JP2004168608A - 木質系バイオマスから活性炭を得るシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】運用性に優れた木質系バイオマスから活性炭を得るシステムとする。
【解決手段】木質系バイオマスBの炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段1と、この炭化・賦活処理手段1に所定量の木質系バイオマスBを自動供給する供給手段2,3と、炭化・賦活処理手段1において発生した乾留ガスG1を燃焼する燃焼手段6と、この燃焼手段6において発生した排ガスG3の除塵を行う除塵手段8,9と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】木質系バイオマスBの炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段1と、この炭化・賦活処理手段1に所定量の木質系バイオマスBを自動供給する供給手段2,3と、炭化・賦活処理手段1において発生した乾留ガスG1を燃焼する燃焼手段6と、この燃焼手段6において発生した排ガスG3の除塵を行う除塵手段8,9と、を備える。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系バイオマスから活性炭を得るシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、資源の有効利用を図るために、製材残材、建築廃材、ダム・河川の流木などの木質系バイオマスを炭化し、得られた炭化物をエネルギー源として利用することがなされている。しかしながら、木質系バイオマスをエネルギー源として利用するのみでは、その利用量が限られてくる。そこで、さらなる用途が模索され、現在では、かかる炭化物を賦活して、活性炭とし、土壌改良材や、融雪材、調湿材、吸着材などとして利用する試みがなされている。
【0003】
そして、木質系バイオマスから活性炭を得る従来のシステムとしては、以下に示すものがあった。
まず、図1の(1)に示すような、炭化装置101と賦活装置102とが別個独立に設けられたシステム100である。このシステム100では、木質系バイオマスBを適宜乾燥するなどした後、炭化装置101に供給し、得られた炭化物Tを賦活装置102に移送し、活性炭Aを得る。
また、図1の(2)に示すような、横長のロータリーキルン201が設けられたシステム200もあった。このシステム200では、木質系バイオマスBをロータリーキルン201内で搬送しつつ、その搬送過程において、連続的に炭化・賦活して活性炭Aを得る。
【0004】
さらに、図1の(3)に示すような、反応炉301が設けられたシステム300もあった。このシステム300では、木質系バイオマスBを反応炉301に炉頂部から連続的に供給する。木質系バイオマスBは、反応炉301内において、下方へ移動し、この移動に際して、炭化・賦活させられ、もって活性炭Aとなる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平11‐278822号公報(第5図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、システム100及びシステム200は、炭化及び賦活装置を別個独立に設けることになるため、あるいは横長のロータリーキルンを設けることになるため、広い設備配置スペースが必要となる。したがって、本システムを導入・運用するうえで、大きな障害となる。
また、システム300は、広い設備配置スペースは必要とならないものの、炭化と賦活とが同時並行的に行われ続けることになるため、処理時間や処理温度などの炭化及び賦活条件を各別に確実に設定することができない。したがって、得られる活性炭の品質(例えば、比表面積、水蒸気吸着能力、ヨウ素吸着性能など。)が十分なものとはならず、これまた本システムを導入・運用する上での障害となる。
さらに、本システムを導入・運用するにあたっては、設備配置スペースや得られる活性炭の品質の問題だけではなく、例えば、得られる活性炭の商品価値やシステムを運用するためのエネルギー使用量なども重要な考慮要素となってくる。しかしながら、現在のところ、これらの事項が十分に検討・解決されたシステムは、開発されるにいたっていない。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、運用性に優れた木質系バイオマスから活性炭を得るシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
木質系バイオマスから活性炭を得るシステムであって、
木質系バイオマスの炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段と、この炭化・賦活処理手段に所定量の木質系バイオマスを自動供給する供給手段と、前記炭化・賦活処理手段において発生した乾留ガスを燃焼する燃焼手段と、この燃焼手段において発生した排ガスの除塵を行う除塵手段と、が備えられていることを特徴とする木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
【0008】
<請求項2記載の発明>
炭化・賦活処理手段において得られた活性炭をその大きさによって篩い分ける篩い分け手段が備えられている、請求項1記載の木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
【0009】
<請求項3記載の発明>
炭化・賦活処理手段が、木質系バイオマスが供給される箱体と、この箱体を外部から熱風で加熱する加熱手段と、を有するものとされ、
除塵手段が、排ガスに清浄液を接触させる方式のものとされ、
除塵した排ガスが、大気中へ排気されるに先立って、前記加熱に利用後の熱風を混入されるようにした、請求項1又は請求項2記載の木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〈木質系バイオマス〉
