JP2004159925A - 内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学系の一部を共通化して、内視鏡挿入部の太径化を抑制しつつ、1つの内視鏡で通常観察像と高い分解能を有する拡大観察像とを得ることを可能とする。
【解決手段】挿入部先端18の先端面に開口する観察窓23に、可視光領域を透過させ赤外光領域を反射させる波長分離面39aを有する波長分離素子39を配設し、波長分離面39aの透過方向に通常観察光学系36を配設し、波長分離面39aの反射方向に高解像な共焦点光学系37を配設することで、光学系の一部を共通化する。
【選択図】図1
【解決手段】挿入部先端18の先端面に開口する観察窓23に、可視光領域を透過させ赤外光領域を反射させる波長分離面39aを有する波長分離素子39を配設し、波長分離面39aの透過方向に通常観察光学系36を配設し、波長分離面39aの反射方向に高解像な共焦点光学系37を配設することで、光学系の一部を共通化する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の観察画像と高分解能の拡大観察画像とを得ることの可能な内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内視鏡は医療用分野及び工業用分野において広く採用されるようになってきている。又、内視鏡による通常観察の他に、病変部等の関心部位を詳細に診断するために、低干渉光を用いて光断層像を得るようにしたものがある。
【0003】
例えば、特許第3325056号(特開平6−154228号)公報には、1つの内視鏡で通常の内視鏡画像と低干渉光を用いた光断層像とを得ることのできる内視鏡が開示されている。
【0004】
この公報に開示されている内視鏡では、対物光学系を通常観察用と光断層像用とで共用しているため、内視鏡の挿入部先端を細径化することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特許第3325056号(特開平6−154228号)公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、内視鏡を用いて関心部位を観察しようとする場合、例えば医療においては、先ず、内視鏡を用いた通常観察の状態で、体腔内を広範囲に観察する。そして、疑わしいと思われる部分を発見したときは、その一部を光断層像で拡大して観察することで、その性状を詳細に調べるような手法が多く採用されている。
【0007】
この場合、通常観察は広角な観察を行なうため、第1レンズは凹レンズとする必要がある。一方、共焦点光学系は高解像度で観察するため、第1レンズは凸レンズとする必要がある。
【0008】
しかし、上述した公報に開示されている内視鏡では、対物光学系が共通に使用され、且つ開口数(NA)も同じ状態のままであるため、これらの特性を通常観察に適した状態に設定した場合は、光断層像の状態では分解能が不十分となる。逆に、特性を光断層像の状態での大きな開口数(NA)による高い分解能をえることができるように設定した場合は、通常観察において広い視野を確保することができず、観察範囲が狭くなってしまう不都合が生じる。
【0009】
これに対処するに、通常観察用と光断層像用とで別々の光学系を採用することも考えられるが、体腔内等に挿入される内視鏡のような場合には、先端部に内装する部品点数が多くなり、細径化が困難となってしまう不具合がある。
【0010】
更に、通常観察用と光断層像用とで別々の光学系を採用した場合には、通常観察において表示されている画像から疑わしい部分を発見したとき、この部分を光断層像により拡大観察しようとする場合、通常観察像から、光断層像により拡大観察しよとする位置を特定しようとすると、その位置が距離等の変化の影響で変化し易く、特定することが困難となる場合がある。
【0011】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、光学系の一部を共通化して、内視鏡挿入部の太径化を抑制しつつ、1つの内視鏡で通常観察像と高い分解能を有する拡大観察像とを得ることができるようにして、使い勝手の良い内視鏡を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため第1の発明は、照明手段と照明された被写体を結像する通常観察光学系と高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、上記通常観察光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする。
【0013】
第1の発明の好ましい態様としては、上記波長分離素子にレンズ面が一体形成されていることを特徴とする。
【0014】
この場合、上記レンズ面は、通常観察光学系側に形成された凹面状のレンズ面、或いは共焦点光学系側に形成された凸面状のレンズ面、又は、上記共焦点光学系側に形成された凹面鏡、若しくは、回折型光学素子であることを特徴とする。
【0015】
又、他の好ましい態様としては、上記照明手段はライトガイドバンドルであり、上記通常観察光学系は固体撮像素子上に2次元画像を結像する光学系であることを特徴とする。
【0016】
第2の発明は、照明用スキャン光学系と、該照明用スキャン光学系にて照明された被写体からの散乱光又は反射光を受光し伝達するライトガイドと、高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、上記照明用スキャン光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。
【0018】
(第1実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1実施の形態に係り、図1は内視鏡装置の構成図、図2は内視鏡先端部の断面図、図3はスキャンミラーの正面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態で採用する内視鏡装置は、内視鏡1と、この内視鏡1に接続される通常観察システム及び共焦点観察システムとで構成されている。
【0020】
通常観察システムは、内視鏡1と、ビデオプロセッサ2と、可視光を発生する光源装置3と、ビデオプロセッサ2に接続されて被写体像を映す通常観察モニタ5とを備えている。
【0021】
又、共焦点観察システムは、後述する共焦点光学系37に設けられているスキャンミラー40を駆動するスキャン制御装置6と、高解像な共焦点光学系37に光を供給すると共に共焦点光学系37からの光学像を検出して電気信号に変換する光学ユニット7と、光学ユニット7からの信号を特定の周波数成分だけ通過させるフィルタ装置8と、フィルタ装置8からの電気信号を画像化する画像化装置9と、画像化装置9からの映像信号を表示する共焦点画像モニタ10と、スキャンミラー40を駆動する駆動波形の基準となるクロックパルスを発生させる外部クロック発生器11とを備えている。
【0022】
一方、内視鏡1は、挿入部14と、挿入部14の後端に連設されている操作部15と、コネクタ部16、操作部15とコネクタ部16とを接続する接続コード17とを備えている。
【0023】
内視鏡1の挿入部(以下「内視鏡挿入部」と称する)14は、先端側から先端部18と、湾曲自在な湾曲部19と、柔軟な可撓管部20とを備えている。更に、図2に示すように、内視鏡1の先端部(以下「内視鏡先端部」と称する)18の先端面には、通常観察用の可視光を投光する照明窓21、観察窓23等が開口されている。
【0024】
又、光学ユニット7は、4つの端部25a〜25dを有する4端子カプラ25と、赤外光を発生する光源としてのレーザダイオード(以下「LD」と略称)26、フォトマルチプライアチューブ(以下「PMT」と略称)ユニット27とを備えている。4端子カプラ25の第1の端部25aが第1の光ファイバ28にコネクタ7aを介して光学的に接続され、又、第2の端部25bがLD26に光学的に接続され、更に、第3の端部25cが光ファイバ終端25eにより終端され、又、第4の端部25dがPMTユニット27に光学的に接続されている。更に、このPMTユニット27がコネクタ7b、信号線8aを介してフィルタ装置8に電気的に接続されている。
【0025】
4端子カプラ25は、第2、第4の端部25b,25dから入った光がそれぞれ分岐されて第1、第3の端部25a,25cに伝達され、逆に、第1、第3の端部25a,25cから入った光がそれぞれ分岐されて、第2、第4の端部25b,25dに伝達される構成を有している。従って、共焦点観察用LD26で発生するレーザ光は、第2の端部25b、4端子カプラ25、第1の端部25aを経て内視鏡1のコネクタ部16側へ出力される。
【0026】
コネクタ部16は、観察用の可視光を導入する第1のコネクタ16a、後述する通常観察光学系36からの信号をビデオプロセッサ2へ伝送する第2のコネクタ16b、共焦点光学系37に対し、内視鏡挿入部14に内装されている第2の光ファイバ29(図2参照)を介して伝送する光を入力する第3のコネクタ16cと、共焦点光学系37のスキャンミラー40を制御する信号を送受する第4のコネクタ16dとを備えている。
【0027】
