JP2004157298A - ハロゲン化銀写真乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法 - Google Patents
ハロゲン化銀写真乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】塩臭化銀または塩沃臭化銀から成る、高感度で低カブリで、潜像安定性に優れたハロゲン化銀乳剤、該ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料ならびに該写真感光材料を走査露光する画像形成方法を提供する。
【解決手段】粒子内部に5種類以上の8族金属化合物を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【選択図】 なし
【解決手段】粒子内部に5種類以上の8族金属化合物を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来からのアナログ露光方式のみならず最近のデジタル露光方式、又は面露光方式及び走査露光方式を問わず、常に安定した高品質のプリントが得られるハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法に関するものであり、特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において高感度で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像安定性に優れるなどの、優れた品質のプリントが得られるハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の急速なデジタル化指向の中にあって、写真感光材料においてはレーザー光などによるデジタル方式の露光が行われる機会が増えてきた。これに伴い特にカラープリント用の写真感光材料であるカラーペーパーにおいては、高照度の光でのミリ秒からナノ秒程度の極短時間での露光適性や、走査露光に対する適性も求められるようになって来た。同時に、インクジェット方式を初めとする他の非銀塩の出力メディアの急速な進歩に対して、画質・コスト・大量生産性で有利な写真感光材料の更なる進化が強く求められている。
【0003】
従来からカラーペーパーにおいては、より迅速な現像処理を達成する手段として、使用するハロゲン化銀乳剤に塩化銀乳剤又は塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤が用いられている。一方、ハロゲン化銀乳剤の問題点の一つである相反則不軌特性の改良には、イリジウム化合物をドープすることが有効であることが一般的に知られている。例えば、ハロゲン化銀粒子の頂点近傍に臭化銀含有率の高い領域を有する高塩化銀乳剤(例えば、特許文献1参照)が、また臭化銀の局在領域に選択的にイリジウム化合物をドープさせることにより潜像安定性と相反則不軌特性に優れた高塩化銀乳剤を提供できる(例えば、特許文献2参照)ことが開示されている。また、イリジウム化合物をドープした臭化銀微粒子を用いて臭化銀の局在領域を形成する方法(例えば、特許文献3参照)が開示されているが、いずれの方法も露光後初期の潜像安定性の改良に対しては、決して十分なものではなかった。
【0004】
また第8族金属化合物と第5〜10族のニトロシルまたはチオニトロシル錯体を含有するハロゲン化銀乳剤を用いてガンマ、コントラストを改良する技術(例えば、特許文献4、5参照)の開示があり、ルテニウムのイミダゾール錯体他の有機配位子錯体を用いたハロゲン化銀乳剤の開示(例えば、特許文献6参照)、水配位子を有するイリジウム錯体を用いたハロゲン化銀乳剤の開示(例えば、特許文献7参照)があるが、カブリや潜像安定性の改良に関しては知見が明らかではない。
【0005】
さらに最近話題になっている、デジタル露光方式による高照度の光による極短時間での露光適性においては、既存の潜像安定性改良技術だけでは充分な実用性能を得ることが出来ないことが明らかになってきた。こういったデジタル露光方式への適応技術としては、例えば、高塩化銀含有率でかつ臭化銀局在相を形成した乳剤(例えば、特許文献8参照)、更には、沃塩化銀乳剤を用いる方法(例えば、特許文献9、10参照)等がある。しかし当発明者らの検討によれば、これらの技術によりデジタル露光適性を改良した場合、潜像安定性の改良が不十分であるばかりか、感材の圧力耐性や露光時の温度変化に対する安定性が著しく劣化することが判明したため、先の開示技術では全く不十分であった。
【0006】
また、ハロゲン化銀粒子の表面近傍に臭化銀、ヨウ化銀の富有相を有し、この富有相の導入がカブリ防止剤化合物の添加前及び後で2回に分けて行われ、相反則不軌、塗布液停滞性を改良する方法(例えば、特許文献11参照)が記載されているが、ハロゲン化銀乳剤の潜像安定性向上及びカブリ低減に対する更なる性能の向上が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭64−26837号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平1−105940号公報
【0009】
【特許文献3】
米国特許第5,627,020号明細書
【0010】
【特許文献4】
特開平6−235992号公報
【0011】
【特許文献5】
特開平6−235993号公報
【0012】
【特許文献6】
特開平10−293377号公報
【0013】
【特許文献7】
特開平11−202440号公報
【0014】
【特許文献8】
特開平11−109534号公報
【0015】
【特許文献9】
特開平9−166836号公報
【0016】
【特許文献10】
特開平9−101587号号公報
【0017】
【特許文献11】
特開2001−188311号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度で低カブリで、潜像安定性に優れたハロゲン化銀乳剤を提供し、塩臭化銀または塩沃臭化銀から成るハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を用いて、特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において高感度で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像安定性に優れたハロゲン化銀乳剤を提供すること、更にこの乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料ならびに該写真感光材料を走査露光する画像形成方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0020】
1.粒子内部に5種類以上の8族金属化合物を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0021】
2.ハロゲン化銀粒子が3種類以上のイリジウム化合物を含んでいることを特徴とする前記1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0022】
3.粒子内部にニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を有する3種類以上のルテニウム六配位錯体を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0023】
4.粒子内部に金属イオン種の異なる2種類以上の8族金属有機配位子錯体を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0024】
5.沃化銀含有率が0.02〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、かつ粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在層を有するハロゲン化銀粒子であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0025】
6.支持体上に少なくとも1層の画像形成層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該画像形成層の少なくとも1層に前記1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0026】
7.前記6記載のハロゲン化銀写真感光材料を走査露光した後、発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0027】
本発明を更に詳しく説明する。本発明の請求項1に関わるハロゲン化銀写真乳剤においては、5種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有することを特徴とし、6種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有する好ましい。
【0028】
本発明の請求項3に関わるハロゲン化銀写真乳剤においては、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を有する3種類以上のルテニウム六配位錯体をハロゲン化銀粒子内部に含有することを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項4に関わるハロゲン化銀写真乳剤においては、金属イオン種の異なる2種類以上の8族金属有機配位子錯体をハロゲン化銀粒子内部に含有することを特徴とする。
【0030】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子内部に3種類以上のイリジウム化合物を含んでいることが好ましい。
【0031】
本発明において、金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するとは、ハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀結晶格子中に該金属化合物が含有されていることであり、ハロゲン化銀粒子の表面に吸着している金属化合物は含まれない。
【0032】
本発明に関わる8族金属化合物は、ハロゲン化銀写真乳剤の感度、カブリ、照度の他、潜像安定性、保存性等の諸性能に影響し、ハロゲン化銀粒子中に30種類以上の8族金属化合物を含有させることは上記諸性能を満足する範囲に調整することが困難になる。
【0033】
本発明において用いられる8族金属化合物は鉄、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト、白金の金属化合物であることが好ましく、金属原子、イオン、その錯体及びこれらを含む塩(錯塩を含む)、その他これらを含む化合物等から選ぶことができるが、金属錯体から選択することが好ましい。
【0034】
金属錯体から選択する場合、6配位錯体、5配位錯体、4配位錯体、2配位錯体が好ましく、6配位錯体、4配位錯体がより好ましい。
【0035】
錯体を構成する配位子は、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子等、任意のものを用いることができるが、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を含有することが好ましい。
【0036】
本発明において有機配位子とは、1つ以上のH−C、C−CあるいはC−N−H結合を含み、金属イオンに配位可能な化合物をいう。本発明に用いられる有機配位子は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラン、ピリダジン、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピラゾール、フラン、フラザン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、フェナントロリン、ビピリジン、エチレンジアミンから選ばれる化合物、イオン、あるいはこれらの化合物に置換基を導入した化合物であることが好ましい。
【0037】
本発明においては、下記一般式(A)で表される化合物の少なくとも1種類以上を含有することが好ましい。
【0038】
一般式(A) Rn[MXmY6−m]
式中、Mは周期表8族元素から選択される金属を表し、鉄、コバルト、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、白金であり、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムであることがより好ましい。Rはアルカリ金属を表し好ましくはセシウム、ナトリウムまたはカリウムである。mは0〜6、nは0〜4の整数を表す。X及びYは配位子を表し、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子を表す。
【0039】
以下に本発明において用いられる8族金属化合物、8族金属錯体の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。また、カウンターカチオンはカリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等、任意のものを用いることができる。また、金属錯体が陽イオンである場合に、対陰イオンとして、硝酸イオン、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン等、当業界で公知のものを用いることができる。
(A−1) K2[IrCl6]
(A−2) K3[IrCl6]
(A−3) K2[Ir(CN)6]
(A−4) K2[Ir(CN)6]
(A−5) K2[Ir(NO)(CN)5]
(A−6) K2[IrBr6]
(A−7) K3[IrBr6]
(A−8) K2[IrBr4Cl2]
(A−9) K3[IrBr4Cl2]
(A−10) K2[IrBr3Cl3]
(A−11) K3[IrBr3Cl3]
(A−12) K2[IrBr5Cl]
(A−13) K3[IrBr5Cl]
(A−14) K2[IrBr5I]
(A−15) K3[IrBr5I]
(A−16) K2[IrBr5(H2O)]
(A−17) K3[IrBr5(H2O)]
(A−18) K2[IrCl5(H2O)]
(A−19) K3[IrCl5(H2O)]
(A−20) K3[IrBr(CN)5]
(A−21) K3[IrBr2(CN)4]
(A−22) K2[Ir(CN)5(H2O)]
(A−23) K3[Ir(CN)5(H2O)]
(A−24) K[Ir(NO)Cl5]
(A−25) K[Ir(NS)Cl5]
(B−1) K2[RuCl6]
(B−2) K2[FeCl6]
(B−3) K2[PtCl6]
(B−4) K3[RhCl6]
(B−5) K2[OsCl6]
(B−6) K2[RuBr6]
(B−7) K2[FeBr6]
(B−8) K2[PtBr6]
(B−9) K3[RhBr6]
(B−10) K2[OsBr6]
(B−11) K2[Pt(SCN)4]
(B−12) K4[Ru(CNO)6]
(B−13) K4[Fe(CNO)6]
(B−14) K2[Pt(CNO)4]
(B−15) K3[Co(NH3)6]
(B−16) K3[Co(CNO)6]
(B−17) K4[Os(CNO)6]
(B−18) Cs2[Os(NO)Cl5]
(B−19) K2[Ru(NO)Cl5]
(B−20) K2[Ru(CO)Cl5]
(B−21) Cs2[Os(CO)Cl5]
(B−22) K2[Fe(NO)Cl5]
(B−23) K2[Ru(NO)Br5]
(B−24) K2[Ru(NO)I5]
(B−25) K2[Ru(NS)Cl5]
(B−26) K2[Os(NS)Cl5]
(B−27) K2[Ru(NS)Br5]
(B−28) K2[Ru(NS)(SCN)5]
(B−29) K2[RuBr6]
(B−30) K2[FeBr6]
(B−31) K4[Fe(CN)6]
(B−32) K3[Fe(CN)6]
(B−33) K4[Ru(CN)6]
(B−34) K4[Os(CN)6]
(B−35) K3[Rh(CN)6]
(B−36) K4[RuCl(CN)5]
(B−37) K4[OsBr(CN)5]
(B−38) K4[OsCl(CN)5]
(B−39) K3[RhF(CN)5]
(B−40) K3[Fe(CO)(CN)5]
(B−41) K4[RuF2(CN)4]
(B−42) K4[OsCl2(CN)4]
(B−43) K4[RhI2(CN)4]
(B−44) K4[Ru(CN)5(OCN)]
(B−45) K4[Ru(CN)5(N3)4]
(B−46) K4[Os(CN)5(SCN)]
(B−47) K4[Rh(CN)5(SeCN)]
(B−48) K4[RuF2(CN)4]
(B−49) K3[Fe(CN)3Cl3]
(B−50) K4[Os(CN)Cl5]
(B−51) K3[Co(CN)6]
(B−52) K2[RuBr(CN)5]
(B−53) K2[Os(NS)(CN)5]
(B−54) K2[RhCl5(H2O)]
(B−55) K2[OsCl5(H2O)]
(B−56) K2[RuCl5(H2O)]
(B−57) K[Ru(NO)2Cl4]
(B−58) K4[Ru(CN)5(N3)4]
(B−59) K2[Os(NS)Cl(SCN)4]
(B−60) K2[Ru(NS)I5]
(B−61) K2[Os(NS)Cl4(TeCN)4]
(B−62) K2[Rh(NS)Cl5]
(B−63) K2[Ru(NO)(CN)5]
(B−64) K[Rh(NO)(H2O)Cl4]
(B−65) K[Rh(NO)2Cl4]
(B−66) K2[Rh(NO)Cl5]
(B−67) K[Ru(NO)(H2O)Cl4]
(C−1) [Ir(bipy)Cl4]−
(C−2) [Ir(bipy)3]2+
(C−3) [Ir(py)6]2+
(C−4) [Ir(phen)3]2+
(C−5) [IrCl2(bipy)2]0
(C−6) [Ir(thia)6]2+
(C−7) [Ir(phen)(bipy)3]2+
(C−8) [Ir(im)6]2+
(C−9) [Ir(NCS)2(bipy)2]0
(C−10) [Ir(CN)2(bipy)2]0
(C−11) [IrCl2(bipy)3]0
(C−12) [IrCl2(bipy)2]0
(C−13) [Ir(phen)(bipy)2]2+
(C−14) [Ir(NCS)2(bipy)2]0
(C−15) [Ir(NCS)2(bipy)2]0
(C−16) [Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]2+
(C−17) [Ir(bipy)2(OH)(bipy′)]+
(C−18) [Ir(bipy)Cl4]2−
(C−19) [Ir(bipy)3]3+
(C−20) [Ir(py)6]3+
(C−21) [Ir(phen)3]3+
(C−22) [IrCl2(bipy)2]+
(C−23) [Ir(thia)6]3+
(C−24) [Ir(phen)(bipy)3]3+
(C−25) [Ir(im)6]3+
(C−26) [Ir(NCS)2(bipy)2]+
(C−27) [Ir(CN)2(bipy)2]+
(C−28) [IrCl2(bipy)3]+
(C−29) [IrCl2(bipy)2]+
(C−30) [Ir(phen)(bipy)2]3+
(C−31) [Ir(NCS)2(bipy)2]+
(C−32) [Ir(NCS)2(bipy)2]+
(C−33) [Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]3+
(C−34) [Ir(bipy)2(OH)(bipy′)]2+
(D−1) [Ru(bipy)Cl4]−
(D−2) [Ru(bipy)3]2+
(D−3) [Ru(py)6]2+
(D−4) [Ru(phen)3]2+
(D−5) [RuCl2(bipy)2]0
(D−6) [Ru(thia)6]2+
(D−7) [Ru(phen)(bipy)3]2+
(D−8) [Ru(im)6]2+
(D−9) [Ru(NCS)2(bipy)2]0
(D−10) [Ru(CN)2(bipy)2]0
(D−11) [RuCl2(bipy)3]0
(D−12) [RuCl2(bipy)2]0
(D−13) [Ru(phen)(bipy)2]2+
(D−14) [Ru(NCS)2(bipy)2]0
(D−15) [Ru(NCS)2(bipy)2]0
(D−16) [Fe(bipy)Cl4]−
(D−17) [Fe(bipy)3]2+
(D−18) [Fe(py)6]2+
(D−19) [Fe(phen)3]2+
(D−20) [FeCl2(bipy)2]0
(D−21) [Fe(thia)6]2+
(D−22) [Fe(phen)(bipy)3]2+
(D−23) [Fe(im)6]2+
(D−24) [Fe(NCS)2(bipy)2]0
(D−25) [Fe(CN)2(bipy)2]0
(D−26) [FeCl2(bipy)3]0
(D−27) [FeCl2(bipy)2]0
(D−28) [Fe(phen)(bipy)2]2+
(D−29) [Fe(NCS)2(bipy)2]0
(D−30) [Fe(NCS)2(bipy)2]0
(D−31) [Os(bipy)Cl4]−
(D−32) [Os(bipy)3]2+
(D−33) [Os(py)6]2+
(D−34) [Os(phen)3]2+
(D−35) [OsCl2(bipy)2]0
(D−36) [Os(thia)6]2+
(D−37) [Os(phen)(bipy)3]2+
(D−38) [Os(im)6]2+
(D−39) [Os(NCS)2(bipy)2]0
(D−40) [Os(CN)2(bipy)2]0
(D−41) [OsCl2(bipy)3]0
(D−42) [OsCl2(bipy)2]0
(D−43) [Os(phen)(bipy)2]2+
(D−44) [Os(NCS)2(bipy)2]0
(D−45) [Os(NCS)2(bipy)2]0
(D−46) [Co(bipy)Cl4]−
(D−47) [Co(bipy)3]2+
(D−48) [Co(py)6]2+
(D−49) [Co(phen)3]2+
(D−50) [CoCl2(bipy)2]0
(D−51) [Co(thia)6]2+
(D−52) [Co(phen)(bipy)3]2+
(D−53) [Co(im)6]2+
(D−54) [Co(NCS)2(bipy)2]0
(D−55) [Co(CN)2(bipy)2]0
(D−56) [CoCl2(bipy)3]0
(D−57) [CoCl2(bipy)2]0
(D−58) [Co(phen)(bipy)2]2+
(D−59) [Co(NCS)2(bipy)2]0
(D−60) [Co(NCS)2(bipy)2]0
(D−61) [Rh(bipy)Cl4]−
(D−62) [Rh(bipy)3]2+
(D−63) [Rh(py)6]2+
(D−64) [Rh(phen)3]2+
(D−65) [RhCl2(bipy)2]0
(D−66) [Rh(thia)6]2+
(D−67) [Rh(phen)(bipy)3]2+
(D−68) [Rh(im)6]2+
(D−69) [Rh(NCS)2(bipy)2]0
(D−70) [Rh(CN)2(bipy)2]0
(D−71) [RhCl2(bipy)3]0
(D−72) [RhCl2(bipy)2]0
(D−73) [Rh(phen)(bipy)2]2+
(D−74) [Rh(NCS)2(bipy)2]0
(D−75) [Rh(NCS)2(bipy)2]0
尚、上記8族金属化合物例もしくは8族金属錯体例において、略号は下記を表す。
【0040】
bipy=ビピリジン二座配位子
bipy′=ビピリジン単座配位子
im=イミダゾール
py=ピリジン
phen=フェナントロリン
その他、特開平5−341426号記載のビピリジン錯体も好ましく用いることができる。
【0041】
本発明において、8族金属化合物を含有させるには、ハロゲン化銀粒子の物理熟成中にドーピングを行ってもよいし、ハロゲン化銀粒子の形成過程(一般に、水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化アルカリの添加中)にドーピングを行ってもよいし、またハロゲン化銀粒子形成を一時止めた状態でドーピングを施しその後更に粒子形成を継続してもよく、8族金属化合物の存在下で核形成や物理熟成、粒子形成を行うことにより実施できる。
【0042】
本発明で用いられる8族金属化合物の濃度としては、一般的にハロゲン化銀1モルあたり1×10−9モル以上1×10−2モル以下の範囲が適当であり、より好ましくは1×10−9モル以上1×10−3モル以下の範囲であり、2×10−9〜1×10−4モルの範囲が特に好ましい。
【0043】
本発明において、ハロゲン化銀粒子に8族金属化合物を含有させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、或いは水、メタノール、エタノール等の単独もしくは混合溶媒に溶解したものを添加してもよく、当業界で一般に添加剤をハロゲン化銀乳剤に加える方法を適用することができる。また、8族金属化合物をハロゲン化銀微粒子とともにハロゲン化銀乳剤に加えることができ、ハロゲン化銀粒子形成中に8族金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を添加することができる。
【0044】
上記ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子形成中に8族金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を添加する製造方法に関しては、特開平11−212201号及び特開2000−89403号記載の方法を参照することができる。
【0045】
本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、塩化銀含有率が90モル%以上であることが好ましく、塩化銀含有率が95モル%以上であることがより好ましく、97モル%以上であることが最も好ましい。
【0046】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子は臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であることが好ましく、0.02〜2.0モル%であることがさらに好ましい。
【0047】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子は沃化銀含有率が0.02〜2.0モル%であることが好ましく、0.02〜1.0モル%であることがさらに好ましい。
【0048】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子は粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在層を有することが好ましい。本発明において粒子内部とは、ハロゲン化銀粒子において粒子表面をのぞいたハロゲン化銀相をいう。本発明において沃化銀局在層とは、本発明に係わるハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の2倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むハロゲン化銀層であり、ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の3倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましく、5倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましい。
【0049】
本発明において上記沃化銀局在層の位置は粒子中心からハロゲン化銀体積で60%以上外側に存在することが好ましく、70%以上外側であることがさらに好ましく、80%以上外側であることが最も好ましい。
【0050】
本発明において沃化銀局在層を2層以上導入することも好ましく、その場合は、主層を上記の条件で導入し最大ヨウ化物濃度未満である層(以下副層)の少なくとも一つを主層よりもさらに粒子表面近くに導入することが好ましい。主層および副層のI濃度は目的に応じて任意に選択することが出来る。潜像安定性の観点からは、主層は可能な限り高濃度が好ましく、副層は主層よりも低濃度であることが好ましい。
【0051】
沃化銀局在層を導入する方法としては種々の沃度化合物を使用することが出来る。例えば、ヨウ化カリウム水溶液のようなヨウ化物塩水溶液を用いる方法、“無機化合物・錯体辞典”中原勝儼著,講談社944頁等記載のポリヨウ化物を用いる方法、特開平2−68538号等に開示されているヨウ化銀を含むハロゲン化銀微粒子あるいはヨウ化物イオン放出剤を用いる方法である。迅速処理適性、処理安定性の観点からは、好ましくは、ヨウ化カリウム、I4以上のポリヨウ化物、さらに好ましくは、I4以上のポリヨウ化物である。沃化銀局在層の沃化銀含有率はこれら沃化物を含む添加液の濃度及び量で任意に調整することができる。
【0052】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子はハロゲン化銀体積で50〜100%に臭化銀を含有することが好ましく、70〜100%に臭化銀を含有することがさらに好ましい。
【0053】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いられる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよいが、頂点近傍に臭化銀局在層を有することが好ましい。
【0054】
本発明において臭化銀局在層とは、本発明に係わるハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の2倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むハロゲン化銀層であり、ハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の3倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むことが好ましく、5倍以上の臭化銀含有率臭化銀を含むことが好ましい。
【0055】
該臭化銀局在層中には前記の8族金属化合物を含有することができる。用いられる8族金属化合物はイリジウム化合物であることが好ましい。
【0056】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀乳剤が実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンを含有することが好ましい。本発明において、実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンとは、カルシウム含有量が100ppm以下であるゼラチンであり、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。本発明に係わる実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンはイオン交換樹脂等を用いたカチオン交換処理により得ることができる。
【0057】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤においては、実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンがハロゲン化銀粒子形成から脱塩、分散、化学増感及び/または色増感の終了までのいずれか1つ以上のハロゲン化銀乳剤調製工程で使用されることが好ましいが、化学増感及び/または色増感の前であることが好ましい。調製したハロゲン化銀乳剤中の全分散媒の10質量パーセント以上が、該実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンであることが好ましく、30質量パーセント以上である事がより好ましく、50質量パーセント以上であることがさらに好ましい。
【0058】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子がアミノ基置換された化学修飾ゼラチンを用いてハロゲン化銀粒子の粒子形成及び/または脱塩が行われていることが好ましい。該化学修飾ゼラチンには特開平5−72658号公報、特開平9−197595号公報、特開平9−251193号公報などに記載の、ゼラチンのアミノ基を置換した化学修飾ゼラチンを好ましく使用することができる。粒子形成及び/または脱塩において該化学修飾ゼラチンを用いる場合、粒子形成に用いる全分散媒の10質量パーセント以上が、該化学修飾ゼラチンであることが好ましく、30質量パーセント以上である事がより好ましく、50質量パーセント以上であることがさらに好ましい。アミノ基の置換比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
【0059】
本発明に係わるハロゲン化銀写真乳剤の製造においては、粒子形成後において、脱塩を行うことが好ましい。脱塩は、例えば、RD17643号II項の方法により行うことができる。
【0060】
さらに詳しくは、沈殿生成物あるいは物理熟成後の乳剤から不要な可溶性塩類を除去する為には、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また無機塩類、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸)を用いることができ、ゼラチン誘導体及び化学修飾ゼラチン(例えば、アシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチン)を利用した沈殿法も好ましく用いることができる。また、膜分離を利用した限外濾過も脱塩に好ましく用いることができる。
【0061】
膜分離を利用した限外濾過に関しては、化学工学便覧、改訂五版(化学工学協会編、丸善)924〜954頁、RDの102巻10208及び第131巻13122、あるいは特公昭59−43727号、同62−27008号、特開昭62−113137号、同57−209823号、同59−43727号、同61−219948号、同62−23035号、同63−40137号、同63−40039号、特開平3−140946号、同2−172816号、同2−172817号、同4−22942号等に記載の方法も参考にすることができる。本発明において、限外濾過を用いる場合には特開平11−339923号あるいは特開平11−231448号記載の装置または方法を用いることが好ましい。
【0062】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤の製造において用いられる分散媒は、ハロゲン化銀粒子に対する保護コロイド性を有する化合物である。該分散媒は、ハロゲン化銀粒子形成時の核生成工程から粒子成長工程に渡って存在させることが好ましい。本発明で好ましく用いることができる分散媒には、ゼラチンと親水性コロイドがある。ゼラチンとしては、通常分子量10万程度のアルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン、或いは酸化処理したゼラチンや、Bull.Soc.Sci.Photo.Japan No.16,P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子の核生成時には平均分子量が1万〜7万のゼラチンを用いることが好ましく、平均分子量が1万〜5万のゼラチンを用いることがさらに好ましい。ゼラチンの平均分子量を小さくするために、ゼラチン分解酵素や過酸化水素等を用いてゼラチンを分解処理することができる。また、同様に核生成時にメチオニン含有量が少ないゼラチンを用いることも特に平板状ハロゲン化銀粒子を形成する際には好ましい。分散媒単位質量(グラム)当たりのメチオニン含有量としては50μモル以下が好ましく、20μモル以下がより好ましい。ゼラチン中のメチオニン含有量は、過酸化水素等を用いてゼラチンを酸化処理することによって低減せしめることができる。
【0063】
親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0064】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることが出来るが、好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許4183756号、同4225666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0065】
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事もできる。
【0066】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると立方体粒子を用いる場合は、好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.15〜1.0μmの範囲である。
【0067】
この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0068】
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0069】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0070】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0071】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0072】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0073】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2921164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0074】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0075】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤における化学増感は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。
【0076】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0077】
本発明に係るイオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0078】
本発明に係る金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−4モル〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5モル〜1×10−8モルである。
【0079】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、還元増感法を用いてもよい。
本発明にかかるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5モル〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜1×10−2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9モル〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0080】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報明細書記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3ページ左下欄〜5ページ左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0081】
これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7以上にする量が好ましくさらには0.8以上にする事がより好ましい。
【0082】
本発明に係わる感光材料中に、蛍光増白剤を添加する事が白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0083】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料をカラー写真感光材料として用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。
【0084】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0085】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8−9ページに記載の強色増感剤SS−1〜9や特開平5−66515号公報15〜7ページに記載の化合物S−1〜17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0086】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
【0087】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0088】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0089】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書5ページ左下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書5ページ右下欄〜6ページ左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
【0090】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書4ページ左下欄〜5ページ右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタカプラーのうちより好ましいのは、同号公報明細書4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、そのうち、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報明細書5ページ上欄に記載されているMC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、さらにディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0091】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書3ページ右上欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書3ページ左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも同公報明細書の一般式[Y−1]のRY1がアルコキシ基であるカプラーまたは特開平6−67388号公報明細書記載の一般式[I]で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例としては特開平4−114154号公報明細書4ページ左下欄に記載されているYC−8、YC−9、および特開平6−67388号公報明細書13〜14ページに記載のNo(1)〜(47)で示される化合物をあげることができる。さらに最も好ましい化合物は特開平4−81847号公報明細書1ページおよび同号公報明細書11ページ〜17ページに記載の一般式[Y−1]で示される化合物である。
【0092】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0093】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0094】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0095】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開昭64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0096】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報明細書9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報明細書10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許4774187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることも出来る。
【0097】
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良する事が好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公報明細書13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0098】
本発明に係わる感光材料中には紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良する事が好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0099】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0100】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用する事が好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加する事が好ましい。また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報明細書記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0101】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0102】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0103】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0104】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0105】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加する事が好ましい。
【0106】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0107】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0108】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料を用いて、写真画像を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後その画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に結像させて焼き付けてもよいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化させて走査することによって焼き付けてもよい。
【0109】
本発明は現像主薬を感光材料中に内蔵していない感光材料に適用することが好ましく、特に直接鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用する事が好ましい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材料をあげる事ができる。特に反射支持体を有する感光材料に適用する事が好ましい。
【0110】
本発明において用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
CD−1) N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2) 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3) 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4) 4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5) 2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7) N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8) N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン。
【0111】
本発明においては、上記は色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0112】
本発明に係る発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。
【0113】
発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0114】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0115】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、発色現像後、漂白定着処理を施す。漂白定着液は、1リットル当り銀イオンを0.04〜0.11モル含有し、かつ、鉄錯体に占める第一鉄濃度が5%〜35%である。更に、漂白定着液のpHが5.0〜6.5であり、処理温度が30〜60℃であることが好ましい。
【0116】
漂白定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0117】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0118】
実施例1
以下の方法によりハロゲン化銀乳剤を調製した。
【0119】
《比較乳剤(Em−1)の調製》
