JP2004163095A - 連続式焼成炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、移動可能な単体焼成炉(ユニット)を繋いで、成形品の量と焼成時間に応じた連続式焼成炉であり、前記焼成炉を遮蔽板によりユニット毎に、成形品の焼成温度を調整した。
【解決手段】 上下移動する遮蔽板を介して燃焼炉ユニットを1以上連結し、該焼成炉内の相対する周壁には相対向する位置から外れるようにバーナ口を配置するとともに、前記連結した連続焼成炉内を貫通する搬送手段を設置したことを特徴とする繋脱自在で移動可能な連続式焼成炉。
【選択図】 図2

Description

本発明は、焼成する成形品の量や焼成時間等に応じてユニット化した焼成炉を複数連続して使用する連続式焼成炉に関する。
従来技術としては連続焼成炉として隔壁を設けた炉体に連続した焼成通路を設置し、これに成形品を順次搬入するようにしたものがある。また、上記従来の隔壁に焼成通路内で燃焼した排気ガスを排気する排気口を設けて、焼成領域の温度を精度よく制御するようにしたものがある(特許文献1参照)。
また、トンネル状の炉体を有する連続焼成炉として、第1焼成域、第2焼成域、第1冷却域、第2冷却域、及び第3冷却域を設け、これらの領域を冷却空気供給口、バーナ、余熱空気回収口、及び炉内ガス排出口に分け、各領域の温度を制御して適正なヒートカーブを保持するようにしたものもある(特許文献2参照)。
特許第3218719号 特許第2859987号
しかしながら、上記特許文献1は焼成部に隔壁を有するものの、隔壁が上下に動いて炉内の温度を調節するものではないために、隔壁そのものによらず別の構造によって温度調整するようにしたものである。また、この発明ではバーナ口の位置を相対する周壁の相対向する位置から外れるように配置して燃焼ガスを旋回流か渦流にして成形品に均一に当るようにしたものではない。
また、特許文献2のものは、隔壁自他の動きにより成形品の温度調整をしたものではなく、また成形品に燃焼ガスを均一に当るようにしたものでもない。
本発明の目的は、上記問題点を解決せんとするものであって、焼成炉ユニットを連続して設けることでバッチ式に近いものから中型はもちろん、大型のものまで連続焼成炉を作ることができるようにした。
本発明の他の目的は、上記複数の焼成炉ユニットを連結しただけでなく、炉の所定箇所に遮蔽板を設けることで、各遮蔽板間の焼成温度を調節可能にしたものである。
本発明の別の目的としては、バーナ口を相対する周壁にそれぞれ相対向する位置から外れるように配置することで、焼成炉内にガスの旋回流を起こして成形品を略均一に焼成できるようにした。
本発明の更に別の目的は、上記遮蔽板を炉内の搬送手段の上方の所定の高さ(成形品が搬送手段を通過できる高さ)に位置させるようにし、搬送手段の上下からバーナで焼成することができるようにした。
本発明のその他の目的としては、連続焼成炉の前部と後部に燃焼ファンから空気とガスを炉内へ搬送し、排気ファンで排気ガスを外部へ強制的に排気させることで、短時間で窯業品を提供せんとしたものである。
特に、本発明の目的としては、焼成炉ユニットをビルディング、住宅、トンネル、高速道路の建築現場や、焼却灰など窯業品に利用できる場所、あるいは客先の工場敷地内に移動して、その移動場所でタイル、レンガ、外装板などの窯業品の他に、自動車などに用いるセラミック電子部品などの熱処理装置を仕上げる連続式焼成炉を提供せんとしたものである。
本発明は上記目的に鑑みなされたものであり、その要旨は焼成炉ユニットと、該ユニット内へガスを噴射するバーナと、該バーナのガスの発火、火炎量と時間、及び消火をコントロールする制御盤とからなる焼成炉であって、該焼成炉の焼成炉ユニットが炉内の温度を調節する遮蔽板を介して複数連続したものであり、前記焼成炉には炉内の火炎の旋回流を強制的に起こすように前記バーナ口を相対する周壁の所要箇所において互いに相対向する位置から外して配置するとともに、前記複数連続した焼成炉ユニットを貫通する搬送手段を設置したことを特徴とする繋脱自在で移動可能な連続式焼成炉にある。
