JP2004162578A - 滑り部材付きターボチャージャ - Google Patents

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Shozo Shimizu
正三 清水
Kiyohiko Ebara
清彦 江原
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Kyoritsu Co Ltd
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Abstract

【課題】コンプレッサハウジングと滑り部材の形状を単純化することで装着を容易にし、かつ高精度の加工を施すことなく両者の熱膨張差を吸収できるようにした滑り部材付きターボチャージャを提供する。
【解決手段】タービンハウジングに連結されるコンプレッサハウジング9と、コンプレッサハウジング9内に回転自在に支持されるとともにタービンホイールと同軸的に連結されるコンプレッサインペラ8を備えたターボチャージャであり、コンプレッサインペラ8の吸気の流入口23から流出口にかけた外縁に対向するコンプレッサハウジング9の壁面の少なくとも一部に溝14を形成し、この溝14にコンプレッサインペラ8と接触する寸前まで突出させた滑り部材15を装着し、溝14と滑り部材15との接触面間にコンプレッサハウジング9と滑り部材15の熱膨張差を吸収する緩衝材を介在させた。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸入空気を圧縮するターボチャージャに関し、特にコンプレッサインペラとの対向部に滑り部材を配したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、内燃機関の吸入空気を効率的に圧縮する手段として、ターボチャージャが用いられる。このターボチャージャは、例えば、排気エネルギ等を利用してコンプレッサインペラを回転させ、この回転力により吸気を圧縮しつつ送出するものである。
【0003】
これは、一般に、コンプレッサハウジングと、このコンプレッサハウジング内に回転自在に支持されるコンプレッサインペラと、このコンプレッサインペラを回転させる駆動源を備えている。
【0004】
そして、前記コンプレッサインペラは、その縁部が前記コンプレッサハウジングの壁面に沿うよう形成されたブレードを複数有し、コンプレッサインペラが回転した際に、前記ブレードが吸入空気を吸引及び圧送する。
【0005】
このようなターボチャージャでは、コンプレッサハウジングとコンプレッサインペラのブレードとの接触による破損を防止するため、コンプレッサハウジングとブレードとの間にある程度のクリアランスが必要であるが、両者のクリアランスが大きくなると、そのクリアランスから吸入空気が漏れ、過給効率が低下する。過給効率の低下は、コンプレッサインペラの低速回転時に顕著となるるが、このときに所望の過給圧を得るためには、コンプレッサインペラを高速回転させなければならず、大きな駆動力を必要とする。
【0006】
そこで、コンプレッサハウジングとコンプレッサインペラとのクリアランスを極限まで減少させ、吸入空気の過給圧を向上させる技術が開発されている。例えば、コンプレッサハウジング内に回転自在に支持されるコンプレッサインペラと、コンプレッサハウジング内に取り込まれた吸入空気を圧縮すべくコンプレッサインペラを回転駆動させる回転手段とを備えた圧縮機において、コンプレッサインペラの外縁に対向するコンプレッサハウジング壁面の少なくとも一部に、コンプレッサインペラと接触する寸前まで突出させた滑り部材を装着したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この発明では、コンプレッサハウジング内でコンプレッサブレードに対向する、いわゆるシュラウド部は、コンプレッサインペラのブレードとのクリアランスを可能な限り減少させることを目的として、溝を形成するとともに、この溝には、前記ブレードと接触する寸前まで突出するよう形成された滑り部材が装着される。
