JP2004162943A - 冷凍機の冷凍能力測定装置及びその測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クライオスタット1の液化ガス貯留容器4内に貯留した液化ガス5によって被冷却体8を冷却するとともに、該容器内で蒸発した液化ガスを冷凍機10,10’によって凝縮するようにした冷却装置において、冷凍機の冷凍能力測定装置は、冷凍機10,10’の第2凝縮部11b,11b’に取り付けられ、冷凍機10,10’が必要とする冷却能力に相当する容量を有する第1のヒーター22,22’と、温度センサー24,24’を内蔵し、冷凍機の凝縮部先端部11c,11c’の下方において冷凍機10,10’によって凝縮された液化ガスが滴下する位置に配置される温度センサーブロック23,23’と、温度センサーブロック23,23’に組み込まれた小容量の第2のヒーター25,25’とから構成されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化ガスにより被冷却体を冷却する冷却システムに使用される冷凍機の冷凍能力を測定する冷凍機能力測定装置及びその測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温超電導体を使用した電力機器(発電機、モーター、変圧器など)は安定に運転するため、約30Kの温度で運転される。これらの冷却装置では、必要とする冷凍能力が大きいため、複数台の冷凍機(GM冷凍機、パルスチューブ冷凍機、スターリングサイクル冷凍機など。)が使用される。さらに、冷凍機が故障したときのため、予備の冷凍機も取り付けられている。また、冷凍機の1台が故障したとき、予備の冷凍機が正規の温度に下がるまでの間電力機器を冷却する能力が低下してしまうのを防止するため、冷却システムのクライオスタット内部に液体ネオンを保持しておき、予備の冷凍機が正規の状態になるまでの間、液体ネオンの蒸発潜熱を使って、電力機器を中断することなく連続して冷却できるようになっている。
【0003】
高温超電導体を使用した電力機器(発電機、モーター、変圧器など)等の被冷却体を冷却する冷却装置として、冷却バッファとして保持しているネオン等の液化ガスを冷凍機により一旦液化し、この液でヘリウムガス等の冷媒ガスを冷却し、この冷媒ガスを循環して被冷却体を冷却する間接冷却方式がある。この冷却装置を安定に運転するために、運転中の冷凍機が安定に液化ガスを凝縮していることを監視し、運転中の冷凍機の能力が低下したとき、直ちに予備の冷凍機に切換えるようにしている。
【0004】
運転中の冷凍機の能力を監視する方法として、液面計により、液化ガスが貯留された容器内の液化ガス液面の変化(この場合上昇)を観測して確認する方法、各冷凍機の先端に直接温度センサーを取り付け、運転中の冷凍機の凝縮温度を測定して確認する方法とがある。
【0005】
図3に、高温超電導体を使用した電力機器(発電機、モーター、変圧器など)を冷却する間接冷却方式を採用した冷却装置を示す。
冷却装置は、クライオスタット1と、2台の冷凍機ユニット9,9’と、被冷却体冷却回路14を備えている。
【0006】
クライオスタット1は、外容器2と、該外容器2内に断熱真空空間3を介して設けられ、ネオン等の液化ガス5が貯留される液化ガス貯留容器4と、外容器2の天板と液化ガス貯留容器4の天上板との間に設けられ、液化ガス貯留容器4に連通するとともに、外容器2の外に開口し、後述する2台のGM冷凍機10,10’の寒冷発生部11,11’をそれぞれ収納する冷凍機寒冷部収納筒状体4a,4a’と、被冷却体である電力機器8を収納し、外容器2と断熱真空空間通路6を介して配置され、断熱空間3を介して電力機器8を収納する被冷却体用容器7とを備えている。なお、符号5aは、液化ガス貯留容器4内に収容された液化ガス5の液面である。
【0007】
各冷凍機ユニット9,9’は、GM冷凍機10,10’と、冷凍機用圧縮機12,12’とを備えており、GM冷凍機10,10’と冷凍機用圧縮機12,12’は冷媒配管13,13’によって配管接続されている。2台の冷凍機ユニット9,9’のうち1台は予備の冷凍ユニット9’とされる。
2台のGM冷凍機10,10’は、冷凍機の寒冷発生部11,11’が冷凍機寒冷部収納筒4a,4a’内にそれぞれ収容されるように外容器2の上蓋に取り付けられている。GM冷凍機の寒冷発生部11,11’は、冷却部11a,11a’と凝縮部11b,11b’をそれぞれ備えており、液化ガス貯留容器4内で蒸発した液化ガスを凝縮する。なお、符号5bは、GM冷凍機10によって凝縮され、滴下する滴を示す。
【0008】
被冷却体冷却回路14は、液化ガス5によって冷却されたヘリウムガス等の冷媒ガスによって電力機器8を冷却する冷却回路であり、冷媒ガス循環ポンプ15と、冷媒ガス循環ポンプ15から吐出される冷媒ガスと電力機器8を冷却した戻りの冷媒ガスとを熱交換する第1の熱交換器16と、冷媒ガスと液化ガス貯留容器4内に貯留された液化ガスとを熱交換する第2の熱交換器17と、被冷却体用容器7に収容された電力機器8と熱交換し、電力機器8を冷却する第3の熱交換器18と、これら機器を配管する冷媒ガス管路19とから構成されている。
【0009】
符号20は、液化ガス貯留容器4内の液化ガスを回収する装置、例えばバッファタンク(図示せず。)等に接続する配管である。
符号21は、液化ガス貯留容器4内の液化ガスの液面を観測するための液面計であり、符号24,24’は、凝縮部11b,11b’の先端部に取り付けた温度センサーである。