本発明の原料となる木質系バイオマスとは、木質由来のバイオマスである。木質の主要成分であるリグノセルロースを含む木質バイオマスと、リグノセルロースを含まない古紙、黒液、製紙工場排水汚泥などと、を含む。上記木質バイオマスは、森林バイオマス、製材残材、建築廃材、ダム・河川の流木、街路樹剪定枝、造園業・果樹園から発生する剪定枝などを含む。上記森林バイオマスは、林地残材、間伐材、未利用樹、短周期伐採木材、伐根材などを含む。
間伐材とは、人工林において林分の混み具合に応じて、目的とする樹種の個体密度を調整する作業(間伐)に伴って発生する材(素材)である。林地残材とは、主伐、間伐、除伐に伴って発生する素材(丸太)以外の材であり、末木、枝条などを含む。未利用樹には、例えば、かつて薪炭林として利用されていたが現在は利用されていない広葉樹林などが含まれる(里山林、旧薪炭林などともいう。)。この他にも、未利用樹には、素材生産を目的として植林された針葉樹の人工林が、除伐、間伐をされずに放置され、もやし状態となっているものをも含む。製材残材、建築廃材とは、素材を加工する過程で発生した廃材である。製材業、木材加工業で発生する木質バイオマスが製材残材、建築業、建設業、家屋解体業で発生する木質バイオマスが建築廃材である。製材残材には、チップ、背板、端材、おがくず、バークなどがある。建築廃材には、建築物の建設時に発生する建設時廃材と、建築物の解体時に発生する解体時廃材とがある。
【0011】
〈供給手段〉
本実施の形態に係るシステムのプロセスフローを、図2に示した。
本発明のシステムは、所定量の木質系バイオマスを後述する炭化・賦活処理手段に自動供給する供給手段を有する。木質系バイオマスの供給を自動とすることにより、設備稼働のための人員が削減され、効果的な運用が可能となる。この供給手段は、その形態が特に限定されるものではないが、以下に示す本実施形態のものを推奨する。
本実施形態の供給手段においては、まず、所定量の木質系バイオマスBを、管などの搬送路41を介して、切出し装置2のホッパー2A内に供給する。このホッパー2Aには、本実施の形態におけるロードセル2Rのような計量手段を取り付けておくとよい。ロードセル2Rなどの計量手段を取り付けておくと、供給された木質系バイオマスBの計量が可能となり、1回に供給される木質系バイオマスの量を所定量に確実に設定することができる。
【0012】
ホッパー2A内の木質系バイオマスBは、コンベア3の基端に備わるホッパー3A内に切り出す。ホッパー3A内に切り出された木質系バイオマスBは、コンベア3によって上方に搬送される。コンベア3の先端まで搬送された木質系バイオマスBは、炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段1の箱体1C(密閉構造)内に供給される。
【0013】
〈炭化・賦活処理手段〉
炭化・賦活処理手段1において、木質系バイオマスBは、炭化され、次いで、賦活される。本発明において、炭化・賦活処理手段は、木質系バイオマスBを炭化及び賦活することができるものであり、これらの処理を「切り替えて(同じ場所(領域)において、炭化と賦活とがなされることになる。)」行うことができるものである。炭化装置及び賦活装置を別個独立に設けず、炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段1を設けるので、広い設備配置スペースが必要とならない。また、炭化及び賦活を同時並行的に行わず、切り替えて行うので、処理時間や処理温度などの炭化及び賦活条件を各別に設定することができ、得られる活性炭の品質を向上させることができる。
【0014】
炭化・賦活処理手段1としては、特に、密閉型のロータリーキルン(外熱式)を使用するのが好ましい。回転による攪拌作用により、活性炭の品質が均一化するためである。
【0015】
本発明のシステムにおいては、炭化及び賦活に際して、木質系バイオマスBを加熱するために、例えば円筒状の箱体1Cを外部から熱風で加熱する加熱手段が、備えられている。加熱手段は、その形態が特に限定されるものではないが、以下に示す本実施形態のものを推奨する。
本実施の形態においては、加熱手段として、箱体1Cの外壁周りに取り付けられた、外筒1Aが備えられている。また、この外筒1Aには、適宜の数の、本実施の形態では、2つの、熱風炉1B,1Bが取り付けられている。この熱風炉1B,1Bには、供給路42を介してブロワ60からの空気Cが、供給路43を介して灯油Rが、供給路44を介して液化石油ガス(LPG)が、供給路45を介して圧縮空気が、供給される。熱風炉1B,1Bで発生した熱風は、外筒1A内に送られる。箱体1C内の温度は、かかる熱風の温度や流通量によって、設定することができる。ただし、本システムにおいては、炭化終了後、箱体1C内の温度を昇温させ賦活するのが好ましい。本実施の形態において、この昇温は、熱風炉1B,1B内に供給する灯油Rの量を多くすることにより、行うことができる。なお、本システムにおいて、LPGは、着火時に使用する。
【0016】
本炭化・賦活処理手段1においては、賦活に際して、輸送管46及びこの輸送管46から分岐する分岐管46Aを介して送られてきた水Wが、水蒸気として噴射供給される(水Wは、箱体1C内で水蒸気となる。)。これにより、炭化物に微孔が形成され、活性炭Aが得られる。
【0017】
なお、箱体1C内には、輸送管47を介して窒素ガスNを供給することができるようになっている。かかる窒素ガスNは、運転開始前に箱体1C内に溜まっている空気等をパージ(追い出す)するために、あるいは賦活時に発生する乾留ガスをパージするために、使用する。
【0018】
〈活性炭冷却手段〉
炭化及び賦活により得られた活性炭Aは、箱体1C内からスクリューコンベア4内に排出される。スクリューコンベア4内において、活性炭Aは、搬送されつつ、冷却される。この冷却は、スクリューコンベア4の周壁周りに設けられた外部ジャケット4A内に冷媒たる水Wを通すことによって、なされる。外部ジャケット4A内において、活性炭Aの冷却により温度が上昇した水Wは、輸送管48を介して、冷媒冷却装置72に送られ、冷却(空冷)される。冷却された冷媒は、輸送管49を介して、再度、外部ジャケット4A内に供給され、冷却の用に供される。なお、冷媒冷却装置72には、輸送管50を介して、冷媒たる水Wが補給される。
