図1は本発明が実施される生体磁気計測装置の一実施例の概略構成を示す。環境磁気雑音の影響を除去するために、生体磁気計測装置は磁気シールドルーム1内に設置される。生体からなる被検体である被検者2は、ベッド3に仰向け状態で計測が行われる。被検者の生体面(胸部の場合は一般に胸壁に平行な面)はベッド3の面と略平行であるとし、そしてこの面は直交座標系(x、y、z)のx−y平面と平行であるものとする。被検者の胸部は曲面であると共に傾いているが、説明を簡単にするために略平行とする。
被検者2の胸部の上方には、冷媒である液体Heで満たされたデユワ4が配置され、該デユワは超伝導量子干渉素子(SQUID=Superconducting Quantum Interference Device)とそのSQUIDに接続された検出コイルとを含む複数個の磁気センサを収容している。液体Heは磁気シールド1の外部にある自動補給装置5から連続的に補給される。
磁気センサの出力は、被検者2から発生して検出コイルにより検出される生体磁場の強度(磁束密度と考えることもできる)と特定の関係をもつ電圧を出力し、その出力がFLL(Flux Locked loop)回路6に入力される。このFLL回路6は、SQUIDの出力を一定に保つように、SQUIDに入力された生体磁場(生体磁気)の変化を帰還コイルを介してキャンセルする(これを磁場ロックと呼ぶ)。その帰還コイルに流した電流を電圧に変換することにより、生体磁場信号の変化と特定の関係にある電圧出力を得ることができる。このように帰還コイルを介して検出する方式を取っているので、微弱の磁場を高感度に検出できる。
上記出力電圧は増幅器・フイルター・増幅器(AFA)7に入力され、その出力はサンプリングされて、A/D変換され、計算機8に取り込まれる。
計算機8はパーソナルコンピュータからなり、8−1はそのデイスプレイ部、8−2はキーボード、そして8−3はマウスを示す。マウス8−3は画面上でカーソルを移動させて処理対象を選択するのに用いられる。この操作はキーボードを操作することによっても行うことができる。AFA7の入力ゲイン(Igain)および出力ゲイン(Ogain)は調整可能であり、また、AFA7は第1の基準周波数以下の周波数信号を通過させるローパスフイルタ(LPF)、第1の基準周波数よりも低い第2の基準周波数以上の周波数信号を通過させるハイパスフイルタ(HPF)および商用電源周波数をカットするノッチフィルタ(BEF)を含む。計算機8は各種の処理を行うことができ、その処理結果はデイスプレイ部8−1に表示され得る。なお、図1で示す前記計算機8は一実施例を示したものであり、これに限定されるものではない。例えば、タッチパネルを備えたデイスプレイを備えたものや、マウスに変えて他の座標指示装置、例えばトラックボールやジョスティック等を使用したものでもよい。また場合によっては公衆電話回線を介して接続される計算機でもよい。
SQUIDとしては例えば1例として直流SQUIDが用いられる。SQUIDに外部磁場が与えられたときに、それに対応する電圧(V)が発生するようにSQUIDには直流バイアス電流(Ibias)が流される。その外部磁場を磁束Φで表すと、VのΦに対する特性曲線すなわちΦ−V特性曲線は周期関数で与えられる。計測に当っては、それに先立って、FLL回路6のオフセット電圧(VOFF)を調整してΦ−V特性曲線の直流電圧をゼロレベルにする操作が行われる。更に、AFA7の入力がゼロのときその出力がゼロとなるようにAFA7のオフセット電圧(AOFF)の調整が行われる。
SQUIDに外部から大きな磁場がかかると、その磁場がSQUIDによってトラップされ、その正規の動作がなされなくなる。その場合は、SQUIDを加熱して一旦常伝導状態にし、そしてその後その加熱を止めて、トラップされた磁場を取り除くことができる。その場合の、SQUIDの加熱操作をヒートフラッシュと呼ぶ。
図2は磁気センサの配置構成を示す。磁気センサの検出コイルには生体磁場の接線成分(生体面すなわちx−y平面に略平行な成分)を検出するコイルと生体磁場の法線成分(生体面すなわちx−y平面に直交する成分)を検出するコイルがある。生体磁場の接線成分を検出するコイルとしては、コイル面がx方向およびy方向をそれぞれ向いた2つのコイルが用いられ、また、生体磁場の法線成分を検出するコイルとしてはコイル面がz方向を向いたコイルが用いられる。複数個の磁気センサ20−1〜20−8、21−1〜21−8、22−1〜22−8、23−1〜23−8、24−1〜24−8、25−1〜25−8、26−1〜26−8および27−1〜27−9は、図2に示されるように、生体面すなわちx−y平面と略平行な面上にマトリックス状に配置される。磁気センサの数は任意であってよいが、図2では、磁気センサのマトリックスは8行8列からなっているから、磁気センサの数は8×8=64である。各磁気センサは、図2に示されるように、その長手方向が生体面すなわちx−y平面に対して垂直な方向(z方向)と一致するように配置される。なお、この一実施例ではベッド面とセンサのX−Y面とを平行にしているが、測定精度を高めるには体に接近させる方が良く、傾けるようにすることができる。但し、被検者である人体は常に動いているので、人体に密着させるとこの動きが検出部を動かし、かえって高精度の検出が困難となる。
図3は磁気センサの各々の、生体磁場の法線成分Bzを検出するセンサの構成を示す。同図において、超伝導線(Ni−Ti線)で作られたコイルはそのコイル面がz方向を向くように配置される。このコイルは互いに逆向きの2つのコイル10および11の組み合わせからなり、被検者2に近い方のコイル10は検出コイルとされ、遠い方のコイル11は外部磁場雑音を検出する参照コイルとされる。外部磁場雑音は被検者よりも遠い信号源から生じており、したがって、その雑音信号は検出コイル10および参照コイル11の両方によって検出される。一方、被検者からの磁場信号は微弱であり、したがって、その生体磁場信号は検出コイル10によって検出されるが、参照コイル11はその生体磁場信号にほとんど感応しない。このため、検出コイル10は生体磁場信号と外部磁場雑音信号を検出し、参照コイル11は外部磁場雑音信号を検出するから、両コイルで検出された信号の差をとることによりS/N比の高い生体磁場の計測が可能となる。これらのコイルはSQUID12を実装した実装基板の超伝導線を介してSQUIDの入力コイルに接続され、これによって、検出された生体磁場信号の法線方向の成分BzがSQUIDに伝達される。
図4は磁気センサの各々の、生体磁場の接線成分BxおよびByを検出するセンサの構成を示す。同図において、接線方向の生体磁場成分検出用のセンサでは平面コイルが用いられる。すなわち、検出コイル10’および10”並びに参照コイル11’および11”は平面コイルからなり、これらは互いにz方向において間隔づけられている第1および第2の平面にそれぞれ配置される。これらのコイルは法線成分用と同様にSQUID12’および12”の実装基板の入力コイルに接続される。4角柱の互いに直交する2面に、これらのBx成分検出用のセンサ13およびBy成分検出用のセンサ14が貼付けられ、これによってBx成分およびBy成分を検出し得るセンサが形成される。
接線成分Bx、Byについては、これを図4に示される磁気センサを用いて検出する以外に、図3の磁気センサで得られた法線成分Bzをx、yについて偏微分して求めてもよい。この場合は一つの磁気センサで接線成分Bx、Byと法線成分Bzとの両方を検出し、測定することができる。
図5は磁気センサと被検者2の被計測部である胸部30との位置関係を示す。示されている点は図2に示されるマトリックス上の行と列との交点すなわち被検者2の計測点すなわち計測位置を表す。これらの各計測位置をチャンネルとも呼ぶ。図からわかるように、この実施例では、被検者2の身長方向をy方向とし、被検者2の横方向をx方向としている。