これにより、本発明は必要数の焼成炉ユニットを連続して形成することで、成形品の大きさ、形状、及び量等に応じた規模の連続式焼成炉ができ、その連続式焼成炉の所要箇所に遮蔽板を設けて、各遮蔽板間の温度調整を可能にした。また、各遮蔽板間の焼成炉ユニット内では旋回流により成形品にガス炎を均一に当て、より良好な窯業品を得ることができる。
また、連続焼成炉の中の必要な焼成炉の相対する周壁においてバーナ口を相対向する位置から外れるように配置しているために、炉内に旋回流を強制的に照射可能になり、これにより、成形品に火炎を略均一に照射することができる。
さらに、本発明では焼成炉ユニットをトンネルなどの工事現場あるいは客先工場敷地内へ搬送して移動できるようにしたことで、同場所でタイルなどの窯業品や、自動車部品などセラミック電子部品の金属製品としての熱処理品を焼成することで、窯業品のストックがほとんど生じない短時間での窯業品の焼成を可能にし、全体としての費用を節約した。
さらにまた、本発明では焼成炉を移動可能にして、制御盤と焼成炉とをビルディングなどの工事現場あるいは客先工場敷地内でタイルやレンガ、または自動車部品などの金属製品としての熱処理品等を焼成することができるので、これらの商品を別の場所でストックする倉庫や運搬を省き、効率が良くコストの掛らない窯業品が得られる。
また、本発明の他の要旨として前記バーナ口の配置を、炉体の周壁を四角筒体にした場合には各筒体面の相対する位置を外した位置に各1つ(全4本)か、各筒体面の相対する位置を外した上下位置に各2つ(全8本)、に前記4本のバーナ口からの火炎を左又は右廻りの旋回流にするか、前記8本のバーナ口からの上方と下方の火炎の旋回流を左又は右廻りに同じくするか、互いに逆にする位置に配置したことを特徴とする。
本発明では、炉体の四角筒の周壁に各1本のバーナ口を設け、しかもある1つ周壁は右下角部付近にバーナ口を内方に向けて位置すると、これに相対する周壁でも右下角部付近にバーナ口を内方に向けて位置させ、さらにもう一つある相対する周壁でのバーナ口の関係は一方の周壁では右上角部付近にバーナ口を内方に向けて位置させるとともにこれに相対する周壁にもやはり右上角部付近にバーナ口を位置させる。このように位置させると、相対する下側2つのバーナ口は相対する位置から外れているので、それぞれのバーナ口からの火炎は左に旋回し、同様に相対する上側のバーナ口からの火炎も左に旋回する。
また、炉体の四角筒の周壁に各2本づつのバーナを配置した場合は、ある1つの周壁でのバーナ口は右上角付近と左下角付近に、そしてそれに相対する周壁ではこちらに向ってやはり右上角付近と左下角付近に配置するとともに、もう1つある相対する周壁でのバーナ口の関係も一方の壁でも他方の壁でも右上角付近と左下角付近に配置する。このようなバーナ口はそれぞれの相対する周壁では相対する位置から外れる、云い換えると一方側の周壁側から相対する側の周壁を透視すると(お互いの周壁で右上角付近に位置するから)、一方の周壁のバーナ口からは右上角(隅)部から相対する相手側の周壁へ火炎が発射されるが、相手側の右上角(隅)部のバーナ口の火炎は前記一方周壁側から見れば向側の左上角部から手前の左上角に向って火炎が発射されて火炎は左旋回することになる。また、各周壁の左下角付近にある4本のバーナ口からの火炎は全て手前側の周壁から相対する周壁側に発射されるために、炉体内を上記とは別に右旋回となる。
なお、上記側ではバーナ口を全ての周壁に内方に向って右上角付近に設けたが、これらを全て左上角付近に設けると上記とは違って火炎は周壁内を右旋回するし、また上記では4つの周壁で内側に向って全て左下角付近に設けたが、これらを全て右角付近にバーナ口を位置して周壁内に向って火炎は左旋回することになる。