【0010】
図3に示した冷却装置において、運転中のGM冷凍機の能力の監視は、液面計21またはGM冷凍機10,10’の先端に直接取り付けた温度センサー24により行われる。液面計21により、液化ガスが収容された容器内の液化ガス液面の変化を観測し、液面の上昇がないとき、運転中のGM冷凍機10は、故障等で能力が低下していると判定する。また、運転中のGM冷凍機10に設けた温度センサー24により検出した温度の指示値が液化ガス貯留容器4内のガスの圧力から求められた凝縮温度より大きく上昇したときは、運転中の冷凍機10は故障と判定する。(なお、図3に対応する先行技術文献は、これまでのところ発見しない。)
【0011】
また、冷却ガス用液化ガス再液化装置として、気化ガスの発生源となるSCM―NMRと、再液化槽と、SCM―NMRの冷媒シールドガスである液体窒素の貯蔵槽と再液化槽とを連通する可撓性断熱管と、再液化槽の内部に低温発生部を突入させている極低温冷凍機とで構成し、SCM―NMRでの液体窒素貯蔵槽で液化した液化ガスは傾斜配管されている可撓性断熱管を介して再液化槽に導出され、この再液化槽内で極低温冷凍機の低温発生部からの寒冷で再液化して再液化槽の底部に形成されている再液化ガス貯留部に貯留され、この再液化ガス貯留部からオーバーフローした再液化ガスが傾斜配管されている可撓性断熱管の底壁部分に沿って流下し、SCM―NMRでの液体窒素貯蔵槽に返送されるようにしたものがある(特許文献1参照。)。
【0012】
さらに、空気分離装置で分離生成した窒素ガスを極低温冷凍機で冷却して液化する液体窒素製造装置において、空気分離装置の製品槽に圧力検出機器を配置し、製品槽の内圧が設定圧力に達したことを圧力検出機器が検出することに基づき極低温冷凍機のコールドヘッドの運転を停止し、警報を発生するように構成するとともに、冷媒貯蔵槽に負圧圧力センサーを配置し、冷媒貯蔵槽内が負圧になったことを負圧圧力センサーが検出することに基づき極低温冷凍機のコールドヘッドの運転を停止するように構成したものがある(特許文献2参照。)。
【0013】
【特許文献1】
特開平9−210299号公報(第3頁3欄17〜24行、第4頁5欄9〜20行、図1)
【特許文献2】
特開平6−109358号公報(第2頁2欄特許請求の範囲、図1)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
冷凍機が液化ガスを凝縮しているかを液面計により液化ガスの液面の変化を観測して冷凍機の能力低下を確認するという従来の方法は、凝縮の状態を調べるには比較的長い時問を要し、即座に、冷凍機の故障等による能力低下を判定できないという問題があった。また、この方法では、冷却装置全体の冷却能力の監視となるため、複数台の冷凍機を運転している冷却装置では、1台の冷凍機が故障で能力が低下している場合、どの冷凍機が故障しているか検出することができなかった。
また、各冷凍機の先端に直接取り付けた温度センサーにより冷凍機の温度を測定する方法では、冷凍能力が完全に無くなり、温度センサーの指示値が凝縮温度より大きく上昇したときは、冷凍機の故障と判定できるが、わずかでも凝縮温度において冷凍能力がある場合、冷凍機先端は凝縮したガスで濡れ、温度センサーの指示値は凝縮温度を示すので、正常な冷凍機と区別することができない。この場合、ほとんど冷凍能力が無いにもかかわらず、冷凍機は正常と判定され、故障した冷凍機を特定することができないという問題があった。
【0015】
本発明は、運転中の冷凍機の冷凍能力が低下した場合、運転中の冷凍機毎にその冷凍機の冷凍能力の低下を速やかに確実かつ容易に検出し、冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを測定する冷凍機の冷凍能力測定装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、容器の内部に貯留した液化ガスによって被冷却体を冷却するとともに、前記容器内で蒸発した液化ガスを冷凍機によって凝縮するようにした冷却装置における冷凍機の冷凍能力測定装置であって、該冷凍能力測定装置は、前記冷凍機の凝縮部に取り付けられ、前記冷凍機が必要とする冷却能力に相当する容量を有する第1のヒーターと、温度センサーを内蔵し、前記冷凍機の凝縮部先端の下方において前記冷凍機によって凝縮された液化ガスが滴下する位置に配置される温度センサーブロックと、該温度センサーブロックに組み込まれた小容量の第2のヒーターとから構成したものである。
ここで、小容量の第2のヒーターとは、冷凍機が正常に運転していて温度センサーブロックに液の滴下があるときには、温度センサーが容器内のガスの凝縮温度を示すとともに、冷凍機からの液の滴下が止まったときは、温度センサーが即座にガスの凝縮温度より上昇した温度示すような発熱量とされたヒーターをいう。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1のヒーター及び前記第2のヒーターへの通電時における前記温度センサーによる検出温度と、前記容器内の圧力から求めた前記容器内のガスの凝縮温度とを比較して、冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを判定する判定手段を設けたものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記容器内で凝縮するガスの圧力を検出する圧力センサーを設け、該圧力センサーによって検出された圧力から前記容器内のガスの凝縮温度を求めるか、あるいは、前記容器内の圧力を予め設定した一定の圧力にする圧力調整手段を設け、該予め設定された一定の圧力から前記液化ガスの凝縮温度を求めるようにしたものである。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3に記載の冷凍機の冷凍能力測定装置を用いて冷凍機の冷凍能力を測定する方法において、前記第1のヒーターと第2のヒーターに通電し、そのときの前記温度センサーの検出温度と、前記容器内のガスの圧力から求めたガスの凝縮温度とに基づいて冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを判断するようにしたものである。
