JP2004172093A - スイッチング装置およびその電界印加方法およびスイッチングシステム - Google Patents

スイッチング装置およびその電界印加方法およびスイッチングシステム Download PDF

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Abstract

【課題】接点が小さく、低コストで、更に大きな変位量を得られるスイッチング装置およびその電界印加方法およびスイッチングシステムを提供する。
【解決手段】圧電素子を挟んで設けられた第1,第3の電極対7,9と、第1,第3の電極対7,9とは電気的に絶縁された状態で第1,第3の電極対7,9に隣接して設けられた第2,第4の電極対8,10とを備えたスイッチング装置において、第1,第3の電極対7,9間には第1の方向の電界を発生させ、同時に、第2,第4の電極対8,10間には第2の方向の電界を発生させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、スイッチング装置に関し、特にギガヘルツ以上の高い周波数帯域における、挿入損失の少ないスイッチング装置およびその電界印加方法およびスイッチングシステムに関する。
近年電気通信システム、特に移動電話もしくは無線セルラ電話の発展が著しい。たとえば、TDMA方式の通信システムにおいては、アンテナを介してGHz周波数帯域のRF信号の送受信が行われる。これらのシステムにおいては、通常、ひとつのアンテナが、送信段における出力と、受信段の入力のために、交互に使用される。したがって、このようなシステムにおけるスイッチに求められる性能は、接続時の電気抵抗が十分小さいこと、および、切断時の絶縁性が十分高いことである。電気抵抗が十分小さくなければ、ジュール熱による発熱によって挿入損失が生まれ、消費電力が大きくなる。また、絶縁性が低いと送受信の二つの回路の信号が干渉して、ノイズを発生してしまう。
従来のスイッチング装置としては、たとえばPINダイオードを用いた電気的なスイッチングシステムが使われている。ところが、このような半導体スイッチは、RF信号の周波数帯域が大きくなるほど電気抵抗が大きくなり、損失を招くことが分かっている。
また、PINダイオードの損失は、実用的な2GHzの周波数において、1から1.5dB程度ある。また、絶縁性(アイソレーション)は40dB以上が望まれるのに対し、現状のPINでは15〜25dB程度と不充分である。そのため、今後、さらに高周波数化していくことが予想されているこの分野の産業において、挿入損失が少なく、絶縁性の高いスイッチング装置が求められていた。
そこで、マイクロマシンシステムを用いたスイッチング装置が提案された。この例においてはスイッチングは電気的ではなく、機械的に行われるため、RF回路とのインピーダンスの整合がなされていれば、高い周波数帯域での損失や絶縁性が半導体スイッチに比較して、大きく改善される(例えば特許文献1を参照)。
しかしながら、この例に見られるような静電型のスイッチにおいては、機械的なスイッチングに必要な実用的な変位量をうるためには、数10Vの電圧が必要である。通常、移動電話においては、5V以下の電源が用いられているので、25〜100Vの電圧を得るには昇圧器が必要となり、サイズの増大、コストアップを招くという問題があった。
そこで、圧電アクチュエータを用いたスイッチが提案された。圧電アクチュエータを用いることにより、静電型よりもはるかに小さな数Vの電圧でスイッチングに必要な変位を得ることができる。この例においては、変位部の一端のみを機械的に拘束し、他端を自由端とする、いわゆる片持ち梁の形態が示されている。
図4は従来のスイッチング装置を示す斜視図であり、+Z方向に予め分極された強誘電体素子103、および弾性板102が重ねられており、ユニモルフ型の圧電アクチュエータによってスイッチの主要部分が形成される。基板101上に固定部105によって固定されることにより、アクチュエータの一端が力学的に固定され、他端が自由であるような、いわゆる、片持ち梁構成のアクチュエータが形成される。電源106により強誘電体素子膜の両面に形成される電極膜(図示しない)を通じて、膜面に垂直な−z方向の電界を印加することにより、x方向における伸張を生じる。この伸張は一方の固定端の存在によ
り、多端にモーメントを生じさせ、その結果、アクチュエータは図4のように変位する。
しかしながら、このような形態においては、自由端が膜形成時の残留応力により反ってしまい、スイッチの平面度を損なうという、実用的な完成物を製作する際の課題を有していた(例えば特許文献2,特許文献3を参照)。
さらに、上述のような片持ち梁構成の圧電アクチュエータの欠点を改善するために、両持ち梁構成の圧電アクチュエータを導入したとしても、可動部の両端が固定されているために、通常はほとんど変位することができない。そこでこのような両持ち梁構成のアクチュエータの変位特性を改善するために、両端の固定方法に工夫が凝らされているものも見受けられる(例えば非特許文献1を参照)。
特開2000−348595号公報(第5ページ,図1) 特開平11―340702号公報(図2〜5) 特開2000−348594号公報(図1) Jpn.J.Appl.Phys.22,Suppl.2,154(1983)
しかしながらこのような方法によって改善される変位量はさほど大きくないし、モーメントを発生させるための、固定端における接点は、ある程度の大きさを必要とし、現実的な試作も困難で、さらにコストアップを招くため、アクチュエータの量産には不向きである。
本発明の目的は、上述したような従来の課題を解決するもので、接点が小さく、低コストで、更に大きな変位量を得られるスイッチング装置およびその電界印加方法を提供することである。
そのため、本発明は、基板と、両端部が前記基板上に固定され、前記基板に対して動作可能な可動部と前記可動部と電気的に絶縁されて、前記可動部上に設けられたスイッチング電極と、前記スイッチング電極に正対して設けられ、前記可動部の動作に伴って前記スイッチング電極が接触した際に電気的に導通するギャップ電極と、を備えたスイッチング装置であって、前記可動部は、圧電素子と、前記圧電素子の基板側に設けられた第1の電極と、前記圧電素子の基板側に設けられ、かつ、前記第1の電極と電気的に絶縁された第3の電極と、前記圧電素子の基板側と反対側であって前記第1の電極に対向するように設けられた第2の電極と、前記圧電素子の基板側と反対側であって前記第3の電極に対向するように設けられ、かつ、前記第2の電極と電気的に絶縁された第4の電極と、を有し、前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともいずれか一方、および、前記第3の電極と前記第4の電極の少なくともいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備えた構成を有している。
