JP2004169384A - 扉の施錠機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】連動杆11の前方の側端縁に形成された一対のデッドカム切欠17、17の一方の開口端縁である係合端縁18、18によりデッドカム5の第1係合ピン16、16を連動して押下げて一対の施解錠ユニット3、3を同時に施錠する。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、扉の施錠機構(以下単に施錠機構という)に係り、特に、所謂ピッキングを不可能にした新規な施錠装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一つの扉に二つの施錠装置を装着した所謂ワンドア・ツーロックという施錠装置が実用されている。
【0003】
このワンドア・ツーロックは、一つの扉の自由側端縁に鉛直方向に沿って二つの錠箱を装着したもので、各錠箱は、少なくとも、デッドボルト及びこれを操作するデッドカム装置、シリンダ錠及び室内側のサムターンを有し、通常、二つのシリンダ錠は一つの合鍵で施解錠する。
【0004】
そして、このワンドア・ツーロック装置の存在理由は、ピッキングの操作を2倍にして、ピッキングを非常に困難にするためである。
【0005】
シリンダ錠が2個装着されていると、犯罪者の心理的な限界時間である1個のシリンダ錠のピッキング時間が2倍になるので、犯罪者がピッキングの実行を躊躇し、その為ワンドア・ツーロックは防犯上安全な施錠装置であることが実証されている。
【0006】
しかしながら、合鍵の正規の所有者にとっても施解錠操作が2倍になるので、しばしば面倒になり、外出時1個のシリンダ錠のみを施錠することが常態になると、折角のワンドア・ツーロックが通常の施錠装置と変らなくなってしまう。
【0007】
そこで、本出願人等は、先に、例えば特願2000−066652を以て、ワンドア・ツーロックの施錠時における操作性を向上させた扉の施錠装置を提案した。
【0008】
この扉の施錠装置は、外出時、シツガイ側からワンドア・ツーロックの何れかのシリンダ錠を施錠すると、これに連動して他方のシリンダ錠も施錠されるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特願2000−066652によって提案された発明は、少し構造が複雑である、という恨みが残る。
【0010】
また、施錠するときには一方のシリンダ錠のみを施錠すればよいが、室内側からサムターンを操作して解錠する場合には、両方のシリンダ錠を別個に解錠しなければならず、要するに操作が面倒である、という不都合がある。
【0011】
そこで、請求項1に記載の発明は、上記特願2000−066652によって提案された発明を改良し、簡単な構造の扉の施錠機構を提供することを目的としている。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、2重にロックされたシリンダ錠を室外側から1個のサムターンで連動して解錠できるようにした扉の施錠機構を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、フロント板に垂直な前後方向に案内されたデッドボルトと、直接シリンダ錠の内筒に、クラッチを介してサムターンに夫々連結され、フロント板から前方に突出する施錠位置及び錠箱内に引込む解錠位置の何れかにデッドボルトを選択的に駆動するデッドカムとを夫々有する1対の施解錠ユニットを、1個の錠箱内に上下方向に沿って連設し、各デッドカムに近接してその後方に、上下方向に延在し、同方向に移動可能に案内された連動杆をデッドカムの一部と重合するように配設し、一方、連動杆と重合可能なデッドカムの外辺部に、デッドカムが施錠角度位置にあるとき連動杆から離間し、解錠角度位置にあるとき連動杆と干渉する係合ピンを連動杆に向けて突設し、デッドカムが解錠角度位置にあるときその係合ピンと干渉する連動杆の前方の側端縁の部分に、1対の係合ピンの夫々に対応して、1対の上下方向に長いデッドカム切欠を形成し、施解錠時係合ピンと係合する切欠の上又は下の開口端縁を係合端縁に指定すると共に、一端部を連動杆の切欠の他方の開口端縁部に回動可能に支承された1対の制御レバーを設け、連動杆が解錠位置にあるとき、この制御レバーの他端縁と連動杆のデッドカム切欠の係合端縁との間に係合ピンを挟み、連動杆が施錠位置にあり、デッドカムが解錠角度位置にあるとき、デッドカムの施錠方向の回動に対し制御レバーの他端部が後方に移動する方向に回動して係合ピンとの干渉を避けるようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、フロント板に垂直な前後方向に案内されたデッドボルトと、シリンダ錠の内筒に連係され、フロント板から前方に突出する施錠位置及び錠箱内に引込む解錠位置の何れかにデッドボルトを選択的に駆動するデッドカムとを夫々有する1対の施解錠ユニットを、1個の錠箱内に上下方向に沿って連設すると共に、室内側のサムターンに連結されたサムターンカム、及び一対のデッドカムを上下方向に沿って配設し、各カムに近接してその後方に、上下方向に延在し、同方向に移動可能に案内された第1及び第2連動杆を相互に重合するように、かつ、デッドカム或いはサムターンカムの一部と重合するように配設し、一方、第1連動杆と重合可能なデッドカムの外辺部に、デッドカムが施錠角度位置にあるとき第1連動杆から離間し、解錠角度位置にあるとき第1連動杆と干渉する第1係合ピンを第1連動杆に向けて突設し、デッドカムが解錠角度位置にあるときその第1係合ピンと干渉する第1連動杆の前方の側端縁の部分に、1対の第1係合ピンの夫々に対応して、1対の上下方向に長いデッドカム切欠を形成し、施解錠時第1係合ピンと係合するデッドカム切欠の上又は下の開口端縁を係合端縁に指定すると共に、一端部を第1連動杆のデッドカム切欠の他方の開口端縁部に回動可能に支承された1対の制御レバーを設け、第1連動杆が解錠位置にあるとき、この制御レバーの他端縁と第1連動杆のデッドカム切欠の係合端縁との間に第1係合ピンを挟み、第1連動杆が施錠位置にあり、デッドカムが解錠角度位置にあるとき、デッドカムの施錠方向の回動に対し制御レバーの他端部が後方に移動する方向に回動して第1係合ピンとの干渉を避けるようにし、他方、第1連動杆と重合可能なサムターンカムの外辺部に、サムターンカムが施錠角度位置にあるとき第1連動杆から離間し、解錠角度位置にあるとき第1連動杆と干渉する第1サムターンピンを第1連動杆に向けて突設し、サムターンカムが解錠角度位置にあるときその第1サムターンピンと干渉する第1連動杆の前方の側端縁の部分に、上下方向に長い切りサムターン切欠を形成し、このサムターン切欠にデッドカム切欠におけると同じ態様で制御レバーを設け、以て解錠位置にある第1連動杆を、制御レバー及び第1サムターンピンとの係合を介して施錠方向に移動させ、第1及び第2デッドカムを同時に施錠方向に回動させることができるようにし、また、第2連動杆と重合可能なデッドカムの外辺部に、デッドカムが解錠角度位置にあるとき第2連動杆から離間し、施錠角度位置にあるとき第2連動杆と干渉する第2係合ピンを第2連動杆に向けて突設すると共に、第2連動杆の前方の側端縁に第2係合ピンの夫々に解錠方向から係合する一対の解錠段部を形成し、加えて、サムターンカムの第2連動杆と干渉する外辺部に第2サムターンピンを第2連動杆に向けて突設し、これに対応して、サムターンカムが解錠角度位置にあるとき第2サムターンピンと干渉する第2連動杆の部分に、第2サムターンピンを挟むようにして係合する作動切欠を形成したことを特徴とする。
【0015】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、説明の都合上請求項2に記載された発明について説明する。それは、請求項1に記載の発明は、請求項2に記載の発明に内包されるからである。
【0016】
図1において符号1は錠箱を示し、この錠箱1は、フロント板2を扉の自由側端縁と同一面にして扉の自由側端縁部に埋設される。
【0017】
この錠箱1内には、1対の施解錠ユニット3、3が上下方向に沿って連設されている。
