刻t1から時刻t2まで、ボタン2を押した時に起きる動作の映像はビデオテープの時刻t2から時刻t3までという情報を紙に書き留めておき、ビデオテープと一緒に配布するという方法がとられることが普通であった。しかしながらこの場合、ビデオテープの頭だしをするためにいちいち時刻情報を入力する必要があり、手間がかかるという問題があった。さらに、ボタンの押下に連動して複数の部分が動くような時、それぞれの部分が別のビデオテープに記録されていた場合には、関連して動く部分を同時再生できないという問題があった。
【0014】
この問題を解決する手段としては、ビデオテープの映像を一旦デジタルキャプチャしてPC上に動画ファイルとして用意し、動画の時刻t1又は時刻t2から再生するための命令を記述したスクリプトをさらに用意して、ユーザにそのスクリプトを実行させるという方法がある。例えば、HTML(HyperText Markup Language)のクリッカブルイメージマップ機能を用いれば、静止画の特定座標範囲をマウスでクリックした際に、あらかじめ指定しおいた時刻から動画再生を開始するというようなスクリプトを記述できる。
【0015】
しかしながら、ユーザは、ある特定座標範囲をクリックした際にどのような映像が再生されるのかをあらかじめ推測できないために、その特定座標範囲を押す必要があるかないかを判断できないという問題があった。例えば前述の医療機器操作を例にとると、実習者が部分D又は部分Eが動く映像を見たいとしても、部分Cを動かして初めて部分Dと部分Eが動くということが事前にわからないために、部分Cを動かすための操作をしないという可能性がある。特定座標範囲をクリックする前にでも、その特定座標範囲をクリックした際にどこの部分がどのように動作するかが容易に予想できるようになっていれば、その特定座標範囲をクリックする必要があるかないかを容易に判断できてすこぶる便利である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明は、対象物を複数方向から撮影・録音し、夫々の映像及び音声を同一時刻毎に蓄積すると共に、同一時刻毎に複数映像として(要すればメイン映像とサブ映像として)出力し、再生することにより前記従来の諸問題点を解決することに成功したのである。
【0017】
即ち方法の発明は、同一場面の対象物を複数方向から撮影・録音し、夫々の映像及び音声を同一時刻毎に蓄積すると共に、同一時刻毎に複数映像として出力し、再生することを特徴とした同時複数映像の蓄積・再生方法であり、撮影は日時の記録ができるタイプのビデオカメラを使用するものである。また、蓄積は、複数のビデオカメラにより異なる方向・距離から撮影されて得た夫々のビデオテープに、撮影された映像がデジタルビデオキャプチャされてパーソナルコンピュータの動画ファイルとして保存されるものであり、蓄積された映像は、メイン映像、サブ映像として複数映像を同時刻毎に出力させるものである。
【0018】
次に装置の発明は、映像又は音声に撮影時刻を対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致する映像又は音声の検出手段と、該検出手段により同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像音声再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置であり、映像又は音声に撮影時刻を対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された撮影・録音時刻に基づいてカットを検出し、カット撮影時刻情報を蓄積するカット撮影時刻情報蓄積手段と、前記映像蓄積手段により蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記カット撮影時刻情報蓄積手段に蓄積されたカット撮影時刻情報が一致する映像又は音声の検出手段と、該検出手段により同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像の録音再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置である。
【0019】
また、映像再生手段は、蓄積手段に蓄積された複数の映像・録音のうち、前記蓄積手段に蓄積された撮影録音時刻が一致する映像を検出して、撮影した時刻が同一になるようにシンクロさせて同時に出力する場合に、前記蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致する音声を一つだけ選定して、前記複数の映像と撮影時刻をシンクロさせて再生するものであり、蓄積手段は、デジタル映像と、該デジタル映像に記録された撮影時刻とを磁気ディスク又は光磁気ディスクに蓄積したものである。また、映像検出手段は、蓄積手段に蓄積された複数のデジタル映像のうち、前記映像蓄積手段により蓄積された撮影時刻が一致するデジタル映像を検出したものであり、映像の録音再生手段は、映像検出手段により検出された同一撮影時刻のデジタル映像と、録音とを同一タイミングで出力するものである。
【0020】