本発明によるスイッチング装置は、従来、半導体スイッチにおいて課題であった、高周波帯域での挿入損失を低減することを可能とする。また、本発明は、従来のマイクロマシンスイッチにおいて課題であった、膜反りの解決と変位改善という両立しない課題を一度に改善する効果を有する。さらに、本発明は、アクチュエータに変曲部を持たせることにより、スイッチ接点における良好な接触をもたらし、低い電気抵抗を有するという効果を有する。
請求項1に記載の発明は、基板と、両端部が基板上に固定され、基板に対して動作可能な可動部と可動部と電気的に絶縁されて、可動部上に設けられたスイッチング電極と、スイッチング電極に正対して設けられ、可動部の動作に伴ってスイッチング電極が接触した際に電気的に導通するギャップ電極と、を備えたスイッチング装置であって、可動部は、圧電素子と、圧電素子の基板側に設けられた第1の電極と、圧電素子の基板側に設けられ、かつ、第1の電極と電気的に絶縁された第3の電極と、圧電素子の基板側と反対側であって第1の電極に対向するように設けられた第2の電極と、圧電素子の基板側と反対側であって第3の電極に対向するように設けられ、かつ、第2の電極と電気的に絶縁された第4の電極と、を有し、第1の電極と第2の電極の少なくともいずれか一方、および、第3の電極と第4の電極の少なくともいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備えたことにより、圧電素子内において、第1の電極と第3の電極とにより挟まれた領域と、第2の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間に変曲部の形成が可能になるため、可動部の変位が非常に大きくなる。
請求項2に記載の発明は、電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する電界の向きが、第1の電極と第2の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることにより、圧電素子内において、第1の電極と第3の電極とにより挟まれた領域と、第2の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間に変曲部が形成されるため、可動部の変位がより大きくなる。
請求項3に記載の発明は、電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する応力の向きが、第1の電極と第2の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることにより、圧電素子内において、第1の電極と第3の電極とにより挟まれた領域と、第2の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間に変曲部が形成されるため、可動部の変位がより大きくなる。
請求項4に記載の発明は、基板が固定部と段差部とを備え、固定部に可動部の両端部を固定し、段差部上で可動部が動作することにより、可動部の動作を確実に行わせることができる。
請求項5に記載の発明は、スイッチング電極が、可動部の上部において、第2の電極と第4の電極とを跨ぐように形成されていることにより、変位の大きな部分にスイッチング電極を設けたことになるので、スイッチング電極を確実にギャップ電極に接触させることができる。
請求項6に記載の発明は、第1の電極と第2の電極間に印加される電圧と、第3の電極と第4の電極間に印加される電圧が異なることにより、第1の電極と第3の電極との間、および第2の電極と第4の電極との間における変形形状や変位量を制御することができ、可動部の形状を最適化することができる。
請求項7に記載の発明は、可動部の動作状態におけるスイッチング電極の形状が、ギャップ電極と対向する部分において、ギャップ電極に向かって凸状をなしていることにより、ギャップ電極とスイッチング電極との間の接触を確実に行うことができる。
請求項8に記載の発明は、スイッチング電極のギャップ電極との接触部の凸形状が、スイッチング電極のギャップ電極との非接触部の凸形状よりも平面状に近いことにより、ギャップ電極とスイッチング電極との間の接触をより良好にすることができる。
請求項9に記載の発明は、基板と、両端部が基板上に固定され、基板に対して動作可能
な可動部と可動部と電気的に絶縁されて、可動部上に設けられたスイッチング電極と、スイッチング電極に正対して設けられ、可動部の動作に伴ってスイッチング電極が接触した際に電気的に導通するギャップ電極と、を備えたスイッチング装置であって、可動部は、圧電素子と、圧電素子の基板側に設けられ、互いに電気的に絶縁された第1の電極,第3の電極および第5の電極と、圧電素子の基板側と反対側に第1の電極,第3の電極および第5の電極に対して基板を挟んでそれぞれ対向して設けられ、互いに電気的に絶縁された第2の電極,第4の電極および第6の電極と、を有し、第1の電極と第2の電極の少なくともいずれか一方,第3の電極と第4の電極の少なくともいずれか一方、および、第5の電極と第6の電極の少なくともいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備えたことにより、圧電素子内において第1の電極と第2の電極とにより挟まれた領域と第3の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間と、第5の電極と第6の電極とにより挟まれた領域と、第3の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間とに少なくとも2つの変曲部が形成することができるので、さらに大きな可動部の変位を得ることが可能になる。
請求項10に記載の発明は、電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する電界の向きが、第1の電極と第2の電極間及び第5の電極と第6の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることにより、圧電素子内において第1の電極と第2の電極とにより挟まれた領域と第3の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間と、第5の電極と第6の電極とにより挟まれた領域と、第3の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間とに少なくとも2つの変曲部が形成することができるので、さらに大きな可動部の変位を得ることができる。