図6は図5に示されるそれぞれの計測位置の生体磁場の測定結果を示す。この測定結果は各計測位置に対応する磁気センサでそれぞれ検出された信号を基に上述の処理を行うことで得られた、時間的に変化する生体磁場波形をマトリックス中の対応するチャンネル毎に示すものである。この実施例では心臓の筋肉が発する磁場を検出できる位置に各チャンネルを設けたので、図6の波形は心磁波形を示している。なお、心臓の筋肉から発せられる磁場を計測することで得られた波形を心磁波形と呼ぶ。図6に示されるように、チャンネル毎に計測された計測データをチャンネル毎にその位置に対応させて表示する場合、これをグリッドマップ表示と呼ぶ。図6はある健常者についての心磁の計測結果の波形を示す。ここで(a)は接線成分Bxの心磁波形を、(b)は接線成分Byの心磁波形を、そして(c)は法線成分Bzの心磁波形をそれぞれ示す。
図7はある健常者について特定の2チャンネルに絞って計測された接線成分Bxの心磁波形を示す。実線はあるチャンネルの、点線は他のチャンネルの心磁波形を示す。心臓の心室が脱分極した時間帯T1つまり収縮期のQRS波でのそれぞれの波形ピークの時間がtQ、tRおよびtSとしてそれぞれ示されている。また、心臓の再分極過程(拡張期)であるT波の時間帯はT2として示されている。計測されたデータを表示する場合、グリッドマップ表示の他に、行毎に又は列毎に単一チャンネルのデータを表示するようにしてもよいし、全チャンネル又は複数のチャンネルのデータを重ねて表示するようにしてもよい。前者を単一波形表示、後者を重ね波形表示と呼ぶ。
得られる心磁波形データについては、その平均化(アベレージング)処理を行ったり、等磁線図や時間積分図等を作成したりして、その結果を表示することができる。たとえば、図7を参照するに、QRS波の立ち上り部分がしきい値SLと一致した時点から予め定められた時間(tOFF)だけ遡り、その遡った時点t1から予め定められた時間T3だけ経過した時点t2までの間のデータを予め定められた回数だけ加算することが行われる。これがアベレージングで、予め定められる時間T3をアベレージング時間、tOFFをオフセット時間と呼ぶ。心磁波形データは予め定められた時間範囲に亘って積分されてもよい。その時間積分値が等しい点(チャンネル)を結んで作られたマップを時間積分図と呼ぶ。また、心磁波形信号値が等しい点を結んで作られたマップを等磁線図と呼ぶ。なお、各チャンネルは粗く設定されているので、予め等磁線の間隔つまり磁場強度差を設定して各チャンネル間を直線補間して等磁線を描くことにより、より診断に適した図を作ることができる。図7に示される心磁波形について言えば、時点t1からQRS波のピーク位置時点(tR時点)までの時間を伝播時間と呼び、その伝播時間が等しい点を結んで作られたマップを伝播時間図と呼ぶ。しきい値SLの設定レベルは変更可能である。t1時点については、これを、QRS波の立ち上り部分がしきい値SLと一致した時点を基準として決定しているが、QRS波の立ち下がり部分がしきい値SLと一致した時点を基準にして決定してもよい。t1時点は更に、QRS波のピーク位置時点(tR時点)を検出し、この時点を基準として決定されてもよい。計測された生体磁場信号は生体内の電気的生理現象によって生成されるもので、その発生源は電流双極子モデルによって近似される。その磁場発生源の電流双極子は等磁線図上に合成表示され、それを磁場源表示と呼ぶ。
被検者の登録から、その登録された被検者のデータ計測を行って、その計測されたデータの解析を行うまでの一連の操作はデイスプレイ8−1に表示される表示画面を見ながら行われる。このため、その一連の操作の説明に先立ってまずその表示画面のレイアウトを説明する。
図8は、図1のデイスプレイ8−1に表示される表示画面の基本的なレイアウトを示す。表示画面の上方部は上から順番に配置されたタイトルバー部801、メニューバー部802およびアイコンが配置されているツールバー部803によって占められる。上記各部は表示領域やエリアと考えることもできる。これらの配置は他の処理目的、たとえば、被検者の登録や読み出し、磁場の計測、計測データの解析のための処理、などにおいてもその表示画面で共通して表示される。これにより使用し易さが増し、計測や処理の時間が短縮できる。
表示画面の中央部は左から右へ順番に配置された被検者情報部804、線図や波形のような解析データが表示される解析データ部805および操作領域部806によって占められている。また、下部はステータスバー807で占められ、これは、左側に配置された、次の操作に関するガイドメッセージを表示するメッセージバー部807−1とその右側に配置された日時表示部807−2からなる。なお、前記メッセージバー部807−1と前記日時表示807−2を1つの表示領域としてもよい。
この実施例における表示画面では、常に最上部にこのシシテムの名称が表示されるタイトルバー部801と、このシシテムの基本的な操作を行うメニューバー部802、および前記メニューバー部802における使用頻度の高い操作が可能なツールバー部803が配置されているので、使用者は表示画面が変わるたびに操作エリアを探す必要がなく、常に表示画面の上部を見れば現在動作中のシステムを知ることができる。しかも、表示画面の上部は、人が文章を読む場合を想定すると明らかなように、先ず最初に目を向ける部分であることから、このシステムの操作における基本的な事項を最上部に設けることで、自然な形で使いやすさを向上している。また、表示画面の中央部は、その中央にはこの表示画面の主体をなす解析 データ部805を大きく設けることで見易さを向上するとともに、その右側にこの表示画面に特有の操作領域部806を設けることで、右手操作における表示画面と操作部の配置と同様な配置としているので、違和感なく操作を行うことができる。したがって、この表示画面をタッチパネル付きの表示画面に採用しても、操作領域部806を操作する右手が解析データ部805を邪魔することがない。また、同様に、解析データ部805の左側に確認機能しかない被検者情報部804を設けているので、常に患者を確認しながら操作を行うことができる。しかも、この左側の位置は、右手操作における最も遠い位置となるのでタッチパネル付きの表示画面に採用しても表示の見易さに影響をきたすことがない。
また、解析データ部805および操作領域部806は被検者リストおよびその被検者のデータリストが表示されるときだけはそれらによって置き換えられる(図24)。被検者情報部804には、被検者リスト画面(図24)が表示されているときはその画面中の被検者リストにおいてカーソルが置かれる被検者の情報が常時表示され、また、解析データ部に線図や波形のような解析データが表示されているときは(図25〜34)、その表示されている解析データが得られた被検者の情報が常時表示される。これによって、表示されている解析データとその解析データが得られた被検者との関係を明確に知ることができる。このように、このシステムの表示画面においては、メニューバー部802と同様に、常に、被検者情報部804が表示画面の定位置(左側)に表示されているので、使用者は表示画面が変わるたびに被検者情報エリアを探す必要がなく、常に表示画面の所定位置(左側)を見れば知ることができる。
タイトルバー部にはフレームの名称、具体的には、「Multichannel MCG System」という名称が表示される(図24〜34)。操作領域部にはボタンやテキストボックスのような操作要素が配置されている。メニューバー部は操作メニューを選択する部分で、メニューは「ファイル(F)」、「編集(E)」、「リスト(L)」、「データ計測(Q)」、「データ解析(A)」および「ヘルプ(H)」からなり、操作の順序にしたがって配置されている。
図9は表示画面中のメニュー部におけるそれぞれの操作メニューの内容を示し、これらのメニューの内容はそれぞれ対応するメニューボタンをクリックすることによってプルダウンメニューとして表示される。このため、操作メニューを必要としないときは、前記各メニューを呼び出すためのキーワードのみメニューバー部にコンパクトに表示しているので、解析データ部や操作領域部等の各作業で必要な表示エリアを広く設定することができる。そして、操作メニューが必要なときは、操作手順にしたがって配列された前記キーワードをメニューバー部から選択することによって表示して操作指示することができる。この際、前記キーワードは、文字の配列(左から右)に準じて配列されているので、自然な形で操作指示することができる。
