JP2004153767A - 可変長ストリップライン線路 - Google Patents

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Mitsuyoshi Kegasa
光容 毛笠
Chitayoshi Manabe
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Abstract

【課題】広い周波数範囲で、周波数特性が良く、挿入損失の少ない可変長ストリップライン線路であって、小型、軽量、安価な可変長ストリップライン線路を提供することである。
【解決手段】円弧状ストリップラインが各々形成された親基板200 と子基板100 との各表面同士を、前記互いのストリップライン206 、102 の一部同士が重なり合うように向かい合わせて、円弧状ストリップライン線路を合成し、子基板100 を親基板200 に対して相対的に回転させることで、前記合成された円弧状ストリップライン線路の長さを可変としたことである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気信号の位相調節器または可変遅延素子、共振器、共振器を用いたフィルタ回路などに用いられる可変長ストリップライン線路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通信装置、レーダー、発振器等に使用される電気信号の位相調節器または可変遅延素子、共振器などには、可変長ストリップライン線路が用いられている。
【0003】
先ず、位相調節器または可変遅延素子における可変長ストリップライン線路の従来技術について以下に説明する。位相調節器または可変遅延素子における可変長ストリップライン線路としては、従来から、所謂トロンボーン型の位相調節器が用いられている (特許文献1 参照) 。このトロンボーン型の位相調節器を図5 に斜視図で示す。図5 に示す通り、金属板110 の表面上に固定されたプリント基板 (親基板)108の表面には、導電体からなる2 本のストリップライン410 が配置されている。一方、構造材404 に固定されたプリント基板 (子基板)402は、前記親基板108 の向き (直線方向) に沿って、直線方向に移動できるようになっている。この子基板402 の表面には、導電体からなる2 本のストリップライン408 が、各ストリップライン端部をU 字状に接続した状態で配置されている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第4,618,836 号明細書(第4 〜5 列、図4)
【0005】
親基板108 の表面の2 本のストリップライン410 と、子基板402 の表面の2 本のストリップライン408 とは、左右の1 本づつが、互いに重なり合うような位置に各々配置されている。したがって、親基板108 と子基板402 の各表面同士を、前記互いのストリップライン410 、408 の一部同士が重なり合うように向かい合わせることで、互いのストリップライン410 、408 の一部同士が重なり合ったストリップライン線路を合成することができる。その結果、ストリップライン410 の片側のラインから入った信号は、U 字状のストリップライン408 でU ターンして、ストリップライン410 の片側のラインから戻ることができる。
【0006】
そして、子基板402 を親基板108 に対して、相対的に、前記親基板108 の向き(直線方向) に沿って、直線方向に移動させることで、前記互いのストリップライン410 、408 の一部同士が重なり合って合成された、信号が通過する前記合成ストリップライン線路の長さを可変とすることができる。即ち、子基板402 を図の左側に移動すれば線路の長さは長くなり、子基板402 を図の右側に移動すれば線路の長さは短くなる。
【0007】
信号の遅延時間は線路の長さに比例するので、合成ストリップライン線路の長さを可変とすることで、信号の遅延時間を可変に調整することができる。また、信号の位相は遅延時間に比例するので、合成ストリップライン線路の長さを可変とすることで、同じく、信号の位相を可変に調整することができる。
【0008】
ここでストリップライン線路とは、誘電体からなる基板の上 (表面) に、例えば銅などの金属等の導電体からなる、細長い高周波伝送用などのストリップラインを設け、かつ基板の裏面側に接地導体を配置した構造の分布容量線路のことである。
【0009】
次に、共振器などにおける可変長ストリップライン線路の従来技術を以下に説明する。共振器などにおける可変長ストリップライン線路としては、従来から、図15に斜視図で示す、可変長ストリップライン線路が用いられている (特許文献2 参照) 。図15に示す通り、可変長ストリップライン線路は、誘電体基板 (親基板)710の表面には、導電体からなる円弧状のストリップライン726 と、この円弧状のストリップライン726 の円弧中心にまで延在する直線状ストリップライン728 が配置されている。
【0010】
一方、誘電体基板710 表面には、更に、前記円弧中心を中心に回転 (回動) 可能な可動導体724 が設けられており、前記円弧状のストリップライン726 と直線状ストリップライン728 とを各々接続している。したがって、可動導体724 の回転およびその位置によって、端子712bから端子712aの間の線路長を自由に調節することができる。また、ここで、端子712bをグランドに落とし、この線路を端子712aから見ると、片方の端が短絡されたストリップライン線路となり、その線路の長さに応じた周波数にて共振する可変ストリップライン共振器となる。
【0011】
即ち、図15に示す可変長ストリップライン線路は、可動導体724 を時計回りに回転させれば線路は長くなり、反時計回りに回転させれば線路は短くなる。このため、片方の端が短絡されたストリップラインは共振周波数F にてインピーダンスが極めて大きくなる。その共振周波数F は線路の長さD1に反比例するので、可動導体724 を時計回りに回転させることで、共振周波数F を可変とすることができる。これを式で表すと、F=C/(4×D1) となる。但し、C はストリップライン上での信号の伝播速度を示す。