請求項11に記載の発明は、電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する応力の向きが、第1の電極と第2の電極間及び第5の電極と第6の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることにより、圧電素子内において第1の電極と第2の電極とにより挟まれた領域と第3の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間と、第5の電極と第6の電極とにより挟まれた領域と、第3の電極と第4の電極とにより挟まれた領域との間とに少なくとも2つの変曲部が形成することができるので、さらに大きな可動部の変位を得ることができる。
請求項12に記載の発明は、基板が固定部と段差部とを備え、固定部に可動部の両端部を固定し、段差部上で可動部が動作することにより、可動部の動作を確実に行わせることができる。
請求項13に記載の発明は、スイッチング電極が、可動部の上部において、第4の電極上に形成されていることにより、変位の大きな部分にスイッチング電極を設けたことになるので、スイッチング電極を確実にギャップ電極に接触させることができる。
請求項14に記載の発明は、第1の電極と第2の電極間に印加される電圧と、第3の電極と第4の電極間に印加される電圧と、第5の電極と第6の電極間に印加される電圧と、がそれぞれ異なることにより、圧電素子内において第1の電極と第2の電極とにより挟まれた領域と第3の電極と第4の電極とにより挟まれた領域と、第5の電極と第6の電極とにより挟まれた領域とのそれぞれにおける変形形状や変位量を制御することができ、可動部の形状を最適化することができる。
請求項15に記載の発明は、第1の電極と第2の電極間に印加される電圧と、第5の電極と第6の電極間に印加される電圧と、が同一であることにより、両領域に電圧を印加する手段を共通化できるので、スイッチング装置のコストを低減することができる。
請求項16に記載の発明は、可動部の動作状態におけるスイッチング電極の形状が、ギ
ャップ電極と対向する部分において、ギャップ電極に向かって凸状をなしていることにより、ギャップ電極とスイッチング電極との間の接触を確実に行うことができる。
請求項17に記載の発明は、スイッチング電極のギャップ電極との接触部の凸形状が、スイッチング電極のギャップ電極との非接触部の凸形状よりも平面状に近いことにより、ギャップ電極とスイッチング電極との間の接触を良好に行うことができる。
請求項18に記載の発明は、第1の電極が可動部の両端部のうちの第1の端部寄りに形成され、第5の電極が第1の端部と反対側の第2の端部寄りに形成され、第3の電極が可動部の中央部寄りに形成されていることにより、固定部に対する可動部の動作をよりスムーズに行うことができる。
請求項19に記載の発明は、圧電素子を挟んで設けられた第1の電極対と、第1の電極対とは電気的に絶縁された状態で第1の電極対に隣接して設けられた第2の電極対とを備えたスイッチング装置において、第1の電極対間には第1の方向の電界を発生させ、同時に、第2の電極対間には第2の方向の電界を発生させることにより、圧電素子において第1の電極対に挟まれた領域と第2の電極に挟まれた領域との間に変曲部が形成されるので、可動部の変位がより大きくなる。
請求項20に記載の発明は、第1の電極対間に発生する電位差と第2の電極対間に発生する電位差がほぼ等しいことにより、圧電素子の変位量の領域ごとのばらつきを小さくできるので、圧電素子にかかる負荷をより均一化でき、ひいては圧電素子の寿命をより長くすることができる。
請求項21に記載の発明は、共通の電源により第1の電極対に電位差を発生させ、第2の電極対に電位差を発生させることにより、各電極対へ供給される電位差にばらつきが生じ難くなるので、可動部をより正確に変形させることができ、ひいてはスイッチング装置の動作をより確実に行わせることができる。また、電源の数を削減できるので、低コストのスイッチング装置を実現することができる。
請求項22に記載の発明は、圧電素子を用いたスイッチング装置において、圧電素子に電界を印加するための複数の電極対を含み、圧電素子に電界を印加するための複数の電極対における電界が、隣り合う電極対において概略反対方向であるように印加されることにより、圧電素子において第1の電極対に挟まれた領域と第2の電極対に挟まれた領域との間に変曲部が形成され、さらに変曲部を境に可動部の変形方向を反対にすることができるので、可動部の変位をより大きくすることができる。
請求項23に記載の発明は、圧電素子が薄膜プロセスによって形成されることにより、圧電素子の厚みを非常に薄くすることができるので、圧電素子の変位をより大きくとることがでる。従ってより低い電圧で必要な変位量を確保することができる。
請求項24に記載の発明は、圧電素子がMgO基板上に形成されることにより、良好なPZT結晶を得ることができるので、絶縁破壊等の起こり難い信頼性の高いスイッチング装置を得ることができる。
請求項25に記載の発明は、圧電素子がシリコン基板上に形成されることにより、より低コストで、信頼性の高いスイッチング装置を実現することができる。
請求項26に記載の発明は、圧電素子を用いたスイッチングシステムにおいて、圧電素子と、この圧電素子に電界を印加するための複数の電極対と、この電極対に電力を供給す
るための電気配線と、アンテナと送受信用高周波回路を電気的に接続させるための電極対と、圧電素子と高周波回路とを整合するためのカップラーと、を含み、圧電素子に電界を印加するための複数の電極対における電界が、隣り合う電極対において概略反対方向であるように印加されることにより、動作がより確実で、信頼性が高く、しかも低コストなスイッチングシステムを提供することができる。
請求項27に記載の発明は、スイッチングシステムが高周波遮蔽材料によりパッケージングされたことにより、スイッチングシステムに対する高周波ノイズの影響を最小限に抑制することができるので、信頼性の高いスイッチングシステムを提供することができる。
請求項28に記載の発明は、高周波遮蔽材料がガラスもしくは溶融シリカからなることにより、より低コストで、信頼性の高いスイッチングシステムの高周波ノイズからの遮蔽を実現できる。
請求項29に記載の発明は、圧電素子を用いたスイッチング装置であって、圧電素子と、圧電素子を含む第1の可動部と、第1の可動部と連結する2本からなって対をなし、圧電素子を含む第2の可動部と、第1の可動部および第2の可動部に電界を印加するための複数の電極対とを含み、複数の電極のうち、隣り合う電極対における電界が概略反対方向であるように印加する電界印加手段を備えたことにより、可動部全体としての変位量を更に大きくすることができ、外部からの衝撃等、非接続状態のスイッチング装置が接続状態になってしまうなどの不具合の発生を大幅に抑制することができる。