【0008】
また、コンプレッサハウジングのブレードに対面する部位に、コンプレッサハウジングと別体で、ブレードよりも軟質の材料の成形体を圧入やねじ止めによって固定し、この成形体とブレードを、両者の接触を許容する寸法関係で組み付けることで、両者の間隙を極限まで小さくしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
これらの発明によれば、ブレードとコンプレッサハウジング壁面とのクリアランスが限りなく小さくなり、コンプレッサインペラの低速回転時等であっても、吸入空気の漏れが抑制される。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−173153号公報
【特許文献2】
特許第3153378号特許公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コンプレッサハウジングと滑り部材等との間には熱膨張差が存在し、コンプレッサハウジングと滑り部材等は過給機の作動時に常時高温にさらされるので、組立て時には、これらの熱膨張差を吸収するための間隙を両者間に設ける必要がある。そのため、コンプレッサハウジングと滑り部材等の加工は高精密度が要求され、特にコンプレッサハウジングの加工では複雑な加工工程を要するために、製造コストの上昇が避けられない。
【0012】
また、上述した従来の圧縮機やターボチャージャ等では、滑り部材や軟質材料の成形体(以下、滑り部材等という)をコンプレッサハウジング内の所定位置に装着するために、、圧入、ねじ止めによる方法、Oリングやピストンリング状のストッパリングを用いて固定する方法等が用いられている。そのため、コンプレッサハウジングと滑り部材の間にねじ、Oリング等の別部材を介在させるためのスペースを設ける必要がある。その結果、滑り部材及びコンプレッサハウジングの形状が制約を受け、設計の自由度が少なくなる。
【0013】
本発明は、上記のような事情に鑑みてされたものであって、コンプレッサハウジングと滑り部材の形状を単純化することで装着を容易にし、かつ高精度の加工を施すことなく両者の熱膨張差を吸収できるようにした滑り部材付きターボチャージャを提供することを技術的課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、 コンプレッサハウジングと滑り部材等の間の熱膨張差を吸収する緩衝材を両者間に介在させるものとした。
【0015】
すなわち、タービンハウジング内に回転自在に支持されるタービンホイールと、前記タービンハウジングに連結されるコンプレッサハウジングと、前記コンプレッサハウジング内に回転自在に支持されるとともに前記タービンホイールと同軸的に連結されるコンプレッサインペラと、前記コンプレッサインペラへ吸気を導く吸気通路と、前記コンプレッサインペラに対向する前記コンプレッサハウジング壁面の一部に形成される第1吸排出口と、前記コンプレッサインペラより上流の吸気通路に臨む第2吸排出口と、前記第1及び第2吸排出口を連通させるバイパス通路と、を備えたターボチャージャであり、
前記コンプレッサインペラの吸気の流入口から流出口にかけた外縁に対向する前記コンプレッサハウジング壁面の少なくとも一部に溝を形成し、この溝に前記コンプレッサインペラと接触する寸前まで突出させた滑り部材を装着し、
かつ前記溝と滑り部材との接触面間にコンプレッサハウジングと前記滑り部材の熱膨張差を吸収する緩衝材を介在させたことを特徴とする。
【0016】
このように構成された滑り部材付きターボチャージャでは、使用時における滑り部材とコンプレッサハウジングの間の熱膨張差が緩衝材により吸収されるので、組立て時に前記熱膨張差を考慮して高精度な加工を施す必要がなくなる。
【0017】
前記緩衝材は、滑り部材とコンプレッサハウジング間に介在し、ターボチャージャの使用時には高温下でこれらの熱膨張差を吸収できるように自ら変形し、常温に戻れば初期状態に復帰するように弾性変形可能であればよい。このようなものとして、例えば、シリコーン系のシール剤を使用することができる。
【0018】
