JP2004157557A - 液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 従来のTN型液晶表示素子において、視角補償を目的とした高分子フィルムを、液晶セルと偏光板の間に備える。この高分子フィルムは高分子フィルム面の法線方向に光軸を有する負の光学的異方体であり、基板に形成された配向膜と液晶とのアンカリング・エネルギーは1×10-4J/m2以下である。
【選択図】 図3
Description
本発明の実施例1における液晶表示素子は、図1に示すように、上側偏光板1、高分子フィルム2、液晶セル3、下側偏光板5、液晶セルの上基板6、下基板7、透明電極8、ネマチック液晶9で構成される。またその各軸の関係は、図2に示すように上側偏光板1の偏光軸(吸収軸)方向を11、液晶セルの上基板6の液晶配向方向を12、液晶セルの下基板7の液晶配向方向を13、下側偏光板5の偏光軸方向を14、11が12となす角度を21、12と13から決まるネマチック液晶9のねじれ角を22、14が13となす角度を23とすると、角度21と角度23はそれぞれ90度に、また角度22も90度に設定する。
実施例2のセル構成、軸関係等は図1、図2に示した実施例1と同様であるが、液晶分子のプレチルト角を10度に設定した点だけが異なる。プレチルト角が高くなった分、しきい値電圧が0.3ボルト下がり、オン印加電圧を6ボルトにしても、実施例1と同等の広視角が得られるようになった。
TN型液晶のプレチルト角は従来5度以下であったが、視角補償板を備える場合にはプレチルト角を大きく設定した方が、視角を広げる点で有利である。
実施例3のセル構成、軸関係等は図1、図2に示した実施例1と同様であるが、配向膜としてSiOの斜方蒸着膜を用いた点だけが異なる。これにより液晶分子と配向膜のアンカリング・エネルギーが約4×10-5J/m2となった。これは配向膜として、通常のポリイミドやポリビニルアルコールを用いた場合の1×10-3J/m2以上という値と比べて非常に小さな値である。基板近傍の液晶分子は、通常かなり高い電圧を印加しないと動かないが、アンカリング・エネルギーが4×10-5J/m2程度だとわずか数ボルトで動き出す。従って、実施例1ではオン印加電圧を7ボルトに設定したが、実施例3ではわずか5.5ボルトで同等の広視角が得られる。アンカリング・エネルギーを小さくする方法としては、他にLB膜を配向膜として用いたり、透明電極表面を直接ラビングする方法が知られており、これらもそのアンカリング・エネルギーに応じた効果がある。
実施例4のセル構成、軸関係等は図1、図2に示した実施例1と同様であるが、高分子フィルムとして図3のような形状の屈折率楕円体ではなく、図6のような形状のものを採用した点が異なる。これはやはりポリカーボネート製の負の光学的異方体であり、nz<nx=nyの関係は同じであるが、光軸がフィルム面32の法線方向から5度傾き、電圧印加時の液晶セルの液晶のダイレクターの平均方向とほぼ平行になっている。液晶セルの液晶はしきい値電圧の4倍程度の電圧では完全に立ち上がっているわけではないので、このように高分子フィルムの屈折率楕円体を液晶に合わせて傾ければ、より完全な視角補償ができる。
なお図6のように屈折率楕円体31をフィルム面32に対して傾ける方法以外に、図3のフィルムを液晶セル基板に対して傾けてもよい。直視型のディスプレイでは、スペースの関係でこのような配置は困難であるが、投写型のディスプレイでは有効な手段である。
本発明の実施例5における液晶表示素子は、図7に示すように、上側偏光板1、高分子フィルム2、液晶セル3、高分子フィルム4、下側偏光板5、液晶セルの上基板6、下基板7、透明電極8、ネマチック液晶9で構成される。またその各軸の関係、液晶セルの諸条件は、図2に示した実施例1の場合と同様である。
実施例5においては、上下2枚の高分子フィルムを用いたが、いずれもポリカーボネート製の負の光学的異方体で、nx=1.588、ny=1.588、nz=1.585、フィルム厚d=50μmで、(nx−nz)×dの和は0.3μmである。
この液晶表示素子の電圧透過率特性も、図4に示した実施例1の場合と同様である。この液晶セルに7ボルト印加した状態をオン状態、1ボルト印加した状態をオフ状態として駆動したときの、視角特性を図8に示す。上下2枚の高分子フィルムを用いることによって、1枚だけ用いた実施例1よりも広く、左右対称にな視角特性が得られている。
実施例6のセル構成、軸関係等は図1、図2に示した実施例1と同様であるが、高分子フィルム2にポリビニルアルコールを用いた点だけが異なる。ポリビニルアルコールは、実施例1で用いたポリカーボネートに比べて複屈折△nの波長分散が小さい。ここで△nの波長分散値νを、波長460nmの光に対する△nと波長590nmの光に対する△nを用いて、ν≡△n(460nm)/△n(590nm)で定義する。ポリビニルアルコールのν値は1.005、ポリカーボネートのν値は1.095である。ポリビニルアルコールを用いたときの視角特性は、等コントラスト曲線で描くと、図5に示した実施例1の場合とほぼ同様であるが、視角による黄色い色付きが低減される点で、より優れている。液晶ZLI−4393のν値が1.085であるが、液晶よりも小さな波長分散値を有する高分子を用いれば、このように視角による色付きを減らす効果がある。
