JP2004155633A - 無機質系有孔板の防火性向上方法 - Google Patents

無機質系有孔板の防火性向上方法 Download PDF

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JP2004155633A JP2002325096A JP2002325096A JP2004155633A JP 2004155633 A JP2004155633 A JP 2004155633A JP 2002325096 A JP2002325096 A JP 2002325096A JP 2002325096 A JP2002325096 A JP 2002325096A JP 2004155633 A JP2004155633 A JP 2004155633A
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Takashi Otsuka
俊 大塚
Shuji Araki
修治 荒木
Tatsuya Yasumoto
辰也 安本
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Abstract

【課題】本発明の目的は、既設または設置前に拘りなく無機質系有孔板の防火性を向上させることができる方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法は、無機質系有孔板の少なくとも一面に、加熱により発泡膨張する塗材を下記の式を満足する条件にて塗布することを特徴とする:
【数1】
Figure 2004155633

式中、
t:無機質系有孔板の板厚(mm)
α=c×p×β
α:設定膨張厚(mm)
c:補正係数(加熱時間が15分以内の場合はc=1、45分以上の場合はc=0.8、15分を超え、45分未満の場合はc=0.9)
p:塗膜厚(mm)
β:塗材の発泡率
γ:開孔率
d:孔径(mm)
λ:無機質系有孔板の熱伝導率(W/m・K)
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機質系有孔板の防火性向上方法に関し、更に詳細には、建築物の内外装において、吸音、換気等の目的で用いられる無機質系有孔板の防火性向上方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の無機質系有孔板を例えば屋根裏の換気に用いる場合において、平成12年度住宅金融公庫基準適合住宅仕様では、軒天井に有孔板を施工する場合には、その裏面側に目開き2mm以下の金網を二重に設けなければならない。そこで、より施工性に優れた換気構造として、有孔板を用いずに軒天井板の支持金具により通気性を確保し、火災時には金具内に充填した熱膨張材により火炎の侵入を防ぐ構造がある。
【0003】
しかし、支持金具による換気構造では換気に有効な開口面積が小さく、充分な換気性能が得られない。このため、無機質系有孔板の裏側に熱膨張材を接着剤等を用いて全面に積層する方法があり、更に、遮炎性を改善する方法として、例えば特許文献1には、少なくとも基板材料と、該基板材料表面上に積層された熱膨張性層とを有し、基板材料と熱膨張層を貫通する開孔部を備えていることを特徴とする遮蔽性能を有する有孔板が開示されている。また、特許文献1によれば、熱膨張層の面外方向への膨張を制御するため、熱膨張層の表面に膨張制御層を積層することができることも開示されている。
【0004】
また、本出願人は、特願2001−391937号において、無機質系板と、該無機質系板の表面に積層された熱膨張層と、該熱膨張層の表面に積層された保護層から構成され、前記無機質系板、熱膨張層及び保護層を貫通する孔を所定の間隔で備えてなる有孔パネルであって、該熱膨張層及び保護層が所定の間隔で設置された固定材を介して該無機質系板に固定されていることを特徴とする有孔パネル並びに無機質系板と、該無機質系板の表面に積層された熱膨張層と、該熱膨張層の表面に積層された通気性を有する保護層から構成され、前記無機質系板及び熱膨張層を貫通する孔を所定の間隔で備えてなる有孔パネルであって、該熱膨張層及び保護層が所定の間隔で設置された固定材を介して該無機質系板に固定されていることを特徴とする有孔パネルを提案している。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−192599号公報 特許請求の範囲
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されている有孔板を使用した軒裏換気用有孔パネルは、従来の軒裏換気用有孔天井板に比べ熱膨張材の飛散を抑制することができ、遮炎性を向上させることができる。しかしながら、基材材料表面に熱膨張層を積層した構成の有孔板では、熱を受けると熱膨張層が面外方向へ膨張し、有孔板の開孔部を充分に閉塞して火炎の侵入を防止することができないという問題がある。更に、熱膨張層の表面に膨張制御層を積層した構成の有孔板においても、熱を受けて熱膨張層が膨張すると、それに伴って膨張制御層が浮き上がり、熱膨張層の面外方向への膨張を充分に制御することができず、それに伴って有孔板の開孔部を充分に閉塞することができないという問題がある。また、壁等の鉛直部材においては、基材材料と熱膨張層との接着部分の剥離による大規模な脱落を生ずる可能性もある。
【0007】
