JP2004154963A - インクジェットプリンターによる校正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、受容シート表面の色相の影響を受けずに、インクジェットプリンターを用いて印刷校正を行う方法を提供することを目的とする。
【解決手段】着色剤を含有するインク受容層をシート状基材の少なくとも片面に設けた受容シートと、JIS K7105により測定された光路長1mmのヘーズ値が40〜100の範囲内にあるインクジェットプリンター用インクを用いてインクジェットプリンターで印刷校正を行う方法。
【選択図】 なし
【解決手段】着色剤を含有するインク受容層をシート状基材の少なくとも片面に設けた受容シートと、JIS K7105により測定された光路長1mmのヘーズ値が40〜100の範囲内にあるインクジェットプリンター用インクを用いてインクジェットプリンターで印刷校正を行う方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンターで印刷校正を行う方法に関するものであり、特に新聞の校正に好適な校正方法に関する。
【0002】
【従来の術】
【0003】
インクジェットプリンターまたはインクジェット印刷は騒音の発生が少なく、高速印字、多色印刷が可能であり、近年、解像度の向上が図られ画質の向上も著しい。また、低価格のパーソナル用インクジェットプリンターが発売されたことにともない、家庭あるいはオフィスへの普及も急速に図られている。さらにワイドフォーマットの大型インクジェットプリンターが開発され、製版工程、現像、定着工程が不要などの理由から印刷業、看板業などポスター印刷、看板作成、CAD等の用途に利用されている。近年、解像度の向上、色再現技術の向上、印刷の高速化が計られ、各種印刷の校正用として、あるいは少量印刷の用途に使用されはじめている。
【0004】
最近、注目すべきは、解像度の向上、色再現技術の向上、印刷の高速化が計られ、銀塩写真に近い画質を要求される印刷分野における校正やデザイン部門でのデザインイメージの見本作成等のフルカラー印刷に、インクジェット方式が利用されつつあることである。その中でも例えば新聞印刷においては、校正刷りや本刷り時の見本をインクジェット方式で作成することが近年多くなりつつある。これらの校正刷り等の用途には、高画質印刷に加え、色再現性、光沢性が重要である(特許文献1:特開2000−318299号公報、特許文献2:特開2000−326623号公報、特許文献3:特開2002−292991号公報参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−318299号公報、
【特許文献2】
特開2000−326623号公報、
【特許文献3】
特開2002−292991号公報
【0006】
ところで、印刷の校正・見本用、あるいはデザイン検討・確認用の刷り物(以下、校正刷り等という)は、その色相を実際の印刷物(以下、本刷りともいう)の色相と正確に合わせる必要がある。この時、インクの透明性が高い(ヘーズ値が低い)インクを用いて印刷すると、下地(印刷用紙)の色の影響を受けやすく、同じインクを用いて、同じ画像を、色の異なる被印刷体にそれぞれ印刷すると、印刷物の色相が異なることがある。
【0007】
一般に印刷用インキの透明性は低い(ヘーズ値が高い)ため、印刷物は下地の色の影響は受けにくい。
しかし、インクジェット方式に使用されるインクは、他の印刷方式に使用されるインキに比して一般に透明性が高く(ヘーズ値が低い)、そのような透明性の高いインクで印刷した場合、その印刷物の色相は、被印刷体、即ち受容シートの色相の影響を受け易い。特にヘーズ値が40未満のインクを用いたときには、下地の色の影響を受けやすく、40以上のインクを用いたときは、その影響は少なくなる。
【0008】
例えば、新聞印刷では他の印刷分野と異なり、白色度に富む紙ではなく、薄茶色、クリーム色等の紙が用いられることが多い。一般的な白色のインクジェット受容シート及びに新聞の表面色に着色されたインクジェット受容シート上に、インクジェット用インクの透明性が高いインク(ヘーズ値が40以下のインク)を用いてインクジェットプリンターで校正刷りをし、その印刷物を比較すると、明らかに色相が異なる。そのため、このような校正に用いるインクジェット用インクの透明性は低い方が好ましい。
【0009】
また、印刷校正をするにあたって、本刷りと校正刷りとの被印刷体の下地の色は同じであることが好ましい。なぜなら、下地の色が異なることにより、印刷物のイメージが変わるからである。また、校正刷りは本刷りの「見本」であるため、下地の色も本刷りの色に合わせることが望まれている。
【0010】
そこで、新聞印刷の分野で本刷りと校正刷り等との色相合わせを目的として、本刷りに用いられる紙に直接インクジェット方式で校正刷り等を印刷することが考えられる。
しかし、インクジェット印刷に用いられるインキは臭気等の問題から水性のものがほとんどであるので、上記のように直接紙に印字するとインクの発色不良、インク滲み等が発生し、高品質な印刷物は得られない。
【0011】
そこで、滲み等を防止し、インキが速やかに吸収されるように、親水性樹脂(水溶性樹脂、非水溶性の親水性樹脂)等からなる水性インク受容層を本刷り用の紙表面に設けて受容シートとして利用する方法が考えられる。
しかし、水溶性樹脂等からなる受容層を紙表面に設けた場合には、表面に光沢が生じてしまい、新聞紙特有のマット感が得られない。このような光沢紙を用いてインクジェット方式で校正刷り等をしても、本刷りとは全く異なる状態のものしか得られないので、校正や見本の用を成さない。
あるいは、水溶性樹脂等にさらにシリカ等のフィラーを加えたコーィング剤を新聞紙表面に塗工した場合、受容層表面がマット調になると共にインクの吸収性もさらに向上する。
しかし、その反面受容層が白色不透明になり、新聞紙の色相が得られない。その結果、校正刷りの色相が受容シート表面の色相の影響を受けてしまい、本刷りと校正刷り等との色相を合わせることが困難となってしまう。
【0012】
さらに、白色受容層を設けてなるインクジェット用受容シートを用い、該白色受容シート上に新聞紙の地色の色相をインクジェット方式で表現すると共に、文字や画像をインクジェット方式で形成する方法も考えられる。しかし、コンピューターを用いたカラーマッチングソフトを利用したとしてもこのような方法では、実際の印刷に用いられる紙の薄茶色、クリーム色等の薄色調のベタ部の色調自体をインクジェット方式で再現する事が困難であるばかりでなく、高価なインクジェット用インクを多量に消費し、ランニングコストがかかる等の問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、受容シート表面の色相の影響を受けずに、インクジェットプリンターを用いて印刷校正を行う方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の問題に鑑み鋭意検討した結果、新聞印刷の本刷りに用いられる紙の色相と同じ色相に着色した着色剤含有受容層をシート状基材上に設けた受容シートと、インクジェット用インクのヘーズ値が高いインクとを用いて印刷することにより、校正刷りや見本刷り等と本刷りとの色相のマッチング精度を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、第1の発明は、着色剤を含有するインク受容層をシート状基材の少なくとも片面に設けた受容シートと、JIS K7105により測定された光路長1mmのヘーズ値が40〜100の範囲内にあるインクジェットプリンター用インクを用いてインクジェットプリンターで印刷校正を行う方法である。
【0015】
第2の発明は、表面の明度指数L*が80〜86、知覚色度指数a*が−3〜1、知覚色度指数b*が4〜9の範囲内にあるインクジェット受容シートを用いることを特徴とする第1の発明に記載の印刷校正を行う方法である。
【0016】
第3の発明は、カチオン性又はノニオン性の界面活性剤により水性媒体中に顔料を分散してなる水性顔料分散体を用いてインク受容層が形成されてなり、かつインク受容層がカチオン性化合物を含有するインクジェット受容シートを用いることを特徴とする第1の発明または第2の発明に記載の印刷校正を行う方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するインクジェット用インクの光路長1mmのヘーズ値は、Yellow,Magenta,Cyan,Blackの4色それぞれが40〜100の範囲内にあることが重要であり、表面の明度指数L*が80〜86、知覚色度指数a*が−3〜1、知覚色度指数b*が4〜9であり、表面光沢(60度)が0〜10の範囲である受容シートを用いることが好ましい。新聞印刷の校正、見本作成において、上記のようなインクジェット用インクとインクジェット受容シートを用いることにより、実際の新聞のカラー印刷物とほぼ同じ色相の印刷物をインクジェット印刷方式で得ることができる。
