JP2004172483A - 不揮発性メモリ及びこれを用いた多値記憶方法 - Google Patents

不揮発性メモリ及びこれを用いた多値記憶方法 Download PDF

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尚樹 脇谷
Kazuo Shinozaki
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Abstract

【課題】一つのメモリセルで3値以上の状態を記憶できる、新規な不揮発性メモリの記憶方法を提案すること、それを実現する不揮発性メモリを提供する。
【解決手段】強誘電体を含むゲート絶縁膜の分極状態に応じてソース−ドレイン間を流れるドレイン電流が変化する電界効果トランジスタを用いて、ドレイン電流の大きさに対応づけたディジタル情報を記憶する方法であって、磁界を印加することによりソース−ドレイン間を移動するキャリアに対し、第1の方向にローレンツ力を作用させた状態(I)と、第2の方向にローレンツ力を作用させた状態(II)と、ドレイン電流が実質的にゼロの状態(IV)との少なくとも3値を記憶することを特徴とする不揮発性メモリの記憶方法。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は強誘電体薄膜と強磁性体薄膜を利用した不揮発性の多値記憶トランジスタメモリに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体技術を利用した不揮発性メモリとして、強誘電体材料の自発分極を利用したFeRAM(Ferroelectric Randam Access Memory)が有名である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年では、FeRAMとは異なる形式の不揮発性メモリとして、強磁性体の磁気抵抗効果を利用したMRAM(Magnetic Randam Access Memory)なども注目されつつある(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−213899号公報
【特許文献2】
特開2002−314048号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現在実用化されているFeRAMは、従来のDRAMのコンデンサの部分を強誘電体キャパシタで置き換え、トランジスタ1つとキャパシタ1つで1つのセルを構成するいわゆる1T1C型タイプ(特許文献1)や、トランジスタとキャパシタを2個ずつ用いて1ビット(すなわち2値)を記憶する、いわゆる2T2C型が主流であり、セルサイズがDRAMよりと同程度もしくはそれ以上であり、かつ、従来のタイプでは、いずれも3値以上の記憶を行うことができない。
【0006】
また、現在開発中のMRAMは強磁性体の残留磁化を利用するものであり、強磁性体のスピンの状態を記憶するため、これも最大1ビット(2値)しか記憶できない。
【0007】
本発明は、一つのメモリセルで3値以上の状態を記憶できる、新規な不揮発性メモリの記憶方法を提案すること、及びそれを実現する不揮発性メモリを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本件の発明者たちは、ゲート絶縁膜が同じ分極状態であっても、ローレンツ力Fの方向が異なると、ドレイン−ソース間を流れるドレイン電流Iの大きさが異なることに着目し、これを多値メモリに応用できないものかと考えた。
【0009】
本発明に係る不揮発性メモリの記憶方法は、強誘電体を含むゲート絶縁膜の分極状態に応じてソース−ドレイン間を流れるドレイン電流が変化する電界効果トランジスタを用いて、ドレイン電流の大きさに対応づけたディジタル情報を記憶する方法であって、磁界を印加することによりソース−ドレイン間を移動するキャリアに対し、第1の方向にローレンツ力を作用させた状態(I)と、第2の方向にローレンツ力を作用させた状態(II)と、ドレイン電流が実質的にゼロの状態(IV)との少なくとも3値を記憶することを特徴とする。
【0010】
このような不揮発性メモリによれば、1つのトランジスタで少なくとも3つの状態を記憶することができる。
【0011】
さらに、ドレイン電流流れていてもローレンツ力を実質的に作用させない状態(III)を記憶するようにすれば、1つのトランジスタで4値を記憶することができる。
【0012】
この不揮発性メモリの記憶方法において、ソース−ドレイン間を移動するキャリアに印加する磁界は、強磁性体の残留磁界を利用して印加することができる。
【0013】
この場合、ゲート絶縁膜の近傍又はゲート絶縁膜の少なくとも一部に磁化用電極を配置しておき、この磁化用電極に電流を流すことによって磁界を発生させ、この磁界を用いて前記強磁性体を磁化してもよい。
【0014】
このようにすると、磁化用電極に流す電流によって強磁性体の磁化方向を制御することができる。たとえば、プラス5Vの直流電圧を印加して電流を流す場合とマイナス5Vの直流電圧を印加して電流を流した場合というように、大きさが同じで方向が正反対の直流電圧を印加すれば、残留磁界の方向が互いに正反対の方向に向かうことになり、ドレイン電流の大きさの変化が大きくなる。
【0015】
あるいは、交流や時間的に不規則な波形の電圧など直流以外の電圧を印加すれば、強磁性体が不規則な方向に磁化されるので、ローレンツ力があまり作用しなくなる状態を作り出すことができる。
【0016】
本発明に係る第1の不揮発性メモリは、半導体層を含む基板1の表面近傍にソース領域2とドレイン領域3とを備えていると共に前記ソース領域及びドレイン領域の間の前記基板1の上部に少なくとも強誘電体膜4と強磁性体膜5aとを含む積層構造を備えたゲート絶縁膜を備えていることを特徴とする。
【0017】
なお、強誘電体膜4と強磁性体膜5との積層順序はいずれでもよく、基板1や強磁性体膜4、強誘電体膜5aの間にバッファー層が設けられていてもよい。積層膜とせず、混合して加圧成形する方法も考えられるが、そのような方法では、強磁性体膜及び強誘電体膜の特性や信頼性が損なわれるおそれがあるので、強誘電体膜と強磁性体膜とは、積層構造をなすように形成することが好ましい。
