JP2004157468A - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に関するものである。特に、薄型平板粒子を含有する医療用X線写真感光材料の塗布均一性及び現像ムラの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野におけるハロゲン化銀写真感光材料の現像処理は、自動現像機の迅速化、低補充液量化が進み、特に日本国内ではDry to Dryで30秒〜60秒処理、補充液量が感光材料1m2当たり350mL以下であることが一般的になってきた。このようなハロゲン化銀写真感光材料は、現像、定着、水洗、乾燥を行う際の処理負荷の小さい感光材料が必要とされる。
ハロゲン化銀写真感光材料は、画像露光の後に現像することによって可視化された画像が得られ、その濃淡によって画像が認識される。従って、ハロゲン化銀写真感光材料は用途に適切な感度を有すると共に、高い画像品質(画質と呼ばれる)が要求される。画質としては、画像の最高濃度が高く、最小濃度が低いこと、階調や粒状性が用途に適切であること、画像の色調が好ましいことなどが要求される。画像の最高濃度を高くするには、単純には塗布されるハロゲン化銀の銀量を増やすことによって達成できる。しかしながら、塗布銀量を増やすことは画像形成のための現像処理の負荷が増大し、現像処理速度のダウン、廃液量の増大を伴い、生産性の低下、地球環境への負荷増大をもたらすので好ましくない。一般に、単位現像銀量あたりの最高濃度を被覆力と称せられている。この被覆力を高めることは、一定の光学濃度を保つために必要な銀量の節約を可能にするので、乳剤製造業者にとって極めて関心の深いものであり、その実現のためハロゲン化銀乳剤の改良に多大な努力が払われてきた。
【0003】
ハロゲン化銀乳剤として高アスペクト比で粒子厚みの小さい平板粒子を用いることにより、著しく現像銀被覆力が上がることが、特許文献1等に開示されている。
また、厚みが0.07μm以下の極薄平板粒子に関しては、特許文献2等に開示されている。
特許文献3および特許文献4には、エピタキシャル部位を有するアスペクト比の高い平板粒子に関する技術が開示されている。
【0004】
このようにして、現像銀被覆力が上がると、僅かな塗布銀量の不均一さが大きな黒化濃度の差になるため、塗布の均一性が重要となってくる。同様に、現像による現像ムラも発生しやすくなるので、現像ムラの発生をなくすためにも、塗布均一性は重要である。
【0005】
つまり、ハロゲン化銀粒子のアスペクト比が高い極平板粒子を用いたハロゲン化銀写真感光材料で、高い銀被覆力を得ることができるが、さらに塗布の均一性が良好で、現像ムラが少ないことが望まれる。これらの問題について研究開発の結果、特許文献5〜特許文献7に記載の界面活性剤の使用が有効であることが明らかとなったが、その改良効果は充分とは言い難く、更なる改良が必要であった。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4414304号明細書
【特許文献2】
特開平6−43605号公報
【特許文献3】
欧州特許出願公開第0699946号明細書
【特許文献4】
特開平8−101476号公報
【特許文献5】
特開2001−13629号公報、段落番号[0004]〜[0031]
【特許文献6】
特開2001−281788号公報、段落番号[0008]〜[0015]
【特許文献7】
特開2002−72394号公報、段落番号[0003]〜[0012]
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、ハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.15μm以下の平板状粒子を含有するハロゲン化銀写真感光材料の塗布の均一性が良好で、現像ムラの少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することである。特に、医療用X線写真感光材料として塗布の均一性が良好で、現像ムラの少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決すべき課題は、下記により達成された。すなわち、
(1) 支持体の片側あるいは両側に少なくとも一層の感光性ハロゲン化銀写真乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料であって、前記ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤粒子が平板状粒子であり、かつ前記ハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.15μm以下であり、下記一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(1)
【化6】
(式中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Rafはパーフルオロアルキレン基を表す。Wは水素原子又はフッ素原子を表す。Laは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、又はこれらを組み合せた2価基を表す。A及びBは、一方が水素原子を表し、他方が−Lb−SO3Mを表す。Mはカチオンを表す。Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。)
【0009】
一般式(2)
【化7】
(式中、R1は炭素数6〜25のアルキル基又はアルケニル基を表し、aは0または1を表し、m1は2〜4の整数を表し、n1は0〜30の整数を表す。Z1は、OSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。)
【0010】
一般式(A)
【化8】
(式中、R1及びR2は各々独立に、炭素原子数2以上、フッ素原子数13以下のフッ化アルキル基を表し、R3及びR4は各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。A及びBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。)
【0011】
一般式(F)
【化9】
(式中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、RCはアルキレン基、Zは界面活性を持たせるために必要なアニオン性基、カチオン性基、ベタイン性基又はノニオン性極性基を有する基を表す。nは0又は1の整数を表す。mは1〜3の整数を表す。)
【0012】
(2) 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)のハロゲン化銀写真感光材料。
【化10】
(式中、R1は総炭素数6以上の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。但し、R1はフッ素原子で置換されたアルキル基であることはない。Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を表す。X1及びX2は、一方が水素原子を表し、他方がSO3Mを表す。Mはカチオンを表す。nは1以上の整数を表す。)
(3) 前記ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比が、8以上30以下の平板状粒子であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0013】
(4) 前記ハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.12μm以下の平板状粒子であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(5) 前記ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比が、8以上25以下の平板状粒子であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤について説明する。本発明のハロゲン化銀乳剤粒子は、塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀等のいずれのハロゲン化銀組成を有するものであってもよい。高感度が得られるという点では臭化銀、沃臭化銀であることが好ましい。
沃化銀含有量は、迅速現像処理適性の点から、ハロゲン化銀乳剤粒子に含まれる銀量に対して、1モル%以下が好ましく、0.05モル%以上0.45モル%以下が特に好ましい。
【0015】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀乳剤粒子の平均アスペクト比は13以上であることが好ましい。ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比は、1粒子の投影面積の円相当径をその粒子の厚みで割った値として定義される。アスペクト比は、好ましくは8以上30以下であり、さらに好ましくは13以上25以下である。アスペクト比を上記範囲とすることで、単位現像銀量当たりの光学濃度が高いという点で最も好ましい。
ハロゲン化銀乳剤粒子の投影面積の円相当径の平均、および平均厚みは、すべてのハロゲン化銀乳剤粒子の平均値として計算される。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤粒子の円相当径の平均は、0.6μm以上3.0μm以下が好ましく、さらに好ましくは1.0μm以上3.0μm以下である。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みは、0.03μm以上0.15μm以下であり、好ましくは0.03μm以上0.12μm以下である。
【0016】
本発明でハロゲン化銀乳剤粒子は、平行な2つの双晶面を有する2重双晶粒子であってもよい。また、{111}面を主平面とする平板状粒子であっても、{100}面を主平面とする平板状粒子であってもよい。
【0017】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤粒子は、平均厚みが0.03μm以上0.15μm以下以下のいわゆる平板状粒子であるが、ハロゲン化銀乳剤中には、立方体、八面体、十四面体のような等方的に成長したもの、あるいは球形のような多面的結晶型のものを併用してもよい。
平均厚みが0.03μm以上0.15μm以下の平板状ハロゲン化銀粒子の割合は、好ましくはその投影面積の和が全粒子の投影面積の和に対して50%以上100%以下であり、さらに好ましくは70%以上100%以下、最も好ましいのは90%以上100%以下である。
【0018】
平板状ハロゲン化銀粒子の製法としては、当業界で知られた方法を適宜、組み合せて用いることができる。
また、平行な双晶面を有し、{111}面を主平面とする平板状粒子は、特開昭58−127927号、特開昭58−113927号、特開昭58−113928号に記載された方法等を参照すれば容易に調製できる。
また、pBr1.3以下の比較的低pBr値の雰囲気中で平板状粒子が質量で40%以上存在する種晶を形成し、同程度のpBr値に保ちつつ銀およびハロゲン溶液を同時に添加しつつ種晶を成長させることにより得ることもできる。
この粒子成長過程において、新たな結晶核が発生しないように銀およびハロゲン溶液を添加することが望ましい。
平板状ハロゲン化銀粒子の大きさは、温度調節、溶剤の種類や量の選択、粒子成長時に用いる銀塩、およびハロゲン化物の添加速度等をコントロールすることにより調整できる。
【0019】
さらに本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子の中でも単分散六角平板状粒子はとりわけ有用な粒子である。
単分散六角平板状粒子の構造および製造方法の詳細は特開昭63−151618号に記載されているとおりである。
【0020】
本発明において好ましいハロゲン化銀乳剤について、結晶構造は一様なものでもよいが、内部と外部が異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。また、粒子形成中に還元増感銀核を含んでいることが好ましい。
【0021】
本発明において、英国特許第635841号、米国特許第3622318号に記載されているような、いわゆるハロゲン変換型(コンバージョン型)の粒子は特に有効に利用しうるものである。ハロゲン変換量は銀量に対し0.05モル%〜0.45モル%が好ましく、特に0.1モル%〜0.3モル%がより好ましい。
【0022】
沃臭化銀乳剤においては、内部および/または表面に高ヨード層を有する構造の粒子が特に好ましい。
また本発明において好ましい平板状ハロゲン化銀粒子の表面を高ヨード型にコンバージョンすることにより、より高感度なハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0023】
上記方法でハロゲン変換を行う際に、ハロゲン化銀溶剤を存在させる方法は特に有効である。好ましい溶剤としては、チオエーテル化合物、チオシアン酸塩、4置換チオ尿素が挙げられる。中でもチオエーテル化合物とチオシアン酸塩は特に有効であり、チオシアン酸塩はハロゲン化銀1モル当たり0.5g〜5g、チオエーテルは0.2g〜3gの使用が好ましい。
【0024】
本発明のハロゲン化銀粒子の成長方法としては、これまで知られているあらゆる方法を用いることができる。すなわち、反応容器に効率の良い攪拌のもとに銀塩水溶液およびハロゲン塩水溶液を添加する。具体的方法としては、P.Glafkides著,Chemie et Phisique Photographique(Paul Montel社刊,1967年)、G.F.Duffin著,Photographic Emulsion Chemistry (The Focal Press刊,1966年)、V.L.Zelikmanet al著,Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊,1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せなどのいずれを用いてもよい。
【0025】
同時混合法の一つの形式として、ハロゲン化銀が生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。また、英国特許1535016号明細書、特公昭48−36890号、同52−16364号各公報等に記載されているような、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、米国特許4242445号明細書、特開昭55−158124号公報等に記載されているような水溶液濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において速く成長させることも好ましい。
【0026】
平板粒子の成長は、ハロゲン化銀微粒子存在下に物理熟成(微粒子が溶解し、基板粒子が成長する)により結晶成長させることも好ましく行われる。
【0027】
微粒子乳剤添加法では0.15μm径以下、好ましくは0.1μm径以下、より好ましくは0.06〜0.006μm径のAgX微粒子乳剤を添加し、オストワルド熟成により平板状粒子を成長させる。微粒子乳剤は連続的に添加することもできるし、継続的に添加することもできる。微粒子乳剤は反応容器の近傍に設けた混合器でAgNO3溶液とX−塩溶液を供給して連続的に調製し、ただちに反応容器に連続的に添加することもできるし、予め別の容器のバッチ式に調製した後に連続的もしくは継続的に添加することもできる。このような微粒子乳剤は液状で添加することもできるし、乾燥した粉末として添加することもできる。また乾燥粉末を添加直前に水と混合し、液状化して添加することもできる。添加した微粒子は20分以内に消失する態様で添加することが好ましく、10秒〜10分がより好ましい。消失時間が長くなると、微粒子間で熟成が生じ、粒子サイズが大きくなるために好ましくない。従って一度に全量を添加しない方が好ましい。このような微粒子は多重双晶粒子を実質的に含まないことが好ましい。ここで多重双晶粒子とは、1粒子あたり、双晶面を2枚以上有する粒子を指す。実質的に含まないとは、多重双晶粒子数比率が5%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下を指す。更には1重双晶粒子をも実質的に含まないことが好ましい。更にはらせん転位を実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは前記規定に従う。
【0028】
平板状ハロゲン化銀粒子の核形成の工程においては、米国特許第4,713,320号および同第4,942,120号に記載のメチオニン含量の少ないゼラチンを用いること、米国特許第4,914,014号に記載の高pBrで核形成を行うこと、特開平2−222940号に記載の短時間で核形成を行うことは本発明において用いる粒子の核形成工程においてきわめて有効である。特にメチオニン含率が好ましくは0〜50μモル/g、より好ましくは0〜40μモル/gのゼラチンを好ましく用いることができる。このようなゼラチンが熟成、成長時に用いられた場合、直径サイズ分布が揃ったより薄い平板状粒子が形成され、好ましい。本発明において特に好ましくは20℃から40℃の温度で低分子量の酸化処理ゼラチンの存在下で攪拌下、硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液と低分子量の酸化処理ゼラチンを一分以内に添加することである。この時、系のpBrは2以上が好ましくpHは7以下が好ましい。硝酸銀水溶液の濃度は0.6モル/リットル以下の濃度が好ましい。ゼラチンは分子量が通常のものより小さいものが好ましく10000から50000が特に好ましい。アミノ基がフタル化またはコハク化またはトリメリット化に90%以上修飾されたゼラチンおよび/またはメチオニン含量を低下させた酸化処理ゼラチンは特に好ましく用いられる。
【0029】
さらに、熟成工程においては、米国特許第5,254,453号記載の低濃度のベースの存在下でおこなうこと、米国特許第5,013,641号記載の高いpHでおこなうことが可能である。また、米国特許第5,147,771号,同第5,147,772号、同第5,147,773号、同第5,171,659号、同第5,210,013号ならびに同第5,252,453号に記載のポリアルキレンオキサイド化合物を熟成工程もしくは後の成長工程で添加することが可能である。本発明においては熟成工程は好ましくは60℃以上80℃以下の温度で行われる。核形成直後または熟成途中にpBrは2以下に下げることが好ましい。また核形成直後から熟成終了時までに追加のゼラチンが好ましくは添加される。特に好ましいゼラチンはアミノ基が95%以上コハク化またはトリメリット化に修飾されたものである。
【0030】
微粒子添加による成長時のpHは、2.0以上が必要であるが6以上10以下が好ましい。さらに好ましくはpH6以上9以下である。
【0031】
また、pClは1.0以上が必要であるが、1.6以上が好ましい。さらに好ましくは1.8以上3.0以下が好ましい。
【0032】
本発明の平板状粒子は、転位線を有するハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。
【0033】
平板状粒子の転位線は、例えば J.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11,57(1967)や、T.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Japan,35,213(1972)に記載の低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。すなわち乳剤から粒子に転位が発生するほどの圧力をかけないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μの厚さの粒子に対し200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法により得られた粒子の写真より、主平面に対し垂直方向から見た場合の各粒子についての転位の位置および数を求めることができる。
【0034】
またハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩またはその錯塩などを共存させてもよい。
【0035】
本発明のハロゲン化銀粒子は化学増感を施すのが好ましい。化学増感としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感といったカルコゲン増感、金増感、還元増感を用いることができる。好ましくは、カルコゲン増感と金増感を組み合わせて用いることができる。
【0036】
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著,Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊,1987年,第5版)、Research Disclosure誌,307巻,307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いることができる。具体的には、チオ硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−N’−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチル−ローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、レンチオニン)、メルカプト化合物(例えば、システィン)、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。
【0037】
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43−13489号、同44−15748号、特開平4−25832号、同4−109240号各公報、特開平4−271341号、同5−40324号各明細書に記載されている不安定セレン化合物を用いることができる。具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニルトリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。また更に、特公昭46−4553号、同52−34492号各公報に記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾール類、セレニド類なども用いることもできる。
【0038】
テルル増感においては不安定テルル化合物を用い、カナダ特許800958号、英国特許第1,295,462号、同1,396,696号の各明細書、特開平4−204640号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号各明細書に記載されている不安定テルル化合物を用いることができる。具体的には、テルロ尿素類(例えば、テトラメチルテルロ尿素、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N’−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチル−ジイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、イソテルロシアナート類、テルロアミド類、テルロヒドラジド類、テルロエステル類(例えば、ブチルヘキシルテルロエステル)、テルロケトン類(例えば、テルロアセトフェノン)、コロイド状テルル、(ジ)テルリド類、その他のテルル化合物(ポタシウムテルリド、テルロペンタチオネートナトリウム塩)などを用いればよい。
【0039】
金増感については、前述のP.Grafkides著,Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊,1987年,第5版)、Research Disclosure誌 307巻307105号などに記載されている金塩を用いることができる。具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドにくわえて米国特許第2,642,361号、同5,049,484号、同5,049,485号明細書などに記載の金化合物も用いることができる。また、白金、パラジウム、イリジウムなどの貴金属塩を加えてもよい。
【0040】
本発明で用いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学増感条件などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当り10−8〜10−2モル、好ましくは、10−7〜5×10−3モル程度を用いる。
【0041】
本発明で用いられる金増感剤および貴金属増感剤の使用量は、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−2モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件に特に制限はないが、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHとしては4〜10が好ましく、温度としては40〜95℃が、さらには45〜85℃が好ましい。
【0042】
還元増感については、前述のP.Grafkides著,Chimie etPhysique Photographique(Paul Momtel社刊,1987年,第5版)、Research Disclosure誌,307巻,307105号などに記載されている公知の還元性化合物を用いることができる。具体的には、アミノイミノメタンスルフィン酸(別名、二酸化チオ尿素)、ボラン化合物(例えば、ジメチルアミンボラン)、ヒドラジン化合物(例えば、ヒドラジン、p−トリルヒドラジン)、ポリアミン化合物(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン)、塩化第1スズ、シラン化合物、レダクトン類(例えば、アスコルビン酸)、亜硫酸塩、アルデヒド化合物、水素ガスなどを用いればよい。また高pHや銀イオン過剰(いわゆる銀熟成)の雰囲気で還元増感を施してもよい。
【0043】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、化学増感工程において粒子の表面もしくはその一部がハロゲン変換されていてもよい。ハロゲン変換を施す方法としては、臭化カリウム、臭化ナトリウム等の水溶性臭化物塩、沃化カリウム等の水溶性沃化物塩等を単独もしくは組み合わせて用いることができ、それらを固体のまま、または水溶液、またはゼラチン分散物として添加することができる。また臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のハロゲン化銀微粒子を添加することも好ましく用いられ、それらは単独もしくは組み合わせて用いることもできる。微粒子で添加する場合の微粒子の平均球相当径は0.1μm以下のものが好ましく、0.05μm以下のものがより好ましい。また微粒子は、反応容器の近傍に設けた混合機で硝酸銀水溶液と任意の組成のハロゲン化アルカリ水溶液を供給して連続的に調整し、ただちに反応容器に添加することもできるし、予め別の容器でバッチ式に調整した後に添加することもできる。またハロゲン化銀微粒子には必要によりイリジウム、ロジウム、白金等の重金属のイオンまたは化合物を含ませることも可能である。
【0044】
本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシェル部のみ、あるいはエピタキシャル部分にのみ、あるいは基盤粒子にのみドープする方法も選べる。Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、LaCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biなどを用いることができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であれば添加できる。例えばCdBr2、CdCl2、Cd(NO3)2、Pb(NO3)2、Pb(CH3COO)2、K3〔Fe(CN)6〕、(NH4)4〔Fe(CN)6〕、K3IrCl6、(NH4)3RhCl6、K4Ru(CN)6などがあげられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルの中から選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
【0045】
米国特許第3,772,031号に記載されているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0046】
いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのような、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同3,411,914号、同3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著,「写真乳剤化学」,138〜143頁に記載されている。