インクジェット受容層の表面色の明度指数L*が80未満の場合は、受容層の色相が黒くなり、その受容層上に形成される印刷物の色相が本刷りの色相に比して暗くなる。明度指数L*が86を越えると、受容層の色相が白くなり、その受容層上に形成される印刷物の色相が本刷りの色相に比して明るく鮮やかになりすぎる。知覚色度指数a*が−3未満の場合は、受容層の色相が緑色を帯び、その受容層上に形成される印刷物が色相も本刷りの色相よりも緑色を帯びる。知覚色度指数a*が1よりも大きいと、受容層の色相が赤くなり、その受容層上に形成される印刷物の色相が本刷りの色相よりも赤味を帯びる。知覚色度指数b*が4未満の場合は、受容層表面が青くなり、その上に形成される印刷物が本刷りよりも青味を帯びる。知覚色度指数b*が9よりも大きい場合は、受容層表面が黄色くなり、その上に形成される印刷物が本刷りよりも黄味を帯びる。
また、インクジェット受容層の表面光沢が10よりも大きくなると、やや光沢感が生じ、本刷りとは質感が異なる校正刷りしか得られない。
【0018】
ところで使用される溶媒の面からインクジェット印刷用インクを分類すると、水性、油性、溶剤型等がある。着色剤の面から分類すると、染料型、顔料型がある。これらのインクの中で、JIS K7105により測定された光路長1mmのヘーズ値が40〜100の範囲内にあるインクであれば特に種類は選ばないが、臭気、環境、色安定性の面から、水性の顔料型インクが最も好ましい。
【0019】
顔料型インクに使用する顔料としては、有機顔料、無機顔料を使用することができる。
さらにインキ中にはこれらの顔料のほかに、紙への定着性、インキ塗膜の耐水性を向上させる目的で、アクリル系樹脂、スチレンーアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン系樹脂、石油系樹脂、フッソ系樹脂等の樹脂及び水分散性樹脂を用いることができる。また、表面張力調整用、紙への浸透性の調整用として、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や高分子界面活性剤を用いることができる。
この他にも、浸透剤、防黴剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、消泡剤等の添加剤を加えることができる。
インキの製造方法としては、顔料分散体及び水系樹脂を水系媒体中に分散し、適宜水で希釈、他の添加剤を混合することにより製造できる。分散は、ディスパー、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて行う事ができる。
上記分散機にて分散された顔料分散体の平均粒子径は、10nm〜500nmの範囲内にあることが望ましい。平均粒子径が10nmより小さいと、分散にかなりの時間と工程がかかり、500nmより大きいとインクの経時安定性の問題やヘッドの目詰まりの原因となる。
【0020】
インクジェット方式でこのような水性顔料型インクを用いて、滲まず、鮮やかな発色の印刷物を得るためには、受容層にはできるだけ瞬時にインクを吸収する一方、インクを吸収しすぎないことが求められる。インクの吸収が遅すぎる場合には、1ドットが大きくなり、解像度が低下するとともに、滲みが発生する。一方、吸収が速すぎる場合には、インク中の顔料が受容層及び基材内部に浸透してしまい、印刷物の濃度が低下するとともに、バンディングと呼ばれるインクジェットヘッドの走査方向の白スジが目立つ等の問題が生じる。
インクの吸収速度は、受容層に用いられるバインダー樹脂の吸水性、シリカ、アルミナ等のフィラーの種類及びその添加量、さらには、インク定着剤として用いられるカチオン性化合物の配合により、調整され得る。
本発明の受容シートのインク受容層に用いられるバインダー樹脂、フィラー、インク定着剤等としては、例えば以下に記載するようなものが用いられる。
【0021】
本発明の受容シートのインク受容層に用いられるバインダー樹脂は、膜を形成し得、フィラーや着色剤をその膜中に固定し得るものであればよい。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリアミド、石油樹脂、ロジン、ニトロセルロース、しょ糖エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体、エチレン/酢酸ビニル系共重合体、α−オレフィン/無水マレイン酸系共重合体、スチレン/無水マレイン酸系共重合体等の熱可塑性樹脂、
フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の他、
エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ホスファゼン樹脂等の紫外線または電子線により硬化する樹脂等さまざまな樹脂が使用される。
インクの吸収、濡れを良くするために、親水性を有する樹脂を用いることが好ましく、さらに吸水率100%以上のいわゆる吸水性樹脂が好ましい。吸水率100%とは、自重と同じ重さの水を吸収し得ることをいう。尚、吸水率が100%に満たない樹脂あっても、膜を形成した場合に水性インキをはじかない程度の親水性が樹脂自体にあれば、後述するフィラーの種類や添加量を調節することによって、インク受容層用のバインダー樹脂として使用し得る。
吸水性樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール鎖を有するポリエステル樹脂、ポリエチレングリコール鎖を有するポリウレタン樹脂、吸水性アクリル樹脂等が好適に用いられる。
【0022】
本発明においては、インク受容層に吸水性を付与するとともに表面光沢を調整するために、各種無機フィラー、樹脂フィラーを使用することも好ましい。
使用されるフィラーとしては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等の無機フィラー、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等を粒状に成型した樹脂フィラーが挙げられ、中でもシリカが好ましく、インクジェットインクの吸収性、発色性の点からは表面処理が施されてなく、平均粒径が1〜10ミクロン程度のシリカが最も好ましい。シリカとしては、アルミナをドープしてなるシリカを用いることもできる。
【0023】
本発明のインクジェット用受容シートのインク受容層は、着色剤としては、無機顔料、有機顔料、水性染料、オイル染料等を含有し、上記したような特定の色相を呈することが重要である。即ち、インクの吸収性向上及び表面の光沢抑制・防止のためにシリカ等のフィラーを含有せしめると、受容層自体が白濁不透明になってしまうので、新聞印刷用の校正刷り等には用いることができない。
そこで、新聞紙的なマット感を確保しつつ、新聞紙的な色を確保するために、インク受容層は着色剤を含有することが重要である。
着色剤としては、インク受容層の色が長期間維持できるという点で、染料よりも顔料が好ましく、顔料分散性、色相安定性から有機顔料がより好ましい。種々の顔料を含有せしめることができ、複数の顔料を適宜含有せしめることもできる。
【0024】
さらに、本発明のインクジェット用受容シートの受容層は、インクの定着性向上剤としてカチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等のカチオン性化合物を含有することができる。インクジェット方式に用いられるインクのうち、水性顔料インクは一般にアニオン性である。そこで、インクの定着性を向上すべく、受容層にはカチオン性化合物を含有せしめることが好ましい。
【0025】
本発明のインクジェット受容シートは、例えばシート状基材の少なくとも一方の面に、着色剤、バインダー樹脂、フィラーを含有する塗工液を塗布・乾燥することによって得ることができる。
塗工液について説明する。ノニオン性及び/又はカチオン性界面活性剤を用い、有機顔料を水性媒体に分散せしめ、顔料の水性分散体を得、係る水性分散体と上記したバインダー樹脂と上記フィラー等とを混合し、塗工液を得ることができる。あるいは、ノニオン性及び/又はカチオン性界面活性剤の存在下に、有機顔料、バインダー樹脂及びフィラー等を水性媒体に分散せしめ、塗工液を得ることもできる。
