JP2004155273A - タイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システム - Google Patents
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Abstract
【課題】実車に装着されたタイヤについて、走行中にバーストの予兆を確実且つ簡単に検出できるようにする。
【解決手段】回転するタイヤ3の近傍音の変化からバーストを予測する。タイヤ3の近傍音は、実車装着のタイヤ3の走行音から採取し、バーストの予測結果を車両2の運転者へ報知する。また、タイヤ3の近傍音の変化としては、タイヤ3のコンポーネント間に発生するルース部が原因となって生起するものを採取することとする。
【選択図】 図1
【解決手段】回転するタイヤ3の近傍音の変化からバーストを予測する。タイヤ3の近傍音は、実車装着のタイヤ3の走行音から採取し、バーストの予測結果を車両2の運転者へ報知する。また、タイヤ3の近傍音の変化としては、タイヤ3のコンポーネント間に発生するルース部が原因となって生起するものを採取することとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤがバーストしはじめた時点で、これを俊敏に検出するためのシステムとして、例えばドラム試験機などを使用する場合を前提として数例のものが提案されている(例えば特許文献1や2など参照)。
これらのシステムは、いずれも、タイヤの外周部へ光電管を直接的又はリミット棒を介して間接的に設置して、この光電管により、タイヤのバースト(初期段階で発生する内部破壊等)に起因したタイヤ外径の膨れを検出し、膨れ量が一定以上になったときに周囲の試験者らにこれを報知するというものである。
【0003】
一方、実車に装着されたタイヤが、例えば高速走行などによってバーストのおそれがあることを、そのバースト前に検出し、運転者に報知するシステムも提案されている(例えば特許文献3や4など参照)。
これらのシステムは、基本的にはタイヤの内圧が低下したのを検出して、これを原因としたバーストが起こるか否かを判断するようになっている。
具体的には、ホイルの幅方向中央部(タイヤが嵌められる胴部の外周面)に対しタイヤ内周面へ向かうように打撃音の発生源となる部材を設けて、この部材が内圧の低下したときのタイヤ内面に衝突した音(打撃音)を車体のタイヤハウス内に設けたマイクロホンで収集し、収集音が一定以上であるときに運転者等へ報知するものであったり(特許文献3)、或いは、まずタイヤの車輪速度を実測し、これに基づいてタイヤと路面との間の接地性(接地面積や摩擦状態)を表す物理量を複雑な推定式による演算の積み重ねで推定し、得られた単位時間あたりの物理量から経時的な変化を監視し、これらによって導き出された変化率からバーストの予兆を判断し、バースト予兆が判断されたときに運転者等へ報知するものであったり(特許文献4)する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−139408号公報
【特許文献2】
特開昭57−93230号公報
【特許文献3】
特開2000−127722号公報
【特許文献4】
特開2002−120529号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ドラム試験機などでの使用を前提としたバースト検知システム(特許文献1や2等)は、上記したようにタイヤの外周部の膨れを検出することが基本である。そのため、これを実車で採用することは、路面状態をはじめ、制駆動時やコーナリング時の上下挙動(タイヤの外径変化)などが外乱として加わることから検出データの誤差や光電管その他の部材損傷等を招来させることになり、不可能であった。
【0006】
一方、実車に装着されたタイヤを対象としたバースト検知システム(特許文献3や4等)は、上記したようにバースト前にタイヤの内圧が低下する、といったことをその前提においている。
しかしながら、実際のバースト原因には、タイヤ内圧の低下だけでなく、高荷重の負荷や高速走行、路面温度の高温化、タイヤの劣化や損傷に伴うコンポーネント間のルース部発生(即ち、トレッド部の層間等で発生する空隙)、或いはこれらが複合的に起こった場合も含まれる。
【0007】
そのため、このような原因によるバーストに関しては、従来公知のバースト検知システムでは検知できないことになる。
もとより、ホイル外周面に打撃音の発生源となる部材を設けるもの(特許文献3)では構造が複雑であり、またタイヤの車輪速度を元として複雑ないくつもの演算を積み重ねるもの(特許文献4)では、その殆どが推定の上に成り立っていることから誤差を累積しやすいといった、それぞれの問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、実車に装着されたタイヤについて走行中にバーストの予兆を確実且つ簡単に検出することができるようにしたタイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るタイヤバースト検知方法では、回転するタイヤ3の近傍音の変化からバーストを予測するものとする。