したがって、周壁の隅部でのバーナ口は上部と下部とを全て右隅部か左隅部に設計することにより上部と下部の火炎をどちらも右又は左旋回するか、いずれか一方を右旋回して他を左旋回にすることもできる。
また、バーナ口を炉体内へ噴射するには、例えば各周壁に1箇のバーナ口が右上角付近にある場合に、相対する周壁に向って発射するのに相対向する周壁の内側の右半分に、逆に相対向する周壁の右上角付近にあるバーナ口からこちらに向って発射する火炎はこちらの周壁左半分の内側に、それぞれ当たる範囲において、バーナ口の炉体内への噴射方向を制御盤により自動的あるいは手動により動かすことで、右又は左のスムースな旋回流を乱さない範囲で、成形品の大きさに応じて最適の火炎流を当てることができる。
また、本発明の他の要旨として、搬送手段で送られてくる炉内の成形品に当らないように、遮蔽板を横移動して炉内へ入れ、炉内で遮蔽板の高さを上下に縦移動して調整することで、遮蔽板間の温度をより一層細かく調整できるようにした。
本発明では手動あるいは制御盤からの制御により自動的に焼成炉間の遮蔽板の高さを上下に移動して、搬送手段との関係で焼成に必要な時間と温度を所望値にコントロールすることで、早くて均一な窯業品を得ることができる。
また、本発明の遮蔽板を横移動して炉内に入れ、遮蔽板を炉外から上下に縦移動することで、炉天井の両側から遮蔽板を上下することによる熱漏れ防止する。
さらに、本発明の他の要旨として、搬送手段で送られてくる成形品に当らないように、遮蔽板を炉内で左右に横移動して挿脱可能にした。
本発明では、遮蔽板を炉内で左右に横移動することにより、炉内の温度調整と、左右いずれかから遮蔽板を引き抜いて修理や取り替えなどメンテナンスを容易にした。
さらにまた、本発明の別の要旨として、上記した遮蔽板を搬送手段の上方で上段と下段に分割し、前記下段を上下移動あるいは左右移動可能にするとともに、前記搬送手段の上下からバーナで成形品を焼成可能にすることで、多様な設計に対応できるようにし、
しかも搬送手段のローラの上下からバーナにより成形品を、より広範囲な焼成を行なうことを可能にして、成形品を均等に燃焼するようにした。
そして、その下段の遮蔽板の高さをパワーシリンダやスクリューネジなどの昇降手段を用いて自動又は手動で調整することで、炉内の温度をより一層詳かく調節した。
本発明の別の要旨は、搬送手段がベアリング上を回転する耐熱ローラであり、このローラの上下から上記成形品を焼成するようにバーナを配置して耐熱性を図った。
本発明の他の要旨として、連続式焼成炉の前部に燃焼用ファンから空気とガスを炉内へ送入し、排気ガスファンで排気ガスを外部に排出することで成形品を焼成し、かつ焼成炉の後部で冷却ファンから空気あるいは冷気を炉内へ送入し、冷却排気ファンで炉内の熱い空気を外部へ排出することで、炉内を急冷して焼成時間を短縮せんとした。
本発明では、連続焼成炉の前半部に空気とガスを入れ、後半には空気あるいは冷気を強制的に送入して、それぞれ炉内の排気ガスや燃焼空気を排出するので、新しい空気を炉内に取り入れて速やかに成形品を焼成することができる。
本発明の連続式焼成炉では焼成炉ユニットを遮蔽板を介して複数連続して構成するので、窯業品の種類や大きさなど、例えばタイルなどの建築用品や自動車エンジンに用いるセラミック電子部品などの窯業品に応じて連続式焼成炉が形成できる。
また、焼成炉には炉の周壁にあるバーナ口を相対向する位置から外して配置する、すなわち相対する2つの周壁において配置されたバーナ口からの火炎が周壁内において左又は右旋回するように構成することで、周壁の中央部に位置する成形品に略均一に火炎が当たるようにすることで、短時間で均一に焼き上げた窯業品を得ることができる。
さらに、本発明では遮蔽板を炉内で上下することで、各遮蔽板で仕切られた炉内の温度を焼成する成形品の種類や大きさ等に応じて調節することができる。