コンプレッサハウジング壁面の溝に前記滑り部材を装着する際には、
前記滑り部材を装着するコンプレッサハウジングの溝の内周方向に沿って凸部または凹部のいずれか一方を形成し、かつ前記滑り部材に前記凸部または凹部に対応する凹部または凸部のいずれか他方をそれぞれ設けて、前記凸部と凹部とを互いに嵌合させることで前記コンプレッサハウジング壁面の溝に滑り部材を装着することができる。
【0019】
この場合には、前記コンプレッサハウジング壁面に形成した溝の内周方向に沿ってその一部に凸部を形成し、前記滑り部材の外周部には前記凸部に対応する凹部を設け、この凹部が設けられた前記外周部の一側には、前記凸部を前記凹部内に案内するための切り欠き部を少なくとも前記凸部の長さ以上にわたって形成し、前記凸部が円周方向に直交する方向に移動して前記凹部内に案内され、かつ前記コンプレッサハウジングと滑り部材の相対的な回転によって前記凸部と凹部を互いに嵌合させることで前記コンプレッサハウジング壁面の溝に滑り部材を装着したものとすることができる。
【0020】
また、上述したような装着状態では、緩衝材によって滑り部材が前記溝、すなわち、コンプレッサハウジングに固定されるので、両者の嵌合状態が外れることがない。
【0021】
上記の場合、凹部と凸部が嵌合した状態において、コンプレッサインペラの回転等によって、滑り部材とコンプレッサハウジングの間に相対的な回転が生じることは、前記緩衝材によって阻止することができるので、両者の嵌合状態は確実に保持される。
【0022】
なお、滑り部材の回転範囲を限定するストッパを凹部内に形成する等の方法によって、滑り部材とコンプレッサハウジングの嵌合状態が解かれることを防止するようにしてもよい。
【0023】
上述したターボチャージャは、コンプレッサインペラの外縁に対向する前記コンプレッサハウジング壁面の少なくとも一部に、前記コンプレッサインペラと接触する寸前まで突出させた滑り部材を装着し、前記コンプレッサハウジング壁面と滑り部材との間には、コンプレッサハウジングと滑り部材の材質等の差異による熱膨張差を吸収する緩衝材を介在させて、コンプレッサハウジング壁面に滑り部材を装着することで製造される。
【0024】
このように構成された滑り部材付きターボチャージャでは、コンプレッサインペラの外縁と対向するコンプレッサハウジングの内壁に溝を設けるとともに、この溝にコンプレッサインペラと接触する寸前まで突出させた滑り部材を装着することで、コンプレッサハウジングとコンプレッサインペラとのクリアランスを限りなく小さくできる。
【0025】
なお、このターボチャージャは、コンプレッサインペラの回転時に、コンプレッサインペラと滑り部材とが接触しても、滑り部材の摩擦抵抗が小さいので、摩擦熱がほとんど発生せず、また、コンプレッサインペラが破損することがない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるターボチャージャの実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0027】
(1)最初に、ターボチャージャ30の動作原理を簡単に説明する。ターボチャージャ30は、通常、図1に示すように、排圧を回転力に変換するタービンホイール31と、このタービンホイール31とローターシャフト35を介して連結されたコンプレッサインペラ36とによって形成される。そして、これらの部材は、それぞれハウジングによって覆われている。
【0028】
ターボチャージャ30は、排気入口32から流入した排気の排圧によってタービンホイール31が回転し、エネルギ変換が行われた排気は排気出口33から排出される。
【0029】
前記タービンホイール31の回転力は、ローターシャフト35を介してコンプレッサインペラ36に伝わり、吸気入口37から取り入れた吸気は、コンプレッサインペラ36に設けた複数のブレードの間の流路を通り、圧縮されつつ内燃機関へと圧送される。
【0030】
