JP2004157935A - 車両の走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】走路上のコースデータおよび車両の位置情報に基づいて車両の前方域に障害物判定用の判定エリアを生成する判定エリア生成手段と、この判定エリア生成手段において生成された判定エリアのデータを走路の路肩情報に基づいて補正する判定エリアデータ補正手段とを備える。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、障害物検出用のレーダ装置を備え、予設定されたコースデータに基づいて自律誘導走行する車両を、レーダ装置により検出された進行方向前方の障害物を回避させつつ走行させる、車両の走行制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鉱山のように広大な作業現場においては、長距離に亘って鉱石を搬送するような場合、無人ダンプトラック等の特殊な車両を使用して、この車両を予設定されたコースデータと現在の走行データとに基づいて自律誘導走行させることにより、過酷な労働環境からの解放を図った車両の運用システムが採用されている。
【0003】
さらに、上記運用システムにおいては、車両に障害物検出用のレーダ装置を搭載し、このレーダ装置によって走路上における障害物の検出を行ない、その検出結果(障害物の有無や位置等)に基づいて障害物との衝突を回避するよう車両の走行制御を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6に示す如く、鉱山における掘削現場Aと処理施設Bとを繋ぐ走路Rには、走行する車両Tの指針となる目標コース(コースデータ)Cが予設定されており、上記目標コース(コースデータ)Cと、GPS等の位置計測システムを利用して得られる走行データ(位置情報や速度等)とに基づき、走路R上において車両Tを自律誘導走行させている。
【0005】
また、図7に示す如く、車両Tに搭載されたレーダ装置Sによる障害物の検出は、車両Tの前方域に生成した障害物判定用の判定エリアQ、すなわち「車両の進行方向においてサーチしなければならない領域」において行われる。
【0006】
ここで、上記判定エリアQは、上記レーダ装置Sから前方に照射されるレーダビームのスキャニングエリアHと、車両Tの車幅を進行方向に向けて延長した走行予定エリアIとが重なった領域であり、この判定エリアQにおいてのみ障害物の有無が判定され、判定エリアQの外部において障害物の検出は行われない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−65660号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで、走路R上を目標コースCに沿って走行する車両Tは、位置計測システムから得られる自車のポジション(位置情報)、すなわち図8に示す如き位置(X座標、Y座標、Z座標)と進行方向(ヨー角θ:目標コースに対する姿勢角)とに基づき、ターゲットである目標コースC上に乗るよう走行制御されるが、走行中における車両Tの振れや制御誤差に起因して、目標コースCと車両Tの姿勢との間に僅かなズレの生じることが間々ある。
【0008】
図9に示す如く、目標コースCに対する車両Tの進行方向(ヨー角θ)にズレが生じた場合、車両Tの前方域に生成される判定エリアQは、真の判定エリア(車両Tが誤差なく目標コースC上に乗っている状態において生成される判定エリア)Qtに対し、一点鎖線あるいは二点鎖線の如く左右方向(走路Rの幅員方向)にズレることとなる。
【0009】
因みに、上述した真の判定エリアQtに対する判定エリアQのズレは、累積誤差により車両Tから前方へ向かうに従って増大し、例えば車両Tから100m前方において1m前後のズレとなる。
【0010】
ここで、図10に示す如く真の判定エリアQtに対して判定エリアQがズレている場合、走路R上における物体Oaは真の判定エリアQtから外れているものの、ズレを生じている判定エリアQに掛かるために障害物と判定され、車両Tは衝突を回避するための減速および繰向、あるいは停止するよう走行制御されることとなる。
【0011】