このときタイヤ3の近傍音は、実車装着のタイヤ3の走行音から採取するものとし、バーストの予測結果は車両2の運転者へ報知するのが好適である。
また、タイヤ3の近傍音の変化としては、タイヤ3のコンポーネント間に発生するルース部(即ち、トレッド部の層間等で発生する空隙)が原因となって生起するものを採取することとする。
【0009】
このようにすることで、車両2に装着したタイヤ3がバーストするのを事前に(バーストの初期段階として内部破壊が始まった時点であって且つ完全に走行不能となる前の時点を言う)検出することができる。
この場合、具体的には、タイヤ3が一定速度で走行していることを前提として、このときのタイヤ3の近傍音が音圧レベルの総和(オーバーオール値)において定常値(バーストしていない正常時)から3dB以上の増加となり、そのうえで、200Hz〜500Hzの周波数域において4dB以上の増加となったときにバースト予兆であると判断することができる。
【0010】
このとき、衝撃音、走行騒音、コーナーリング時などのスキール音、風きり音、排気音等は排除することができる。
一方、本発明に係るタイヤバースト検知システムは、実車装着のタイヤ3に対して回転時の近傍音を採取可能な集音部材4と、この集音部材4によって採取された音からバーストの予兆の有無を判断する判断手段5と、この判断手段5によってバーストの予兆が判断されたときに、例えば車両2の運転者へその旨を報知する報知手段6とを有したものとなっている。
【0011】
この構成により、本発明に係るタイヤバースト検知方法を実施することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るタイヤバースト検知システム1を模式的に示している。このタイヤバースト検知システム1は、例えば、車両2に対して直接的に装備されるものである。
このタイヤバースト検知システム1は、車両2に装着されるタイヤ3へ向けて設けられる集音部材4と、この集音部材4によって採取された音からバーストの予兆の有無を判断する判断手段5と、この判断手段5からの指示に基づいて動作する報知手段6とを有したものとなっている。
【0013】
集音部材4は例えば防水性のマイクであって、車両2のタイヤハウス7内に取り付けられる。従って、車両2の走行時にあって、タイヤ3の回転する近傍音を採取することができる。
なお、この集音部材4は、車両2に装着された全てのタイヤ3に対して1対1対応で設けるのが最適であるが、このことが限定されるものではない。
判断手段5は、一定速度で走行しているタイヤ3の近傍音が音圧レベルの総和(オーバーオール値)において定常値(バーストしていない正常時)から3dB以上の増加となり、そのうえで、200Hz〜500Hzの周波数域において4dB以上の増加となったときにバースト予兆であると判断する構成となっている。
【0014】
すなわち、次のような手順で判断を行う。
図2は、タイヤ3が一定速度で走行していることを前提として、このときのタイヤ近傍音の測定をスタートさせた時点と、バーストが起こる1分前の時点との測定データを折れ線グラフにして示したものであるが、いま、ここでスタート時における各周波数帯での音圧レベルを[Ln]とおき、これらの総和(全ての音圧レベル[Ln]を累計した値)を定常値[Un]とおく。
またバースト1分前の各周波数帯での音圧レベルを[Ln+1]とおき、これらの総和(全ての音圧レベル[Ln+1]を累計した値)を算出してこれを現状値[Un+1]とおくものとする。
【0015】
そこで判断手段5では、これら定常値[Un]から現状値[Un+1]を減算し、このときの減算結果が3dB以上であるか否かを判定する。
即ち、[Un]−[Un+1]≧3dBを見る。
この判定の結果、もし3dB以上である場合には、判断手段5は次に200Hz〜500Hzの周波数域において、各測定時の音圧レベル[Ln],[Ln+1]を各周波数帯ごとに比較し、この比較によって4dB以上の増加となっているか否かを判定する。
【0016】
即ち、[Ln]−[Ln+1]≧4dBを見る。
この判定の結果、増加が認められたときにタイヤ3にバーストの予兆が現れていると判断する、というものである。
なお、この図2に示した測定データは、RV用のタイヤ3をドラム試験機によって回転させた場合の実験値として採取したものを例示しており、タイヤサイズは265/70R16、112Sであった。
また、タイヤ3への負荷荷重を8.79kPa、速度(車両2の走行速度としての換算値)を190km/hとした。近傍音は、タイヤ3の外側で、回転軸方向に1m離れた位置とした。
【0017】
この図2に示した測定データの場合であると、[Un]−[Un+1]が4.1dBであった。
また[Ln]−[Ln+1]は、200Hzで9.5dB、250Hzで4.1dB、315Hzで3.3dB、400Hzで5.4dB、500Hzで4.0dBであった。