また、特願2001−391937号に記載された有孔パネルは、上記特許文献1に開示された有孔板の課題を解決するためになされたものであり、熱膨張層を形成するための高価な熱膨張材料の使用量を少なくしても、熱膨張層の面外方向への膨張をより制御することができ、建築物の内外装において、吸音、換気等の目的で用いられる遮炎性及び防火性に優れた有孔パネルである。
【0008】
しかしながら、特許文献1並びに特願2001−391937号に記載された有孔板や有孔パネルにおいては、熱膨張層を既設の有孔板や有孔パネルに設置して遮炎性を向上させることはできず、設置前の新品の有孔板や有孔パネルに熱膨張層を設置して遮炎性を付与する技術であり、既設または設置前に拘りなく有孔板や有孔パネルの防火性を向上させることができる技術は開発されていないのが現状である。
【0009】
従って、本発明の目的は、既設または設置前に拘りなく無機質系有孔板の防火性を向上させることができる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法は、無機質系有孔板の少なくとも一面に、加熱により発泡膨張する塗材を下記の式を満足する条件にて塗布することを特徴とする:
【数2】
Figure 2004155633
式中、
t:無機質系有孔板の板厚(mm)
α=c×p×β
α:設定膨張厚(mm)
c:補正係数(加熱時間が15分以内の場合はc=1、45分以上の場合はc=0.8、15分を超え、45分未満の場合はc=0.9)
p:塗膜厚(mm)
β:塗材の発泡率
γ:開孔率
d:孔径(mm)
λ:無機質系有孔板の熱伝導率(W/m・K)
【0011】
また、本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法は、無機質系有孔板が、繊維強化セメント有孔板または繊維混入珪酸カルシウム有孔板であることを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法は、加熱により発泡膨張する塗材が、発泡膨張成分としてポリ燐酸アンモニウムを含有してなることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法は、既設の無機質系有孔板、設置前の無機質系有孔板のどちらにも適用可能な方法であり、無機質系有孔板の少なくとも1面に加熱により発泡膨張する塗材を下記の式を満足する条件にて塗布するものである:
【数3】
Figure 2004155633
式中、
t:無機質系有孔板の板厚(mm)
α=c×p×β
α:設定膨張厚(mm)
c:補正係数(加熱時間が15分以内の場合はc=1、45分以上の場合はc=0.8、15分を超え、45分未満の場合はc=0.9)
p:塗膜厚(mm)
β:塗材の発泡率
γ:開孔率
d:孔径(mm)
λ:無機質系有孔板の熱伝導率(W/m・K)
なお、補正係数cは、加熱を受ける時間により補正を行うための係数である。
【0014】
上記式を満足する条件にて、加熱により発泡膨張する塗材による塗膜を無機質系有孔板の少なくとも一面に形成しても、無機質系有孔板の有孔部は塗膜により閉塞することはなく、従って、無機質系有孔板の通気性や調音性等の機能は損なわれることなく、通常の無機質系有孔板として使用することができ、万一、火災等が発生した時には、加熱により塗膜が発泡膨張して断熱層を形成し、無機質系有孔板の見掛けの厚さが増大することにより、有孔部以外の部位については熱伝導を低下させることができ、更に、有孔部については加熱側の開口面と非加熱側の開口面の距離が開くことにより放射伝熱を低下させることができ、非加熱側の温度上昇を抑えることができるものである。
【0015】
また、加熱により発泡膨張する塗材は、顔料等を加えて所望の色に調整することができるので、無機質系有孔板に形成された塗膜面が表面となるように施工し、あるいは既設の無機質系有孔板の表面に所望の色に調整した塗膜を形成することにより有孔板に色彩を付与し、美観を向上させるといった付加的な効果も期待できる。
【0016】
ここで、本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法を適用可能な無機質系有孔板は特に限定されるものではなく、公知、慣用のいずれの無機質系有孔板に適用可能であり特に限定されるものではなく、例えば繊維強化セメント有孔板、繊維混入珪酸カルシウム有孔板、石膏スラグ有孔板、パルプセメント有孔板等を例示することができる。
【0017】
また、本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法に使用可能な加熱により発泡膨張する塗材としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂のような合成樹脂をベースとし、発泡剤としてポリ燐酸アンモニウム等を使用し、適宜炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の充填材、顔料、安定化剤、防腐剤等を配合した水性または油性の塗料を使用することができる。このような塗料としては、例えば商品名ジェリコFPモエンコート[恒和化学工業(株)社製]、ユニサーム[(株)古河テクノマテリアル社製]等を挙げることができる。
【0018】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法を更に説明する。
実施例1
無機質系有孔板として1000mm×1000mmの繊維混入けい酸カルシウム有孔板(厚さ10mm、孔径8mmφ、ピッチ20mm、開孔率12%、熱伝導率0.12W/m・k)を使用し、該繊維混入けい酸カルシウム有孔板の表面に加熱により発泡膨張する塗材として商品名ジェリコFPモエンコート[恒和化学工業(株)社製](水性の酢酸ビニル樹脂系塗料をベースとして、ポリ燐酸アンモニウムが発泡剤として配合されている。発泡倍率=20)を乾燥後の塗膜厚約0.15mmとなるように塗布することにより繊維混入けい酸カルシウム有孔板に本発明の処理を施した。
