JP2004155155A - インクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク定着促進のために加熱を行う場合における、用紙の種類や用紙の状態によらず、用紙の変質なく良好な定着を得ること。
【解決手段】電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段と、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて記録媒体に照射される電磁波の強度を定める手段を有するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段と、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて記録媒体に照射される電磁波の強度を定める手段を有するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法に関するものであり、その中でも特に記録媒体に電磁波を照射するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電磁波を記録媒体に照射することによりインクを加熱・乾燥させるインクジェット記録装置が知られており、使用する電磁波の望ましい波長が記載されているものもある(下記、特許文献1参照。)。
【0003】
また、最適な熱密度の範囲として22ワット/平方インチ(3.4ワット/平方cm)が示されており、さらには、紙の状態や存在するインク量によっては、10〜33ワット/平方インチ(1.55〜5.1ワット/平方cm)の範囲内の放射で、急速な乾燥時間が得られることが記載されているものもある(下記、特許文献2参照。)。
【0004】
このように、従来、紙の状態や存在するインク量によって最適な放射強度が変化することは示唆されていたが、実際に最適な放射強度を決定する手段が知られていないため、記録媒体の種類や状態によっては記録媒体が変質するという問題があった。
【0005】
実際に、本発明の発明者が各種条件にて実験を行ったところ、記録媒体であるOHPシートの変形や紙の焦げ、さらには発火などが発生する場合があった。
【0006】
一方、記録媒体を支持するプラテンを加熱する方法において、記録媒体の種類に応じて前記加熱手段に加える熱量を変更する方法が開示されており(下記、特許文献3参照。)、また、記録媒体の種類に応じて、記録媒体支持手段上の記録媒体と記録手段との間隔を変える方法も開示されている(下記、特許文献4参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−182461号公報
【特許文献2】
特開2000−135785号公報
【特許文献3】
特開平05−084896号公報
【特許文献4】
特開平05−104710号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの公報においては、記録媒体がOHPシートの場合とそれ以外の場合の切り替えしか示されておらず、同じ紙であっても状態が異なる場合の加熱量の決定方法や紙やOHPなどに対する加熱量を具体的に何に基づき決定するのかが示されていない。
【0009】
このため、この技術をもってしても上記課題を完全に解決するに至らなかった。
【0010】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであって、インク定着促進のために加熱を行う場合における、用紙の種類や用紙の状態によらず、用紙の変質なく良好な定着を得ることのできるインクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ね、記録媒体に電磁波を照射する手段を有するインクジェット記録装置において、発色性、低にじみ性、記録されたもの(以下記録物と記載)の堅牢性などの各種特性を向上させるには、
▲1▼記録媒体の電磁波に対する透過率に応じて
▲2▼電磁波の強度を変更することが重要であること
を見出した。さらに、研究を進めることにより、上記課題を解消する具体的方法として以下に掲げる手段を用いた発明をするに至った。
【0012】
本発明に係る第1の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段と、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の発明者は、従来問題となっていた記録媒体の変質は、電磁波により、記録媒体に過大なエネルギーが付与されることにより発生することに着目した。一般的に、同一の電磁波を照射されても、その記録媒体に吸収され熱に変換されるエネルギーは記録媒体の種類や条件により変化してしまう。そこで、記録媒体に向けて放射される電磁波によるエネルギーでなく、記録媒体に吸収され熱に変換されるエネルギーに応じて電磁波を照射することが重要となる。今回、本発明の発明者は、電磁波に対する記録媒体の透過率により、照射された電磁波のエネルギーの内、その記録媒体に吸収され熱に変換されるエネルギーが実用上十分な程度に正確に推定できることを見出した。このような作用から、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて照射する電磁波の強度を決定することにより、電磁波により記録媒体の変質なく良好な記録物を得ることができる。
【0014】
本発明に係る第2の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致することを特徴とする。
【0015】
本発明の発明者は、実験および各種考察により、電磁波に対する記録媒体の透過率と記録媒体に向け照射される電磁波の強度の最適値の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致することを見出した。これにより、予め電磁波に対する記録媒体の透過率に対応した記録媒体に向け照射される電磁波の強度の最適値を求めておく作業を、少数のサンプルを用いた実験のみで済ますことができる。
【0016】
本発明に係る第3の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択することを特徴とする。
【0017】
これは、いわゆるルックアップテーブルを参照することにより記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を決定することである。これにより、記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を決定する際に、装置の簡略化、決定作業の高速化が図られ、特に、強度決定手段としてコンピューターを用いる場合に有効である。
【0018】
本発明に係る第4の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体に電磁波を照射しないことをと特徴とする。
【0019】
これにより、事前に予想されてない種類および条件の記録媒体が用いられた場合に、照射する電磁波による予想外の問題が防止できる。
【0020】
本発明に係る第5の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射することを特徴とするインクジェット記録装置。
【0021】
これにより、事前に予想されてない種類および条件の記録媒体が用いられた場合に、照射する電磁波による予想外の問題が防止できる。
【0022】
本発明に係る第6の発明は、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生する手段を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の発明者は、公知資料、実験およびそれらに基づく考察から記録媒体に照射する電磁波として、0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波において効果があることを見出した。記録媒体の透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生する手段を有することにより、記録媒体に照射する電磁波に対する記録媒体の透過率を正確に測定することが可能になり、最終的に、電磁波により記録媒体の変質なく良好な記録物を得ることができる。