塗工液にアニオン性活性剤を含有せしめると、後述するカチオン性化合物を併用する場合にアニオン性界面活性剤とカチオン性化合物とが反応し、塗工液中の顔料が凝集あるいは沈殿する等の問題を生じる。塗工液中の顔料が、例えば経時的に凝集等する場合、凝集後においても塗工自体は可能ではあったとしても塗工液の色相が凝集の発生前後で相違し、形成される受容層の色相も色相の影響を受けることとなる。
従って、塗工液を製造後直ちに塗工しない場合には、アニオン性界面活性剤は用いずに、ノニオン性又はカチオン性界面活性剤を用いて、塗工液を得ることが好ましい。
【0026】
有機顔料の分散等に用いられるノニオン性活性剤としては、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレン誘導体、
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のEO付加型のソルビタン脂肪酸エステル類、
グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。
【0027】
また、カチオン性界面活性剤としては、
オレイルアミン、オクチルアミン、オクタデシルアミン等のアルキルアミン類、ジアルキルアミン類、
ジメチルドデシルアミン、メチルジオレイルアミン等のトリアルキルアミン類、
ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のEO付加型アルキルアミン類、
オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ビスアミド等の脂肪酸アミド類、
ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミンの酢酸塩類、
アルキルアミンの塩酸塩類、
アルキルアミンのジオレイン酸塩類、
アルキルアミンのジアジピン酸塩類、
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウムクロライド類、
EO付加型アンモニウムクロライド類等が挙げられる。
【0028】
本発明のインクジェット用受容シートの受容層には、上記したようにインクの定着性を向上すべく、さらに種々のカチオン性化合物を含ませることができ、比較的高分子量のカチオン性樹脂を用いることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、アミノ基を有するアクリル樹脂,第4級アンモニウム塩ポリマー等が挙げられる。
カチオン性化合物のうち比較的低分子量のものとしては、アルキルアミン類、アルキルジアミン類、アルキルアミンのEO付加体、アルキルジアミンのEO付加体、アルキルアミンのEO,PO付加体、アルキルアンモニウムクロライド類,EO付加型アンモニウムクロライド類、アルキルアミン酢酸塩類、アルキルアミン塩酸塩類、アルキルアミンジオレイン酸塩類、アルキルアミンジアジピン酸塩類等が挙げられる。顔料の水性分散体を得る際に用いられる界面活性剤も例示することができ、界面活性能を有しない比較的低分子量のカチオン性化合物もインク定着剤として用いることができる。
カチオン性化合物はこれらに限定されるものではなく、使用するバインダー樹脂と相溶性の良いものを選択することが好ましい。尚、カチオン性樹脂自体が、膜形成能を有し、親水性に富む場合にはバインダー樹脂としても使用し得る。
【0029】
インク受容層には、ブロッキング防止、カーリング防止、表面光沢の調整、耐候性の向上、インキ滴の濡れ性の改善等の目的で、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等の蛍光染料、着色染料、増粘剤、レベリング剤、クレーター防止剤、沈降防止剤、酸化防止剤、難燃剤、ワックス、熱安定剤等も、適宜1種または2種以上含有せしめることができる。
【0030】
上記したような塗工液は、シート状基材の少なくとも一方の面に乾燥時の膜厚が5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度となるように、種々のコーティング方式により塗布することができる。
コーティング方式としては、例えばスプレー、スピンコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ディップコーター、コンマコーター等が挙げられる。
【0031】
インク受容層を設けるシート状基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙等の一般的な紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等のプラスチックフィルムを挙げることができる。その他に各種の不織布、合成紙、あるいはこれらを組み合わせた複合シート等にも設けることが可能である。但し、基材表面の表面自由エネルギーは20〜60mN/mの範囲であることが好ましく、密着性を改善するために基材の表面にコロナ処理、プラズマ処理あるいは、基材との密着性に優れた樹脂をコーティング処理しても差し支えない。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の受容シートとインクの具体的な構成を説明するが、本発明はこれらのものに限定されるものではない。
【0033】
【実施例1】
ウレタン系樹脂溶液(JU1832:東洋インキ製造(株)製)50部、カチオン性樹脂溶液(サフトマーST2000H:三菱化学製)10部、シリカ(ファインシールX60:トクヤマ製)20部、ノニオン性界面活性剤で黒色顔料を水性媒体に分散してなる水性顔料分散体(EMブラックK14:東洋インキ製造製)0.1部、及びノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを用い黄色顔料を水性媒体に分散してなる水性顔料分散体(EMイエロー2RN:東洋インキ製造製)0.03部を混合し、ディスパーで30分間分散し塗工液を得た。
得られた塗工液を、坪量81.4グラムの上質紙上にバーコーターを用いて、乾燥膜厚が約30μとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させ、インクジェット用受容シートを得た。
得られた受容シートに、以下のようにして製造したヘーズ値がそれぞれ(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インクをエプソン社製HG5130のカートリッジに入れて印刷した。
【0034】
(Yellowインク)
リオノールエロー 22−2845(東洋インキ製造(株)製):20部、アクリル樹脂(ジョンソンポリマー製 PDX6101):2.8部、活性剤(花王(株)製 エマルゲン 420):2.1部、分散剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):4.0部、精製水:74.5部、グリセリン:6.0部、サンドミルにて1.5時間分散した。
次いで、上記分散物:13.5部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 W−215):1.0部、ジエチレングリコール:10.0部、防黴剤(ゼネカ製 プロクセルGXL):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシドナトリウム塩:0.02部、精製水:63.53部を混合した。
混合後,1μmのメンブランフィルターにて濾過,続いて0.45μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が94のYellowインクを製造した。
【0035】
(Magentaインク)
ポスタパームピンクE−02(ヘキスト製):22部、アクリル樹脂(ジョンソンポリマー製 61J):7部、分散剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):4部、精製水:59部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:3部、N−メチル−2−ピロリドン:3部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール:1部、エチレングリコール:1部サンドミルにて1.5時間分散した。
次いで、上記分散物:13.5部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 W−215):1.0部、ジエチレングリコール:10部、ソジウムオマジン(オーリン製):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシドナトリウム塩:0.02部、精製水:63.53部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール:0.1部を混合した。