【0047】
本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換させる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換させる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀等の水に難溶の銀塩を形成してもよく、また、硝酸銀等の水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2・H2O2・3H2O、2NaCO3・3H2O2、Na4P2O7・2H2O2、2Na2SO4・H2O2・2H2O)、ペルオキシ酸塩(例えばK2S2O8、K2C2O6、K2P2O8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2〔Ti(O2)C2O4〕・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na8〔VO(O2)(C2H4)2・6H2O〕、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2Cr2O7)などの酸素酸塩、沃素や臭素などのハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば過沃素酸カリウム)高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩などがある。
【0048】
また、有機の酸化剤としては、p−キノンなどのキノン類、過酢酸や過安息香酸などの有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。
【0049】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は分光増感されていることが好ましい。分光増感に使用できる分光増感色素としては、例えばシアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素等が挙げられる。特に有用な分光増感色素は、シアニン色素、メロシアニン色素および複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性複素環核として、シアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、セレナゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核、テルラゾール核等;これらの核に脂環式炭化水素環が縮合した核;および、これらの核に芳香族炭化水素環が縮合した核、すなわち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンズイミダゾール核、ナフトイミダゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ナフトセレナゾール核、キノリン核、ベンゾテルアゾール核等が適用できる。これらの複素環核は炭素原子上に置換されてもよい。
【0050】
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、通常メロシアニン色素に利用される核のいずれをも適用できる。特に有用な核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核、2−チオセレナゾリジン−2,4−ジオン核等の5員、6員の複素環核等を適用することができる。
【0051】
分光増感色素の添加時期としては特に制限は無く、粒子形成工程から塗布直前まで任意の時期に添加することができる。具体的には、ハロゲン化銀粒子形成時に添加する方法、ハロゲン化銀乳剤脱塩工程で添加する方法、ハロゲン化銀乳剤化学熟成(化学増感)工程直前に添加する方法、ハロゲン化銀乳剤化学熟成時、ハロゲン化銀乳剤化学熟成後、塗布液調製時に添加する方法などがあるが、好ましくは、前記した金増感剤、カルコゲン増感剤の添加以前、すなわちこれらの化合物による化学増感前に添加する。また、分光増感色素を25℃以上55℃未満の温度で添加したのち添加温度より昇温して化学熟成を行うことで各ハロゲン化粒子に均一につけることも可能である。
【0052】
本発明に用いる分光増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に含有させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。また、米国特許第3,469,987号明細書等に記載のように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号等に記載のように、水不溶性色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、特公昭44−27555号、特公昭57−22091号等に記載されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中へ添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液とし乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、米国特許第4,006,025号明細書等に記載のように、界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中へ添加する方法、特開昭53−102733号、特開昭58−105141号に記載のように、親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法等を用いることもできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。
【0053】
分光増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は、米国特許第2,688,545号、同2,977,229号、同3,397,060号、同3,522,052号、同3,527,641号、同3,617,293号、同3,628,964号、同3,666,480号、同3,672,898号、同3,679,428号、同3,703,377号、同3,769,301号、同3,614,609号、同3,837,862号、同4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同1,507,803号の各明細書、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号の各公報等に記載されている。
【0054】
さらにまた、これらの増感色素は、それ自身分光増感作用を示さない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって増感色素と組合せることによって分光増感の著しい増加を示す、いわゆる強色増感剤と称せられて知られている如何なる化合物と組み合せて用いてもよい。強色増感剤の代表例としては、特開昭59−142541号公報等に記載のビスピリジニウム塩化合物、特公昭59−18691号公報等に記載のスチルベン誘導体、特公昭49−46932号公報等に教示されている臭化カリウム、ヨウ化カリウム等の水溶性臭化物、水溶性ヨウ化物、米国特許第3,743,510号明細書等に記載の芳香族化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、カドミウム塩類、アザインデン化合物等が挙げられる。分光増感色素は化学熟成後、または化学熟成前に乳剤に添加される。本発明のハロゲン化銀粒子に対しては、分光増感色素は化学熟成中または化学熟成以前(例えば、粒子形成時、物理熟成時)に添加されることが、最も好ましい。
【0055】
本発明で用いる一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を構成している層(特に、保護層や下塗り層、バック層など)を形成するための塗布組成物に、界面活性剤として用いることができる。
【0056】
まず、本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いる一般式(1)で表される化合物について述べる。
【化11】
【0057】
一般式(1)中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Rで表される置換もしくは無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。Rは置換基としてフッ素を有さない方が好ましく、無置換アルキル基がより好ましい。Rは、炭素数が2以上であるのが好ましく、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましい。
【0058】
一般式(1)中、Rafはパーフルオロアルキレン基を表す。ここで、パーフルオロアルキレン基とは、アルキレン基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Rafは、炭素数が10以下であるのが好ましく、8以下であるのがより好ましい。
【0059】
一般式(1)中、Wは、水素原子又はフッ素原子を表すが、フッ素原子であることが好ましい。
【0060】
一般式(1)中、Laは、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、又はこれらを組み合わせてできる2価基を表す。置換基は、Rにおける置換基と同様なものが挙げられる。Laは、炭素数が4以下であるのが好ましく、また、無置換アルキレンであるのが好ましい。
【0061】
一般式(1)中、A及びBは、一方が水素原子を、もう一方が一Lb一SO3Mを表す。
Mはカチオンを表す。Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、一般式(1)で表される化合物の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。特に、R、La及びRafの炭素数の合計が16以上の場合、リチウムイオンであることが溶解性(特に水に対して)と帯電防止能又は塗布均一性の両立の観点で優れている。
Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はRにおける置換基と同様なものが挙げられる。Lbがアルキレン基である場合、C数は2以下であるのが好ましく、無置換であるのが好ましく、メチレン基であるのがより好ましい。Lbは、単結合であるのが最も好ましい。
【0062】
一般式(1)で表される化合物は、各R、Raf、La、A、Bにおけるそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。さらに、一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0063】
【化12】
【0064】
一般式(3)中、R1は総炭素数6以上の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。但し、R1はフッ素原子で置換されたアルキル基であることはない。R1で表される置換もしくは無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、フッ素以外のハロゲン原子、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基.カルバモイル基、オキシカルボニル基、隣酸エステル基等が挙げられる。
【0065】
一般式(3)中、R1で表される置換もしくは無置換のアルキル基は、総炭素数が6〜24であるのが好ましい。炭素数6〜24の無置換アルキル基の好ましい例としては,n−へキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルへキシル墓、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。また、置換基の炭素も含めた総炭素数が6〜24の置換アルキル基の好ましい例としては、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(3)中、R1で表される置換もしくは無置換のアルキル基は、総炭素数が6〜18であるものがより好ましい。炭素数6〜18の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−へキシル基、シクロヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルへキシル基,n−ノニル基、1,1,3−トリメチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、置換基の炭素数を含む総炭素数が6〜18の置換アルキル基の好ましい例としては、フェネチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。中でも、R1としては、n−へキシル基、シクロへキシル基、n−へプチル基、n−オクチル墓、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基が好適に挙げられ、炭素数8〜16の直鎖、環状又は分岐の無置換アルキル基であるのが特に好ましい。
【0067】
一般式(3)中、Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を表す。ここで、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。前記パーフルオロアルキル基中のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Rfで表されるパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ペンチル基、ウンデカフルオロ−n−ペンチル基、トリデカフルオロ−n−へキシル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。中でも、炭素数2〜4のパーフルオロアルキル基(例えば、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等)が好ましく、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が特に好ましい。特に、Rfは、炭素数2〜4のパーフルオロアルキル基を表すことが好ましい。
【0068】
一般式(3)中、nは1以上の整数を表す。好ましくは1〜4の整数であり、特に好ましくは1又は2である。また、nとRfの組み合わせとして、n=1の場合にはRfがヘプタフルオロ−n−プロピル基又はノナフルオロ−n−ブチル基、n=2の場合にはRfがノナフルオロ−n−ブチル基であることがさらに好ましい。
【0069】
一般式(3)中、Xl及びX2は、一方が水素原子を、もう一方がSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンである。
【0070】
以下、一般式(1)で表される化合物および一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。なお、以下では便宜上、一般式(3)におけるXlがSO3Mであり、X2が水素原子である例示化合物を示すが、下記の例示化合物においてXlが水素原子であり、X2がSO3Mであってもよく、それらの化合物も本発明のフッ素化合物の具体例として挙げられる。下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルアロアルキル基は直鎖の構造を意味する。さらに、構造表記中の略号のうち、2EH及び2BOの記号が付された基は、各々下記に示す基であることを表している。
2EH=2−ethylhexyl
2BO=2−butyloctyl
【0071】
【化13】
【0072】
【化14】
【0073】
【化15】
【0074】
【化16】
【0075】
【化17】
【0076】
次に、下記一般式(A)で表される化合物について説明する。
【0077】
【化18】
【0078】
一般式(A)中、Rl及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数が2以上でフッ素原子数が13以下のフッ化アルキル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換又は無置換のアルキル基を表す。
【0079】
一般式(A)中、Rl及びR2で表されるフッ化アルキル基の具体例は、例えば、−C2F5基、−C3F7基、−C4F9基、−C5F11基、−CH2−C4F9基、−C4F8−H基、−C2H4−C4F9基、−C4H8−C4F9基、−C6H12−C4−F9基、−C8H16−C4F9基、−C4H8−C2F5基、−C4H8−C3F7基、−C4H8−C5F11基、−C8H16−C2F5基、−C2H4−C4F8−H基、−C4H8−C4F8−H基、−C6H12−C4F8−H基、−C6H12−C2F4−H基、−C8H16−C2F4−H基、−C6H12−C4F8−CH3基、−C2H4−C3F7基、−C2H4−C5F11基、−C4H8−CF(CF3)2基、−CH2CF3基、−C4H5−CH(C2F5) 2基、−C4H8−CH(CF3) 2基、−C4H8−C(CF3)3基等が好適に挙げられる。
【0080】
フッ化アルキル基はフッ素原子数が13以下であるが、好ましくは3〜11の範囲で、より好ましくは5〜9の範囲である。また、炭素原子数は2以上であるが、好ましくは4〜16、より好ましくは5〜12、さらに好ましくは6から10の範囲である。
【0081】
フッ化アルキル基として好ましくは下記一般式(FA1)で表されるフッ化アルキル基である。
一般式(FA1): −La−Raf−W
一般式(FA1)中、Laは、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、又はこれらを組み合わせてできる2価基を表す。前記置換基としては、どのような基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基が好ましい。Laは、炭素数が8以下であるのが好ましく、4以下がより好ましい。また、無置換アルキレンであるのが好ましい。Rafは炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基を表し、好ましくは炭素数1〜5,さらに好ましくは炭素数2−4のパーフルオロアルキレン基である。ここでパーフルオロアルキレン基とはアルキレン基のすべての水素原子がフッ素原子で置き換えられたアルキレン基を言う。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Wは水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表し、好ましくは水素原子又はフッ素原子であり、さらに好ましくはフッ素原子である。
【0082】
一般式(A)中、R3及びR4で表される置換又は無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。
【0083】
一般式(A)中、A及びBは、一方が水素原子を、もう―方が−Lb−SO3Mを表し、Mはカチオンを表す。
ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、一般式(A)で表される化合物の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。Rl、R2、R3及びR4の炭素数の含計が16以上の場合、リチウムイオンであることが溶解性(特に水に対して)と帯電防止能又は塗布均一性の両立の観点で優れている。
Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はR3で挙げたものが好ましい。Lbがアルキレン基である場合、C数は2以下であるのが好ましく、無置換であるのが好ましく,メチレン基であるのがより好ましい。Lbは、単結合であるのが最も好ましい。
【0084】
一般式(A)で表される化合物は、各Rl〜R4、A、Bにおけるそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。さらに、一般式(A)で表される化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0085】
【化19】
【0086】
一般式(B)中、Rl及びR2はそれぞれ独立に前記一般式(FA1)で表されるフッ化アルキル基を表し、その好ましい範囲も同様である。
【0087】
―般式(B)中、XはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンである。
【0088】
以下、一般式(A)で表される化合物(一般式(B)で表される化合物)の具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルアロアルキル基は直鎖の構造を意味する。
【0089】
【化20】
【0090】
【化21】
【0091】
一般式(F)で表される化合物について詳しく説明する。
【0092】
【化22】
【0093】
一般式(F)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、好ましくは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を表す。具体例としては、C3F7−基、C4F9−基、C6F13−基、C8F17−基、C12F25−基、C16F33−基などが好適に挙げられる。Rfは複数の異なる鎖長のパーフルオロアルキル基を有する化合物の混合物であってもよいし、単一のパーフルオロアルキル基を有する化合物であってもよい。Rfが複数の異なる鎖長のパーフルオロアルキル基を有する化合物の混合物であるとき、そのパーフルオロアルキル基の鎖長の平均値は、炭素数として4〜10であることが好ましく、4〜9であることが特に好ましい。
【0094】
一般式(F)中、RCはアルキレン基を表す。アルキレン基の炭素数は1以上であるが、2以上であることが好ましく、その上限は20以下であることが好ましい。具体的にはメチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,2−オクチレン基などが好適に挙げられる。
【0095】
一般式(F)中、Zは界面活性を持たせるために必要なアニオン性基、カチオン性基、ベタイン性基又はノニオン性極性基を有する基を表す。但し、これらの基が含まれていれば、RCとの連結の仕方は特に限定されない。
界面活性を持たせるために必要なアニオン性基の例としては、スルホン酸基及びそのアンモニウム又は金属塩、カルボン酸基及びそのアンモニウム又は金属塩、ホスホン酸基及びそのアンモニウム又は金属塩、硫酸エステル基及びそのアンモニウム又は金属塩、リン酸エステル基及びそのアンモニウム、又は、金属塩等が挙げられる。
界面活性を持たせるために必要なカチオン性基としては、トリメチルアンモニウムエチル基、トリメチルアンモニウムプロピル基などの4級アルキルアンモニウム基、ジメチルフェニルアンモニウムアルキル基、N−メチルピリジウム基などの芳香族アンモニウム基が挙げられる。これらの基には適当な対イオンが存在しており、具体的にはハロゲン原子、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオンなどが挙げられ、トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
界面活性を持たせるために必要なノニオン性極性基としては、ポリオキシアルキレン基、多価アルコール基などが挙げられ、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレン基である。但し、これらの基の末端は水素原子以外の基、例えばアルキル基であってもよい。
【0096】
一般式(F)中、nは0又は1の整数を表し、1であることが好ましい。mは1〜3の整数を表し、Zがリン酸エステル基でない場合、m=1が好ましく、Zがリン酸エステル基を表す場合、m=1〜3あるいはその混合物を表し、その平均値としては1〜2が好ましい。
【0097】
一般式(F)においてRfは、好ましくは炭素数4〜16のパーフルオロアルキル基で、より好ましくは炭素数6〜16のパーフルオロアルキル基である。RCは好ましくは炭素数2〜16の無置換のアルキレン基で、より好ましくは炭素数2〜8の無置換のアルキレン基であり、特に好ましいのはエチレン基である。ZにおいてRC基と界面活性付与に必要な基との間はどのように結合されていてもよく、直結の他、例えばアルキレン鎖、アリーレン等で結合することができ、これらの基は置換基を有していてもよい。また、これらの基は、主鎖又は側鎖にオキシ基、チオ基、スルホニル基、スルホキシド基、スルホンアミド基、アミド基、アミノ基、カルボニル基などが含まれていてもよい。
以下に一般式(F)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
【化23】
【0099】
【化24】
【0100】
【化25】
【0101】
【化26】
【0102】
一般式(F)で表される化合物は、いわゆるテロマー型のパーフルオロアルキル基含有界面活性剤として広く市販されているものを用いることができ、その例としては、DUPONT(株)製のZonyl(R)FSP、FSE、FSJ、NF、TBS、FS−62、FSA、FSK(以上イオン性)、Zonyl(R)9075、FSO、FSN、FS−300、FS−310(以上非イオン性)、旭硝子(株)製のS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145、ダイキン工業(株)製のユニダインDS−101、DS−102、DS−202、DS−301(以上イオン性)、DS−401、DS−403(以上非イオン性)等を挙げることができる。また、これら種々の化合物のうちイオン性の界面活性剤は、その使用目的、必要とされる溶解性等によって、イオン交換あるいは中和等の手段で種々の異なる対塩の形で用いることができる。
【0103】
以上、説明した特定の界面活性剤は、例えば、一般的なエステル化反応及びスルホン化反応を組み合わせて容易に合成することができる。
【0104】
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。
一般式(2)
【化27】
【0105】
(式中、R1は炭素数6〜25のアルキル基又はアルケニル基を表し、aは0または1を表し、m1は2〜4の整数を表し、n1は0〜30の整数を表す。Z1は、OSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。)
【0106】
前記一般式(2)中、R1は炭素数6〜25のアルキル基又はアルケニル基を表し、R1の炭素数は6〜22が好ましく、6〜20がさらに好ましく、8〜18が特に好ましい。アルキル基又はアルケニル基は環状構造を有してもよいが、鎖状アルキル基および鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルキル基又はアルケニル基は置換基を有してもよいが、好ましくは無置換のアルキル基およびアルケニル基である。鎖状アルキル基および鎖状アルケニル基は分岐を有してもよい。アルケニル基の二重結合の位置については、特に制限しない。アルキル基のほうが、アルケニル基よりも好ましい。
【0107】
前記一般式(2)中、aは0または1を表し、0が好ましい。
【0108】
前記一般式(2)中、Z1は、OSO3MまたはSO3Mを表す。Mはカチオンを表し、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく適用される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
【0109】
前記一般式(2)中、m1は2〜4の整数を表す。n1は、0〜30の整数を表し、0〜25が好ましく、0〜20がさらに好ましく、0〜15が特に好ましい。
【0110】
本発明の一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によって何ら制限されるものではない。
【0111】
WS−1 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−2 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−3 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−4 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−5 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−6 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−7 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−8 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−9 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−10 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3K(n=0〜12)