【0019】
【作用】
本発明は、運転中の冷凍機がその冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを測定する際、第1のヒーターへの通電により運転中の冷凍機にその冷凍機が必要とする冷凍能力に相当する熱量を与えると、この熱量より冷凍機の冷凍能力のほうが大きければ、冷凍機は容器内のガスを凝縮液化し、液体は温度センサーブロックに滴下し続ける。この場合、温度センサーブロック内に内蔵された温度度センサーが検出する温度は容器内のガスの凝縮温度のままであり、この冷凍機は必要とする冷凍能力以上で運転していることがわかる。冷凍機が必要とする冷凍能力より下回って運転している場合には、第1のヒーターの熱量はこの冷凍機の冷凍能力を上回ることになるので、冷凍機の温度は容器内のガスの凝縮温度以上となり、ガスの凝縮が止まり、液の滴下もなくなる。この場合、温度センサーが検出する温度は前記ガスの凝縮温度以上となるので、この温度を温度センサーによって検出することにより、この冷凍機は必要とする冷凍能力を下回って運転していることがわかる。
【0020】
そして、運転中の冷凍機が容器内のガスを凝縮液化し、液体が温度センサーブロックに滴下し続け、温度センサーブロックが凝縮した液で濡れている場合には、液体の沸騰熱伝達は非常に大きいため、第2のヒーターへの通電にもかかわらず、凝縮した液で濡れた温度センサーはちょうどガスの凝縮温度を示す。これに対し、凝縮した液の滴下がなくなると、第2のヒーターの加熱によって、温度センサーブロックの表面を濡らしていた極わずかな液は直ぐに蒸発し、表面は乾燥する。このような状態になると、温度センサーブロックの放熱(第2のヒーターの発熱分)は、静止気流中の自然対流により行われることになる。自然対流熱伝達率は、沸騰熱伝達率に較べると著しく小さいので、第2のヒーターの発熱量が小さくても、温度センサーブロックの温度はガスの凝縮温度より大きく上昇するため、温度センサーブロック内に設けた温度センサーによって検出される温度と前記ガスの凝縮温度との比較判断が容易かつ確実になる。
【0021】
請求項2の発明は、さらに、第1のヒーター及び第2のヒーターへの通電時における前記温度センサーによる検出温度を判定手段に入力し、判定手段において前記温度センサーによる検出温度と前記容器内のガスの圧力から求めた前記容器内のガスの凝縮温度とを比較して冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを判断する。
【0022】
請求項3の発明は、さらに、前記容器内のガスの圧力を圧力センサーによって検出し、その検出した圧力に基づいて前記容器内のガスの凝縮温度を求めるか、あるいは、圧力調整手段により、前記容器内の圧力を予め設定された一定の圧力に保持し、この予め定めた圧力に基づいて前記容器内のガスの凝縮温度を求める。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、前記構成を採用したことにより、冷凍機がその冷凍機が必要とする冷凍能力以上で運転いるか否かを判定する際、第1のヒーターを設けたことによって、冷凍機がその冷凍機が必要とする冷凍能力を下回って運転している場合、必ず冷凍機によるガスの凝縮が止まり、温度センサーブロックに凝縮した液の滴下がなくなるため、冷凍機が必要とする冷凍能力以上で運転しているか否かの境界を明確に区別することができる。また、第2のヒーターを設けたことにより、温度センサーブロックにガスの滴下がなくなったときは、温度センサーによる検出される温度は、即座にガスの凝縮温度より大きく上昇するので、温度センサーによる検出される温度とガスの凝縮温度の比較判定を確実かつ容易に行えるようになる。したがって、冷凍機が必要とされる能力以上で運転しているか否かを速やかに確実かつ容易に判定することができる。
また、複数台の冷凍機を運転している冷却装置では、冷凍機毎に順次測定を行うことができるので、どの冷凍機が必要とする冷凍能力以下で運転しているかを検出することができる。
【0024】
さらに、請求項2の発明の構成にすることにより、容器内のガスの凝縮温度を容器内のガスの圧力から求めるようにしたから、冷凍機の運転に対応した正確なガスの凝縮温度を求めることができる。また、判定手段を設けたことによって、冷凍機が必要とされる能力以上で運転しているか否かを自動的に判定することができる。
【0025】
また、請求項3の発明の構成にすることにより、圧力センサーによって容器内のガスの圧力を求めるようにすれば、運転中に容器内の圧力変動があっても、その圧力変動に応じた正確なガスの凝縮温度を求めることができる。また、前記容器内の圧力を予め定めた一定の圧力とする圧力調整手段を設けるようにすれば、圧力センサーによって容器内のガスの圧力を検出することなく、正確なガスの凝縮温度を求めることができる。したがって、冷凍機が必要とされる能力以上で運転しているか否かを、より一層、速やかに確実かつ容易に判定することができる。
