JP2004153016A - 発泡電波吸収体 - Google Patents

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敏夫 工藤
Katsunobu Hosoya
勝宣 細谷
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孝禎 三ツ井
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俊徳 藤田
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Abstract

【課題】不燃性であり、かつ、軽量な電波吸収体を提供すること。
【解決手段】炭酸カルシウム、タルク、結着性樹脂、発泡剤およびこれらの合計量100重量部に対して5〜20重量部の導電性カーボンを含有する組成物を加熱発泡してなる発泡電波吸収体。好ましくは、上記結着性樹脂は塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂またはアクリル系樹脂である。本発明の発泡電波吸収体は無機母材を使用しており、かつ、発泡体であるので、不燃であり、かつ、軽量である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡電波吸収体、特に不燃性が要求される箇所への布設に好適な発泡電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の周波数の電波を吸収するよう意図された電波吸収体は、種々の分野に適用されている。例えば、料金自動収受システム(ETCシステム)においては、通常、5.8GHz帯域の電波が信号の伝達に用いられ、料金所ゲート等に電波吸収体を布設することにより、他のレーンを走行する車からの電波による誤動作を低減させている。最近、トンネル内でもETCシステムやDSRC(狭域無線通信)等が行われ始めており、トンネル内の狭域通信システムの誤動作を防いだり、正確な情報発信・受信を可能とするために、トンネル内に電波吸収体を布設する必要が生じている。
【0003】
しかし、上述のETCシステムにおける料金所ゲート等に布設される、例えば、樹脂に電波損失剤を配合した電波吸収体や樹脂に難燃剤を配合した電波吸収体等をそのままトンネル内に布設するのは適切ではない。こういった電波吸収体は可燃性あるいは難燃性であって、不燃性ではないからである。すなわち、トンネルという閉鎖された空間内で、火災などが発生した場合、可燃性のものは勿論、難燃性のものであっても、有毒なガスが発生してトンネル内部に充満する虞があるからである。
【0004】
一方、公知の不燃性の電波吸収体としては、シラスバルーンと珪酸アルカリ水溶液との組成物を炭酸ガスを用いて固化成形させたもの等が挙げられる(特許文献1参照)。しかし、こういった公知の不燃性の電波吸収体は重く(密度が大きく)、布設が困難であり、また布設後の不所望な落下防止策を施さねばならないので、トンネルなどといった不燃性が要求され、かつ、布設スペースが限定される場所への布設には最適ではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−326491号公報(第3および4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、不燃性であり、かつ、軽量な電波吸収体、特にETCやDSRCに好適な5.8GHz帯域の不要電波を吸収し得る電波吸収体を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上述の課題を達成し得る、以下の特徴を有する本発明を完成した。
(1)炭酸カルシウム、タルク、結着性樹脂、発泡剤およびこれらの合計量100重量部に対して5〜20重量部の導電性カーボンを含有する組成物を加熱発泡してなる発泡電波吸収体。
(2)厚さが2〜50mmである上記(1)に記載の発泡電波吸収体。
(3)上記結着性樹脂が塩化ビニル系樹脂である上記(1)または(2)に記載の発泡電波吸収体。
(4)上記結着性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂またはアクリル系樹脂である上記(1)または(2)に記載の発泡電波吸収体。
(5)電波の入射を意図する面の反対側の面に、さらに電波反射層を設けてなる上記(1)〜(4)のいずれかに記載の発泡電波吸収体。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡電波吸収体は、炭酸カルシウムおよびタルク(両者をまとめて「無機母材」ともいう)、結着性樹脂、発泡剤ならびに所定量の導電性カーボンを含有する組成物を用いる。該組成物を加熱発泡することで、不燃性であり、かつ、軽量な発泡電波吸収体を得ることができる。
