JP2004164895A - 有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高発光輝度、高発光効率を示し、且つ、耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置を提供する。
【解決手段】陽極及び陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機化合物含有層を構成層として有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
該発光層から該陽極までの構成層のうち少なくとも1層が、0.01ppm〜10000ppmのカルシウムを含有する層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子ともいう)及び表示装置に関し、詳しくは発光輝度、発光効率及び耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、及びそれを有する表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が挙げられる。
【0003】
無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。一方、有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0004】
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子には、更なる低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。
【0005】
上記のような有機EL素子の公知技術としては、例えば、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体又はトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成しているもの(例えば、特許文献1参照。)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献2参照。)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献3参照。)等があり、いずれの技術も、蛍光量子収率の高い蛍光体をドープすることによって、従来の素子に比べて発光輝度を向上させている。
【0006】
しかし、上記のドープされる微量の蛍光体からの発光は、励起一重項からの発光であり、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。ところが、プリンストン大から励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子が報告がされて以来(例えば、非特許文献1参照。)、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、非特許文献2及び3参照。)。
【0007】
励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が最大4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。
【0008】
燐光性化合物をドーパントとして用いるときのホストは、燐光性化合物の発光極大波長よりも短波な領域に発光極大波長を有することが必要であることはもちろんであるが、その他にも満たすべき条件があることが分かってきた。
【0009】
また、燐光性化合物についていくつかの報告がなされており、ホール輸送性の化合物を燐光性化合物のホストとして用いているもの(例えば、非特許文献4参照。)、各種電子輸送性材料を燐光性化合物のホストとして、これらに新規なイリジウム錯体をドープして用いているもの(例えば、非特許文献5参照。)、更には、ホールブロック層の導入により高い発光効率を得ているもの(例えば、非特許文献6参照。)等が報告されている。
【0010】
燐光性化合物のホスト化合物については詳しく記載されているもの(例えば、非特許文献7参照。)があるが、高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を得るためにホスト化合物に必要とされる性質について、より新しい観点からのアプローチが必要である。
【0011】
最近、駆動電圧を低下させる目的で、陰極電極との界面に、金属酸化物または金属塩でドーピングした有機化合物層を金属ドーピング層として設ける(例えば、特許文献4、5参照。)技術が開示されている。また、特定の不純物を添加された領域のみを、電圧の印加時に発光させるために、陽極と発光層との界面近傍及び/または陰極と発光層との界面近傍に選択的に特定の不純物元素を添加することにより、前記不純物元素が添加された部分を正孔輸送層若しくは電子輸送層として用いる技術(例えば、特許文献6参照。)が開示されている。
【0012】
更に、キャリアの再結合に起因する電流以外の電流が流れないようにするために、含まれるイオン性不純物の濃度が0.1ppm以下である発光性有機化合物が開示されている(例えば、特許文献7参照。)。
【0013】
しかしながら、上記のいずれの報告も、素子の発光輝度の向上及び耐久性を両立しうる構成は得られていないのが現状である。
【0014】
【特許文献1】
特許第3,093,796号明細書
【0015】
【特許文献2】
特開昭63−264692号公報
【0016】
【特許文献3】
特開平3−255190号公報
【0017】
【特許文献4】
特開平10−270171号公報
【0018】
【特許文献5】
特開平10−270172号公報
【0019】
【特許文献6】
特開2001−102176号公報
【0020】
【特許文献7】
特開2001−214159号公報
【0021】
【非特許文献1】
M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154頁(1998年)
【0022】
【非特許文献2】
M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)
【0023】
【非特許文献3】
米国特許第6,097,147号明細書
【0024】
【非特許文献4】
Ikai et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)
【0025】
【非特許文献5】
M.E.Tompson et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)
【0026】
【非特許文献6】
Moon−Jae Youn.0g,Tetsuo Tsutsuiet al.,The 10th InternationalWorkshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)
【0027】
【非特許文献7】
C.Adachi et al.,Appl.Phys.Lett.,77巻、904頁(2000年)
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高発光輝度、高発光効率を示し、且つ、耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置を提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜9により達成された。
【0030】
1.陽極及び陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機化合物含有層を構成層として有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
該発光層から該陽極までの構成層のうち少なくとも1層が、0.01ppm〜10000ppmのカルシウムを含有する層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0031】