請求項30に記載の発明は、第1の可動部が、第2の可動部における最大変位部において、第2の可動部と連結することにより、可動部全体としての変位量をより大きくすることができる。
請求項31に記載の発明は、圧電素子を用いたスイッチングシステムであって、圧電素子と、圧電素子を含む第1の可動部と、第1の可動部の周辺に設けられ、圧電素子を含む第2の可動部と、第1の可動部および第2の可動部に電界を印加するための複数の電極対と、これらの電極対に電力を供給するための電気配線と、アンテナと送受信用高周波回路を電気的に接続させるための電極対と、圧電素子と高周波回路とを整合するためのカップラーと、を含み、圧電素子に電界を印加するための複数の電極対における電界が、隣り合う電極対において概略反対方向であるように印加されることにより、動作がより確実で、信頼性が高く、しかも低損失なスイッチングシステムを提供することができる。
(実施の形態1)
以下本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の構成を示す分解斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の基板側の電極構造(下部電極)を示す図、図3は、本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置のギャップ電極側の電極構造(上部電極)を示す図、図5は本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の定常状態のアクチュエータを含む分解側面図である。
図において、100はスイッチング装置であり、スイッチング装置100は、大きくは基板6、アクチュエータ1、上部基板15、ギャップ電極13、スペーサ14を備えている。
以下スイッチング装置の構成の詳細を図1〜図3および図5を用いて説明する。
基板6は、板厚が380nmで、MgO材料から形成されている。このときMgO単結晶基板であることが、その後に形成する強誘電体薄膜素子の分極方向をある程度そろえることができるので好ましい。基板の厚みとしては、100μm〜500μm程度であることが、アクチュエータの強度の確保と変位量の最適化の観点から好ましい。また材料としては、この他にSiO2基板を用いることもできる。基板6には段差部6aが形成されている。この段差部6aはアクチュエータ1が動作できる程度の段差を有していれば足り、当然開口であっても構わない。ただし、スイッチング装置100の剛性の観点からは開口部は小さいほど好ましい。単なる段差のみで開口がなければ、スイッチング装置100の剛性は非常に高くなるので、装置の動作精度や信頼性の観点から最も好ましい。
段差部6aのY方向の中ほどには、段差部6aを跨ぐようにアクチュエータ1が配置されている。このアクチュエータ1は、段差部6a上にある可動部1aと、アクチュエータ1の両端部で基板6に固定される固定部1bを備えており、パターニングされた両持ち梁構成を有している。段差部6aの中ほどにアクチュエータ1を配置することにより、アクチュエータ1の変形による基板6への影響をほぼ均等にすることができるので、素子の動作精度や信頼性の観点から最も好ましい。
更にアクチュエータ1は、強誘電体薄膜素子23と、その強誘電体薄膜素子23に電界を与える下部電極26と上部電極27と、弾性板22と、スイッチング電極31を備えている。
強誘電体薄膜素子23は、PZT,PLT,PZLT等のセラミック材料を含んで形成されている。強誘電体薄膜素子23の膜厚は、1〜20μm程度である。強誘電体薄膜素子23はスパッタリング、CVD、ゾルゲルなどの薄膜形成技術を用いて形成されている。そして強誘電体薄膜素子23の分極方向はできるだけ一方向に揃っていることが、より変位量を大きくすることができるので好ましい。なお本実施の形態においては、変位方向はZ方向(ここでは+Z方向)としている。この強誘電体薄膜素子23、アクチュエータ1の変位が最大になる部位の近傍、より具体的には、可動部1aのX方向中心線から可動部1aの長さLxの±10%程度の範囲で、分割されていることが好ましい。このような構成とすることにより、アクチュエータ1の変位をより大きくすることができる。
次に、下部電極26は、強誘電体薄膜素子23の基板6側の面に直接若しくは他の層(例えば層間の定着性を良好にする定着層や層間の絶縁性を良好にする絶縁層など)を挟んで設けられている。X方向における可動部1aの長さをLxとしたとき、段差部6aの一端部から概略1/4Lx、3/4Lxの位置で、下部電極26における第1電極部7と下部電極26における第2電極部8とに分割されている。ここでは第1電極部7に第1電位を、第2電極部8に第1電位よりも高い第2電位を与えている。
この分割位置は、1/10Lx〜1/3Lx、反対側が2/3Lx〜9/10Lxの位置にあれば、可動部1aの良好な動作を実現することができるので好ましい。
さらに、第1電極部7は、第2電極部8を挟んで2つの領域7b,7cを備えており、領域7bと領域7cとは、アクチュエータ1のY方向端部において第2電極部8に隣接して設けられた結線部7dによって、同電位となるようにつながれている。
そして、第1電極部7と第2電極部8とはその境界領域において、両者の間に電位差が発生しても放電しない程度のギャップ28が形成されている。
更に第1電極部7と第2電極部8とは、それぞれ第1配線部7aと第2配線部8aを通
じて下部電極26における第1パッド2と第2パッド3とに接続されている。そして第1パッド2は、アースに接続され、第2パッド3は電源21に接続される。
なお、本実施の形態では、第1配線部7aと第2配線部8aとを同じ側に引き出して、第1パッド2と第2パッド3とを近接して設けたが、第1配線部7aと第2配線部8aとを段差部6aを挟んで反対側に引き出してもよい。その場合、第1パッド2と第2パッド3が離間して設けられることになるので、近接して設ける場合と比べて、パッドへの結線時のショートなど工程中の不具合の発生を減少させることができる。
また、本実施の形態では、電極を第1電極部7と第2電極部8の2つに分割していたが、3つ以上に分割しても良いことは言うまでもない。その場合の例を以下説明する。図9は本発明の実施の形態1における電極構成の他の例を示す図である。図9に示すように、結線部7dを設けず、代わりに領域7cは第1配線部7aにより、第1パッド2aへ、領域7bは第3配線部7eにより、第1パッド2aと反対側に設けられた第3パッド2bへと接続されるようにしても良い。この場合領域7bと第2電極部8との間にはギャップ28aが、領域7cと第2電極部8との間にはギャップ28bがそれぞれ形成されることになる。さらに、第2電極部8の形状は可動部1aのX方向における中心線に対して略対称になるように形成されている。このような構成とすることにより、第1電極部7と第2電極部8との間の電位の分割がより良好になり、さらに可動部1aの変形がほぼ左右対称となるので、より良好な可動部1aの変形を実現することができる。