【0018】
また、ゲート絶縁膜の少なくとも一部に磁化用電極7aをなす導電層を備えていてもよい。電源を含む外部回路から磁化用電極7aに電流が流れるようにすることにより強磁性体膜5aを磁化することができる。
【0019】
この場合、磁化用電極7はゲート電極6と共通の部材を用いると共に、この電極がスイッチSWに接続されているように構成してもよい。こうすると、スイッチSWをオンにして電源を含む外部回路から磁化用電極7に電流が流れるようにすることにより強磁性体膜5を磁化することができるからである。
【0020】
また、スイッチSWをオフにして磁化用電極7に電流が流れない状態でゲート電極に電圧を印加することにより強誘電体膜4を分極することができる。また、このように電極を共通化した分だけデバイス構造が単純化される。
【0021】
本発明に係る第2の不揮発性メモリは、半導体層を含む基板1の表面近傍にソース領域2とドレイン領域3とを備えていると共に前記ソース領域及びドレイン領域の間の前記基板1の上部に少なくとも強誘電体膜を含むゲート絶縁膜を備えており、さらに強磁性体5bと磁化用電極7bと電源回路8とを備えた磁気発生手段が前記ゲート絶縁膜の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0022】
このように、外部に設けた強磁性体による外部磁界からソース−ドレイン間を移動するキャリアにローレンツ力を作用させるような構成にしても、多値記憶メモリーとして動作する。
【0023】
その場合、磁気発生手段は、ギャップをもつ1つの磁気回路としてもよい。より具体的には、例えば磁化用電極7bは、前記強磁性体の上部に2本の直線状又はL字状に構成し、ギャップ部分に発生する磁界が強めあうようにするとよい。
【0024】
また、ソース−ドレイン間を横切るように強磁性体5cを2つ対向して設置し、それぞれの強磁性体上に磁化用電極7cを設けてもよい。磁化用電極に電流が流れると対向する強磁性体間に磁界が発生するので、ソース−ドレイン間を移動するキャリアにこの磁界を印加してローレンツ力を作用させ、ドレイン電流の大きさを制御することができるからである。
【0025】
本発明に係る不揮発性メモリ用トランジスタは、基板上に形成された第1のバッファー層と、第1のバッファー層の上層に形成された強磁性体膜又は強誘電体膜と、その上層に形成された第2のバッファー層と、第2のバッファー層の上層に形成された強誘電体膜又は強磁性体膜とからなる積層構造を備えていることを特徴とする。
【0026】
この場合、前記第1のバッファー層がCeO膜及びY−ZrO(以下、「YSZ」と略称することもある。)膜を含むことが好ましい。シリコンなどの半導体層を含む基板上にYSZを堆積すると極めて結晶同士の整合性がよいため、CeO及びYSZを基板上に形成すると、その上に強磁性体膜や強誘電体膜などの膜を成膜した際の、結晶性が向上するためである。
【0027】
特に、第1又は第2のバッファー層の上層が強磁性体膜である場合、この第1又は第2のバッファー層と強磁性体膜との界面に(Al(MgO)1−x(x=0〜1.0)(以下、「AM」と略称することもある。)膜をさらに含んでいるとよい。AM膜は強磁性体膜と結晶学的な相性がよく、界面に形成すると結晶性が一層向上するためである。
【0028】
また、第1又は第2のバッファー層の上層が強誘電体膜である場合、前記第1又は第2のバッファー層と強誘電体膜との間にSrTiO(以下、「ST」と略称することもある。)膜、BaTiO膜、SrO膜、TiO膜の少なくとも一つを含んでいるとよい。ペロブスカイト型構造の強誘電体を堆積する際に、これらの膜を下地層として例えば数nm程度堆積しておくと、強誘電体層の結晶性が向上するためである。
【0029】
この場合、前記SrTiO、BaTiO、SrO膜又はTiO膜と強誘電体膜との界面にLa1−xSrCoO(以下、「LSCO」と略称することもある。)膜をさらに含んでいてもよい。LSCO膜を設けておくと、この膜に電流を流すことによって上層又は下層にある強磁性体膜を磁化するための電極として用いることができるためである。なお、LSCO膜を堆積しても、結晶性は損なわれない。
【0030】
また、上記トランジスタにおける強磁性体膜は、鉄(Fe)を含有しマンガン(Mn)・ニッケル(Ni)・亜鉛(Zn)等の一部又は全部を含む酸化物のスピネル構造及びマグネトプランバイト構造を有するフェライト強磁性体を主成分とするガーネット構造、イルメナイト型、ルチル型及びアナターゼ構造を一部又は全部に有する金属強磁性体のいずれかに該当することが好ましい。これらの材料は、本発明に係るトランジスタの強磁性体膜として用いることができる。
【0031】
具体的には、(Ni,Zn)Fe、(Mn,Zn)Fe、Fe、Fe、BaFe1219、YFe12、FeTiO、Co−添加TiOなどが挙げられる。
【0032】
また、上記トランジスタにおける強誘電体膜は、鉛(Pb)を含有するペロブスカイト型構造を有する強誘電体、ビスマス(Bi)を含有するその構造中にペロブスカイト型の基本構造を含む強誘電体のいずれかに該当することが好ましい。これらの材料は、本発明に係るトランジスタの強誘電体膜として用いることができる。
【0033】
具体的には、PbTiO、Pb(Zr,Ti)O、BiTi12、SrBiTa、((Bi,La)Ti12)O、BaTiO、(Ba,Sr)TiOなどが挙げられる。
【0034】
以上説明した本発明に係るトランジスタの積層構造における各層の膜は、下地の基板又は膜に対して特定の配向関係をもって積層したエピタキシャル構造であるか、基板に垂直な特定の結晶軸が揃った膜が積層した共軸構造であるか又は多結晶構造であるか、又はそれらの組み合わせからなる構造を備えていることが好ましい。このような構成にすると、強磁性体膜の磁気特性及び強誘電体膜の分極特性が向上し、不揮発性メモリとしてこのトランジスタを用いた場合にその性能が向上するからである。
【0035】