「ファイル(F)」のプルダウンメニューは、ページレイアウトダイアログボックス(図示せず)を開いて、ページレイアウトをセットする「ページレイアウト(U)」、印刷前のプレビューのための「プレビュー(V)」、データの印刷のための「印刷(P)」およびMultichannel MCG Systemを終了させる「心磁システムの終了(X)」という項目を含む。
「編集(E)」のプルダウンメニューは「削除(D)」という項目を含む。被検者リスト画面(図24)上の被検者リスト中の被検者の計測データは同画面上のデータリストに表示されるが、「削除(D)」という項目はそのデータリスト中のカーソルが置かれたデータを削除するためのもので、予めデータが選択されていなければならない。このメニューがクリックされると、削除してよいかどうかの確認を行う確認ダイアログボックスが開かれる。削除が必要な場合は、そのダイアログボックス中の「OK」というボタンがクリックされ、削除をキャンセルしたいときは「キャンセル」というボタンがクリックされる。この確認ダイアログボックスの表示および操作により、誤って被検者の計測データを削除する誤操作を軽減することができる。
「リスト(L)」のプルダウンメニューは「登録(R)」、「リスト(L)」、「削除(D)」、「検索(S)」および「解除(X)」という項目を含む。プルダウンメニューの「登録(R)」というボタンがクリックされると、図10に示される被検者登録ダイアログボックスが開かれる。これは被検者に関するデータを登録するときに用いられるもので、登録できる項目は登録年月日、所定桁までの被検者のID番号、氏名、生年月日、身長、体重、性別、病気の分類情報を示す分類および被検者コメントである。そのダイアログボックス中の「登録」ボタンがクリックされると、登録のために入力されたデータは登録されると共に、その入力ボックスはすべてクリアされて再入力が可能となり、「キャンセル」というボタンがクリックされれば、そのすべての入力ボックスはクリアされ、そして「終了」というボタンがクリックされれば、被検者登録ダイアログボックスが閉じられる。
プルダウンメニューの「リスト(L)」がクリックされると、被検者リスト画面(図24)が表示される。また、プルダウンメニューの「削除(D)」は被検者リスト画面(図24)上の被検者リスト中のカーソルが置かれた被検者を削除するためのもので、それがクリックされると、削除前に、プルダウンメニューの「削除(D)」がクリックされるときと同様に削除してよいかどうかの確認を行う確認ダイアログボックスが開かれ、削除が必要な場合は、そのダイアログボックス中の「OK」というボタンがクリックされ、削除をキャンセルしたいときは「キャンセル」というボタンがクリックされる。被検者が削除されると、その被検者に関するデータリスト中のすべてのデータも削除される。
プルダウンメニューの「検索(S)」がクリックされると、図11に示される検索ダイアログボックスが表示される。被検者およびデータを検索して、被検者リスト画面に検索された被検者およびデータのみを表示する。被検者およびデータの検索対象は全被検者および全データとする。被検者名、登録日付、性別、データの種別、計測日付、診断結果、コメント、検査技師、体位などをキーワードとして与えてデータが検索される。前記のキーワードを複数個組み合わせた複合検索を行うことができる。プルダウンメニューの「解除(X)」は検索された被検者およびデータだけの表示を解除して全被検者および全データを表示するのに用いられる。「データ計測(Q)」のプルダウンメニューは「調整値ファイル(F)」、「全自動調整(A)」、「VOFF調整(V)」、「マニュアル調整(M)」、「調整値ファイル(F)」、「計測パネル(P)」、「自動波形診断(D)」および「AFAオフセット調整(O)」という項目を含む。
「調整ファイル(F)」がクリックされると、「開く(O)」、「上書き保存(S)」および「名前をつけて保存(A)」を内容とするサブプルダウンメニューが表示される。サブプルダウンメニュー中の「開く(O)」はシステム調整画面(図34)を表示して、指定された調整値ファイルを開いてシステムの調整値すなわちIbiasおよびVOFFをシステムに設定するのに用いられる。「上書き保存(S)」は確認ダイアログボックスを開いて、現在の調整値を現在開かれている調整値ファイルに上書き保存するのに用いられる。「名前をつけて保存(A)」は現在の調整値データを名称を変えて別の調整値ファイルに保存するのに用いられる。
プルダウンメニューの「全自動調整(A)」が選択されると、システム調整画面(図34)が表示され、後述の図22のフローにしたがってバイアス電流IbiasおよびFLL回路6のオフセット電圧VOFFが自動的に調整される。「VOFF調整(V)」が選択されると、システム調整画面(図34)が表示され、後述の図23のフローにしたがってFLL回路6のオフセット電圧VOFFが自動的に調整される。「マニュアル調整(M)」が選択されると、図12に示されるマニュアル調整ダイアログボックスが開かれる。オペレータはスクロールバーとマウスを使ってチャンネルを選択し、バイアス電流Ibiasおよびオフセット電圧VOFFを変更する。入力された値に問題なければ、「OK」ボタンをクリックすることによりその値の設定が行われる。「キャンセル」ボタンがクリックされると、変更は無効となり、ダイアログボックスが閉じられる。
「計測パネル(P)」がクリックされると、グリッドマップを含むデータ計測画面(図25)が表示される。「自動波形診断(D)」がクリックされると、図13に示される自動診断ダイアログボックスが開かれる。自動波形診断は、図34の表示画面中のΦ−V特性曲線の振幅、中央値および周期を自動的に調べ、Φ−V特性曲線を表示する際あるいは表示中の同曲線の表示を最新状態に更新する際に、指定された範囲外にあるチャンネルを計測に不適当な状態としてオペレータに通知するものである。計測に不適当な状態のチャンネルが検出された場合、エラーダイアログボックスを開いてエラーメッセージを表示することによってオペレータに通知するが、当該チャンネルのΦ−V特性曲線を別色で表示して不適当な状態であることを示してもよい。振幅最小値がチェックされている場合、Φ−V特性曲線における最大値と最小値の差が振幅最小値よりも小さいときが計測に不適当な状態であるとする。中央値が指定されている場合、前記最大値と最小値との平均値の絶対値が指定された中央値よりも大きい場合が計測に不適当な状態であるとする。周期が指定されている場合、Φ−V特性曲線におけるΦの周期が第1のテキストボックス(下限値)と第2のテキストボックス(上限値)で指定された範囲外にあるときが計測に不適当な状態であるとする。振幅最小値、中央値および周期の自動診断を有効にするには、各項目の左側のチェックボックスをマウスでクリックして×印が表示されている状態にして、対応するテキストボックスに所望する値を入力すればよい。このようにして入力された自動診断のパラメータは「OK」ボタンを押すことによって有効となり、ダイアログボックスが閉じられる。「キャンセル」ボタンが押されると、入力されたパラメータは無効となり、ダイアログボックスは閉じられる。「AFAオフセット調整(O)」はAFA7のオフセット電圧AOFFを調整するときに用いられるもので、「AFAオフセット調整(O)」がクリックされると、単一波形表示に属するデータ計測画面(図25)が表示される。
「データ解析(A)」のプルダウンメニューは「アベレージング(A)」、「単一波形表示(W)」、「重ね波形表示(M)」、「グリッドマップ表示(G)」、「等磁線図(B)」、「時間積分図(T)」、「伝播時間図(P)」、「磁場源表示(S)」、「ラインモード(L)」および「塗潰しモード(F)」を含む。
「アベレージング(A)」がクリックされるとアベレージング画面(図27)が、「単一波形表示(W)」がクリックされると単一波形表示字画面(図28)が、「重ね波形表示(M)」がクリックされると重ね波形表示画面(図29)が、「グリッドマップ表示(G)」がクリックされるとグリッドマップ表示画面(図30)がそれぞれ表示され、メニューの左側に選択されたことを示すチェックマーク(×)が表示される。また、「等磁線図(B)」がクリックされると等磁線図画面(図31)が、「時間積分図(T)」がクリックされると時間積分図画面(図32)が、「伝播時間図(P)」がクリックされると伝播時間図画面(図33)がそれぞれ表示され、メニューの左側に選択されたことを示すチェックマーク(×)が表示される。また、「磁場源表示(S)」がクリックされるとメニ