2.前記0.01ppm〜10000ppmのカルシウムを含有する層が、正孔輸送層であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0032】
3.前記カルシウムを含有する層のカルシウム量が、0.01ppm〜1000ppmであることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0033】
4.前記カルシウムを含有する層のカルシウム量が、0.1ppm〜1000ppmであることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0034】
5.前記カルシウムを含有する層のカルシウム量が、1ppm〜1000ppmであることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0035】
6.発光層が、少なくともホスト化合物及び燐光性化合物を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0036】
7.前記燐光性化合物が、イリジウム化合物、オスミウム化合物または白金化合物であることを特徴とする前記6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0037】
8.前記燐光性化合物が、イリジウム化合物であることを特徴とする前記6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0038】
9.前記1〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
【0039】
以下、本発明を詳細に説明する。
《有機化合物含有層》
本発明に係る有機化合物含有層について説明する。
【0040】
本発明に係る有機化合物含有層としては、後述するように、本発明の有機EL素子を構成する、種々の層、例えば、発光層、電子輸送層、正孔阻止層、陰極バッファー層、陽極バッファー層等に適用することが出来る。
【0041】
本発明者等は上記の問題点を種々検討した結果、本発明に記載の効果を得るためには、請求項1に記載のように、対向する陽極電極と陰極電極の間に少なくとも一層の有機化合物含有層を有する有機EL素子において、該有機化合物含有層の少なくとも一つが、正孔輸送層または発光層であり、且つ、該正孔輸送層または該発光層が、0.01ppm〜10000ppmのカルシウムを含有させることにより、発光輝度が高く、且つ、素子の耐久性が向上することを見いだしたものである。
【0042】
これらの効果の詳細は検討中であるが、恐らくカルシウムの重原子効果により燐光発光材料の発光輝度が向上し、またカルシウムを特定量存在させることにより正孔と電子の注入バランスが良くなるため素子の耐久性がよくなると考えている。
【0043】
(カルシウム含有量)
正孔輸送層または発光層中のカルシウム含有量は、0.01ppm〜10000ppm〜1.0×10ppmであることが本発明に記載の効果を得るための必須要件であるが、好ましい範囲を段階的に示すと、0.1ppm〜10000ppm、1.0ppm〜10000ppm、ついで、10ppm〜10000ppmが好ましく、特に好ましくは、50ppm〜1000ppmである。
【0044】
カルシウム含有量については、0.01ppm未満では、添加効果が極めて小さく、また、10000ppmを超えると注入バランス(電子注入バランス)がくずれ、発光効率の低下及び駆動電圧の上昇を招来してしまう。
【0045】
ここで、本発明では、ppmのディメンジョンは、〔mg/kg〕である。
(カルシウムの存在形態)
有機化合物含有層中に含まれるカルシウムはどのような形で含有(存在しているともいう)されていても良く、カルシウム金属単体、カルシウム金属の酸化物または金属塩等の状態で含有されていることが好ましく、カルシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、塩化カルシウム等の状態で含有されていることが特に好ましい。
【0046】
(カルシウムを含有させる方法)
前記有機化合物含有層中にカルシウムを含有させる方法は、公知の添加方法を適用することが出来、添加の時期は、有機EL素子の作製時に入れても良く、前記有機化合物含有層を構成する材料中に含有させておいても良い。
【0047】
有機EL素子作製時に入れる場合は、カルシウムを含有させる有機化合物含有層(有機膜ともいう)を先に形成しておいて後からイオンドーピング法などでドープしても良いし、共蒸着しても良い。また、溶液からの塗布で薄膜形成が可能な場合には、スピンコーティング法やディップコーティング法などの溶液からの塗布法が使用できる。この場合、ドーピングされる有機化合物とドープするカルシウムを不活性なポリマー中に分散して用いても良い。
【0048】
《有機EL素子中のカルシウム含有量の測定方法》
本発明において、有機EL素子中のカルシウム含有量を求める方法としては二次イオン質量分析法(以下SIMSという)を用いる。二次イオン質量分析法の詳細は日本表面科学会編、二次イオン質量分析法(丸善(東京)、(1999)を参照することができる。
【0049】
二次イオン質量分析法は用いる一次イオンの電流密度からダイナミック−SIMSとスタティック−SIMSとに分類されるが、本発明においてはスタティックモードで、特にイオンの透過率が高い、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析計)が用いられる。
【0050】
測定においては、予めカルシウム含有量既知の原料粉体をシリコンウエハー上に塗布あるいは付着させ基準試料とする。
【0051】
この基準試料と素子それぞれを同じ条件で測定し、基準試料測定から得られたカルシウムのイオン信号強度と、素子から得られた信号強度を比較して素子中のカルシウム量を算出する。TOF−SIMSを用いての詳細な測定条件は実施例において記載する。
【0052】
また、本発明に係る有機化合物含有層には、特願2002−140103号、同2002−138307号、特開2001−6878号公報、同2001−313177号公報、同2001−313178号公報、同2000−21572号公報等に記載の有機EL素子構成層に用いられる有機化合物を用いることが出来る。
【0053】
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子の構成層について説明する。
【0054】
本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0055】
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1000nm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
【0056】
(透明電極、半透明電極)
本発明に係る前記陽極、前記陰極は、発光を透過させるために、少なくとも一方が、透明電極または半透明電極であることが好ましい。ここで、半透明とは当該業者公知の透過率測定を行った場合に、透過率が10%以上のものを半透明と定義し、また、透明とは好ましくは、前記透過率が80%以上のものを透明と定義する。
【0057】
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、正孔輸送層、電子輸送層等について説明する。
【0058】
《注入層》:電子注入層、正孔注入層
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び、陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0059】
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0060】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0061】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0062】