本発明に係る不揮発性メモリ用トランジスタの製造方法は、シリコン基板上にレーザーアブレーション法又はスパッタリング法を用いてYSZ膜とCeO膜とAM膜とを連続的に堆積する工程と、(Ni,Zn)Fe(以下、「NZF」と略称することもある。)膜又は(Mn,Zn,Fe)Fe(以下、「MZF」と略称することもある。)膜を堆積する工程と、SrTiO(以下、「ST」と略称することもある。)膜を堆積する工程と、La1−xSrCoO膜を堆積する工程と、Pb(Zr,Ti)O(以下、「PZT」と略称することもある。)膜、BiTi12(以下、「BIT」と略称することもある。)膜、SrBiTa(以下、「SBT」と略称することもある。)又はBaTiO膜を堆積する工程とを含むことを特徴とする。
【0036】
或は、シリコン基板上にレーザーアブレーション法又はスパッタリング法を用いてY−ZrO膜とCeO膜と(Al(MgO)1−x(x=0〜1.0)膜とを連続的に堆積する工程と、その後、Fe、La1−xSrCoO膜及びPb(Zr,Ti)O膜を室温で成膜する工程とを含み、これらを成膜した後、ポストアニールによって結晶化させてもよい。
【0037】
一般的な電界効果型トランジスタの半導体プロセスと、これらの工程とを組み合わせることで、3値又は4値を記憶することができる不揮発性メモリ用トランジスタを製造することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(基本構造)
本発明に係る不揮発性メモリは、FET(電界効果型トランジスタ)のゲート絶縁膜に強誘電体薄膜と強磁性体薄膜とを積層した積層構造を採用している。
【0039】
本発明に係る不揮発性メモリは、現在実用化されているMOS型トランジスタにおけるシリコン酸化膜などからなるゲート絶縁膜を強誘電体薄膜で置き換えたいわゆるMFS(Metal Feroelectric Semiconductor)トランジスタのゲート絶縁膜部分を、さらに変形したものと位置づけることができる。
【0040】
MFSトランジスタを用いた1T型FeRAM(MFSトランジスタ1つで実現できる不揮発性メモリ)は、強誘電体を含むゲート絶縁膜の分極方向によってFETのソース−ドレイン電流のオン/オフ状態を2値制御することにより実現する。なお、本明細書において「MFSトランジスタ」という時は、バッファー層としてI層(絶縁膜層)やM層(金属層)が入った、MFIS型、MFMIS型なども含まれる。
【0041】
図1は、本発明の基本的概念を示した図である。図1(a)に示すように、この不揮発性メモリは、半導体層1の表面近傍にn型不純物を含むソース領域2及びドレイン領域3が形成され、ゲート絶縁膜として強誘電体薄膜4及び強磁性体薄膜5が積層され、ソース・ドレイン電極(S/D)及びゲート電極(G)を形成されてなる。
【0042】
或は、図1(b)に示すように、強誘電体薄膜4が上層で強磁性体薄膜5が下層となっていてもよい。これらはいずれも本発明の基本概念に含まれる。なお、この基本構造をもつ不揮発性メモリのことを本明細書では積層の順序にかかわらず、「F−Mメモリ」と呼ぶことにする。
【0043】
なお、後述するように、図1(a)又は(b)のように半導体基板の界面に強誘電体薄膜や強磁性体薄膜を直接形成しようとすると、接触する界面で相互拡散が生じたり種々の原因により特性が劣化するという問題が発生する。このため、必要に応じ、バッファー層や導電層などの中間層を形成することが極めて現実的である。もっとも、中間層なしで良好な界面特性が得られる技術が確立されれば、それらは省略でき、むしろ製造工程を簡略化する観点からはその方がより好ましい。
【0044】
さらに、図1(c)に示すように、従来のMFSトランジスタに対し、磁気回路等の外部磁界発生手段(不図示)を付加し、チャネルに対し垂直な方向(ゲート線に沿う方向)に磁界を発生させるようなものでもよい。
【0045】
(動作原理)
はじめに、基本的な動作原理について説明する。図2は、本発明に係るF−Mメモリの基本原理を説明するための図である。p型半導体層を有する基板上に、強誘電体薄膜4と強磁性体薄膜5が積層されたゲート絶縁膜と、ゲート電極(G)の両側にn型のソース及びドレイン拡散層が形成されたF−Mメモリを示している。説明を簡単にするため、ソース領域2及びドレイン領域3は簡略化して記載している。
【0046】
ゲート電極(G)に電圧を印加すると強誘電体薄膜4の分極状態が変化する。その結果、ゲート絶縁膜下の半導体層表面近傍のチャネル形成部分Aに反転層(チャネル)が形成される。この状態で、ソース−ドレイン間に電界を加えるとドレイン電流が流れる。なお、ゲート絶縁膜の分極は、強誘電体薄膜4の自発分極により、ゲート電圧への電圧を取り除いたあとも保持されるため、ドレイン電流を読み出すことにより、1ビットの非破壊不揮発性メモリとして動作する。これは、MFSトランジスタによる不揮発性メモリの基本的動作原理である。
【0047】
これに、強磁性体の残留磁界による状態を組み合わせると、1つのトランジスタで最大4つの状態を記憶できる不揮発性メモリができる。以下、それらについて説明する。
【0048】
−状態(I)−
今、強誘電体薄膜4の残留分極によって電界を印加しなくてもゲート電極側がマイナスに、基板側がプラスに分極(自発分極)している状態を考える。強誘電体薄膜4の分極状態は変化させないで、強磁性体薄膜5の磁化状態を反転させ、紙面に対し垂直かつ裏面から表面に向かう磁界を与える。このようなゲート絶縁膜の分極及び磁化状態を、状態(I)とする(図2(a))。
【0049】
状態(I)で、ソース−ドレイン間に電圧を印加して、ドレイン電流(ドレインからソースに流れる)を流すと、チャネル内を移動するキャリア(この場合は電子)にローレンツ力Fが働く。なお、ローレンツ力とは、いわゆるフレミング左手の法則により、磁界中を移動する電荷が受ける力のことであり、磁界の方向を左手の人差し指、電荷の移動方向を左手の中指に向けると、親指の方向に受ける力のことである。力の大きさFは、磁束密度(正確には余弦方向成分)と移動速度のベクトル積(外積)に電荷量を乗じたベクトルの大きさとなる。
【0050】
図2(a)の場合、電子は負の電荷を持ち、ソースからドレインに移動するので、ローレンツ力は鉛直上向き(図の矢印の方向)に働く。この時のドレイン電流をId(I)とする。
【0051】
−状態(II)−
