JP2004169602A - コージェネレーションシステム、及びコージェネレーションシステム制御方法 - Google Patents

コージェネレーションシステム、及びコージェネレーションシステム制御方法 Download PDF

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哲也 上田
Shinji Miyauchi
伸二 宮内
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彰成 中村
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Abstract

【課題】総合効率を低下させることなく、温水熱量の過不足を解消するコージェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】電力負荷量の状況に応じて出力制御手段19からの指令を受けて発電する発電装置1と、発電装置1で発生する熱を回収する排熱回収経路4と、排熱回収経路4で回収された熱を温水として貯える貯湯タンク10と、貯湯タンク10で貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置18と、電力負荷22、23の一つとしての電気暖房装置24と、制御装置25とを備え、制御装置25によって、合計熱負荷量に対する合計電力負荷量の比率が大きくなった時に暖房負荷要求量における温水暖房装置18の負荷量比率を大きくし、合計熱負荷量に対する合計電力負荷量の比率が小さくなった時に暖房負荷要求量における電気暖房装置24の負荷量比率を大きくするような暖房制御を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電装置において電気とともに発生する熱を回収して温水として供給するコージェネレーションシステム、及びコージェネレーションシステム制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギー性の観点から、電気と熱を同時に発生させエネルギー利用率を高めるという目的で、コージェネレーションシステムが様々な分野で使用されるようになってきた。このコージェネレーションシステムのメリットを充分生かすためには、発生する電気と熱を過不足なく100%使用することが望ましい。たとえば、一般家庭で1日に使用する電力量と熱(温水)量に対し、システムが発生する熱量の比率が多ければ、熱が余る(捨てる)こととなり、エネルギーを充分有効に使うことができない。また、反対にシステムが発生する電力量の比率が多ければ、電気を全て供給した後に熱量が不足し、何らかの追い焚き加熱をする必要が出てきて、エネルギーを余分に必要とする。
【0003】
すなわち、コージェネレーションシステムの熱出力と電力出力の比率である熱電比を、使用する熱負荷量と電力負荷量に一致させることが、省エネルギー性の観点から肝要である。
【0004】
このように熱電比を使用する熱負荷量と電力負荷量とに一致させる手段を持った従来のコージェネレーションシステムは、図2のような構成をしていた(例えば特許文献1参照。)。すなわち、51は水素供給手段としての燃料処理器で、改質器52、CO変成器53およびCO除去器54を備え、酸素供給手段としての送風機55とともに燃料電池56に接続されている。57は改質器52に設けられたバーナで、一方を燃料電池56に接続された未反応ガス管路58と、バーナ送風機59と、途中に熱交換器60を設けた排気ガス管路61とが接続されている。62、63はそれぞれポンプ64、65を備えタンク66に接続された冷却水経路で、それぞれ燃料電池56と熱交換器67に連通されている。68は給水路69と給湯路70を備えた貯湯タンクで、ポンプ71、72をそれぞれ備えた貯湯経路73、74を介して、それぞれ熱交換器67、60に接続されている。給湯路70には温水を使用する端末としての給湯負荷75、76が接続されている。77は燃料電池56に電気的に接続された出力制御手段で、電力を使用する端末としての電力負荷78、79に接続されている。
【0005】
