JP2004167850A - ハウスラップ用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量で、実用的な引張強度特性を備え、透湿性と防水性という相反する機能を同時に満足し、ハウスラップ用に適したシートを提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂繊維からなる不織布、例えば、ポリエステルスパンボンド不織布を両外層とし、一方、透湿度が2000以上g/m2・dayの熱可塑性ウレタン系エラストマ−を中間層として、押出ラミネート法により熱可塑性ウレタン系エラストマー層を押出し、サンドイッチラミネートしてなるハウスラップ用シート、である。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリエステル樹脂繊維からなる不織布、例えば、ポリエステルスパンボンド不織布を両外層とし、一方、透湿度が2000以上g/m2・dayの熱可塑性ウレタン系エラストマ−を中間層として、押出ラミネート法により熱可塑性ウレタン系エラストマー層を押出し、サンドイッチラミネートしてなるハウスラップ用シート、である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の壁体内に発生する結露を防止するために用いられるハウスラップ用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家屋の壁面においては、防水シートとして紙にアスファルトを含浸させたアスファルトフェルトが従来から使用されている。しかしながら、特に寒冷地では、冬季の室内が暖房により高温多湿状態になるため、室外との気温差が大きく、壁面で室内の水蒸気が結露し、黴が発生しやすいという問題点がある。そこで近年では、外壁側からの雨水の進入を防止すると共に、内壁側の湿気を外部に逃がすことで、内壁の結露を防止する等の目的で防水透湿シートがハウスラップとして、広く用いられるようになっている。
【0003】
これらのハウスラップ用シートとしては、例えば、充填剤を配合したポリオレフィンの延伸フイルムの微多孔膜と表面に接着剤をつけた通気性を有するポリオレフィンの長繊維不織布を貼合わせた透湿性と通気性を付与させたシートの製造方法が開示されているが、この方法では、微多孔膜と不織布との積層を接着剤を用いて積層するものであり、接着剤の使用により、微多孔膜の有する透湿性が低下するという問題がある(例えば、特許文献1)。
また、予めエンボス成形されたポリエステルスパンボンド不織布の片面の印刷面にポリエチレンフイルムを押出ラミネートし、ポリエチレンフイルム面にエンボス加工し、極小のクラックを発生したシートが開示されているが、エンボス加工で得られるシートの透湿性と防水性のバランスが崩れるなど安定したハウスラップ用シートを得ることが難しいという問題がある(例えば、特許文献2)。
さらに、ポリオレフィン系樹脂微多孔性フィルムと、融点の異なる熱可塑性樹脂からなる多層不織布を熱接着してなる透湿性と防水性を向上させたシートが開示されているが、ポリオレフィンフイルムの多孔化工程、不織布の多層化工程や熱接着工程等の多くの工程を要し、製造工程が煩雑となってコストアップの要因となっている(例えば、特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−223249号公報(1頁)
【特許文献2】
特開平9−1712号公報(1頁)
【特許文献3】
特開2001−232706号公報(1頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しょうとするものであって、軽量で、実用的な引張強度特性を備え、透湿性と防水性という相反する機能を同時に満足し、ハウスラップ用に適したシートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の特定の透湿性を有する熱可塑性ウレタン系エラストマーをラミネートすることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の少なくとも片面に透湿度が2000g/m2・day以上の熱可塑性ウレタン系エラストマ−をラミネ−トしてなることを特徴とするハウスラップ用シート、に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、不織布に用いられるポリエステル樹脂繊維としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維が好適である。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと称す。)としては、酸成分としてテレフタル酸またはテレフタル酸誘導体と、グリコール成分としてエチレングリコールとを重縮合させて得られる重合体であって、そのテレフタル酸成分および/またはエチレングリコール成分の一部を共重合成分で置き換えた共重合体も包含する。上記PETとしては、バージンのPETや再生PET等が好適に使用される。再生PETとしては、通常、ポリエチレンテレフタレート製飲料用容器(通称ペットボトル)を破砕し、再ペレット化して用いるものであり、再ペレット化工程において、吸水や熱履歴などにより低下した固有粘度(η値)を固相重合で調整して使用することができる。また、再生PETは、上記バージンのPETと適宜混合して使用することもできる。