本発明によれば、必要個数の焼成炉ユニットと遮蔽板で連続式焼成炉を作ることで、各プラントに見合った連続式焼成炉が得られる。
また、各遮蔽板間では炉内の遮蔽に応じた燃焼条件が得られる。さらに、各遮蔽板間の焼成炉では相対向する位置を外したバーナ口により旋回流や渦流の火炎によって成形品のより均一な燃焼を可能にした。
本発明の好ましい実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は焼成炉ユニットを横一列に繋げた連続焼成炉の概略縦断面図、図2は図1の一部拡大説明図、図3は図2のA−A’断面図、図4は本発明における窯業品を製造するための焼成時間と焼成温度の関係を示す一例グラフ、図5は連続焼成炉の燃焼用ファン→炉内→排気ガスファンと冷却用ファン→炉内→冷却排気ファンの経路を示す説明図、図6は図2とは別の連続式焼成炉の一部拡大詳細図、図7は図6のB−B’断面図、図8は焼成時間が20分の窯業品を焼成するために1つの焼成炉ユニットが1mのものを10個(10m)とした発明の連続式焼成炉と、その燃焼温度と燃焼時間を示す本発明のグラフ、図9は図8の20分の焼成時間の場合に全長45mからなる連続焼成炉の従来例を示す。
図1と図2及び図3において、1,1’,1”・・・は一単位(1ユニット)の焼成炉を示し、これらを連繋したものが連続式焼成炉Aである。各焼成炉は、耐火レンガ(特にAGブロック 丸越工業株式会社製)でできた天井43と側壁49と隔壁5及び炉床45からなる炉本体としての外形カマボコ型の筒状トンネル2を有するもので、各焼成炉ユニット1,1’,1”・・・の境界部には略上半分に、パワーシリンダ3の先部をビス13止めして上下移動可能にした遮蔽板4を配置するとともに、略下半分には耐火レンガで上記隔壁5と炉床45を設けている。また、各焼成炉1,1’,1”・・・の軸方向に貫通した筒状トンネル2にはベアリング7上を左から右への一方向(トンネルの奥方向)へ無端状に回転する搬送手段、すなわち無端コンベア12としての多数の耐熱性セラミックローラ6がそのローラ軸を炉本体と軸支し(図示せず)、しかもこれらがモータ10とプーリ及びチェーン11及び無端コンベア12上に連設して、回転可能に構成している。
上記遮蔽板4は、図1に示すように、各焼成炉ユニット毎に設けてもよいが、焼成炉ユニット2以上に対して1つの遮蔽板を成形品の焼成条件に応じて配置することができる。また、この遮蔽板4をパワーシリンダ3によって焼成炉ユニット間の天井を貫通して上下させるが、その手段は炉本体に固定した反力板8を介して自動で行なうか、または手動で行なうことができる。なお、ネジ9は遮蔽板4のパワーシリンダ3による上下動の長さ調節のために反力板8に螺着している。
焼成炉1,1’,1”の側壁49には、バーナ14,15,16,17を上方と下方において各2箇づつそれぞれ相対する位置を外すように配置し、上方の一方の側壁49のバーナ口から火炎を放射すれば他方の側壁からは前記放射と食い違いに放射する(下方も同じ)。すなわち、上下共にバーナ口を左右いずれかに片寄せて(図面上で一方の側壁の上方のバーナ口が右下隅に、下方のバーナ口が左上隅に位置する)相対する側壁49のそれぞれにバーナ口14,15を配置している。
このことは、焼成炉ユニット1,1’,1”・・・の左右の各壁にそれぞれ右上りに傾斜して各2個、両壁全部で4個のバーナを設けるとき、焼成炉ユニットの上半分(搬送手段上)のトンネル軸方向の左右壁に各1つと、下半分(搬送手段下)のトンネル軸方向の左右壁にそれぞれ1個のバーナ口14,15,16,17を互いに相対向するバーナ口の位置を外して配置することになる。なお、バーナ口は、成形品を冷却する場合、焼成炉の後方(進行方向右側)ではコンベア12の下側にのみの左右壁のいずれかに2個、または左右壁に各1個(合計2個)設けるか、あるいは設計によって一切設けないこともある。