次に、強磁性体薄膜5の磁化方向を反転させて、紙面に対し垂直かつ裏面から表面に向かう磁界を与える。このようなゲート絶縁膜の分極及び磁化状態を、状態(II)とする(図2(b))。
【0052】
この状態でドレイン電流を流すと、先ほどとは磁界の方向が正反対であるのでローレンツ力は鉛直下向き(図の矢印の方向)に働く。この時のドレイン電流Id(II)とする。
−状態(III)−
また、強誘電体薄膜4の分極状態は変化させないで、強磁性体薄膜5の磁化状態を変化させ、磁化方向がランダムな方向に向かうようにした状態にする。このようなゲート絶縁膜の分極及び磁化状態を、状態(III)とする(図3(a))。
【0053】
この状態でドレイン電流を流すと、ローレンツ力は様々な方向に向かうため、ローレンツ力も無秩序な方向に働く。この時のドレイン電流Id(III)とする。
【0054】
−状態(IV)−
ゲート絶縁膜の分極状態を変化させ、ドレイン電流が流れなくなるようにする。この場合、ゲート電極(G)に正の電圧を印加していくことにより、図3(b)の強誘電体薄膜4に示すように、ゲート絶縁膜の基板側に負の電荷(電子)が誘起される。その結果、トランジスタはいわゆる蓄積状態となり、磁化状態によらずゲート電流が流れにくくなる。このようなゲート絶縁膜の状態を、状態(IV)とする(図3(b))。
【0055】
本件発明者たちによる実験によると、ドレイン電流Id(I)乃至Id(IV)とを比較すると、常に以下の式(1)のような成立する。
d(I)>Id(III)>Id(II)>Id(IV)
(式1)
【0056】
ソース−ドレイン間に印加する電圧V[V]を横軸に、この時流れるドレイン電流I[A]を横軸にとると、ゲート電圧の分極状態によりIの大きさは大きく変化するが、グラフとしては概ね図4のようになる。
【0057】
このようにゲート絶縁膜の分極状態が全く同じでも、ドレイン電流の大きさが異なるのは、ローレンツ力Fによってチャネルの移動速度が変化するためと考えられる。従って、このトランジスタは1つで最大4値を保存できる不揮発性メモリとして機能することができる。
【0058】
なお、pチャネルFETの場合、ローレンツ力の方向が逆になるので状態(I)と状態(II)とでは不等号の向きが逆となるが、本発明は当然にそれらを含むものである。
【0059】
但し、ランダムな磁化状態におけるドレイン電流の大きさId(III)は、Id(I)とId(II)との中間的な値となるため、残留磁化の大きさ等により、判別しにくい場合もありうる。そのような場合、状態(III)を無視して3値の不揮発性メモリとして利用してもよい。
【0060】
(磁化用電極の形状について)
本発明に係るF−Mメモリの基本原理は以上のとおりであるが、メモリデバイスとして実際に動作させることを考えると、強磁性体薄膜5の磁化方向を制御することは意外と困難である。
【0061】
なぜなら、ドレイン電流が磁化方向によりどのような変化を示すかという問題は、ゲート絶縁膜を挟みこむように永久磁石などを置き、外部磁界で実験することができるが、デバイスとして機能させる場合、電磁石を組み込んで電流により磁化方向をデバイス内部で変化できるようにする必要があるためである。
【0062】
このため、本発明では、磁性体薄膜5の配置やこれを磁化するための電極(以下、「磁化用電極」という。)を設け、その形状などを工夫している。磁化用電極は大きく分けて、積層型と磁気回路型と対向型との3つに分類される。なお、磁化用電極は電流を流すために用いるので正確には磁化用電線というべきであるが、便宜上、本明細書では敢えて磁化用電極という呼び方を用いる。
【0063】
−積層型−
直線状に直流電流が流れると右ねじの方向に電界が発生する。積層型とはこれを利用するものである。具体的には、強磁性体薄膜の近傍に直線状の電線を設け、これに電流を流すことで磁界を発生させ、強磁性体薄膜を磁化する方式である。
【0064】
具体的には、例えば図5(a)に示すように、基板上に、強磁性体薄膜5と磁化用電極7と強誘電体薄膜4と強誘電体分極用電極6(ゲート電極G)を設けてなる。但し、この例では、バッファー層等を省略しているが、後述する実施例のように実際にはバッファー層等が必要となる。
【0065】
強磁性体薄膜5を磁化する場合、磁化用電極に図のように電流を流す。図5(a)の例では、VDDに正の電圧を印加して右向きに電流を流すと磁化用電極の下側に強磁性体薄膜5が存在することになるので、図2(a)と同様の紙面表面から裏面に向かう方向の磁界が発生する。これと逆方向に電流を流すと、図2(b)と同様の紙面裏面から表面に向かう方向の磁界が発生する。
【0066】
なお、磁化用電極7は細長い電線状のものであってもよい。また、図5(b)に示すように、磁化用電極と強誘電体分極用電極7とを共通化し、磁化と分極とをスイッチSWで切り替えるように変形してもよい。
【0067】
−磁気回路型−
例えばコの路型の磁気回路に磁界を発生させるとギャップ部分に強い磁界が発生する。磁気回路型とはこれを利用するものである。具体的には、図6(a)に示すように、強磁性体薄膜を周囲を残してコの字型に加工し、磁化用電極7bを形成する。電極のパターンは種々考えられるが、基本的にはギャップのある磁気回路をゲート部分に発生させる方式である。
【0068】
このコ字型の磁気回路をゲート部分に組み込み、チャネルに垂直な方向に磁界を発生させる。図6(a)に示すように、電流を流すとギャップ部分に図の破線矢印で示したような磁界が発生する。この方式はいわば外部磁界発生回路を図1(c)のようなMFSトランジスタのゲート部分に組み込んだものということができる。
【0069】
−対向型−
外部磁界を発生する点では磁気回路型と同様であるが、2つの強磁性体を対向して並べるという意味で上述の磁気回路とは若干異なるため、このような形式を対向型と呼ぶことにする。
【0070】
この方式は、チャネルを移動するキャリアにローレンツ力が働くように対向する強磁性体の間に磁界を発生させる。例えば、図6(b)のような磁化用電極7cを対向して設置する。なお、この図では誘電体分極用電極及びゲート電極は省略している。
【0071】
磁化用電極7cに図のように同じ方向に電流を流すと対向部分に磁界が発生し、これがチャネルを走行するキャリアにローレンツ力を及ぼす。
【0072】