40℃に保温した2%オセインゼラチン(カルシウム含有量1ppm)水溶液1リットル中に下記(A1液)及び(B1液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ20分かけて同時添加した。続いて下記(A2液)及び(B2液)を、pAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ80分かけて同時添加した。更に、下記(A3液)及び(B3液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ21分かけて同時添加した。更に、下記(A4液)及び(B4液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ16分かけて同時添加した。更に、下記(A5液)及び(B5液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ10分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0120】
(A1液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(A2液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
水を加えて 290ml
(A3液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1×10−8モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1×10−8モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A5液)
塩化ナトリウム 10.6g
臭化カリウム 0.11g
水を加えて 62ml
(B1液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(B2液)
硝酸銀 145g
水を加えて 290ml
(B3液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B4液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B5液)
硝酸銀 31g
水を加えて 62ml
全ての添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(アミノ基の置換比率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−1)を調製した。
【0121】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、ハロゲン化銀吸着性化合物(下記安定剤STAB−1〜STAB−3)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G1)を得た。
【0122】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 GS−1 4×10−4モル/モルAgX
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
【0123】
【化1】
【0124】
《比較乳剤(Em−2)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A3a液)及び(A4a液)を用いること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−2)を調製した。
【0125】
(A3a液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 8×10−9モル/モルAg
K2[Ir(im)6] 5×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 8×10−6モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4a液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 8×10−9モル/モルAg
K2[Ir(im)6] 5×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 8×10−6モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−3)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A3b液)及び(A4b液)を用いること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−3)を調製した。
【0126】
(A3b液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.3×10−8モル/モルAg
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4b液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 9×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−4)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A3c液)及び(A4c液)を用いること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−4)を調製した。
【0127】
(A3c液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.3×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4c液)
塩化ナトリウム 21.2g
[RuCl2(bipy)2] 1×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−5)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A2液)、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A2d液)、(A3d液)及び(A4d液)を用い、かつ(B4液)及び(A4d液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を7.2ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.3モル%、臭化銀含有率0.5モル%、沃化銀含有率0.2モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−5)を調製した。
【0128】
(A2d液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
K2[Ru(NO)Cl5] 9×10−9モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A3d液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.3×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4d液)
塩化ナトリウム 21.2g
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−6)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A2液)、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A2e液)、(A3e液)及び(A4e液)を用い、かつ(B4液)及び(A4e液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を7.2ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.3モル%、臭化銀含有率0.5モル%、沃化銀含有率0.2モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−6)を調製した。
【0129】
(A2e液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
K2[Ru(NO)Cl5] 9×10−9モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A3e液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 9×10−9モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1×10−8モル/モルAg
[Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]Cl2
6×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4e液)
塩化ナトリウム 21.2g
K4Ru(CN)6 1.9×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−7)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A2液)、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A2f液)、(A3f液)及び(A4f液)を用い、かつ(B4液)及び(A4f液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/Lの沃化銀水溶液を10.8ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.2モル%、臭化銀含有率0.5モル%、沃化銀含有率0.3モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−7)を調製した。
【0130】
(A2f液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
Cs2[Os(NO)Cl5] 1×10−8モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A3f液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 9×10−9モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1×10−8モル/モルAg
[Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]Cl2
6×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4f液)
塩化ナトリウム 21.2g
K4Ru(CN)6 1.9×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−8)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−7)の調製において、硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.0055モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率98.9モル%、臭化銀含有率0.8モル%、沃化銀含有率0.3モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−8)を調製した。
【0131】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−2)〜(Em−8)に対し、(Em−1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G2)〜(Em−G8)を得た。
【0132】
(青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B1)〜(Em−B8)の調製)
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−1)〜(Em−8)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.65μm、粒径の変動係数0.08の単分散立方体乳剤を調製し、さらに下記化合物を用いて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B1)〜(Em−B8)を得た。
【0133】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−2 1×10−4モル/モルAgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R1)〜(Em−R8)の調製)
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−1)〜(Em−8)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.40μm、粒径の変動係数0.07の単分散立方体乳剤を調製し、さらに下記化合物を用いて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R1)〜(Em−R8)を得た。
【0134】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 RS−1 1×10−4モル/モルAgX
増感色素 RS−2 1×10−4モル/モルAgX
また赤感光性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10−3添加した。
【0135】
【化2】
【0136】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の写真構成層を塗設し、ハロゲン化銀写真感光材料試料101を作製した。
【0137】
塗布液は下記のようにして調製した。
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)3.34g、イエローカプラー(Y−2)10.02g、イエローカプラー(Y−3)1.67g、色素画像安定剤(ST−1)1.67g、色素画像安定剤(ST−2)1.67g、色素画像安定剤(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−1)0.167g、画像安定剤A2.67g、画像安定剤B1.34g、高沸点有機溶媒(DBP)5.0g及び高沸点有機溶媒(DNP)1.67gに酢酸エチル60mlを加えて溶解し、10%界面活性剤(SU−1)5mlを含有する7%ゼラチン水溶液320mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液500mlを作製した。この分散液を、上記条件で調製した青感性塩臭化銀乳剤(Em−B1)と混合し第1層塗布液を調製した。
第2層〜第7層塗布液
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に表1及び表2の塗布量になるように各塗布液を調製した。
【0138】
又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフル
オロペンチル)・ナトリウム
DBP :ジブチルフタレート
DNP :ジノニルフタレート
DOP :ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
【0142】
【化3】
【0143】
【化4】
【0144】
【化5】
【0145】
【化6】
【0146】
【化7】
【0147】
上記試料101の作製において、第1層のハロゲン化銀乳剤(Em−B1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−B2)〜(Em−B8)を用い、第3層のハロゲン化銀乳剤(Em−G1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−G2)〜(Em−G8)を用い、第5層のハロゲン化銀乳剤(Em−R1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−R2)〜(Em−R8)を用いた以外は同様にして、試料102〜108を作製した。
【0148】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評価》
上記作製した試料101〜108について、下記に記載の方法に従って、感度、カブリ、潜像安定性の評価を行った。
【0149】
高照度露光における感度・カブリ評価、および露光後潜像安定性評価
各試料に対し、10−6秒露光のキセノンフラッシュ高照度露光用感光計(山下電装(株)製SX−20型)を用いてウエッジ露光し、露光後5分間放置した後、下記の処理工程に従って発色現像処理を行った。これを処理Aとする。一方、上記方法において、露光した後5秒間経過してから同様に発色現像処理を行い、これを処理Bとする。
【0150】
以上のようにして現像処理を行った各試料のマゼンタ画像反射濃度を、光学濃度計(コニカ製PDA−65型)を用いて測定し、縦軸−反射濃度(D)、横軸−露光量(LogE)からなるマゼンタ画像の特性曲線を作成して、以下のようにして各特性値を算出した。
【0151】
処理Aにおける試料の感度を下式1に従って計算した。ここで感度は、試料101の処理Aにおける感度を100として表記した。また、各々の特性曲線における最低濃度値を、カブリ濃度として表記した。
【0152】
次に、下式2に従って処理Aでの階調γ(γa)と処理Bでの階調γ(γb)を計算し、続いて各々の階調γ値より下式3に従って、変動値Δγを計算した。なお、Δγは、数値が100に近いほど潜像安定性に優れていることを表す。
【0153】
式1
感度=1/(カブリ+1.0の濃度を示す露光量)
式2
階調γ=1/〔Log(カブリ+0.1の濃度を示す露光量)−Log(カブリ+0.4の濃度を示す露光量)〕
式3
Δγ=(γb/γa)×100
〔発色現像処理〕
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml
安定化 30−34℃ 60秒 150ml
乾燥 60−80℃ 30秒
それぞれ、水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpHを10.10に、補充液はpHを10.60に調整した。
【0154】
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpHを5.0に調整した。
【0155】
〈安定化液タンク液及び補充液〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpHを7.5に調整した。
【0156】
以上より得られた各評価結果を表3に示す。
【0157】
【表3】
【0158】
表3より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度かつ低カブリで、潜像安定性も良好な結果が得られた。
【0159】
実施例2
上記にて作製した試料を127mm巾のロール状に加工し、下記の様にしてデジタル露光適性を評価した。
【0160】
コニカカラーNew CENTURIA 400の現像済みネガ画像を、コニカ製フィルムスキャナQscan1202JWを用いてデジタルデーター化し、アドビ社製ソフトphotoshop(Ver.5.5)で取り扱える環境とした。取り込んだ画像に様々なサイズの文字と細線を加えて一つの画像データとして、下記の様なデジタル走査露光装置で露光できるように操作した。
【0161】
光源として半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.5nm)を励起光源としたYAG固体レーザー(発振波長946nm)をKNbO3のSHG結晶により波長変換して取りだした473nmと、半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.7nm)を励起光源としたYVO4固体レーザー(発振波長1064nm)をKTPのSHG結晶により波長変換して取りだした532nmと、AlGaInP(発振波長約670nm)とを用いた。3色それぞれのレーザー光をポリゴンミラーにより走査方向に垂直方向に移動し、カラー印画紙上に順次走査露光できる様な装置を作製した。露光量は、半導体レーザーの光量を電気的にコントロールした。走査露光は400dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)で行い、この時の1画素あたりの露光時間は5×10−8秒であった。
【0162】
各試料において最適のプリント画像が得られるように露光量を種々調整した上で走査露光後、実施例1の処理を下記の様に変更し、キャビネサイズのプリント画像を得た。
【0163】
実施例1において下記の様に変更した処理を行った。
処理工程 処 理 温 度 時 間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 22秒 81ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 22秒 54ml
安定化 30〜34℃ 25秒 150ml
乾 燥 60〜80℃ 30秒
現像処理液の組成を下記に示す。
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.1に、補充液はpH=10.6に調整する。
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウムまたは氷酢酸でタンク液はpH=7.0に、補充液はpH=6.5に調整する。
安定化液タンク液及び補充液
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
PVP 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 10ml
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸またはアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0164】
得られたプリント画像について、20人の観察者により細線や文字の明瞭度、人物の肌色再現性、木々の緑の再現性を以下の基準で目視評価した。さらに100枚を露光した後、直ちに順次処理を実施し、1枚目と100枚目についてプリント再現性を以下の基準で目視評価した。評価結果を表4に示す。
【0165】
(1)細線の明瞭度の評価基準
◎:グレーの細線や文字が明瞭に区別できる
○:グレーの細線や文字がはっきりと区別できるが、輪郭がややぼける
△:グレーの細線や文字を区別できるが、ぼやけが目立つ
×:グレーの細線や文字がぼやけ、区別が困難。
【0166】
(2)人物の肌色再現性
◎:明るく自然な再現
○:自然な再現
△:少し不自然な再現
×:赤みが足りない。
【0167】
(3)木々の緑の再現性
◎:明るく鮮やかな再現
○:鮮やかな再現
△:ややくすんでいる
×:くすんでいる。
【0168】
(4)プリント再現性
◎:プリント差を認識できない
○:わずかなプリント差が認識できるが、ほぼ同一として扱える
△:若干のプリント差が認識でき、やや気になる
×:プリント差がはっきりと認識でき、実用上問題と考えられる。
【0169】
【表4】
【0170】
本発明の試料は、様々な画像、文字、細線に対して何れも優れた再現性を示した。
【0171】
実施例3
コニカカラーNew CENTURIA 400の現像済みネガ画像、コニカクロームSINBI200ハイクォリティーの現像済みポジ画像、およびコニカ製デジタルカメラDigital Revio KD−200Zによる撮像画像データから、各々以下のようにしてプリント画像を得た。
【0172】
実施例1にて作製した試料を127mm巾のロール状に加工し、コニカ製デジタルミニラボシステムQD−21SUPER(プリントプロセッサーQDP−1500SUPER、処理ケミカルとしてECOJET−HQA−Pを使用し、プロセス名CPK−HQA−Pに従って処理)にて露光処理したプリント画像を実施例2と同様に評価し、結果を表5に示した。
【0173】
【表5】
【0174】
表5から明らかなように、本発明の試料から得られた画像は、いずれも優れている。
【0175】
実施例4
《比較乳剤(Em−11)の調製》
40℃に保温した2%オセインゼラチン(カルシウム含有量1ppm)水溶液1リットル中に下記(A11液)及び(B11液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ20分かけて同時添加した。続いて45℃に昇温し、下記(A12液)及び(B12液)を、pAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ60分かけて同時添加した。更に、下記(A13液)及び(B13液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ17分かけて同時添加した。更に、下記(A14液)及び(B14液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ13分かけて同時添加した。更に、下記(A15液)及び(B15液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ7分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0176】
(A11液)
塩化ナトリウム 3.43g
臭化カリウム 0.01g
水を加えて 200ml
(A12液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
水を加えて 290ml
(A13液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.3×10−8モル/モルAg
[Ir(thia)6]Cl3 1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Fe(CN)6 1.4×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A15液)
塩化ナトリウム 10.6g
臭化カリウム 0.02g
水を加えて 62ml
(B11液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(B12液)
硝酸銀 145g
水を加えて 290ml
(B13液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B14液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B15液)
硝酸銀 31g
水を加えて 62ml
全ての添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(アミノ基の置換比率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−11)を調製した。
【0177】
《比較乳剤(Em−12)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A13a液)及び(A14a液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−12)を調製した。
【0178】
(A13a液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14a液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 9×10−9モル/モルAg
K4Fe(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−13)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A13b液)及び(A14b液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−13)を調製した。
【0179】
(A13b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.5×10−8モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 7×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−14)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A12液)、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A12c液)、(A13c液)及び(A14c液)を用い、かつ(B14液)及び(A14c液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を14.4ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.1モル%、沃化銀含有率0.4モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−14)を調製した。
【0180】
(A12c液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
K2[Ru(NO)Cl5] 8×10−9モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A13c液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 7×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 1.1×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.3×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14c液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 7×10−9モル/モルAg
K4Fe(CN)6 1.3×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−15)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A12液)、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A12d液)、(A13d液)及び(A14d液)を用い、かつ(B14液)及び(A14d液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を14.4ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.1モル%、沃化銀含有率0.4モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−15)を調製した。
【0181】
(A12d液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
K2[Ru(NO)Cl5] 1×10−8モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A13d液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 7×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 1.1×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.3×10−8モル/モルAg
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 4×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14d液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 4×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.7×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−16)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−15)の調製において、硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.0055モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.2モル%、臭化銀含有率0.4モル%、沃化銀含有率0.4モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−16)を調製した。
【0182】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−11)〜(Em−16)に対して、実施例1における(Em−G1)と同様に分光増感及び化学増感を施し緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G11)〜(Em−G16)を得た。
【0183】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−11)〜(Em−16)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.65μm、粒径の変動係数0.08の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−B1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B11)〜(Em−B16)を得た。
【0184】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−11)〜(Em−16)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.40μm、粒径の変動係数0.07の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−R1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R11)〜(Em−R16)を得た。
【0185】
実施例1における試料101において、第1層のハロゲン化銀乳剤(Em−B1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−B11)〜(Em−B16)を用い、第3層のハロゲン化銀乳剤(Em−G1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−G11)〜(Em−G16)を用い、第5層のハロゲン化銀乳剤(Em−R1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−R11)〜(Em−R16)を用いて試料201〜206を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表6に示す。
【0186】
【表6】
【0187】
表6より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度かつ低カブリで、潜像安定性も良好な結果が得られた。
【0188】
実施例5
実施例4で作製した試料201〜206を用いて実施例2と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例2と同様に優れた効果が得られた。
【0189】
実施例6
実施例4で作製した試料201〜206を用いて実施例3と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例3と同様に優れた効果が得られた。
【0190】
実施例7
《比較乳剤(Em−21)の調製》
30℃に保温した2%オセインゼラチン(平均分子量15000、カルシウム含有量1ppm)水溶液1リットル中に下記(A21液)及び(B21液)を、pAg=7.8、pH=3.0に制御しつつ15分かけて同時添加した。続いて45℃に昇温し、下記(A22液)及び(B22液)を、pAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ50分かけて同時添加した。更に、下記(A23液)及び(B23液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ15分かけて同時添加した。更に、下記(A24液)及び(B24液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ12分かけて同時添加した。更に、下記(A25液)及び(B25液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ7分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0191】
(A21液)
塩化ナトリウム 3.43g
臭化カリウム 0.01g
水を加えて 200ml
(A22液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
水を加えて 290ml
(A23液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.8×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 2.1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 1.4×10−8モル/モルAg
K4Ru(CN)6 2.5×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A25液)
塩化ナトリウム 10.6g
臭化カリウム 0.02g
水を加えて 62ml
(B21液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(B22液)
硝酸銀 145g
水を加えて 290ml
(B23液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B24液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B25液)
硝酸銀 31g
水を加えて 62ml
全ての添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(アミノ基の置換比率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(Cubic一辺長)0.40μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−21)を調製した。
【0192】
《比較乳剤(Em−22)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23a液)及び(A24a液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−22)を調製した。
【0193】
(A23a液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.3×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.6×10−8モル/モルAg
[Ir(thia)6]Cl3 1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24a液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Fe(CN)6 2.2×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−23)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23b液)及び(A24b液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−23)を調製した。
【0194】
(A23b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 2.0×10−8モル/モルAg
[Ir(im)6]Cl3 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Ru(CN)6 2.2×10−5モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 1.0×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−24)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23c液)及び(A24c液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−24)を調製した。
【0195】
(A23c液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2[Ir(bipy)Cl4] 1.3×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24c液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Ru(CN)6 2.5×10−5モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−25)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23d液)及び(A24d液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−25)を調製した。
【0196】
(A23d液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.6×10−8モル/モルAg
K2[Ir(bipy)Cl4] 1.2×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.8×10−8モル/モルAg
[Ir(im)6]Cl3 1.0×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24d液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Ru(CN)6 2.5×10−5モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−26)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−25)の調製において、硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.009モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.4モル%、臭化銀含有率0.6モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−26)を調製した。
【0197】
《本発明の乳剤(Em−27)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−25)の調製において、(A22液)に代えて下記(A22e液)を用い、かつ(A24d液)及び(B24液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を10.8ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行い、さらに硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.0055モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.3モル%、臭化銀含有率0.4モル%、沃化銀含有率0.3モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−27)を調製した。
【0198】
(A22e液)
塩化ナトリウム 49.2g
K2[Ru(NO)Cl5] 1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.1g
水を加えて 290ml
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−21)〜(Em−27)に対して、実施例1における(Em−R1)と同様に分光増感及び化学増感を施し赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R21)〜(Em−R27)を得た。
【0199】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−21)〜(Em−27)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.65μm、粒径の変動係数0.08の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−B1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B21)〜(Em−B27)を得た。
【0200】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−21)〜(Em−27)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.55μm、粒径の変動係数0.07の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−G1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G21)〜(Em−G27)を得た。
【0201】
実施例1における試料101において、第1層のハロゲン化銀乳剤(Em−B1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−B21)〜(Em−B27)を用い、第3層のハロゲン化銀乳剤(Em−G1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−G21)〜(Em−G27)を用い、第5層のハロゲン化銀乳剤(Em−R1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−R21)〜(Em−R27)を用いて試料301〜307を作製し、実施例1と同様の方法でシアン濃度について、感度、カブリ、潜像安定性の評価を行った。結果を表7に示す。
【0202】
【表7】
【0203】
表7より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度かつ低カブリで、潜像安定性も良好な結果が得られた。
【0204】
実施例8
実施例7で作製した試料301〜307を用いて実施例2と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例2と同様に優れた効果が得られた。
【0205】
実施例9
実施例7で作製した試料301〜307を用いて実施例3と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例3と同様に優れた効果が得られた。
【0206】
【発明の効果】
本発明により、塩臭化銀または塩沃臭化銀から成る、高感度で低カブリで、潜像安定性に優れたハロゲン化銀乳剤と、該ハロゲン化銀乳剤を用いて、特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において高感度で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料ならびに該写真感光材料を走査露光する画像形成方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来からのアナログ露光方式のみならず最近のデジタル露光方式、又は面露光方式及び走査露光方式を問わず、常に安定した高品質のプリントが得られるハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法に関するものであり、特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において高感度で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像安定性に優れるなどの、優れた品質のプリントが得られるハロゲン化銀乳剤、ハロゲン化銀写真感光材料及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の急速なデジタル化指向の中にあって、写真感光材料においてはレーザー光などによるデジタル方式の露光が行われる機会が増えてきた。これに伴い特にカラープリント用の写真感光材料であるカラーペーパーにおいては、高照度の光でのミリ秒からナノ秒程度の極短時間での露光適性や、走査露光に対する適性も求められるようになって来た。同時に、インクジェット方式を初めとする他の非銀塩の出力メディアの急速な進歩に対して、画質・コスト・大量生産性で有利な写真感光材料の更なる進化が強く求められている。
【0003】
従来からカラーペーパーにおいては、より迅速な現像処理を達成する手段として、使用するハロゲン化銀乳剤に塩化銀乳剤又は塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤が用いられている。一方、ハロゲン化銀乳剤の問題点の一つである相反則不軌特性の改良には、イリジウム化合物をドープすることが有効であることが一般的に知られている。例えば、ハロゲン化銀粒子の頂点近傍に臭化銀含有率の高い領域を有する高塩化銀乳剤(例えば、特許文献1参照)が、また臭化銀の局在領域に選択的にイリジウム化合物をドープさせることにより潜像安定性と相反則不軌特性に優れた高塩化銀乳剤を提供できる(例えば、特許文献2参照)ことが開示されている。また、イリジウム化合物をドープした臭化銀微粒子を用いて臭化銀の局在領域を形成する方法(例えば、特許文献3参照)が開示されているが、いずれの方法も露光後初期の潜像安定性の改良に対しては、決して十分なものではなかった。
【0004】
また第8族金属化合物と第5〜10族のニトロシルまたはチオニトロシル錯体を含有するハロゲン化銀乳剤を用いてガンマ、コントラストを改良する技術(例えば、特許文献4、5参照)の開示があり、ルテニウムのイミダゾール錯体他の有機配位子錯体を用いたハロゲン化銀乳剤の開示(例えば、特許文献6参照)、水配位子を有するイリジウム錯体を用いたハロゲン化銀乳剤の開示(例えば、特許文献7参照)があるが、カブリや潜像安定性の改良に関しては知見が明らかではない。
【0005】
さらに最近話題になっている、デジタル露光方式による高照度の光による極短時間での露光適性においては、既存の潜像安定性改良技術だけでは充分な実用性能を得ることが出来ないことが明らかになってきた。こういったデジタル露光方式への適応技術としては、例えば、高塩化銀含有率でかつ臭化銀局在相を形成した乳剤(例えば、特許文献8参照)、更には、沃塩化銀乳剤を用いる方法(例えば、特許文献9、10参照)等がある。しかし当発明者らの検討によれば、これらの技術によりデジタル露光適性を改良した場合、潜像安定性の改良が不十分であるばかりか、感材の圧力耐性や露光時の温度変化に対する安定性が著しく劣化することが判明したため、先の開示技術では全く不十分であった。
【0006】
また、ハロゲン化銀粒子の表面近傍に臭化銀、ヨウ化銀の富有相を有し、この富有相の導入がカブリ防止剤化合物の添加前及び後で2回に分けて行われ、相反則不軌、塗布液停滞性を改良する方法(例えば、特許文献11参照)が記載されているが、ハロゲン化銀乳剤の潜像安定性向上及びカブリ低減に対する更なる性能の向上が求められている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭64−26837号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平1−105940号公報
【0009】
【特許文献3】
米国特許第5,627,020号明細書
【0010】
【特許文献4】
特開平6−235992号公報
【0011】
【特許文献5】
特開平6−235993号公報
【0012】
【特許文献6】
特開平10−293377号公報
【0013】
【特許文献7】
特開平11−202440号公報
【0014】
【特許文献8】
特開平11−109534号公報
【0015】
【特許文献9】
特開平9−166836号公報
【0016】
【特許文献10】
特開平9−101587号号公報
【0017】
【特許文献11】
特開2001−188311号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度で低カブリで、潜像安定性に優れたハロゲン化銀乳剤を提供し、塩臭化銀または塩沃臭化銀から成るハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を用いて、特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において高感度で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像安定性に優れたハロゲン化銀乳剤を提供すること、更にこの乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料ならびに該写真感光材料を走査露光する画像形成方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0020】
1.粒子内部に5種類以上の8族金属化合物を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0021】
2.ハロゲン化銀粒子が3種類以上のイリジウム化合物を含んでいることを特徴とする前記1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0022】
3.粒子内部にニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を有する3種類以上のルテニウム六配位錯体を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0023】
4.粒子内部に金属イオン種の異なる2種類以上の8族金属有機配位子錯体を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0024】
5.沃化銀含有率が0.02〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、かつ粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在層を有するハロゲン化銀粒子であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0025】
6.支持体上に少なくとも1層の画像形成層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該画像形成層の少なくとも1層に前記1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0026】
7.前記6記載のハロゲン化銀写真感光材料を走査露光した後、発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0027】
本発明を更に詳しく説明する。本発明の請求項1に関わるハロゲン化銀写真乳剤においては、5種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有することを特徴とし、6種類以上の8族金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有する好ましい。
【0028】
本発明の請求項3に関わるハロゲン化銀写真乳剤においては、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を有する3種類以上のルテニウム六配位錯体をハロゲン化銀粒子内部に含有することを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項4に関わるハロゲン化銀写真乳剤においては、金属イオン種の異なる2種類以上の8族金属有機配位子錯体をハロゲン化銀粒子内部に含有することを特徴とする。
【0030】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子内部に3種類以上のイリジウム化合物を含んでいることが好ましい。
【0031】
本発明において、金属化合物をハロゲン化銀粒子内部に含有するとは、ハロゲン化銀粒子のハロゲン化銀結晶格子中に該金属化合物が含有されていることであり、ハロゲン化銀粒子の表面に吸着している金属化合物は含まれない。
【0032】
本発明に関わる8族金属化合物は、ハロゲン化銀写真乳剤の感度、カブリ、照度の他、潜像安定性、保存性等の諸性能に影響し、ハロゲン化銀粒子中に30種類以上の8族金属化合物を含有させることは上記諸性能を満足する範囲に調整することが困難になる。
【0033】
本発明において用いられる8族金属化合物は鉄、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト、白金の金属化合物であることが好ましく、金属原子、イオン、その錯体及びこれらを含む塩(錯塩を含む)、その他これらを含む化合物等から選ぶことができるが、金属錯体から選択することが好ましい。
【0034】
金属錯体から選択する場合、6配位錯体、5配位錯体、4配位錯体、2配位錯体が好ましく、6配位錯体、4配位錯体がより好ましい。
【0035】
錯体を構成する配位子は、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子等、任意のものを用いることができるが、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を含有することが好ましい。
【0036】
本発明において有機配位子とは、1つ以上のH−C、C−CあるいはC−N−H結合を含み、金属イオンに配位可能な化合物をいう。本発明に用いられる有機配位子は、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラン、ピリダジン、イミダゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピラゾール、フラン、フラザン、オキサゾール、イソオキサゾール、チオフェン、フェナントロリン、ビピリジン、エチレンジアミンから選ばれる化合物、イオン、あるいはこれらの化合物に置換基を導入した化合物であることが好ましい。
【0037】
本発明においては、下記一般式(A)で表される化合物の少なくとも1種類以上を含有することが好ましい。
【0038】
一般式(A) Rn[MXmY6−m]
式中、Mは周期表8族元素から選択される金属を表し、鉄、コバルト、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、白金であり、鉄、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウムであることがより好ましい。Rはアルカリ金属を表し好ましくはセシウム、ナトリウムまたはカリウムである。mは0〜6、nは0〜4の整数を表す。X及びYは配位子を表し、カルボニル配位子、フルミネート配位子、チオシアネート配位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、あるいはアンモニア、水酸化物、亜硝酸、亜硫酸、過酸化物の配位子及び有機配位子を表す。
【0039】
以下に本発明において用いられる8族金属化合物、8族金属錯体の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。また、カウンターカチオンはカリウムイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン等、任意のものを用いることができる。また、金属錯体が陽イオンである場合に、対陰イオンとして、硝酸イオン、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン等、当業界で公知のものを用いることができる。
(A−1) K2[IrCl6]
(A−2) K3[IrCl6]
(A−3) K2[Ir(CN)6]
(A−4) K2[Ir(CN)6]
(A−5) K2[Ir(NO)(CN)5]
(A−6) K2[IrBr6]
(A−7) K3[IrBr6]
(A−8) K2[IrBr4Cl2]
(A−9) K3[IrBr4Cl2]
(A−10) K2[IrBr3Cl3]
(A−11) K3[IrBr3Cl3]
(A−12) K2[IrBr5Cl]
(A−13) K3[IrBr5Cl]
(A−14) K2[IrBr5I]
(A−15) K3[IrBr5I]
(A−16) K2[IrBr5(H2O)]
(A−17) K3[IrBr5(H2O)]
(A−18) K2[IrCl5(H2O)]
(A−19) K3[IrCl5(H2O)]
(A−20) K3[IrBr(CN)5]
(A−21) K3[IrBr2(CN)4]
(A−22) K2[Ir(CN)5(H2O)]
(A−23) K3[Ir(CN)5(H2O)]
(A−24) K[Ir(NO)Cl5]
(A−25) K[Ir(NS)Cl5]
(B−1) K2[RuCl6]
(B−2) K2[FeCl6]
(B−3) K2[PtCl6]
(B−4) K3[RhCl6]
(B−5) K2[OsCl6]
(B−6) K2[RuBr6]
(B−7) K2[FeBr6]
(B−8) K2[PtBr6]
(B−9) K3[RhBr6]
(B−10) K2[OsBr6]
(B−11) K2[Pt(SCN)4]
(B−12) K4[Ru(CNO)6]
(B−13) K4[Fe(CNO)6]
(B−14) K2[Pt(CNO)4]
(B−15) K3[Co(NH3)6]
(B−16) K3[Co(CNO)6]
(B−17) K4[Os(CNO)6]
(B−18) Cs2[Os(NO)Cl5]
(B−19) K2[Ru(NO)Cl5]
(B−20) K2[Ru(CO)Cl5]
(B−21) Cs2[Os(CO)Cl5]
(B−22) K2[Fe(NO)Cl5]
(B−23) K2[Ru(NO)Br5]
(B−24) K2[Ru(NO)I5]
(B−25) K2[Ru(NS)Cl5]
(B−26) K2[Os(NS)Cl5]
(B−27) K2[Ru(NS)Br5]
(B−28) K2[Ru(NS)(SCN)5]
(B−29) K2[RuBr6]
(B−30) K2[FeBr6]
(B−31) K4[Fe(CN)6]
(B−32) K3[Fe(CN)6]
(B−33) K4[Ru(CN)6]
(B−34) K4[Os(CN)6]
(B−35) K3[Rh(CN)6]
(B−36) K4[RuCl(CN)5]
(B−37) K4[OsBr(CN)5]
(B−38) K4[OsCl(CN)5]
(B−39) K3[RhF(CN)5]
(B−40) K3[Fe(CO)(CN)5]
(B−41) K4[RuF2(CN)4]
(B−42) K4[OsCl2(CN)4]
(B−43) K4[RhI2(CN)4]
(B−44) K4[Ru(CN)5(OCN)]
(B−45) K4[Ru(CN)5(N3)4]
(B−46) K4[Os(CN)5(SCN)]
(B−47) K4[Rh(CN)5(SeCN)]
(B−48) K4[RuF2(CN)4]
(B−49) K3[Fe(CN)3Cl3]
(B−50) K4[Os(CN)Cl5]
(B−51) K3[Co(CN)6]
(B−52) K2[RuBr(CN)5]
(B−53) K2[Os(NS)(CN)5]
(B−54) K2[RhCl5(H2O)]
(B−55) K2[OsCl5(H2O)]
(B−56) K2[RuCl5(H2O)]
(B−57) K[Ru(NO)2Cl4]
(B−58) K4[Ru(CN)5(N3)4]
(B−59) K2[Os(NS)Cl(SCN)4]
(B−60) K2[Ru(NS)I5]
(B−61) K2[Os(NS)Cl4(TeCN)4]
(B−62) K2[Rh(NS)Cl5]
(B−63) K2[Ru(NO)(CN)5]
(B−64) K[Rh(NO)(H2O)Cl4]
(B−65) K[Rh(NO)2Cl4]
(B−66) K2[Rh(NO)Cl5]
(B−67) K[Ru(NO)(H2O)Cl4]
(C−1) [Ir(bipy)Cl4]−
(C−2) [Ir(bipy)3]2+
(C−3) [Ir(py)6]2+
(C−4) [Ir(phen)3]2+
(C−5) [IrCl2(bipy)2]0
(C−6) [Ir(thia)6]2+
(C−7) [Ir(phen)(bipy)3]2+
(C−8) [Ir(im)6]2+
(C−9) [Ir(NCS)2(bipy)2]0
(C−10) [Ir(CN)2(bipy)2]0
(C−11) [IrCl2(bipy)3]0
(C−12) [IrCl2(bipy)2]0
(C−13) [Ir(phen)(bipy)2]2+
(C−14) [Ir(NCS)2(bipy)2]0
(C−15) [Ir(NCS)2(bipy)2]0
(C−16) [Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]2+
(C−17) [Ir(bipy)2(OH)(bipy′)]+
(C−18) [Ir(bipy)Cl4]2−
(C−19) [Ir(bipy)3]3+
(C−20) [Ir(py)6]3+
(C−21) [Ir(phen)3]3+
(C−22) [IrCl2(bipy)2]+
(C−23) [Ir(thia)6]3+
(C−24) [Ir(phen)(bipy)3]3+
(C−25) [Ir(im)6]3+
(C−26) [Ir(NCS)2(bipy)2]+
(C−27) [Ir(CN)2(bipy)2]+
(C−28) [IrCl2(bipy)3]+
(C−29) [IrCl2(bipy)2]+
(C−30) [Ir(phen)(bipy)2]3+
(C−31) [Ir(NCS)2(bipy)2]+
(C−32) [Ir(NCS)2(bipy)2]+
(C−33) [Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]3+
(C−34) [Ir(bipy)2(OH)(bipy′)]2+
(D−1) [Ru(bipy)Cl4]−
(D−2) [Ru(bipy)3]2+
(D−3) [Ru(py)6]2+
(D−4) [Ru(phen)3]2+
(D−5) [RuCl2(bipy)2]0
(D−6) [Ru(thia)6]2+
(D−7) [Ru(phen)(bipy)3]2+
(D−8) [Ru(im)6]2+
(D−9) [Ru(NCS)2(bipy)2]0
(D−10) [Ru(CN)2(bipy)2]0
(D−11) [RuCl2(bipy)3]0
(D−12) [RuCl2(bipy)2]0
(D−13) [Ru(phen)(bipy)2]2+
(D−14) [Ru(NCS)2(bipy)2]0
(D−15) [Ru(NCS)2(bipy)2]0
(D−16) [Fe(bipy)Cl4]−
(D−17) [Fe(bipy)3]2+
(D−18) [Fe(py)6]2+
(D−19) [Fe(phen)3]2+
(D−20) [FeCl2(bipy)2]0
(D−21) [Fe(thia)6]2+
(D−22) [Fe(phen)(bipy)3]2+
(D−23) [Fe(im)6]2+
(D−24) [Fe(NCS)2(bipy)2]0
(D−25) [Fe(CN)2(bipy)2]0
(D−26) [FeCl2(bipy)3]0
(D−27) [FeCl2(bipy)2]0
(D−28) [Fe(phen)(bipy)2]2+
(D−29) [Fe(NCS)2(bipy)2]0
(D−30) [Fe(NCS)2(bipy)2]0
(D−31) [Os(bipy)Cl4]−
(D−32) [Os(bipy)3]2+
(D−33) [Os(py)6]2+
(D−34) [Os(phen)3]2+
(D−35) [OsCl2(bipy)2]0
(D−36) [Os(thia)6]2+
(D−37) [Os(phen)(bipy)3]2+
(D−38) [Os(im)6]2+
(D−39) [Os(NCS)2(bipy)2]0
(D−40) [Os(CN)2(bipy)2]0
(D−41) [OsCl2(bipy)3]0
(D−42) [OsCl2(bipy)2]0
(D−43) [Os(phen)(bipy)2]2+
(D−44) [Os(NCS)2(bipy)2]0
(D−45) [Os(NCS)2(bipy)2]0
(D−46) [Co(bipy)Cl4]−
(D−47) [Co(bipy)3]2+
(D−48) [Co(py)6]2+
(D−49) [Co(phen)3]2+
(D−50) [CoCl2(bipy)2]0
(D−51) [Co(thia)6]2+
(D−52) [Co(phen)(bipy)3]2+
(D−53) [Co(im)6]2+
(D−54) [Co(NCS)2(bipy)2]0
(D−55) [Co(CN)2(bipy)2]0
(D−56) [CoCl2(bipy)3]0
(D−57) [CoCl2(bipy)2]0
(D−58) [Co(phen)(bipy)2]2+
(D−59) [Co(NCS)2(bipy)2]0
(D−60) [Co(NCS)2(bipy)2]0
(D−61) [Rh(bipy)Cl4]−
(D−62) [Rh(bipy)3]2+
(D−63) [Rh(py)6]2+
(D−64) [Rh(phen)3]2+
(D−65) [RhCl2(bipy)2]0
(D−66) [Rh(thia)6]2+
(D−67) [Rh(phen)(bipy)3]2+
(D−68) [Rh(im)6]2+
(D−69) [Rh(NCS)2(bipy)2]0
(D−70) [Rh(CN)2(bipy)2]0
(D−71) [RhCl2(bipy)3]0
(D−72) [RhCl2(bipy)2]0
(D−73) [Rh(phen)(bipy)2]2+
(D−74) [Rh(NCS)2(bipy)2]0
(D−75) [Rh(NCS)2(bipy)2]0
尚、上記8族金属化合物例もしくは8族金属錯体例において、略号は下記を表す。
【0040】
bipy=ビピリジン二座配位子
bipy′=ビピリジン単座配位子
im=イミダゾール
py=ピリジン
phen=フェナントロリン
その他、特開平5−341426号記載のビピリジン錯体も好ましく用いることができる。
【0041】
本発明において、8族金属化合物を含有させるには、ハロゲン化銀粒子の物理熟成中にドーピングを行ってもよいし、ハロゲン化銀粒子の形成過程(一般に、水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化アルカリの添加中)にドーピングを行ってもよいし、またハロゲン化銀粒子形成を一時止めた状態でドーピングを施しその後更に粒子形成を継続してもよく、8族金属化合物の存在下で核形成や物理熟成、粒子形成を行うことにより実施できる。
【0042】
本発明で用いられる8族金属化合物の濃度としては、一般的にハロゲン化銀1モルあたり1×10−9モル以上1×10−2モル以下の範囲が適当であり、より好ましくは1×10−9モル以上1×10−3モル以下の範囲であり、2×10−9〜1×10−4モルの範囲が特に好ましい。
【0043】
本発明において、ハロゲン化銀粒子に8族金属化合物を含有させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、或いは水、メタノール、エタノール等の単独もしくは混合溶媒に溶解したものを添加してもよく、当業界で一般に添加剤をハロゲン化銀乳剤に加える方法を適用することができる。また、8族金属化合物をハロゲン化銀微粒子とともにハロゲン化銀乳剤に加えることができ、ハロゲン化銀粒子形成中に8族金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を添加することができる。
【0044】
上記ハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子形成中に8族金属化合物を含有するハロゲン化銀微粒子を添加する製造方法に関しては、特開平11−212201号及び特開2000−89403号記載の方法を参照することができる。
【0045】
本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の組成は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよいが、塩化銀含有率が90モル%以上であることが好ましく、塩化銀含有率が95モル%以上であることがより好ましく、97モル%以上であることが最も好ましい。
【0046】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子は臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であることが好ましく、0.02〜2.0モル%であることがさらに好ましい。
【0047】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子は沃化銀含有率が0.02〜2.0モル%であることが好ましく、0.02〜1.0モル%であることがさらに好ましい。
【0048】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子は粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在層を有することが好ましい。本発明において粒子内部とは、ハロゲン化銀粒子において粒子表面をのぞいたハロゲン化銀相をいう。本発明において沃化銀局在層とは、本発明に係わるハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の2倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むハロゲン化銀層であり、ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率の3倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましく、5倍以上の沃化銀含有率の沃化銀を含むことが好ましい。
【0049】
本発明において上記沃化銀局在層の位置は粒子中心からハロゲン化銀体積で60%以上外側に存在することが好ましく、70%以上外側であることがさらに好ましく、80%以上外側であることが最も好ましい。
【0050】
本発明において沃化銀局在層を2層以上導入することも好ましく、その場合は、主層を上記の条件で導入し最大ヨウ化物濃度未満である層(以下副層)の少なくとも一つを主層よりもさらに粒子表面近くに導入することが好ましい。主層および副層のI濃度は目的に応じて任意に選択することが出来る。潜像安定性の観点からは、主層は可能な限り高濃度が好ましく、副層は主層よりも低濃度であることが好ましい。
【0051】
沃化銀局在層を導入する方法としては種々の沃度化合物を使用することが出来る。例えば、ヨウ化カリウム水溶液のようなヨウ化物塩水溶液を用いる方法、“無機化合物・錯体辞典”中原勝儼著,講談社944頁等記載のポリヨウ化物を用いる方法、特開平2−68538号等に開示されているヨウ化銀を含むハロゲン化銀微粒子あるいはヨウ化物イオン放出剤を用いる方法である。迅速処理適性、処理安定性の観点からは、好ましくは、ヨウ化カリウム、I4以上のポリヨウ化物、さらに好ましくは、I4以上のポリヨウ化物である。沃化銀局在層の沃化銀含有率はこれら沃化物を含む添加液の濃度及び量で任意に調整することができる。
【0052】
本発明に係わるハロゲン化銀粒子はハロゲン化銀体積で50〜100%に臭化銀を含有することが好ましく、70〜100%に臭化銀を含有することがさらに好ましい。
【0053】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤も好ましく用いられる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよいが、頂点近傍に臭化銀局在層を有することが好ましい。