これらのことから、この測定データの対象としたタイヤ3は、バースト1分前として説明した上記の測定時点で、バーストの予兆(走行不能の状態にまでは陥っていないがバーストの初期段階としての内部破壊が始まっている段階)があると判断されることになる。
【0018】
報知手段6は例えば表示灯であって、判断手段5がタイヤ3にバーストの予兆があると判断したとき(出力があったとき)に点灯し、車両2の運転者へその旨を報知するようになっている。
この報知手段6としては、警告音を発生するもの(ブザー等)を単独又は複合的に備えたものとすることもできる。
次に、本発明に係るタイヤバースト検知方法について、上記構成のタイヤバースト検知システム1(図1参照)を用いて実施する場合に基づいて説明する。
【0019】
図3は、このタイヤバースト検知方法を示したフローチャートである。
まず、タイヤ3が一定速度で走行していることを前提として、ステップ100にてタイヤ近傍音の測定をして各周波数帯での音圧レベル[Ln]を得(図2では「スタート時」と表記したものに相当)、次のステップ101でこれらの総和を算出してこれを定常値[Un]とおく。
そして、ステップ102にて次回のタイヤ近傍音の測定をして各周波数帯での音圧レベル[Ln+1]を得(図2では「バースト時」と表記したものに相当)、ステップ103でこれらの総和を算出してこれを現状値[Un+1]とおく。
【0020】
そして、ステップ104で、上記した定常値[Un]から現状値[Un+1]を減算し、このときの減算結果が3dB以上であるか否かを判断する。
3dBに満たないときにはステップ100へ戻ってこの判断動作を繰り返すが、もし3dB以上である場合には、次のステップ105へと進み、200Hz〜500Hzの周波数域において、各測定時の音圧レベル[Ln]と[Ln+1]とを各周波数帯ごとに比較する。
そして、この比較によって4dB以上の増加となっているか否かを判定して、増加が認められたときにタイヤ3にバーストの予兆が現れていると判断する。
【0021】
そこで、ステップ106へと進んで報知手段6に対し、報知動作を行わせるための出力をする。
そのため、走行中の車両2において、タイヤ3がバーストを起こしてハンドリングやブレーキングに由々しき悪影響が発生する前に、運転者はタイヤ3がバーストを起こしそうな状況(実際のタイヤ3では既にバーストの初期段階としての内部破壊が始まっている)を知ることができ、安全に車両2を停止させ、そのうえで運転の中止乃至タイヤ3の交換等をすることができる。
【0022】
ところで、本発明は、上記実施形態で説明したものに限定されるものではなく、実施の形態に応じて更に適宜変更可能である。
例えば、本発明に係るタイヤバースト検知方法は、ドラム試験機などでの試験時に実施することも可能である。
また本発明に係るタイヤバースト検知システム1は、車両2に対して直接的に設けることが限定されるものではなく、上記したようにドラム試験機などで試験をするときには、判断手段5や報知手段6を車両2から離れた場所へ設けることもできる。また、集音部材4についても、タイヤ2の側方へ設けることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るタイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システムでは、実車に装着されたタイヤについて走行中にバーストの予兆を確実且つ簡単に検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタイヤバースト検知システムを模式的に示した図(車両の正面側から見た状態の図)である。
【図2】タイヤ近傍音の測定結果を示した折れ線グラフである。
【図3】本発明に係るタイヤバースト検知方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 タイヤバースト検知システム
2 車両
3 タイヤ
4 集音部材
5 判断手段
6 報知手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤがバーストしはじめた時点で、これを俊敏に検出するためのシステムとして、例えばドラム試験機などを使用する場合を前提として数例のものが提案されている(例えば特許文献1や2など参照)。
これらのシステムは、いずれも、タイヤの外周部へ光電管を直接的又はリミット棒を介して間接的に設置して、この光電管により、タイヤのバースト(初期段階で発生する内部破壊等)に起因したタイヤ外径の膨れを検出し、膨れ量が一定以上になったときに周囲の試験者らにこれを報知するというものである。
【0003】
一方、実車に装着されたタイヤが、例えば高速走行などによってバーストのおそれがあることを、そのバースト前に検出し、運転者に報知するシステムも提案されている(例えば特許文献3や4など参照)。
これらのシステムは、基本的にはタイヤの内圧が低下したのを検出して、これを原因としたバーストが起こるか否かを判断するようになっている。