【0012】
【特許文献2】
実開平5−80011 公報(第1 頁、図8)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
先ず、位相調節器または可変遅延素子における前記従来のトロンボーン型の位相調節器の課題について以下に説明する。ストリップラインの固有インピーダンスは、ストリップラインの幅で決まる。このため、ストリップラインの幅が途中で変化すると、前記固有インピーダンスが変化してしまい、信号の反射を生じる。そして、この信号の反射波の影響で、信号の周波数によって、挿入損失が大きく変化してしまう。
【0014】
前記トロンボーン型の位相調節器の場合、子基板402 と親基板108 とを上下に重ねる方式であるため、特に、子基板402 を親基板108 に対して相対的に移動させた場合に、互いの重なり位置が変化しやすい。この重なり位置の変化が、ストリップラインの幅方向にずれると、子基板402 と親基板108 とのストリップラインの各々ずれた幅分を足した、ずれの2 倍だけ幅が広くなる。このため、合成ストリップライン線路部分のインピーダンスが、幅の広くなった割合に応じて下がることとなる。
【0015】
したがって、ストリップライン線路全体としては、合成ストリップライン線路部分の数に応じて、インピーダンスが何度も変化し、インピーダンスが変化した箇所で、前記した信号の反射を生じるため、この信号の反射波の影響で、信号の周波数によって、挿入損失が大きく変化してしまうという問題があった。
【0016】
また、前記トロンボーン型の位相調節器のように、子基板402 と親基板108 とを上下に重ねる方式の場合、互いのストリップラインの接触部 (合成ストリップライン線路部分) は低いインピーダンスで接合する必要があるので、子基板402 側のU 字状のストリップライン408 は親基板108 のストリップライン410 に密着させる必要もある。
【0017】
このため、トロンボーン型の位相調節器の場合、子基板402 を親基板108 に対して相対的に移動させた場合に、互いのストリップラインの重なり位置が変化せず、ストリップラインが互いにずれることなく重ねるような位置関係の調整機構が必要となる。また、前記移動によっても、子基板402 側のU 字状のストリップライン408 を親基板108 のストリップライン410 に密着させ、合成ストリップライン線路部分を低いインピーダンスで接合させるための調整機構も必要となる。
【0018】
この結果、従来のトロンボーン型位相調整器は、これらの調整機構として、金属板110 と構造材404 を使って、U字型のストリップライン408 とストリップライン410 が幅の向きで丁度重なるような位置関係を精密に保ちながら密着させて左右に動かす機構が必要であるため、高精度で、大きく、重く、かつ高価なものが必要になってしまっていた。
【0019】
次に、共振器などにおける前記従来の図15に示す可変長ストリップライン線路の課題について以下に説明する。図15に示す可変長ストリップライン線路において、可動導体724 の左側には、常にストリップライン726 の残余の部分726aが、先端が開放されたストリップライン線路としてぶらさがっている。この片方の端が開放されたストリップライン726aは、共振周波数F にてインピーダンスが極めて小さくなる。その共振周波数F は線路の長さD2に反比例するので、これを式で表すと、F=C/(4×D2) となる。
【0020】
このため、可動導体724 を時計回りに回転すると共振周波数F が高くなる共振器の途中に、可動導体724 を時計回りに回転すると共振周波数F が逆に低くなる反共振器を接続していることとなってしまう。したがって、図15に示す可変長ストリップライン線路は、その周波数特性が平坦ではなく、共振周波数を広い周波数範囲で、滑らかに、かつ連続的に変化させることができないという大きな問題があった。
【0021】
本発明は、これら事情を考慮してなされたものであって、その位相調節器または可変遅延素子における目的は、広い周波数範囲で、周波数特性が良く、挿入損失が少ない可変長ストリップライン線路を提供しようとするものである。また、共振器における目的は、広い周波数範囲で、共振周波数を、滑らかに、かつ連続的に変化させることができる可変長ストリップライン線路を提供しようとするものである。そして更に、これら可変長ストリップライン線路を、小型、軽量、安価に実現しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明可変長ストリップライン線路の要旨は、円弧状ストリップラインが各々同心円状に形成された親基板と子基板との各表面同士を向かい合わせて、互いの円弧状ストリップラインの一部同士が重なり合う円弧状ストリップライン線路を合成し、この円弧状ストリップライン線路の円弧中心を軸として子基板を親基板に対して相対的に回転させることで、前記合成されたストリップライン線路の長さを可変としたことである。
【0023】
本発明可変長ストリップライン線路は、従来のトロンボーン型の位相調節器のような親基板と子基板との相対的な直線運動で線路の長さを調整するのではなく、親基板と子基板との相対的な回転運動で線路の長さを調整する。
【0024】
この親基板と子基板との相対的な回転運動では、回転運動における親基板と子基板との中心軸が確実に固定 (位置決め) され、かつ、この中心軸からの距離の精度さえ高くすれば、親基板と子基板との互いのストリップラインの重なり位置が変化せず、ストリップラインが互いにずれることなく重ねることができる。しかも、前記回転運動では、子基板側のストリップラインを親基板のストリップラインに簡便に密着させることができる。
【0025】