【0024】
本発明に係る第7の発明は、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいことを特徴とする。
【0025】
これにより、記録媒体に照射する電磁波に対する記録媒体の透過率をさらに正確に測定することが可能になり、最終的に、電磁波により記録媒体の変質なく良好な記録物を得ることができる。
【0026】
本発明に係る第8の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に発光ダイオードを用いることを特徴とする。
【0027】
これにより、電磁波に対する記録媒体の透過率の測定が安価に実現できるとともに、その性能が長期間に渡り安定する。
【0028】
本発明に係る第9の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に半導体レーザーを用いることを特徴とする。
【0029】
これにより、特に電磁波として赤外線を用いる場合に、電磁波に対する記録媒体の透過率の測定が安価に実現できるとともに、その性能が長期間に渡り安定する。
【0030】
本発明に係る第10の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段が記録媒体の有無の検出手段または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねる事を特徴とする。
【0031】
これにより、インクジェット記録装置の簡略化、インクジェット記録物製造工程の短縮が実現できる。
【0032】
上記の構成を、改めて、以下(1)〜(20)に整理して示す。
【0033】
(1)記録媒体に電磁波を照射する手段を有するインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段と、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める手段を有するインクジェット記録装置。
【0034】
(2)上記(1)に記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致するようにしたインクジェット記録装置。
【0035】
(3)上記(1)に記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択するようにしたインクジェット記録装置。
【0036】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体またはインクに電磁波を照射しないようにしたインクジェット記録装置。
【0037】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射するようにしたインクジェット記録装置。
【0038】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生する手段を有するインクジェット記録装置。
【0039】
(7)上記(6)に記載のインクジェット記録装置において、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいインクジェット記録装置。
【0040】
(8)上記(1)乃至(7)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に発光ダイオードを用いるようにしたインクジェット記録装置。
【0041】
(9)上記(1)乃至(7)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に半導体レーザーを用いるようにしたインクジェット記録装置。
【0042】
(10)上記(1)乃至(9)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段が記録媒体の有無または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねるようにしたインクジェット記録装置。
【0043】
(11)記録媒体に電磁波を照射する工程を有するインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める工程を有するインクジェット記録物製造方法。
【0044】
(12)上記(11)に記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0045】
(13)上記(11)に記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0046】
(14)上記(11)乃至(13)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体またはインクに電磁波を照射しないようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0047】
(15)上記(11)乃至(14)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0048】
(16)上記(11)乃至(15)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定工程で0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0049】
(17)上記(16)に記載のインクジェット記録物製造方法において、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいインクジェット記録物製造方法。
【0050】
(18)上記(11)乃至(17)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定工程に発光ダイオードを用いるようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0051】
(19)上記(11)乃至(17)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定工程に半導体レーザーを用いるようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0052】
(20)上記(11)乃至(19)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定方法が記録媒体の有無または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねるようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0054】
【実施例】
装置の概観を図1に示す。図1は本発明に係るインクジェット記録装置を示すものであると同時に、インクジェット記録物を製造している最中をあらわす。
【0055】
以下、各工程に分けて実施例を詳細に説明する。
【0056】
<記録工程>
記録媒体への記録は、一組の搬送ローラーにより図1において記録媒体Pを左奥から右手前に送る動作と、記録ヘッド1がキャリッジ2と一緒に、ガイド軸3,4に沿って図1において右奥から左手前およびその逆に往復運動することによる、記録媒体Pと記録ヘッド1の相対運動と、それに同期した記録ヘッド1からのインクの吐出により達成される。
【0057】
<<記録ヘッド>>
記録ヘッド1は1個以上のインク吐出口を有し、記録媒体Pとの相対的位置に応じて記録媒体Pに向けてインクを吐出する。図1において吐出され記録媒体P上にとどまっているインクが記録媒体P上のハッチング部で示されている。
【0058】
<透過率測定工程>
記録媒体Pの電磁波に対する透過率は、レーザーダイオード5とフォトトランジスタ6の組み合わせからなる測定器により測定される。レーザーダイオード5から照射される電磁波はフォトトランジスタ6により受光され、搬送ローラー7,8により記録媒体Pがレーザーダイオード5とフォトトランジスタ6の光路に挿入されると、レーザーダイオード5から照射される電磁波のうち、記録媒体Pを通過したものがフォトトランジスタ6に入射する。フォトトランジスタ6の出力とレーザーダイオード5に印加された電力から記録媒体Pの電磁波に対する透過率が計算される。