次に、図3に示すように上部電極27は、強誘電体薄膜素子23に対して、下部電極26と反対側の面に形成されている。そして上部電極27は、下部電極26と同様に2つの領域に分割され、第3電極部9および第4電極部10とがそれぞれ形成されている。それぞれの電極部9,10は第3配線部9a,第4配線部10aを通じて第3パッド5および第4パッド4と接続する。そして第3パッド5はアースに接続され、また第4パッド4は電源21に接続される。こられの点以外にも下部電極26で説明した構成・作用はすべて上部電極27でも採用可能である。
図5から明らかなように、下部電極26と上部電極27とにおいて、下部電極26における第1電極部7と上部電極27における第3電極部9とで一対をなし可動部1aを動作させる第1の電位差が強誘電体薄膜素子23を挟んで印加される。また下部電極26における第2電極部8と上部電極27における第4電極部10とで一対をなし、第1の電位差と異なる第2の電位差が強誘電体薄膜素子23を挟んで印加される。
下部電極26における第1電極部7と第2電極部8は、図示していないが、絶縁層により被覆されていることが好ましい。この点については、上部電極27における第4電極部10と第3電極部9についても同様である。
なお、下部電極26及び上部電極27に用いられる材料としては、Pt,Au,Ag,Al等の金属若しくはこれらの材料を含む合金を用いることが可能である。また電極の膜厚は、0.1〜2μm程度であれば、電極における抵抗値の増大を抑制でき、さらに1μm以上の場合には電極としての機能と弾性膜としての機能を兼用させることもできるので好ましい。
また、第1パッド2が接続されるアースは、第3パッド5が接続されるアースとは別々に図示していたが、これらは共通であっても構わない。さらに、第2パッド3と第4パッド4とが接続される電源21は共通の電源であってもよいし、別々の電源であっても良い。
次にアクチュエータ1の弾性板22について説明する。弾性板22は、強誘電体薄膜素子23及び上部電極27上、もしくは下部電極26のうちの少なくとも1つに、直接若しくは他の層を介して形成されている。この弾性板22は、Ni,Ti,Cr,Au,Pt,Al,Cuの少なくともいずれか1の金属もしくは合金から形成された膜、またはそれらの酸化膜、SiO2,TiO2,Al23のいずれかから選ばれた少なくとも1つの材料により形成されており、その厚みは、0.1〜10μmの厚みを有しており、この範囲でアクチュエータが最大の変位を得るように最適な厚みに設定される。この弾性板はアクチュエータ全体の硬さを調整する働きを有する。
次にアクチュエータ1のスイッチング電極31について説明する。スイッチング電極31は弾性板22上に直接若しくは他の層を介して形成されている。このスイッチング電極31は、金属材料から形成される。そしてスイッチング電極31は、上部基板15に形成されたギャップ電極13と正対する様に形成されている。
アクチュエータ1において、弾性板22及びスイッチング電極31は設けない構成も考えられる。この場合には、上部電極27がギャップ電極13に接触することになる。
次にスペーサ14は、基板6若しくは強誘電体薄膜素子23上に直接若しくは他の部材(例えば接着材等)を介して設けられている。スペーサ14を構成する材料としては、ガラス球,ジルコニア球もしくは樹脂球を含む接着剤等が考えられる(球を含まない場合ももちろん考えられる)。スペーサ14の厚みは、可動部1aの変位量やギャップ電極の厚み等に応じて定められる。
上部基板15は、スペーサ14上に接合されている。上部基板15は、スイッチング装置100が外力を受けた場合にも破損しないように十分な強度を持つことが望ましく、材料としては、金属材料を用いることが好ましい。
上部基板15のアクチュエータ1に対向する面には、ギャップ電極13が設けられている。ギャップ電極13は、X方向に延びるギャップ部13aが形成されており、このギャップ部13aにより、端子12と接続されている領域13bと、送受信アンテナ11に接続されている領域13Cとは電気的に絶縁されている。すなわち通常は高周波回路に連結された端子12と送受信アンテナ11との間は非導通状態となっている。ギャップ部13aを挟んで領域13bと領域13cの延びる方向はY方向であり、X方向に延びるアクチュエータ1とはほぼ直交する関係となっている(正確な接触が可能であれば、必ずしも直交する必要はない)。
またギャップ電極13とスイッチング電極31とは、アクチュエータ1の非変形状態において、その距離が1〜5μm程度となるように構成されている。両者の距離がこの範囲にあることにより、アクチュエータ1の変形時に、確実にギャップ電極13とスイッチング電極31とを接触させることができるので、スイッチング装置100の信頼性を向上させることができる。またこの両者の距離は、アクチュエータ1の最大変位量の80%以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、多少の経年変化がアクチュエータ1に発生したとしても、スイッチング装置の安定的な動作を実現できるので好ましい。また1μm以上であれば、外部から多少の衝撃が加わったとしても、スイッチング装置の誤動作のほとんど発生しないので、スイッチング装置の信頼性を向上させることができる。
次に以上のような構成を有するスイッチング装置100の動作を図5,図6及び図10を用いて説明する。
図6は本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の変位状態のアクチュエータを含む分解側面図である。図10は図6に示すA−Aの部分断面図である。
図5に示すように、下部電極26と上部電極27の間に電位を与えていない場合には、強誘電体薄膜素子23は変位しないので、アクチュエータ1は図面上で直線状(即ち平面状)になっている。
図6に示すように、アクチュエータ1を動作させる場合には、アースに接地されている下部電極26の第1電極部7と、正の電位を発生させる電源21に接続されている上部電極27の第3電極部9との対をなす電極間には、アクチュエータ1の−Z方向、すなわち変位方向と反対方向に電界が発生するので、+Z方向に主に分極している強誘電体薄膜素子23には伸張しようとする力が発生する。このため、下に凸な形に変形する。
