JP2004159640A5 - 悪性腫瘍の予測、診断、予後判定、予防および治療のための方法および組成物 - Google Patents

悪性腫瘍の予測、診断、予後判定、予防および治療のための方法および組成物 Download PDF

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本発明は、腫瘍性疾患の予測、診断、予後判定、予防および治療のための方法および組成物に関する。腫瘍性疾患は、再配列された遺伝子の過剰または過小発現につながる染色体再配列により起こることが多い。本発明は、腫瘍組織において過剰発現される遺伝子を開示し、診断マーカーおよび治療の標的として有用である。腫瘍性疾患の予測、診断および予後判定ならびに予防および治療のための方法が開示される。
染色体異常(増幅、欠失、逆位、挿入、転座および/またはウイルス組み入れ)は、それぞれの領域の調節解除(deregulation)の原因となるので、ガンおよび腫瘍病巣の発生に重要である。成長特性、分化、侵襲性または治療的介入に対する耐性について重要な遺伝子が位置するゲノム領域の増幅が記載されている。染色体異常を有するこれらの領域の一つは、乳ガン患者において増幅されるHER−2/neu遺伝子を有する領域である。乳ガン患者の約25%において、HER−2/neu遺伝子が、遺伝子増幅のために過剰発現される。HER−2/neu過剰発現は、不十分な予後(再発、全体的な生存率、治療法に対する敏感性)と相関する。疾患進行の予後に関するHER−2/neuの重要性は記載されている[Gustersonら、1992,(1)]。HER−2/neuに対して生じる遺伝子特異的抗体(Herceptin)は各ガン患者を治療するために作られてきた。しかしながら、ほとんどの場合、化学療法レジメと組み合わせられるHerceptinでの抗体治療からは、患者のわずか約50%しか恩恵を享受しない。HER−2/neu陽性腫瘍(同様の程度までHER−2/neuを過剰発現する)の治療法に対する反応性に関しての不一致から、各腫瘍組織の成長およびアポトーシス特性に関与するさらなる因子または遺伝子が存在する可能性があることが示唆される。成長因子レセプターHER−2/neuの過剰発現と治療成果の間には一因的な関係は無いようである。通常用いられる腫瘍マーカー、たとえば、エストロジェンレセプターのこの測定と調和して、プロゲステロンレセプター、p53およびKi−67は特定の治療的決定の臨床的成果に関して非常に限られた情報しか提供しない。従って、患者の向上された治療決定および生存率の予想を可能にするために、さらに詳細な腫瘍の診断および兆候の分類が非常に必要とされている。本発明は、その発現が腫瘍において調節解除され、臨床的成果と相関する遺伝子を提供することにより、さらなるマーカーの必要性に対応する。一つの点は、特定の染色体領域に存在する遺伝子の調節解除、および疾患進行および薬剤反応性におけるそれらの相互作用である。
(発明の概要)
本発明は、ガン組織における染色体改変は改変された染色体領域によりコードされる遺伝子の発現における変化につながり得るという発見に基づく。乳ガン組織から得られる腫瘍病巣において同時増幅され、その結果これらの遺伝子のいくつかにおいて発現が改変される例示的な43ヒト遺伝子が同定されている(表1から4)。これらの43遺伝子は、正常、または非乳ガン状態におけるその発現と比較して、乳ガン状態において差次的に発現される。本発明は、これらの遺伝子の誘導体、断片、類似体および相同体およびその使用または使用法に関する。
本発明はさらに、悪性腫瘍、特に乳ガンの新規予防、予測、診断、予後判定および治療的組成物および使用にも関する。特に細胞外領域を含む膜結合マーカー遺伝子産物は治療法並びに診断および臨床的モニター法の標的として特に有用であり得る。
これらの遺伝子のいくつかは、その遺伝子産物が、シグナリングカスケードにおいて、または直接的または間接的に互いに影響を及ぼすことにより、機能的に相互作用することを特徴とするということは、本発明により見いだされた。この相互作用は、非腫瘍組織(たとえば、脳または神経原性組織)の通常の生理機能において重要である。しかしながら、これらが通常異なるレベルの活性を示すかまたは活性でない腫瘍病巣において、これらの遺伝子が調節解除されると、病気になり、疾患関連組織の特性に影響を及ぼす。
本発明はさらに、DNAおよびmRNAレベルに関する悪性腫瘍におけるこれらの調節解除を検出する方法にも関する。
本発明はさらに、改変された染色体領域に位置する遺伝子によりコードされる個々のmRNAの相対存在を検出することを特徴とする、染色体改変を検出する方法にも関する。
本発明はさらに、定量的PCRまたはDNAアレイおよびDNAシーケンシングによりDNAコピー数を測定することにより、指定染色体改変のフランキング中断点を検出する方法にも関する。
指定ゲノム中断点の側方に位置するかまたはその内部に位置するDNA配列の検出により悪性腫瘍を予測、診断または予後判定する方法。
本発明はさらに、改変された染色体領域内に位置する1以上のゲノム核酸配列のコピー数を定量的PCR技術(たとえば、TaqMan、LightcyclerおよびiCycler)により検出することを特徴とする染色体改変を検出する方法にも関する。
本発明はさらに、少なくとも2つのマーカーを検出することによる悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法(マーカーは、悪性腫瘍および特に乳ガンにおいて改変された一つの染色体領域上に位置する遺伝子およびその断片またはゲノム核酸配列である)にも関する。
本発明はさらに、少なくとも2つのマーカーの検出により悪性腫瘍を予測、診断または予後判定する方法を開示し、ここで、マーカーは、悪性腫瘍において改変された1以上の染色体領域上に位置し;マーカーは、(i)レセプターおよびリガンドまたは(ii)同じシグナル伝達経路のメンバーまたは(iii)相乗シグナル伝達経路のメンバーまたは(iv)拮抗シグナル伝達経路のメンバーまたは(v)転写因子および転写因子結合部位として相互作用する。
少なくとも一つのマーカーの検出により悪性腫瘍を予測、診断または予後判定する方法も開示され、ここで、マーカーは、増幅のために悪性腫瘍において改変された一つの染色体領域上に位置するVNTR、SNP、RFLPまたはSTSであり、マーカーは同じ個体から得られる(a)ガンおよび(b)非ガン組織または生物学的サンプルにおいて検出される。好ましい態様は、表6の少なくとも一つのVNTRマーカーまたは表4の少なくとも一つのSNPマーカーまたはその組み合わせの検出である。かかる多型マーカーの検出、定量およびサイジングが(a)PCR増幅およびそれに続くキャピラリー電気泳動による比較測定、(b)ゲル電気泳動(たとえば、SSCP、DGGE)、リアルタイム動態学的PCR、ダイレクトDNAシーケンシング、ピロシーケンシング、質量特異的対立遺伝子識別またはDNAアレイ技術による再配列化による配列決定および対立遺伝子識別、(c)特定の制限パターンの測定およびそれに続く電気泳動による分離および(d)対立遺伝子特異的PCR(たとえばASO)による対立遺伝子識別の方法により達成されるのもさらに好ましい。ヘテロ接合VNTRマーカー、SNP、RFLPまたはSATSのさらに好ましい検出は、様々な標識されたプライマー(たとえば、蛍光、放射性、生活性)および適切なキャピラリー電気泳動(CE)検出システムを用いて多様な方法において行われる。
別の態様において、これらの遺伝子の発現は、WO9727317およびUS6379895に記載されているようなDNAアレイで検出できる。
さらに別の態様において、これらの遺伝子の発現は、WO9714029およびWO9952708において記載されているようなビーズベースの直接蛍光リードアウト技術で検出することができる。
態様において、本発明は、配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19または21から26または53から75を含む少なくとも一つのポリヌクレオチドの、正常または未処理細胞と比較して、異なる発現を検出することを含む、細胞または組織の表現型を決定する方法に関し、ここにおいて、ポリヌクレオチドは少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍または少なくとも約3倍により差次的に発現される。
さらに別の態様において、本発明は配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19または21から26または53から75のポリヌクレオチドの一つとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、各ポリヌクレオチドに関して表2または3において示すのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする少なくとも一つのポリヌクレオチドの、正常または未処理細胞と比較しての差次的発現を検出することを含む、細胞または組織の表現型を決定する方法に関し、ここにおいてポリヌクレオチドは少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍または少なくとも約3倍により差次的に発現される。
本発明の別の態様において、配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19または21から26または53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むか、または配列番号:28から32、34、35、37から42、44、45または47から52または76から98を有するポリペプチドの一つをコードするポリヌクレオチドを、乳ガンにかかりやすくした表現型または罹患した表現型を示す個体における細胞または組織を同定するために用いることができ、これにより(a)個体が発症の危険にあるかどうかを予測し、または(b)個体が罹患しているかどうかを診断し、または(c)悪性腫瘍および特に乳ガンの進行または治療の成果を予測することができる。
さらに別の態様において、本発明は染色体レベルに関して改変され、機能的に関連し、悪性腫瘍および特に乳ガンにおいて差次的に発現される遺伝子をコードするゲノム領域を同定する方法を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、悪性腫瘍および乳ガンの予測、診断および予後診断ならびに予防および治療において用いられるゲノム領域17q12、3p21および12q13を提供する。特に、前記染色体領域の遺伝子内領域だけでなく遺伝子間領域、疑似遺伝子または非転写遺伝子も診断、予測、予後診断および予防および治療用組成物および方法に用いることができる。
さらに別の態様において、本発明は、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性を調節する物質に関してスクリーニングする方法を提供する。試験化合物を、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと接触させる。試験化合物のポリペプチドとの結合が検出される。ポリペプチドと結合する試験化合物は、したがって悪性腫瘍、さらに詳細には乳ガンの治療のための潜在的な治療薬であると同定される
さらに別の態様において、本発明は、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性を調節する物質をスクリーニングするもう一つの方法を提供する。試験化合物を、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むかまたは配列番号1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと接触させる。ポリペプチドにより媒介される生物学的活性を検出する。生物学的活性を減少させる試験化合物はこれにより悪性腫瘍、特に乳癌において、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むかまたは、配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性を減少させるための潜在的な治療薬であると同定される。生物学的活性を増大させる試験化合物は、従って、悪性腫瘍、特に乳癌において、配列番号:27から52および76から98を有するポリペプチドの一つから選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性を増大させる有効な治療薬であると同定される
別の態様において、本発明は、配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの活性を調節する物質をスクリーニングする方法を提供する。試験化合物を、配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと接触させる。配列番号1から26および53から75から選択させるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドとの試験化合物の結合が検出される。ポリヌクレオチドと結合する試験化合物は、これにより悪性腫瘍、特に乳ガンにおける配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの活性を調節する潜在的な治療薬であると同定される
本発明は従って、配列番号:27から52および76から98を有するポリペプチドの一つから選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドであって、たとえば、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むかまたは配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドのレギュレーターまたはモジュレーター、たとえば、アゴニストおよびアンタゴニスト、部分アゴニストインバースアゴニスト、アクチベーター、コアクチベーターおよびインヒビターとして作用し得る化合物を同定するために用いることができるポリペプチドを提供する。従って、本発明は、悪性腫瘍、特に乳ガンにおける配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むかまたは配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを調節するための作用物質および方法を提供する。調節は、増加調節または低下調節であり得る。配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの発現、安定性または量、あるいは配列番号27ないし52および76ないし98から選択されるポリペプチドを含むかまたは、配列番号1ないし26および53ないし75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性を調節する作用物質は、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、核酸、核酸類似体(たとえば、ペプチド核酸、ロックされた核酸)または小分子であり得る。配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの発現、安定性または量、あるいは配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むかまたは配列番号:1なしい26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性を調節する方法は、遺伝子置換療法、アンチセンス、リボザイムおよびトリプレックス核酸法であり得る。
本発明の一態様において、本発明は、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされる完全長または部分ポリペプチドまたは配列番号:1なしい26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと特異的に結合する、悪性腫瘍、特に乳ガンの予測、予防、診断、予後診断および治療において使用される抗体を提供する。
本発明のさらに別の態様は、配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドあるいは配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むかまたは配列番号1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドと特異的に結合する作用物質の、悪性腫瘍、特に乳ガンの治療用医薬の調製における使用である。
さらに別の態様は、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むかまたは配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの活性または安定性、あるいは配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの発現、量または安定性を調節する作用物質の、悪性腫瘍、特に乳ガンの治療用医薬の調製における使用である。
本発明のさらなる別の態様は、配列番号:1から26、53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、あるいは配列番号:27から52、76から98から選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26、53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと特異的に結合する作用物質および製薬的に許容される担体を含む医薬組成物である。
一態様において、配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むかまたは配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはそれらと相補的な配列の細胞における発現のレベルを改変する作用物質は、細胞を準備し、該細胞を試験物質で処理し、配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むかまたは配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはそれらと相補的な配列の細胞における発現のレベルを測定し、処理された細胞におけるポリヌクレオチドの発現のレベルを、未処理細胞におけるポリヌクレオチドの発現のレベルと比較することにより同定され、ここにおいて、未処理細胞におけるポリヌクレオチドの発現のレベルに対する処理された細胞におけるポリヌクレオチドの発現のレベルにおける変化は、細胞におけるポリヌクレオチドの発現のレベルを改変する物質の指標となる
本発明はさらに、この方法により同定される作用物質を含む医薬組成物を提供する。
本発明の別の態様は、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むか、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを含む医薬組成物である。
本発明のさらに別の態様は、配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドを含み、表2または3においてそれぞれのポリヌクレオチドについて示のと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするか、または配列番号:27から52、76から98から選択されたポリペプチドを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列を含むポリヌクレオチドを含む医薬組成物である。本発明において有用な医薬組成物は、配列番号:27から52および76から98から選択されるポリペプチドを含むポリペプチド、またはその断片、抗体、または抗体断片を含む融合タンパク質をさらに含む。
(図面の簡単な説明)
図1は、G−バンディングパターンおよび細胞遺伝学的位置を有する染色体17のスケッチを示す。図面の下の部分での吹き出しにおいて、染色体17の長腕の染色体部分の詳細図(17q12−21.1)を示す。中間の灰色で示すそれぞれの上下の長方形は、各位置の上下で標識された遺伝子を表す。この図において示される遺伝子の順序は、過剰発現の増幅を探求する実験および好適に入手可能なデータ(たとえば、UCSC、NCBIまたはEnsemble)から推論した。
図2は、図1においてすでに示したのと同じ領域およびDNA−チップハイブリダイゼーションにより測定された個々の発現値のクラスター図を示す。遺伝子を表す正方形は点線により示される。クラスター図の上部において、その内の2つ(SKBR3およびAU565)がHER−2/neu過剰発現を有することが既知である4つの腫瘍細胞系を各発現特性に関して図示する。HER−2/neu遺伝子だけでなく、本発明により提供されるいくつかの他の周辺遺伝子も明らかな過剰発現を示す。クラスター図の中間部に、免疫組織化学的に特徴づけられた腫瘍サンプルから得られる発現データを示す。図示されたプローブの内の2つは白い長方形により印を付けた遺伝子の明らかな過剰発現を示す。追加の情報および比較のために、いくつかの罹患していないヒト組織(Clontech Inc.から入手したRNA)の発現特性を示す。ヒト脳および神経組織がHER−2/neu陽性腫瘍の発現特性と最も近接した関係を示す。
図3は、qPCR(たとえば、TaqMan)によるDNA増幅測定から得られるデータを示す。データは、いくつかの分析された乳ガンにおいて、細胞系はすでに記載された領域(ARCHEON)に位置する遺伝子の増幅を有することを示す。データは、x−軸上に各遺伝子、y−軸に40−Ctについて示した。データは、カラムの第一群においてみられるGAPDHの発現レベルに対して標準化した。
図4は、増幅された領域についての概略図を示し、分析した腫瘍細胞株における各増幅の長さおよび過剰発現についての情報を提供する。増幅の長さおよび遺伝子の組成は、他の場所でも記載するように、ガン細胞の性質およびある種の薬剤に対する反応性に対して著しい影響を及ぼす。
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書において用いられる「差次的発現」とは、異なる発生および/または腫瘍増殖に依拠する遺伝子の発現パターンにおける量ならびに質的な差の両方を意味する。差次的に発現された遺伝子は、「マーカー遺伝子」および/または「標的遺伝子」に相当する。本発明において開示される差次的に発現された遺伝子の発現パターンは、予後または診断的乳ガンの評価の一部として用いることができる。別法として、本発明において開示される差次的に発現された遺伝子は、作用物質および化合物を同定するための方法、これらの作用物質および化合物の乳ガンの治療における使用並びに治療法において用いることができる。
「生物学的活性」または「生活性」または「活性」または「生物学的機能」は、本明細書において交換可能に用いられ、ポリペプチド(その本来のまたは変性されたコンフォメーションのいずれにおいても)、またはその任意の断片により、インビボまたはインビトロで、直接または間接的に機能するエフェクターまたは抗原性機能を意味する。生物学的活性としては、これらに限定されないが、ポリペプチドとの結合、他のタンパク質または分子との結合、酵素活性、シグナル伝達、DNA結合タンパク質、転写レギュレーターとしての活性、損傷したDNAと結合する能力などが挙げられる。生活性は、対象のポリペプチドに直接影響を及ぼすことにより調節できる。別法として、生活性は、ポリペプチドのレベルを調節すること、たとえば、対応する遺伝子の発現を調節することにより改変できる。
「マーカー」または「バイオマーカー」なる用語は、その存在または濃度が検出でき、既知の状態と関連する、たとえば疾患状態と関連する生物学的分子、たとえば、核酸、ペプチド、ホルモンなどを意味する。
本明細書において用いられる「マーカー遺伝子」とは、その発現パターンを、悪性腫瘍の予測、予後判定または診断または乳ガン評価の一部として利用できるか、または別法として悪性腫瘍、特に乳ガンの治療または予防に有用な化合物を同定する方法において用いることができる、特異的に発現された遺伝子を意味する。マーカー遺伝子は、標的遺伝子の特徴を有していてもよい。
本明細書において用いられる「標的遺伝子」とは、標的遺伝子発現または標的遺伝子産物の活性のレベルの調節が悪性腫瘍、特に乳ガンの症状を緩和するように作用し得るように乳ガンにおいて関与する差次的に発現された遺伝子を意味する。標的遺伝子は、マーカー遺伝子の特徴を有していてもよい。
本明細書において用いられる「生物学的サンプル」なる用語は、生物または生物の成分(たとえば、細胞)から得られるサンプルを意味する。サンプルは、任意の生物組織または液体のものであってもよい。サンプルは患者から得られる「臨床」サンプルであることが多い。かかるサンプルとしては、これらに限定されないが、喀痰、血液、血液細胞(たとえば、白血球)、組織または微細穿針生検、細胞含有体液、浮動性核酸、尿、腹水、および胸水、またはこれから得られる細胞が挙げられる。生物サンプルは、組織の部分、たとえば、組織学的目的のために採取された凍結セクションを含んでもよい。
「アレイ」または「マトリックス」とは、装置上のアドレスで呼び出せる位置または「アドレス」の配置を意味する。位置は、二次元アレイ、三次元アレイ、または他のマトリックスフォーマットにおいて配列させることができる。位置の数は、2、3から少なくとも100,000の範囲まで可能である。最も重要なことには、各位置は、全体的に独立した反応部位を表す。アレイは、これらに限定されないが、核酸アレイ、タンパク質アレイおよび抗体アレイを包含する。「核酸アレイ」は、核酸プローブ、たとえば、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたは遺伝子のさらに大きな部分を含むアレイを意味する。アレイ上の核酸は、好ましくは一本鎖である。プローブがオリゴヌクレオチドでアレイは、「オリゴヌクレオチドアレイ」または「オリゴヌクレオチドチップ」と呼ばれる。本明細書において「ミクロアレイ」は、「バイオチップ」または「生物学的チップ」とも呼び、少なくとも約100/cm、好ましくは少なくとも約1000/cmの独立した密度領域を有する領域のアレイを意味する。ミクロアレイにおける領域は、約10〜250μmの間の範囲の直径などの典型的な寸法を有し、ほぼ同じ間隔でアレイにおいて他の領域と隔てられている。「タンパク質アレイ」とは、本来の形態または変性されたポリペプチドプローブまたはタンパク質プローブを含むアレイを意味する。「抗体アレイ」とは、これらに限定されないが、モノクローナル抗体(たとえば、マウスから得られるもの)、キメラ抗体、ヒト化抗体またはファージ抗体および一本抗体ならびに抗体から得られる断片を含む抗体を含むアレイを意味する。
本明細書において用いられる「アゴニスト」なる用語は、タンパク質の生活性を模倣するかまたは増加調節する(例えば、増強する、または補足する)作用物質を意味する。アゴニストは、野生型タンパク質の少なくとも一つの生活性を有する野生型タンパク質またはその誘導体であり得る。アゴニストは、遺伝子の発現を増加調節するか、またはタンパク質の少なくとも一つの生活性を増大させる化合物でもあり得る。アゴニストは、ポリペプチドともう一つ別の分子、たとえば、標的ペプチドまたは核酸との相互作用を増大させる化合物でもあり得る
本明細書において用いられる「アンタゴニスト」なる用語は、タンパク質の少なくとも一つの生活性を減少調節(たとえば、抑制または阻害)する物質を意味する。アンタゴニストは、タンパク質ともう一つの分子、たとえば標的タンパク質、リガンドまたは酵素基質の相互作用を抑制または減少させる化合物であり得る。アンタゴニストは、遺伝子の発現を減少調節するか、または存在する発現されたタンパク質の量を減少させる化合物でもあり得る
本明細書において用いられる「小分子」とは、約5kD未満、最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成物を意味する。小分子は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、脂質または他の有機(炭素含有)または無機分子であり得る。多くの製薬会社が化学および/または生物学的混合物、多くは真菌、細菌、または藻類抽出物の大規模なライブラリーを有しており、これは、生活性を調節する化合物を同定するために本発明の分析でスクリーニングできる。
本明細書において用いられる「調節された」または「調節」あるいは「調整された」または「調整」および「差次的に調整された」なる用語は、増加調節[すなわち、活性化または刺激(たとえば、アゴナイジングまたは増強による)]および減少調節[すなわち、阻害また抑制(たとえば、拮抗、減少または抑制による)]の両方を意味する。
「転写調節単位」とは、DNA配列、たとえば、開始シグナル、エンハンサー、およびプロモーターであって、これらが作動可能に連結されたタンパク質コーディング配列の転写を誘発または制御するものを意味する。好ましい態様において、遺伝子の一つの転写は、発現が意図されるセルタイプにおける組み換え遺伝子の発現を制御するプロモーター配列(または他の転写調節配列)の制御下にある。組み換え遺伝子は、天然に存在する形態のポリペプチドの転写を調節する転写調節配列と同じかまたは異なる転写調節配列の制御下にあり得ると理解できるであろう
「誘導体」なる用語は、ポリペプチド配列、またはポリヌクレオチド配列の化学的修飾を意味する。ポリヌクレオチド配列の化学的修飾は、たとえば、アルキル、アシル、またはアミノ基による水素の置換を含む。誘導体ポリヌクレオチドは、天然の分子の少なくとも一つの生物学的または免疫学的機能を保持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドは、グリコシル化、ペグ化、あるいはこれが由来するポリペプチドの少なくとも一つの生物学的または免疫学的機能を保持する任意の同様のプロセスにより修飾されたものである。
本発明は、ポリヌクレオチド配列およびこれによりコードされるタンパク質、並びにポリヌクレオチド配列に由来するプローブ、コードされたタンパク質に向けられる抗体、および悪性腫瘍、特に乳ガンの危険性があるかまたはかかっている個人についての予測、予防、診断、予後判定および治療的使用を提供する。本発明において開示される配列は、乳ガンから得られるサンプルにおいて差次的に発現されることが見いだされている。
本発明は、乳ガンの臨床的徴候を示す患者の腫瘍生検において差次的に調節(増加または減少調節)される43の遺伝子の同定に基づく。乳ガン状態において差次的に調節される43のヒト遺伝子の同定およびその疾患についての重要性は本明細書の実施例に記載する。これらの遺伝子の同時発現のキャラクタライゼーションにより、乳ガンにおける役割が新たに確認された。遺伝子の名前、データベース受入番号(GenBankおよびUniGene)並びにコードされたタンパク質の推定または既知の機能およびそのタンパク質の細胞レベルの局在化を表1から4に示す。遺伝子増幅に用いられるプライマー配列を表5に示す。
いずれかの状況において、正常な発現と比較して過剰または低いレベルにおけるこれらの遺伝子の発現検出により、悪性腫瘍および乳ガンの診断の基礎が提供される。さらに、臨床試験中の化合物の有効性の試験において、これらの遺伝子の発現レベルの減少は、疾患状態から正常な状態へ戻ることに相当し、従って化合物の正の効果を示す。
本発明の別の態様は、所定のゲノム領域内の隣接する遺伝子は互いに直接または間接的に機能的に相互作用し、影響を及ぼしあうという観察に基づく。腫瘍病巣において同時増幅され、同時発現される機能的に相互作用する遺伝子をコードするゲノム領域は、「ARCHEON」と定義されている。(ARCHEON=腫瘍において観察される発現が変化した染色体の改変領域)。染色体の変化は1以上の遺伝子に影響を及ぼすことが多い。これは、増幅、複製、挿入、組み込み、反転、転座、および欠質に関して当てはまる。これらの変化は、一つまたは複数の遺伝子の発現レベルに影響を及ぼし得る。ガン診断および治療の分野において最も一般的なことに、発現レベルの変化が単一推定連標的遺伝子、たとえば、MLVI2(5p14)、NRASL3(6p12)、EGFR(7p12)、c−myc(8q23)、Cyclin D1(11q13)、IGF1R(15q25)、HER−2/neu(17q12)、PCNA(20q12)について調査されている。ところが、改変された発現のレベルおよび1つのゲノム領域中の多数の(つまり2つより多い)遺伝子の互いの相互作用については未だ発表されていない。ARCHEONの遺伝子は、組織特異的発現パターンを有する遺伝子クラスターを形成する。ARCHEONを表すと推定されるかかる遺伝子クラスター内の個々の遺伝子の相互作用の様式は、タンパク質−タンパク質またはタンパク質−核酸相互作用のいずれかであり、これは以下の例により説明されるが、限定されない:ARCHEON遺伝子相互作用は、同じシグナル伝達経路であり、リガンド結合に対するレセプター、レセプターキナーゼおよびSH2またはSH3結合、プロモーター結合に対する転写因子、転写因子結合に対する核ホルモンレセプター、ホスホ基供与(たとえば、キナーゼ)および受容(たとえば、リンタンパク質)、mRNA安定化タンパク質結合および転写プロセスである。対になった遺伝子および/またはこれによりコードされるタンパク質またはこのようなさらに高次の基の個々の活性および特異性は、当業者により周知のデータベース内で公開または寄託されている論文から容易に推論できる。しかしながら、ARCHEONに関連して、ARCHEONの一部であるメンバーの相互作用はその個別の機能を増強、強大化または減少させる。この相互作用は、これらが正常に同時発現される所定の正常な組織において重要である。従ってこれらのクラスターは発生中に共通して保存される。しかしながら、腫瘍病巣におけるこれらのARCHEONのメンバーの異常な発現は、(特にこれらが通常発現されない組織内で)腫瘍特性、たとえば、増殖、侵襲性および薬剤反応性に対して影響を及ぼす。これらの隣接する遺伝子の相互作用のために、調節解除事象に関与するARCHEONのメンバーを決定することが重要である。この点に関して、腫瘍病巣における増幅および欠失事象は、特に興味深い。
本発明は、(a)各mRNA種の相対的mRNA量を測定するか、または(b)定量的PCRにより1以上の染色体領域のコピー数を測定することにより、染色体の変化を検出する方法に関する。一態様において、ゲノム構成および染色体領域の空間制御に関する情報は、ヒトゲノムの配列情報(UCSC、NCBI)の生物情報分析により評価し、次いでGeneChip(商標)DNA−アレイ(Affymetrix)から得られるRNA発現データおよび/またはRNA−サンプルまたはゲノムDNAから得られる定量的PCR(TaqMan)と組み合わせる
さらにもう一つの例において、改変(増殖または欠失)された染色体領域上に位置する遺伝子の機能的関係が確立されている。この改変された染色体領域は、該領域上に位置する遺伝子が機能的に相互作用するならば、ARCHEONと定義される。
17q12座を、HER−2/neu遺伝子を有する一モデル型として調査した。隣接する遺伝子における増幅事象を検出するために高分解能分析を確立することにより、乳ガン細胞型において一般に同時増幅される43遺伝子および患者サンプルを同定した。遺伝子アレイ技術および免疫学的方法により、腫瘍サンプルにおけるその同時過剰発現を証明した。驚くべきことに、組織サンプルをHER−2/neu遺伝子陽性腫瘍サンプルと凝集させることにより、この大きなゲノム領域(43遺伝子を含む)の発現パターンは、脳組織の制御と非常に類似していることが分かった。HER−2/neu陰性乳房腫瘍組織は、類似した発現パターンを示さなかった。実際、これらのクラスター内の遺伝子の一部はマウスモデル型において神経発生に重要である(HER−2/neu、THRA)か、または神経細胞において発現される(NeuroD2)ことが記載されている。さらに、ヒトよび齧歯類ゲノムにおいて類似した遺伝子の組み合わせを探すことにより、各遺伝子のいくつかのイソ型を有する3p21および12q13上のさらなる相同染色体領域(下記参照)が見つかった。同じ経路の一部である(HER−2、neu、GRB7、CrkRS、CDC6)、互いの発現に影響を及ぼす(HER−2/neu、THRA、RARA)、互いに相互作用する(PPARGBP、THRA、RARA、NR1D1またはHER−2/neu、GRB7)、あるいは所定の組織において発現される(CACNB1、PPARGBP等)43候補遺伝子間の複数の相互作用についての強力な証拠がある。興味深いことに、同定されたARCHEONのゲノム領域は、通常はタモキシフェン処置に対して感受性である、獲得タモキシフェン耐性のHER−2/neu陰性細胞(MCF7)において増幅される[Achuthanら、2001、(2)]。
さらに、これらのARCHEON内の遺伝子の改変により治療に対する反応性が改変されることが観察された。驚くべきことに、ARCHEON内の遺伝子は、HER−2/neu相同の不在下でさえも重要である。ARCHEON内の遺伝子のいくつかは、予後観察のマーカー遺伝子として役立つだけでなく、治療介入の標的としてすでに知られている。たとえば、TOP2アルファはアントラサイクリンの標的である。THRAおよびRARAはホルモンおよびホルモン類似体(たとえば、T3、rT3、RA)により標的とされ得る。腫瘍病原生理学と関連することが本明細書で初めて示されているホルモンレセプターは、その高い親和結合部位および利用可能なスクリーニング分析(その転写可能性に基づくリポーター分析)から、薬剤スクリーニングおよび悪性腫瘍、特に乳ガンの治療についての理想的な標的である。この点に関して、ARCHEONのどのメンバーが腫瘍病巣において改変されているかを知ることは本質的である。特に、ARCHEON遺伝子が増幅される性質、数および程度を知ることが重要である。ARCHEONは類似した内在性レトロウイルス(たとえば、HERV−K=「ヒト内因性レトロウイルス」)と隣接しており、そのいくつかは乳ガンにおいて活性化される。これらのウイルスはARCHEONの進化複製に関与する。
17q12領域の分析により、IHCにより得られたデータが証明され、そしてHER−2/neu遺伝子と共に同時増幅されるいくつかのさらなる遺伝子が同定された。腫瘍細胞系のRNAベースの定量的RT−PCR(TaqMan)DNAベースのqPCRとを比較分析により、同じ増幅された領域が同定された。17q11.2〜21領域の遺伝子を限定のためではなく例示のために示す。前記染色体領域の図を図1に示す。
17q12ARCHEONの一部である遺伝子の生物学的関連性
MLN50
乳ガン由来の転移性腋窩リンパ節のcDNAのディファレンシャルスクリーニングにより、乳ガンにおいて過剰発現されるTRAF4および3つの他の新規遺伝子(MLN51、MLN62、MLN64)を同定した[Tomasettoら、1995,(3)]。MLN50と表される一つの遺伝子を、放射性インサイチュハイブリダイゼーションにより17q11−q21.3にマップした。乳ガン細胞系において、4kb MLN50mRNAの過剰発現遺伝子の増幅ならびに同じ領域にマップされるERBB2の増幅および過剰発現と相関していた。筆者らは2遺伝子が同じアンプリコン(amplicon)に属すると示唆している。染色体領域17q11−q21の増幅は、ヒト乳ガンにおいて起こる最も一般的な事象である。彼らは予想261アミノ酸MNL50タンパク質はN末端LIM領域およびC末端SH3領域を含むことを報告した。彼らはそのタンパク質を「LIMおよびSH3タンパク質」からLASP1と新たに名付けた。ノザンブロット分析により、LASP1mRNAは試験された全ての正常な組織において規定レベルで発現され、原発乳ガンの8%において過剰発現された。これらのガンのほとんどにおいて、LASP1およびERBB2は同時に過剰発現された。
MLLT6
MLLT6(AF17)遺伝子は、融合点の3に位置するロイシン−ジッパー二量化モチーフおよび末端のシステイン豊富な領域を含む、1093アミノ酸のタンパク質をコードする。AF17は転写抑制または活性化に関与する領域とあらかじめ結合したアミノ酸鎖を含むことが見いだされた。
バンド11q23を含む染色体転座は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者のほぼ10%および急性骨髄性白血病(AML)の患者の5%以上と関連する。転座に関与する11q23の遺伝子はALL1、HRX、MLL、およびTRX1とさまざまに表される。よりまれな転座の一つにおけるパートナー遺伝子、t(11;17)q23;q21)は17q12上でMLLT6と表される。
ZNF144(Mel18)
Mel18cDNAは新規なシスリッチな亜鉛フィンガーモチーフをコードする。該遺伝子は、ほとんどの腫瘍細胞系において強力に発現されるが、その正常な組織発現は、神経起源の細胞に限定され、胎児神経細胞において特に豊富であった。これは、BMI1を含むRING−フィンガーモチーフファミリーに属する。MEL18/BMI1遺伝子ファミリーは、ショウジョウバエ「ポリコーム(polycomb)」遺伝子群の哺乳動物ホモログの代表であり、重要な調節因子、たとえば、マウスPc−G遺伝子の代表例として、Hox遺伝子、Bmil、Mel18およびM22遺伝子の発現パターンの維持に関与する記憶メカニズムに属する。これらの遺伝子のそれぞれのノックアウトマウス突然変異体において観察される共通の表現型は、Hox遺伝子発現および中軸骨格発生の調節においてだけでなく、造血細胞系の増殖および生存の制御においてもPc−G遺伝子の重要な役割を示す。これは、リンパ芽球性白血病において観察される増殖の調節解除と一致する。MEL18遺伝子は、脊椎動物間で保存される。そのmRNAは胎盤、肺、および腎臓において高レベルで発現され、肝臓、膵臓、および骨格筋において低レベルで発現される。興味深いことに、子宮頸管および腰仙−HOX遺伝子発現は、HoxB遺伝子クラスターが17q12座に対して遠位の17q上に存在する正常乳房組織に対し、いくつかの原発乳ガンにおいて変化している。さらに、増殖する細胞の持続性ネスト(persistent nest)を有する分化の遅れが、HOXB7導入SkBr3細胞とともに同時培養された内皮細胞において見いだされ、これは17q12増幅を示す。これらの細胞の発ガン性はインビボで評価されている。無胸腺ヌードマウスにおける異種移植片は、放射線を照射してもしなくともSkBr3/HOXB7細胞が増加した血管数の腫瘍を発達させたことを示し、一方、親SkBr3細胞はマウスが実質的に照射されなければ腫瘍を発生させなかった。本発明の一部として、本発明者らは、MEL18がHer−2/neu遺伝子増幅を有する腫瘍において特異的に過剰発現されることを見いだし、これはHox発現について重要である。
ホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート5−キナーゼII型ベータ;PIP5K2B