他の発明は、映像又は音声を蓄積する映像蓄積手段と、前記映像蓄積手段に蓄積された映像又は音声を解析して、撮影時刻の同じ映像又は音声を検出する同時撮影の映像検出手段と、前記映像蓄積手段により蓄積された複数の映像又は音声のうち、同時撮影の映像検出手段の検出結果に基づいて、撮影時刻が一致する映像又は音声を検出して、同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・映像再生装置であり、映像又は音声を入力する映像入力手段と、前記映像入力手段に映像又は音声が入力された撮影時刻を計時する計時手段と、前記映像入力手段から入力される映像又は音声と、前記計時手段によって計時された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、前記映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記計時手段によって計時された撮影時刻が一致する映像又は音声の検出手段と、同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置である。また、映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致し、かつ、ユーザが指定した所定の条件に一致する映像又は音声の検出手段と、同一撮影時刻の映像又は音声を、同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置であり、映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致し、かつ、映像中に所定の動きがあると判定された映像又は音声の検出手段と、同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置である。
【0021】
また、他の発明は、デジタル映像と、該デジタル映像に記録された撮影時刻とを磁気ディスク又は光磁気ディスクに蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数のデジタル映像のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致し、かつ、映像中に所定の動きがあると判定された映像の検出手段と、同一撮影時刻のデジタル映像を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置であり、映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された映像の中の画像フレーム上の座標を指定する注目点指定手段と、該注目点指定手段によって指定された画像フレーム上の座標と、この画像フレームの撮影時刻とを対応付けて蓄積する軌跡蓄積手段と、該軌跡蓄積手段に蓄積された座標に関する情報を画像に重ねて表示する軌跡表示手段と、該軌跡表示手段によって表示された座標に関する情報をユーザが選択した場合に、前記映像蓄積手段に蓄積された映像又は音声を、前記選択された座標と対応して前記軌跡蓄積手段に蓄積された撮影時刻から出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置である。更に、映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された映像の中の画像フレームのカメラワークを指定する注目点指定手段と、該注目点指定手段によって指定された画像フレーム上のカメラワークと、この画像フレームの撮影時刻とを対応付けて蓄積する軌跡蓄積手段と、該軌跡蓄積手段に蓄積されたカメラワークに関する情報を画像に重ねて表示する軌跡表示手段と、該軌跡表示手段によって表示されたカメラワークに関する情報をユーザが選択した場合に、前記映像蓄積手段に蓄積された映像又は音声を、前記選択されたカメラワークと対応して、前記軌跡蓄積手段に蓄積された撮影時刻から出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置である。
【0022】
前記において、映像再生手段は、映像蓄積手段に蓄積された映像又は音声を、前記選択された座標と対応して前記軌跡蓄積手段に蓄積された撮影時刻から出力する場合に、前記再生する映像に前記軌跡蓄積手段に蓄積された複数の軌跡をオーバーレイして表示する構成にすることができる。
【0023】
前記発明においては、ビデオカメラの時刻精度を30分の1秒としているが、ほぼ15分の1秒以上の精度にすれば目的を達成することができる。
【0024】
何故ならば、映像を移動させる場合(動画)に、15分の1秒以上の精度があれば、映像の移動がきわめてスムースであり、認識が容易になるからである。
【0025】
この発明における複数の方向というのは、対象物により異なるが、例えば全体と部分、詳細(拡大)又は一方向だけでは死角に当たる所を詳細にみせたり、拡大・縮小技術を十分利用して、同一対象の解析を容易にするために各種技術を使用する。
【0026】
【発明の実施の形態】
この発明は、同一場面の対象物を複数方向から撮影・録音し、夫々の映像及び音声を同一時刻毎に蓄積すると共に、同一時刻毎に複数映像として出力し、再生することを特徴とした同時複数映像の蓄積・再生方法、映像又は音声に撮影時刻を対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致する映像又は音声の検出手段と、該検出手段により同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像音声再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置とするものである。
【0027】