同時に、アースに接地されている上部電極27の第4電極部10と、正の電位を発生させる電源21に接続されている下部電極26の第2電極部8との対をなす電極間には、アクチュエータ1の+Z方向、すなわち変位方向と同一方向に電界が発生するので、+Z方向に主に分極している強誘電体薄膜素子23には収縮しようとする力が発生する。このため、上に凸な形に変形する。
これら両方の効果が組み合わさり、アクチュエータ1全体としては、図中の変位方向に最大高さを持つように可動部1aがより大きな上に凸の形状を持って変形する。このような電界の印加方法を用いると、可動部1aの中央部からほぼ均等な位置に変曲部が形成され、中央部付近には最大変位点がくることから、最大変位の部分がほぼ水平となる。従って、最大変位部上にあるスイッチング電極31とギャップ電極13とのより良好な接触を実現することができる。
このとき、図10に示すように、ギャップ電極13とスイッチング電極31とは、ギャップ電極13のギャップ部13aの間が導通するように接触する。このように、ギャップ電極13の長手方向(Y方向)とアクチュエータ1の長手方向(X方向)とが直交するような構成(即ち、ギャップ方向(X方向)とアクチュエータの幅方向(Y方向)とが直交するような構成)とすることにより、ギャップ部13aを挟んで離間して設けられている第1電極13bと第2電極13cの双方に対して、ほぼ直線状(平面状)のスイッチング電極31を接触させることができるので、スイッチング電極31の第1電極13bと第2電極13cへの接触を均等に行うことができる。また製造誤差等により、アクチュエータ1の取り付け位置が多少図10中の左右にずれたとしても、スイッチング電極31を第1電極13bと第2電極13cの双方に接触させることができる。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について、図7及び図8を用いて説明する。図7は本発明の実施の形態2におけるスイッチング装置の正面図であり、図8は本発明の実施の形態2におけるスイッチング装置の斜視図である。本実施の形態におけるスイッチング装置は第1の変位部60、第2の変位部61および第3の変位部62を備えている。そして第1の変位部60の両端部は、第2の変位部61および第3の変位部62とそれぞれの中央付近に連結されており、連結された第1の変位部60、第2の変位部61および第3の変位部62は略H型に形成されている。基板6に対する固定部60bは第2の変位部61および第3の変位部62のみに設けられ、基板6と連結する。このように変位部を3つ組み合わせることにより、さらに変位量を大きくすることができる。
上部電極は同様の形状で、下部電極と対をなす。電極はそれぞれの可動部において、前記の形態と同様に形成される。この形態においては、第2の可動部の概略中央部において
、第1の可動部が接続するため、第1の可動部の最下点が第2の可動部の最大変位部となる。すなわち、第1の変位部は第2の変位部の最高点から相対的に変位する。従って、第1の変位部の基板からの絶対変位量は第2の変位部を持たない場合よりも、さらに大きくなるという効果がある。
本発明の別の形態においては、前記圧電素子が薄膜プロセスによって形成されることを特徴とする。圧電素子が薄膜であることにより、低い電圧でも高い電界強度を得ることが可能となり、特に移動電話に用いる際に通常要求される低電圧駆動の条件を満たすという長所をもつ。また、薄膜プロセスを用いることにより、同様に要求される小型化、低価格化をも同時に満足する。
(実施例1)
本発明の実施の形態1で説明したスイッチング装置に好適な実施例を図5、図6、および図7を用いて以下に説明する。
単結晶MgOで形成された基板6上にPtで形成された層状の下部電極26における第1電極部7、下部電極26における第2電極部8、および下部電極26における第1電極部7に接続される第1パッド2,第2電極部8に接続される第2パッド3をフォトリソグラフによりパターニングし、その上に圧電素子として強誘電体薄膜素子23をスパッタリングにより1μm成長させた。続いて、Crで形成された層状の上部電極27における第3電極部9,第4電極部10および第3パッド5,第4パッド4を形成した。絶縁層としての機能を兼ね備えるSiO2で形成された弾性板22を1μm成膜し、最後にRF回路に接続される端子12と送受信アンテナ11を短絡させるためのスイッチング電極31をTiにより層状に形成した。その後アクチュエータ1の可動部1aを形成するために、基板6を熱燐酸によりエッチングし、段差部6a(キャビティ)を形成した。
アクチュエータの形状として、図4に示すような、ただ一つの可動部をもつものを、上記方法によって作製した。素子外寸は1mmの正方形で、可動部は長さ0.8mm、幅0.1mmとなるよう形成した。このアクチュエータにおいて、上部および下部電極に3Vの電圧を印加して、レーザードップラー装置により、その最大変位を計測した。その結果、変位部中央において約4.4μmの最大変位を得た。最大変位までの応答速度はおよそ40μsであった。挿入損失は周波数が2GHzにおいて約0.2dB、20GHzにおいて約0.5dBであった。アイソレーションは周波数2GHzにおいて約50dB、20GHzにおいて約40dBであった。
このように実施の形態1で説明したスイッチング装置は、従来の両持ち梁構成に比べて変位量が大きく、さらに挿入損失が小さく、絶縁性が高いので、スイッチング装置としては、消費電力が小さく、また、送受信の二つの回路の信号が干渉が発生しにくいので、ノイズの発生を抑制できる。
(実施例2)
次に実施の形態2で説明したスイッチング装置の好適な実施例について説明する。図8に示すような、3つの可動部をもつものを、上記と同様な方法によって作製した。弾性板には1μm厚のポリイミドを用いた。素子外寸は1mmの正方形で、可動部は長さ0.8mm、幅0.1mmとした。第1の可動部は一対の第2の可動部の中央部で連結するようにパターニングした。このアクチュエータにおいて、上部および下部電極に3Vの電圧を印加したところ、第1の可動部の中央部において、6.5μmの最大変位を得た。応答速度はおよそ60μsであった。挿入損失は周波数が2GHzにおいて約0.2dB、20GHzにおいて約0.5dBであった。アイソレーションは周波数2GHzにおいて約50dB、20GHzにおいて約40dBであった。
このように、本実施例では、アクチュエータの両端が固定されているため、膜状の変位部を形成しても、片持ち梁構成では課題であった膜反りが抑制されると同時に、両持ち梁構成で課題であった変位量を片持ち梁構成のスイッチと同等とすることができるという効果を有する。さらに、本発明は、アクチュエータ1の可動部1aに変曲部を持つことから、ギャップ電極13(RF回路の短絡部)において、スイッチング電極31のより良好な接触を実現することができる。