【0018】
各施解錠ユニット3は、少なくとも、デッドボルト4とデッドカム5とを備え、その内デッドボルト4は、図示を省略する案内機構によってフロント板に垂直な前後方向(図で左右方向)に移動可能に案内されている。
【0019】
また、デッドカム5は、図示を省略するシリンダ錠の内筒に連係され、デッドボルト4をフロント板2から前方に突出した施錠位置と、錠箱1内に引込む解錠位置(図1参照)の何れかに選択的に駆動する。
【0020】
なお、図示の実施例では、下方のデッドカム5はその外周に突設されたアーム6をデッドボルトに形成された切欠7に係合させ、デッドカム5の時計方向の回動によりデッドボルトを突出させて施錠する。
【0021】
一方、上方のデッドカム5は、その外周部に形成された歯車を扇形ギア8に伝達し、この扇形ギアに形成された付番しない作動アームを介してデッドボルト4を駆動するように形成されている。
【0022】
上記下方のデッドカム5も、その時計方向の回動によりデッドボルトを突出させて施錠する。
【0023】
なお、図示の実施例では各デッドカム5を直接シリンダ錠の内筒に連結するものとしたが、上記特願2000−066652の明細書の実施例のように、他の部材を介してシリンダ錠に連結するようにしてもよい。
【0024】
しかしながら、請求項1に記載の発明においては、デッドカム5のシリンダ錠の内筒を直結することが必要条件で、このようにすることにより扉の施錠機構をコンパクト、かつ簡単にすることができる。
【0025】
また、請求項1に記載の発明においては、各デッドカム5はクラッチを介して夫々サムターンに連結されることは言うまでもない。
【0026】
一方、図1及び図2において符号9はサムターンカムを示し、このサムターンカム9は扉の自由側端縁部内面に設けられたサムターンに直結されている。なお、請求項1に記載の発明、或いは前記特願2000−066652に記載された発明と異なり、請求項2に記載の発明においては、室内側のサムターンは一つだけである。
【0027】
これ等サムターンカム、及び一対のデッドカム5、5は、図1及び図2に示すように、錠箱1の後方において上下方向に連設され、夫々錠箱の側板に平行な平面内で回動できるように案内されている。
【0028】
また、各カムに近接してその後方に、上下方向に延在し、同方向に移動可能に案内された第1及び第2連動杆11、12が相互に重合するように、かつ、デッドカム5、5及びサムターンカム9の一部と重合するように配設されている。
【0029】
上記第1連動杆11は、図3及び図4に示すように、細長い板状体で前方(図で左方)の側端縁に3ヵ所の切欠を形成した連動板11aの一対を、図示しない短い支柱で相互間に隙間を保つようにして一体に結合した杆体で、その長さ方向における中央部の2ヵ所をガイドピン13、13によって上下方向に摺動可能に案内されている。
【0030】
一方、第2連動杆12は、図5に示すように連動板11aとほぼ同じ長さ、同じ幅の板状体で、その前方の側端縁に4ヵ所の切欠が形成されており、また、第1連動杆11と同様に、同じガイドピン13、13によって上下方向に摺動可能に案内されている。
【0031】
なお、上記第1及び第2連動杆11、12は、図2及び図3に示すように、相互に接合しかつ重合するように配設されているが、図面を明瞭にするため、図5においてはこれ等の連動杆11、12を展開して示している。これ等が展開されて示されている他の図においても同様である。
【0032】
また、図2において下方に示されているデッドカム5は、図3に示すように、3枚の蛇の目状のカム板14、14、14を結合ピン15、15によって同軸かつ相互に積層してなる。
【0033】
そして、第1連動杆11と重合可能なデッドカム5の外辺部には、デッドカム5が図7に示すように施錠角度位置にあるとき第1連動杆11から離間し、図2に示すように解錠角度位置にあるとき第1連動杆11と干渉する第1係合ピン16が第1連動杆11に向けて突設されている。
【0034】
