JP2004164162A - 制御盤配線表の作成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御盤の配線表を電線サイズを含めて自動作成する。
【解決手段】配線表作成の自動化にあたって、シーケンス上の個々の配線と器具類に配線表を作成するために必要なデータ(電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等)を保有させる。電線サイズの選定については、運転モードにおける負荷電流パターンの作成と最大負荷電流に見合った電線サイズの選定及び短絡電流値の保護協調、接続方式、電線本数の条件を満足するように電線サイズを選定する。電線色、極性、回路区分、系統区分等については、従来のシーケンス上に存在する情報を活用する。
【選択図】 図1
【解決手段】配線表作成の自動化にあたって、シーケンス上の個々の配線と器具類に配線表を作成するために必要なデータ(電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等)を保有させる。電線サイズの選定については、運転モードにおける負荷電流パターンの作成と最大負荷電流に見合った電線サイズの選定及び短絡電流値の保護協調、接続方式、電線本数の条件を満足するように電線サイズを選定する。電線色、極性、回路区分、系統区分等については、従来のシーケンス上に存在する情報を活用する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はCADシステムに関し、特に制御盤配線表の自動作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
制御盤の電線を各器具類に接続するために配線表を作成し、これにより配線作業を行っている。配線表の作成は、CAD(Computer Aided Design)システムで作成したシーケンスに対し、配線ごとに電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等のデータを手書きで記入する。このデータを自動化配線表システム(DAWS:Design Automation Wiring System)に入力して配線表を作成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電線サイズの選定に際し、プラントの運転モードで負荷電流が増減するインターロック回路等については、運転モードにおける最大負荷電流を考慮する必要がある。しかしながら、プラント全体で数千枚に及ぶシーケンスに対し、各運転モードにおける最大負荷電流を算出するのは膨大な作業量となる。このため、一般には、回路に接続される器具類の負荷電流の積み上げにより求めた電流値により、電線サイズを選定している。
【0004】
また、電線サイズは短絡電流値との保護協調を取る必要がある。すなわち、制御盤のヒューズ容量(A)及び溶断時間と、制御盤に電源を供給する分電盤等の遮断器(MCCB)の遮断特性から、短絡電流により電線が焼損等を生じないように電線サイズを決定する必要がある。また、圧着端子、コネクタ、ラッピングポスト、ハンダ等の各器具類の端子構造により接続可能な電線サイズにも制約がある。さらに、器具の端子構造上から、必要とする電線サイズが接続出来ない場合、接続する本数を考慮する必要がある。
【0005】
このように、電線サイズの選定については、運転モードにおける負荷電流パターンの作成と最大負荷電流に見合った電線サイズの選定、及び短絡電流値の保護協調、接続方式、電線本数の条件等を満足することが必要で、配線表作成の自動化の隘路となっていた。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、シーケンスの情報から電線サイズを含むデータを抽出し、配線表を自動的に作成する装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、CADシステムで作成したシーケンス(データ)から、制御盤の配線表に必要な電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等のデータ抽出して配線表を作成する装置において、前記シーケンス上の各配線について、それが用いられている回路の負荷電流を算出し、前記配線の許容電流値が前記負荷電流を上回るように、前記電線サイズを決定する構成としたことを特徴とする。
【0008】
前記負荷電流は、前記回路に接続される全ての器具の負荷電流の加算値とし、合計した負荷電流が前記配線の許容電流値以上の場合には線径をサイズアップして再度検証することを特徴とする。
【0009】
また、前記回路の負荷電流が制御対象機器の起動・停止により変化し、前記負荷電流が前記配線の許容電流値以上となる場合は、前記制御対象機器の運転・停止の指令信号をシーケンス上で模擬し、前記制御対象機器の起動から停止までに各器具に流れる電流を時系列に加算して、前記回路に流れる負荷電流パターンを作成して最大負荷電流を算出し、この最大負荷電流が前記電線の許容電流値以下となるように検証することを特徴とする。
【0010】
さらに、決定された前記電線サイズの許容電流値と盤内の回路保護デバイスの仕様(ヒューズの容量等)を比較し、保護協調が取れていない場合は前記回路保護デバイスの仕様を変更する構成としたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。従来のCADシステムによるシーケンスは、個々の配線及び各器具類に配線表を作成するために必要なデータ(電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等)を付加していない。このため、本発明による配線表作成の自動化にあたっては、シーケンス上の個々の配線と器具類に上記のデータを、以下のように保有させる必要がある。
(1)電線サイズは、運転モードにおける最大負荷電流に見合った電線サイズを個々の配線にデータとして保有する。また、ヒューズの容量(A)及び溶断時間、遮断器(MCCB)の遮断特性等も、保護強調に必要なデータとしてシーケンス上に保有する。また、器具類は、接続方式(圧着端子、コネクタ、ラッピングポスト、ハンダ等)、接続可能な電線本数、負荷電流値を保有する。