ューの左側に逆三角マークが表示され、等磁線図を表示する際に電流ダイポールで近似した磁場源が重ねて表示される(図なし)。等磁線図、時間積分図、伝播時間図および磁場源表示の画面は「ラインモード(L)」が選択されると、線間が塗潰しなしで表示され、「塗潰しモード(F)」が選択されると、線間が塗潰された状態で表示される。現在のモードを示すために、メニューの左側に選択を表すチェックマークが表示される。
「ヘルプ(H)」のプルダウンメユーは「目次(C)」、「キーワードで検索(S)」および「バージョン情報(A)」を含み、それぞれヘルプウインドウを開いて目次を示すこと、キーワードでトピックを検索すること、バージョンダイアログボックスを開くことのために用いられる。
ツールバー部803には「被検者登録」(808)、「被検者リスト」(809)、「印刷」(810)、「プレビュー」(811)、「システム調整」(812)、「データ計測」(813)、「データ解析」(814)というアイコンが配置される。これらは、その図示は省略されているが、メニューの機能とリンクしていて、プルダウンメニューの項目のうちの使用頻度の高いものを選択することができる。すなわち、「被検者登録」(808)は「リスト(L)」の「登録(R)」と、「被検者リスト」(809)は「リスト(L)」の「リスト(L)」と、「印刷」(810)は「ファイル(F)」の「印刷(P)」と、「プレビュー」(811)は「ファイル(F)」の「プレビュー(V)」と、「システム調整」(812)は「データ計測(Q)」の「マニュアル調整(M)」と、「データ計測」(813)は「データ計測(Q)」の「計測パネル(P)」と、そして「データ解析」(814)は「データ解析(A)」の「グリッドマップ表示(G)」とそれぞれ対応している。このようにアイコンとリンクしているメニューについては、そのメニューをアイコンをクリックするだけで選択することもできる。したがって、使用頻度の高い操作は、解析データ部に隣接したアイコンをクリックするだけで簡単に操作することができるので、前記メニューバー部の操作に比べて短時間にしかも認識し易いアイコンで操作することができる。なお、前記アイコンは利用者によって選択するようにしてもよく、また、利用頻度(回数)に準じて自動的に前記ツールバー部803に表示するようにしてもよい。
次に、システムの調整操作を含めて、被検者の登録から、その登録された被検者のデータ計測を行って、その計測されたデータの解析を行うまでの一連の操作を図14〜34を参照しながら説明する。
図16は全体の操作のフローを示すもので、計算機8の電源がONにされると(S−1)、オペレーテイングシステムが立ち上げられ、プログラム起動アイコンがデイスプレイ部8−1に表示される(S−2)。そのアイコンの中からMultichannel MCG Systemのプログラムのアイコンが選択されると(S−3)、図24に示される被検者リスト画面が代わって表示される(S−4)。
この実施例に係るシステムにおいては、システム立ち上がりの初期画面として図24に示す被検者リスト画面を表示する。この理由は、被検者と、該被検者の計測または解析データの関係が極めて重要であるため、このシステムでは被検者情報をキーワードとしてデータ管理していることに起因する。すなわち、計測データや解析データは被検者情報がないと管理ができないためである。このため、このシステムでは、被検者リスト画面において、先ず被検者を登録または登録されているときは被検者を特定し、次に、新規計測の場合は計測に移行し、既に計測データがある場合は目的のデータを特定する。なお、本被検者リスト画面に先立ってシステム立ち上げ時の時間待ちの表示画面を備えてもよく、更に本システムの目次的な役割をする表示画面を設けてもよい。
図24に示される被検者リスト画面について説明するに、その左側は被検者情報部で占められる。また、その右側全体の上部には被検者リストが、下部にはデータリストが表示されるようになっている。被検者情報部に表示される項目は図10に関連して説明したのと同じである。被検者リストの項目は、ID(被検者ID番号)、氏名、登録年月日(データ登録された日)、計測回数(データ計測が行われた回数)、生年月日、年齢、身長、体重、コメント(被検者に関するコメント)等を含む。被検者リストについては、これを縦スクロールバーでスクロールすることができ、被検者リストの項目については、これを水平(横)スクロールバーでスクロールすることができる。選択された被検者の行は強調表示される。
選択された被検者に関するデータリストの項目は、ID、データの種類(生(Raw)データかアベレージング(Averaging)か)、サンプリング間隔(データ計測が行われたときの信号の、ミリ秒単位でのサンプリング間隔)、サンプリング時間(秒単位)、分類(病気の分類情報)、DateおよびTime(データ計測が行われた日および時刻)、コメント(データに関するコメント)等を含む。データリストについては、これを縦スクロールバーでスクロールすることができ、データリストの項目については、これを水平(横)スクロールバーでスクロールすることができる。選択されたデータの行は強調表示される。
この被検者リスト画面によれば、被検者リストに各被検者の情報を1行表示する。これにより、上下に配列される各被検者の情報が明確に区分けすることができるので識別性を向上することができるから、たとえば誤って別の被検者を選択する誤操作を軽減することができる。この各被検者の情報は水平(横)スクロールバーでスクロールすることができるとともに、選択された被検者の情報は縦長の被検者情報部に項目毎に上下に配列されるので視認性を損なうことがない。この場合、各被検者のデータリストの項目を前後(左右)に移動可能とすることにより視認性をより向上させてもよい。更に、各被検者の情報を1行表示すことにより、一度に沢山の被検者を見ることができるので、縦スクロールバーでスクロールする回数を少なくすることができる。また、被検者リストの中から目的の被
検者に関するデータを選択したい被検者リストにカーソルを合わせてクリックするだけの簡単な操作で下部のデータリストに表示することができる。しかも、被検者リストとデータリストが上下に配置されているので、目線移動が少なくできるから、その関連性を認識しやすい。また、前記データリストは、そのエリアの上部にカーソルを移動してドラッグする簡単な操作でその大きさを自由に変えることができるので、データリストのリスト数に合わせて自由にその大きさを設定することができる。
ステップS−5においては、被検者リスト画面上の被検者リストの中から所望の被検者の行が選択される。後述のアベレージング処理の場合は、必ずデータリスト中の生(Raw)データの行が選択される。この後のフローはメニューにより4つに分岐される(S−6)。分岐の一つによれば、「ファイル(F)」というメニューの「心磁システム終了(X)」というサブメニューが選択され、この場合はウインドウを閉じる等の終了処理が行われ(S−7)、それによって、システムの立ち下げが行われる(S−8)。その後、計算機18の電源がOFFにされ(S−9)、すべてが終了する。
分岐の残りによれば、アベレージング処理(S−10)、データ解析(S−11)およびデータ計測(S−12)が行われる。アベレージング処理は「データ解析(A)」というメニューの「アベレージング(A)」というサブメニューを選択することによって実行可能である。また、データ解析は「データ解析(A)」というメニューの「単一波形表示(W)」、「重ね波形表示(M)」、「グリッドマップ表示(G)」、「等磁線図(B)」、「時間積分図(T)」、「伝播時間図(P)」および「磁場源表示(S)」というサブメニューのいずれかを選択することにより実行可能である。更に、データ計測は「データ計測(Q)」というメニューの「計測パネル(P)」というサブメニューを選択することにより実行可能である。ステップ10、11および12の終了後はフローはステップSー4に戻る。ステップS−5の被検者選択、ステップS−10のアベレージング処理、ステップS−11のデータ解析およびステップS−12のデータ解析については、その詳細はそれぞれ図17〜20に関連して以下に更に詳しく説明される。