【0008】
上記PETの固有粘度[η]としては、0.4〜1.5の範囲のものであり、好ましくは、0.6〜1.1の範囲である。[η]が0.4未満ではPET樹脂繊維であるマルチフィラメントンの引張強度が弱く、かつ縦割れが生じやすく、また[η]が1.5を超えると溶融押出時に流動性が劣り糸切れが生じるので好ましくない。
【0009】
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維からなる不織布としては、特に制限はなく、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、熱風ガード不織布、熱エンボスガード不織布、メルトブロー不織布など公知の不織布から適宜選択して用いることができるが、中でも強度の点からスパンボンド不織布が好適に用いられる。
【0010】
上記スパンボンド不織布は、例えば、溶融熱可塑性樹脂を押出機から溶融押出し、紡糸用口金から紡糸し、紡糸された繊維をエアサッカーなどの気流牽引装置で引き取り、気流とともに繊維をネットコンベアなどのウエブ補集装置で補集し、必要に応じて加熱空気、加熱ロールなどの加熱手段で部分溶着することによる公知の手法によって得ることができる。
【0011】
スパンボンド不織布は、繊維径が通常5〜60μm、好ましくは10〜40μmであり、目付が5〜200g/m2 、好ましくは10〜150g/m2 、より好ましくは15〜100g/m2 である。これらの繊維径、目付は、熱可塑性ポリウレタンエラストマ−のラミネ−ト層の厚み、融点、用途との関係で適宜選択することができる。
【0012】
本発明においては、上記ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の少なくとも片面に、上記熱可塑性ウレタン系エラストマーをラミネートしてハウスラップ用シートが形成される。ラミネート方法としては、押出ラミネート法、ドライラミネート法、熱圧着ラミネート法などが使用可能であるが、押出ラミネート法が成形性の点で好ましい。ラミネート層の厚みとしては、通常10〜100μmの範囲、好ましくは10〜50μmの範囲である。
【0013】
本発明の透湿性を有する熱可塑性ウレタン系エラストマーとしては、ウレタン系エラストマーであって、その透湿性が2000g/m2・day以上、好ましくは2500g/m2・day以上、さらに好ましくは3000〜10000g/m2・dayの範囲のものである。上記フイルムの透湿度が2000g/m2・day未満では本発明の目的の達成が困難となる。なお、透湿性は、JIS Z0208のカップ法に準じて測定したもので、水蒸気の透過性が認められることをもって透湿性を有するものとするものである
【0014】
上記透湿性を有する熱可塑性ウレタン系エラストマーとしては、ハードセグメントとして短鎖ポリオールとジイソシアナートの反応で得られるポリウレタンとソフトセグメントとして長鎖ポリオールとジイソシアナートの反応で得られるポリウレタンとのブロックコポリマー、ポリエチレングリコールを短鎖ポリオールの存在下にジイソシアネートを付加重合したもの、ポリカプロラクトングリコールなどのポリラクトンエステルポリオールに短鎖ポリオールの存在下にジイソシアナートを付加重合したもの(ポリエーテルポリウレタン)、ポリ(エチレンー1,4−アジベート)グリコール、ポリ(ブチレンー1,4−アジベート)グリコールなどのアジピン酸エステルポリオールに短鎖ポリオールの存在下ジイソシアナートを付加重合したもの(ポリエステルポリウレタン)、テトラヒドロフランの開環で得られたポリテトラメチレングリコールに短鎖ポリオールの存在下ジイソシアナートを付加重合したもの、等が例示される。
【0015】
上記短鎖ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ビスフエノールAなどが挙げられる。また、長鎖グリコールとして、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)などのポリエーテル系化合物などが挙げられる。さらに、ジイソシアナートとしては、トルエンジイソシアナート、ジフェエルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0016】