混合後,1μmのメンブランフィルターにて濾過,続いて0.45μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が78のMagentaインクを製造した。
【0036】
(Cyanインク)
70mlのマヨネーズ瓶に、青顔料(東洋インキ製造(株)製 リオノールブルー7351):15部、アクリル樹脂(ジョンソンポリマー製 PDX6101):1.5部、分散剤(花王製 エマルゲン420):3.0部、精製水:74.5部、グリセリン:6.0部、及びアルミナビーズ2mmφを入れ、レッドデビル分散機により1.5時間分散した。
次いで、上記分散物:13.5部、分散剤(花王(株)製 エマルゲン420):0.2部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 W−215):1.0部、エチレングリコール:10.0部、ソジウムオマジン(オーリン製):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシド:0.02部、精製水:63.53部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール:0.1部を混合した。
混合後,3μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が77のCyanインクを製造した。
【0037】
(Blackインク)
カーボンブラック(三菱化学(株)製 MA−7):15部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 F−157):1.3部、分散剤(ゼネカ製 ソルスパース27000):0.5部、精製水:74部、グリセリン:5.8部、ジメチルエタノールアミン:0.1部を混合し、サンドミルで2時間分散した。
次いで、上記分散物:25 部、グリセリン:10部、防黴剤(オーリンケミカル製 ソジウムオマジン):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシドナトリウム塩:0.02部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:0.5部、シリコンエマルジョン型水系消泡剤:0.8部(花王(株)製「アンチホームE20」)、精製水:63.53部を混合した。
混合後,3μmのメンブランフィルターにて濾過,続いて1μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が72のBlackインクを製造した。
【0038】
【実施例2】
ウレタン系樹脂溶液(JU1832:東洋インキ製造(株)製)30部、カチオン性樹脂溶液(アクアブリット784:ダイセル化学製)30部、カチオン性樹脂溶液(パピオゲンP105:センカ製)10部、シリカ(ミズカシルP78A:水沢化学製)10部、カチオン性界面活性剤で黒色顔料を水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体(PP0084ブラック:東洋インキ製造(株)製)0.1部、及びカチオン性界面活性剤で黄色顔料を水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体(PP0083イエロー:東洋インキ製造(株)製)0.03部を混合し、ディスパーで30分間分散し塗工液を得た。
以下、実施例1と同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値が(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インク(実施例1と同様のインク)を用いて印刷を行った。
【0039】
【比較例1】
実施例1において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値が(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インク(実施例1と同様のインク)を用いて印刷を行った。
【0040】
【比較例2】
実施例2において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値が(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インク(実施例1と同様のインク)を用いて印刷を行った。
【比較例3】
実施例1で得られた受容シートを用いて、インクのヘーズ値が(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0041】
【比較例4】
実施例2で得られた受容シートを用いて、インクのヘーズ値が(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0042】
【比較例5】
実施例1において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0043】
【比較例6】
実施例2において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0044】
【評価方法】
実施例1〜2、及び比較例1〜6にて得られた受容シートの印字していない部分の表面色、及び各サンプルの印字部分(Yellow,Magenta,Cyan,Black)の色(明度指数L*、知覚色度指数a*、知覚色度指数b*)を、色差計(日本電色工業製)にて測定し、表1にまとめた。
なお、実施例1、比較例3で用いた受容シートの表面色は、L:84.1、a:0.39、b:6.6で、
実施例2、比較例4で用いた受容シートの表面色は、L:83.2、a:−0.4、b:5.8、
比較例1,5で用いた受容シートの表面色は、L:95.9、a:0.28、b:3.9、
比較例2,6で用いた受容シートの表面色は、L:94.7、a:0.51、b:3.5であった。
【0045】
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2違いは、同じインクジェット用インク(ヘーズ値:Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)を用いて、表面色の異なる受容シートに印字したものであり、比較例3と比較例5、比較例4と比較例6の違いは同じインクジェット用インク(ヘーズ値:Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)を用いて表面色の異なる受容シートに印字した結果である。
インクの違いによる印刷部分の下地の色の影響を見るために、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、比較例3と5、比較例4と6のそれぞれのL,a,b値の差を表2に示した。
【0046】
具体的に見てみると、ヘーズ値の高いインクを使用している実施例1と比較例1、実施例2と比較例2のYellowのL,a,b値の差は、b値が大きく差が出ている。b値というのは黄色味と青味を表す指数であり、これらからインクの透明性の違いにより下地の色の影響が出ているのが明らかである。Magentaについてはa値に大きく差がでて、CyanについてはL値とb値に差がでているのがわかる。a値赤味を表す指数であり、b値が黄味青味を表す指数であることを考えると、得られた結果は、インクの透明性が高いものは、下地の色の影響を受けやすいということを表していることがわかる。
【0047】
以上より、インクジェットプリンターを用いて印刷校正を行うには、下地の影響を受けにくいヘーズ値が40〜100の範囲内のあるインクを使用することが重要である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明により受容シート表面の色相の影響を受けずに、インクジェットプリンターを用いて印刷校正を行うことができるようになった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンターで印刷校正を行う方法に関するものであり、特に新聞の校正に好適な校正方法に関する。
【0002】
【従来の術】
【0003】