【0009】
ここで、「不燃性」であるとは、建築基準法で定められている不燃、準不燃、難燃性能試験によって、「不燃」と評価されるものを指し、例えば、東洋精機製作所製のコーンカロリーメータ(C3タイプ、BCタイプ等)を用いて試験・測定すればよい。
【0010】
また、発泡電波吸収体が「軽量」であるとは、発泡電波吸収体の密度(発泡体としての密度であって、材質自体の密度ではない)が0.05〜0.2g/cmであることをいい、好ましくは、0.07〜0.15g/cmであることをいう。前記密度が0.2g/cmより大きいと単位面積あたりの重量が大きくなるので小分けをして布設をしなければならない傾向にあり(布設困難性)、さらに個々に落下防止策を施す必要が生じる。逆に、前記密度が0.05g/cmより小さい発泡電波吸収体を再現性よく製造することは困難である。
【0011】
無機母材である炭酸カルシウムおよびタルクは市販品等をそのまま用いてもよい。ここで、タルクとはマグネシウムの含水ケイ酸塩を意味し、例えばMgSi10(OH)なる組成で表されるものが挙げられる。後述する結着性樹脂、発泡剤、導電性カーボンとの均一な混合が容易である点から、無機母材の平均粒径は50〜300μmであることが好ましい。平均粒径が50μm未満であると、前述した均一な混合が困難になる傾向にあり、平均粒径が300μmより大きいと無機母材間を充分に接着することが困難になる傾向にある。炭酸カルシウムおよびタルクは無機化合物であるため、発泡電波吸収体への不燃性の付与に貢献する。無機母材(炭酸カルシウムおよびタルク)における配合比(炭酸カルシウム/タルクの重量比)は50/50〜95/5が好ましい。後述する結着性樹脂として塩化ビニル系樹脂を適用する場合などには、炭酸カルシウムを多く配合することで、発泡電波吸収体が高温になったときに塩化ビニル系樹脂から発生する塩素ガスを吸着するという効果が期待される。
【0012】
本発明で用いる結着性樹脂は、本発明で用いる組成物に含有させることで、無機母材、発泡剤、導電性カーボン、その他後述する充填材などを均一分散した状態で一体化させるために用いられるものであり、加熱発泡時の熱によって分解することなく、軟化または溶融して、その効果を発するものであればよい。そのような結着性樹脂としては、例えば、溶融温度が150〜300℃(好ましくは170〜250℃)である高分子樹脂が挙げられ、そのような高分子樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂(以下、EVA系樹脂ともいう)、アクリル系樹脂等が挙げられる。ここで、塩化ビニル系樹脂としては、一般の塩化ビニル樹脂を広く用いることができる。その性状も特に限定されることなく用いられるが、平均粒径が10〜30μmのいわゆるペーストレジンの態様で用いることが好ましい。このようなペーストレジンであれば無機母材、発泡剤、導電性カーボンとの均一な組成物を得易くなる。結着性樹脂が塩化ビニル系樹脂である場合、その含有量は、無機母材100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、30〜80重量部がより好ましい。塩化ビニル系樹脂の含有量が10重量部未満であると、充分な発泡が行われ難く機械的強度も得られず発泡電波吸収体が脆くなってしまうので好ましくない。逆に、塩化ビニル系樹脂の含有量が100重量部を超えると、燃焼時に炭酸カルシウムで制御できない程度の有毒ガスが発生する虞があるので好ましくない。
【0013】
結着性樹脂がEVA系樹脂またはアクリル系樹脂である場合も上述した塩化ビニル系樹脂の場合と同様、平均粒径が10〜30μmのいわゆるペーストレジンの態様で用いることが好ましい。また、EVA系樹脂およびアクリル系樹脂は、燃焼時の有毒ガスの発生量が少ない点で塩化ビニル系樹脂よりも好ましい結着性樹脂であるといえる。結着性樹脂がEVA系樹脂またはアクリル系樹脂である場合、その含有量は、均一な組成物を得易くなるという点から、無機母材100重量部に対して、10〜100重量部が好ましい。EVA系樹脂、アクリル系樹脂は公知のものを特に限定なく使用することができ、EVA系樹脂の一例としてエバフレックス(三井デュポンポリケミカル社製)が、アクリル系樹脂の一例としてパラペット(クラレ社製)が挙げられる。
【0014】
本発明で用いる発泡剤としては、加熱(通常150〜200℃、好ましくは170〜180℃)により分解してガス(例えば、窒素ガス、炭酸ガス、水素ガス、アンモニアガスなど)を発生する物質であれば特に限定されず、例えば、有機発泡剤であるアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチルニトリル、ジニトロソペンタテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等、あるいは、無機発泡剤である重炭酸ソーダ、塩化アンモニウム等が挙げられる。