なお、上記の例は、好適な例を示したにすぎず、本発明による電界印加方法は、いかなる形状のアクチュエータにも適用可能である。また、電界印加方法は直流であっても交流であってもよい。さらに、圧電素子としては上記のような材質で圧電パラメータをもつものを選んだが、どのような圧電材料であっても、どのような圧電パラメータであっても、電界方向の正しい選択により、同様の効果が得られることは言うまでもない。さらに、弾性板の選択もスイッチの設計によって任意であって、圧電素子との適当な組み合わせにより、上記と同様な効果が得られる。
さらに上記のすべての実施の形態、実施例の構成は互いに組み合わせることができる。
また、上記のすべての実施例、実施の形態では、電界の印加方向を変えることにより、変位の向きを制御していたが、その代わりに、圧電素子の分極方向を部分的に異ならせることにより、変位を制御することも可能である。この場合、例えば図2の第2電極部8と第4電極部10との間に圧電素子の抗電界以上の電圧を+Z方向に印加し、第2電極部8と第4電極部10との間の圧電素子の領域を+Z方向に分極させ、その後、第1電極部7と第3電極部9との間に圧電素子の抗電界以上の電圧を−Z方向に印加し、第2電極部8と第4電極部10との間の圧電素子の領域を−Z方向に分極させる。これにより同一方向に電界を印加しても、変位は逆方向になるので、大きな変位を得ることができる。なお、この場合、基板側もしくはその反対側の電極群のいずれか一方は共通化することが可能である。
本発明のスイッチング装置は、アクチュエータに変曲部を持たせることにより、スイッチ接点における良好な接触をもたらし、低い電気抵抗を有するという効果を有し、特にギガヘルツ以上の高い周波数帯域における、挿入損失の少ないスイッチング装置に関する。
本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の構成を示す分解斜視図 本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の基板側の電極構造(下部電極)を示す図 本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置のギャップ電極側の電極構造(上部電極)を示す図 従来のスイッチング装置を示す斜視図 本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の定常状態のアクチュエータを含む分解側面図 本発明の実施の形態1におけるスイッチング装置の変位状態のアクチュエータを含む分解側面図 本発明の実施の形態2におけるスイッチング装置の正面図 本発明の実施の形態2におけるスイッチング装置の斜視図 本発明の実施の形態1における電極構成の他の例を示す図 図6に示すA−Aの部分断面図
符号の説明
1 アクチュエータ
1a 可動部
1b 固定部
2 第1パッド
3 第2パッド
4 第4パッド
5 第3パッド
6 基板
6a 段差部
7 第1電極部
7a 第1配線部
7b,7c 領域
7d 結線部
7e 第3配線部
8 第2電極部
9 第3電極部
10 第4電極部
11 送受信アンテナ
12 端子
13 ギャップ電極
13a ギャップ部
14 スペーサ
15 上部基板
22 弾性板
23 強誘電体薄膜素子
26 下部電極
27 上部電極
28 ギャップ
31 スイッチング電極
100 スイッチング装置

Claims (31)

  1. 基板と、両端部が前記基板上に固定され、前記基板に対して動作可能な可動部と、前記可動部と電気的に絶縁されて、前記可動部上に設けられたスイッチング電極と、前記スイッチング電極に正対して設けられ、前記可動部の動作に伴って前記スイッチング電極が接触した際に電気的に導通するギャップ電極と、を備えたスイッチング装置であって、前記可動部は、圧電素子と、前記圧電素子の基板側に設けられた第1の電極と、前記圧電素子の基板側に設けられ、かつ、前記第1の電極と電気的に絶縁された第3の電極と、前記圧電素子の基板側と反対側であって前記第1の電極に対向するように設けられた第2の電極と、前記圧電素子の基板側と反対側であって前記第3の電極に対向するように設けられ、かつ、前記第2の電極と電気的に絶縁された第4の電極と、を有し、前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともいずれか一方、および、前記第3の電極と前記第4の電極の少なくともいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備えたことを特徴とするスイッチング装置。
  2. 電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する電界の向きが、第1の電極と第2の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることを特徴とする請求項1記載のスイッチング装置。
  3. 電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する応力の向きが、第1の電極と第2の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることを特徴とする請求項1記載のスイッチング装置。
  4. 基板が固定部と段差部とを備え、前記固定部に可動部の両端部を固定し、前記段差部上で前記可動部が動作することを特徴とする請求項1記載のスイッチング装置。
  5. スイッチング電極が、可動部の上部において、第2の電極と第4の電極とを跨ぐように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1記載のスイッチング装置。
  6. 第1の電極と第2の電極間に印加される電圧と、第3の電極と第4の電極間に印加される電圧が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のスイッチング装置。
  7. 可動部の動作状態におけるスイッチング電極の形状が、ギャップ電極と対向する部分において、ギャップ電極に向かって凸状をなしていることを特徴とする請求項1〜6に記載のスイッチング装置。
  8. スイッチング電極のギャップ電極との接触部の凸形状が、スイッチング電極のギャップ電極との非接触部の凸形状よりも平面状に近いことを特徴とする請求項7記載のスイッチング電極。