インクジェットプリンターまたはインクジェット印刷は騒音の発生が少なく、高速印字、多色印刷が可能であり、近年、解像度の向上が図られ画質の向上も著しい。また、低価格のパーソナル用インクジェットプリンターが発売されたことにともない、家庭あるいはオフィスへの普及も急速に図られている。さらにワイドフォーマットの大型インクジェットプリンターが開発され、製版工程、現像、定着工程が不要などの理由から印刷業、看板業などポスター印刷、看板作成、CAD等の用途に利用されている。近年、解像度の向上、色再現技術の向上、印刷の高速化が計られ、各種印刷の校正用として、あるいは少量印刷の用途に使用されはじめている。
【0004】
最近、注目すべきは、解像度の向上、色再現技術の向上、印刷の高速化が計られ、銀塩写真に近い画質を要求される印刷分野における校正やデザイン部門でのデザインイメージの見本作成等のフルカラー印刷に、インクジェット方式が利用されつつあることである。その中でも例えば新聞印刷においては、校正刷りや本刷り時の見本をインクジェット方式で作成することが近年多くなりつつある。これらの校正刷り等の用途には、高画質印刷に加え、色再現性、光沢性が重要である(特許文献1:特開2000−318299号公報、特許文献2:特開2000−326623号公報、特許文献3:特開2002−292991号公報参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−318299号公報、
【特許文献2】
特開2000−326623号公報、
【特許文献3】
特開2002−292991号公報
【0006】
ところで、印刷の校正・見本用、あるいはデザイン検討・確認用の刷り物(以下、校正刷り等という)は、その色相を実際の印刷物(以下、本刷りともいう)の色相と正確に合わせる必要がある。この時、インクの透明性が高い(ヘーズ値が低い)インクを用いて印刷すると、下地(印刷用紙)の色の影響を受けやすく、同じインクを用いて、同じ画像を、色の異なる被印刷体にそれぞれ印刷すると、印刷物の色相が異なることがある。
【0007】
一般に印刷用インキの透明性は低い(ヘーズ値が高い)ため、印刷物は下地の色の影響は受けにくい。
しかし、インクジェット方式に使用されるインクは、他の印刷方式に使用されるインキに比して一般に透明性が高く(ヘーズ値が低い)、そのような透明性の高いインクで印刷した場合、その印刷物の色相は、被印刷体、即ち受容シートの色相の影響を受け易い。特にヘーズ値が40未満のインクを用いたときには、下地の色の影響を受けやすく、40以上のインクを用いたときは、その影響は少なくなる。
【0008】
例えば、新聞印刷では他の印刷分野と異なり、白色度に富む紙ではなく、薄茶色、クリーム色等の紙が用いられることが多い。一般的な白色のインクジェット受容シート及びに新聞の表面色に着色されたインクジェット受容シート上に、インクジェット用インクの透明性が高いインク(ヘーズ値が40以下のインク)を用いてインクジェットプリンターで校正刷りをし、その印刷物を比較すると、明らかに色相が異なる。そのため、このような校正に用いるインクジェット用インクの透明性は低い方が好ましい。
【0009】
また、印刷校正をするにあたって、本刷りと校正刷りとの被印刷体の下地の色は同じであることが好ましい。なぜなら、下地の色が異なることにより、印刷物のイメージが変わるからである。また、校正刷りは本刷りの「見本」であるため、下地の色も本刷りの色に合わせることが望まれている。
【0010】
そこで、新聞印刷の分野で本刷りと校正刷り等との色相合わせを目的として、本刷りに用いられる紙に直接インクジェット方式で校正刷り等を印刷することが考えられる。
しかし、インクジェット印刷に用いられるインキは臭気等の問題から水性のものがほとんどであるので、上記のように直接紙に印字するとインクの発色不良、インク滲み等が発生し、高品質な印刷物は得られない。
【0011】
そこで、滲み等を防止し、インキが速やかに吸収されるように、親水性樹脂(水溶性樹脂、非水溶性の親水性樹脂)等からなる水性インク受容層を本刷り用の紙表面に設けて受容シートとして利用する方法が考えられる。
しかし、水溶性樹脂等からなる受容層を紙表面に設けた場合には、表面に光沢が生じてしまい、新聞紙特有のマット感が得られない。このような光沢紙を用いてインクジェット方式で校正刷り等をしても、本刷りとは全く異なる状態のものしか得られないので、校正や見本の用を成さない。
あるいは、水溶性樹脂等にさらにシリカ等のフィラーを加えたコーィング剤を新聞紙表面に塗工した場合、受容層表面がマット調になると共にインクの吸収性もさらに向上する。
しかし、その反面受容層が白色不透明になり、新聞紙の色相が得られない。その結果、校正刷りの色相が受容シート表面の色相の影響を受けてしまい、本刷りと校正刷り等との色相を合わせることが困難となってしまう。
【0012】
さらに、白色受容層を設けてなるインクジェット用受容シートを用い、該白色受容シート上に新聞紙の地色の色相をインクジェット方式で表現すると共に、文字や画像をインクジェット方式で形成する方法も考えられる。しかし、コンピューターを用いたカラーマッチングソフトを利用したとしてもこのような方法では、実際の印刷に用いられる紙の薄茶色、クリーム色等の薄色調のベタ部の色調自体をインクジェット方式で再現する事が困難であるばかりでなく、高価なインクジェット用インクを多量に消費し、ランニングコストがかかる等の問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、受容シート表面の色相の影響を受けずに、インクジェットプリンターを用いて印刷校正を行う方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の問題に鑑み鋭意検討した結果、新聞印刷の本刷りに用いられる紙の色相と同じ色相に着色した着色剤含有受容層をシート状基材上に設けた受容シートと、インクジェット用インクのヘーズ値が高いインクとを用いて印刷することにより、校正刷りや見本刷り等と本刷りとの色相のマッチング精度を高めることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、第1の発明は、着色剤を含有するインク受容層をシート状基材の少なくとも片面に設けた受容シートと、JIS K7105により測定された光路長1mmのヘーズ値が40〜100の範囲内にあるインクジェットプリンター用インクを用いてインクジェットプリンターで印刷校正を行う方法である。
【0015】
第2の発明は、表面の明度指数L*が80〜86、知覚色度指数a*が−3〜1、知覚色度指数b*が4〜9の範囲内にあるインクジェット受容シートを用いることを特徴とする第1の発明に記載の印刷校正を行う方法である。
【0016】
第3の発明は、カチオン性又はノニオン性の界面活性剤により水性媒体中に顔料を分散してなる水性顔料分散体を用いてインク受容層が形成されてなり、かつインク受容層がカチオン性化合物を含有するインクジェット受容シートを用いることを特徴とする第1の発明または第2の発明に記載の印刷校正を行う方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するインクジェット用インクの光路長1mmのヘーズ値は、Yellow,Magenta,Cyan,Blackの4色それぞれが40〜100の範囲内にあることが重要であり、表面の明度指数L*が80〜86、知覚色度指数a*が−3〜1、知覚色度指数b*が4〜9であり、表面光沢(60度)が0〜10の範囲である受容シートを用いることが好ましい。新聞印刷の校正、見本作成において、上記のようなインクジェット用インクとインクジェット受容シートを用いることにより、実際の新聞のカラー印刷物とほぼ同じ色相の印刷物をインクジェット印刷方式で得ることができる。
インクジェット受容層の表面色の明度指数L*が80未満の場合は、受容層の色相が黒くなり、その受容層上に形成される印刷物の色相が本刷りの色相に比して暗くなる。明度指数L*が86を越えると、受容層の色相が白くなり、その受容層上に形成される印刷物の色相が本刷りの色相に比して明るく鮮やかになりすぎる。知覚色度指数a*が−3未満の場合は、受容層の色相が緑色を帯び、その受容層上に形成される印刷物が色相も本刷りの色相よりも緑色を帯びる。知覚色度指数a*が1よりも大きいと、受容層の色相が赤くなり、その受容層上に形成される印刷物の色相が本刷りの色相よりも赤味を帯びる。知覚色度指数b*が4未満の場合は、受容層表面が青くなり、その上に形成される印刷物が本刷りよりも青味を帯びる。知覚色度指数b*が9よりも大きい場合は、受容層表面が黄色くなり、その上に形成される印刷物が本刷りよりも黄味を帯びる。
また、インクジェット受容層の表面光沢が10よりも大きくなると、やや光沢感が生じ、本刷りとは質感が異なる校正刷りしか得られない。
【0018】