【0026】
【実施の形態】
以下、冷却装置の冷凍機の冷凍能力測定装置に係る本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の冷凍機の冷凍能力測定装置を設けた冷却装置の概略全体図である。
この実施の形態の冷却装置は、前記した間接冷却方式を採用し、被冷却体である高温超電導体を使用した電力機器(発電機、モーター、変圧器など)等の被冷却体8を冷却するものであり、クライオスタット1と、2台の冷凍機ユニット9,9’と、被冷却体冷却回路14を備えている。
【0027】
クライオスタット1は、外容器2と、該外容器2内に断熱手段である断熱真空空間3を介して設けられ、ネオン等の液化ガス5が貯留される液化ガス貯留容器4と、外容器2の天板と液化ガス貯留容器4の天板との間に設けられ、液化ガス貯留容器4に連通するとともに、外容器2の外に開口し、後述する2台の冷凍機10,10’の寒冷発生部11,11’をそれぞれ収納する2つの寒冷発生部収納筒状体4a,4a’と、外容器2と断熱真空空間通路6を介して配置され、断熱真空空間3を介して被冷却体8を収納する被冷却体用容器7とを備えている。前記断熱手段は、前記断熱真空空間3に限らず、断熱材を充填したもの、真空と断熱材を併用したもの等種々のものを採用することができる。
また、前記液化ガスとしては、前記ネオン以外に、凝縮する温度に合わせてヘリウム、水素、窒素、アルゴン等ほとんどのガスを使用することができる。
【0028】
各冷凍機ユニット9,9’は、冷凍機10,10’と、冷凍機用圧縮機12,12’とを備えており、冷凍機10,10’と冷凍機用圧縮機12,12’は冷媒配管13,13’によって配管接続されている。2台の冷凍機ユニット9,9’のうち1台は予備の冷凍機ユニット9’とされる。
前記冷凍機10,10’としては、GM冷凍機、パルスチューブ冷凍機、スターリング冷凍機等が好適であるが、その他、液化ガス貯留容器4内に寒冷発生部を設けることができ、凝縮した液を滴下することができるものであれば、いかなる形式の冷凍機であってもよい。
【0029】
前記冷凍機10,10’は、冷凍機の寒冷発生部11,11’が寒冷発生部部収納筒状体4a,4a’内にそれぞれ収容されるように、外容器2の天板上に着脱自在に取り付けられている。冷凍機の寒冷発生部11,11’は、該寒冷発生部11,11’の上方側(図1において)に位置する冷却部11a,11a’と、該寒冷発生部11,11’の下方側(図1において)に位置する凝縮部11b,11b’とを備えており、液化ガス貯留容器4内で蒸発した液化ガス(以下、「蒸発した液化ガス」を単に「ガス」という。)を凝縮する。凝縮部11b,11b’の先端部、すなわち、冷凍機の寒冷発生部11,11’の先端部11c,11c’は、凝縮して滴下する滴5bが後述する温度センサ−ブロック23,23’を確実に濡らすことができるように位置決めするためその先端が円錐状とされている。
前記冷凍機の寒冷発生部11,11’は、冷却部11a,11a’を省略し、凝縮部11b,11b’のみの単段式として構成してもよいし、さらに、3つ以上の冷却又は凝縮部を有する多段式として構成することもできる。
冷凍機の寒冷発生部の先端部11c,11c’は、前記円錐状に限らず、凝縮されて滴下する滴5bが温度センサ−ブロック23,23’を確実に濡らすことができるように位置決めできるものであれば、どのような形状のものであってもよい。
【0030】
被冷却体冷却回路14は、液化ガス貯留容器4内に貯留する液化ガス5によって冷却されたヘリウムガス等の冷媒ガスによって被冷却体8を冷却する冷却回路であり、外容器2の外部に設けられた冷媒ガス循環ポンプ15と、冷媒ガス循環ポンプ15から吐出される冷媒ガスと被冷却体8を冷却した戻りの冷媒ガスとを熱交換する第1の熱交換器16と、第1の熱交換器16の下流側に設けられ、冷媒ガスと液化ガス貯留容器4内に貯留された液化ガスとを熱交換する第2の熱交換器17と、第2の熱交換器17の下流側に設けられ、被冷却体用容器7に収容された被冷却体8と熱交換し、被冷却体8を冷却する第3の熱交換器18と、これら機器を配管する冷媒ガス管路19とから構成されている。
各熱交換器16,17,18は、断熱真空空間3内に配設されているものが図示されているが、第2の熱交換器17は、液化ガス貯留容器4に貯留された液化ガス5内に配設するようにしてもよいし、また、液化ガス貯留容器4の外周を卷回するように配設したものでもよい。同様に、第3の熱交換器18は、被冷却体8に対応した適宜の配置、形状とする。
【0031】
なお、符号20は、液化ガス貯留容器4内のガスを回収する回収装置、例えばバッファタンク(図示せず。)等に接続する配管である。符号21は、液化ガス貯留容器4内に貯留する液化ガスの液面5aを監視するための液面計である。
【0032】
冷凍機の冷凍能力測定装置は、冷凍機の寒冷発生部部11,11’で凝縮して滴下する液化ガスの温度を検出する温度測定部と、液化ガス貯留容器4内のガス圧力を検出する圧力センサー26と、温度測定部で検出した温度と液化ガス貯留容器4内のガス圧力から求められる該ガスの凝縮温度と比較して冷凍機の冷凍能力を判定する判定部から構成されている。