【0112】
WS−11 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3NH3(n=0〜12)
WS−12 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−13 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−14 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−15 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−16 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−17 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−18 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜25)
WS−19 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜25)
WS−20 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜25)
【0113】
WS−21 C16H33−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3NH3(n=0〜30)
WS−22 C16H33−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜30)
WS−23 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜30)
WS−24 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜30)
WS−25 C20H41−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜30)
WS−26 C8H17CH=C8H15−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜30)
WS−27 C22H45−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜30)
WS−28 C24H49−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜30)
WS−29 C24H49−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Li(n=0〜30)
WS−30 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
【0114】
WS−31 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−32 C9H19−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−33 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−34 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−35 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−36 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜20)
WS−37 C16H33−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜25)
WS−38 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜30)
WS−39 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3K(n=0〜30)
WS−40 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Li(n=0〜30)
【0115】
WS−41 C7H15C(=O)O−(CH2CH2O)2−(CH2)2−SO3Na
WS−42 C9H19C(=O)O−(CH2CH2O)4−(CH2)2−SO3Na
WS−43 C9H19C(=O)O−(CH2CH2O)6−(CH2)3−SO3Na
WS−44 C9H19C(=O)O−(CH2CH2O)8−(CH2)4−SO3Na
WS−45 C11H23C(=O)O−(CH2CH2O)15−(CH2)2−SO3Na
WS−46 C8H17CH=C7H13C(=O)O−(CH2CH2O)15−(CH2)3−SO3Na
WS−47 C21H43C(=O)O−(CH2CH2O)20−(CH2)2−SO3Na
【0116】
上記一般式(2)で表される化合物は、J.Phys.Chem.90,2413(1986)、J.Dispersion Sci.and Tech.,4,361(1983)、US5602087などに記載の公知の方法により合成することができる。
【0117】
本発明における上記一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物の使用量については特に制約はなく、用いる一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物の構造や用いる場所、組成物中に含まれる他の素材の種類や量等に応じて、その使用量を任意に決定することができる。例えば、感光材料の最上層用塗布液として用いる場合、該化合物の塗布組成物中の塗布量としては、0.1〜1000mg/m2であることが好ましく、1〜100mg/m2であることがより好ましい。
【0118】
本発明においては、一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種類を使用すれば、これらの2種類以上を混合して用いてもよい。さらに、一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物以外の界面活性剤を併用してもよい。
【0119】
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわち、チアゾール類、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)など;メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例えばオキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例えばトリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に、4−ヒドロキシ−6−メチル(1,3,3a,7)テトラアザインデン)、ペンタアザインデン類などのようなカブリ防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。たとえば米国特許第3,954,474号、同3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特願昭62−47225号に記載された化合物がある。カブリ防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、脱塩工程、脱塩後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。
【0120】
本発明において化学増感終了前に核酸または、その分解生成物を共存させて化学増感することも好ましい。核酸またはその分解生成物については特開昭62−67541号記載のものを用いることができる。本発明に用いられる核酸としては、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を包含し、また、核酸分解物としては分解途中のものやアデニン、グアニン、ウラシル、シトシンおよびチミン等の単体が挙げられる。特にアデニンが好ましい核酸分解生成物として挙げられる。これらは単独であるいは組み合わせて用いることができる。この場合核酸と核酸分解生成物とを組み合わせて用いても良いことはもちろんである。この核酸またはその分解生成物の添加量は核酸分解生成物の種類により異なるが、ハロゲン化銀1モル当たり20mg以上、好ましくは100mg〜1gの範囲である。これらの核酸あるいは核酸分解生成物は、前述のように単独でもあるいは2種類以上組み合わせて用いる場合の添加量の合計は前述の量で十分である。
【0121】
本発明の感光材料には、画像を鮮明にする目的で、必要に応じてクロスオーバー光カット層を感光性乳剤層と支持体の間に設けることができる。クロスオーバーカット層は、両面にハロゲン化銀乳剤層を有する医療用X線写真感光材料に特有の層であり、一方の面からの光が支持体を通して他方の面のハロゲン化銀乳剤層に影響して画質を劣化させる問題を解決する手段である。クロスオーバーカット層は、本願の非感光性親水コロイド層を兼ねることができる。クロスオーバー光カット層には、感光波長域に応じた染料を添加する。染料は、現像処理後に有害な吸収を残さないものであればどのようなものでも使用できる。特に、染料を固体微粒子分散状態で添加するのが好ましい。染料を固体微粒子分散状態で添加する方法は、特開平2−264936号、特開平3−210553号、特開平3−210554号、特開平3−238447号、特開平4−14038号、特開平4−14039号、特開平4−125635号、特開平4−338747号、特開平6−27589号等に記載されている。使用できる染料は、例えば、特開平4−211542号記載の一般式(I)〜(VII)の染料、化合物例I−1〜I−37、II−1〜II−6、III−1〜III−36、IV−1〜IV−16、V−1〜V−6、VI−1〜VI−13、VII−1〜VII−5。特開平8−73767号記載の一般式(1)の染料、化合物例1〜6。特開平8−87091号記載の一般式(VIII)〜(XII)の染料、化合物例VIII−1〜VIII−5、IX−1〜IX−10、X−1〜X−21、XI−1〜XI−6、XII−1〜XII−7。
【0122】
これらの他に、公知の染料を媒染剤に吸着させる方法、公知の染料をオイルに溶解し油滴状に乳化分散する方法、特開平3−5748号記載の染料を無機物表面に吸着させる方法、特開平2−298939号記載の染料をポリマーに吸着させる方法等も利用することができる。クロスオーバー光カット層の、感光材料への添加方法は、各明細書に記載されているものが利用できる。
【0123】
本発明の感光材料には、感光材料の位置検出の目的で、染料を添加してもよい。染料は、検出用センサーの感度極大波長に応じた吸収スペクトルを有することが望ましく、現像処理後に有害な吸収を残さないものであればどのようなものでも使用できる。好ましくは、700nm〜1400nmに吸収極大を有する染料またはその微粒子分散物が使用される。例えば、
(1)処理時に脱色し得る水溶性染料としては、特開平3−211542号記載の一般式(I)〜(IV)のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料、化合物例I−1〜I〜6、II−1〜II−4、III−1〜III−4、IV−1〜IV−5、
【0124】
(2)処理時に脱色し得る固体微粒子分散状染料としては、特開平3−138640号記載の一般式(I)〜(IV)のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料、化合物例I−1〜I〜28、II−1〜II−10、III−1〜III−6、IV−1〜IV−7、
【0125】
(3)処理時に脱色しない染料としては、特願平6−227983号記載の一般式(I)ないし一般式(II)のカルボキシル基を有するトリカルボシアニン染料、化合物例1〜33、特願平6−279297号記載の一般式(I)ないし一般式(II)のカルボキシル基を有するテトラカルボシアン染料、化合物例1〜19、特願平7−208569号記載の一般式(1)〜一般式(3)の酸基を有しないシアニン染料、化合物例1〜63、特開平8−333519号記載の一般式[1]のレーキ型シアニン染料、化合物例No.1〜No.37、
等が挙げられる。
【0126】
これらの他に、特開昭62−299959号記載のピリリウム染料、特開昭63−131135号記載の光散乱粒子、特開平1−266536号記載のシアニン染料、特開平2−282244号記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開平3−136038号記載のホロポーラ型シアニン染料、特開平7−253639号記載のポリマー型シアニン染料、特開平7−113072号記載のスズドープ酸化インジウム(ITO)粉末、特開平9−5913号記載のYb3+化合物も利用することができる。
【0127】
感光材料の位置検出を目的とする染料を添加する層は特に制限がなく、ハロゲン化銀乳剤層、本発明の非感光性親水性コロイド層、表面保護層などに添加することができ、それぞれ添加方法は、各明細書に記載されているものが利用できる。
【0128】
本発明の感光材料には、銀画像の色調を改良する目的で、特願2002−257523の一般式(I)で示される化合物を用いてもよい。それ以外に染料を添加してもよい。染料は、ピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料およびインドフェノール染料などの中から、所定の吸収極大波長を有するものが選択される。中でも特開平5−34858号記載の一般式(I)のアントラキノン染料、特開平4−247449号記載の一般式(I)および特開平4−296845号記載の一般式(I)のアゾメチン染料、特開平5−43809号記載の一般式(I)に含まれるインドアニリン染料および特開平5−341441号記載のアゾ染料が有用である。
【0129】
アントラキノン染料として具体的に、特開平5−341441号記載の化合物1〜9、特開平5−165147号記載の化合物3−6〜3−18および3−23〜3−38を使用することができる。アゾメチン染料として具体的に、特開平5−341441号記載の化合物17〜46を使用することができる。インドアニリン染料として具体的に、特開平5−289227号記載の化合物11〜19、特開平5−341441号記載の化合物47および特開平5−165147号記載の化合物2−10〜2−11を使用することができる。アゾ染料として具体的に、特開平5−341441号記載の化合物10〜16を使用することができる。
【0130】
銀画像の色調の改良の目的とする染料の、感光材料への添加方法は、各明細書に記載されているものが利用できる。
【0131】
本発明のハロゲン化銀感光材料においては、コロイド状シリカを含有することができる。コロイド状シリカとは平均粒径が1〜1000nm、好ましくは5〜500nm、さらに好ましくは5〜100nmでありその主成分は二酸化珪素からなり、少量成分としてアルミナ、あるいはアルギン酸ナトリウムなどを含んでいてもよい。
コロイド状シリカの具体例としては、日産化学(株)(日本、東京)の商品名でスノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックスC、スノーテックスO等が挙げられる。
コロイド状シリカを含有する層は、表面保護層、中間層、ハロゲン化銀乳剤層、アンチハレーション層、下塗り層、フィルター層、バッキング層など任意の親水性コロイド層でもよいが、特に耐圧力性を目的とする場合においては、表面保護層、またはハロゲン化銀乳剤層に含有することが好ましい。
コロイド状シリカの含有量としては、含有される親水性コロイド層の親水性コロイド質量に対して1〜200質量%が好ましく、特に10〜100質量%が最も好ましい。
またコロイド状シリカを含有する層において、必要に応じて可塑性のポリマーラテックスを併用して含有することが好ましい。
【0132】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、水に対して難溶性のモノマーを重合してなるポリマーラテックスを含有してよい。
【0133】
こうしたモノマーとしては、例えば特開平7−230135号の2頁2段目5行目〜17行目記載のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ジビニルベンゼン等を用いることができる。
【0134】
このようなポリマーラテックスは上記モノマーを他のモノマーと共重合してもよく、このときのモノマーとしては、例えば特開平7−230135号の2頁2段目32行目〜4頁1段目35行目記載のモノマーを用いることができ、それらの内、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレフィン類が好ましく用いられる。
前記ポリマーラテックスの例としては、例えば特開平7−230135号のLx−1〜Lx−21が挙げられる。
【0135】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、特開平6−194779号の実施例1に記載のNo.1〜No.8のマット剤を好ましく用いることができる。また、特開平6−138572号の段落0023に記載の好ましい化合物例1〜9を好ましく用いることができる。
【0136】
これらのマット剤のサイズなどに関しては、特開平6−194779号の段落0049に記載のサイズや使用量で好ましく用いることができる。また2種類以上の粒子サイズのマット剤を混ぜて使うことができる。マット剤の粒子サイズ分布については、目的に応じその変動係数が、3〜30%の単分散粒子をも用いたり、30%以上の多分散粒子を用いたりできる。
【0137】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料においては、ハロゲン化銀乳剤の好ましい塗布量は、銀量換算で、片面1m2当たりで、2.0g以下である。好ましくは、0.5g以上1.7g以下である。さらに好ましくは0.8g以上1.5g以下である。
【0138】
本発明における非感光性親水性コロイド層の全ゼラチンの塗布量は、2.5g以下(片面当たりの総塗布量)であり、0.5g/m2以上2.5g/m2以下が好ましく、特に好ましくは、1.0g/m2以上2.1g/m2以下である。この場合に保護層のゼラチン塗布量は、0.2g/m2以上1.0g/m2以下が好ましい。
【0139】
本発明において、感光材料の膨潤率は、感光材料を21℃の蒸留水に3分間浸漬した後の膜厚値から、乾燥状態の膜厚値を引いた値を膨潤値とし、その値を乾燥状態の膜厚値で割った値に100を掛けた値で(%)で定義され、求めることができる。好ましい膨潤率の範囲は20%〜220%であり、より好ましくは40%以上150%以下である。
【0140】
一般にハロゲン化銀写真感光材料は、ゼラチンのような親水性コロイドをバインダーとする水性塗布液を支持体上に塗布した後、−10℃〜20℃の乾球温度の低温空気中で冷却凝固させて、次いで、温度を高めて乾燥される。塗布直後のゼラチンと水分の質量比は3000%前後が普通である。
この塗布液には、通常親水性コロイドバインダー、ハロゲン化銀粒子、界面活性剤、ポリマーラテックスのような可塑剤、ゼラチン硬化剤、染料、増感色素、マット剤等種々の添加剤が含まれている。
本発明においては、親水性コロイド層塗布液を塗布後乾燥する際、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の塗布層全層のバインダー乾量に基づいて100%以下の水分量になるまで、湿球温度が20℃以下、好ましくは19℃〜10℃で乾燥することが好ましい。
親水性コロイド層が2層以上同時に塗布し、乾燥される場合には(すなわち乾燥対象となる塗布層が2層以上の場合には)、水分量は、全層の水分の和を、バインダー乾量は、全層のバインダー乾量(乾燥質量)の和を表わす。
湿球温度とは、湿り空気の平衡状態での水滴の温度で、空気の湿度が小さいほど低い。乾燥工程の恒率乾燥期間においては、乾燥風の湿球温度が塗布試料の表面温度にほぼ等しい。
【0141】
また、塗布、乾燥後ロール状に巻き取る時の環境条件は、絶対湿度が1.4質量%以下、好ましくは1.3〜0.6質量%で、巻き取られることが好ましい。本発明において、塗布、乾燥後ロール状に巻き取ったハロゲン化銀写真感光材料の製品加工は、絶対湿度が1.4質量%以下、好ましくは1.3〜0.6質量%の環境下で、加工されるのが好ましい。
絶対湿度(wt%)とは、湿り空気の状態を表し、湿り空気中の水蒸気量(kg)と湿り空気中の乾き空気の質量(kg)の比を百分率で表したものである。ハロゲン化銀写真感光材料を防湿性のある包装体内に入れ、包装体内の絶対湿度が1.4質量%以下、好ましくは1.1〜0.6になる様に、その口をヒートシール等の方法で密封し、感光材料が、上記絶対湿度で平衡になっていることをいう。
【0142】
更に、加工終了後、絶対湿度1.4質量%以下の環境下でシーズニングしてから、同一環境下で包装体内にヒートシール密封するのは特に好ましい。
【0143】
本発明のハロゲン化銀写真乳剤およびハロゲン化銀写真感光材料に用いられる各種添加剤に関しては特に制限はなく、例えば特開平2−68539号公報の以下の該当箇所に記載のものを用いることができる。
【0144】
項目該当箇所
1.ハロゲン化銀乳剤とその製法
特開平2−68539号公報第8頁右下欄下から6行目から同第10頁右上欄12行目。
2.化学増感方法
同第10頁右上欄13号目から同左下欄16行目。
3.カブリ防止剤・安定剤
同第10頁左下欄17行目から同第11頁左上欄7行目および同第3頁左下欄2行目から同第4頁左下欄
4.分光増感色素
同第4頁右下欄4行目から同第8頁右下欄。
5.界面活性剤・帯電防剤
同第11頁左上欄14行目から同第12頁左上欄9行目
6.マット剤・滑り剤
同第12頁左上欄10行目から同右上欄10行目。
可塑剤
同第14頁左下欄10行目から同右下欄1行目。
7.親水性コロイド
同第12頁右上欄11行目から同左下欄16行目。
8.硬膜剤
同第12頁左下欄17行目から同第13頁右上欄6行目。
9.支持体
同第13頁右上欄7行目から20行目。
10.染料・媒染剤
同第13頁右下欄1行目から同第14頁左下欄9行目。
【0145】
本発明の写真感光材料は、蛍光スクリーンとして例えば下記の蛍光体を含有する蛍光増感紙を用いて、X線撮影を好ましく行うことができる。
【0146】
ブルー発光蛍光体
Y2O2S:Tb、LaOBr:Tb、BaFCl:Eu
グリーン発光蛍光体
Gd2O2S:Tb、LaO2S:Tb
【0147】
UV発光蛍光体としては、M’相YTaO4単独あるいはGd、Bi、Pb、Ce、Se、Al、Rb、Ca、Cr、Cd、Nbなどを添加した化合物、LaOBrにGd、Tm、GdおよびTm、GdおよびCe、Tbを添加した化合物、HfZrの酸化物単独あるいはGe、Tiアルカリ金属などを添加した化合物、Y2O3単独あるいはGd、Euを添加した化合物、Y2O2SにGdを添加した化合物、各種蛍光体の母体にGd、Tl、Ceを付活剤として用いた化合物などがある。特に好ましい化合物としては、M’相YTaO4単独あるいはGd,Srを添加した化合物、LaOBrにGd、Tm、GdおよびTmを添加した化合物、HfZrの酸化物あるいはGe、Tiアルカリ金属などを添加した化合物である。
【0148】
蛍光体の粒径は1μm以上20μm以下がよいが、求められる感度や製造上の問題から変更できる。塗布量は、400g/m2以上2000g/m2以下が好ましいが、求められる感度や画質に応じて一概にはいえない。また一枚の増感紙で支持体の近傍から表面に向かって粒子サイズ分布を付けてもかまわない。この場合一般的には表面の粒子を大きくすることが知られている。蛍光体の空間充填率は40%以上、好ましくは60%以上である。
【0149】
感光材料の両面に蛍光体層を配して撮影する場合、X線入射側とその反対側の蛍光体塗布量は変えることができる。一般にX線入射側の増感紙による遮蔽のため、特に高感度システムを必要とする場合、X線入射側の増感紙の塗布量を小さくすることが知られている。
【0150】
本発明に用いられるスクリーンに使用する支持体は、紙、金属板、ポリマーシートなどが挙げられるが、一般的にはポリエチレンテレフタレートなどのフレキシブルなシートが用いられる。支持体には、必要に応じて、反射剤や光吸収剤が添加されていても表面に別の層として設けられていてもよい。
【0151】
また、必要に応じて、支持体表面に微少に凹凸を付けたり、蛍光体層との密着力増加のための粘着層や、導電層を下塗りとして設けることができる。反射剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウムなどが挙げられるが、蛍光体の発光波長が短いことから、酸化チタン、硫酸バリウムが好ましい。反射剤は、支持体中あるいは支持体と蛍光体層の間だけでなく、蛍光体層中に存在せしめても良い。蛍光体層中に存在させる場合、支持体近傍に偏在させることは好ましい。
【0152】
本発明のスクリーンで用いられる結合剤としては、ゼラチンなどの蛋白質、デキストラン、コーンスターチなどのポリサッカライド、アラビアゴムなど天然高分子物質;ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアルキルアクリレート、塩化ビニリデン、ニトロセルロース、フッ素含有ポリマー、ポリエステルなどの合成高分子物質、またこれらの混合物やコポリマーが挙げられる。好ましい結合剤としては、基本的な性能としては、蛍光体からの発光に対して透過率が高いことが挙げられる。この点において、ゼラチン、コーンスターチ、アクリル系ポリマー、フッ素を含むオレフィンポリマーやフッ素を含むオレフィンをコポリマー成分として含有するポリマー、スチレン/アクリルニトリルコポリマーなどが挙げられる。これらの結合剤は、架橋剤によって架橋されるような官能器を有していてもよい。また、求められる画質性能によって、結合剤中に蛍光体からの発光に対する吸収剤を添加させたり、透過率の低い結合剤を用いてもよい。吸収剤としては、顔料や染料、紫外線吸収化合物があげられる。蛍光体と結合剤の比率は、一般的に体積比において1:5ないし50:1、好ましくは1:1ないし5:1である。蛍光体と結合剤の比率は、均一であっても厚さ方向に不均一であってもよい。
【0153】
蛍光体層は、通常、蛍光体を結合剤溶液中に分散させた塗布液を用い、塗布法により形成される。塗布液の溶剤としては、水あるいはアルコール、塩素含有炭化水素、ケトン、エステル、エーテル芳香族化合物などの有機溶剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
塗布液中には、蛍光体粒子のフタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、界面活性剤などの分散安定剤や、燐酸エステル、フタル酸エステル、グリコール酸エステル、ポリエステル、ポリエチレングリコールなどの可塑剤を添加してもよい。
【0154】
本発明に用いられるスクリーンには蛍光体層上に保護層を設けることができる。保護層は、蛍光体層上に塗布する方法、別途保護層膜を作製しラミネートする方法が一般的に用いられる。塗布法においては、蛍光体層と同時に塗布してもよいし、蛍光体層を塗布乾燥させた後塗設してもよい。保護層は、蛍光体層の結合剤と同じ物質でもよいし、異種の物質でもよい。保護層に用いられる物質としては、蛍光体層の結合剤に挙げた物質のほか、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、メラミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。好ましい物質としては、ゼラチン、コーンスターチ、アクリル系ポリマー、フッ素を含むオレフィンポリマーやフッ素を含むオレフィンをコポリマー成分として含有するポリマー、スチレン/アクリルニトリルコポリマーなどが挙げられる。保護層の厚みは、一般に1μm以上20μm以下で、2μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上6μm以下がさらに好ましい。本発明の保護層の表面にエンボス加工を施すことは好ましい。また保護層中にマット剤を存在せしめてもよいし、求める画像によって発光に対し光散乱性を有している物質、例えば酸化チタンなどを存在させてもよい。
【0155】
本発明に用いられるスクリーンの保護層中には、表面の滑り性を付与してもよい。好ましい滑り剤としては、ポリシロキサン骨格含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーが挙げられる。