また、走路R上における物体Obは、真の判定エリアQtに掛かるものの、ズレを生じている判定エリアQから外れているために障害物と判定されず、衝突を回避するための走行制御が為されないために車両Tが物体Obと衝突する虞れがある。
【0012】
このように、判定エリアQにズレが生じることに起因して、車両Tの進行方向前方域における障害物を誤検出することにより、スムーズな車両Tの走行が阻害されることとなるため、鉱山等の現場における作業効率の低下、延いては生産性の低下を招いてしまう不都合があった。
【0013】
本発明の目的は上記実状に鑑みて、判定エリアのズレに起因する車両の不適切な走行を未然に防止し、もって現場における作業効率の低下を未然に防止し得る車両の走行制御装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段および効果】
上記目的を達成すべく、請求項1の発明に関わる車両の走行制御装置は、走路上のコースデータと車両の位置情報とに基づいて、前記車両の前方域に障害物判定用の判定エリアを生成する判定エリア生成手段を備えるとともに、前記判定エリア生成手段において生成された判定エリアのデータを、前記走路の路肩情報に基づいて補正する判定エリアデータ補正手段を備えて成ることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、判定エリア生成手段により生成された判定エリアのデータを、判定エリアデータ補正手段により走路の路肩情報に基づいて補正することで、より正確な判定エリアにおいて障害物の判定が行なわれることとなる。
【0016】
これにより、判定エリアのズレに起因する車両の不適切な走行が未然に防止されることとなり、もって請求項1の発明に関わる車両の走行制御装置によれば、現場における作業効率の低下を未然に防止することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に関わる車両の走行制御装置を、鉱山での車両の運用システムに採用した一実施例を示しており、鉱山の掘削現場1と処理施設2とを繋ぐ走路3上を、後述する如き態様で車両(無人ダンプトラック)10を自律誘導走行させている。
【0018】
走路3上を走行する車両10は、障害物検出用のレーダ装置であるミリ波レーダ装置11(以下、レーダ装置11と称する)を搭載している。
因みに、上記レーダ装置11は、ストレートに延びる走路3上をスキャンするための固定レーダ装置と、カーブした走路3上をスキャンするために車両10の繰向方向にモータ連動して向きを変える可動レーダ装置とを含んでいる。
【0019】
なお、上記レーダ装置11としては、照射される指向性媒体としてミリ波を用いた実施例のミリ波レーダ装置以外にも、例えば光レーザ式装置や視覚センサ式装置等、様々な種類のレーダ装置を採用し得ることは言うまでもない。
【0020】
上記車両10は、上述したレーダ装置11を搭載するとともに、図2に示す如き走行制御装置20を備えており、この走行制御装置20は、処理部21、走行状態計測部22、通信部23、コースデータ記憶部24、走行制御部25、判定エリア生成部(判定エリア生成手段)26および判定エリアデータ補正部(判定エリアデータ補正手段)27等を有している。
【0021】
上記走行制御装置20の走行状態計測部22は、車両10の位置情報を知るためのGPS(グローバル・ポジショニング・システム)、走行距離情報を知るためのタイヤ回転センサ、走行方向情報を知るための光ファイバジャイロ、走行速度情報を知るための速度センサ等を用いて、車両10における現在のポジションおよび走行状況を計測するものである。
【0022】
また、上記走行制御装置20の通信部23は、鉱山において稼動している全ての車両10を統括する中央管制局30と個々の車両10との間において、各車両10における走行データ等を相互に通信するためのものである。
【0023】
一方、図1および図3に示す如く、掘削現場1と処理施設2とを繋ぐ走路3には、走行する車両10の指針となる目標コース(コースデータ)4が予設定されており、この目標コース4は、車両10の左右両側方に設けられる各種のマージン(誘導マージンやセーフティーマージン等)を考慮して、走路3の路肩から所定の距離だけ離隔させた位置に設定されている。