すなわち、冷凍機の冷凍能力測定装置は、運転中の冷凍機がその冷凍機が必要とする最小限の冷凍能力以上で運転しているときは正常あるいは良と判定し、故障等により、冷凍機が必要とする最小限の冷凍能力を下回って運転しているとき不正常あるいは否と判断するものである。
【0033】
前記温度測定部は、各冷凍機10,10’にそれぞれ設けられるものであり、冷凍機の寒冷発生部11,11’の凝縮部11b,11b’のガスが凝縮する部分に取り付けた第1のヒーター22,22’と、温度センサー24,24’と第2のヒーター25,25’を内蔵し、冷凍機の寒冷発生部11,11’の先端部11c,11c’の下方であって、冷凍機の寒冷発生部11,11’で凝縮した液化ガスが滴下する位置に配置された温度センサーブロック23,23’とから構成されている。
【0034】
前記第1のヒーター22,22’は、運転中の冷凍機が正常、不正常を判定する際、運転中の冷凍機の能力の低下を確実に把握するために設けられたものであり、冷凍機毎にその冷凍機が必要とする最低限の冷凍能力に相当する容量の発熱量で冷凍機の凝縮部11b,11b’を加熱するように取り付けられている。
【0035】
第1のヒーター22,22’の機能について説明する。
運転中の冷凍機の良否を調べるために、運転中の1台の冷凍機10の第1のヒーター22に通電し、運転中の冷凍機10にその冷凍機10が必要とする最低限の冷凍能力に相当する熱量を与えると、この熱量より運転中の冷凍機10の冷凍能力のほうが大きければ、該冷凍機10は液化ガス貯留容器4内のガスを凝縮液化し、滴5bは温度センサーブロック23に滴下し続ける。この場合、温度センサー24が検出する温度は、後述するように液化ガス貯留容器4内のガスの凝縮温度のままであり、この冷凍機10は最低限必要とする冷凍能力以上で運転していることがわかり、正常であると判定する。
運転中の冷凍機10が劣化して、冷凍能力が低下している場合には、前記第1のヒーター22の熱量はこの冷凍機10の冷凍能力を上回ることになるので、この冷凍機10の温度は液化ガス貯留容器4内のガスの凝縮温度以上となり、ガスの凝縮が止まり、液の滴下もなくなる。この場合、温度センサー24が検出する温度は、後述するように、前記ガスの凝縮温度以上となるので、この冷凍機は不正常と判定する。予備の冷凍機10’の第1のヒーター21’も、予備の冷凍機10’を運転中は、同様に機能する。
したがって、第1のヒーター21,21’を設けることにより、冷凍機10,10’が必要とする最小限の冷凍能力を下回って運転している場合には、必ずガスの凝縮が止まり、液の滴下もなくなるため、冷凍機10,10’が必要とする最小限の冷凍能力以上で運転しているか否かの境界を明確に区別することができる。
【0036】
温度センサーブロック23,23’の詳細を図2に示す。
温度センサーブロック23,23’は、熱伝導率の大きな材料、例えば、銅、アルミニウム、あるいは銅又はアルミニウムの合金で作られている。
図2に示すように、温度センサー24,24’が、温度センサーブロック23,23’に穿設した温度センサー用孔23a,23a’に挿入され、第2のヒーター25,25’が、同じく温度センサーブロック23,23’に穿設したヒーター用孔23b,23b’に挿入されている(なお、図2中の矢印は、温度センサー24,24’及び第2のヒーター25,25’の挿入方向を示す。)。温度センサー24,24’及び第2のヒーター25,25’は筒状に形成されており、温度センサーブロック23,23’と温度センサー24,24’と第2のヒーター25,25’は熱的に連結されている。
温度センサーブロック23,23’は、検出感度を上げるため小さく作られていること、例えば、直径10mm程度、長さ20mm程度の円柱体、が望ましいが、形状、大きさは適宜のものを採用することができる。
また、該温度センサーブロック23,23’は、冷凍機の寒冷発生部11,11’の先端部11c,11c’とは熱的に切り離され、該寒冷発生部11,11’から伝導冷却されないように取り付けられている(温度センサーブロック23,23’の支持部材は図示せず。)。
【0037】
前記第2のヒーター25,25’は、冷凍機が正常に運転しているときには、温度センサー24,24’がガスの凝縮温度を示すとともに、冷凍機の故障により冷凍機からの液の滴下が止まったときは、温度センサー24,24’がガスの凝縮温度より上昇した温度、例えば、10K〜数10K上昇した温度を示し、その温度の差が明確になるような発熱量、概して小さな発熱量とされている。
この第2のヒーター25,25’の容量は、使用する液化ガスの凝縮温度、蒸発潜熱等に基づいて、その冷凍機に対応した最適な大きさのものを選定する。例えば、液化ガスとしてネオンを用いた場合には、その容量は0.1W程度、ヘリウムを用いた場合はその容量は数mW程度の小さい発熱量である。
【0038】
第2のヒーター25,25’の機能について説明する。