【0019】
〈篩い分け手段〉
スクリューコンベア4内において、冷却された活性炭Aは、活性炭搬送コンベア51を介して、篩い分け手段5に送られる。この篩い分け手段5は、その内部に所定の枚数の、本実施の形態では2枚の篩が備えられている。これら篩の目の大きさを変えることにより、活性炭Aは、その大きさによって篩い分けされる。本実施の形態では、上側の篩は、その目が500μm(32メッシュ)と、下側の篩は、その目が210μm(65メッシュ)とされている。したがって、篩い分け手段5内の上段には、500μm超の活性炭A1が、中段には、210μm超〜500μm以下の活性炭A2が、下段には、210μm以下の活性炭A3が回収される。篩い分け手段5によって活性炭Aの篩い分けを行うことにより、各用途に適した大きさの活性炭Aを回収することが可能となり、その利用価値が高くなる。例えば、本実施の形態では、上段で回収された活性炭A1(500μm超)を農地改良等の土壌改良材や融雪材などに、中段で回収された活性炭A2(210μm超〜500μm以下)を品質の良い調湿材や、吸着材などに、下段で回収された活性炭A3(210μm以下)を建材の副資材や、造粒後排ガス処理材(ダイオキシン等の吸着)などに利用することができる。篩い分け手段5で回収された活性炭Aは、そのまま貯留することも(A1,A3)、適宜造粒などしてから貯留することも(A2)できる。
【0020】
〈燃焼手段〉
ところで、炭化・賦活処理手段1においては、木質系バイオマスBの炭化・賦活にともなって、乾留ガスG1が発生する。本実施の形態において、この乾留ガスG1は、排気管52を介して、燃焼手段たるバーナー6Aの備わる燃焼炉6に送られる。この燃焼炉6には、供給管53を介してブロワ61から空気Cが送り込まれ、乾留ガスG1の燃焼がなされる。この燃焼は、バーナー6Aによって、点火され、助燃される。この点火、助燃に利用されるバーナー6Aには、供給路43から分岐する分岐管43Aを介して灯油Rが、供給路44から分岐する分岐管44Aを介してLPGが、供給路45を介して圧縮空気が、供給管53から分岐する分岐管53Aを介してブロワ61から空気Cが、それぞれ供給される。これらの供給に関して、その供給量は、適宜調節するのが好ましい。燃焼炉6に送られてくる乾留ガスG1の量は、時間とともに変化するので(例えば、炭化時よりも賦活時の方が多くなる。もちろん、炭化時、賦活時それぞれにおいても、一定ではない。)、供給量を調節し、燃焼を安定させる(例えば、炉内温度を約850℃にする。)ためである。
【0021】
以上の供給量の調節方法は、特に限定されない。ただし、乾留ガスG1の確実な燃焼という観点からは、本実施の形態のようにするのが好ましい。
すなわち、後述する排気管54の途中に排ガスG3の温度を検出するセンサーC1を設け、このセンサーC1による検出信号をケーブルK1を介して、分岐管43Aの途中に設けられたセンサーC2に送信する。そして、この受信信号をもとに、分岐管43Aの途中に設けられたバルブVを調節して、バーナー6Aに供給する灯油Rの量を調節する。また、センサーC2の受信信号をケーブルK2を介して、分岐管53Aの途中に設けられたセンサーC3に送信する。そして、この受信信号をもとに、分岐管53Aの途中に設けられたバルブVを調節して、バーナー6Aに供給する空気Cの量を調節する。さらに、本実施の形態では、先のセンサーC1による検出信号により、ケーブルK3を介してつながる供給管53の途中に設けられたバルブVを調節することができる。したがって、このバルブVと、先の分岐管53Aの途中に設けられたバルブVとにより、燃焼炉6に供給する空気Cの量を調節することができる。
【0022】
乾留ガスG1の燃焼により発生した排ガスG3は、排気管54を介して、熱交換器7に送られる。この熱交換器7には、先の空気Cの供給管53と接続された、接続管55及び56が接続されている。ブロワ61からの空気Cは、接続管55を介して、熱交換器7に送られ、排ガスG3の熱エネルギーによって、加熱される(熱エネルギーの回収)。加熱された空気Cは、接続管56を介して、供給管53に戻される。空気Cをどの程度加熱するか(熱交換するか)は、供給管53の途中に設けられたセンサーC4によって空気の温度を検出し、この検出値に基づいてバルブVを調節することにより、行うことができる。
【0023】
〈除塵手段〉
熱エネルギーを回収された排ガスG3は、この排ガスG3に清浄液を接触させて除塵する方式の除塵手段に送られる。この除塵手段は、その形態が特に限定されるものではないが、本実施の形態のベンチュリースクラバー8とスプレー塔9とでなるものを推奨する。
【0024】
この本形態の除塵手段においては、まず、熱エネルギーが回収された排ガスG3は、排気管57を介して、ベンチュリースクラバー8に送られ、除塵(洗浄)される。除塵された排ガスG3は、排気管58を介して、スプレー塔9に送られ、再度除塵される。再度除塵された排ガスG3は、スプレー塔9の上部に備わる煙突10を介して、大気中に排気される。
【0025】
なお、ベンチュリースクラバー8及びスプレー塔9における清浄液たる水Wは、以下のような流れになっている。
すなわち、水Wは、輸送管46を介して、スプレー塔9内に噴射供給される。この噴射供給により、スプレー塔9の底部に溜まった水Wは、いったんスプレー塔9外に抜き出され、その一部は、移送管59Aを介して、再度スプレー塔9内に噴射供給され、その一部は、移送管59Bを介して、ベンチュリースクラバー8に供給され、残部は、移送管59Cを介して、系外に排出される。この系外に排出する水Wの量は、スプレー塔9に設けられたセンサーC5により、スプレー塔9の底部に溜まった水Wのレベル(水面高さ)を検出し、この検出値に基づいて、移送管59Cの途中に設けられたバルブVを調節することにより、行う。