【0156】
本発明の保護層に導電性を付与してもよい。導電性付与剤としては、白色および透明な無機導電性物質や有機帯電防止剤が挙げられる。好ましい無機導電性物質としては、ZnO粉末や、ウィスカ、SnO2、ITOなどが挙げられる。
【0157】
本発明の現像処理の方法としては、米国特許第5498511号、特開平7−16832号、特開平8−54712号、特開平9−329875号、特開平10−26815号に記載の方法を参考にすることができる。
【0158】
本発明の感光材料を処理する現像液には、ハイドロキノンやアスコルビン酸あるいはエリソルビン酸(アスコルビン酸のジアステレオマー)および/またはそれらの誘導体を用いることが好ましい。
本発明に用いるアスコルビン酸および/またはそれらの誘導体としては米国特許第2688549号、特公昭36−17599号、特開平3−249756号、特開平4−270343号等に記載されている。
具体的には米国特許第2688549号の第1ページ第1カラムの22行目から第1ページ第2カラムの33行目までに記載の化合物、特公昭36−17599号の第1ページ左カラム21行目から26行目に記載の化合物、特開平3−249756号第4ページに記載の化合物I−1からI−8およびII−1からII−4、特開平4−270343号第4ページ第5カラム40行目から50行目に記載されている化合物を用いることができる。
これらのうち、アスコルビン酸あるいはエリスソビン酸(アスコルビン酸のジアステレオマー)およびこれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい。
現像主薬は通常0.01モル/リットル〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましく、0.1モル/リットル〜0.4モル/リットルの量で用いるのが特に好ましい。
【0159】
本発明において、現像主薬とともに超加成性を示す補助現像主薬を併用することが望ましい。
超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類補助現像主薬がある。
1−フェニル−3−ピラゾリドン類補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−p−アミノフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。これらのうち1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンが好ましい。
本発明において、現像主薬とともに1−フェニル−3−ピラゾリドン類補助現像主薬を組み合わせて使用する場合には0.001モル/リットル〜0.1モル/リットルの量で用いられるのが好ましく、特に後者を0.005モル/リットル〜0.05モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
【0160】
また、超加成性を示す補助現像主薬としてはp−アミノフェノール類補助現像主薬がある。
p−アミノフェノール類補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)−グリシン、2−メチル−p−アミノフェノール、p−ベンジルアミノフェノール等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
本発明において、現像主薬とともにp−アミノフェノール類補助現像主薬を組み合わせて使用する場合には、0.001モル/リットル〜0.1モル/リットルの量で用いられるのが好ましく、特にp−アミノフェノール類補助現像主薬を0.005モル/リットル〜0.05モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
【0161】
現像液に添加するカブリ防止剤としては、アゾール化合物(例えばベンゾチアゾリウム類、ベンゾイミダゾリウム類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、ニトロインダゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、テトラゾール類、トリアジン類等)、メルカプト化合物(例えばメルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトイミダゾール類、メルカプトベンゾイミダゾール類、メルカプトベンゾオキサゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトオキサジアゾール類、メルカプトテトラゾール類、メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類等)などが挙げられる。
特にベンゾトリアゾール類としては、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ブロムベンゾトリアゾール、5−クロルベンゾトリアゾール、5−ブチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール等がある。ニトロインダゾール類としては、5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、4−ニトロインダゾール、7−ニトロインダゾール、3−シアノ−5−ニトロインダゾール等を用いることができる。
【0162】
本発明において、現像液に銀汚れ防止剤として、特公昭56−46585号、特公昭62−4702号、特公昭62−4703号、米国特許第4252215号、米国特許第3318701号、特開昭58−203439号、特開昭62−56959号、特開昭62−178247号、特開平1−200249号、特開平5−503179号、特開平5−53257号に記載の化合物を用いることができる。
【0163】
本発明において、定着液として公知の種々の液を用いることができる。例えば良く知られているチオ硫酸塩を含む水溶液であり、pHは3.8以上、好ましくは4.2〜6.2である。定着剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、などがある。定着剤の濃度は適宜変えることができ、また、定着液には硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩を含んでも良く、それらには、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬などがある。定着液には、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、あるいはそれらの誘導体を単独あるいは2種以上併用して用いることができる。これらの化合物は定着液1L当たり0.005モル以上添加するのが好ましく、特に0.01モル/L〜0.03モル/L添加するのが有効である。定着液には、所望により保恒剤として亜硫酸塩や重亜硫酸塩を使用液1L当たり10g以上、好ましくは50g以上、pH緩衝剤として酢酸や硼酸を使用液1L当たり0.2モル以上、より好ましくは0.5モル以上含むのが良い。また、pH調整剤(例えば、硫酸)、硬水軟化能のあるキレート剤や特開昭62−78551号に記載の化合物を含むことができる。
【0164】
定着促進剤としては、特公昭45−35754号、特開昭58−122535号、同58−122536号記載のチオ尿素誘導体、分子内に三重結合を有したアルコール、米国特許第4126459号記載のチオエーテル、またはアニオンをフリー化するシクロデキストランエーテル体、クラウンエーテル類、ジアザシクロウンデセンやジ(ヒドロキシエチル)ブタミン等が挙げられる。特開平7−5654号、同6−273898号に記載のメソイオン系化合物を含むことができる。
【0165】
水洗浴または安定化浴には、防黴手段を施すのが好ましい。防黴手段としては、特開昭60−263939号に記された紫外線照射法、同60−263940号に記された磁場を用いる方法、同61−131632号に記されたイオン交換樹脂を用いて純粋にする方法、同61−115154号、同62−153952号、特開昭62−220951号、同62−209532号に記載の防菌剤を用いる方法を併用することができる。
【0166】
さらにはL.F.West,”Water Quality Criteria”,Photo.Sci.& Eng.,Vol.9(1965)、M.W.Beach,”Microbiological Growth in Motion−picture Processing”,SMTPE Journal Vol.85(1976)、R.D.Deegan,”Photo Processing Wash Water Biocides”,J.Imaging Tech.,Vol.10,No.6(1984)および特開昭57−8542号、同57−58143号、同58−105145号、同57−132146号、同58−18631号、同57−97530号、同57−157244号、特開平6−118583号、同8−248589号等に記載されている防菌剤、防黴剤、界面活性剤等を併用することができる。
【0167】
さらに、水洗浴または安定化浴には、R.T.Kreinman著,J.Image.Tech.,10(6),242頁(1984)に記載されたイソチアゾリン系化合物、Research Disclosure,第205巻,No.20526(1981年5月号)に掲載されたイソチアゾリン系化合物、同第228巻,No.22845(1983年4月号)に記載されたイソチアゾリン系化合物、特開昭62−209532号に記載された化合物等を防菌剤(Microbiocide)として併用することもできる。
その他、「防菌防黴の化学」堀口博著,三井出版(昭和57)、「防菌防黴技術ハンドブック」,本防菌防黴学会,博報堂(昭和61)に記載されているような化合物を含んでもよい。
【0168】
さらに、水洗または安定化浴に防黴手段を施した水を処理に応じて補充することによって生じる水洗または安定化浴からのオーバーフローの一部または全部は特開昭60−235133号に記載されているようにその前処理工程である定着能を有する処理液の希釈に利用することもできる。
【0169】
本発明の処理システムにおいては、現像槽から定着槽、定着槽から水洗槽への感材により持ち出される液の持ち出し量は、4切り1枚当たり0.01ml以上2ml以下が好ましく、0.1ml以上1.2ml以下が好ましく、さらに好ましくは0.1ml以上0.8ml以下が好ましい。
水洗槽が、多段である場合は、水洗槽から水洗槽への持ち出し量は、4切り1枚当たり、0.1ml以上2ml以下が好ましく、0.1ml以上1.2ml以下がより好ましい。さらに好ましくは0.1ml以上0.8ml以下が好ましい。
水洗槽から乾燥ゾーンに入る際の水洗水の持ち出し量は、感材4切り1枚当たり、0.1ml以上2ml以下が好ましく、より好ましくは1ml以下であり、さらに好ましくは0.5ml以下である。
【0170】
本発明の感材は迅速処理に適するものであり、現像槽に搬入されて乾燥工程を終了するまでの全処理時間(Dry to Dry)は90秒以下、さらには5〜60秒であることが好ましい。
この場合の現像は25〜40℃で5〜30秒、定着は25〜40℃で5〜40秒、水洗は0〜40℃で5〜30秒、乾燥は40〜120℃で1〜30秒行うことが好ましい。また補充量は、各々感材1m2当たり現像液は30〜650ml、定着液30〜650ml、水洗水は30〜50,000mlであることが好ましい。
【0171】
このような処理の詳細については、前出の特開平9−329875号等の記載を参照することができる。
【0172】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を説明する。
実施例1
ハロゲン化銀乳剤
(比較ハロゲン化銀乳剤−1の調製)
KBr0.8g、平均分子量20000のゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000のゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し、平均分子量100000のゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液(濃度0.3モル/L)をpAg8.0に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチン(濃度10質量%水溶液)を20g加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.1μm、円相当直径の変動係数20%、平均厚み0.16μm、平均アスペクト比6.9の平板粒子であった。粒子形状の測定は、この粒子のレプリカの透過型電子顕微鏡写真像を観察することで行った。
【0173】
(ハロゲン化銀乳剤A−1の調製)
核形成時に酸化処理ゼラチンを用いて、高アスペクト比の粒子の微粒子乳剤を作成した。
KBr0.8g、平均分子量20000の酸化処理ゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000の酸化処理ゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し、平均分子量100000のゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチンを加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.2μm、円相当直径の変動係数21%、平均厚み0.12μm、平均アスペクト比10の平板粒子であった。
【0174】
(ハロゲン化銀乳剤B−1の調整)
核形成時に酸化処理ゼラチンを用いて、高アスペクト比の粒子の微粒子乳剤を作成した。
KBr0.8g、平均分子量20000の酸化処理ゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000の酸化処理ゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し、平均分子量100000のゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチンを加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.5μm、円相当直径の変動係数22%、平均厚み0.10μm、平均アスペクト比15の平板粒子であった。
【0175】
(ハロゲン化銀乳剤C−1の調製)
核形成時に酸化処理ゼラチン、粒子成長時にコハク化ゼラチンを用いて、さらに高アスペクト比の粒子で微粒子の乳剤を作成した。
KBr0.8g、平均分子量20000の酸化処理ゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000の酸化処理ゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し平均分子量100000のコハク化ゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチンを加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.8μm、円相当直径の変動係数22%、平均厚み0.08μm、平均アスペクト比22.5の平板粒子であった。
【0176】
(化学増感)
以上のように調製したそれぞれの乳剤を攪拌しながら56℃に保った状態で化学増感を施した。まず、下記のチオスルホン酸化合物−Iをハロゲン化銀1モル当たり10−4モル添加し、次に直径0.03μmのAgI微粒子を全銀量に対して0.15モル%添加した。3分後に二酸化チオ尿素を1×10−6モル/モルAg添加し、22分間そのまま保持して還元増感を施した。次に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンをハロゲン化銀1モル当たり3×10−4モル相当を添加し、増感色素1の分散物を増感色素1の量としてハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル相当及び下記増感色素2,3水溶液をそれぞれハロゲン化銀1モル当たり1.0×10−4モル、3.0×10−5モル相当添加し、さらに塩化カルシウムを添加した。
【0177】
増感色素1の分散物は以下のようにして調製した。
蒸留水50mlに増感色素1を1g加え、pH7.0±0.5に調整して、50℃〜65℃でディゾルバーを用いて2000〜2500rpmで機械的に分散し、平均粒子サイズ1μm以下の固体状微粒子に分散した。分散後、10質量%のゼラチン50gを加えてから、冷却した。
【0178】
引き続き、チオ硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり6×10−6モル相当とセレン化合物−1をハロゲン化銀1モル当たり4×10−6モル相当加えた後、塩化金酸をハロゲン化銀1モル当たり1×10−5モル相当およびチオシアン酸カリウムをハロゲン化銀1モル当たり2×10−3モル相当添加した。さらに核酸(山陽国策パルプ社製:商品名RNA−F)をハロゲン化銀1モル当たり67mg相当添加した。40分後に水溶性メルカプト化合物−1をハロゲン化銀1モル当たり1×10−4モル相当添加し、さらにメルカプト化合物−2をハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル相当モル添加し、さらに水溶性メルカプト化合物−2をハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル相当モル添加し、35℃に冷却した。こうして乳剤の化学増感を終了した。
【0179】
【化28】
【0180】
塗布試料の作成
(染料層塗布液の調製)
乳剤下層として塗設する染料層(クロスオーバーカット層)の各成分が、下記の塗布量となるように塗布液を調製した。
【0181】
(クロスオーバーカット用染料の調製方法)
染料A(固形10g)に対してメタノール150mlと水50mlの混合溶媒中で70℃に制御しながら2時間撹拌し、水のウエットケーキ状染料I−46を作製した。その結果、染料結晶中には染料1モルに対してメタノール1モルと水2モルが含まれていた。結晶溶媒の確認方法としては、ウエットケーキを測定用に室温乾燥し、1H−NMRにより結晶中のメタノールの存在が確認できた。またカールフィッシャー滴定法により結晶水の存在が確認できた。またこの結晶を150℃で加熱すると結晶中のメタノール、および結晶水が放出されることも確認した。このことからウエットケーキ中の染料固形濃度は50質量%であった。
【0182】
(クロスオーバーカット用染料の微結晶水分散物の調製方法)
上述のウエットケーキ状染料を乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、染料固形として3.0gを秤取した。分散するための水と分散剤としてデモールSNB(花王(株)社製)の25質量%溶液1.2gを予め混合した上で、先の染料を添加し、合計が30gとなるように水で調整してから良く混合してスラリーとした。ジルコニア製ビーズを120g用意し、スラリーと一緒にベッセルに入れ、1/16ガロンのサンドグラインダーミル(アイメックス(株)社製)にて1500rpm回転でベッセルを水冷しながら分散した。ジルコニア製ビーズの平均粒径としては、1mmのものを使用し、分散時間は8時間とした。分散終了後、染料の固形分濃度が5質量%となるように水を加えて分散液を取り出した。この染料分散物をDP1とした。
【0183】
(染料層塗布液の調製方法)
以下の塗布量となるように水母液に各化合物を添加した。各化合物の添加順に、片面1m2当たりの素材塗布量を記載した。
このとき、酢酸または水酸化ナトリウムを少量用いてこの塗布液のpHを6.0に調整した。塗布量は片側1m2当たり12.4mlであった。
【0184】
【化29】
【0185】
(乳剤層塗布液の調製方法)
以下の塗布量となるように乳剤に各化合物を添加した。片面1m2当たりの素材塗布量
・塗布銀量 1.25g
・ゼラチン 1.25g
・デキストラン(平均分子量3.9万) 344mg
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万) 27mg
・A−2 162mg
・A−3 1.9mg
・A−4 0.35mg
・A−5 1.9mg
・染料−1(オイル乳化物) 染料固形分として 0.33g
・1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン 50mg
このときこの乳剤層の塗布液量は片側1m2当たり32.6mlであった。上記における化合物は以下のとおりであった。
【0186】
【化30】
【0187】
(表面保護層塗布液の調製方法)
以下の塗布量となるように各化合物を添加した。
片面1m2当たりの素材塗布量
・ゼラチン 0.767g
・ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量40万) 80mg
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万)1.1mg
・マット剤−1(平均粒径3.7μm) 固形分として70mg
・A−6(比較界面活性剤−1) 18.1mg
・A−7 34.5mg
・A−8 6.8mg
・A−9(比較界面活性剤−2) 3.2mg
・A−10(比較界面活性剤−3) 1.4mg
・A−11 2.1mg
・A−12 1.0mg
・防腐剤D 0.9mg
・p−ベンゾキノン 0.7mg
このとき水酸化ナトリウムを少量用いてこの表面保護層の塗布液のpHを6.8に調整した。塗布量は片側1m2当たり10.7mlであった。上記における化合物は以下のとおりであった。
【0188】
染料層塗布液のA−1(比較界面活性剤−1)および表面保護層塗布液のA−6(比較界面活性剤−1)を、一般式(2)で表されるWS−16(n=3)およびWS−22(n=3)をそれぞれ等モルに置き換え、表面保護層塗布液のA−9(比較界面活性剤−2)を、一般式(1)で表される化合物FS−8、FS−11、FS−12および一般式(F)で表される化合物FSF−31にそれぞれ等モルで置き換え、A−10(比較界面活性剤−3)を一般式(1)で表されるFS−25および一般式(A)で表される化合物FSA−6をそれぞれ等モルに置き換えた以外は同様にして、表1〜表4に示すように各感光材料に添加した。
【0189】
【化31】
【0190】
【化32】
【0191】
二軸延伸された厚さ175μmの青色染色(1,4−ビス(2,6−ジエチルアニリノアントラキノンを含有する)ポリエチレンテレフタレート支持体上に、コロナ放電を行い、下記の主成分を含む各塗布液を第1下塗り層、第2下塗り層の順にワイヤーバーコーターにより支持体の両側に塗布した。
【0192】
・第1下塗り層(支持体側)
支持体の片側1m2当たりの塗布液量を4.9mlとした。各添加素材の支持体の片側1m2当たりの塗布量は以下のとおりである。
【0193】
・第2下塗り層
支持体の片側1m2当たりの塗布液量を7.9mlとした。各添加素材の支持体の片側1m2当たりの塗布量は以下のとおりである。
【0194】
(写真材料の塗布方法)
前述のように準備した下塗り塗布された支持体上に支持体側から染料層、乳剤層、表面保護層の構成になるように同時押し出し法により両面に同時塗布し、乾燥した。
【0195】
(塗布均一性の評価)
上記のようにして塗布した各感光材料を、白灯下で目視により表面を観察して、次のように5段階で評価した。
5:スポット故障や塗布ムラの発生は全く無い。
4:スポット故障や塗布ムラの発生は僅かにあるが、実用上全く問題無いレベルである。
3:スポット故障や塗布ムラの発生は少しあるが、実用上は許容されるレベルである。
2:スポット故障や塗布ムラの発生があり、実質上許容できないレベルである。
1:スポット故障や塗布ムラが多発しており、実用上全く許容できないレベルである。
結果を表1〜表4に示す。
【0196】
(処理)
自動現像機:富士写真フィルム(株)社製CEPROS−30
現像液の調製
【0197】
【0198】
【0199】
(処理液の調製)
上記現像液濃度液を上記CEPRO−30用処理剤入容器に各パーツ剤毎に充填した。この容器はパーツ剤A、B、Cの各部分容器が容器自身によって一つに連結されているものである。
また、上記定着液濃度も同種の容器に充填した。
まず、現像槽内にスターターとして、酢酸54gと臭化カリウム55.5gを含む水溶液300mlを添加した。
上記処理剤入容器を逆さにして自現機の側面に装着されている処理液ストックタンクの穿孔刃にさしこんで、キャップの封止膜を破り、容器内の各処理剤をストックタンクに充填した。
【0200】
これらの各処理剤を下記の割合で自現機の現像槽、定着槽に、それぞれ自現機に設置されているポンプを作動して満たした。
また、感光材料が4切サイズ換算で8枚処理される毎にも、この割合で、処理剤原液と水とを混合して自現機の処理槽に補充した。
【0201】
現像液
パーツ剤A 55 ml
パーツ剤B 10 ml
パーツ剤C 10 ml
水 125 ml
pH 10.50
定着液
濃縮液 80 ml
水 120 ml
pH 4.62
水洗槽には水道水を満たした。
【0202】
また、水あか防止剤として、放線菌を平均粒径100μm、平均孔径3μmのパーライトに担持させたもの0.4gをポリエチレン製のビン(ビン開口部を300メッシュのナイロン布で覆い、この布より水および菌の流通が可能)に充填したものを3個用意し、そのうちの2個を水洗槽の底部に、1個を水洗水のストックタンク(液量0.2リットル)の底部にそれぞれ沈めた。
【0203】
(現像ムラの評価)
塗布された各感光材料の四切サイズ(10インチ×12インチ)に、均一な露光を行い、次に記述する処理条件にて黒化濃度が、1.1〜1.3の範囲に入るようにした。処理済感光材料をシャーカステン上で目視観察し、次のように5段階で評価した。
5:全体が均一に黒化していて、現像ムラは全く観察されないレベル。
4:現像ムラの発生は僅かにあるが、実用上全く問題無いレベルである。
3:現像ムラの発生は少しあるが、実用上は許容されるレベルである。
2:現像ムラの発生があり、実質上許容できないレベルである。
1:現像ムラの発生が顕著で、実用上全く許容できないレベルである。
得られた結果を表1〜表4に示す。
【0204】
【表1】
【0205】
【表2】
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】
表1〜4の結果から明らかなように、ハロゲン化銀粒子の厚みが大きい比較ハロゲン化銀乳剤−1の場合は、従来の界面活性剤A−1、A−6、A−9およびA−10を含めて、いずれも良好な塗布均一性および現像ムラの無い良好な画像を得ることができるが、ハロゲン化銀粒子の厚みが小さいハロゲン化銀乳剤A−1、B−1およびC−1の場合には、従来の界面活性剤A−1、A−6、A−9およびA−10では、塗布の均一性が劣化し、現像ムラが発生している。
一方、本発明における一般式(1)、(2)(A)および(F)で表される化合物を添加した場合には、ハロゲン化銀粒子の厚みが小さく、アスペクト比が大きい場合でも良好な塗布均一性と現像ムラの無い良好な結果を得ることができた。特に、ハロゲン化銀粒子の平均厚みが小さいほど塗布性や現像ムラの改良効果が大きい。
【0209】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布の均一性が良好で、現像ムラの少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料の処理方法に関するものである。特に、薄型平板粒子を含有する医療用X線写真感光材料の塗布均一性及び現像ムラの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療分野におけるハロゲン化銀写真感光材料の現像処理は、自動現像機の迅速化、低補充液量化が進み、特に日本国内ではDry to Dryで30秒〜60秒処理、補充液量が感光材料1m2当たり350mL以下であることが一般的になってきた。このようなハロゲン化銀写真感光材料は、現像、定着、水洗、乾燥を行う際の処理負荷の小さい感光材料が必要とされる。
ハロゲン化銀写真感光材料は、画像露光の後に現像することによって可視化された画像が得られ、その濃淡によって画像が認識される。従って、ハロゲン化銀写真感光材料は用途に適切な感度を有すると共に、高い画像品質(画質と呼ばれる)が要求される。画質としては、画像の最高濃度が高く、最小濃度が低いこと、階調や粒状性が用途に適切であること、画像の色調が好ましいことなどが要求される。画像の最高濃度を高くするには、単純には塗布されるハロゲン化銀の銀量を増やすことによって達成できる。しかしながら、塗布銀量を増やすことは画像形成のための現像処理の負荷が増大し、現像処理速度のダウン、廃液量の増大を伴い、生産性の低下、地球環境への負荷増大をもたらすので好ましくない。一般に、単位現像銀量あたりの最高濃度を被覆力と称せられている。この被覆力を高めることは、一定の光学濃度を保つために必要な銀量の節約を可能にするので、乳剤製造業者にとって極めて関心の深いものであり、その実現のためハロゲン化銀乳剤の改良に多大な努力が払われてきた。
【0003】
ハロゲン化銀乳剤として高アスペクト比で粒子厚みの小さい平板粒子を用いることにより、著しく現像銀被覆力が上がることが、特許文献1等に開示されている。