図17は図16のステップS−5における被検者選択のフローを示す。被検者選択の場合は、フローはメニュー選択又は被検者選択により4つに分岐される。分岐の一つは被検者を指定して選択する(S−5−1)ことで被検者選択が終了する場合である。分岐のもう一つによれば、「リスト(L)」というメニューの「検索(S)」というサブメニューが選択される。これによって、図11に示される検索ダイアログボックスが開かれ(S−5−2)、このダイアログボックスを用いて被検者検索条件が入力される(S−5−3)。これによって被検者が検索され(S−5−4)、これにもとづいて図24に示される被検者リスト画面上の被検者リストの表示内容が変更される(S−5−5)。分岐の更にもう一つによれば、「リスト(L)」というメニューの「解除(X)」というサブメニューが選択される。この場合は、選択された被検者が全被検者リストに戻され(S−5−6)、被検者リストの表示内容の変更が行われる(S−5−5)。分岐の残りの一つによれば、「リスト(L)」というメニューの「登録(R)」というサブメニューが選択される。この場合は、図10に示される被検者登録ダイアログボックスが開かれ(S−5−7)、被検者情報が入力される(S−5−8)。これらのステップについてはすべての被検者の入力が終わるまでその入力終了の判断が行われ(S−5−9)、その入力が終了すると、被検者リストの更新が行われる(S−5−5)。
この実施例では、被検者の名前や住所等の文字入力を除いて、表示画面にプルダウンメニューを表示するなどして入力する複数の入力データまたは操作指示を表示し、その選択対象の中からマウスで特定の前記対象を指示することで入力操作を行うようにしている。これにより、マウス操作でほとんどの操作が可能となるのでキーボードに不慣れな作業者に快適な操作環境を提供できるとともに、入力/操作の時間短縮を図ることができる。前記プルダウンメニューの複数の選択対象は、この装置あるいはその入力/操作状態で入力/操作可能な選択対象が事前に設定され表示されるので誤入力/誤操作を軽減できる。また、この実施例では、入力エリアにカーソルを合わせてキーボードを介して入力することもできるので、操作者の入力の自由度を確保している。また、この実施例では、キーボー
ドでの文字入力を想定しているが、入力時にキーボードのダイヤログを表示してこれをマウスで操作して入力してもよい。さらに手書入力ダイヤログを表示して、マウス操作で手書入力するようにしてもよい。更には、前記デイスプレイ部にタッチパネルを備えて入力/操作を画面に指先または入力ペンを介して操作してもよい。これらにより入力/操作の操作性を格段に向上することができる。
図18は図16のステップS−12におけるデータ計測のフローを示す。まず初めに、初期画面として心磁波形のグリッドマップが図25に示されるように表示される(S−12−1)。同図において、操作領域部では、チャンネル選択、波形モニタのON−OFF、FLL回路6のロック−アンロック、AFA7のオフセット電圧の自動調整およびヒートフラッシュのための操作をそれぞれ行うことができ、更に、信号のサンプリング条件設定、波形表示のスケールの設定およびAFAパラメータの設定が可能である。
チャンネルは8×8の64チャンネルからなり、「全チャンネル選択」ボタンをクリックするか、又はチャンネルマトリックスを対角線に沿って端から端までドラッグすることによって、全チャンネルを選択することができる。また、行単位又は列単位でチャンネルマトリクスをドラッグすれば、チャンネルを行単位又は列単位で選択することができる。いずれにしても、選択されたチャンネルについては、その心磁波形が解析データ部に表示される。行単位又は列単位での選択の場合は図26のように表示される。この場合、選択された波形は時間軸に関してはフルスケールいっぱいに拡大されて表示される。すなわち、64チャンネルすべてが選択されている場合は、図25に示すように解析データ部を上下左右(桝目)に分割してすべてのチャンネル表示を優先させ、行単位又は列単位での選択の場合は図26のように、解析データ部を上下に分割して時間軸を左右にする馴染みのあるグラフの形態とすることで視認性を優先させた表示形態としている。
波形のモニタについては、「ON」ボタンが押されるとたとえば0.5secから2secの間で指定された時間毎に信号の取り込みと波形の更新が繰り返され、被検者の心磁信号がモニタされる。また、「OFF」ボタンが押されると波形の更新が停止する。FLLについては、「Lock」ボタンまたは「Unlock」ボタンをクリックすれば、64個のSQUIDセンサに対して磁場ロックを行ったり、そのロックを解除したりすることができる。その場合、一方のボタンが押されれば、他方が押されるまでそのままの状態が保たれる。これにより、選択されていない誤動作の状態を回避している。
また、「AFAオフセット調整」ボタンをクリックすれば、そのオフセット電圧が自動的に調整される。また、「ヒートフラッシュ」ボタンをクリックすれば、図14に示されるヒートフラッシュ操作ダイアログボックスが開かれる。マウス又は矢印キーでチャンネルを選択し、「OK」ボタンをクリックすれば、その選択されたチャンネルのSQUIDについてヒートフラッシュ操作が実行される。「キャンセル」ボタンを押せば、ダイアログボックスが閉じて処理は終了する。
サンプリングの時間(計測時間)および間隔については、逆三角印のついた対応テキストボックスをクリックすれば、選択可能な数値のプルダウンメニューが開かれ、その中から所望の数字を選択することができる。その選択可能な数字は、時間についてはたとえば1sec、5sec、10sec、30sec、1minおよび2minであり、間隔についてはたとえば0.1msec、0.5msec、1.0msec、2.0msec、4.0msec、5.0msecおよび10.0msecである。時間は必要に応じて1sec程度から24h程度までの間で選ばれるようにしてもよい。「スケール」ボックス内の「時間」とあるのはmsec単位の時間スケールすなわち水平方向のスケールを、「信号」とあるのはA/D変換された信号のスケールすなわち縦方向のスケールを意味する。これらについても、サンプリングの時間および間隔の選択と同様に、対応するテキストボックスをクリックすることによって開かれるプルダウンメニューの中から所望の数値が選択される。
AFAパラメータは入力ゲインIgain、出力ゲインOgain、ローパスフイルタ(LPF)の周波数(基準周波数)、ノッチフィルタ(BEF)の周波数、ハイパスフイルタの周波数(基準周波数)を含む。これらについても同様に、対応するテキスツボックスをクリックすることによって開かれるプルダウンメニューの中から所望の数字又は文字が選択される。その数字又は文字は、Igainについてはたとえば1、2、5、10、20、50、100、200、500および1000であり、Ogainについてはたとえば1、10および100であり、LPFについてはたとえば30Hz、50Hz、80Hz、100Hz、200Hz、400Hzおよび1kHzであり、BEFについてはOff、50Hzおよび60Hzであり、そしてHPFについてはたとえば0.05Hz、0.1HzおよびThru.である。なお、これらは選択の代わりにキーボードから入力されてもよい。
チャンネルとしては64チャンネル以外に更にたとえば16チャンネルの補助チャンネルが用意されていて、その補助チャンネルではたとえば心電波形が得られるようにされてもよい。図25の最下段には参照チャンネルとしての第10チャンネルの波形が表示されているが、これはその補助チャンネル中の第10チャンネルで得られた心電波形である。心磁波形は一般に磁気雑音を含み、一方、心電波形はそのような雑音を含まない。したがって、表示されている心磁波形を参照チャンネルの心電波形と比較することにより心磁波形に磁気雑音が含まれているかどうかの情報が得られる。もちろん、その心電波形は補助チャンネルではなく、正規の64チャンネルの中の任意のチャンネルから得られるようにされていてもよい。また、心電波形以外に脳波、血流波形、血圧波形等が用いられてもよい。更に、妊婦の心電波形とその胎児の心磁波形が比較されるようにしてもよい。また、参照波形としては、1チャンネルの参照波形だけでなく、複数チャンネルの参照波形が表示されるようにしてもよい。更に、参照チャンネルは、生体からの信号だけでなく、保守等を目的とした種々の制御信号を入力するのに用いられてもよい。