【0019】
実施例2
乾燥後の塗膜厚が約0.30mmとなるように商品名ジェリコFPモエンコートを塗布することにより繊維混入けい酸カルシウム有孔板に本発明の処理を施した。
【0020】
実施例3
乾燥後の塗膜厚が約0.45mmとなるように商品名ジェリコFPモエンコートを塗布することにより繊維混入けい酸カルシウム有孔板に本発明の処理を施した。
【0021】
加熱試験
上述の実施例1ないし3で得られた繊維混入けい酸カルシウム有孔板並びに繊維混入けい酸カルシウム板(厚さ10mm)及び未処理の繊維混入けい酸カルシウム有孔板を試験体として用いて45分間の加熱試験を行った。
加熱試験装置を図1に示す。加熱試験装置は、耐火炉(1)から構成されており、耐火炉(1)の側面下部にはバーナー(2)が設置されている。耐火炉(1)の上部には、試験体(3)が設置されており、その上方には、標準板(4)として厚さ8mmの繊維混入けい酸カルシウム板が設置されている。なお、試験体(3)として本発明の処理を施した繊維混入けい酸カルシウム有孔板を用いる場合には、加熱により発泡膨張する塗材の塗膜が炉内側となるように設置した。
加熱は、点(a)における温度が図2に示す標準加熱曲線となるように行われた。試験体裏面温度の測定地点(b)及び標準板裏面温度の測定地点(c)での温度を測定した結果を図2及び表1に記載する。なお、図2において、▲1▼は、繊維混入けい酸カルシウム板のデータであり、▲2▼は、未処理の繊維混入けい酸カルシウム有孔板のデータであり、▲3▼は、実施例1の処理済みの繊維混入けい酸カルシウム有孔板のデータであり、▲4▼は、実施例2の処理済みの繊維混入けい酸カルシウム有孔板のデータであり、▲5▼は、実施例3の処理済みの繊維混入けい酸カルシウム有孔板のデータである。
【0022】
【表1】
Figure 2004155633
【0023】
繊維混入けい酸カルシウム板と実施例2の処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板を比較すると、加熱開始後約10分までは発泡膨張により形成される断熱層の効果が遅れ、繊維混入けい酸カルシウム板の方が試験体裏面温度並びに標準板裏面温度共に処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板よりも低いが、加熱開始後10分経過後はほぼ同等の温度推移を示し、無孔板と同等の防火性能を有することが確認された。
また、未処理の繊維混入けい酸カルシウム有孔板と実施例1の処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板の温度推移を比較すると、加熱開始後約25分までは発泡膨張により形成される断熱層の効果が見られ、処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板の方が試験体裏面温度並びに標準板裏面温度共に低いが、加熱開始後25分以降はほぼ同等の温度推移を示した。加熱初期において、未処理品よりも防火性能が向上することが確認されたが、膨張層の厚さ不足により加熱時間の経過と共に未処理の繊維混入けい酸カルシウム板との差がなくなった。
更に、実施例3の処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板は、加熱開始後約30分までは発泡膨張により形成された断熱層が有効に作用しており、その後、発泡膨張した断熱層が安定することにより実施例2の処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板の温度推移とほぼ平行に低温側(約15℃)を推移し、良好な防火性能を有するものであることが確認された。
【0024】
なお、実施例1の処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板の加熱試験後の発泡膨張後により形成された断熱層の厚さは2.5mmであり、設定膨張厚2.4mmとほぼ近似しており、有孔部は加熱により発泡膨張する塗材が発泡膨張した後も有孔の状態であった。また、実施例2の処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板の加熱試験後の発泡膨張後により形成された断熱層の厚さは5mmであり、設定膨張厚4.8mmとほぼ近似しており、有孔部は加熱により発泡膨張する塗材が発泡膨張した後も有孔の状態であった。実施例3の処理済み繊維混入けい酸カルシウム有孔板の加熱試験後の発泡膨張後により形成された断熱層の厚さは8mmであり、設定膨張厚7.2mmとほぼ近似しており、有孔部は加熱により発泡膨張する塗材が発泡膨張した後も有孔の状態であった。
【0025】
【発明の効果】
上述のように、本発明の無機質系有孔板の防火性向上方法によれば、既設または設置前に拘りなく無機質系有孔板の防火性を向上させることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱試験装置の概略図である。
【図2】標準加熱曲線並びに加熱試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 耐火炉
2 バーナー
3 試験体
4 標準板
a 標準加熱曲線の測定地点
b 試験体裏面温度の測定地点
c 標準板裏面温度の測定地点