本発明のハウスラップ用シートとしては、ポリエステル樹脂繊維不織布/熱可塑性ウレタン系エラストマー層の積層体シート、熱可塑性ウレタン系エラストマー層/ポリエステル樹脂繊維不織布/熱可塑性ウレタン系エラストマー層の積層体シート、等の積層体シートが用いられる。該ハウスラップ用シートとしては、その目付が5〜200g/m2 、好ましくは10〜150g/m2 、さらに好ましくは15〜100g/m2 の範囲のものが好適である。また、また、引張強さとしては、50N/5cm以上、好ましくは100N/5cm以上のものが好適である。
【0017】
本発明のハウスラップ用シートは、建築工事において、建物の外壁ができるまでの間は外界に面しており、約1ヶ月の間、屋外に暴露されており、耐候性が必要とされる。耐候性を改良する方法としては、下記に示される紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候剤を添加する方法が好適である。
【0018】
紫外線吸収剤の具体例としては、具体的には2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2′−ヒドロキシ −5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′−5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
上記紫外線吸収剤の配合割合は、上記ポリエステル樹脂または熱可塑性ウレタン系エラストマーに対して0.05〜5重量%の範囲、好ましくは0.1〜1重量%の範囲である
【0019】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとコハク酸ジエチルの重縮合物等が挙げられる。
上記光安定剤の配合割合は、上記ポリエステル樹脂または熱可塑性ウレタン系エラストマーに対して0.05〜5重量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。
【0020】
本発明で用いられる樹脂には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、難燃剤、架橋剤、発泡剤、核剤等の添加剤を配合して用いることができる。
【0021】
【実施例】
試験方法
1.透湿度 :JISZ0208、カップ法準拠
2.引張り強さ:JISL1096、A法(ストリップ法)準拠
3.伸び率 :JISZ0208、A法(ストリップ法)準拠
4.熱収縮率 :シート(縦30cm×横30cm)を90℃のオーブン中で3日間保存後のシートの縦横の収縮率を測定した。
【0022】
実施例1
ポリエステルスパンボンド不織布〔東洋紡績(株)製「エクーレ」6301A(目付:30g/m2 、融点:260℃)〕を両外層とし、一方、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFポリウレタンエラストマー(株)製「エラストラン」OH−3−37、樹脂の透湿度4000g/m2・day(厚さ30μmのフィルムとして))を中間層として、押出ラミネート法により250℃で熱可塑性ウレタン系エラストマー層(厚さ30μm)押出し、サンドイッチラミネートして、ハウスラップ用シートを得た。得られたハウスラップ用シートの透湿度は3600g/m2・day、引張強さは縦200N/5cm、横110N/5cm、伸び率は縦22.7%、横23.5%であり、さらに熱収縮率は縦0.9%、横0.2%であった。
【0023】
比較例1
不織布として、出光石油化学(株)製ポリエチレンスパンボンド不織布〔「ストラテック」LN5020(原料:密度:940kg/m3 のエチレン−ブテン−1共重合体、繊維径:25μm、目付:20g/m2 、融点:124℃)〕と東洋紡績(株)製ポリエステルスパンボンド不織布〔「エクーレ」6301A(目付:30g/m2 、融点:260℃)〕とにより、ポリエステル不織布をエンボス面とし、エンボスロール温度150℃、フラットロール温度110℃の条件での熱ラミネーションにより2層積層不織布を得た。次いで、この2層不織布のポリエチレン不織布側に、(株)トクヤマ製無機フィラー含有延伸PE透湿フィルム「ポーラムPU35」(厚み:35μm)を、フィルム面をエンボス面として熱ラミネーションにより積層した。なお、熱接着の温度範囲は、エンボスロール85℃、フラットロール155℃であった。