運転中の冷凍機10の良否を調べるために、運転中の冷凍機10の第2のヒーター25に通電する。液体の沸騰熱伝達は非常に大きいため、冷凍機が液化ガス貯留容器内のガスを凝縮液化し、液体が温度センサーブロック23に滴下し続ける場合には、この第2のヒーター25が0.1W程度の電力(液化ガスがネオンの場合)で温度センサーブロック23を加熱していても、凝縮した液で濡れた温度センサーブロック23に内蔵された温度センサー24はちょうどガスの凝縮温度を示す。これに対し、凝縮する液の滴下が止まると、温度センサーブロック23の表面を濡らしていたごくわずかな液は、第2のヒーター25による加熱によって、直ちに蒸発し、表面は乾燥する。このような状態になると、温度センサーブロック23の放熱(第2のヒーター25の発熱分)は、静止気流中の自然対流により行われることになる。自然対流熱伝達率は、沸騰熱伝達率に較べると著しく小さいので、第2のヒーター25の発熱量が小さくても、温度センサーブロック23の温度は大きく上昇する。例えば、この温度上昇は、温度センサーブロック23の形状や大きさで決まるが、ガスの凝縮温度より10〜数10K程度上昇するので、たとえ温度センサー24による検出に多少の誤差等があっても、ガスの凝縮温度とは明確に識別できる。予備の冷凍機10’の第2のヒーター25’も、予備の冷凍機10’を運転する場合には、同様に機能する。
したがって、第2のヒーター25,25’を設けたことにより、凝縮する液の滴下が止まった場合に、温度センサー24,24’によって検出される温度とガスの凝縮温度との比較判定を速やかに確実かつ容易に行うことができる。
【0039】
また、温度センサーブロック23,23’は、前記したように、冷凍機の寒冷発生部の先端部11c,11c’とは熱的に切り離されるように取り付けられており、冷凍機の寒冷発生部11,11’の影響を受けることがないため、温度センサー24,24’は温度を正確に検出することができる。
また、第2のヒーター25,25’として、温度センサーブロック23,23’内に挿入した筒状のヒーターを図2に示したが、絶縁処理したフィルム状ヒーターを温度センサーブロック23,23’の表面に張り付けたものを第2ヒーター25,25’の代用としてもよい。
【0040】
前記判定部(図示せず)は、液化ガスのガス圧力とその凝縮温度との関係を示すデータを記憶するガス圧力―凝縮温度記憶手段と、該圧力センサー26によって検出された液化ガス貯留容器4内のガスの圧力から前記記憶手段に記憶しガス圧力―凝縮温度のデータに基づいて液化ガス貯留容器4内のガスの凝縮温度を演算する凝縮温度演算手段と、該演算手段によって演算された前記ガスの凝縮温度と温度センサー24,24’によって検出された検出温度とを比較する比較手段と、前記検出温度が前記ガス圧力に基づいて演算されたガスの凝縮温度より高いとき、例えば、1K以上(この値は、1Kに限らず、適宜の値に定めることができる。)高いときに、冷凍機はその冷凍機が最低限必要とする冷凍能力を下回って運転していると判定し、そうでないとき冷凍機はその冷凍機が最低限必要とする冷凍能力以上で運転していると判定する判定手段と、判定手段の判定結果を表示する表示手段及び/又は冷凍機が必要とする最低限の冷凍能力を下回って運転しているときその旨の警報を発する警報手段とを備えている。
【0041】
なお、温度センサー24,24’及び圧力センサー26で検出された検出値は、判定部への入力とは別に、目視できるように表示パネル等(図示せず。)に表示するようにしてもよい。
また、前記ガス圧力―凝縮温度の関係は、ガスの圧力から凝縮温度を算出する計算式、あるいはガス圧力と凝縮温度との関連表等として、日本機械学会編「伝熱工学資料」等により一般に公表されており、これらのデータを前記記憶手段に記憶しておけばよい。
【0042】
さらに、液体貯留容器4内の圧力を予め設定した一定の圧力にする圧力調整手段、例えば減圧弁、圧力調整弁等、を設けて、予め設定された一定の圧力で冷凍機を運転するようにした冷却装置の場合には、予め設定された一定の圧力から演算されるガスの凝縮温度を用いればよい。この場合、液体貯留容器4内の圧力を圧力センサー26で検出する必要はない。
【0043】
前記判定部は、冷却装置に設けた冷凍機毎に設けてもよいし、各冷凍機に共通の判定部として冷却装置に1つ設け、切換えて使用するようにしてもよい。
また、判定部は、必ずしも設ける必要はない。この場合、前記表示パネル等に表示された温度センサー24,24’の検出温度と液化ガス貯留容器4内のガス圧力に基づいて冷却装置のオペレーターが冷凍機の正常、不正常を判断すればよい。
【0044】
次に、前記実施の形態における冷凍機の冷凍能力測定装置の作動及びその測定方法を説明する。
前記冷凍能力測定装置を備えた冷却装置は次のように運転される。2台の冷凍機ユニット9,9’のうち、1台の冷凍機ユニット9が運転され、他の冷凍機ユニット9’は予備の冷凍機とされる。
【0045】
運転中の冷凍機ユニット9の冷凍機10は、液化ガス貯留容器4内で蒸発したガスを寒冷発生部11で凝縮する。この寒冷発生部11の先端部11cから滴下する液は、該先端部11cが、凝縮されて滴下する滴5bが温度センサ−ブロック23を確実に濡らすことができるように位置決めされているので、温度センサーブロック23上にちょうど滴下し、温度センサーブロック23を濡らしながら貯留された液化ガス5面に滴下する。液化ガス貯留容器4内に貯留された液化ガス5は、第2の熱交換器17において、冷媒ガス循環ポンプ15によって吐出された冷媒ガスと熱交換し、液化ガスの蒸発潜熱により冷媒ガスを冷却する。冷却された冷媒ガスは、第3の熱交換器18に送られ、被冷却体用容器7に収容された被冷却体8を冷却する。被冷却体8を冷却した冷媒ガスは、冷媒ガス循環ポンプ15に吸引されるが、その途中で第1の熱交換器16によって、冷媒ガス循環ポンプ15によって吐出された冷媒ガスと熱交換し、該吐出された冷媒ガスを冷却する。冷媒ガスを冷却することにより蒸発した液化ガスは再び運転中の冷凍機10で凝縮され、液化ガス貯留容器4内に貯留する。
【0046】
次に、運転中の冷凍機が必要とする最小限の冷凍能力で運転しているか否かの測定は次のように行われる。