図示の実施例では、図3で一番上のカム板14の第1連動杆11と重合する外辺部下面に第1係合ピン16が下向きに突設されている。これは図2で中央に示されているデッドカム5においても同様である。
【0035】
また、デッドカム5が図2に示すように解錠角度位置にあるとき、その第1係合ピン16と干渉する第1連動杆11の前方の側端縁の部分に、1対の第1係合ピンの夫々に対応して、図4に示すように1対の上下方向に長いデッドカム切欠17、17が形成されており、上記第1係合ピン16はこのデッドカム切欠17と係合する。
【0036】
そして、各デッドカム切欠17の、施解錠時第1係合ピン16と係合する一方の開口端縁(図4に示す実施例では上方の開口端縁)が係合端縁18として指定されている。
【0037】
一方、デッドカム切欠17の図4における下方、すなわち、デッドカム切欠の他方の開口端縁部には、一端部を当該他方の開口端縁部に回動可能に支承された制御レバー19が設けられている。
【0038】
図示の実施例では、この制御レバー19は板材を断面細長いコ字形で(図3参照)、全体の形状がL字形の部材(図4参照)である。
【0039】
各制御レバー19は、夫々その一端部(屈曲部)を回動可能に支承されると共に、図示しないばねにより図4で半時計方向に付勢されているが、外力が作用しない常態においては、図4で最下段の制御レバーのようにストッパーピン20に係止され、直立した角度位置を保つ。
【0040】
しかしながら、後述するように第1係合ピン16に押動されると、図4で中段の制御レバーのように時計方向に回動して係合ピンとの干渉を避ける。
【0041】
他方、第1連動杆11と重合可能な前記サムターンカム9(図2参照)の外辺部に、サムターンカムが施錠角度位置にあるとき第1連動杆11から離間し(図7参照)、解錠角度位置にあるとき第1連動杆11と干渉する(図2参照)第1サムターンピン21が第1連動杆11に向けて突設されている。
【0042】
具体的には、図3に示すデッドカムと同様の構成であるから、更に詳細な説明は省略する。
【0043】
また、図2及び図4に示すように、サムターンカム9が解錠角度位置にあるときその第1サムターンピン21と干渉する第1連動杆11の前方の側端縁の部分に、上下方向に長いサムターン切欠22(図4参照)が形成されている。
【0044】
そして、このサムターン切欠22の図4における下方には、前記デッドカム切欠におけると同様の態様で制御レバー19が設けられており、後述するように、サムターンカム9の第1サムターンピン21は、この制御レバー19の自由端縁(図4における制御レバーの上端)と係合する。
【0045】
なお、サムターン切欠22においては、図4に示すように、デッドカム切欠17における係合端縁18は形成されておらず、このサムターン切欠22における係合端縁に相当する構成は、後述するように第2連動杆12に形成されている。
【0046】
また、図2及び図3に示すように、第2連動杆12と重合可能なデッドカムの外辺部に、デッドカム5が解錠角度位置にあるとき第2連動杆12から離間し、図7に示すようにデッドカム5が施錠角度位置にあるとき第2連動杆12と干渉する第2係合ピン23が第2連動杆に向けて突設されている。
【0047】
具体的には、図3に示すように、下から2番目のカム板14の外辺部の所定の角度位置に、第2係合ピン23が下向きに突設されている。
【0048】
ちなみに、図3において最下段のカム板14はスペーサーとなっており、その上のカム板、すなわち上記第2係合ピン23を担持しているカム板の外周縁の所定の角度位置に、前記アーム6(図1参照)が突設されているものとする。
【0049】
更にまた、図5に示すように、第2連動杆12の前方の側端縁に、第2係合ピン23、23の夫々に解錠方向(図5で下方)から係合する一対の解錠段部24、24が形成されている。
【0050】
そして、図7に示すようにデッドカム5が施錠角度位置にあるとき、その第2係合ピンがこの解錠段部24と係合する。
【0051】
加えて、サムターンカム9の第2連動杆12と干渉する外辺部に、第2サムターンピン25が第2連動杆12に向けて突設されている。
【0052】