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜100nmの範囲が好ましい。
【0063】
阻止層は、上記のごとく、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば特開平11−204258号、同11−204359号、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
【0064】
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0065】
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0066】
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
【0067】
正孔輸送層、電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
本発明の有機EL素子においては、発光層のホスト、発光層に隣接する正孔輸送層、発光層に隣接する電子輸送層すべての材料の蛍光極大波長が415nm以下であることが好ましい。
【0068】
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。
【0069】
発光層に使用される材料(以下、発光材料という)は、蛍光または燐光を発する有機化合物または錯体であることが好ましく、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。このような発光材料は、主に有機化合物であり、所望の色調により、例えば、Macromol.Synth.,125巻,17〜25頁に記載の化合物等を用いることができる。
【0070】
発光材料は、発光性能の他に、正孔輸送機能や電子輸送機能を併せ持っていても良く、正孔輸送材料や電子輸送材料の殆どが、発光材料としても使用できる。
【0071】
発光材料は、p−ポリフェニレンビニレンやポリフルオレンのような高分子材料でも良く、さらに前記発光材料を高分子鎖に導入した、または前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用しても良い。
【0072】
この発光層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらの発光材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。本発明の有機EL素子の好ましい態様は、発光層が二種以上の材料からなり、その内の一種が本発明の化合物であるときである。
【0073】
また、この発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については、特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
【0074】
発光層の材料が2種以上であるとき、主成分をホスト、その他の成分をドーパントといい、本発明に係る、前記一般式(1)〜(4)で表される各部分構造を有する各々の化合物は、後述するドーパントとして用いられることが好ましい。
【0075】
その場合、主成分であるホスト化合物に対するドーパントの混合比は好ましくは質量で0.1質量%〜15質量%未満である。
【0076】
(ホスト化合物)
「ホスト化合物(単にホストともいう)」とは、2種以上の化合物で構成される発光層中にて混合比(質量)の最も多い化合物のことを意味し、それ以外の化合物については「ドーパント化合物(単に、ドーパントともいう)」という。例えば、発光層を化合物A、化合物Bという2種で構成し、その混合比がA:B=10:90であれば化合物Aがドーパント化合物であり、化合物Bがホスト化合物である。更に、発光層を化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成し、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物A、化合物Bがドーパント化合物であり、化合物Cがホスト化合物である。
【0077】
発光層のホスト化合物は、有機化合物または錯体であることが好ましく、本発明においては、好ましくは蛍光極大波長が415nm以下である。ホスト化合物の極大波長を415nm以下にすることにより可視光、特にBGR発光が可能となる。
【0078】
つまり蛍光極大波長を415nm以下にすることにより、通常のπ共役蛍光もしくは燐光材料において、π−π吸収を420nm以下に有するエネルギー移動型のドーパント発光が可能である。また415nm以下の蛍光を有することから非常にワイドエネルギーギャップ(イオン化ポテンシャル−電子親和力、HOMO−LUMO)であるので、キャリアトラップ型にも有利に働く。
【0079】
このようなホスト化合物としては、有機EL素子に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができ、また後述の正孔輸送材料や電子輸送材料の殆どが発光層ホスト化合物としても使用できる。
【0080】
ポリビニルカルバゾールやポリフルオレンのような高分子材料でもよく、さらに前記ホスト化合物を高分子鎖に導入した、または前記ホスト化合物を高分子の主鎖とした高分子材料を使用してもよい。
【0081】
ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
【0082】
(ドーパント)
次にドーパントについて述べる。
【0083】
原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをドーパントに移動させることでドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはドーパントがキャリアトラップとなり、ドーパント化合物上でキャリアの再結合が起こりドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、ドーパント化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0084】
(燐光性化合物)
本発明に係る発光層においては、燐光性化合物が好ましく用いられるが、本発明に係る燐光性化合物としては、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753ページ(2000年)、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ(2001年)、M.E.Tompson et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)、Moon Jae Youn.0g,Tetsuo Tsutsui et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)、Ikai et al.,The 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence(EL’00、浜松)、特開2001−247859号公報、同2002−105055号公報、同2002−117978号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0085】
以下、本発明に係る燐光性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0086】
【化1】
Figure 2004164895
【0087】
【化2】
Figure 2004164895
【0088】
【化3】
Figure 2004164895
【0089】
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
【0090】
正孔輸送材料としては、特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0091】
正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0092】