このため、位相調節器または可変遅延素子に対する効果として、親基板と子基板との相対的な回転運動中に、合成ストリップライン線路部分の幅が途中で変化することがなく、合成ストリップライン線路部分の幅が一定に保持される。したがって、信号の反射を生じることがなく、周波数特性は平坦となり、挿入損失も少なくなる。また、子基板側のストリップラインを親基板のストリップラインに簡便に密着させることができるので、互いのストリップラインの接触部は低いインピーダンスで接合される。この結果、広い周波数範囲で挿入損失の少ない可変長ストリップライン線路とすることができる。
【0026】
また、前記従来のトロンボーン型の位相調節器の場合のような、互いのストリップラインの重なり位置関係の調整機構や、子基板側のストリップラインを親基板のストリップラインに密着させる調整機構が不要であり、簡単な構造で、小型、軽量、安価に、合成されたストリップライン線路の長さを可変とすることができる。
【0027】
更に、共振器としての効果としては、親基板と子基板との各々同心円状に形成された各円弧状ストリップラインの重なり合いで、線路の長さを調整するため、前記図15に示した従来の可変長ストリップライン線路のような、共振周波数F が逆となる、ストリップラインの残余の部分726aが生じない。この結果、その周波数特性が平坦となり、共振周波数を広い周波数範囲で、滑らかに、かつ連続的に変化させ、調整することができるようになる。
【0028】
【発明の実施の形態】
先ず、位相調節器または可変遅延素子としての、本発明可変長ストリップライン線路の実施の形態を、以下に図面を用いて説明する。図1 (a) 、(b) は本発明可変長ストリップライン線路の一実施態様を示す平面図である。図2 は図1 の本発明可変長ストリップライン線路を構成する子基板の実施態様を示す平面図である。図3 は図1 の本発明可変長ストリップライン線路を構成する親基板の実施態様を示す平面図である。
【0029】
先ず、図2 に表面側を示す子基板100 は、円板型の誘電体基板101 からなる。この誘電体基板101 の表面側には、銅などの導体箔製のストリップライン102(a)、102(b)が、円弧状に 2本同心円状に平行に形成されるとともに、互いの端部106 においてU 字状に接合されている。また、誘電体基板101 には、円弧状ストリップライン102(a)、102(b)の円弧中心位置 (誘電体基板101 の中心軸位置) に丸い穴107 が設けられている。この穴107 は、後述する子基板100 の回転時には、その軸中心となる。
【0030】
これらのストリップライン102(a)、102(b)は後述する親基板のストリップラインと重なり合って、合成された円弧状ストリップライン線路を構成するものである。また、U 字状端部106 は片側のストリップラインから入った信号をU ターンさせて、ストリップラインの片側のラインから戻すことができる。
【0031】
そして、親基板と電気的に接続するために、子基板100 表面の基板外周側には円弧状の接地導体103 が、子基板100 表面の内周側 (基板中心部分) には円環状の接地導体103 が、各々設けられている。ここにおいて、接地導体103 に設けた多数のスルーホール導体104 により、接地導体103 は、誘電体基板101 の反対側の裏面側表面全面に設けた (貼り付けた) 、接地導体105 に接続されている。なお、これら接地導体は、後述する親基板の接地導体も含めて、銅などの導体箔を貼り付けて形成している。これら接地導体は、ストリップライン102(a)、102(b)、およびU 字状端部106 を、ストリップライン表面部分を除き、側面および子基板の裏面側から遮蔽している。
【0032】
次に、図3 に表面側を示す親基板200 は、前記子基板100 と同様に、板状の誘電体基板201 からなる。この誘電体基板201 の表面側には、銅などの導体箔製のストリップライン202(a)、202(b)が2 本平行に形成されている。そして、ストリップライン202(a)、202(b)の、各々先端が途切れた端部ストリップライン206(a)、206(b)は、子基板100 における円弧状ストリップライン102(a)、102(b)と、互いに重なり合って合成された円弧状ストリップライン線路を構成するための対応位置に、円弧状でかつ同心円状に形成されている。また、誘電体基板201 には、円弧状の端部ストリップライン206(a)、206(b)の円弧中心位置に、中心に回転軸が設けられる丸い穴207 が設けられている。この穴207 は、子基板100 の穴107 と係合され、後述する子基板100 の回転時には、その軸中心となる。
【0033】
これらストリップライン202(a)、202(b)の幅は、端部ストリップライン206(a)、206(b)も含めて、重なり合う子基板100 のストリップライン102(a)、102(b)やU 字状端部106 などと、全て同じ幅とする。この幅の大きさや各々のストリップラインの長さは、前記通信装置、レーダー、発振器等に使用される電気信号の位相調節器または可変遅延素子などの用途に必要な信号の周波数との関係などで決定される。
【0034】
なお、ストリップライン202(a)、202(b)の、親基板200 への入り(IN)側と出(OUT) 側の部分 (図の左端側部分) の幅が、他の部分よりも太くなっているのは、この部分には子基板が存在せず、接地導体が親基板200 の裏面側のみにしか無いためである。この部分は、ストリップライン202(a)、202(b)の下側にのみ親基板200 の誘電体基板と接地導体205 が有り、上側は空間となっているので、通常の所謂マイクロストリップラインとなる。このため、ストリップライン202(a)、202(b)と同じインピーダンス線路とするためは、幅を約2 倍として広くする必要がある。
【0035】
そして、子基板100 と電気的に接続するために、親基板200 表面の基板外周側には円弧状の接地導体203 が、親基板200 表面の内周側 (基板中心部分) には円環状の接地導体203 が、各々設けられている。ここにおいて、接地導体203 に設けた多数のスルーホール導体204 により、接地導体203 は、誘電体基板201 の反対側の裏面側表面全面に設けた (貼り付けた) 、接地導体205 に接続されている。これら接地導体は、ストリップライン202(a)、202(b)、および円弧状端部206 を、ストリップライン表面部分を除き、側面および親基板の裏面側から遮蔽している。