【0026】
本システムは、運用性に優れているので、大量・長期に渡り運用され、環境に与える影響が大きくなりうるが、以上の燃焼・除塵を行うことにより、かかる影響は、ほぼ皆無となる。
【0027】
〈その他〉
ところで、本実施の形態では、先述したように炭化・賦活処理手段1の外筒1A内に、熱風を供給することにより、木質系バイオマスBを加熱する。そして、かかる熱風は、木質系バイオマスBの加熱に利用後も、なお熱エネルギーを有する。そこで、この熱エネルギーを更に利用する。すなわち、熱風排ガスG2を排気管81を介して、煙突10に供給し、排ガスG3に混入する。これにより、ベンチュリースクラバー8及びスプレー塔9を通過するに際して、清浄液たる水Wと接触して冷却された排ガスG3(例えば、約220〜590℃であった排ガスG3が、約80℃にまで低下する。)の温度が上昇する。したがって、排ガスG3を煙突10から大気中に排出しても、白煙が生じることがない。
【0028】
以上に関して、本実施の形態においては、熱風排ガスG2を煙突10に供給するに先立って、かかる熱風排ガスG2中に空気Aを混入している。これは、熱風排ガスG2は、例えば、約850〜950℃と大変に高温であるので、温度を下げて、ブロワ等の機器を保護するためである。本実施の形態では、約20℃の空気を混入し、混合ガスG+Aの温度を約400℃にしている。
【0029】
また、本実施の形態においては、排ガスG3を煙突10下側部から抜き出し、煙突10外部に設けられたブロワ62を介して再度煙突10中間部に戻している。ブロワ62を設けたのは、排ガスG3は、ベンチュリースクラバー8及びスプレー塔9の通過により、除塵され、また約80℃まで温度低下しているため、安定運転が可能であることによる。また、外部に設けたのは、ブロワ62保護・補修容易性の観点からである。
【0030】
〈回分式処理〉
以上で説明した本システムの運用にあたっては、炭化・賦活処理手段1の箱体1C内に、所定量の木質系バイオマスBを供給し、所定時間炭化及び賦活した後、自然冷却する回分式作業とするのが好ましい。特に、木質系バイオマスBの供給から賦活までが6〜10時間、特に8時間となるように、設定するのが好ましい。この6〜10時間サイクルとすると、例えば、始業時に木質系バイオマスBの供給を行うと、終業時に賦活処理までが終了することになる。したがって、場合により監視する作業を必要とする炭化・賦活が就業時間中になされるとの利点、及び就業時間外において活性炭Aが自然冷却されることになりスクリューコンベア4の負荷が減少するとの利点、を有する。このことは、従たる業として、活性炭の製造を行うことが可能となることを意味する。
【0031】
本発明者らが運用実験を行ったところによると、図3に示す約7.5時間サイクルでの運用は、作業の効率化、設備負担の低減という観点からして、大変優れた運用方法となることがわかった。もちろん、得られた活性炭の品質も優れたものであった。なお、経過時間について、0〜1.5hrは、前回分の活性炭排出・木質系バイオマスの供給作業、0.5〜4hrは、処理装置内昇温作業、4〜5hrは、炭化作業、5〜5.5hrは、処理装置内昇温作業、5.5〜7.5hrは、賦活作業である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明し、本発明のシステムにより得られる活性炭は、その品質も優れたものとなることを明らかにする。
木質系バイオマスとしては、木片チップを利用した。炭化・賦活処理手段としては、ロータリーキルン(外熱型)を利用した。ロータリーキルンの主な仕様は、主寸法「直径150cm×720L、灼熱部容量12.7L」、回転数「1〜10rpm」、傾斜「1〜5%」、加熱方式「電気ヒータ(3分割温度調整型)」であった。木片チップの供給は、手投入とした。賦活には、水蒸気を利用した。活性炭の品質を判断するために、BET比表面積(m2/g)と、水蒸気吸着能力(質量%)と、を測定した。結果を表1に、実施例として示した。なお、炭化及び賦活を連続的に行う従来の形態(図1の(3)参照)によった場合を比較例として示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、運用性に優れた木質系バイオマスから活性炭を得るシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の方法の説明図である。
【図2】本実施の形態のプロセスフロー図である。
【図3】運用実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…炭化・賦活処理手段、2…切出し装置、3…コンベア、4…スクリューコンベア、5…篩い分け手段、6…燃焼炉、7…熱交換器、8…ベンチュリースクラバー、9…スプレー塔、100,200,300…従来の設備、101…炭化装置、102…賦活装置、201…横長のロータリーキルン、301…反応炉、A…活性炭、B…木質系バイオマス、C…空気、G1〜3…ガス、R…灯油、T…炭化物、W…水。
【発明の属する技術分野】
本発明は、木質系バイオマスから活性炭を得るシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、資源の有効利用を図るために、製材残材、建築廃材、ダム・河川の流木などの木質系バイオマスを炭化し、得られた炭化物をエネルギー源として利用することがなされている。しかしながら、木質系バイオマスをエネルギー源として利用するのみでは、その利用量が限られてくる。そこで、さらなる用途が模索され、現在では、かかる炭化物を賦活して、活性炭とし、土壌改良材や、融雪材、調湿材、吸着材などとして利用する試みがなされている。
【0003】
そして、木質系バイオマスから活性炭を得る従来のシステムとしては、以下に示すものがあった。
まず、図1の(1)に示すような、炭化装置101と賦活装置102とが別個独立に設けられたシステム100である。このシステム100では、木質系バイオマスBを適宜乾燥するなどした後、炭化装置101に供給し、得られた炭化物Tを賦活装置102に移送し、活性炭Aを得る。