【0059】
<<電磁波発生器>>
なお、この透過率測定に使用する電磁波発生器としては、記録媒体Pの透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生するものが有効であり、後述する様に記録媒体Pに照射される電磁波のピーク波長が約0.8μmであることおよび市場に多く流通していることからピーク波長0.785μmのレーザーダイオードを使用することが特に好適である。さらには電磁波発生装置の形態としては、レーザーダイオード5だけでなくLEDを使用することも可能である。LEDを使用する場合、加熱用の電磁波として赤外線が用いられる場合、0.66μm程度にピーク波長をもつ赤色のLEDや赤外線を発光するLEDが好適である。また、当然のことながら、ランプなどの、上記以外の電磁波発生源でも使用可能である。
【0060】
<<受光器>>
透過率測定に使用する受光器としてはフォトトランジスタ6に限らず、電磁波を検出可能なものであればかまわない。特に、フォトトランジスタは放射照度に対するコレクタ電流特性のリニアリティが良好であることから、コレクタ電流を検出することにより正確な測定が可能であることから好適であり、さらには加熱用電磁波が赤外線特にその中でも近赤外線と呼ばれる0.7μm〜2μmの波長成分を含む場合または透過率測定用電磁波発生器の出力が0.8μm近辺にピークを持つ場合、0.8μm程度の電磁波(通常近赤外線に分類される)に対する感度が高いことから特に好適である。また、外光による誤動作が生じにくいことから、いずれの素子においても、可視光に対する感度が低いものが好適である。
【0061】
なお、透過率測定は記録媒体Pが検出可能な位置にある間中常に行うことも可能であるが、一般的には、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の場所による違いは無視できるものであるので、記録媒体Pの代表点1点について測定するのみでもかまわない。さらに、これらの中間の実施形態として、記録媒体P中の複数点について測定することもできる。また、測定点は複数であっても、それらの測定店における透過率の値の平均値などの代表値を元に、後述する記録媒体Pへの電磁波の照射強度を決定することもできる。
【0062】
<<キャリブレーション>>
また、記録媒体Pの電磁波に対する透過率は、レーザーダイオード5とフォトトランジスタ6間の光路上に記録媒体Pが無い時のフォトトランジスタ6の出力に対する、光路上に記録媒体Pが有るときのフォトトランジスタ6の出力の比とすることも可能である。この場合、レーザーダイオード5の出力が経時変化により低下した場合などにも、透過率の測定値に影響が出にくい利点がある。より簡便には、透過率測定用の電磁波発生器の出力が実用上十分に安定していることに着目し、フォトトランジスタ6の出力をそのまま、透過率としてもよい。
【0063】
なお、電磁波に対する記録媒体Pの透過率測定手段が記録媒体Pの有無または記録媒体Pのエッジの検出手段をかねてもよい。すなわち透過率測定値が100%の場合、記録媒体Pが無いと判断し、ユーザーに警告を発したり、透過率測定値が100%から下がった時点で記録媒体Pが透過率測定手段に差し掛かったと判定し、キャリッジ2の動作等を同期させ、インク吐出の準備を開始することが可能である。
【0064】
電磁波の記録媒体Pへの照射は、記録ヘッド1とともにキャリッジ2に固定された電磁波発生源が記録媒体P上を相対的に運動することにより実現される。電磁波発生源としては0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生するものが望ましく、本実施例では、ハロゲンランプ9を用いている。ハロゲンランプ9は電磁波の一種である赤外線を放射し、本実施例で使用したハロゲンランプ9のピーク波長は約0.8μmであり近赤外線と呼ばれるものに含まれる。なお、電磁波発生源としては特にハロゲンランプ9に限られる訳ではなく、用途、条件によりセラミックヒーター、シースヒーター、石英管などが使用可能であり、それらに、遠赤外線の放射率が高いコーティングを施したものでもかまわない。ハロゲンランプ9は記録媒体Pに向かう面を除き反射板10に囲まれている。反射板10はガラスの表面にアルミを蒸着したもので一般的に全反射ミラーと呼ばれるものである。このガラスの表面にアルミを蒸着した反射板10は比較的低コストながら大半の場合実用上十分な性能を持つことから、通常最適な形態である。なお、アルミを蒸着する面はその反射効率からハロゲンランプ9に向かう面側が好ましいが、反対側および両面であってもかまわない。ハロゲンランプ9で発生した近赤外線は一部は直接、残りは反射板10で反射した後記録媒体Pに照射される。照射された近赤外線は記録媒体P、記録媒体Pに付着した水分、記録媒体Pに付着したインクを加熱し、インクを急速に乾燥および定着させる。
【0065】
なお、反射板10は金を蒸着したものであってもよく、その場合コスト的にはアルミを蒸着したものよりも劣るが、反射板10での赤外線の吸収が少なくなるため、ハロゲンランプ9に印加する電力を低減できることや、無駄な発熱が発生しないといった長所がある。さらには、反射効率は悪化するが、安価であるという長所から、金属板そのものを反射板10としたものや、金属または合成樹脂にめっきを施したものを使用しても良い。
【0066】
次いで図2を用いて、記録媒体Pに照射する電磁波の強度を記録媒体Pの電磁波に対する透過率に基づいて決定する工程について詳細に説明する。
【0067】
図2は、記録媒体Pに照射する電磁波の強度を記録媒体Pの電磁波に対する透過率に基づいて決定する工程の動作を表す図であり、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度の関係を示している。以下3個の領域に分けて具体的に説明する。
【0068】
記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)未満の場合、記録媒体Pには電磁波の照射を行わない。このような決定が行われる場合の例としては、記録媒体Pである紙が誤って2枚重なった状態で印字されるような場合があげられる。このような場合は印字の最中に紙詰まりなどの発生の可能性が高く紙の焦げなどの問題が発生する可能性が高い。さらには、ユーザーが紙詰まりを解消するために記録装置内部を触る可能性もある。このため、このようにすることにより、これらの問題を未然に防ぐことができるという長所がある。また、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)未満の場合としては、記録装置の開発時点では知られていない記録媒体Pが供給された場合も考えられる。このような場合は、事前に電磁波の照射に対する安全性が確認されていないわけであるから、電磁波の照射を行わないことにより安全性が確保される。
【0069】
記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)以上であって上限値未満の場合は、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が大きくなるにつれて記録媒体Pに照射する電磁波の強度が大きくなる。
【0070】
さらに、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(上限値)以上の場合、透過率によらず一定の強度の電磁波を照射する。このような場合は、事前に電磁波の照射に対する安全性が確認されていないわけであるから、一般的な値である、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)以上であって上限値未満の場合の延長線上よりも、電磁波の照射を弱くすることにより安全性が高まる。なお、下限値以下の場合と同様に電磁波の照射を行わない様にすることも可能であり、その場合、より安全性が高くなる。
【0071】