ホスホイノシチドキナーゼはシグナル伝達において中心的な役割を果たす。ホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート5−キナーゼ(PIP5K)はホスファチジルイノシトール−4−ホスフェートをリン酸化し、ホスファチジルイノシトール4,5−ビスホスフェートを生じる。PIP5K酵素は、様々な免疫反応性、および分子量を有する多数のイソ型として存在する。これらは、他のホスファチジルイノシトール、タンパク質、および脂質キナーゼにおいて存在するキナーゼモチーフとほとんど相同性を有さないという点でユニークである。ヒト胎児脳cDNAライブラリーをPIP5K2B ESTでスクリーニングすることにより、完全長遺伝子を単離できる。推測される416アミノ酸タンパク質はPIP5K2Aと78%同一である。SDS−PAGEを用いて、著者らは細菌により発現されたPIP5K2Bは47kDの分子量を有すると推定した。ノザンブロット分析は、いくつかのヒト組織において豊富に発現された6.3kb PIP5K2B転写物を検出した。PIP5K2Bはp55TNFレセプター(TNFR1)の膜近接領域と特異的に相互作用し、PIP5K2B活性はTNF−アルファでの処置により哺乳動物において増大する。膜結合基質とATPとのモデルの複合体は、どのようにしてホスホイノシチドキナーゼは膜界面でインサイチュでその基質をリン酸化できるかを示す。基質結合部位は、1側でオープンであり、ホスファチジルイノシトール3−および5−ホスフェートについての二重特異性と一致する。PIP5K2Aのアミノ酸配列は公知キナーゼと相同性を示さないが、組み換えPIP5K2Aはキナーゼ活性を示した。PIP5K2Aは推定Src相同性3(SH3)領域−結合配列を含む。COS7細胞におけるマウスPIP5K1Bの過剰発現は、ショートアクチンファイバーの増大およびアクチンストレスファイバーの減少を誘発した。
TEM7
遺伝子発現の連続的な分析(SAGE)を用いて、腫瘍血管形成中に向上した発現を示すいくつかの腫瘍内皮マーカー(TEM)に対応する部分的cDNAを同定できた。同定された遺伝子にはTEM7があった。データベース検索と5RACEを用いて、500アミノ酸タイプI貫膜タンパク質をコードする全体的なTEM7コーティング領域が記載されている。TEM7の細胞外領域はプレキシン様領域を含み、ECMタンパク質ニドゲン(nidogen)に対して弱い相同性を有する。分泌された細胞外マトリックス分子において通常見いだされるこれらの領域の機能は未知である。ニドゲンはそれ自体エンタクチンタンパク質ファミリーに属し、周辺から縦方向への移動に切り替えることにより遊走軸策の経路を決定する助けとなる。RGD認識部位により媒介されるメカニズムによりトロホブラストの成長を促進するので、エンタクチンは細胞遊走に関与し、着床に際して子宮内基底膜の侵入時に重要な役割を果たす。エンタクチンは胸腺細胞接着を促進するので、胸腺遊走に少しだけ影響を及ぼすが、エンタクチンはT細胞発生時に胸腺局在化における役割を果たし得ることが示唆される。
ZNFN1A3
B細胞cDNAライブラリーをマウスAiolosN−末端cDNAプローブでスクリーニングすることにより、ヒトAiolos、またはZNFN1A3をコードするcDNAが得られた。そのマウスカウンターパートと86%同一である推定509アミノ酸のタンパク質は、そのN末端において4つのDNA−結合亜鉛フィンガーとそのC末端においてタンパク質二量化を媒介する2の亜鉛フィンガーを有する。これら領域は、それぞれマウスタンパク質における対応する領域に対して100%および96%相同性である。ノザンブロット分析により、末梢血白血球、脾臓、および胸腺において大部分が11.0−kbで少数が4.4−kbZNFN1A3転写物の強力な発現が明らかになり、肝臓、小腸、および肺において発現は低かった。
造血亜鉛フィンガーDNA−結合タンパク質であるIkaros(ZNFN1A1)は、リンパ球分化の主な調節因子であり、白血病発生に関与する。Ikarosの正常な機能を実行するためには、配列特異的DNA結合、トランスアクチベーション、および二量化領域が必要である。関連する亜鉛フィンガータンパク質において突然変異、Aiolosを有するマウスは、B細胞リンパ腫にかかりやすい。化学的に誘発されたネズミリンパ腫において、Znfn1a1遺伝子を取り巻くマーカー上の対立遺伝子損失が分析された腫瘍の27%において検出された。さらに、特異的Ikaros発現は、初代培養マウスホルモン産生下垂体前葉細胞で見られ繊維芽細胞成長因子レセプター4(FGFR4)に対して重要であり、それ自体は正常および腫瘍性下垂体において差次的に発現するFGFR4とともに、多数の内分泌細胞のホルモン特性および増殖特性と関係している。さらに、IkarosはSWI/SNFタンパク質を含有するクロマチンリモデリング複合体と結合し、ポリコーム機能と拮抗する。興味深いことに、開示されたARCHEONのテロメア末端、SWI/SNF複合体メンバーSMARCE1(=クロマチンのSWI/SNF関連性、マトリックス会合性、アクチン依存性レギュレーター)が位置し、前記増幅の一部に含まれる。Ikarosとパリンドローム結合タンパク質(PBP)の関連する結合特異性のために、ZNFN1A3はHer2/neuエンハンサーを調節することができることが示唆される。
PPP1R1B
中脳ドーパミン作用性ニューロンは多数の脳機能において重要な役割を果たし、ドーパミン作用性経路を介した異常なシグナリングはいくつかの主要な神経および精神障害に関係している。ドーパミンの作用について一つのよく研究された標的は、DARPP32である。極端にドーパミンおよびグルタメートで刺激されたラット尾状核−皮殻において、DARPP32は、ドーパミンD1レセプターを発現する中程度のサイズのとげ状ニューロンにおいて発現される。DARPPの機能は、レセプター刺激により調節されるようである。ドーパミン作用性およびグルタメート作用性(NMDA)レセプター刺激はいずれもDARPP32リン酸化の程度を調節するが、反対方向である。
ヒトDARPP32は、線条体cDNAライブラリーから単離された。204アミノ酸DARPP32タンパク質は、ウシおよびラットDARPP32タンパク質とそれぞれ88%と85%の配列同一性を共有する。DARPP32配列は、N末端付近が特に保存されており、そこがタンパク質の活性部分に相当する。ノザンブロット分析により、2.1kbのDARPP32mRNAがヒト尾状核において皮質におけるよりも高度に発現されることが証明された。死後のヒト脳に対するインサイチュハイブリダイゼーションは、全ての大脳新皮質においてDARPP32発現のレベルは低く、表面層においてハイブリダイゼーションは最強であること示した。CDK5はインビトロおよび無傷の脳細胞におけるDARPP32をリン酸化した。phospho−thr75DARPP32は競合的メカニズムによりPKAをインビトロで抑制する。線条体細胞において、CDK5−特異的インヒビターによるか、または遺伝子組み換えマウスを使用することによりphospho−thr75DARPP32を減少させると、結果としてPKAのドーパミン誘発性リン酸化が増大し、ピーク電圧でゲートされたカルシウム電流が増大した。かくして、DARPP32は、別個のメカニズムにより、セリン/トレオニンキナーゼおよびセリン/トレオニンホスファターゼを制御する二機能シグナル伝達分子である。
CACNB1
1991年、ラット脳cDNAライブラリーからウサギ骨格筋ジヒドロピリジン感受性カルシウムチャネルベータサブユニットと高い相同性を有するタンパク質をコードするcDNAクローン[Pragnellら、(1991)、(4)]。このラット脳ベータサブユニットcDNAは、大脳半球と海馬において高レベルで発現されるが、小脳においてはずっと低いレベルで発現される3.4−kbメッセージとハイブリダイズした。オープンリーディングフレームは、骨格筋ベータサブユニットと82%相同性である、予想される量が65679Daの597のアミノ酸をコードする。対応するヒトベータサブユニット遺伝子は、体細胞ハイブリッドの分析により染色体17に局在化していた。著者らは、骨格筋におけるそのイソ型と非常に類似している一次構造を有する、コードされた脳ベータサブユニットは、ニューロンカルシウムチャネルの全体的調節成分としての類似した役割を有し得ることを示唆した。
RPL19
リボソームは、原核生物と真核生物間で保存される唯一の細胞器官である。真核細胞において、この細胞器官は60S大サブユニットと40S小サブユニットから成る。哺乳動物リボソームは、4種のRNAと約80の異なるリボソームタンパク質を含み、そのほとんどは等モル量で存在するようである。哺乳動物細胞において、リボソームタンパク質は全体の細胞タンパク質の15%を占め、全細胞mRNAの7から9%を占め得る異なるリボソームタンパク質遺伝子の発現は、タンパク質合成についての細胞の様々な要件にあうように協調的に調節される。哺乳動物リボソームタンパク質遺伝子は多重遺伝子ファミリーのメンバーであり、そのほとんどが多数の処理された偽遺伝子と単機能イントロン含有遺伝子からなる。多数の偽遺伝子の存在は、機能的リボソームタンパク質遺伝子の研究の妨げであった。体細胞ハイブリッドの研究により、6の哺乳動物リボソームタンパク質cDNAと相補性のDNA配列は、染色体5、8および17に割り当てられることが解明された。10の断片が3染色体にマップされた[Nakamichiら、1986、(5)]。これらはおそらくは機能性(発現された)遺伝子と偽遺伝子の混合物である。5q23−q33に位置するものは、種間ハイブリッドにおけるチャイニーズハムスターエメチン耐性突然変異を援助し、従って、転写的に活性なRPS14遺伝子である。1989年に、多数の偽遺伝子の存在下でイントロン含有遺伝子を検出するためのPCRベースの方法が記載された。この技術は、7のヒトリボソームタンパク質遺伝子のイントロン含有PCR産物を同定するため、およびヒト/齧歯類体細胞ハイブリッドに対するハイブリダイゼーションによりその染色体位置をマップするために用いられた[Feoら、1992、(6)]。すべての7のリボソームタンパク質遺伝子は、異なる染色体上にあることが見いだされた:RPL19は17p12−q11上;RPL30は8上;RPL35Aは18上;RPL36Aは14上;RPS6は9pter−p13上;RPS11は19cen−qter上;RPS17は11pter−p13上。これらは、すでにマップされたリボソームタンパク質遺伝子(染色体5上のS14、XqおよびYp上のS4、および9q3−q34上のRP117A)の染色体位置と異なる部位でもある。蛍光インサイチュハイブリダイゼーションにより、RPL19遺伝子の位置が17q11にマップされた[Daviesら、1989、(7)]。
PPARBP、PBP、CRSP1、CRSP200、TRIP2、TRAP220、RB18A、DRIP230
甲状腺ホルモンレセプター(TR)は、様々な特異的標的遺伝子の発現を調節するホルモン依存性転写因子である。これらは、そのはじめの翻訳および核転座からレチノイドXレセプター(RXR)とのヘテロ二量化、他の転写因子との機能的相互作用および基本的転写器官、および最後に分解へと進行する際に、多くのタンパク質と特異的に相互作用する。TRの転写効果および他の潜在的な機能の基礎となるメカニズムの解明を助けるために、酵母相互作用トラップ、酵母2−ハイブリッド系のバージョンを用いて、TR−ベータ−1(THRB)のリガンド結合領域と特異的に相互作用するタンパク質を同定した [Leeら、1995、(8)]。著者らは、TRIP2を含むいくつかの異なるTR−相互作用タンパク質(TRIP)をコードするHeLa細胞cDNAを単離した。TRIP2は甲状腺ホルモンの存在下のみでラットThrbと相互作用した。これは、RXR−アルファとリガンド−独立性相互作用を示すが、どのような条件下でもグルココルチコイドレセプター(NR3C1)とは相互作用しなかった。ヒトBリンパ腫細胞cDNA発現ライブラリーを、抗p53モノクローナル抗体PAb1801を用いてイムノスクリーニングすることにより、PPARBPが同定され、これを「PAb1801モノクローナル抗体により認識された」としてRB18Aと呼んだ[Draneら、1997、(9)]。予想1566アミノ酸RB18Aタンパク質はいくつかの潜在的な核局在化シグナル、13の潜在的なN−グリコシル化部位、および多数の潜在的なリン酸化部位を含む。p53との共通の抗原性決定因子を共有するにもかかわらず、RB18Aはp53と著しいヌクレオチドまたはアミノ酸配列類似性を示さない。RB18Aの分子量の計算値は166kDであるが、組み換えRB18Aの見かけの分子量はSDS−PAGE分析によると205kDであった。著者らは、RB18Aはp53とDNA結合、p53結合、および自己オリゴマー化を含む機能的特性を共有することを示した。さらに、RB18Aは、p53のDNAに対する配列特異的結合を活性化でき、これは量タンパク質間の不安定な相互作用により誘発された。ヒト組織のノザンブロット分析により、腎臓をのぞく試験されたすべての組織において8.5kbのRB18A転写物が検出され、心臓において最も発現が高かった。さらに、マウスPparbpは、「Ppar−結合タンパク質」としてPbpとよばれるが、酵母2−ハイブリッドシステムにおいてPpar−ガンマ(PPARG)リガンド−結合領域と相互作用するタンパク質として同定された[Zhuら、1997、(10)]。本発明者らは、PbpはPPAR−アルファ(PPARA)、RAR−アルファ(RARA)、RXR、およびTR−ベータ−1とインビトロで結合することも見いだした。Pbpのこれらのレセプターとの結合は、特定のリガンドの存在下で増大した。PPAR−ガンマのC末端からの最後の12アミノ酸欠失果、PbpとPPAR−ガンマ間の相互作用がなくなった。Pbpは適度にPPAR−ガンマの転写活性を増大させ、Pbpの切断型ドミナントネガティヴリプレッサーとして作用し、このことは、PbpがPPARの真性転写コアクチベーターであることを示唆する。予想1560のアミノ酸Pbpタンパク質は2のLXXLLモチーフを含み、これは核レセプターに対するいくつかのコアクチベーターの結合に必要であり、十分であると考えられる。ノザンブロット分析は、試験されたすべてのマウス組織においてPbp発現を検出し、肝臓、腎臓、肺、および精巣において高レベルであった。インサイチュハイブリダイゼーションは、マウス個体発生中にPbpが発現されることを示し、このことは、Pbpの細胞増殖および分化における可能な役割を示唆する。成体マウスにおいて、インサイチュハイブリダイゼーションは肝臓、肺における気管支上皮、腸粘膜、腎皮質、胸腺皮質、脾臓小胞、および精巣における精上皮においてPbp発現を検出した。TRAP220とよばれるラテロンPPARBPが免疫精製されたTR−アルファ(THRA)−TRAP複合体から同定された[Yuanら、1998、(11)]。著者らは、TRAP220をコードするJurkat細胞cDNAをクローンした。予想1581のアミノ酸TRAP220タンパク質はLXXLL領域を含み、これは他の核レセプター相互作用タンパク質において見いだされる。TRAP220はほとんどRB18Aと同一であり、これらのタンパク質は主に延長されたTRAP220上N末端により異なる。TR−アルファの非存在下で、TRAP220は他のTRAPとの一つの複合体中に存在するようである。TRAP220はTR−アルファと直接リガンド依存性相互作用を示し、これはTR−アルファのC末端と、少なくとも一部にはTRAP220のLXXLL領域により媒介された。TRAP220はまた、ビタミンDレセプター、RARA、RXRA、PPARA、PPARG、およびエストロゲンレセプター−アルファ(ESR1;133430)を含む他の核レセプターと、リガンドに依拠した方法で相互作用した。TRAP220は形質移入された細胞においてヒトTR−アルファ媒介性の転写を適度に刺激したのに対して、LXXLLモチーフを含む断片は、形質移入された細胞および無細胞転写システムの両方において核レセプター媒介性転写のドミナントネガティヴなインヒビターとして作用した。さらなる研究により、TRAP220はTR−アルファ−TRAP複合体の機能時に他のTRAPをTR−アルファに固定する際に主要な役割を果たすこと、およびTRAP220が核レセプタースーパーファミリーの包括的なコアクチベーターであり得ることが示された。核レセプターコアクチベーターであるPBPは、エストロゲンの非存在下でエストロゲンレセプター−アルファ(ESR1)と相互作用する。この相互作用は、エストロゲンの存在下で向上されるが、抗エストロゲンタモキシフェンの存在下で低減される。PBPの培養細胞中へのトランスフェクションの結果、エストロゲン依存性転写が向上され、このことはPBPがエストロゲンレセプターシグナリングにおいてコアクチベーターとしての働きをすることを示す。PBPの過剰発現が、エストロゲンレセプターシグナリングにおけるそのコアクチベーター機能のために乳ガンにおいて役割を果たすかどうかを調べるために、乳房腫瘍におけるPBP発現のレベルを測定した[Zhu ら、1999、(12)]。リボヌクレアーゼ保護分析、インサイチュハイブリダイゼーション、およびイムノペルオキシダーゼ染色によりほぼ50%の原発乳ガンおよび乳ガン細胞系において高いレベルのPBP発現が検出された。FISHを使用することにより、著者らはPBP遺伝子をいくつかの乳ガンにおいて増幅される領域である17q12にマップした。約24%(25のうち6)の乳房腫瘍および約30%(6のうち2)の乳ガン細胞系においてPBP遺伝子増幅が見いだされ、これはPBP遺伝子過剰発現が遺伝子の増幅と関係なく起こり得ることを意味する。PBP遺伝子は全部で37kb以上におよぶ17のエキソンを含むことが確認された。この知見、特にPBP遺伝子増幅は、PBPがそのエストロゲンレセプター−アルファコアクチベーターとして機能する能力により乳房上皮分化および乳房発ガン性において役割を果たし得ることを示唆した。
テレソニン
テレソニン(telethonin)は、もっぱら横紋筋および心筋においてみられる19kDのサルコメアタンパク質である。これは成人骨格筋および培養された筋細胞のZディスクに局在化するようである。テレソニンはチチン(titin)の基質であり、他のサルコメアタンパク質に対し空間的に規定された結合部位を提供することによりサルコメアの組み立てについての分子の「定規」として作用する。リン酸化およびカルシウム/カルモジュリン結合による活性化の後、チチンは早期分化筋細胞においてテレソニンのC−末端領域をリン酸化する。テレソニン遺伝子はフェニルエタノールアミンN−メチルトランスフェラーゼ遺伝子に隣接する17q12にマップされている[Valleら、1997、(16)]。
PENT、PNMT
フェニルエタノールアミンN−メチルトランスフェラーゼは、カテコールアミンの生合成の最終段階である、ノルエピネフリンからのエピネフリンの合成を触媒する。cDNAクローンは1998年に、ウシの酵素から得られるトリプシンペプチドの部分アミノ酸配列に基づいて合成される混合オリゴデオキシリボヌクレオチドプローブを用いてウシ副腎髄質PNMTについて最初に単離され[Kanedaら、1988、(17)]。ウシcDNAをプローブとして使用して、著者らはヒト褐色細胞腫cDNAライブラリーをスクリーニングし、約1.0kbの挿入物を有するcDNAクローンを単離し、これは、酵素の完全コーディング領域を含んでいた。ヒト褐色細胞腫のポリアデニル化されたRNAをこのcDNA挿入物をプローブとして用いてノーザンブロット分析したところ、約1000ヌクレオチドの一つのRNA種が明らかになり、このクローンは完全長cDNAであることを示唆する。ヌクレオチド配列は、ヒトPNMTが予想される分子量が30853の、最初のメチオニンを含む282のアミノ酸残基を有することを示した。アミノ酸配列はウシ酵素のものと88%相同性であった。PNMT遺伝子は約2100塩基対である3のエキソンと2のイントロンからなることが見いだされた。トランスジェニックマウスにおいて遺伝子は副腎髄質および網膜において発現されることが示された。サルウイルス40初期領域と融合した2kbのPNMT5−フランキング領域からなるハイブリッド遺伝子は、結果として副腎および眼において腫瘍抗原mRNA発現生じ;さらに、免疫細胞化学により、腫瘍抗原が副腎髄質細胞の核および網膜の内部核細胞層の細胞(両方ともエピネフリン合成の顕著な部位)に局在化していることが示された。この結果は、これらの細胞タイプにおける遺伝子の適当な発現のエンハンサーは遺伝子の2kb5−フランキング領域にあることを示す。
Kanedaら、1988(17)は、マウス−ヒト体細胞ハイブリッドからのDNAのサザンブロット分析によりヒトPNMT遺伝子を染色体17に割り当てた。1992年に、PNMT遺伝子に関連するRFLPおよびいくつかの17qDNAマーカーを用いた結合分析により局在化は17q21−22に絞られた[Hoecheら、1992,(18)]。この知見は、ラット染色体10上に存在する、卒中傾向の自然発症高血圧ラット(SHR−SP)における血圧調節と関連する遺伝子座が、ヒト染色体17q22−q24に対応する連鎖シンテニー集団に保存されているという説明の点で興味深い。
MGC9753
この遺伝子はRefSeqにによると染色体17上、17q12マップされる。これは非常に高レベルで発現される。これは、cDNAクローンにより定義され、選択的スプライシングにより産生され、7の異なる転写物を得ることができ(配列番号:60〜66および83〜89、表1)、一緒になって7の異なるタンパク質イソ型をコードする。特に興味深いのは、2.55kbのmRNAによりコードされる推定分泌イソ型である。そのプレメッセンジャーはゲノム上の16.94kbを包含する。これは非常に長い3’UTRを有する。タンパク質(266aa、MW24.6kDa、pI8.5)はPfamモチーフを含まない。MGC9753遺伝子は、選択的スプライシングにより、7の異なるタンパク質をコードすることが予想される7種の転写物を産生する。これは13の確認されたイントロンを含み、そのうちの10は選択的である。ゲノム配列との比較により、11のイントロンは共通[gt−ag]則に従うことが示され、1は[tg cg]は良く維持されているが異型である。6の最も豊富なイソ型は、a)からi)により表され、次のようにタンパク質をコードする:
a)このmRNAは3.03kbの長さであり、そのプレメッセンジャーはゲノム上の16.95kbを包含する。これは非常に長い3’UTRを有する。タンパク質(190aa、MW21.5kDa、pI7.2)はPfamモチーフを含まない。これは小胞体において局在化することが予想される。
c)このmRNAは1.17kbの長さであり、そのプレメッセンジャーはゲノム上の16.93kbを包含する。これはN末端で不完全である可能性がある。タンパク質(368aa、MW41.5kDa、pI7.3)はPfamモチーフを含まない。
d)このmRNAは3.17kbの長さであり、そのプレメッセンジャーはゲノム上の16.94kbを包含する。これは非常に長い3’UTRおよび5’UTRを有する。タンパク質(190aa、MW21.5kDa、pI7.2)はPfamモチーフを含まない。これは小胞体において局在化することが予想される。
g)このmRNAは2.55kbの長さであり、そのプレメッセンジャーはゲノム上の16.94kbを包含する。これは非常に長い3’UTRを有する。タンパク質(226aa、MW24.6kDa、pI8.5)はPfamモチーフを含まない。これは分泌されることが予想される。
h)このmRNAは2.68kbの長さであり、そのプレメッセンジャーはゲノム上の16.94kbを包含する。これは非常に長い3’UTRを有する。タンパク質(320aa、MW36.5kDa、pI6.8)はPfamモチーフを含まない。これは小胞体において局在化することが予想される。
i)このmRNAは2.34kbの長さであり、そのプレメッセンジャーはゲノム上の16.94kbを包含する。これはN末端で不完全である可能性がある。タンパク質(217aa、MW24.4kDa、pI5.9)はPfamモチーフを含まない。
MCG9753遺伝子は染色体17q12上に位置するCAB2遺伝子に対して相同体である可能性がある。DNA二本鎖切断を修復するために必要な酵母COS16のヒト相同であるCAB2をクローンした。そのGFP融合タンパク質で形質移入された細胞の自己蛍光分析により、CAB2が小胞中に移動することが示され、CAB2の過剰発現は、酵母と同様に、小胞中に蓄積することにより細胞内Mn−(2+)を減少させることができる。
Her−2/neu、ERBB2、NGL、TKR1
本来NEUと呼ばれる腫瘍遺伝子はラット神経/神経膠芽細胞腫細胞型由来であった。これは腫瘍抗原p185をコードし、これは血清学的に表皮成長因子レセプターEGFRに関連する。EGFRは染色体7にマップされる。1985年に、NGL(ノイラミニダーゼとの混同を避けるために、NEUとも表す)と表されるヒト相同体は、インサイチュハイブリダイゼーションにより17q12−q22および体細胞ハイブリッドにおいて17q21−qterにマップされることが分かった[Yang−Fengら、1985、(19)]。従って、SROは17q21−q22である。さらに、1985年に、チロシンキナーゼ遺伝子ファミリーの潜在的な細胞表面レセプターが同定され、遺伝子をクローニングすることにより特徴づけられた[Coussensら、1985、(20)]。その主な配列は、ヒト表皮成長因子レセプターと非常に類似している。そのヒトEGFレセプターに対する外観上の密接な関連性のために、著者らはこの遺伝子をHER2と呼んだ。体細胞ハイブリッドDNAのサザンブロット分析およびインサイチュハイブリダイゼーションにより、この遺伝子は17q12−q22に割り当てら得た。この遺伝子の染色体位置は、NEU腫瘍遺伝子と一致し、このことは、二つの遺伝子が実際に同じであることを示唆し;配列決定はこれらが同一であることを示す。1988年に、NEUタンパク質の過剰発現と大細胞面皰成長タイプの管ガンの間の相互関係が見いだされた[van de Vijverら、1988、(21)]。しかしながら、著者らはリンパ節状態または腫瘍再発との相互関係は見いださなかった。乳ガンおよび卵巣ガンにおけるHER2/NEUの役割は、1989年に記載され、これは合わせて女性における全てのガンの1/3および女性におけるガンに関連した死の1/4の原因である[Slamonら、1989、(22)]。
ERBB遺伝子と別個のERBB1と呼ばれるERBB関連遺伝子が1985年に見いだされた。ERBB2は陰門ガン細胞においてEGFR増幅で増幅されず、EGFレセプターmRNAと反応しなかった。約30倍のERBB2の増幅が唾液腺のヒト腺ガンにおいて観察された。速度沈降およびサザンハイブリダイゼーションと組み合わせた染色体選別により、ERBB2遺伝子は染色体17に割り当てられた[Fukushigeら、1986、(23)]。選別された染色体および中期染色体にゲノムプローブをハイブリダイゼーションさせることにより、ERBB2座を17q21にマップした。これは急性前骨髄細胞性白血病(APL)における染色体17ブレークポイントである。さらに、胃ガン細胞系におけるERBB2遺伝子の増幅および向上された発現が観察された。ERABAB2ヌクレオチド配列由来のタンパク質のCOOH末端の14アミノ酸残基に対応する合成ペプチドに対する抗体は、1986年に得られた。これらの抗体により、腺ガン細胞から得られるERBB2遺伝子産物は沈殿し、チロシンキナーゼ活性を有する185kD糖タンパク質であることが示された。ERBB2のcDNAプローブおよび15;17染色体転座を有するAPL細胞に対するインサイチュハイブリダイゼーションにより遺伝子はこのブレークポイントの近位の側に位置することが確認された[Kanekoら、1987、(24)]。著者らは、遺伝子とブレークポイントの両方ともバンド17q21.1に位置し、さらにERBB2遺伝子は白血病発症において関与することを見いだした。1987年に、実験によりNEUおよびHER2は両方ともERBB2と同じであることが示された[Di Fioreら、1987、(25)]。著者らは、過剰発現単独で正常な成長因子レセプターの遺伝子、すなわちERBB2を腫瘍遺伝子に変換できることを示した。ERBB2はインサイチュハイブリダイゼーションにより17q11−q21にされた[Popescuら、1989、(26)]。15と17の間に構造上の転座を有する繊維芽細胞由来の染色体に対するインサイチュハイブリダイゼーションにより、ERBB2遺伝子は誘導染色体15に移転されることが示され;従って遺伝子は17q12−q21.32に局在化することができる。17q12−q21領域において多数のDNAマーカーを用いたファミリーリンケージ研究により、ERBB2遺伝子はこの領域の遺伝子マップ上に配置された。
ERBB2の過剰発現は、乳ガンにおけるタキソール(Taxol)耐性を付与する。ERBB2の過剰発現は、タキソール誘発アポトーシスを抑制する[Yuら、1998、(28)]。タキソールはMDA−MB−435乳ガン細胞においてCDC2キナーゼを活性化し、G2/M期での細胞サイクル停止、その後アポトーシスに至る。CDC2の化学的インヒビターおよびCDC2のドミナント−ネガティブ突然変異体は、これらの細胞においてタキソール誘発アポトーシスをブロックした。トランスフェクションによるMDA−MB−435細胞におけるERBB2の過剰発現はCDC2と関連するCDKN1Aを増加調節し、タキソール媒介CDC2活性化を抑制し、細胞がG2/M期へ入るのを遅らせ、これによりタキソールにより誘発されるアポトーシスを抑制する。CDKN1Aにおいて、アンチセンスで形質移入されたMDA−MB−435細胞またはp21−/−MEF細胞において、ERBB2はタキソールにより誘発されるアポトーシスを抑制できなかった。従って、CDKN1Aは、ERBB2−過剰発現乳ガン細胞におけるタキソールによるアポトーシスに対する耐性に貢献するG2/Mチェックポイントの調節に関与する。
ヘルスタチンと称する約68kDの分泌されたタンパク質がイントロン8を保持する選択的ERBB2転写物の産物として記載された[Dohertyら、1999、(29)]。この選択的転写物は、p185ERBB2の細胞外領域のサブドメインIおよびIIと同一の340残基およびそれに続くイントロン8によりコードされる79アミノ酸のユニークC末端配列を指定している。選択的転写物の組み換え産物はERBB2で形質移入された細胞と特異的に結合し、p185ERBB2と化学的に架橋し、一方イントロンでコードされる配列は単独で形質移入された細胞と高い親和性で結合し、細胞抽出物から可溶化されるp185と結合した。ヘルスタチンmRNAは正常なヒト胎児腎臓および肝臓において発現されたが、増幅されたERBB2遺伝子を含むガン細胞におけるp185ERBB2と比べて低いレベルであった。ヘルスタチンは、二量体を分裂させ、p185のチロシンリン酸化を減少させ、ERBB2を過剰発現する形質転換された細胞の足場非依存性増殖を抑制するので、p185ERABB2のインヒビターであると思われる。HER2遺伝子は増幅され、HER2は乳ガンの25〜30%において過剰発現され、腫瘍の攻撃性を増大させる。最後に、HER2に対する組み換えモノクローナル抗体はHERを過剰発現する転移性乳ガンにおける初回化学療法の臨床的利益を増大させることが分かった[Slamonら、2001、(30)]。
GRB7
成長因子レセプターチロシンキナーゼ(GF−RTK)は細胞サイクルの活性化に関与する。GF−RTKのいくつかの基質はSrc−相同性2(SH2)およびSH3ドメインを含む。SH2ドメイン含有タンパク質はチロシンキナーゼシグナリングにおいて重要な様々な分子である。高発現マウスライブラリーをスクリーニングするためのCORT(レセプター標的のクローニング)法を用いて、535のアミノ酸のタンパク質をコードするネズミGrb7の遺伝子を単離した[Margolisら、1992、(31)]。GRB7はras−GAP(ras−GTPase−活性化タンパク質)と相同性である。これはSH2ドメインを含み、肝臓および腎臓において高度に発現される。この遺伝子は、GRB7ファミリーを規定し、そのメンバーはマウス遺伝子Grb10とヒト遺伝子GRB14を含む。
推定GRBシグナル伝達分子および侵襲性ヒト食道ガンからのGRB7V新規スプライス変異体が単離された[Tanakaら、1998、(32)]。両GRB7イソ型はCaenorhabditis elegansのMig−10細胞移動遺伝子と相同性を共有するが、GRB7Vイソ型はC末端において88塩基対が欠失し;結果として得られるフレームシフトによりSH2ドメインが短疎水性配列で置換された。GRB7Vイソ型ではなく野生型GRB7タンパク質は食道ガン細胞においてEGF刺激に応答して迅速にチロシルリン酸化された。ヒト食道腫瘍細胞および転移を有する所属リンパ節の分析により、GRB7Vは40%のGRB7−陽性食道ガンにおいて発現されたことが明らかになった。GRB7V発現は、もとの腫瘍組織と比較して、転移がリンパ節に広がった後に向上された。アンチセンスGRB7RNA発現構築物のトランスフェクションは内因性GRB7タンパク質レベルを低下させ、食道ガン細胞により示される侵襲性表現型を抑制した。これらの発見により、GRB7イソ型は細胞侵襲およびヒト食道ガンの転移進行に関与することが示唆された。配列分析により、GRB7遺伝子はトポイソメラーゼ−2遺伝子の近くの、染色体17q21−q22にマップされた[Dongら、1997、(33)]。GRB−7はHER2と共にいくつかの乳ガン細胞系において過剰発現され、このGRB−7は細胞系および乳房腫瘍の両者において過剰発現される。GRB−7はそのSH2ドメインによりHER2としっかりと結合し、SKBR−3細胞におけるチロシンリン酸化HER2の大フラクションGRB−7と結合する[Steinら、1994、(34)]。
GCSF、CSF3
顆粒球コロニー刺激因子(またはコロニー刺激因子−3)は顆粒球の先祖細胞の増殖および分化を特異的に刺激する。精製されたGCSFタンパク質の部分的アミノ酸配列を決定し、プローブとしてオリゴヌクレオチドを用いて、いくつかのGCSFcDNAクローンをヒト扁平上皮ガン細胞系cDNAライブラリーから単離した[Nagataら、1986、(35)]。ヒトGCSFcDNAのクローニングは、一つの遺伝子が分子量19600の177または180アミノ酸成熟タンパク質をコードすることを示す。著者らは、GCSF遺伝子が4のイントロンを有し、mRNAの差次的スプライシングにより2の異なるポリペプチドが同じ遺伝子から合成されることを見いだした。2のポリペプチドは3アミノ酸の存在または不在により異なる。発現の研究により、両者は真性GCSF活性を有することが示される。膀胱細胞系(bladder cell line)により産生されるGCSFと生物学的、生化学的に区別できない神経膠芽細胞腫多形細胞系からの刺激活性が1987年に見いだされた。体細胞ハイブリダイゼーションおよびインサイチュ染色体ハイブリダイゼーションにより、GCSF遺伝子は急性前骨髄細胞性白血病の15;17転座特性におけるブレークポイントの領域において17q11にマップされた[Le Beauら、1987,(36)]。さらなる研究により、遺伝子は前記ブレークポイントに近接し、再配列された染色体17上に残存することが示された。従来性およびパルスフィールドゲル電気泳動法の両方を用いたサザンブロット分析では、再配列された制限断片は示されなかった。完全長cDNAクローンをヒト−マウス体細胞ハイブリッドおよびフローソーティングしたヒト染色体においてハイブリダイゼーションプローブとして用いることにより、GCSFの遺伝子は17q21−q22ラテロンにマップされた。
THRA、THRA1、ERBA、EAR7、ERBA2、ERBA3
ヒトおよびマウスDNAは両方とも2つの関連性の少ないクラスのERBA遺伝子を有し、ヒトゲノムにはその一方のクラスが複数存在することが証明された[Janssonら、1983、(37)]。ヒト甲状腺レセプター遺伝子に対する相同性に基づいてラット脳メッセンジャーRNAからcDNAが単離された[Thompsonら、1987、(38)]。このcDNAの発現は甲状腺ホルモンに対する高親和性結合タンパク質を産生した。この遺伝子から得られるメッセンジャーRNAは組織特異的方法で発現され、中枢神経系で最高レベルであり、肝臓においては発現されなかった。多数の甲状腺ホルモンレセプターの存在を示す一連の証拠が増えつつある。著者らは、5の異なるが関連する座があることを示唆した。多くの臨床および生理学的研究により、多数のレセプターの存在が示唆された。たとえば、患者が、ニューロンの機能は維持されるが、甲状腺ホルモンに対するその末梢応答が失われるかまたは減少している家族性の甲状腺ホルモン耐性を有することが確認された。甲状腺学者は、神経系が非常に影響を受けるクレチン病の一つの形態と甲状腺ホルモンの末梢機能がさらに多大な影響を受けるもう一つの形態を認識している。
ヒト肝臓、腎臓、胎盤、および脳において発現される甲状腺ホルモンレセプターの特定の形態をコードするcDNAが単離された[Nakaiら、1988、(39)]。同じクローンがヒト胎盤において見いだされた。cDNAは490のアミノ鎖および分子量54824を有するタンパク質をコードする。甲状腺ホルモンレセプターアルファ−2型(THRA2)と表されるこのタンパク質は、肝臓および腎臓において異なるサイズのmRNAにより表され、これは一次転写物の組織特異的処理を表す可能性がある
THRA遺伝子は27kbのDNAを含む10のエキソンを含む。この遺伝子の最後の2のエキソンは、選択的にスプライスされる。5kbのTHRA1mRNAは予想410アミノ酸タンパク質をコードし;2.7kbTHRA2mRNAは490アミノ酸タンパク質をコードする。第三のイソ型、TR−アルファ−3は選択的スプライシングにより得られる。TH−アルファ−2特異的配列の約39アミノ酸がTR−アルファ−3において欠失している。第二の遺伝子、染色体3上のTHRBは、選択的スプライシングによりTR−ベータの2つのイソ型をコードする。1989年に、EAR1およびEAR7遺伝子の構造および機能が解明され、両方とも17q21上にあった[Miyajimaら、1989、(40)]。著者らは、EAR7コーディング配列におけるエキソンの一つはEAR1のエキソンと重複し、2つの遺伝子が相対するDNA鎖から転写されることを確認した。加えて、EAR7mRNAは、2つの選択的スプライスされたイソ型(EAR71およびEAR72と称する)を生じ、そのうち、EAR71タンパク質はトリc−erbAタンパク質のヒトカウンターパートである。
甲状腺ホルモンレセプター、ベータ、アルファ−1,およびアルファ−2RNAは調べた全ての組織において発現され、3つのmRNAの相対量はおよそ類似していた。3つのmRNAのうちのいずれも、主な甲状腺ホルモン−応答器官であるの肝臓においては豊富にない。これにより、もう一つの甲状腺ホルモンレセプターが肝臓に存在する可能性があるという仮説が導かれる。ERBBを増強するERBAは、他の公知の腫瘍遺伝子産物と異なり、炭酸脱水酵素と関連するアミノ酸配列を有することが見いだされた[Debuireら、1984、(41)]。ERBAは未分化期の赤芽の分化をブロックすることによりERBBを増強する。炭酸脱水酵素は赤血球における二酸化炭素の輸送に関与する。1986年に、ERBAタンパク質は甲状腺ホルモンの高親和性レセプターであることが示された。cDNA配列はステロイドホルモンレセプターとの関連性を示し、結合研究により、甲状腺ホルモンのレセプターであることが示される。これは核に位置し、ここでDNAと結合し、転写を活性化する。
母体の甲状腺ホルモンは妊娠早期に胎児に移され、脳発生を制御すると仮定されている。第一三半期の9の胎児の脳におけるTRイソ型および関連するスプライス変異体の個体発生は、半定量的RT−PCR分析により調べられている。TR−ベータ−1、TR−アルファ−1、およびTR−アルファ−2イソ型の発現は妊娠8.1週から検出された。さらなる切断型種がTR−アルファ−2プライマーセットにより検出され、ラットにおいて記載されているTR−アルファ−3スプライス変異体と一致した。TR−アルファ−由来の転写物は協調的に発現され、妊娠8.1週から13.9週の間に約8倍に増大した。より複雑な個体発生パターンがTR−ベータ−1について観察され、これは妊娠8.4週から12.0週の間の最下点を示唆する。著者らは、これらの発見は、第一三半期の胎児脳発生時に母体の甲状腺ホルモン作用を媒介する際のTR−アルファ−1イソ型の重要な役割を示すと結論づけた。
いくつかの種類の甲状腺ホルモンレセプターの同定は、様々な器官の甲状腺ホルモン反応性における正常なバリエーションおよび甲状腺ホルモン耐性症候群においてみられる選択的組織異常を説明できる。甲状腺ホルモン作用に対して耐性の兄弟姉妹のメンバーは、成長が遅れ、先天性難聴、および骨の異常があったが、知能および性的成熟は正常であり、心血管活性は増強されていた。この家族において、血球および繊維芽細胞異常なT3核レセプターが示された。様々な甲状腺ホルモンレセプターをコードするcDNAの有効性は、この家族における根元的な遺伝子欠損を決定するのに有用であると考えられた。
ERBA腫瘍遺伝子は、染色体17に割り当てられている。ERBA座は急性前骨髄細胞性白血病(APL)のt(15;17)転座において染色体17上に残存する。チミジンキナーゼ座はおそらくは染色体15に転座され;t(17;21)および見かけ上同じブレークポイントを有する白血病の研究により、TKは21q+上にあることが示された。c−erb−AのクローンされたDNAプローブの未培養精母細胞から得られる減数分裂パキテン期に対するインサイチュハイブリダイゼーションにより、ERBAはAPLにおいてみられるt(15;17)を生じるブレークと同じ領域において、17q21.33−17q22に位置すると結論づけられた。ほとんどの粒状物は17q22においてみられるので、ERBAはおそらくは17q22に近い領域または17q22と17q21.33の接合点にあることが示唆された。インサイチュハイブリダイゼーションにより、ERBAはAPLにおいて17q11−q12で残存し、一方、17q21−q22のTP53は染色体15に転座されることが示された。このように、RBAはAPL転座におけるブレークポイントのすぐ近くで、構造転座におけるそれからすぐ遠位の17q11.2になければならない。
非機能性下垂体腫瘍における迷走性THRA発現は、レセプターコーディングおよび調節配列における突然変異を反映するという仮説が立てられている。THRA mRNAおよびTHRB応答エレメントおよび配列異常のリガンド結合ドメインがスクリーニングされた。RNAseミスマッチにより23の腫瘍から得られるTHRAmRNAのスクリーニングおよび候補断片の配列決定により、1サイレントおよび3ミスセンス突然変異が確認され、このうち2つは共通のTHRA領域にあり、1つはアルファ−2イソ型について特異性であった。14の非機能性腫瘍においてTHRB応答エレメントの差は検出されず、THRBリガンド結合ドメインの差は23の非機能性腫瘍において検出されなかった。従って、新規甲状腺レセプター突然変異は甲状腺レセプター作用の点で機能的に重要であり、その機能特性の更なる定義づけは下垂体細胞における成長制御における甲状腺レセプターの役割を解明することが示唆される。
RAR−アルファ