この発明では、ビデオカメラは高精度で時刻表示ができるものであり、映像蓄積は勿論再生時の出力についても総て時刻をファクターとして行動する。このようにすることにより、映像をより正確に認識することができる。
【0028】
この発明で撮影者が用いるビデオカメラは、民生用ミニDVカセットテープ(以下、DVテープ)を記録媒体として映像と音声を記録するデジタルビデオカメラであり、IEC 61834規格(Helical−scan digital video cassette recording system using 6,35 mm magnetic tape for consumer use)に基づいて、ビデオテープのサブコードエリアに撮影日時を記録できるタイプのビデオカメラである。IEC 61834規格では、前記DVテープには、撮影日付と撮影時刻とが約1/30秒単位の精度ですべての動画フレームのサブコードエリアに対して埋め込まれることが規定されている。この撮影日付情報と撮影時刻情報とを利用するために、以下全ての実施例では、撮影者は、撮影を開始する前のタイミングにおいて、ビデオカメラの現在時刻を約1/30秒単位の精度で正確に標準時に合せていると仮定する。
【0029】
また、当該デジタルビデオカメラはIEEE1394規格のケーブルによってPCと接続され、DVテープに撮影された映像は、デジタルビデオキャプチャ(以下、DVキャプチャ)されてPCの動画ファイルとして保存できるものとする。例えば、Microsoft社のオペレーティングシステムであるWindows XP(登録商標)には、DVキャプチャ用ソフトウェアが標準で備わっており、本実施の形態の場合にも、このソフトウェアを用いてDVキャプチャするものとする。IEC 61834規格によれば、DVキャプチャして作成された動画ファイルにも、DVテープに記録されている撮影日時情報がコピーして保存されることが規定されており、DVキャプチャされたすべての動画フレームの中に、撮影日付情報と撮影時刻情報とがそれぞれ規定された形式で5バイトずつ記録される。この動画ファイルへの撮影日時情報埋め込み機能は、前記Windows XP(登録商標)のDVキャプチャ用ソフトウェアにも備わっている。
【0030】
なお、Windows(登録商標)オペレーティングシステムにおいては、DirectShow の仕組みによって、DVビデオカメラからのデジタル映像出力、または、DVキャプチャによって作成された動画ファイル(AVIフォーマットの動画ファイル)の中から、動画フレームを1フレームずつ抽出することが可能であり、この抽出した動画フレームを解釈できるDirectShowフィルターを開発することによって、前記IEC 61834規格に規定された撮影日付情報と撮影時刻情報とを取得できる。
【0031】
【実施例1】
この発明の実施例を図1に基づいて説明する。同一場面の対象物を、前後、左右、遠近などの条件を変えて、前記A、B、C、D、Eの方向から撮影する。前記A、B、C、D・・・Xの映像(例えばデジタルカメラによる映像音声も含む)を時間軸を一定(同期)させてパーソナルコンピュータ(以下、PCとする)に蓄積する。
【0032】
次に同時刻の映像を検出すると共に、これを画面上へ再生する。この再生時に、メイン映像aと、サブ映像b、c、d、eのように再生する(図2(a))。同様にして、メイン映像b、c、d・・・xのように、メイン映像を変えて表示することができる。
【0033】
前記のようにすれば、全体像と部分を正確に把握することができるので、これを基にした判断の誤りを未然に防止することができる。
【0034】
また、通常の撮影では発見できないような詳細な部分でも容易に把握することができる。
【0035】
例えば、外科手術時の外観、手術部分他の臓器、又は容態を示す脈拍、血圧或いは血管の縫合の詳細などを並列映像化できると共に、全体を同期させてあるので、時間的ずれなく、同一臨場感の元に正確に判断することができる。
【0036】
【実施例2】
この実施例は、複数人が各自のデジタルビデオカメラでサッカーゲームを撮影した場合の例である。図3で示されるように、サッカーフィールドを取り囲むようにビデオ撮影者が存在し、ある人は望遠レンズで人物を大きく撮影しようとし、ある人は標準レンズでゲームの全景を撮影しようとしている。撮影者各自は、任意のタイミングで録画を開始または停止するという操作を繰り返す。また、ある人はビデオカメラを三脚に固定して撮影し、ある人はビデオカメラを手持ちで移動しながら撮影する。さらに、撮影者各自は、必ずしも同一被写体を撮影するのではなく、撮影する被写体も撮影者各自が自由に決定できるものとする。また、ビデオテープの最後まで撮影した場合には、新しいビデオテープに取り替えて撮影が継続されることもある。
【0037】
前記のようにして撮影されたビデオ映像は、PC上の動画ファイルに変換される。具体的には、デジタルビデオカメラとPCとをIEEE1394ケーブルで接続し、前述の方法によってDVキャプチャを行い、動画ファイル(AVIフォーマットの動画ファイル)を作成する。前述した通り、DVキャプチャして作成された動画ファイルにも、撮影日付情報と撮影時刻情報とが記録されている。
【0038】
ここで図4は、あるサッカー選手がシュートを打った瞬間T1において、撮影者Aと撮影者Bはシュートを放った選手およびボールを撮影し、撮影者Cはゴールキーパーを撮影し、撮影者Dはビデオカメラ録画を一時停止させていた場合を説明する図である。そして、撮影者A、撮影者B、撮影者C、撮影者Dの4人が撮影した映像(図4)が、それぞれ、ビデオテープA、ビデオテープB、ビデオテープC、ビデオテープDに記録され、その後DVキャプチャして、それぞれ、動画ファイルA、動画ファイルB、動画ファイルC、動画ファイルDを、PC上の映像蓄積部に作成したとする。この時、前述したように、撮影日時情報は、動画ファイルの各動画フレームに約1/30秒単位の精度で記録されているため、これら撮影時刻情報も映像蓄積部に蓄積されていると言える。