図3に示した、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度は、実際に事前実験により、代表的な記録媒体および条件に関する、電磁波に対する透過率と照射する電磁波の強度の最適値の関係を求めておくことに決定する。図3では3種の事前実験を元に決定した例を示したが、それ以外の数の事前実験に基づいてもかまわない。一般的には、2〜5点のプロットから決定することが必要かつ十分であることが多い。
【0072】
なお、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)未満の場合、または、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(上限値)以上の場合には、記録装置本体に設けたLEDやブザーなどの表示装置や、記録装置にネットワークを介して接続されたパーソナルコンピューターの表示装置の動作、もしくは、履歴保持データへの情報の書き込みによりユーザーに注意を促すことも有益である。
【0073】
このように決定された記録媒体Pに照射される電磁波の強度に従い、ハロゲンランプに印加する電圧を調整することにより、記録媒体Pに所定の強度で電磁波が照射される。なお、電磁波の強度の調整方法としては、電磁波発生器(図1においてはハロゲンランプ9である)と記録媒体Pの光路中に設けたフィルタなどの減衰手段、開口率が調整可能なシャッター、反射率もしくは反射方向が調整可能なミラーにより調整するものであってもかまわない。
【0074】
さらには、上記の手順で決定される電磁波の強度に対して、記録装置における紙と電磁波発生器の相対運動や、記録媒体Pに付与されるインクの量などに応じて変調をかけてもかまわない。
【0075】
【第2の実施例】
本発明の第2の実施例の装置の概観を図3に示す。図3は本発明に係るインクジェット記録装置を示すものであると同時に、インクジェット記録物を製造している最中をあらわす。
【0076】
第2の実施例では記録媒体Pの電磁波に対する透過率測定器のうち電磁波発生器を加熱用の電磁波発生器であるハロゲンランプ19と反射板20で兼用したものである。ハロゲンランプ19で発生した赤外線が記録媒体Pを透過した後フォトトランジスタ16により受光される。フォトトランジスタ16はハロゲンランプ19と同様にキャリッジ12と一体に移動するように保持されてもかまわないが、フォトトランジスタ16は固定されており、キャリッジ12の移動に伴いハロゲンランプ19と反射板20による赤外線が照射されるのと同期して透過率測定を行うことにより、装置の簡略化が図られる。また、このように記録媒体Pの透過率測定器の受光器を加熱用電磁波発生器の出力が検出できるように構成しておくことにより、簡便な機構により加熱用電磁波発生器の劣化・故障を検出することが可能となる。本実施例においては、上記説明した部分以外は第1の実施例と同様である。
【0077】
【第3の実施例】
本発明の第3の実施例の特徴部分を図4に示す。図4は、記録媒体Pに照射する電磁波の強度を記録媒体Pの電磁波に対する透過率に基づいて決定する工程の動作を表す図であり、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度の関係を示している。本実施例では第1の実施例と異なり、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度の関係が階段状になっており、それぞれの段において、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の値が左端以上右端未満の場合は一定の値となっている。このようにすることで、実用上十分な精度で照射する電磁波が決定できるとともに、コンピューター等を利用したばあい、各段に対応した記憶領域に照射する電磁波の強度を予め記憶させておき、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の値から対応する記憶領域の内容を呼び出す方法、すなわちルックアップテーブルを用いた方法により簡便な装置構成またはアルゴリズムが実現可能である。
【0078】
なお、本実施例においては、上記説明した部分以外は第1の実施例と同様である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、さまざまな種類の記録媒体や、各記録媒体の状態によらず記録媒体の変質を防止しながら記録媒体およびインクを加熱することにより、良好な記録物を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の装置の概観図
【図2】第1の実施例の記録媒体に照射する電磁波の強度と記録媒体の電磁波に対する透過率の関係図
【図3】第2の実施例の装置の概観図
【図4】第3の実施例の記録媒体に照射する電磁波の強度と記録媒体の電磁波に対する透過率の関係図
【符号の説明】
P 記録媒体
1 記録ヘッド
2 キャリッジ
3,4 ガイド軸
5 レーザーダイオード
6 フォトトランジスタ
7,8 搬送ローラー
9 ハロゲンランプ
10 反射板
11 記録ヘッド
12 キャリッジ
13,14 ガイド軸
16 フォトトランジスタ
19 ハロゲンランプ
20 反射板
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法に関するものであり、その中でも特に記録媒体に電磁波を照射するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電磁波を記録媒体に照射することによりインクを加熱・乾燥させるインクジェット記録装置が知られており、使用する電磁波の望ましい波長が記載されているものもある(下記、特許文献1参照。)。
【0003】
また、最適な熱密度の範囲として22ワット/平方インチ(3.4ワット/平方cm)が示されており、さらには、紙の状態や存在するインク量によっては、10〜33ワット/平方インチ(1.55〜5.1ワット/平方cm)の範囲内の放射で、急速な乾燥時間が得られることが記載されているものもある(下記、特許文献2参照。)。
【0004】
このように、従来、紙の状態や存在するインク量によって最適な放射強度が変化することは示唆されていたが、実際に最適な放射強度を決定する手段が知られていないため、記録媒体の種類や状態によっては記録媒体が変質するという問題があった。
【0005】
実際に、本発明の発明者が各種条件にて実験を行ったところ、記録媒体であるOHPシートの変形や紙の焦げ、さらには発火などが発生する場合があった。
【0006】
一方、記録媒体を支持するプラテンを加熱する方法において、記録媒体の種類に応じて前記加熱手段に加える熱量を変更する方法が開示されており(下記、特許文献3参照。)、また、記録媒体の種類に応じて、記録媒体支持手段上の記録媒体と記録手段との間隔を変える方法も開示されている(下記、特許文献4参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−182461号公報
【特許文献2】
特開2000−135785号公報
【特許文献3】
特開平05−084896号公報
【特許文献4】
特開平05−104710号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの公報においては、記録媒体がOHPシートの場合とそれ以外の場合の切り替えしか示されておらず、同じ紙であっても状態が異なる場合の加熱量の決定方法や紙やOHPなどに対する加熱量を具体的に何に基づき決定するのかが示されていない。
【0009】
このため、この技術をもってしても上記課題を完全に解決するに至らなかった。
【0010】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであって、インク定着促進のために加熱を行う場合における、用紙の種類や用紙の状態によらず、用紙の変質なく良好な定着を得ることのできるインクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ね、記録媒体に電磁波を照射する手段を有するインクジェット記録装置において、発色性、低にじみ性、記録されたもの(以下記録物と記載)の堅牢性などの各種特性を向上させるには、
▲1▼記録媒体の電磁波に対する透過率に応じて
▲2▼電磁波の強度を変更することが重要であること
を見出した。さらに、研究を進めることにより、上記課題を解消する具体的方法として以下に掲げる手段を用いた発明をするに至った。