つぎに、この従来のコージェネレーションシステムの動作について説明する。改質器52に供給された原燃料は、バーナ57の燃焼によって加熱され、改質反応で水素リッチガスへ変換され、CO変成器53およびCO除去器54で一酸化炭素を取り除いた後、燃料電池56へ供給される。燃料電池56では、水素リッチガス中の水素と、送風機55から供給された空気中の酸素とが反応し、直流電力が発生し、出力制御手段77で交流電力に変換された後、家庭などの電力負荷78、79に供給される。一方、燃料電池56で発電する時に発生する熱は、ポンプ64、65による冷却水の循環によって、冷却水経路62〜タンク66〜冷却水経路63〜熱交換器67の順に伝えられ、熱交換器67で熱交換された後、ポンプ71による水の循環によって、貯湯経路73を介して貯湯タンク68に伝えられ、温水として貯えられる。ここで貯えられた温水は、給湯路70から家庭などの給湯負荷75、76に供給される。燃料電池56へ供給された水素リッチガスの内、反応に使われなかった水素オフガスは、未反応ガス管路58を通ってバーナ57に供給され、バーナ送風機59から供給される空気と混合し燃焼される。この時発生する燃焼排気ガスは、排気ガス管路61を通って排出されるが、途中の熱交換器60で熱交換され、貯湯経路74のポンプ72による水の循環によって、貯湯タンク68内に温水として熱回収される。
【0006】
この従来のコージェネレーションシステムでは、バーナ送風機59の送風量を制御することによって、ある程度の熱出力と電力出力との比率である熱電比を変化させることができる。すなわち、送風量を多くすると改質器52内を通過する燃焼ガスの流速が速くなり十分熱交換されず、改質反応として与えられる熱量が低下し水素発生量が少なくなるため電力出力が低下する。一方、燃焼排気ガスの流量は増加するため熱交換器60で回収される排熱量は増加し、熱出力が増加することとなり、その結果熱電比を変化させることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−63924号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のコージェネレーションシステムで熱電比を変化させる場合、バーナ送風機59の送風量を増加させると、同じ原燃料の入力エネルギーに対する総合出力(電力出力+熱出力)が低下する、すなわち総合効率が低下するという課題があった。
【0009】
これは以下の理由による。送風量を増加させた時、改質反応として与えられる熱量が低下し、その分の熱量を燃焼排気ガスの熱交換で全て回収できれば総合出力は変わらないが、実際にはシステム外へ排出される燃焼排気ガスの温度T2はバーナ送風機59の吸気温度である機器周囲温度T1より高い(無限大の熱交換面積を持つ熱交換器を使わない限りT2=T1とはならない)ため、燃焼排気ガスの流量が増加するとシステム外へ持ち出される熱量も増加するものである。そのため、電力出力減少分のエネルギーの熱出力増加は見込めないので、総合効率は低下するものである。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、総合効率を低下させることなく、家庭などの熱負荷量と電力負荷量との比率に、発電装置の熱出力と電力出力との比率である熱電比を適応させるコージェネレーションシステムを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段(図1の19)からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置(図1の1)と、
前記発電装置(図1の1)で発生する熱を回収する排熱回収経路(図1の4)と、
前記排熱回収経路(図1の4)で回収された熱を温水として貯える貯湯タンク(図1の10)と、
前記貯湯タンク(図1の10)で貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置(図1の18)と、
前記発電装置(図1の1)で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置(図1の24)と、
制御装置(図1の25)とを備え、
前記電気暖房装置(図1の24)及び前記温水暖房装置(図1の18)以外の電力負荷(図1の22、及び23)及び熱負荷(図1の13、及び14)が接続されているコージェネレーションシステムであって、
前記制御装置(図1の25)は、前記温水暖房装置(図1の18)及び前記熱負荷の合計負荷量である合計熱負荷量に対する、前記電気暖房装置(図1の24)及び前記電力負荷の合計負荷量である合計電力負荷量の比率が大きくなった時に、暖房負荷要求量における前記温水暖房装置(図1の18)の負荷量比率を大きくするよう制御し、前記合計熱負荷量に対する前記合計電力負荷量の比率が小さくなった時に前記暖房負荷要求量における前記電気暖房装置(図1の24)の負荷量比率を大きくするよう制御するコージェネレーションシステムである。 また、第2の本発明は、前記制御装置(図1の25)は、前記合計熱負荷量と前記合計電力負荷量との比率が、前記発電装置(図1の1)の熱出力と電力出力との比率である熱電比に適応するように、前記温水暖房装置(図1の18)と前記電気暖房装置(図1の24)の負荷量比率を設定する第1の本発明のコージェネレーションシステムである。