この第2サムターンピン25のサムターンカム9における結合の態様は、前記デッドカム5における第2係合ピン23のそれと同様であるから(図3参照)、更に詳細な説明は省略する。
【0053】
また、これに対応して、サムターンカムが解錠角度位置にあるとき(図2及び図5参照)第2サムターンピン25と干渉する第2連動杆12の部分に、第2サムターンピン25を挟むようにしてこれと係合する作動切欠26が形成されている。
【0054】
ちなみに、この作動切欠26の上方の端縁がデッドカム切欠17の係合端縁18に、下方の端縁が制御レバー19の自由端縁に相当する。
【0055】
上記のように構成された請求項2に記載の扉の施解錠機構は次のように作用する。なお、説明の都合上図5に示す解錠状態から出発して説明する。
【0056】
ちなみに、図5に示す第1及び第2連動杆11、12は図2に示すように重合しているが、図面を明瞭にするため図5のようにこれらの連動杆11、12を展開して示し、また、サムターンカム9は第1連動杆11にも、また第2連動杆12にも係合するのだが、図では第2連動杆12に関連させて示してある。これは他の図においても同様である。
【0057】
更にまた、請求項2に記載の発明においては、サムターンは室内側に1個だけ設けられており、加えて、請求項1及び請求項2に記載の発明に共通して、扉外面におけるシリンダ錠の鍵穴は上下方向に2個ある。
【0058】
図5の解錠状態では、1対のデッドカム5、5及びサムターンカム9共、夫々設定された回動範囲において、最大限反時計方向に回動した角度位置にある。
【0059】
例えば外出のため室外側から施錠する場合には、請求項1に記載の発明においても、また、請求項2に記載の発明においても、2つのシリンダの何れか一方を合鍵により施錠方向に作動させればよい。
【0060】
例えば扉外面上方の鍵穴に合鍵を挿入し、これを施錠方向に回動させると、図6に示すように、それまでデッドカム切欠の係合端縁18に当接していた上方のデッドカム5の第1係合ピン16が、係合端縁18の下方の隙間を遊動し、制御レバー19の自由端縁に当接するに致る。
【0061】
この状態から更に合鍵を施錠方向に回すと、上方のデッドカムの第1係合ピン16が制御レバー19を下方に押動するので、第1連動杆11も一体的に下方に押動される。
【0062】
そのため、第1連動杆の下方の係合端縁18が下方のデッドカムの第1係合ピン16を下方に押動するから、上下一対のデッドカム5、5が連動して施錠方向に回動し始める。
【0063】
その回動の初期において、各デッドカム5の第2係合ピン23、23が第2連動杆12の開錠段部24(図5参照)に当接し、第1連動杆12の下降に僅か遅れて第2連動杆12も下方に移動する。
【0064】
すると、第2連動杆12の下降に伴い、その作動切欠26(図5参照)がサムターンカム9の第2サムターンピン25を下方に押動するから、結局、上方のデッドカム5を駆動部材として、下方のデッドカム5及びサムターンカム9が従動して時計方向に回動し、第1及び第2連動杆11、12が下方に移動する。
【0065】
そして、図7に示すように、一対のデッドカム5、5、サムターンカム9は設定された回動範囲内で最大限時計方向に回動した角度位置に致り、一対のシリンダ錠は施錠されると共に、第1及び第2連動杆11、12は共に施錠位置に迄下降する。
【0066】
すなわち、外出時には二つのシリンダ錠の内の何れか一方を施錠すれば、他のシリンダ錠はこれに連動して自動的に施錠でき、すなわち、二つのシリンダ錠をワンタッチで同時に施錠できる。
【0067】
なお、図示の機構は結局カム装置を構成するが、例えば第1係合ピン16による第1及び第2連動杆のストロークが足りない場合、図6及び図7に示すように公知の思案ばね27を設け、ストロークの足りない部分を補うを可とする。これは、回転するデッドカム5、5及びサムターンカム9においても同様である。
【0068】
或いは、各部材の形状寸法を適切に設定して、これらの機構を確動カム機構としてもよい。
【0069】
帰宅して解錠する場合には、結論を先に言えば、二つのシリンダ錠を夫々別個に解錠しなければならず、そのため所謂ピッキングが非常に困難になって錠前の安全性が向上する。