ところで、上述のように実際にこのメモリデバイスを製造するためには、界面制御等のためのバッファー層や導電層が必要となり、そのバリエーションは数多くのものが考えられる。とりわけ、ゲート絶縁膜の積層構造が特に重要であるため、積層構造の具体例を中心に、以下実施例を用いてそれらについて具体的に説明する。
【0073】
【実施例】
(第1の実施例)
−デバイスの構造−
はじめに、以下に説明する方法により、図7(a)に示すような積層構造を形成する。この例は、基本的には、「上部電極/強誘電体/導電層/第2のバッファー層/強磁性体/第1のバッファー層」という組み合わせであり、各材量及び膜厚等は実際に試作した一例を示したものである。
【0074】
あらかじめ抵抗率:10Ωcmの半導体層を含む基板、例えばp型シリコン(100)基板20の表面に酸化膜を形成しておき、成膜の直前にフッ酸等で除去する。
【0075】
次に、この基板20の上にバッファー層21、22として、例えばイットリア添加ジルコニアYSZ[Y−ZrO]を基板温度800℃で7.0nm堆積し、引き続き同じ温度で酸化セリウム[CeO]を15nm堆積する。
【0076】
YSZ及びCeOはいずれも蛍石構造の結晶構造をもつ絶縁体材料であり、下地のSi基板の結晶配向性を引き継いでエピタキシャル成長する。なお、YSZとCeOの成膜はレーザーアブレーション法によって連続的に行い、成膜時間はいずれも1分間とした。
【0077】
次に、バッファー層23として、例えばAM[(Al(MgO)1−x(x=0〜1.0)]を基板温度は800℃で10.0nm堆積する。AMは岩塩型の結晶構造をもつ絶縁体材料であり、上層に形成する強誘電体材料のバッファー層である。AMの成膜は、レーザーアブレーション法を用い、成膜時間を1分間とした。
【0078】
次に、強磁性体材料24としてNZF[(Ni,Zn)Fe]を基板温度600℃で100nm堆積する。NZFの成膜はレーザーアブレーション法を用い、成膜時間は20分間とした。
【0079】
次に、バッファー層25として、例えばST[SrTiO]を約2nm堆積する。基板温度800℃、成膜時間は15秒間とした。
【0080】
次に、磁化用電極26として、例えば導電部材であるランタンストロンチウムコバルト酸化膜LSCO[La1−xSrCoO]を基板温度600℃で100nm堆積する。LSCOの成膜は、レーザーアブレーション法を用い、成膜時間は20分間とした。
【0081】
LSCOは磁化用電極として機能するものであり、チャネルに平行な向きに電流を流すことで、強磁性体薄膜(NZF)を磁化する。このため、デバイス作成時にはLSCOは電流を流すための電極を引き出すような構造としてもよい。
【0082】
次に、強誘電体材料27として、例えばPZT[Pb(Zr,Ti)O]を基板温度600℃で200nm堆積する。PZTの成膜は、レーザーアブレーション法を用い、成膜時間30分間、成膜時の酸素分圧約30Pa(220mTorr)とした。
【0083】
さらに、以上のゲート絶縁膜30を覆うように、上部電極として、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて白金28[Pt]を室温で成膜した。この上部電極はゲート電極であり、同時に強誘電体薄膜(PZT)の分極用電極となる。
【0084】
ゲート電極30の成膜にはすべてレーザーアブレーション法を用いたが、CVD法、スパッタリング法など他の成膜方法を用いてもよい。また、成膜条件(基板温度、成膜時間、膜厚等)は実際に実験した値を示したものであり、これらは成膜方法その他装置の条件等により適宜変更可能である。上部電極についても同様である。
【0085】
なお、全てのゲート絶縁膜は下地のSi基板に対してエピタキシャルの方位をもって成長していることが好ましい。実験で試作したものをX線回折法により測定したところ、すべての膜がエピタキシャル成長していることが確認された。
【0086】
以上の成膜方法と、通常のリソグラフィー法、エッチング、イオン注入等、通常のMOSトランジスタ製造に用いられる半導体プロセスによって、図7(b)及び図7(c)に示すようなデバイスを製造する。実験では図8に示す条件のウエットエッチングを用いたがドライエッチングでも構わない。
【0087】
電極形状の微細加工は、実験ではリフトオフプロセスを用いた。ゲート幅は10μm及び100μm、ゲート長は0.8μm〜300μmまで7段階変化させ、それぞれの組み合わせのトランジスタを試作した。
【0088】
図7(b)はデバイスの上面図であり、図7(c)は図7(b)のAA’で切ったデバイスの断面図である。p型シリコン基板20の表面近傍にn型ソース領域32及びn型ドレイン領域33、素子分離絶縁膜34、NSG等の層間絶縁膜35、ポリシリコンなどの導電部材からなる電極乃至配線36、38などが形成されている。
【0089】
なお、デバイスの構造に関しては、既存の半導体プロセスを活用すれば様々な実施例が考えられる。製造工程の順序や条件等が本明細書の実施例と異なっていても構わない。また、nチャネル型FETを説明したがpチャネル型でもよい。それらの変更に伴うデバイス構造及び製造プロセスの変更は当業者が適宜設計できる事項である。
【0090】
−デバイスの動作について−
図7(c)において、電極26aから26bに電流を流すと、磁化用電極の周りに環状の磁界が発生し、その結果、チャネルに垂直な方向に強磁性体が磁化され、電流の向きによって磁化方向を制御できる。
【0091】
はじめに、作成したトランジスタの一つについて、強誘電体分極用電極(ゲート電極28)に6Vを印加した時のゲートリーク電流の値を測定したところ、5X10−8A/cmであった。
【0092】
この試作デバイスを半導体パラメーター測定装置に設置し、強誘電体27に+5Vの電圧を印加してゲートを閉じる側(蓄積側)に分極したところ、ドレイン電圧を10V印加してもドレイン電流は0.1nA以下であった。
【0093】
次に、磁化用電極26aから26bの方向に直流の磁化用電流を流すことで、強磁性体薄膜24を磁化した後、磁化用電流を停止した。この状態で、−5Vを印加してゲートを開く側(空乏側)に分極すると、ドレイン電圧5Vで、ドレイン電流が600μA流れた。
【0094】