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0093】
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4’’−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0094】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0095】
また、p型−Si,p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
【0096】
また、本発明においては正孔輸送層の正孔輸送材料は415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、正孔輸送材料は、正孔輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
【0097】
この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
【0098】
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
【0099】
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、下記の材料が知られている。
【0100】
さらに、電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0101】
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0102】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0103】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0104】
電子輸送層に用いられる好ましい化合物は、415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、電子輸送層に用いられる化合物は、電子輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
【0105】
《基体(基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機EL素子に係る基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
【0106】
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0107】
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
【0108】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
【0109】
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
本発明の多色表示装置は少なくとも2種類の異なる発光極大波長を有する有機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。
【0110】
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
【0111】
まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜を形成させる。
【0112】
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0113】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
【0114】
本発明の多色表示装置は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、他層は共通であるのでシャドーマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
【0115】
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、印刷法である。蒸着法を用いる場合においてはシャドーマスクを用いたパターニングが好ましい。
【0116】
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
【0117】
このようにして得られた多色表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0118】
本発明の多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレー、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレーにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
【0119】
表示デバイス、ディスプレーとしてはテレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
【0120】
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。
【0121】
また、本発明に係る有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。
【0122】
このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
【0123】
《表示装置》
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
【0124】
【発明の実施の形態】
本発明の有機EL素子から構成される表示装置の一例を図面に基づいて以下に説明する。
【0125】
図1は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
【0126】
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
【0127】
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
【0128】
図2は、表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
【0129】
図においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
【0130】
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
【0131】
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0132】
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は、画素の模式図である。
【0133】
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
【0134】
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
【0135】
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
【0136】
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
【0137】
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
【0138】
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
【0139】
また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