運転中の1台の冷凍機ユニット9の冷凍機10の第1のヒーター22及び第2のヒーター25に通電する。
前記第1のヒーター22によって、該冷凍機10が最低限必要とする冷凍能力に相当する熱量を与えると、この第1のヒーター22の熱量より冷凍機10の冷凍能力のほうが大きければ、冷凍機10は液化ガス貯留容器4内のガスを凝縮液化し、凝縮した液は温度センサーブロック23に滴下し、また、この第1のヒーター22の熱量より冷凍機10の冷凍能力が低下している場合には、冷凍機10の温度は液化ガス貯留容器4内のガスの凝縮温度以上となり、ガスの凝縮が止まり、液の滴下もなくなることは、前記したとおりである。
【0047】
そして、運転中の冷凍機10が液化ガス貯留容器4内のガスを凝縮、液化し、液体が温度センサーブロック23に滴下し続け、温度センサーブロック23が凝縮した液で濡れている場合には、第2のヒーター25への通電にもかかわらず、温度センサー24の検出温度はちょうどガスの凝縮温度を示し、一方、冷凍機10の冷凍能力が低下して、ガスの凝縮が止まり、液の滴下がなくなった場合には、第2のヒーター25の加熱によって、温度センサー24の検出温度がガスの凝縮温度より上昇する、例えば10〜数10K程度上昇する、ことも前記したとおりである。
温度測定部は、このように第1のヒーター22及び第2のヒーター25に通電した状態で、温度センサー24によって運転中の冷凍機10の温度センサーブロック23における温度を検出する。
【0048】
一方、判定部は、凝縮温度演算手段によって、圧力センサー26によって検出された液化ガス貯留容器4内のガスの圧力から記憶手段に記憶したガス圧力―凝縮温度のデータに基づいて液化ガス貯留容器4内のガスの凝縮温度を演算する。比較手段は、このガスの圧力から演算したガスの凝縮温度と前記温度センサー24によって検出された温度とを比較し、前記温度センサー24による検出温度が前記ガスの圧力に基づいて演算されたガスの凝縮温度より高いとき、例えば、1K以上高いとき、判定手段は、冷凍機はその冷凍機が必要とする冷凍能力を下回って運転していると判定し、そうでないときは、冷凍機はその冷凍機が必要とする冷凍能力以上で運転していると判定する。判定手段の判定結果は表示手段に表示し、また、冷凍機が必要とする冷凍能力を下回って運転していると判定されたときは、警報発生手段によってその旨を警報する。
前記測定が終了したときは、第1のヒーター22への通電を止める。また、第2のヒーター25は、常時通電しておいてもよいし、前記測定時に通電し、測定の終了と同時に通電を止めるようにしてもよい。
【0049】
このような測定を定期的に行うことにより、運転中の冷凍機10が正常あるいは不正常であるかを調べることが可能となる。そして、運転中の冷凍機10が不正常と判定された場合には、予備の冷凍機10’を起動する。予備の冷凍機10’を運転した場合にも、前記した冷凍機10と同様に冷凍機の冷凍能力の測定を定期的に行う。予備の冷凍装置10’の運転中に、前記測定によって不正常とされた冷凍機10を交換あるいは補修するようにしてもよい。
【0050】
また、冷却装置のクライオスタット1内部には、液化ガス5が保持されているため、予備の冷凍機10’が正規の状態になるまでの間、液化ガス5の蒸発潜熱を使って、被冷却体8である電力機器を中断することなく連続して冷却することができるため、予備の冷凍機10’が正規の温度に下がるまでの間電力機器を冷却する能力が低下してしまうのを防止することができる。したがって、冷却装置を安定に運転することができる。
【0051】
本発明の実施の形態における冷凍機の冷凍能力測定装置は、従来の温度センサーを設けた冷凍能力測定装置に較べ、運転中の冷凍機の正常、不正常を速やかにしかも確実かつ容易に判定することができる。
すなわち、前記従来の冷凍能力測定装置は、運転中の冷凍機が故障等により最低限必要とする冷凍能力以下で運転されているもかかわらず、わずかでも凝縮温度において冷凍能力があって、寒冷発生部先端が凝縮した液で濡れている場合には、温度センサーが検出した温度は、液化ガス貯留容器内のガスの凝縮温度となり、冷凍機の正常な運転と区別できないことがあった。
【0052】
しかしながら、本発明の実施の形態における冷凍機の冷凍能力測定装置は、冷凍機が最低限必要とする能力に相当する第1のヒーター22,22’備えているため、冷凍機が最低限必要とする冷凍能力以下で運転している場合には、第1のヒーター22,22’の加熱によって、冷凍機の温度はガスの凝縮温度以上になり、ガスの凝縮が完全になくなり、冷凍機の正常な運転によりガスの凝縮が生じている場合とは明確に区別されることになる。さらに、本発明の実施の形態における冷凍機の冷凍能力測定装置は、冷凍機の寒冷発生部の先端部11c,11c’と熱的に離れた位置に設けた温度センサーブロック23,23’内に温度センサー24,24’を内蔵するとともに、温度センサーブロック23,23’に、冷凍機が正常に運転され、ガスの凝縮が生じているときは、温度センサー24,24’がガスの凝縮温度を示すとともに、冷凍機の故障により冷凍機からの液の滴下が止まったときは、温度センサー24,24’がガスの凝縮温度より10K〜数10K上昇した温度を示すような発熱量とされた第2のヒーター25,25’を設けているため、冷凍機が故障等によって最低限必要とする冷凍能力を下回って運転されている場合に温度センサー24,24’によって検出される温度とガスの凝縮温度との比較判定が容易となる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の設計変更が可能であり、それらはいずれも本発明に含まれる。例えば、