【0039】
システムの映像再生部は、図5のようになっている。左側のパネルにはメイン映像が、右側の複数の小パネルにはメイン映像に同期したサブ映像が適宜表示される。映像を再生する場合、ユーザは、メイン映像として再生すべき動画ファイルを、ファイルダイアログやドラックアンドドロップ等で指定する。ここで、撮影者Aが撮影した動画ファイルAをメイン映像として指定した場合には、動画再生部の左側のパネルに動画ファイルAの映像が再生表示されるが、この時、システムが、動画ファイルAと同じ時刻に撮影された映像が他の動画ファイルに記録されていることを検出した場合には、右側のパネルにその検出した動画ファイルをサブ映像として同時再生する。この時、動画ファイルの再生箇所の撮影時刻が同一となるように、すべての動画ファイルの再生タイミングをシンクロさせて再生するようにする。すなわち、メイン映像である動画ファイルAが、撮影時刻T1に撮影したサッカー選手のシュートシーンを再生している時には、動画ファイルAおよび動画ファイルCも、撮影時刻T1に撮影したシュートシーンを再生するようにする。
【0040】
具体的には、動画ファイルAが、選手がシュートを打った時刻T1の場面を再生した瞬間には、システムは映像蓄積部に記録されている全ての動画ファイルの中から動画ファイルBおよび動画ファイルCを抽出し、これら抽出された動画ファイルを右側の小パネルに時刻同期させて再生する。ここで、動画ファイルBに、撮影カットOP(撮影時刻ToからTpまでのカット:ここで To < T1 < Tp) と、撮影カットQR(撮影時刻TqからTrまでのカット:ここで T1 < Tq < Tr) とが含まれていたとすると、システムは撮影カットOPを検出して、この撮影カットOP中の撮影時刻T1時点の映像を右側のパネルに再生する。これにより、撮影カットOPの再生箇所の撮影時刻が、動画ファイルAの再生箇所の撮影時刻と同一になって同時再生される。なお、撮影カットQRは、撮影時刻T1時点の映像を含まないために、同期再生されない。
【0041】
メイン映像である動画ファイルAの再生が終了した場合(ユーザによって再生停止処理が実行された場合を含む)には、それに連動して再生している全ての動画ファイルの再生を終了させる。また、動画ファイルAを一時停止、スロー再生、コマ送り再生、または、早送り再生する際にでも、通常再生と同様、全ての動画ファイルの再生箇所の撮影時刻が、動画ファイルAの再生箇所の撮影時刻と同一になるように適宜シンクロさせて表示する。
【0042】
次に、映像蓄積部から同期場面を高速に検索する目的で、映像蓄積部に記録されているシーンは撮影カット毎に撮影時刻インデックス(撮影カットOPはToからTpまでの映像、撮影カットQRはTqからTrまでの映像、というようなインデックス情報)を付けて保存しておき、映像再生部はこのインデックスを参照して同期場面を高速に検索できるように構成するのが好ましい。
【0043】
また、音声は、動画ファイルAの音声のみ再生し、動画ファイルBおよび動画ファイルCに記録された音声は再生しないようにする。ただし、メイン映像の音声のみを再生する代わりに、マウスカーソルなどで指定した映像の音声のみを再生するようにしてもよい。
【0044】
さらに、この実施例の形態では、映像を同期させて再生する場合について説明したが、この発明は映像を再生することにとどまらない。例えば、映像再生部は、ピクチャインピクチャ等の方法で複数の映像を合成し、その映像を再生、または、保存するように構成してもよい。また、映像再生部が映像転送機能を備え、遠隔地に出力映像を伝送するように構成してもよい。
【0045】
また、この実施例では、メイン映像として再生すべき動画ファイルをユーザが明示的に指定しこれを再生するように構成したが、特に再生すべき映像を指定せず、映像蓄積部に蓄積された複数の映像または音声から、撮影時刻が一致する映像または音声を検出し、その検索結果をユーザに示す映像検索装置として構成してもよい。
【0046】
また、この実施例では、動画ファイルの各動画フレームの中に撮影日時情報が記録される場合について説明したが、動画ファイルのヘッダー部分または他の位置にまとめて記録されてもよい。さらに、撮影日時情報は、動画ファイルの中にではなく、データベースのような別の記憶手段によって記憶されるように構成してもよい。この場合は、1動画フレーム毎に撮影日時情報を保持する必要はなく、例えば、数秒または数フレームおきに、動画フレームと撮影日時情報との対応関係を保つようにする。
【0047】
【実施例3】
前記実施例2の場合は、映像蓄積部に蓄積された複数の映像から、撮影時刻が一致する映像を検出した場合に、その検出された映像を無条件に再生する例であったが、この実施例3の場合は、撮影時刻が一致する映像の中のさらに所定の条件を満たす映像だけを再生する例である。特にこの実施の形態では、映像蓄積部に蓄積された複数の映像から、撮影時刻が一致し、かつ、その映像の中の物体に動きがあると検出された映像だけを再生する例であり、再生する際には、前記実施例2と同様、複数映像の同一撮影時刻部分が同一タイミングで再生される。
【0048】