【0070】
すなわち、図7に示すように二つのシリンダ錠の両施錠の状態から例えば下方のシリンダ錠に合鍵を挿入してこれを図で反時計方向、砂和は解錠方向に回動したとする。
【0071】
すると、図7で下方のデッドカム5の第1係合ピン16が反時計方向に回動し、下方のデッドカム切欠17の係合端縁18に係合して第1連動杆11を上方に押上げる。
【0072】
このとき、図7から明らかなように、上方のデッドカム切欠17の制御レバー19は上方のデッドカムの第1係合ピンと離間しているから、下方のデッドカムは単独で解錠方向に回動すると共に、これと係合する第1連動杆11を上方に押上げ、図8に示す半解錠状態に致る。
【0073】
このときには、図8に示すように、下方のデッドカムの第2係合ピン23は第2連動杆12と干渉することなく反時計方向に回動して図示の位置に致るから、第2連動杆12は下降した位置を保つ。
【0074】
次いで、上方のシリンダ錠の鍵穴に合鍵を挿入してこれを解錠方向に回すと、上方のデッドカム5の第1係合ピン16は上方の制御レバー19を図4に示すように倒しつつ反時計方向に回動し、図9に示すような角度位置に致る。
【0075】
すなわち、上方のデッドカム5は第1及び第2連動杆11、12と干渉することなく独立して反時計方向に回動することができ、上方のシリンダ錠が解錠される。
【0076】
上記一対のデッドカムによる施解錠操作は、請求項1に記載の発明と同様である。
【0077】
一方、請求項2に記載の発明においては、図9に示す状態、すなわち、デッドカム5、5が解錠され、サムターンカム9が施錠角度位置にある状態において、サムターンカム9を室内側から反時計方向に回すと、その第2サムターンピン25が第2連動杆12の係合端縁と係合し、第2連動杆12を押上げて図5に示す状態に戻る。
【0078】
このとき、サムターンカム9の第1サムターンピン21が第1連動杆11のサムターン切欠22内で反時計方向に回動するが、このときにはサムターン切欠22内の制御レバーを図4に示すように押し倒しつつ回動するから、サムターンカムが第1連動杆と干渉することはない。
【0079】
一方、請求項2に記載の発明において、図5に示すように解錠して屋内に入り室内側から施錠するときには、サムターンカム9を図5で時計方向に回動する。
【0080】
すると、サムターンカム9の第1サムターンピン21が、第1連動杆のサムターン切欠22における制御レバー19の自由端縁に当接し、この制御レバー19を介して第1連動杆11を下方に押動する。
【0081】
従って、この第1連動杆のデッドカム切欠における係合端縁18が夫々上下のデッドカム5を施錠方向に回動させる。
【0082】
同時に、サムターンカム9の第2係合ピンと第2連動杆の作動切欠22との係合を介して、他性2連動ピンも施錠方向である下方に押動され、図7に示すように施錠される。
【0083】
他方、外出のため室内側からシリンダ錠を解錠して屋外にでるには、図7に示す施錠状態において室内側からサムターンカム9を解錠方向、すなわち反時計方向に回す。
【0084】
すると、図7から明らかなように、サムターンカムの第2サムターンピン25と作動切欠26との係合により、サムターンカム9の反時計方向の回動に伴って第2連動杆12が上方に押動される。
【0085】
この押動に伴い、第2連動杆の解錠段部24が夫々デッドカムの第2係合ピン23を反時計方向に回動させるから、上下のデッドカムは夫々解錠方向に回動され、途中からデッドカム切欠における制御レバー19の自由端縁がデッドカムの第1係合ピン16を押上げる態様でデッドカム5を解錠方向に回動させ、図5に示す解錠状態に戻る。
【0086】
このとき、デッドカムの第1係合ピン16がデッドカム切欠の係合端縁18と当接させるようにするには、各デッドカム5に前記した思案ばね装置を組込む。
【0087】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1及び2に記載の発明は、連動杆に形成された一対の係合端縁により一対のデッドカムを同時に施錠方向に回動させることができるから、一方の施解錠ユニットの施錠方向の作動により他方の施解錠ユニットを同時に施錠することができ、施解錠装置の使い勝手が向上する。