【0054】
本発明において臭化銀局在層とは、本発明に係わるハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の2倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むハロゲン化銀層であり、ハロゲン化銀粒子の平均臭化銀含有率の3倍以上の臭化銀含有率の臭化銀を含むことが好ましく、5倍以上の臭化銀含有率臭化銀を含むことが好ましい。
【0055】
該臭化銀局在層中には前記の8族金属化合物を含有することができる。用いられる8族金属化合物はイリジウム化合物であることが好ましい。
【0056】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀乳剤が実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンを含有することが好ましい。本発明において、実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンとは、カルシウム含有量が100ppm以下であるゼラチンであり、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。本発明に係わる実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンはイオン交換樹脂等を用いたカチオン交換処理により得ることができる。
【0057】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤においては、実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンがハロゲン化銀粒子形成から脱塩、分散、化学増感及び/または色増感の終了までのいずれか1つ以上のハロゲン化銀乳剤調製工程で使用されることが好ましいが、化学増感及び/または色増感の前であることが好ましい。調製したハロゲン化銀乳剤中の全分散媒の10質量パーセント以上が、該実質的にカルシウムイオンを含まないゼラチンであることが好ましく、30質量パーセント以上である事がより好ましく、50質量パーセント以上であることがさらに好ましい。
【0058】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤においては、ハロゲン化銀粒子がアミノ基置換された化学修飾ゼラチンを用いてハロゲン化銀粒子の粒子形成及び/または脱塩が行われていることが好ましい。該化学修飾ゼラチンには特開平5−72658号公報、特開平9−197595号公報、特開平9−251193号公報などに記載の、ゼラチンのアミノ基を置換した化学修飾ゼラチンを好ましく使用することができる。粒子形成及び/または脱塩において該化学修飾ゼラチンを用いる場合、粒子形成に用いる全分散媒の10質量パーセント以上が、該化学修飾ゼラチンであることが好ましく、30質量パーセント以上である事がより好ましく、50質量パーセント以上であることがさらに好ましい。アミノ基の置換比率は30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
【0059】
本発明に係わるハロゲン化銀写真乳剤の製造においては、粒子形成後において、脱塩を行うことが好ましい。脱塩は、例えば、RD17643号II項の方法により行うことができる。
【0060】
さらに詳しくは、沈殿生成物あるいは物理熟成後の乳剤から不要な可溶性塩類を除去する為には、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また無機塩類、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸)を用いることができ、ゼラチン誘導体及び化学修飾ゼラチン(例えば、アシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチン)を利用した沈殿法も好ましく用いることができる。また、膜分離を利用した限外濾過も脱塩に好ましく用いることができる。
【0061】
膜分離を利用した限外濾過に関しては、化学工学便覧、改訂五版(化学工学協会編、丸善)924〜954頁、RDの102巻10208及び第131巻13122、あるいは特公昭59−43727号、同62−27008号、特開昭62−113137号、同57−209823号、同59−43727号、同61−219948号、同62−23035号、同63−40137号、同63−40039号、特開平3−140946号、同2−172816号、同2−172817号、同4−22942号等に記載の方法も参考にすることができる。本発明において、限外濾過を用いる場合には特開平11−339923号あるいは特開平11−231448号記載の装置または方法を用いることが好ましい。
【0062】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤の製造において用いられる分散媒は、ハロゲン化銀粒子に対する保護コロイド性を有する化合物である。該分散媒は、ハロゲン化銀粒子形成時の核生成工程から粒子成長工程に渡って存在させることが好ましい。本発明で好ましく用いることができる分散媒には、ゼラチンと親水性コロイドがある。ゼラチンとしては、通常分子量10万程度のアルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチン、或いは酸化処理したゼラチンや、Bull.Soc.Sci.Photo.Japan No.16,P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを好ましく用いることができる。ハロゲン化銀粒子の核生成時には平均分子量が1万〜7万のゼラチンを用いることが好ましく、平均分子量が1万〜5万のゼラチンを用いることがさらに好ましい。ゼラチンの平均分子量を小さくするために、ゼラチン分解酵素や過酸化水素等を用いてゼラチンを分解処理することができる。また、同様に核生成時にメチオニン含有量が少ないゼラチンを用いることも特に平板状ハロゲン化銀粒子を形成する際には好ましい。分散媒単位質量(グラム)当たりのメチオニン含有量としては50μモル以下が好ましく、20μモル以下がより好ましい。ゼラチン中のメチオニン含有量は、過酸化水素等を用いてゼラチンを酸化処理することによって低減せしめることができる。
【0063】
親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0064】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意のものを用いることが出来るが、好ましい一つの例は、(100)面を結晶表面として有する立方体である。また、米国特許4183756号、同4225666号、特開昭55−26589号、特公昭55−42737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(J.Photogr.Sci.)21、39(1973)等の文献に記載された方法等により、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面を有する粒子を用いてもよい。
【0065】
本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事もできる。
【0066】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると立方体粒子を用いる場合は、好ましくは、0.1〜1.2μm、更に好ましくは、0.15〜1.0μmの範囲である。
【0067】
この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積としてかなり正確にこれを表すことができる。
【0068】
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましくは0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0069】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
ここでいう粒径とは、球状のハロゲン化銀粒子の場合はその直径、また、立方体や球状以外の形状の粒子の場合は、その投影像を同面積の円像に換算したときの直径を表す。
【0070】
ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界において公知の種々の方法を用いることができる。
【0071】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであってもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよいし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なってもよい。
【0072】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0073】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2921164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0074】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0075】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤における化学増感は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。
【0076】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0077】
本発明に係るイオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0078】
本発明に係る金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10−4モル〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10−5モル〜1×10−8モルである。
【0079】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤においては、還元増感法を用いてもよい。
本発明にかかるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報明細書7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5モル〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜1×10−2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9モル〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0080】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報明細書記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3ページ左下欄〜5ページ左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0081】
これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7以上にする量が好ましくさらには0.8以上にする事がより好ましい。
【0082】
本発明に係わる感光材料中に、蛍光増白剤を添加する事が白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0083】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料をカラー写真感光材料として用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。
【0084】
本発明に係わるハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0085】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8−9ページに記載の強色増感剤SS−1〜9や特開平5−66515号公報15〜7ページに記載の化合物S−1〜17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0086】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
【0087】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0088】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0089】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書5ページ左下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書5ページ右下欄〜6ページ左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
【0090】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書4ページ左下欄〜5ページ右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタカプラーのうちより好ましいのは、同号公報明細書4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、そのうち、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報明細書5ページ上欄に記載されているMC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、さらにディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0091】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、特開平4−114154号公報明細書3ページ右上欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報明細書3ページ左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも同公報明細書の一般式[Y−1]のRY1がアルコキシ基であるカプラーまたは特開平6−67388号公報明細書記載の一般式[I]で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例としては特開平4−114154号公報明細書4ページ左下欄に記載されているYC−8、YC−9、および特開平6−67388号公報明細書13〜14ページに記載のNo(1)〜(47)で示される化合物をあげることができる。さらに最も好ましい化合物は特開平4−81847号公報明細書1ページおよび同号公報明細書11ページ〜17ページに記載の一般式[Y−1]で示される化合物である。
【0092】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0093】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0094】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号公報明細書記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0095】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報明細書3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開昭64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I′で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0096】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報明細書9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報明細書10ページ左下欄に記載の化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許4774187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることも出来る。
【0097】
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良する事が好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同号公報明細書13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0098】
本発明に係わる感光材料中には紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良する事が好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0099】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0100】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用する事が好ましい。特開昭61−249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加する事が好ましい。また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報明細書記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0101】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0102】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0103】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13質量%以上が好ましく、さらには15質量%が好ましい。
【0104】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0105】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加する事が好ましい。
【0106】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0107】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0108】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料を用いて、写真画像を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後その画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に結像させて焼き付けてもよいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化させて走査することによって焼き付けてもよい。
【0109】
本発明は現像主薬を感光材料中に内蔵していない感光材料に適用することが好ましく、特に直接鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用する事が好ましい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材料をあげる事ができる。特に反射支持体を有する感光材料に適用する事が好ましい。
【0110】
本発明において用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
CD−1) N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2) 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3) 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4) 4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5) 2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン
CD−7) N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミド
CD−8) N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン。
【0111】
本発明においては、上記は色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0112】
本発明に係る発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。
【0113】
発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0114】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0115】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、発色現像後、漂白定着処理を施す。漂白定着液は、1リットル当り銀イオンを0.04〜0.11モル含有し、かつ、鉄錯体に占める第一鉄濃度が5%〜35%である。更に、漂白定着液のpHが5.0〜6.5であり、処理温度が30〜60℃であることが好ましい。
【0116】
漂白定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技報94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0117】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0118】
実施例1
以下の方法によりハロゲン化銀乳剤を調製した。
【0119】
《比較乳剤(Em−1)の調製》
40℃に保温した2%オセインゼラチン(カルシウム含有量1ppm)水溶液1リットル中に下記(A1液)及び(B1液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ20分かけて同時添加した。続いて下記(A2液)及び(B2液)を、pAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ80分かけて同時添加した。更に、下記(A3液)及び(B3液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ21分かけて同時添加した。更に、下記(A4液)及び(B4液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ16分かけて同時添加した。更に、下記(A5液)及び(B5液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ10分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0120】
(A1液)
塩化ナトリウム 3.42g
臭化カリウム 0.03g
水を加えて 200ml
(A2液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
水を加えて 290ml
(A3液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1×10−8モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1×10−8モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A5液)
塩化ナトリウム 10.6g
臭化カリウム 0.11g
水を加えて 62ml
(B1液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(B2液)
硝酸銀 145g
水を加えて 290ml
(B3液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B4液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B5液)
硝酸銀 31g
水を加えて 62ml
全ての添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(アミノ基の置換比率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−1)を調製した。
【0121】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−1)に対し、60℃、pH5.8、pAg7.5にて下記増感色素(GS−1)を添加し、引き続き下記チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸を添加し、分光増感及び化学増感を施した。化学増感剤の添加後、最適に熟成したところで、ハロゲン化銀吸着性化合物(下記安定剤STAB−1〜STAB−3)を添加し、熟成を停止させ、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G1)を得た。
【0122】
チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX
塩化金酸 1.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 GS−1 4×10−4モル/モルAgX
STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール
STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール
【0123】
【化1】
【0124】
《比較乳剤(Em−2)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A3a液)及び(A4a液)を用いること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−2)を調製した。
【0125】
(A3a液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 8×10−9モル/モルAg
K2[Ir(im)6] 5×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 8×10−6モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4a液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 8×10−9モル/モルAg
K2[Ir(im)6] 5×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 8×10−6モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−3)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A3b液)及び(A4b液)を用いること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−3)を調製した。
【0126】
(A3b液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.3×10−8モル/モルAg
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4b液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 9×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−4)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A3c液)及び(A4c液)を用いること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.5モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−4)を調製した。
【0127】
(A3c液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.3×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4c液)
塩化ナトリウム 21.2g
[RuCl2(bipy)2] 1×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−5)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A2液)、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A2d液)、(A3d液)及び(A4d液)を用い、かつ(B4液)及び(A4d液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を7.2ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.3モル%、臭化銀含有率0.5モル%、沃化銀含有率0.2モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−5)を調製した。
【0128】
(A2d液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
K2[Ru(NO)Cl5] 9×10−9モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A3d液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.3×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4d液)
塩化ナトリウム 21.2g
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−6)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A2液)、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A2e液)、(A3e液)及び(A4e液)を用い、かつ(B4液)及び(A4e液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を7.2ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.3モル%、臭化銀含有率0.5モル%、沃化銀含有率0.2モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−6)を調製した。
【0129】
(A2e液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
K2[Ru(NO)Cl5] 9×10−9モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A3e液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 9×10−9モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1×10−8モル/モルAg
[Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]Cl2
6×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4e液)
塩化ナトリウム 21.2g
K4Ru(CN)6 1.9×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−7)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−1)の調製において、(A2液)、(A3液)及び(A4液)に代えて下記(A2f液)、(A3f液)及び(A4f液)を用い、かつ(B4液)及び(A4f液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/Lの沃化銀水溶液を10.8ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.2モル%、臭化銀含有率0.5モル%、沃化銀含有率0.3モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−7)を調製した。
【0130】
(A2f液)
塩化ナトリウム 49.6g
臭化カリウム 0.48g
Cs2[Os(NO)Cl5] 1×10−8モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A3f液)
塩化ナトリウム 21.2g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 9×10−9モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1×10−8モル/モルAg
[Ir(bipy)2(H2O)(bipy′)]Cl2
6×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
(A4f液)
塩化ナトリウム 21.2g
K4Ru(CN)6 1.9×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.21g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−8)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−7)の調製において、硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.0055モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率98.9モル%、臭化銀含有率0.8モル%、沃化銀含有率0.3モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−8)を調製した。
【0131】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−2)〜(Em−8)に対し、(Em−1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G2)〜(Em−G8)を得た。
【0132】
(青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B1)〜(Em−B8)の調製)
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−1)〜(Em−8)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.65μm、粒径の変動係数0.08の単分散立方体乳剤を調製し、さらに下記化合物を用いて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B1)〜(Em−B8)を得た。
【0133】
チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX
塩化金酸 0.5mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−1 4×10−4モル/モルAgX
増感色素 BS−2 1×10−4モル/モルAgX
(赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R1)〜(Em−R8)の調製)
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−1)〜(Em−8)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.40μm、粒径の変動係数0.07の単分散立方体乳剤を調製し、さらに下記化合物を用いて最適に化学増感を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R1)〜(Em−R8)を得た。
【0134】
チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX
塩化金酸 2.0mg/モルAgX
安定剤 STAB−1 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−2 3×10−4モル/モルAgX
安定剤 STAB−3 3×10−4モル/モルAgX
増感色素 RS−1 1×10−4モル/モルAgX
増感色素 RS−2 1×10−4モル/モルAgX
また赤感光性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10−3添加した。
【0135】
【化2】
【0136】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製》
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15質量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の写真構成層を塗設し、ハロゲン化銀写真感光材料試料101を作製した。
【0137】
塗布液は下記のようにして調製した。
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)3.34g、イエローカプラー(Y−2)10.02g、イエローカプラー(Y−3)1.67g、色素画像安定剤(ST−1)1.67g、色素画像安定剤(ST−2)1.67g、色素画像安定剤(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−1)0.167g、画像安定剤A2.67g、画像安定剤B1.34g、高沸点有機溶媒(DBP)5.0g及び高沸点有機溶媒(DNP)1.67gに酢酸エチル60mlを加えて溶解し、10%界面活性剤(SU−1)5mlを含有する7%ゼラチン水溶液320mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液500mlを作製した。この分散液を、上記条件で調製した青感性塩臭化銀乳剤(Em−B1)と混合し第1層塗布液を調製した。
第2層〜第7層塗布液
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に表1及び表2の塗布量になるように各塗布液を調製した。
【0138】
又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。又各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5,−オクタフル
オロペンチル)・ナトリウム
DBP :ジブチルフタレート
DNP :ジノニルフタレート
DOP :ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1:2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2:2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3:2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4:2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5:2,5−ジ〔(1,1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル〕ハイドロキノン
画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
画像安定剤B:ポリ(t−ブチルアクリルアミド)
【0142】
【化3】
【0143】
【化4】
【0144】
【化5】
【0145】
【化6】
【0146】
【化7】
【0147】
上記試料101の作製において、第1層のハロゲン化銀乳剤(Em−B1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−B2)〜(Em−B8)を用い、第3層のハロゲン化銀乳剤(Em−G1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−G2)〜(Em−G8)を用い、第5層のハロゲン化銀乳剤(Em−R1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−R2)〜(Em−R8)を用いた以外は同様にして、試料102〜108を作製した。
【0148】
《ハロゲン化銀カラー写真感光材料の評価》
上記作製した試料101〜108について、下記に記載の方法に従って、感度、カブリ、潜像安定性の評価を行った。
【0149】
高照度露光における感度・カブリ評価、および露光後潜像安定性評価
各試料に対し、10−6秒露光のキセノンフラッシュ高照度露光用感光計(山下電装(株)製SX−20型)を用いてウエッジ露光し、露光後5分間放置した後、下記の処理工程に従って発色現像処理を行った。これを処理Aとする。一方、上記方法において、露光した後5秒間経過してから同様に発色現像処理を行い、これを処理Bとする。
【0150】
以上のようにして現像処理を行った各試料のマゼンタ画像反射濃度を、光学濃度計(コニカ製PDA−65型)を用いて測定し、縦軸−反射濃度(D)、横軸−露光量(LogE)からなるマゼンタ画像の特性曲線を作成して、以下のようにして各特性値を算出した。
【0151】
処理Aにおける試料の感度を下式1に従って計算した。ここで感度は、試料101の処理Aにおける感度を100として表記した。また、各々の特性曲線における最低濃度値を、カブリ濃度として表記した。
【0152】
次に、下式2に従って処理Aでの階調γ(γa)と処理Bでの階調γ(γb)を計算し、続いて各々の階調γ値より下式3に従って、変動値Δγを計算した。なお、Δγは、数値が100に近いほど潜像安定性に優れていることを表す。
【0153】
式1
感度=1/(カブリ+1.0の濃度を示す露光量)
式2
階調γ=1/〔Log(カブリ+0.1の濃度を示す露光量)−Log(カブリ+0.4の濃度を示す露光量)〕
式3
Δγ=(γb/γa)×100
〔発色現像処理〕
処理工程 処理温度 時間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml
安定化 30−34℃ 60秒 150ml
乾燥 60−80℃ 30秒
それぞれ、水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpHを10.10に、補充液はpHを10.60に調整した。
【0154】
〈漂白定着液タンク液及び補充液〉
ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g
ジエチレントリアミン五酢酸 3g
チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml
2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpHを5.0に調整した。
【0155】
〈安定化液タンク液及び補充液〉
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g
硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g
PVP(ポリビニルピロリドン) 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpHを7.5に調整した。
【0156】
以上より得られた各評価結果を表3に示す。
【0157】
【表3】
【0158】
表3より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度かつ低カブリで、潜像安定性も良好な結果が得られた。
【0159】
実施例2
上記にて作製した試料を127mm巾のロール状に加工し、下記の様にしてデジタル露光適性を評価した。
【0160】
コニカカラーNew CENTURIA 400の現像済みネガ画像を、コニカ製フィルムスキャナQscan1202JWを用いてデジタルデーター化し、アドビ社製ソフトphotoshop(Ver.5.5)で取り扱える環境とした。取り込んだ画像に様々なサイズの文字と細線を加えて一つの画像データとして、下記の様なデジタル走査露光装置で露光できるように操作した。
【0161】
光源として半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.5nm)を励起光源としたYAG固体レーザー(発振波長946nm)をKNbO3のSHG結晶により波長変換して取りだした473nmと、半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.7nm)を励起光源としたYVO4固体レーザー(発振波長1064nm)をKTPのSHG結晶により波長変換して取りだした532nmと、AlGaInP(発振波長約670nm)とを用いた。3色それぞれのレーザー光をポリゴンミラーにより走査方向に垂直方向に移動し、カラー印画紙上に順次走査露光できる様な装置を作製した。露光量は、半導体レーザーの光量を電気的にコントロールした。走査露光は400dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)で行い、この時の1画素あたりの露光時間は5×10−8秒であった。
【0162】
各試料において最適のプリント画像が得られるように露光量を種々調整した上で走査露光後、実施例1の処理を下記の様に変更し、キャビネサイズのプリント画像を得た。
【0163】
実施例1において下記の様に変更した処理を行った。
処理工程 処 理 温 度 時 間 補充量
発色現像 38.0±0.3℃ 22秒 81ml
漂白定着 35.0±0.5℃ 22秒 54ml
安定化 30〜34℃ 25秒 150ml
乾 燥 60〜80℃ 30秒
現像処理液の組成を下記に示す。
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.1に、補充液はpH=10.6に調整する。
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウムまたは氷酢酸でタンク液はpH=7.0に、補充液はpH=6.5に調整する。
安定化液タンク液及び補充液
o−フェニルフェノール 1.0g
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g
ジエチレングリコール 1.0g
蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g
1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g
PVP 1.0g
アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g
エチレンジアミン四酢酸 1.0g
亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 10ml
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸またはアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0164】
得られたプリント画像について、20人の観察者により細線や文字の明瞭度、人物の肌色再現性、木々の緑の再現性を以下の基準で目視評価した。さらに100枚を露光した後、直ちに順次処理を実施し、1枚目と100枚目についてプリント再現性を以下の基準で目視評価した。評価結果を表4に示す。
【0165】
(1)細線の明瞭度の評価基準
◎:グレーの細線や文字が明瞭に区別できる
○:グレーの細線や文字がはっきりと区別できるが、輪郭がややぼける
△:グレーの細線や文字を区別できるが、ぼやけが目立つ
×:グレーの細線や文字がぼやけ、区別が困難。
【0166】
(2)人物の肌色再現性
◎:明るく自然な再現
○:自然な再現
△:少し不自然な再現
×:赤みが足りない。
【0167】
(3)木々の緑の再現性
◎:明るく鮮やかな再現
○:鮮やかな再現
△:ややくすんでいる
×:くすんでいる。
【0168】
(4)プリント再現性
◎:プリント差を認識できない
○:わずかなプリント差が認識できるが、ほぼ同一として扱える
△:若干のプリント差が認識でき、やや気になる
×:プリント差がはっきりと認識でき、実用上問題と考えられる。
【0169】
【表4】
【0170】
本発明の試料は、様々な画像、文字、細線に対して何れも優れた再現性を示した。
【0171】
実施例3
コニカカラーNew CENTURIA 400の現像済みネガ画像、コニカクロームSINBI200ハイクォリティーの現像済みポジ画像、およびコニカ製デジタルカメラDigital Revio KD−200Zによる撮像画像データから、各々以下のようにしてプリント画像を得た。
【0172】
実施例1にて作製した試料を127mm巾のロール状に加工し、コニカ製デジタルミニラボシステムQD−21SUPER(プリントプロセッサーQDP−1500SUPER、処理ケミカルとしてECOJET−HQA−Pを使用し、プロセス名CPK−HQA−Pに従って処理)にて露光処理したプリント画像を実施例2と同様に評価し、結果を表5に示した。
【0173】
【表5】
【0174】
表5から明らかなように、本発明の試料から得られた画像は、いずれも優れている。
【0175】
実施例4
《比較乳剤(Em−11)の調製》