具体的には、ホイルの幅方向中央部(タイヤが嵌められる胴部の外周面)に対しタイヤ内周面へ向かうように打撃音の発生源となる部材を設けて、この部材が内圧の低下したときのタイヤ内面に衝突した音(打撃音)を車体のタイヤハウス内に設けたマイクロホンで収集し、収集音が一定以上であるときに運転者等へ報知するものであったり(特許文献3)、或いは、まずタイヤの車輪速度を実測し、これに基づいてタイヤと路面との間の接地性(接地面積や摩擦状態)を表す物理量を複雑な推定式による演算の積み重ねで推定し、得られた単位時間あたりの物理量から経時的な変化を監視し、これらによって導き出された変化率からバーストの予兆を判断し、バースト予兆が判断されたときに運転者等へ報知するものであったり(特許文献4)する。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−139408号公報
【特許文献2】
特開昭57−93230号公報
【特許文献3】
特開2000−127722号公報
【特許文献4】
特開2002−120529号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ドラム試験機などでの使用を前提としたバースト検知システム(特許文献1や2等)は、上記したようにタイヤの外周部の膨れを検出することが基本である。そのため、これを実車で採用することは、路面状態をはじめ、制駆動時やコーナリング時の上下挙動(タイヤの外径変化)などが外乱として加わることから検出データの誤差や光電管その他の部材損傷等を招来させることになり、不可能であった。
【0006】
一方、実車に装着されたタイヤを対象としたバースト検知システム(特許文献3や4等)は、上記したようにバースト前にタイヤの内圧が低下する、といったことをその前提においている。
しかしながら、実際のバースト原因には、タイヤ内圧の低下だけでなく、高荷重の負荷や高速走行、路面温度の高温化、タイヤの劣化や損傷に伴うコンポーネント間のルース部発生(即ち、トレッド部の層間等で発生する空隙)、或いはこれらが複合的に起こった場合も含まれる。
【0007】
そのため、このような原因によるバーストに関しては、従来公知のバースト検知システムでは検知できないことになる。
もとより、ホイル外周面に打撃音の発生源となる部材を設けるもの(特許文献3)では構造が複雑であり、またタイヤの車輪速度を元として複雑ないくつもの演算を積み重ねるもの(特許文献4)では、その殆どが推定の上に成り立っていることから誤差を累積しやすいといった、それぞれの問題もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、実車に装着されたタイヤについて走行中にバーストの予兆を確実且つ簡単に検出することができるようにしたタイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るタイヤバースト検知方法では、回転するタイヤ3の近傍音の変化からバーストを予測するものとする。
このときタイヤ3の近傍音は、実車装着のタイヤ3の走行音から採取するものとし、バーストの予測結果は車両2の運転者へ報知するのが好適である。
また、タイヤ3の近傍音の変化としては、タイヤ3のコンポーネント間に発生するルース部(即ち、トレッド部の層間等で発生する空隙)が原因となって生起するものを採取することとする。
【0009】
このようにすることで、車両2に装着したタイヤ3がバーストするのを事前に(バーストの初期段階として内部破壊が始まった時点であって且つ完全に走行不能となる前の時点を言う)検出することができる。
この場合、具体的には、タイヤ3が一定速度で走行していることを前提として、このときのタイヤ3の近傍音が音圧レベルの総和(オーバーオール値)において定常値(バーストしていない正常時)から3dB以上の増加となり、そのうえで、200Hz〜500Hzの周波数域において4dB以上の増加となったときにバースト予兆であると判断することができる。
【0010】
このとき、衝撃音、走行騒音、コーナーリング時などのスキール音、風きり音、排気音等は排除することができる。
一方、本発明に係るタイヤバースト検知システムは、実車装着のタイヤ3に対して回転時の近傍音を採取可能な集音部材4と、この集音部材4によって採取された音からバーストの予兆の有無を判断する判断手段5と、この判断手段5によってバーストの予兆が判断されたときに、例えば車両2の運転者へその旨を報知する報知手段6とを有したものとなっている。
【0011】
この構成により、本発明に係るタイヤバースト検知方法を実施することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るタイヤバースト検知システム1を模式的に示している。このタイヤバースト検知システム1は、例えば、車両2に対して直接的に装備されるものである。
このタイヤバースト検知システム1は、車両2に装着されるタイヤ3へ向けて設けられる集音部材4と、この集音部材4によって採取された音からバーストの予兆の有無を判断する判断手段5と、この判断手段5からの指示に基づいて動作する報知手段6とを有したものとなっている。
【0013】
