JP2004158636A - 半導体レーザ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体レーザ10は、(1)活性領域20と活性領域20を挟んで対向する第1及び第2の光出射面22,24とを有する半導体光増幅デバイス12と、(2)第1の光出射面22と光結合されており、石英を主体として形成された光導波領域28に、第1の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子30が形成された第1の光導波路デバイス14と、(3)第2の光出射面24と光結合されており、石英を主体として形成された光導波領域32に、第1の波長間隔とは異なる第2の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子34が形成された第2の光導波路デバイス16と、(4)第2の光導波路デバイス16に設けられた光導波領域32の屈折率を調整するための温度調整手段16と、を備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発振波長が可変である半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の半導体レーザとして、不均一回折格子を有する半導体レーザがある(非特許文献1参照)。かかる半導体レーザは、活性領域とそれを挟む一対のDBR(Distributed Bragg Reflector)反射領域を備える。これら一対のDBR反射領域の反射スペクトルは、それぞれ周期的に現れる多数の反射ピークを有する。そして、反射ピークの間隔はそれぞれのDBR反射領域でわずかに異なるように設計されており、注入電流を調整し一方のDBR反射領域の屈折率を変化させて反射スペクトルをシフトさせることにより、バーニア効果を利用して極めて広い範囲で発振波長を変化させている。
【0003】
【非特許文献1】
小林功郎著、「光集積デバイス」、初版、共立出版株式会社、1999年7月、p106
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の半導体レーザでは、半導体中に微細加工技術を利用して回折格子を形成する必要があったため、その製造が難しいという問題があった。また、かかる半導体レーザは温度安定性が低く、温調が必須であった。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するために為されたものであり、温度安定性が高く製造が容易な発振波長が可変である半導体レーザを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体レーザは、(1)活性領域と活性領域を挟んで対向する第1及び第2の光出射面とを有する半導体光増幅デバイスと、(2)第1の光出射面と光結合されており、石英を主体として形成された光導波領域に、第1の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子が形成された第1の光導波路デバイスと、(3)第2の光出射面と光結合されており、石英を主体として形成された光導波領域に、第1の波長間隔とは異なる第2の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子が形成された第2の光導波路デバイスと、(4)第2の光導波路デバイスに設けられた光導波領域の屈折率を調整するための温度調整手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この半導体レーザは、多波長回折格子が形成された第1及び第2の光導波路デバイスを備えるため、微細加工技術を利用して半導体中に回折格子を形成する従来のレーザと比較して製造が容易となる。また、第2の光導波路デバイスにおいて多波長回折格子が形成された光導波領域は、屈折率の温度依存性が小さい石英を主体として形成されているため、温度調整手段による温度変更により屈折率を調整して多波長回折格子の反射スペクトルを変更することは容易であっても、環境温度の変化程度の温度変更に対しては屈折率は安定であり、温度安定性の高い半導体レーザとすることができる。更に、温度調節手段による温度変更により光導波領域の屈折率を調整するものであるため、注入電流により屈折率を調整する場合と比べて発振波長、及び発振出力の安定が図られる。
【0008】
本発明に係る半導体レーザでは、第2の光導波路デバイスは平面型光導波路であることを特徴としてもよい。このようにすれば、第2の光導波路デバイスへの温度調節手段の形成が容易となり、ひいては半導体レーザの製造が容易となる。
【0009】
本発明に係る半導体レーザでは、第1及び第2の光導波路デバイスは平面型光導波路であり、第1及び第2の光導波路デバイスは同一基板上に設けられていることを特徴としてもよい。このようにすれば、第1及び第2の光導波路デバイスと半導体光増幅デバイスとのアライメントが容易になる。