(2)電線色は、従来のシーケンス上に存在する電源区別(直流、交流)、PT回路、CT回路、計装回路、接地回路の情報より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
(3)極性は、従来のシーケンス上に存在する極性の情報より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
(4)回路区分は、従来のシーケンス上に存在する回路電圧(高圧、低圧等)、PT回路、CT回路、用途(制御回路、計測回路等)より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
(5)系統区分は、従来のシーケンス上に存在するケーブル表の区分より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
【0012】
図1は一実施例による配線表作成システムのブロック図を示す。配線表作成システムはシーケンス手段、実装手段及び配線表作成手段からなる。シーケンス手段は配線データと実装データを自動に抽出する機能で、シーケンスDB10、配線表DB20、器具仕様DB30、回路検証DB40及びワークファイル60を有している。ワークファイル60はシーケンスDB20、配線表DB30、器具仕様DB30と実装DB50を参照して配線データ601を抽出する。また、実装DB50から実装データ602を抽出する。配線データ601は回路検証DB40に基づいて検証され、配線表作成ファイル70に渡される。配線表作成ファイル70は配線データ601と実装データ602から配線表を作成する。
【0013】
シーケンスDB10はシーケンスの要素別にセルのデータを構築し、パス(線)、シンボル、端子、ケーブル表、盤枠等について属性を定義したデータを保有している。たとえば、パスセルDBは線番、回路電圧など、シンボルセルDBは器具番号、端子番号1,2、器具形式などを保有している。属性の定義は、盤番号;AA、器具番号:BB、器具型式:CC、器具端子番号1:DD、器具端子番号2:EE、・・・・等である。
【0014】
図2にシーケンスの例を示す。シーケンス上で、各盤は盤枠(1点鎖線)で囲まれ、それぞれ固有の盤番号を割り付けられて、この枠内に記載されている回路をその盤の回路と識別している。又、盤内に設置されるユニット(プリント基板やリレー・タイマー等を実装する装置)についても固有のユニット番号を割り付け、この枠内に記載されている回路をそのユニットの回路と識別している。
【0015】
盤内配線はパス(線)により各器具の端子間の繋がりが分かるように記載している。各器具はその種類毎に図13に示すようなシンボルを定め、シンボルのそれぞれに器具番号、端子番号、型式、取付け座標等を併記している。又、異なる盤間の接続は、盤内配線とは別の外部ケーブルにより接続している。図2の例では、制御盤Aと制御盤Bを指標▲1▼の外部ケーブルで接続している。この外部ケーブルの芯数、SH(他のシーケンスシートでも使用している場合はそのシート番号を記載)、系統区分、FROM(発点)、TO(着点)の情報は、ケーブル表としてシーケンス上に記載されている。
【0016】
図3は配線DBの一例を示している。配線表は盤内配線の繋がりを示すものであり、固有線番、シートNo、座標、器具番号、端子番号、線径、線種、極性、回路区分、系統区分の情報を持つ。この例では、固有線番P1の配線が、シーケンスシートNo001に記載されている。そして、座標A1に実装される器具番号Aの端子番号1と座標B1に実装される器具番号Bの端子番号1を、線径2mm2、線種B、極性H、回路区分A、系統区分Cで接続する。このうち、固有線番、シートNo、座標、器具番号、端子番号は既存のシーケンスデータ及び実装データより直接に抽出し、配線表システムに転送して配線表データとして使用される。これにより、シーケンスDB10より抽出したパスに記号化した配線情報が付加されることになる。
【0017】
具体的には、指定した盤番号により、シーケンスの盤枠DBより盤番号を検索後、該当するシーケンス(シート)を得る。次に、盤枠の内外判定を行い、盤枠の内側のセル要素を対象回路と識別する。そして、パス(配線)に繋がっているシンボル等の接続情報とパスセルDBより線番、回路電圧等の属性を定義する。すなわち、シーケンス手段で指定した盤番号より盤内配線データとして認識して、自動で行う。配線データ601をワークファイル60に抽出・格納し、実装DB50から別に抽出している実装データ602と照合・転記を行う。すなわち、盤番号、器具番号をキーとして実装データ602より座標、器具型式を転記し、更に、配線データ601と実装データ602に差異がないかの照合を行う。この後、配線表作成手段70へ配線データ601、実装データ602と分けて転送・出力を行う。
【0018】
図4に実装DBの一例を示す。器具の実装図は、器具の配線面に対して、X軸、Y軸方向にそれぞれ1,2,3・・、A、B、C、・・等の符号を付し、各器具に座標をA1、B2のように割付する。ここでは、座標A1の記載例を示し、器具番号、シートNo、器具形式が示されている。
【0019】
ところで、従来は線径、線種、極性、回路区分、系統区分のデータは、シーケンス上に手書きで示し、配線表作成ファイルに手入力して配線表データを作成していた。本発明では、従来の手入力作業の配線表データをシーケンスDBから自動的に抽出して配線表を作成する。以下にその実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
まず、電線のサイズ(線径)の選定方法から説明する。各器具に接続する電線のサイズは、予め各回路毎に最小線径を定めて線径DBとして構築してある。図5は線径の例、図6は各線径の許容通電電流値と接続方式の例を示す。
【0021】
線径のセットに当たっては、初めは初期値として回路毎に定めた最小線径をセットする。初期値としてセットしたそれぞれのパス(線)の線径に対して、図12に示す回路検証DBの検証項目順にチェックを行い、エラーとなったパス(線)に対して線径のサイズアップ、又はサイズダウンを行い、適合線径となるまで検証処理を繰り返す。これらは回路検証DB40に基づいて行なわれる。図11は器具仕様DBの例で、検証に必要な新たな器具仕様の情報は既存の仕様に追加される。