連続式焼成部Aには、図5に示すように、焼成炉の前半にバーナ口14〜17からガスと空気を炉内へ射出して制御盤 (図示せず)からの着火指示により燃焼するようにした燃焼用ファン30と(経路32)、炉内での燃焼後のガスを排出ガスファン20で燃焼排気筒22から炉外へ排気するもの(経路33)と、焼成炉の後半に冷却用ファン31から冷気(空気)を炉内へ送り出して(経路34)冷却排気ファン21により冷却排出筒23から炉外へ燃焼ガスを排出するもの(経路35)がある。
上記構成からなる連続式焼成炉を用い、制御盤(図示せず)のコントロールの下でタイルを焼成する工程を以下に説明する。
図4において、中規模の連続式焼成炉の内部の焼成工程を初期から終期に至る60分として、最初の7分間を1つの焼成炉ユニットにある1〜2本のバーナで成形品を乾燥する乾燥工程24と、続く14分間を3〜4本のバーナで成形品を焼成する昇温工程25と、4本全てのバーナで焼成する9分間の高温保持工程26と、4本のバーナを止めて、6分間の急冷工程27と1〜2本のバーナで12分間の徐冷工程28、及び全てのバーナを止めた12分間の冷却工程29で全60分間の工程に区画する。そして、成形品の乾燥工程で143℃から271℃まで緩やかに炉内の温度を上げ、ついで昇温工程でバーナのガス燃焼量を多くすることで火力を上げ、かつ炉内の遮蔽板を下げることにより、790℃まで急激に昇温した炉内を通過し、さらに成形品が通過できる限度まで遮蔽板4を下げて炉内温度上昇を制御しながら、1125℃の最高温度まで上げた炉内を高温保持工程として9分間掛けて通過させた後、急冷工程で炉内に大気を入れて温度を675℃まで下げ、その後徐冷工程のトンネルを平均温度573℃で通過させ、さらに遮蔽板4を上げた冷却工程で冷却することで窯業品としてタイルを焼成する。
上記実施例1の図1乃至図5では、焼成炉ユニット1,1’,1”・・・において、天井43を貫いた遮蔽板4がパワーシリンダ3によって上下動するものを用い、全60分の焼成工程で説明したが、以下の図6乃至図8の別の実施例では焼成炉ユニット1,1’,1”・・・間の無端コンベア12上の両側の側壁49に、二つの遮蔽板を引き違い戸の様に縦方向にずらして横方向から入れる上下に互い違いのスリット36を設けておき、このスリット36中に図6の右上に固定用の上部遮蔽板42を挿入しておくとともに、左下には前記上部遮蔽板42と1部重複させて下部遮蔽板43をスリット36内で上下動可能に位置させる。この下部遮蔽板43を上下移動させるには、これと固定したパワーシリンダ3でシリンダロッド46を伸縮することにより行なう。なお、シリンダロッド46の外筒には炉本体に固定したフランジ47に螺着した外筒ネジ48を設けることで、パワーシリンダ3全体を上下してシリンダロッド46の伸縮長の幅を調整する。
図6乃至図8では焼成工程を1個の焼成炉ユニット1,1’,1”・・・の長さが1mのものを10本繋いだものを用いて全焼成工程を20分間とした実施例を、図9の5m×9区分=全長45mで同じ20分の焼成時間での従来の焼成炉と比較して説明する。
図8の上方の図は、下方の図にある10個の焼成炉ユニット内での成形品の焼成時間と焼成温度の関係を示す。同図によると成形品は最初の2分を230℃から300℃までの乾燥工程とし、次の6分を1200℃までの昇温工程にし、さらに2分15秒ぐらいを1200℃で高温保持工程とし、さらに4分間で573℃まで下げる急冷工程で、さらに3分45秒間で475℃まで徐冷工程で温度を下げ、最後に2分間冷却工程を経て全20分間で窯業品を仕上げる。
なお、従来の図9では上記実施例2と同じ焼成時間で成形品を窯業品にするためには、全長45mもの焼成炉を必要としたが、本発明では焼成炉全長を10mと極端に短くした。短くできたその理由は、第1に各焼成炉ユニット間の遮蔽板の高さを調整できるようにしたこと、第2に火炎を旋回流にすることで均等に成形品に当るように上記バーナ口が搬送手段の上下の両側壁に、例えば相対向する位置をずらして(図5中の黒塗りの四角は火炎を手前から向こうに、黒点の四角は向こうから手前方向に照射するバーナ)側壁49に2つづつ配置されて炉内の温度を急速に高め、かつ迅速な消火と冷風の炉内への送入により、焼成に必要な温度上昇を維持しながら焼成温度の上昇と下降を速めたことによる。