得られた積層シートの透湿度は2500g/m2・dayであり、引張強さは縦62N/5cm,横35N/5cmであった。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ポリエステル樹脂からなる不織布の少なくとも片面に特定の透湿度を有する熱可塑性ウレタン系エラストマ−を押出ラミネ−トすることによって、軽量で、実用的な引張強度特性を備え、透湿性と防水性に優れたハウスラップ用シートが得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の壁体内に発生する結露を防止するために用いられるハウスラップ用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般家屋の壁面においては、防水シートとして紙にアスファルトを含浸させたアスファルトフェルトが従来から使用されている。しかしながら、特に寒冷地では、冬季の室内が暖房により高温多湿状態になるため、室外との気温差が大きく、壁面で室内の水蒸気が結露し、黴が発生しやすいという問題点がある。そこで近年では、外壁側からの雨水の進入を防止すると共に、内壁側の湿気を外部に逃がすことで、内壁の結露を防止する等の目的で防水透湿シートがハウスラップとして、広く用いられるようになっている。
【0003】
これらのハウスラップ用シートとしては、例えば、充填剤を配合したポリオレフィンの延伸フイルムの微多孔膜と表面に接着剤をつけた通気性を有するポリオレフィンの長繊維不織布を貼合わせた透湿性と通気性を付与させたシートの製造方法が開示されているが、この方法では、微多孔膜と不織布との積層を接着剤を用いて積層するものであり、接着剤の使用により、微多孔膜の有する透湿性が低下するという問題がある(例えば、特許文献1)。
また、予めエンボス成形されたポリエステルスパンボンド不織布の片面の印刷面にポリエチレンフイルムを押出ラミネートし、ポリエチレンフイルム面にエンボス加工し、極小のクラックを発生したシートが開示されているが、エンボス加工で得られるシートの透湿性と防水性のバランスが崩れるなど安定したハウスラップ用シートを得ることが難しいという問題がある(例えば、特許文献2)。
さらに、ポリオレフィン系樹脂微多孔性フィルムと、融点の異なる熱可塑性樹脂からなる多層不織布を熱接着してなる透湿性と防水性を向上させたシートが開示されているが、ポリオレフィンフイルムの多孔化工程、不織布の多層化工程や熱接着工程等の多くの工程を要し、製造工程が煩雑となってコストアップの要因となっている(例えば、特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−223249号公報(1頁)
【特許文献2】
特開平9−1712号公報(1頁)
【特許文献3】
特開2001−232706号公報(1頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しょうとするものであって、軽量で、実用的な引張強度特性を備え、透湿性と防水性という相反する機能を同時に満足し、ハウスラップ用に適したシートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の特定の透湿性を有する熱可塑性ウレタン系エラストマーをラミネートすることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の少なくとも片面に透湿度が2000g/m2・day以上の熱可塑性ウレタン系エラストマ−をラミネ−トしてなることを特徴とするハウスラップ用シート、に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、不織布に用いられるポリエステル樹脂繊維としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維が好適である。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと称す。)としては、酸成分としてテレフタル酸またはテレフタル酸誘導体と、グリコール成分としてエチレングリコールとを重縮合させて得られる重合体であって、そのテレフタル酸成分および/またはエチレングリコール成分の一部を共重合成分で置き換えた共重合体も包含する。上記PETとしては、バージンのPETや再生PET等が好適に使用される。再生PETとしては、通常、ポリエチレンテレフタレート製飲料用容器(通称ペットボトル)を破砕し、再ペレット化して用いるものであり、再ペレット化工程において、吸水や熱履歴などにより低下した固有粘度(η値)を固相重合で調整して使用することができる。また、再生PETは、上記バージンのPETと適宜混合して使用することもできる。
【0008】
上記PETの固有粘度[η]としては、0.4〜1.5の範囲のものであり、好ましくは、0.6〜1.1の範囲である。[η]が0.4未満ではPET樹脂繊維であるマルチフィラメントンの引張強度が弱く、かつ縦割れが生じやすく、また[η]が1.5を超えると溶融押出時に流動性が劣り糸切れが生じるので好ましくない。
【0009】