尚、前記ターボチャージャ30は、ターボチャージャ30から内燃機関へ供給される吸気の圧力(過給圧)が所定値を越えた場合に、アクチュエータ34がウエイストゲートバルブ39を開弁させ、タービンホイール31より上流の排気をタービンホイール31の下流へバイパスさせ、タービンホイール31にかかる排圧を調節することができるようになっている。
(2)次に、本発明にかかる滑り部材付きターボチャージャの実施の形態について図2〜4に基づいて説明する。この滑り部材付きターボチャージャ1は、図2、3に示すように、内燃機関からの排気を取り入れる排気入口2と、排気を排出する排気出口5と、排気入口2の近傍に配置された排気バイパス6とが形成されるとともに、前記排気入口2から流入した排気の圧力により回転駆動されるタービンホイール3を内装するタービンハウジング4を備えている。
【0031】
そして、前記ターボチャージャー1は、吸気を圧縮するためのコンプレッサインペラ8を回転自在に内装するとともに、吸気を取り入れるための吸気入口7と、この吸気入口7から取り入れられた吸気を前記コンプレッサインペラ8へ導く吸気通路23と、前記コンプレッサインペラ8により圧縮された吸気を排出するための吸気出口10とが形成されるコンプレッサハウジング9を備えている。
【0032】
前記タービンハウジング4と前記コンプレッサハウジング9は、連結部材17により連結され、この連結部材17は、前記タービンホイール3と前記コンプレッサインペラ8とを同軸的に連結するロータシャフト11を回転自在に支持している。さらに、前記連結部材17には、前記ロータシャフト11の軸受部に潤滑油を供給する潤滑油通路12が形成される。
【0033】
次に、タービンホイール3とコンプレッサインペラ8の表面には、複数のブレード13A、13Bが設けられ、タービンホイール3のブレード13Bは、後端から先端にかけて湾曲した形状を有する。一方、コンプレッサインペラ8のブレード13Aは、通常は流線の長さが異なる長インペラ13Aと短インペラ13Aをそれぞれ交互に配置して形成する。
【0034】
ここで、流線の長さとは、コンプレッサインペラ8の吸気の流入口から流出口にかけた外縁長さをいい、シュラウド長さともいう。尚、コンプレッサインペラ8の外縁部を一般的にコンプレッサインペラシュラウド部といい、このコンプレッサインペラシュラウド部に対向するコンプレッサハウジング9の壁面をシュラウド部16という。
【0035】
ところで、ブレード13Aの材質は、一般的にアルミを用いるが、タービンホイール3に設けたインペラ13Bは比重の大きい耐熱鋼が用いられる。また、耐熱鋼の代わりに耐熱性が良く比重の小さいセラミックを用いることもある。
【0036】
次に、コンプレッサハウンジング9のシュラウド部16には、図4に示すように、環状の溝14が、断面がL字状で段部14cを形成するように周方向に連続して設けられる。この溝14には、ブレード13Aと接触する寸前まで突出するように滑り部材15が装着されている。
【0037】
図5に示すように、滑り部材15の全体は所定の厚みを有するリング状であり、この滑り部材15の外周には、周方向に連続する凹部15aが形成されている。この凹部15aの一側、すなわち片面の周縁は、図5(a)に示すように、その一部を切り欠くことで凹部15aの底面と同一高さとなるように形成され、一定範囲が切り欠き部15bとなっている。この切り欠き部15bは、図5(a)(b)に示すように、この例では、外周の4分の1にわたって形成され、この切り欠き部15bの対称位置にさらに4分の1にわたる切り欠き部15bを設け、全体としては、切り欠き部15bが形成されている外周部と形成されていない外周部がそれぞれ2分の1ずつとなっている。
【0038】
一方、滑り部材15が装着されるコンプレッサハウジング9側の溝14の内周面には、周方向に沿って前記凹部15aに嵌合する凸部14aが形成されている。この凸部14aは、凹部15aに対応する形状、大きさであって、かつ
凹部15aに対応するように、周方向に互いにほぼ同一の長さにわたり形成されている。換言すれば、凸部14aは、図6(a)に示すように、周方向に沿って一部に形成され、凸部14aが形成されない部分、すなわち切り欠き部14bは、前記滑り部材側の凸部15aと同じ長さにわたり形成されている。