【0015】
本発明で用いる組成物における発泡剤の含有量は、無機母材100重量部に対して10〜120重量部であることが好ましい。前記含有量が10重量部未満であると、発泡不十分のため安定した密度の発泡電波吸収体を得難くなり、120重量部より多いと、未発泡の発泡剤が電波吸収特性に影響を及ぼす傾向がある。
【0016】
本発明の発泡電波吸収体を製造するに際しては、所定の周波数の電波を良好に吸収させるため、導電性カーボン用いる。導電性カーボンとは、平均粒径が10〜30nmのファーネスブラックまたはアセチレンブラックのことを指す炭素材料である。上述した無機母材、結着性樹脂および発泡剤への分散性の点からファーネスブラックが好ましく、少量の添加で充分な電波吸収性能(反射減衰量特性)を発現せしめることができるという点からアセチレンブラックがより好ましい。本発明で用いる組成物における導電性カーボンの含有量は、無機母材、結着性樹脂および発泡剤の合計量100重量部に対して、5〜20重量部であり、好ましくは10〜15重量部である。前記含有量が5重量部未満であると電波吸収性能が発現しないため、また、20重量部より多いと顕著に電波吸収性能が向上しないにもかかわらず均一な発泡を妨げる原因となるので不適切である。
【0017】
本発明で用いる組成物は、上述の無機母材、結着性樹脂、発泡剤および導電性カーボンを含有するが、電波吸収性能の低下や密度が大きくならない等といった不具合が生じない範囲で、適宜、充填材、有機溶剤、水、可塑剤等をさらに含有していてもよい。充填材としては、水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、結晶水を有する無機化合物(石膏、硫酸アルミニウム等)などの他、アスベスト、ペンナイト、クレー等といった化合物も挙げられる。有機溶剤としては、一般に用いられているものを広く利用できるが、特にトルエン、キシレン等が好ましい。可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジシクロヘキシル、リン酸トリクレシル、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリ(クロロエチル)ホスフェート、トリスクロロプロピルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、リン酸トリス(イソプロピルフェニル)、クレジルジフェニルホスフェート、ジオクチルアゼレート、塩化パラフィン等が例示される。
【0018】
本発明で用いる組成物の製造方法および組成物を金型内で加熱発泡させる方法は特に限定はない。用いる金型や、加熱手段等は発泡体の製造において通常使用されているものをそのまま用いることができる。以下、組成物が可塑剤を含む場合と、含まない場合につき、それぞれ製造方法を一例ずつ示す。但し、本発明は以下の例示に限定されるわけではない。
【0019】
可塑剤を加えない場合には、無機母材、結着性樹脂、発泡剤および導電性カーボンを上述した含有比率となるように混合して、好ましくは適量の上記有機溶剤を加えながら、ニーダー等で混合する。この際、結着性樹脂がゲル化せず、また発泡剤が発泡しないように、混合機内の組成物の温度は、好ましくは0〜50℃の範囲内とする。
【0020】
次いで、上記組成物を金型内に充填し、好ましくは150〜200℃(より好ましくは170〜190℃)に加熱して、発泡剤を発泡させ、同時に結着性樹脂をゲル化させる。この際、金型内の内容物が、発泡剤の発泡及び有機溶剤の蒸発によって飛散しないように、金型をプレス等で加圧し、気密を保持して反応を進行させるのが好ましい。これにより、金型内部が高温・高圧になることによって、発泡剤の発泡で生じたガスはゲル化した結着性樹脂、無機母材および導電性カーボンの中に、均一に拡散される。反応が十分に行われた後に、好ましくは金型の気密を保持したまま、室温にまで冷却してプレスを除圧して金型から生成物を取り出す。この時点で、通常、生成物は目的の発泡倍率の30〜40%となる(一次発泡)。好ましくは、その後、該生成物を常圧中、再びオーブン等の温風循環装置内で、好ましくは90〜120℃に加熱し、目的の発泡倍率である5〜20倍になるように膨張させる(二次発泡)。そして、膨張したら再び室温にまで温度を下げて、養生させる。なお、発泡倍率とは、発泡体の体積が発泡前の組成物の体積の何倍になるかを示す値である。養生の後、生成物を徐々に加熱し、有機溶媒を取り除くと所望の密度(0.05〜0.2g/cm)の、発泡電波吸収体に用いることができる発泡体が得られる。
【0021】
一方、可塑剤を用いる場合には、上述した無機母材、結着性樹脂、発泡剤および導電性カーボンの混合粉体に可塑剤を加え、好ましくは0℃から常温の範囲で、かつ、常圧にてニーダー等で低回転にて混練する。さらに、この組成物に、好ましくは、不燃性向上充填剤を加えて混練する。ここで、不燃性向上充填剤としては、水酸化アルミニウム等といった水酸化物あるいはクレー等といった結晶水を有する化合物等が例示される。混練後に、さらに可塑剤を加えて、ペースト状の組成物を得る。その後、金型内において該組成物を加熱し、少なくとも発泡剤が分解する温度以上(通常、150〜200℃、好ましくは170〜180℃)で、かつ、結着性樹脂がゲル化する温度まで加熱する。これによって、結着性樹脂は溶剤(可塑剤)に溶け、炭酸カルシウムの微粒子を隅なく包み込み、各微粒子に接着してそれら相互間をも接着せしめる。その後、室温にまで冷却することで本発明の発泡電波吸収体として用いることができる発泡体を得ることができる。
【0022】
このようにして得られた発泡体は、結着性樹脂の含有量が少ないにもかかわらず、接着が強固になる。従来の発泡電波吸収体においては、炭酸カルシウムの含有量が90重量%前後になると熱可塑性がなくなるのであるが、本発明の発泡電波吸収体は完全な熱可塑性を有するものとなる。よって、発泡体を形成した後であっても、完全に硬化する前であれば、必要に応じて極めて容易にスライス等することが可能であり、所望の寸法に容易に成形することができる。また、その軟質状態における発泡体は、特定の型上に載置するのみで、その型通りの形状に容易に変形して硬化させることができ、凹凸状の立体形状の成形体を容易に成形可能である。一方、一旦、板状等に成形した発泡体は、後に再加熱することにより、上記結着性樹脂の特性から容易に可塑化されるので、加熱プレス成形が可能となり、後加工が行えるという極めて特徴的な性質をも有している。この加熱プレス加工によって、所望の厚さの発泡電波吸収体を得ることができ、加圧力はプレス前後の発泡体の密度、所望の厚さを考慮した上で適宜決定すればよい。ここで、発泡電波吸収体としての好ましい厚さは2〜50mmである。発泡電波吸収体として厚さとは、当該発泡電波吸収体を板状体に近似した場合の、電波の入射を意図する面とその反対側の面との間の面間距離である。厚さは対象とする電波の周波数によって異なるが、2mm未満であると発泡体としての成形が困難であり、製品歩留まりが低下する傾向にあり、50mmを超えると省スペース化が図り難い。また、密度は0.05〜0.2g/cmが好ましい。このような密度とすることで、発泡度が安定した発泡電波吸収体を得易くなる。
【0023】
ここで、発泡電波吸収体が吸収すべき電波の周波数を調整するには、上述の製造方法において、例えば、導電性カーボンの配合量、発泡電波吸収体としての厚さを制御すればよい。したがって、上述したように、導電性カーボンの配合量を、無機母材、結着性樹脂および発泡剤の合計量100重量部に対して、5〜20重量部、好ましくは10〜15重量部とし、より好ましくは、発泡電波吸収体としての厚さを2〜50mm(特に好ましくは8〜15mm)とすれば、5.8GHz帯域の電波に対して10dB以上の反射減衰量を示す発泡電波吸収体を得ることができる。
【0024】
このようにして得られた発泡電波吸収体は、炭酸カルシウムおよびタルクからなる無機母材を主体とした独立気泡によって形成されているので、軽量で断熱性、吸音性、耐水性を有し、かつ、機械的強度に優れ、寸法安定性、不燃性等も有する。したがって、そのまま用いること、予め発泡体に顔料や染料を混入させて用いること、あるいは外面に塗装等の着色を施して用いること等が可能である。更に、本発明で得られる発泡電波吸収体は、火災等により高温になっても、有毒ガスの発生は極めて微量に抑制される。特に結着性樹脂としてEVA系樹脂やアクリル系樹脂を用いることで、有毒ガスの発生をさらに低減させることができる。よって、本発明の発泡電波吸収体は有毒ガスに関する危険性は極めて少ないので、この点からも、屋外やトンネル内への布設に極めて有用である。
【0025】
上記のように製造される本発明の発泡電波吸収体の背面(電波の入射を意図する面とは反対側の面)には、金属製の板または箔を電波反射層として設けてもよい。電波反射層としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄またはそれらの合金からなる板や箔を使用することができる。また、電波反射層には、外傷または腐食を防止するためのラミネート箔で保護されたものを用いることが好ましい。ラミネート箔としては、例えばPETフィルム等が挙げられる。発泡電波吸収体への電波反射層の取り付けは、例えば公知の接着剤を介した接着などといった方法が挙げられるが特に限定されない。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を示すことにより本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例の記載により何ら限定されるものではない。