各コネクタ16a〜16dの接続関係について説明すると、第1のコネクタ16aが光源装置3のソケット3aに着脱自在に接続され、第2のコネクタ16bがビデオプロセッサ2のソケット2aにカールコード等を介して着脱自在に接続される。更に、第3のコネクタ16cがズーム・フォーカスコントローラ4にコードを介して着脱自在に接続され、第3のコネクタ16cが光学ユニット7に光学的に接続される。又、コネクタ部16の第4のコネクタ16dはスキャン制御装置6に着脱自在に接続される。
【0028】
共焦点観察用LD26で発生し、4端子カプラ25の第1の端部25aからコネクタ7a、第1の光ファイバ28を介して、内視鏡1のコネクタ部16に設けた第3のコネクタ16cに入力されたレーザ光は、接続コード17を介して接続されていると共に内視鏡1の操作部15から内視鏡先端部18側へ配設されている第2の光ファイバ29を経て、内視鏡先端部18に配設されている共焦点光学系37へ伝達される。
【0029】
尚、内視鏡1の操作部15には、湾曲部19を任意の方向へ湾曲動作させる湾曲操作ノブ32等の手元側操作手段が所定に配設されている。
【0030】
次に、内視鏡先端部18の内部構造について説明する。
図2に示すように、内視鏡先端部18には、通常観察光学系36、共焦点光学系37、照明手段としての照明用ライトガイドバンドル38、処置具チャンネル(図示せず)等が所定に配設されている。
【0031】
内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23には、波長分離素子39が配設されている。この波長分離素子39には、可視光領域を透過し、赤外光領域を反射する波長分離面39aが設けられており、この波長分離面39aの透過方向の光路上に通常観察光学系36が配設され、一方、反射方向の光路上に共焦点光学系37が配設されている。この波長分離素子39の被写体側は平面であり、又、通常観察光学系36に対向する面に凹面状のレンズ面39bが形成されている。
【0032】
通常観察光学系36は、光路上に配設した複数のレンズ群36aと、このレンズ群36aの結像位置に対設する固体撮像素子36bとを備えている。
【0033】
又、共焦点光学系37は、波長分離面39aの反射方向に対設する第1の凸レンズ37aと、この第1の凸レンズ37aに近接すると共に第1の凸レンズ37aの光軸に対して45°の傾斜角度で対設する第1の固定ミラー37bと、この第1の固定ミラー37bに近接して配設されている第2の凸レンズ37cと、この第2の凸レンズ37cに近接して配設されているスキャンミラー40と、このスキャンミラー40の面と平行に配設されている第2の固定ミラー37dと、こ第2の固定ミラー37dの反射方向に対設する第3の凸レンズ37eとを備え、この第3の凸レンズ37eが第2の光ファイバ29の端部に対設されている。
【0034】
このように、本実施の形態で採用する共焦点光学系37は、波長分離面39a、及び、各ミラー37b、40,37dにより、4回の反射によって光路が屈曲される。
【0035】
次に、図3を用いてスキャンミラー40の構成を説明する。スキャンミラー40の外枠40a内に、平板状に形成されたジンバルリング41が配設され、このジンバルリング41の、図においては上下の中央部分が外枠40aの内周に外側ヒンジ42を介して支持されている。又、このジンバルリング41の中央に開口部41aが穿設されており、この開口部41aに第1の可動ミラー43が配設されている。この第1の可動ミラー43の、図においては左右の中央部分がジンバルリング41の内周に内側ヒンジ44を介して支持されている。
【0036】
この両ヒンジ42,44はねじり変形自在であり、外側ヒンジ42のねじり変形によりジンバルリング41は外側ヒンジ42を中心として回転変位し、又、内側ヒンジ44のねじり変形により第1の可動ミラー43が内側ヒンジ44を中心として回転変位する。
【0037】
又、ジンバルリング41表面の外側ヒンジ42を挟む左右面に、電極45a,45b(ハッチングで示す部位)が配設されており、又、第1の可動ミラー43の背面の内側ヒンジ44を挟む上下面に電極46a,46b(ハッチングで示す部位)が配設されている。この各電極45a,45b及び46a,46bは、配線47(図2参照)を介してスキャン制御装置6に接続されており、このスキャン制御装置6にて、各電極45a,45b及び46a,46bに対して印加する電圧を制御することで、図示しない対向電極との間の静電吸引力を駆動力として、ジンバルリング41と第1の可動ミラー43とを変位させ、第1の可動ミラー43から反射される赤外光を光軸(Z軸方向)に直行する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ偏向させる。
【0038】
次に、このような構成による本実施の形態の作用について説明する。
可視光を光源とする通常観察では、光源装置3から出射される可視光が、第1のコネクタ16aを介してコネクタ部16内に入り、このコネクタ部16内で光学的に接続されている照明用ライトガイドバンドル38の入射端に入射される。この照明用ライトガイドバンドル38の出射端側は、内視鏡1内に挿通されており、可視光は、この照明用ライトガイドバンドル38を通して内視鏡先端部18の先端面に開口されている照明窓21へ導かれ、この照明窓21から被写体に照射される。
【0039】
そして、被写体から反射した可視光は、内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23に設けられている波長分離素子39に入射し、波長分離面39aを透過し、通常観察光学系36のレンズ群36aを通り、固体撮像素子36bの撮像面に被写体像が結像される。
【0040】
この撮像面に結像された被写体像は電気信号に変換されて、ビデオプロセッサ2に伝送される。ビデオプロセッサ2では、電気信号を、内蔵するプロセス回路(図示せず)で映像信号に変換し、通常観察モニタ5へ出力し、この通常観察モニタ5に被写体像を表示する。
【0041】
そして、この通常観察において、病変部等の関心部位を発見したときは、共焦点観察を開始する。
【0042】
共焦点観察では、先ず、スキャン制御装置6からスキャンミラー40に設けられている各電極45a,45b及び46a,46bに対し、第1の可動ミラー43の反射面から反射される赤外光を光軸(Z軸方向)に直行する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ偏向させるための制御電圧を印加し、第1の可動ミラー43の駆動を開始する。
【0043】
次いで、光学ユニット7に設けられている共焦点観察用LD26を起動する。すると、この共焦点観察用LD26からの赤外光が第2の光ファイバ29を通して内視鏡先端部18に配設されている第2の光ファイバ29の端部から出射される。
【0044】
そして、この第2の光ファイバ29の端部から出射された赤外光が、この端部に対設されている共焦点光学系37の第3の凸レンズ37e、第2の固定ミラー37d、スキャンミラー40に設けられている第1の可動ミラー43(図3参照)、第2の凸レンズ37c、第1の固定ミラー37b、第1の凸レンズ37aを経て、波長分離素子39に入射され、この波長分離素子39の波長分離面39aで反射され、光路が90°屈曲されて、内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23から被写体に照射される。
【0045】
このとき、スキャンミラー40に設けられている第1の可動ミラー43の変位により、赤外光が2次元方向(X軸、Y軸方向)へ偏向しているため赤外光は被写体上を2次元に走査し、この被写体で反射、散乱した赤外光が、内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23から波長分離素子39に入射すると、この波長分離素子39の波長分離面39aで反射し、共焦点光学系37を構成する第1の凸レンズ37aに入射する。そして、この第1の凸レンズ37aから、往路とは逆の光路を経て第2の光ファイバ29に入射する。
【0046】
そして、第2の光ファイバ29に入射された赤外光は、この第2の光ファイバ29を通り、光学ユニット7に設けられているPMTユニット27に入射し、電気信号に変換される。このPMTユニット27で光電変換された電気信号は、PMTユニット27の出力端にコネクタ7bを介して接続されている信号線8aを経てフィルタ装置8へ伝送される。更に、このフィルタ装置8を通過した電気信号は画像化装置9に入力されて画像化された後、共焦点画像モニタ10に出力され、この共焦点画像モニタ10に被写体の共焦点画像が表示される。
【0047】
このように、本実施の形態では、内視鏡先端部18の先端面に開口した観察窓23、すなわち、内視鏡1の被写体側に最も近い位置に、波長分離素子39を配設し、この波長分離素子39に設けられている波長分離面39aで、可視光と赤外光とを、通常観察光学系36と共焦点光学系37とに分離させるようにしたので、通常観察光学系36の実質的に最も被写体側に位置するレンズを、凹レンズとすることができ、内視鏡による通常観察では広角観察が可能となる。
【0048】
一方、共焦点光学系37の実質的に最も被写体側に位置するレンズを凸レンズとすることができるため、高い開口数(NA)による共焦点観察が可能となる。
【0049】
(第2実施の形態)
図4に本発明の第2実施の形態による内視鏡先端部の断面図を示す。