【0088】
また、一方の施解錠ユニットを解錠するときには、他方の施解錠ユニットの係合ピンの連動杆との係合を解いた状態で連動杆を移動させるので、解錠は従来通り施解錠ユニットごとに独立して行うことができ、施解錠装置の安全性を損うことはない。
【0089】
更にまた、請求項2に記載の発明は、サムターンカムに連係される第2連動杆、及び一対のデッドカムに連係される第1連動杆を介してサムターンをデッドカムに連係させるようにしたので、上記請求項1に記載の効果に加えて、室内側からのサムターンの操作により、一対の施解錠ユニットを連動して同時に施解錠することができる、等種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構を組込んだ錠箱の側面図。
【図2】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構の正面図。
【図3】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構の底面図。
【図4】第1連動杆の正面図。
【図5】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構の部材を展開して示す正面図で、一対のデッドカムが解錠角度位置にある状態を示す。
【図6】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構の部材を展開して示す正面図で、上方のデッドカムを施錠のため回動し始めた状態を示す。
【図7】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構の部材を展開して示す正面図で、上方のデッドカムを施錠角度位置にまで駆動した状態を示す。
【図8】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構の部材を展開して示す正面図で、一対のデッドカムを施錠角度位置にまで駆動した状態を示す。
【図9】請求項2に記載の発明の一実施例による施錠機構の部材を展開して示す正面図で、一対のデッドカムを施錠角度位置に駆動しかつ第2連動杆を解錠状態に戻した状態を示す。
【符号の説明】
1 錠箱
2 フロント板
3 施解錠ユニット
4 デッドボルト
5 デッドカム
6 アーム
9 サムターンカム
11 第1連動杆
12 第2連動杆
16 第1係合ピン
17 デッドカム切欠
18 係合端縁
19 制御レバー
21 第1サムターンピン
22 サムターン切欠
23 第2係合ピン
24 解錠段部
25 第2サムターンピン
26 作動切欠
27 思案ばね
Claims (2)
- フロント板に垂直な前後方向に案内されたデッドボルトと、直接シリンダ錠の内筒に、クラッチを介してサムターンに夫々連結され、フロント板から前方に突出する施錠位置及び錠箱内に引込む解錠位置の何れかにデッドボルトを選択的に駆動するデッドカムとを夫々有する1対の施解錠ユニットを、1個の錠箱内に上下方向に沿って連設し、各デッドカムに近接してその後方に、上下方向に延在し、同方向に移動可能に案内された連動杆をデッドカムの一部と重合するように配設し、一方、連動杆と重合可能なデッドカムの外辺部に、デッドカムが施錠角度位置にあるとき連動杆から離間し、解錠角度位置にあるとき連動杆と干渉する係合ピンを連動杆に向けて突設し、デッドカムが解錠角度位置にあるときその係合ピンと干渉する連動杆の前方の側端縁の部分に、1対の係合ピンの夫々に対応して、1対の上下方向に長いデッドカム切欠を形成し、施解錠時係合ピンと係合するデッドカム切欠の上又は下の開口端縁を係合端縁に指定すると共に、一端部を連動杆の切欠の他方の開口端縁部に回動可能に支承された1対の制御レバーを設け、連動杆が解錠位置にあるとき、この制御レバーの他端縁と連動杆の切欠の係合端縁との間に係合ピンを挟み、連動杆が施錠位置にあり、デッドカムが解錠角度位置にあるとき、デッドカムの施錠方向の回動に対し制御レバーの他端部が後方に移動する方向に回動して係合ピンとの干渉を避けるようにしたことを特徴とする扉の施錠機構。