前記実施の形態では、第1のヒーター22,22’の容量を冷凍機が必要とする最低限の冷凍能力に相当する容量の発熱量としたが、冷凍機が必要とする適宜の冷凍能力に相当する発熱量とすることにより、冷凍機がその適宜設定した冷凍能力以上で運転しているか否かの測定にも使用できる。
また、前記第1のヒーター22,22’として発熱量可変のヒーターを採用してもよい。この場合、第1のヒーター22,22’の容量を、冷凍機が必要とする最低限の冷凍能力に相当する容量から最大限の冷凍能力に相当する容量まで可変とすれば、第1のヒーター22,22’の容量を適宜設定することにより、運転中の冷凍機が現在どの程度の冷凍能力で運転しているかを判定することにも使える。また、異なる冷凍能力を有する冷凍機に対しても1種類のヒーターで対応できる。
【0054】
この実施の形態では、2台の冷凍機ユニット9,9’を備え、1台の冷凍ユニット9’を予備の冷凍機ユニットとした冷却装置に冷凍能力測定装置を設けたものについて説明したが、本発明の冷凍能力測定装置は、3台以上の複数の冷凍機ユニットを設け、1台を予備の冷凍機とし、他の複数の冷凍機を同時に運転する冷却装置についても同様に採用できるのはもちろんである。この場合も、予備の冷凍機も含め、全ての冷凍機に前記温度測定部を取り付け、運転中の複数の冷凍機に対して前記測定を順次、定期的に行うようにすることにより、運転中の冷凍機毎にその冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを判定することができる。
また、前記冷凍能力測定装置は、1台の冷凍機ユニットを備えた冷却装置に採用してもよい。
【0055】
さらに、この実施の形態では、間接冷却方式を採用して、高温超電導体を使用した電力機器等の被冷却体を冷却する冷却装置について説明したが、本発明の冷凍機の冷凍能力測定装置及びその測定方法は、直接冷却方式あるいは間接冷却方式を問わず、どのような冷却方式を採用するものであってもよい。また、被冷却体も高温超電導体を使用した電力機器等に限らず、どのようなものであってもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る冷凍機の冷凍能力測定装置を設けた冷却装置の概略全体図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る温度センサーブロックの概略分解斜視図である。
【図3】従来の間接冷却方式を採用した高温超電導体を使用した電力機器を冷却する冷却装置の概略全体図である。
【符号の説明】
1・・・クライオスタット 2・・・外容器 3・・・断熱真空空間
4・・・液化ガス貯留容器 5・・・液化ガス 7・・・被冷却体収納容器
8・・・被冷却体 9,9’・・・冷凍機ユニット 10,10’・・・冷凍機 11,11’・・・冷凍機の寒冷発生部 11a,11a’・・・冷却部 11b,11b’・・・凝縮部 11c,11c’・・・寒冷発生部の先端部 14・・・被冷却体冷却回路 15・・・冷媒循環ポンプ
16・・・第1熱交換器 17・・・第2熱交換器 18・・・第3熱交換器 21・・・液面センサー 22,22’・・・第1のヒーター 23,23’・・・温度センサーブロック 24,24’・・・温度センサー
25,25’・・・第2のヒーター 26・・・圧力センサー
Claims (4)
- 容器の内部に貯留した液化ガスによって被冷却体を冷却するとともに、前記容器内で蒸発した液化ガスを冷凍機によって凝縮するようにした冷却装置における冷凍機の冷凍能力測定装置であって、該冷凍能力測定装置は、前記冷凍機の凝縮部に取り付けられ、前記冷凍機が必要とする冷却能力に相当する容量の第1のヒーターと、温度センサーを内蔵し、前記冷凍機の凝縮部先端の下方において前記冷凍機によって凝縮された液化ガスが滴下する位置に配置された温度センサーブロックと、該温度センサーブロックに設けられた小容量の第2のヒーターとから構成したことを特徴とする冷凍機の冷凍能力測定装置。
- 前記第1のヒーター及び前記第2のヒーターへの通電時における前記温度センサーによる検出温度と、前記容器内のガスの圧力から求めた前記容器内のガスの凝縮温度とを比較して冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを判断する判定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍機の冷凍能力測定装置。
- 前記容器内で凝縮するガスの圧力を検出する圧力センサーを設け、該圧力センサーによって検出された圧力から前記容器内のガスの凝縮温度を求めるか、あるいは、前記容器内のガスの圧力を予め設定した一定の圧力に維持する圧力調整手段を設け、予め設定された一定のガスの圧力から前記容器内のガスの凝縮温度を求めることを特徴とする請求項2に記載の冷凍機の冷凍能力測定装置。
- 前記請求項1、2又は3に記載の冷凍機の冷凍能力測定装置を用いて冷凍機の冷凍能力を測定する方法において、前記第1のヒーターと第2のヒーターに通電し、そのときの前記温度センサーの検出温度と、前記容器内のガスの凝縮温度とに基づいて冷凍機が必要とする冷凍能力で運転しているか否かを判断するようにしたことを特徴とする冷凍機の冷凍能力測定方法。
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