JP2004152627A - 電流制御方法及びそれを実施するための電流制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サイリスタと電流検知手段を用い、検知した電流に応じてサイリスタに入力するゲート信号のパルス幅を調整してヒーターに流れる電流を制御する方法であり、予め、ヒーターに流す電流の許容値を定めるとともにこの許容値に基づき電流の下限値及び上限値を設定し、スイッチ投入で、任意のパルス幅のゲート信号入力、ヒーターに流れる電流値の検知を開始するとともに検知電流が上限値に達するまでパルス幅を任意の値ずつ加算し、検知電流が上限値に達した後にパルス幅の加算を停止してパルス幅を維持し、検知電流が上限値を下回った場合はこれが上限値に達するまでパルス幅の加算を再開し、検知電流が再び下限値を通過した場合はバイパス手段により電源電圧を直接ヒーターに供給する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極性のサーミスター特性を有するヒーターを使用するに際してヒーターが消費する電流を制御するための電流制御方法及びそれを実施するために用いられる電流制御装置に係り、より詳しくは、ヒーターと電源との間にサイリスタを介在させ、ヒーター側に流れる電流を検知しながら、この検知した電流に応じてサイリスタへ入力するゲート信号のパルス幅を調整し、これによりヒーター側へ流れる電流を一定の範囲内に抑えることを可能とした電流制御方法及びそれを実施するための電流制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、床暖房、融雪等のために電気式のヒーターを用いることが行なわれており、このヒーターとしては、正極性のサーミスター特性を有するヒーターが用いられることがある。
【0003】
ここで、この「正極性のサーミスター特性を有するヒーター」とは、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、これにより消費する電流が制御されるとともに温度上昇が緩やかになり、その後、消費電流及び発熱部の温度が、飽和領域に達して安定していくものであり、一般的に「PTCヒーター」と呼ばれている。
【0004】
このように、PTCヒーターでは、ヒーターの温度が上昇すると消費電流が低くなり、その後一定温度の飽和領域に達すると、消費電流が低い値で安定する特性があるために、これを用いることにより、消費電力の節約ができるとともに、発熱体の温度の異常上昇を防止可能であるという利点があり、また、一般の発熱体に比較して温度の立ち上がりが速いため、床暖房や融雪のように目的としている温度帯域が明確である場合に使用することが近年多く見受けられる。
【0005】
ところで、このPTCヒーターでは、前述したように、温度上昇に伴って抵抗値が上昇する特性を有するので、初期立ち上がり時に最も消費電流が大きくなるため、これを使用するに際してはこの初期立ち上がり時の電流に合わせて電力契約を行なう必要がある。
【0006】
しかしながら、一般的にPTCヒーターの場合には初期立ち上がり時電流が大きく、またこの初期立ち上がり時電流は、PTCメーカーや周囲温度により異なるが、安定領域の電流に対して1.5倍から8倍程度の差異があるため、これを使用する場合には大口の電力契約をしなければならなかった。
【0007】
その一方、例えば、集合住宅であるマンションやアパートでは構造上電力契約が制限される場合が多く、床暖房の専用回線として1回路(20A)しか引き込みできない場合がしばしば見受けられ、かかる場合には、PTCヒーターの設置枚数が制限され、床暖房を十分に行なうことができないという問題点が発生することが考えられる。
【0008】
また、構造上からの電力契約の制限が無い戸建住宅の場合でも、リビングのような広い面積にPTCヒーターを設置しようとすると電力契約が大口となり電気代が高くなる一方、PTCヒーターを使用しない夏場でもこの大口契約した基本料金を払わなければならないという問題点が考えられる。
【0009】
更に、駐車場のような広い場所に融雪用にPTCヒーターを設置する場合には、更に膨大な電力契約が必要とされ、電気代の基本料金が高くなるという問題点がある。
【0010】
そのため、このような問題点を解決するために、複数枚のヒーターを用いて床暖房を行なう場合には、各ヒーターへの電源供給を切り替えながら行なう方法等が採用される場合があるが、この方法では、すべてのヒーター温度が適温に上昇するまでに時間がかかってしまうという問題が発生する。
【0011】
一方、このような問題点を回避するために、従来から、PTCヒーターの使用に際しての電流制御方法として、電流検知センサーを用いた方法が採用されており、この方法は、ヒーター側に流れる電流を検知し、この検知した電流が契約電流を超えた場合に電流を制御する方法であり、この方法を採用することによって消費電流を契約電流の範囲内に抑えることを可能としている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では、ヒーター側に一旦電流を流し、その後にこの電流を制限する方法であるため、初期立ち上がり電流が契約電流よりもはるかに大きい場合には、電源投入と同時にブレーカーが落ちてしまうという問題点が発生する。
【0013】
そこで、本発明は、PTCヒーター使用に際して、契約電力を大口にすること無く、短時間でヒーター温度を適温まで上昇可能にする電流制御方法及びそれを実施するための電流制御装置を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の電流制御方法は、正極性のサーミスター特性を有するヒーターに電源を供給するに際し、前記ヒーターへ流れる電流値を検知しながら、検知した電流値に応じて、サイリスタを用い、このサイリスタに入力するゲート信号を調整することによって前記ヒーターへ流れる電流値を制御する電流制御方法であり、
予めヒーター側へ流れる電流値の許容値を選択するとともに、この選択した上限値に基づいて、ヒーター側へ流れる電流値の下限値及び上限値を決定し、
電源スイッチの投入により、電流値の検知を開始するとともに、任意のパルス幅を有するゲート信号を、検知している電流値が、前記下限値を通過して前記上限値に達するまで、パルス幅を任意の値ずつ加算していきながらサイリスタへ入力していき、
電流値が上限値に達した後は、前記ゲート信号のパルス幅の加算を停止して当該時点におけるパルス幅を維持し、
その後、電流値が前記上限値を下回った場合は、電流値が再び下限値を通過した場合を除いて、前記電流値が前記上限値に達するまでパルス幅の加算を再開するとともに、これにより電流値が上限値に達した後は、再び前記ゲート信号のパルス幅の加算を停止して当該時点におけるパルス幅を維持して、以後電流値が前記上限値を下回った場合にこれを繰り返して、
前記ヒーターの温度上昇に伴いヒーターの抵抗値が高くなり、これにより電流値が前記上限値を下回るとともに再び下限値を通過して下限値を下回った場合には、前記サイリスタを介さずに、電源電圧を直接前記ヒーターへ供給する、ことを特徴としている。
【0015】
また、本発明の電流制御装置は、前記電流制御方法を実施するための電流制御装置であって、
ヒーター側へ流れる電流値を検知するための電流検知手段と、
ヒーター側へ流れる電流値を制御するためのサイリスタと、
該サイリスタへ入力するゲート信号を生成するためのゲート信号生成手段と、ヒーター側へ流れる電流値の許容値を設定するためのモード切替スイッチと、該モード切替スイッチの設定に基づいて電流の下限値と上限値とを設定するとともに、現在の電流値に基づいて前記ゲート信号生成手段を制御して、前記サイリスタへ入力するゲート信号のパルス幅を調整するための制御手段と、
現在の電流値が再び下限値を通過した場合に、ヒーター側へ電源電圧を供給するためのバイパス手段と、を具備したことを特徴としている。
【0016】
本発明では、予めