JP2004156267A - 太陽光発電システムの設置構造 - Google Patents

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憲二 南渕
Yoshiteru Nitta
佳照 新田
Takuji Nomura
卓司 野村
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Abstract

【課題】太陽光発電システムの設置工事において、部材の標準化を容易ならしめ設置工事の簡略化を図る。
【解決手段】錘、架台、太陽電池パネルから構成され、錘の重量が下式を満足するよう設定された太陽光発電システムの設置構造とする。
錘重量≧吹上げ設計荷重−架台重量−太陽電池パネル重量 (式1)
架台が建物又は地面等設置面にボルト締めによって固定された太陽光発電システムにおいては、錘の重量が下式を満足するよう設定する。
錘重量≧吹上げ設計荷重−架台重量−太陽電池パネル重量−架台のボルト締め固定力 (式2)
錘は交換、取外し、追加可能に架台に取付けられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽光発電システムの設置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池パネルは一般に建築物の屋上や更地などに設置され、発電された直流電力はパワーコンディショナにより交流に変換され負荷に供給される。太陽電池パネルを建築物の屋上や更地などに設置する際には、設置する場所にコンクリート等による基礎ブロックを据え付け、その基礎ブロック上に架台および太陽電池パネルを取り付ける。この際、基礎ブロックは下地構造物に連結されている場合と所定の重量以上に設計された基礎ブロックの重量により保持されている場合と構造がある。架台は、取り付けられる太陽電池パネルの受光面が所定の傾斜角になるように設計され、アンカーボルト等によって基礎ブロックに取り付けられる。
【0003】
前記のように基礎ブロックにアンカーボルト等によって架台を取り付ける場合は、基礎ブロック一個の重量を重くする必要が生じその可搬性や据え付け作業時の作業性が悪いという問題が発生していた。というのは、太陽光発電システムが風力により影響されない為には、システム全体そして基礎ブロック全体には一定の重量が必要で、基礎ブロックの個数を増やすことは取り付け工数の増大や部材標準化の妨げとなり、工事日程の増加や工事費用の増大をもたらすからである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、太陽電池パネルを取り付ける架台に可搬性の錘を取り付けることを特徴とする。架台は設置表面に連結されていても、連結されず重量のみで据え付けされていても、どちらでもかまわない。本発明では、太陽電池パネル全体の吹き上げ荷重を上回る重量を確保する手段として、可搬性の錘を所定個数取り付けることで太陽光発電システムの設置工事が容易となる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。図1は太陽光発電システム1の設置構造を上方から見た図である。図2は太陽光発電システム1の設置構造の側面図である。太陽電池パネル2とは、太陽電池セルより構成される太陽電池モジュール単体または複数枚組み合わされたもので架台3に取り付けられる。架台3はアルミ押し出し部材や溶融亜鉛メッキされた鋼材よりなり、強度が確保されるなら任意の無機物および有機物からなる部材を組み合わせて使用できる。架台3に所定の重量の錘4が所定の個数で取り付けられている。なお、錘4としては材料そのもので重量を確保できる素材であれば、施工現場で固化させたコンクリートや施工現場で容器に材料を封入したものなどが使用できる。なお、この錘の形状は適時設計により決定される。
【0006】
吹き上げ荷重Wは、建築基準法施工令第87条より、(式3)より決定される。
W=S×Cf×0.6×E×V (式3)
S:安全係数
Cf:風力係数
E:高さ、地表面粗度区分による係数
:設計基準風速
錘の個数と重量の積は、(式3)より求められる吹き上げ荷重以上の重量となるように決定される。この錘は取り付け取り外し可能なように例えば取り付け用の穴または取り付けに適した機構を有したものとすると良い。
【0007】
【実施例】
図1に示す実施例では、太陽電池パネル2は所定の傾斜角で架台3にボルト等で取付けられている。太陽電池パネル2及び架台3の部材強度及びその取付け強度は風圧荷重に充分耐えうるよう設計される。更にこうした設計は、設置場所等の諸条件を考慮し適切に実施する必要がある。このようにして最終的に、錘4の重量及び個数が決定される。
【0008】
具体的には、太陽光発電システム1の総重量相当が設置地域や設置高さ等の設置状況より求められる吹上げ荷重以上となるように、以下の(式1)及び(式2)を満たすように、複数の錘4の合計重量である錘重量が決定される。
錘重量≧吹上げ設計荷重−架台重量−太陽電池パネル重量 (式1)
錘重量≧吹上げ設計荷重−架台重量−太陽電池パネル重量−架台のボルト締め固定力 (式2)。
【0009】
架台3に取り付ける一個の錘4は運搬可能な重量とし、設置工事を容易ならしめることが好ましい。錘4の重量を一定として、錘4の重量と個数の積が前記錘重量となるようにすると部材として標準化し易い。錘4の重量は通常の施工が可能な100〜5kgの重量範囲で運搬が容易な30〜10kgが特に望ましい。