- フロント板に垂直な前後方向に案内されたデッドボルトと、シリンダ錠の内筒に連係され、フロント板から前方に突出する施錠位置及び錠箱内に引込む解錠位置の何れかにデッドボルトを選択的に駆動するデッドカムとを夫々有する1対の施解錠ユニットを、1個の錠箱内に上下方向に沿って連設すると共に、室内側のサムターンに連結されたサムターンカム、及び一対のデッドカムを上下方向に沿って配設し、各カムに近接してその後方に、上下方向に延在し、同方向に移動可能に案内された第1及び第2連動杆を相互に重合するように、かつ、デッドカム或いはサムターンカムの一部と重合するように配設し、一方、第1連動杆と重合可能なデッドカムの外辺部に、デッドカムが施錠角度位置にあるとき第1連動杆から離間し、解錠角度位置にあるとき第1連動杆と干渉する第1係合ピンを第1連動杆に向けて突設し、デッドカムが解錠角度位置にあるときその第1係合ピンと干渉する第1連動杆の前方の側端縁の部分に、1対の第1係合ピンの夫々に対応して、1対の上下方向に長いデッドカム切欠を形成し、施解錠時第1係合ピンと係合するデッドカム切欠の上又は下の開口端縁を係合端縁に指定すると共に、一端部を第1連動杆のデッドカム切欠の他方の開口端縁部に回動可能に支承された1対の制御レバーを設け、第1連動杆が解錠位置にあるとき、この制御レバーの他端縁と第1連動杆のデッドカム切欠の係合端縁との間に第1係合ピンを挟み、第1連動杆が施錠位置にあり、デッドカムが解錠角度位置にあるとき、デッドカムの施錠方向の回動に対し制御レバーの他端部が後方に移動する方向に回動して第1係合ピンとの干渉を避けるようにし、他方、第1連動杆と重合可能なサムターンカムの外辺部に、サムターンカムが施錠角度位置にあるとき第1連動杆から離間し、解錠角度位置にあるとき第1連動杆と干渉する第1サムターンピンを第1連動杆に向けて突設し、サムターンカムが解錠角度位置にあるときその第1サムターンピンと干渉する第1連動杆の前方の側端縁の部分に、上下方向に長い切りサムターン切欠を形成し、このサムターン切欠にデッドカム切欠におけると同じ態様で制御レバーを設け、以て解錠位置にある第1連動杆を、制御レバー及び第1サムターンピンとの係合を介して施錠方向に移動させ、第1及び第2デッドカムを同時に施錠方向に回動させることができるようにし、また、第2連動杆と重合可能なデッドカムの外辺部に、デッドカムが解錠角度位置にあるとき第2連動杆から離間し、施錠角度位置にあるとき第2連動杆と干渉する第2係合ピンを第2連動杆に向けて突設すると共に、第2連動杆の前方の側端縁に第2係合ピンの夫々に解錠方向から係合する一対の解錠段部を形成し、加えて、サムターンカムの第2連動杆と干渉する外辺部に第2サムターンピンを第2連動杆に向けて突設し、これに対応して、サムターンカムが解錠角度位置にあるとき第2サムターンピンと干渉する第2連動杆の部分に、第2サムターンピンを挟むようにして係合する作動切欠を形成したことを特徴とする扉の施錠機構。
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JP2007107268A (ja) * | 2005-10-13 | 2007-04-26 | Tostem Corp | 連動補助錠を備えた開口部装置 |
JP2011174343A (ja) * | 2010-02-25 | 2011-09-08 | Kokuyo Co Ltd | 施解錠装置及び開閉装置 |
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2002
- 2002-11-19 JP JP2002335631A patent/JP4289655B2/ja not_active Expired - Fee Related
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