図18のフローに戻るに、ステップS−12−2では既述の要領でモニタチャンネルが選択され(S−12−2)、FLLのロックボタンが押されると、すべてのSQUIDの磁場ロックがなされる(ステップS−12−3)。その状態で、計測パラメータであるサンプリングの時間と信号の設定並びにAFAのパラメータの設定がなされる(ステップS−12−4)。その設定については、この設定を、その設定された条件を使うことにして次回から省略することができる。これにより、毎回条件設定を行う必要がないので設定時間を短縮することができる。なお、前記設定条件について名称を付ける等して記録し呼び出し可能としてもよい。
「計測」ボックスの「開始」ボタンが押されると計測が開始され、図15に示されるように「計測中」の表示がなされると共に計測の進行状況を示すプログレスバーが表示される(ステップS−12−5)。この実施例のプログレスバーは、棒グラフ形式で左から右に処理進行の経過にしたがって棒が伸びるようにしているが、全体の処理内容(時間)を例えば100として、現在の処理経過がわかればよいので、円グラフ等でもよい。また、前記プログレスバーは、計測画面の所定の位置に周囲に前記計測画面を残して表示するようにする。これにより、表示画面の内容が大きく変わることがないので誤操作を軽減することができる。
計測が開始されると、表示されている信号波形はそのまま固定化され、プログレスバーはその固定化された表示画面上に表示される。プログレスバーの更新は設定された時間が終了するまで、たとえば毎秒繰り返される(S−12−6)。「計測」ボックスの「中止」ボタンが押されると、計測が中止する。計測が終了すると、図26に示される画面表示がなされ、波形の確認がなされる(S−12−7)。その後、そのデータの保存の必要性が判断され(S−12−8)、保存が必要な場合はメニュー「ファイル(F)」−「保存(S)」が選択されて、信号は保存され、当該被検者のデータリストに追加される(S−12−9)。その後、保存が必要ない場合も含めて、計測がもう一度必要かどうかの判断がなされ(S−12−10)、必要ならば以上のステップを繰り返し、必要なければデータ計測の全ステップは終了する。その場合、画面表示は図24の表示となるようにメニュー選択がなされる。なお、図26はチャンネルとして第2列目の行のチャンネルが選択された例を示す。
図26において、解析データ部の最下部にはスクロールボックス261が移動するスクロールバー262がある。スクロールボックス261はスクロールバー262の左右の両端間で移動可能なるもので、そのスクロールボックスの幅wは時間スケールを表す。そのスクロールバー262の左右の両端間の時間幅は計測時間を表し、したがって、表示されている波形は計測時間中に生じる波形の、スクロールボックス261の時間スケールwに相当する一部分の拡大された波形である。これにより、操作者は、現在解析データ部に表示されている波形が計測時間(スクロールバー262の幅)の中でどのくらいの時間(スクロールボックス261の幅)かを示し、前記波形が計測時間の中で前半を示しているのか後半を示しているのか等を人目で把握することができるので、視認性を向上させることができる。また、前記スクロールボックス261の位置と解析データ部の波形を連動させているので、カーソルを前記スクロールボックス261に合わせてドラッグしながら移動させることで、解析データ部の表示領域を移動させて所定時間の波形を見るようにしてもよい。このようにすれば、所定時間の波形を簡単に確認する等、前記スクロールバー262を目次的に扱いで計測内容を詳細に確認することができる。
図19は図16のステップS−10におけるアベレージング処理のフローを示す。アベレージング処理では、各チャンネルで測定された各データのノイズを取り除くために各チャンネル毎に加算されてその平均値が計算される。この各チャンネルのアベレージング処理にあたり基準となる時間を設定するために以下の処理がなされ、そして各チャンネルのアベレージング処理が実行される。
まず、指定された被検者の生データが読み込まれる(S−10−1)。これは、図24のリストデータ中の「データの種類」が生データとなっている行を選択することにより行われる。これによって、初期表示として、図27に示される第1列目のチャンネルの心磁波形が表示される(S−10−2)。次いで、表示チャンネルが選択される(S−10−3)。図27は第2列目のチャンネルが選択された例を示す。その後、設定チャンネルが指定される(S−10−4)。これは操作領域部にある「アベレージング条件」というボックス内の「チャンネル」のテキストボックスをクリックするか又は所望のチャンネルの波形を表示している領域をマウスでクリックすることによって行われる。この場合、そのテキストボックス内の三角ボタンをクリックすればチャンネル数字が大きくなり、逆三角ボタンをクリックすればチャンネル数字が小さくなる。図27は指定されたチャンネルが第2列第2行目のチャンネルである例を示す。このチャンネル指定によって、アベレージング処理の基準時間となるチャンネルが特定される。このチャンネルを特定するにあたっては、最も典型的な、あるいは分かり易い波形を備えたチャンネルを選定するとよい。仮に、選択した行または列に良い波形を備えたチャンネルがなければ、再び(S−10−3)のステップからやり直すことができる。
また、前記解析データ部の1つのチャンネルが特定されると、図27に示されるようにしきい値カーソル271が指定されたチャンネルの位置に表示される。これによって、指定されたチャンネルを視覚的に確認することができる。図27において、解析データ部805の上部に左右方向に移動可能な3個のスライダーカーソル273〜275が表示されているが、これらは図27の表示画面が表示されると同時に自動的に表示される。
ステップS−10−5として、アベレージング条件であるしきい値、オフセット時間およびアベレージング時間が「アベレージング条件」というボックス内の対応するテキストボックスをクリックすることにより設定される。三角ボタンをクリックすれば数字が大きくなり、逆三角ボタンをクリックすれば数字が小さくなる。しきい値の設定は「しきい値」テキストボックスでしきい値を表す数字を選択することにより行われる。これによって、その数字に対応する位置にしきい値カーソル271が自動的に移動する。その場合の移動位置はカーソル線によって明確に確認することができる。「しきい値」テキストボックスのしきい値を表す数字の変更(選択)としきい値カーソル271の移動は互いに連動しており、したがってしきい値はしきい値カーソル271を移動させることによっても設定可能である。スライダーカーソル273は波形の立ち上り部分がスライダーカーソル271によって設定されたしきい値と一致した時点(基準時点)位置を指し示すものであり、その指し示す位置はカーソル線によって明確に確認することができる。このスライダーカーソル273はしきい値の変更に応じて変わる基準時点位置と一致するように該基準時点位置に追従して移動する。「オフセット」テキストボックスでオフセット時間を表す数字を選択し、「時間」テキストボックスでアベレージング時間を表す数字を選択すると、それに対応する位置にスライダーカーソル274および275が移動する。その場合の移動位置はそれらのスライダーカーソルのカーソル線によって明確に確認することができる。スライダーカーソル274および275の移動は「オフセット」テキストボックスおよび「時間」テキストボックスでの数字の選択と連動している。このため、オフセット時間およびアベレージング時間の設定はスライダーカーソルを移動させることによっても可能である。