高親和性でレチノイン酸を結合するタンパク質をコードするcDNAがクローンされた[Petkovichら、1987、(42)]。タンパク質はステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、およびビタミンD3のレセプターと相同性であることが判明し、レチノイン酸誘導性トランス作用性エンハンサー因子であると思われる。従って、胚発生に対するビタミンAの効果、分化作用および腫瘍細胞成長の分子メカニズムは、この核レセプターファミリーの他のメンバーについて記述されたもの類似している可能性がある。一般に、DNA−結合ドメインは、2グループのレセプター(ステロイドおよび甲状腺)の中およびその間で高度に保存される;cDNAプローブを使用して、RAR−アルファ遺伝子は、インサイチュハイブリダイゼーションにより17q21にマップされた[Matteiら、1988、(43)]。それぞれ染色体17q21.1および3p24にマップされる2つのレチノイン酸レセプター、RAR−アルファおよびRAR−ベータの存在についての証拠が提示されている。RARのアルファおよびベータは、核レセプターファミリーのほかのどのメンバーよりも、それぞれ17q11.2および3p25−p21に位置する2つの密接に関連した甲状腺ホルモンレセプターアルファおよびベータとより相同性であることが見いだされた。これらの観測は、甲状腺ホルモンとレチノイン酸レセプターが遺伝子によって、おそらくは染色体により、それ自体がファミリーのステロイドレセプターの共通の祖先からの進化においてかなり早期に分岐した、共通の祖先からの複製を発達させたことを示唆する。ヒトRARAおよびRARB遺伝子のカウンターパートがマウスとニワトリの両方に存在していることが指摘された。APLブレークポイントにおいてのRARAの関与は、急性骨髄性白血病の治療において治療用分化剤としてのレチノイン酸の使用がなぜAPLに限定されているかを証明できる。ほとんどすべてのAPL患者は染色体の転座t(15;17)(q22;q21)を有している。分子の研究により、転座の結果、染色体15上のPML遺伝子と染色体17上のRARA遺伝子の間の融合により、キメラ遺伝子が得られることが明らかになる。核レセプターRARAとRXRACLOCKおよびMOP4とのホルモン依存性相互作用が提示されている。
CDC18 L、CDC6
酵母において、Cdc6(サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))とCdc18(シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe))は、細胞によるDNA複製を可能にする複製開始点認識複合体(ORC)タンパク質と結合している。従って、Cdc6は酵母においてDNA複製の開始おいて重要な調節の役割を果たす。ツメガエル属(Xenopus)および酵母CDC6のヒト相同体をコードするcDNAが単離されている[Williamsら、1997、(44)]。彼らは、ヒトおよびツメガエルタンパク質をp62(cdc6)と表した。独立して、PCNAをベイトとして用いる酵母菌2−ハイブリッド分析で、ヒトCDC6/Cdc18相同体をコードするcDNAが単離された[Sahaら、1998、(45)]。これらの著者は予測された560アミノ酸のヒトタンパク質が2つの酵母菌タンパクと約33%の配列同一性を共有すると報告した。HeLa細胞抽出物のウェスタンブロットにおいて、ヒトCDC6/cdc18が66kDタンパク質として移動する。ノザンブロットは、HeLa細胞におけるCDC6/Cdc18mRNAレベルがS期の開始でピークに達し、有糸分裂の開始で減少することを示したが、著者は全体的なCDC6/Cdc18タンパク質レベルが細胞サイクル全体を通じて変化しないことを見いだした。エピトープ標識されたタンパク質の免疫蛍光分析により、ヒトCDC6/Cdc18がG1期細胞において核、S期細胞において細胞質あることが明らかになり、DNA複製が核と細胞質の間のこのタンパク質の転座あるいは核におけるタンパク質の選択的な分解により制御されることを示唆する。免疫沈降研究は、ヒトCDC6/Cdc18がインビボでサイクリン(cyclin)A、CDK2、およびORC1と結合することを示した。このサイクリン−CDK2とCDC6/Cdc18の結合は有糸分裂細胞抽出物において存在する因子により特異的に抑制された。従って、CDC6/Cdc18とS期促進因子サイクリン−CDK2間の相互作用がDNA複製の開始に必須であるならば、この相互作用の有糸分裂インヒビターによりG1における適当な時期まで早発の相互作用を防止できることが示唆されている。Cdc6は、培地および未処理動物における組織内のどちらにおいても、選択的に増殖中の哺乳動物細胞において発現されるが、静止状態の哺乳動物細胞においては発現されない[Yanら、1998、(46)]。成長停止状態から増殖状態への遷移中、哺乳動物Cdc6の転写がE2Fタンパク質により調節されることは、ヒトCdc6プロモーターの機能解析および外因的に発現されたE2Fタンパク質の内因性Cdc6遺伝子刺激能により明らかである。抗Cdc6抗体の微量注入法によるCdc6のイムノデプリーションは、ヒト腫瘍細胞系におけるDNA複製の開始をブロックした。著者は、E2Fを含む転写制御メカニズムによりヒトCdc6が有糸分裂促進シグナルに応答して制御されることおよびCdc6は哺乳動物細胞におけるDNA複製の開始に必要であることを結論づけた。
酵母菌の2つのハイブリッドのシステム、組換タンパク質の同時精製と免疫沈降を使用して、CDC6のN末端セグメントであるラテロンは、タンパクホスファターゼ2A(PP2A)の調節サブユニットであるPR48と特異的に結合することが示された。著者らは、`R48または関連するB−ダブルプライムタンパク質との特異的相互作用により媒介されるPP2AによるCDC6の脱リン酸化は哺乳動物細胞におけるDNA複製の開始を制御する調節事象であると仮定した。体細胞ハイブリッドの分析および蛍光インサイチュハイブリダイゼーションにより、ヒトp62(cdc6)遺伝子は17q21.3にあてられた
TOP2A、TOP2
DNAトポイソメラーゼは原核生物と真核生物両方においてDNAの位相状態を制御および改変する酵素である。真核細胞から得られるトポイソメラーゼIIは高次コイルDNA分子の緩和、カテネーションデカテネーション、環状DNAのノッティングおよびアンノッティングを触媒する。これはおそらくトポイソメラーゼIIにより触媒された反応が2つのDNAセグメントの乗換に関与すると思われる。核抽出物の約0.1%を構成するHeLa細胞あたり約100,000の分子のトポイソメラーゼIIがあると推定された。毛細血管拡張性運動失調症の異常な特性のいくつかはDNA処理における欠陥によると考えられ、5AT細胞系におけるこれらの酵素活性についてのスクリーニングが行なわれた[Singhら、1988、(47)]。対照と比較して、P4期DNAのアンノッティングにより決定されるDNAトポイソメラーゼIIのレベルはこれらの細胞系の4つにおいて実質的に、5分の1に減少した。高次コイルDNAの緩和により分析されたDNAトポイソメラーゼIは正常なレベルで存在することが判明した。
ヒトTOP遺伝子の全コーディング配列は決定されている[Tsai−Pflugfelderら、1988、(48)]。
加えて、ショウジョウバエTopIIcDNAを用いてメクロレタミン耐性バーキットリンパ腫細胞系(Raji−HN2)由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより単離されたヒトcDNAsはすでに配列決定されていた[Chungら、1989、(49)]。著者は2つのTOP2イソ酵素を表す2つのクラスの配列を同定し、これをTOP2AおよびTOP2Bと命名した。TOP2AcDNAの一つの配列はTsai−Pflugfelderら、1988(48)により単離されたTOP2cDNAの内部断片と同一である。サザンブロット分析は、TOP2AとTOP2BcDNAが別の遺伝子から得られることを示した。TOP2A特異的プローブを用いたノザンブロット分析は、ヒト細胞系U937において6.5kb転写物を検出した。TOP2Aペプチドに対する抗体はU937細胞溶解物で170kDのタンパク質を認識した。従って、このデータが2つのTOP2イソ酵素の遺伝的、免疫化学的証拠を提供すると結論された。TOP2AおよびTOP2B遺伝子の完全な構造が報告されている[Langら、1998、(50)]。TOP2A遺伝子は約30kbにおよび、35のエキソンを含む。
Tsai−Pflugfelderら、1988(48)は、該ヒト酵素は、中期染色体に対するクローンされた断片のインサイチュハイブリダイゼーションの組み合わせにより、またマウス−ヒトハイブリッド細胞系の一団についてのサザンハイブリダイゼーション分析により、17q21−q22にマップされた単一コピー遺伝子によってコードされるということを示した。染色体17への割り当ては、体細胞ハイブリッドの研究に確認されている。腺癌細胞系における同時増幅のために、TOP2AおよびERBB2遺伝子は染色体17と密接に関連し得ると結論づけられた[Keithら、1992、(51)]。TOP2AおよびTOP2B座の両方でRFLPを検出したプローブを使って、示されたヘテロ接合性は、アルファおよびベータ座についてそれぞれ0.17および0.37の頻度であった。マウス相同体は染色体11にマップされた[Kingsmoreら、1993、(52)]。II型DNAトポイソメラーゼの構造および機能は考察されている[Wattら、1994、(53)]。DNAトポイソメラーゼII−アルファはpolIIホロ酵素と結合し、クロマチン依存性コアクチベーションの必要とされる成分である。トポイソメラーゼIIの特異的インヒビターはクロマチンテンプレート上での転写をブロックしたが、裸のテンプレート上での転写には影響を及ぼさなかった。精製されたトポイソメラーゼII−アルファの付加はコアpolIIとの反応において、クロマチン依存性活性化活性を再構成した。従って、クロマチンテンプレート上での転写は結果として高次コイル張力の蓄積をもたらすようであり、トポイソメラーゼIIの緩和活性ヌクレオソームDNA上での生産性RNA合成に必となる
IGFBP4
6つの構造的に別個のインシュリン様成長因子結合タンパク質が単離され、cDNAsがクローンされた:IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP4、IGFBP5およびIGFBP6。該タンパク質は強い配列相同性を示し、これら密接に関連する遺伝子のファミリーによりコードされることを示唆する。IGFBPは3つの構造的に別個のドメインを含み、それぞれ分子のおよそ3分の1を構成している。6つのヒトIGFBPのN末端ドメイン1とC末端ドメイン3は、それぞれ12と6の不変のシステイン残基を含む(IGFBP6はドメイン1において10のシステイン残基を含む)など、中〜高程度の配列の一致を示しており、そこがIGF結合ドメインと考えられる。ドメイン2は、主に6のIGFBP間での配列同一性の欠如およびシステイン残基の欠失によって定義され、ただしIGFBP4は2のシステインを含む。ドメイン3はチログロブリンタイプI繰り返しユニットに対して相同性である。組み換えヒトインシュリン様成長因子結合タンパク質4、5、および6は、酵母においてユビキチンとの融合タンパク質として発現されることが特徴とされている[Kieferら、1992、(54)]。研究の結果から、著者らは3のタンパク質の主な効果はIGF活性の減衰であることおよびこれらはIGF媒介性の細胞成長および代謝の制御の一因となることを示唆した。
精製されたインシュリン様成長因子−結合タンパク質(IGFBP)のペプチド配列に基づいて、PCRを用いることによりラットIGFBP4がクローンされた[Shimasakiら、1990、(55)]。ラットcDNAを用いて肝臓cDNAライブラリーからヒトオルログ(ortholog)をクローンした。ヒトIGFBP4は21アミノ酸のシグナル配列を含む258アミノ酸のポリペプチドをコードする。タンパク質は非常に親水性であり、これは血液中でIGFのキャリアタンパク質としての能力を促進し得る。ラット組織のノザンブロット分析により、すべての試験された組織における発現を明らかにし、肝臓において最高の発現が得られた。IGFBP4は、IGF誘導性骨細胞増殖のインヒビターとして作用することが記載された。該ゲノム領域はEGFBP遺伝子を含む。該遺伝子は約15kbのゲノムDNAに渡る4のエキソンからなる[Zazziら、1998、(56)]。遺伝子の上流領域はTATAボックスおよびcAMP−応答性プロモーターを含む。
インサイチュハイブリダイゼーションにより、IGFBP4遺伝子は17q12−q21にマップされた[Bajalicaら、1992、(57)]。遺伝的乳ガン−卵巣ガン遺伝子 BRCA1は同じ領域にマップされていたので、22BRCA1ファミリーの連鎖解析により、IGFBP4が候補遺伝子であるかどうかを調べ;この遺伝的組換えの知見は、これBRCA1遺伝子でないことを示唆していた[Toninら、1993、(58)]。
EBI1、CCR7、CMKBR7
縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCRを使用して、Gタンパク質結合レセプターファミリーのリンパ球特異的メンバーが同定され、ヒト/マウス体細胞ハイブリッドDNAと蛍光インサイチュハイブリダイゼーション解析により17q12−q21.2にマップされた。このレセプターはエプスタイン−バー誘発性cDNA(記号EBI)として独立して同定されていたことが示されている[Birkenbachら、1993、(59)]。EBI1は正常なリンパ組織およびいくつかのB−およびT−リンパ球細胞系において発現される。EBI1の機能およびリガンドはわからないままであるが、その配列と遺伝子構造はそれがインターロイキン−8、RANTES、C5a、およびfMet−Leu−Pheのような、化学誘引物質を認識するレセプターと関係があることを示唆する。化学誘引物質レセプターと同様、EBI1はその5末端付近に介在配列を含んでいる;しかしながら、そのイントロンの両方ともが最初の細胞外ドメインのコーディング領域を中断するという点で、EBI1はユニークである。マウスEbi1 cDNAは単離されており、ヒト相同体と86%同一性を有するタンパク質をコードすることが判明した。
ネズミCD+T細胞のサブセットは養子移入後に脾臓の異なる領域に局在化する。CCR7を発現するナイーブなTヘルパー−1(TH1)細胞は、動脈周辺リンパ鞘に戻り、一方、CCR7が欠失した活性化されたTH2細胞は、B細胞小胞付近のT細胞ゾーンの末梢において環を形成する。TH2細胞へのCCR7のレトロウイルス導入がこれらをTH1様パターンにおいて局在化させ、それらがインビトロでなくインビボにおいてB細胞の助けで沈降するのを抑制することが判明した。明らかに、ケモカインレセプターの差次的発現の結果、有効な免疫反応のために重要な独自の細胞移動パターンが得られる。
CCR7発現は、ヒト記憶T細胞を2つの機能的に別個のサブセットに分ける。CCR7−記憶細胞は炎症組織への移動のためのレセプターを発現し、即時エフェクター機能を示す。対照的に、CCR7記憶細胞はリンパ節ホーミングレセプターを発現し、即時エフェクター機能が欠失しているが、効率的に樹状細胞を刺激して、二次刺激によりCCR7エフェクター細胞に分化する。それぞれ中心記憶(T−CM)およびエフェクター記憶(T−EM)と呼ばれるCCR7およびCCR7 T細胞は段階的にナイーブT細胞から分化し、免疫後数年にわたって存続し、記憶レスポンスにおいて分業を許容する。
HIVおよびサイトメガロウイルス(CMV)四量体に対する記憶CD8 リンパ球反応におけるCCR7発現を評価した。ほとんどの記憶Tリンパ球がCD45ROを発現するが、その代わりにCD45RAマーカーを発現するものがわずかにある。マーカー発現のフローサイトメトリー分析および細胞分裂により、系列分化パターンを示すHIV−およびCMV−特異的CD8T細胞の4つのサブセットが同定された:CD45RACCR7(ダブルポジティブ);CD45RACCR7;CD45RACCR7(ダブルネガティブ);CD45RACCR7。5−(および6−)カルボキシル−フルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル、およびKi67核抗原についての細胞内染色により測定される細胞分裂能は、主にCCR7サブセットに限定され、CD45RAでもある細胞においてより急速に起こったダブルネガティブ細胞は刺激後に分裂または膨張しなかったが、これらはCD45RAまたはCCR7または両方についてポジティブに逆戻りした。末端で分化すると考えられるCD45RACCR7細胞は、分裂しないが、インターフェロン−ガンマを産生し、高いレベルのパーフォリンを発現すると考えられる。CMVおよびHIVについて特異的なサブセットの表示は別個である。CMV−特異的細胞は40%であるの対して、HIV特異的CD8記憶T細胞の約70%はダブルネガティブであるか、または死の前に分化する。CMV特異的CD8記憶T細胞のおよそ50%が末端で分化するのに対して、HIV特異的細胞は10%以下である。末端分化CMV特異的細胞は迅速に介入するが、ダブルポジティブ前駆細胞は膨張とエフェクター細胞プールの補充のために残存することが提案されている。さらに、高い抗原耐性とHIV特異的CD4ヘルパーT細胞活性の減少はHIV特異的記憶CD8T細胞を、末端エフェクター状態に分化できないダブルネガティブ期に保持し得る。Bリンパ球は、二次リンパ系器官におけるB細胞が豊富な区画(小胞あるいはBゾーン)間で再循環し、抗原について調べる。抗原結合後、B細胞はT−ヘルパー細胞と相互に作用するためにBとTゾーンの境界に移動する。さらに、抗原結合B細胞は、T−ゾーンケモカインCCL19(ELSとしても知られる)およびCCL21のレセプターであるCCR7の発現を増大させ、両化学誘引物質に対して増大した応答性を示すことが証明された。リンパ球CCL19およびCCL21ケモカインが欠失しているか、またはCCR7が欠失したB細胞を有するマウスにおいて、抗原結合はTゾーンへの移動を起こすことができない。レトロウイルス媒介性の遺伝子移入を用いて、著者らは、増大したCCR7の発現がB細胞をTゾーンへ向けるために十分であることを示した。相互に、B−ゾーンケモカインCXCL13のレセプターであるCXCR5の過剰発現は、抗原により誘発されるB細胞のTゾーンへの移動を克服するために十分である。これは、抗原に応答してB細胞再局在化するメカニズムの証拠になり、インビボでの細胞位置は、別であるが隣接したゾーンで作られた化学誘引物質の反応のバランスによって決定されることができることを確認した。
BAF57、SMARCE 1
エス・セレビシエ(S.cerevisiae)とショウジョウバエにおけるSWI/SNF複合体は、クロマチン媒介性の転写抑制と拮抗することにより、特定遺伝子の転写活性を促進すると考えられている。複合体は、転写因子の結合の向上につながり得るATP依存性ヌクレオソーム中断活性を含む。哺乳動物におけるBRG1/brm関連因子、すなわちBAF複合体は、機能的にSWI/SNFと関連し、9から12のサブユニットから成り、このうちのいくつかはSWI/SNFサブユニットと相同性である。57kDのBAFサブユニット、BAF57は、酵母菌においてではなく、より高等な真核生物に存在している。部分的なコーディング配列は、ヒト細胞系の抽出物から精製されたBAF57から得られる[Wangら、1998、(60)]。ペプチド配列に基づいて、BAF57をコードするcDNAを同定した。予測される411アミノ酸タンパク質はキネシン様領域に隣接したHMGドメインを含む。組換BAF57および全BAF複合体はいずれも、4ウェイジャンクション(4WJ)DNAと結合し、これはヌクレオソームに入るかまたは出る際DNAの位相を模倣すると考えられる。BAF57 DNA結合活性は、他のHMGタンパク質と類似した特性を有する。BAF57 HMGドメインにおいて突然変異を有する複合体はそのDNA結合およびヌクレオソーム−中断活性を保持することが判明した。哺乳動物SWI/SNF様複合体がクロマチンと相互作用するメカニズムは、2またはそれ以上のDNA結合ドメインによる高次クロマチン構造の認識を含むことが示唆された。RNase保護研究およびウェスタンブロット分析により、BAF57は遍在して発現されることが明らかになった。いくつかの証拠がガン発生におけるSWI/SNFファクターの関与を指摘する[Klochendler−Yeivinら、2002、(61)]。さらに、SWI/SNF関連遺伝子はしばしばヒト癌における体細胞再構成に関与する染色体領域に割り当てられる[Ringら、1998、(62)]。この点に関して、SWI/SNFファミリーメンバーのいくつか(すなわち、SMARCC1、SMARCC2、SMARCD1およびSMARCD22)は、我々が同定した真核ARCHEONのうちの3つ(すなわちそれぞれ3p21−p24、12q13−q14および17q)に隣接することは興味深く、これは本発明の一部をなす。本発明において、本発明者らはPCR核分析によりSMARCE1/BAF57も17q12領域にマップすることができた。
KRT 10、 K10
ケラチン10は酸性のタイプIファミリーに属する中間径繊維(IF)鎖であり、末端分化表皮細胞において発現される。表皮細胞はほとんど常にタイプIおよびタイプIIケラチンの対を同時発現し、この同時発現された対は所定の表皮組織に非常に特徴的である。例えば、ヒト表皮において、異なった3対のケラチンが発現される:基底または増殖細胞に特徴的なケラチン5(タイプII)および14(タイプI);基底層直上末端分化細胞に特徴的なケラチン1(タイプII)および10(タイプI);ならびに疾患または障害により超増殖性にされた細胞、および細胞培養物において成長させた表皮細胞に特徴的なケラチン6(タイプII)および16(タイプI)(およびケラチン17[タイプI])。ヒト表皮ケラチン10(56.5のkD)をコードする1700bpcDNAのヌクレオチド配列[Darmonら、1987、(63)]は、ヒトケラチン10の完全アミノ酸配列[Zhouら、1988、(64)]と同様に開示されている。C末端ドメインにおいてグリシン−ループモチーフを形成するグリシン−リッチ準ペプチドリピートの挿入および欠失に限定されたKRT10遺伝子の多型性がよく記載されている[Korgeら、1992、(65)]。
特異的cDNAクローンを体細胞ハイブリッド分析およびインサイチュハイブリダイゼーションと組み合わせて使用することにより、KRT10遺伝子が、ある形態の急性白血病と関連するt(17;21)(q21;q22)転座に関与する17q21のブレークポイントに近位の領域における17q12−q21にマップされた。KRT10は同じ領域にマップされる3つの他の座:CSF3、ERBA1およびHER2に対してテロメリック(telomeric)であるようであった[Lessinら、1988、(66)]。NGFRおよびHOX2はK9に対して遠位である。KRT10、KRT13、およびKRT15遺伝子は同じ大パルスフィールドゲル電気泳動断片に位置することが示された[Romanoら、1991、(67)]。3つの遺伝子の帰属の相関関係は17q21−q22をクラスターの適当な位置にする。突然変異ケラチン10遺伝子を発現するトランスジェニックマウスは表皮剥離性角化症の表現型を有し、したがってヒトの障害についての遺伝的基礎は基底層直上ケラチンKRT1またはKRT10をコードする遺伝子における突然変異にあることが示唆される[Fuchsら、1992、(68)]。著者らはまた、基底細胞増殖の刺激が基底層直上細胞における欠損に起因し、核形態の歪みまたは細胞質分裂における変化は、中間径繊維網目構造が摂動しているときに起こることを示した。自発的または軽い機械的または熱的ストレスに対する反応のいずれかによる水疱がなく、手のひらおよび足裏以外の体の部分および皮膚に影響のない掌蹠角化症の家族において、KRT10遺伝子のC末端コーディング領域の挿入−欠失多型性についての密接なつながり(シータ=0.00での極大ロッドスコア=8.36)が見いだされた[Rogaevら、1993、(69)]。障害に関して分離されたのはKRT10多型性のまれな高分子量対立遺伝子であったことは注目すべきである。対立遺伝子は影響されない白色人種から得られる96の独立した染色体において一度観察された。KRT10多型は、コーディング領域中の不完全な(CCG)nリピートの挿入/欠失から生じて、ケラチン10タンパク質のC末端においてさまざまなグリシンループモチーフのもとであった。不完全なトリヌクレオチドリピートの増幅に発病させる役割がある可能性がある。
KRT12、K12
ケラチンは上皮細胞における10ナノメートルの中間径繊維を形成する水不溶性タンパクのグループである。およそ30の異なったケラチン分子が同定されている。これらはそれぞれ相対的な電荷、免疫反応性およびタイプIおよびIIウールケラチンに対する配列相同性によって酸性および塩基性−中性サブファミリーに分類することができる。インビボで、塩基性ケラチンは通常特定の酸性ケラチンと同時発現され、「対合」されて、ヘテロダイマーを形成する。種々のケラチン対の発現は組織特異性であり、分化作用依存性で、発生学的に調節されている。特異的ケラチン対の存在は、上皮の統合性の維持に欠くことができない。例えば、ヒトK14/K5対とK10/K1対における突然変異はそれぞれ皮膚病、単純型先天性表皮水疱症と表皮剥離性角質増殖症の根底にある。K3およびK12ケラチン対の発現は、ヒト、ネズミおよびニワトリを含む多数の種の角膜において見いだされており、角膜タイプの上皮分化作用のマーカーと見なされる。ネズミKrt12(Krt1.12)遺伝子とその発現は角膜上皮細胞特異性であり、分化依存性であり、発生学的に調節されている[Liuら、1993、(70)]。ケラチン12遺伝子発現の角膜特異性は、ケラチン12が正常な角膜の上皮機能の持続において独自の役割を果たすことを示す。にもかかわらず、ケラチン12の厳密な機能はわからないままであり、遺伝的なヒト角膜の上皮障害でケラチン12遺伝子における突然変異と直接関連づけられるものはなかった。ヒト角膜上皮細胞の発現特性の研究の一部として、オープンリーディングフレームが角膜特異的マウスケラチン12遺伝子と高度に相同性であるcDNAが単離された[Nishidaら、1996、(71)]。ケラチン12の機能を説明するために、Krt1.12遺伝子に欠けている12のノックアウトマウスが遺伝子標的技術によって作られた。ヘテロ接合マウスは正常であるように見えた。ホモ接合マウスは正常に発育し、軽い角膜上皮びらんにかかっていた。角膜上皮は脆弱で、目を軽くこするかまたはなでることにより除去することができた。ホモ接合体の角膜上皮は免疫組織化学、エピトープ特異的抗ケラチン12抗体を用いたウェスタンブロット分析、ノザンハイブリダイゼーション、およびアンチセンスケラチン12リボプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションにより判断されるようにケラチン12を発現しなかった。KRT12遺伝子は放射線ハイブリッドの研究により17qにマップされ、D17S800とD17S930(17q12−q21)の間におけるタイプIケラチンクラスターに局在化された[Nishidaら、1997、(72)]。著者は、KRT12遺伝子のエキソン−イントロン境界構造を提示し、蛍光インサイチュハイブリダイゼーションにより遺伝子を17q12にマップした。遺伝子は、コーディング配列を包含する8つのエキソンを規定する7つのイントロンを含む。エキソンとイントロンは一緒になって約6kbのゲノムDNAに及ぶ。
Meesmann角膜ジストロフィーは前角膜上皮の易損性を起こす常染色体優性障害であり、角膜特異的ケラチンK3およびK12が発現される。これらのケラチンにおける優性ネガティブな突然変異はMeesmann角膜ジストロフィーの原因である可能性がある。実際、シータ=0.0においてZ(最大)=7.53を有するMeesmannのオリジナルのドイツ人家系においてK12座への障害の関連性が見いだされた[MeesmannおよびWilke、1939、(73)]。北アイルランドからの2家系において、障害が一つの家系においてK12、他の家系においてKに関して同時に分離されることが判明した。家族においてK3またはK12におけるヘテロ接合体ミスセンス突然変異(R135T、V143L)が確認された。これらすべての突然変異は高度に保存されたケラチンへリックス境界モチーフにおいて生じ、他のケラチンにおける優性突然変異は細胞骨格機能をひどく損ない、ケラチノサイト易損性つながることが判明した。
ヒトKRT12遺伝子の領域は配列決定され、ゲノムDNAを鋳型として使用して全てのエキソンについて突然変異検出が可能になった[Cordenら、2000、(74)]。著者らは、ヒトゲノム配列が5,919bpに及び、8つのエキソンからなることを見いだした。ミクロサテライトヌクレオチドリピートがイントロン3内で同定され、これは高度に多型性であり、遺伝子型分析のために使用するために開発された。加えて、K12のヘリックス開始モチーフでの2の突然変異がMeesmann角膜ジストロフィーを有する家系において見いだされた。アメリカの家系において、ミスセンスM129T突然変異がKRT12遺伝子において見いだされた。KRT12遺伝子において合計8の突然変異が報告されていたということであった。
ARCHEONsの中の遺伝子の相互作用
ゲノム改変(増幅、挿入、転座、欠失など)に関与する遺伝子はその発現パターンにおいて変化を示す。特に興味深いのは、細胞あたりの遺伝子コピー数が2より多いことの主な原因である遺伝子増幅、または細胞あたりの遺伝子コピー数が2より少ないことの主な原因である欠失である。それぞれの遺伝子の遺伝子コピー数と遺伝子発現は必ずしも相互に関係しない。転写過剰発現には、染色体の座の調節領域(プロモーター、エンハンサーおよびサイレンサー)および有効な組み合わせで存在する十分量の転写レギュレーターにより決定される、インタクトな転写背景が必要である。これはゲノム領域について特に当てはまり、その発現は特定の組織において、または特定の発育段階の間に厳しく調節される。ARCHEONは、最大10、好ましくは7、より好ましくは5または少なくとも1つの遺伝子により散在させられた、直接隣接するかまたは染色体オーダーで存在する2以上の遺伝子の遺伝子クラスターにより特定される。散在している遺伝子は同時増幅されるが、直接ARCHEONと相互作用しない。このようなARCHEONは最大限20、より好ましくは10または少なくとも6メガベースの染色体領域上に広がっている。ARCHEONの性質は特定の組織、細胞タイプ、細胞または発達状態あるいは時点における包含される遺伝子の同時増幅および/または欠失および関連する発現(すなわちそれぞれ増加調節または減少調節)により特徴づけられる。このようなARCHEONは、細胞発生中に重要な役割をするので、進化中に通常保存される。これらのARCHEONの場合に、全遺伝子クラスターは、異常な生物学的環境でも遺伝子発現および/または生物学的エフェクター機能を安定化させる自己調節フィードバックループを有するので、増幅により過剰発現されるか、または非常に類似した転写因子の組み合わせにより調節され、ある発達段階での特定の組織におけるその同時に起こる機能を反映する。したがって、遺伝子コピー数は、特にARCHEONとして機能する遺伝子クラスターにおける遺伝子に関しては、発現レベルと相関する。腫瘍病巣における異常な遺伝子発現の場合に、自己調節フィードバックループがARCHEON遺伝子メンバーの生物学的活性を決める際に保存されるかどうかを知ることは非常に重要である。
ARCHEONにおける遺伝子間の強い相互作用を制限ではなく説明のために17q12ARCHEON(図1)について記載する。1つの態様において、乳ガン細胞株について例示されるように、別のゲノム領域中の遺伝子の改変の存在または不在は互いに相関する(図3および図4)。これにより、所定の染色体局在化の前記遺伝子産物の複数の相互作用が起こること、異常な組織におけるそのそれぞれの改変は予測、診断、予後判定及び/または予防および治療的価値があることという本発明の発見が得られる。これらの相互作用は、それぞれの遺伝子が相互に連結しているかまたは独立したシグナリングネットワークの一部であるかまたは細胞挙動(分化状態、増殖及び/またはアポトーシス、侵襲性、薬剤反応性、免疫調節活性)を相乗的、拮抗的または独立した方法において調節するという事実のために、直接または間接的に媒介される。ARCHEON内の機能上重要な遺伝子の順序は進化中に保存される(例えばヒト染色体17q12上のARCHEONはマウス染色体11上に存在している)。さらに、17q12ARCHEONはヒト染色体3p21と12q13上に存在し、その両方が増幅事象および腫瘍発生に関与することが判明した。おそらくこれらの相同ARCHEONは脊つい動物進化中に重複と再配列により形成された。相同ARCHEONは特定の遺伝子ファミリーの相同遺伝子および/またはイソ型からなる(例えばRARAまたはRARBまたはRARG、THRAまたはTHRB、TOP2AまたはTOP2B、RAB5AまたはRAB5B、BAF170またはBAF155、BAF60AまたはBAF60B、WNT5AまたはWNT5B、IGFBP4またはIGFBP6)。さらにこれらの領域は相同染色体遺伝子クラスター(例えばCACN、SCYA、HOX、Keratins)に隣接している。これらのARCHEONは別の組織においてそのそれぞれの機能を満たすために進化中に分かれた(例えば、17q12ARCHEONは中枢神経系においてその主な機能の1つを有する)。その組織特異性機能のために大規模な調節ループそれぞれのARCHEONのメンバーの発現を制御する。腫瘍発生中、これらの制御は、分化、増殖、薬剤反応性、侵襲性に関して異常な組織の特性について重要になる。ARCHEON内の遺伝子の同時増幅はそれぞれの遺伝子産物の同時発現につながり得ることが見いだされた。前記遺伝子のいくつかもさらなる突然変異あるいは多型の特定のパターンを示し、これはこれらのARCHEONの発ガン性について重要である。これはこのような単位複製配列の重要な特徴の1つであり、ARCHEONのメンバーは腫瘍形成中(たとえば増幅及び欠失事象中)に保存され、これにより遺伝子を診断マーカー遺伝子と定義する。さらに、ARCHEON内のある遺伝子の発現は、ARCHEONの他のメンバーによって影響され、これにより調節および調節された遺伝子を治療的介入のための標的遺伝子と定義する。ARCHEONのある特定のメンバーの発現は、薬物療法に感受性であることが観察され(例えばTOPO2アルファ、RARA、THRA、HER−2)、これらの遺伝子を「マーカー遺伝子」と定義する。さらにいくつかの他の遺伝子が抗体(CACNB1、EBI1)、リガンド(CACNB1)または薬剤様、たとえばキナーゼインヒビター(CrkRS、CDC6)による治療的介入に適している。ARCHEONのメンバーの間の相互作用の次の例は、制限のためではなく例示のために提示される。
EBI1/CCR7はGタンパク質結合レセプターファミリーのリンパ球特異的メンバーである。EBI1はインターロイキン−8、SCYA、Rantes、C5a、およびfMet−Leu−Pheなどの化学誘引物質を認識する。細胞分裂の能力はリンパ球において主としてCCR7サブセットに限定される。ダブルネガティブ細胞は刺激後に分裂または膨張しなかった。末端で分化すると考えられるCCR7細胞は、分裂しないが、インターフェロンガンマを産生し、高レベルのパーフォリンを発現する。EBI1はエプスタイン−バー−ウイルスのようなウイルス活性により誘導される。従って、EBI1はリンパ球における形質転換事象と関連づけられる。非リンパ組織における腫瘍形成中のEBI1の機能的役割を本発明において調べた。興味深いことに、同じゲノム領域に位置するERBAおよびERBBもリンパ球形質転換と関連する。さらに、レセプターのリガンド(すなわちSCYA5/Rantes)は17q上でゲノム近接にある。リンパおよび非リンパ組織におけるこれらの因子の両方の異常な発現は、自己調節フィードバックループを確立し、それぞれの細胞内でシグナリング事象を誘発する。リンパ球の因子の発現は免疫細胞に影響を及ぼし、細胞挙動を調節する。これはリンパ球により浸潤される異常な乳房組織に関して特に興味深い。これと一致して、もう1つの免疫調節および増殖因子が17q12上の近くに位置する。顆粒球コロニー刺激因子(GCSF3)は顆粒球の前駆細胞の増殖および分化を特異的に刺激する。多型性グリア芽細胞腫細胞株から、膀胱細胞により産生されたGCSF生物学的、生化学的に識別できない刺激活性が見いだされた。コロニー刺激因子は単に免疫細胞に影響を与えるだけではなく、非免疫細胞の細胞応答も誘発し、腫瘍発生において異常な発現に関与する可能性があることが示される。加えて、17q12ARCHEONのいくつかの他の遺伝子が、MLLT6、ZNF144とZNFN1A3などの免疫細胞および/またはリンパ芽球性白血病の増殖、生存、分化に関与し、ここでも特定の細胞タイプ内で連結した重要なプロセスにおける遺伝子産物の関連した機能が示される。非免疫細胞におけるより多くのこれらの遺伝子の異常な発現は、Her−2/neu遺伝子の過剰発現のみから生じる腫瘍形成活性に寄与するシグナリング活性を構成する。
PPARBPはp53ファミリーの腫瘍サプレッサー遺伝子との複合体において見いだされた。さらに、PPARBPはPPAR−アルファ(PPARA)、RAR−アルファ(RARA)、RXR、THRAおよびTR−beta−1とも結合する。その甲状腺ホルモンレセプターと結合する能力のために、これはTRIP2およびTRAP220と命名された。この複合体において、PPARBPは遺伝子調節活性に影響を与える。興味深いことに、PPARBPはその相互作用パートナーTHRAおよびRARAにゲノムが近接した位置にある。本発明者らは、腫瘍組織においてPPARBPはTHRAおよびRARAと同時増幅されることを見いだした。THRAはERBBとともに鳥類の赤芽球症ウイルスから単離され、従ってERBAと命名された。未熟な段階での赤芽球の分化をブロックすることにより、ERBAはERBBを増強する。ERBAはERBB発現に影響を与えることが示された。この状況において、THRA遺伝子産物のC末端部の欠失は影響力がある。異常なTHRA発現は非機能性脳下垂体腫瘍においても見いだされ、これはレセプターコーディングおよび調節配列における突然変異を反映すると仮定された。調節遺伝子の遺伝子発現を調節することにより、また(例えば、リンゴ酸酵素などの腫瘍における代替代謝経路の重要な酵素および脂質生成の原因である遺伝子の)代謝活性に影響を与えることによって、THRA機能は腫瘍細胞発生を促進する。核レセプターの観察された活性は、そのトランス活性化可能性を反映するだけではなく、リガンドの存在下または不在下での転写後活性にもよる。THRA/ERBAおよびERBBの同時増幅が示されたが、過剰発現が乳ガンにおいて示されなかったので、その腫瘍発生に対する影響は疑われている[van de Vijverら、1987、(75)]。THRAとRARAはその機能がモノマー、ホモダイマーあるいはヘテロダイマーとして媒介されることができる核レセプターファミリーの一部である。RARAは広範囲の細胞の分化を調節する。ホルモンのERBB発現との相互作用が調査されている。RARAのリガンドは乳ガンにおける増幅されたERBB遺伝子の発現を抑制することができる[Offterdingerら、1998、(76)]。本発明の一部として、THRAとRARAの同時増幅及び同時発現を示すことができる。甲状腺ホルモンレセプターおよびレチノイン酸レセプターファミリーのメンバーにより調節される多数の遺伝子は腫瘍サンプルにおいて差次的に発現され、そのゲノム変化(増幅、突然変異、欠失)に対応することが見いだされた。これらのホルモン受容体遺伝子およびそれぞれの標的遺伝子は臨床特性に関して患者サンプルを区別するために有用である。
多数の正常な組織、腫瘍サンプルおよび腫瘍細胞系の発現分析とその後に続く17q12領域のクラスター化により、Her−2/neu陽性腫瘍細胞および腫瘍細胞の発現特性は、中枢神経系からの組織の発現パターンと類似性を示す(図2)。これは観察された奇形と一致して、Her−2/neuおよびTHRAノックアウトマウスの中枢神経系にある。さらに、神経発生に特異的に関与する核因子であるNEUROD2は、それぞれのサンプルにおいて一般に発現されることが判明した。このことが、17q12座がその正常な臓器発達における主要な機能が中枢神経系に規定される「ARCHEON」であるという定義を導いた。驚くべきことに、NEUROD2の発現は治療の介入によって影響を受けた。極めて印象的なことには、ZNF144、TEM7、PIP5KおよびPPP1R1Bも神経細胞において発現され、多様な組織特異性の機能を示す。
加えて、Her−2/neuは、腫瘍の侵襲性に関与するシグナリングカスケード下流メンバーであるGRB7と共にしばしば同時増幅される。驚くべきことに、本発明者らは原発乳ガンにおいて過剰発現されるHer−2/neuシグナリングカスケードのもう一つのメンバー、TOB1(=「ERBBシグナリングのトランスデューサー」)を発見した。TOB1の強力な過剰発現は、Her−2/neuのより弱い過剰発現と関連し、これが発ガン性に関与することを示す。シグナリングカスケードの同定された下流成分(例えばRas−Raf−MAPK)のために、Her−2/neuの増幅は向上された増殖能の原因であるとされた。この点に関して、細胞周期依存性キナーゼであるいくつかのcdc遺伝子が単位複製配列の一部であることは驚くべきことであった、これは発現の改変により細胞周期進行に大きな影響を与える。
上記の観察に従い、以下に3q21−26の遺伝子の例を制限のためでなく、例示のために提示る。
⇒WNT5A、CACNA1D、THRB、RARB、TOP2B、RAB5B、SMARCC1(BAF155)、RAF、WNT7A
12q13の遺伝子の次の例は制限のためでなく、例示のために提示される。
⇒CACNB3、Keratins、NR4A1、RAB5/13、RARgamma、STAT6、WNT10B、(GCN5)、(SAS:肉腫増幅配列)、SMARCC2(BAF170)、SMARCD1(BAF60A)、(GAS41:神経膠腫増幅配列)、(CHOP)、Her3、KRTHB、HOXC、IGFBP6、WNT5B
上記の増幅されたARCHEON間にはクロストークがあり、いくつかの他の高度に増幅されたゲノム領域はおよそ1p13、1q32、2p16、2q21、3p12、5p13、6p12、7p12、7q21、8q23、11q13、13q12、19q13、20q13および21q11の位置にある。増幅された領域はこれらの染色体位置で更に大きいおよび/または重複した位置を含むので、前記染色体領域は限定のためでなく、例示のために記載する。
前記染色体位置の非転写遺伝子、偽遺伝子または遺伝子間領域のさらなる改変は、悪性腫瘍、特に乳ガンの予測、診断、予後判定、予防および治療のために測定することができる。遺伝子あるいはゲノム領域のいくつかはARCHEONのメンバまたは別の染色体領域の中の遺伝子に直接影響しないが、それでも染色体において機能的に重要な遺伝子(例えばHer−2/neu遺伝子に隣接しているTelethonin)の近傍に位置しているためにマーカー遺伝子機能を保持する。
発明はさらに、悪性腫瘍、特に乳ガンの、予防、予測、診断、予後判定のための組成物または治療のための医薬の調製における以下の使用に関する
a)配列番号:1から26または53から75配列の少なくとも1つを含むポリヌクレオチド;
b)表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;
c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする遺伝コードが生成(縮重)するために、その配列が(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドから逸脱しているポリヌクレオチド;
d)(a)から(c)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチド;
e)(a)から(d)において特定されたポリヌクレオチド配列の1つを特異的に標的とするアンチセンス分子;
f)(a)から(d)において特定されたポリヌクレオチド配列によりコードされる精製されたポリペプチド;
g)配列番号:27から52または76から98の配列の少なくとも一つを含む精製されたポリペプチド;
h)(a)から(d)において特定されたポリヌクレオチドまたは(f)および(g)において特定されたポリペプチドの一つと結合できる抗体;