また、図1の(2)に示すような、横長のロータリーキルン201が設けられたシステム200もあった。このシステム200では、木質系バイオマスBをロータリーキルン201内で搬送しつつ、その搬送過程において、連続的に炭化・賦活して活性炭Aを得る。
【0004】
さらに、図1の(3)に示すような、反応炉301が設けられたシステム300もあった。このシステム300では、木質系バイオマスBを反応炉301に炉頂部から連続的に供給する。木質系バイオマスBは、反応炉301内において、下方へ移動し、この移動に際して、炭化・賦活させられ、もって活性炭Aとなる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特開平11‐278822号公報(第5図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、システム100及びシステム200は、炭化及び賦活装置を別個独立に設けることになるため、あるいは横長のロータリーキルンを設けることになるため、広い設備配置スペースが必要となる。したがって、本システムを導入・運用するうえで、大きな障害となる。
また、システム300は、広い設備配置スペースは必要とならないものの、炭化と賦活とが同時並行的に行われ続けることになるため、処理時間や処理温度などの炭化及び賦活条件を各別に確実に設定することができない。したがって、得られる活性炭の品質(例えば、比表面積、水蒸気吸着能力、ヨウ素吸着性能など。)が十分なものとはならず、これまた本システムを導入・運用する上での障害となる。
さらに、本システムを導入・運用するにあたっては、設備配置スペースや得られる活性炭の品質の問題だけではなく、例えば、得られる活性炭の商品価値やシステムを運用するためのエネルギー使用量なども重要な考慮要素となってくる。しかしながら、現在のところ、これらの事項が十分に検討・解決されたシステムは、開発されるにいたっていない。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、運用性に優れた木質系バイオマスから活性炭を得るシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
木質系バイオマスから活性炭を得るシステムであって、
木質系バイオマスの炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段と、この炭化・賦活処理手段に所定量の木質系バイオマスを自動供給する供給手段と、前記炭化・賦活処理手段において発生した乾留ガスを燃焼する燃焼手段と、この燃焼手段において発生した排ガスの除塵を行う除塵手段と、が備えられていることを特徴とする木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
【0008】
<請求項2記載の発明>
炭化・賦活処理手段において得られた活性炭をその大きさによって篩い分ける篩い分け手段が備えられている、請求項1記載の木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
【0009】
<請求項3記載の発明>
炭化・賦活処理手段が、木質系バイオマスが供給される箱体と、この箱体を外部から熱風で加熱する加熱手段と、を有するものとされ、
除塵手段が、排ガスに清浄液を接触させる方式のものとされ、
除塵した排ガスが、大気中へ排気されるに先立って、前記加熱に利用後の熱風を混入されるようにした、請求項1又は請求項2記載の木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〈木質系バイオマス〉
本発明の原料となる木質系バイオマスとは、木質由来のバイオマスである。木質の主要成分であるリグノセルロースを含む木質バイオマスと、リグノセルロースを含まない古紙、黒液、製紙工場排水汚泥などと、を含む。上記木質バイオマスは、森林バイオマス、製材残材、建築廃材、ダム・河川の流木、街路樹剪定枝、造園業・果樹園から発生する剪定枝などを含む。上記森林バイオマスは、林地残材、間伐材、未利用樹、短周期伐採木材、伐根材などを含む。
間伐材とは、人工林において林分の混み具合に応じて、目的とする樹種の個体密度を調整する作業(間伐)に伴って発生する材(素材)である。林地残材とは、主伐、間伐、除伐に伴って発生する素材(丸太)以外の材であり、末木、枝条などを含む。未利用樹には、例えば、かつて薪炭林として利用されていたが現在は利用されていない広葉樹林などが含まれる(里山林、旧薪炭林などともいう。)。この他にも、未利用樹には、素材生産を目的として植林された針葉樹の人工林が、除伐、間伐をされずに放置され、もやし状態となっているものをも含む。製材残材、建築廃材とは、素材を加工する過程で発生した廃材である。製材業、木材加工業で発生する木質バイオマスが製材残材、建築業、建設業、家屋解体業で発生する木質バイオマスが建築廃材である。製材残材には、チップ、背板、端材、おがくず、バークなどがある。建築廃材には、建築物の建設時に発生する建設時廃材と、建築物の解体時に発生する解体時廃材とがある。
【0011】
〈供給手段〉
本実施の形態に係るシステムのプロセスフローを、図2に示した。
本発明のシステムは、所定量の木質系バイオマスを後述する炭化・賦活処理手段に自動供給する供給手段を有する。木質系バイオマスの供給を自動とすることにより、設備稼働のための人員が削減され、効果的な運用が可能となる。この供給手段は、その形態が特に限定されるものではないが、以下に示す本実施形態のものを推奨する。
本実施形態の供給手段においては、まず、所定量の木質系バイオマスBを、管などの搬送路41を介して、切出し装置2のホッパー2A内に供給する。このホッパー2Aには、本実施の形態におけるロードセル2Rのような計量手段を取り付けておくとよい。ロードセル2Rなどの計量手段を取り付けておくと、供給された木質系バイオマスBの計量が可能となり、1回に供給される木質系バイオマスの量を所定量に確実に設定することができる。