【0010】
本発明に係る半導体レーザでは、第1の光導波路デバイスは光ファイバであることを特徴としてもよい。
【0011】
本発明に係る半導体レーザでは、第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の多波長回折格子は、等間隔に配置された所定周期の複数のグレーティング部を有することを特徴としてもよい。このようにすれば、多波長回折格子の反射ピークを与える波長は、グレーティング部の所定周期と、等間隔に配置された複数のグレーティング部の間隔とにより規定される。
【0012】
本発明に係る半導体レーザでは、第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の多波長回折格子は、第1の屈折率を有する複数の第1グレーティング部と、第2の屈折率を有する複数の第2グレーティング部とを有し、第1グレーティング部と第2グレーティング部とは交互に連続して配置されていることを特徴としてもよい。このようにすれば、多波長回折格子の反射ピークを与える波長は、第1グレーティング部および第2グレーティング部が有する周期と、第1グレーティング部および第2グレーティング部の繰り返し周期とにより規定される。
【0013】
本発明に係る半導体レーザでは、第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の多波長回折格子は、等間隔に配置されたチャープされた複数のグレーティング部を有することを特徴としてもよい。このようにすれば、多波長回折格子の反射ピークを与える波長は、チャープされたグレーティング部に含まれる周期と、等間隔に配置された複数のグレーティング部の間隔とにより規定される。
【0014】
本発明に係る半導体レーザでは、第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の多波長回折格子は、それぞれ異なる周期の複数のグレーティング部を有し、各々のグレーティング部は空間的に重ねて配置されていることを特徴としてもよい。このようにすれば、多波長回折格子の反射ピークを与える波長は、複数のグレーティング部のそれぞれ異なる周期により規定される。そして、各々のグレーティング部は空間的に重ねて配置されているため、超周期グレーティングの長さを短くすることができる。なお、各波長のグレーティング部を書き込むとき、アポタイズをかけることにより重ね書きの際の干渉を抑えることができる。
【0015】
本発明に係る半導体レーザでは、第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方は平面型光導波路であり、多波長回折格子は光導波領域に光導波方向に沿って形成された凹凸部を含むことを特徴としてもよい。このようにすれば、複雑なパターンの回折格子を形成することが可能となる。
【0016】
本発明に係る半導体レーザでは、半導体光増幅デバイスの活性領域は、スポットサイズ変換部を有することを特徴としてもよい。このようにすれば、第1及び第2の光導波路デバイスと半導体光増幅デバイスとの結合効率の向上が図られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係る半導体レーザの実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る半導体レーザの構成を示す斜視図であり、また図2は、図1に示す半導体レーザの構成を示す平面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、半導体レーザ10は半導体光増幅デバイス12と、第1及び第2の光導波路デバイス14,16と、温度調整手段18と、を備える。
【0020】
半導体光増幅デバイス12は、活性領域20と、この活性領域20を挟んで対向する第1及び第2の光出射面22,24とを有する。活性領域20は、図示しない電極を介してキャリアが注入されると光を発生する。第1及び第2の光出射面22,24は反射防止膜を含み、端面での光反射が低減されている。
【0021】
図3は、図2に示す半導体レーザ10をIII−III線に沿って切断したときの、半導体光増幅デバイス12の断面構造を示す図である。図3に示すように、半導体光増幅デバイス12は、対向する第1及び第2の光出射面22,24とを有し、活性領域20は第1の光出射面22から第2の光出射面24に向かって延びている。そして、活性領域20は、第1及び第2の光出射面22,24付近の両端部に、スポットサイズ変換部26を有する。すなわち、図4に示すように、活性領域20の両端部は水平方向若しくは垂直方向にテーパが付けられており、活性領域20の厚み若しくは幅が極端に狭められている。これにより、活性領域20を伝搬する光が外方に大きく染み出すこととなり、出射光のスポットサイズの大型化が図られている。これにより、半導体光増幅デバイス12と第1及び第2の光導波路デバイス14,16との結合効率の向上が図られている。