【0024】
上述した目標コース4は、該コース4上をオペレータによって車両10を実際に走行させることでティーチングされ、この際、上記走行制御装置20の処理部21は、走行状態計測部22により計測される時々刻々の走行位置(走行軌跡)を、例えば点列の位置情報の形でコースデータ記憶部24にコースデータとして記憶させる。
【0025】
ここで、走路3上における車両10は、基本的に目標コース(コースデータ)4に基づいて自動誘導走行する。
すなわち、走行制御装置20の処理部21は、上記コースデータと走行状態計測部22から出力される走行データとの比較に基づいて、目標コース4に対する車両10の位置ズレが補正されるよう、走行制御部25に対してステアリング制御指令を出力し、これによって車両10は予設定された目標コース4上を走行することとなる。
【0026】
一方、上記車両10は、搭載したレーダ装置11によって走路3の進行方向前方域における障害物の検出を行ない、その検出結果(障害物の有無や位置等)に基づいて、走行制御装置20の処理部21が走行制御部25にステアリング制御指令および速度制御指令を出力し、これによって車両10は障害物との衝突を回避するよう走行制御される。
【0027】
走路3上における障害物の検出は、車両10の前方域に生成した障害物判定用の判定エリアQにおいて行われる。
上記判定エリアQは、レーダ装置11から車両10の前方に照射されるレーダビームのスキャニングエリアHと、車両Tの車幅を進行方向に延長した走行予定エリアIとが重なった領域であり、図4のフローチャートに示す如く、目標コース(コースデータ)4と車両10のポジション(位置情報)とに基づき、走行制御装置20の判定エリア生成部26において生成される(Step101)。
【0028】
次いで、上記走行制御装置20の処理部21において、上記判定エリア生成部26で生成された判定エリア(判定エリアデータ)Qと、走路3における路肩情報とを重ね合わせることによって、上記判定エリアQにおける誤差(真の判定エリアに対するズレ)の有無を判定する(Step102)。
【0029】
ここで、図5に示す如く実施例における鉱山の走路3は、車両10の転落防止等を目的として左右に土手3Aが構築されている。
上記走路3における路肩とは、走路3と土手3Aとの境界、すなわち走路3の側縁部3aを指しており、路肩情報とは走路3の側縁部3aにおける位置情報を指すものであって、GPS等の位置計測システムを利用して予め計測されている既知のサーベイ情報である。
【0030】
走行制御装置20の処理部21における判定の結果、上記判定エリアQに誤差(ズレ)が無いと判定された場合、図4のフローチャートに示す如く、現在の判定エリアQにおいて走路3上における障害物の検出が行われ、その検出結果に基づいて車両10は障害物との衝突を回避するよう走行制御される(Step103)。
【0031】
一方、走行制御装置20の処理部21における判定の結果、上記判定エリアQに誤差(ズレ)が有ると判定された場合には、走行制御装置20の判定エリアデータ補正部27(図2参照)において、判定エリアQの誤差(ズレ)を排除する態様で、判定エリアデータ(判定エリアを表現する位置データ)に補正が加えられる(Step104)。
【0032】
次いで、補正された判定エリアQにおいて走路3上における障害物の検出が行われ、その検出結果に基づいて車両10は障害物との衝突を回避するよう走行制御される(Step105)。
【0033】
上述した如く、走行制御装置20の判定エリア生成手段26で生成した判定エリアのデータを、走行制御装置20の判定エリアデータ補正手段27において、走路3の路肩情報に基づいて誤差(ズレ)を排除する態様で補正することにより、走路3上における判定エリアの精度が大幅に向上し、もって正確な判定エリアにおいて障害物の判定が行なわれることとなる。
【0034】
かくして、走路3上における障害物を誤検出する頻度が低減することとなり、判定エリアQのズレに起因する車両10の不適切な走行が未然に防止され、もって現場における作業効率の低下を未然に防止することが可能となる。
【0035】