【0036】
図1 (a) 、(b) の本発明可変長ストリップライン線路は、このような構成からなる、図2 の子基板と図3 の親基板とのストリップラインが形成された各表面側同士を、互いの穴107 と207 との軸心を合わせて、向かい合わせ、前記互いのストリップライン202(a)、202(b)および102(a)、102(b)の一部同士である、特に、206(a)と102(a)および206(b)と102(b)とが、互いに重なり合うようにしたものである。
【0037】
このように構成することで、親基板200 表面の2 本のストリップライン206(a)、206(b)と、子基板100 の表面の2 本のストリップライン102(a)、102(b)とは、互いに重なり合って、可変長の合成された円弧状ストリップライン線路を構成している。即ち、この合成されたストリップライン線路は同心円状に配置された2 本の円弧状ストリップラインから構成され、互いの円弧状ストリップライン端部同士がU 字状に接続されていることとなる。
【0038】
この際、互いの接地導体203 と103 とも、互いのスルーホール導体104 と204 とを介して接続され、互いの基板の反対側の裏面側表面全面に設けた接地導体205 と105 とに接続されている。したがって、図1(a)、(b) の可変長ストリップライン線路において、各ストリップラインは、全面的に遮蔽されている。
【0039】
そして、子基板100 と親基板200 とは、互いの中央部の穴107 と207 とで、この中央部を回転軸として相対的に回転可能なように、また、互いのストリップラインが密着できるように、例えばネジとバネにより適当な圧力を加えられて、固定されている。このネジとバネによる固定の一態様を図4(a)に平面図、図4(b)に側面図で示す。図4(a)、(b) に示すように、子基板100 と親基板200 とは、前記中央部の穴に設けられたネジ301 と反対側からの固定用ナット304 とによって、ワッシャー302 等を介して回転可能なように固定されている。この際、ネジ301 はバネ303 により弾性を付与されており、子基板100 と親基板200 とが、適当な圧力を加えられて固定されるようになっている。なお、この固定方法は、子基板100 と親基板200 とが相対的に回転可能なように、互いのストリップラインが密着できるように固定できるものであれば、上記態様以外にも、適宜の固定手段が用いられて良い。
【0040】
ここにおいて、図1(a)の可変長ストリップライン線路は、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最大となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。一方、図1(b)の可変長ストリップライン線路は、図1(a)の状態から、子基板100 を時計回りに90°回転させて、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最小となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。
【0041】
このように、図1(a)の状態の時には、合成ストリップラインの長さは最小となり、図1(b)の状態の時には、合成ストリップラインの長さは最大となる。合成ストリップラインの長さが、この最小と最大との間の長さとなるように、子基板100 の回転角度を微調整することも勿論可能である。したがって、子基板100 の回転角度の調整によって、合成ストリップラインの長さを、連続的あるいは段階的、あるいはその都度など、微調整も含めて、自由に可変とすることができる。このため、遅延時間の調整も、位相調整も、微調整も含めて、自由に調整することができる。
【0042】
したがって、これらの図1(a)あるいは図1(b)の状態の時を含めて、親基板200 表面のストリップライン206(a)のラインから入った信号は、合成ストリップラインの長さによる、所望の遅延時間を付けられた上で、子基板表面のU 字状のストリップライン 106でU ターンして、親基板200 表面のストリップライン206(b)のラインから戻ることができる。
【0043】
この際、互いの穴107 と207 との位置決めと大きさの精度、子基板100 と親基板200 の各々のストリップラインの幅と位置精度、等を良くするように設計および制作すれば、親基板と子基板との相対的な回転運動中に、合成ストリップライン線路部分の幅が途中で変化することがなく、合成ストリップライン線路部分の幅が一定に保持される。したがって、信号の反射を生じることがなく、周波数特性は平坦となり、挿入損失もほとんど無視できる程度に少なくなる。
【0044】
また、以上の構成の通り、前記従来のトロンボーン型の位相調節器の場合のような、互いのストリップラインの重なり位置関係の調整機構や、子基板側のストリップラインを親基板のストリップラインに密着させる調整機構が不要であり、簡単な構造で、小型、軽量、安価に、合成されたストリップライン線路の長さを可変とすることができる。
【0045】
前記親基板200 や子基板100 を構成する誘電体基板自体は、樹脂、樹脂とセラミックスとが混合、あるいはセラミックス単独などが適宜選択された公知の誘電体材料からなる。これらの基板乃至誘電体の大きさ (幅や径) と厚みは、例えば、前記通信装置、レーダー、発振器等に使用される電気信号の位相調節器または可変遅延素子などの用途に必要な信号の周波数との関係などで決定される。なお親基板201 と子基板101 の材質や厚みなどは、同じとしても良く、各々の機能の違いに応じて、基板の材質や厚みなどを異ならせても良い。
【0046】
また、各ストリップラインあるいは各接地導体などを構成する導電性材料は、銅、アルミニウム、錫、金、ニッケル、ハンダなどの導電性金属、更には他の導電性材料などが適宜選択される。そして、これら導電性材料を単独で、あるいは複合して乃至組み合わせて用いた導電体が適宜使用できる。