【0027】
[実施例1−8、比較例1−7]
後述する表1、2記載の如く、炭酸カルシウム(平均粒径100μm)、タルク、結着性樹脂、発泡剤としてのアゾジカルボンアミドおよび炭素材料(各種カーボンブラック)をニーダーに入れて5分間混合した。次いで、炭酸カルシウム40重量部に対し50重量部の有機溶剤(トルエン)を徐々に加えて1時間混練した。混練による加圧状態のまま、得られた組成物を金型に隙間なく充填し、上部にふたをして、プレスにより加圧した。この状態で170℃にまで加熱して結着性樹脂をゲル化させ、同時に発泡剤を分解させた。
【0028】
表中、「塩化ビニル系樹脂」とは平均粒径25μmの塩化ビニル系樹脂を意味し、「エバフレックス」とはEVA系樹脂(三井デュポンポリケミカル社製)を意味し、パラペットとはアクリル系樹脂(クラレ社製)を意味する。また、表中、「カーボンブラック」の欄のうち、「ファーネスブラック(BLACK PEARLS 3500(キャボット社製))」と「ケッチェンブラック」は導電性カーボンに該当するが、黒鉛は導電性カーボンに該当しない。
【0029】
充分にゲル化、分解させた後、加圧状態のまま金型を室温にまで冷却させ、発泡体を取り出した。該発泡体を常圧にて再び150℃にまで加熱して所定の寸法にまで膨張させた。その後、一旦、室温にまで冷却してからさらに徐々に100℃にまで加熱してトルエンを発泡体から蒸発させて完全に除去した。以上のようにして発泡電波吸収体を得た。得られた発泡電波吸収体をスライス加工し、幅900mm×長さ900mm(厚さは、表1参照)に成形した。
【0030】
[評価]
上記各実施例、比較例にて製造した発泡電波吸収体について以下の評価に供した。
(電波吸収特性)
製造した、幅900mm×長さ900mm(厚さは、表1参照)の発泡電波吸収体を9枚の幅300mm×長さ300mm(厚さは、表1参照)の発泡電波吸収体に切り取った。各発泡電波吸収体についてそれぞれ、0〜50°の角度で入射する5.8GHz帯域の円偏波に対する反射減衰量を測定した。9枚の発泡電波吸収体全てが0〜50°の範囲で20dB以上の反射減衰量を示した場合は◎と評価した。評価◎には該当しないが、9枚の発泡電波吸収体全てが10dB以上の反射減衰量を示した場合は○と評価した。1枚でも10dB未満であれば×と評価した。
【0031】
(不燃、準不燃、難燃性能試験)
東洋精機製作所製のコーンカロリーメータIII C9を使って、建築基準法で定められている不燃、準不燃、難燃性能試験を行い、「不燃」と評価されるものを○と評価し、そうでないものを×と評価した。
【0032】
各発泡電波吸収体の製造条件および測定結果を表1、2にまとめる。
【0033】
【表1】
Figure 2004153016
【0034】
【表2】
Figure 2004153016
【0035】
【発明の効果】
本発明の発泡電波吸収体は無機母材を使用しており、かつ、発泡体であるので、不燃であり、かつ、軽量である。さらに、導電性カーボンの含有量および発泡電波吸収体の厚さを制御することで、例えば、デジタル携帯電話(800MHz)、シティホン(1.5GHz)、PHS(1.9GHz)、cdma2000/W−CDMA(2GHz)、無線LAN(IEEE 802.11bでは2.4GHz)、Blue tooth(2.4GHz)、電気通信業務用および公共業務用固定衛星、特定データ通信(IEEE 802.11aでは5.2GHzおよび5.8GHz)、地球探査衛星、気象レーダー(5.25〜5.35GHz)、高速道路のETC、DSC(5.8GHz)から発生する不要反射電波を良好に吸収する不燃で軽量な発泡電波吸収体を得ることができる。

Claims (5)

  1. 炭酸カルシウム、タルク、結着性樹脂、発泡剤およびこれらの合計量100重量部に対して5〜20重量部の導電性カーボンを含有する組成物を加熱発泡してなる発泡電波吸収体。
  2. 厚さが2〜50mmである請求項1に記載の発泡電波吸収体。
  3. 上記結着性樹脂が塩化ビニル系樹脂である請求項1または2に記載の発泡電波吸収体。
  4. 上記結着性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂またはアクリル系樹脂である請求項1または2に記載の発泡電波吸収体。
  5. 電波の入射を意図する面の反対側の面に、さらに電波反射層を設けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の発泡電波吸収体。
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