【0022】
第1の光導波路デバイス14は、平面型光導波路(PLC)として設けられている。この第1の光導波路デバイス14は、石英を主体として形成された光導波領域28を有する。そして、この光導波領域28には、第1の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子30が形成されている。この第1の光導波路デバイス14は、半導体光増幅デバイス12の第1の光出射面22と光結合されている。
【0023】
第2の光導波路デバイス16は、平面型光導波路(PLC)として設けられている。この第2の光導波路デバイス16は、石英を主体として形成された光導波領域32を有する。そして、この光導波領域32には、第1の波長間隔とは異なる第2の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子34が形成されている。この第2の光導波路デバイス16は、半導体光増幅デバイス12の第2の光出射面24と光結合されている。
【0024】
これら第1及び第2の光導波路デバイス14,16は、同一基板上に設けられている。そして、半導体光増幅デバイス12は、第1及び第2の光導波路デバイス14,16の間に設けられた段差部36上に搭載されている。このように、第1及び第2の光導波路デバイス14,16が同一基板上に設けられていることで、第1及び第2の光導波路デバイス14,16と半導体光増幅デバイス12とのアライメントが容易になる。特に、本実施形態において第1及び第2の光導波路デバイス14,16は、一の平面型光導波路を用意し、その中央部分に段差部36が生じるように、中央部分を光導波領域の延伸方向と直交する方向に研削して、一の平面型光導波路を二の平面型光導波路に分けるようにして形成されている。これにより、第1の光導波路デバイス14と第2の光導波路デバイス16とのアライメントは不要となり、半導体光増幅デバイス12を段差部36に搭載して、これを光導波領域28,32の延伸方向と直交する方向にずらすことで、一軸方向のアライメントのみで位置決めを行うことができる。
【0025】
温度調整手段18は、第2の光導波路デバイス16が有する光導波領域32の多波長回折格子34が形成された部分の直上に設けられている。この温度調節手段18は、この部分の光導波領域32の屈折率を調整する。温度調節手段18としては、いわゆるマイクロヒータと呼ばれるものを用いることができる。かかるマイクロヒータは、例えばW、Cr、TaSi、TaN等を、蒸着あるいはスパッタリングして形成することができる。
【0026】
図5は、第1及び第2の光導波路デバイス14,16の光導波領域28,32に設けられた多波長回折格子30,34を説明するための説明図である。なお、図5においては、第1及び第2の光導波路デバイス14,16から光導波領域28,32を取り出して図示している。図5に示す通り、多波長回折格子30,34は、周期Λaのグレーティング部38が周期Λbで等間隔に配置されて構成されている。この多波長回折格子30,34は、次のようにして形成することができる。
【0027】
まず、光導波路デバイスの光導波領域の側面に所望の位相格子マスクを置き、このマスクにスペクトルの鋭い紫外線(通常はエキシマレーザを用いる)を照射する。そして、位相格子マスクを通過した光の干渉効果を利用し、周期Λaに相当するビームの強弱によってグレーティング部38を作製する。これを間隔Λbで繰り返していくことで、図5に示される多波長回折格子30,34が形成される。
【0028】
図6は、かかる多波長回折格子30,34の反射スペクトルを示す図である。図6において個々の反射ピークは、周期Λaに起因するピークである。そして、隣接する反射ピークの間隔Δλは周期Λbによって規定され、
Δλ = λ0 2/2nΛb
で表される。ここで、λ0は周期Λaの回折格子によるブラッグ回折波長、つまりλ0=2nΛaであり、nは光導波領域28,32中を伝搬するモードの実効屈折率である。
【0029】
ここで、第1及び第2の光導波路デバイス14,16のそれぞれでは、多波長回折格子の周期Λa及び周期Λbがそれぞれ調節され、隣接する反射ピークの間隔Δλが異なるものとされている。本実施形態では、第1の光導波路デバイス14の多波長回折格子30の反射ピークの間隔(第1の波長間隔)は、第2の光導波路デバイス16の多波長回折格子34の反射ピークの間隔(第2の波長間隔)よりも狭くなっている。
【0030】