【0012】
また、第3の本発明は、前記制御装置(図1の25)は、前記暖房負荷を除く一日の熱負荷量と電力負荷量との比率を前日までの状況から予測し、前記合計熱負荷量と前記合計電力負荷量との比率が前記発電装置(図1の1)の熱出力と電力出力との比率である熱電比に適応させるようにする第2の本発明のコージェネレーションシステムである。
【0013】
また、第4の本発明は、電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段(図1の19)からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置(図1の1)と、
前記発電装置(図1の1)で発生する熱を回収する排熱回収経路(図1の4)と、
前記排熱回収経路(図1の4)で回収された熱を温水として貯える貯湯タンク(図1の10)と、
前記貯湯タンク(図1の10)で貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置(図1の18)と、
前記発電装置で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置(図1の24)と、
制御装置(図1の25)とを備え、
前記電気暖房装置(図1の24)及び前記温水暖房装置(図1の18)以外の電力負荷及び熱負荷が接続されているコージェネレーションシステムであって、前記制御装置(図1の15)は、変動する電力負荷量に対して、前記電気暖房装置(図1の24)の負荷量を調整し、前記電力負荷及び前記電気暖房装置(図1の24)の負荷の合計負荷量である合計電力負荷量が一定になるように、前記温水暖房装置(図1の18)と前記電気暖房装置(図1の24)との負荷量比率を制御するコージェネレーションシステムである。
【0014】
また、第5の本発明は、前記温水暖房装置(図1の18)への温水供給は、前記貯湯タンク(図1の10)内の熱交換器(図1の16)で間接加熱された暖房循環経路(図1の15)によって行われる第1〜4の本発明のいずれかのコージェネレーションシステムである。
【0015】
また、第6の本発明は、前記温水暖房装置(図1の18)と前記電気暖房装置(図1の24)は一体化されている第1〜4の本発明のいずれかのコージェネレーションシステムである。
【0016】
また、第7の本発明は、前記発電装置(図1の1)は、水素と酸素とを反応させて発電を行う燃料電池である第1〜4の本発明のいずれかのコージェネレーションシステムである。
【0017】
また、第8の本発明は、電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置と、
前記発電装置で発生する熱を回収する排熱回収経路と、
前記排熱回収経路で回収された熱を温水として貯える貯湯タンクと、
前記貯湯タンクで貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置と、前記発電装置で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置とを備え、前記電気暖房装置及び前記温水暖房装置以外の電力負荷及び熱負荷が接続されているコージェネレーションシステムを制御するコージェネレーションシステム制御方法であって、
前記温水暖房装置及び前記熱負荷の合計負荷量である合計熱負荷量に対する、前記電気暖房装置及び前記電力負荷の合計負荷量である合計電力負荷量の比率が大きくなった時に、暖房負荷要求量における前記温水暖房装置の負荷量比率を大きくするよう制御し、前記合計熱負荷量に対する前記合計電力負荷量の比率が小さくなった時に前記暖房負荷要求量における前記電気暖房装置の負荷量比率を大きくするよう制御するコージェネレーションシステム制御方法である。
【0018】
また、第9の本発明は、電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置と、
前記発電装置で発生する熱を回収する排熱回収経路と、
前記排熱回収経路で回収された熱を温水として貯える貯湯タンクと、
前記貯湯タンクで貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置と、
前記発電装置で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置とを備え、