本実施の形態では、波長分離素子39の共焦点光学系37に対向する面を、上述した第1実施の形態に設けられている共焦点光学系37の第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する凸面状のレンズ面39cとしたものである。
【0050】
共焦点光学系37に第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する凸面状のレンズ面39cを一体形成することで、第1実施の形態で示した第1の凸レンズ37aを廃止することができ、その分、共焦点光学系37の部品点数を削減することができ、省スペース化を実現することができる。それ以外の作用効果は、第1実施の形態と同等であるため説明を省略する。
【0051】
(第3実施の形態)
図5に本発明の第3実施の形態による内視鏡先端部の断面図を示す。
本実施の形態では、波長分離素子39の共焦点光学系37に対向する面を、上述した第1実施の形態に設けられている共焦点光学系37の第1の凸レンズ37a及び第1の固定ミラー37bと同等の機能を有する凹面鏡39dとしたものである。
【0052】
共焦点光学系37に第1の凸レンズ37a及び第1の固定ミラー37bと同等の機能を有する凹面鏡39dを一体形成することで、第2実施の形態に比し、より一層省スペース化を実現することができる。それ以外の作用効果は、第1実施の形態と同等であるため説明を省略する。
【0053】
(第4実施の形態)
図6に本発明の第4実施の形態による内視鏡先端部の断面図を示す。
本実施の形態では、波長分離素子39の共焦点光学系37に対向する面に、上述した第1実施の形態に設けられている共焦点光学系37の第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する回折型光学素子面39eを一体形成したものである。
【0054】
共焦点光学系37に第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する回折型光学素子面39eを一体形成したので、第1実施の形態で示した第1の凸レンズ37aを廃止することができ、その分、共焦点光学系37の部品点数を削減することができ、省スペース化を実現することができる。
【0055】
更に、回折型光学素子面39eの回折パターンは複雑な曲面を加工する必要がないので、平面上に設置した型を用いて形成することができるため製作が容易で、製品コストの低減を図ることができる。尚、それ以外の作用効果は、第1実施の形態と同等であるため説明を省略する。
【0056】
(第5実施の形態)
図7、図8に本発明の第5実施の形態を示す。ここで、図7は内視鏡先端部の断面図、図8は圧電アクチュエータの斜視図である。
上述した各実施の形態で採用されている波長分離素子39に設けられている波長分離面39aは、可視光領域を透過し、赤外光領域を反射する特性を有しているが、本実施の形態で採用する波長分離素子39’の波長分離面39’aは、可視光領域を反射し、赤外光領域を透過する特性を有している。
【0057】
従って、この波長分離素子39’に設けられている波長分離面39’aの透過方向の光路に共焦点光学系37’が配設され、一方、波長分離面39’aの反射方向の光路に通常観察光学系36が配設されている。
【0058】
詳細には、波長分離素子39’の被写体側及び被写体側と反対の面、すなわち透過方向が平面状に形成され、又、被写体側と直角の面である波長分離面39’aの反射方向に凹面状のレンズ面39bが形成されている。
【0059】
通常観察光学系36は、波長分離素子39’からの光軸に対して45°の傾斜角度で対設する第3の固定ミラー36cを有し、この第3の固定ミラー36cの反射方向にレンズ群36a、固体撮像素子36bが配設されている。
【0060】
一方、波長分離素子39’の透過方向に配設されている共焦点光学系37’は、波長分離素子39’の後端面に近接して配設する第1の凸レンズ37’aを有し、この第1の凸レンズ37’aに、第2の光ファイバ29の端面が対設されている。尚、第2の光ファイバ29は第1実施の形態と同様、コネクタ部16に設けられている第3のコネクタ16cに光学的に接続されている(図1参照)。この第1の凸レンズ37’aと第2の光ファイバ29の端部とが鏡枠51に固設されており、この鏡枠51が平板状圧電アクチュエータユニット52に連設されている。
【0061】
この平板状圧電アクチュエータユニット52は、鏡枠51の先端側を光軸(Z軸方向)に直交する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ変位させて、第2の光ファイバ29から出射される赤外光を被写体上に2次元に走査させるようにしたもので、図8に示すように、鏡枠51を垂直方向(Y軸方向)へ変位させる第1の平板状圧電アクチュエータ52aと、鏡枠51を水平方向(X軸方向)へ変位させる第2の平板状圧電アクチュエータ52bとを有している。
【0062】
この第2の平板状圧電アクチュエータ52bの後端部は、内視鏡先端部18に固設されているベース53に固定されており、先端部が接続部材54の先端側に固定されている。この接続部材54は略Z字状に形成されており、この接続部材54の後端側に、第1の平板状圧電アクチュエータ52aの後端が固設されている。更に、この第1の平板状圧電アクチュエータ52aの先端側に鏡枠51が固定されている。
【0063】
各平板状圧電アクチュエータ52a,52bは、例えば圧電板の厚み方向に分極処理が施された平板状の圧電素子を薄い金属板に張り合わせて構成された片持ち梁であり、圧電板の分極の向きと同じ向きに電圧を印加すると、圧電板の厚みが厚くなるように、且つ、圧電板の長手方向の長さが短くなるような変位が生じる。このとき、平板状圧電素子は金属板に貼り合わされているために、圧電素子側の円弧の内側となるような屈曲変位が生じる。一方、圧電板の分極方向とは逆の方向に電圧を印加すると、圧電板の厚みが薄くなるように、且つ、圧電板の長手方向の長さが伸長するような変位が生じ、このとき、圧電素子側が円弧の外側となるような屈曲変位が生じる。
【0064】
この圧電素子の変位により各平板状圧電アクチュエータ52a,52bの自由端側に固設されている接続部材54、及び鏡枠51が同方向へ変位し、鏡枠51の先端側を光軸(Z軸方向)に直交する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ変位させて、第2の光ファイバ29から出射される赤外光を被写体上で2次元に走査させる。
【0065】
各平板状圧電アクチュエータ52a,52bの自由端側の変位量はスキャン制御装置6(図1参照)から出力される制御電圧を圧電素子に印加することで制御される。尚、本実施の形態では、一方を主走査、他方を副走査とするラスタスキャンが行なわれる。
【0066】
このような構成では、可視光を光源とする通常観察において、光源装置3(図1参照)から発せられる可視光は、照明用ライトガイドバンドル38を経て内視鏡先端部18の先端面に開口されている照明窓21から照射され、通常観察光学系36の視野を照明する。
【0067】
照明された可視光は被写体で反射、散乱され、波長分離素子39に入射し、この波長分離素子39に設けられている波長分離面39aで反射して90°屈曲され、第3の固定ミラー36c、レンズ群36a等で構成された通常観察光学系36を通り、固体撮像素子36bの撮像面に被写体像が結像される。
【0068】
そして、固体撮像素子36bの撮像面に結像された被写体像は電気信号に変換されて、ビデオプロセッサ2(図1参照)へ伝送される。ビデオプロセッサ2では、電気信号を、内蔵するプロセス回路(図示せず)で映像信号に変換し、通常観察モニタ5へ出力し、この通常観察モニタ5に被写体像を表示する。
【0069】
この通常観察において、病変部等の関心部位を発見したときは、共焦点観察を開始する。この共焦点観察では、先ず、スキャン制御装置6から平板状圧電アクチュエータユニット52に設けられている第1、第2の平板状圧電アクチュエータ52a,52bに対し制御電圧を印加して、各平板状圧電アクチュエータ52a,52bの駆動を開始する。
【0070】
次いで、光学ユニット7に設けられている共焦点観察用LD26(図1参照)を起動する。すると、この共焦点観察用LD26からの赤外光が第2の光ファイバ29を通して、内視鏡先端部18に配設されている第2の光ファイバ29の端部から、第1の凸レンズ37’a、波長分離素子39’を経て被写体に照射される。
【0071】
このとき、鏡枠51が平板状圧電アクチュエータユニット52の駆動により2次元にラスタスキャンしているため、赤外光は被写体上で2次元にラスタ走査される。
【0072】
そして、被写体上で反射、散乱した赤外光は、再び波長分離素子39’に入射され、波長分離面39aを透過して第1の凸レンズ37’aを通り、第2の光ファイバ29に入射する。第2の光ファイバ29に入射された赤外光は、この第2の光ファイバ29を通り、光学ユニット7に設けられているPMTユニット27に入射し、電気信号に変換される。このPMTユニット27で光電変換された電気信号は、PMTユニット27の出力端にコネクタ7bを介して接続されている信号線8aを経てフィルタ装置8へ伝送される。
【0073】
更に、このフィルタ装置8を通過した電気信号は画像化装置9に入力されて画像化された後、共焦点画像モニタ10に出力され、この共焦点画像モニタ10に被写体の共焦点画像が表示される。