【0012】
本発明に係る第1の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段と、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める手段を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の発明者は、従来問題となっていた記録媒体の変質は、電磁波により、記録媒体に過大なエネルギーが付与されることにより発生することに着目した。一般的に、同一の電磁波を照射されても、その記録媒体に吸収され熱に変換されるエネルギーは記録媒体の種類や条件により変化してしまう。そこで、記録媒体に向けて放射される電磁波によるエネルギーでなく、記録媒体に吸収され熱に変換されるエネルギーに応じて電磁波を照射することが重要となる。今回、本発明の発明者は、電磁波に対する記録媒体の透過率により、照射された電磁波のエネルギーの内、その記録媒体に吸収され熱に変換されるエネルギーが実用上十分な程度に正確に推定できることを見出した。このような作用から、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて照射する電磁波の強度を決定することにより、電磁波により記録媒体の変質なく良好な記録物を得ることができる。
【0014】
本発明に係る第2の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致することを特徴とする。
【0015】
本発明の発明者は、実験および各種考察により、電磁波に対する記録媒体の透過率と記録媒体に向け照射される電磁波の強度の最適値の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致することを見出した。これにより、予め電磁波に対する記録媒体の透過率に対応した記録媒体に向け照射される電磁波の強度の最適値を求めておく作業を、少数のサンプルを用いた実験のみで済ますことができる。
【0016】
本発明に係る第3の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択することを特徴とする。
【0017】
これは、いわゆるルックアップテーブルを参照することにより記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を決定することである。これにより、記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を決定する際に、装置の簡略化、決定作業の高速化が図られ、特に、強度決定手段としてコンピューターを用いる場合に有効である。
【0018】
本発明に係る第4の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体に電磁波を照射しないことをと特徴とする。
【0019】
これにより、事前に予想されてない種類および条件の記録媒体が用いられた場合に、照射する電磁波による予想外の問題が防止できる。
【0020】
本発明に係る第5の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射することを特徴とするインクジェット記録装置。
【0021】
これにより、事前に予想されてない種類および条件の記録媒体が用いられた場合に、照射する電磁波による予想外の問題が防止できる。
【0022】
本発明に係る第6の発明は、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生する手段を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の発明者は、公知資料、実験およびそれらに基づく考察から記録媒体に照射する電磁波として、0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波において効果があることを見出した。記録媒体の透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生する手段を有することにより、記録媒体に照射する電磁波に対する記録媒体の透過率を正確に測定することが可能になり、最終的に、電磁波により記録媒体の変質なく良好な記録物を得ることができる。
【0024】
本発明に係る第7の発明は、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいことを特徴とする。
【0025】
これにより、記録媒体に照射する電磁波に対する記録媒体の透過率をさらに正確に測定することが可能になり、最終的に、電磁波により記録媒体の変質なく良好な記録物を得ることができる。
【0026】
本発明に係る第8の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に発光ダイオードを用いることを特徴とする。
【0027】
これにより、電磁波に対する記録媒体の透過率の測定が安価に実現できるとともに、その性能が長期間に渡り安定する。
【0028】
本発明に係る第9の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に半導体レーザーを用いることを特徴とする。
【0029】
これにより、特に電磁波として赤外線を用いる場合に、電磁波に対する記録媒体の透過率の測定が安価に実現できるとともに、その性能が長期間に渡り安定する。
【0030】
本発明に係る第10の発明は、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段が記録媒体の有無の検出手段または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねる事を特徴とする。
【0031】
これにより、インクジェット記録装置の簡略化、インクジェット記録物製造工程の短縮が実現できる。
【0032】
上記の構成を、改めて、以下(1)〜(20)に整理して示す。
【0033】
(1)記録媒体に電磁波を照射する手段を有するインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段と、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める手段を有するインクジェット記録装置。
【0034】
(2)上記(1)に記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致するようにしたインクジェット記録装置。
【0035】
(3)上記(1)に記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択するようにしたインクジェット記録装置。
【0036】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体またはインクに電磁波を照射しないようにしたインクジェット記録装置。
【0037】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射するようにしたインクジェット記録装置。
【0038】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生する手段を有するインクジェット記録装置。
【0039】
(7)上記(6)に記載のインクジェット記録装置において、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいインクジェット記録装置。
【0040】
(8)上記(1)乃至(7)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に発光ダイオードを用いるようにしたインクジェット記録装置。
【0041】
(9)上記(1)乃至(7)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に半導体レーザーを用いるようにしたインクジェット記録装置。
【0042】