【0022】
図14はシーケンス手段が処理する線径の選定フロー図である。まず盤番号を指定し、対象のシーケンスシートをゲットし(s101)、対象のパス(線)をゲットする(s102)。次に、線径DB(図5)から初期線径値をセットする(s103)。初期値としてセットした線径が各器具の端子に接続可能かを、図6の許容電流値と器具仕様DB(図11)に登録したデータとを比較し、回路検証DBにて検証を行う(s104)。ここでは、電線サイズと共に本数や接続方式もチェックされる。エラー(NG)となったパス(線)に対しては、s103に戻って線径のサイズアップ、又はサイズダウンを行い、適合線径となるまで繰り返し検証を行う。
【0023】
s104でOKになると、当該回路の負荷電流が運転モード(制御対象機器の起動・停止等)に関わらず一定か、あるいは変動するかを判定する(s105)。一定の場合は、その回路に接続される全ての器具の負荷電流の加算値と、初期値としてセットした線径の許容通電電流値を比較し、負荷電流の加算値が電線の許容通電電流値以下であることを検証する(s106)。後述する図15を例にとれば、器具A,B,C,Dの負荷電流の加算値と許容通電電流値の比較である。なお、合計負荷電流はシーケンスDBで加算される。
【0024】
合計負荷電流が電線の許容通電電流値以上の場合には、s103に戻って、線径をサイズアップして再度検証を行い、負荷電流が電線の許容通電電流値以下となるまで繰り返し検証を行う。
一方、当該回路の負荷電流が運転モード(対象機器の起動・停止)により変化するインターロック等の場合は(s107)、回路に接続される全ての器具の負荷電流の加算値と、初期値としてセットしたパス(線径)の許容通電電流を比較する。そして、負荷電流の加算値が電線の許容通電電流値以下であることを検証し、OKであればS111に進む。
【0025】
ここで、負荷電流が電線の許容通電電流値以上の場合は、制御対象機器の運転・停止指令等のトリガー信号をシーケンス上で模擬(シミュレーション)する。そして、制御対象機器の起動から停止まで各器具に流れる電流を時系列に加算し、回路に流れる負荷電流パターンを作成し(s108)、最大負荷電流を算出する(s109)。この最大負荷電流と電線の許容通電電流値を比較し、最大負荷電流が電線の許容電流値以下であることを検証する(s110)。
【0026】
最大負荷電流が電線の許容電流値以上の場合には、線径をサイズアップし再度検証を行い、最大負荷電流が電線の許容電流値以下となるまで繰り返し検証を行う。
ここで、制御対象機器の運転・停止指令信号をシーケンス上で模擬(シミュレーション)する方法を説明する。図15はシーケンス上でのシミュレーション回路を示している。機器の起動信号、停止信号等のトリガー信号をシーケンス上で模擬出来る機能と、リレー、タイマー等の器具の動作(例えば、リレーコイルが励磁されるとそのリレーの接点信号がON/OFFする)を模擬出来る機能を有している。また、各器具の負荷電流値と動作時間等を器具仕様DBに登録しておく。図15の例では、機器の起動信号を模擬(ON動作)させると、それに繋がる器具Aのリレーコイル(10−11端子)が励磁(動作)したと識別する。予め器具仕様DBに登録している器具Aの負荷電流値(1A)をその時点の回路負荷電流値として算出する。
【0027】
次に、器具Aのリレーコイル(10−11端子)が励磁されると器具Aの接点(1−2端子)が動作(ON)し、器具Bのタイマーコイル(20−21端子)が励磁したと識別する。器具Bが励磁すると、回路負荷電流値は器具Aの負荷電流値(1A)に器具Bの負荷電流値(0.5A)を加算した1.5Aと算出する。以上のように制御対象機器の起動から停止までをシミュレーションし、各運転モードにおける回路の負荷電流値を算出する。
【0028】
本例の動作を以下に示す。
▲1▼機器起動信号:ON
▲2▼器具A:励磁⇒負荷電流(1A)通電
▲3▼器具A(1−2)接点:ON
▲4▼器具B:励磁⇒負荷電流(0.5A)通電
(回路合計負荷電流:1+0.5=1.5A)
▲5▼器具B(1−2)接点:10分後ON
▲6▼器具C:励磁⇒負荷電流(0.8A)通電
(回路合計負荷電流:1.5+0.8=2.3A)⇒最大負荷電流
▲7▼機器停止信号:ON
▲8▼)器具A,B,C:無励磁⇒回路合計負荷電流:0A
図16は負荷電流パターンの例を示す。負荷電流パターンは、上記のシミュレーションにより求めた負荷電流値と、各器具が励磁(動作)している時間をシーケンスデータより抽出し、時系列のグラフを作成する。このグラフのそれぞれの電流値(各運転モードにおける負荷電流値)を比較し最大値となるのを最大負荷電流値として算出する。
【0029】
次に、回路検証DB40による回路の短絡保護(電線の変色、溶断、焼損等の防止)に設置するヒューズ、遮断器(MCCB)等の保護デバイスと、電線の保護協調の方法を説明する。
盤内のヒューズ等の回路保護デバイスと電線(サイズ)の協調は、保護デバイスの仕様(ヒューズの容量(A)、溶断時間(秒)等)を予め器具仕様DB(図11)として構築してある。そして、シーケンス上に記載された保護デバイスの仕様と、上記でセットされた電線(線径)の許容通電電流値とを比較し、容量(A)、溶断時間(秒)が電線の許容電通電流値以下であり、保護協調が取れていることを検証する(s111)。保護協調が取れていない場合には、シーケンス上の保護デバイスの仕様を変更し保護協調が取れるまで繰り返し検証を行う。
【0030】
具体例として、盤に電源を供給する上位の電源盤(分電盤等)に設置する遮断器(MCCB)等の回路保護デバイスとの協調方式を以下に示す。保護デバイスの仕様(遮断電流(A)、遮断時間(秒)等)を予め器具仕様DB(図11)として構築しておく。シーケンス上に記載された保護デバイスの仕様と上記でセットした電線(線径)の許容通電電流値とを比較し、遮断電流(A)、遮断時間(秒)が電線の許容通電電流値以下であり保護協調が取れていることを検証する。
【0031】