実施例7のセル構成等は図1に示した実施例1と同様であるが、軸関係だけが異なる。実施例7の各軸の関係は、図9に示すように上側偏光板1の偏光軸(吸収軸)方向を11、液晶セルの上基板6の液晶配向方向を12、液晶セルの下基板7の液晶配向方向を13、下側偏光板5の偏光軸方向を14、11が12となす角度を21、ネマチック液晶9のねじれ角を22、14が13となす角度を23とすると、角度21と角度23はそれぞれ0度に、また角度22を90度に設定した。
この液晶表示素子の電圧透過率特性も、図4に示した実施例1の場合と同様である。この液晶セルに7ボルト印加した状態をオン状態、1ボルト印加した状態をオフ状態として駆動したときの、視角特性を図10に示す。偏光板の軸方向を隣接する液晶セル基板の配向処理方向に平行にすることによって、垂直に設定した実施例1の図5の視角特性よりも、若干狭くなった。しかしながらそれでも従来の図15の視角特性よりは広い視角特性が得られている。
実施例8のセル構成等は図1に示した実施例1と同様であるが、上下の偏光板を平行に配置した点だけが異なる。このように配置すると、電圧無印加時に黒く、また電圧印加時に白くなる、いわゆるノーマリブラック表示となる。このような配置にしても視角拡大の効果はあるが、それはノーマリホワイト表示の場合ほど大きくない。なぜならば、本発明で用いる視角補償板は、高電圧が印加されて液晶が立ち上がった状態を補償するものであるから、電圧印加時に黒い方が広い視角範囲で高コントラストが得られやすいからである。
実施例9のセル構成、軸関係等は図1、図2に示した実施例1と同様であり、電圧透過率特性も図4と同様であるが、液晶セルに5ボルト印加した状態をオン状態とした点が異なる。このときの視角特性を図11に示す。実施例1のオン状態では7ボルト印加していたが、この電圧を下げることによって、実施例1の図5の視角特性よりも、若干狭くなった。しかしながらそれでも従来の図15の視角特性より広い視角特性が得られており、高い電圧を印加しなくとも、視角拡大の効果がある。なお、高い電圧が印加できないときには高分子フィルムの(nx−nz)×dの値を小さく設定する方が望ましい。
実施例10のセル構成、軸関係等は図1、図2に示した実施例1と同様であるが、高分子フィルムの(nx−nz)×dの値を0.5μmと、液晶の△n×dよりも大きく設定した点が異なる。このようにしても、視角特性は改善されるが、その効果は小さい。高分子フィルムの(nx−nz)×d値は、液晶の△n×d値と同等あるいは少し小さめに設定するのが最も望ましく、液晶の△n×d値の2倍以上に設定することは意味がない。
以上の実施例においては、TN型液晶表示素子を例にとって説明したが、本発明はTN型液晶に限定されるものではなく、正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いる他の多くの液晶表示素子にも応用できるものであって、良く知られているECB型液晶やSTN型液晶でも同様の効果がある。実施例11ではECB型液晶の例を挙げよう。
2 高分子フィルム
3 液晶セル
4 高分子フィルム
5 下側偏光板
6 液晶セル3の上基板
7 液晶セル3の下基板
8 透明電極
9 正の誘電異方性を有するネマチック液晶
11 上側偏光板1の偏光軸方向
12 液晶セルの上基板6の液晶配向方向
13 液晶セルの下基板7の液晶配向方向
14 下側偏光板5の偏光軸方向
21 11が12となす角度
22 ネマチック液晶9のねじれ角
23 14が13となす角度
31 高分子フィルムの屈折率楕円体
32 高分子フィルムのフィルム面
41 コントラスト比1:1の等コントラスト曲線
42 コントラスト比1:3の等コントラスト曲線
43 コントラスト比1:10の等コントラスト曲線
44 コントラスト比1:30の等コントラスト曲線
45 コントラスト比1:100の等コントラスト曲線
46 コントラスト比1:300の等コントラスト曲線
Claims (4)
- 一対の基板間に挟持される液晶と、少なくとも一枚の高分子フィルムと、それらを挟んで両側に配置された一対の偏光板とを備えた液晶表示素子において、
前記高分子フィルムは前記高分子フィルム面の法線方向に光軸を有する負の光学的異方体であり、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成された配向膜と液晶とのアンカリング・エネルギーは1×10-4J/m2以下であることを特徴とする液晶表示素子。 - 前記配向膜は、斜方蒸着膜であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 一対の基板間に挟持される液晶と、少なくとも一枚の高分子フィルムと、それらを挟んで両側に配置された一対の偏光板とを備えた液晶表示素子において、
前記高分子フィルムは、前記高分子フィルム面の法線方向の屈折率をnz、これに垂直で互いに直交する2方向の屈折率をnx、nyとすると、nz<nx=nyの関係にある屈折率楕円体を持つ負の光学的異方体であり、
前記液晶は、斜方蒸着膜でなる配向膜で配向されることを特徴とする液晶表示素子。 - 前記液晶は、ねじれ角が約90度のネマチック液晶であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示素子。
Priority Applications (1)
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