【0140】
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
【0141】
図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
【0142】
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
【0143】
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
【0144】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0145】
実施例1
《有機EL素子OLED1−1の作製》:本発明
陽極として2枚の100mm×100mm×1.1mmのガラス基板A、B上にITO(インジウムティンオキシド)を150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板A、Bの各々をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。
【0146】
この2枚の透明支持基板(単に、基板ともいう)A、Bを各々真空蒸着装置に取付け、次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比が100:0.05になるように透明支持基板に共蒸着し、膜厚45nmの正孔輸送層を設けた。次に基板Bの方はマスクをかけ、成膜されないようにした状態で、もう1枚の基板AのみにCBPとIr−1(燐光性ドーパントとして用いる)を前記正孔輸送層上に蒸着速度の比が20:1になるように共蒸着して膜厚20nmの発光層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。更に、基板BにはマスクをかけたままでBCPを前記発光層の上に蒸着して膜厚10nmの正孔阻止の役割も兼ねた電子輸送層を設けた。基板Bにはマスクをかけたままで、更に、Alqを基板Aの前記電子輸送層の上に蒸着して膜厚40nmの電子注入層を設けた。尚、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0147】
引き続き基板Aのみにフッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、図5に示すような有機EL素子OLED1−1を作製した。
【0148】
また、基板Bには、正孔輸送層の材料のみ蒸着し、カルシウム含量測定用として用いた。
【0149】
《有機EL素子OLED1−2の作製》:本発明
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:0.005にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−2を作製した。
【0150】
《有機EL素子OLED1−3の作製》:比較用
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDのみを蒸着した以外は全く同様にして、比較用の有機EL素子OLED1−3を作製した。
【0151】
《有機EL素子OLED1−4の作製》:本発明
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:0.00001にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−4を作製した。
【0152】
《有機EL素子OLED1−5の作製》
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:0.0001にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−5を作製した。
【0153】
《有機EL素子OLED1−6の作製》
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:0.001にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−6を作製した。
【0154】
《有機EL素子OLED1−7の作製》
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:3にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−7を作製した。
【0155】
《有機EL素子OLED1−8の作製》
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:0.09にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−8を作製した。
【0156】
《有機EL素子OLED1−9の作製》
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:0.12にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−9を作製した。
【0157】
《有機EL素子OLED1−10の作製》
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:0.95にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−10を作製した。
【0158】
《有機EL素子OLED1−11の作製》
前記有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成時に、α−NPDとカルシウムの蒸着速度の比を100:1.1にした以外は全く同様にして、有機EL素子OLED1−11を作製した。
【0159】
尚、有機EL素子OLED1−2〜1−11の作製においては、有機EL素子OLED1−1の作製時と同様に、正孔輸送層の材料のみ蒸着した基板を各々作製し、カルシウム含有量測定用の標準試料とした。
【0160】
【化4】
Figure 2004164895
【0161】
得られた有機EL素子OLED1−1〜1−11の各々について下記のような測定及び評価を行った。
【0162】
《有機EL素子中のカルシウム含有量の測定》
上記有機EL素子の作製において、基板上に正孔輸送層のみを各々成膜した基板を用いて、以下に記載の測定条件にてカルシウム含有量を測定し、有機EL素子OLED1−1〜1−11の各々の正孔輸送層中のカルシウム含有量とした。
【0163】
(測定条件)
測定装置 :TRIFT−2(TOF−SIMS、米国ファイ社製)
一次イオン :インジウム
一次イオン加速電圧:15kV
一次イオン電流 :20nA
一次イオンパルス幅:780ps(バンチング後)
測定面積 :60μm角
測定質量範囲 :0.5〜1000
得られた結果は下記の通りである。
【0164】
有機EL素子番号 カルシウム含有量(ppm)
OLED1−1 500ppm
OLED1−2 57ppm
OLED1−3 0ppm
OLED1−4 0.05ppm
OLED1−5 0.70ppm
OLED1−6 8.10ppm
OLED1−7 31500ppm
OLED1−8 920ppm
OLED1−9 1200ppm
OLED1−10 9500ppm
OLED1−11 11200ppm
《発光輝度、発光効率》
有機EL素子OLED1−1〜OLED1−11の発光色は緑色であった。有機EL素子OLED1−1は初期駆動電圧3Vで電流が流れ始めた。
【0165】
有機EL素子OLED1−1〜OLED1−11の温度23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で10V直流電圧を印加した時の発光輝度(cd/m)、発光効率(lm/W)を測定した。
【0166】
発光輝度、発光効率は有機EL素子OLED1−1を100とした時の相対値で表した。発光輝度については、CS−1000(ミノルタ製)を用いて測定した。
【0167】
《耐久性》