i)(a)から(d)において特定されたポリヌクレオチド配列または(f)および(g)において特定されたポリペプチドの量または活性を調節する請求項14から16の方法のいずれかにより同定される作用物質。
ポリヌクレオチド
「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であり、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのコーディング配列またはコーディング配列の補体を含む。ヒト「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする縮重ヌクレオチド配列、ならびに配列番号:1から26または53から75のヌクレオチド配列と少なくとも約50、55、60、65、70、好ましくは約75、90、96、または98%同一である相同的なヌクレオチド配列も、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドである。2つのポリヌクレオチドの配列間の配列同一性(%)は、ギャップ開始ペナルティー−12で、ギャップ伸長ペナルティー−2のアフィンギャップ検索を用いて、FASTAアルゴリズムを使用するALIGNなどのコンピュータ・プログラムを用いて決定される。生物学的に活性な「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドの相補的DNA(cDNA)分子、種相同体、および変異体も「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドである。
ポリヌクレオチドの調製
自然に存在する「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドは、他の細胞成分、たとえば、膜成分、タンパク質、および脂質を含まないで単離できる。ポリヌクレオチドは細胞によって作られて、標準的核酸精製技術を使って単離されるか、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技術を使って、または自動合成器を用いて合成することができる。ポリヌクレオチドを単離するための方法は慣例どおりであって、当該分野において公知である。ポリヌクレオチドを得るためのこのような技術を用いて、単離「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを得ることができる。例えば、制限酵素およびプローブを「乳ガン遺伝子」ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド断片を単離するために用いることができる。単離されたポリヌクレオチドは、他の分子を含まないかまたは少なくとも70、80、または90%他の分子を含まない調製物中に存在する
「乳ガン遺伝子」cDNA分子は、「乳ガン遺伝子」mRNAを鋳型として使用して、標準的分子生物学的技術で作ることができる。mRNAの単離に対して選択しない任意のRNA単離技術をこのようなRNAサンプルの精製のために用いることができる。例えば、Sambrookら、1989、(77);およびAusubel、F・M.ら、1989、(78)(両方ともが出典明示によりその全体が本発明の一部とされる)参照。さらに、たとえばChomczynski、P.(1989、米国特許第4,843,155)(出典明示によりその全体を本発明の一部とする)の一段RNA単離法などの当業者に周知の技術を用いて多数の組織サンプルを処理できる。
「乳ガン遺伝子」cDNA分子はその後当該分野において知られ、Sambrookら、1989(77)などのマニュアルに開示されている分子生物学的技術を使って複製できる。PCRなどの増幅技術を、ヒトゲノムDNAまたはcDNAのいずれかを鋳型として使用して、本発明のポリヌクレオチドのさらなるコピーを得るために用いることができる。
別法として、合成化学技術を、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを合成するために用いることができる。遺伝コードの縮重により、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたはその生物学的に活性な変異体をコードする別のヌクレオチド配列を合成することが可能になる。
差次的発現の同定
当業者らによく知られている様々な方法を利用することにより、集められたRNAサンプル中の、差次的に発現された遺伝子により産生されたRNAを表す転写物を同定できる。例えば、差次的スクリーニング[Tedder、T・F.ら、1988、(79)]、サブトラクティブハイブリダイゼーション[Hedrick、S・M.ら、1984、(80);Lee、S・W.ら、1984、(81)]、および好ましくは、ディファレンシャルディスプレイ(Liang、P.およびPardee、A・B.、1993、米国特許第5,262,311号、その全体を出典明示により本発明の一部とする)を差次的に発現された遺伝子から得られるポリヌクレオチド配列を同定するために利用できる。
ディファレンシャルスクリーニングには、ライブラリーの1つのコピー一つのセルタイプのmRNA集団に対応する完全な細胞cDNAプローブについてスクリーニング、一方、cDNAライブラリーの複製コピー第二のセルタイプのmRNA集団に対応する全cDNAプローブに関してスクリーニングする、cDNAライブラリーの重複スクリーニングが含まれる。例えば、1つのcDNAプローブは対照から得られるセルタイプの全細胞cDNAプローブに対応し、第二のcDNAプローブは実験対象から得られる同じセルタイプの全細胞cDNAプローブに対応する。一つのプローブとハイブリダイズするが、他のものとはハイブリダイズしないクローンは、実験対象に対する対照における関心のセルタイプにおいて差次的に発現された遺伝子から得られるクローンを潜在的に表している
サブトラクティブハイブリダイゼーション技術は一般に2つの異なった供給源、たとえば対照および実験組織からのmRNAの単離、mRNAまたは単離されたmRNAから逆転写された一本鎖cDNAのハイブリダイゼーション、およびハイブリダイズし、従って二本鎖になった全ての配列の除去を含む。残存するハイブリダイズしなかった一本鎖cDNAは2つのmRNA供給源において差次的に発現された遺伝子から得られるクローンを潜在的に表している。このような一本鎖cDNAはその後、差次的に発現された遺伝子から得られるクローンを含むライブラリーの構築用出発物質として用いる。
ディファレンシャルディスプレイ技術は、差次的に発現された遺伝子から得られる配列の同定を可能にするよく知られているポリメラーゼ連鎖反応(PCR;Mullis、K.B.、1987、米国特許第4,683,202号に記載された実施例)を用いた方法である。最初に、単離されたRNAを当業者に周知の標準的技術を用いて一本鎖cDNA中に逆転写する。逆転写酵素反応のプライマーは、これらに限定されるわけではないが、オリゴdT含有プライマー、好ましくは後述の逆プライマータイプのオリゴヌクレオチドを包含する。次に、後述されるように、この技術はPCRプライマー対を使い、これにより任意の所定の細胞内に存在するRNA転写物のランダムなサブセットを表すクローンの増幅が可能になる。このような増幅された転写物のうち、差次的に発現された遺伝子から産生されるものを同定することができる。
プライマー対の逆のオリゴヌクレオチドプライマーは、その5’末端に、mRNAのポリ(A)テールまたはmRNAポリ(A)テールから逆転写されたcDNAの補体とハイブリダイズする、好ましくは11ヌクレオチド長のオリゴdT鎖のヌクレオチドを含んでもよい。第二に、逆プライマーの特異性を増大させるために、プライマーは1またはそれ以上、好ましくは2のさらなるヌクレオチドをその3’末端に含んでもよい。統計的に、関心のサンプル中に存在するmRNA由来の配列のサブセットのみがこのようなプライマーとハイブリダイズするので、さらなるヌクレオチドはプライマーに関心のサンプルにおいて存在するmRNA由来の配列のサブセットのみを増幅させる。増幅され配列を表すバンドのより正確で完全な可視化とキャラクタライゼーションが可能になる点でこれは好ましい。
順プライマーは、統計学的に、関心の組織から得られるcDNA配列とハイブリダイズする能力を有すると考えられるヌクレオチド配列を含み得る。ヌクレオチド配列は任意のものであってよく、順オリゴヌクレオチドプライマーの長さは約9から約13ヌクレオチドの範囲でよく、約10ヌクレオチドが好ましい。任意のプライマー配列は産生された増幅部分的cDNAの長さを多様にし、標準的変性シーケンシングゲル電気泳動を用いることにより異なるクローンが分離される。増幅産物の収率および特異性を最適化し、さらに標準的ゲル電気泳動技術を用いて分離できる長さの増幅産物を産生するPCR反応条件を選択しなければならない。このような反応条件は当業者らにはよく知られており、重要な反応パラメータには、たとえば、前記のオリゴヌクレオチドプライマーの長さとヌクレオチド配列、およびアニーリングおよび伸長段階温度および反応時間が含まれる。2つの異なるセルタイプのmRNAの逆転写および増幅から得られるクローンのパターンはシーケンシングゲル電気泳動により表示され、比較される。2つのバンドパターンの差異は、潜在的に差次的に発現された遺伝子を示す。
全長cDNAについてスクリーニングする場合、より大きなcDNAを含むようにサイズ選択されたライブラリーを用いるのが好ましい。ランダムにプライムされたライブラリーは、遺伝子の5’領域を含むより多くの配列を含む点で好ましい。ランダムにプライムされたライブラリーの使用は、オリゴd(T)ライブラリーが完全長cDNAを産生しない状況において特に好ましい。ゲノムライブラリーは5’非転写調節領域中に配列を伸長するために有用である。
商業的に入手可能なキャピラリー電気泳動システムを、大きさを分析するか、またはPCRのヌクレオチド配列またはシーケンシング産物を確認するために用いることができる。例えば、キャピラリーシーケンシングは電気泳動分離用の流動可能なポリマー、レーザーで活性化された4つの異なる蛍光色素(それぞれのヌクレオチドについて一つ)、および電荷結合素子カメラによる発光波長の検出を用いることができる。アウトプット/光強度は適当なソフトウェア(例えばGENOTYPERと配列NAVIGATOR、PerkinElmer;ABI)、を用いて電気信号に変換でき、サンプルのローディングからコンピューター分析までの全プロセスおよび電子データ表示はコンピューター制御できる。キャピラリー電気泳動は、特定のサンプル中に限られた量で存在するDNAの小片のシーケンシングに特に好ましい。
一旦潜在的に差次的に発現された遺伝子配列が、例えば、前記のもののようなバルク技術により同定されると、このような推定上差次的に発現された遺伝子の発現は確認されるはずである。確認は、例えばノザン分析および/またはRT−PCRのようなよく知られている技術によって達成することができる。確認により、差次的に発現された遺伝子はさらに特徴づけられ、後述する標的および/またはマーカー遺伝子として同定することができる。
また、ディファレンシャルディスプレーにより得られる差次的に発現された遺伝子の増幅された配列は、対応する遺伝子の完全長クローンを単離するために用いることができる。遺伝子の完全長コーディング部分は当該分野においてよく知られた分子生物学的技術により不適切な実験を行うことなく容易に単離できる。例えば、単離された差次的に発現された増幅された断片を標識し、cDNAライブラリーをスクリーニングするために用いることができる。別法として、標識された断片を、ゲノムライブラリーをスクリーニングするために用いることができる。
同定された遺伝子により産生されたmRNAの組織分布の分析を、当業者に周知の標準的技術を用いて行うことができる。このような技術は、例えば、ノザン分析およびRT−PCRを含む。このような分析は、同定された遺伝子が乳ガンの一因になると予想される組織において発現されるかどうかについての情報を提供する。このような分析はまた定常状態mRNA調節に関する定量的情報を提供し、どの同定された遺伝子が、好ましくは乳ガンに寄与することを予想される組織において高レベルの調節を示すかに関するデータを得る。
このような分析を、所定の組織から得られる特定のセルタイプの単離された細胞集団に関して行うことができる。加えて、所定の組織内のどの細胞が同定された遺伝子を発現するかに関する情報を提供するために、標準的インサイチュハイブリダイゼーション技術を用いることができる。このような分析は、組織内の細胞のサブセットのみが乳ガンに関連すると考えられる場合において同定された遺伝子の乳ガンに対する生物学的機能に関する情報を提供する。
同時増幅された遺伝子の同定
ゲノム改変(増幅、挿入、転座、欠失など)に関与する遺伝子がデータベース分析と組み合わせてPCRベースの核型分析によって同定される。特に興味深いのは、細胞あたりの遺伝子コピー数が2より多くなる遺伝子増幅である。それぞれの遺伝子の遺伝子コピー数と遺伝子発現がしばしば相互に関係する。したがって、遺伝子増幅のために同時に過剰発現される遺伝子のクラスターをDNAチップ技術または定量的RTPCRによる発現分析によって同定することができる。例えば、遺伝子コピー数の増大または減少により改変された遺伝子の発現は、AffymetrixからのGeneArray(商標)技術またはTaqManまたはiCyclerシステムを用いたqRT−PCRによって測定することができる。さらにRNAのDNA分析との組み合わせにより、組織または単細胞サンプルにおいて高解像度の様々な長さの多数のゲノム領域の非常に相関した自動化キャラクタライゼーションを可能にする。さらに、これら分析は標的遺伝子の遺伝子コピー数に対する遺伝子転写の相関関係を可能にする。発現レベルと遺伝子コピー数には必ずしも線形相関関係は存在せずまた特定の遺伝子クラスターに相乗的または拮抗効果が存在するので、RNAレベルに関する同定は特に腫瘍組織における改変の生物学的結果に関してより容易で、おそらくいっそう適切である。
悪性腫瘍における同時増幅された遺伝子の検出
染色体の変化は一般にFISH(=蛍光−インサイチュハイブリダイゼーション)およびCGH(=の比較ゲノムハイブリダイゼーション)により検出される。ゲノム領域の定量化のために遺伝子または遺伝子領域を使用することができる。このような定量化により多数の遺伝子の互いの相対的存在量を測る(例えば標的遺伝子対動原体領域またはハウスキーピング遺伝子)。相対存在量の変化はRNAまたはゲノムNAの抽出後にさえパラフィン包埋物質において検出できる。遡及的研究の実行を可能にし標準化および正確な計算のための多数の内部のコントロール(改変、増幅または欠失のない遺伝子)を提供するDNAの安定性のために、RNA分析と比較してゲノムDNAの測定が有利である。さらに、ゲノムDNAのPCR−分析は遺伝子間の非常に可変的な領域またはSNP(=一塩基多性)、RFLP、VNTRおよびSTR(一般的な多形マーカーにおける)の組み合わせを調査するための利点を提供する。所定のゲノム領域内のSNPまたは多形マーカー(例えば「Pyrosequencing(商標)」によるSNP分析)はゲノム改変の表現型に影響する。例えば増幅された対立遺伝子の一部である遺伝子の生物学的可能性を特徴づけるために多型性またはハプロタイプの組み合わせを決定することは有利である。遺伝子のブレークポイント領域、コーディング領域または調節領域あるいは遺伝子間領域における多型性マーカーが特に興味深い特定の生物学的または臨床結果について予測されるハプロタイプを決定することにより、患者からの非腫瘍サンプルを用いて診断と予後徴候分析を確立することが可能である。好ましくは1つの対立遺伝子または両対立遺伝子がある程度まで増幅(=線形または非線形増幅)されるかどうかによってハプロタイプを決定できる。例えば1人の患者の正常組織、体液または生物学サンプルから単離された核酸におけるヘテロ接合性多型マーカーの組み合わせはまさしくその同じ患者の腫瘍組織でほとんどホモ接合性になるので、遺伝子増幅を有する細胞または組織において特定の多型性マーカー組み合わせの過剰提示はハプロタイプ決定を容易にする。この「ホモ接合性の獲得」は、増幅事象により改変されたゲノム領域の測定に対応し、結果として例えば発ガン性または成長促進活性を生じる、腫瘍における改変「機能の獲得」の同定に適している。対照的に、「ヘテロ接合性の喪失」の検出は、発ガン性を抑制して、細胞の成長プロセスを減少調節する発ガン抑制遺伝子、ゲートキーパー遺伝子またはチェックポイント遺伝子の同定に用いられる。この本質的相違、各ゲノム領域の腫瘍成長に対する影響と明らかに対峙し、本発明において開示された「ホモ接合性の獲得」測定の重要性を強調する。SNPに関する分析に加えて、VNTR検出に基づく血液白血球DNAと腫瘍DNAの比較法により、すでに記載されたARCHEONの存在を解明できる。17q11−21のARCHEONの検出に最も適したSNPおよびVNTR配列およびプライマーセットを表4および表6に開示する。このような多マーカーの検出、定量化およびサイジングは当業者らに公知の方法によって達成できる。本発明の一態様において、本発明者はPCR増幅とキャピラリー電気泳動による開示した任意のVNTR(表6)の量と大きさの比較測定を開示する。PCRは線形増幅範囲(サイクル数)で有利に標準的プロトコルによって実行でき、CEによる検出は供給元プロトコル(例えばAgilent)によって実行されるべきである。さらに有利には、表6に開示されたVNTRの検出は、さまざまな標識されたプライマー(例えば、蛍光、放射性、生活性)および適当なCE検出システム(例えばABI310)を利用して複合的な方法で実行できる。しかしながら、検出は、モノクローナルDNA染色を伴う高度に濃縮されたアガロースまたはポリアクリルアミドからなるスラブゲル上でも行うことができる。解像度の向上は、適切なプライマー設計および長さの多様性により達成でき、多重PCRにおいて最良の結果が得られる。
遺伝子の転写活性に対して影響を与える、改変されたゲノム領域内でDNA(例えばメチル化または関連づけられたクロマチン(例えば関連づけられたタンパクのアセチル化またはメチル化)の共有結合修飾を決定することも重要である。一般に、多数の短い配列(60−300のbp)を測定することにより、これらの技術はFISH分析法(2−100のkb)のような従来の方法によって得ることができない標的領域の高分解能分析が可能になる。さらにPCRベースのDNA分析技術は、感度、特異性、多重性、時間消費量と必要とされる患者サンプルの量が少ないことに関して利点を提供する。これらの技術は分析のためにさらに純粋な出発物質を得るための顕微手術またはマクロ解剖と組み合わせることにより最適化できる。
ポリヌクレオチドの伸長
完全長遺伝子配列の同定およびクローニングのためのこのような手順の一態様において、RNAは適切な組織または細胞供給源から標準的手順に従って単離できる。次いで、第一鎖合成のプライミングのために、増幅された断片に対応するmRNAに対して相補性のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、RNAに関して逆転写反応を行うことができる。プライマーはmRNAに対して逆平行性であるので、伸長はmRNAの5’末端へ向かって進行する。次いで結果として得られるRNAハイブリッドを、標準的末端トランスフエラーゼ反応を使用してグアニン尾付け(tailed)」しハイブリッドをRNaseHで消化し、次いで第二合成をポリ−Cプライマーでプライムすることができる。2つのプライマーを用いて、遺伝子の5’部分PCRにより増幅する次いで得られた配列を単離し、あらかじめ単離された配列と再結合させて、本発明の差次的に発現された遺伝子の完全長cDNAが生じる。クローニング法および組換えDNA技術の総論については、たとえば、Sambrookら、(77);およびAusubelら、(78)参照。
種々のPCRベースの方法を用いて、本明細書にて開示したポリヌクレオチド配列を伸長し、プロモーターおよび調節エレメントなどの上流配列を検出することができる。例えば、制限部位PCRは、既知座に隣接する未知の配列を読み出すためにユニバーサルプライマーを使用する[Sarkar、1993、(82)]。ゲノムDNAをまずリンカー配列に対するプライマーおよび既知領域に対して特異的なプライマーの存在下で増幅させる。次いで増幅されたプライマーを同じリンカープライマーおよび第一のものの内部の別の特異的プライマーを用いた第二ラウンドのPCRに供する。各ラウンドのPCR生成物を適切なRNAポリメラーゼで転写し、逆転写酵素を用いて配列決定する。
逆PCR法により、既知領域に基づく多種多様なプライマーを用いて配列を増幅または伸長することもできる[Trigliaら、1988、(83)]。プライマーは、OLIGO4.06プライマー分析ソフトウェア(National Biosciences Inc.、プリマス、Minn.)のような、商業的に入手可能なソフトウェアを用いて、例えば2230ヌクレオチドの長さであり、50%以上のGC含有率を有し、約68−72℃の温度で標的配列とアニールするように設計できる。この方法は遺伝子の既知の領域で適切な断片を生成するためにいくつかの制限酵素を使用する。断片は次に分子内連結によって環状化されて、PCR鋳型として使用される。
使用できるもう1つの方法はキャプチャーPCRであり、これはヒトおよび酵母菌の人工の染色体DNAにおいて既知の配列に隣接しているDNA断片のPCR増幅を含む[Lagerstromら、1991、(84)]。この方法ではまた複数の制限酵素消化および連結により、PCRを行なう前にDNA分子の未知の断片中に設計した二本鎖配列を配置することができる
加えて、PCR、ネステッドプライマー、およびPROMOTERFINDERライブラリー(CLONTECH、Palo Alto,Calif.)はゲノムDNA(CLONTECH、パロアルト、Calif.)を調べるために使用できる。このプロセスはライブラリーをスクリーニングする必要を回避し、イントロン/エキソンジャンクションを見いだすことにおいて有用である。
同定された遺伝子の配列を、標準的技術を利用して、遺伝子マップ、たとえばマウス[Copeland&Jenkins、1991、(85)]およびヒト遺伝マップ[コーエンら、1993、(86)]上に遺伝子を配置するために用いることができる。このようなマッピング情報は、例えば、既知の遺伝乳ガン傾向がマップされる遺伝子領域の近くにマップされる遺伝子を同定することによりヒトの疾患に対する遺伝子の重要性に関する情報を提供する
ポリヌクレオチド変異体および相同体またはスプライス変異体の同定
前記の「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドの変異体および相同体もまた、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドである。典型的には、相同的な「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチド配列は、当分野で周知のように、ストリンジェントな条件下で既知の「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドとの候補ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションにより同定できる。例えば、次の洗浄条件を用いて、最大約25〜30%塩基対ミスマッチを含むそれぞれの相同的な配列を同定することができる:2XSSC(0.3MのNaCl、0.03Mのクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.1%のSDS、室温で2回、それぞれ30分;次いで2XSSC、0.1%SDS、50ECを1回、30分;次いで2XSSC、室温で2回、10分。さらに好ましくは、相同的なポリヌクレオチドは15−25%の塩基対ミスマッチを含み、さらにいっそう好ましくは5−15%の塩基対ミスマッチを含んでいる。
適切なプローブまたはプライマーを作成し、cDNA発現ライブラリーをマウス、サル、または酵母菌などの他の種からスクリーニングすることによって、本発明において開示される「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドの種相同体を同定できる。「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドのヒト変異体は、たとえば、ヒトcDNA発現ライブラリーをスクリーニングすることにより同定できる。二本鎖DNAのTm相同性が1%減少するごとに1〜1.5℃低下することはよく知られている[Bonnerら、1973、(87)]。従って、ヒト「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドの変異体または他の種の「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドは、推定相同性「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを、配列番号:1から26または53から75の配列のつのヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドまたはその補体ハイブリダイズさせ、試験ハイブリッドの形成により同定できる。試験ハイブリッドの融点完全に相補性のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むハイブリッドの融点と比較し、試験ハイブリッドの中の塩基対のミスマッチの数またはパーセントを算出する
ストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件に従って、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドまたはその補体とハイブリダイズするヌクレオチド配列もまた「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドである。ストリンジェントな洗浄条件は周知であり、当該分野において理解され、例えば、Sambrookら、(77)において開示されている。典型的には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件において研究しているハイブリッドのTm計算値の約12−20℃下になる、温度と塩濃度の組み合わせを選択すべきである。配列番号:1から26または53から75の配列の一つのヌクレオチド配列またはその補体を有する「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドとこれらのヌクレオチド配列の一つと少なくとも約50、好ましくは75、90、96、または98同一であるポリヌクレオチド配列間のハイブリッドのTmを、たとえば、下記の式を用いて計算できる[BoltonとMcCarthy、1962、(88)
Tm=81.5℃−16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−0.63(%ホルムアミド)−600/l)
(式中、l=ハイブリッドの長さ(塩基対)である。)
ストリンジェントな洗浄条件は、たとえば、65℃で4×SSC、または28℃で50%ホルムアミド、4×SSC、または65℃で0.5×SSC、0.1%SDSなどである。非常にストリンジェントな洗浄条件は、たとえば、65℃で0.2×SSCなどである
関連するインビボおよびインビトロを用いることにより、同定された遺伝子の生物学的機能をさらに直接的に評価できる。インビボは、これらに限定されないが、自然に乳癌素因を示すか、またはこのような症状を示すように処理された、これに限定されないがapoE−欠損悪性腫瘍マウスモデルなどの動物系を含む[Plumpら、1992、(89)]。
相同性検索においてすでに記載したハイブリダイゼーション条件により、同じプレmRNAによりコードされた同じゲノム領域から得られるスプライス変異体を同定することができる。同じ前転写物のスプライス変異体によりコードされる変異体タンパク質の特異的性質は異なり、開示されたようにして分析できる。配列番号:1から26または53から75の配列の一つのヌクレオチド配列またはその補体を有する「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドはしたがって配列番号:60について示される全配列の一部および配列番号:61から66のコードされたスプライス変異体と異なる。これらは配列番号:83から89の個々のタンパク質を指す。スプライシング事象の予測およびプレmRNA内の使用されるアクセプターおよびドナー部位の同定はコンピューターで計算でき(例えばソフトウェアパッケージGRAILまたはGenomeSCAN)、当業者によりPCR法により検証できる。
アンチセンスオリゴヌクレオチド
アンチセンスオリゴヌクレオチドは特定のDNAまたはRNA配列と相補的なヌクレオチド配列である。いったん細胞中に導入されると、相補的なヌクレオチドは細胞により産生される天然の配列と結合して複合体を形成し、転写または翻訳のいずれかをブロックする。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは長さにおいて少なくとも6つのヌクレオチドであるが、少なくとも7、8、10、12、15、20、25、30、35、40、45、または50またはそれ以上のヌクレオチド長であり得る。より長い配列も使用できる。アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は細胞の「乳ガン遺伝子」遺伝子産物のレベルを減少させるために前記のようにDNA構築物中に供給されて、細胞中に導入することができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA;米国特許第5,714,331号に記載)、ロック核酸(LNA;WO99/12826に記載)、またはその組み合わせでありえる。オリゴヌクレオチドは、手作業または自動化合成器により、ヌクレオチドの5’末端を、アルキルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホノチオエート、アルキルホスホネート、ホスホルアミデート、リン酸塩エステル、カーバメート、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、カーボネートおよびリン酸トリエステルのような非ホスホジエステルヌクレオチド間結合で、別のヌクレオチドの3’末端と共有結合させることにより合成することができる[Brown、1994、(126);Sonveaux、1994、(127)およびUhlmannら、1990、(128)]。
「乳ガン遺伝子」の制御領域、5’領域、または調節領域に対して二本鎖を形成するアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計することにより、「乳ガン遺伝子」発現を修飾することができる。転写開始部位、たとえば出発部位から10位と+10位の間から得られるオリゴヌクレオチドが好ましい。同様に、「トリプルへリックス」塩基対合法を用いて抑制を達成できる。トリプルへリックス対は、ポリメラーゼ、転写因子、またはシャペロンの結合のために十分に開くダブルへリックスの能力を抑制するので有用である。トリプレックスDNAを使用した治療の進歩が文献において記載されている[Geeら、1994、(129)]。転写物がリボソームと結合するのを防止することによりmRNAの翻訳を阻止するようにアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計することできる。
ンチセンスオリゴヌクレオチドと「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドの相補配列間複合体形に、正確な相補性は必要ではない。例えば、隣する「乳ガン遺伝子」ヌクレオチドと相補性でない連続したヌクレオチド鎖によりそれぞれ分離された「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドと正確に相補性である2、3、4、または5またはそれ以上の連続したヌクレオチド鎖を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、「ガン遺伝子」mRNAに対する十分な標的特異性を持つことができる。好ましくは、相補性の連続したヌクレオチドのそれぞれの鎖は長さにおいて少なくとも4、5、6、7、または8またはそれ以上のヌクレオチドである。非相補性介在配列は好ましくは長さにおいて1、2、3、または4のヌクレオチドである。当業者らは、簡便にアンチセンス対の算出融点を用いて、特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドと特定の「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチド配列の間に許容されるミスマッチの程度を決定することができる
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドとハイブリダイズするその能力に影響を与えないで修飾できる。これらの修飾は内部あるか、またはアンチセンス分子の一端または両端あり得る。例えば、ヌクレオシド間リン酸結合は、コレステリルまたはジアミン部分を加えることによりアミノ基と末端リボースの間に可変数の炭素残基を有する修飾を施すことができる。修飾された塩基および/または糖、たとえばリボースの代わりにアラビノース、または3’ヒドロキシル基または5’リン酸基が置換されている3’,5’置換オリゴヌクレオチドも、修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドに使用できる。これらの修飾オリゴヌクレオチドは当該分野において周知の方法により調製できる[Agrawalら、1992、(130);Uhlmannら、1987、(131)およびUhlmannら、(128)]。
リボザイム
リボザイムは触媒活性を有するRNA分子である[Cech、1987、(132);Cech、1990、(133)およびCouture&Stinchcomb、1996、(134)]。リボザイムは、当該分野において公知のように、RNA配列を切断することにより遺伝子機能を抑制するために用いることができる(例えば、Haseloffら、米国特許第5,641,673号)。リボザイム作用のメカニズムは、リボザイム分子の相補性標的RNAに対する配列特異的ハイブリダイゼーション、続いてエンドヌクレアーゼ的切断を含む。例は、特定のヌクレオチド配列のエンドヌクレアーゼ的切断を特異的かつ効果的に触媒することできる人為的ハンマーヘッドモチーフリボザイム分子を含む。
「乳ガン遺伝子」の転写された配列は、「乳ガン遺伝子」ゲノム座から転写されたmRNAと特異的に結合するリボザイムを生成するために使用できる。高い配列特異性でトランスに他のRNA分子を切断させることができるリボザイムを設計および構築する方法が開発され、当該分野において記載されている[Haseloffら、1988、(135)]。例えば、リボザイム中に別々の「ハイブリダイゼーション」領域を作ることにより、リボザイムの開裂活性は特定のRNAを標的とすることができる。ハイブリダイゼーション領域は標的RNAに対して相補性の配列を含み、したがって標的と特異的にハイブリダイズする[例えば、Gerlachら、EP0321201]。
以下の配列を含むリボザイム切断部位について標的分子を調べることにより、「乳ガン遺伝子」RNA標的中の特定のリボザイム切断部位を同定できる:GUA、GUUおよびGUC。同定後、切断部位を含む標的RNA領域に対応する15から20の間のリボヌクレオチドの短いRNA配列を、標的を作動不能にし得る二次構造特性について評価することができる。候補「乳ガン遺伝子」RNA標的の適合性もまたリボヌクレアーゼプロテクションアッセイを用いて、相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの実施容易性を試験することにより評価できる。より長い相補配列が標的に対するハイブリダイゼーション配列の親和性を増大するために使用できる。相補性領域により標的RNAとハイブリダイズする際に、リボザイムの触媒領域が標的を切断することができるように、リボザイムのハイブリダイズおよび切断領域は一体的に関連付けることができる
リボザイムはDNA構築物の一部として細胞に導入できる。微量注入法、リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはリン酸カルシウム沈降のような機械的方法を、「乳ガン遺伝子」発現を減少させることが望ましい細胞中にリボザイム含有DNA構築物を導入するために使用できる。別法として、もし細胞が安定してDNA構築物を保持することが望ましいならば、当該分野において知られているように構築物プラスミド上導入し、別個の要素として維持するか、または細胞のゲノム中に統合することができる。リボザイムをコードするDNA構築物は、細胞におけるリボザイムの転写を制御するために、プロモーターエレメント、エンハンサーまたはUASエレメントおよび転写ターミネーターシグナルのような転写調節エレメントを含むことができる。
Haseloffら、米国特許第5,641,673号に示されるように、標的遺伝子の発現を誘発する因子反応してリボザイム発現が起こるように、リボザイムを設計することができる。リボザイムと標的遺伝子の両方が細胞において誘発されるときだけmRNAの破壊が起こるようにリボザイムを処理し、調節の程度をさらに上げることができる。
ポリペプチド
本発明の「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは配列番号:27から52および76から98から選択されるか、または配列番号:1から26および53から75のポリヌクレオチド配列またはその誘導体、断片、類似体および相同体のいずれかによりコードされるポリペプチドを含む。本発明の「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは従って、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのすべてまたは一部を含む、部分、完全長、または融合タンパク質であり得る。
タンパク質精製
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは、「乳ガン遺伝子」発現構築物で形質移入された宿主細胞を含む、酵素を発現するすべての細胞から精製することができる。乳房組織は「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの特に有用な供給源である。精製された「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは、当該分野においてよく知られている方法を使用して、通常細胞において「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと関連している、ある種のタンパク、炭水化物、または脂質などの他の化合物から分離される。このような方法は、これらに限定されないが、サイズ排除クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよび分取ゲル電気泳動を包含する。精製された「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの調製物は、少なくとも80%の純度であり;好ましくは、調製物は90%、95%、または99%の純度である。調製物の純度は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法のような、当該分野において公知の手段により評価することができる。
ポリペプチドの取得
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは、例えば、ヒト細胞からの精製、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドの発現、または直接の化学合成により得ることができる。
生物学的に活性な変異体
生物学的に活性な、すなわち「乳ガン遺伝子」活性を保持する「乳ガン遺伝子」ポリペプチド変異体も、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドである。好ましくは、天然または非天然の「乳ガン遺伝子」ポリペプチド変異体は、配列番号:27から52または76から98のポリペプチドまたは配列番号:1から26または53から75のポリヌクレオチドのいずれかによりコードされるポリペプチドまたはその断片の、いずれかのアミノ酸配列と少なくとも約60、65、または70、好ましくは約75、80、85、90、92、94、96、または98%同一のアミノ酸配列を有する。推定「乳ガン遺伝子」ポリペプチド変異体と配列番号:27から52または76から98のポリペプチドまたは配列番号:1から26または53から75のポリヌクレオチドのいずれかによりコードされるポリペプチドまたはその断片の間の同一性(%)は従来の方法によりに決定される[例えば、Altschulら、1986、(90)およびHenikoff&Henikoff、1992、(91)参照]。簡単に説明すると、2つのアミノ酸配列を、10のギャップ開始ペナルティー、1ギャップ伸長ペナルティー、およびHenikoff&Henikoff(91)の「BLOSUM62」スコアリングマトリックスを用いてアライメントし、アラインメンスコアを最適化する
当業者らは2つのアミノ酸配列をアライメントするために利用可能な多くの確立されたアルゴリズムがあることを認識している。Pearson&Lipmanの「FASTA」類似性検索アルゴリズムは、本明細書に開示されたアミノ酸配列および推定変異体のアミノ酸配列によって共有される同一性のレベルを調べるための適切なタンパク質アライメント方法である[Pearson&Lipman、1988、(92)とPearson、1990、(93)]。簡単に説明すると、FASTAはまず、クエリー配列(例えば、配列番号:1から26または53から75)および最高の同一性(ktup変数が1である場合)または同一性の対(ktup=2である場合)のいずれかを有するテスト配列により共有される領域を同定することによって、保存的アミノ酸置換、挿入、または欠失を考慮せずに、配列類似性を特徴づける。次に、アミノ酸置換マトリックスを用いてすべての対にされたアミノ酸の類似性を比較することにより、最高の同一性を有する10の領域を再スコアリングし、領域の末端を、最高スコアに寄与する残基のみを含むように「トリミングる。もし「カットオフ」値(配列の長さktup値に基づいてあらかじめ決められた式により計算)よりも高い得点を有するいくつかの領域があるならば、次いでトリミングされた初期領域を調べて、この領域が結合してギャップを有する適切なアライメントを形成できるかどうかを決定する。最終的に、2つのアミノ酸配列の最高スコア領域を、アミノ酸挿入および欠失を認めるNeedleman−Wunsch−Sellertsアルゴリズム[Needleman&Wunsch、1970、(94)、およびSellers、1974、(95)]を用いてアライメントする。FASTA分析の好ましいパラメータは以下の通りである:ktup=1、ギャップ開始ペナルティー=10、ギャップ伸長ペナルティー=1、置換マトリックス=BLOSUM62。Pearson、(93)の補遺2において説明されるように、これらのパラメータはスコアリングマトリックスファイル(「SMATRIX」)を修正することによって、FASTAプログラム中に導入することができる。