【0012】
ホッパー2A内の木質系バイオマスBは、コンベア3の基端に備わるホッパー3A内に切り出す。ホッパー3A内に切り出された木質系バイオマスBは、コンベア3によって上方に搬送される。コンベア3の先端まで搬送された木質系バイオマスBは、炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段1の箱体1C(密閉構造)内に供給される。
【0013】
〈炭化・賦活処理手段〉
炭化・賦活処理手段1において、木質系バイオマスBは、炭化され、次いで、賦活される。本発明において、炭化・賦活処理手段は、木質系バイオマスBを炭化及び賦活することができるものであり、これらの処理を「切り替えて(同じ場所(領域)において、炭化と賦活とがなされることになる。)」行うことができるものである。炭化装置及び賦活装置を別個独立に設けず、炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段1を設けるので、広い設備配置スペースが必要とならない。また、炭化及び賦活を同時並行的に行わず、切り替えて行うので、処理時間や処理温度などの炭化及び賦活条件を各別に設定することができ、得られる活性炭の品質を向上させることができる。
【0014】
炭化・賦活処理手段1としては、特に、密閉型のロータリーキルン(外熱式)を使用するのが好ましい。回転による攪拌作用により、活性炭の品質が均一化するためである。
【0015】
本発明のシステムにおいては、炭化及び賦活に際して、木質系バイオマスBを加熱するために、例えば円筒状の箱体1Cを外部から熱風で加熱する加熱手段が、備えられている。加熱手段は、その形態が特に限定されるものではないが、以下に示す本実施形態のものを推奨する。
本実施の形態においては、加熱手段として、箱体1Cの外壁周りに取り付けられた、外筒1Aが備えられている。また、この外筒1Aには、適宜の数の、本実施の形態では、2つの、熱風炉1B,1Bが取り付けられている。この熱風炉1B,1Bには、供給路42を介してブロワ60からの空気Cが、供給路43を介して灯油Rが、供給路44を介して液化石油ガス(LPG)が、供給路45を介して圧縮空気が、供給される。熱風炉1B,1Bで発生した熱風は、外筒1A内に送られる。箱体1C内の温度は、かかる熱風の温度や流通量によって、設定することができる。ただし、本システムにおいては、炭化終了後、箱体1C内の温度を昇温させ賦活するのが好ましい。本実施の形態において、この昇温は、熱風炉1B,1B内に供給する灯油Rの量を多くすることにより、行うことができる。なお、本システムにおいて、LPGは、着火時に使用する。
【0016】
本炭化・賦活処理手段1においては、賦活に際して、輸送管46及びこの輸送管46から分岐する分岐管46Aを介して送られてきた水Wが、水蒸気として噴射供給される(水Wは、箱体1C内で水蒸気となる。)。これにより、炭化物に微孔が形成され、活性炭Aが得られる。
【0017】
なお、箱体1C内には、輸送管47を介して窒素ガスNを供給することができるようになっている。かかる窒素ガスNは、運転開始前に箱体1C内に溜まっている空気等をパージ(追い出す)するために、あるいは賦活時に発生する乾留ガスをパージするために、使用する。
【0018】
〈活性炭冷却手段〉
炭化及び賦活により得られた活性炭Aは、箱体1C内からスクリューコンベア4内に排出される。スクリューコンベア4内において、活性炭Aは、搬送されつつ、冷却される。この冷却は、スクリューコンベア4の周壁周りに設けられた外部ジャケット4A内に冷媒たる水Wを通すことによって、なされる。外部ジャケット4A内において、活性炭Aの冷却により温度が上昇した水Wは、輸送管48を介して、冷媒冷却装置72に送られ、冷却(空冷)される。冷却された冷媒は、輸送管49を介して、再度、外部ジャケット4A内に供給され、冷却の用に供される。なお、冷媒冷却装置72には、輸送管50を介して、冷媒たる水Wが補給される。
【0019】
〈篩い分け手段〉
スクリューコンベア4内において、冷却された活性炭Aは、活性炭搬送コンベア51を介して、篩い分け手段5に送られる。この篩い分け手段5は、その内部に所定の枚数の、本実施の形態では2枚の篩が備えられている。これら篩の目の大きさを変えることにより、活性炭Aは、その大きさによって篩い分けされる。本実施の形態では、上側の篩は、その目が500μm(32メッシュ)と、下側の篩は、その目が210μm(65メッシュ)とされている。したがって、篩い分け手段5内の上段には、500μm超の活性炭A1が、中段には、210μm超〜500μm以下の活性炭A2が、下段には、210μm以下の活性炭A3が回収される。篩い分け手段5によって活性炭Aの篩い分けを行うことにより、各用途に適した大きさの活性炭Aを回収することが可能となり、その利用価値が高くなる。例えば、本実施の形態では、上段で回収された活性炭A1(500μm超)を農地改良等の土壌改良材や融雪材などに、中段で回収された活性炭A2(210μm超〜500μm以下)を品質の良い調湿材や、吸着材などに、下段で回収された活性炭A3(210μm以下)を建材の副資材や、造粒後排ガス処理材(ダイオキシン等の吸着)などに利用することができる。篩い分け手段5で回収された活性炭Aは、そのまま貯留することも(A1,A3)、適宜造粒などしてから貯留することも(A2)できる。
【0020】
〈燃焼手段〉