40℃に保温した2%オセインゼラチン(カルシウム含有量1ppm)水溶液1リットル中に下記(A11液)及び(B11液)を、pAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ20分かけて同時添加した。続いて45℃に昇温し、下記(A12液)及び(B12液)を、pAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ60分かけて同時添加した。更に、下記(A13液)及び(B13液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ17分かけて同時添加した。更に、下記(A14液)及び(B14液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ13分かけて同時添加した。更に、下記(A15液)及び(B15液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ7分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0176】
(A11液)
塩化ナトリウム 3.43g
臭化カリウム 0.01g
水を加えて 200ml
(A12液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
水を加えて 290ml
(A13液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.3×10−8モル/モルAg
[Ir(thia)6]Cl3 1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Fe(CN)6 1.4×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A15液)
塩化ナトリウム 10.6g
臭化カリウム 0.02g
水を加えて 62ml
(B11液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(B12液)
硝酸銀 145g
水を加えて 290ml
(B13液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B14液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B15液)
硝酸銀 31g
水を加えて 62ml
全ての添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(アミノ基の置換比率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−11)を調製した。
【0177】
《比較乳剤(Em−12)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A13a液)及び(A14a液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−12)を調製した。
【0178】
(A13a液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14a液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 9×10−9モル/モルAg
K4Fe(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−13)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A13b液)及び(A14b液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−13)を調製した。
【0179】
(A13b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 8×10−9モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.5×10−8モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 7×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.6×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−14)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A12液)、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A12c液)、(A13c液)及び(A14c液)を用い、かつ(B14液)及び(A14c液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を14.4ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.1モル%、沃化銀含有率0.4モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−14)を調製した。
【0180】
(A12c液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
K2[Ru(NO)Cl5] 8×10−9モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A13c液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 7×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 1.1×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.3×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14c液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 7×10−9モル/モルAg
K4Fe(CN)6 1.3×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−15)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−11)の調製において、(A12液)、(A13液)及び(A14液)に代えて下記(A12d液)、(A13d液)及び(A14d液)を用い、かつ(B14液)及び(A14d液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を14.4ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行ったこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.5モル%、臭化銀含有率0.1モル%、沃化銀含有率0.4モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−15)を調製した。
【0181】
(A12d液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
K2[Ru(NO)Cl5] 1×10−8モル/モルAg
水を加えて 290ml
(A13d液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 7×10−9モル/モルAg
K2IrBr6 1.1×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.3×10−8モル/モルAg
K2[RuCl5(H2O)] 8×10−9モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 4×10−9モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A14d液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 4×10−9モル/モルAg
K4Ru(CN)6 1.7×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明乳剤(Em−16)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−15)の調製において、硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.0055モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.2モル%、臭化銀含有率0.4モル%、沃化銀含有率0.4モル%の単分散立方体である沃塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−16)を調製した。
【0182】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−11)〜(Em−16)に対して、実施例1における(Em−G1)と同様に分光増感及び化学増感を施し緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G11)〜(Em−G16)を得た。
【0183】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−11)〜(Em−16)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.65μm、粒径の変動係数0.08の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−B1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B11)〜(Em−B16)を得た。
【0184】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−11)〜(Em−16)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.40μm、粒径の変動係数0.07の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−R1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R11)〜(Em−R16)を得た。
【0185】
実施例1における試料101において、第1層のハロゲン化銀乳剤(Em−B1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−B11)〜(Em−B16)を用い、第3層のハロゲン化銀乳剤(Em−G1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−G11)〜(Em−G16)を用い、第5層のハロゲン化銀乳剤(Em−R1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−R11)〜(Em−R16)を用いて試料201〜206を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表6に示す。
【0186】
【表6】
【0187】
表6より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度かつ低カブリで、潜像安定性も良好な結果が得られた。
【0188】
実施例5
実施例4で作製した試料201〜206を用いて実施例2と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例2と同様に優れた効果が得られた。
【0189】
実施例6
実施例4で作製した試料201〜206を用いて実施例3と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例3と同様に優れた効果が得られた。
【0190】
実施例7
《比較乳剤(Em−21)の調製》
30℃に保温した2%オセインゼラチン(平均分子量15000、カルシウム含有量1ppm)水溶液1リットル中に下記(A21液)及び(B21液)を、pAg=7.8、pH=3.0に制御しつつ15分かけて同時添加した。続いて45℃に昇温し、下記(A22液)及び(B22液)を、pAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ50分かけて同時添加した。更に、下記(A23液)及び(B23液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ15分かけて同時添加した。更に、下記(A24液)及び(B24液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ12分かけて同時添加した。更に、下記(A25液)及び(B25液)をpAg=7.7、pH=5.5に制御しつつ7分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0191】
(A21液)
塩化ナトリウム 3.43g
臭化カリウム 0.01g
水を加えて 200ml
(A22液)
塩化ナトリウム 49.2g
臭化カリウム 0.1g
水を加えて 290ml
(A23液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.8×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 2.1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24液)
塩化ナトリウム 21.3g
[RuCl2(bipy)2] 1.4×10−8モル/モルAg
K4Ru(CN)6 2.5×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A25液)
塩化ナトリウム 10.6g
臭化カリウム 0.02g
水を加えて 62ml
(B21液)
硝酸銀 10g
水を加えて 200ml
(B22液)
硝酸銀 145g
水を加えて 290ml
(B23液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B24液)
硝酸銀 62g
水を加えて 124ml
(B25液)
硝酸銀 31g
水を加えて 62ml
全ての添加終了後、特開平5−72658号に記載の方法を用いアミノ基をフェニルカルバモイル化した化学修飾ゼラチン(アミノ基の置換比率95%)30gを含む5%水溶液を添加して脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径(Cubic一辺長)0.40μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−21)を調製した。
【0192】
《比較乳剤(Em−22)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23a液)及び(A24a液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−22)を調製した。
【0193】
(A23a液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.3×10−8モル/モルAg
K2IrBr6 1.6×10−8モル/モルAg
[Ir(thia)6]Cl3 1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24a液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Fe(CN)6 2.2×10−5モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−23)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23b液)及び(A24b液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−23)を調製した。
【0194】
(A23b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 2.0×10−8モル/モルAg
[Ir(im)6]Cl3 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24b液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Ru(CN)6 2.2×10−5モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 1.0×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−24)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23c液)及び(A24c液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−24)を調製した。
【0195】
(A23c液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1×10−8モル/モルAg
K2[Ir(bipy)Cl4] 1.3×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24c液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Ru(CN)6 2.5×10−5モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−25)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−21)の調製において、(A23液)及び(A24液)に代えて下記(A23d液)及び(A24d液)を用いること以外は同様にしたこと以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.08、塩化銀含有率99.9モル%、臭化銀含有率0.1モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−25)を調製した。
【0196】
(A23d液)
塩化ナトリウム 21.3g
K2IrCl6 1.6×10−8モル/モルAg
K2[Ir(bipy)Cl4] 1.2×10−8モル/モルAg
K2[IrCl5(H2O)] 1.8×10−8モル/モルAg
[Ir(im)6]Cl3 1.0×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
(A24d液)
塩化ナトリウム 21.3g
K4Ru(CN)6 2.5×10−5モル/モルAg
[RuCl2(bipy)2] 1.5×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.04g
水を加えて 124ml
《本発明の乳剤(Em−26)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−25)の調製において、硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.009モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.4モル%、臭化銀含有率0.6モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−26)を調製した。
【0197】
《本発明の乳剤(Em−27)の調製》
ハロゲン化銀乳剤(Em−25)の調製において、(A22液)に代えて下記(A22e液)を用い、かつ(A24d液)及び(B24液)の添加が終了した時点で硝酸銀及びハライド液の添加を中断し、0.5モル/L沃化銀水溶液を10.8ml添加した後、硝酸銀及びハライド液の添加を再開する操作を行い、さらに硝酸銀及びハライドの添加を終了させた後、さらに臭化銀微粒子(粒径0.02μm)0.0055モルを添加して頂点近傍に臭化銀局在層を形成すること以外は同様にして平均粒径(Cubic一辺長)0.50μm、粒径の変動係数0.07、塩化銀含有率99.3モル%、臭化銀含有率0.4モル%、沃化銀含有率0.3モル%の単分散立方体である塩臭化銀ハロゲン化銀乳剤(Em−27)を調製した。
【0198】
(A22e液)
塩化ナトリウム 49.2g
K2[Ru(NO)Cl5] 1×10−8モル/モルAg
臭化カリウム 0.1g
水を加えて 290ml
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−21)〜(Em−27)に対して、実施例1における(Em−R1)と同様に分光増感及び化学増感を施し赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R21)〜(Em−R27)を得た。
【0199】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−21)〜(Em−27)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.65μm、粒径の変動係数0.08の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−B1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B21)〜(Em−B27)を得た。
【0200】
上記ハロゲン化銀乳剤(Em−21)〜(Em−27)の調製において、硝酸銀水溶液及びハライド水溶液の添加時間を適宜変更して平均粒径0.55μm、粒径の変動係数0.07の単分散立方体乳剤を調製し、さらに実施例1における(Em−G1)と同様に分光増感及び化学増感を施し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G21)〜(Em−G27)を得た。
【0201】
実施例1における試料101において、第1層のハロゲン化銀乳剤(Em−B1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−B21)〜(Em−B27)を用い、第3層のハロゲン化銀乳剤(Em−G1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−G21)〜(Em−G27)を用い、第5層のハロゲン化銀乳剤(Em−R1)に代えて、ハロゲン化銀乳剤(Em−R21)〜(Em−R27)を用いて試料301〜307を作製し、実施例1と同様の方法でシアン濃度について、感度、カブリ、潜像安定性の評価を行った。結果を表7に示す。
【0202】
【表7】
【0203】
表7より明らかなように、本発明に係わるハロゲン化銀乳剤を用いた各試料は、比較試料に対し、高照度露光時に高感度かつ低カブリで、潜像安定性も良好な結果が得られた。
【0204】
実施例8
実施例7で作製した試料301〜307を用いて実施例2と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例2と同様に優れた効果が得られた。
【0205】
実施例9
実施例7で作製した試料301〜307を用いて実施例3と同様の評価を行った。本発明の試料では、実施例3と同様に優れた効果が得られた。
【0206】
【発明の効果】
本発明により、塩臭化銀または塩沃臭化銀から成る、高感度で低カブリで、潜像安定性に優れたハロゲン化銀乳剤と、該ハロゲン化銀乳剤を用いて、特に高照度短時間の露光がなされるデジタル露光において高感度で低カブリで、露光後から現像処理までの潜像安定性に優れたハロゲン化銀写真感光材料ならびに該写真感光材料を走査露光する画像形成方法を提供することができた。
Claims (7)
- 粒子内部に5種類以上の8族金属化合物を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
- ハロゲン化銀粒子が3種類以上のイリジウム化合物を含んでいることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤。
- 粒子内部にニトロシル配位子、チオニトロシル配位子、シアノ配位子、水配位子、ハロゲン配位子、及び有機配位子から選ばれる1つ以上の配位子を有する3種類以上のルテニウム六配位錯体を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
- 粒子内部に金属イオン種の異なる2種類以上の8族金属有機配位子錯体を含有し、かつ化学増感及び分光増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
- 沃化銀含有率が0.02〜2.0モル%であり、臭化銀含有率が0.02〜5.0モル%であり、かつ粒子内部に少なくとも1つの沃化銀局在層を有するハロゲン化銀粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
- 支持体上に少なくとも1層の画像形成層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該画像形成層の少なくとも1層に請求項1〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 請求項6記載のハロゲン化銀写真感光材料を走査露光した後、発色現像処理することを特徴とする画像形成方法。
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