また、厚みが0.07μm以下の極薄平板粒子に関しては、特許文献2等に開示されている。
特許文献3および特許文献4には、エピタキシャル部位を有するアスペクト比の高い平板粒子に関する技術が開示されている。
【0004】
このようにして、現像銀被覆力が上がると、僅かな塗布銀量の不均一さが大きな黒化濃度の差になるため、塗布の均一性が重要となってくる。同様に、現像による現像ムラも発生しやすくなるので、現像ムラの発生をなくすためにも、塗布均一性は重要である。
【0005】
つまり、ハロゲン化銀粒子のアスペクト比が高い極平板粒子を用いたハロゲン化銀写真感光材料で、高い銀被覆力を得ることができるが、さらに塗布の均一性が良好で、現像ムラが少ないことが望まれる。これらの問題について研究開発の結果、特許文献5〜特許文献7に記載の界面活性剤の使用が有効であることが明らかとなったが、その改良効果は充分とは言い難く、更なる改良が必要であった。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4414304号明細書
【特許文献2】
特開平6−43605号公報
【特許文献3】
欧州特許出願公開第0699946号明細書
【特許文献4】
特開平8−101476号公報
【特許文献5】
特開2001−13629号公報、段落番号[0004]〜[0031]
【特許文献6】
特開2001−281788号公報、段落番号[0008]〜[0015]
【特許文献7】
特開2002−72394号公報、段落番号[0003]〜[0012]
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、ハロゲン化銀写真感光材料中のハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.15μm以下の平板状粒子を含有するハロゲン化銀写真感光材料の塗布の均一性が良好で、現像ムラの少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することである。特に、医療用X線写真感光材料として塗布の均一性が良好で、現像ムラの少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決すべき課題は、下記により達成された。すなわち、
(1) 支持体の片側あるいは両側に少なくとも一層の感光性ハロゲン化銀写真乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料であって、前記ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤粒子が平板状粒子であり、かつ前記ハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.15μm以下であり、下記一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(1)
【化6】
(式中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Rafはパーフルオロアルキレン基を表す。Wは水素原子又はフッ素原子を表す。Laは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、又はこれらを組み合せた2価基を表す。A及びBは、一方が水素原子を表し、他方が−Lb−SO3Mを表す。Mはカチオンを表す。Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。)
【0009】
一般式(2)
【化7】
(式中、R1は炭素数6〜25のアルキル基又はアルケニル基を表し、aは0または1を表し、m1は2〜4の整数を表し、n1は0〜30の整数を表す。Z1は、OSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。)
【0010】
一般式(A)
【化8】
(式中、R1及びR2は各々独立に、炭素原子数2以上、フッ素原子数13以下のフッ化アルキル基を表し、R3及びR4は各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。A及びBは、一方が水素原子を、もう一方が−Lb−SO3Mを表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。)
【0011】
一般式(F)
【化9】
(式中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、RCはアルキレン基、Zは界面活性を持たせるために必要なアニオン性基、カチオン性基、ベタイン性基又はノニオン性極性基を有する基を表す。nは0又は1の整数を表す。mは1〜3の整数を表す。)
【0012】
(2) 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする前記(1)のハロゲン化銀写真感光材料。
【化10】
(式中、R1は総炭素数6以上の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。但し、R1はフッ素原子で置換されたアルキル基であることはない。Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を表す。X1及びX2は、一方が水素原子を表し、他方がSO3Mを表す。Mはカチオンを表す。nは1以上の整数を表す。)
(3) 前記ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比が、8以上30以下の平板状粒子であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0013】
(4) 前記ハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.12μm以下の平板状粒子であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(5) 前記ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比が、8以上25以下の平板状粒子であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤について説明する。本発明のハロゲン化銀乳剤粒子は、塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀等のいずれのハロゲン化銀組成を有するものであってもよい。高感度が得られるという点では臭化銀、沃臭化銀であることが好ましい。
沃化銀含有量は、迅速現像処理適性の点から、ハロゲン化銀乳剤粒子に含まれる銀量に対して、1モル%以下が好ましく、0.05モル%以上0.45モル%以下が特に好ましい。
【0015】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀乳剤粒子の平均アスペクト比は13以上であることが好ましい。ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比は、1粒子の投影面積の円相当径をその粒子の厚みで割った値として定義される。アスペクト比は、好ましくは8以上30以下であり、さらに好ましくは13以上25以下である。アスペクト比を上記範囲とすることで、単位現像銀量当たりの光学濃度が高いという点で最も好ましい。
ハロゲン化銀乳剤粒子の投影面積の円相当径の平均、および平均厚みは、すべてのハロゲン化銀乳剤粒子の平均値として計算される。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤粒子の円相当径の平均は、0.6μm以上3.0μm以下が好ましく、さらに好ましくは1.0μm以上3.0μm以下である。
本発明におけるハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みは、0.03μm以上0.15μm以下であり、好ましくは0.03μm以上0.12μm以下である。
【0016】
本発明でハロゲン化銀乳剤粒子は、平行な2つの双晶面を有する2重双晶粒子であってもよい。また、{111}面を主平面とする平板状粒子であっても、{100}面を主平面とする平板状粒子であってもよい。
【0017】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤粒子は、平均厚みが0.03μm以上0.15μm以下以下のいわゆる平板状粒子であるが、ハロゲン化銀乳剤中には、立方体、八面体、十四面体のような等方的に成長したもの、あるいは球形のような多面的結晶型のものを併用してもよい。
平均厚みが0.03μm以上0.15μm以下の平板状ハロゲン化銀粒子の割合は、好ましくはその投影面積の和が全粒子の投影面積の和に対して50%以上100%以下であり、さらに好ましくは70%以上100%以下、最も好ましいのは90%以上100%以下である。
【0018】
平板状ハロゲン化銀粒子の製法としては、当業界で知られた方法を適宜、組み合せて用いることができる。
また、平行な双晶面を有し、{111}面を主平面とする平板状粒子は、特開昭58−127927号、特開昭58−113927号、特開昭58−113928号に記載された方法等を参照すれば容易に調製できる。
また、pBr1.3以下の比較的低pBr値の雰囲気中で平板状粒子が質量で40%以上存在する種晶を形成し、同程度のpBr値に保ちつつ銀およびハロゲン溶液を同時に添加しつつ種晶を成長させることにより得ることもできる。
この粒子成長過程において、新たな結晶核が発生しないように銀およびハロゲン溶液を添加することが望ましい。
平板状ハロゲン化銀粒子の大きさは、温度調節、溶剤の種類や量の選択、粒子成長時に用いる銀塩、およびハロゲン化物の添加速度等をコントロールすることにより調整できる。
【0019】
さらに本発明において、平板状ハロゲン化銀粒子の中でも単分散六角平板状粒子はとりわけ有用な粒子である。
単分散六角平板状粒子の構造および製造方法の詳細は特開昭63−151618号に記載されているとおりである。
【0020】
本発明において好ましいハロゲン化銀乳剤について、結晶構造は一様なものでもよいが、内部と外部が異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。また、粒子形成中に還元増感銀核を含んでいることが好ましい。
【0021】
本発明において、英国特許第635841号、米国特許第3622318号に記載されているような、いわゆるハロゲン変換型(コンバージョン型)の粒子は特に有効に利用しうるものである。ハロゲン変換量は銀量に対し0.05モル%〜0.45モル%が好ましく、特に0.1モル%〜0.3モル%がより好ましい。
【0022】
沃臭化銀乳剤においては、内部および/または表面に高ヨード層を有する構造の粒子が特に好ましい。
また本発明において好ましい平板状ハロゲン化銀粒子の表面を高ヨード型にコンバージョンすることにより、より高感度なハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0023】
上記方法でハロゲン変換を行う際に、ハロゲン化銀溶剤を存在させる方法は特に有効である。好ましい溶剤としては、チオエーテル化合物、チオシアン酸塩、4置換チオ尿素が挙げられる。中でもチオエーテル化合物とチオシアン酸塩は特に有効であり、チオシアン酸塩はハロゲン化銀1モル当たり0.5g〜5g、チオエーテルは0.2g〜3gの使用が好ましい。
【0024】
本発明のハロゲン化銀粒子の成長方法としては、これまで知られているあらゆる方法を用いることができる。すなわち、反応容器に効率の良い攪拌のもとに銀塩水溶液およびハロゲン塩水溶液を添加する。具体的方法としては、P.Glafkides著,Chemie et Phisique Photographique(Paul Montel社刊,1967年)、G.F.Duffin著,Photographic Emulsion Chemistry (The Focal Press刊,1966年)、V.L.Zelikmanet al著,Making and Coating Photographic Emulsion(The Focal Press刊,1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せなどのいずれを用いてもよい。
【0025】
同時混合法の一つの形式として、ハロゲン化銀が生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。また、英国特許1535016号明細書、特公昭48−36890号、同52−16364号各公報等に記載されているような、硝酸銀やハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子成長速度に応じて変化させる方法や、米国特許4242445号明細書、特開昭55−158124号公報等に記載されているような水溶液濃度を変化させる方法を用いて臨界過飽和度を越えない範囲において速く成長させることも好ましい。
【0026】
平板粒子の成長は、ハロゲン化銀微粒子存在下に物理熟成(微粒子が溶解し、基板粒子が成長する)により結晶成長させることも好ましく行われる。
【0027】
微粒子乳剤添加法では0.15μm径以下、好ましくは0.1μm径以下、より好ましくは0.06〜0.006μm径のAgX微粒子乳剤を添加し、オストワルド熟成により平板状粒子を成長させる。微粒子乳剤は連続的に添加することもできるし、継続的に添加することもできる。微粒子乳剤は反応容器の近傍に設けた混合器でAgNO3溶液とX−塩溶液を供給して連続的に調製し、ただちに反応容器に連続的に添加することもできるし、予め別の容器のバッチ式に調製した後に連続的もしくは継続的に添加することもできる。このような微粒子乳剤は液状で添加することもできるし、乾燥した粉末として添加することもできる。また乾燥粉末を添加直前に水と混合し、液状化して添加することもできる。添加した微粒子は20分以内に消失する態様で添加することが好ましく、10秒〜10分がより好ましい。消失時間が長くなると、微粒子間で熟成が生じ、粒子サイズが大きくなるために好ましくない。従って一度に全量を添加しない方が好ましい。このような微粒子は多重双晶粒子を実質的に含まないことが好ましい。ここで多重双晶粒子とは、1粒子あたり、双晶面を2枚以上有する粒子を指す。実質的に含まないとは、多重双晶粒子数比率が5%以下、好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下を指す。更には1重双晶粒子をも実質的に含まないことが好ましい。更にはらせん転位を実質的に含まないことが好ましい。ここで実質的に含まないとは前記規定に従う。
【0028】
平板状ハロゲン化銀粒子の核形成の工程においては、米国特許第4,713,320号および同第4,942,120号に記載のメチオニン含量の少ないゼラチンを用いること、米国特許第4,914,014号に記載の高pBrで核形成を行うこと、特開平2−222940号に記載の短時間で核形成を行うことは本発明において用いる粒子の核形成工程においてきわめて有効である。特にメチオニン含率が好ましくは0〜50μモル/g、より好ましくは0〜40μモル/gのゼラチンを好ましく用いることができる。このようなゼラチンが熟成、成長時に用いられた場合、直径サイズ分布が揃ったより薄い平板状粒子が形成され、好ましい。本発明において特に好ましくは20℃から40℃の温度で低分子量の酸化処理ゼラチンの存在下で攪拌下、硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液と低分子量の酸化処理ゼラチンを一分以内に添加することである。この時、系のpBrは2以上が好ましくpHは7以下が好ましい。硝酸銀水溶液の濃度は0.6モル/リットル以下の濃度が好ましい。ゼラチンは分子量が通常のものより小さいものが好ましく10000から50000が特に好ましい。アミノ基がフタル化またはコハク化またはトリメリット化に90%以上修飾されたゼラチンおよび/またはメチオニン含量を低下させた酸化処理ゼラチンは特に好ましく用いられる。
【0029】
さらに、熟成工程においては、米国特許第5,254,453号記載の低濃度のベースの存在下でおこなうこと、米国特許第5,013,641号記載の高いpHでおこなうことが可能である。また、米国特許第5,147,771号,同第5,147,772号、同第5,147,773号、同第5,171,659号、同第5,210,013号ならびに同第5,252,453号に記載のポリアルキレンオキサイド化合物を熟成工程もしくは後の成長工程で添加することが可能である。本発明においては熟成工程は好ましくは60℃以上80℃以下の温度で行われる。核形成直後または熟成途中にpBrは2以下に下げることが好ましい。また核形成直後から熟成終了時までに追加のゼラチンが好ましくは添加される。特に好ましいゼラチンはアミノ基が95%以上コハク化またはトリメリット化に修飾されたものである。
【0030】
微粒子添加による成長時のpHは、2.0以上が必要であるが6以上10以下が好ましい。さらに好ましくはpH6以上9以下である。
【0031】
また、pClは1.0以上が必要であるが、1.6以上が好ましい。さらに好ましくは1.8以上3.0以下が好ましい。
【0032】
本発明の平板状粒子は、転位線を有するハロゲン化銀粒子を用いることが好ましい。
【0033】
平板状粒子の転位線は、例えば J.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11,57(1967)や、T.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Japan,35,213(1972)に記載の低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。すなわち乳剤から粒子に転位が発生するほどの圧力をかけないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μの厚さの粒子に対し200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法により得られた粒子の写真より、主平面に対し垂直方向から見た場合の各粒子についての転位の位置および数を求めることができる。
【0034】
またハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩またはその錯塩などを共存させてもよい。
【0035】
本発明のハロゲン化銀粒子は化学増感を施すのが好ましい。化学増感としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感といったカルコゲン増感、金増感、還元増感を用いることができる。好ましくは、カルコゲン増感と金増感を組み合わせて用いることができる。
【0036】
硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を用い、P.Grafkides著,Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊,1987年,第5版)、Research Disclosure誌,307巻,307105号などに記載されている不安定硫黄化合物を用いることができる。具体的には、チオ硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−N’−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチル−ローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、レンチオニン)、メルカプト化合物(例えば、システィン)、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。
【0037】
セレン増感においては、不安定セレン化合物を用い、特公昭43−13489号、同44−15748号、特開平4−25832号、同4−109240号各公報、特開平4−271341号、同5−40324号各明細書に記載されている不安定セレン化合物を用いることができる。具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリフルオルメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例えば、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニルトリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。また更に、特公昭46−4553号、同52−34492号各公報に記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾール類、セレニド類なども用いることもできる。
【0038】
テルル増感においては不安定テルル化合物を用い、カナダ特許800958号、英国特許第1,295,462号、同1,396,696号の各明細書、特開平4−204640号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号各明細書に記載されている不安定テルル化合物を用いることができる。具体的には、テルロ尿素類(例えば、テトラメチルテルロ尿素、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N’−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォスフィンテルリド類(例えば、ブチル−ジイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、イソテルロシアナート類、テルロアミド類、テルロヒドラジド類、テルロエステル類(例えば、ブチルヘキシルテルロエステル)、テルロケトン類(例えば、テルロアセトフェノン)、コロイド状テルル、(ジ)テルリド類、その他のテルル化合物(ポタシウムテルリド、テルロペンタチオネートナトリウム塩)などを用いればよい。
【0039】
金増感については、前述のP.Grafkides著,Chimie et Physique Photographique(Paul Momtel社刊,1987年,第5版)、Research Disclosure誌 307巻307105号などに記載されている金塩を用いることができる。具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドにくわえて米国特許第2,642,361号、同5,049,484号、同5,049,485号明細書などに記載の金化合物も用いることができる。また、白金、パラジウム、イリジウムなどの貴金属塩を加えてもよい。
【0040】
本発明で用いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学増感条件などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当り10−8〜10−2モル、好ましくは、10−7〜5×10−3モル程度を用いる。
【0041】
本発明で用いられる金増感剤および貴金属増感剤の使用量は、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−2モル程度を用いる。本発明における化学増感の条件に特に制限はないが、pAgとしては6〜11が好ましく、より好ましくは7〜10であり、pHとしては4〜10が好ましく、温度としては40〜95℃が、さらには45〜85℃が好ましい。
【0042】
還元増感については、前述のP.Grafkides著,Chimie etPhysique Photographique(Paul Momtel社刊,1987年,第5版)、Research Disclosure誌,307巻,307105号などに記載されている公知の還元性化合物を用いることができる。具体的には、アミノイミノメタンスルフィン酸(別名、二酸化チオ尿素)、ボラン化合物(例えば、ジメチルアミンボラン)、ヒドラジン化合物(例えば、ヒドラジン、p−トリルヒドラジン)、ポリアミン化合物(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン)、塩化第1スズ、シラン化合物、レダクトン類(例えば、アスコルビン酸)、亜硫酸塩、アルデヒド化合物、水素ガスなどを用いればよい。また高pHや銀イオン過剰(いわゆる銀熟成)の雰囲気で還元増感を施してもよい。
【0043】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、化学増感工程において粒子の表面もしくはその一部がハロゲン変換されていてもよい。ハロゲン変換を施す方法としては、臭化カリウム、臭化ナトリウム等の水溶性臭化物塩、沃化カリウム等の水溶性沃化物塩等を単独もしくは組み合わせて用いることができ、それらを固体のまま、または水溶液、またはゼラチン分散物として添加することができる。また臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のハロゲン化銀微粒子を添加することも好ましく用いられ、それらは単独もしくは組み合わせて用いることもできる。微粒子で添加する場合の微粒子の平均球相当径は0.1μm以下のものが好ましく、0.05μm以下のものがより好ましい。また微粒子は、反応容器の近傍に設けた混合機で硝酸銀水溶液と任意の組成のハロゲン化アルカリ水溶液を供給して連続的に調整し、ただちに反応容器に添加することもできるし、予め別の容器でバッチ式に調整した後に添加することもできる。またハロゲン化銀微粒子には必要によりイリジウム、ロジウム、白金等の重金属のイオンまたは化合物を含ませることも可能である。
【0044】
本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシェル部のみ、あるいはエピタキシャル部分にのみ、あるいは基盤粒子にのみドープする方法も選べる。Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、LaCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biなどを用いることができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であれば添加できる。例えばCdBr2、CdCl2、Cd(NO3)2、Pb(NO3)2、Pb(CH3COO)2、K3〔Fe(CN)6〕、(NH4)4〔Fe(CN)6〕、K3IrCl6、(NH4)3RhCl6、K4Ru(CN)6などがあげられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルの中から選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
【0045】
米国特許第3,772,031号に記載されているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0046】
いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのような、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同3,411,914号、同3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著,「写真乳剤化学」,138〜143頁に記載されている。
【0047】
本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換させる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換させる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀等の水に難溶の銀塩を形成してもよく、また、硝酸銀等の水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2・H2O2・3H2O、2NaCO3・3H2O2、Na4P2O7・2H2O2、2Na2SO4・H2O2・2H2O)、ペルオキシ酸塩(例えばK2S2O8、K2C2O6、K2P2O8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2〔Ti(O2)C2O4〕・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH・SO4・2H2O、Na8〔VO(O2)(C2H4)2・6H2O〕、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、クロム酸塩(例えば、K2Cr2O7)などの酸素酸塩、沃素や臭素などのハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば過沃素酸カリウム)高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩などがある。
【0048】