【0039】
前記滑り部材15をコンプレッサハウジング9に装着する際には、図7に示すように、滑り部材15を溝14内に挿入してその段部14cに外周面15cを当接させ、切り欠き部15bの位置に前記凸部14aを合わせるようにして、矢印で示す方向に滑り部材15を移動させて、凸部14aが切り欠き部15bを通過して凹部15aに到達するようにする。このようにして、コンプレッサハウジング9の内周面にリング状の滑り部材15を嵌め込み、滑り部材15を回転させれば凹部15aに凸部14aがスライドして嵌合するので、滑り部材15aを容易にコンプレッサハウジング9に装着することができる。
【0040】
このとき、図6(b)に示すように、溝14及び凸部14aの表面に緩衝材としてのシール材25を塗布する。具体的には、凹溝15a内に液状のシール材25として、 株式会社スリーボンド製のスーパースリーボンド(登録商標)TB1207を、凸部14aを含む溝14の表面全体に塗布した後、滑り部材15を溝14に装着する。このシール材25は固化すると弾性変形自在となり、かつ耐剥離性に優れるので、滑り部材15aとコンプレッサハウジング9との間の熱膨張差を吸収するとともに、凸部14aと凹部15aの嵌合状態を保持して、滑り部材15aを溝14に確実に固定する役目を果たす。すなわち、シール材25は、滑り部材15の装着時の前記回転によって凹部15aと凸部14aの間隙に入り込む。またシール材25の一部は、凸部14aによってかき分けられるようにして押されて凹部15a内を移動するが、前記回転が停止した位置において凸部14aの周囲に存在し、時間の経過により固化するので、コンプレッサハウジング9と滑り部材15を互いに所定位置に固定することになる。
【0041】
尚、前記滑り部材15は、軸方向の厚み(長さ)が前記溝14の軸方向の長さと略同一になるよう形成するとともに、内周面15bがコンプレッサインペラ8のブレード13Aの縁部と略同一形状で、且つ前記シュラウド部16より突出するよう形成される。
【0042】
このような装着方法によれば、滑り部材15は、溝14の段部に係止されるとともに、凸部14aが滑り部材15の凹溝15aに嵌合するので、前記溝14から抜け落ちることがない。
【0043】
また、上記した滑り部材15を形成する方法としては、図8に示すように、シュラウド部16に形成した前記溝14に挿入した後に、前記シュラウド部16より突出した部位(ハッチングで示す)を切削加工して、所定輪郭線17に合致するように加工し、コンプレッサインペラ8のブレード13Aの縁部と略同一形状をなすように形成する方法を例示することができる。この場合、前記滑り部材15の切削されて形成される内壁面は、前記シュラウド部16よりも若干突出するように形成し、滑り部材15とコンプレッサインペラ8のブレード13Aとのクリアランスが、前記シュラウド部16と前記ブレード13Aとのクリアランスよりもさらに狭くなるようにする。
【0044】
また、図9のように、前記溝14を設ける範囲は、後述する理由から、コンプレッサインペラ8の吸気の流入口から流出口にかけた外縁長さLに対して1/2・L以内とし、さらに、流出口からこの長さ1/2・Lまでが好ましい。
【0045】
ところで、吸気の圧力は、流出口から1/2・Lまでの範囲で上昇し、この範囲のクリアランスを十分小さくすれば、ターボチャージャの効率を高めることができる。これとは逆にこの範囲にクリアランスがあるとこの隙間から吸気が漏れ、旋回流が生じてターボチャージャの効率を低下させる。
【0046】
ここで、滑り部材を装着する溝14を流出口から1/2・Lまでに設ける理由は、圧力が上昇する範囲での吸気の漏れを防止すれば十分だからである。さらに、ブレードの吸気の流入側の見かけのクリアランスは、流出側に比較して小さい。したがって、コンプレッサインペラ8が十分な回転速度を得るまでの間、コンプレッサインペラ8と滑り部材15との接触する割合が流入側の方が多くなる。さらに、吸気の流出側に比較して流入側は、ブレード13Aが薄く、剛性が低いため、接触等による疲労によりブレード13Aが破損する可能性がある。
【0047】