【0074】
このように、本実施の形態では、第2の光ファイバ29を保持する鏡枠51を平板状圧電アクチュエータユニット52の駆動により2次元にスキャンするようにしたので、上述した各実施例のようにスキャンミラー40を用いてスキャンする場合に比し、光路の屈曲回数が少なくなり、その分、構成の簡素化が実現できる。
【0075】
(第6実施の形態)
図9、図10に本発明の第6実施の形態を示す。ここで、図9は内視鏡装置の構成図、図10は内視鏡先端部の断面図である。
【0076】
上述した第1実施の形態では通常観察時の光源を、単なる可視光としているが、本実施の形態では、可視光レーザを光源とし、この可視光レーザを用いて通常観察を行なうものである。
【0077】
従って、図9に示すように、内視鏡装置には、上述した第1実施の形態で採用する可視光を光源とする通常観察システムに代えて、可視光レーザを光源とする通常観察システムが組み込まれている。尚、赤外光を光源とする共焦点観察システムの構成については、上述した第1実施の形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
先ず、内視鏡先端部18の内部構成について説明する。図10に示すように、内視鏡先端部18の先端面には、照明観察窓101と観察窓23等が開口されており、照明観察窓101に波長分離素子39が取付けられている。この波長分離素子39の波長分離面39aは、上述したように可視光領域を透過し、赤外光領域を反射する特性を有しているため、この波長分離面39aの反射方向の光路上に、共焦点光学系37が第1実施の形態と同様に配設されている。
【0079】
一方、波長分離面39aの透過方向の光路上には、照明用スキャン光学系102が配設されている。この照明用スキャン光学系102は、波長分離素子39の後端面に配設する照明用スキャンミラー103と、この照明用スキャンミラー103の反射方向に対設する第4の固定ミラー102aと、この第4の固定ミラー102aの反射方向に対設する第4の凸レンズ102bとを備え、この第4の凸レンズ102bに対して可視光レーザを照射する照明手段としての照明用光ファイバ104の出射端面が対設されている。
【0080】
尚、照明用スキャンミラー103は、上述した第1実施の形態のスキャンミラー40(図3参照)と同一の構成を有しており、後述するスキャン制御装置112から配線105を介して通電される制御電圧により、図10に破線で示す第2の可動ミラー103aを変位させて、この第2の可動ミラー103aで反射される可視光レーザを、光軸(Z軸方向)に対して2次元方向(X軸、Y軸方向へスキャンさせる。この場合、第2の可動ミラー103aは、図3に示す第1の可動ミラー43に対応する。
【0081】
又、観察窓23には、可視光レーザにより照明された被写体からの散乱光又は反射光を受光し、伝達するライトガイド106の入射端面が配設されている。このライトガイド106は内視鏡1内を通り、図9に示すように、コネクタ部16に入り、コネクタ部16内で第5のコネクタ16eに光学的に接続されている。
【0082】
コネクタ部16内において、第1のコネクタ16aは照明用光ファイバ104に光学的に接続されており、第2のコネクタ16bはスキャン制御装置112から延出する配線105に電気的に接続されている。尚、第3のコネクタ16c、及び第4のコネクタ16dには、第1実施の形態と同様、第2の光ファイバ29、スキャンミラー40から延出する配線47が接続されている。
【0083】
又、図9に示すように、コネクタ部16の第3のコネクタ16c、及び第4のコネクタ16dには、第1実施の形態と同様、光学ユニット7及びスキャン制御装置6が接続されている。一方、第1のコネクタ16aには、可視光レーザを発生する可視光レーザ光源装置111が光学的に接続され、又、第2のコネクタ16bには、照明用スキャンミラー103を駆動するスキャン制御装置112が電気的に接続され、更に、第5のコネクタ16eには、ライトガイド106からの光を受光して電気信号に変換するPMTユニット113が接続されている。
【0084】
又、PMTユニット113に、このPMTユニット113からの信号を特定の周波数成分だけ通過させるフィルタ装置114が接続されており、フィルタ装置114が、このフィルタ装置114からの電気信号を画像化する画像化装置115に接続されている。更に、画像化装置115が、この画像化装置115からの映像信号を表示する通常観察モニタ116に接続されている。又、画像化装置115には、照明用スキャンミラー103を駆動する駆動波形の基準となるクロックパルスを発生させる外部クロック発生器117が接続されている。
【0085】
このような構成では、通常観察においては、可視光レーザ光源装置111から発せられる可視光レーザを、照明用光ファイバ104を通して、内視鏡先端部18に配設されている照明用スキャン光学系102から、波長分離素子39を透過して出射し、被写体をラスタスキャンにより照明する。
【0086】
被写体を照明した可視光レーザは、被写体で反射、散乱されて、ライトガイド106に入射する。ライトガイド106に入射した可視光レーザは、このライトガイド106を通り、PMTユニット113に入射されて、電気信号に変換される。
【0087】
このPMTユニット113で光電変換された電気信号は、フィルタ装置114を経て画像化装置115へ送られる。画像化装置115では、電気信号をプロセス回路(図示せず)で映像信号に変換し、通常観察モニタ116へ出力し、この通常観察モニタ116に被写体像を表示する。
【0088】
そして、この通常観察において、病変部等の関心部位を発見したときは、共焦点観察を開始する。尚、共焦点観察は、上述した第1実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0089】
このように、本実施の形態では、通常観察時の照明光を可視光レーザを導く照明用スキャン光学系102の光路と、共焦点観察用の赤外光を導く共焦点光学系37の光路とを、最も被写体に近い内視鏡先端部18の先端面に設けた波長分離素子39にて、光路を共通化したので、内視鏡先端部18の細径化を実現することができる。
【0090】
[付記]以上詳述したように、本発明によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
【0091】
(1)照明手段と照明された被写体を結像する通常観察光学系と高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、
上記通常観察光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする。
【0092】
(2)(1)において、
上記共焦点光学系は2次元に偏向するスキャンミラーによるスキャン光学系であることを特徴とする。
【0093】
(3)(1)において、
上記共焦点光学系はそれぞれが一方向に駆動される2つの圧電アクチュエータがお互いの変位の方向が直行するように配置されている構造を含むスキャン光学系であることを特徴とする。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通常観察光学系と共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設することで、両光学系の一部を共通化したので、内視鏡挿入部の太径化を抑制しつつ、1つの内視鏡で通常観察像と高い分解能を有する拡大観察像とを得ることが可能となり、使い勝手が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態による内視鏡装置の構成図
【図2】同、内視鏡先端部の断面図
【図3】同、スキャンミラーの正面図
【図4】第2実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図5】第3実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図6】第4実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図7】第5実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図8】同 、圧電アクチュエータの斜視図
【図9】第6実施の形態による内視鏡装置の構成図
【図10】同、内視鏡先端部の断面図
【符号の説明】
1 内視鏡
14 内視鏡挿入部
18 内視鏡先端部
36 通常観察光学系
37 共焦点光学系
38 照明用ライトガイドバンドル(照明手段)
39,39’ 波長分離素子
39b 凹面状のレンズ面
39c 凸面状のレンズ面
39d 凹面鏡
39e 回折型光学素子面
102 照明用スキャン光学系
104 照明用光ファイバ(照明手段)
106 ライトガイド
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の観察画像と高分解能の拡大観察画像とを得ることの可能な内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内視鏡は医療用分野及び工業用分野において広く採用されるようになってきている。又、内視鏡による通常観察の他に、病変部等の関心部位を詳細に診断するために、低干渉光を用いて光断層像を得るようにしたものがある。
