JP2004155632A - 熱遮蔽膜、それを用いた熱遮蔽ガラス板、および熱遮蔽合わせガラス板 - Google Patents

熱遮蔽膜、それを用いた熱遮蔽ガラス板、および熱遮蔽合わせガラス板 Download PDF

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達也 野口
Takashi Muromachi
隆 室町
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Abstract

【課題】コストと性能に優れた熱遮蔽膜およびその熱遮蔽膜が形成された熱遮蔽ガラス板、およびそれを用いた熱遮蔽合わせガラスの提供を目的とする。
【解決手段】透光性を有する熱遮蔽膜であって、前記遮蔽膜は、樹脂を主たるマトリックス成分とし、平均粒径200nm以下のITO微粒子および/またはATO微粒子が分散されてなり、前記熱遮蔽膜の膜厚は少なくとも1μmであり、その表面抵抗値が少なくとも1MΩ/□であることを特徴とする熱遮蔽膜である。さらに、この熱遮蔽膜を用いた熱遮蔽ガラス板、熱遮蔽合わせガラスである。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両や建物の窓ガラスに有用な熱遮蔽膜、およびそれを用いた熱遮蔽用ガラス板、熱遮蔽用合わせガラスに関する。特に、微粒子により熱遮蔽機能を持たせた熱遮蔽膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車用などの安全ガラスとしては、ガラス板間に熱遮蔽膜を挟み込んでガラスから入る太陽光エネルギーを遮断し、冷房負荷や人の熱暑感の軽減を目的としたものが提案されている。
【0003】
例えば、車外側となるガラス板の内側にZnO、TiO、ITOまたはSnOなどの透明金属酸化物膜でAu、Ag、CuまたはAlなどの金属膜の両面を挟んだサンドイッチ構造の熱遮蔽膜を形成し、この熱遮蔽膜が形成された面と車内側となるガラス板をポリビニルブチラールなどの中間膜を用いて接着しているものが知られている。
【0004】
またポリエステルフィルム上に、透明金属酸化物膜、金属膜、透明金属酸化物膜を積層して熱遮蔽膜を形成し、さらに保護層(PPフィルムなど)を加工して作製された透明断熱フィルムを2枚のポリビニルブチラール膜で挟み込んで中間膜とし、この中間膜を用いて2枚のガラス板を接着するものも知られている(「透明断熱フィルム」、高分子、第35巻、8月号、1996年)。
【0005】
しかしながら、熱遮蔽膜を構成する透明金属酸化物膜および金属膜は、大部分がスパッタ法や蒸着法などによる物理成膜法で作製されているために、大掛かりな装置と複雑な工程を必要とし、またその成膜速度も遅い。このため、製品としてのコストも非常に高価になり、また大量生産する場合に困難を伴う。
【0006】
これら物理成膜法で作製された熱遮蔽膜は、表面の電気伝導度が高く、電磁遮蔽性を示すため、携帯電話やGPS(Global Positioning System)、ETC(Electronic Toll Collection)等のITセンサーが使用できないという欠点があった。また、可視光線反射率が高いため、可視光透過率が低下し、その結果、鏡のようなギラギラした外観を与えてしまうという欠点もあった。
【0007】
錫含有酸化インジウム(ITO)やアンチモン含有酸化錫(ATO)は、可視光領域の光の吸収、反射率が比較的少なく、人の目に対して透視性の高い日射遮蔽材料として知られている。
【0008】
特開平5−70178号では、「導電性酸化物の超微粒子(ATOやITO)と、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物とを主成分とする表面抵抗が10KΩ/□以上である熱線反射膜」が開示されている。
【0009】
日本特許第2715859号(特開平7−70481号)では、「1000nm以下のある波長より長波長側の赤外線を全面的に90%以上カットオフする平均一次粒子径0.2μm以下の錫ドープ酸化インジウム粉末と、有機溶媒に可溶性または分散性の有機樹脂とを、非アルコール系有機溶媒中に含有することを特徴とする透明赤外線カットオフ膜形成材」が開示されている。
【0010】