前記電気暖房装置及び前記温水暖房装置以外の電力負荷及び熱負荷が接続されているコージェネレーションシステムを制御するコージェネレーションシステム制御方法であって、
変動する電力負荷量に対して、前記電気暖房装置の負荷量を調整し、前記電力負荷及び前記電気暖房装置の負荷の合計負荷量である合計電力負荷量が一定になるように、前記温水暖房装置と前記電気暖房装置との負荷量比率を制御するするコージェネレーションシステム制御方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるコージェネレーションシステムのシステム構成図である。図1において、1は、発電装置の一例としての燃料電池で、水素供給手段としての燃料処理器2と、酸素供給手段としての送風機3とが接続されている。4は、冷却水循環ポンプ5を備えた冷却水経路6と、貯湯循環ポンプ7を備えた貯湯経路8とからなる排熱回収経路である。冷却水経路6の一方は燃料電池1に、もう一方は排熱交換器9に接続され、貯湯経路8の一方は貯湯タンク10に、もう一方は排熱交換器9に接続されている。貯湯タンク10には給水路11と給湯路12が設けられ、給湯路12には温水を使用する端末としての給湯負荷13、14が接続されている。また、貯湯タンク10内には暖房循環経路15の加熱手段の一例としての熱交換器16が設けられている。暖房循環経路15は暖房循環ポンプ17を備え、温水を使用する端末としての温水暖房装置18に接続されている。19は、燃料電池1に電気的に接続された出力制御手段で、電力負荷検知手段20を備えた電力供給ライン21を介して、電力を使用する端末としての電力負荷22、23および電力負荷の一つとしての電気暖房装置24に接続されている。25は、出力制御手段19、温水暖房装置18、電気暖房装置24などを制御する制御装置である。なお、温水暖房装置18と電気暖房装置24は、使用者にとっては同じ暖房の用途に使うものであるため、1つのパッケージ内に一体化することが望ましい。
【0021】
つぎに、本実施の形態1における動作を説明する。発電装置の一例としての燃料電池1には、水素供給手段としての燃料処理器2から水素が、酸素供給手段としての送風機3から空気中の酸素が供給され、この水素と酸素とが反応し直流電力が発生する。出力制御手段19は、燃料電池1で発生した直流電力を交流電力に変換し電力供給ライン21を通じて供給するとともに、電力負荷検知手段20で検知された電力負荷22、23および電気暖房装置24などの電力負荷量の状況に応じて燃料電池1の発電出力を制御する。一方、燃料電池1で発電する時に発生する熱は、冷却水循環ポンプ5による冷却水の循環によって冷却水経路6から排熱交換器9に伝えられ、排熱交換器9で熱交換された後、貯湯循環ポンプ7による水の循環によって、貯湯経路8を介して貯湯タンク10内に伝えられ、温水として貯えられる。ここで貯えられた温水は、給湯路12から家庭などの給湯負荷13、14に供給される。また、貯湯タンク10内に貯えられた温水の熱は、熱交換器16で暖房循環経路15に熱交換(間接加熱)され、暖房循環ポンプ17による水の循環によって温水暖房装置18に伝えられる。温水暖房装置18では温水と空気とを熱交換し、家庭などの室内の空気を加熱する暖房器として使用されるものである。これらの電気暖房装置24と温水暖房装置18を制御する暖房制御をはじめとする一連の制御は、制御装置25によって行われるものである。
【0022】
つぎに、本実施の形態1における電力供給と熱供給の運転方法について説明する。燃料電池1の発電運転制御は、電力負荷検知手段20で検知された家庭などの電力負荷22、23および電気暖房装置24の合計電力負荷量の状況に応じて電力出力を制御する。一方、家庭の風呂や洗面所などで温水を使用する場合は、貯湯タンク10内に貯えられた温水を供給する。また、家庭の室内などを暖房する場合は、貯湯タンク10に貯えられた温水の熱を利用して加熱を行う。これらの電力供給と熱供給は、いわゆる電主熱従と呼ばれる運転方法で行われる。すなわち、合計電力負荷量に応じて発電運転を行い、発生する熱は成り行きで貯湯タンク10に貯えられるものである。したがって、給湯負荷量と温水暖房負荷量を合算した合計熱負荷量に対し、貯湯タンク10内に貯えられる温水熱量(熱出力)は必ずしも一致しない。合計熱負荷量が温水熱量(熱出力)より多い場合は、別の加熱手段でバックアップする必要があり、また、温水熱量(熱出力)が合計熱負荷量より多い場合は、温水熱量を外部に放出する必要がある。そこで、合計熱負荷量と合計電力負荷量との比率が、コージェネレーションシステムの熱出力と電力出力との比率である熱電比に適応することが望ましい。
【0023】