集音部材4は例えば防水性のマイクであって、車両2のタイヤハウス7内に取り付けられる。従って、車両2の走行時にあって、タイヤ3の回転する近傍音を採取することができる。
なお、この集音部材4は、車両2に装着された全てのタイヤ3に対して1対1対応で設けるのが最適であるが、このことが限定されるものではない。
判断手段5は、一定速度で走行しているタイヤ3の近傍音が音圧レベルの総和(オーバーオール値)において定常値(バーストしていない正常時)から3dB以上の増加となり、そのうえで、200Hz〜500Hzの周波数域において4dB以上の増加となったときにバースト予兆であると判断する構成となっている。
【0014】
すなわち、次のような手順で判断を行う。
図2は、タイヤ3が一定速度で走行していることを前提として、このときのタイヤ近傍音の測定をスタートさせた時点と、バーストが起こる1分前の時点との測定データを折れ線グラフにして示したものであるが、いま、ここでスタート時における各周波数帯での音圧レベルを[Ln]とおき、これらの総和(全ての音圧レベル[Ln]を累計した値)を定常値[Un]とおく。
またバースト1分前の各周波数帯での音圧レベルを[Ln+1]とおき、これらの総和(全ての音圧レベル[Ln+1]を累計した値)を算出してこれを現状値[Un+1]とおくものとする。
【0015】
そこで判断手段5では、これら定常値[Un]から現状値[Un+1]を減算し、このときの減算結果が3dB以上であるか否かを判定する。
即ち、[Un]−[Un+1]≧3dBを見る。
この判定の結果、もし3dB以上である場合には、判断手段5は次に200Hz〜500Hzの周波数域において、各測定時の音圧レベル[Ln],[Ln+1]を各周波数帯ごとに比較し、この比較によって4dB以上の増加となっているか否かを判定する。
【0016】
即ち、[Ln]−[Ln+1]≧4dBを見る。
この判定の結果、増加が認められたときにタイヤ3にバーストの予兆が現れていると判断する、というものである。
なお、この図2に示した測定データは、RV用のタイヤ3をドラム試験機によって回転させた場合の実験値として採取したものを例示しており、タイヤサイズは265/70R16、112Sであった。
また、タイヤ3への負荷荷重を8.79kPa、速度(車両2の走行速度としての換算値)を190km/hとした。近傍音は、タイヤ3の外側で、回転軸方向に1m離れた位置とした。
【0017】
この図2に示した測定データの場合であると、[Un]−[Un+1]が4.1dBであった。
また[Ln]−[Ln+1]は、200Hzで9.5dB、250Hzで4.1dB、315Hzで3.3dB、400Hzで5.4dB、500Hzで4.0dBであった。
これらのことから、この測定データの対象としたタイヤ3は、バースト1分前として説明した上記の測定時点で、バーストの予兆(走行不能の状態にまでは陥っていないがバーストの初期段階としての内部破壊が始まっている段階)があると判断されることになる。
【0018】
報知手段6は例えば表示灯であって、判断手段5がタイヤ3にバーストの予兆があると判断したとき(出力があったとき)に点灯し、車両2の運転者へその旨を報知するようになっている。
この報知手段6としては、警告音を発生するもの(ブザー等)を単独又は複合的に備えたものとすることもできる。
次に、本発明に係るタイヤバースト検知方法について、上記構成のタイヤバースト検知システム1(図1参照)を用いて実施する場合に基づいて説明する。
【0019】
図3は、このタイヤバースト検知方法を示したフローチャートである。
まず、タイヤ3が一定速度で走行していることを前提として、ステップ100にてタイヤ近傍音の測定をして各周波数帯での音圧レベル[Ln]を得(図2では「スタート時」と表記したものに相当)、次のステップ101でこれらの総和を算出してこれを定常値[Un]とおく。
そして、ステップ102にて次回のタイヤ近傍音の測定をして各周波数帯での音圧レベル[Ln+1]を得(図2では「バースト時」と表記したものに相当)、ステップ103でこれらの総和を算出してこれを現状値[Un+1]とおく。
【0020】
そして、ステップ104で、上記した定常値[Un]から現状値[Un+1]を減算し、このときの減算結果が3dB以上であるか否かを判断する。
3dBに満たないときにはステップ100へ戻ってこの判断動作を繰り返すが、もし3dB以上である場合には、次のステップ105へと進み、200Hz〜500Hzの周波数域において、各測定時の音圧レベル[Ln]と[Ln+1]とを各周波数帯ごとに比較する。
そして、この比較によって4dB以上の増加となっているか否かを判定して、増加が認められたときにタイヤ3にバーストの予兆が現れていると判断する。
【0021】
そこで、ステップ106へと進んで報知手段6に対し、報知動作を行わせるための出力をする。
そのため、走行中の車両2において、タイヤ3がバーストを起こしてハンドリングやブレーキングに由々しき悪影響が発生する前に、運転者はタイヤ3がバーストを起こしそうな状況(実際のタイヤ3では既にバーストの初期段階としての内部破壊が始まっている)を知ることができ、安全に車両2を停止させ、そのうえで運転の中止乃至タイヤ3の交換等をすることができる。