ところで、炭化・賦活処理手段1においては、木質系バイオマスBの炭化・賦活にともなって、乾留ガスG1が発生する。本実施の形態において、この乾留ガスG1は、排気管52を介して、燃焼手段たるバーナー6Aの備わる燃焼炉6に送られる。この燃焼炉6には、供給管53を介してブロワ61から空気Cが送り込まれ、乾留ガスG1の燃焼がなされる。この燃焼は、バーナー6Aによって、点火され、助燃される。この点火、助燃に利用されるバーナー6Aには、供給路43から分岐する分岐管43Aを介して灯油Rが、供給路44から分岐する分岐管44Aを介してLPGが、供給路45を介して圧縮空気が、供給管53から分岐する分岐管53Aを介してブロワ61から空気Cが、それぞれ供給される。これらの供給に関して、その供給量は、適宜調節するのが好ましい。燃焼炉6に送られてくる乾留ガスG1の量は、時間とともに変化するので(例えば、炭化時よりも賦活時の方が多くなる。もちろん、炭化時、賦活時それぞれにおいても、一定ではない。)、供給量を調節し、燃焼を安定させる(例えば、炉内温度を約850℃にする。)ためである。
【0021】
以上の供給量の調節方法は、特に限定されない。ただし、乾留ガスG1の確実な燃焼という観点からは、本実施の形態のようにするのが好ましい。
すなわち、後述する排気管54の途中に排ガスG3の温度を検出するセンサーC1を設け、このセンサーC1による検出信号をケーブルK1を介して、分岐管43Aの途中に設けられたセンサーC2に送信する。そして、この受信信号をもとに、分岐管43Aの途中に設けられたバルブVを調節して、バーナー6Aに供給する灯油Rの量を調節する。また、センサーC2の受信信号をケーブルK2を介して、分岐管53Aの途中に設けられたセンサーC3に送信する。そして、この受信信号をもとに、分岐管53Aの途中に設けられたバルブVを調節して、バーナー6Aに供給する空気Cの量を調節する。さらに、本実施の形態では、先のセンサーC1による検出信号により、ケーブルK3を介してつながる供給管53の途中に設けられたバルブVを調節することができる。したがって、このバルブVと、先の分岐管53Aの途中に設けられたバルブVとにより、燃焼炉6に供給する空気Cの量を調節することができる。
【0022】
乾留ガスG1の燃焼により発生した排ガスG3は、排気管54を介して、熱交換器7に送られる。この熱交換器7には、先の空気Cの供給管53と接続された、接続管55及び56が接続されている。ブロワ61からの空気Cは、接続管55を介して、熱交換器7に送られ、排ガスG3の熱エネルギーによって、加熱される(熱エネルギーの回収)。加熱された空気Cは、接続管56を介して、供給管53に戻される。空気Cをどの程度加熱するか(熱交換するか)は、供給管53の途中に設けられたセンサーC4によって空気の温度を検出し、この検出値に基づいてバルブVを調節することにより、行うことができる。
【0023】
〈除塵手段〉
熱エネルギーを回収された排ガスG3は、この排ガスG3に清浄液を接触させて除塵する方式の除塵手段に送られる。この除塵手段は、その形態が特に限定されるものではないが、本実施の形態のベンチュリースクラバー8とスプレー塔9とでなるものを推奨する。
【0024】
この本形態の除塵手段においては、まず、熱エネルギーが回収された排ガスG3は、排気管57を介して、ベンチュリースクラバー8に送られ、除塵(洗浄)される。除塵された排ガスG3は、排気管58を介して、スプレー塔9に送られ、再度除塵される。再度除塵された排ガスG3は、スプレー塔9の上部に備わる煙突10を介して、大気中に排気される。
【0025】
なお、ベンチュリースクラバー8及びスプレー塔9における清浄液たる水Wは、以下のような流れになっている。
すなわち、水Wは、輸送管46を介して、スプレー塔9内に噴射供給される。この噴射供給により、スプレー塔9の底部に溜まった水Wは、いったんスプレー塔9外に抜き出され、その一部は、移送管59Aを介して、再度スプレー塔9内に噴射供給され、その一部は、移送管59Bを介して、ベンチュリースクラバー8に供給され、残部は、移送管59Cを介して、系外に排出される。この系外に排出する水Wの量は、スプレー塔9に設けられたセンサーC5により、スプレー塔9の底部に溜まった水Wのレベル(水面高さ)を検出し、この検出値に基づいて、移送管59Cの途中に設けられたバルブVを調節することにより、行う。
【0026】
本システムは、運用性に優れているので、大量・長期に渡り運用され、環境に与える影響が大きくなりうるが、以上の燃焼・除塵を行うことにより、かかる影響は、ほぼ皆無となる。
【0027】
〈その他〉
ところで、本実施の形態では、先述したように炭化・賦活処理手段1の外筒1A内に、熱風を供給することにより、木質系バイオマスBを加熱する。そして、かかる熱風は、木質系バイオマスBの加熱に利用後も、なお熱エネルギーを有する。そこで、この熱エネルギーを更に利用する。すなわち、熱風排ガスG2を排気管81を介して、煙突10に供給し、排ガスG3に混入する。これにより、ベンチュリースクラバー8及びスプレー塔9を通過するに際して、清浄液たる水Wと接触して冷却された排ガスG3(例えば、約220〜590℃であった排ガスG3が、約80℃にまで低下する。)の温度が上昇する。したがって、排ガスG3を煙突10から大気中に排出しても、白煙が生じることがない。
【0028】
以上に関して、本実施の形態においては、熱風排ガスG2を煙突10に供給するに先立って、かかる熱風排ガスG2中に空気Aを混入している。これは、熱風排ガスG2は、例えば、約850〜950℃と大変に高温であるので、温度を下げて、ブロワ等の機器を保護するためである。本実施の形態では、約20℃の空気を混入し、混合ガスG+Aの温度を約400℃にしている。
【0029】
また、本実施の形態においては、排ガスG3を煙突10下側部から抜き出し、煙突10外部に設けられたブロワ62を介して再度煙突10中間部に戻している。ブロワ62を設けたのは、排ガスG3は、ベンチュリースクラバー8及びスプレー塔9の通過により、除塵され、また約80℃まで温度低下しているため、安定運転が可能であることによる。また、外部に設けたのは、ブロワ62保護・補修容易性の観点からである。
【0030】
〈回分式処理〉