FASTAはまた、前記のを用いて核酸分子の配列同一性を決定するために使用できる。ヌクレオチド配列比較のためには、他のパラメータデフォルトにセットし、ktup値は1から6の範囲であり得、好ましくは3から6、最も好ましく3である。
同一性(%)の変動は、例えば、アミノ酸置換、挿入、または欠失のために起こり得る。アミノ酸置換は1アミノ酸置換に対して1と定義される。置換されたアミノ酸類似した構造的および/または化学的特性を有している場合アミノ酸置換は本質的に保存的である。保存的な置換の例は、ロイシンイソロイシンまたはバリンの置換、アスパラギン酸とグルタミン酸の置換、またはトレオニンセリンの置換である。
アミノ酸の挿入または欠失は、アミノ酸配列に対するかまたはアミノ酸配列内の変化である。これらは典型的に約1から5のアミノ酸の範囲にある。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの生物学的または免疫学的活性を廃することなく、どのアミノ酸残基が置換、挿入、または欠失可能かを決定するの手引きは、DNASTARソフトウェアなどの当該分野においてよく知られているコンピュータープログラムを用いて見いだすことができる。アミノ酸変化の結果、生物学的に活性な「乳ガン遺伝子」ポリペプチドが得られるかどうかは、例えば、後期実施例において記述されるように、「乳ガン遺伝子」活性について分析することによって容易に決定できる。より大きな挿入または欠失、選択的スプライシングによって起こり得るタンパク質の主な活性を変化させずに、タンパク質ドメインを挿入するかまたは欠失させることができる
融合タンパク質
融合タンパク質は、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドアミノ酸配列に対する抗体の生成のため、および様々な分析システムにおける使用のために有用である。例えば、融合タンパク質は、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの一部と相互作用するタンパクを同定するために使用できる。タンパク質アフィニティークロマトグラフィーまたはタンパク−タンパク相互作用についてのライブラリーベースの分析、たとえば、酵母菌ツーハイブリッドまたはファージディスプレーをこの目的のために用いることができる。このような方法は当該分野においてよく知られており、また薬剤スクリーニングとしても使用できる。
「乳ガン遺伝子」ポリペプチド融合タンパク質は、ペプチド結合により互いに融合された2つのポリペプチドセグメントを含む。第一のポリペプチドセグメント、配列番号:1から26または53から75のいずれかのポリヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列または上記のような生物学的に活性な変異体の、少なくとも25、50、75、100、150、200、300、400、500、600、700または750の連続したアミノ酸を含む。第一のポリペプチドセグメントは完全長の「乳ガン遺伝子」も含むことができる。
第二のポリペプチドセグメントは完全長のタンパク質またはタンパク質断片であり得る。融合タンパク質構築において一般に用いられるタンパク質は、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、緑色光タンパク質(GFP)、青色光タンパク質(BFP)を含む自己光タンパク質、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ルシフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を含む。さらに、ヒスチジン(His)タグ、FLAGタグ、インフルエンザ赤血球凝集素(HA)タグ、Mycタグ、VSV−Gタグ、およびチオレドキシン(Trx)タグを含むエピトープタグを融合タンパク質構築において用いることができる。他の融合構築物は、マルトース結合タンパク質(MBP)、S−タグ、LexDNA結合ドメイン(DBD)融合物、GAL4DNA結合ドメイン融合物、および単純疱疹ウイルス(HSV)BP16タンパク質融合物を含み得る。融合タンパク質は、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列とヘテロローガスなタンパク質配列の間位置に切断部位を含むようにすることができ、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドヘテロローガスな部分から切断し、精製することができる。
当該分野で知られているように、融合タンパク質は化学的に合成できる。好ましくは、融合タンパク質は2つのポリペプチドセグメントを共有結合させるかまたは分子生物学の分野における標準的手順により産生される。融合タンパク質を調製するために、組換えDNA法を用いることができる、たとえば、当該分野において公知のように、第二のポリペプチドセグメントをコードするヌクレオチドとともに適切なリーディングフレーム中配列番号:1から26および53から75のいずれかのポリヌクレオチド配列から選択されるコーディング配列を含むDNA構築物を作成し、宿主細胞においてDNA構築物を発現させる。融合タンパクを構築するための多くのキットがPromega Corporation(マジソン、WI)、Stratagene(ラホーヤ、CA)、CLONTECH(マウンテンビュー、CA)、Santa Cruz Biotechnology(サンタクルス、CA)、MBL International Corporation(MIC;ウォータータウン、MA)、およびQuantum Biotechnologies(モントリオール、カナダ;1−888−DNA−KITS)から入手可能である。
種相同体の同定
ヒト「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの種相同体は、当該分野において公知のように、(後述の)「乳ガン遺伝子」ポリペプチドポリヌクレオチドを用いて、マウス、サル、または酵母などの他の種からcDNA発現ライブラリーをスクリーニングし、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの相同体をコードするcDNAを同定し、およびcDNAを発現するための適切なプローブまたはプライマーを作成して、得ることができる
ポリヌクレオチドの発現
「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを発現するために、発現ベクター中に該ポリヌクレオチドを挿入することができ、ただし該ベクターは挿入するコーディング配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含む。当業者らによく知られている方法を、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列および適切な転写および翻訳調節エレメントを含む発現ベクター築に用いることができる。これらの方法はインビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組換えを含む。このような技術は、例えば、Sambrookら、(77)およびAusubelら、(78)において記載されている。
様々な発現ベクター/宿主系を、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列の含有および発現に利用することができる。これらは組換バクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母菌、ウイルス発現ベクターに感染している昆虫細胞系(例えば、バキュロウイルス)、ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞、あるいは動物細胞系を包含するが、これらに限定されるわけではない。
制御エレメントまたは調節配列は、宿主細胞と相互作用して転写および翻訳を行うベクターエンハンサー、プロモーター、5’および3’翻訳領域の領域である。このようなエレメントはその強度と特異性の点で様々である。使用されるベクター系および宿主によって、構成性および誘導性プロモーターを含む任意の数の適切な転写および翻訳エレメントを用いることができる。例えば、細菌系におけるクローニングの場合、BLUESCRIPTファージミド(Stratagene、LaJolla、Calif.)またはpSPORT1プラスミド(Life Technologies)などのハイブリッドlacZプロモーターなどの誘発性プロモーターが使用できる。バキュロウイルスポリヘドリンプロモーターは昆虫細胞において用いることができる。植物細胞(例えば、熱ショック、RUBISCO、および貯蔵タンパク遺伝子)または植物ウイルス(例えば、ウイルスプロモーターまたはリーダー配列)のゲノムから得られるプロモーターまたはエンハンサーをベクター中にクローンすることができる。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子または哺乳動物ウイルスからのプロモーターが好ましい。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の複数のコピーを含む細胞系を生成する必要があるならば、SV40またはEBVに基づくベクターを適切な選択可能なマーカーとともに用いることができる。
細菌および酵母菌発現系
細菌系において、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのために意図された使用により多くの発現ベクターを選択することができる。例えば、大量の「乳ガン遺伝子」ポリペプチドが抗体の誘導に必要な場合、容易に精製される融合タンパクの高レベルの発現を行うベクターを使用できる。このようなベクターはこれらに限定されないが、BLUESCRIT(Stratagene)のような多機能大腸菌クローニングおよび発現ベクターを含む。BLUESCRIPTベクターにおいて、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列をハイブリッドタンパク質が産生されるように、アミノ末端Metおよびそれに続くβ−ガラクトシダーゼの7残基の配列とインフレームにてベクターとライゲートできる。pINベクター[Van Heeke&Schuster、(17)]またはpGEXベクター(Promega、マジソン、Wis.)もグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパクとして外来ポリペプチドを発現するために使用できる。一般に、このような融合タンパクは可溶性であって、グルタチオンアガロースビーズに吸着させ、続いて遊離グルタチオンの存在下で溶出することにより、溶解した細胞から容易に精製することができる。関心のクローンされたポリペプチドが随意にGST部分から放出され得るように、このような系において作られたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、またはファクターXaプロテアーゼ切断部位を含むよう設計することができる。
酵母菌サッカロミセス・セレビシエにおいて、多くの構成性または誘導性プロモーター、たとえば、アルファファクター、アルコールオキシダーゼ、およびPGHを含む多くのベクターを用いることができる。総論については、Ausubelら、(4)およびGrantら、(18)参照。
植物と昆虫発現系
もし植物発現ベクターが使われるなら、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列の発現は、多くのプロモーターのいずれによってでも駆動できる。例えば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターを単独またはTMVからのオメガリーダー配列と組み合わせて用いることができる[Takamatsu、1987、(96)]。別法として、植物プロモーター、たとえば、RUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーターを使用できる[Coruzziら、1984、(97);Broglieら、1984、(98);Winterら、1991、(99)]。これらの構築物は直接DNA形質転換により、または病原体媒介性の形質移入により植物細胞に導入できる。このような技術は多くの一般に入手可能な総論において記述されている。
昆虫も「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを発現するために使用できる。例えば、1つのそのような系においてオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体ウイルス(AcNPV)は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞またはトリコプルシア属(Trichoplusia幼生において外来遺伝子を発現するベクターとして使われる。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列は、ポリヘドリン遺伝子などのウイルスの必須でない領域中にクローンされ、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置かれる。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの挿入が成功すると、ポリヘドリン遺伝子は不活性になり、外殼タンパク質を欠いた換ウイルス産生する。組換ウイルスは次いで「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを発現できるスポドプテラ・フルギペルダ細胞またはトリコプルシア属幼生に感染するために使用できる[Engelhardら、1994、(100)]。
哺乳動物の発現
多くのウイルスベースの発現は哺乳動物の宿主細胞において「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを発現するために用いることができる。例えば、アデノウイルス発現ベクターとして使用する場合、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列、後期プロモーターおよび三連(tripartite)リーダー配列を含むアデノウイルス転写/翻訳複合体中にライゲートすることができる。ウイルスのゲノムの必須でないE1またはE3領域中への挿入により、感染宿主細胞において「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを発現することができる生存可能なウイルスを得ることができる[ローガン&Shenk、1984、(101)]。必要に応じて、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーのような転写エンハンサー、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させるために用いることができる。
ヒト人工染色体(HACs)、プラスミドにおいて含まれ、発現され得るより大きいDNAの断片を輸送するために用いることできる。6Mから10MのHACが構築され、従来の輸送方法によって細胞に輸送される(例えば、リポソーム、多カチオン性アミノポリマー、または小胞)。
特定の開始シグナル「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために用いることできる。このようなシグナルはATG開始コドンおよび隣接した配列を含む。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列、その開始コドンおよび上流の配列が適切な発現ベクターに挿入される場合においては、さらなる転写または翻訳制御シグナルは必要とされない場合もある。しかしながら、コーディング配列、またはその断片のみが挿入される場合においては、外因性翻訳制御シグナル(ATG開始コドンを含む)が提供されるべきである。開始コドンは全部の挿入の翻訳を保証するために正しいリーディングフレーム中にあるべきである。外因性翻訳エレメントおよび開始コドンは種々の起源のものであり、天然および合成の両方であり得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系に対して適切なエンハンサーを含めることによって向上させることができる[Scharfら、1994、(102)]。
宿主細胞
宿主細胞は、挿入された配列の発現を調整する能力、または望ましい形式で発現された「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを処理する能に関して選択することができる。このようなポリペプチドの修飾は、これらに限定されないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化を包含する。ポリペプチドの「プレプロ」切断する翻訳後プロセシングにより、正しい挿入、フォールディングおよび/または機能を促進することができる。翻訳後活性についての特定の細胞機構および特有のメカニズムを有する種々の宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、およびWI38)は、アメリカ・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC;10801 University Boulevard,Manassas、VA、20110−2209)から入手可能であり、正しい修飾および外来タンパクのプロセッシングを保証するように選択することができる。
換タンパクの長期の、高収率の生産のためには安定した発現が好ましい。例えば、安定して「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを発現する細胞系、同一または別のベクター上にウイルス起源の複製および/または内因性発現エレメントおよび選択可能なマーカー遺伝子を含むことができる発現ベクターを用いて形質転換することができる。ベクターの導入の後に、強化培地中、12日間、細胞を成長させることができ、その後、選択培地に切り替える。選択可能なマーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、その存在により、導入された「乳ガン遺伝子」配列を成功裏に発現する細胞の成長と回復が可能となる。安定して形質転換された細胞の耐性クローンは、そのセルタイプにとって適切な組織培養技術を用いて増殖させることができる[Freshneyら、1986、(103)]。
任意の数の選択を形質転換された細胞系を回復するために用いることができる。これらは、それぞれtkまたはaprt細胞において用いることができる単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ[Wiglerら、1977、(104)]およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ[Lowyら、1980、(105)]遺伝子を含むが、これらに制限されるわけではない。また、代謝拮抗物質、抗生物質、または除草剤耐性を選択の基礎として用いることができる。例えば、dhfrはメトトレキセートに対する耐性を付与し[Wiglerら、1980、(106)]、nptはアミノグリコシド、ネオマイシンおよびG418に対する耐性を付与し[Colbere−Garapinら、1981、(107)]、alsとおよびpatはそれぞれクロスルフロンおよびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与する。さらなる選択可能な遺伝子が記載されている。例えば、trpBにより細胞がトリプトファンのかわりにインドールを利用可能になり、hisDにより細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用可能になる[Hartman&Mulligan、1988、(108)]。アントシアニン、β−グルクロニダーゼおよびその基質GUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質ルシフェリンなどの可視マーカーは、形質転換体を同定し、特定のベクターに起因する一時的または安定したタンパク質発現の量を定量化するために用いることができる[Thodesら、1995、(109)]。
発現および遺伝子産物の検出
マーカー遺伝子発現の存在は、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドも存在していることを示唆するが、その存在および発現は確認される必要がある可能性がある。例えば、もし「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列がマーカー遺伝子配列中に挿入されるなら、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列を含む形質転換された細胞はマーカー遺伝子機能の欠如により同定することができる。別法として、マーカー遺伝子は、単一のプロモーターの制御下に、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列と直列に配置することができる。誘導または選択に応答したマーカー遺伝子の発現は、通常「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドの発現を示す。
別法として、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを含み、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを発現する宿主細胞は、当業者らに公知のいろいろな方法によって同定することができる。これらの方法は、ポリヌクレオチドまたはタンパク質の検出および/または定量化のための、膜、溶液、またはチップベースの技術を含む、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質バイオアッセイまたはイムノアッセイ技術を包含するが、これらに限定されるわけではない。例えば、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の存在は、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションまたは、プローブまたは断片または「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの断片を用いる増幅により検出できる。核酸増幅を基礎とした分析は、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列から選択されたオリゴヌクレオチドを用いて「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを含む形質転換体を検出することを含む。
ポリペプチドに対して特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体のいずれかを用いて「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの発現を検出し、測定するためのいろいろなプロトコルが当該分野において公知である。例は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および蛍光標示式細胞分取器(FACS)を含む。「乳ガン遺伝子」ポリペプチド上の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる二部位モノクローナルベースのイムノアッセイを用いることができるか、または競合結合測定法を用いることができる。これらおよび他の分析法は、Hamptonら、(110)およびMaddoxら、111において記載されている。
多種多様な標識と結合技術が当業者らによって知られており、種々の核酸およびアミノ酸分析において用いることができる。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための標識されたハイブリダイゼーションまたはPCRプローブを産生するための手段は、oligo標識、ニックトランスレーション、末端標識、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅を含む。別法として、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列を、mRNAプローブの産生のためベクターの中にクローンすることができる。このようなベクターは当該分野で公知であり、商業的に入手可能であって、標識されたヌクレオチドおよびT7、T3、またはSP6のような適切なRNAポリメラーゼの添加によってインビトロでRNAプローブを合成するために用いることができる。これらの手順はいろいろな商業的に入手可能なキット(Amersham Pharmacia Biotech、PromegaおよびUS Biochemical)を用いて行なうことができる。検出の容易にするために用いることができる適切なリポーター分子または標識は、放射性核種、酵素および光、化学発光、または、色素産生剤、ならびに基質、コファクター、阻害剤、磁気粒子などを含む。
ポリペプチドの発現と精製
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培養からのタンパク質の発現および回収に適した条件下で培養できる。形質転換された細胞により産生されたポリペプチドは使用される配列および/またはベクターに応じて、細胞内に分泌および貯蔵され得る。当業者らによって理解されるように、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核生物または真核生物細胞膜を通して可溶性「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを分泌させるか、または膜結合「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの膜挿入を行うシグナル配列を含むように設計することができる。
前記のように、他の構築物を、可溶性タンパクの精製を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列を連結させるために用いることができる。このような精製促進ドメインは、これらに限定されないが、固定化金属上の精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールなどの金属キレート化ペプチド、固定化イムノグロブリン上の精製を可能にするプロテインAドメイン、およびFLAGSエクステンション/アフィニティー精製システム(Immunex Corp.,シアトル、Wah.)において利用されるドメインを含む。精製ドメインと「乳ガン遺伝子」ポリペプチド間に活性化第X因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen、サンディエゴ、CA)に対して特異的な配列などの切断可能なリンカー配列を含め、精製を促進することができる。このような発現ベクターの1つは、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドおよびチオレドキシンまたはエンテロキナーゼ切断部位の前に6のヒスチジン残基を含む融合タンパク質発現させる。ヒスチジン残基はiMac(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー[Porathら、1992、(112)]による精製を促進し、一方、エンテロキナーゼ切断部位は融合タンパク質から「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを精製するための手段を提供する。融合タンパクを含むベクターがKrollら、(113)において開示されている。
化学合成
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列は、当該分野でよく知られている化学的方法を用いて全部または部分的に合成できる(Caruthersら、(114)とHornら、(115)参照)。別法として、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドそれ自身を、そのアミノ酸配列を合成するための化学的方法、例えば固相技術を用いた直接ペプチド合成によって、生産することができる[Merrifield、1963、(116)およびRobergeら、1995、(117)]。タンパク合成は、手動の技術を使用するか、または自動化により行なうことができる。自動化された合成は、例えば、Applied Biosystems 431ペプチド合成器(Perkin Elmer)を使って達成することができる。必要に応じて、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの断片を別に合成して、化学的方法を用いて結合させ、完全長分子を産生することができる。
新たに合成されたペプチドを、分取高速液体クロマトグラフィーによって実質的に精製することができる[Creighton、1983、(118)]。合成の「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定によって確認できる(例えば、Edman分解法;Creighton、(118)参照。さらに、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのアミノ酸配列の任意の部分を接合に改変する、および/または化学的方法を用いて他のタンパク質からの配列と結合させて、変異体ポリペプチドまたは融合タンパク質を生産することができる
改変されたポリペプチドの産生
当業者らにより理解されるように、天然に存在しないコドンを有する「乳ガン遺伝子」ペプチドをコードするヌクレオチド配列を生産すること有利であり得る。例えば、特定の原核生物または真核生物宿主に好ましいコドンは、タンパク質発現の速度を増大させるか、または天然に存在する配列から生じる転写物よりも長い半減期などの望ましい性質を有するRNA転写物を産生するために選択することができる。
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードする配列を、これに限定されないが、ポリペプチドまたはmRNA産物のクローニング、プロセッシング、および/または発現を修飾する改変などの、様々な動機から改変するために、当該分野において一般的に公知の方法を用いて本発明において開示されたヌクレオチド配列を処理することができる。遺伝子断片および合成のオリゴヌクレオチドのランダム断片化によるDNAシャッフリングおよびPCR再構築を用いてヌクレオチド配列を処理することができる。例えば、新しい制限部位を挿入し、グリコシル化パターンを改変し、コドン選択を改変し、スプライス変異体を産生し、突然変異を導入するなどするために、部位特異的突然変異誘発法を用いることができる。
予測、診断および予後分析
本発明は、悪性腫瘍、特に乳ガンに関する、配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19または21から26または53から75のポリヌクレオチド配列のいずれかを含む開示したポリヌクレオチドマーカーおよび/またはこれによりコードされるポリペプチドマーカーまたは配列番号:28から32、34、35、37から42、44、45または47から52または76から98のポリペプチド配列のいずれかを含むポリペプチドマーカーのうちの1つ、または配列番号:1から26および53から75から選択される少なくとも2の開示されたポリヌクレオチドまたは配列番号:28から32および76から98から選択される少なくとも2の開示されたポリペプチドを検出することにより、対象が悪性腫瘍、特に乳ガンを発症する危険にあるかどうかを決定するための方法を提供する。
臨床用途において、生物学的サンプルを、本発明において同定されたバイオマーカーの存在および/または非存在に関してスクリーニングすることができる。このようなサンプルは例えば針生検コア、外科切除サンプル、または血清、細針ニップル吸引および尿のような体液である。例えば、これらの方法は生検を得、これを、全体の細胞集団のおよそ80%に疾患細胞を濃縮するために、必要に応じてクリオスタットで切断することによって細分することを含む。ある態様において、これらのサンプルから抽出されるポリヌクレオチドは当該分野でよく知られている技術を用いて増幅できる。検出された選択されたマーカーの発現レベルは、統計的に有効な疾患および健康なサンプル群と比較される。
態様において、診断方法は、たとえば、ノザンブロット分析、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、インサイチュハイブリダイゼーション、免疫沈降、ウェスタンブロットハイブリダイゼーション、または免疫組織化学により、対象が開示されたマーカーの異常なmRNAおよび/またはタンパク質レベルを有するかどうかを決定する事を含む。この方法によれば、細胞を対象から得、開示されたバイオマーカーのレベル、タンパク質またはmRNAレベルを測定し、健康な対象におけるこれらのマーカーのレベルと比較する。異常なレベルバイオマーカーポリペプチドまたはmRNAレベルは乳ガンなどの悪性腫瘍を示している可能性が高い。
別の態様において、診断方法は、例えば、サザンブロット分析、ドットブロット分析、蛍光または比色インサイチュハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーション、VNTRによる遺伝子型同定、STS−PCRまたは定量的PCRにより、対象が前記遺伝子または前記ゲノム座の異常なDNA含有量を持っているかどうか決定することを含む。一般に、これらの分析は、代表的なゲノム領域から得られるプローブの使用を含む。プローブは前記ゲノム領域または前記領域に対して相補性または類似の配列の少なくとも一部を含む。特に、前記遺伝子またはゲノム領域の遺伝子間または遺伝子内領域。プローブは、ハイブリダイゼーションによって標的領域に結合することができるヌクレオチド配列または類似した機能を有する配列(例えばPNAs、モルホリノオリゴマー)からなり得る。一般に、前記患者サンプルにおいて改変されているゲノム領域は、影響されない対照サンプル(同一または異なる患者から得られる正常な組織、周囲の影響されない組織、末梢血)または前記改変を有さず、したがって内部対照としての働きをすることができる同じサンプルのゲノム領域と比較される。好ましい態様において、同じ染色体上に位置する領域が使用される。別法として、サンプルにおける性染色体領域および/または所定の様々な量の領域が使用される。一つの好ましい態様において、別々のゲノム領域内にあるDNA含量、構造、組成または修飾を比較する。特に好ましいのは、標的領域の量が増幅およびまたは欠失により改変されている前記サンプルのDNA含量を検出する方法である。別の態様において、診断、予後判定または治療的価値といった臨床面に関して前記サンプルにおける細胞に影響を及ぼすかまたは罹患しやすくする多性(例えば、一塩基多形または突然変異)の存在について標的領域を分析する。好ましくは、配列変異の同定は、前記臨床面における前記サンプルの特徴的性質をもたらすハプロタイプを決定するために用いられる
17q12−21.2における遺伝子の次の例は、制限のためではなく、例示のために提示する。
本発明の一態様は、少なくとも10、少なくとも5、または少なくとも4,または少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも2のマーカーの検出による悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法であって、ここでマーカーは悪性腫瘍において改変されている一つの染色体領域上に位置する遺伝子およびその断片および/またはゲノム核酸配列である。
本発明のさらなる一態様は、少なくとも10、少なくとも5、または少なくとも4、または少なくとも3、さらに好ましくは少なくとも2のマーカーの検出による悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法であって、ここで該マーカーは、(a)悪性腫瘍において改変されている1またはそれ以上の染色体領域上に位置する遺伝子およびその断片および/またはゲノム核酸配列であり、(b)(i)レセプターおよびリガンドまたは(ii)同じシグナル伝達経路のメンバーまたは(iii)相乗シグナル伝達経路のメンバーまたは(iv)拮抗シグナル伝達経路のメンバーまたは(v)転写因子および転写因子結合部位として機能的に相互作用する。
一態様において、悪性腫瘍、特に乳ガンの予測、診断または予後判定の方法は、生物学的サンプルにおいて以下を検出することにより行われ
a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75のポリヌクレオチドから選択されるポリヌクレオチド;
b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする遺伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチド;
d)(a)から(c)において特定されポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子異を表すポリヌクレオチド
以下の工程を含む:(a)から(d)において特定された任意のポリヌクレオチドまたは類似のオリゴマーを生物学的サンプルのポリヌクレオチド物質とハイブリダイズさせ、これによりハイブリダイゼーション複合体を形成し;前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する。
別の態様において、悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法は、記載したとおりに行われるが、生物学的サンプルのポリヌクレオチド物質がハイブリダイゼーション前に増幅される。
別の態様において、悪性腫瘍、特に乳ガンの診断または予後判定の方法は、以下を検出することにより行われ
a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75のポリヌクレオチドから選択されるポリヌクレオチド;
b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
c)表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする遺伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチド;
d)(a)から(c)において特定されポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子異を表すポリヌクレオチド;
(e)(a)から(d)において特定されポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド;
(f)配列番号:28から32、34、35、37から42、44、45、47から52または76から98のいずれかのポリペプチドを含むポリペプチド
物学的サンプルを(a)から(d)において特定されポリヌクレオチドまたは(e)において特定されポリペプチドと特異的に相互作用する作用物質と接触させる工程を含む。
DNAアレイ技術
一態様において、本発明はまた、ポリヌクレオチドプローブが整列されたアレイにおいてDNAチップに固定化されている方法を提供する。オリゴヌクレオチドは、リソグラフィーを含む様々な方法により固体支持体に結合させることができる。例えばチップは最高410000のオリゴヌクレオチドを保持できる(GeneChip、Affymetrix)。本発明は、チップ上のポリヌクレオチドマーカーのアレイを供給することにより、試験の信頼性を増大させるので、乳ガンなどの悪性腫瘍に利用可能な試験に対して重大な利点を提供する。
この方法は、必要に応じてクリオスタットで切断することによって細分し疾患細胞集団を全細胞集団の約80%に濃縮した、罹患した人の生検を得ること、および血清または尿などの体液、血清または液体を含む細胞(例えば、細針吸引液から得られる)の使用を含む。次いでDNAまたはRNAを抽出し、増幅し、DNAチップを用いて分析して、マーカーポリヌクレオチド配列の存在または非存在を決定する。一態様において、ポリヌクレオチドプローブを2次元マトリックスまたはアレイにおいて基質上にスポットする。ポリヌクレオチドサンプルは、標識し、次いでプローブとハイブリダイズさせることができる。プローブヌクレオチドと結合した標識されたサンプルポリヌクレオチドを含む二本鎖ポリヌクレオチドは、サンプルの結合部分が洗い流されると検出できる。
プローブポリヌクレオチドは、ガラス、ニトロセルロースなど基質上にスポットすることができる。プローブは共有結合または疎水性相互作用などの非特異的相互作用のいずれかにより基質に結合させることができる。サンプルポリヌクレオチドは放射性標識フルオロフォア、発色団などを用いて標識することができる。アレイを構築するための技術およびこれらのアレイを使用する方法は、EP0799897;WO97/29212;WO97/27317;EP0785280;WO97/02357;米国特許第5,593,839号;米国特許第5,578,832号;EP0728520;米国特許第5,599,695号;EP0721016;米国特許第5,556,752号;WO95/22058;米国特許第5,631,734号に記載されている。さらにアレイは、遺伝子の差次的発現を調べるために使用でき、遺伝子機能を決定するために使用できる。例えば、本発明のポリヌクレオチド配列のアレイは、ポリヌクレオチド配列のいずれかが、例えば、正常細胞と疾患細胞間で差次的に発現されるかどうかを決定するために用いることができる。疾患サンプルにおいて特定メッセージが高発現であり、これが対応する正常なサンプルにおいては観察されない場合、ガン特異的タンパク質を示すことができる
したがって、一側面において、本発明は本明細書において開示するユニークなポリヌクレオチドマーカーに特異的なプローブおよびプライマーを提供する。
一態様において、方法は患者から得られる組織において、悪性または特に乳ガン細胞の存在を確認するためにポリヌクレオチドプローブを使用することを含む。特に、この方法は以下を含み
1)配列番号:1から26および53から75のポリヌクレオチドまたはこれに対して相補性の配列から選択されるポリヌクレオチドのコーディング配列の一部と相補性のコーディング配列の、少なくとも12のヌクレオチド長、好ましくは少なくとも15のヌクレオチド、より好ましくは25のヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも40のヌクレオチドから、全てまたはほとんど全てのヌクレオチド配列を含み、2)乳ガンなどの悪性腫瘍において差次的に発現する、ポリヌクレオチドプローブを準備すること;