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維からなる不織布としては、特に制限はなく、例えば、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、熱風ガード不織布、熱エンボスガード不織布、メルトブロー不織布など公知の不織布から適宜選択して用いることができるが、中でも強度の点からスパンボンド不織布が好適に用いられる。
【0010】
上記スパンボンド不織布は、例えば、溶融熱可塑性樹脂を押出機から溶融押出し、紡糸用口金から紡糸し、紡糸された繊維をエアサッカーなどの気流牽引装置で引き取り、気流とともに繊維をネットコンベアなどのウエブ補集装置で補集し、必要に応じて加熱空気、加熱ロールなどの加熱手段で部分溶着することによる公知の手法によって得ることができる。
【0011】
スパンボンド不織布は、繊維径が通常5〜60μm、好ましくは10〜40μmであり、目付が5〜200g/m2 、好ましくは10〜150g/m2 、より好ましくは15〜100g/m2 である。これらの繊維径、目付は、熱可塑性ポリウレタンエラストマ−のラミネ−ト層の厚み、融点、用途との関係で適宜選択することができる。
【0012】
本発明においては、上記ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の少なくとも片面に、上記熱可塑性ウレタン系エラストマーをラミネートしてハウスラップ用シートが形成される。ラミネート方法としては、押出ラミネート法、ドライラミネート法、熱圧着ラミネート法などが使用可能であるが、押出ラミネート法が成形性の点で好ましい。ラミネート層の厚みとしては、通常10〜100μmの範囲、好ましくは10〜50μmの範囲である。
【0013】
本発明の透湿性を有する熱可塑性ウレタン系エラストマーとしては、ウレタン系エラストマーであって、その透湿性が2000g/m2・day以上、好ましくは2500g/m2・day以上、さらに好ましくは3000〜10000g/m2・dayの範囲のものである。上記フイルムの透湿度が2000g/m2・day未満では本発明の目的の達成が困難となる。なお、透湿性は、JIS Z0208のカップ法に準じて測定したもので、水蒸気の透過性が認められることをもって透湿性を有するものとするものである
【0014】
上記透湿性を有する熱可塑性ウレタン系エラストマーとしては、ハードセグメントとして短鎖ポリオールとジイソシアナートの反応で得られるポリウレタンとソフトセグメントとして長鎖ポリオールとジイソシアナートの反応で得られるポリウレタンとのブロックコポリマー、ポリエチレングリコールを短鎖ポリオールの存在下にジイソシアネートを付加重合したもの、ポリカプロラクトングリコールなどのポリラクトンエステルポリオールに短鎖ポリオールの存在下にジイソシアナートを付加重合したもの(ポリエーテルポリウレタン)、ポリ(エチレンー1,4−アジベート)グリコール、ポリ(ブチレンー1,4−アジベート)グリコールなどのアジピン酸エステルポリオールに短鎖ポリオールの存在下ジイソシアナートを付加重合したもの(ポリエステルポリウレタン)、テトラヒドロフランの開環で得られたポリテトラメチレングリコールに短鎖ポリオールの存在下ジイソシアナートを付加重合したもの、等が例示される。
【0015】
上記短鎖ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、ビスフエノールAなどが挙げられる。また、長鎖グリコールとして、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)などのポリエーテル系化合物などが挙げられる。さらに、ジイソシアナートとしては、トルエンジイソシアナート、ジフェエルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0016】
本発明のハウスラップ用シートとしては、ポリエステル樹脂繊維不織布/熱可塑性ウレタン系エラストマー層の積層体シート、熱可塑性ウレタン系エラストマー層/ポリエステル樹脂繊維不織布/熱可塑性ウレタン系エラストマー層の積層体シート、等の積層体シートが用いられる。該ハウスラップ用シートとしては、その目付が5〜200g/m2 、好ましくは10〜150g/m2 、さらに好ましくは15〜100g/m2 の範囲のものが好適である。また、また、引張強さとしては、50N/5cm以上、好ましくは100N/5cm以上のものが好適である。
【0017】
本発明のハウスラップ用シートは、建築工事において、建物の外壁ができるまでの間は外界に面しており、約1ヶ月の間、屋外に暴露されており、耐候性が必要とされる。耐候性を改良する方法としては、下記に示される紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候剤を添加する方法が好適である。
【0018】