特開2001−89202では、「2枚の板ガラスの少なくとも一方の内側に位置する面に、6ホウ化物微粒子と、ITO微粒子およびATO微粒子のうち1種以上とを日射遮蔽成分として含有する塗布液を塗布して日射遮蔽膜を形成し、両板ガラス間にビニル系樹脂を含む中間膜を介在せしめて密着させたことを特徴とする日射遮蔽用合わせガラス」が開示されている。
【0011】
この公開公報では、ITO微粒子に6ホウ化物微粒子であるLaBをごく微量添加することで、従来のITOの特性に比べて可視光線透過率を下げずに、日射透過率を減少させることが可能となり、このとき、ITO微粒子量を削減できることが記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平5−70178号公報
【特許文献2】
日本特許第2715859号公報
【特許文献3】
特開2001−89202公報
【非特許文献1】
「透明断熱フィルム」、高分子、第35巻、8月号、1996年
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−70178号では、ATOおよびITO微粒子を含有する金属酸化物膜をガラス板に塗布し、コート膜を設けている。しかしながら、マトリックス成分として金属酸化物のみであるため、コート膜の膜厚を厚くすることができず、その結果、熱遮蔽性は十分ではなかった。
【0014】
日本特許第2715859号では、赤外線カットオフ材料としてITO粉末が示されているのみである。
【0015】
特開2001−89202では、6ホウ化物微粒子と、ITO微粒子およびATO微粒子のうち1種以上とを日射遮蔽成分として含有する塗布液を塗布した日射遮蔽膜が開示されているものの、特に、自動車用フロントガラスに適合するために、ITO微粒子および/またはATO微粒子と6ホウ化物微粒子との割合や、熱遮蔽膜の形成位置については言及されていなかった。
【0016】
そこで本発明は、上述のような状況を鑑みなされたものであって、コストと性能に優れた熱遮蔽膜、およびそれを用いた熱遮蔽ガラス板、熱遮蔽合わせガラスの提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載の発明として、
透光性を有する熱遮蔽膜であって、
前記遮蔽膜は、樹脂を主たるマトリックス成分とし、平均粒径200nm以下のITO微粒子および/またはATO微粒子が分散されてなり、前記熱遮蔽膜の膜厚は少なくとも1μmであり、その表面抵抗値が少なくとも1MΩ/□であることを特徴とする熱遮蔽膜である。
【0018】
請求項2に記載の発明として、
前記熱遮蔽膜は、さらに平均粒径200nm以下の6ホウ化物微粒子が混合分散されてなる請求項1に記載の熱遮蔽膜である。
【0019】
請求項3に記載の発明として、
前記6ホウ化物微粒子がLaBである請求項2に記載の熱遮蔽膜である。
【0020】
請求項4に記載の発明として、
請求項2および請求項3に記載の熱遮蔽膜において、
前記6ホウ化物微粒子と、前記ITO微粒子および前記ATO微粒子の合計との質量比が、1/10以下である請求項2または3に記載の熱遮蔽膜である。
【0021】
請求項5に記載の発明として、
前記樹脂マトリックス成分は、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂である請求項1に記載の熱遮蔽膜である。
【0022】
請求項6に記載の発明として、
前記樹脂は、シリコーン樹脂またはアクリル樹脂である請求項5に記載の熱遮蔽膜である。
【0023】
請求項7に記載の発明として、
請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜が形成されたことを特徴とする熱遮蔽ガラスである。
【0024】
請求項8に記載の発明として、
2枚のガラス板が中間膜を介して接着された合わせガラスであって、
前記合わせガラスは、ガラス板/中間膜/熱遮蔽膜/ガラス板の順に積層されており、
前記熱遮蔽膜は、請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜であることを特徴とする熱遮蔽合わせガラスである。
【0025】
請求項9に記載の発明として、
2枚のガラス板が中間膜を介して接着された合わせガラスであって、
前記合わせガラスは、ガラス板/第1中間膜/熱遮蔽膜/第2中間膜/ガラス板の順に積層されており、
前記熱遮蔽膜は、請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜であることを特徴とする熱遮蔽合わせガラスである。