また図7は、多波長回折格子30,34の他の例を説明するための説明図であり、図8はこの多波長回折格子30,34の屈折率分布を示す図である。この多波長回折格子30,34は、第1の屈折率を有する複数の第1グレーティング部40aと、第1の屈折率と比べて低い第2の屈折率を有する複数の第2グレーティング部40bとを有している。そして、第1グレーティング部40aと第2グレーティング部40bとは交互に連続して配置されている。これら第1グレーティング部40aおよび第2グレーティング部40bは、それぞれ一定の周期Λaで形成されており、また第1グレーティング部40aと第2グレーティング部40bとは周期Λbで交互に配置されている。この多波長回折格子30,34は次のようにして形成することができる。
【0031】
まず、光導波路デバイスの光導波領域の側面に所望の位相格子マスクを置き、このマスクにスペクトルの鋭い紫外線(通常はエキシマレーザを用いる)を照射する。そして、位相格子マスクを通過した光の干渉効果を利用し、周期Λaに相当するビームの強弱により均一周期Λaのグレーティングを所望の長さ分だけ書き込む。次に、周期Λbの屈折率変調を行うため、第1グレーティング部40aを形成すべき領域にのみ追加光を照射し、第2グレーティング部40bを形成すべき領域には追加光を照射しない。これを間隔Λbごとに繰り返すことで、図7に示される多波長回折格子30,34が形成される。かかる多波長回折格子30,34においても、図6に示される反射スペクトルと同様の反射スペクトルを得ることができる。
【0032】
また図8は、多波長回折格子30,34の他の例を説明するための説明図である。この多波長回折格子30,34は、図5に示す多波長回折格子の周期Λaの部分を同一周期にせず、周期をΛs〜Λeに変化させたチャープ構造を有する。そしてかかる多波長回折格子30,34の反射スペクトルを図10に示す。図10において、反射スペクトルの個々の反射ピークは、それぞれ周期Λs〜Λeに起因するピークであり、波長λs(=2nΛs)〜λe(=2nΛe)の間に反射ピーク列が形成される。
【0033】
更に、多波長回折格子30,34の他の例を図10において説明する。この多波長回折格子30,34は、Λs〜Λeのそれぞれ異なる周期の複数のグレーティング部38を有し、各々のグレーティング部38は図5に示すような周期Λbの繰り返し周期を有している。そして、これら各々のグレーティング部38は空間的に重ねて配置されている。この場合、隣接する回折波長スペクトルに影響が出ないように、重ね書きする個々のグレーティング部38にガウシアンアポタイズを施し、サイドローブを下げるようにすると好ましい。このようにグレーティング部38を空間的に重ねて配置すれば、多波長回折格子30,34の長さ、ひいてはトータルの光導波路デバイス14,16の長さを短くすることができる。なお、かかる多波長回折格子30,34においても、図9に示される反射スペクトルと同様の反射スペクトルを得ることができる。
【0034】
また図11は、多波長回折格子30,34の他の例を説明するための説明図である。図11に示す通り、多波長回折格子30,34は、周期Λaの凹凸部41が周期Λbで等間隔に配置されて構成されている。この多波長回折格子30,34は、次のようにして形成することができる。
【0035】
まず、基板(例えばシリコン基板)上に、化学的気相成長法(CVD)によりSiO2からなるアンダークラッド層を成膜し、さらにその上にGeがドープされたSiO2からなるコア層を成膜する。次に、フォトリソグラフィ技術と反応性イオンエッチング(RIE)とにより、光導波領域としてのコアを加工する。更に、フォトリソグラフィ技術と反応性イオンエッチング(RIE)とにより、加工したコアに対し光導波方向に沿って所定周期で凹凸部を形成する。そして、これらの上に、CVDによりオーバークラッド層を成膜する。このように、光導波領域に設けられた凹凸部により回折格子を構成することで、複雑なパターンの回折格子を容易に形成することが可能となる。なお、かかる多波長回折格子30,34においても、図6に示される反射スペクトルと同様の反射スペクトルを得ることができる。
【0036】
本実施形態に係る半導体レーザ10では、第1及び第2の光導波路デバイス14,16の光導波領域28,32中に形成された上記した構成の多波長回折格子30,34により、特定の波長の光が選択的に反射され、これによって半導体レーザ10の一対の反射器が構成されている。
【0037】
次に、上記した構成の半導体レーザ10において発振波長が可変となる原理、すなわち半導体レーザ10の作用について図12を参照しながら説明する。
【0038】
図12(a)は、第1の光導波路デバイス14の多波長回折格子30が有する第1の温度(例えば室温)T1での反射スペクトルを示す。また、図12(b)は、第2の光導波路デバイス16の多波長回折格子34が有する第1の温度(例えば室温)T1での反射スペクトルを示す。さらに、図12(c)は、第2の光導波路デバイス16の多波長回折格子34が有する第2の温度(第1の温度T1より所定温度ΔTだけ高温)T2での反射スペクトルを示す。
【0039】