次に、磁化用電極26bから26aの方向に直流の磁化用電流を流すことで、強磁性体薄膜24を磁化した後、磁化用電流を停止した。この状態で、−5Vを印加してドレイン電流を測定すると、560μAとなり、先ほどより約7%減少した。
【0095】
このことから、このFETはこのトランジスタは、一つのトランジスタで構成されるメモリセルで、少なくとも3つの状態を記憶できる不揮発性メモリとして動作することが確認された。
【0096】
さらに、磁化用電極26aと26bに交流或はランダムな大きさ及び方向の磁化用電流を流すと、強磁性体薄膜24の磁化方向はランダムとなりドレイン電流は中間的な値となる。この状態を加えると、最高で4値(2ビット)の不揮発性メモリを実現することができる。
【0097】
ただし、読み出しエラー等の観点から、ドレイン電流の値の変化が再現性よく、かつ顕著な差となって現れるようなデバイス構成にすることが必要である。
【0098】
(第1の実施例の変形例)
−その1−
第1の実施例におけるバッファー層ST25の代わりに、BaTiO(10nm)、或は、SrO(0.2nm)或は、TiO(0.2nm)と置き換え、その他はすべて図7と同様の構造のF−Mメモリを試作したところ、いずれのデバイスも良好に3値の不揮発性メモリとして動作した。
【0099】
−その2−
第1の実施例における強誘電体層27としてPZTの代わりにBIT[BiTi12]をレーザーアブレーション法により成膜した。このときの成膜条件は、基板温度700℃、酸素分圧26Pa(200mTorr)の雰囲気とした。BIT薄膜は多結晶膜であった。BITはPZTより比誘電率が小さいため、PZTよりも効率よく電界が強誘電体層に印加することができ、分極制御のために印加するゲート電極を小さくすることができた。
【0100】
また、BITに代えて、強誘電体層にSBT[SrBiTa]を用いても、良好な動作特性を示した。このときの成膜条件は、基板温度700℃、酸素分圧26Paとした。SBTもBITと同様に比誘電率が小さいため、PZTよりも効率よく電界が強誘電体層に印加することができ、分極制御のために印加するゲート電極を小さくすることができた。
【0101】
さらに、BITに代えて、強誘電体層にBaTiOを用いても、良好な動作特性を示した。このときの成膜条件は、基板温度700℃、酸素分圧26Paとした。このようにしても、多値メモリーとしてデバイスが正しく動作した。
【0102】
(第2の実施例)
実施例1における強誘電体層27としてPZTの代わりにBLT[((Bi,La)Ti12)O]を、強磁性体層24としてNZFの代わりにMZF[(Mn,Zn,Fe)Fe]を、いずれもレーザーアブレーション法により成膜した。成膜条件は、BLTについては、成膜温度は700℃、酸素分圧26Pa(200mTorr)とし、MZFについては、NZFと同様の条件とした。
【0103】
MZFは、NZFと比較して飽和磁化及び残留磁化が大きく、また、いわゆるソフトフェライトであるために抗磁場がNZFよりも小さいため磁化の反転に対して有利であるという特徴を有している。
【0104】
さらに、MZFは、NZFよりもエッチングが容易で、微細加工特性に優れている。すなわち、NZFはドライエッチングが困難であるためにウエットエッチングによらなければエッチングできず、しかも、NZFのエッチングには方位異方性がある。NZFの方位異方性とは、(001)面はエッチング速度が大きいが(111)面はエッチング速度が極めて小さく、事実上ほとんどエッチングされないということである。
【0105】
一方、MZFにはそのような方位異方性がなく、ドライエッチングも容易であることから、微細加工特性に優れている。
【0106】
すなわち、MZFはNZFと同程度乃至それ以上の強磁性体特性を備えていると共に、NZFよりもエッチングが容易であり、MZFに置き換えることで性能の向上を図ることができる。
【0107】
さらに、強誘電体として用いたBLTは残留分極がBITよりも大きく、FETを動作させる上でBITよりも有利である。
【0108】
以上の理由により、第1の実施例のうち、強磁性体としてNZFをMZFに、強誘電体としてPZTをBITに置き換えた実験でも、期待どおりの良好なメモリー特性を示した。
【0109】
(第3の実施例)
実施例1における強磁性体層24としてNZFの代わりにFeをレーザーアブレーション法により成膜した。Feは飽和磁化及び残留磁化がフェライト系と比べて高いという利点がある反面、酸素雰囲気で加熱すると容易に酸化されてしまうという欠点がある。
【0110】
そこで、Fe、LSCO、PZTの各層は全て室温で成膜し、ポストアニールによって成膜後に結晶化させた。成膜温度を室温としたために、微細加工プロセスにリフトオフ法が使えるという利点もある。
【0111】
なお、LSCO及びPZTはいずれも結晶化が不十分では良好な特性が得られないため、微細加工終了後にポストアニール(例えば、基板温度800℃、酸素雰囲気26Paで1時間程度)を行うことが好ましい。ただし、後アニール工程の条件はLSCO及びPZTの結晶化とFeの酸化とのトレードオフがある。すなわち、あまり長時間アニールするとFeが酸化されるため条件選択には注意を要する。
【0112】
以上のように、強磁性体にFeを用いた場合も、多値メモリー特性が観測されデバイスが正しく動作した。
【0113】
(第4の実施例)
第1の実施例におけるゲート絶縁膜の積層構造:「強誘電体/導電層/第2のバッファー層/強磁性体/第1のバッファー層」の組み合わせの例を表1及び表2に示す。組み合わせは以下の表1のとおりである。
【0114】
表1:
Figure 2004172483
【0115】
或は、強磁性体層を強誘電体層の上層に積層した以下の組み合わせでもよい。
表2:
Figure 2004172483
【0116】
ただし、表1及び表2において、導電層(例えばLSCO)は、磁化用電極として用いるものであるが、上述の4つのタイプによっては必ずしも必要でなく、LSCO膜を抜いたものでもよい。
【0117】
構造番号A1〜A9については実際に構造を作成し、良好な動作特性を示すことを確認した。構造番号B1〜B9についても、ほぼ同様の結果が得られると考えられる。
【0118】
(その他の実施例)