)悪性腫瘍を有する患者から組織サンプルを得ること
4)悪性腫瘍がない患者から第二の組織サンプルを用意すること
5)ポリヌクレオチドプローブをストリンジェントな条件下で前記第一および第二の組織サンプルのそれぞれのRNAと接触させること(例えば、ノザンブロットまたはインサイチュハイブリダイゼーション分析において);
6)(a)プローブ第一の組織サンプルのRNAとのハイブリダイゼーションの量を、(b)プローブ第二の組織サンプルのRNAとのハイブリダイゼーションの量と比較すること、
ここにおいて、第二の組織サンプルのRNAとのハイブリダイゼーションの量に対する第一の組織サンプルのRNAとのハイブリダイゼーションの量における統計学的に有意な差異は、第一の組織サンプルにおける悪性腫瘍、特に乳ガンを示す。
データ分析法
1またはそれ以上の「乳ガン遺伝子」の発現レベルと、参考発現レベル、例えば、乳ガン疾患胞または正常なカウンターパート細胞における発現レベルトの比較は、好ましくはコンピュータシステムを使って行なわれる。一態様において、発現レベル2つの細胞から得、これらの2セットの発現レベルを比較のためにコンピュータシステムに導入する。望ましい態様において、すでにコンピュータシステムにおいて存在する、または後にコンピュータシステムに入力するコンピュータ読みとり可能な形式の値と比較するために、1セットの発現レベルをコンピュータシステムに入力する
一態様において、本発明は、コンピュータに読みとり可能な形式の、本発明の遺伝子発現特性データ、または疾患細胞における少なくとも1つの「乳ガン遺伝子」の発現のレベルに対応する値を提供する。値は実験、例えば、ミクロアレイ分析から得られるmRNA発現レベルであり得る。値は、その発現が多数の条件下で多数の細胞において一定である対照遺伝子、例えば、GAPDHに関して標準化されたmRNAレベルであり得る。他の態様において、コンピュータにおける値が、異なるサンプルにおける標準化または非標準化mRNAレベルの比または差である。
遺伝子発現特性データは表の形態、たとえばエクセルの表であり得る。データは単独であるか、または例えば他の発現特性を含むより大きなデータベースの一部であり得る。例えば、発明の発現特性データは公開のデータベースの一部であり得る。コンピュータ読みとり可能な形式はコンピュータにあり得る。別の態様において、本発明は遺伝子発現特性データを表示するコンピュータを提供する。
態様において、本発明は第一の細胞、例えば、対象の細胞における1またはそれ以上の「乳ガン遺伝子」の発現のレベルと、第二の細胞におけるそれとの間の類似性を決定する方法であって、第一の細胞における1またはそれ以上の「乳ガン遺伝子」の発現レベルを得、これらの値を、第二の細胞における1またはそれ以上の「乳ガン遺伝子」の発現レベルに対応する値、およびコンピューター中に記憶されているデータと比較する目的で1またはそれ以上の値の選択を受容できる、例えばユーザーインターフェースなどのプロセッサインストラクションを含む記録などのデータベースを内蔵するコンピューターに入力することを含む方法。コンピューターはさらに比較データをダイアグラムまたはチャートまたは他の種類の出力に変換する手段を含み得る
別の態様において、「乳ガン遺伝子」の発現レベルを表す値、1以上の細胞から得られた対照発現レベルを有するまたはそれ以上のデータベースを含むコンピュータシステムに入力る。例えば、コンピュータは疾患細胞および正常な細胞の発現データを含む。インストラクションがコンピュータに導入されており、コンピュータは、入力されたデータとコンピュータ内のデータとを比較し、入力されたデータが正常な細胞または疾患細胞のデータのいずれに対してより類似しているかを決定することができる。
別の態様において、コンピュータは乳ガンの異なる段階の対象の細胞における発現レベルの値を含み、コンピュータはコンピュータに入力された発現データ記憶されたデータと比較でき、例えば対象における乳ガンの段階を決定するために、コンピューターどの発現特性に入力されたデータが最も類似しているかを示す結果をもたらす。
さらに別の態様において、コンピュータ内の対照発現特性は、乳ガンの治療のために用いられる薬物でインビボまたはインビトロで処理されている、またはそれ以上の対象の乳ガンの細胞からの発現特性であ薬物でインビトロまたはインビボで処置された対象の細胞の発現データを入力すると、コンピュータは、コンピュータのデータ入力されたデータと比較し、コンピュータ入力された発現データが、薬物に反応する対象の細胞のものとより類似しているか、または薬物に反応しない対象の細胞のものにより類似しているかどうかを示す結果を提供する。従って、結果は対象薬物での治療に反応しやすいか、またはそれに反応しにくいかどうかを示す。
一態様において、発明は1または複数の遺伝子の遺伝子発現データを受け取るための手段;前記の1または複数の遺伝子それぞれから得られる遺伝子発現データを一般的な対照フレームと比較する手段;および比較の結果を提示するための手段を含むシステムを提供する。このシステムはさらにデータをクラスター化するための手段を含み得る
別の態様において、本発明は(i)複数の遺伝子についての入力遺伝子発現データを受け取るコンピューターコードおよび(ii)前記の複数の遺伝子のそれぞれから得られる前記遺伝子発現データと一般的な対照フレームと比較するコンピューターコードを含む遺伝子発現データを分析するためのコンピュータプログラムを提供する。
本発明はまた、次の段階を実行するためのプログラムインストラクションを含む機械読みとり可能またはコンピューター読みとり可能な媒体を提供する:(i)問題の細胞における乳ガンに特徴的な1またはそれ以上の遺伝子の発現レベルに対応する複数の値を、1またはそれ以上の対照細胞の対照発現または発現特性データおよび細胞の種類のアノテーションを含む記録を含むデータベースと比較し;(ii)発現特性の類似性に基づいてどの細胞と問題の細胞が最も類似しているかを示す。対照細胞は、乳ガンの異なる段階の対象から得られる細胞であり得る。対照細胞はまた、特定の薬物療法に反応するかまたは反応しない対象から得られ、必要に応じて薬物とともにインビトロまたはインビボでインキュベートし細胞であり得る。
対照細胞はまた、いくつかの異なった処置に反応するかまたは反応しない対象から得られる細胞であってもよく、コンピュータシステムは対象に対する好ましい処置を示す。したがって、本発明は乳ガンの患者についての治療法を選択するための方法であって以下を含む方法を提供する:(i)患者の疾患細胞における乳ガンに特徴的な1またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを提供する;(ii)それぞれが治療法と関連する複数の対照特性を提供する(ここにおいて、対象の発現特性および各対照特性は複数の値を有し、各値は乳ガンに特徴的な遺伝子の発現レベルを表す);および(iii)対象の発現特性に最も類似した対照特性を選択して、これにより前記患者についての療法を選択する。好ましい態様において、段階(iii)はコンピュータによって行なわれる。対応する発現データと関連る重量値を用いて複数の比較を検討することにより最も類似した対照特性を選択することができる。
2つの生物学的サンプルにおけるmRNAの相対存在量は、摂動(perturbation)とその測定された大きさ(すなわち、存在量はテストされるmRNAの2つの供給源において異なっている)として、または摂動していない(すなわち、相対存在量は同じである)としてスコアされ得る。種々の態様において、2つの供給源のRNA間の、少なくとも約25%(一つの供給源から得られるRNAが、他の供給源よりも1つの供給源において25%多い)、より一般的には約50%、さらにより頻繁には約2倍(2倍豊富)、3倍(3倍豊富)、または5倍(5倍豊富)の差異が摂動としてスコアされる。摂動は、計算と発現比較のためにコンピュータで利用できる。
好ましくは、摂動をプラスまたはマイナスと判断することに加えて、摂動の大きさを決定することは有利である。これは、前記のように、差次的標識に用いられる2つのフルオロフォアの発光比を計算することによって、または当業者に自明の類似法によって、実行することができる。
コンピュータ読み取り可能な媒体は乳ガンの段階の記述子のポインタまたは乳ガンに対する処置ポインタをさらに含み得る
操作の際に、遺伝子発現データを受け取るための手段、遺伝子発現データを比較するための手段、提示する手段、標準化するための手段、および本発明のシステムのコンテクスト内でクラスター化するための手段、ハードウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアに導入された、本明細書に記それぞれの機能性についてプログラムされたコンピューター;コンピュータープログラムにより支持される、本明細書において特に記載された操作を実行するプログラムされたコンピューターの論理回路または他の成分;または本明細書に記載の特定の方法でコンピュータを機能させることができるコンピュータプログラムを表す実行可能な命令がコード化された内部記憶装置を含んでもよい。
当業者らは発明のシステムおよび方法が、MS−DOSまたはマイクロソフトウインドウズを実行させるIBMコンパチブルのパーソナルコンピュータを含むさまざまなシステムに適用できることを理解するであろう。
コンピュータは外部コンポーネントとリンクした内部コンポーネントを有していてもよい。内部コンポーネントはメイン記憶装置と相互に連結したプロセッサ要素を含んでもよい。コンピュータシステムは200MHzまたはそれ以上のクロックレイトおよび32MB以上のメイン記憶装置を有しているインテルPentium(登録商標)ベースのプロセッサであり得る。外部コンポーネントは(一般にプロセッサおよび記憶装置と共にパッケージされる)1またはそれ以上のハードディスクであり得る大容量記憶装置を含んでもよい。このようなハードディスクは典型的には1GB以上の記憶容量である。他の外部コンポーネントは、モニターであり得るユーザインタフェースデバイスを「マウス」であり得る入力装置、または他のグラフィック入力装置、および/またはキーボードと共に含む。印刷装置もコンピュータに取り付けることができる。
典型的に、コンピュータシステムは他のローカルなコンピュータシステム、リモートコンピュータシステム、またはインターネットなどの広いエリアの通信網へのイーサネットリンクの一部であり得るネットワークリンクにリンクされる。このネットワークリンクはコンピュータシステムが他のコンピュータシステムとデータおよび処理タスクを共有することを可能にする。
当該分野で標準的および本発明に特定のいくつかのソフトウェアコンポーネントがこのシステムが動作している間、記憶装置にロードされている。これらのソフトウェアコンポーネントは共同でコンピュータシステムを本発明の方法に従って機能させる。これらのソフトウェアコンポーネントは典型的には大容量記憶装置に記憶される。あるソフトウェアコンポーネントはコンピュータシステムとそのネットワーク相互接続の管理に関与するオペレーティングシステムを表す。このオペレーティングシステムは、例えば、マイクロソフトのWindowsのファミリーの、Windows95、Windows98、またはWindowsNTなどであり得る。あるソフトウェアコンポーネントは、このシステム上に都合よく存在する、本発明に特定の方法を実行するプログラムを支援するための共通言語および機能を表す。多くの高または低レベルのコンピュータ言語を、本発明の分析法をプログラムするために用いることができる。命令をランタイムの間に解釈するかまたはコンパイルすることができる。望ましい言語はC/C++およびJAVA(登録商標)を含む。最も好ましくは、本発明の方法は、使用されるアルゴリズムなどの、方程式の記号入力および高レベル仕様のプロセッシングを可能にする数学的ソフトウェアパッケージにプログラムされ、これによりユーザーは手続き上個々の方程式またはアルゴリズムをプログラムする必要がなくなる。このようなパッケージはMathworksから得られるMatlab(Natick、Mass.)、Wolfram Researchから得られるMathematica(Champaign,Ill)、またはMath Softから得られるS−Plus(Cambridge,Mass.)を含む。従って、ソフトウェアコンポーネントは、手続き型言語またはシンボルパッケージにおいてプログラムされた本発明の分析法を表す。好ましい態様において、コンピュータシステムはまた、乳ガンに特徴的な1またはそれ以上の遺伝子の発現のレベルを表す値を含むデータベースを含む。データベースは、1またはそれ以上の、種々の細胞におけるガンに特徴的な遺伝子の発現特性を含んでもよい。
実行の例において、本発明の方法を実施するためには、使用者は最初にコンピュータシステムに発現特性データをロードする。これらのデータはモニターとキーボードから、またはネットワーク接続によってリンクされた他のコンピュータシステムから、あるいはCD−ROMまたはフロッピーディスクのような取外し可能な記憶装置媒体上から、またはネットワークを通して直接使用者によって入力可能である。次に使用者は、比較する段階と、例えば、遺伝子のグループの中に共通の変異を有する遺伝子をクラスター化する段階とを行なう発現特性分析ソフトウェアを実行する。
の実行例において、米国特許第No.6,203,987号に記載の方法を用いて発現特性を比較る。使用者は最初にコンピュータシステムに発現特性データをロードする。Geneset特性定義を、記憶媒体からまたはリモートコンピュータから、好ましくはダイナミックなgenesetデータベースシステムから、ネットワークを通して記憶装置にロードる。次に使用者は発現特性を予測される発現特性に変換する段階を実行するプロジェクションソフトウェアを実行する。そうして予測される発現特性示される。
さらにの実行例において、使用者は最初に記憶装置中に予測される特性を導入する。使用者は次いで記憶装置の中に対照特性をロードする。次に、使用者は客観的に特性を比較する段階を実行する比較ソフトウェアを実行する。
変異体ポリヌクレオチド配列の検出
さらに別の態様において、本発明は、配列番号:1から26または53から75のいずれかのポリペプチドによりコードされるいずれかのポリヌクレオチドの異常な活性と関連する、悪性腫瘍、例えば乳ガンを発生させる傾向など、対象が疾患を発症する危険にあるかどうか決定する方法であって、ポリペプチドの異常な活性以下の少なくとも1つによって特徴づけられる遺伝子の病変の存在または非存在を検出することにより特徴づけられる方法を提供する
(i)マーカーポリペプチドをコードする遺伝子の完全性に影響を与える変化、または
(ii)コーディングポリヌクレオチドの異所性発現。
説明のために、このような遺伝子病変は、以下の少なくとも1つの存在を確かめることにより検出することができる:
I.ポリヌクレオチド配列からの1またはそれ以上のヌクレオチドの欠失
II.ポリヌクレオチド配列に対する1またはそれ以上のヌクレオチドの付加
III.ポリヌクレオチド配列の1またはそれ以上のヌクレオチドの置換
IV.ポリヌクレオチド配列の全体的な染色体の再配列
V.ポリヌクレオチド配列のメッセンジャーRNA転写のレベルにおける全体的な改変
VI.ゲノムDNAのメチル化パターンの修飾などのポリヌクレオチド配列の異常な修飾
VII.遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在
VIII.マーカーポリペプチドの非野生型レベル
IX.遺伝子の対立遺伝子欠失
X.遺伝子の対立遺伝子獲
I.マーカーポリペプチドの不適当な翻訳後修飾
本発明は、コーディングポリヌクレオチド配列において突然変異を検出するための分析技術を提供する。これらの方法は、これらに限定されないが、配列解析を含む方法、サザンブロットハイブリダイゼーション、制限酵素部位のマッピングおよび分析されるポリヌクレオチドとプローブ間のヌクレオチド対の不在の検出を含む方法を包含する。
特定の疾患または障害、例えば遺伝病または障害は、特定遺伝子(必ずしも突然変異したタンパク質をコードするわけではない)の多性領域の特定の対立遺伝子変異体と関連しているこのように、対象における遺伝子の多性領域の特定の対立遺伝子変異体の存在により、対象特異的疾患または障害生しやすくなる可能性がある。個人の集団における遺伝子のヌクレオチド配列を決定することによって、遺伝子における多性領域を同定できる。もし多性領域が同定されなら、特定の疾患とのつながりは、個人、例えば乳ガンなどの特定の疾患を発症した個人の特定集団を研究することにより決定することができる。多性領域は、遺伝子の任意の領域、例えばエキソン、エキソンのコーディングまたは非コーディング領域内、イントロン、およびプロモーター領域に位置し得る
一態様において、遺伝子のセンスまたはアンチセンス配列またはその天然に存在する変異体、または、対象の遺伝子と天然に連結している5’または3’フランキング配列またはイントロン配列またはその天然に存在する変異体と、ハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列領域を含むポリヌクレオチドプローブを含むポリヌクレオチド組成物提供る。細胞のポリヌクレオチドハイブリダイゼーション可能な状態にし、プローブサンプルのポリヌクレオチドと接触さプローブとサンプルポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション検出る。このような技術は、ゲノムまたはmRNAレベルのいずれかで欠失、置換などの病変または対立遺伝子変異体を検出し、mRNA転写レベルを決定するために用いることができる。
好ましい検出方法は、突然変異または多型性部位と重複し、突然変異または多型性領域の周囲におよそ5、10、20、25、または30のヌクレオチドを有するプローブを用いた対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。本発明の好ましい態様において、対立遺伝子変異体に特異的にハイブリダイズ可能ないくつかのプローブを固相支持体、例えば、「チップ」に付着させる。「DNAプローブアレイ」とも呼ばれるオリゴヌクレオチドを含むこれらのチップを用いた突然変異検出分析は、例えば、Croninら、(119)において記載されている。一態様において、チップは遺伝子の少なくとも1つの多型性領域のすべての対立遺伝子変異体を含む。次いで、固相支持体を試験ポリヌクレオチドと接触させ、特定プローブへのハイブリダイゼーション検出る。したがって、1またはそれ以上の遺伝子の多数の対立遺伝子変異体の同定を単一のハイブリダイゼーション実験で行うことができる。
特定の態様において、病変の検出は、アンカーPCRまたはRACE PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および683,202号参照)、または別法としてリガーゼ連鎖反応(LCR)[Landegranら、1988、(120)とNakazawaら、1994(121)]においてプローブ/プライマーを利用することを含み、後者は遺伝子における点突然変異の検出に特に有用であり得る[Abravayaら、1995、(122)]。単に例示のための態様において、方法は、(i)患者から細胞のサンプルを集める工程、(ii)サンプルの細胞からポリヌクレオチド(例えば、ゲノム、mRNAまたは両方)を単離する工程、(iii)ポリヌクレオチドサンプルをポリヌクレオチド(もし存在するなら)のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こるような条件下でポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズするまたはそれ以上のプライマーと接触させる工程、および(iv)増幅産物の存在または非存在を検出するか、または増幅産物の大きさを検出し、対照サンプルとの長さを比較する工程を含む。PCRおよび/またはLCRは本明細書に記載突然変異を検出するために用いられる任意の技術と組み合わせて、予備増幅工程として使用するのが望ましいと予想される。
別の増幅方法は以下を含む自立的配列複製(self sustained sequence replication)[Guatelli、J.C.ら、1990、(123)]、転写増幅システム[Kwoh、D.Y.ら、1989、(124)]、Q−ベータレプリカーゼ[Lizardi、P.M.ら、1988、(125)]、または任意の他のポリヌクレオチド増幅方法と、それに続く当業者らに周知の技術を用いる増幅された分子の検出。このような分子が非常に少数で存在している場合、これらの検出スキームはポリヌクレオチド分子の検出に特に有用である。
対象分析の好ましい態様において、制限酵素切断パターンにおける改変によって、サンプル細胞から得られる遺伝子における突然変異、または対立遺伝子変異体同定る。例えば、サンプルおよび対照DNA単離、増幅(任意)、1またはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化、断片の長さゲル電気泳動によって決定する。さらに、配列特異的なリボザイムの使用は(例えば、米国特許第5,498,531号参照)、リボザイム切断部位の発生または損失により特定の突然変異の存在についてスコアするために用いることができる。
インサイチュハイブリダイゼーション
一側面において、方法は所定のマーカーポリヌクレオチドから得られるプローブとのインサイチュハイブリダイゼーションを含み、該配列は、配列番号:1から9、または11から19または21から26および53から75のいずれかのポリヌクレオチド配列またはこれに対して相補的な配列から選択される。該方法は、悪性腫瘍、特に乳ガンを有する可能性のある患者から得られる所定のタイプの組織、ならびに悪性腫瘍がない個人から得られる正常な組織のサンプルと標識されたハイブリダイゼーションプローブを接触させ、プローブが正常な組織が標識される程度よりも有意に異なる程度(例えば、少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも20倍、または少なくとも50倍)まで患者の組織を標識するかどうかを決定することを含む。
ポリペプチド検出
本発明はさらに、対象から得られる細胞サンプルが異常な量のマーカーポリペプチドを有するかどうかを決定する方法であって、(a)対象から細胞サンプルを得、(b)このようにして得られたサンプルにおけるマーカーポリペプチドの量を定量し、そして(c)このように決定されたマーカーポリペプチド量を既知の標準と比較して、対象から得られる細胞サンプルが異常な量のマーカーポリペプチドを有するかどうかを決定することを含む方法を提供する。このようなマーカーポリペプチドは、免疫組織化学的分析、ドット−ブロット分析、ELISAなどにより検出できる。
抗体
当分野において既知のあらゆるタイプの抗体を、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのエピトープと特異的に結合するように生成ることができる。本明細書において用いられる抗体は、未処理のイムノグロブリン分子、ならびにその断片、例えばFab、F(ab)およびFvを含み、これらは「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのエピトープ結合できる。典型的には、少なくとも6、8、10、または12の連続したアミノ酸がエピトープを形成するために必要とされる。しかしながら、非連続的アミノ酸を含むエピトープはさらに、例えば少なくとも15、25、または50のアミノ酸を必要とし得る
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのエピトープと特異的に結合する抗体を、治療的に、ならびに免疫化学的分析、例えば、ウェスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学的分析、免疫沈降、または当該分野において公知の他の免疫学的分析において用いることができる。種々のイムノアッセイを、望ましい特異性を有する抗体を同定するために用いることができる。競合的結合または免疫放射線検定法のための多くのプロトコルは当該分野において周知である。このようなイムノアッセイは典型的には、免疫原と特異的に結合する抗体と免疫原間の複合体形成の測定を含む。
典型的には、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドに特異的に結合する抗体は、免疫科学的分析において用いられる場合他のタンパク質に関して提供される検出シグナルよりも少なくとも5倍、10倍、または20倍高い検出シグナルを提供する。好ましくは、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと特異的に結合する抗体は、免疫化学的分析において他のタンパク質を検出せず、溶液から「乳ガン遺伝子」ポリペプチドを免疫沈降させる。
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは、ポリクロナール抗体を産生するために、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、またはヒトなどの哺乳類を免疫するために用いることができる。必要に応じて、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは、担体タンパク質、例えば、ウシ血清アルブミン、チログロブリンおよびキーホールリンペットヘモシアニンとコンジュジュゲートさせることができる。宿主種によって、免疫応答を増やすために種々のアジュバントを用いることができる。このようなアジュバントは、これらに限定されないが、フロインアジュバント、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)および界面活性剤(例えばリレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノール)を包含する。ヒトにおいて使用されるアジュバントのなかで、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)は特に有用である。
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体は、培地における連続継代細胞系による抗体分子の生産の任意の技術を用いて調製することができる。これらの技術はハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBVハイブリドーマ技術[Kohlerら、1985、(136);Kozborら、1985、(137);Coteら、1983、(138)およびColeら、1984、(139)]を含むが、これらに限定されるわけではない。
加えて、キメラ抗体の産生のために開発された技術、適切な抗原特異性および生物学的活性を有する分子を得るためにヒト抗体遺伝子に対するマウス抗体遺伝子のスプライシングを用いることができる[Morrisonら、1984、(140);Neubergerら、1984、(141);Takedaら、1985、(142)]。モノクローナル抗体および他の抗体は、治療的に用いられる場合に、患者が抗体に対して免疫反応を起こすのを防止するためにヒト化することができる。このような抗体は、治療において直接使用できるほどヒト抗体に対して配列が十分類似しているか、または少数の重要な残基の改変を必要とする可能性がある。個々の残基の部位特異的突然変異誘発によるか、または全相性決定領域のグレーティングによって、ヒト配列におけるものと異なる残基置換することにより、齧歯類抗体とヒト配列間の配列の違いを最小化することができる。別法として、GB2188638Bにおいて記載されるように、組換法を用いてヒト化抗体を産生することができる。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと特異的に結合する抗体は、米国特許第5,565,332号において開示されるように、部分的にまたは完全ヒト化される抗原結合部を含み得る
別法として、単鎖抗体の生産について記載された技術を、当該分野で既知の方法を用いて「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと特異的に結合する単鎖抗体生に適合させることができる。関連した特異性を有しているが、別のイディオタイプ組成を有する抗体を、ランダム連結イムノグロブリンライブラリーからチェーンシャッフリングにより生成することができる[Burton、1991、(143)]。
単鎖抗体はまた、鋳型としてハイブリドーマcDNAを用いて、PCRなどのDNA増幅法を用いて構築することができる[Thirionら、1996、(144)]。単鎖抗体は一重または二重特異性であり、二価または価であり得る。四価二重特異性単鎖抗体の構築は、例えば、Coloma&モリソン(145)において教示されている。二価二重特異性単鎖抗体の構築はMallender&Voss、(146)において教示される。
単鎖抗体をコードするヌクレオチド配列は、後述のように、手動または自動化されたヌクレオチド合成を用いて構築、標準的組換えDNA法を用いて発現構築物中にクローン、コーディング配列を発現するために細胞中に導入することができる。別法として、単鎖抗体は、例えば、繊維状ファージ技術を用いて直接産生することができる[Verhaarら、1995、(147);Nichollsら、1993、(148)]
リンパ球集団におけるインビボ産生を誘発することによって、あるいは、イムノグロブリンライブラリーまたは文献[Orlandiら、1989、(149)とWinterら、1991、(150)]において開示されている高特異的結合物質一団をスクリーニングすることにより、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドに特異的に結合する抗体を産生することができる。
他のタイプの抗体を構築し、本発明の方法において治療的に用いることができる。例えば、WOで93/03151において開示されるようにキメラ抗体を構築することができる。免疫グロブリンから得られ、WO94/13804に記載の抗体のような、多価、多重特異的である結合タンパク質も調製することができる。
本発明の抗体は、当該分野でよく知られている方法によって精製することができる。例えば、抗体は「乳ガン遺伝子」ポリペプチドが結合するカラム通すことにより、アフィニティー精製することができる。次に結合した抗体を高い塩濃度を有する緩衝液を用いてカラムから溶出させることができる。
イムノアッセイは通常、細胞サンプルにおけるタンパク質のレベルを定量するために用いられ、多くの他のイムノアッセイ技術が当該分野で知られている。発明は特定の分析法に限定されず、従って、同種および異種の両方の方法を含むことを意図る。本発明に従って実施できるイムノアッセイの例は、蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、酵素免疫測定法(EIA)、比濁阻害免疫測定法(NIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、および放射免疫定量法(RIA)を包含する。インジケーター部分、または標識基は対象抗体に結合させることができ多くの場合分析装置および適合するイムノアッセイ法の利用により規定される方法の様々な使用の要件にあうように選択される。前記の様々なイムノアッセイの実施において用いられる一般的技術は一般的当業者に既知である
別の態様において、患者の生物学的液体(例えば、血液または尿)中の配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19または21から26または53から75のいずれかのポリヌクレオチド配列によりコードされる少なくとも1つの産物、または配列番号:1から26および53から75から選択されるポリヌクレオチドまたはその相補的な配列によりコードされる少なくとも2つの産物のレベルは、該患者の細胞におけるマーカーポリヌクレオチド配列の発現のレベルをモニターすることにより定量できる。このような方法は、患者から得られる生物学的体のサンプルを得、コードされたマーカーポリペプチドについて特異的な抗体とサンプル(またはサンプルからのタンパク)を接触させ、抗体による免疫複合体形成の量を定量する工程を含み、免疫複合体形成の量はサンプル中のマーカーがコードする産物のレベルを示している。この定量法は、正常な個体から得られる対照サンプル、または同じ個体から前にまたは後に得またはそれ以上のサンプルにおける同じ抗体による免疫複合体の量と比較した場合に特に有益である
別の態様において、該方法は細胞中に存在するマーカーポリペプチドの量を定量するために用いることができ、これは次にプラーク形成などの障害の進行に関連づけることができる。マーカーポリペプチドのレベルは、細胞のサンプルが、プラーク関連細胞であるか、またはなりやす細胞を含むかどうかを予測的に評価するために用いることができる。マーカーポリペプチドレベルの観察は、さらに厳しい療法の使用などに関する決断において有用である
前記のように、本発明の一側面は、患者から単離される細胞に関して、マーカーポリペプチドのレベルがサンプル細胞において有意に低下しているかどうかを決定するための診断分析に関する。「有意に低下」なる用語は、細胞が類似した組織起源の正常細胞に対して低下した細胞量のマーカーポリペプチドを有する細胞表現型を意味する。例えば、細胞は、正常な対照細胞よりも約50%、25%、10%、または5%より少ないマーカーポリペプチドを有する可能性がある。特に、分析は、試験細胞中のマーカーポリペプチドのレベルを評価し、好ましくは測定されたレベルを少なくとも一つの対照細胞、例えば正常細胞および/または既知の表現型の形質転換された細胞において検出されるマーカーポリペプチドと比較する。
本発明について特に重要なのは、正常または異常なマーカーポリペプチドレベルに関係する細胞の数により決定するマーカーポリペプチドのレベルを定量する能力である。次に特定のマーカーポリペプチド表現型を有する細胞の数を患者予後と関連づけることができる。本発明の一態様において、病変のマーカーポリペプチド表現型は、異常に高い/低いレベルのマーカーポリペプチドを有することが見いだされる生検における細胞のパーセンテージとして決定される。このような発現は免疫組織化学的分析法、ドットブロット分析、ELISAなどにより検出できる。
免疫組織化学
組織サンプルが使用される場合、マーカーポリペプチド表現型を有する細胞の数を定量するために、免疫組織化学染色を用いることができる。このような染色において
組織のマルチブロックを生検または他の組織サンプルから得、プロテアーゼKまたはペプシンなどの物質を利用して、タンパク質分解性加水分に供する。特定の態様において、核フラクションをサンプル細胞から単離して、核フラクション中のマーカーポリペプチドのレベルを検出すること望ましい。
組織サンプルはホルマリン、グルタルアルデヒド、メタノールなどの試薬での処理によって固定される。サンプルは次にマーカーポリペプチドに対する結合特異性を有する抗体、好ましくはモノクローナル抗体と共にインキュベートされる。この抗体は、その後の結合の検出のために標識とコンジュゲートさせることができる。サンプルを免疫複合体の形成に十分な時間インキュベートする。次に抗体の結合をこの抗体にコンジュゲートした標識により検出する。抗体が標識されていない場合、第二の標識された抗体、例えば抗マーカーポリペプチド抗体のイソタイプに対して特異的な抗体を使用することができる。使用できる標識の例は、放射性核種、蛍光、化学発光、および酵素を含む。
酵素が利用されている場合、酵素の基質をサンプルに添加して、着色または光性生成物を得ることができる。コンジュゲートにおいての使用に適当な酵素の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水素酵素などを含む。商業的に入手可能でない場合は、このような抗体酵素コンジュゲートは当業者らに公知の技術により容易に産生される。
一態様において、分析はドットブロット分析として行なわれ。ドットブロット分析は、既定数の細胞から得た無細胞抽出物におけるマーカーポリペプチドの量相関させることにより単一の細胞と関連するマーカーポリペプチドの平均量の定量が可能なので、組織サンプルを使用する場合に特に有用である。
さらに別の態様において、本発明は、1またはそれ以上の本発明のマーカーポリペプチドに対して生成される1またはそれ以上の抗体を使用することを包含し、該ポリペプチドは配列番号:1から26または53から75までのいずれかのポリヌクレオチド配列によってコードされる。このような抗体の一団は、乳ガンについて信頼性が高い診断プローブとして使用できる。本発明の分析法は、細胞、例えばマクロファージを含む生検サンプルを、1またはそれ以上のコードされた産物に対する抗体の一団と接触させて、マーカーポリペプチドの存在または非存在を決定することを含む。
本発明の診断法はまた、治療の追跡としても用いることができ例えばマーカーペプチドのレベルの定量は、現行のまたは従来用いられていた悪性腫瘍、特に乳ガンについての治療の有効性、ならびに患者の予後におけるこれらの治療の効果を示し得る
上記の診断分析は、予後分析法として使用に適用できる。このような適用では、悪性腫瘍のプラーク生成の進行における特徴的な段階で起こる事象に対する本発明の分析法の感度を利用する。例えば、所定のマーカー遺伝子、非常に早い段階、おそらくは細胞が泡沫細胞に進化する前に増加または減少調節することができ、一方、のマーカー遺伝子ずっと後の段階でのみ特徴的に増加または減少調節できる。このような方法は、試験細胞のmRNA、悪性腫瘍進行の異なる段階で乳ガン組織細胞において異なる特徴的なレベルで発現る所定のマーカーポリヌクレオチドから得られるポリヌクレオチドプローブと接触させる段階、および細胞のmRNAに対するプローブのハイブリダイゼーションのおよその量を定量する段階を含み、このような量は細胞における遺伝子の発現のレベルを示すものであり、したがって細胞の疾患の進行の段階を示すものである;別法として、分析は、所定のマーカーポリヌクレオチドの遺伝子産物に対して特異的な抗体を、試験細胞のタンパク質と接触させることにより行うことができる。このような一連の試験により、ある種の動脈硬化斑の存在明らかにるだけでなく、医師が疾患について最も適切な治療様式を選択し、治療の成功率を予測できるようにる。
発明の方法はまた、所定の乳ガン素因の臨床的経過を追跡するためにも用いることができる。例えば、本発明の分析法は、患者からの血液サンプルに適用することができ;乳ガンの患者を治療した後、別の血液サンプルを採取し、試験を繰り返す。治療が成功すると、乳ガン組織細胞の特徴的な明らかな差次的発現がなくなり、おそらくは正常なレベルに近づくか、または正常なレベルを越える。
ポリペプチド活性
一態様において、本発明は、1またはそれ以上の「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの活性を調節する潜在的な治療薬をスクリーニングする方法を提供し、該治療薬は、悪性腫瘍、特に乳ガンを有するか、またはその危険性がある対象における「乳ガン遺伝子」の増加調節の結果としてポリペプチドの活性が増大する場合、悪性腫瘍、または特に乳ガンを有さないかまたはその危険性がなく、該治療薬で治療されていない対象における同じポリペプチドの活性と比較して該ポリペプチドの活性を減少させるような治療的物質である。同様に、「ガン遺伝子」の減少調節の結果としてのポリペプチドの活性が、悪性腫瘍または特に乳ガンを有するか、またはその危険性のある対象において減少するならば、治療薬は、悪性腫瘍または特に乳ガンを有さないかまたはその危険性がなく、治療薬で治療されていない対象における同じペプチドの活性と比較してポリペプチドの活性を増大させるであろう。
表2または3に示す「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの活性は、当業者らに公知の、特定のポリペプチドにより示される活性の種類に対して特別な任意の手段により測定できる。特定のポリヌクレオチドの活性を測定するために用いることができる特定の分析法の例を以下に示す:
a)Gタンパク質結合レセプター
一態様において、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドはGタンパク質結合レセプターをコードし得る一態様において、本発明は、候補モジュレーターの存在下でレセプターの活性における変化を測定することにより、Gタンパク質結合レセプターの潜在的なモジュレーター(インヒビターまたはアクチベーター)をスクリーニングする方法を提供する。
1、G結合レセプター
細胞(CHO細胞または初代細胞など)は適切なレセプターおよび誘導性CRE−ルシフェラーゼ構築物で安定に形質移入される。細胞は、50%ダルベッコ変法イーグル培地/10%FBS補足た50%F12(DMEM/F12)(37℃、10%のCOを含む加湿大気中)中で成長させ、2または3日ごとに定期的に1:10比で分割する。試験培養、DMEM/FBS含有F12中で適切な密度(例えば35μlの細胞培養培地中1ウェルあたり2000個の細胞)で384−ウェルプレート中にシード、48時間(細胞によって〜24から60時間の範囲)成長させる。次に成長培地を、1%BSAを含む無血清培地(SFM;例えばUltra−CHO)に対して交換する。DMSO中に溶解させた試験化合物をSFM希釈し、試験培養(最大最終濃度10μモーラー)へ移し、つづいて10分後にSFM+01%BSA中のフォルスコリン(〜1μモーラー、最終濃度)を添加する。アンタゴニストスクリーニングの場合、適切な濃度のアゴニスト、およびフォルスコリンの両方を添加する。プレートを10%CO中、37℃で3時間インキュベートする。次に、上清を除去し、細胞を溶解試薬(25ミリモーラーのリン酸緩衝液、pH7.8、2ミリモーラーのDDT、10%グリセロールおよび3%のTritonX100を含む)で溶解させる。ルシフェラーゼ反応は基質−緩衝液(例えばルシフェラーゼ分析試薬、Promega)の添加によって開始、発光を即座に測定する(例えばBerthold照度計またはHamamatzuカメラシステム)。
2.G結合レセプター
細胞(CHO細胞または初代細胞など)は適切なレセプターおよび誘導性CRE−−ルシフェラーゼ構築物で安定に形質移入される。細胞は、50%ダルベッコ変法イーグル培地/10%FBS補足た50%F12(DMEM/F12)(37℃、10%のCOを含む加湿大気中)中で成長させ、2または3日ごとに定期的に1:10比で分割する。試験培養、DMEM/FBS含有F12中で適切な密度(例えば35μlの細胞培養培地中1ウェルあたり1000または2000個の細胞)で384−ウェルプレート中にシード、48時間(細胞によって〜24から60時間の範囲)成長させる。01%BSAを含む無血清培地(SFM;例えばUltra−CHO)に試験化合物を添加することにより分析を開始する:試験化合物をDMSO中に溶解させ、SFM希釈し、試験培養(最大最終濃度10μモーラー、DMSO濃度<0.6%)へ移す。アンタゴニストスクリーニングの場合、適切な濃度のアゴニストを5 10分後に添加する。プレートを10%CO中、37℃で3時間インキュベートする。次に、1ウェルあたり10μlの溶解試薬(25ミリモーラーのリン酸緩衝液、pH7.8、2ミリモーラーのDDT、10%グリセロールおよび3%のTritonX100を含む)で細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ反応1ウェルあたり20μl基質−緩衝液(例えばルシフェラーゼ分析試薬、Promega)の添加によって開始る。発光の測定即座に開始する(例えばBerthold照度計またはHamamatzuカメラシステム)。