次に、撮影対象として医療機器を複数のデジタルビデオカメラで撮影した場合について説明する。医療機器を取り囲むように三脚に固定したビデオカメラを3台と、手持ちのデジタルビデオカメラ1台とで、医療機器実習風景を撮影した場合を想定する。三脚に固定したビデオカメラ3台は、望遠レンズでそれぞれ異なる部分を撮影し、常に撮影中であるとする。また、手持ちビデオカメラを操作する撮影者は、任意のタイミングで録画を開始または停止するという操作を繰り返し、かつ、撮影する被写体も随時自由に選択できるものとする。また、ビデオテープの最後まで撮影した場合には、新しいビデオテープに取り替えて撮影が継続されることもある。
【0049】
ここで、手持ちビデオカメラをビデオカメラA、三脚に固定されたビデオカメラをそれぞれビデオカメラB、ビデオカメラC、ビデオカメラDと呼ぶこととする。そして、図6のように、ビデオカメラAに映っている実習者が(図6(a))、撮影時刻T1において、ビデオカメラBに映っているボタンを押した時(図6(b))、ビデオカメラCに映っているノズルから水が噴出したと仮定する(図6(c))。ただし、このボタンは、ビデオカメラDに映っている印刷装置にはまったく影響を与えず、ビデオカメラDに映っている印刷装置は全く動作しなかったとする。4台のビデオカメラで撮影した映像は、それぞれ、ビデオテープA、ビデオテープB、ビデオテープC、ビデオテープDに記録される。そして、これらを実施の形態1同様、DVキャプチャして、それぞれ、動画ファイルA、動画ファイルB、動画ファイルC、動画ファイルDが、PC上の映像蓄積部に作成される。なお、撮影日時情報は、動画ファイルの各動画フレームに約1/30秒単位の精度で記録されているため、これら撮影時刻情報も映像蓄積部に蓄積されていると言える。
【0050】
次に、映像を再生する際、メイン映像として再生すべき動画ファイルを、ファイルダイアログやドラックアンドドロップ等で指定する。ここで、手持ちビデオカメラ撮影した動画ファイルAをメイン映像として指定した場合には、動画再生部(図5)の左側のパネルに動画ファイルAの映像が再生表示される。この時、動画ファイルAが撮影時刻T1の映像を再生した際には、システムが、撮影時刻T1に撮影された他の映像(動画ファイルB、動画ファイルC、および、動画ファイルDの映像)が映像蓄積部に蓄積されていることを検出し、さらに、この検出された映像の中から、映像中に物体の動きが認められた映像(動画ファイルB、および、動画ファイルCの映像)だけを右側のパネルに同時再生する。すなわち、この実施例の場合には、動画ファイルAと、動画ファイルBと、動画ファイルCとは同期して再生されるが、動画ファイルDに関しては、前記ボタン操作によって映像中に動きが生じないために同期再生対象とはならない。
【0051】
また、映像中の物体に動きがあるかどうかを判定する方法としては、監視カメラ等で一般的に用いられている動き検出手法を用いることができる。例えば、一つ前の動画フレームと現在の動画フレームとの間で同一座標近傍における輝度情報の変化を比較し、変化量の総計が所定の値以上であった場合に動きを検出したと判定する。これによって、動画ファイルAに映っている実習者の操作映像と、動画ファイルBに映っているボタンの拡大映像と動画ファイルCに映っているノズルの拡大映像とが連動して動作している様子が同時再生でき、かつ、不要な動画ファイルDの映像は再生を省くことができる。
【0052】
また、図7のように、機器の全体像をデジタルカメラで静止画撮影し、この撮影した静止画をHTMLのクリッカブルイメージマップ機能等を用いてハイパーリンク化する際には、静止画中のボタン、ノズル、印刷装置の画像をリンクアンカーとし、それぞれのリンク先を動画ファイルB、動画ファイルC、動画ファイルDとするように構成することができる。この場合、静止画中のボタン部分をクリックした場合に、動画ファイルBと、それに連動して再生すべき動画ファイルCのノズル映像とを、同一撮影時刻映像が同一タイミングで出力されるようにして再生する。この場合には、どの部分とどの部分が連動して動いたかを図示できて便利である。
【0053】
前記実施例2と同様に、この発明の適用範囲は映像を再生することにとどまらず、例えば、映像再生部は、ピクチャインピクチャ等の方法で複数の映像を合成し、その映像を再生、または、保存するように構成してもよい。また、映像再生部が映像転送機能を備え、遠隔地に出力映像を伝送するように構成してもよい。
【0054】
また、この実施例では、メイン映像として再生すべき動画ファイルをユーザが明示的に指定しこれを再生するように構成したが、映像蓄積部に蓄積された複数の映像または音声から、撮影時刻が一致し、かつ、所定の条件に一致する映像または音声を検出し、ユーザに示す映像検索装置として構成してもよい。
【0055】
【実施例4】
実施例4は、ユーザが指定した画像中のオブジェクトまたはユーザの注目点に応じて動画の再生箇所を変える場合であり、さらに、画像中のオブジェクトやカメラワークがどのように動くかを予め画像中に表示する例である。また、オブジェクトまたはカメラの動く軌跡が画像中に示され、ユーザがその軌跡のある箇所を選択した時に、その選択箇所に対応した映像または静止画を再生する場合であり、この再生の際、複数ビデオカメラによって撮影された動画または静止画を、同一撮影時刻の映像が同一タイミングで再生されるようにして再生する例である。
【0056】