また、上位の電源盤と下位の盤に設置する保護デバイスの協調について説明する。短絡時の故障範囲を最小とするため、短絡点に最も近い電源側の保護デバイスが他の保護デバイスよりも先に遮断するように、シーケンス上に記載した保護デバイスの仕様を部品仕様DBに登録したデータと比較し検証する(s112)。
【0032】
次に、線種、極性、回路区分、系統区分の配線表への割り当てを説明する。これらのデータは、設備の線種(電線色別)、極性(相極性色別)、回路区分、系統区分の配線用DB20を予め別ファイルとして構築しておき、シーケンスより直接抽出したデータを自動的に配線データに割り当てる。
盤内で使用する電線の種類(線種)は、使用する回路の区分(直流回路、交流回路、PT・CT回路、計装回路、接地回路)により定めている。線種の例を図7に示す。
線種は以下のように配線表に割り当てられる。直流回路、交流回路はパスDBにセットされている電圧区分(図2ではDC100V)により、線種の符号(色)をセットする。PT、CT回路はシンボルDB(図13)からPT、CTの区分をセットし、当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、線種の符号(色)をセットする。計装回路のシールド線、ツイスト線は特殊線として各パス(線)にセットしてあり、それを抽出後、線種の符号(色)をセットする。接地回路はシンボルDBから区分をセットし、パス(線)の繋がりにより当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、線種の符号(色)をセットする。
【0033】
盤内の配線にはその配線の相極性を示す極性マーク(相極性色別)を付与している。極性の例を図8に示す。直流回路、交流回路はパスDBより相順をセットする。共通相は、母線(直流回路では正極、負極)に繋がるパス(線)以外のパス(線)を抽出し、極性の符号(色)をセットする。図17に配線上の極性表示の例を示す。
【0034】
図18は直流回路の極性の例である。接地相はシンボルが固定であることから、シンボルに接続されるパス(線)の繋ぎによりセットする。ユニット内の配線は、ユニット枠よりユニットと本体(ユニット内以外の配線)の区分を行い、ユニット内には極性をセットしない(極性マークは付けない)。
【0035】
盤内の配線は強電回路と弱電回路に分離して布設している。配線表では回路区分として指示されている。図9に回路区分の例を示す。回路区分は以下のように配線表に割り当てられる。
【0036】
直流回路、交流回路はパスDBにセットされている電圧区分により、回路区分の符号をセットする。PT、CT回路はシンボルDBからPT、CTの区分をセットし、当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、回路区分の符号をセットする。計装回路のシールド線、ツイスト線は特殊線として各々パス(線)にセットしてあり、それを抽出後セットする。接地回路はシンボルDBから区分をセットし、パス(線)の繋がりにより当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、回路区分の符号をセットする。
【0037】
系統区分は、盤内の配線が一般系と安全系の回路に分離しているので、これを以下の方式により配線表に割り当てる。図10に系統区分の例を示す。
【0038】
図2のシーケンスのケーブル表から、FROM、TO欄より当該盤をゲットし、ケーブル表の指標Noより当該パス(線)を検索し、ケーブル表の分類欄と配線表DBを照合変換後、一般系か安全系かを該当パス(線)にセットする。
【0039】
以上の実施例によって作成される配線表のデータ種別を図19に示す。固有線番、シートNoが盤番号を指定して得られる。盤番号、座標、器具形式、器具番号は実装データ602から抽出される。端子番号、線径、線種、極性、回路区分、系統区分は配線データ601から抽出される。
【0040】
本実施例では、シーケンス上の配線について、それが用いられている回路の負荷電流を算出し、この負荷電流より配線の許容電流値が上回るように配線サイズを決定している。特に、回路の負荷電流が制御対象機器の起動・停止により変化する場合は、運転・停止の指令信号をシーケンス上で模擬し、起動から停止までに回路に流れる電流を時系列に加算して負荷電流パターンを作成する。そして、この最大電流が配線の許容電流値を下回るように配線サイズを決定している。
【0041】
これによれば、従来は困難であった線径の抽出を可能にし、配線表の自動作成を実現している。
【0042】
また、決定された電線サイズについて、その許容電流値と盤内のヒューズ容量など回路保護デバイスとの仕様を比較し、保護協調が取れているかを確認するので信頼性の高い配線表を提供できる効果がある。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、シーケンス上の個々の配線と器具類に配線表の作成に必要なデータを保有させ、配線表の自動作成が可能になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による配線表作成システムの構成図。
【図2】シーケンスの一例を示す説明図。
【図3】一実施例による配線表DBを示す説明図。
【図4】一実施例による実装DBを示す説明図。
【図5】線径DBの一例を示す説明図。
【図6】線径毎の許容電流と接続方法を保有するDBの説明図。
【図7】回路別の線種DBの説明図。
【図8】相極性別の極性DBの説明図。
【図9】回路別の回路区分(強電/弱電)DBの説明図。
【図10】一般系/安全系を区分する系統区分DBの説明図。
【図11】器具仕様DBの説明図。
【図12】回路検証アルゴリズムを保有する回路検証DBの説明図。
【図13】シーケンスシンボルの説明図。
【図14】線径の選定処理手順を示すフローチャート。
【図15】シミュレーションの対象回路と動作例を示す説明図。
【図16】負荷電流パターンの一例を示す説明図。
【図17】配線の極性表示の一例を示す説明図。
【図18】直流回路の極性例を示す説明図。
【図19】本実施例で作成される配線表のデータ種別を示す説明図。
【符号の説明】
10…シーケンスDB、20…配線表DB、30…器具仕様DB、40…回路検証DB、50…実装DB、60…ワークファイル、70…配線表作成ファイル、601…配線データ、602…実装データ。