【0026】
請求項10に記載の発明として、
2枚のガラス板が中間膜を介して接着された合わせガラスであって、
前記合わせガラスは、ガラス板/第1中間膜/樹脂フィルム/熱遮蔽膜/第2中間膜/ガラス板の順に積層されており、
前記熱遮蔽膜は、請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜であることを特徴とする熱遮蔽合わせガラスである。
【0027】
請求項11に記載の発明として、
請求項8〜10のいずれかに記載の熱遮蔽合わせガラスにおいて、
前記ガラス板のうち、少なくとも1枚は着色ガラス板である熱遮蔽合わせガラスである。
【0028】
請求項12に記載の発明として、
請求項11に記載の熱遮蔽合わせガラスにおいて、
前記合わせガラスは、クリアーとグリーン、グリーンとグリーン、グリーンと紫外線吸収グリーン、および紫外線吸収グリーンと紫外線吸収グリーンのいずれかのガラス板の組み合わせからなる熱遮蔽合わせガラスである。
【0029】
また、本発明の熱遮蔽膜用塗布液は、平均粒子径200nm以下のITO微粒子および/またはATO微粒子、さらには6ホウ化物微粒子を溶液中に分散されている。また塗布溶液中には、バインダーとして、珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシドやこれらの部分加水分解縮重合物、あるいはオルガノシラザンなどの無機バインダー、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、常温硬化樹脂などを含むことが望ましい。
【0030】
本発明における熱遮蔽膜について、導電性を示さず、かつ優れた熱遮蔽性を有することが望ましい。このため、熱遮蔽膜中に占める熱遮蔽材料の濃度が小さいほど好ましく、熱遮蔽膜の膜厚としては大きいほど好適である。このため、上述したバインダーの中では、厚い皮膜が形成可能なアクリル樹脂やシリコーン樹脂などの高分子系材料が好ましく用いられる。
【0031】
この熱遮蔽膜の膜厚としては、少なくとも1μmとし、さらに少なくとも3μmが好ましい。
【0032】
また、本発明の熱遮蔽膜の塗布形態の一つとして、2つのガラス板を接着するための中間膜に、上述した塗布液を塗布することを特徴とする。ここで中間膜としては、ポリビニルブチラール系樹脂膜(PVB)、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂膜(EVA系)が汎用性の面から好ましい。しかしながら、合わせガラスの品質を満足するものであれば、特に限定するものではない。
【0033】
また、本発明の熱遮蔽膜の塗布形態のもう一つの例として、樹脂フィルムの少なくとも一つの面に上述した塗布液を塗布し、このフィルムを少なくとも2枚の中間膜の間に挟み込むことを特徴とするが、樹脂フィルムはポリエチレンテレフタレート(PET)が汎用性の面から好ましい。しかしながら、合わせガラスの品質を満足するものであれば、特に限定するものではなく、例えば、ポリカーボネート系、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、環状オレフィン系、飽和ポリエステル系の樹脂フィルムが挙げられる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下の実施例等では、本発明による熱遮蔽膜をガラス板上に形成した例を示すが、これに限られることなく、例えば透明樹脂板などに形成してもよい。
【0035】
本発明に使用したグリーンガラス、紫外線吸収グリーン(UVグリーン)ガラス、およびクリアガラスの基礎ガラス組成を表1に示した。さらに、着色成分であるTiO濃度、CeO濃度、T−Fe濃度、FeO(Fe換算)/T−Fe比および板厚と、そのときの光学データ(可視光線透過率(YA)、日射透過率(TG))も表1に示した。
【0036】
【表1】
Figure 2004155632
【0037】
(実施例1)
熱遮蔽性微粒子として、ITO微粒子に6ホウ化物であるLaB微粒子を微量混合したものを用いた。これをバインダーや溶媒に混合して、塗布液を調整した。塗布液組成を表2に示した。表2において、ITO:LaB=98:2とは、質量%で表した混合割合であり、熱遮蔽微粒子の比率は、ITO微粒子とLaB微粒子の総質量を示している。
【0038】
【表2】
Figure 2004155632