【0047】
なお、基板表面への各ストリップラインなどの形成は、銅箔などの導体箔を張った (あるいは貼った) プリント基板の一部を選択的にエッチングして除去し、ストリップライン部分のみを残す手法などで量産可能である。また、接地導体の形成も含めて、他の方法、前記導電性材料の箔地の積層、貼り付けやメッキ、印刷法やリソグラフィ法などが適宜適用可能である。
【0048】
次に、共振周波数を調整する共振器としての、本発明可変長ストリップライン線路の実施の形態を、以下に図面を用いて説明する。図6 (a) 、(b) は共振器としての本発明可変長ストリップライン線路の一実施態様を示す平面図である。図7 は図6 の可変長ストリップライン線路を構成する子基板の実施態様を示す平面図である。図8 は図6 の可変長ストリップライン線路を構成する親基板の実施態様を示す平面図である。
【0049】
先ず、図7 に表面側を示す子基板100 は、前記図2 と同じく、円板型の誘電体基板101 からなる。この誘電体基板101 の表面側には、銅などの導体箔製のストリップライン102 が、円弧状に、かつ誘電体基板101 の中心軸位置に同心円状に形成されている。ストリップライン102 の両端は開放されており、後述する親基板のストリップラインと重なり合って、合成された円弧状ストリップライン線路を構成する。
【0050】
また、誘電体基板101 には、前記図2 と同じく、円弧状ストリップライン102 の円弧中心位置 (誘電体基板101 の中心軸位置) に丸い穴107 が設けられている。この穴107 は、後述する子基板100 の回転時には、その軸中心となる。
【0051】
そして、親基板と電気的に接続するために、子基板100 表面の基板外周側には円弧状の接地導体103 が、子基板100 表面の内周側 (基板中心部分) には、円環状の接地導体103 が、各々設けられている。更に、前記円弧状の接地導体103 と円環状の接地導体103 とを結ぶ直線状の接地導体103 も設けられている。ここにおいて、接地導体103 に設けた多数のスルーホール導体104 により、接地導体103 は、誘電体基板101 の反対側の裏面側表面全面に設けた (貼り付けた) 接地導体105 に接続されている。これら接地導体は、ストリップライン102 を、ストリップライン表面部分を除き、側面および子基板の裏面側から遮蔽している。
【0052】
次に、図8 に表面側を示す親基板200 は、前記子基板100 と同様に、板状の誘電体基板201 からなる。この誘電体基板201 の表面側には、銅などの導体箔製で先端が開放されたストリップライン202 が形成されている。そして、このストリップライン202 は前記子基板100 における円弧状ストリップライン102 と、互いに重なり合って合成された円弧状ストリップライン線路を構成するための対応位置に、円弧状でかつ誘電体基板201 の中心軸位置に同心円状に形成されている。
【0053】
また、誘電体基板201 には、円弧状のストリップライン202 の円弧中心位置( 誘電体基板201 の中心軸位置) に、中心に回転軸が設けられる丸い穴207 が設けられている。この穴207 は、子基板100 の前記中心穴107 と係合され、後述する子基板100 の回転時には、その軸中心となる。
【0054】
これらストリップライン202 の幅は、重なり合う子基板100 のストリップライン102 と同じ幅とする。この幅の大きさや各々のストリップラインの長さは、共振周波数を調整する共振器としての用途に必要な信号の周波数との関係などで決定される。
【0055】
なお、ストリップライン202 の、親基板200 への入り側(IN)の部分 (図の左端側部分) の幅が、他の部分よりも太くなっているのは、この部分には子基板が存在せず、誘電体基板および接地導体が親基板200 の裏面側のみにしか無いためである。この部分はストリップライン202 の下側にのみ、親基板200 の誘電体基板と接地導体205 が有り、上側は空間となっているので、通常の所謂マイクロストリップラインとなる。このため、ストリップライン202 と同じインピーダンス線路とするためは、幅を約2 倍として広くする必要がある。一方、子基板100 の裏に接地導体105 が存在しない場合には、全体がマイクロストリップラインに近い電界分布となるので、線路の幅の比は、誘電体基板の誘電率と厚さにもよるが、2 倍よりも狭い幅となる。
【0056】
そして、子基板100 と電気的に接続するために、親基板200 表面の基板外周側には円弧状の接地導体203 が、親基板200 表面の内周側 (基板中心部分) には円環状の接地導体203 が、各々設けられている。ここにおいて、接地導体203 に設けた多数のスルーホール導体204 により、接地導体203 は、誘電体基板201 の反対側の裏面側表面全面に設けた (貼り付けた) 、接地導体205 に接続されている。これら接地導体は、ストリップライン202 を、ストリップライン表面部分を除き、側面および親基板の裏面側から遮蔽している。
【0057】
図6 (a) 、(b) の本発明可変長ストリップライン線路は、このような構成からなる、図7 の子基板と図8 の親基板とのストリップラインが形成された各表面側同士を、互いの穴107 と207 との軸心を合わせて、向かい合わせ、前記互いのストリップライン202 および102 の一部同士が、互いに重なり合うようにしたものである。
【0058】
このように構成することで、親基板200 表面のストリップライン202 と、子基板100 の表面のストリップライン102 とは、互いに重なり合って、可変長の合成された円弧状ストリップライン線路を構成している。即ち、この合成されたストリップライン線路は、先端が開放された、基板軸心と同心円状に配置された円弧状ストリップラインから構成されていることとなる。
【0059】