【0003】
例えば、特許第3325056号(特開平6−154228号)公報には、1つの内視鏡で通常の内視鏡画像と低干渉光を用いた光断層像とを得ることのできる内視鏡が開示されている。
【0004】
この公報に開示されている内視鏡では、対物光学系を通常観察用と光断層像用とで共用しているため、内視鏡の挿入部先端を細径化することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特許第3325056号(特開平6−154228号)公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、内視鏡を用いて関心部位を観察しようとする場合、例えば医療においては、先ず、内視鏡を用いた通常観察の状態で、体腔内を広範囲に観察する。そして、疑わしいと思われる部分を発見したときは、その一部を光断層像で拡大して観察することで、その性状を詳細に調べるような手法が多く採用されている。
【0007】
この場合、通常観察は広角な観察を行なうため、第1レンズは凹レンズとする必要がある。一方、共焦点光学系は高解像度で観察するため、第1レンズは凸レンズとする必要がある。
【0008】
しかし、上述した公報に開示されている内視鏡では、対物光学系が共通に使用され、且つ開口数(NA)も同じ状態のままであるため、これらの特性を通常観察に適した状態に設定した場合は、光断層像の状態では分解能が不十分となる。逆に、特性を光断層像の状態での大きな開口数(NA)による高い分解能をえることができるように設定した場合は、通常観察において広い視野を確保することができず、観察範囲が狭くなってしまう不都合が生じる。
【0009】
これに対処するに、通常観察用と光断層像用とで別々の光学系を採用することも考えられるが、体腔内等に挿入される内視鏡のような場合には、先端部に内装する部品点数が多くなり、細径化が困難となってしまう不具合がある。
【0010】
更に、通常観察用と光断層像用とで別々の光学系を採用した場合には、通常観察において表示されている画像から疑わしい部分を発見したとき、この部分を光断層像により拡大観察しようとする場合、通常観察像から、光断層像により拡大観察しよとする位置を特定しようとすると、その位置が距離等の変化の影響で変化し易く、特定することが困難となる場合がある。
【0011】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、光学系の一部を共通化して、内視鏡挿入部の太径化を抑制しつつ、1つの内視鏡で通常観察像と高い分解能を有する拡大観察像とを得ることができるようにして、使い勝手の良い内視鏡を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため第1の発明は、照明手段と照明された被写体を結像する通常観察光学系と高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、上記通常観察光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする。
【0013】
第1の発明の好ましい態様としては、上記波長分離素子にレンズ面が一体形成されていることを特徴とする。
【0014】
この場合、上記レンズ面は、通常観察光学系側に形成された凹面状のレンズ面、或いは共焦点光学系側に形成された凸面状のレンズ面、又は、上記共焦点光学系側に形成された凹面鏡、若しくは、回折型光学素子であることを特徴とする。
【0015】
又、他の好ましい態様としては、上記照明手段はライトガイドバンドルであり、上記通常観察光学系は固体撮像素子上に2次元画像を結像する光学系であることを特徴とする。
【0016】
第2の発明は、照明用スキャン光学系と、該照明用スキャン光学系にて照明された被写体からの散乱光又は反射光を受光し伝達するライトガイドと、高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、上記照明用スキャン光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。
【0018】
(第1実施の形態)
図1〜図3は本発明の第1実施の形態に係り、図1は内視鏡装置の構成図、図2は内視鏡先端部の断面図、図3はスキャンミラーの正面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態で採用する内視鏡装置は、内視鏡1と、この内視鏡1に接続される通常観察システム及び共焦点観察システムとで構成されている。
【0020】
通常観察システムは、内視鏡1と、ビデオプロセッサ2と、可視光を発生する光源装置3と、ビデオプロセッサ2に接続されて被写体像を映す通常観察モニタ5とを備えている。
【0021】
又、共焦点観察システムは、後述する共焦点光学系37に設けられているスキャンミラー40を駆動するスキャン制御装置6と、高解像な共焦点光学系37に光を供給すると共に共焦点光学系37からの光学像を検出して電気信号に変換する光学ユニット7と、光学ユニット7からの信号を特定の周波数成分だけ通過させるフィルタ装置8と、フィルタ装置8からの電気信号を画像化する画像化装置9と、画像化装置9からの映像信号を表示する共焦点画像モニタ10と、スキャンミラー40を駆動する駆動波形の基準となるクロックパルスを発生させる外部クロック発生器11とを備えている。
【0022】
一方、内視鏡1は、挿入部14と、挿入部14の後端に連設されている操作部15と、コネクタ部16、操作部15とコネクタ部16とを接続する接続コード17とを備えている。
【0023】
内視鏡1の挿入部(以下「内視鏡挿入部」と称する)14は、先端側から先端部18と、湾曲自在な湾曲部19と、柔軟な可撓管部20とを備えている。更に、図2に示すように、内視鏡1の先端部(以下「内視鏡先端部」と称する)18の先端面には、通常観察用の可視光を投光する照明窓21、観察窓23等が開口されている。
【0024】
又、光学ユニット7は、4つの端部25a〜25dを有する4端子カプラ25と、赤外光を発生する光源としてのレーザダイオード(以下「LD」と略称)26、フォトマルチプライアチューブ(以下「PMT」と略称)ユニット27とを備えている。4端子カプラ25の第1の端部25aが第1の光ファイバ28にコネクタ7aを介して光学的に接続され、又、第2の端部25bがLD26に光学的に接続され、更に、第3の端部25cが光ファイバ終端25eにより終端され、又、第4の端部25dがPMTユニット27に光学的に接続されている。更に、このPMTユニット27がコネクタ7b、信号線8aを介してフィルタ装置8に電気的に接続されている。
【0025】
4端子カプラ25は、第2、第4の端部25b,25dから入った光がそれぞれ分岐されて第1、第3の端部25a,25cに伝達され、逆に、第1、第3の端部25a,25cから入った光がそれぞれ分岐されて、第2、第4の端部25b,25dに伝達される構成を有している。従って、共焦点観察用LD26で発生するレーザ光は、第2の端部25b、4端子カプラ25、第1の端部25aを経て内視鏡1のコネクタ部16側へ出力される。
【0026】
コネクタ部16は、観察用の可視光を導入する第1のコネクタ16a、後述する通常観察光学系36からの信号をビデオプロセッサ2へ伝送する第2のコネクタ16b、共焦点光学系37に対し、内視鏡挿入部14に内装されている第2の光ファイバ29(図2参照)を介して伝送する光を入力する第3のコネクタ16cと、共焦点光学系37のスキャンミラー40を制御する信号を送受する第4のコネクタ16dとを備えている。
【0027】
各コネクタ16a〜16dの接続関係について説明すると、第1のコネクタ16aが光源装置3のソケット3aに着脱自在に接続され、第2のコネクタ16bがビデオプロセッサ2のソケット2aにカールコード等を介して着脱自在に接続される。更に、第3のコネクタ16cがズーム・フォーカスコントローラ4にコードを介して着脱自在に接続され、第3のコネクタ16cが光学ユニット7に光学的に接続される。又、コネクタ部16の第4のコネクタ16dはスキャン制御装置6に着脱自在に接続される。
【0028】
共焦点観察用LD26で発生し、4端子カプラ25の第1の端部25aからコネクタ7a、第1の光ファイバ28を介して、内視鏡1のコネクタ部16に設けた第3のコネクタ16cに入力されたレーザ光は、接続コード17を介して接続されていると共に内視鏡1の操作部15から内視鏡先端部18側へ配設されている第2の光ファイバ29を経て、内視鏡先端部18に配設されている共焦点光学系37へ伝達される。
【0029】
尚、内視鏡1の操作部15には、湾曲部19を任意の方向へ湾曲動作させる湾曲操作ノブ32等の手元側操作手段が所定に配設されている。
【0030】
次に、内視鏡先端部18の内部構造について説明する。
図2に示すように、内視鏡先端部18には、通常観察光学系36、共焦点光学系37、照明手段としての照明用ライトガイドバンドル38、処置具チャンネル(図示せず)等が所定に配設されている。
【0031】