特に、本発明の第2実施例で第1実施例と異なるのは、各焼成炉ユニット間にある上下2枚の遮蔽板は、天井43全体を耐火レンガで密封しておいて、焼成炉ユニットの一方の側壁49の隙間(図示せず)から他方の側壁に向けて横移動して入れておき、上下遮蔽板のうち下方の遮蔽板をパワーシリンダで側壁外の両側から炉内のスリット36の範囲内(図では上下方向に2倍の長さ近くで)上下させることで、搬送手段上方の各焼成炉ユニット間で温度調整するようにしている(当然搬送手段上の成形品が遮蔽板に当らないように焼成炉内を送られることができる高さの隙間が存在する)。もちろん、左右の側壁には遮蔽板の板厚が入る程度の隙間(図示せず)を設け、これから遮蔽板を炉内に押し入れて、両側壁に掛け渡した後に、前記隙間をセラミックファイバーなどの耐火繊維等で塞ぐ。下方の遮蔽板をスリット36内で上下動する手段としては、前記シリンダー等で自動出入する他に手動で行なうことが考えられる。
つぎに、本発明の連続式焼成炉を用いて、エンジン部品などに用いるステンレス製の自動車部品(以下金属部品という)を前記窯業品に代わり焼鈍する(ステンレスをプレス加工した後に行なう)実施例について説明する。
この金属部品は、成形のために何回も繰り返してプレスするが、焼鈍しないとプレスにより応力が集中する箇所で割れてしまうために、プレス→焼鈍→プレス→焼鈍→プレス→焼鈍を繰り返す。
そこで、プレス後の金属部品を耐火物製で厚さ5m〜8mの薄い板(セッターという)の上に並べて載せ、このセッターを図5の連続式焼成炉の搬送手段であるセラミックローラ6上に置き炉内を通過させた。図10によれば、この焼鈍工程全体を初め120℃付近からスタートし、徐々に昇温して6.3分後に最高温度にして約4分間温度を保持し、その後約12.8分後の約2分間で急冷し、最後に約8.2分後まで徐冷して、焼鈍を仕上げる。
以上の実施例によれば、従来の焼鈍を全体で45分掛っていたものを21分で仕上げることができた。その理由は、各遮蔽板間でバーナの火炎量の調節が細かくできること、焼成炉内の前半で燃焼用ファンから空気とガスを炉内へ導入して排気ガスファンで炉内の排気ガスを外部へ排出するようにするとともに、後半で冷却用ファンから空気あるいは冷気を炉内へ送入して冷気排気ファンで炉内の空気を外部へ排出することで、速やかな燃焼と冷却を可能にしたことによる。
図11の実施例は、上記図10と同一の自動車用部品を更に短時間で行った焼鈍を示すものであり、このグラフによれば120℃付近からスタートしてから4.8分後まで昇温し、その後約3.7分後(最初から8.5分後)まで最高温度(1100℃)を約3.7分間保持し、さらに1.5分間で急冷し、残りの6分間を徐冷工程としたものである。
この実施例では先の実施例よりさらに短かい全体を16分間で自動車用部品を焼鈍したものである。
上記各実施例では、窯業製品を挙げたが、本発明では遮蔽板の取り付けと高さ調節及びバーナの燃焼温度及び時間と冷却空気による冷却温度と時間等により、多種類の商品を条件に応じて設定することができることは云うまでもない。
本発明の連続式焼成炉の全体概略図である。 図1の一部拡大詳述図である。 図2のA−A’断面図である。 本発明の連続焼成炉での窯業品の焼成時間(60分)と温度の関係を示すグラフである。 図1のバーナのガスと空気の供給路と、排気ガスの排出経路を示す図である。 図2とは別の連続式焼成炉の一部拡大詳細図である。 図6のB−B’断面図である。 本発明の別の実施例である図6と図7を用いた窯業品の焼成時間(20分)と温度の関係を示すグラフである。 従来の焼成時間20分での温度関係と炉全長を示す概略図である。 図4と図8は窯業品がタイルの実施例に対し、本図はエンジンからの高温排気に用いるステンレス部品の焼鈍工程の温度と時間の関係を示すグラフである。 図10と同一の自動車用部品を更に短時間で行った焼鈍工程の温度と時間の関係を示すグラフである。