ところで使用される溶媒の面からインクジェット印刷用インクを分類すると、水性、油性、溶剤型等がある。着色剤の面から分類すると、染料型、顔料型がある。これらのインクの中で、JIS K7105により測定された光路長1mmのヘーズ値が40〜100の範囲内にあるインクであれば特に種類は選ばないが、臭気、環境、色安定性の面から、水性の顔料型インクが最も好ましい。
【0019】
顔料型インクに使用する顔料としては、有機顔料、無機顔料を使用することができる。
さらにインキ中にはこれらの顔料のほかに、紙への定着性、インキ塗膜の耐水性を向上させる目的で、アクリル系樹脂、スチレンーアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン系樹脂、石油系樹脂、フッソ系樹脂等の樹脂及び水分散性樹脂を用いることができる。また、表面張力調整用、紙への浸透性の調整用として、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や高分子界面活性剤を用いることができる。
この他にも、浸透剤、防黴剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、消泡剤等の添加剤を加えることができる。
インキの製造方法としては、顔料分散体及び水系樹脂を水系媒体中に分散し、適宜水で希釈、他の添加剤を混合することにより製造できる。分散は、ディスパー、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて行う事ができる。
上記分散機にて分散された顔料分散体の平均粒子径は、10nm〜500nmの範囲内にあることが望ましい。平均粒子径が10nmより小さいと、分散にかなりの時間と工程がかかり、500nmより大きいとインクの経時安定性の問題やヘッドの目詰まりの原因となる。
【0020】
インクジェット方式でこのような水性顔料型インクを用いて、滲まず、鮮やかな発色の印刷物を得るためには、受容層にはできるだけ瞬時にインクを吸収する一方、インクを吸収しすぎないことが求められる。インクの吸収が遅すぎる場合には、1ドットが大きくなり、解像度が低下するとともに、滲みが発生する。一方、吸収が速すぎる場合には、インク中の顔料が受容層及び基材内部に浸透してしまい、印刷物の濃度が低下するとともに、バンディングと呼ばれるインクジェットヘッドの走査方向の白スジが目立つ等の問題が生じる。
インクの吸収速度は、受容層に用いられるバインダー樹脂の吸水性、シリカ、アルミナ等のフィラーの種類及びその添加量、さらには、インク定着剤として用いられるカチオン性化合物の配合により、調整され得る。
本発明の受容シートのインク受容層に用いられるバインダー樹脂、フィラー、インク定着剤等としては、例えば以下に記載するようなものが用いられる。
【0021】
本発明の受容シートのインク受容層に用いられるバインダー樹脂は、膜を形成し得、フィラーや着色剤をその膜中に固定し得るものであればよい。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリアミド、石油樹脂、ロジン、ニトロセルロース、しょ糖エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体、エチレン/酢酸ビニル系共重合体、α−オレフィン/無水マレイン酸系共重合体、スチレン/無水マレイン酸系共重合体等の熱可塑性樹脂、
フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の他、
エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ホスファゼン樹脂等の紫外線または電子線により硬化する樹脂等さまざまな樹脂が使用される。
インクの吸収、濡れを良くするために、親水性を有する樹脂を用いることが好ましく、さらに吸水率100%以上のいわゆる吸水性樹脂が好ましい。吸水率100%とは、自重と同じ重さの水を吸収し得ることをいう。尚、吸水率が100%に満たない樹脂あっても、膜を形成した場合に水性インキをはじかない程度の親水性が樹脂自体にあれば、後述するフィラーの種類や添加量を調節することによって、インク受容層用のバインダー樹脂として使用し得る。
吸水性樹脂としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール鎖を有するポリエステル樹脂、ポリエチレングリコール鎖を有するポリウレタン樹脂、吸水性アクリル樹脂等が好適に用いられる。
【0022】
本発明においては、インク受容層に吸水性を付与するとともに表面光沢を調整するために、各種無機フィラー、樹脂フィラーを使用することも好ましい。
使用されるフィラーとしては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等の無機フィラー、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等を粒状に成型した樹脂フィラーが挙げられ、中でもシリカが好ましく、インクジェットインクの吸収性、発色性の点からは表面処理が施されてなく、平均粒径が1〜10ミクロン程度のシリカが最も好ましい。シリカとしては、アルミナをドープしてなるシリカを用いることもできる。
【0023】
本発明のインクジェット用受容シートのインク受容層は、着色剤としては、無機顔料、有機顔料、水性染料、オイル染料等を含有し、上記したような特定の色相を呈することが重要である。即ち、インクの吸収性向上及び表面の光沢抑制・防止のためにシリカ等のフィラーを含有せしめると、受容層自体が白濁不透明になってしまうので、新聞印刷用の校正刷り等には用いることができない。
そこで、新聞紙的なマット感を確保しつつ、新聞紙的な色を確保するために、インク受容層は着色剤を含有することが重要である。
着色剤としては、インク受容層の色が長期間維持できるという点で、染料よりも顔料が好ましく、顔料分散性、色相安定性から有機顔料がより好ましい。種々の顔料を含有せしめることができ、複数の顔料を適宜含有せしめることもできる。
【0024】
さらに、本発明のインクジェット用受容シートの受容層は、インクの定着性向上剤としてカチオン性樹脂、カチオン性界面活性剤等のカチオン性化合物を含有することができる。インクジェット方式に用いられるインクのうち、水性顔料インクは一般にアニオン性である。そこで、インクの定着性を向上すべく、受容層にはカチオン性化合物を含有せしめることが好ましい。
【0025】
本発明のインクジェット受容シートは、例えばシート状基材の少なくとも一方の面に、着色剤、バインダー樹脂、フィラーを含有する塗工液を塗布・乾燥することによって得ることができる。
塗工液について説明する。ノニオン性及び/又はカチオン性界面活性剤を用い、有機顔料を水性媒体に分散せしめ、顔料の水性分散体を得、係る水性分散体と上記したバインダー樹脂と上記フィラー等とを混合し、塗工液を得ることができる。あるいは、ノニオン性及び/又はカチオン性界面活性剤の存在下に、有機顔料、バインダー樹脂及びフィラー等を水性媒体に分散せしめ、塗工液を得ることもできる。
塗工液にアニオン性活性剤を含有せしめると、後述するカチオン性化合物を併用する場合にアニオン性界面活性剤とカチオン性化合物とが反応し、塗工液中の顔料が凝集あるいは沈殿する等の問題を生じる。塗工液中の顔料が、例えば経時的に凝集等する場合、凝集後においても塗工自体は可能ではあったとしても塗工液の色相が凝集の発生前後で相違し、形成される受容層の色相も色相の影響を受けることとなる。
従って、塗工液を製造後直ちに塗工しない場合には、アニオン性界面活性剤は用いずに、ノニオン性又はカチオン性界面活性剤を用いて、塗工液を得ることが好ましい。
【0026】
有機顔料の分散等に用いられるノニオン性活性剤としては、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレン誘導体、
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のEO付加型のソルビタン脂肪酸エステル類、
グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。
【0027】
また、カチオン性界面活性剤としては、
オレイルアミン、オクチルアミン、オクタデシルアミン等のアルキルアミン類、ジアルキルアミン類、
ジメチルドデシルアミン、メチルジオレイルアミン等のトリアルキルアミン類、
ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のEO付加型アルキルアミン類、
オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ビスアミド等の脂肪酸アミド類、
ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミンの酢酸塩類、
アルキルアミンの塩酸塩類、
アルキルアミンのジオレイン酸塩類、
アルキルアミンのジアジピン酸塩類、
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等のアルキルアンモニウムクロライド類、
EO付加型アンモニウムクロライド類等が挙げられる。
【0028】
本発明のインクジェット用受容シートの受容層には、上記したようにインクの定着性を向上すべく、さらに種々のカチオン性化合物を含ませることができ、比較的高分子量のカチオン性樹脂を用いることが好ましい。
カチオン性樹脂としては、アミノ基を有するアクリル樹脂,第4級アンモニウム塩ポリマー等が挙げられる。
カチオン性化合物のうち比較的低分子量のものとしては、アルキルアミン類、アルキルジアミン類、アルキルアミンのEO付加体、アルキルジアミンのEO付加体、アルキルアミンのEO,PO付加体、アルキルアンモニウムクロライド類,EO付加型アンモニウムクロライド類、アルキルアミン酢酸塩類、アルキルアミン塩酸塩類、アルキルアミンジオレイン酸塩類、アルキルアミンジアジピン酸塩類等が挙げられる。顔料の水性分散体を得る際に用いられる界面活性剤も例示することができ、界面活性能を有しない比較的低分子量のカチオン性化合物もインク定着剤として用いることができる。
カチオン性化合物はこれらに限定されるものではなく、使用するバインダー樹脂と相溶性の良いものを選択することが好ましい。尚、カチオン性樹脂自体が、膜形成能を有し、親水性に富む場合にはバインダー樹脂としても使用し得る。
【0029】
インク受容層には、ブロッキング防止、カーリング防止、表面光沢の調整、耐候性の向上、インキ滴の濡れ性の改善等の目的で、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等の蛍光染料、着色染料、増粘剤、レベリング剤、クレーター防止剤、沈降防止剤、酸化防止剤、難燃剤、ワックス、熱安定剤等も、適宜1種または2種以上含有せしめることができる。
【0030】
上記したような塗工液は、シート状基材の少なくとも一方の面に乾燥時の膜厚が5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度となるように、種々のコーティング方式により塗布することができる。
コーティング方式としては、例えばスプレー、スピンコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ディップコーター、コンマコーター等が挙げられる。
【0031】
インク受容層を設けるシート状基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙等の一般的な紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等のプラスチックフィルムを挙げることができる。その他に各種の不織布、合成紙、あるいはこれらを組み合わせた複合シート等にも設けることが可能である。但し、基材表面の表面自由エネルギーは20〜60mN/mの範囲であることが好ましく、密着性を改善するために基材の表面にコロナ処理、プラズマ処理あるいは、基材との密着性に優れた樹脂をコーティング処理しても差し支えない。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明の受容シートとインクの具体的な構成を説明するが、本発明はこれらのものに限定されるものではない。
【0033】
【実施例1】
ウレタン系樹脂溶液(JU1832:東洋インキ製造(株)製)50部、カチオン性樹脂溶液(サフトマーST2000H:三菱化学製)10部、シリカ(ファインシールX60:トクヤマ製)20部、ノニオン性界面活性剤で黒色顔料を水性媒体に分散してなる水性顔料分散体(EMブラックK14:東洋インキ製造製)0.1部、及びノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを用い黄色顔料を水性媒体に分散してなる水性顔料分散体(EMイエロー2RN:東洋インキ製造製)0.03部を混合し、ディスパーで30分間分散し塗工液を得た。
得られた塗工液を、坪量81.4グラムの上質紙上にバーコーターを用いて、乾燥膜厚が約30μとなるように塗工し、100℃で1分間乾燥させ、インクジェット用受容シートを得た。
得られた受容シートに、以下のようにして製造したヘーズ値がそれぞれ(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インクをエプソン社製HG5130のカートリッジに入れて印刷した。
【0034】
(Yellowインク)
リオノールエロー 22−2845(東洋インキ製造(株)製):20部、アクリル樹脂(ジョンソンポリマー製 PDX6101):2.8部、活性剤(花王(株)製 エマルゲン 420):2.1部、分散剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):4.0部、精製水:74.5部、グリセリン:6.0部、サンドミルにて1.5時間分散した。
次いで、上記分散物:13.5部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 W−215):1.0部、ジエチレングリコール:10.0部、防黴剤(ゼネカ製 プロクセルGXL):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシドナトリウム塩:0.02部、精製水:63.53部を混合した。
混合後,1μmのメンブランフィルターにて濾過,続いて0.45μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が94のYellowインクを製造した。
【0035】
(Magentaインク)
ポスタパームピンクE−02(ヘキスト製):22部、アクリル樹脂(ジョンソンポリマー製 61J):7部、分散剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム):4部、精製水:59部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:3部、N−メチル−2−ピロリドン:3部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール:1部、エチレングリコール:1部サンドミルにて1.5時間分散した。
次いで、上記分散物:13.5部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 W−215):1.0部、ジエチレングリコール:10部、ソジウムオマジン(オーリン製):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシドナトリウム塩:0.02部、精製水:63.53部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール:0.1部を混合した。
混合後,1μmのメンブランフィルターにて濾過,続いて0.45μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が78のMagentaインクを製造した。
【0036】
(Cyanインク)
70mlのマヨネーズ瓶に、青顔料(東洋インキ製造(株)製 リオノールブルー7351):15部、アクリル樹脂(ジョンソンポリマー製 PDX6101):1.5部、分散剤(花王製 エマルゲン420):3.0部、精製水:74.5部、グリセリン:6.0部、及びアルミナビーズ2mmφを入れ、レッドデビル分散機により1.5時間分散した。
次いで、上記分散物:13.5部、分散剤(花王(株)製 エマルゲン420):0.2部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 W−215):1.0部、エチレングリコール:10.0部、ソジウムオマジン(オーリン製):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシド:0.02部、精製水:63.53部、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール:0.1部を混合した。