内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23には、波長分離素子39が配設されている。この波長分離素子39には、可視光領域を透過し、赤外光領域を反射する波長分離面39aが設けられており、この波長分離面39aの透過方向の光路上に通常観察光学系36が配設され、一方、反射方向の光路上に共焦点光学系37が配設されている。この波長分離素子39の被写体側は平面であり、又、通常観察光学系36に対向する面に凹面状のレンズ面39bが形成されている。
【0032】
通常観察光学系36は、光路上に配設した複数のレンズ群36aと、このレンズ群36aの結像位置に対設する固体撮像素子36bとを備えている。
【0033】
又、共焦点光学系37は、波長分離面39aの反射方向に対設する第1の凸レンズ37aと、この第1の凸レンズ37aに近接すると共に第1の凸レンズ37aの光軸に対して45°の傾斜角度で対設する第1の固定ミラー37bと、この第1の固定ミラー37bに近接して配設されている第2の凸レンズ37cと、この第2の凸レンズ37cに近接して配設されているスキャンミラー40と、このスキャンミラー40の面と平行に配設されている第2の固定ミラー37dと、こ第2の固定ミラー37dの反射方向に対設する第3の凸レンズ37eとを備え、この第3の凸レンズ37eが第2の光ファイバ29の端部に対設されている。
【0034】
このように、本実施の形態で採用する共焦点光学系37は、波長分離面39a、及び、各ミラー37b、40,37dにより、4回の反射によって光路が屈曲される。
【0035】
次に、図3を用いてスキャンミラー40の構成を説明する。スキャンミラー40の外枠40a内に、平板状に形成されたジンバルリング41が配設され、このジンバルリング41の、図においては上下の中央部分が外枠40aの内周に外側ヒンジ42を介して支持されている。又、このジンバルリング41の中央に開口部41aが穿設されており、この開口部41aに第1の可動ミラー43が配設されている。この第1の可動ミラー43の、図においては左右の中央部分がジンバルリング41の内周に内側ヒンジ44を介して支持されている。
【0036】
この両ヒンジ42,44はねじり変形自在であり、外側ヒンジ42のねじり変形によりジンバルリング41は外側ヒンジ42を中心として回転変位し、又、内側ヒンジ44のねじり変形により第1の可動ミラー43が内側ヒンジ44を中心として回転変位する。
【0037】
又、ジンバルリング41表面の外側ヒンジ42を挟む左右面に、電極45a,45b(ハッチングで示す部位)が配設されており、又、第1の可動ミラー43の背面の内側ヒンジ44を挟む上下面に電極46a,46b(ハッチングで示す部位)が配設されている。この各電極45a,45b及び46a,46bは、配線47(図2参照)を介してスキャン制御装置6に接続されており、このスキャン制御装置6にて、各電極45a,45b及び46a,46bに対して印加する電圧を制御することで、図示しない対向電極との間の静電吸引力を駆動力として、ジンバルリング41と第1の可動ミラー43とを変位させ、第1の可動ミラー43から反射される赤外光を光軸(Z軸方向)に直行する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ偏向させる。
【0038】
次に、このような構成による本実施の形態の作用について説明する。
可視光を光源とする通常観察では、光源装置3から出射される可視光が、第1のコネクタ16aを介してコネクタ部16内に入り、このコネクタ部16内で光学的に接続されている照明用ライトガイドバンドル38の入射端に入射される。この照明用ライトガイドバンドル38の出射端側は、内視鏡1内に挿通されており、可視光は、この照明用ライトガイドバンドル38を通して内視鏡先端部18の先端面に開口されている照明窓21へ導かれ、この照明窓21から被写体に照射される。
【0039】
そして、被写体から反射した可視光は、内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23に設けられている波長分離素子39に入射し、波長分離面39aを透過し、通常観察光学系36のレンズ群36aを通り、固体撮像素子36bの撮像面に被写体像が結像される。
【0040】
この撮像面に結像された被写体像は電気信号に変換されて、ビデオプロセッサ2に伝送される。ビデオプロセッサ2では、電気信号を、内蔵するプロセス回路(図示せず)で映像信号に変換し、通常観察モニタ5へ出力し、この通常観察モニタ5に被写体像を表示する。
【0041】
そして、この通常観察において、病変部等の関心部位を発見したときは、共焦点観察を開始する。
【0042】
共焦点観察では、先ず、スキャン制御装置6からスキャンミラー40に設けられている各電極45a,45b及び46a,46bに対し、第1の可動ミラー43の反射面から反射される赤外光を光軸(Z軸方向)に直行する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ偏向させるための制御電圧を印加し、第1の可動ミラー43の駆動を開始する。
【0043】
次いで、光学ユニット7に設けられている共焦点観察用LD26を起動する。すると、この共焦点観察用LD26からの赤外光が第2の光ファイバ29を通して内視鏡先端部18に配設されている第2の光ファイバ29の端部から出射される。
【0044】
そして、この第2の光ファイバ29の端部から出射された赤外光が、この端部に対設されている共焦点光学系37の第3の凸レンズ37e、第2の固定ミラー37d、スキャンミラー40に設けられている第1の可動ミラー43(図3参照)、第2の凸レンズ37c、第1の固定ミラー37b、第1の凸レンズ37aを経て、波長分離素子39に入射され、この波長分離素子39の波長分離面39aで反射され、光路が90°屈曲されて、内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23から被写体に照射される。
【0045】
このとき、スキャンミラー40に設けられている第1の可動ミラー43の変位により、赤外光が2次元方向(X軸、Y軸方向)へ偏向しているため赤外光は被写体上を2次元に走査し、この被写体で反射、散乱した赤外光が、内視鏡先端部18の先端面に開口されている観察窓23から波長分離素子39に入射すると、この波長分離素子39の波長分離面39aで反射し、共焦点光学系37を構成する第1の凸レンズ37aに入射する。そして、この第1の凸レンズ37aから、往路とは逆の光路を経て第2の光ファイバ29に入射する。
【0046】
そして、第2の光ファイバ29に入射された赤外光は、この第2の光ファイバ29を通り、光学ユニット7に設けられているPMTユニット27に入射し、電気信号に変換される。このPMTユニット27で光電変換された電気信号は、PMTユニット27の出力端にコネクタ7bを介して接続されている信号線8aを経てフィルタ装置8へ伝送される。更に、このフィルタ装置8を通過した電気信号は画像化装置9に入力されて画像化された後、共焦点画像モニタ10に出力され、この共焦点画像モニタ10に被写体の共焦点画像が表示される。
【0047】
このように、本実施の形態では、内視鏡先端部18の先端面に開口した観察窓23、すなわち、内視鏡1の被写体側に最も近い位置に、波長分離素子39を配設し、この波長分離素子39に設けられている波長分離面39aで、可視光と赤外光とを、通常観察光学系36と共焦点光学系37とに分離させるようにしたので、通常観察光学系36の実質的に最も被写体側に位置するレンズを、凹レンズとすることができ、内視鏡による通常観察では広角観察が可能となる。
【0048】
一方、共焦点光学系37の実質的に最も被写体側に位置するレンズを凸レンズとすることができるため、高い開口数(NA)による共焦点観察が可能となる。
【0049】
(第2実施の形態)
図4に本発明の第2実施の形態による内視鏡先端部の断面図を示す。
本実施の形態では、波長分離素子39の共焦点光学系37に対向する面を、上述した第1実施の形態に設けられている共焦点光学系37の第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する凸面状のレンズ面39cとしたものである。
【0050】
共焦点光学系37に第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する凸面状のレンズ面39cを一体形成することで、第1実施の形態で示した第1の凸レンズ37aを廃止することができ、その分、共焦点光学系37の部品点数を削減することができ、省スペース化を実現することができる。それ以外の作用効果は、第1実施の形態と同等であるため説明を省略する。
【0051】
(第3実施の形態)
図5に本発明の第3実施の形態による内視鏡先端部の断面図を示す。
本実施の形態では、波長分離素子39の共焦点光学系37に対向する面を、上述した第1実施の形態に設けられている共焦点光学系37の第1の凸レンズ37a及び第1の固定ミラー37bと同等の機能を有する凹面鏡39dとしたものである。
【0052】
共焦点光学系37に第1の凸レンズ37a及び第1の固定ミラー37bと同等の機能を有する凹面鏡39dを一体形成することで、第2実施の形態に比し、より一層省スペース化を実現することができる。それ以外の作用効果は、第1実施の形態と同等であるため説明を省略する。
【0053】
(第4実施の形態)
図6に本発明の第4実施の形態による内視鏡先端部の断面図を示す。