なお、上述した実施例においては、走路3の路肩情報を収得する方法として、位置計測システムを利用した既知のサーベイ情報を使用しているが、これ以外にも、例えば車両10に進行方向前方域を撮像するカメラを搭載し、このカメラによって得られる画像情報を処理して、走路の路肩情報を抽出する方法を採用することも可能である。
【0036】
因みに、車載カメラの画像情報から路肩情報を抽出する方法においては、走路を走行している車両10が登坂路に差し掛かった場合、レーダ装置によるスキャンでは登坂坂を障害物として誤検出し易いのに対し、画情報に基づいて登坂路を識別することができるために、登坂坂を障害物として誤検出することを可及的に防止し得る。
【0037】
また、走路3における路肩情報を収得する方法としては、上述した如く車載カメラの画情報を用いる以外にも、例えば車両10にレーザ光等を使用した各種のセンサを搭載する一方、走路の路肩に沿ってマーカーとしてのリフレクタを配列し、上記センサが検出した各リフレクタの位置情報から、走路の路肩情報を収得する方法をも採用することが可能である。
【0038】
また、上述した実施例においては、走路3の路肩情報として走路3における側縁部(土手3Aとの境界線)3aの位置を採用しているが、上記側縁部3aから中央方向へ所定寸法だけシフトしたラインを走路3の路肩と定義し、このライン上の位置を路肩情報として採用することも可能である。
【0039】
また、上述した実施例においては、判定エリアの生成、判定エリアの誤差の判定、判定エリアデータの補正等を、車両10側において処理しているが、これらの処理を中央管制局30において実行させ、処理の結果に基づいて中央管制局30から送信される指令信号により、車輌10を走行制御するように構成しても良い。
【0040】
また、上述した実施例においては、中央管制局によって全ての車両を統括制御する運用システムに、本発明に関わる車両の走行制御装置を適用した例を示したが、個々の車両10同士が相互に走行データを通信し合うことにより、全ての車両が統括制御される運用システムにおいても、本発明に関わる車両の走行制御装置を有効に適用し得ることは勿論である。
【0041】
さらに、上述した実施例においては、無人の車両(無人ダンプトラック)を使用する鉱山での運用システムに、本発明に関わる車両の走行制御装置を適用した例を示したが、有人の車両を使用する運用システムにおいても、本発明を有効に適用し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】鉱山における走路の一例を示す概念図。
【図2】本発明に関わる車両の走行制御装置の一実施形態を示すブロック図。
【図3】障害物判定用の判定エリアを概念的に示す平面図。
【図4】実施例における動作態様を示すフローチャート。
【図5】走路の構造を概念的に示す断面図。
【図6】鉱山における走路の一例を示す概念図。
【図7】走路上における判定エリアを概念的に示す平面図。
【図8】走路上における車両のポジションを概念的に示す平面図。
【図9】走路上における判定エリアを概念的に示す平面図。
【図10】走路上における判定エリアを概念的に示す平面図。
【符号の説明】
1:掘削現場、
2:処理施設、
3:走路、
3a:側縁部(路肩)、
3A:土手、
4:目標コース(コースデータ)、
10:車両、
11:レーダ装置、
20:走行制御装置、
21:処理部、
22:走行状態計測部、
24:コースデータ記憶部、
23:通信部、
25:走行制御部、
26:判定エリア生成部、
(判定エリア生成手段)、
27:判定エリアデータ補正部、
(判定エリアデータ補正手段)、
30:中央管制局、
H:スキャニングエリア、
Q:判定エリア。
Claims (1)
- 障害物検出用のレーダ装置を備え、予設定されたコースデータに基づいて自律誘導走行する車両を、前記レーダ装置により検出された進行方向前方の障害物を回避させつつ走行させる車両の走行制御装置であって、
走路上のコースデータと車両の位置情報とに基づいて、前記車両の前方域に障害物判定用の判定エリアを生成する判定エリア生成手段と、
前記判定エリア生成手段において生成された判定エリアのデータを、前記走路の路肩情報に基づいて補正する判定エリアデータ補正手段と、
を備えて成ることを特徴とする車両の走行制御装置。
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