【0039】この塗布液をグリーンガラス板(2.1mm)の片面に、フローコート法により塗布した。塗布したガラス板を、200℃で1時間乾燥し、熱遮蔽ガラス板を作製した(図1参照)。表面粗さ計にて、熱遮蔽膜の厚みの段差を測定したところ、3μmであった。このガラス板を中間膜(0.76mm)を介して、もう一枚のグリーンガラス板(2.1mm)と貼り合わせて、合わせガラスとした。このとき、熱遮蔽膜が中間膜と接するように配置し、仮接着した後、140℃、14kg/cmでオートクレーブによる本接着を行って、熱遮蔽合わせガラスを作製した(図2参照)。
【0040】
表3に、この合わせガラスの光学性能の測定結果を示す(図3参照)。この合わせガラスの日射透過率は40%より小さく、優れた熱遮蔽性能を有していた。可視光線透過率は70%を越えており、自動車用フロントガラスの可視光線透過率の規制を満足していた。なお表3にある参照例は、熱遮蔽膜を設けていない従来のグリーン合わせガラスのデータである(図4参照)。この明細書における合わせガラスが自動車用に適用された場合、第1ガラス板は車外側に配置され、第2ガラス板は車内側に配置されているものとする。
【0041】
【表3】
─────────────────────────
サンプル 可視光線透過率 日射透過率
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
実施例1 71% 37%
実施例5 71% 37%
実施例6 71% 37%
実施例7 71% 37%
参照例 79% 51%
─────────────────────────
【0042】
(実施例2〜3)
塗布液として、ITO微粒子とLaBの混合割合を、ITO:LaB=95:5とした場合の例である。この例では、微粒子とアクリル樹脂バインダーの比率を変更したものである。表4に、微粒子の比率、バインダー比率、および合わせガラスを構成したガラス種を示した。なおガラス種は、第1ガラス板/第2ガラス板の順で示した。この塗布液をガラス板に塗布、乾燥し、実施例1と同様の方法で合わせガラスにした。これらの合わせガラスの光学性能の測定結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
Figure 2004155632
【0044】
実施例2、3とも、いずれも可視光線透過率は70%を越えており、自動車用フロントガラスの可視光線透過率の規制を満足していた。また、日射透過率はいずれも40%以下と、優れた熱遮蔽性能を有していた。
【0045】
実施例2では、実施例1に比べ、LaB微粒子の混合割合を増加させたので、トータルの微粒子量を低減することができ、高価であるITO微粒子の使用量を削減できることがわかった。
【0046】
実施例3では、さらに熱線吸収機能の大きいガラス板を用いることによって、トータルの微粒子量を低減することができ、高価であるITO微粒子の使用量を削減できることがわかった。
【0047】
(実施例4)
塗布液として、ITO微粒子とLaBの混合割合を、ITO:LaB=99.5:0.5とした場合の例である。この例における、微粒子の比率、バインダー比率、および合わせガラスを構成したガラス種、さらにこの合わせガラスの光学性能の測定結果を、併せて表4に示す。
【0048】
実施例4では、可視光線透過率が75%を越えている。欧州等の諸外国では、自動車用フロントガラスの可視光線透過率は75%以上と規定されているが、この実施例4は、この地域向けの自動車用合わせガラスにも適応可能な例である。また日射透過率は43%であり、従来のグリーンガラスよりも優れた熱遮蔽性を有している。
【0049】
また実施例4では、赤外線領域、特に850nm近傍の近赤外線透過率が、従来のグリーン合わせガラスと同等の透過性能を示していることがわかった(図5参照)。したがってこの合わせガラスは、赤外線利用のITセンサーを支障なく使用することができる。
【0050】
なお、近赤外線透過率を確保するという点からは、近赤外線領域の吸収の大きい6ホウ化物微粒子の添加量を少なくすることが好ましい。この場合、6ホウ化物微粒子と、ITO微粒子およびATO微粒子の合計との質量比が、1/10以下であることが好ましい。
【0051】
(実施例5)
実施例1と同じ塗布液を中間膜にロールコート法にて塗布した。塗布後、中間膜を80℃、30分乾燥し、実施例1と同じように合わせガラスを作製した。