ステップS−10−6ではアベレージングモードとしてアベレージングを自動で行うべきか、マニュアルで行うべきかが設定される(S−10−7)。その後、「設定」ボタンをクリックすると(S−10−8)、加算処理が行われる。「キャンセル」ボタンをクリックすれば、アベレージング条件はすべてキャンセルされる。加算処理としては、各チャンネルにおいて、しきい値を越えた時刻t(基準時点)が探索され(S−10−9)、次いで時刻tを中心に波形が表示され(つまり、t時点が画面の中心に位置付けられようにt−50msecからt+50msecまでの波形が表示され)(S−10−10)、そしてマニュアルモードでキャンセルが選択されたかどうかの判断がなされ(S−10−11)、キャンセルが選択されたのでなければ波形の加算が実行される(S−10−12)。ステップS−10−9からステップS−10−12までのステップは各チャンネル毎に加算回数だけ繰り返され、その後加算されたデータは加算回数で割算され(S−10−13)、アベレージング処理が終了する。
このように、この図27に示すアベレージング処理の表示画面においては、操作領域部と解析データ部805の双方からアベレージング処理の諸条件の入力/操作を行うことができるので、たとえば、大まかな条件を解析データ部で設定して、詳細な値を操作領域部で設定する等、操作者に多様な設定方法を提供すると共に条件設定の時間短縮を図ることができる。特に、この実施例では、解析データ部805の複数のチャンネルの中からカーソルを介して特定のチャンネルを指定することでアベレージング処理の基準となるチャンネルとすることができから、誤操作が軽減され操作性が向上される。しかも、その指定されたチャンネル近傍にしきい値カーソルやスライダーカーソルを表示することで視覚的な認識が可能である。更に、アベレージング処理の諸条件の入力/操作を前記チャンネル近傍に配置されるしきい値カーソルやスライダーカーソルで行うことができるので、操作者の目線移動を少なくして、波形表示に合わせて視覚的に設定できるから、誤操作を軽減して操作性を向上することができる。なお、これらの設定条件、たとえば最新の設定条件を記憶させて次回の設定条件として表示させたり、あるいは各設定条件に名前を付して記憶させ呼び出すようにしてもよい。
図20は図16のステップS−11におけるデータ解析のフローを示す。データ解析はいろいろな種類の波形や線図を表示して診断に必要な情報を得ようとするもので、図9のメニューを選択することによりいろいろな種類の波形や線図の画面を選択的に表示することができる。すなわち、「データ解析(A)」の「単一波形表示(W)」を選択すれば図28に示される単一波形画面が(S−11−2)、「データ解析(A)」の「重ね合せ波形表示(M)」を選択すれば図29に示される重ね波形画面が(S−11−3)、「データ解析(A)」の「グリッドマップ表示(G)」を選択すれば図30に示されるグリッドマップ波形画面が(S−11−4)、「データ解析(A)」の「等磁線図(B)」を選択すれば図31に示される等磁線図画面が(S−11−5)、「データ解析(A)」の「伝播時間図(P)」を選択すれば図32に示される伝播時間図画面が(S−11−6)、そして「データ解析(A)」の「時間積分図(T)」を選択すれば図33に示される時間積分図画面が(S−11−7)それぞれ表示され、また、「ファイル(F)」の「心磁システムの終了(X)」を選択すればシステムが終了する。
それぞれの画面において、操作領域部にあるラジオボタン(図面中の円形ボタン)をクリックすればそのクリックによって指定された波形又は線図の画面が代わって表示される。図20において、分岐の部分を「メニューで分岐」とせずに「メニュー又はラジオボタンで分岐」としたのはそのためである。したがって、この実施例によれば、前記図9のメニューを選択することなく、前記操作領域部にあるラジオボタンをクリックするだけで多様な解析データが得られるので、操作時間の短縮が図れるとともに、誤操作を軽減して操作性を向上することができる。
図28〜30において、「スケール」ボックス内の磁束密度とあるのは、ゼロレベルを基準としたプラス側およびマイナス側のフルスケールの値(単位はピコテスラ(pT))であり、その値はそのテキストボックスの三角ボタンをクリックすることにより開かれるプルダウンメニューで選択される。図28〜33において、「表示成分」ボックス内のラジオボックスをクリックすることにより法線成分の波形又は接線成分の波形を選択して画面表示することができる。
図28ではチャンネルで選択された各チャンネルの波形が、解析データ部の左端をオフセット時間に合わせて表示される。この解析データによれば、解析データ部に上下に配列表示される各チャンネルの波形の形状や大きさを比較することができる。同様に図29では、前記図28で上下に配列された波形が重ねて表示され、その波形の形状や大きさを比較することができる。また、図30では、すべてのチャンネルが前記図28、図29と同様にオフセット時間を基準にして表示される。したがって、操作者は、必要によりチャンネルの数を選定して解析することができる。
図31において、解析データ部の右端には縦に細長の磁場強度指標ボックス310が配置されている。その磁場強度指標ボックスは互いに色の異なる12個の区画に区切られている。これは、図31に示される等磁線図画面の各島模様で示される磁場の強度範囲を色の種類で区別することで視角的な(色彩的な)認識性を向上させるようにしたものである。すなわち、その磁場強度指標ボックス310の長手方向の中心位置311は磁場強度がゼロの位置で、その中心位置よりも上方の区画を中心位置に近い順番に第1〜第6区画とそれぞれ呼ぶことにすれば、たとえば第1区画は0〜2pTの磁場強度範囲に、第2区画は2〜4pTの磁場強度範囲に、第3区画は4〜6pTの磁場強度範囲に、第4区画は6〜8pTの磁場強度範囲に、第5区画は8〜10pTの磁場強度範囲に、そして第6区画は10〜12pTの磁場強度範囲にそれぞれ対応している。中心位置よりも下方の区画についてもまったく同じである。ただし、中心位置よりも上方の区画はプラス方向の磁場強度を、下方の区画はマイナス方向の磁場強度を表している。図31に示される等磁線図は、磁場強度指標ボックス310内の磁場強度範囲と色との対応関係の定めに従い、磁場強度に応じて色分け表示される。なお、色として、磁場強度のプラス側を暖色系、マイナス側は寒色系とし、中心部を黄色とするようにしてもよい。これにより、磁場の強弱を色彩的に認識することができるので視認性を向上することができる。しかも、この実施例によれば、解析データ部の近傍に磁場強度指標ボックス310を設けたので、比較対象の色、すなわち、マップに付された色と磁場強度指標ボックス310の所定の色とを目線移動を大きく移動させることなく比べながら確認することができるので、前記磁場の強弱のレベルと色との関係を明確に判断することができる。なお、この実施例では、磁場強度指標ボックス310を解析データ部の右端に設けているが、解析データ部の近傍であればよく、例えば、上部、下部、左側でもよい。
図31において、「再構成パラメータ」ボックス内の「マップ数」とあるのは表示される等磁線図の数を、「最大値」とあるのは磁場強度指標ボックス310の両端部に相当する磁場強度を、「間隔」とあるのは磁場強度指標ボックス310内の各区画の長さに対応する磁場範囲を意味する。その値については、これを対応するテキストボックスの三角又は逆三角ボタンをクリックして選択することができる。
解析データ部の最下段には参照チャンネルの心電波形と2個のマップ時刻選択用カーソル311および312が表示されている。その2個のマップ時刻選択用カーソル311および312間には間隔が同じ分割線が表示され、この線の数はマップ数選択によって選択されたマップの数と一致する。また、2個のマップ時刻選択用カーソル311および312はその位置を独立に左右方向に移動可能で、その移動によってそのカーソル間の間隔が変わると、分割線の間隔も変わるが、分割線の間隔は常に等間隔である。もちろん、各分割線にカーソルを備えて1本1本別々に設定するようにしてもよい。図31では、表示されている等磁線図の数は16個であるが、これらの線図は心電波形上の分割線が位置する時点での線図であり、各マップについては、該マップがいつの時点のものであるかがわかるようにその時刻も表示される。