本実施の形態1におけるコージェネレーションシステムの暖房制御では、制御装置25によって、合計熱負荷量に対する合計電力負荷量の比率が大きくなった時に暖房負荷要求量における温水暖房装置18の負荷量比率を大きくし、合計熱負荷量に対する合計電力負荷量の比率が小さくなった時に暖房負荷要求量における電気暖房装置24の負荷量比率を大きくするものである。
【0024】
以下に、もう少し具体的な暖房制御の説明を行う。電力負荷22の電力負荷量をE1、電力負荷23の電力負荷量をE2、電気暖房装置24の電力負荷量をEdとすると、合計電力負荷量Etは、Et=E1+E2+Edで表され、電力出力Eoは、この合計電力負荷量Etに一致するように制御される。一方、給湯負荷12の熱負荷量をH1、給湯負荷13の熱負荷量をH2、温水暖房装置18の熱負荷量をHdとすると、合計熱負荷量Htは、Ht=H1+H2+Hdで表される。いま、熱出力Hoが合計熱負荷Htに一致するようにバランスしていると仮定すると、E1やE1が大きくなりEtが大きくなった場合、Eoも増加するように制御される。この時、熱出力Hoと電力出力Eoとの比率である熱電比Ho/Eoは機器の特性として一定であるため、Eoの増加とともに必然的にHoも増加し、Ho>Htとなりバランスが崩れる。そこで、暖房負荷要求量D=Ed+Hdにおいて、温水暖房装置18の熱負荷量Hdの比率を大きくし、電気暖房装置24の電力負荷量Edの比率を小さくする。その結果、合計熱負荷量Htは増加し、合計電力負荷量Etは減少する。
【0025】
望ましくは、Ht/Et=Ho/Etに一致するように制御する。上記とは逆にE1やE1が小さくなりEtが小さくなった場合、温水暖房装置18の熱負荷量Hdの比率を小さくし、電気暖房装置24の電力負荷量Edの比率を大きくする。その結果、合計熱負荷量Htは増加し、合計電力負荷量Etは減少する。同様に、Ht/Et=Ho/Etに一致するように制御することが望ましい。
【0026】
次に、さらに具体的な暖房制御の説明を行う。図3に各パラメータの説明を示す。
【0027】
今、コージェネレーションシステムの総合出力をQとすると、総合出力はコージェネレーションシステムの電力出力と熱出力との和である。すなわち、次の数1が成立する。
【0028】
【数1】
Q=E0+H0
図3に示すように、仮にコージェネレーションシステムの熱電比を1:1とすると、次の数2が成立する。
【0029】
【数2】
H0=E0
また、上記と同様に暖房負荷量をD、電気暖房負荷量をEd、温水暖房負荷量をHdとすると、次の数3が成立する。
【0030】
【数3】
D=Ed+Hd
また、暖房負荷要求量以外の電力負荷量をX、暖房負荷以外の熱負荷量をYとする。コージェネレーションシステムの電力出力E0は、電気暖房負荷量Edと電力負荷量Xとの和に等しく、またコージェネレーションシステムの熱出力Hdは、温水暖房負荷量Hdと熱負荷量Yとの和に等しいので、次の数4が成立する。
【0031】
【数4】
E0=Ed+X
H0=Hd+Y
ここで数3、数4よりHdを消去すると、次の数5が成立する。
【0032】
【数5】
E0=Ed+X
H0=(D−Ed)+Y
数2を数5に代入して、H0を消去すると、次の数6が成立する。
【0033】
【数6】
E0=Ed+X
E0=(D−Ed)+Y
図3に示すように、コージェネレーションシステムの電力出力E0が5Kw、コージェネレーションシステムの熱出力H0が5Kw、暖房負荷量Dが2Kw、電力負荷量Xが4Kw、熱負荷量Yが4Kwである場合には、これらの数値を数6に代入して、次の数7が成立する。
【0034】
【数7】
E0=Ed+4
E0=6−Ed
数7はE0、Edに関する2元連立方程式のために解くことが可能であり、数7を解くと、E0=5Kw、Ed=1Kwとなる。
【0035】
つまり要求変数D、X、Yが決まれば、E0とEdを算出することができる。
【0036】
ただし、制約条件として、数6を解いた解が次の数8を満たすことが必要である。
【0037】
【数8】
0≦E0≦コージェネレーションシステムの電力の最大出力
0≦Ed≦D
すなわち、コージェネレーションシステムの熱電比が1:1の場合には、要求変数D、X、Yが決まれば、数6を解くことにより、E0とEdを算出することができる。ただしE0とEdは上記数8を満たす必要がある。このとき数2よりH0を求めることが出来、また、数3よりHdを求めることが出来る。
【0038】
なお、上記では、コージェネレーションシステムの熱電比が1:1の場合に、数8を満たしさえすれば、要求変数D、X、Yが決まった場合に、E0、H0、Ed、Hdを求めることが出来ることを示したが、これに限らず、熱電比が1:1以外の場合も同様の考察を行うことにより、要求変数D、X、Yが決まった場合に、E0、H0、Ed、Hdが決まる制約条件を求めることが出来る。