また、有機の酸化剤としては、p−キノンなどのキノン類、過酢酸や過安息香酸などの有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。
【0049】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は分光増感されていることが好ましい。分光増感に使用できる分光増感色素としては、例えばシアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素等が挙げられる。特に有用な分光増感色素は、シアニン色素、メロシアニン色素および複合メロシアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性複素環核として、シアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、セレナゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核、テルラゾール核等;これらの核に脂環式炭化水素環が縮合した核;および、これらの核に芳香族炭化水素環が縮合した核、すなわち、インドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンズイミダゾール核、ナフトイミダゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ナフトセレナゾール核、キノリン核、ベンゾテルアゾール核等が適用できる。これらの複素環核は炭素原子上に置換されてもよい。
【0050】
メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、通常メロシアニン色素に利用される核のいずれをも適用できる。特に有用な核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核、2−チオセレナゾリジン−2,4−ジオン核等の5員、6員の複素環核等を適用することができる。
【0051】
分光増感色素の添加時期としては特に制限は無く、粒子形成工程から塗布直前まで任意の時期に添加することができる。具体的には、ハロゲン化銀粒子形成時に添加する方法、ハロゲン化銀乳剤脱塩工程で添加する方法、ハロゲン化銀乳剤化学熟成(化学増感)工程直前に添加する方法、ハロゲン化銀乳剤化学熟成時、ハロゲン化銀乳剤化学熟成後、塗布液調製時に添加する方法などがあるが、好ましくは、前記した金増感剤、カルコゲン増感剤の添加以前、すなわちこれらの化合物による化学増感前に添加する。また、分光増感色素を25℃以上55℃未満の温度で添加したのち添加温度より昇温して化学熟成を行うことで各ハロゲン化粒子に均一につけることも可能である。
【0052】
本発明に用いる分光増感色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に含有させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセロソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。また、米国特許第3,469,987号明細書等に記載のように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号等に記載のように、水不溶性色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、特公昭44−27555号、特公昭57−22091号等に記載されているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中へ添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液とし乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、米国特許第4,006,025号明細書等に記載のように、界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中へ添加する方法、特開昭53−102733号、特開昭58−105141号に記載のように、親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法等を用いることもできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。
【0053】
分光増感色素の組合せは、特に強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は、米国特許第2,688,545号、同2,977,229号、同3,397,060号、同3,522,052号、同3,527,641号、同3,617,293号、同3,628,964号、同3,666,480号、同3,672,898号、同3,679,428号、同3,703,377号、同3,769,301号、同3,614,609号、同3,837,862号、同4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同1,507,803号の各明細書、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号の各公報等に記載されている。
【0054】
さらにまた、これらの増感色素は、それ自身分光増感作用を示さない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって増感色素と組合せることによって分光増感の著しい増加を示す、いわゆる強色増感剤と称せられて知られている如何なる化合物と組み合せて用いてもよい。強色増感剤の代表例としては、特開昭59−142541号公報等に記載のビスピリジニウム塩化合物、特公昭59−18691号公報等に記載のスチルベン誘導体、特公昭49−46932号公報等に教示されている臭化カリウム、ヨウ化カリウム等の水溶性臭化物、水溶性ヨウ化物、米国特許第3,743,510号明細書等に記載の芳香族化合物とホルムアルデヒドとの縮合物、カドミウム塩類、アザインデン化合物等が挙げられる。分光増感色素は化学熟成後、または化学熟成前に乳剤に添加される。本発明のハロゲン化銀粒子に対しては、分光増感色素は化学熟成中または化学熟成以前(例えば、粒子形成時、物理熟成時)に添加されることが、最も好ましい。
【0055】
本発明で用いる一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料を構成している層(特に、保護層や下塗り層、バック層など)を形成するための塗布組成物に、界面活性剤として用いることができる。
【0056】
まず、本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いる一般式(1)で表される化合物について述べる。
【化11】
【0057】
一般式(1)中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Rで表される置換もしくは無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。Rは置換基としてフッ素を有さない方が好ましく、無置換アルキル基がより好ましい。Rは、炭素数が2以上であるのが好ましく、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましい。
【0058】
一般式(1)中、Rafはパーフルオロアルキレン基を表す。ここで、パーフルオロアルキレン基とは、アルキレン基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Rafは、炭素数が10以下であるのが好ましく、8以下であるのがより好ましい。
【0059】
一般式(1)中、Wは、水素原子又はフッ素原子を表すが、フッ素原子であることが好ましい。
【0060】
一般式(1)中、Laは、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、又はこれらを組み合わせてできる2価基を表す。置換基は、Rにおける置換基と同様なものが挙げられる。Laは、炭素数が4以下であるのが好ましく、また、無置換アルキレンであるのが好ましい。
【0061】
一般式(1)中、A及びBは、一方が水素原子を、もう一方が一Lb一SO3Mを表す。
Mはカチオンを表す。Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、一般式(1)で表される化合物の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。特に、R、La及びRafの炭素数の合計が16以上の場合、リチウムイオンであることが溶解性(特に水に対して)と帯電防止能又は塗布均一性の両立の観点で優れている。
Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はRにおける置換基と同様なものが挙げられる。Lbがアルキレン基である場合、C数は2以下であるのが好ましく、無置換であるのが好ましく、メチレン基であるのがより好ましい。Lbは、単結合であるのが最も好ましい。
【0062】
一般式(1)で表される化合物は、各R、Raf、La、A、Bにおけるそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。さらに、一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0063】
【化12】
【0064】
一般式(3)中、R1は総炭素数6以上の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。但し、R1はフッ素原子で置換されたアルキル基であることはない。R1で表される置換もしくは無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、フッ素以外のハロゲン原子、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基.カルバモイル基、オキシカルボニル基、隣酸エステル基等が挙げられる。
【0065】
一般式(3)中、R1で表される置換もしくは無置換のアルキル基は、総炭素数が6〜24であるのが好ましい。炭素数6〜24の無置換アルキル基の好ましい例としては,n−へキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルへキシル墓、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、2−オクチルドデシル基、ドコシル基、テトラコシル基、2−デシルテトラデシル基、トリコシル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。また、置換基の炭素も含めた総炭素数が6〜24の置換アルキル基の好ましい例としては、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基、ベンジル基、β−フェネチル基、2−メトキシエチル基、4−フェニルブチル基、4−アセトキシエチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、18−フェニルオクタデシル基、12−(p−クロロフェニル)ドデシル基、2−(燐酸ジフェニル)エチル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(3)中、R1で表される置換もしくは無置換のアルキル基は、総炭素数が6〜18であるものがより好ましい。炭素数6〜18の無置換アルキル基の好ましい例としては、n−へキシル基、シクロヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルへキシル基,n−ノニル基、1,1,3−トリメチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。また、置換基の炭素数を含む総炭素数が6〜18の置換アルキル基の好ましい例としては、フェネチル基、6−フェノキシヘキシル基、12−フェニルドデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。中でも、R1としては、n−へキシル基、シクロへキシル基、n−へプチル基、n−オクチル墓、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基、ヘキサデシル基、2−ヘキシルデシル基、オクタデシル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基が好適に挙げられ、炭素数8〜16の直鎖、環状又は分岐の無置換アルキル基であるのが特に好ましい。
【0067】
一般式(3)中、Rfは炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を表す。ここで、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素置換された基をいう。前記パーフルオロアルキル基中のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Rfで表されるパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ペンチル基、ウンデカフルオロ−n−ペンチル基、トリデカフルオロ−n−へキシル基、ウンデカフルオロシクロヘキシル基等が挙げられる。中でも、炭素数2〜4のパーフルオロアルキル基(例えば、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基等)が好ましく、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が特に好ましい。特に、Rfは、炭素数2〜4のパーフルオロアルキル基を表すことが好ましい。
【0068】
一般式(3)中、nは1以上の整数を表す。好ましくは1〜4の整数であり、特に好ましくは1又は2である。また、nとRfの組み合わせとして、n=1の場合にはRfがヘプタフルオロ−n−プロピル基又はノナフルオロ−n−ブチル基、n=2の場合にはRfがノナフルオロ−n−ブチル基であることがさらに好ましい。
【0069】
一般式(3)中、Xl及びX2は、一方が水素原子を、もう一方がSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンである。
【0070】
以下、一般式(1)で表される化合物および一般式(3)で表される化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。なお、以下では便宜上、一般式(3)におけるXlがSO3Mであり、X2が水素原子である例示化合物を示すが、下記の例示化合物においてXlが水素原子であり、X2がSO3Mであってもよく、それらの化合物も本発明のフッ素化合物の具体例として挙げられる。下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルアロアルキル基は直鎖の構造を意味する。さらに、構造表記中の略号のうち、2EH及び2BOの記号が付された基は、各々下記に示す基であることを表している。
2EH=2−ethylhexyl
2BO=2−butyloctyl
【0071】
【化13】
【0072】
【化14】
【0073】
【化15】
【0074】
【化16】
【0075】
【化17】
【0076】
次に、下記一般式(A)で表される化合物について説明する。
【0077】
【化18】
【0078】
一般式(A)中、Rl及びR2はそれぞれ独立に炭素原子数が2以上でフッ素原子数が13以下のフッ化アルキル基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換又は無置換のアルキル基を表す。
【0079】
一般式(A)中、Rl及びR2で表されるフッ化アルキル基の具体例は、例えば、−C2F5基、−C3F7基、−C4F9基、−C5F11基、−CH2−C4F9基、−C4F8−H基、−C2H4−C4F9基、−C4H8−C4F9基、−C6H12−C4−F9基、−C8H16−C4F9基、−C4H8−C2F5基、−C4H8−C3F7基、−C4H8−C5F11基、−C8H16−C2F5基、−C2H4−C4F8−H基、−C4H8−C4F8−H基、−C6H12−C4F8−H基、−C6H12−C2F4−H基、−C8H16−C2F4−H基、−C6H12−C4F8−CH3基、−C2H4−C3F7基、−C2H4−C5F11基、−C4H8−CF(CF3)2基、−CH2CF3基、−C4H5−CH(C2F5) 2基、−C4H8−CH(CF3) 2基、−C4H8−C(CF3)3基等が好適に挙げられる。
【0080】
フッ化アルキル基はフッ素原子数が13以下であるが、好ましくは3〜11の範囲で、より好ましくは5〜9の範囲である。また、炭素原子数は2以上であるが、好ましくは4〜16、より好ましくは5〜12、さらに好ましくは6から10の範囲である。
【0081】
フッ化アルキル基として好ましくは下記一般式(FA1)で表されるフッ化アルキル基である。
一般式(FA1): −La−Raf−W
一般式(FA1)中、Laは、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、又はこれらを組み合わせてできる2価基を表す。前記置換基としては、どのような基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、リン酸エステル基が好ましい。Laは、炭素数が8以下であるのが好ましく、4以下がより好ましい。また、無置換アルキレンであるのが好ましい。Rafは炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基を表し、好ましくは炭素数1〜5,さらに好ましくは炭素数2−4のパーフルオロアルキレン基である。ここでパーフルオロアルキレン基とはアルキレン基のすべての水素原子がフッ素原子で置き換えられたアルキレン基を言う。前記パーフルオロアルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また環状構造を有していてもよい。Wは水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表し、好ましくは水素原子又はフッ素原子であり、さらに好ましくはフッ素原子である。
【0082】
一般式(A)中、R3及びR4で表される置換又は無置換のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、また環状構造を有していてもよい。前記置換基としては、どんな置換基でもよいが、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子(好ましくはCl)、カルボン酸エステル基、カルボンアミド基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、燐酸エステル基等が好ましい。
【0083】
一般式(A)中、A及びBは、一方が水素原子を、もう―方が−Lb−SO3Mを表し、Mはカチオンを表す。
ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、より好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、一般式(A)で表される化合物の総炭素数や置換基、アルキル基の分岐の程度等により適切に選択することができる。Rl、R2、R3及びR4の炭素数の含計が16以上の場合、リチウムイオンであることが溶解性(特に水に対して)と帯電防止能又は塗布均一性の両立の観点で優れている。
Lbは、単結合又は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。置換基はR3で挙げたものが好ましい。Lbがアルキレン基である場合、C数は2以下であるのが好ましく、無置換であるのが好ましく,メチレン基であるのがより好ましい。Lbは、単結合であるのが最も好ましい。
【0084】
一般式(A)で表される化合物は、各Rl〜R4、A、Bにおけるそれぞれの好ましい態様を組み合わせることが、より好ましい。さらに、一般式(A)で表される化合物は、下記一般式(B)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0085】
【化19】
【0086】
一般式(B)中、Rl及びR2はそれぞれ独立に前記一般式(FA1)で表されるフッ化アルキル基を表し、その好ましい範囲も同様である。
【0087】
―般式(B)中、XはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。ここで、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく例示される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンである。
【0088】
以下、一般式(A)で表される化合物(一般式(B)で表される化合物)の具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。下記例示化合物の構造表記の中で特に断りのない限りアルキル基、パーフルアロアルキル基は直鎖の構造を意味する。
【0089】
【化20】
【0090】
【化21】
【0091】
一般式(F)で表される化合物について詳しく説明する。
【0092】
【化22】
【0093】
一般式(F)中、Rfはパーフルオロアルキル基を表し、好ましくは炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を表す。具体例としては、C3F7−基、C4F9−基、C6F13−基、C8F17−基、C12F25−基、C16F33−基などが好適に挙げられる。Rfは複数の異なる鎖長のパーフルオロアルキル基を有する化合物の混合物であってもよいし、単一のパーフルオロアルキル基を有する化合物であってもよい。Rfが複数の異なる鎖長のパーフルオロアルキル基を有する化合物の混合物であるとき、そのパーフルオロアルキル基の鎖長の平均値は、炭素数として4〜10であることが好ましく、4〜9であることが特に好ましい。
【0094】
一般式(F)中、RCはアルキレン基を表す。アルキレン基の炭素数は1以上であるが、2以上であることが好ましく、その上限は20以下であることが好ましい。具体的にはメチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,2−オクチレン基などが好適に挙げられる。
【0095】
一般式(F)中、Zは界面活性を持たせるために必要なアニオン性基、カチオン性基、ベタイン性基又はノニオン性極性基を有する基を表す。但し、これらの基が含まれていれば、RCとの連結の仕方は特に限定されない。
界面活性を持たせるために必要なアニオン性基の例としては、スルホン酸基及びそのアンモニウム又は金属塩、カルボン酸基及びそのアンモニウム又は金属塩、ホスホン酸基及びそのアンモニウム又は金属塩、硫酸エステル基及びそのアンモニウム又は金属塩、リン酸エステル基及びそのアンモニウム、又は、金属塩等が挙げられる。
界面活性を持たせるために必要なカチオン性基としては、トリメチルアンモニウムエチル基、トリメチルアンモニウムプロピル基などの4級アルキルアンモニウム基、ジメチルフェニルアンモニウムアルキル基、N−メチルピリジウム基などの芳香族アンモニウム基が挙げられる。これらの基には適当な対イオンが存在しており、具体的にはハロゲン原子、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオンなどが挙げられ、トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
界面活性を持たせるために必要なノニオン性極性基としては、ポリオキシアルキレン基、多価アルコール基などが挙げられ、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレン基である。但し、これらの基の末端は水素原子以外の基、例えばアルキル基であってもよい。
【0096】
一般式(F)中、nは0又は1の整数を表し、1であることが好ましい。mは1〜3の整数を表し、Zがリン酸エステル基でない場合、m=1が好ましく、Zがリン酸エステル基を表す場合、m=1〜3あるいはその混合物を表し、その平均値としては1〜2が好ましい。
【0097】
一般式(F)においてRfは、好ましくは炭素数4〜16のパーフルオロアルキル基で、より好ましくは炭素数6〜16のパーフルオロアルキル基である。RCは好ましくは炭素数2〜16の無置換のアルキレン基で、より好ましくは炭素数2〜8の無置換のアルキレン基であり、特に好ましいのはエチレン基である。ZにおいてRC基と界面活性付与に必要な基との間はどのように結合されていてもよく、直結の他、例えばアルキレン鎖、アリーレン等で結合することができ、これらの基は置換基を有していてもよい。また、これらの基は、主鎖又は側鎖にオキシ基、チオ基、スルホニル基、スルホキシド基、スルホンアミド基、アミド基、アミノ基、カルボニル基などが含まれていてもよい。
以下に一般式(F)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0098】
【化23】
【0099】
【化24】
【0100】
【化25】
【0101】
【化26】
【0102】
一般式(F)で表される化合物は、いわゆるテロマー型のパーフルオロアルキル基含有界面活性剤として広く市販されているものを用いることができ、その例としては、DUPONT(株)製のZonyl(R)FSP、FSE、FSJ、NF、TBS、FS−62、FSA、FSK(以上イオン性)、Zonyl(R)9075、FSO、FSN、FS−300、FS−310(以上非イオン性)、旭硝子(株)製のS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145、ダイキン工業(株)製のユニダインDS−101、DS−102、DS−202、DS−301(以上イオン性)、DS−401、DS−403(以上非イオン性)等を挙げることができる。また、これら種々の化合物のうちイオン性の界面活性剤は、その使用目的、必要とされる溶解性等によって、イオン交換あるいは中和等の手段で種々の異なる対塩の形で用いることができる。
【0103】
以上、説明した特定の界面活性剤は、例えば、一般的なエステル化反応及びスルホン化反応を組み合わせて容易に合成することができる。
【0104】
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。
一般式(2)
【化27】
【0105】
(式中、R1は炭素数6〜25のアルキル基又はアルケニル基を表し、aは0または1を表し、m1は2〜4の整数を表し、n1は0〜30の整数を表す。Z1は、OSO3MまたはSO3Mを表し、Mはカチオンを表す。)
【0106】
前記一般式(2)中、R1は炭素数6〜25のアルキル基又はアルケニル基を表し、R1の炭素数は6〜22が好ましく、6〜20がさらに好ましく、8〜18が特に好ましい。アルキル基又はアルケニル基は環状構造を有してもよいが、鎖状アルキル基および鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルキル基又はアルケニル基は置換基を有してもよいが、好ましくは無置換のアルキル基およびアルケニル基である。鎖状アルキル基および鎖状アルケニル基は分岐を有してもよい。アルケニル基の二重結合の位置については、特に制限しない。アルキル基のほうが、アルケニル基よりも好ましい。
【0107】
前記一般式(2)中、aは0または1を表し、0が好ましい。
【0108】
前記一般式(2)中、Z1は、OSO3MまたはSO3Mを表す。Mはカチオンを表し、Mで表されるカチオンとしては、例えばアルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属イオン(バリウムイオン、カルシウムイオン等)、アンモニウムイオン等が好ましく適用される。これらのうち、特に好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンである。
【0109】
前記一般式(2)中、m1は2〜4の整数を表す。n1は、0〜30の整数を表し、0〜25が好ましく、0〜20がさらに好ましく、0〜15が特に好ましい。
【0110】
本発明の一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に例示するが、本発明は以下の具体例によって何ら制限されるものではない。
【0111】