すなわち、ブレード13Aと滑り部材15とが接触すると接触面での摩擦力によってコンプレッサインペラ8の回転速度が減衰するとともに、ブレード13Aが破損する虞があることから、コンプレッサインペラ8の回転速度を減衰させず、かつ、ブレード13Aの破損を防止しつつ、クリアランスを可能な限りゼロにして吸気を逃がさずに圧送するという相反する要求を満たすため、流出口から1/2・Lまでの範囲に溝14を形成することが好ましい。
【0048】
このようにすれば、滑り部材付きターボチャージャ1は、コンプレッサハウジング9とブレード13Aとの間の空隙から吸気を逃がすことなく内燃機関に吸気を圧送することができ、内燃機関の機関回転数が低い領域でも加速性能を向上させることができる。
【0049】
前記滑り部材15は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)を約50%(重量)と合成雲母を約50%(重量)を化学的に結合した樹脂、いわゆるフルオロシント500で形成される。
【0050】
フルオロシント500は、次のような特徴を備えている。
(1)高温においての荷重変形がフッ素樹脂にくらべて非常に少なく、熱的寸法安定性は、アルミニウムに近い。また、線形膨張係数がPTFEの5分の1であることからはめ合いやクリアランスを考慮に入れなくても良い。
(2)極低温から260℃までの温度範囲で使用可能であり、温度サイクル中や熱衝撃を与えた後でも、約343℃で形状安定性を維持する。
(3)フルオロシント500の水蒸気の非透過性等の耐薬品性は、テフロン(登録商標)に匹敵する。
(4)PTFEの摩擦特性を維持しつつ硬さでは摩擦特性が改良されたPTFEの3分の1である。
(5)摩擦係数及び摩擦速度が低いという特性を有し、金属材料を磨耗させない。
(6)電気的性能は、未充填PTFEとほぼ同等である。
【0051】
さらに、前記滑り部材をフルオロシント500等の樹脂で形成することにより、ターボチャージャに係るコストを低減させることができる。また、滑り部材とガイドとを組み合わせて第1及び第2吸排出口やバイパス通路を形成することにより、タービンハウジングに複雑な加工を施す必要がない。
【0052】
尚、本実施の形態にかかる滑り部材付きターボチャージャは、温度上昇した給気を熱交換機で冷却するインタクーラ付きターボチャージャや給気圧力、排気圧力が過大になるのを防止するウエイストゲート付きターボチャージャ、または過給機の排気タービン入口面積を可変にする可変ターボチャージャ若しくはタービン材料としてセラミックを用いるセラミックターボチャージャとして用いることができる。
【0053】
この実施の形態のターボチャージャによれば、コンプレッサハウジングに滑り部材を設けることにより、コンプレッサハウジングとコンプレッサインペラとのクリアランスを可能な限り小さくすることができ、吸気の漏れによる圧縮効率の低下が抑制される。
【0054】
また、滑り部材とコンプレッサインペラが接触した場合でも、滑り部材の摩擦抵抗が小さいので摩擦熱の発生を抑制することができ、コンプレッサインペラの磨耗や破損が防止され、耐久性の低下が防止される。
【0055】
さらに、滑り部材とコンプレッサインペラとが接触した場合に、滑り部材の摩擦抵抗が小さいので、コンプレッサインペラの回転速度が減衰することがない。尚、滑り部材はシール材によって固定されているので、コンプレッサインペラとともに回転することはない。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、コンプレッサハウジングと滑り部材の形状を単純化することで装着が容易になり、かつ高精度の加工を施すことなく両者の熱膨張差を吸収できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】ターボチャージャの作動原理を説明するための図
【図2】本発明の実施の形態のターボチャージャの分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態のターボチャージャの断面図