【0010】
また、建物の耐荷重は一般的に180kg/mで設計されていることから、太陽電池パネル2、架台3及び全ての錘4を含んだ太陽光発電システム1の総重量は、180kg/m以下の条件で設計する必要がある。
【0011】
(実施例1)
太陽光発電システム1を、大阪で10mの高さの場所に設置した。設計基準風速はこの設置場所条件では34m/sで、吹き上げ荷重としては60.3kg/mとなる。設置面積が4mなので、太陽光発電システム1全体の重量は241.2kg以上必要となる。また建物の一般的な耐荷重が180kg/m以下であることからシステム1全体の重量は720kg以下とする必要がある。太陽電池パネル2及び架台3の合計重量が50kgなので、錘の総重量は191.2kg以上必要となる。そこで図1に記載のように8個の錘を使用し錘一個の重量は24kgとした。
【0012】
具体的には、設置場所の所定位置に架台3を位置決めし、その後錘4を取り付け個所が予め取り付け可能に加工された架台3にボルトにより強固に取付けた。次に太陽電池パネル2を架台3に取り付けた。錘4は全体の重量バランスが取れるよう適切に分散して、図1に示すように架台3に等間隔で配置し取り付けた。吹き上げ荷重は太陽電池パネル2全体に均等ににかかるのではなく周辺部に集中する傾向があるので、錘4を周辺部に重点的に配置した。
【0013】
上記と同様のシステムを設置場所条件の異なる場所に移設する場合、または、周囲環境の変化により(例えばビル風等)吹き上げ荷重の設計変更が必要な場合には、錘4についてその重量が異なるものに変更したり、取り外しまたは追加により個数を変更することが可能である。
【0014】
(実施例2)
設置表面が一定の厚みを持ったコンクリート等からなる層もしくはブロック状の集合体で覆われていて、それらの層または集合体が建築物に連結されていない場合で、架台3がそれらの層または集合体にアンカーボルト等で連結された構成では、前記実施例1の差し引き重量より、相当する層の重量を差し引いた重量を錘4で確保すれば十分となる。具体的には、図1に記載の太陽電池システム1を、重量30kg/mの層状のブロックで覆われた接地面にアンカーボルト等で連結することで、実施例1と同様の設置場所つまり大阪で10mの高さの場所に設置した。設計基準風速はこの設置場所条件では34m/sで、吹き上げ荷重としては60.3kg/mとなる。設置面積が4mなので、太陽光発電システム1全体の重量は241.2kg以上必要となる。太陽電池パネル2及び架台3の合計重量が50kg、さらに層状ブロック重量が120kgなので、錘の総重量は71.2kg以上必要となる。そこで18kgの重量の錘4を4個架台3に取り付けた。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の太陽光発電システムの設置構造によれば、基礎ブロックを設置して架台を据え付ける従来の構造に比べ、錘の重量と個数を随意変更することが可能で、耐風圧が十分な、また必要以上に重量が重くないシステム構成で、太陽光発電システムが設置可能となる。また、錘は運搬可能な重量が設定でき、設置工事の簡素化、錘や錘の架台への取り付け構造の標準化が可能となるとともに、設置場所の適用範囲が広がる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る太陽光発電システムを上方からみた全体図
【図2】本発明に係る太陽光発電システムの側面図
【符号の説明】
1 太陽光発電システム
2 太陽電池パネル
3 架台
4 錘

Claims (6)

  1. 錘、架台、太陽電池パネルから構成され、錘の重量が下式を満足するよう設定されたことを特徴とする太陽光発電システムの設置構造。
    錘重量≧吹上げ設計荷重−架台重量−太陽電池パネル重量 (式1)
  2. 錘、架台、太陽電池パネルから構成され、架台が建物又は地面等設置面にボルト締めによって固定された太陽光発電システムにおいて、錘の重量が下式を満足するよう設定されたことを特徴とする太陽光発電システムの設置構造。
    錘重量≧吹上げ設計荷重−架台重量−太陽電池パネル重量−架台のボルト締め固定力 (式2)
  3. 錘が架台に取付けられたことを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽光発電システムの設置構造。
  4. 前記錘が、交換、取外し、追加が可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の太陽光発電システムの設置構造。
  5. 前記錘が、係合及び/又は勘合及び/又はボルト締めにより前記架台に取り付けられ固定されていることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の太陽光発電システムの設置構造。
  6. 建物又は地面等の所定の設置位置に設置された架台に、予め作製された錘を取付け固定し、その後、前記架台に太陽電池パネルを固定することを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の太陽光発電システム設置構造体の施工方法。
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