WS−1 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−2 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−3 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−4 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−5 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−6 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−7 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−8 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−9 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−10 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3K(n=0〜12)
【0112】
WS−11 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3NH3(n=0〜12)
WS−12 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−13 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−14 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−15 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜12)
WS−16 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜12)
WS−17 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜12)
WS−18 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜25)
WS−19 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜25)
WS−20 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜25)
【0113】
WS−21 C16H33−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3NH3(n=0〜30)
WS−22 C16H33−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜30)
WS−23 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜30)
WS−24 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜30)
WS−25 C20H41−O−(CH2CH2O)n−(CH2)4−SO3Na(n=0〜30)
WS−26 C8H17CH=C8H15−O−(CH2CH2O)n−(CH2)3−SO3Na(n=0〜30)
WS−27 C22H45−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜30)
WS−28 C24H49−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Na(n=0〜30)
WS−29 C24H49−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−SO3Li(n=0〜30)
WS−30 C6H13−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
【0114】
WS−31 C8H17−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−32 C9H19−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−33 C10H21−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−34 C11H23−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−35 C12H25−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜12)
WS−36 C14H29−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜20)
WS−37 C16H33−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜25)
WS−38 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Na(n=0〜30)
WS−39 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3K(n=0〜30)
WS−40 C18H37−O−(CH2CH2O)n−(CH2)2−OSO3Li(n=0〜30)
【0115】
WS−41 C7H15C(=O)O−(CH2CH2O)2−(CH2)2−SO3Na
WS−42 C9H19C(=O)O−(CH2CH2O)4−(CH2)2−SO3Na
WS−43 C9H19C(=O)O−(CH2CH2O)6−(CH2)3−SO3Na
WS−44 C9H19C(=O)O−(CH2CH2O)8−(CH2)4−SO3Na
WS−45 C11H23C(=O)O−(CH2CH2O)15−(CH2)2−SO3Na
WS−46 C8H17CH=C7H13C(=O)O−(CH2CH2O)15−(CH2)3−SO3Na
WS−47 C21H43C(=O)O−(CH2CH2O)20−(CH2)2−SO3Na
【0116】
上記一般式(2)で表される化合物は、J.Phys.Chem.90,2413(1986)、J.Dispersion Sci.and Tech.,4,361(1983)、US5602087などに記載の公知の方法により合成することができる。
【0117】
本発明における上記一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物の使用量については特に制約はなく、用いる一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物の構造や用いる場所、組成物中に含まれる他の素材の種類や量等に応じて、その使用量を任意に決定することができる。例えば、感光材料の最上層用塗布液として用いる場合、該化合物の塗布組成物中の塗布量としては、0.1〜1000mg/m2であることが好ましく、1〜100mg/m2であることがより好ましい。
【0118】
本発明においては、一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種類を使用すれば、これらの2種類以上を混合して用いてもよい。さらに、一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物以外の界面活性剤を併用してもよい。
【0119】
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわち、チアゾール類、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)など;メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例えばオキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例えばトリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に、4−ヒドロキシ−6−メチル(1,3,3a,7)テトラアザインデン)、ペンタアザインデン類などのようなカブリ防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。たとえば米国特許第3,954,474号、同3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特願昭62−47225号に記載された化合物がある。カブリ防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、脱塩工程、脱塩後の分散時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。
【0120】
本発明において化学増感終了前に核酸または、その分解生成物を共存させて化学増感することも好ましい。核酸またはその分解生成物については特開昭62−67541号記載のものを用いることができる。本発明に用いられる核酸としては、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)を包含し、また、核酸分解物としては分解途中のものやアデニン、グアニン、ウラシル、シトシンおよびチミン等の単体が挙げられる。特にアデニンが好ましい核酸分解生成物として挙げられる。これらは単独であるいは組み合わせて用いることができる。この場合核酸と核酸分解生成物とを組み合わせて用いても良いことはもちろんである。この核酸またはその分解生成物の添加量は核酸分解生成物の種類により異なるが、ハロゲン化銀1モル当たり20mg以上、好ましくは100mg〜1gの範囲である。これらの核酸あるいは核酸分解生成物は、前述のように単独でもあるいは2種類以上組み合わせて用いる場合の添加量の合計は前述の量で十分である。
【0121】
本発明の感光材料には、画像を鮮明にする目的で、必要に応じてクロスオーバー光カット層を感光性乳剤層と支持体の間に設けることができる。クロスオーバーカット層は、両面にハロゲン化銀乳剤層を有する医療用X線写真感光材料に特有の層であり、一方の面からの光が支持体を通して他方の面のハロゲン化銀乳剤層に影響して画質を劣化させる問題を解決する手段である。クロスオーバーカット層は、本願の非感光性親水コロイド層を兼ねることができる。クロスオーバー光カット層には、感光波長域に応じた染料を添加する。染料は、現像処理後に有害な吸収を残さないものであればどのようなものでも使用できる。特に、染料を固体微粒子分散状態で添加するのが好ましい。染料を固体微粒子分散状態で添加する方法は、特開平2−264936号、特開平3−210553号、特開平3−210554号、特開平3−238447号、特開平4−14038号、特開平4−14039号、特開平4−125635号、特開平4−338747号、特開平6−27589号等に記載されている。使用できる染料は、例えば、特開平4−211542号記載の一般式(I)〜(VII)の染料、化合物例I−1〜I−37、II−1〜II−6、III−1〜III−36、IV−1〜IV−16、V−1〜V−6、VI−1〜VI−13、VII−1〜VII−5。特開平8−73767号記載の一般式(1)の染料、化合物例1〜6。特開平8−87091号記載の一般式(VIII)〜(XII)の染料、化合物例VIII−1〜VIII−5、IX−1〜IX−10、X−1〜X−21、XI−1〜XI−6、XII−1〜XII−7。
【0122】
これらの他に、公知の染料を媒染剤に吸着させる方法、公知の染料をオイルに溶解し油滴状に乳化分散する方法、特開平3−5748号記載の染料を無機物表面に吸着させる方法、特開平2−298939号記載の染料をポリマーに吸着させる方法等も利用することができる。クロスオーバー光カット層の、感光材料への添加方法は、各明細書に記載されているものが利用できる。
【0123】
本発明の感光材料には、感光材料の位置検出の目的で、染料を添加してもよい。染料は、検出用センサーの感度極大波長に応じた吸収スペクトルを有することが望ましく、現像処理後に有害な吸収を残さないものであればどのようなものでも使用できる。好ましくは、700nm〜1400nmに吸収極大を有する染料またはその微粒子分散物が使用される。例えば、
(1)処理時に脱色し得る水溶性染料としては、特開平3−211542号記載の一般式(I)〜(IV)のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料、化合物例I−1〜I〜6、II−1〜II−4、III−1〜III−4、IV−1〜IV−5、
【0124】
(2)処理時に脱色し得る固体微粒子分散状染料としては、特開平3−138640号記載の一般式(I)〜(IV)のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料、化合物例I−1〜I〜28、II−1〜II−10、III−1〜III−6、IV−1〜IV−7、
【0125】
(3)処理時に脱色しない染料としては、特願平6−227983号記載の一般式(I)ないし一般式(II)のカルボキシル基を有するトリカルボシアニン染料、化合物例1〜33、特願平6−279297号記載の一般式(I)ないし一般式(II)のカルボキシル基を有するテトラカルボシアン染料、化合物例1〜19、特願平7−208569号記載の一般式(1)〜一般式(3)の酸基を有しないシアニン染料、化合物例1〜63、特開平8−333519号記載の一般式[1]のレーキ型シアニン染料、化合物例No.1〜No.37、
等が挙げられる。
【0126】
これらの他に、特開昭62−299959号記載のピリリウム染料、特開昭63−131135号記載の光散乱粒子、特開平1−266536号記載のシアニン染料、特開平2−282244号記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開平3−136038号記載のホロポーラ型シアニン染料、特開平7−253639号記載のポリマー型シアニン染料、特開平7−113072号記載のスズドープ酸化インジウム(ITO)粉末、特開平9−5913号記載のYb3+化合物も利用することができる。
【0127】
感光材料の位置検出を目的とする染料を添加する層は特に制限がなく、ハロゲン化銀乳剤層、本発明の非感光性親水性コロイド層、表面保護層などに添加することができ、それぞれ添加方法は、各明細書に記載されているものが利用できる。
【0128】
本発明の感光材料には、銀画像の色調を改良する目的で、特願2002−257523の一般式(I)で示される化合物を用いてもよい。それ以外に染料を添加してもよい。染料は、ピラゾロアゾール染料、アントラキノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニルメタン染料、インドアニリン染料およびインドフェノール染料などの中から、所定の吸収極大波長を有するものが選択される。中でも特開平5−34858号記載の一般式(I)のアントラキノン染料、特開平4−247449号記載の一般式(I)および特開平4−296845号記載の一般式(I)のアゾメチン染料、特開平5−43809号記載の一般式(I)に含まれるインドアニリン染料および特開平5−341441号記載のアゾ染料が有用である。
【0129】
アントラキノン染料として具体的に、特開平5−341441号記載の化合物1〜9、特開平5−165147号記載の化合物3−6〜3−18および3−23〜3−38を使用することができる。アゾメチン染料として具体的に、特開平5−341441号記載の化合物17〜46を使用することができる。インドアニリン染料として具体的に、特開平5−289227号記載の化合物11〜19、特開平5−341441号記載の化合物47および特開平5−165147号記載の化合物2−10〜2−11を使用することができる。アゾ染料として具体的に、特開平5−341441号記載の化合物10〜16を使用することができる。
【0130】
銀画像の色調の改良の目的とする染料の、感光材料への添加方法は、各明細書に記載されているものが利用できる。
【0131】
本発明のハロゲン化銀感光材料においては、コロイド状シリカを含有することができる。コロイド状シリカとは平均粒径が1〜1000nm、好ましくは5〜500nm、さらに好ましくは5〜100nmでありその主成分は二酸化珪素からなり、少量成分としてアルミナ、あるいはアルギン酸ナトリウムなどを含んでいてもよい。
コロイド状シリカの具体例としては、日産化学(株)(日本、東京)の商品名でスノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックスC、スノーテックスO等が挙げられる。
コロイド状シリカを含有する層は、表面保護層、中間層、ハロゲン化銀乳剤層、アンチハレーション層、下塗り層、フィルター層、バッキング層など任意の親水性コロイド層でもよいが、特に耐圧力性を目的とする場合においては、表面保護層、またはハロゲン化銀乳剤層に含有することが好ましい。
コロイド状シリカの含有量としては、含有される親水性コロイド層の親水性コロイド質量に対して1〜200質量%が好ましく、特に10〜100質量%が最も好ましい。
またコロイド状シリカを含有する層において、必要に応じて可塑性のポリマーラテックスを併用して含有することが好ましい。
【0132】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、水に対して難溶性のモノマーを重合してなるポリマーラテックスを含有してよい。
【0133】
こうしたモノマーとしては、例えば特開平7−230135号の2頁2段目5行目〜17行目記載のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ジビニルベンゼン等を用いることができる。
【0134】
このようなポリマーラテックスは上記モノマーを他のモノマーと共重合してもよく、このときのモノマーとしては、例えば特開平7−230135号の2頁2段目32行目〜4頁1段目35行目記載のモノマーを用いることができ、それらの内、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、スチレン類、オレフィン類が好ましく用いられる。
前記ポリマーラテックスの例としては、例えば特開平7−230135号のLx−1〜Lx−21が挙げられる。
【0135】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、特開平6−194779号の実施例1に記載のNo.1〜No.8のマット剤を好ましく用いることができる。また、特開平6−138572号の段落0023に記載の好ましい化合物例1〜9を好ましく用いることができる。
【0136】
これらのマット剤のサイズなどに関しては、特開平6−194779号の段落0049に記載のサイズや使用量で好ましく用いることができる。また2種類以上の粒子サイズのマット剤を混ぜて使うことができる。マット剤の粒子サイズ分布については、目的に応じその変動係数が、3〜30%の単分散粒子をも用いたり、30%以上の多分散粒子を用いたりできる。
【0137】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料においては、ハロゲン化銀乳剤の好ましい塗布量は、銀量換算で、片面1m2当たりで、2.0g以下である。好ましくは、0.5g以上1.7g以下である。さらに好ましくは0.8g以上1.5g以下である。
【0138】
本発明における非感光性親水性コロイド層の全ゼラチンの塗布量は、2.5g以下(片面当たりの総塗布量)であり、0.5g/m2以上2.5g/m2以下が好ましく、特に好ましくは、1.0g/m2以上2.1g/m2以下である。この場合に保護層のゼラチン塗布量は、0.2g/m2以上1.0g/m2以下が好ましい。
【0139】
本発明において、感光材料の膨潤率は、感光材料を21℃の蒸留水に3分間浸漬した後の膜厚値から、乾燥状態の膜厚値を引いた値を膨潤値とし、その値を乾燥状態の膜厚値で割った値に100を掛けた値で(%)で定義され、求めることができる。好ましい膨潤率の範囲は20%〜220%であり、より好ましくは40%以上150%以下である。
【0140】
一般にハロゲン化銀写真感光材料は、ゼラチンのような親水性コロイドをバインダーとする水性塗布液を支持体上に塗布した後、−10℃〜20℃の乾球温度の低温空気中で冷却凝固させて、次いで、温度を高めて乾燥される。塗布直後のゼラチンと水分の質量比は3000%前後が普通である。
この塗布液には、通常親水性コロイドバインダー、ハロゲン化銀粒子、界面活性剤、ポリマーラテックスのような可塑剤、ゼラチン硬化剤、染料、増感色素、マット剤等種々の添加剤が含まれている。
本発明においては、親水性コロイド層塗布液を塗布後乾燥する際、ハロゲン化銀乳剤層を有する側の塗布層全層のバインダー乾量に基づいて100%以下の水分量になるまで、湿球温度が20℃以下、好ましくは19℃〜10℃で乾燥することが好ましい。
親水性コロイド層が2層以上同時に塗布し、乾燥される場合には(すなわち乾燥対象となる塗布層が2層以上の場合には)、水分量は、全層の水分の和を、バインダー乾量は、全層のバインダー乾量(乾燥質量)の和を表わす。
湿球温度とは、湿り空気の平衡状態での水滴の温度で、空気の湿度が小さいほど低い。乾燥工程の恒率乾燥期間においては、乾燥風の湿球温度が塗布試料の表面温度にほぼ等しい。
【0141】
また、塗布、乾燥後ロール状に巻き取る時の環境条件は、絶対湿度が1.4質量%以下、好ましくは1.3〜0.6質量%で、巻き取られることが好ましい。本発明において、塗布、乾燥後ロール状に巻き取ったハロゲン化銀写真感光材料の製品加工は、絶対湿度が1.4質量%以下、好ましくは1.3〜0.6質量%の環境下で、加工されるのが好ましい。
絶対湿度(wt%)とは、湿り空気の状態を表し、湿り空気中の水蒸気量(kg)と湿り空気中の乾き空気の質量(kg)の比を百分率で表したものである。ハロゲン化銀写真感光材料を防湿性のある包装体内に入れ、包装体内の絶対湿度が1.4質量%以下、好ましくは1.1〜0.6になる様に、その口をヒートシール等の方法で密封し、感光材料が、上記絶対湿度で平衡になっていることをいう。
【0142】
更に、加工終了後、絶対湿度1.4質量%以下の環境下でシーズニングしてから、同一環境下で包装体内にヒートシール密封するのは特に好ましい。
【0143】
本発明のハロゲン化銀写真乳剤およびハロゲン化銀写真感光材料に用いられる各種添加剤に関しては特に制限はなく、例えば特開平2−68539号公報の以下の該当箇所に記載のものを用いることができる。
【0144】
項目該当箇所
1.ハロゲン化銀乳剤とその製法
特開平2−68539号公報第8頁右下欄下から6行目から同第10頁右上欄12行目。
2.化学増感方法
同第10頁右上欄13号目から同左下欄16行目。
3.カブリ防止剤・安定剤
同第10頁左下欄17行目から同第11頁左上欄7行目および同第3頁左下欄2行目から同第4頁左下欄
4.分光増感色素
同第4頁右下欄4行目から同第8頁右下欄。
5.界面活性剤・帯電防剤
同第11頁左上欄14行目から同第12頁左上欄9行目
6.マット剤・滑り剤
同第12頁左上欄10行目から同右上欄10行目。
可塑剤
同第14頁左下欄10行目から同右下欄1行目。
7.親水性コロイド
同第12頁右上欄11行目から同左下欄16行目。
8.硬膜剤
同第12頁左下欄17行目から同第13頁右上欄6行目。
9.支持体
同第13頁右上欄7行目から20行目。
10.染料・媒染剤
同第13頁右下欄1行目から同第14頁左下欄9行目。
【0145】
本発明の写真感光材料は、蛍光スクリーンとして例えば下記の蛍光体を含有する蛍光増感紙を用いて、X線撮影を好ましく行うことができる。
【0146】
ブルー発光蛍光体
Y2O2S:Tb、LaOBr:Tb、BaFCl:Eu
グリーン発光蛍光体
Gd2O2S:Tb、LaO2S:Tb
【0147】
UV発光蛍光体としては、M’相YTaO4単独あるいはGd、Bi、Pb、Ce、Se、Al、Rb、Ca、Cr、Cd、Nbなどを添加した化合物、LaOBrにGd、Tm、GdおよびTm、GdおよびCe、Tbを添加した化合物、HfZrの酸化物単独あるいはGe、Tiアルカリ金属などを添加した化合物、Y2O3単独あるいはGd、Euを添加した化合物、Y2O2SにGdを添加した化合物、各種蛍光体の母体にGd、Tl、Ceを付活剤として用いた化合物などがある。特に好ましい化合物としては、M’相YTaO4単独あるいはGd,Srを添加した化合物、LaOBrにGd、Tm、GdおよびTmを添加した化合物、HfZrの酸化物あるいはGe、Tiアルカリ金属などを添加した化合物である。
【0148】
蛍光体の粒径は1μm以上20μm以下がよいが、求められる感度や製造上の問題から変更できる。塗布量は、400g/m2以上2000g/m2以下が好ましいが、求められる感度や画質に応じて一概にはいえない。また一枚の増感紙で支持体の近傍から表面に向かって粒子サイズ分布を付けてもかまわない。この場合一般的には表面の粒子を大きくすることが知られている。蛍光体の空間充填率は40%以上、好ましくは60%以上である。
【0149】
感光材料の両面に蛍光体層を配して撮影する場合、X線入射側とその反対側の蛍光体塗布量は変えることができる。一般にX線入射側の増感紙による遮蔽のため、特に高感度システムを必要とする場合、X線入射側の増感紙の塗布量を小さくすることが知られている。
【0150】
本発明に用いられるスクリーンに使用する支持体は、紙、金属板、ポリマーシートなどが挙げられるが、一般的にはポリエチレンテレフタレートなどのフレキシブルなシートが用いられる。支持体には、必要に応じて、反射剤や光吸収剤が添加されていても表面に別の層として設けられていてもよい。
【0151】
また、必要に応じて、支持体表面に微少に凹凸を付けたり、蛍光体層との密着力増加のための粘着層や、導電層を下塗りとして設けることができる。反射剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウムなどが挙げられるが、蛍光体の発光波長が短いことから、酸化チタン、硫酸バリウムが好ましい。反射剤は、支持体中あるいは支持体と蛍光体層の間だけでなく、蛍光体層中に存在せしめても良い。蛍光体層中に存在させる場合、支持体近傍に偏在させることは好ましい。
【0152】
本発明のスクリーンで用いられる結合剤としては、ゼラチンなどの蛋白質、デキストラン、コーンスターチなどのポリサッカライド、アラビアゴムなど天然高分子物質;ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアルキルアクリレート、塩化ビニリデン、ニトロセルロース、フッ素含有ポリマー、ポリエステルなどの合成高分子物質、またこれらの混合物やコポリマーが挙げられる。好ましい結合剤としては、基本的な性能としては、蛍光体からの発光に対して透過率が高いことが挙げられる。この点において、ゼラチン、コーンスターチ、アクリル系ポリマー、フッ素を含むオレフィンポリマーやフッ素を含むオレフィンをコポリマー成分として含有するポリマー、スチレン/アクリルニトリルコポリマーなどが挙げられる。これらの結合剤は、架橋剤によって架橋されるような官能器を有していてもよい。また、求められる画質性能によって、結合剤中に蛍光体からの発光に対する吸収剤を添加させたり、透過率の低い結合剤を用いてもよい。吸収剤としては、顔料や染料、紫外線吸収化合物があげられる。蛍光体と結合剤の比率は、一般的に体積比において1:5ないし50:1、好ましくは1:1ないし5:1である。蛍光体と結合剤の比率は、均一であっても厚さ方向に不均一であってもよい。
【0153】
蛍光体層は、通常、蛍光体を結合剤溶液中に分散させた塗布液を用い、塗布法により形成される。塗布液の溶剤としては、水あるいはアルコール、塩素含有炭化水素、ケトン、エステル、エーテル芳香族化合物などの有機溶剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
塗布液中には、蛍光体粒子のフタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、界面活性剤などの分散安定剤や、燐酸エステル、フタル酸エステル、グリコール酸エステル、ポリエステル、ポリエチレングリコールなどの可塑剤を添加してもよい。
【0154】
本発明に用いられるスクリーンには蛍光体層上に保護層を設けることができる。保護層は、蛍光体層上に塗布する方法、別途保護層膜を作製しラミネートする方法が一般的に用いられる。塗布法においては、蛍光体層と同時に塗布してもよいし、蛍光体層を塗布乾燥させた後塗設してもよい。保護層は、蛍光体層の結合剤と同じ物質でもよいし、異種の物質でもよい。保護層に用いられる物質としては、蛍光体層の結合剤に挙げた物質のほか、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、メラミン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。好ましい物質としては、ゼラチン、コーンスターチ、アクリル系ポリマー、フッ素を含むオレフィンポリマーやフッ素を含むオレフィンをコポリマー成分として含有するポリマー、スチレン/アクリルニトリルコポリマーなどが挙げられる。保護層の厚みは、一般に1μm以上20μm以下で、2μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上6μm以下がさらに好ましい。本発明の保護層の表面にエンボス加工を施すことは好ましい。また保護層中にマット剤を存在せしめてもよいし、求める画像によって発光に対し光散乱性を有している物質、例えば酸化チタンなどを存在させてもよい。
【0155】