この際、互いの接地導体203 と103 とも、互いのスルーホール導体104 と204 とを介して接続され、互いの基板の反対側の裏面側表面全面に設けた接地導体205 と105 とに接続されている。したがって、図6(a)、(b) の可変長ストリップライン線路において、各ストリップラインは、全面的に遮蔽されている。
【0060】
そして、子基板100 と親基板200 とは、互いの中央部の穴107 と207 とで、この中央部を回転軸として相対的に回転可能なように、また、互いのストリップラインが密着できるように、例えばネジとバネにより適当な圧力を加えられて、固定されている。このネジとバネによる固定の態様は、例えば、前記図4(a)、(b) の態様と同じで良い。
【0061】
ここにおいて、図6(a)の可変長ストリップライン線路は、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最大となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。一方、図6(b)の可変長ストリップライン線路は、図1(a)の状態から、子基板100 を時計回りに90°回転させて、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最小となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。
【0062】
この場合、図6(a)の状態の時には、合成ストリップラインの長さは最小( 最短) となり、共振周波数は最高となる。また、図6(b)の状態の時には、合成ストリップラインの長さは最大となり、共振周波数は最低となる。合成ストリップラインの長さが、この最小と最大との間の長さとなるように、子基板100 の回転角度を微調整することも勿論可能である。したがって、子基板100 の回転角度の調整によって、合成ストリップラインの長さ (線路長さD)を、連続的あるいは段階的あるいはその都度など、微調整も含めて、自由に可変とすることができる。このため、共振周波数の調整も、位相調整も、微調整も含めて、自由に調整することができる。その共振周波数F は線路の長さD に反比例するので、子基板100 を回転させることで、前記F=C/(4×D1) の式によって、共振周波数F を可変とすることができる。
【0063】
親基板200 表面のストリップライン202 と、子基板100 の表面のストリップライン102 との円弧の部分は、同心円弧であり、全く同じ形をしているので、見かけ上は、同じ幅の円弧のストリップラインの角度が、90度から180 度に自由に伸び縮みしているように見える。このため、この合成されたストリップラインの線路インピーダンスは、一様で広い周波数範囲に渡って、同じインピーダンスの分布容量回路として働く。
【0064】
次に、共振器としての本発明可変長ストリップライン線路の別の実施形態を、図9 、図10を用いて説明する。図9 (a) 、(b) は共振器としての本発明可変長ストリップライン線路の一実施態様を示す平面図である。図10は上記図9 の可変長ストリップライン線路を構成する子基板の実施態様を示す平面図である。なお、本実施形態において、上記図9 の可変長ストリップライン線路を構成する親基板の構造は、前記図8 で示した親基板200 と全く同じである。
【0065】
先ず、図10に表面側を示す子基板100 の構造は、概ね前記図7 で示した子基板100 の構造と同じである。図7 で示した子基板100 との相違点は、誘電体基板101 の表面側に形成された、銅などの導体箔製のストリップライン102 の片方の端部102aが、子基板100 の基板中心部分に設けられた円環状の接地導体103 に短絡されている点である。このため、図10に示す子基板100 は、前記図7 で示した子基板100 における直線状の接地導体103 (円弧状の接地導体103 と円環状の接地導体103 とを結ぶ接地導体) を有さない。
【0066】
このように、片方の端部102aが短絡されているストリップライン102 は、共振周波数F にてインピーダンスが極めて大きくなり、その共振周波数F は、線路の長さD1に反比例するので、子基板100 を回転させる( 子基板100 の角度を調整することで、前記F=C/(4×D1) の式によって、共振周波数F を可変とすることができる。
【0067】
図9 (a) 、(b) の本発明可変長ストリップライン線路の構成は、前記した子基板の相違点以外は、前記図6 の場合と同じである。即ち、図10の子基板と前記図8 の親基板とのストリップラインが形成された各表面側同士を、互いの穴107 と207 との軸心を合わせて、向かい合わせ、前記互いのストリップライン202 および102 の一部同士が、互いに重なり合うようにしたものである。
【0068】
したがって、前記した図6 の場合と同様に、親基板200 表面のストリップライン202 と、子基板100 の表面のストリップライン102 とは互いに重なり合って、可変長の合成された円弧状ストリップライン線路を構成している。また、互いの接地導体203 と103 とも、互いのスルーホール導体104 と204 とを介して接続され、互いの基板の反対側の裏面側表面全面に設けた接地導体205 と105 とに接続され、前記した図6 の場合と同様に、各ストリップラインは、全面的に遮蔽されている。
【0069】
そして、子基板100 と親基板200 とは、前記した図6 の場合と同様に、互いの中央部の穴107 と207 とで、この中央部を回転軸として相対的に回転可能なように、また、互いのストリップラインが密着できるように、例えばネジとバネにより適当な圧力を加えられて、固定されている。
【0070】
図9(a)の可変長ストリップライン線路は、前記した図6 の場合と同様に、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最大となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。一方、図9(b)の可変長ストリップライン線路は、図9(a)の状態から、子基板100 を時計回りに90°回転させて、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最小となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。