また実施例4は、実施例2と同様に、複数人が各自のデジタルビデオカメラでサッカーゲームを撮影した場合の例であり、サッカーフィールドを取り囲むようにビデオ撮影者が位置している。撮影者各自は、任意のタイミングで録画を開始または停止するという操作を繰り返す。また、ある人はビデオカメラを三脚に固定して撮影し、ある人はビデオカメラを手持ちで移動しながら撮影する。さらに、撮影者各自は、必ずしも同一被写体を撮影するのではなく、撮影する被写体も撮影者各自が自由に決定できるものとする。
【0057】
ここで、あるサッカー選手がシュートを打った瞬間T1において、撮影者Aと撮影者Bはシュートを放った選手およびボールを撮影し、撮影者Cはゴールキーパーを撮影し、撮影者Dはビデオカメラを停止させていたという場合を例に説明する。また、実施例2と同様、各撮影者が撮影した映像はDVキャプチャされ、それぞれ、動画ファイルA、動画ファイルB、動画ファイルC、動画ファイルDとしてPC上の映像蓄積部に蓄積されたとする。
【0058】
前記実施例2では、メイン映像として動画ファイルAが指定された場合に、動画ファイルA、動画ファイルB、および、動画ファイルCの再生を即座に開始したが、実施例4の場合には、即座に再生開始する代わりに、グラフィカルなユーザインタフェースを提供して再生開始箇所をユーザに選択させる。
【0059】
例えば、動画ファイルAに、選手がシュートしたボールが数秒間(時刻T1から時刻T2)に渡って撮影されていたとする。この時、この時刻T1から時刻T2までのボールの軌跡(XY座標)を手動または自動で検出する。そして、各画像フレーム識別子と、各画像フレームにおけるボール座標とは対応付けられて、軌跡情報蓄積部に蓄積される。なおボール座標の検出に関し、手動検出の場合は、1画像フレーム毎、または、数画像フレーム毎にユーザがボールの位置をマウスでクリックし、ボールの座標をシステムに手入力するように構成できる。また、自動検出の場合は、監視カメラシステム等で提案されている画像処理物体追尾技術を用いることができ、例えば、時刻T1時点の画像フレームのボールの座標をユーザがマウスでクリックして指定すると、時刻T1から時刻T2までの残りの画像フレームに対して、ボール座標近傍の輝度分布パターンの平行移動を自動検出し、ボールの座標を自動検出するようにする。
【0060】
次に、システムは、図8に示すような見せ方で、前記検出したボールの軌跡を、動画ファイルAの撮影時刻T1時点の静止画像にオーバーレイ表示する。ここで、オーバーレイ表示する軌跡は、ボールの軌跡をスムージングして滑らかにした軌跡であってもよい。そして、図6のように、この時刻T1時点の静止画像上で、ユーザがボールの軌跡をマウスでなぞった(マウスポインタがボールの軌跡に触れた)場合に、マウスポインタによって示されたボール軌跡の座標点に対応して軌跡情報蓄積部に蓄積されている画像フレーム識別子を検出し、その画像フレーム識別子に対応した画像フレームが撮影された撮影時刻T3を特定する。
【0061】
そしてシステムは、動画ファイルAの中の、撮影時刻T3時点の画像フレームを表示する。さらにシステムが、時刻T3に撮影された映像が他の動画ファイルに記録されていることを検出した場合には、その検出した画像フレームを併せて同時表示する。この実施例の場合は、動画ファイルBおよび動画ファイルCの中からT3時点に撮影された画像フレームを検出して同時表示する。また、マウスがクリックされた場合には、そのマウスポインタの座標に対応した画像フレームから動画ファイルAを再生開始すると共に、動画ファイルAに同期して再生されるべき動画ファイルBおよび動画ファイルCを、同一撮影時刻部分が同一タイミングで再生されるようにして出力する。
【0062】
なお、動画ファイルBまたは動画ファイルCのT3時点の画像フレームを表示する際には、動画ファイルBまたは動画ファイルCに撮影されているボールの軌跡を、それぞれ動画ファイルBまたは動画ファイルCにオーバーレイ表示するように構成してもよい。このボール軌跡を自動検出にも、前述した監視カメラシステムの画像処理物体追尾技術を用いることができる。すなわち、動画ファイルA中の注目点の軌跡にマウスカーソルが触れた時に、動画ファイルBおよび動画ファイルCにも注目点の軌跡を自動表示するようにする。また、ユーザが動画ファイルBまたは動画ファイルCの軌跡上の座標を選択した場合には、選択した座標に対応した撮影時刻の映像を再生できるようにしてもよい。
【0063】
また、T1からT2までの軌跡がオーバーレイされる静止画像フレームとしては、必ずしもT1時点の画像フレームである必要はなく、T1からT2までの任意の画像フレームであっても構わないし、T1からT2までに含まれない時点の画像フレームであってもよい。また、軌跡をオーバーレイする対象としては、静止画像フレームである必要はなく、動画像にオーバーレイ表示するようにしてもよい。この場合は、所定時間にわたって動画像中に軌跡が表示されるようにする。
【0064】
さらに、T1からT2までの軌跡をオーバーレイする画像フレームとしては、必ずしも動画ファイルAから抽出された画像フレームである必要はなく、別途撮影した画像フレームであってもよい。例えば、サッカーゲームの中で、時刻TRにおいてゴール右方向にシュートが蹴られ、時刻TLにおいてゴール左方向にシュートが蹴られたとする。ゴールネット裏の固定されたビデオカメラAにおいて両方のシュートを撮影した時に、TR時点から同シュートが入るまでの瞬間の軌跡と、TL時点から同シュートが入るまでの瞬間の軌跡とを、同位置からデジタルカメラで静止画撮影した画像フレーム上に図9のようにオーバーレイ表示する。この場合、デジタルカメラで撮影した静止画上の、TR時点からのシュートボールの軌跡をマウスでなぞった場合には、動画ファイルAのTR時点から記録されている右方向に蹴られたシュートシーンが再生され、TL時点からのシュートボールの軌跡をマウスでなぞった場合には、動画ファイルAのTL時点から記録されている左方向に蹴られたシュートシーンの再生がされるようにする。