【発明の属する技術分野】
本発明はCADシステムに関し、特に制御盤配線表の自動作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
制御盤の電線を各器具類に接続するために配線表を作成し、これにより配線作業を行っている。配線表の作成は、CAD(Computer Aided Design)システムで作成したシーケンスに対し、配線ごとに電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等のデータを手書きで記入する。このデータを自動化配線表システム(DAWS:Design Automation Wiring System)に入力して配線表を作成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電線サイズの選定に際し、プラントの運転モードで負荷電流が増減するインターロック回路等については、運転モードにおける最大負荷電流を考慮する必要がある。しかしながら、プラント全体で数千枚に及ぶシーケンスに対し、各運転モードにおける最大負荷電流を算出するのは膨大な作業量となる。このため、一般には、回路に接続される器具類の負荷電流の積み上げにより求めた電流値により、電線サイズを選定している。
【0004】
また、電線サイズは短絡電流値との保護協調を取る必要がある。すなわち、制御盤のヒューズ容量(A)及び溶断時間と、制御盤に電源を供給する分電盤等の遮断器(MCCB)の遮断特性から、短絡電流により電線が焼損等を生じないように電線サイズを決定する必要がある。また、圧着端子、コネクタ、ラッピングポスト、ハンダ等の各器具類の端子構造により接続可能な電線サイズにも制約がある。さらに、器具の端子構造上から、必要とする電線サイズが接続出来ない場合、接続する本数を考慮する必要がある。
【0005】
このように、電線サイズの選定については、運転モードにおける負荷電流パターンの作成と最大負荷電流に見合った電線サイズの選定、及び短絡電流値の保護協調、接続方式、電線本数の条件等を満足することが必要で、配線表作成の自動化の隘路となっていた。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、シーケンスの情報から電線サイズを含むデータを抽出し、配線表を自動的に作成する装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、CADシステムで作成したシーケンス(データ)から、制御盤の配線表に必要な電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等のデータ抽出して配線表を作成する装置において、前記シーケンス上の各配線について、それが用いられている回路の負荷電流を算出し、前記配線の許容電流値が前記負荷電流を上回るように、前記電線サイズを決定する構成としたことを特徴とする。
【0008】
前記負荷電流は、前記回路に接続される全ての器具の負荷電流の加算値とし、合計した負荷電流が前記配線の許容電流値以上の場合には線径をサイズアップして再度検証することを特徴とする。
【0009】
また、前記回路の負荷電流が制御対象機器の起動・停止により変化し、前記負荷電流が前記配線の許容電流値以上となる場合は、前記制御対象機器の運転・停止の指令信号をシーケンス上で模擬し、前記制御対象機器の起動から停止までに各器具に流れる電流を時系列に加算して、前記回路に流れる負荷電流パターンを作成して最大負荷電流を算出し、この最大負荷電流が前記電線の許容電流値以下となるように検証することを特徴とする。
【0010】
さらに、決定された前記電線サイズの許容電流値と盤内の回路保護デバイスの仕様(ヒューズの容量等)を比較し、保護協調が取れていない場合は前記回路保護デバイスの仕様を変更する構成としたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。従来のCADシステムによるシーケンスは、個々の配線及び各器具類に配線表を作成するために必要なデータ(電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等)を付加していない。このため、本発明による配線表作成の自動化にあたっては、シーケンス上の個々の配線と器具類に上記のデータを、以下のように保有させる必要がある。
(1)電線サイズは、運転モードにおける最大負荷電流に見合った電線サイズを個々の配線にデータとして保有する。また、ヒューズの容量(A)及び溶断時間、遮断器(MCCB)の遮断特性等も、保護強調に必要なデータとしてシーケンス上に保有する。また、器具類は、接続方式(圧着端子、コネクタ、ラッピングポスト、ハンダ等)、接続可能な電線本数、負荷電流値を保有する。
(2)電線色は、従来のシーケンス上に存在する電源区別(直流、交流)、PT回路、CT回路、計装回路、接地回路の情報より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
(3)極性は、従来のシーケンス上に存在する極性の情報より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
(4)回路区分は、従来のシーケンス上に存在する回路電圧(高圧、低圧等)、PT回路、CT回路、用途(制御回路、計測回路等)より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
(5)系統区分は、従来のシーケンス上に存在するケーブル表の区分より識別し、個々の配線にデータとして保有する。
【0012】
図1は一実施例による配線表作成システムのブロック図を示す。配線表作成システムはシーケンス手段、実装手段及び配線表作成手段からなる。シーケンス手段は配線データと実装データを自動に抽出する機能で、シーケンスDB10、配線表DB20、器具仕様DB30、回路検証DB40及びワークファイル60を有している。ワークファイル60はシーケンスDB20、配線表DB30、器具仕様DB30と実装DB50を参照して配線データ601を抽出する。また、実装DB50から実装データ602を抽出する。配線データ601は回路検証DB40に基づいて検証され、配線表作成ファイル70に渡される。配線表作成ファイル70は配線データ601と実装データ602から配線表を作成する。