理論的に置換可能と考えられる積層構造の組み合わせとしては、強磁性体については、例えば、鉄(Fe)を含有し、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)等の一部又は全部をスピネル構造及びマグネトプランバイト構造を有するフェライト強磁性体を主成分とする、ガーネット構造、イルメナイト型、ルチル型及びアナターゼ構造を一部又は全部に有する金属強磁性体などが考えられる。
【0119】
例えば、(Ni,Zn)Fe、(Mn,Zn)Fe、Fe、Fe、BaFe1219、YFe12、FeTiO、Co−添加TiOなどである。
【0120】
同様に強誘電体については、(1)鉛(Pb)を含有するペロブスカイト型構造を有する強誘電体、(2)ビスマス(Bi)を含有するその構造中に、ペロブスカイト型の基本構造を含む強誘電体、などが考えられる。
【0121】
例えば、PbTiO、Pb(Zr,Ti)O、BiTi12、SrBiTa、((Bi,La)Ti12)O、BaTiO、(Ba,Sr)TiOなどである。
【0122】
また、以上の実施例は、いずれも強誘電体層が強磁性体層の上層にある例を示したが、積層順序が逆であっても構わない。すなわち、強磁性体/(LSCO/)第2のバッファー層/強誘電体/第1のバッファー層というような組み合わせでも構わない。本件発明者たちは実際に積層順序を入れ替えたF−Mメモリをいくつか試作してみたが、いずれも正しく多値メモリーとして動作することが確認された。
【0123】
確認された例は、第2のバッファー層は、STやBaTiO、SrO、TiOの積層構造、第1のバッファー層は、CeO/YSZの各組み合わせであった。強磁性体膜を成膜するときは、CeO膜の上にAM膜を堆積するとよい。もちろん、これ以外の組み合わせも多数存在しうる。バッファー層は格子定数や界面の状態を整える緩衝層の役割を果たすものであり、強誘電体層や共時性体層にどのような材料を用いるか等によって、さらなる組み合わせが考えられるであろう。
【0124】
本実施例で示した積層構造における各積層膜は、エピタキシャルに積層したエピタキシャル構造、特定の結晶軸がそろいつつ積層している共軸構造(1軸構造)、各薄膜が多結晶からなる多結晶構造、あるいはそれらの組み合わせのいずれの構造でもよいが、強誘電体特性及び強磁性体特性を有効に利用するには、エピタキシャル構造が好ましい。バッファー層の材質、膜厚、成膜条件等を適切に選択することで、積層構造の結晶構造を制御することができると共に、デバイスの重要な特性であるリーク電流(ゲート絶縁膜と基板の間を流れる電流)を抑えることができる。
【0125】
【発明の効果】
本発明に係るF−Mメモリデバイスによると、非破壊読み出し可能でセル面積が小さい多値メモリーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)乃至(c)は、本発明の基本的概念を示した図である。
【図2】図2は、本発明に係るF−Mメモリの基本原理を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明に係るF−Mメモリの基本原理を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明に係るF−Mメモリ用トランジスタの、ソース−ドレイン間に印加する電圧V[V]を横軸に、この時流れるドレイン電流I[A]を横軸にとったグラフを示す図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、積層型F−Mメモリの基本構成を示す図である。
【図6】図6(a)は、磁気回路型F−Mメモリの基本構成を示す図である。(b)は、対向型F−Mメモリの基本構成を示す図である。
【図7】図7(a)は、第1の実施例の本発明に係るF−Mメモリ用トランジスタのゲート構造を示す図である。(b)は、その上面図、(c)は断面図である。
【図8】図8は、図7(a)に示すゲート構造を加工する際のウエットエッチングの条件を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ソース領域
3 ドレイン領域
4 強誘電体
5 強磁性体
6 ゲート電極
7a、7b、7c 磁化用電極
20 基板
21 バッファー層2(YSZ)
22 バッファー層2(CeO
23 バッファー層2(AM)
24 強磁性体(NZF)
25 バッファー層2(ST)
26 導電層(LSCO)
27 強誘電体(PZT)
28 上部電極(Pt)
30 ゲート絶縁膜
32 ソース領域
33 ドレイン領域
34 素子分離膜
35 層間絶縁膜
36 電極(配線)
41 バッファー層2(BaTiO
42 バッファー層2(SrO)
43 バッファー層3(TiO
e 電子
h 正孔(ホール)
A チャネル形成部分
S ソース
D ドレイン
G ゲート
ローレンツ力

Claims (23)

  1. 強誘電体を含むゲート絶縁膜の分極状態に応じてソース−ドレイン間を流れるドレイン電流が変化する電界効果トランジスタを用いて、ドレイン電流の大きさに対応づけたディジタル情報を記憶する方法であって、
    磁界を印加することによりソース−ドレイン間を移動するキャリアに対し、
    第1の方向にローレンツ力を作用させた状態(I)と、
    第2の方向にローレンツ力を作用させた状態(II)と、
    ドレイン電流が実質的にゼロの状態(IV)と、
    の少なくとも3値を記憶することを特徴とする不揮発性メモリの記憶方法。
  2. 請求項1記載の記憶方法において、さらに、
    ドレイン電流が流れていてもローレンツ力を実質的に作用させない状態(III)
    を記憶するようにした不揮発性メモリの記憶方法。
  3. 前記ソース−ドレイン間を移動するキャリアに印加する磁界は、強磁性体の残留磁界を利用して印加することを特徴とする請求項1又は2に記載の不揮発性メモリの記憶方法。
  4. 前記電界効果トランジスタのゲート絶縁膜の近傍又はゲート絶縁膜の少なくとも一部に磁化用電極を配置しておき、この磁化用電極に電流を流すことによって磁界を発生させ、この磁界を用いて前記強磁性体を磁化することを特徴とする請求項3記載の不揮発性メモリの記憶方法。