【0071】
したがって、図9(a)の状態の時には、合成ストリップラインの長さは最小( 最短) となり、共振周波数は最高となる。また、図9(b)の状態の時には、合成ストリップラインの長さは最大となり、共振周波数は最低となる。そして、子基板100 の回転角度を調整することで、合成ストリップラインの長さ (線路長さD)と共振周波数を、自由に調整することができる点も、前記した図6 の場合と同じである。
【0072】
また、前記した図6 の場合と同様に、親基板200 表面のストリップライン202 と、子基板100 の表面のストリップライン102 との円弧の部分は、同心円弧であり、全く同じ形をしているので、見かけ上は、同じ幅の円弧のストリップラインの角度が、90度から180 度に自由に伸び縮みしているように見える。このため、この合成されたストリップラインの線路インピーダンスは、一様で広い周波数範囲に渡って、同じインピーダンスの分布容量回路として働く。
【0073】
更に、共振器としての別の実施形態を、図11、図12を用いて説明する。図11 (a)、(b) は共振器としての一実施態様を示す平面図である。図12は上記図11の可変長ストリップライン線路を構成する子基板の実施態様を示す平面図である。図13は図11の可変長ストリップライン線路を構成する親基板の実施態様を示す平面図である。
【0074】
この図11 (a)、(b) の共振器は、前記図9 で示した共振器を2 個、1 枚の基板にまとめたものであり、子基板100 の親基板200 との相対的な角度を変えることで、共振周波数が2 個の共振器で等しく連動して変化することが特徴である。
【0075】
このための、図12に表面側を示す子基板100 の構造は、前記図10で示した子基板100 の円弧状のストリップライン102 を、子基板100 の基板中心部分を対称に、102(1)と102(2)の2 個、誘電体基板101 の表面側に形成したものである。このストリップライン102(1)と102(2)の片方の端部は、各々子基板100 の基板中心部分に設けられた円環状の接地導体103 に短絡されている。
【0076】
そして、このストリップライン102(1)と102(2)の円弧形状に応じて、親基板と電気的に接続するための、円弧状の接地導体103 、103 が、子基板100 表面の基板外周側に、各々設けられている。その他の子基板100 の構造は、これまでに説明した、図7 、図10のの子基板100 の構造と同じである。
【0077】
一方、図13に表面側を示す親基板200 には、前記子基板100 のストリップライン102(1)と102(2)とに対応して、板状の誘電体基板201 の表面側に、銅などの導体箔製で先端が開放された2 つの円弧状ストリップライン202(1)、202(2)が形成されている。2 つの円弧状ストリップライン202(1)、202(2)の円弧部分は、前記子基板100 のストリップライン102(1)と102(2)の円弧部分と、互いに重なり合って合成された円弧状ストリップライン線路を構成するための誘電体基板201 の対応位置に、同じ大きさ (長さ、幅) を有して形成される。
【0078】
なお、図13の親基板200 では、2 つの円弧状ストリップライン202(1)、202(2)の、親基板200 への入り側部分は、各々のストリップラインに対応して、各々(IN1) 、(IN2) の2 箇所 (図の上下部分) となる。その他の図13の親基板200 の構造は、これまでに説明した、図8 の親基板200 の構造と同じである。
【0079】
図11 (a)、(b) の共振器は、前記図6 や図9 の共振器の場合と同様に、これら図12の子基板100 と、図13の親基板200 とを重ね合わせたものである。図11(a) の可変長ストリップライン線路は、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最大となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。一方、図11(b) の可変長ストリップライン線路は、図11(a) の状態から、子基板100 を時計回りに60°回転させて、子基板100 と親基板200 の互いのストリップラインの重なりが最小となるように、子基板100 の回転角度を調整した時の態様を示す。
【0080】
このように、図11 (a)、(b) の共振器は、前記図9 で示した共振器を2 個、1 枚の基板にまとめたものであり、子基板100 の親基板200 との相対的な角度を変える (子基板100 を親基板200 に対し相対的に回転させる) ことで、共振周波数を、2 個の合成ストリップライン線路から構成される 2個の共振器で、等しく連動して変化させることができる。このため、1 枚の基板で、同じ周波数で共振する2 つの可変共振器とすることができる。
【0081】
図14は、上記図11の 2つの可変共振器を、適度なインピーダンスを持つコンデンサなどで、互いをカップリングさせ、可変周波数フィルターを構成したものを示す平面図である。言い換えると、上記図11の 2つの可変共振器は、この図14のような可変周波数フィルターを実現することができる。
【0082】
図14における子基板100 の全ての構造と親基板200 の主要部の構造は、前記図12、13と全く同じである。ただ、親基板200 において、上記カップリングさせるために、2 つの円弧状ストリップライン202(1)、202(2)の入り側部分(IN1) 、(IN2) の2 箇所 (図の左右部分) から各々2 本のストリップライン208(1)、208(2)を延伸させ、これをキャパシタ64で結合している。そして、片方の可変共振器[ ストリップライン208(2)] から延伸させたストリップライン209(2)は、キャパシタ65経由で、図左方のフィルターの入力端子に接続する。他方、片方の可変共振器[ ストリップライン208(1)] から延伸させたストリップライン209(1)は、キャパシタ65経由で、図右方のフィルタの出力端子に接続する。