【0039】
なお、電力出力は瞬時の合計電力負荷量に一致するように制御すれば良いが、給湯負荷13、14などは瞬時に大きな熱負荷が発生することがあるため、貯湯タンク10に熱を貯えてバファーとして温水を供給している。このような熱供給の方法において、上記暖房制御を行うには、暖房負荷量を除く一日の熱負荷量(Ht−Hd)と電力負荷量(Et−Ed)との比率を前日までの状況から予測し、合計熱負荷量Htと合計電力負荷量Etとの比率Ht/Etが発電装置の熱出力Hoと電力出力Eoとの比率である熱電比Ho/Eoに一致させるように制御することが有効である。
【0040】
このように、合計熱負荷量と合計電力負荷量との比率が発電装置の熱出力と電力出力との比率である熱電比に適応するように、温水暖房装置18と電気暖房装置24の負荷量比率を設定することにより、総合効率(発電効率+熱回収効率)を低下させることなく、温水熱量(熱出力)の過不足を解消することができるものである。
【0041】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2におけるコージェネレーションシステムを、同じく図1にもとづいて説明する。実施の形態2の制御装置25は、変動する電力負荷22の電力負荷量E1および電力負荷23の電力負荷量E2に対し、電気暖房装置24の電力負荷量Edを調整し、合計電力負荷量Etが一定になるように温水暖房装置18と電気暖房装置24の負荷量比率を設定する。すなわち、合計電力負荷量Et=E1+E2+Edが一定、望ましくは発電装置の定格出力に一致するように、電気暖房装置24の電力負荷量Edと、暖房負荷要求量D=Ed+Hdにおける温水暖房装置18の熱負荷量Hdとを制御するようにしたものである。この暖房制御により、発電装置の電力出力Eoは常に一定(望ましくは定格一定運転)となり、出力変動時における効率ロスや耐久劣化を生じることなく、安定した長寿命運転を行うことができるものである。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、総合効率(発電効率+熱回収効率)を低下させることなく、別の加熱手段でのバックアップや温水熱量の外部放出を不要とし、温水熱量(熱出力)の過不足を解消することができるものである。
【0043】
また、本発明は、出力変動時における効率ロスや耐久劣化を生じることなく、安定した長寿命運転を行うという効果も奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1及び2における、コージェネレーションシステムのシステム構成図
【図2】従来のコージェネレーションシステムのシステムの構成図
【図3】本発明の実施の形態1におけるコージェネレーションシステムの暖房制御の説明図
【符号の説明】
1 燃料電池(発電装置)
4 排熱回収経路
10 貯湯タンク
15 暖房循環経路
16 熱交換器
18 温水暖房装置
19 出力制御手段
22 電力負荷
23 電力負荷
24 電気暖房装置
25 制御装置

Claims (9)

  1. 電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置と、
    前記発電装置で発生する熱を回収する排熱回収経路と、
    前記排熱回収経路で回収された熱を温水として貯える貯湯タンクと、
    前記貯湯タンクで貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置と、
    前記発電装置で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置と、
    制御装置とを備え、
    前記電気暖房装置及び前記温水暖房装置以外の電力負荷及び熱負荷が接続されているコージェネレーションシステムであって、
    前記制御装置は、前記温水暖房装置及び前記熱負荷の合計負荷量である合計熱負荷量に対する、前記電気暖房装置及び前記電力負荷の合計負荷量である合計電力負荷量の比率が大きくなった時に、暖房負荷要求量における前記温水暖房装置の負荷量比率を大きくするよう制御し、前記合計熱負荷量に対する前記合計電力負荷量の比率が小さくなった時に前記暖房負荷要求量における前記電気暖房装置の負荷量比率を大きくするよう制御するコージェネレーションシステム。
  2. 前記制御装置は、前記合計熱負荷量と前記合計電力負荷量との比率が、前記発電装置の熱出力と電力出力との比率である熱電比に適応するように、前記温水暖房装置と前記電気暖房装置の負荷量比率を設定する請求項1記載のコージェネレーションシステム。