有機EL素子OLED1−1〜1−11の各々を10mA/cmの一定電流で駆動したときに初期輝度が元の半分に低下するのに要した時間である半減寿命時間を指標として耐久性を評価した。また、半減寿命時間は有機EL素子OLED1−1を100とした時の相対値で表した。
【0168】
得られた結果を表1に示す。
【0169】
【表1】
Figure 2004164895
【0170】
表1から、正孔輸送層にカルシウムを含有した本発明の有機EL素子OLED1−1、1−2、1−4、1−5、1−6、1−8〜1−9の各々の素子は、含有していない比較の有機EL素子OLED1−3に比べて、発光輝度、発光効率が改善され、優れた耐久性を示すことが判った。また、比較の有機EL素子OLED1−7の結果より、カルシウム量が多すぎる場合には、逆効果を示すことが判った。
【0171】
実施例2
《有機EL素子OLED2−1の作製》:本発明
実施例1の有機EL素子OLED1−1の作製において、正孔輸送層の形成に用いたα−NPDの代わりに、下記のように、カルシウム含有量を調整したα−NPDを用いた以外は同様にして、有機EL素子OLED2−1を作製した。
【0172】
(カルシウムを含むα−NPDの調製)
α−NPD1.00gをトルエン100mlに溶解し、塩化カルシウムの3%水溶液と混合し、分液し、濃縮した。これを昇華精製し得られた試料を前述の方法で分析した結果、カルシウム含有量は、1023ppmであった。
【0173】
尚、有機EL素子OLED2−1の作製においては、実施例1に記載の有機EL素子OLED1−1の作製時と同様に、正孔輸送層の材料のみ蒸着した基板を作製し、カルシウム含有量測定用の標準試料とした。
【0174】
《有機EL素子中のカルシウム含有量の測定》
有機EL素子OLED2−1の作製において、正孔輸送層のみを蒸着した基板を用いて、カルシウム含有量を測定し、有機EL素子OLED2−1の正孔輸送層中のカルシウム含有量とした。
【0175】
得られた結果は下記の通りである。
有機EL素子番号 カルシウム含有量(ppm)
OLED2−1 78ppm
《発光輝度、発光効率》
実施例1に記載と同様の方法を用いて、有機EL素子OLED2−1の発光輝度、発光効率を評価した。発光輝度、発光効率の各々の値は、実施例1に記載の有機EL素子OLED1−1を100とした時の相対値で表した。
【0176】
得られた結果を下記に示す。
有機EL素子番号 発光輝度 発行効率 半減時間
OLED2−1 115 120 109
上記結果から、予め正孔輸送層形成に用いる材料として、カルシウムを含むα−NPDを用いて場合でも、カルシウム含有量が0.01ppm未満である、実施例1に記載の有機EL素子OLED1−3に比べて、高発光輝度であり、発行効率に優れ、且つ、耐久性も良好であることが明かである。
【0177】
実施例3
《有機EL素子OLED5−1:塗布系燐光発光素子》
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。
【0178】
この2枚の透明支持基板上にPEDOT/PESS溶液(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスルフォン酸ドープ体:baytron(バイエル社製))を膜厚約100nmでスピンコートした後、真空加熱乾燥した。この上にポリ(N−ビニルカルバゾール:東京化成社製)10g、Ir−1を250mg、フッ化カルシウム1mg、2−(4−ビフェニルイル)−6−(4−tert−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾール5mgをクロロホルム1500mlに溶解し、その溶液をスピンコートすることで膜厚150nmの発光層を得た。この基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、フッ化リチウム0.5nm及びアルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。この素子も、発光輝度、発光効率、耐久性が改善されていた。
【0179】
実施例4
《フルカラー表示装置の作製》
実施例1の有機EL素子OLED1−1の作製において、Ir−1(燐光性ドーパント)の代わりに、Ir−12、Ir−6を各々用いた以外は同様にして、有機EL素子OLED6−1(青色発光)、有機EL素子OLED6−2(赤色発光)を作製した。
【0180】
実施例1で作製した有機EL素子OLED1−1(緑色発光)、上記の有機EL素子の各々を同一基板上に並置し、図1に示すような形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製し、図2には、作製したフルカラー表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。
【0181】
即ち、同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。前記複数画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子10、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12それぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。この様に各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0182】
該フルカラー表示装置を駆動することにより、輝度が高く、高耐久性を示し、且つ、鮮明なフルカラー動画表示が得られることが判った。
【0183】
【発明の効果】
本発明により、高い発光輝度を示し、量子効率に優れ、且つ、半減寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
【図2】表示部Aの模式図である。
【図3】画素の模式図である。
【図4】パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
【図5】有機EL素子OLED1−1の概略模式図である。
【符号の説明】
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部

Claims (9)

  1. 陽極及び陰極の間に、少なくとも発光層を含む有機化合物含有層を構成層として有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    該発光層から該陽極までの構成層のうち少なくとも1層が、0.01ppm〜10000ppmのカルシウムを含有する層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記0.01ppm〜10000ppmのカルシウムを含有する層が、正孔輸送層であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記カルシウムを含有する層のカルシウム量が、0.01ppm〜1000ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記カルシウムを含有する層のカルシウム量が、0.1ppm〜1000ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記カルシウムを含有する層のカルシウム量が、1ppm〜1000ppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 発光層が、少なくともホスト化合物及び燐光性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記燐光性化合物が、イリジウム化合物、オスミウム化合物または白金化合物であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記燐光性化合物が、イリジウム化合物であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
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