【0013】
シーケンスDB10はシーケンスの要素別にセルのデータを構築し、パス(線)、シンボル、端子、ケーブル表、盤枠等について属性を定義したデータを保有している。たとえば、パスセルDBは線番、回路電圧など、シンボルセルDBは器具番号、端子番号1,2、器具形式などを保有している。属性の定義は、盤番号;AA、器具番号:BB、器具型式:CC、器具端子番号1:DD、器具端子番号2:EE、・・・・等である。
【0014】
図2にシーケンスの例を示す。シーケンス上で、各盤は盤枠(1点鎖線)で囲まれ、それぞれ固有の盤番号を割り付けられて、この枠内に記載されている回路をその盤の回路と識別している。又、盤内に設置されるユニット(プリント基板やリレー・タイマー等を実装する装置)についても固有のユニット番号を割り付け、この枠内に記載されている回路をそのユニットの回路と識別している。
【0015】
盤内配線はパス(線)により各器具の端子間の繋がりが分かるように記載している。各器具はその種類毎に図13に示すようなシンボルを定め、シンボルのそれぞれに器具番号、端子番号、型式、取付け座標等を併記している。又、異なる盤間の接続は、盤内配線とは別の外部ケーブルにより接続している。図2の例では、制御盤Aと制御盤Bを指標▲1▼の外部ケーブルで接続している。この外部ケーブルの芯数、SH(他のシーケンスシートでも使用している場合はそのシート番号を記載)、系統区分、FROM(発点)、TO(着点)の情報は、ケーブル表としてシーケンス上に記載されている。
【0016】
図3は配線DBの一例を示している。配線表は盤内配線の繋がりを示すものであり、固有線番、シートNo、座標、器具番号、端子番号、線径、線種、極性、回路区分、系統区分の情報を持つ。この例では、固有線番P1の配線が、シーケンスシートNo001に記載されている。そして、座標A1に実装される器具番号Aの端子番号1と座標B1に実装される器具番号Bの端子番号1を、線径2mm2、線種B、極性H、回路区分A、系統区分Cで接続する。このうち、固有線番、シートNo、座標、器具番号、端子番号は既存のシーケンスデータ及び実装データより直接に抽出し、配線表システムに転送して配線表データとして使用される。これにより、シーケンスDB10より抽出したパスに記号化した配線情報が付加されることになる。
【0017】
具体的には、指定した盤番号により、シーケンスの盤枠DBより盤番号を検索後、該当するシーケンス(シート)を得る。次に、盤枠の内外判定を行い、盤枠の内側のセル要素を対象回路と識別する。そして、パス(配線)に繋がっているシンボル等の接続情報とパスセルDBより線番、回路電圧等の属性を定義する。すなわち、シーケンス手段で指定した盤番号より盤内配線データとして認識して、自動で行う。配線データ601をワークファイル60に抽出・格納し、実装DB50から別に抽出している実装データ602と照合・転記を行う。すなわち、盤番号、器具番号をキーとして実装データ602より座標、器具型式を転記し、更に、配線データ601と実装データ602に差異がないかの照合を行う。この後、配線表作成手段70へ配線データ601、実装データ602と分けて転送・出力を行う。
【0018】
図4に実装DBの一例を示す。器具の実装図は、器具の配線面に対して、X軸、Y軸方向にそれぞれ1,2,3・・、A、B、C、・・等の符号を付し、各器具に座標をA1、B2のように割付する。ここでは、座標A1の記載例を示し、器具番号、シートNo、器具形式が示されている。
【0019】
ところで、従来は線径、線種、極性、回路区分、系統区分のデータは、シーケンス上に手書きで示し、配線表作成ファイルに手入力して配線表データを作成していた。本発明では、従来の手入力作業の配線表データをシーケンスDBから自動的に抽出して配線表を作成する。以下にその実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
まず、電線のサイズ(線径)の選定方法から説明する。各器具に接続する電線のサイズは、予め各回路毎に最小線径を定めて線径DBとして構築してある。図5は線径の例、図6は各線径の許容通電電流値と接続方式の例を示す。
【0021】
線径のセットに当たっては、初めは初期値として回路毎に定めた最小線径をセットする。初期値としてセットしたそれぞれのパス(線)の線径に対して、図12に示す回路検証DBの検証項目順にチェックを行い、エラーとなったパス(線)に対して線径のサイズアップ、又はサイズダウンを行い、適合線径となるまで検証処理を繰り返す。これらは回路検証DB40に基づいて行なわれる。図11は器具仕様DBの例で、検証に必要な新たな器具仕様の情報は既存の仕様に追加される。
【0022】
図14はシーケンス手段が処理する線径の選定フロー図である。まず盤番号を指定し、対象のシーケンスシートをゲットし(s101)、対象のパス(線)をゲットする(s102)。次に、線径DB(図5)から初期線径値をセットする(s103)。初期値としてセットした線径が各器具の端子に接続可能かを、図6の許容電流値と器具仕様DB(図11)に登録したデータとを比較し、回路検証DBにて検証を行う(s104)。ここでは、電線サイズと共に本数や接続方式もチェックされる。エラー(NG)となったパス(線)に対しては、s103に戻って線径のサイズアップ、又はサイズダウンを行い、適合線径となるまで繰り返し検証を行う。
【0023】
s104でOKになると、当該回路の負荷電流が運転モード(制御対象機器の起動・停止等)に関わらず一定か、あるいは変動するかを判定する(s105)。一定の場合は、その回路に接続される全ての器具の負荷電流の加算値と、初期値としてセットした線径の許容通電電流値を比較し、負荷電流の加算値が電線の許容通電電流値以下であることを検証する(s106)。後述する図15を例にとれば、器具A,B,C,Dの負荷電流の加算値と許容通電電流値の比較である。なお、合計負荷電流はシーケンスDBで加算される。
【0024】
合計負荷電流が電線の許容通電電流値以上の場合には、s103に戻って、線径をサイズアップして再度検証を行い、負荷電流が電線の許容通電電流値以下となるまで繰り返し検証を行う。