符号の説明
1,1’,1” 焼成炉
2 焼成炉のトンネル
3 シリンタ
4 遮蔽板
12(6) 搬送手段
7 ベアリング
14,15,16,17 バーナ
22 燃焼排気筒
23 冷却用排出筒
30 燃焼用ファン
31 冷却用ファン

Claims (9)

  1. 焼成炉ユニットと、該ユニット内へガスを噴射するバーナと、該バーナのガスの発火、火炎量と時間、及び消火をコントロールする制御盤とからなる焼成炉であって、
    該焼成炉の焼成炉ユニットが炉内の温度を調節する遮蔽板を介して複数連続したものであり、前記焼成炉には炉内の火炎の旋回流を強制的に起こすように前記バーナ口を相対する周壁の所要箇所において互いに相対向する位置から外して配置するとともに、前記複数連続した焼成炉ユニットを貫通する搬送手段を設置したことを特徴とする繋脱自在で移動可能な連続式焼成炉。
  2. 前記バーナ口の配置を、炉体の周壁を四角筒体にした場合には各筒体面の相対する位置を外した位置に各1つ(全4本)か、各筒体面の相対する位置を外した上下位置に各2つ(全8本)、に前記4本のバーナ口からの火炎を左又は右廻りの旋回流にするか、前記8本のバーナ口からの上方と下方の火炎の旋回流を左又は右廻りに同じくするか、互いに逆にする位置に配置した請求項1に記載の連続式焼成炉。
  3. 前記バーナ口の炉体内への噴射方向を、前記制御盤で自動的にあるいは手動により動かしてコントロール可能にした請求項1又は2に記載の連続式焼成炉。
  4. 前記遮蔽板が、前記搬送手段上に搬送する成形品に当らない炉内の高さの範囲内で上下に縦移動することにより、各焼成炉ユニツト毎に焼成温度を調整可能にした請求項1乃至3のいずれかに記載の連続式焼成炉。
  5. 前記遮蔽板が、前記搬送手段上に搬送する成形品に当らない炉内の高さで左右に横移動することにより挿脱可能にした請求項1乃至4のいずれかに記載の連続式焼成炉。
  6. 前記縦移動もしくは横移動する遮蔽板が、搬送手段の上方で上段と下段に分割し、前記下段を上下あるいは左右移動可能にするとともに、前記運搬手段の上下からバーナで成形品を焼成可能にした請求項1乃至5のいずれかに記載の連続式焼成炉。
  7. 前記下段の遮蔽板は、焼成炉ユニットの外部から昇降手段を用いて自動または手動で高さを調整できるようにしたことで各焼成炉ユニット毎の温度を調節可能にした請求項6に記載の連続式焼成炉。
  8. 前記搬送手段が、ベアリング上を回転する耐熱性ローラであり、このローラの上下から上記成形品を焼成するようにバーナを配置した請求項1乃至7のいずれかに記載の連続式焼成炉。
  9. 前記複数の焼成炉ユニットを連続した焼成炉の前部には、燃焼用ファンから空気とガスを炉内へ送入して、排気ガスファンで炉内の排気ガスを外部へ排出する燃焼排気筒を配設するとともに、前記連続した焼成炉の後部には、冷却用ファンから空気あるいは冷気を炉内へ送入して、冷却排気ファンで炉内の空気を外部へ排出する冷却排出筒を配設したことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の連続式焼成炉。
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JP2014196854A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 Dowaサーモテック株式会社 熱処理炉

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