【図4】本発明の実施の形態のターボチャージャのコンプレッサハウジング部の拡大断面図
【図5】滑り部材の全体構造を示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその正面図
【図6】コンプレッサハウジングに形成した溝部を示す図であり、(a)はその上半部を示す図、(b)はその断面図
【図7】滑り部材を溝部に装着する状態の説明図
【図8】装着した滑り部材を所定形状に加工する際の切削部を示す図
【図9】コンプレッサハウジングのシュラウド部の拡大図
【符号の説明】
1・・・・滑り部材付きターボチャージャ
3・・・・タービンホイール
4・・・・タービンハウジング
8・・・・コンプレッサインペラ
9・・・・コンプレッサハウジング
11・・・・ロータシャフト
13A、13B・・・・ブレード
14・・・・溝
14a・・・・凸部
15・・・・滑り部材
15a・・・・凹溝
16・・・・シュラウド部

Claims (5)

  1. タービンハウジング内に回転自在に支持されるタービンホイールと、前記タービンハウジングに連結されるコンプレッサハウジングと、前記コンプレッサハウジング内に回転自在に支持されるとともに前記タービンホイールと同軸的に連結されるコンプレッサインペラと、前記コンプレッサインペラへ吸気を導く吸気通路と、前記コンプレッサインペラに対向する前記コンプレッサハウジング壁面の一部に形成される第1吸排出口と、前記コンプレッサインペラより上流の吸気通路に臨む第2吸排出口と、前記第1及び第2吸排出口を連通させるバイパス通路と、を備えたターボチャージャであり、
    前記コンプレッサインペラの吸気の流入口から流出口にかけた外縁に対向する前記コンプレッサハウジング壁面の少なくとも一部に溝を形成し、この溝に前記コンプレッサインペラと接触する寸前まで突出させた滑り部材を装着し、
    かつ前記溝と滑り部材との接触面間にコンプレッサハウジングと前記滑り部材の熱膨張差を吸収する緩衝材を介在させたことを特徴とする滑り部材付きターボチャージャ。
  2. 前記緩衝材は、シリコーン系のシール剤であることを特徴とする請求項1に記載の滑り部材付きターボチャージャ。
  3. 前記滑り部材を装着するコンプレッサハウジング壁面に形成した溝の内周方向に沿って凸部または凹部のいずれか一方を形成し、かつ前記滑り部材に前記凸部または凹部に対応する凹部または凸部のいずれか他方をそれぞれ設けて、前記凸部と凹部とを互いに嵌合させることで、前記コンプレッサハウジングの溝に滑り部材を装着したことを特徴とする請求項1または2に記載の滑り部材付きターボチャージャ。
  4. 前記コンプレッサハウジング壁面に形成した溝の内周方向に沿ってその一部に凸部を形成し、前記滑り部材の外周部には前記凸部に対応する凹部を設け、この凹部が設けられた前記外周部の一側には、前記凸部を前記凹部内に案内するための切り欠き部を少なくとも前記凸部の長さ以上にわたって形成し、前記凸部が円周方向に直交する方向に移動して前記凹部内に案内され、かつ前記コンプレッサハウジングと滑り部材の相対的な回転によって前記凸部と凹部を互いに嵌合させることで、前記コンプレッサハウジングの溝に滑り部材を装着したことを特徴とする請求項3に記載の滑り部材付きターボチャージャ。
  5. コンプレッサハウジング内に回転自在に支持されるコンプレッサインペラと、前記コンプレッサハウジング内に取り込まれた吸気を圧縮すべく前記コンプレッサインペラを回転駆動させる回転手段とを備えたターボチャジャーであって、
    前記コンプレッサインペラの外縁に対向する前記コンプレッサハウジング壁面の少なくとも一部に、前記コンプレッサインペラと接触する寸前まで突出させるように滑り部材を装着し、前記コンプレッサハウジング壁面と滑り部材との間に、弾性変形可能で、滑り部材とコンプレッサハウジングとの間に、これらの熱膨張差を吸収する緩衝材を介在させた後、コンプレッサハウジング壁面に滑り部材を装着することを特徴とする滑り部材付きターボチャージャの製造方法。
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