一方、当該回路の負荷電流が運転モード(対象機器の起動・停止)により変化するインターロック等の場合は(s107)、回路に接続される全ての器具の負荷電流の加算値と、初期値としてセットしたパス(線径)の許容通電電流を比較する。そして、負荷電流の加算値が電線の許容通電電流値以下であることを検証し、OKであればS111に進む。
【0025】
ここで、負荷電流が電線の許容通電電流値以上の場合は、制御対象機器の運転・停止指令等のトリガー信号をシーケンス上で模擬(シミュレーション)する。そして、制御対象機器の起動から停止まで各器具に流れる電流を時系列に加算し、回路に流れる負荷電流パターンを作成し(s108)、最大負荷電流を算出する(s109)。この最大負荷電流と電線の許容通電電流値を比較し、最大負荷電流が電線の許容電流値以下であることを検証する(s110)。
【0026】
最大負荷電流が電線の許容電流値以上の場合には、線径をサイズアップし再度検証を行い、最大負荷電流が電線の許容電流値以下となるまで繰り返し検証を行う。
ここで、制御対象機器の運転・停止指令信号をシーケンス上で模擬(シミュレーション)する方法を説明する。図15はシーケンス上でのシミュレーション回路を示している。機器の起動信号、停止信号等のトリガー信号をシーケンス上で模擬出来る機能と、リレー、タイマー等の器具の動作(例えば、リレーコイルが励磁されるとそのリレーの接点信号がON/OFFする)を模擬出来る機能を有している。また、各器具の負荷電流値と動作時間等を器具仕様DBに登録しておく。図15の例では、機器の起動信号を模擬(ON動作)させると、それに繋がる器具Aのリレーコイル(10−11端子)が励磁(動作)したと識別する。予め器具仕様DBに登録している器具Aの負荷電流値(1A)をその時点の回路負荷電流値として算出する。
【0027】
次に、器具Aのリレーコイル(10−11端子)が励磁されると器具Aの接点(1−2端子)が動作(ON)し、器具Bのタイマーコイル(20−21端子)が励磁したと識別する。器具Bが励磁すると、回路負荷電流値は器具Aの負荷電流値(1A)に器具Bの負荷電流値(0.5A)を加算した1.5Aと算出する。以上のように制御対象機器の起動から停止までをシミュレーションし、各運転モードにおける回路の負荷電流値を算出する。
【0028】
本例の動作を以下に示す。
▲1▼機器起動信号:ON
▲2▼器具A:励磁⇒負荷電流(1A)通電
▲3▼器具A(1−2)接点:ON
▲4▼器具B:励磁⇒負荷電流(0.5A)通電
(回路合計負荷電流:1+0.5=1.5A)
▲5▼器具B(1−2)接点:10分後ON
▲6▼器具C:励磁⇒負荷電流(0.8A)通電
(回路合計負荷電流:1.5+0.8=2.3A)⇒最大負荷電流
▲7▼機器停止信号:ON
▲8▼)器具A,B,C:無励磁⇒回路合計負荷電流:0A
図16は負荷電流パターンの例を示す。負荷電流パターンは、上記のシミュレーションにより求めた負荷電流値と、各器具が励磁(動作)している時間をシーケンスデータより抽出し、時系列のグラフを作成する。このグラフのそれぞれの電流値(各運転モードにおける負荷電流値)を比較し最大値となるのを最大負荷電流値として算出する。
【0029】
次に、回路検証DB40による回路の短絡保護(電線の変色、溶断、焼損等の防止)に設置するヒューズ、遮断器(MCCB)等の保護デバイスと、電線の保護協調の方法を説明する。
盤内のヒューズ等の回路保護デバイスと電線(サイズ)の協調は、保護デバイスの仕様(ヒューズの容量(A)、溶断時間(秒)等)を予め器具仕様DB(図11)として構築してある。そして、シーケンス上に記載された保護デバイスの仕様と、上記でセットされた電線(線径)の許容通電電流値とを比較し、容量(A)、溶断時間(秒)が電線の許容電通電流値以下であり、保護協調が取れていることを検証する(s111)。保護協調が取れていない場合には、シーケンス上の保護デバイスの仕様を変更し保護協調が取れるまで繰り返し検証を行う。
【0030】
具体例として、盤に電源を供給する上位の電源盤(分電盤等)に設置する遮断器(MCCB)等の回路保護デバイスとの協調方式を以下に示す。保護デバイスの仕様(遮断電流(A)、遮断時間(秒)等)を予め器具仕様DB(図11)として構築しておく。シーケンス上に記載された保護デバイスの仕様と上記でセットした電線(線径)の許容通電電流値とを比較し、遮断電流(A)、遮断時間(秒)が電線の許容通電電流値以下であり保護協調が取れていることを検証する。
【0031】
また、上位の電源盤と下位の盤に設置する保護デバイスの協調について説明する。短絡時の故障範囲を最小とするため、短絡点に最も近い電源側の保護デバイスが他の保護デバイスよりも先に遮断するように、シーケンス上に記載した保護デバイスの仕様を部品仕様DBに登録したデータと比較し検証する(s112)。
【0032】
次に、線種、極性、回路区分、系統区分の配線表への割り当てを説明する。これらのデータは、設備の線種(電線色別)、極性(相極性色別)、回路区分、系統区分の配線用DB20を予め別ファイルとして構築しておき、シーケンスより直接抽出したデータを自動的に配線データに割り当てる。
盤内で使用する電線の種類(線種)は、使用する回路の区分(直流回路、交流回路、PT・CT回路、計装回路、接地回路)により定めている。線種の例を図7に示す。
線種は以下のように配線表に割り当てられる。直流回路、交流回路はパスDBにセットされている電圧区分(図2ではDC100V)により、線種の符号(色)をセットする。PT、CT回路はシンボルDB(図13)からPT、CTの区分をセットし、当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、線種の符号(色)をセットする。計装回路のシールド線、ツイスト線は特殊線として各パス(線)にセットしてあり、それを抽出後、線種の符号(色)をセットする。接地回路はシンボルDBから区分をセットし、パス(線)の繋がりにより当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、線種の符号(色)をセットする。
【0033】