(10)上記(1)乃至(9)のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段が記録媒体の有無または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねるようにしたインクジェット記録装置。
【0043】
(11)記録媒体に電磁波を照射する工程を有するインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める工程を有するインクジェット記録物製造方法。
【0044】
(12)上記(11)に記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0045】
(13)上記(11)に記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0046】
(14)上記(11)乃至(13)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体またはインクに電磁波を照射しないようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0047】
(15)上記(11)乃至(14)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0048】
(16)上記(11)乃至(15)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定工程で0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生するようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0049】
(17)上記(16)に記載のインクジェット記録物製造方法において、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいインクジェット記録物製造方法。
【0050】
(18)上記(11)乃至(17)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定工程に発光ダイオードを用いるようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0051】
(19)上記(11)乃至(17)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定工程に半導体レーザーを用いるようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0052】
(20)上記(11)乃至(19)のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定方法が記録媒体の有無または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねるようにしたインクジェット記録物製造方法。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を、実施例に基づいて図面を参照しながら説明する。
【0054】
【実施例】
装置の概観を図1に示す。図1は本発明に係るインクジェット記録装置を示すものであると同時に、インクジェット記録物を製造している最中をあらわす。
【0055】
以下、各工程に分けて実施例を詳細に説明する。
【0056】
<記録工程>
記録媒体への記録は、一組の搬送ローラーにより図1において記録媒体Pを左奥から右手前に送る動作と、記録ヘッド1がキャリッジ2と一緒に、ガイド軸3,4に沿って図1において右奥から左手前およびその逆に往復運動することによる、記録媒体Pと記録ヘッド1の相対運動と、それに同期した記録ヘッド1からのインクの吐出により達成される。
【0057】
<<記録ヘッド>>
記録ヘッド1は1個以上のインク吐出口を有し、記録媒体Pとの相対的位置に応じて記録媒体Pに向けてインクを吐出する。図1において吐出され記録媒体P上にとどまっているインクが記録媒体P上のハッチング部で示されている。
【0058】
<透過率測定工程>
記録媒体Pの電磁波に対する透過率は、レーザーダイオード5とフォトトランジスタ6の組み合わせからなる測定器により測定される。レーザーダイオード5から照射される電磁波はフォトトランジスタ6により受光され、搬送ローラー7,8により記録媒体Pがレーザーダイオード5とフォトトランジスタ6の光路に挿入されると、レーザーダイオード5から照射される電磁波のうち、記録媒体Pを通過したものがフォトトランジスタ6に入射する。フォトトランジスタ6の出力とレーザーダイオード5に印加された電力から記録媒体Pの電磁波に対する透過率が計算される。
【0059】
<<電磁波発生器>>
なお、この透過率測定に使用する電磁波発生器としては、記録媒体Pの透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生するものが有効であり、後述する様に記録媒体Pに照射される電磁波のピーク波長が約0.8μmであることおよび市場に多く流通していることからピーク波長0.785μmのレーザーダイオードを使用することが特に好適である。さらには電磁波発生装置の形態としては、レーザーダイオード5だけでなくLEDを使用することも可能である。LEDを使用する場合、加熱用の電磁波として赤外線が用いられる場合、0.66μm程度にピーク波長をもつ赤色のLEDや赤外線を発光するLEDが好適である。また、当然のことながら、ランプなどの、上記以外の電磁波発生源でも使用可能である。
【0060】
<<受光器>>
透過率測定に使用する受光器としてはフォトトランジスタ6に限らず、電磁波を検出可能なものであればかまわない。特に、フォトトランジスタは放射照度に対するコレクタ電流特性のリニアリティが良好であることから、コレクタ電流を検出することにより正確な測定が可能であることから好適であり、さらには加熱用電磁波が赤外線特にその中でも近赤外線と呼ばれる0.7μm〜2μmの波長成分を含む場合または透過率測定用電磁波発生器の出力が0.8μm近辺にピークを持つ場合、0.8μm程度の電磁波(通常近赤外線に分類される)に対する感度が高いことから特に好適である。また、外光による誤動作が生じにくいことから、いずれの素子においても、可視光に対する感度が低いものが好適である。
【0061】
なお、透過率測定は記録媒体Pが検出可能な位置にある間中常に行うことも可能であるが、一般的には、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の場所による違いは無視できるものであるので、記録媒体Pの代表点1点について測定するのみでもかまわない。さらに、これらの中間の実施形態として、記録媒体P中の複数点について測定することもできる。また、測定点は複数であっても、それらの測定店における透過率の値の平均値などの代表値を元に、後述する記録媒体Pへの電磁波の照射強度を決定することもできる。
【0062】
<<キャリブレーション>>
また、記録媒体Pの電磁波に対する透過率は、レーザーダイオード5とフォトトランジスタ6間の光路上に記録媒体Pが無い時のフォトトランジスタ6の出力に対する、光路上に記録媒体Pが有るときのフォトトランジスタ6の出力の比とすることも可能である。この場合、レーザーダイオード5の出力が経時変化により低下した場合などにも、透過率の測定値に影響が出にくい利点がある。より簡便には、透過率測定用の電磁波発生器の出力が実用上十分に安定していることに着目し、フォトトランジスタ6の出力をそのまま、透過率としてもよい。
【0063】
なお、電磁波に対する記録媒体Pの透過率測定手段が記録媒体Pの有無または記録媒体Pのエッジの検出手段をかねてもよい。すなわち透過率測定値が100%の場合、記録媒体Pが無いと判断し、ユーザーに警告を発したり、透過率測定値が100%から下がった時点で記録媒体Pが透過率測定手段に差し掛かったと判定し、キャリッジ2の動作等を同期させ、インク吐出の準備を開始することが可能である。
【0064】