  5. 半導体層を含む基板(1)の表面近傍にソース領域(2)とドレイン領域(3)とを備えていると共に前記ソース領域及びドレイン領域の間の前記基板1の上部に少なくとも強誘電体膜(4)及び強磁性体膜(5a)を含む積層構造のゲート絶縁膜と前記ゲート絶縁膜の上部にゲート電極(6)を備えていることを特徴とする不揮発性メモリ。
  6. ゲート絶縁膜の少なくとも一部に磁化用電極(7a)をなす導電層を備えていることを特徴とする請求項5記載の不揮発性メモリ。
  7. 磁化用電極(7b)はゲート電極(6)と共通の部材を用いると共に、この電極がスイッチSWに接続されていることを特徴とする請求項6記載の不揮発性メモリ。
  8. 半導体層を含む基板(1)の表面近傍にソース領域(2)とドレイン領域(3)とを備えていると共に前記ソース領域及びドレイン領域の間の前記基板1の上部に少なくとも強誘電体膜を含むゲート絶縁膜を備えており、さらに強磁性体(5b)と磁化用電極(7b)と電源回路(8)とを備えた磁気発生手段が前記ゲート絶縁膜の近傍に設けられていることを特徴とする不揮発性メモリ。
  9. 前記磁気発生手段は、ギャップをもつ1つの磁気回路であることを特徴とする請求項8記載の不揮発性メモリ。
  10. 前記磁化用電極(7b)は、前記強磁性体の上部に直線状又はL字状に構成されていることを特徴とする請求項9記載の不揮発性メモリ。
  11. 前記磁気発生手段は、対向する少なくとも2つの独立した強磁性体(5c)と、それぞれの強磁性体上に設けられた磁化用電極(7c)及び電源回路(8)を含む少なくとも2つの磁気回路からなることを特徴とする請求項8記載の不揮発性メモリ。
  12. 基板上に形成された第1のバッファー層と、前記第1のバッファー層の上層に形成された強磁性体膜又は強誘電体膜と、その上層に形成された第2のバッファー層と、前記第2のバッファー層の上層に形成された強誘電体膜又は強磁性体膜とからなる積層構造を備えた不揮発性メモリ用トランジスタ。
  13. 前記第1のバッファー層がCeO膜及びY−ZrO膜を含むことを特徴とする請求項12記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  14. 前記第1又は第2のバッファー層の上層が強磁性体膜であって、前記第1又は第2のバッファー層と前記強磁性体膜との界面に(Al(MgO)1−x(但し、x=0〜1.0)膜をさらに含むことを特徴とする請求項12記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  15. 前記第1又は第2のバッファー層の上層が強誘電体膜であって、前記第1又は第2のバッファー層と強誘電体膜との間にSrTiO、BaTiO、SrO又はTiO膜の少なくとも一つを含んでいることを特徴とする請求項12記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  16. 請求項15記載のトランジスタにおいて、前記SrTiO、BaTiO、SrO膜又はTiO膜と前記強誘電体膜との界面にLa1−xSrCoO膜をさらに含んでいることを特徴とする不揮発性メモリ用トランジスタ。
  17. 前記強磁性体膜は、鉄(Fe)を含有しマンガン(Mn)・ニッケル(Ni)・亜鉛(Zn)等の一部又は全部を含む酸化物のスピネル構造及びマグネトプランバイト構造を有するフェライト強磁性体を主成分とするガーネット構造、イルメナイト型、ルチル型及びアナターゼ構造を一部又は全部に有する金属強磁性体のいずれかに該当することを特徴とする請求項12記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  18. 前記強磁性体膜は、(Ni,Zn)Fe、(Mn,Zn)Fe、Fe、Fe、BaFe1219、YFe12、FeTiO、Co−添加TiOのいずれかに該当することを特徴とする請求項17記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  19. 前記強誘電体膜は、鉛(Pb)を含有するペロブスカイト型構造を有する強誘電体、又は、ビスマス(Bi)を含有するその構造中にペロブスカイト型の基本構造を含む強誘電体のいずれかに該当することを特徴とする請求項12記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  20. 前記強誘電体膜は、PbTiO、Pb(Zr,Ti)O、BiTi12、SrBiTa、((Bi,La)Ti12)O、BaTiO、(Ba,Sr)TiOのいずれかに該当することを特徴とする請求項19記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  21. 前記積層構造における各層の膜が、下地の基板又は膜に対して特定の配向関係をもって積層したエピタキシャル構造であるか、基板に垂直な特定の結晶軸が揃った膜が積層した共軸構造であるか又は多結晶構造であるか、又はそれらの組み合わせからなる構造を備えていることを特徴とする請求項12から請求項20のいずれか1項に記載の不揮発性メモリ用トランジスタ。
  22. シリコン基板上にレーザーアブレーション法又はスパッタリング法を用いてY−ZrO膜とCeO膜と(Al(MgO)1−x(x=0〜1.0)膜とを連続的に堆積する工程と、(Ni,Zn)Fe膜又は(Mn,Zn,Fe)Fe膜を堆積する工程と、SrTiO膜を堆積する工程と、La1−xSrCoO膜を堆積する工程と、Pb(Zr,Ti)O膜、BiTi12膜、SrBiTa膜又はBaTiO膜を堆積する工程とを含む不揮発性メモリ用トランジスタの製造方法。
  23. シリコン基板上にレーザーアブレーション法又はスパッタリング法を用いてY−ZrO膜とCeO膜と(Al(MgO)1−x(x=0〜1.0)膜とを連続的に堆積する工程と、その後、Fe、La1−xSrCoO膜及びPb(Zr,Ti)O膜を室温で成膜する工程とを含み、
    これらを成膜した後、ポストアニールによって結晶化させることを特徴とする不揮発性メモリ用トランジスタの製造方法。
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