【0065】
また、注目点としては、必ずしも映像中の物体である必要はなく、ビデオカメラのパン、チルト、ズームなどのカメラワークであってもよい。例えば、三脚に固定されたビデオカメラを撮影しながらゆっくり下方向にチルトさせた時点TDと、ゆっくり上方向にチルトさせた時点TUとを手動または自動で検出して、その情報を軌跡情報蓄積部に蓄積する。そしてこの検出結果に基づいて、図10のように、静止画に上矢印と、下矢印を静止画像上にオーバーレイして表示し、ユーザが下矢印をなぞった場合には、撮影時刻TDからの映像を再生し、上矢印をなぞった場合には、撮影時刻TUからの映像を再生するようにする。前記矢印は、必ずしも映像中に表示される必要はなく、映像の枠外に描画されるようにしてもよい。また、なぞっている箇所に応じて映像の再生箇所を画像フレーム単位で細かく時間制御することが望ましい。カメラワークを自動で検出する場合は、従来のビデオカメラの手ぶれ補正装置で用いられているような画像処理に基づいたカメラワーク認識技術を用いるか、または、ビデオカメラの台座に取り付けられた傾きセンサーおよび方向センサーからの情報を利用できる。
【0066】
機器の操作を学習するための映像コンテンツ作成に関して、どのボタンを押せばどのような動作が起きるかというのをわかりやすく映像で説明したいというニーズがある。この発明のように構成することで、ユーザは、ある特定座標範囲をクリックした際にどのような映像が再生されるのかをあらかじめ推測できるようになり、これによって、その特定座標範囲をクリックする必要があるかないかを素早く判断できるようになるという効果がある。
【0067】
【発明の効果】
この発明によれば、同一対象物を複数の異なる方向(距離)から撮影し、これを時刻軸を一定にして蓄積するので、同時刻の複数映像を同時に再生することができる効果がある。
【0068】
従って、正面、側面、背面などの映像を同時に見て理解することができると共に、全体と、詳細を同時に見ることができる効果がある。
【0069】
従って、各種産業に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例のブロック図。
【図2】同じく再生映像の一例を示す図で、(a)、(b)、(c)、(d)、(x)は夫々メイン映像になった実施例の一例を示す。
【図3】この発明の実施例2であって、サッカーを撮影する場合の実施例の概念図。
【図4】同じくサッカーにおいてシュートを打った瞬間を示す概念図。
【図5】同じく再生時の実施例の説明図。
【図6】同じく動作と結果を示す実施例の説明図。
【図7】同じく動作のリンクを示す実施例の説明図。
【図8】同じく移動時の方向性を示す実施例の説明図。
【図9】同じく移動時の方向性を示す実施例の説明図。
【図10】同じく時間制御の説明図。
【符号の説明】
A、B、C、D、Xは、各場面の撮影者を示す。
a、b、c、d、xは、各場面における各撮影者の撮った映像を示す。

Claims (18)

  1. 同一場面の対象物を複数方向から撮影・録音し、夫々の映像及び音声を同一時刻毎に蓄積すると共に、同一時刻毎に複数映像として出力し、再生することを特徴とした同時複数映像の蓄積・再生方法。
  2. 撮影は日時の記録ができるタイプのビデオカメラを使用することを特徴とした請求項1記載の同時複数映像の蓄積・再生方法。
  3. 蓄積は、複数のビデオカメラにより異なる方向・距離から撮影されて得た夫々のビデオテープに、撮影された映像がデジタルビデオキャプチャされてパーソナルコンピュータの動画ファイルとして保存されることを特徴とした請求項1記載の同時複数映像の蓄積・再生方法。
  4. 蓄積された映像は、メイン映像、サブ映像として複数映像を同時刻毎に出力させることを特徴とした請求項1記載の同時複数映像の蓄積・再生方法。
  5. 映像又は音声に撮影時刻を対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致する映像又は音声の検出手段と、該検出手段により同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像音声再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  6. 映像又は音声に撮影時刻を対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された撮影・録音時刻に基づいてカットを検出し、カット撮影時刻情報を蓄積するカット撮影時刻情報蓄積手段と、前記映像蓄積手段により蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記カット撮影時刻情報蓄積手段に蓄積されたカット撮影時刻情報が一致する映像又は音声の検出手段と、該検出手段により同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像の録音再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  7. 映像再生手段は、蓄積手段に蓄積された複数の映像・録音のうち、前記蓄積手段に蓄積された撮影録音時刻が一致する映像を検出して、撮影した時刻が同一になるようにシンクロさせて同時に出力する場合に、前記蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致する音声を一つだけ選定して、前記複数の映像と撮影時刻をシンクロさせて再生することを特徴とした請求項5又は6記載の同時複数映像の蓄積・再生装置。