盤内の配線にはその配線の相極性を示す極性マーク(相極性色別)を付与している。極性の例を図8に示す。直流回路、交流回路はパスDBより相順をセットする。共通相は、母線(直流回路では正極、負極)に繋がるパス(線)以外のパス(線)を抽出し、極性の符号(色)をセットする。図17に配線上の極性表示の例を示す。
【0034】
図18は直流回路の極性の例である。接地相はシンボルが固定であることから、シンボルに接続されるパス(線)の繋ぎによりセットする。ユニット内の配線は、ユニット枠よりユニットと本体(ユニット内以外の配線)の区分を行い、ユニット内には極性をセットしない(極性マークは付けない)。
【0035】
盤内の配線は強電回路と弱電回路に分離して布設している。配線表では回路区分として指示されている。図9に回路区分の例を示す。回路区分は以下のように配線表に割り当てられる。
【0036】
直流回路、交流回路はパスDBにセットされている電圧区分により、回路区分の符号をセットする。PT、CT回路はシンボルDBからPT、CTの区分をセットし、当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、回路区分の符号をセットする。計装回路のシールド線、ツイスト線は特殊線として各々パス(線)にセットしてあり、それを抽出後セットする。接地回路はシンボルDBから区分をセットし、パス(線)の繋がりにより当該シンボルに繋がるパス(線)を抽出後、回路区分の符号をセットする。
【0037】
系統区分は、盤内の配線が一般系と安全系の回路に分離しているので、これを以下の方式により配線表に割り当てる。図10に系統区分の例を示す。
【0038】
図2のシーケンスのケーブル表から、FROM、TO欄より当該盤をゲットし、ケーブル表の指標Noより当該パス(線)を検索し、ケーブル表の分類欄と配線表DBを照合変換後、一般系か安全系かを該当パス(線)にセットする。
【0039】
以上の実施例によって作成される配線表のデータ種別を図19に示す。固有線番、シートNoが盤番号を指定して得られる。盤番号、座標、器具形式、器具番号は実装データ602から抽出される。端子番号、線径、線種、極性、回路区分、系統区分は配線データ601から抽出される。
【0040】
本実施例では、シーケンス上の配線について、それが用いられている回路の負荷電流を算出し、この負荷電流より配線の許容電流値が上回るように配線サイズを決定している。特に、回路の負荷電流が制御対象機器の起動・停止により変化する場合は、運転・停止の指令信号をシーケンス上で模擬し、起動から停止までに回路に流れる電流を時系列に加算して負荷電流パターンを作成する。そして、この最大電流が配線の許容電流値を下回るように配線サイズを決定している。
【0041】
これによれば、従来は困難であった線径の抽出を可能にし、配線表の自動作成を実現している。
【0042】
また、決定された電線サイズについて、その許容電流値と盤内のヒューズ容量など回路保護デバイスとの仕様を比較し、保護協調が取れているかを確認するので信頼性の高い配線表を提供できる効果がある。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、シーケンス上の個々の配線と器具類に配線表の作成に必要なデータを保有させ、配線表の自動作成が可能になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による配線表作成システムの構成図。
【図2】シーケンスの一例を示す説明図。
【図3】一実施例による配線表DBを示す説明図。
【図4】一実施例による実装DBを示す説明図。
【図5】線径DBの一例を示す説明図。
【図6】線径毎の許容電流と接続方法を保有するDBの説明図。
【図7】回路別の線種DBの説明図。
【図8】相極性別の極性DBの説明図。
【図9】回路別の回路区分(強電/弱電)DBの説明図。
【図10】一般系/安全系を区分する系統区分DBの説明図。
【図11】器具仕様DBの説明図。
【図12】回路検証アルゴリズムを保有する回路検証DBの説明図。
【図13】シーケンスシンボルの説明図。
【図14】線径の選定処理手順を示すフローチャート。
【図15】シミュレーションの対象回路と動作例を示す説明図。
【図16】負荷電流パターンの一例を示す説明図。
【図17】配線の極性表示の一例を示す説明図。
【図18】直流回路の極性例を示す説明図。
【図19】本実施例で作成される配線表のデータ種別を示す説明図。
【符号の説明】
10…シーケンスDB、20…配線表DB、30…器具仕様DB、40…回路検証DB、50…実装DB、60…ワークファイル、70…配線表作成ファイル、601…配線データ、602…実装データ。
Claims (4)
- CADシステムで作成したシーケンスから、制御盤の配線表に必要な電線サイズ、電線色、極性、回路区分、系統区分等のデータ抽出して配線表を作成する装置において、
前記シーケンス上の配線について、それが用いられている回路の負荷電流を算出し、前記配線の許容電流値が前記負荷電流を上回るように、前記電線サイズを決定する構成としたことを特徴とする制御盤配線表の作成装置。 - 請求項1において、
前記負荷電流は、前記回路に接続される全ての器具の負荷電流の加算値とし、合計した負荷電流が前記配線の許容電流値以上の場合には線径をサイズアップして再度検証することを特徴とする制御盤配線表の作成装置。 - 請求項2において、
前記回路の負荷電流が制御対象機器の起動・停止により変化し、前記負荷電流が前記配線の許容電流値以上となる場合は、前記制御対象機器の運転・停止の指令信号をシーケンス上で模擬し、前記制御対象機器の起動から停止までに各器具に流れる電流を時系列に加算して、前記回路に流れる負荷電流パターンを作成して最大負荷電流を算出し、この最大負荷電流が前記電線の許容電流値以下となるように検証することを特徴とする制御盤配線表の作成装置。 - 請求項1−3のいずれかにおいて、
決定された前記電線サイズの許容電流値と盤内の回路保護デバイスの仕様(ヒューズの容量等)を比較し、保護協調が取れていない場合は前記回路保護デバイスの仕様を変更する構成としたことを特徴とする制御盤配線表の作成装置。
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