本実施の形態では、波長分離素子39の共焦点光学系37に対向する面に、上述した第1実施の形態に設けられている共焦点光学系37の第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する回折型光学素子面39eを一体形成したものである。
【0054】
共焦点光学系37に第1の凸レンズ37aと同等の機能を有する回折型光学素子面39eを一体形成したので、第1実施の形態で示した第1の凸レンズ37aを廃止することができ、その分、共焦点光学系37の部品点数を削減することができ、省スペース化を実現することができる。
【0055】
更に、回折型光学素子面39eの回折パターンは複雑な曲面を加工する必要がないので、平面上に設置した型を用いて形成することができるため製作が容易で、製品コストの低減を図ることができる。尚、それ以外の作用効果は、第1実施の形態と同等であるため説明を省略する。
【0056】
(第5実施の形態)
図7、図8に本発明の第5実施の形態を示す。ここで、図7は内視鏡先端部の断面図、図8は圧電アクチュエータの斜視図である。
上述した各実施の形態で採用されている波長分離素子39に設けられている波長分離面39aは、可視光領域を透過し、赤外光領域を反射する特性を有しているが、本実施の形態で採用する波長分離素子39’の波長分離面39’aは、可視光領域を反射し、赤外光領域を透過する特性を有している。
【0057】
従って、この波長分離素子39’に設けられている波長分離面39’aの透過方向の光路に共焦点光学系37’が配設され、一方、波長分離面39’aの反射方向の光路に通常観察光学系36が配設されている。
【0058】
詳細には、波長分離素子39’の被写体側及び被写体側と反対の面、すなわち透過方向が平面状に形成され、又、被写体側と直角の面である波長分離面39’aの反射方向に凹面状のレンズ面39bが形成されている。
【0059】
通常観察光学系36は、波長分離素子39’からの光軸に対して45°の傾斜角度で対設する第3の固定ミラー36cを有し、この第3の固定ミラー36cの反射方向にレンズ群36a、固体撮像素子36bが配設されている。
【0060】
一方、波長分離素子39’の透過方向に配設されている共焦点光学系37’は、波長分離素子39’の後端面に近接して配設する第1の凸レンズ37’aを有し、この第1の凸レンズ37’aに、第2の光ファイバ29の端面が対設されている。尚、第2の光ファイバ29は第1実施の形態と同様、コネクタ部16に設けられている第3のコネクタ16cに光学的に接続されている(図1参照)。この第1の凸レンズ37’aと第2の光ファイバ29の端部とが鏡枠51に固設されており、この鏡枠51が平板状圧電アクチュエータユニット52に連設されている。
【0061】
この平板状圧電アクチュエータユニット52は、鏡枠51の先端側を光軸(Z軸方向)に直交する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ変位させて、第2の光ファイバ29から出射される赤外光を被写体上に2次元に走査させるようにしたもので、図8に示すように、鏡枠51を垂直方向(Y軸方向)へ変位させる第1の平板状圧電アクチュエータ52aと、鏡枠51を水平方向(X軸方向)へ変位させる第2の平板状圧電アクチュエータ52bとを有している。
【0062】
この第2の平板状圧電アクチュエータ52bの後端部は、内視鏡先端部18に固設されているベース53に固定されており、先端部が接続部材54の先端側に固定されている。この接続部材54は略Z字状に形成されており、この接続部材54の後端側に、第1の平板状圧電アクチュエータ52aの後端が固設されている。更に、この第1の平板状圧電アクチュエータ52aの先端側に鏡枠51が固定されている。
【0063】
各平板状圧電アクチュエータ52a,52bは、例えば圧電板の厚み方向に分極処理が施された平板状の圧電素子を薄い金属板に張り合わせて構成された片持ち梁であり、圧電板の分極の向きと同じ向きに電圧を印加すると、圧電板の厚みが厚くなるように、且つ、圧電板の長手方向の長さが短くなるような変位が生じる。このとき、平板状圧電素子は金属板に貼り合わされているために、圧電素子側の円弧の内側となるような屈曲変位が生じる。一方、圧電板の分極方向とは逆の方向に電圧を印加すると、圧電板の厚みが薄くなるように、且つ、圧電板の長手方向の長さが伸長するような変位が生じ、このとき、圧電素子側が円弧の外側となるような屈曲変位が生じる。
【0064】
この圧電素子の変位により各平板状圧電アクチュエータ52a,52bの自由端側に固設されている接続部材54、及び鏡枠51が同方向へ変位し、鏡枠51の先端側を光軸(Z軸方向)に直交する2次元方向(X軸、Y軸方向)へ変位させて、第2の光ファイバ29から出射される赤外光を被写体上で2次元に走査させる。
【0065】
各平板状圧電アクチュエータ52a,52bの自由端側の変位量はスキャン制御装置6(図1参照)から出力される制御電圧を圧電素子に印加することで制御される。尚、本実施の形態では、一方を主走査、他方を副走査とするラスタスキャンが行なわれる。
【0066】
このような構成では、可視光を光源とする通常観察において、光源装置3(図1参照)から発せられる可視光は、照明用ライトガイドバンドル38を経て内視鏡先端部18の先端面に開口されている照明窓21から照射され、通常観察光学系36の視野を照明する。
【0067】
照明された可視光は被写体で反射、散乱され、波長分離素子39に入射し、この波長分離素子39に設けられている波長分離面39aで反射して90°屈曲され、第3の固定ミラー36c、レンズ群36a等で構成された通常観察光学系36を通り、固体撮像素子36bの撮像面に被写体像が結像される。
【0068】
そして、固体撮像素子36bの撮像面に結像された被写体像は電気信号に変換されて、ビデオプロセッサ2(図1参照)へ伝送される。ビデオプロセッサ2では、電気信号を、内蔵するプロセス回路(図示せず)で映像信号に変換し、通常観察モニタ5へ出力し、この通常観察モニタ5に被写体像を表示する。
【0069】
この通常観察において、病変部等の関心部位を発見したときは、共焦点観察を開始する。この共焦点観察では、先ず、スキャン制御装置6から平板状圧電アクチュエータユニット52に設けられている第1、第2の平板状圧電アクチュエータ52a,52bに対し制御電圧を印加して、各平板状圧電アクチュエータ52a,52bの駆動を開始する。
【0070】
次いで、光学ユニット7に設けられている共焦点観察用LD26(図1参照)を起動する。すると、この共焦点観察用LD26からの赤外光が第2の光ファイバ29を通して、内視鏡先端部18に配設されている第2の光ファイバ29の端部から、第1の凸レンズ37’a、波長分離素子39’を経て被写体に照射される。
【0071】
このとき、鏡枠51が平板状圧電アクチュエータユニット52の駆動により2次元にラスタスキャンしているため、赤外光は被写体上で2次元にラスタ走査される。
【0072】
そして、被写体上で反射、散乱した赤外光は、再び波長分離素子39’に入射され、波長分離面39aを透過して第1の凸レンズ37’aを通り、第2の光ファイバ29に入射する。第2の光ファイバ29に入射された赤外光は、この第2の光ファイバ29を通り、光学ユニット7に設けられているPMTユニット27に入射し、電気信号に変換される。このPMTユニット27で光電変換された電気信号は、PMTユニット27の出力端にコネクタ7bを介して接続されている信号線8aを経てフィルタ装置8へ伝送される。
【0073】
更に、このフィルタ装置8を通過した電気信号は画像化装置9に入力されて画像化された後、共焦点画像モニタ10に出力され、この共焦点画像モニタ10に被写体の共焦点画像が表示される。
【0074】
このように、本実施の形態では、第2の光ファイバ29を保持する鏡枠51を平板状圧電アクチュエータユニット52の駆動により2次元にスキャンするようにしたので、上述した各実施例のようにスキャンミラー40を用いてスキャンする場合に比し、光路の屈曲回数が少なくなり、その分、構成の簡素化が実現できる。
【0075】
(第6実施の形態)
図9、図10に本発明の第6実施の形態を示す。ここで、図9は内視鏡装置の構成図、図10は内視鏡先端部の断面図である。
【0076】
上述した第1実施の形態では通常観察時の光源を、単なる可視光としているが、本実施の形態では、可視光レーザを光源とし、この可視光レーザを用いて通常観察を行なうものである。
【0077】
従って、図9に示すように、内視鏡装置には、上述した第1実施の形態で採用する可視光を光源とする通常観察システムに代えて、可視光レーザを光源とする通常観察システムが組み込まれている。尚、赤外光を光源とする共焦点観察システムの構成については、上述した第1実施の形態と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
先ず、内視鏡先端部18の内部構成について説明する。図10に示すように、内視鏡先端部18の先端面には、照明観察窓101と観察窓23等が開口されており、照明観察窓101に波長分離素子39が取付けられている。この波長分離素子39の波長分離面39aは、上述したように可視光領域を透過し、赤外光領域を反射する特性を有しているため、この波長分離面39aの反射方向の光路上に、共焦点光学系37が第1実施の形態と同様に配設されている。
【0079】