【0083】
この図14のように、上記図11の 2つの可変共振器を、適度なインピーダンスを持つキャパシタなどで、互いをカップリングさせると、可変周波数フィルターとしてのバンドパスフィルタを構成することができる。複数の共振器をキャパシタなどで結合したフィルタはこれまでにも多くあるものの、それらは、共振周波数が固定であり、フィルタの周波数も変化させることができない。これに対し、本発明では、共振周波数が自由に調整可能であり、フィルタの周波数も自由に変化させられる可変周波数フィルターを提供できる。
【0084】
以上説明した、共振周波数を調整する共振器としての、本発明可変長ストリップライン線路の実施の形態において、親基板200 や子基板100 を構成する誘電体基板材料、各ストリップラインあるいは各接地導体などを構成する導電性材料、基板表面への各ストリップラインなどの形成方法、接地導体の形成方法、などは位相調節器または可変遅延素子としての本発明可変長ストリップライン線路の実施の形態と同じ範囲から選択される。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、広い周波数範囲で、周波数特性が良く、挿入損失の少ない可変長ストリップライン線路であって、小型、軽量、安価な可変長ストリップライン線路を提供することができる。そして、本発明可変長ストリップライン線路は、電気信号の位相調節器、電気信号の可変遅延素子、そして、共振周波数が自由に調整可能な、電気信号の共振器やフィルタ回路となすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明可変長ストリップライン線路の1 実施態様を示し、(a) は線路長が最小の状態、(b) は線路長が最大の状態、を各々示す平面図である。
【図2】本発明可変長ストリップライン線路に係る子基板の1 実施態様を示す平面図である。
【図3】本発明可変長ストリップライン線路に係る親基板の1 実施態様を示す平面図である。
【図4】本発明可変長ストリップライン線路に係る子基板と親基板との固定の1 実施態様を示し、(a) は平面図、(b) は側面図である。
【図5】従来のトロンボーン型の位相調節器 (可変長ストリップライン線路) を示す斜視図である。
【図6】共振器としての本発明可変長ストリップライン線路の実施の形態を示し、図6(a) 、(b) は各々平面図である。
【図7】図6の可変長ストリップライン線路を構成する子基板の実施態様を示す平面図である。
【図8】図6の可変長ストリップライン線路を構成する親基板の実施態様を示す平面図である。
【図9】共振器としての本発明可変長ストリップライン線路の別の実施形態を示し、図9 (a) 、(b) は各々平面図である。
【図10】図9の可変長ストリップライン線路を構成する子基板の実施態様を示す平面図である。
【図11】共振器としての別の実施形態を示し、図11(a) 、(b) は各々平面図である。
【図12】図11の可変長ストリップライン線路を構成する子基板の実施態様を示す平面図である。
【図13】図11の可変長ストリップライン線路を構成する親基板の実施態様を示す平面図である。
【図14】図11の共振器から構成した可変周波数フィルターを示す平面図である。
【符号の説明】
100 :子基板、 101:誘電体基板、102 :ストリップライン、
103 :接地導体、104 :スルーホール、105 :接地導体、
106 :ストリップライン、107:中心穴
200 :親基板、 201:誘電体基板、202 :ストリップライン、
203 :接地導体、204 :スルーホール、205 :接地導体
206 :ストリップライン、207:中心穴、
208 :ストリップライン、209:ストリップライン、
301 :ネジ、302 :ワッシャー、303 :バネ、304 :ナット、
64: キャパシタ、65: キャパシタ

Claims (8)

  1. 円弧状ストリップラインが各々同心円状に形成された親基板と子基板との各表面同士を向かい合わせて、互いの円弧状ストリップラインの一部同士が重なり合う円弧状ストリップライン線路を合成し、この円弧状ストリップライン線路の円弧中心を軸として子基板を親基板に対して相対的に回転させることで、前記合成されたストリップライン線路の長さを可変としたことを特徴とする可変長ストリップライン線路。
  2. 前記合成されたストリップライン線路が同心円状に配置された2 本の円弧状ストリップラインから構成され、互いの円弧状ストリップライン端部同士がU 字状に接続されている請求項1に記載の可変長ストリップライン線路。
  3. 前記親基板と子基板双方の円弧状ストリップラインの周囲に円弧状の接地パターンを配置した請求項1または2に記載の可変長ストリップライン線路。
  4. 前記円弧状の接地パターンを、スルーホールによって、親基板と基板の各裏面に設けた接地パターンと接続した請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可変長ストリップライン線路。
  5. 前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可変長ストリップライン線路を電気信号の位相調節器となした可変長ストリップライン線路。
  6. 前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可変長ストリップライン線路を電気信号の可変遅延素子となした可変長ストリップライン線路。
  7. 前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可変長ストリップライン線路を電気信号の共振器となした可変長ストリップライン線路。
  8. 前記請求項7の共振器をフィルタ回路となした可変長ストリップライン線路。
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