混合後,3μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が77のCyanインクを製造した。
【0037】
(Blackインク)
カーボンブラック(三菱化学(株)製 MA−7):15部、アクリル樹脂(日本ポリマー製 F−157):1.3部、分散剤(ゼネカ製 ソルスパース27000):0.5部、精製水:74部、グリセリン:5.8部、ジメチルエタノールアミン:0.1部を混合し、サンドミルで2時間分散した。
次いで、上記分散物:25 部、グリセリン:10部、防黴剤(オーリンケミカル製 ソジウムオマジン):0.15部、エチレンジアミンテトラアセティックアシドナトリウム塩:0.02部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:0.5部、シリコンエマルジョン型水系消泡剤:0.8部(花王(株)製「アンチホームE20」)、精製水:63.53部を混合した。
混合後,3μmのメンブランフィルターにて濾過,続いて1μmのメンブランフィルターにて濾過し,ヘーズ値が72のBlackインクを製造した。
【0038】
【実施例2】
ウレタン系樹脂溶液(JU1832:東洋インキ製造(株)製)30部、カチオン性樹脂溶液(アクアブリット784:ダイセル化学製)30部、カチオン性樹脂溶液(パピオゲンP105:センカ製)10部、シリカ(ミズカシルP78A:水沢化学製)10部、カチオン性界面活性剤で黒色顔料を水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体(PP0084ブラック:東洋インキ製造(株)製)0.1部、及びカチオン性界面活性剤で黄色顔料を水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体(PP0083イエロー:東洋インキ製造(株)製)0.03部を混合し、ディスパーで30分間分散し塗工液を得た。
以下、実施例1と同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値が(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インク(実施例1と同様のインク)を用いて印刷を行った。
【0039】
【比較例1】
実施例1において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値が(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インク(実施例1と同様のインク)を用いて印刷を行った。
【0040】
【比較例2】
実施例2において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値が(Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)であるインクジェット用インク(実施例1と同様のインク)を用いて印刷を行った。
【比較例3】
実施例1で得られた受容シートを用いて、インクのヘーズ値が(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0041】
【比較例4】
実施例2で得られた受容シートを用いて、インクのヘーズ値が(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0042】
【比較例5】
実施例1において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0043】
【比較例6】
実施例2において用いたカチオン界面活性剤を用いて黒色顔料、黄色顔料それぞれを水性媒体に分散せしめてなる水性顔料分散体を用いなかった以外は同様にして、インクジェット用受容シートを得て、インクのヘーズ値(Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)であるインクジェット用インク(EPSON社製インクジェットプリンター:PM7000)を用いて印刷を行った。
【0044】
【評価方法】
実施例1〜2、及び比較例1〜6にて得られた受容シートの印字していない部分の表面色、及び各サンプルの印字部分(Yellow,Magenta,Cyan,Black)の色(明度指数L*、知覚色度指数a*、知覚色度指数b*)を、色差計(日本電色工業製)にて測定し、表1にまとめた。
なお、実施例1、比較例3で用いた受容シートの表面色は、L:84.1、a:0.39、b:6.6で、
実施例2、比較例4で用いた受容シートの表面色は、L:83.2、a:−0.4、b:5.8、
比較例1,5で用いた受容シートの表面色は、L:95.9、a:0.28、b:3.9、
比較例2,6で用いた受容シートの表面色は、L:94.7、a:0.51、b:3.5であった。
【0045】
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2違いは、同じインクジェット用インク(ヘーズ値:Yellow94,Magenta78,Cyan77,Black72)を用いて、表面色の異なる受容シートに印字したものであり、比較例3と比較例5、比較例4と比較例6の違いは同じインクジェット用インク(ヘーズ値:Yellow0.05,Magenta0.12,Cyan36,Black11)を用いて表面色の異なる受容シートに印字した結果である。
インクの違いによる印刷部分の下地の色の影響を見るために、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、比較例3と5、比較例4と6のそれぞれのL,a,b値の差を表2に示した。
【0046】
具体的に見てみると、ヘーズ値の高いインクを使用している実施例1と比較例1、実施例2と比較例2のYellowのL,a,b値の差は、b値が大きく差が出ている。b値というのは黄色味と青味を表す指数であり、これらからインクの透明性の違いにより下地の色の影響が出ているのが明らかである。Magentaについてはa値に大きく差がでて、CyanについてはL値とb値に差がでているのがわかる。a値赤味を表す指数であり、b値が黄味青味を表す指数であることを考えると、得られた結果は、インクの透明性が高いものは、下地の色の影響を受けやすいということを表していることがわかる。
【0047】
以上より、インクジェットプリンターを用いて印刷校正を行うには、下地の影響を受けにくいヘーズ値が40〜100の範囲内のあるインクを使用することが重要である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明により受容シート表面の色相の影響を受けずに、インクジェットプリンターを用いて印刷校正を行うことができるようになった。
Claims (3)
- 着色剤を含有するインク受容層をシート状基材の少なくとも片面に設けた受容シートと、JIS K7105により測定された光路長1mmのヘーズ値が40〜100の範囲内にあるインクジェットプリンター用インクを用いてインクジェットプリンターで印刷校正を行う方法。
- 表面の明度指数L*が80〜86、知覚色度指数a*が−3〜1、知覚色度指数b*が4〜9の範囲内にあるインクジェット受容シートを用いることを特徴とする請求項1記載の印刷校正を行う方法。
- カチオン性又はノニオン性の界面活性剤により水性媒体中に顔料を分散してなる水性顔料分散体を用いてインク受容層が形成されてなり、かつインク受容層がカチオン性化合物を含有するインクジェット受容シートを用いることを特徴とする請求項1または2記載の印刷校正を行う方法。
Priority Applications (1)
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JP2007066500A (ja) * | 2005-08-03 | 2007-03-15 | Mitsubishi Kagaku Media Co Ltd | 光記録媒体及びインク組成物 |
JP2010168533A (ja) * | 2008-12-24 | 2010-08-05 | Riso Kagaku Corp | 非水系黒色インクジェットインク |
JP2020157513A (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 凸版印刷株式会社 | 印刷物、印刷物の製造方法 |
-
2002
- 2002-11-05 JP JP2002320616A patent/JP2004154963A/ja active Pending
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