本発明に用いられるスクリーンの保護層中には、表面の滑り性を付与してもよい。好ましい滑り剤としては、ポリシロキサン骨格含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基含有オリゴマーが挙げられる。
【0156】
本発明の保護層に導電性を付与してもよい。導電性付与剤としては、白色および透明な無機導電性物質や有機帯電防止剤が挙げられる。好ましい無機導電性物質としては、ZnO粉末や、ウィスカ、SnO2、ITOなどが挙げられる。
【0157】
本発明の現像処理の方法としては、米国特許第5498511号、特開平7−16832号、特開平8−54712号、特開平9−329875号、特開平10−26815号に記載の方法を参考にすることができる。
【0158】
本発明の感光材料を処理する現像液には、ハイドロキノンやアスコルビン酸あるいはエリソルビン酸(アスコルビン酸のジアステレオマー)および/またはそれらの誘導体を用いることが好ましい。
本発明に用いるアスコルビン酸および/またはそれらの誘導体としては米国特許第2688549号、特公昭36−17599号、特開平3−249756号、特開平4−270343号等に記載されている。
具体的には米国特許第2688549号の第1ページ第1カラムの22行目から第1ページ第2カラムの33行目までに記載の化合物、特公昭36−17599号の第1ページ左カラム21行目から26行目に記載の化合物、特開平3−249756号第4ページに記載の化合物I−1からI−8およびII−1からII−4、特開平4−270343号第4ページ第5カラム40行目から50行目に記載されている化合物を用いることができる。
これらのうち、アスコルビン酸あるいはエリスソビン酸(アスコルビン酸のジアステレオマー)およびこれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい。
現像主薬は通常0.01モル/リットル〜0.8モル/リットルの量で用いられるのが好ましく、0.1モル/リットル〜0.4モル/リットルの量で用いるのが特に好ましい。
【0159】
本発明において、現像主薬とともに超加成性を示す補助現像主薬を併用することが望ましい。
超加成性を示す補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン類補助現像主薬がある。
1−フェニル−3−ピラゾリドン類補助現像主薬としては、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−p−アミノフェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンなどがある。これらのうち1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンが好ましい。
本発明において、現像主薬とともに1−フェニル−3−ピラゾリドン類補助現像主薬を組み合わせて使用する場合には0.001モル/リットル〜0.1モル/リットルの量で用いられるのが好ましく、特に後者を0.005モル/リットル〜0.05モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
【0160】
また、超加成性を示す補助現像主薬としてはp−アミノフェノール類補助現像主薬がある。
p−アミノフェノール類補助現像主薬としては、N−メチル−p−アミノフェノール、N−(β−ヒドロキシエチル)−p−アミノフェノール、N−(4−ヒドロキシフェニル)−グリシン、2−メチル−p−アミノフェノール、p−ベンジルアミノフェノール等があるが、なかでもN−メチル−p−アミノフェノールが好ましい。
本発明において、現像主薬とともにp−アミノフェノール類補助現像主薬を組み合わせて使用する場合には、0.001モル/リットル〜0.1モル/リットルの量で用いられるのが好ましく、特にp−アミノフェノール類補助現像主薬を0.005モル/リットル〜0.05モル/リットルの量で用いるのが好ましい。
【0161】
現像液に添加するカブリ防止剤としては、アゾール化合物(例えばベンゾチアゾリウム類、ベンゾイミダゾリウム類、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、ニトロインダゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、テトラゾール類、トリアジン類等)、メルカプト化合物(例えばメルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトイミダゾール類、メルカプトベンゾイミダゾール類、メルカプトベンゾオキサゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトオキサジアゾール類、メルカプトテトラゾール類、メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類等)などが挙げられる。
特にベンゾトリアゾール類としては、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ブロムベンゾトリアゾール、5−クロルベンゾトリアゾール、5−ブチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール等がある。ニトロインダゾール類としては、5−ニトロインダゾール、6−ニトロインダゾール、4−ニトロインダゾール、7−ニトロインダゾール、3−シアノ−5−ニトロインダゾール等を用いることができる。
【0162】
本発明において、現像液に銀汚れ防止剤として、特公昭56−46585号、特公昭62−4702号、特公昭62−4703号、米国特許第4252215号、米国特許第3318701号、特開昭58−203439号、特開昭62−56959号、特開昭62−178247号、特開平1−200249号、特開平5−503179号、特開平5−53257号に記載の化合物を用いることができる。
【0163】
本発明において、定着液として公知の種々の液を用いることができる。例えば良く知られているチオ硫酸塩を含む水溶液であり、pHは3.8以上、好ましくは4.2〜6.2である。定着剤としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、などがある。定着剤の濃度は適宜変えることができ、また、定着液には硬膜剤として作用する水溶性アルミニウム塩を含んでも良く、それらには、例えば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬などがある。定着液には、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、あるいはそれらの誘導体を単独あるいは2種以上併用して用いることができる。これらの化合物は定着液1L当たり0.005モル以上添加するのが好ましく、特に0.01モル/L〜0.03モル/L添加するのが有効である。定着液には、所望により保恒剤として亜硫酸塩や重亜硫酸塩を使用液1L当たり10g以上、好ましくは50g以上、pH緩衝剤として酢酸や硼酸を使用液1L当たり0.2モル以上、より好ましくは0.5モル以上含むのが良い。また、pH調整剤(例えば、硫酸)、硬水軟化能のあるキレート剤や特開昭62−78551号に記載の化合物を含むことができる。
【0164】
定着促進剤としては、特公昭45−35754号、特開昭58−122535号、同58−122536号記載のチオ尿素誘導体、分子内に三重結合を有したアルコール、米国特許第4126459号記載のチオエーテル、またはアニオンをフリー化するシクロデキストランエーテル体、クラウンエーテル類、ジアザシクロウンデセンやジ(ヒドロキシエチル)ブタミン等が挙げられる。特開平7−5654号、同6−273898号に記載のメソイオン系化合物を含むことができる。
【0165】
水洗浴または安定化浴には、防黴手段を施すのが好ましい。防黴手段としては、特開昭60−263939号に記された紫外線照射法、同60−263940号に記された磁場を用いる方法、同61−131632号に記されたイオン交換樹脂を用いて純粋にする方法、同61−115154号、同62−153952号、特開昭62−220951号、同62−209532号に記載の防菌剤を用いる方法を併用することができる。
【0166】
さらにはL.F.West,”Water Quality Criteria”,Photo.Sci.& Eng.,Vol.9(1965)、M.W.Beach,”Microbiological Growth in Motion−picture Processing”,SMTPE Journal Vol.85(1976)、R.D.Deegan,”Photo Processing Wash Water Biocides”,J.Imaging Tech.,Vol.10,No.6(1984)および特開昭57−8542号、同57−58143号、同58−105145号、同57−132146号、同58−18631号、同57−97530号、同57−157244号、特開平6−118583号、同8−248589号等に記載されている防菌剤、防黴剤、界面活性剤等を併用することができる。
【0167】
さらに、水洗浴または安定化浴には、R.T.Kreinman著,J.Image.Tech.,10(6),242頁(1984)に記載されたイソチアゾリン系化合物、Research Disclosure,第205巻,No.20526(1981年5月号)に掲載されたイソチアゾリン系化合物、同第228巻,No.22845(1983年4月号)に記載されたイソチアゾリン系化合物、特開昭62−209532号に記載された化合物等を防菌剤(Microbiocide)として併用することもできる。
その他、「防菌防黴の化学」堀口博著,三井出版(昭和57)、「防菌防黴技術ハンドブック」,本防菌防黴学会,博報堂(昭和61)に記載されているような化合物を含んでもよい。
【0168】
さらに、水洗または安定化浴に防黴手段を施した水を処理に応じて補充することによって生じる水洗または安定化浴からのオーバーフローの一部または全部は特開昭60−235133号に記載されているようにその前処理工程である定着能を有する処理液の希釈に利用することもできる。
【0169】
本発明の処理システムにおいては、現像槽から定着槽、定着槽から水洗槽への感材により持ち出される液の持ち出し量は、4切り1枚当たり0.01ml以上2ml以下が好ましく、0.1ml以上1.2ml以下が好ましく、さらに好ましくは0.1ml以上0.8ml以下が好ましい。
水洗槽が、多段である場合は、水洗槽から水洗槽への持ち出し量は、4切り1枚当たり、0.1ml以上2ml以下が好ましく、0.1ml以上1.2ml以下がより好ましい。さらに好ましくは0.1ml以上0.8ml以下が好ましい。
水洗槽から乾燥ゾーンに入る際の水洗水の持ち出し量は、感材4切り1枚当たり、0.1ml以上2ml以下が好ましく、より好ましくは1ml以下であり、さらに好ましくは0.5ml以下である。
【0170】
本発明の感材は迅速処理に適するものであり、現像槽に搬入されて乾燥工程を終了するまでの全処理時間(Dry to Dry)は90秒以下、さらには5〜60秒であることが好ましい。
この場合の現像は25〜40℃で5〜30秒、定着は25〜40℃で5〜40秒、水洗は0〜40℃で5〜30秒、乾燥は40〜120℃で1〜30秒行うことが好ましい。また補充量は、各々感材1m2当たり現像液は30〜650ml、定着液30〜650ml、水洗水は30〜50,000mlであることが好ましい。
【0171】
このような処理の詳細については、前出の特開平9−329875号等の記載を参照することができる。
【0172】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を説明する。
実施例1
ハロゲン化銀乳剤
(比較ハロゲン化銀乳剤−1の調製)
KBr0.8g、平均分子量20000のゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000のゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し、平均分子量100000のゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液(濃度0.3モル/L)をpAg8.0に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチン(濃度10質量%水溶液)を20g加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.1μm、円相当直径の変動係数20%、平均厚み0.16μm、平均アスペクト比6.9の平板粒子であった。粒子形状の測定は、この粒子のレプリカの透過型電子顕微鏡写真像を観察することで行った。
【0173】
(ハロゲン化銀乳剤A−1の調製)
核形成時に酸化処理ゼラチンを用いて、高アスペクト比の粒子の微粒子乳剤を作成した。
KBr0.8g、平均分子量20000の酸化処理ゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000の酸化処理ゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し、平均分子量100000のゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチンを加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.2μm、円相当直径の変動係数21%、平均厚み0.12μm、平均アスペクト比10の平板粒子であった。
【0174】
(ハロゲン化銀乳剤B−1の調整)
核形成時に酸化処理ゼラチンを用いて、高アスペクト比の粒子の微粒子乳剤を作成した。
KBr0.8g、平均分子量20000の酸化処理ゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000の酸化処理ゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し、平均分子量100000のゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチンを加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.5μm、円相当直径の変動係数22%、平均厚み0.10μm、平均アスペクト比15の平板粒子であった。
【0175】
(ハロゲン化銀乳剤C−1の調製)
核形成時に酸化処理ゼラチン、粒子成長時にコハク化ゼラチンを用いて、さらに高アスペクト比の粒子で微粒子の乳剤を作成した。
KBr0.8g、平均分子量20000の酸化処理ゼラチン3.2gを含む水溶液1178mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.6g)水溶液とKBr(1.16g)水溶液と平均分子量20000の酸化処理ゼラチン(1.1g)水溶液をトリプルジェット法で45秒間に渡り添加した。AgNO3溶液の濃度は0.3mol/リットルの溶液を用いた。その後20分かけて75℃に昇温し平均分子量100000のコハク化ゼラチン26gを添加した。AgNO3(209g)水溶液とKBr水溶液をpAg8.5に保ちながらコントロールダブルジェット法で流量加速しながら75分間に渡って添加した。平均分子量100000のゼラチンを加えた後、常法に従って脱塩した。その後、平均分子量100000のゼラチンを加えて分散し、40℃でpH5.8、pAg8.0に調整し、乳剤を調製した。この乳剤は乳剤1kg当たり、Agを1モル、ゼラチンを60g含有し、ハロゲン化銀乳剤粒子は、平均円相当直径1.8μm、円相当直径の変動係数22%、平均厚み0.08μm、平均アスペクト比22.5の平板粒子であった。
【0176】
(化学増感)
以上のように調製したそれぞれの乳剤を攪拌しながら56℃に保った状態で化学増感を施した。まず、下記のチオスルホン酸化合物−Iをハロゲン化銀1モル当たり10−4モル添加し、次に直径0.03μmのAgI微粒子を全銀量に対して0.15モル%添加した。3分後に二酸化チオ尿素を1×10−6モル/モルAg添加し、22分間そのまま保持して還元増感を施した。次に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンをハロゲン化銀1モル当たり3×10−4モル相当を添加し、増感色素1の分散物を増感色素1の量としてハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル相当及び下記増感色素2,3水溶液をそれぞれハロゲン化銀1モル当たり1.0×10−4モル、3.0×10−5モル相当添加し、さらに塩化カルシウムを添加した。
【0177】
増感色素1の分散物は以下のようにして調製した。
蒸留水50mlに増感色素1を1g加え、pH7.0±0.5に調整して、50℃〜65℃でディゾルバーを用いて2000〜2500rpmで機械的に分散し、平均粒子サイズ1μm以下の固体状微粒子に分散した。分散後、10質量%のゼラチン50gを加えてから、冷却した。
【0178】
引き続き、チオ硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり6×10−6モル相当とセレン化合物−1をハロゲン化銀1モル当たり4×10−6モル相当加えた後、塩化金酸をハロゲン化銀1モル当たり1×10−5モル相当およびチオシアン酸カリウムをハロゲン化銀1モル当たり2×10−3モル相当添加した。さらに核酸(山陽国策パルプ社製:商品名RNA−F)をハロゲン化銀1モル当たり67mg相当添加した。40分後に水溶性メルカプト化合物−1をハロゲン化銀1モル当たり1×10−4モル相当添加し、さらにメルカプト化合物−2をハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル相当モル添加し、さらに水溶性メルカプト化合物−2をハロゲン化銀1モル当たり1×10−3モル相当モル添加し、35℃に冷却した。こうして乳剤の化学増感を終了した。
【0179】
【化28】
【0180】
塗布試料の作成
(染料層塗布液の調製)
乳剤下層として塗設する染料層(クロスオーバーカット層)の各成分が、下記の塗布量となるように塗布液を調製した。
【0181】
(クロスオーバーカット用染料の調製方法)
染料A(固形10g)に対してメタノール150mlと水50mlの混合溶媒中で70℃に制御しながら2時間撹拌し、水のウエットケーキ状染料I−46を作製した。その結果、染料結晶中には染料1モルに対してメタノール1モルと水2モルが含まれていた。結晶溶媒の確認方法としては、ウエットケーキを測定用に室温乾燥し、1H−NMRにより結晶中のメタノールの存在が確認できた。またカールフィッシャー滴定法により結晶水の存在が確認できた。またこの結晶を150℃で加熱すると結晶中のメタノール、および結晶水が放出されることも確認した。このことからウエットケーキ中の染料固形濃度は50質量%であった。
【0182】
(クロスオーバーカット用染料の微結晶水分散物の調製方法)
上述のウエットケーキ状染料を乾燥させないでウエットケーキとして取り扱い、染料固形として3.0gを秤取した。分散するための水と分散剤としてデモールSNB(花王(株)社製)の25質量%溶液1.2gを予め混合した上で、先の染料を添加し、合計が30gとなるように水で調整してから良く混合してスラリーとした。ジルコニア製ビーズを120g用意し、スラリーと一緒にベッセルに入れ、1/16ガロンのサンドグラインダーミル(アイメックス(株)社製)にて1500rpm回転でベッセルを水冷しながら分散した。ジルコニア製ビーズの平均粒径としては、1mmのものを使用し、分散時間は8時間とした。分散終了後、染料の固形分濃度が5質量%となるように水を加えて分散液を取り出した。この染料分散物をDP1とした。
【0183】
(染料層塗布液の調製方法)
以下の塗布量となるように水母液に各化合物を添加した。各化合物の添加順に、片面1m2当たりの素材塗布量を記載した。
このとき、酢酸または水酸化ナトリウムを少量用いてこの塗布液のpHを6.0に調整した。塗布量は片側1m2当たり12.4mlであった。
【0184】
【化29】
【0185】
(乳剤層塗布液の調製方法)
以下の塗布量となるように乳剤に各化合物を添加した。片面1m2当たりの素材塗布量
・塗布銀量 1.25g
・ゼラチン 1.25g
・デキストラン(平均分子量3.9万) 344mg
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万) 27mg
・A−2 162mg
・A−3 1.9mg
・A−4 0.35mg
・A−5 1.9mg
・染料−1(オイル乳化物) 染料固形分として 0.33g
・1,2−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン 50mg
このときこの乳剤層の塗布液量は片側1m2当たり32.6mlであった。上記における化合物は以下のとおりであった。
【0186】
【化30】
【0187】
(表面保護層塗布液の調製方法)
以下の塗布量となるように各化合物を添加した。
片面1m2当たりの素材塗布量
・ゼラチン 0.767g
・ポリアクリル酸ナトリウム(平均分子量40万) 80mg
・ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(平均分子量60万)1.1mg
・マット剤−1(平均粒径3.7μm) 固形分として70mg
・A−6(比較界面活性剤−1) 18.1mg
・A−7 34.5mg
・A−8 6.8mg
・A−9(比較界面活性剤−2) 3.2mg
・A−10(比較界面活性剤−3) 1.4mg
・A−11 2.1mg
・A−12 1.0mg
・防腐剤D 0.9mg
・p−ベンゾキノン 0.7mg
このとき水酸化ナトリウムを少量用いてこの表面保護層の塗布液のpHを6.8に調整した。塗布量は片側1m2当たり10.7mlであった。上記における化合物は以下のとおりであった。
【0188】
染料層塗布液のA−1(比較界面活性剤−1)および表面保護層塗布液のA−6(比較界面活性剤−1)を、一般式(2)で表されるWS−16(n=3)およびWS−22(n=3)をそれぞれ等モルに置き換え、表面保護層塗布液のA−9(比較界面活性剤−2)を、一般式(1)で表される化合物FS−8、FS−11、FS−12および一般式(F)で表される化合物FSF−31にそれぞれ等モルで置き換え、A−10(比較界面活性剤−3)を一般式(1)で表されるFS−25および一般式(A)で表される化合物FSA−6をそれぞれ等モルに置き換えた以外は同様にして、表1〜表4に示すように各感光材料に添加した。
【0189】
【化31】
【0190】
【化32】
【0191】
二軸延伸された厚さ175μmの青色染色(1,4−ビス(2,6−ジエチルアニリノアントラキノンを含有する)ポリエチレンテレフタレート支持体上に、コロナ放電を行い、下記の主成分を含む各塗布液を第1下塗り層、第2下塗り層の順にワイヤーバーコーターにより支持体の両側に塗布した。
【0192】
・第1下塗り層(支持体側)
支持体の片側1m2当たりの塗布液量を4.9mlとした。各添加素材の支持体の片側1m2当たりの塗布量は以下のとおりである。
【0193】
・第2下塗り層
支持体の片側1m2当たりの塗布液量を7.9mlとした。各添加素材の支持体の片側1m2当たりの塗布量は以下のとおりである。
【0194】
(写真材料の塗布方法)
前述のように準備した下塗り塗布された支持体上に支持体側から染料層、乳剤層、表面保護層の構成になるように同時押し出し法により両面に同時塗布し、乾燥した。
【0195】
(塗布均一性の評価)
上記のようにして塗布した各感光材料を、白灯下で目視により表面を観察して、次のように5段階で評価した。
5:スポット故障や塗布ムラの発生は全く無い。
4:スポット故障や塗布ムラの発生は僅かにあるが、実用上全く問題無いレベルである。
3:スポット故障や塗布ムラの発生は少しあるが、実用上は許容されるレベルである。
2:スポット故障や塗布ムラの発生があり、実質上許容できないレベルである。
1:スポット故障や塗布ムラが多発しており、実用上全く許容できないレベルである。
結果を表1〜表4に示す。
【0196】
(処理)
自動現像機:富士写真フィルム(株)社製CEPROS−30
現像液の調製
【0197】
【0198】
【0199】
(処理液の調製)
上記現像液濃度液を上記CEPRO−30用処理剤入容器に各パーツ剤毎に充填した。この容器はパーツ剤A、B、Cの各部分容器が容器自身によって一つに連結されているものである。
また、上記定着液濃度も同種の容器に充填した。
まず、現像槽内にスターターとして、酢酸54gと臭化カリウム55.5gを含む水溶液300mlを添加した。
上記処理剤入容器を逆さにして自現機の側面に装着されている処理液ストックタンクの穿孔刃にさしこんで、キャップの封止膜を破り、容器内の各処理剤をストックタンクに充填した。
【0200】
これらの各処理剤を下記の割合で自現機の現像槽、定着槽に、それぞれ自現機に設置されているポンプを作動して満たした。
また、感光材料が4切サイズ換算で8枚処理される毎にも、この割合で、処理剤原液と水とを混合して自現機の処理槽に補充した。
【0201】
現像液
パーツ剤A 55 ml
パーツ剤B 10 ml
パーツ剤C 10 ml
水 125 ml
pH 10.50
定着液
濃縮液 80 ml
水 120 ml
pH 4.62
水洗槽には水道水を満たした。
【0202】
また、水あか防止剤として、放線菌を平均粒径100μm、平均孔径3μmのパーライトに担持させたもの0.4gをポリエチレン製のビン(ビン開口部を300メッシュのナイロン布で覆い、この布より水および菌の流通が可能)に充填したものを3個用意し、そのうちの2個を水洗槽の底部に、1個を水洗水のストックタンク(液量0.2リットル)の底部にそれぞれ沈めた。
【0203】
(現像ムラの評価)
塗布された各感光材料の四切サイズ(10インチ×12インチ)に、均一な露光を行い、次に記述する処理条件にて黒化濃度が、1.1〜1.3の範囲に入るようにした。処理済感光材料をシャーカステン上で目視観察し、次のように5段階で評価した。
5:全体が均一に黒化していて、現像ムラは全く観察されないレベル。
4:現像ムラの発生は僅かにあるが、実用上全く問題無いレベルである。
3:現像ムラの発生は少しあるが、実用上は許容されるレベルである。
2:現像ムラの発生があり、実質上許容できないレベルである。
1:現像ムラの発生が顕著で、実用上全く許容できないレベルである。
得られた結果を表1〜表4に示す。
【0204】
【表1】
【0205】
【表2】
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】
表1〜4の結果から明らかなように、ハロゲン化銀粒子の厚みが大きい比較ハロゲン化銀乳剤−1の場合は、従来の界面活性剤A−1、A−6、A−9およびA−10を含めて、いずれも良好な塗布均一性および現像ムラの無い良好な画像を得ることができるが、ハロゲン化銀粒子の厚みが小さいハロゲン化銀乳剤A−1、B−1およびC−1の場合には、従来の界面活性剤A−1、A−6、A−9およびA−10では、塗布の均一性が劣化し、現像ムラが発生している。
一方、本発明における一般式(1)、(2)(A)および(F)で表される化合物を添加した場合には、ハロゲン化銀粒子の厚みが小さく、アスペクト比が大きい場合でも良好な塗布均一性と現像ムラの無い良好な結果を得ることができた。特に、ハロゲン化銀粒子の平均厚みが小さいほど塗布性や現像ムラの改良効果が大きい。
【0209】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布の均一性が良好で、現像ムラの少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供できる。
Claims (5)
- 支持体の片側あるいは両側に少なくとも一層の感光性ハロゲン化銀写真乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料であって、
前記ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤粒子が平板状粒子であり、かつ前記ハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.15μm以下であり、
下記一般式(1)、(2)、(A)および(F)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(A)
一般式(F)
- 前記ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比が、8以上30以下の平板状粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記ハロゲン化銀乳剤粒子の平均厚みが、0.03μm以上0.12μm以下の平板状粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記ハロゲン化銀乳剤粒子のアスペクト比が、8以上25以下の平板状粒子であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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-
2002
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