レーザ発振は、第1の光導波路デバイス14の多波長回折格子30の反射率と、第2の光導波路デバイス16の多波長回折格子34の反射率との積が最大となる縦モード波長で起こり得る。従って、図12(b)に示す状態では、第1の光導波路デバイス14の多波長回折格子30の反射ピーク波長と、第2の光導波路デバイス16の多波長回折格子34の反射ピーク波長とが一致する波長λ1においてレーザ発振が起こる。
【0040】
次に、温度調節手段18により第2の光導波路デバイス16の光導波領域32の温度を第2の温度T2に変更し、光導波領域32の屈折率を変化させると、図12(c)に示すように、第2の光導波路デバイス16の多波長回折格子34が有する反射スペクトルの波長依存性が変化する。すなわち反射スペクトルは、図12(b)において示される波形をほぼ保った状態で、δλだけ長波長側へシフトする。このとき、第1の光導波路デバイス14の多波長回折格子30の反射ピークと、第2の光導波路デバイス16の多波長回折格子34の反射ピークとの積は、波長λ2において最大となるため、レーザ発振はこの波長λ2で起こり得る。
【0041】
このように、温度調節手段18を介して第2の光導波路デバイス16の光導波領域32の屈折率を変化させることで、レーザ発振する波長を変化させることが可能となる。
【0042】
この場合、第1の光導波路デバイス14の反射ピーク波長幅Δλ1と第2の光導波路デバイスの反射ピーク波長幅Δλ2との差δλを適当に選ぶことで、バーニア効果により大きな波長可変幅を得ることが可能となる。
【0043】
以上、本実施形態の半導体レーザ10は、多波長回折格子30,34が形成された第1及び第2の光導波路デバイス14,16としての平面型光導波路を備えるため、微細加工技術を利用して半導体中に回折格子を形成する従来のレーザと比較して製造が容易となる。また、第2の光導波路デバイス16において多波長回折格子34が形成された光導波領域32は、屈折率の温度依存性が小さい石英を主体として形成されているため、温度調整手段18による温度変更により屈折率を調整して多波長回折格子34の反射スペクトルを変更することは容易であっても、環境温度の変化程度の温度変更に対しては屈折率は安定であり、温調を必須とすることなく温度安定性の高い半導体レーザとすることができる。更に、温度調節手段18による温度変更により光導波領域32の屈折率を調整するものであるため、注入電流により屈折率を調整する場合と比べて発振波長、及び発振出力の安定が図られる。
【0044】
図13は、本実施形態に係る半導体レーザ10(図13中において白丸で示す)と従来の分布帰還型(DFB)半導体レーザ(図13中において白三角で示す)とについて、発振波長の温度依存性を示すグラフである。図13に示すように、本実施形態に係る半導体レーザ10では、発振波長の温度依存性は11.7pm/℃である一方、従来のDFBレーザでは、発振波長の温度依存性は103.9pm/℃である。このように、本実施形態に係る半導体レーザ10では、従来のものと比べて温度依存性が一桁異なり、温度安定性に優れていることが分かる。
【0045】
なお、図12を参照して、第1及び第2の光導波路デバイス14,16で反射ピーク波長の波長間隔の差δλが0.4nmであるとすると、本実施形態に係る半導体レーザ10の発振波長の温度依存性が11.7pm/℃であるとき、発振波長をλ1からλ2に変更するのに約34℃の温度上昇が必要であり、発振波長をλ1からλ4に変更するのには約102℃の温度上昇が必要となる。
【0046】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
【0047】
例えば、上記した実施形態では、第1及び第2の光導波路デバイス14,16を平面型光導波路として構成したが、図14に示すように、第1の光導波路デバイス14は、光導波領域(コア領域)28に多波長回折格子30が形成された光ファイバにより構成してもよい。この場合、第2の光導波路デバイス14としての光ファイバは、基板上に設けられたV溝42内に挿入固定するようにすると位置決めが容易且つ確実となって好ましい。
【0048】
あるいは、図15に示すように、第1及び第2の光導波路デバイス14,16の双方を、光導波領域(コア領域)28,32に多波長回折格子30,34が形成された光ファイバにより構成してもよい。この場合、第1及び第2の光導波路デバイス14,16としての光ファイバは、基板上にそれぞれ設けられたV溝42内に挿入固定するようにすると位置決めが容易且つ確実となって好ましい。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、温度安定性が高く製造が容易な発振波長が可変である半導体レーザが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る半導体レーザの構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す半導体レーザの構成を示す平面図である。