一方、波長分離面39aの透過方向の光路上には、照明用スキャン光学系102が配設されている。この照明用スキャン光学系102は、波長分離素子39の後端面に配設する照明用スキャンミラー103と、この照明用スキャンミラー103の反射方向に対設する第4の固定ミラー102aと、この第4の固定ミラー102aの反射方向に対設する第4の凸レンズ102bとを備え、この第4の凸レンズ102bに対して可視光レーザを照射する照明手段としての照明用光ファイバ104の出射端面が対設されている。
【0080】
尚、照明用スキャンミラー103は、上述した第1実施の形態のスキャンミラー40(図3参照)と同一の構成を有しており、後述するスキャン制御装置112から配線105を介して通電される制御電圧により、図10に破線で示す第2の可動ミラー103aを変位させて、この第2の可動ミラー103aで反射される可視光レーザを、光軸(Z軸方向)に対して2次元方向(X軸、Y軸方向へスキャンさせる。この場合、第2の可動ミラー103aは、図3に示す第1の可動ミラー43に対応する。
【0081】
又、観察窓23には、可視光レーザにより照明された被写体からの散乱光又は反射光を受光し、伝達するライトガイド106の入射端面が配設されている。このライトガイド106は内視鏡1内を通り、図9に示すように、コネクタ部16に入り、コネクタ部16内で第5のコネクタ16eに光学的に接続されている。
【0082】
コネクタ部16内において、第1のコネクタ16aは照明用光ファイバ104に光学的に接続されており、第2のコネクタ16bはスキャン制御装置112から延出する配線105に電気的に接続されている。尚、第3のコネクタ16c、及び第4のコネクタ16dには、第1実施の形態と同様、第2の光ファイバ29、スキャンミラー40から延出する配線47が接続されている。
【0083】
又、図9に示すように、コネクタ部16の第3のコネクタ16c、及び第4のコネクタ16dには、第1実施の形態と同様、光学ユニット7及びスキャン制御装置6が接続されている。一方、第1のコネクタ16aには、可視光レーザを発生する可視光レーザ光源装置111が光学的に接続され、又、第2のコネクタ16bには、照明用スキャンミラー103を駆動するスキャン制御装置112が電気的に接続され、更に、第5のコネクタ16eには、ライトガイド106からの光を受光して電気信号に変換するPMTユニット113が接続されている。
【0084】
又、PMTユニット113に、このPMTユニット113からの信号を特定の周波数成分だけ通過させるフィルタ装置114が接続されており、フィルタ装置114が、このフィルタ装置114からの電気信号を画像化する画像化装置115に接続されている。更に、画像化装置115が、この画像化装置115からの映像信号を表示する通常観察モニタ116に接続されている。又、画像化装置115には、照明用スキャンミラー103を駆動する駆動波形の基準となるクロックパルスを発生させる外部クロック発生器117が接続されている。
【0085】
このような構成では、通常観察においては、可視光レーザ光源装置111から発せられる可視光レーザを、照明用光ファイバ104を通して、内視鏡先端部18に配設されている照明用スキャン光学系102から、波長分離素子39を透過して出射し、被写体をラスタスキャンにより照明する。
【0086】
被写体を照明した可視光レーザは、被写体で反射、散乱されて、ライトガイド106に入射する。ライトガイド106に入射した可視光レーザは、このライトガイド106を通り、PMTユニット113に入射されて、電気信号に変換される。
【0087】
このPMTユニット113で光電変換された電気信号は、フィルタ装置114を経て画像化装置115へ送られる。画像化装置115では、電気信号をプロセス回路(図示せず)で映像信号に変換し、通常観察モニタ116へ出力し、この通常観察モニタ116に被写体像を表示する。
【0088】
そして、この通常観察において、病変部等の関心部位を発見したときは、共焦点観察を開始する。尚、共焦点観察は、上述した第1実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0089】
このように、本実施の形態では、通常観察時の照明光を可視光レーザを導く照明用スキャン光学系102の光路と、共焦点観察用の赤外光を導く共焦点光学系37の光路とを、最も被写体に近い内視鏡先端部18の先端面に設けた波長分離素子39にて、光路を共通化したので、内視鏡先端部18の細径化を実現することができる。
【0090】
[付記]以上詳述したように、本発明によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
【0091】
(1)照明手段と照明された被写体を結像する通常観察光学系と高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、
上記通常観察光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする。
【0092】
(2)(1)において、
上記共焦点光学系は2次元に偏向するスキャンミラーによるスキャン光学系であることを特徴とする。
【0093】
(3)(1)において、
上記共焦点光学系はそれぞれが一方向に駆動される2つの圧電アクチュエータがお互いの変位の方向が直行するように配置されている構造を含むスキャン光学系であることを特徴とする。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通常観察光学系と共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設することで、両光学系の一部を共通化したので、内視鏡挿入部の太径化を抑制しつつ、1つの内視鏡で通常観察像と高い分解能を有する拡大観察像とを得ることが可能となり、使い勝手が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態による内視鏡装置の構成図
【図2】同、内視鏡先端部の断面図
【図3】同、スキャンミラーの正面図
【図4】第2実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図5】第3実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図6】第4実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図7】第5実施の形態による内視鏡先端部の断面図
【図8】同 、圧電アクチュエータの斜視図
【図9】第6実施の形態による内視鏡装置の構成図
【図10】同、内視鏡先端部の断面図
【符号の説明】
1 内視鏡
14 内視鏡挿入部
18 内視鏡先端部
36 通常観察光学系
37 共焦点光学系
38 照明用ライトガイドバンドル(照明手段)
39,39’ 波長分離素子
39b 凹面状のレンズ面
39c 凸面状のレンズ面
39d 凹面鏡
39e 回折型光学素子面
102 照明用スキャン光学系
104 照明用光ファイバ(照明手段)
106 ライトガイド
Claims (8)
- 照明手段と照明された被写体を結像する通常観察光学系と高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、
上記通常観察光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする内視鏡。 - 上記波長分離素子にレンズ面が一体形成されていることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
- 上記レンズ面は通常観察光学系側に形成された凹面状のレンズ面であることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
- 上記レンズ面は共焦点光学系側に形成された凸面状のレンズ面であることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
- 上記レンズ面は共焦点光学系側に形成された凹面鏡であることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
- 上記レンズ面は回折型光学素子で構成されていることを特徴とする請求項2記載の内視鏡。
- 上記照明手段はライトガイドバンドルであり、上記通常観察光学系は固体撮像素子上に2次元画像を結像する光学系であることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
- 照明用スキャン光学系と、該照明用スキャン光学系にて照明された被写体からの散乱光又は反射光を受光し伝達するライトガイドと、高解像な共焦点光学系とを挿入部先端に内蔵する内視鏡において、
上記照明用スキャン光学系と上記共焦点光学系との最も被写体側に共通の波長分離素子を配設したことを特徴とする内視鏡。
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2002
- 2002-11-13 JP JP2002329869A patent/JP2004159925A/ja not_active Withdrawn
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