3.G結合レセプター
細胞(CHO細胞または初代細胞など)は適切なレセプターで安定に形質移入される。細胞は、50%ダルベッコ変法イーグル培地/10%FBS補足た50%F12(DMEM/F12)(37℃、5%のCOを含む加湿大気中)中で成長させ、3または4日ごとに定期的に細胞株に依拠する比で分割する。試験培養、DMEM/FBS含有F12中で適切な密度(例えば35μlの細胞培養培地中1ウェルあたり2000個の細胞)で384−ウェルプレート中にシード、48時間(細胞によって〜24から60時間の範囲)成長させる。次に成長培地を生食塩水(例えば、タイロード液)に対して交換する。DMSO中に溶解させた試験化合物を、0.1%BSAを含むタイロード液に希釈し、試験培養(最大最終濃度10μモーラー)へ移す。レセプター特異的アゴニストの添加後、生じたGq媒介性細胞内カルシウム増加を、適切な読みとり(例えば、カルシウム感受性色素)を用いて測定する。
b)イオンチャネル
イオンチャネルは電気信号、貫膜シグナル伝達、ならびに電解質および溶質輸送に関与する内在性膜タンパク質である。膜脂質二重層を貫通する巨大分子ポアを形成することにより、イオンチャネルはイオンの浸透のための電気化学ポテンシャル勾配により駆動する特定のイオン種の流れの原因となる。分子レベルで、個々のチャネルは、「開」状態(イオンを運ぶ)と「閉」状態(運ばない)の間構造的移行(「ゲーティング」)を行う。典型的な一つのチャネル開放は数ミリ秒の間続いて、10−9−10−12アンペアの範囲で基礎膜電流をもたらす。チャネルゲーティングは神経伝達物質および細胞内の第二メッセンジャー(「リガンド開口型」チャネル)または膜電位(「電圧開口型」チャネル)などの種々の化学的および/または生物物理学的パラメータにより制御される。イオンチャネルは、そのイオン選択性、ゲーティング特性、およびホルモンおよび薬剤による調節により機能的に特徴づけられる。シグナリングおよび輸送プロセスにおけるその中心的な役割のために、イオンチャネルは種々の病態生理学的状況における薬理学的療法のため理想的な標的となる
一態様において、「乳ガン遺伝子」はイオンチャネルをコードし得る一態様において、本発明は、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのチャネル活性の潜在的なアクチベーターまたはインヒビターをスクリーニングする方法を提供する。イオンチャネルの活性を抑制または促進する化合物とイオンチャネルとの相互作用のスクリーニングは、生体細胞における(1)結合および(2)機能分析に基づく[Hille(183)]。
1.リガンド開口型ャネル、例えば向イオン性神経伝達物質/ホルモンレセプターについて、化合物と標識されたリガンド間の競合により標的との結合を検出する分析を構築することができる。
2.イオンチャネル機能を生細胞において機能的に試験することができる。標的タンパク質が適切なリポーター細胞において内因的に発現されるかまたは組換えにより導入される。チャネル活性は、(2.1)イオン透過(最も顕著には、Ca2+イオン)の濃度変化、(2.2)貫膜電気ポテンシャル勾配における変化、および(2.3)標的活性により誘発または調節される細胞応答(例えば、リポーター遺伝子の発現、神経伝達物質の分泌)の測定によりモニターすることができる。
2.1 チャネル活性の結果、貫膜イオン流動が生じる。したがって、イオンチャネルの活性化は、発光または蛍光インジケーターを用いて、生じた細胞内イオン濃度の変化によりモニターすることができる。ダイナミックレンジが広く、適当なインジケーターが利用できるために、これは特に細胞内Ca2+イオン濃度([Ca2+)の変化に適用される。[Ca2+は、例えば、エクオリン発光または蛍光色素技術(例えばFluo−3、Indo−1、Fura−2を使用)により測定できる。標的チャネル自体を通るCa2+流を直接測定するか、または標的チャネルの調節が膜電位に影響を及ぼし、それにより同時発現された電圧開口型Ca2+ャネルの活性に影響を及ぼす細胞分析を構築することができる。
2.2 イオンチャネル電流の結果、電位差蛍光プローブを用いて直接モニターできる膜電位(Vm)の変化が生じる。これらの荷電したインジケーター(例えばアニオン性オキソノール色素DiBAC(3))は電圧の変化に反応して細胞外および細胞内区画間に再分布する。平衡分布はネルンストの式に支配される。したがって膜電位の変化により、細胞の蛍光も同時に変化する。ここでも、Vmの変化は、標的イオンチャネルの活性によって直接引き起こされるか、または同じ細胞内で同時発現されたチャネルによるシグナルの増幅および/または延長によって引き起こされる可能性がある
2.3 標的チャネル活性は、直接またはさらなるCa2+チャネルの活性化により細胞Ca2+流入を引き起こすことができる(2.1参照)。生じた細胞内Ca2+シグナルは、様々な細胞応答、例えば、分泌または遺伝子転写を調節する。従って、標的チャネルの調節は、標的発現細胞からの既知のホルモン/伝達物質の分泌をモニターするか、またはCa2+ 応答性プロモーターエレメント(例えば、環状AMP/Ca2+ 応答性エレメント;CRE)により制御されるリポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)の発現により検出できる。
c)DNA−結合タンパク質と転写因子
一態様において、「乳ガン遺伝子」はDNA−結合タンパク質または転写因子をコードし得る。このようなDNA−結合タンパク質または転写因子の活性は、例えば、特定のプロモーターと結合した試験配列の転写を開始するためのDNA−結合タンパク質または転写因子の能力を測定するプロモーター分析により測定することができる。一態様において、本発明は、転写因子に対して反応性のプロモーターにより調節される試験遺伝子の発現における変化を測定することにより、試験化合物を、このようなDNA−結合タンパク質または転写因子の活性を調節するその能力についてスクリーニングする方法を提供する。
d)プロモーター分析
プロモーター分析は、関心の(例えば、甲状腺ホルモン)調節プロモーター遺伝子の制御で、ルシフェラーゼ遺伝子で安定に形質移入されたヒト肝細胞ガン細胞HepG2で行った。トランスフェクションのために使用されたベクター2xIROlucは、tk最小プロモーターとルシフェラーゼの遺伝子の前に8bpのスペーサーで分離された2つの12bp逆パリンドローム配列の甲状腺ホルモン反応性エレメント(TRE)を有する。試験培養物を、グルタミン、トリシン、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、インシュリン、セレン、トランスフェリン補足た無血清イーグル最小基本培地中、96ウェルプレート中にシードし、10%CO、37℃湿大気中培養した。48時間インキュベーションした後、試験化合物または参照化合物(例えば、LT3、L−T4)および適切ならば補助刺激因子(最終濃度1nM)の連続希釈を細胞培養物に添加し、最適時間(例えばさらに4−72時間)インキュベーションを続けた。細胞を次に、TritonX100およびルシフェリンを含む緩衝液の添加により溶解させ、T3または他の化合物によって誘発されたルシフェラーゼ発照度計で測定した。試験化合物のそれぞれの濃度について、4回の反復試験を行った。各試験化合物についてのEC50値をGraph Pad Prism Sientficソフトウェアを用いて計算した。
スクリーニング法
本発明は、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたは「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドと結合するかまたは活性を調節する試験化合物をスクリーニングする分析法を提供する。試験化合物は、好ましくは「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと結合する。さらに好ましくは、試験化合物は、試験化合物の非存在時と比較して、「乳ガン遺伝子」活性を少なくとも約10%、好ましくは約50、より好ましくは約75、90、または100%減少または増大させる。
試験化合物
試験化合物は当該分野ですでに知られている薬剤であるか、または任意の薬理学的活性を有することがあらかじめ知られていない化合物であり得る。化合物は天然に存在するか、または研究室で設計することができる。これらは微生物、動物、または植物から単離でき、また組み換えにより産生することができ、または当該分野で知られている化学的方法により合成することができる。必要に応じて、試験化合物は、当該分野で公知の、生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能なパラレル固相または溶液相ライブラリー、デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法、1ビーズ1化合物ライブラリー法、およびアフィニティークロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法を含むが、これらに限定されない多数のコンビナトリアルライブラリー法のいずれかを用いて得ることができる。生物学的ライブラリー法はポリペプチドライブラリーに限定され、一方、他の4つの方法はポリペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の小分子ライブラリーに適用できる。[総論については、Lam、1997、(151)参照]。
分子のライブラリーの合成法は当該分野において周知である[例えば、DeWittら、1993、(152);Erbら、1994、(153);Zuckermannら、1994、(154);Choら、1993、(155);Carellら、1994、(156)とGallopら、1994、(157)参照]。化合物のライブラリーは溶液中[例えば、Houghten、1992、(158)参照]、またはビーズ上[Lam、1991、(159)]、DNAチップ[Fodor、1993、(160)]、細菌または胞子(Ladner、米国特許第5,223,409号)、プラスミド[Cullら、1992、(161)]、またはファージ[スコット&スミス、1990、(162);Devlin、1990、(163);Cwirlaら、1990、(164);Felici、1991、(165)]に存在し得る
ハイスループットスクリーニング
試験化合物は、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと結合する能力、または「ガン遺伝子」活性または「乳ガン遺伝子」発現に影響を与える能力についてハイスループットスクリーニングを用いてスクリーニングすることができる。ハイスループットスクリーニングによって多くの別々の化合物を平行して試験することができ、その結果多数の試験化合物を素早くスクリーニングすることができる。最も広く確立された技術は96ウェル、384ウェル、または1536ウェルのマイクロタイタプレートを利用する。マイクロタイタプレートのウェルは典型的に5から500μlまでの範囲の分析容積を必要とする。プレートに加えて、多くの器具、材料、ピペッター、ロボット、プレート洗浄装置およびプレートリーダーが市販されており、マイクロウェルフォーマットに装着する。
もう1つの自由なフォーマット分析の例は、Chelsky、(167)によって記載されている。Chelskyは、炭酸脱水酵素についての単純な同種酵素分析をアガロースゲルの内部に設置して、ゲル中の酵素がゲル全体にわたって色の変化を引き起こすようにした。その後、フォトリンカーによりコンビナトリアル化合物を有するビーズをゲル内部に起き、化合物をUV光により部分的に放出させた。酵素を抑制する化合物は、色の変化が少ない抑制局所域として観察された。
もう1つの例において、コンビナトリアルライブラリーを、寒天中で成長するガン細胞に細胞毒性効果を及ぼす化合物についてスクリーニングした[Salmonら、1996、(168)]。
もう1つのハイスループットスクリーニング法は、Beutelら、米国特許第5,976,813号において記載されている。この方法において、試験サンプルは多孔性マトリックス中に設置される。次に、またはそれ以上の分析成分を、ゲル、プラスチックシート、フィルターまたは操作が容易な他の形態の固体支持体などのマトリックスの中、マトリックス上、またはマトリックスの底部に置く。サンプルが多孔性マトリックスに導入される、これらは十分ゆっくりと拡散し、試験サンプル同士が混合することなく分析を行うことができるようになる
結合分析
結合分析にいて、試験化合物は、好ましくは、正常な生物学的活性が妨げられるように、例えば、酵素のATP/GTP結合部位または「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの活性部位と結合し、占拠する小分子であるこのような小分子の例は、小ペプチドまたはペプチド様分子を含むが、これらに限定されない。
結合分析において、試験化合物または「乳ガン遺伝子」ポリペプチドのいずれかは、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼなどの光性、放射性同位元素、化学発光、または酵素標識などの検出可能な標識を含むことができる。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと結合する試験化合物の検出は、例えば、放射性発光の直接計測、シンチレーションカウンティング、または適当な基質の検出可能な生成物への変換を測定することにより達成することができる。
別法として、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドへの試験化合物の結合は、どちらの反応体も標識せずに測定することができる。例えば、マイクロフィジオメーターは、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドとの試験化合物の結合を検出するために用いることができる。マイクロフィジオメーター(例えば、CytosensorJ)は、光電的にアドレス可能な電位差センサー(LAPS)を用いて細胞がその環境を酸性化させる割合を測定する分析機器である。この酸性化率における変化を、試験化合物および「乳ガン遺伝子」ポリペプチド間の相互作用のインジケーターとして用いることができる[McConnelら、1992、(169)]。
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと結合する試験化合物の能力の測定は、リアルタイム分子相互作用解析(BIA)[Sjolander&Urbaniczky、1991、(170)およびSzaboら、1995、(171)]などの技術を用いて達成できる。BIAは、いずれの反応体(例えば、BIAcore(商標))も標識することなく、リアルタイムの生物特異的相互作用を研究するための技術である。光学現象表面プラズモン共鳴(SPR)における変化は、生体分子の間のリアルタイム反応のインジケーターとして使用できる。
本発明のさらなる別の態様において、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと結合するか、または相互作用する他のタンパクを同定し、その活性を調節するために、ツーハイブリッド分析またはスリーハイブリッド分析において「ベイトタンパク質」として用いることができる[例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、1993、(172);Maduraら、1993、(173);Bartelら、1993、(174);Iwabuchiら、1993、(175)およびBrentWO94/10300参照]。
ツーハイブリッドのシステムはたいていの転写因子のモジュラー性に基づき、分離できるDNA−結合および活性化ドメインからなる。簡単にいうと、分析は2つの異なったDNA構築物を利用する例えば、一方の構築物において、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを既知の転写因子(例えば、GAL4)のDNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチドと融合させることができる。もう一方の構築物において、同定されていないタンパク質(「プレイ」または「サンプル」)をコードするDNA配列を、既知の転写因子の活性化ドメインをコードするポリヌクレオチドと融合させることができる。「ベイト」および「プレイ」タンパク質が、インビボで相互作用してタンパク質依存性複合体を形成する場合、転写因子のDNA結合および活性化ドメインは近接することになる。この近接により、転写因子反応性の転写調節部位と作動可能に結合しているリポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能になる。リポーター遺伝子の発現を検出することができ、機能転写因子を含む細胞コロニーを単離し、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと相互作用するタンパク質をコードするDNA配列を得るために用いることができる。
「乳ガン遺伝子」ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または試験化合物のいずれかを、反応体の一方または双方の未結合形態から結体をより容易に分離するため、また分析の自動化に対応するために固定化するのが望ましい。したがって、「乳ガン遺伝子」ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または試験化合物のいずれかを固体支持体に結合させることができる。適当な固体支持体は、これらに限定されないが、ガラスまたはプラスチックのスライド、組織培養プレート、マイクロタイターウェル、チューブ、シリコンチップ、またはビーズなどの粒子(ラッテクス、ポリスチレン、またはガラスビーズを含むが、これに限定されない)を包含する。当該分野で知られる任意の方法を用いて、「乳ガン遺伝子」ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または試験化合物を固体支持体に結合させることができ、これには共有結合および非共有結合の使用、受動的吸収、またはそれぞれがポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または試験化合物および固体支持体と結合している、対になった結合部分などがある。試験化合物は好ましくは個々の試験化合物の位置を追跡できるように一列で固体支持体と結合させる。試験化合物の「乳ガン遺伝子」ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)との結合は、反応物質を入れるに適した任意の容器中で行うことができる。このような容器の例は、マイクロタイタープレート、試験管、および小遠心管を包含する。
一態様において、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドは、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドが固体支持体と結合することを可能にするドメインを含む融合タンパク質である。例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、セントルイス、Mo.)、またはグルタチオン誘導化マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、これを次に試験化合物または試験化合物および非吸着「乳ガン遺伝子」ポリペプチドと混合し混合物を次に複合体形成を行うことができる条件下(例えば、塩およびpHについての生理学的条件)でインキュベートする。インキュベーション後ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して未結合成分を除去する。反応体の結合は、前記のように直接または間接的に測定することができる。別法として、結合定量る前に、複合を固体支持体から分離することができる。
タンパク質またはポリヌクレオチドを固体支持体上に固定化するための他の技術も本発明のスクリーニング分析において用いることができる。例えば、「乳ガン遺伝子」ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または試験化合物のいずれかをビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーションを用いて固定化することができる。ビオチニル化「ガン遺伝子」ポリペプチド(またはポリヌクレオチド)または試験化合物は、当該分野において周知の技術(例えば、ビオチニル化キット、Pierce Chemicals、ロックフォード、Ill.)を用いてビオチンNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から調製し、ストレプトアビジンでコートされた96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定することができる。別法として、「乳ガン遺伝子」ポリペプチド、ポリヌクレオチド、または試験化合物に特異的に結合するが、ATP/GTP結合部位または「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの活性部位などの望ましい結合部位と干渉しない抗体を、プレートのウェルに誘導化することができる。未結合標的またはタンパク質を抗体コンジュゲートによってウェル中にトラップすることができる。
このような複合体の検出法は、GST固定化複合体についてすでに記載したものに加えて、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたは試験化合物と特異的に結合する抗体を用いた複合体の免疫検出、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの活性を検出することに依拠する酵素結合検定、および非還元条件下でのSDSゲル電気泳動を包含する。
「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと結合する試験化合物のスクリーニングは、未処理細胞において行うこともできる。「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを含む任意の細胞を、細胞ベースの分析において用いることができる。「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドは細胞において天然に存在するかまたは前記のような技術を用いて導入することができる。前記のように、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドへの試験化合物の結合定量る。
遺伝子発現の調節
別の態様において、「乳ガン遺伝子」発現を増大させるか、または減少させる試験化合物同定る。「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを試験化合物と接触させ、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドのRNAの発現またはポリペプチド生成物を測定する。試験化合物の存在下での適当なmRNAまたはポリペプチドの発現のレベルを、試験化合物が存在しないときのmRNAまたはポリペプチドの発現のレベルと比較する。この比較に基づいて試験化合物を発現のモジュレーターとして同定することができる。例えば、mRNAまたはポリペプチドの発現が、試験化合物非存在下よりも存在下の方が大きい場合、試験化合物はmRNAまたはポリペプチド発現の刺激因子またはエンハンサーであると同定される。別法として、mRNAまたはポリペプチドの発現が、試験化合物非存在下よりも存在下の方が少ない場合は、試験化合物はmRNAまたはポリペプチド発現のインヒビターであると同定される。
胞の「乳ガン遺伝子」mRNAまたはポリペプチド発現のレベルを当該分野で周知のmRNAまたはポリペプチドの検出方法により定量することができる。定性的または定量的方法のいずれかを用いることができる。「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドのポリペプチド生成物の存在は、例えば、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロッティング、および免疫組織化学などの免疫化学的方法を含む当該分野で公知のさまざまな技術を用いて測定できる。別法として、「乳ガン遺伝子」ポリペプチド中の標識されたアミノ酸の組み込みを検出することによって、ポリペプチド合成を、インビボ、細胞培養物中、またはインビトロ翻訳において測定することができる。
このようなスクリーニングが無細胞分析または未処理細胞のいずれかにおいて実行することができる。「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドを発現する任意の細胞を細胞ベースの分析において用いることができる。「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチドは細胞において天然に存在するか、または前記のような技術を用いて導入することができる。初代培養または、確立された細胞系、例えば、CHOまたはヒト胎児由来腎臓293細胞を用いることができる。
治療の指標と方法
乳ガンの治療法は、主に細胞増殖、細胞成長または血管形成について介入する有効な化学療法剤に依拠する。ゲノミクスによる子標的同定法の出現は悪性腫瘍患者、特に乳ガン患者により安全で、より有効な治療法を提供する治療的介入のための新規乳ガン特異的標的を同定する可能性を開いた。かくして、新たに発見された乳ガン関連遺伝子およびその生成物は、革新的な治療を開発するための手段として用いることができる。Her2/neuレセプターキナーゼの同定は、前記のような腫瘍患者の特定のサブセット治療するための刺激的な新しい機会を提供する。上記に概説あらゆる生理学的過程において重要な役割を演じる遺伝子を乳ガン標的として特徴づけることができる。ゲノミクスにより同定された遺伝子または遺伝子断片は、1またはそれ以上の異種発現において容易に発現させることができ、機能的組み換えタンパク質が産生される。これらのタンパクは、その生化学的特性についてインビトロで特徴づけられ、次にその生化学的活性の化学モジュレーターを同定するハイスループット分子スクリーニングプログラムにおいてツールとして使用される。標的遺伝子発現またはタンパク質活性のモジュレーターをこの方法で同定し、続いて治療活性について細胞およびインビボ疾患モデルにおいて試験することができる。生物学的モデルにおける相互作用試験でのリード化合物の最適化および詳細な薬物動態学的および毒物学分析は薬剤開発およびその後のヒトにおける試験の基礎となる
本発明はさらに前記のスクリーニング分析により同定される新規薬剤の使用に関する。したがって、適当な動物モデルにおいて本明細書に記ように同定た試験化合物を使用することは、本発明の範囲内に含まれる。例えば、本明細書に記載したように同定た物質(例えば、調節剤、アンチセンスポリヌクレオチド分子、特異的抗体、リボザイム、またはヒト「乳ガン遺伝子」ポリペプチド結合分子)を、かかる物質での処置の有効性、有毒性、または副作用を決定するために動物モデルにおいて用いることができる。別法として、本明細書に記ように同定物質を、かかる物質の作用のメカニズムを決定するために動物モデルにおいて使用することができる。さらに、本発明は、前記スクリーニング分析により同定した新規物質の、本明細書に記載の治療のための使用に関する。
ヒト「乳ガン遺伝子」活性に影響を与える作用物質は、ヒト「乳ガン遺伝子」活性を増大させるかまたは減少させるために、インビトロまたはインビボのいずれかでヒト細胞に投与することができる。該作用物質は好ましくはヒト「乳ガン遺伝子」の発現生成物と結合する。該発現生成物がタンパク質である場合該作用物質は好ましくは抗体である。ヒト細胞のエキソビボ処置のために、抗体を、身体から取り出された幹細胞の調製物に添加することができる。次に、当該分野で知られているように、細胞をクローンの増殖の有無にかかわらず、同一またはの人体へ戻すことができる。
一態様において、該作用物質はリポソームを用いて輸送される。好ましくは、リポソームは投与した動物において、少なくとも約30分、さらに好ましくは少なくとも約1時間、さらにより好ましくは少なくとも約24時間安定である。リポソームは、作用物質、特にポリヌクレオチドをヒトなどの動物における特定の部位に対して標的化することができる脂質組成物を含む。好ましくは、リポソームの脂質組成物は、肺、肝臓、脾臓、心臓脳、リンパ節、および皮膚などの動物の特定の器官を標的とすることができる。
本発明において有用なリポソームは、その内容物を細胞に輸送するために標的細胞の原形質膜と融合することができる脂質組成物を含む。好ましくは、リポソームの形質移入効率は、約10の細胞に輸送される16ナノモルのリポソームあたり0.5μgのDNAであり、さらに好ましくは約10の細胞に輸送される16ナノモルのリポソームあたり約1.0μgのDNAであり、さらにより好ましくは、約10の細胞に輸送される16ナノモルのリポソームあたり約2.0μgのDNAである。好ましくは、リポソームは直径が約100から500nmの間であり、より好ましくは約150から450nmの間であり、さらにより好ましくは約200から400nmの間である。
本発明における使用に適当なリポソームは、例えば、当業者らに公知の遺伝子輸送法において通常用いられるリポソームを含む。より好ましいリポソームは、ポリカチオン性脂質組成物を有するリポソームおよび/またはポリエチレングリコールとコンジュゲートしたコレステロール基本骨格を有するリポソームを包含する。必要に応じて、リポソームは、リポソームを特定のセルタイプに標的化することができる化合物、例えば該リポソームの外部表面上にさらされた細胞特異的リガンドを含む。
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムなどの作用物質とのリポソームの複合体形成は、当該分野において標準的な方法を用いて達成できる(例えば、米国特許第5,705,151号参照)。好ましくは、約0.1μgから約10μgのポリヌクレオチドを約8ナノモルのリポソームと組み合わせるより好ましくは約0.5μgから約5μgのポリヌクレオチドを約8ナノモルのリポソームと組み合わせさらにより好ましくは、約1.0μgのポリヌクレオチドを約8ナノモルのリポソームと組み合わせる。
別の態様において、レセプター媒介性標的化輸送を用いて抗体をインビボで特定の組織に輸送できる。レセプター媒介性DNA輸送技術は、例えば、Findeisら、1993、(176);Chiouら、1994、(177);Wu&Wu、1988、(178);Wuら、1994、(179);Zenkeら、1990、(180);Wuら、1991、(181)において教示されている
治療上有効な用量の決定
治療上有効な量の決定は当業者らの能力範囲内である。治療上有効な用量は、治療上有効な量が存在しない場合に生じるヒト「乳ガン遺伝子」活性と比較してヒト「乳ガン遺伝子」活性を増大または減少させる活性成分の量を意味する。
任意の化合物について、治療上有効な量は、細胞培養分析または動物モデル、通常マウス、ウサギ、イヌ、またはブタにおいて最初に評価できる。動物モデルはまた、適当な濃度範囲および投与経路を決定するために用いることができる。このような情報は次にヒトにおける有用な用量および投与経路を決定するために用いることができる。
治療の有効性と毒性、例えば、ED50(集団の50%に治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%にとって致命的な用量)は、細胞培養または実験動物において標準的製薬手順により決定することができる。毒性と治療効果の用量比は治療指数であり、これは比LD50/ED50として表すことができる。
高い治療指数を示す医薬組成物が好ましい。細胞培養分析および動物研究から得られるデータは、ヒトの使用についての用量範囲の処方において用いられる。このような組成物に含まれる量は、好ましくはほとんどまたは全く毒性のないED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は使用された投与形態、患者の感受性、および投与経路によってこの範囲内で変化する。
正確な用量は、治療を必要とする対象に関連するファクターを考慮に入れて従業者により決定されるであろう。用量と投与は、十分なレベルの活性成分を提供するため、または望ましい効果を維持するために調整される。考慮に入れ得るファクターは、病状の重さ、対象の全体的な健康状態、対象の年齢、体重、および性、食餌、投与の時間および頻度、薬剤の組み合わせ、反応感度、および治療に対する耐用性反応性を包含する。長期間作用する医薬組成物は、特定の処方の半減期およびクリアランス速度によって、3から4日ごと、1週間ごと、または2週ごとに投与することができる。
標準的な用量は、投与経路によって、01から100000マイクログラムまで(合計用量約1gまで)変化し得る。特定の用量および輸送法についての手引きは、文献に記載されており、当該分野における従業者により一般に利用可能である。当業者らが用いる処方は、ヌクレオチドの場合と、タンパク質またはそのインヒビターの場合とで異なる。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの輸送は、特定の細胞、条件、位置な対して特異的である。
該作用物質が単鎖抗体である場合、抗体をコードするポリヌクレオチドを構築し、これらに限定されないが、トランスフェリン−ポリカチオン媒介性DNA移動、裸かまたは被包性核酸での形質移入、リポソーム媒介性細胞融合、DNAでコートされたラテックスビーズの細胞内輸送、原形質融合、ウイルス感染、エレクトロポレーション、遺伝子銃、およびDEAEまたはリン酸カルシウム媒介性形質移入を含むよく確立された技術を用いてエキソビボまたはインビボのいずれかで細胞に導入することができる。
抗体の有効なインビボ用量は、患者の体重1kgあたり約5μgから約50μg、約50μgから約5mg、約100μgから約500μg、および約200から約250μgの範囲である。単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドの投与について、有効なインビボ用量は、約100ngから約200ng、500ngから約50mg、約1μgから約2mg、約5μgから約500μg、および約20μgから約100μgのDNAの範囲である。
発現産物がmRNAである場合該作用物質は好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムである。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイムを発現するポリヌクレオチドを前記のように様々な方法によって細胞に導入することができる。
好ましくは、作用物質は、該作用物質が存在しない場合と比較して「乳ガン遺伝子」遺伝子の発現または「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの活性を少なくとも約10、好ましくは約50、より好ましくは約75、90、または100%減少させる。「乳ガン遺伝子」遺伝子の発現レベルまたは「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの活性のレベルを減少させるために選択されたメカニズムの有効性はヌクレオチドプローブの「乳ガン遺伝子」特異mRNAとのハイブリダイゼーション、定量的RT−PCR、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドの免疫学的検出、または「乳ガン遺伝子」活性の測定などの当該分野において周知の方法を用いて評価することができる。
前記の任意の態様において、本発明の任意の医薬組成物は、他の適切な治療薬と組み合わせて投与することができる。併用療法における使用に適切な薬剤の選択は、従来の製薬の原理に従って当業者が行うことができる。組み合わせた治療薬は、前記の種々の障害の治療または予防を行うように相乗的に作用し得る。この方法を用いて、低用量の各薬剤で治療効果を達成することができ、有害な副作用の可能性を減らすことができる。
任意の前記の治療法をこのような治療を必要としている、例えば、トリおよび哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ、サル、最も好ましくは、ヒトなどの任意の対象に適用することができる。
本開示において引用されるすべての特許および特許出願は参照することにより明示的に本明細書に含まれる。前記開示は一般的に発明を説明している以下の具体的な実施例を参照することにより、より完全な理解が得られるが、該実施例は例示の目的で提供するものであり、本発明の限定を意図するものではない
医薬組成物
本発明はまた治療の効果を達成するために患者に投与することができる医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、例えば、「乳ガン遺伝子」ポリペプチド、「乳ガン遺伝子」ポリヌクレオチド、リボザイムまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド、「乳ガン遺伝子」ポリペプチドに特異的に結合する抗体、または模倣物、「乳ガン遺伝子」ポリペプチド活性のアゴニスト、アンタゴニスト、またはインヒビターを含み得る組成物は単独でまたは少なくとも1つの他の物質、例えば安定剤と組み合わせて投与することができ、生理食塩水、緩衝塩溶液、デキストロース、および水を含むが、これらに限定されない滅菌、生体適合性医薬担体中で投与することができる。組成物は単独で、または他の作用物質、医薬またはホルモンと組み合わせて患者に投与することができる。
活性成分に加えて、これらの医薬組成物は、該活性化合物を製薬的に利用可能な薬剤にする処理を容易にする賦形剤および助剤などの医薬的に許容される適切な担体を含むことができる。本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、非経口、局所、舌下、または直腸手段を含むが、これらに限定されない任意の数の経路により投与することができる。経口投与用医薬組成物は、経口投与に適した用量の、当該分野で周知の医薬的に許容される担体を用いて製剤化することができる。このような担体により、医薬組成物は患者が摂取するために、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁などとして処方することが可能になる。
経口用医薬製剤は、活性化合物を固体賦形剤と混合し必要に応じて得られ混合物を粉砕し、錠剤または糖衣錠コアを得るため適当な助剤を必要に応じて添加した後、顆粒混合物を加工することにより得ることができる。適当な賦形剤は、炭水化物またはタンパク質充填剤、例えば、ラクトース、クロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;トウモロコシからのでんぷん、麦、米、ジャガイモ、または他の植物;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントを含むゴム;ゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパクである。必要に応じて、崩壊剤または可溶化剤、たとえば架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加することができる。
糖衣錠コアは、適当なコーティング、例えば、濃縮糖溶液と組み合わせて用いることができ、これもまた、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶剤または溶剤混合物を含むことができる。製品の識別または活性化合物の量、すなわち用量を特徴づけるために、色素または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
経口で用いることができる医薬製剤は、ゼラチンでできたプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよびコーティング、例えば、グリセロールまたはソルビトールからできたソフトシールドカプセルを含む。プッシュフィットカプセルは、充填剤または結合剤、例えば、ラクトースまたはデンプン、滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および任意に安定剤を含むことができる。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、適当な液体、例えば、脂肪油、液体、または液体ポリエチレングリコール(安定剤を含むかまたは含まない)中に溶解または懸濁させることができる。
非経口投与に適した医薬処方は、水溶液、好ましくはハンクス溶液、リンガー溶液、または生理的緩衝塩溶液などの生体適合性緩衝液中で処方することができる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増大させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含むことができる。加えて、活性化合物の懸濁液は適切な油性注射懸濁液として調製することができる。適当な親油性溶剤またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、または合成脂肪酸エステル、たとえばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリポソームを含む。非脂質ポリカチオン性アミノポリマーも輸送のために用いることができる。任意に、懸濁液は、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増大させる適当な安定剤または物質も含むことができる。局所または経鼻投与のために、特定のバリヤに浸透する適切な浸透剤を処方において用いることができる。このような浸透剤は当該分野において一般的に知られている。
本発明の医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、湿式粉砕(levigating)、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスにより、当該分野において公知の方法で製造することができる。医薬組成物は、塩として提供することができ、これらに限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸を用いて形成することができる。塩は対応する遊離塩基形態よりも水性またはのプロトン性溶剤中においてより可溶性である傾向がある。他の場合においては、好ましい製剤は:150mMのヒスチジン、0.1%2%のクロース、および27%のマンニトール(4.5から5.5までのpH範囲)のうちのいずれかまたは全部を含むことができる凍結乾燥粉末であり、これは使用の前に緩衝液と混合する
処方および投与のための技術に関してのさらなる詳細は、レミントンの製薬の科学(182)の最新版において記載されている。医薬組成物調製た後、適切な容器中に入れ、適応症の治療のためにラベルをはることができる。このようなラベルは、投与量、頻度および方法を含む.