以上で説明した本システムの運用にあたっては、炭化・賦活処理手段1の箱体1C内に、所定量の木質系バイオマスBを供給し、所定時間炭化及び賦活した後、自然冷却する回分式作業とするのが好ましい。特に、木質系バイオマスBの供給から賦活までが6〜10時間、特に8時間となるように、設定するのが好ましい。この6〜10時間サイクルとすると、例えば、始業時に木質系バイオマスBの供給を行うと、終業時に賦活処理までが終了することになる。したがって、場合により監視する作業を必要とする炭化・賦活が就業時間中になされるとの利点、及び就業時間外において活性炭Aが自然冷却されることになりスクリューコンベア4の負荷が減少するとの利点、を有する。このことは、従たる業として、活性炭の製造を行うことが可能となることを意味する。
【0031】
本発明者らが運用実験を行ったところによると、図3に示す約7.5時間サイクルでの運用は、作業の効率化、設備負担の低減という観点からして、大変優れた運用方法となることがわかった。もちろん、得られた活性炭の品質も優れたものであった。なお、経過時間について、0〜1.5hrは、前回分の活性炭排出・木質系バイオマスの供給作業、0.5〜4hrは、処理装置内昇温作業、4〜5hrは、炭化作業、5〜5.5hrは、処理装置内昇温作業、5.5〜7.5hrは、賦活作業である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明し、本発明のシステムにより得られる活性炭は、その品質も優れたものとなることを明らかにする。
木質系バイオマスとしては、木片チップを利用した。炭化・賦活処理手段としては、ロータリーキルン(外熱型)を利用した。ロータリーキルンの主な仕様は、主寸法「直径150cm×720L、灼熱部容量12.7L」、回転数「1〜10rpm」、傾斜「1〜5%」、加熱方式「電気ヒータ(3分割温度調整型)」であった。木片チップの供給は、手投入とした。賦活には、水蒸気を利用した。活性炭の品質を判断するために、BET比表面積(m2/g)と、水蒸気吸着能力(質量%)と、を測定した。結果を表1に、実施例として示した。なお、炭化及び賦活を連続的に行う従来の形態(図1の(3)参照)によった場合を比較例として示した。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、運用性に優れた木質系バイオマスから活性炭を得るシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の方法の説明図である。
【図2】本実施の形態のプロセスフロー図である。
【図3】運用実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…炭化・賦活処理手段、2…切出し装置、3…コンベア、4…スクリューコンベア、5…篩い分け手段、6…燃焼炉、7…熱交換器、8…ベンチュリースクラバー、9…スプレー塔、100,200,300…従来の設備、101…炭化装置、102…賦活装置、201…横長のロータリーキルン、301…反応炉、A…活性炭、B…木質系バイオマス、C…空気、G1〜3…ガス、R…灯油、T…炭化物、W…水。
Claims (3)
- 木質系バイオマスから活性炭を得るシステムであって、
木質系バイオマスの炭化及び賦活を切り替えて行う炭化・賦活処理手段と、この炭化・賦活処理手段に所定量の木質系バイオマスを自動供給する供給手段と、前記炭化・賦活処理手段において発生した乾留ガスを燃焼する燃焼手段と、この燃焼手段において発生した排ガスの除塵を行う除塵手段と、が備えられていることを特徴とする木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。 - 炭化・賦活処理手段において得られた活性炭をその大きさによって篩い分ける篩い分け手段が備えられている、請求項1記載の木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
- 炭化・賦活処理手段が、木質系バイオマスが供給される箱体と、この箱体を外部から熱風で加熱する加熱手段と、を有するものとされ、
除塵手段が、排ガスに清浄液を接触させる方式のものとされ、
除塵した排ガスが、大気中へ排気されるに先立って、前記加熱に利用後の熱風を混入されるようにした、請求項1又は請求項2記載の木質系バイオマスから活性炭を得るシステム。
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JP2002337679A JP2004168608A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | 木質系バイオマスから活性炭を得るシステム |
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JP (1) | JP2004168608A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102515157A (zh) * | 2011-12-31 | 2012-06-27 | 福建省建瓯市芝星活性炭有限公司 | 磷酸法活性炭自动化生产线 |
RU2721696C1 (ru) * | 2020-03-03 | 2020-05-21 | Юрий Федорович Юрченко | Способ переработки пиролизного кокса с получением активированного угля парогазовой активацией |
-
2002
- 2002-11-21 JP JP2002337679A patent/JP2004168608A/ja active Pending
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RU2721696C1 (ru) * | 2020-03-03 | 2020-05-21 | Юрий Федорович Юрченко | Способ переработки пиролизного кокса с получением активированного угля парогазовой активацией |
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