電磁波の記録媒体Pへの照射は、記録ヘッド1とともにキャリッジ2に固定された電磁波発生源が記録媒体P上を相対的に運動することにより実現される。電磁波発生源としては0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生するものが望ましく、本実施例では、ハロゲンランプ9を用いている。ハロゲンランプ9は電磁波の一種である赤外線を放射し、本実施例で使用したハロゲンランプ9のピーク波長は約0.8μmであり近赤外線と呼ばれるものに含まれる。なお、電磁波発生源としては特にハロゲンランプ9に限られる訳ではなく、用途、条件によりセラミックヒーター、シースヒーター、石英管などが使用可能であり、それらに、遠赤外線の放射率が高いコーティングを施したものでもかまわない。ハロゲンランプ9は記録媒体Pに向かう面を除き反射板10に囲まれている。反射板10はガラスの表面にアルミを蒸着したもので一般的に全反射ミラーと呼ばれるものである。このガラスの表面にアルミを蒸着した反射板10は比較的低コストながら大半の場合実用上十分な性能を持つことから、通常最適な形態である。なお、アルミを蒸着する面はその反射効率からハロゲンランプ9に向かう面側が好ましいが、反対側および両面であってもかまわない。ハロゲンランプ9で発生した近赤外線は一部は直接、残りは反射板10で反射した後記録媒体Pに照射される。照射された近赤外線は記録媒体P、記録媒体Pに付着した水分、記録媒体Pに付着したインクを加熱し、インクを急速に乾燥および定着させる。
【0065】
なお、反射板10は金を蒸着したものであってもよく、その場合コスト的にはアルミを蒸着したものよりも劣るが、反射板10での赤外線の吸収が少なくなるため、ハロゲンランプ9に印加する電力を低減できることや、無駄な発熱が発生しないといった長所がある。さらには、反射効率は悪化するが、安価であるという長所から、金属板そのものを反射板10としたものや、金属または合成樹脂にめっきを施したものを使用しても良い。
【0066】
次いで図2を用いて、記録媒体Pに照射する電磁波の強度を記録媒体Pの電磁波に対する透過率に基づいて決定する工程について詳細に説明する。
【0067】
図2は、記録媒体Pに照射する電磁波の強度を記録媒体Pの電磁波に対する透過率に基づいて決定する工程の動作を表す図であり、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度の関係を示している。以下3個の領域に分けて具体的に説明する。
【0068】
記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)未満の場合、記録媒体Pには電磁波の照射を行わない。このような決定が行われる場合の例としては、記録媒体Pである紙が誤って2枚重なった状態で印字されるような場合があげられる。このような場合は印字の最中に紙詰まりなどの発生の可能性が高く紙の焦げなどの問題が発生する可能性が高い。さらには、ユーザーが紙詰まりを解消するために記録装置内部を触る可能性もある。このため、このようにすることにより、これらの問題を未然に防ぐことができるという長所がある。また、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)未満の場合としては、記録装置の開発時点では知られていない記録媒体Pが供給された場合も考えられる。このような場合は、事前に電磁波の照射に対する安全性が確認されていないわけであるから、電磁波の照射を行わないことにより安全性が確保される。
【0069】
記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)以上であって上限値未満の場合は、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が大きくなるにつれて記録媒体Pに照射する電磁波の強度が大きくなる。
【0070】
さらに、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(上限値)以上の場合、透過率によらず一定の強度の電磁波を照射する。このような場合は、事前に電磁波の照射に対する安全性が確認されていないわけであるから、一般的な値である、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)以上であって上限値未満の場合の延長線上よりも、電磁波の照射を弱くすることにより安全性が高まる。なお、下限値以下の場合と同様に電磁波の照射を行わない様にすることも可能であり、その場合、より安全性が高くなる。
【0071】
図3に示した、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度は、実際に事前実験により、代表的な記録媒体および条件に関する、電磁波に対する透過率と照射する電磁波の強度の最適値の関係を求めておくことに決定する。図3では3種の事前実験を元に決定した例を示したが、それ以外の数の事前実験に基づいてもかまわない。一般的には、2〜5点のプロットから決定することが必要かつ十分であることが多い。
【0072】
なお、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(下限値)未満の場合、または、記録媒体Pの電磁波に対する透過率が設計時点で定めた値(上限値)以上の場合には、記録装置本体に設けたLEDやブザーなどの表示装置や、記録装置にネットワークを介して接続されたパーソナルコンピューターの表示装置の動作、もしくは、履歴保持データへの情報の書き込みによりユーザーに注意を促すことも有益である。
【0073】
このように決定された記録媒体Pに照射される電磁波の強度に従い、ハロゲンランプに印加する電圧を調整することにより、記録媒体Pに所定の強度で電磁波が照射される。なお、電磁波の強度の調整方法としては、電磁波発生器(図1においてはハロゲンランプ9である)と記録媒体Pの光路中に設けたフィルタなどの減衰手段、開口率が調整可能なシャッター、反射率もしくは反射方向が調整可能なミラーにより調整するものであってもかまわない。
【0074】
さらには、上記の手順で決定される電磁波の強度に対して、記録装置における紙と電磁波発生器の相対運動や、記録媒体Pに付与されるインクの量などに応じて変調をかけてもかまわない。
【0075】
【第2の実施例】
本発明の第2の実施例の装置の概観を図3に示す。図3は本発明に係るインクジェット記録装置を示すものであると同時に、インクジェット記録物を製造している最中をあらわす。
【0076】
第2の実施例では記録媒体Pの電磁波に対する透過率測定器のうち電磁波発生器を加熱用の電磁波発生器であるハロゲンランプ19と反射板20で兼用したものである。ハロゲンランプ19で発生した赤外線が記録媒体Pを透過した後フォトトランジスタ16により受光される。フォトトランジスタ16はハロゲンランプ19と同様にキャリッジ12と一体に移動するように保持されてもかまわないが、フォトトランジスタ16は固定されており、キャリッジ12の移動に伴いハロゲンランプ19と反射板20による赤外線が照射されるのと同期して透過率測定を行うことにより、装置の簡略化が図られる。また、このように記録媒体Pの透過率測定器の受光器を加熱用電磁波発生器の出力が検出できるように構成しておくことにより、簡便な機構により加熱用電磁波発生器の劣化・故障を検出することが可能となる。本実施例においては、上記説明した部分以外は第1の実施例と同様である。
【0077】
【第3の実施例】
本発明の第3の実施例の特徴部分を図4に示す。図4は、記録媒体Pに照射する電磁波の強度を記録媒体Pの電磁波に対する透過率に基づいて決定する工程の動作を表す図であり、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度の関係を示している。本実施例では第1の実施例と異なり、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の各値に対する記録媒体Pに照射する電磁波の強度の関係が階段状になっており、それぞれの段において、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の値が左端以上右端未満の場合は一定の値となっている。このようにすることで、実用上十分な精度で照射する電磁波が決定できるとともに、コンピューター等を利用したばあい、各段に対応した記憶領域に照射する電磁波の強度を予め記憶させておき、記録媒体Pの電磁波に対する透過率の値から対応する記憶領域の内容を呼び出す方法、すなわちルックアップテーブルを用いた方法により簡便な装置構成またはアルゴリズムが実現可能である。