  3. 前記制御装置は、前記暖房負荷を除く一日の熱負荷量と電力負荷量との比率を前日までの状況から予測し、前記合計熱負荷量と前記合計電力負荷量との比率が前記発電装置の熱出力と電力出力との比率である熱電比に適応させるようにする請求項2記載のコージェネレーションシステム。
  4. 電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置と、
    前記発電装置で発生する熱を回収する排熱回収経路と、
    前記排熱回収経路で回収された熱を温水として貯える貯湯タンクと、
    前記貯湯タンクで貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置と、
    前記発電装置で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置と、
    制御装置とを備え、
    前記電気暖房装置及び前記温水暖房装置以外の電力負荷及び熱負荷が接続されているコージェネレーションシステムであって、
    前記制御装置は、変動する電力負荷量に対して、前記電気暖房装置の負荷量を調整し、前記電力負荷及び前記電気暖房装置の負荷の合計負荷量である合計電力負荷量が一定になるように、前記温水暖房装置と前記電気暖房装置との負荷量比率を制御するコージェネレーションシステム。
  5. 前記温水暖房装置への温水供給は、前記貯湯タンク内の熱交換器で間接加熱された暖房循環経路によって行われる請求項1〜4のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
  6. 前記温水暖房装置と前記電気暖房装置は一体化されている請求項1〜4のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
  7. 前記発電装置は、水素と酸素とを反応させて発電を行う燃料電池である請求項1〜4のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
  8. 電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置と、
    前記発電装置で発生する熱を回収する排熱回収経路と、
    前記排熱回収経路で回収された熱を温水として貯える貯湯タンクと、
    前記貯湯タンクで貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置と、
    前記発電装置で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置とを備え、
    前記電気暖房装置及び前記温水暖房装置以外の電力負荷及び熱負荷が接続されているコージェネレーションシステムを制御するコージェネレーションシステム制御方法であって、
    前記温水暖房装置及び前記熱負荷の合計負荷量である合計熱負荷量に対する、前記電気暖房装置及び前記電力負荷の合計負荷量である合計電力負荷量の比率が大きくなった時に、暖房負荷要求量における前記温水暖房装置の負荷量比率を大きくするよう制御し、前記合計熱負荷量に対する前記合計電力負荷量の比率が小さくなった時に前記暖房負荷要求量における前記電気暖房装置の負荷量比率を大きくするよう制御するコージェネレーションシステム制御方法。
  9. 電力負荷量の増減に応じて出力を制御する出力制御手段からの制御に基づいて出力が制御されて発電する発電装置と、
    前記発電装置で発生する熱を回収する排熱回収経路と、
    前記排熱回収経路で回収された熱を温水として貯える貯湯タンクと、
    前記貯湯タンクで貯えられた温水の熱を利用して暖房を行う温水暖房装置と、
    前記発電装置で発電された電力を利用して暖房を行う電気暖房装置とを備え、
    前記電気暖房装置及び前記温水暖房装置以外の電力負荷及び熱負荷が接続されているコージェネレーションシステムを制御するコージェネレーションシステム制御方法であって、
    変動する電力負荷量に対して、前記電気暖房装置の負荷量を調整し、前記電力負荷及び前記電気暖房装置の負荷の合計負荷量である合計電力負荷量が一定になるように、前記温水暖房装置と前記電気暖房装置との負荷量比率を制御するするコージェネレーションシステム制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020165549A (ja) * 2019-03-28 2020-10-08 東京瓦斯株式会社 エネルギー管理制御装置

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