【図3】図2に示す半導体レーザをIII−III線に沿って切断したときの、半導体光増幅デバイスの断面構造を示す図である。
【図4】活性領域の端部に設けられたスポットサイズ変換部を説明するための図である。
【図5】多波長回折格子の構成の一例を示す図である。
【図6】図5に示す多波長回折格子の反射スペクトルを示す図である。
【図7】図7(a)は、多波長回折格子の他の構成例を示す図である。図7(b)は、図7(a)に示す多波長回折格子の屈折率分布を示す図である。
【図8】多波長回折格子の他の構成例を示す図である。
【図9】図8に示す多波長回折格子の反射スペクトルを示す図である。
【図10】多波長回折格子の他の構成例を示す図である。
【図11】多波長回折格子の他の構成例を示す図である。
【図12】本実施形態に係る半導体レーザにおいて発振波長が可変となる原理を説明するための図である。
【図13】本実施形態に係る半導体レーザ(図13中において白丸で示す)と従来の分布帰還型(DFB)半導体レーザ(図13中において白三角で示す)とについて、発振波長の温度依存性を示すグラフである。
【図14】本実施形態に係る半導体レーザの変形例を示す平面図である。
【図15】本実施形態に係る半導体レーザの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
10…半導体レーザ、12…半導体光増幅デバイス、14…第1の光導波路デバイス、16…第2の光導波路デバイス、18…温度調節手段、20…活性領域、22…第1の光出射面、24…第2の光出射面、26…スポットサイズ変換部、28,32…光導波領域、30,34…多波長回折格子、38…グレーティング部、40a…第1グレーティング部、40b…第2グレーティング部、41…凹凸部。
Claims (10)
- 活性領域と該活性領域を挟んで対向する第1及び第2の光出射面とを有する半導体光増幅デバイスと、
前記第1の光出射面と光結合されており、石英を主体として形成された光導波領域に、第1の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子が形成された第1の光導波路デバイスと、
前記第2の光出射面と光結合されており、石英を主体として形成された光導波領域に、前記第1の波長間隔とは異なる第2の波長間隔で複数の反射ピークを示す多波長回折格子が形成された第2の光導波路デバイスと、
前記第2の光導波路デバイスに設けられた前記光導波領域の屈折率を調整するための温度調整手段と、
を備えることを特徴とする半導体レーザ。 - 前記第2の光導波路デバイスは平面型光導波路であることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記第1及び第2の光導波路デバイスは平面型光導波路であり、該第1及び第2の光導波路デバイスは同一基板上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記第1の光導波路デバイスは光ファイバであることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の前記多波長回折格子は、等間隔に配置された所定周期の複数のグレーティング部を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の前記多波長回折格子は、第1の屈折率を有する複数の第1グレーティング部と、第2の屈折率を有する複数の第2グレーティング部とを有し、該第1グレーティング部と該第2グレーティング部とは交互に連続して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の前記多波長回折格子は、等間隔に配置されたチャープされた複数のグレーティング部を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方の前記多波長回折格子は、それぞれ異なる周期の複数のグレーティング部を有し、各々のグレーティング部は空間的に重ねて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記第1及び第2の光導波路デバイスの少なくとも一方は平面型光導波路であり、前記多波長回折格子は前記光導波領域に光導波方向に沿って形成された凹凸部を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
- 前記半導体光増幅デバイスの前記活性領域は、スポットサイズ変換部を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ。
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