紫外線吸収剤の具体例としては、具体的には2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2′−ヒドロキシ −5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3′−5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
上記紫外線吸収剤の配合割合は、上記ポリエステル樹脂または熱可塑性ウレタン系エラストマーに対して0.05〜5重量%の範囲、好ましくは0.1〜1重量%の範囲である
【0019】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとコハク酸ジエチルの重縮合物等が挙げられる。
上記光安定剤の配合割合は、上記ポリエステル樹脂または熱可塑性ウレタン系エラストマーに対して0.05〜5重量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜1重量%の範囲である。
【0020】
本発明で用いられる樹脂には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、難燃剤、架橋剤、発泡剤、核剤等の添加剤を配合して用いることができる。
【0021】
【実施例】
試験方法
1.透湿度 :JISZ0208、カップ法準拠
2.引張り強さ:JISL1096、A法(ストリップ法)準拠
3.伸び率 :JISZ0208、A法(ストリップ法)準拠
4.熱収縮率 :シート(縦30cm×横30cm)を90℃のオーブン中で3日間保存後のシートの縦横の収縮率を測定した。
【0022】
実施例1
ポリエステルスパンボンド不織布〔東洋紡績(株)製「エクーレ」6301A(目付:30g/m2 、融点:260℃)〕を両外層とし、一方、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFポリウレタンエラストマー(株)製「エラストラン」OH−3−37、樹脂の透湿度4000g/m2・day(厚さ30μmのフィルムとして))を中間層として、押出ラミネート法により250℃で熱可塑性ウレタン系エラストマー層(厚さ30μm)押出し、サンドイッチラミネートして、ハウスラップ用シートを得た。得られたハウスラップ用シートの透湿度は3600g/m2・day、引張強さは縦200N/5cm、横110N/5cm、伸び率は縦22.7%、横23.5%であり、さらに熱収縮率は縦0.9%、横0.2%であった。
【0023】
比較例1
不織布として、出光石油化学(株)製ポリエチレンスパンボンド不織布〔「ストラテック」LN5020(原料:密度:940kg/m3 のエチレン−ブテン−1共重合体、繊維径:25μm、目付:20g/m2 、融点:124℃)〕と東洋紡績(株)製ポリエステルスパンボンド不織布〔「エクーレ」6301A(目付:30g/m2 、融点:260℃)〕とにより、ポリエステル不織布をエンボス面とし、エンボスロール温度150℃、フラットロール温度110℃の条件での熱ラミネーションにより2層積層不織布を得た。次いで、この2層不織布のポリエチレン不織布側に、(株)トクヤマ製無機フィラー含有延伸PE透湿フィルム「ポーラムPU35」(厚み:35μm)を、フィルム面をエンボス面として熱ラミネーションにより積層した。なお、熱接着の温度範囲は、エンボスロール85℃、フラットロール155℃であった。
得られた積層シートの透湿度は2500g/m2・dayであり、引張強さは縦62N/5cm,横35N/5cmであった。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ポリエステル樹脂からなる不織布の少なくとも片面に特定の透湿度を有する熱可塑性ウレタン系エラストマ−を押出ラミネ−トすることによって、軽量で、実用的な引張強度特性を備え、透湿性と防水性に優れたハウスラップ用シートが得られる。
Claims (4)
- ポリエステル樹脂繊維からなる不織布の少なくとも片面に透湿度が2000g/m2・day以上の熱可塑性ウレタン系エラストマ−をラミネ−トしてなることを特徴とするハウスラップ用シート
- ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1に記載のハウスラップ用シート。
- 不織布がスパンボンド不織布である請求項1に記載のハウスラップ用シート。
- 熱可塑性ウレタン系エラストマーがウレタン系エラストマーであって、その透湿度が3000〜10000g/m2・dayの範囲である請求項1に記載のハウスラップ用シート。
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JP2022074856A (ja) * | 2020-11-05 | 2022-05-18 | 一村産業株式会社 | 透湿防水シート |
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