  9. 基板と、両端部が前記基板上に固定され、前記基板に対して動作可能な可動部と前記可動部と電気的に絶縁されて、前記可動部上に設けられたスイッチング電極と、前記スイッチング電極に正対して設けられ、前記可動部の動作に伴って前記スイッチング電極が接触した際に電気的に導通するギャップ電極と、を備えたスイッチング装置であって、前記可動部は、圧電素子と、前記圧電素子の基板側に設けられ、互いに電気的に絶縁された第1の電極,第3の電極および第5の電極と、前記圧電素子の基板側と反対側に前記第1の電極,前記第3の電極および前記第5の電極に対して基板を挟んでそれぞれ対向して設けられ、互いに電気的に絶縁された第2の電極,第4の電極および第6の電極と、を有し、前記第1の電極と前記第2の電極の少なくともいずれか一方,前記第3の電極と前記第4の電極の少なくともいずれか一方、および、前記第5の電極と前記第6の電極の少なくともい
    ずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備えたことを特徴とするスイッチング装置。
  10. 電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する電界の向きが、第1の電極と第2の電極間及び第5の電極と第6の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることを特徴とする請求項9記載のスイッチング装置。
  11. 電圧印加手段により印加される電圧により圧電素子内に発生する応力の向きが、第1の電極と第2の電極間及び第5の電極と第6の電極間と、第3の電極と第4の電極間とで異なることを特徴とする請求項10記載のスイッチング装置。
  12. 基板が固定部と段差部とを備え、前記固定部に可動部の両端部を固定し、前記段差部上で前記可動部が動作することを特徴とする請求項11記載のスイッチング装置。
  13. スイッチング電極が、可動部の上部において、第4の電極上に形成されていることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1記載のスイッチング装置。
  14. 第1の電極と第2の電極間に印加される電圧と、第3の電極と第4の電極間に印加される電圧と、第5の電極と第6の電極間に印加される電圧と、がそれぞれ異なることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1に記載のスイッチング装置。
  15. 第1の電極と第2の電極間に印加される電圧と、第5の電極と第6の電極間に印加される電圧と、が同一であることを特徴とする請求項14に記載のスイッチング装置。
  16. 可動部の動作状態におけるスイッチング電極の形状が、ギャップ電極と対向する部分において、ギャップ電極に向かって凸状をなしていることを特徴とする請求項9〜15に記載のスイッチング装置。
  17. スイッチング電極のギャップ電極との接触部の凸形状が、スイッチング電極のギャップ電極との非接触部の凸形状よりも平面状に近いことを特徴とする請求項16記載のスイッチング装置。
  18. 第1の電極が可動部の両端部のうちの第1の端部寄りに形成され、第5の電極が前記第1の端部と反対側の第2の端部寄りに形成され、第3の電極が前記可動部の中央部寄りに形成されていることを特徴とする請求項9〜17のいずれか1に記載のスイッチング装置。
  19. 圧電素子を挟んで設けられた第1の電極対と、前記第1の電極対とは電気的に絶縁された状態で前記第1の電極対に隣接して設けられた第2の電極対とを備えたスイッチング装置において、前記第1の電極対間には第1の方向の電界を発生させ、同時に、前記第2の電極対間には第2の方向の電界を発生させることを特徴とする電界印加方法。
  20. 前記第1の電極対間に発生する電位差と前記第2の電極対間に発生する電位差がほぼ等しいことを特徴とする請求項19に記載の電界印加方法。
  21. 共通の電源により前記第1の電極対に電位差を発生させ、前記第2の電極対に電位差を発生させることを特徴とする請求項19,20のいずれか1に記載の電界印加方法。
  22. 圧電素子を用いたスイッチング装置において、前記圧電素子に電界を印加するための複数の電極対を含み、前記圧電素子に電界を印加するための複数の電極対における電界が、隣り合う電極対において概略反対方向であるように印加されることを特徴とするスイッチン
    グ装置。
  23. 前記圧電素子が薄膜プロセスによって形成されることを特徴とする請求項22に記載のスイッチング装置。
  24. 前記圧電素子がMgO基板上に形成されることを特徴とする請求項22,23のいずれか1に記載のスイッチング装置。
  25. 前記圧電素子がシリコン基板上に形成されることを特徴とする請求項22,23のいずれか1に記載のスイッチング装置。
  26. 圧電素子を用いたスイッチングシステムにおいて、圧電素子と、この圧電素子に電界を印加するための複数の電極対と、この電極対に電力を供給するための電気配線と、アンテナと送受信用高周波回路を電気的に接続させるための電極対と、前記圧電素子と前記高周波回路とを整合するためのカップラーと、を含み、前記圧電素子に電界を印加するための複数の電極対における電界が、隣り合う電極対において概略反対方向であるように印加されることを特徴とするスイッチングシステム。
  27. 前記スイッチングシステムが高周波遮蔽材料によりパッケージングされたことを特徴とする請求項26に記載のスイッチングシステム。
  28. 前記高周波遮蔽材料がガラスもしくは溶融シリカからなることを特徴とする請求項27に記載のスイッチングシステム。
  29. 圧電素子を用いたスイッチング装置であって、圧電素子と、圧電素子を含む第一の可動部と、第一の可動部と連結する2本からなって対をなし、圧電素子を含む第二の可動部と、前記第一の可動部および前記第二の可動部に電界を印加するための複数の電極対とを含み、前記複数の電極のうち、隣り合う電極対における電界が概略反対方向であるように印加する電界印加手段を備えたことを特徴とするスイッチング装置。
  30. 前記第一の可動部が、前記第二の可動部における最大変位部において、第二の可動部と連結することを特徴とする請求項15に記載のスイッチング装置。
  31. 圧電素子を用いたスイッチングシステムであって、圧電素子と、圧電素子を含む第一の可動部と、前記第一の可動部の周辺に設けられ、圧電素子を含む第二の可動部と、前記第一の可動部および前記第二の可動部に電界を印加するための複数の電極対と、これらの電極対に電力を供給するための電気配線と、アンテナと送受信用高周波回路を電気的に接続させるための電極対と、前記圧電素子と前記高周波回路とを整合するためのカップラーと、を含み、前記圧電素子に電界を印加するための複数の電極対における電界が、隣り合う電極対において概略反対方向であるように印加されることを特徴とするスイッチングシステム。
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