Claims (3)

  1. 無機質系有孔板の少なくとも一面に、加熱により発泡膨張する塗材を下記の式を満足する条件にて塗布することを特徴とする無機質系有孔板の防火性向上方法:
    Figure 2004155633
    式中、
    t:無機質系有孔板の板厚(mm)
    α=c×p×β
    α:設定膨張厚(mm)
    c:補正係数(加熱時間が15分以内の場合はc=1、45分以上の場合はc=0.8、15分を超え、45分未満の場合はc=0.9)
    p:塗膜厚(mm)
    β:塗材の発泡率
    γ:開孔率
    d:孔径(mm)
    λ:無機質系有孔板の熱伝導率(W/m・K)
  2. 無機質系有孔板が、繊維強化セメント有孔板または繊維混入珪酸カルシウム有孔板である、請求項1記載の無機質系有孔板の防火性向上方法。
  3. 加熱により発泡膨張する塗材は、発泡膨張成分としてポリ燐酸アンモニウムを含有してなる、請求項1または2記載の無機質系有孔板の防火性向上方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101705725B (zh) * 2009-11-04 2012-01-25 佟培杰 一种耐火一体板和其制造方法,及耐火组合板
JP2018048476A (ja) * 2016-09-21 2018-03-29 株式会社エーアンドエーマテリアル 耐火隔壁

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