実施例5で作製したサンプルの可視光線透過率および日射透過率は、実施例1と同じ数値を示した(表3参照)。
【0052】
本発明の技術を自動車用フロントガラスへ適応することを考えた場合、ITO微粒子は、高温にさらされることにより変質・劣化してしまう畏れがある。このため、熱遮蔽膜の乾燥は、できる限り低温で実施するのが好ましい。
【0053】
また、曲げガラスへの塗布方法としては、フラットなガラスに適応可能なロールコート法やスクリーン印刷法を適応することは難しく、フローコート法、スプレー法、ディップコート法等に限定されてしまう。
【0054】
このフローコート法およびスプレー法では、液の回収が困難で、一般的にコーティングの効率がよくない。また、ディップコート法についても、曲げガラスに適応するとなると、多量の塗布液が必要となり、ロールコート法やスクリーン印刷法に比べて、効率が悪い。またディップコート法を、曲げガラス板に適用するには、ノウハウやスキルを必要とし、容易ではない。
【0055】
実施例5では、基材として中間膜に塗布するため、塗布方法としては、特に限定されず、コーティング効率を高めるという点で有利である。
【0056】
(実施例6)
実施例5と同様に、熱遮蔽膜を設けた第1中間膜の熱遮蔽膜面に、もう一つの第2中間膜を接着した後、ガラス板に貼り合せて、実施例1と同じようにして合わせガラスとした。この合わせガラスは、第1ガラス板/第1中間膜/熱遮蔽膜/第2中間膜/第2ガラス板の順に積層されている(図6参照)。このときの各中間膜の厚みは、それぞれ0.38mmであった。
実施例6で作製したサンプルの可視光線透過率および日射透過率は、実施例1と同じ数値を示した(表3参照)。
【0057】
本発明の技術について、熱遮蔽膜をガラス板に設けた場合、合わせガラスとしての接着性が、従来の合わせガラスに比して異なる畏れがある。この場合、合わせガラスとしての接着性を確保するため、貼り合せを行なう前に、熱遮蔽膜上に例えば、シランカップリング剤のような表面処理剤を塗布することが好ましい。
【0058】
実施例6では、熱遮蔽膜の接着面がガラス板ではなく、樹脂である中間膜であるため、接着性を確保するための処理が不要となり、好適である。
また、中間膜の厚みを薄くすることによって従来の合わせガラスと見かけ上、同じ厚みの構成で、合わせガラスを作製することが可能となる。
【0059】
(実施例7)
実施例1と同じ塗布液を、PETフィルム(厚み0.05mm)にロールコート法にて塗布した。塗布後、PETフィルムを80℃、30分乾燥し、2つの中間膜の間にフィルムを挟みこみ、実施例1と同じように合わせガラスを作製した。この合わせガラスは、第1ガラス板/第1中間膜/PETフィルム/熱遮蔽膜/第2中間膜/第2ガラス板の順に積層されている(図7参照)。
実施例7で作製したサンプルの可視光線透過率および日射透過率は、実施例1と同じ数値を示した。
【0060】
実施例7では、基材としてフィルムに塗布するため、塗布方法は限定されず、コーティング効率を高めるという点で有利である。また、熱遮蔽膜を設けたフィルムを2枚の中間膜の間に挟みこむため、合わせガラスとしての接着性を確保するための処理が不要となり、好適である。
【0061】
さらには、このフィルムはPVBなどの中間膜と比べて、その面がフラットであるため、均一な熱遮蔽膜を塗布できる点で有利である。
なお、この合わせガラスは、第1ガラス板/第1中間膜/熱遮蔽膜/PETフィルム/第2中間膜/第2ガラス板の順で積層されていてもよい。
【0062】
実施例1〜実施例7で得られた熱遮蔽膜の表面抵抗を、三菱化学製のハイレスタ(MCPHT260)を用いて測定した。その結果、全ての熱遮蔽膜の表面抵抗は1MΩ/□以上であり、導電性を示していないことがわかった。
【0063】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明による熱遮蔽膜、およびそれを用いた熱遮蔽ガラス板、熱遮蔽合わせガラスは、以下のような特徴を有する。
【0064】
まず、本発明による熱遮蔽膜は、熱遮蔽性微粒子によって熱遮蔽能を発揮させるので、優れた透光性も有している。さらに、その表面抵抗値が少なくとも1MΩ/□であることを特徴とする。
【0065】
本発明による熱遮蔽膜では、アクリル樹脂やシリコーン樹脂など熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などをマトリクスとしている。このため、熱遮蔽膜の膜厚を厚くすることができ、熱遮蔽膜中に占める熱遮蔽材料の濃度を小さくすることができる。