  8. 蓄積手段は、デジタル映像と、該デジタル映像に記録された撮影時刻とを磁気ディスク又は光磁気ディスクに蓄積したことを特徴とする請求項5又は6記載の同時複数映像の蓄積・再生装置。
  9. 映像検出手段は、蓄積手段に蓄積された複数のデジタル映像のうち、前記映像蓄積手段により蓄積された撮影時刻が一致するデジタル映像を検出したことを特徴とする請求項5又は6記載の同時複数映像の蓄積・再生装置。
  10. 映像の録音再生手段は、映像検出手段により検出された同一撮影時刻のデジタル映像と、録音とを同一タイミングで出力することを特徴とした請求項5又は6記載の同時複数映像の蓄積・再生装置。
  11. 映像又は音声を蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段により蓄積された映像又は音声を解析して、撮影時刻の同じ映像又は音声を検出する同時撮影の映像検出手段と、前記映像蓄積手段により蓄積された複数の映像又は音声のうち、同時撮影の映像検出手段の検出結果に基づいて、撮影時刻が一致する映像又は音声を検出して、同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・映像再生装置。
  12. 映像又は音声を入力する映像入力手段と、該映像入力手段に映像又は音声が入力された撮影時刻を計時する計時手段と、前記映像入力手段から入力される映像又は音声と、前記計時手段によって計時された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記計時手段によって計時された撮影時刻が一致する映像又は音声の検出手段と、同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  13. 映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致し、かつ、ユーザが指定した所定の条件に一致する映像又は音声の検出手段と、同一撮影時刻の映像又は音声を、同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  14. 映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数の映像又は音声のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致し、かつ、映像中に所定の動きがあると判定された映像又は音声の検出手段と、同一撮影時刻の映像又は音声を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  15. デジタル映像と、該デジタル映像に記録された撮影時刻とを磁気ディスク又は光磁気ディスクに蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された複数のデジタル映像のうち、前記映像蓄積手段に蓄積された撮影時刻が一致し、かつ、映像中に所定の動きがあると判定された映像の検出手段と、同一撮影時刻のデジタル映像を同一タイミングで出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  16. 映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された映像の中の画像フレーム上の座標を指定する注目点指定手段と、該注目点指定手段によって指定された画像フレーム上の座標と、この画像フレームの撮影時刻とを対応付けて蓄積する軌跡蓄積手段と、該軌跡蓄積手段に蓄積された座標に関する情報を画像に重ねて表示する軌跡表示手段と、該軌跡表示手段によって表示された座標に関する情報をユーザが選択した場合に、前記映像蓄積手段に蓄積された映像又は音声を、前記選択された座標と対応して前記軌跡蓄積手段に蓄積された撮影時刻から出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  17. 映像又は音声と、この映像又は音声が撮影された撮影時刻とを対応付けて蓄積する映像蓄積手段と、該映像蓄積手段に蓄積された映像の中の画像フレームのカメラワークを指定する注目点指定手段と、該注目点指定手段によって指定された画像フレーム上のカメラワークと、この画像フレームの撮影時刻とを対応付けて蓄積する軌跡蓄積手段と、該軌跡蓄積手段に蓄積されたカメラワークに関する情報を画像に重ねて表示する軌跡表示手段と、該軌跡表示手段によって表示されたカメラワークに関する情報をユーザが選択した場合に、前記映像蓄積手段に蓄積された映像又は音声を、前記選択されたカメラワークと対応して、前記軌跡蓄積手段に蓄積された撮影時刻から出力する映像再生手段とを備えたことを特徴とする同時複数映像の蓄積・再生装置。
  18. 映像再生手段は、映像蓄積手段に蓄積された映像又は音声を、前記選択された座標と対応して前記軌跡蓄積手段に蓄積された撮影時刻から出力する場合に、前記再生する映像に前記軌跡蓄積手段に蓄積された複数の軌跡をオーバーレイして表示することを特徴とした請求項11乃至17の何れか1つに記載の同時複数映像の蓄積・再生装置。
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