【0022】
ところで、本発明は、上記実施形態で説明したものに限定されるものではなく、実施の形態に応じて更に適宜変更可能である。
例えば、本発明に係るタイヤバースト検知方法は、ドラム試験機などでの試験時に実施することも可能である。
また本発明に係るタイヤバースト検知システム1は、車両2に対して直接的に設けることが限定されるものではなく、上記したようにドラム試験機などで試験をするときには、判断手段5や報知手段6を車両2から離れた場所へ設けることもできる。また、集音部材4についても、タイヤ2の側方へ設けることができる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るタイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システムでは、実車に装着されたタイヤについて走行中にバーストの予兆を確実且つ簡単に検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタイヤバースト検知システムを模式的に示した図(車両の正面側から見た状態の図)である。
【図2】タイヤ近傍音の測定結果を示した折れ線グラフである。
【図3】本発明に係るタイヤバースト検知方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 タイヤバースト検知システム
2 車両
3 タイヤ
4 集音部材
5 判断手段
6 報知手段
Claims (5)
- 回転するタイヤ(3)の近傍音の変化からバーストを予測することを特徴とするタイヤバースト検知方法。
- 前記タイヤ(3)の近傍音は、実車装着のタイヤ(3)の走行音から採取し、バーストの予測結果を車両(2)の運転者へ報知することを特徴とする請求項1記載のタイヤバースト検知方法。
- 前記タイヤ(3)の近傍音の変化として、タイヤ(3)のコンポーネント間に発生するルース部を原因とするものを採取することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のタイヤバースト検知方法。
- 前記タイヤ(3)が一定速度で走行しているとき、その近傍音が音圧レベルの総和において定常値から3dB以上の増加となり且つ200Hz〜500Hzの周波数域で4dB以上の増加となったときにバースト予兆であると判断することを特徴とする請求項3記載のタイヤバースト検知方法。
- 実車装着のタイヤ(3)に対して回転時の近傍音を採取可能な集音部材(4)と、この集音部材(4)によって採取された音からバーストの予兆の有無を判断する判断手段(5)と、この判断手段(5)によってバーストの予兆が判断されたときにその旨を報知する報知手段(6)とを有していることを特徴とするタイヤバースト検知システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002321607A JP2004155273A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-05 | タイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002321607A JP2004155273A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-05 | タイヤバースト検知方法及びタイヤバースト検知システム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007064877A (ja) * | 2005-09-01 | 2007-03-15 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | タイヤの故障発生検知方法およびタイヤの故障発生検知装置 |
JP2010111372A (ja) * | 2008-11-04 | 2010-05-20 | Kazuo Murakami | タイヤのバースト予防システム |
CN102261999A (zh) * | 2011-04-22 | 2011-11-30 | 浙江吉利汽车研究院有限公司 | 汽车轮胎爆胎模拟控制装置 |
KR101494102B1 (ko) | 2013-10-23 | 2015-02-16 | 한국타이어 주식회사 | 타이어 이상 감지 장치 |
JP2015072194A (ja) * | 2013-10-03 | 2015-04-16 | 住友ゴム工業株式会社 | タイヤの試験方法 |
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-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002321607A patent/JP2004155273A/ja active Pending
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