【0066】
したがって、この熱遮蔽膜は導電性を示さないので、金属膜を利用した熱遮蔽膜のように、電磁波を遮蔽することがない。またこの熱遮蔽膜は、優れた熱遮蔽性を有している。
【0067】
また本発明による熱遮蔽膜に、6ホウ化物微粒子を混合分散させると、近赤外線領域の波長をよく遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による熱遮蔽ガラス板を示した図である。
【図2】本発明による熱遮蔽合わせガラス構成を示した図である。
【図3】実施例1の合わせガラスの透過率を示すグラフである。
【図4】参照例の合わせガラスの透過率を示すグラフである。
【図5】実施例4の合わせガラスの透過率を示すグラフである。
【図6】熱遮蔽膜を2枚の中間膜で挟み込んだ熱遮蔽合わせガラスの構成例を示す図である。
【図7】フィルム(PET)の片面に熱遮蔽膜を設け、そのフィルムを2枚の中間膜で挟み込んだ熱遮蔽合わせガラスの構成例を示す図である。
【符号の説明】
1:熱遮蔽ガラス板
10:ガラス板
11:第1ガラス板
12:第2ガラス板
2:熱遮蔽膜
21:熱遮蔽性微粒子
100:熱遮蔽合わせガラス
3:中間膜
31:第1中間膜
32:第2中間膜
33:(PET)フィルム

Claims (12)

  1. 透光性を有する熱遮蔽膜であって、
    前記遮蔽膜は、樹脂を主たるマトリックス成分とし、平均粒径200nm以下のITO微粒子および/またはATO微粒子が分散されてなり、前記熱遮蔽膜の膜厚は少なくとも1μmであり、その表面抵抗値が少なくとも1MΩ/□であることを特徴とする熱遮蔽膜。
  2. 前記熱遮蔽膜は、さらに平均粒径200nm以下の6ホウ化物微粒子が混合分散されてなる請求項1に記載の熱遮蔽膜。
  3. 前記6ホウ化物微粒子がLaBである請求項2に記載の熱遮蔽膜。
  4. 請求項2および請求項3に記載の熱遮蔽膜において、
    前記6ホウ化物微粒子と、前記ITO微粒子および前記ATO微粒子の合計との質量比が、1/10以下である請求項2または3に記載の熱遮蔽膜。
  5. 前記樹脂マトリックス成分は、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂である請求項1に記載の熱遮蔽膜。
  6. 前記樹脂は、シリコーン樹脂またはアクリル樹脂である請求項5に記載の熱遮蔽膜。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜が形成されたことを特徴とする熱遮蔽ガラス。
  8. 2枚のガラス板が中間膜を介して接着された合わせガラスであって、
    前記合わせガラスは、ガラス板/中間膜/熱遮蔽膜/ガラス板の順に積層されており、
    前記熱遮蔽膜は、請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜であることを特徴とする熱遮蔽合わせガラス。
  9. 2枚のガラス板が中間膜を介して接着された合わせガラスであって、
    前記合わせガラスは、ガラス板/第1中間膜/熱遮蔽膜/第2中間膜/ガラス板の順に積層されており、
    前記熱遮蔽膜は、請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜であることを特徴とする熱遮蔽合わせガラス。
  10. 2枚のガラス板が中間膜を介して接着された合わせガラスであって、
    前記合わせガラスは、ガラス板/第1中間膜/樹脂フィルム/熱遮蔽膜/第2中間膜/ガラス板の順に積層されており、
    前記熱遮蔽膜は、請求項1〜6いずれかに記載の熱遮蔽膜であることを特徴とする熱遮蔽合わせガラス。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の熱遮蔽合わせガラスにおいて、
    前記ガラス板のうち、少なくとも1枚は着色ガラス板である熱遮蔽合わせガラス。
  12. 請求項11に記載の熱遮蔽合わせガラスにおいて、
    前記合わせガラスは、クリアーとグリーン、グリーンとグリーン、グリーンと紫外線吸収グリーン、および紫外線吸収グリーンと紫外線吸収グリーンのいずれかのガラス板の組み合わせからなる熱遮蔽合わせガラス。
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