【0078】
なお、本実施例においては、上記説明した部分以外は第1の実施例と同様である。
【0079】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、さまざまな種類の記録媒体や、各記録媒体の状態によらず記録媒体の変質を防止しながら記録媒体およびインクを加熱することにより、良好な記録物を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の装置の概観図
【図2】第1の実施例の記録媒体に照射する電磁波の強度と記録媒体の電磁波に対する透過率の関係図
【図3】第2の実施例の装置の概観図
【図4】第3の実施例の記録媒体に照射する電磁波の強度と記録媒体の電磁波に対する透過率の関係図
【符号の説明】
P 記録媒体
1 記録ヘッド
2 キャリッジ
3,4 ガイド軸
5 レーザーダイオード
6 フォトトランジスタ
7,8 搬送ローラー
9 ハロゲンランプ
10 反射板
11 記録ヘッド
12 キャリッジ
13,14 ガイド軸
16 フォトトランジスタ
19 ハロゲンランプ
20 反射板
Claims (20)
- 記録媒体に電磁波を照射する手段を有するインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段と、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至3のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体またはインクに電磁波を照射しないことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至4のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出手段により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至5のいずれか記載のインクジェット記録装置において、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定手段に0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生する手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項6に記載のインクジェット記録装置において、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいことを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至7のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に発光ダイオードを用いることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至7のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段に半導体レーザーを用いることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至9のいずれか記載のインクジェット記録装置において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定手段が記録媒体の有無または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねる事を特徴とするインクジェット記録装置。
- 記録媒体に電磁波を照射する工程を有するインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率に応じて、記録媒体またはインクに照射される電磁波の強度を定める工程を有することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11に記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率と記録媒体に照射される電磁波の強度の関係が、正の比例係数を有する一次関数におおむね一致することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11に記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率に基づき、記録媒体に照射される電磁波の強度を3通り以上の値から選択することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11乃至13のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率が、予め設定した値よりも小さい場合は、記録媒体またはインクに電磁波を照射しないことを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11乃至14のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率検出工程により検出された透過率が、予め設定した値よりも大きい場合は、透過率が予め設定した値の場合における記録媒体に照射される電磁波の強度以下の強度で記録媒体に電磁波を照射することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11乃至15のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、記録媒体に照射する電磁波が0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含み、記録媒体の透過率測定工程で0.3μm以上6μm以下内の少なくとも1つの波長成分を含む電磁波を発生することを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項16に記載のインクジェット記録物製造方法において、記録媒体に照射する電磁波のピーク波長に対し、記録媒体の透過率測定手段で発生する電磁波のピーク波長が実質的に等しいことを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11乃至17のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定工程に発光ダイオードを用いることを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11乃至17のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定工程に半導体レーザーを用いることを特徴とするインクジェット記録物製造方法。
- 請求項11乃至19のいずれか記載のインクジェット記録物製造方法において、電磁波に対する記録媒体の透過率測定方法が記録媒体の有無または記録媒体のエッジの検出手段を兼ねる事を特徴とするインクジェット記録物製造方法。
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JP2002325279A JP2004155155A (ja) | 2002-11-08 | 2002-11-08 | インクジェット記録装置およびインクジェット記録物製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013159045A (ja) * | 2012-02-06 | 2013-08-19 | Canon Inc | インクジェット記録装置 |
JP2019064170A (ja) * | 2017-10-02 | 2019-04-25 | ローランドディー.ジー.株式会社 | インクジェットプリンタ |
-
2002
- 2002-11-08 JP JP2002325279A patent/JP2004155155A/ja not_active Withdrawn
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