これにより、図26で説明したと同様に、操作者は、現在解析データ部に表示されているマップが解析時間(心電波形の幅)の中でどのくらいの範囲(2個のカーソル311と312の幅)を示し、前記マップが示す範囲が解析時間の中でどこの範囲なのか等を一目で把握することができるので、視認性を向上させることができる。また、前記マップが示す範囲を2個のカーソルをマウス操作で簡単に移動させることで設定できるので操作が容易である。更に、各分割線の間隔を自由に設定するようにすれば、疑問のある部分を密にして他の部分を疎にする等、操作者に多様な解析環境を提供できる。
また、操作領域部にある「電流方向」のチェックボックスをクリックしてチェック印を表示すると、等磁線図上には矢印が表示される。この矢印が表示された等磁線図をアローマップと呼ぶ(図示なし)。矢印については、その位置はチャンネルの位置(磁気センサの位置)、長さは磁場の強度、そして方向は磁場の方向を電流の方向に変換した場合のその電流の方向をそれぞれ示す。
図32において、伝播時間の起点位置(図7のt1時点)の変更は参照波形上で移動するカーソル321の位置を変えることによって可能であり、カーソル321の位置の変更はそのカーソルをマウスを用いてドラッグすることにより可能である。
図33には2つの時間積分図と1つの差分図が表示されている。伝播時間図の「差分表示」はチェックボックスをクリックしてチェック印を表示することで簡単に表示することができる。「差分表示」がチェックされると、参照波形上に4つのカーソル331〜334が現れ、更に図示のように上方左右に2つの時間積分図が、下方左側に差分図がそれぞれ表示される。2つの時間積分図は心磁波形を、参照波形上でカーソル331および332並びにカーソル333および334を用いてそれぞれ設定された100msec〜140msecおよび180msec〜240msecという時間範囲に亘って積分した値にもとづくもので、それぞれの時間範囲はカーソル331および332並びにカーソル333および334をマウスを用いてそれぞれドラッグすることで変えられ得る。差分図は2つの時間積分図の差を表すものである。チェック印がない場合は、カーソルについては2個のカーソル(たとえばカーソル331および332)だけが現れ、時間積分図については1つの時間積分図だけが表示される。もちろん、積分時間の変更はカーソルの位置を変えることによって可能である。このように、この実施例によれば、「差分表示」にチェック印をクリックすることにより、次の操作を促す2組のカーソルが表示されるので、操作の迷いを与えず操作時間の短縮が図れ、しかも、前記2組のカーソルをマウスで移動させることで時間範囲を簡単に設定することができるから操作性を向上することができる。
図21はシステム調整のフローを示す。メニュー選択によってフローは5つに分岐される(S−15)。この場合、現在表示されているデータはそのまま保存され(S−13)、図34に示されるΦ−V特性曲線が表示されている(S−14)。「データ計測(Q)」の「全自動調整(A)」が選択された場合は、指定されたチャンネルについてIbiasおよびVOFFという調整値が自動的に計算され(S−16)(その自動計算は後述)、その計算された調整値はFLL回路に設定され(S−17)、フローはステップS−14に戻る。
「データ計測(Q)」の「VOFF調整(V)」が選択された場合は、指定されたチャンネルについてVoFFが計算され(S−18)(VOFFの計算は後述)、その後、フローは既述のステップS−17に進む。「データ計測(Q)」の「マニュアル調整(M)」が選択された場合は、図12に示されるマニュアル調整ダイアログボックスが開かれる(S−19)。オペレータはIbiasおよびVOFFという調整値をチャンネル毎に入力すると、その入力された調整値は受け付けられ(S−20)、ダイアログボックス中の「OK」ボタンが押されることによって調整値がFLL回路にセットされる(S−21)。ダイアログボックスはこれによって閉じられ(S−22)、フローはステップS−17に進む。
「データ計測(Q)」の「調整値ファイル(F)」が選択されると、その後サブプルダウンメニューによりフローは更に2つに分岐される(S−22)。すなわち、サブプルダウンメニューの「開く(O)」を選択することによりファイルをオペレータに問合わせ、オペレータは図11の内容を含むファイルを入力する(S−23)。その調整値ファイルの内容はFLL回路に設定される(S−24)。また、「データ計測(Q)」−「調整値ファイル(F)」−「上書き保存」又は「名前を付けて保存(A)」を選択することによりステップS−23と同様のことが行われ(S−25)、その調整値を調整値ファイルに書き込むことができる(S−26)。
図22は図21のステップS−16における自動計算のフローを示す。
S−15−1:全自動調整の場合はすべてのSQUIDチャンネルについて1チャンネルずつ以下の処理が行われる。処理中のチャンネルをchとする。
S−15−2:計算されたバイアス電流およびオフセット電圧はIBIASおよびVOFFという名称のメモリに保持されるものとする。IBIASおよびVOFFはチャンネルの数だけ値を保持することができ、初期値はすべて0とする。Φ−V特性曲線の、一時記憶される振幅をΔVとする。
S−15−3:各チャンネルchに対して、バイアス電流Ibを0から図34の「走査パラメータ」ボックスで指定されたIbiasまでΔIbiasのステップで変化(走査)させ、Φ−V特性曲線の振幅ΔVが最も大きくなるIbiasをチャンネルchの最適なバイアス電流IBIAS(ch)とする。
S−15−4〜8:バイアス電流0からIbまでの間で、Φ−V特性曲線の振幅ΔVは以下の処理で求められる。チャンネルchのSQUIDに与えられる外部磁場Φを0から図34の「走査パラメータ」ボックスで指定されたΦextまでΔΦのステップで変えて(走査して)行き、A/D変換された信号を保存してその信号の最大値Mmaxおよび最小値Vminを求める。
S−15−9〜10:ここで、最大値Mmaxと最小値Vminの差がΔVより大きければIBIAS(ch)の値をIbiasで、VOFF(ch)の値を最大値Mmaxと最小値Vminの平均で、ΔVを最大値Vmaxと最小値Vminの差でそれぞれ置き換える。もし、ΔVの方が最大値Mmaxと最小値Vminの差より大きければ前の値を保持する。
S−15−11:以上の処理をバイアス電流IbがIbiasになるまで繰り返したときのIBIAS(ch)、VOFF(ch)がSQUIDチャンネルchの最適なバイアス電流およびオフセット電圧となる。
S−15−12:また、以上の処理をすべてのSQUIDチャンネルに対して実行することにより全自動調整は終了する。
図23は図21のステップ18におけるVOFF調整フローを示す。
S−18−1:VOFF調整の場合はすべてのSQUIDチャンネルについて1チャンネルずつ次の処理が行われる。
S−18−2〜6:チャンネルchのSQUIDに与えられる外部磁場Φを0から図34の「走査パラメータ」ボックスで指定されたΦextまでΔΦのステップで変えて(走査して)行き、A/D変換された信号の最大値Vmaxと最小値Vminの差を求める。
S−18−7:SQUIDチャンネルchの最適なオフセット電圧VOFF(ch)は最大値Vmaxと最小値Vminの差として計算される。
S−18−8:以上の処理をすべてのSQUIDチャンネルに対して実行することによってVOFF調整は終了する。
1:磁気シールドルーム、2:被検者、3:ベッド、4:デユワ、5:自動補給装置、6:FLL回路、7:増幅器・フイルター・増幅器、8:計算機、8−1:デイスプレイ部、8−2:キーボード、8−3:マウス、20−1〜20−8、21−1〜21−8、22−1〜22−8、23−1〜23−8、24−1〜24−8、25−1〜25−8、26−1〜26−8および27−1〜27−8:磁気センサ、10、10’および10”並びに11、11’および11”:コイル、12、12’および12”:SQUID、13および14:センサ、30:胸部、261:スクロールボックス、262:スクロールバー、271:しきい値カーソル、273〜275:スライダーカーソル、311、312、321および331〜334:カーソル、801:タイトルバー部、802:メニューバー部、803:ツールバー部、804:被検者情報部、805:解析データ部、806:操作領域部、808:ステータスバー部、807−1:メッセージバー部、807−2:日時表示部、808〜814:アイコン。