材料および方法
ガンに関与している遺伝子を同定するための一つの方法は、非疾患状態下に対して病気と関連する状態下で差次的に発現される遺伝子を検出することである。以下のサブセクションは、このような差次的に発現された遺伝子を検出するために用いることができる多くの実験的を記載する。一般に、これらの実験は、このような疾患に関連する処置をしていない少なくとも一つの実験対照条件に加えて、対象またはサンプルガンと関連する方法において処置する少なくとも一つの実験条件を含む。後述されるように、差次的に発現された遺伝子は、実験および対照条件間で遺伝子発現のパターンを比較することにより検出される。
特定の遺伝子が1つのこのような実験の使用により同定されると、その発現パターンは、異なった実験においてその発現を調査することによってさらに特徴づけることができ、結果を独立した技術によって確認できる。乳ガンにおける特定の遺伝子の役割と相対的な重要性を区別することにおいて、このような多数の実験を用いることは有用である。乳ガン患者から得られる細胞における遺伝子発現パターンを、インビトロ細胞培養モデルにおけるパターンと比較する複合法により、乳ガンの発生および/または進行に関連する経路についての重要なヒントが得られる。
悪性腫瘍および乳ガンに関与する差次的に発現された遺伝子の同定のために利用できる実験には、たとえばシグナル伝達に関与する遺伝子を分析するために設計された実験がある。このような実験は細胞の増殖に関与する遺伝子を同定するのに役立ち得る
ガンに関与する遺伝子の同定のための方法を以下に記載する。これは、正常、または非乳ガン状態における発現または臨床観察に基づく実験的操作による発現と比較して、乳ガン状態において差次的に発現される遺伝子を表す。このような差次的に発現された遺伝子は、「標的」および/または「マーカー」遺伝子を表す。このような差次的に発現された遺伝子のさらなるキャラクタライゼーションのための方法、および標的および/またはマーカー遺伝子としての同定のための方法を以下に記載する。
別法として、差次的に発現された遺伝子は、正常対乳ガン状態、または対照対実験条件下で、調節された、すなわち、量的に増大または減少さた発現を有する。発現が正常対乳ガンまたは対照対実験状態において異なる程度は、標準的キャラクタライゼーション技術、例えば、後述のディファレンシャルディスプレー技術により可視化されるために十分大きければよい。発現の差を可視化できる他のこのような標準的キャラクタライゼーション技術は、定量的RT−PCRおよびノザン分析を含むが、これに限定されるわけではなく、これらは当業者に周知である。
(実施例1)
発現のプロファイリング
a)定量的RT−PCRを用いた発現のプロファイリング
定量的PCR法による遺伝子発現の詳細な分析のために、関心のゲノム領域に隣接するプライマーおよび中間ハイブリダイズする蛍光標識されたプローブを利用する。PE Applied Biosystems(PerkinElmer、フォスターシティー、CA、USA)のPRISM7700配列検出システムと蛍光リポーター色素およびクエンチャー色素の両方で標識されたオリゴヌクレオチドからなる光原プローブの技術を用いて、このような発現測定を行なうことができる。プローブ特異的生成物の増幅はプローブの切断を引き起こし、リポーター蛍光の増加を生み出す。プライマーおよびプローブは、プライマーエクスプレスソフトウェアを使用して選択され、AffymetrixHG_U95A−EまたはHG−U133ABDNAチップの構築のために用いられるプローブ配列の相対的位置に従ってコーディング配列の3’領域または3’翻訳領域にほとんど局在化させた(プライマーとプローブ配列については表5参照)。すべてのプライマー対慣用のPCR反応により特異性についてチェックた。サンプルRNAの量を標準化するために、GAPDHは分析されたサンプルにおいて差次的に調節されていないので、GAPDHを基準として選択した。TaqMan確認実験を行った結果、標的および対照増幅の効率はほぼ等しいことが示され、このことは当業者に公知の比較ΔΔC法による遺伝子発現の相対的定量化のため必須条件である。
PerkinElmerにより提供される技術と同様に、Roche Inc.から得られるLightcycler(商標)またはStratagene Inc.から得られるiCyclerのような他の器具を用いることができる。
b)DNAミクロアレイを用いた発現プロファイリング
発現プロファイリングは、Affymetrix Array Technologyを用いて行うことができる。mRNAのこのようなDNAアレイまたはDNAチップとのハイブリダイゼーションによって、アレイの特定の位置におけるシグナルの強さによりそれぞれの転写物の発現値を同定することが可能である。通常、これらのDNAアレイはcDNA、オリゴヌクレオチドまたはサブクローンされたDNA断片のスポッティングにより得られる。Affymetrix技術の場合、約400.000の個々のオリゴヌクレオチド配列が別個の位置においてシリコンウエハーの表面で合成された。オリゴマーの最小の長さは12ヌクレオチド、好ましくは25ヌクレオチド、または問題となる転写物の完全長である。発現のプロファイリングは、ナイロンまたはニトロセルロース膜に結合したDNAまたはオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより行うことができる。ハイブリダイゼーションから得られるシグナルの検出は、比色、蛍光、電気化学的、電子、光学または放射性読出装置のいずれかにより得ることができる。アレイ構築の詳細な説明は上記および引用た他の特許において記載されている。分析する染色体領域における量的および質的な変化を測定するために、このようなゲノム改変を含んでいると思われる腫瘍組織から得られるRNAを、全トランスクリプトームの発現プロファイリングに基づいて、良性組織(例えば上皮乳房組織、または顕微解剖された管組織)から抽出されたRNAと比較しなければならない。サンプル調製プロトコルは、わずかに改変したAffymetrixGeneChip発現分析マニュアル(サンタクララ、CA)に従った。腫瘍または良性組織、生検、細胞単離物または細胞を含む体液からの全RNA抽出および単離は、TRIzol(Life Technologie、ロックビル、MD)およびOligotexmRNA Midiキット(Qiagen、Hilden、ドイツ)を用いて行うことができ、濃度を1mg/mlにするためにエタノール沈降工程を行うべきである。SuperScript system(Life Technologies)により、510mgのmRNAを用いて二本鎖cDNAを作成した。第一cDNA合成はT7−(dT24)オリゴヌクレオチドを用いてプライムた。cDNAはフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿させて、最終濃度1mg/mlにすることができる。生成したcDNAから、Enzo(Enzo Diagnostics Inc.、Farmingdale、NY)インビトロ転写キットを用いてcRNAを合成することができる。同工程中で、cRNAビオチンヌクレオチドBio−11−CTPおよびBio−16−UTP(EnzoDiagnostics Inc.、Farmingdale、NY)で標識することができる。標識およびクリーンアップ(Qiagen、Hilden(ドイツ))後、次いでcRNAを適切断片化緩衝液(例えば、40mMのTris−酢酸、pH8.1、100mMKOAc、30mMのMgOAc、94℃で35分間)中で断片化する。Affymetrixプロトコルにより、断片化されたcRNAを、それぞれ約40.000のプローブされた転写物を含むHG_U133アレイAおよびB上で、24時間、60rpmで、45℃のハイブリダイゼーションオーブン中でハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション工程後、チップ表面を洗浄し、Affymetrixフルイディクスステーションにおいてストレプトアビジンフィコエリトリン(SAPE;Molecular Probes、Eugene、OR)で染色しなければならない。染色を増幅するために、第二の標識工程を導入することができ、これは推奨されるが、強制ではない。ここでは抗ストレプトアビジンビオチニル化抗体を含んだSAPE溶液2回加えなければならない。プローブアレイへのハイブリダイゼーションは、蛍光分析スキャニング(Hewlett Packard遺伝子アレイスキャナー;Hewlett Packard Corporation、パロアルト、CA)により検出できる。
ハイブリダイゼーションとスキャニングの後に、ミクロアレイ像を品質管理のために解析し、ハイブリダイゼーションシグナルにおける主要なチップ欠陥または異常を探すことができる。そのためにAffymetrixGeneChip MAS 5.0ソフトウェアまたは他のミクロアレイ画像解析ソフトウェアを利用することができる。基本データ分析は製造業者により提供されたソフトウェアによって実行されるべきである。
遺伝子分析の場合、本発明の一態様において、基本データをさらなるバイオインフォマティクスツールおよび追加のフィルター基準によって分析た。バイオインフォマティクス分析以下に詳細に記述る。
c)データ解析
Affymetrix測定技術(Affymetrix GeneChip発現分析マニュアル、サンタクララ、CA)に従って、1つのチップ上の単一遺伝子発現測定から平均の差値と絶対的コール(absolute call)を。それぞれのチップは、遺伝子またはcDNAクローンにつき16から20のオリゴヌクレオチドプローブ対を含む。これらのプローブ対は完全にマッチするセットおよびミスマッチするセットを含み、その双方が、完璧なマッチの強度からミスマッチの強度を引くことにより計算される、各プローブ対の強度の尺度である、平均差分、または発現値の計算に必要である。これは、蛍光強度に影響し得るプローブ対および他のハイブリダイゼーション人為要素間のハイブリダイゼーションにおける変動性を考慮に入れる。該平均差分は該遺伝子の発現値を表すと想定される数値である。絶対的コールは値「A」(存在しない)、「M」(ほとんどない)、または「P」(存在する)をとることができ、単一ハイブリダイゼーションの質を示す。本発明者らは平均差分によって与えられた量的な情報と絶対的コールによって与えられた質的な情報の両方を、正常な集団からの生物学的サンプルに対して乳ガンの個人からの生物学的サンプルにおいて差次的に発現される遺伝子を同定するために使用した。Affymetrix以外の他のアルゴリズムを用いた結果、本発明者らは比較したところ同じ発現値と発現差を表す異なった数的値を得た。
正常な集団と比較した乳ガングループの1つにおける差次的発現Eは次のようにして計算乳ガン集団におけるn平均差分値、d、・・・、dと正常集団におけるm平均差分値、c、・・・、cが与えられると、次式によりコンピューターで計算される:
Figure 2004159640
1またはそれ以上のiとjの値についてd<50またはc<50であるならば、これらの特定の値cおよび/またはdは「人工の」発現値50にセットされる。これらのEの特定の計算によりTaqMan結果との正しい比較が可能になる
>1.5であるなら、また乳ガン集団における「P」に等しい絶対的コールの数がn/2より大きいなら、遺伝子は乳ガン対正常において増大調節されるとばれる。
<1.5であるなら、また正常集団における「P」に等しい絶対的コールの数がm/2より大きいなら、遺伝子は乳ガン対正常において減少調節されると呼ばれる。
差次的に調節された遺伝子の最終のリストは、正常な集団から得られる生物学的サンプルに対して乳ガンにかかった個人から得られる生物学的サンプルにおけるすべての増加調節された遺伝子および減少調節された遺伝子からなる。製薬への適用において興味深いこのリストのこれらの遺伝子は、最終的にTaqManによって確認した。両方の技術において転写物の発現値/行動の間に良好な相関関係が観察できる場合、このような遺伝子表1から3に記載した
同定されたARCHEONの中の単一の遺伝子の差的な発現についての情報だけでなく、いくつかのメンバーの同時調節に関する情報も予測、診断、予防および治療目的のために重要であるので、本発明者らは所定の腫瘍サンプルの全体的なトランスクリプトムの像を明らかにするために発現データを公開の利用可能なデータベースから得た染色体の位置(例えばゴールデンパス)についての情報と組み合わせた。この技術により、ゲノムの既知の領域または予想される領域を調査できるだけでなく、さらに価値のある、新規な染色体連鎖を有する調節異常領域を同定できる。これは他のタイプの腫瘍またはウイルスの組み入れおよび染色体の再配列において価値がある。SQLベースのデータベース検索によって、発現、測定の質的な値(AffymetrixMAS5.0ソフトウェアによって示される)、DNAチップハイブリダイゼーション以外の他の技術から得られる発現値および染色体連鎖に関する情報を得ることができる。
実施例2
ARCHEONの同定

a)遺伝子または遺伝子プローブ(Affymetrix arrays HG−U95A−EまたはHG−U133A−Bにおけるいわゆるプローブセットに代表される)のその染色体状態およびヒトゲノム上の状態における同定および局在化
より大きな染色体の改変または異常の同定のために、上記詳細記述したように、十分な数の遺伝子、転写物またはDNA断片が必要とされる。染色体の領域をカバーするプローブの密度はアレイベースのCGHを使用する場合には、必ずしも転写された遺伝子に限定されないが、RNAをプローブ材料として利用することによって、密度は染色体上における遺伝子の距離から得られる。Affymetrix Inc.により提供されるDNAミクロアレイはこれまでに既知のヒトゲノムから得られるすべての転写物含み、これは40.000〜60.000のプローブセットにより表される。カリフォルニアの大学(Santa Cruz)またはNCBIから入手可能ないわゆる「ゴールデンパス」により表される公的に利用可能なヒトゲノム配列に対して、これらの短DNAオリゴマーの配列BLASTマッピングおよびソーティングすることにより、組織標本の全トランスクリプトムの染色体表示が得られる。個の染色体領域のグラフィックディスプレイおよび表され転写物上またはそののカラーコーディングにより、対照と比較して、DNAを獲得および損失したトランスクリプトーム領域同定できる。
)IHCおよび定量的PCR(PCR核型分析)組み合わせによるかまたは定量的PCRによる直接の遺伝子コピー数の定量化
通常5μmの厚さの1から3のパラフィンに埋め込まれた組織切片を用いて、サンプルからゲノムDNAを得る。組織片を、疾患関連細胞を含む領域を同定するために脱パラフィンの後に比色IHCによって染色する。染色された領域を小刀で切り出し微小遠心管中に移す。これらの単離された組織片のゲノムDNAを、適切な緩衝液を用いて抽出する。次いで単離されたDNAを適切なプライマーおよびプローブを用い定量的PCRのために用いる。場合により、IHC染色は省略することができ、ゲノムDNAは適切な緩衝液を用いた事前の脱パラフィンの有無にかかわらず直接分離することができる。当業者らは以下に記載した条件および緩衝液を変更しても同等の結果を得ることができるであろう
DAKO(HercepTestコード番号K5204)およびTaKaRaから得られる試薬を製造プロトコルに従って使用した(BiomedicalsCat.:9091)
染色前に、次の試薬を準備するのが都合良い:
溶液No.7
エピトープ回収溶液(クエン酸緩衝液+抗菌剤)(10x濃度
200ミリリットルの蒸留水に対して20ml(2−8℃で1ヶ月安定)
溶液No.8
洗浄緩衝液(Tris−HCl+抗菌剤)(10x濃度
300ミリリットルの蒸留水に対して30ml(2−8℃で1ヶ月安定)
染色溶液:DAB
10のスライドについて1mlの溶液で十分である。溶液は使用直前に調製した
1mlのDAB緩衝液(基質緩衝液、pH7.5、H、安定剤、エンハンサーおよび抗菌剤を含む)+1滴(25−3μl)DAB−クロモゲン((3,3’−ジアミノベンジジンクロモゲン溶液)。この溶体は2−8℃で5までの間安定である。沈殿した物質は染色結果に影響を与えない。さらに次のものが必要である:2x約100mlのキシロール、2x約100mlのエタノール100%、2xエタノール95%、蒸留水。これらの溶液は、40回までの染色に用いることができる。エピトープ回収工程のために水浴が必要である。
染色法:
すべての試薬は免疫染色の前に室温(20−25℃)に前もって暖めておく。同様に、すべてのインキュベーションは室温において行なわれた。95℃の水浴中で行なわれるエピトープ回収は除く。ステップ間で過剰の液体を埃の出ない薄紙(Kim Wipe)でスライドから除去する
脱パラフィン
スライドをキシレン浴中に入れ、5分間インキュベートする。浴を換え、工程を1回繰り返す。過剰の液体を除去し、スライドを無水タノール中に3分間入れる。浴を換え、該工程を1回繰り返す。過剰の液体を除去し、スライドを95%エタノール中に3分間入れる。浴を換え、工程を1回繰り返す。過剰の液体を除去し、スライドを蒸留水中に最低30秒間入れる。
エピトープ回収
染色ジャーを希釈たエピトープ回収溶液で満たし、水浴中、95℃で予熱する。脱パラフィンされた片を染色ジャーの予熱された溶液中に浸し、95℃で40分間インキュベートする。ジャーを完全に水浴から取り出し、室温で20分間冷却させた。エピトープ回収溶液をデカントし、片を蒸留水ですすぎ、最後に5分間洗浄緩衝液中浸漬する。
ペルオキシダーゼブロッキング:
過剰の緩衝液を除去し、組織片をDAKOpenで取り囲んだ。標本を3滴(100μl)のペルオキシダーゼ−ブロッキング溶液でカバーし、5分間インキュベートする。スライドを蒸留水ですすぎ、新しい洗浄緩衝液浴中に入れる。
抗体インキュベーション
過剰の液体を除去し、標本を3滴(100μl)の抗Her−2/neu試薬(安定化タンパク質を含む、0.05モル/LのTris/HCl、0.1モル/LのNaCl、15mmol/L pH7.2のNaNウサギ抗ヒトHerタンパク質)または負の対照試薬(=Her2 Abと等しいタンパク質濃度の標準的なウサギ血清のIGGフラクション)でカバーする。30分のインキュベーションの後、スライドを水中ですすぎ、新しい水浴中に入れる。
視覚化
過剰の液体を除去し、標本を3滴(100μl)の可視化試薬でカバーする。30分のインキュベーションの後、スライドを水中ですすぎ、新しい水浴中に入れる。過剰の液体を除去し、標本を3滴(100μl)の基質−クロモゲン溶液(DAB)で10分間カバーする。標本を蒸留水ですすいだ後、通常のオリンパス電子顕微鏡で写真を撮影し、標本内の染色強度および腫瘍領域をす。必要に応じて、ヘマトキシリンを用いて対比染色を行った
DNA抽出
全標本または切り出した小区画を微小遠心管に移す。必要に応じて予熱したTaKaRa溶液(DEXPAT(商標))の少量(10μl)を予熱し、標本上において、小刀でのサンプルの切り出しを容易にする。選択された組織サンプルの大きさによって、50から150μlのTaKaRa溶液をサンプルに添加した。サンプルを100℃で10分間ブロックヒーター中でインキュベートし、続いて12000rpmで微量遠心機で遠心分離する。ミクロペットを用いて上清を集め、別の微小遠心管に入れる。もし脱パラフィン工程が行われていなければ、確実に組織残骸および樹脂を回収しないようにしなければならない。無樹脂TaKaRa緩衝液の添加、さらなる熱および遠心分離工程によりペレット中に残るゲノムDNAを回収することができる。サンプルを−20℃で保存する。
他の腫瘍細胞系(MCF−7、BT−20、BT−474、SKBR−3、AU−565、UACC−812、UACC−893、HCC−1008、HCC−2157、HCC−1954、HCC−2218、HCC−1937、HCC1599、SW480)またはリンパ球のゲノムDNAを、QIAamp(登録商標)DNA Mini KitsまたはQIAamp(登録商標)DNA Blood Mini Kitsを用いて製造プロトコールに従って調製する。通常1反応あたり1ngから1μgまでのDNAを使用する。
定量的PCR
患者サンプル中の遺伝子の遺伝子コピー数を測定するために、25μlの100μMストック溶液「アッパープライマー」、25μlの100μMストック溶液「ローアープライマー」を12.5μlの100μMストック溶液Taq Manプローブ(QuencherTamra)と混合して各プライマー/プローブ(以下の表参照)を調製し、蒸留水で500μlに調整する。各反応について、1.25μlの患者サンプルのDNA抽出物または1.25μlの細胞から得られるDNAを8.75μlの無核酸水と混合し、96ウェルOptical Reaction Plate(Applied Biosystems Part No.4306737)の1つのウェルに添加した。1.5μlのプライマー/プローブミックス、12μlTaq Man Universal−PCRミックス(2x)(Applied Biosystems Part No.4318157)および1μlの水を次に添加した。96ウェルプレートを8キャップ/ストリップ(Applied Biosystems Part No.4323032)で閉じ、3分間遠心分離機にかける。PCR反応の測定を、適切な条件下(2分、50℃、10分。95℃、0.15分。95℃、1分。60℃;40サイクル)で製造業者の指示に従ってApplied BiosystemsTaqMan7900HT(No.20114)を用いて行う。Applied BiosysrtemsからのSoftwareSDS2.0をそれぞれの支持に従って用いる。CT−値を、適切なソフトウェア(Mirosoft Excel(商標))でさらに分析する。
(表)
Figure 2004159640

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G−バンディングパターンおよび細胞遺伝学的位置を有する染色体17のスケッチを示す。 図1においてすでに示したのと同じ領域およびDNA−チップハイブリダイゼーションにより測定された個々の発現値のクラスター図を示す。 qPCR(たとえば、TaqMan)によるDNA増幅測定から得られるデータを示す。 図4は、増幅された領域についての概略図を示し、分析した腫瘍細胞株における各増幅の長さおよび過剰発現についての情報を提供する。

Claims (27)

  1. 対象から採取された生物学的サンプルにおける少なくとも2のマーカーの検出による悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法であって、該マーカーが悪性腫瘍において改変されたある染色体領域上に位置する遺伝子およびその断片またはゲノム核酸配列であることを特徴とする方法。
  2. 対象から採取された生物学的サンプルにおける少なくとも2のマーカーの検出による悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法であって、該マーカーが以下であることを特徴とする方法
    a)悪性腫瘍において改変されている1またはそれ以上の染色体領域上に位置する遺伝子;且つ
    b)i) レセプターおよびリガンド;または
    ii) 同じシグナル伝達経路のメンバー;または
    iii)相乗シグナル伝達経路のメンバー;または
    iv) 拮抗シグナル伝達経路のメンバー;または
    v) 転写因子および転写因子結合部位。
  3. 悪性腫瘍が、乳ガン、卵巣ガン、胃ガン、結腸ガン、食道ガン、間葉ガン、膀胱ガンまたは非小細胞肺ガンである請求項1または2記載の方法。
  4. 少なくとも1つの染色体領域が、細胞遺伝学的領域p13、p32、3p21p24、5p13−p14、8q23−q24、11q13、12q13、17q12−q24または20q13として定義される請求項1または2記載の方法。
  5. 少なくとも1つの染色体領域が、細胞遺伝学的領域17q11.2−21.3として定義され、悪性腫瘍が乳ガン、卵巣ガン、胃ガン、結腸ガン、食道ガン、間葉ガン、膀胱ガンまたは非小細胞肺ガンである請求項1または2記載の方法。
  6. 少なくとも1つの染色体領域が、細胞遺伝学的領域3p21−24として定義され、悪性腫瘍が、乳ガン、卵巣ガン、胃ガン、結腸ガン、食道ガン、間葉ガン、膀胱ガンまたは非小細胞肺ガンである請求項1または2記載の方法。
  7. 少なくとも1つの染色体領域が、細胞遺伝学的領域12q13として定義され、悪性腫瘍が、乳ガン、卵巣ガン、胃ガン、結腸ガン、食道ガン、間葉ガン、膀胱ガンまたは非小細胞肺ガンである請求項1または2記載の方法。
  8. VNTR、SNP、RFLPまたはSTSである少なくとも1のマーカーの検出による悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法であって、該マーカーが増幅のために悪性腫瘍において改変されたある染色体領域上に位置し、該マーカーが同じ個体の癌性および非癌性組織または生物学的サンプルにおいて検出されることを特徴とする方法。
  9. マーカーが、以下のVNTRからなる群から選択される、請求項8記載の方法:D17S946、D17S1181、D17S2026、D17S838、D17S250、D17S1818、D17S614、D17S2019、D17S608、D17S1655、D17S2147、D17S754、D17S1814、D17S2007、D17S1246、D17S1979、D17S1984、D17S1867、D17S1788、D17S1836、D17S1787、D17S1660、D17S2154、D17S1955、D17S2098、D17S518、D17S1851、D11S4358、D17S964、D19S1091、D17S1179、D10S2160、D17S1230、D17S1338、D17S2011、D17S1237、D17S2038、D17S2091、D17S649、D17S1190およびM87506。
  10. マーカーが、以下のSNPからなる群から選択される、請求項8記載の方法:rs2230698、rs2230700、rs1058808、rs1801200、rs903506、rs2313170、rs1136201、rs2934968、rs2172826、rs1810132、rs1801201、rs2230702、rs2230701、rs1126503、rs3471、rs13695、rs471692、rs558068、rs1064288、rs1061692、rs520630、rs782774、rs565121、rs2586112、rs532299、rs2732786、rs1804539、rs1804538、rs1804537、rs1141364、rs12231、rs1132259、rs1132257、rs1132256、rs1132255、rs1132254、rs1132252、rs1132268およびrs1132258。
  11. 対象から採取された生物学的サンプルにおける少なくとも1つのマーカーの検出による悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法であって、該マーカーが以下から選択されることを特徴とする方法
    a)配列番号2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために(a)および()において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から()において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    e)(a)から()において特定されたポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体配列によりコードされる精製されたポリペプチド;
    f)配列番号:28から32、34、35、37から42、44、45、47から52または76から98の配列の少なくともつを含む精製されたポリペプチド。
  12. 対象から採取された生物学的サンプルにおける少なくとも2つのマーカーの検出による悪性腫瘍の予測、診断または予後判定の方法であって、該少なくとも2つのマーカーが以下から選択されることを特徴とする方法
    a)配列番号:1から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし且つ表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重により(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から(c)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    e)(a)から(d)において特定されたポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体配列によりコードされる精製されたポリペプチド;
    f)配列番号:27から52または76から98の配列の少なくともつを含む精製されたポリペプチド。
  13. 検出法が、PCR、アレイまたはビーズの使用を含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の方法を行うための使用説明書を含む診断キット。
  15. 悪性腫瘍の予測、診断または予後判定のための組成物であって、以下を含む組成物:
    a)以下に対する検出物質:
    i)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含む任意のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    ii)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    iii)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重により(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    iv)(a)から(c)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    v)(a)から(d)において特定されたポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体配列によりコードされるポリペプチド;
    vi)配列番号:28から32、34、35、37から42、44、45、47から52または76から98の配列の少なくともつを含むポリペプチド、または
    b)以下から選択される少なくとも2つのマーカーに対する少なくとも2つの検出物質:
    i)配列番号:1から26または53から75の配列の少なくともつを含む任意のポリヌクレオチド;
    ii)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチド;
    iii)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重により(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチド;
    iv)(a)から(c)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチド;
    v)(a)から(d)において特定されたポリヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチド;
    vi)配列番号:27から52または76から98の配列の少なくともつを含むポリペプチド。
  16. 固体支持体に結合した複数のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体を含むアレイであって、各ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体が以下から選択されるアレイ:
    a)配列番号:1から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重により(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から(c)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体。
  17. a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から(c)において特定されポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされるポリペプチドの活性を調節する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法
    i)試験化合物を、(a)から(d)において特定されポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされる少なくともつのポリペプチドと接触させる工程;および
    ii)試験化合物とポリペプチドとの結合を検出する工程、ここで、該ポリペプチドと結合する試験化合物は、悪性腫瘍を予防または治療するために該ポリペプチドの活性を調節する潜在的な治療薬として同定される。
  18. a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から(c)において特定されポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされるポリペプチドの活性を調節する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法
    i)試験化合物を、(a)から(d)において特定されポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされる少なくともつのポリペプチドと接触させる工程;および
    ii)表2または3において各配列について特定された該ポリペプチドの活性を検出する工程、ここで、該活性を増加させる試験化合物は、悪性腫瘍におけるポリペプチド活性を増大させる潜在的な予防または治療薬として同定され、ポリペプチドの活性を減少させる試験化合物は、悪性腫瘍におけるポリペプチド活性を減少させる潜在的な治療薬として同定される
  19. a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から(c)において特定されポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体
    からなる群から選択されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体の活性を調節する物質をスクリーニングする方法であって、以下の工程を含む方法
    i)試験化合物を(a)から(d)において特定され少なくともつのポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体と接触させる工程;および
    ii)試験化合物とポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体との結合を検出する工程、ここで、該ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体と結合する試験化合物は、悪性腫瘍におけるポリヌクレオチドの活性を調節する潜在的な予防または治療薬として同定される
  20. 悪性腫瘍の予防、予測、診断、予後判定のための組成物または悪性腫瘍の治療のための医薬組成物であって、以下の物質を含有する医薬組成物:
    a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体
    c)表2または3において各配列について特定されのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から(c)において特定されポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表すポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    e)(a)から(d)において特定されポリヌクレオチド配列のつを特異的に標的とするアンチセンス分子;
    f)(a)から(d)において特定されポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体配列によりコードされる精製されたポリペプチド;
    g)配列番号:28から32、34、35、37から42、44、45、47から52または76から98の配列の少なくともつを含む精製されたポリペプチド;
    h)(a)から(d)において特定されポリヌクレオチドまたは(f)および(g)において特定されポリペプチドのつと結合可能な抗体;
    i)(a)から(d)において特定されポリヌクレオチド配列または(f)および(g)において特定されポリペプチドの量または活性を調節する請求項17から19のいずれか記載の方法により同定された作用物質。
  21. 該疾患が乳ガンである請求項20記載の医薬組成物
  22. 以下からなる群から選択されるポリペプチドの活性を調節する作用物質であって、請求項17から19のいずれかに記載の方法により同定される作用物質:
    a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含む任意のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされるポリペプチド;
    b)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくとも1つを含む任意のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされるポリペプチド;
    c)表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱している任意のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされるポリペプチド;
    d)(a)から(c)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表し、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする任意のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体によりコードされるポリペプチド;または、
    )配列番号:28から32、34、35、37から42、44、45、47から52または76から98の配列の少なくともつを含むポリペプチド。
  23. 以下からなる群から選択されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体の活性を調節する作用物質であって、請求項17から19のいずれかに記載の方法により同定される作用物質:
    a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    b)(a)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    c)表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために(a)および(b)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    d)(a)から(c)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表し、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体。
  24. 以下の(a)または請求項22または23に記載の作用物質および製薬的に許容される担体を含む医薬組成物:
    a)以下からなる群から選択されるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体の少なくとも1つを含む発現ベクター:
    i)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の配列の少なくともつを含むポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    ii)(i)において特定されたポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    iii)表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードする伝コードの縮重のために()および(ii)において特定されたポリヌクレオチドからその配列が逸脱しているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体;
    iv)(i)から(iii)において特定されたポリヌクレオチド配列の特定の断片、誘導体または対立遺伝子変異を表し、且つ表2または3において各配列について特定されるのと同じ生物学的機能を示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体。
  25. 悪性腫瘍の危険があるかまたは悪性腫瘍を有する対象から得られる細胞における以の値を含むコンピュータ読み取り可能な媒体:
    a)配列番号:2から6、8、9、11から16、18、19、21から26または53から75の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列の発現レベルを表す少なくともつのデジタルコード化された値、
    b)配列番号:1から26または53から75から選択される少なくとも2つのポリヌクレオチド配列の発現のレベルを表す少なくとも2つのデジタルコード化された値。
  26. 染色体改変を検出する方法であって、改変された染色体領域に位置する遺伝子によってコードされる個々のmRNAの相対存在量を検出することを特徴とする方法。
  27. 染色体改変を検出する方法であって、1またはそれ以上の染色体領域のコピー数を定量的PCRによって検出することを特徴とする方法。
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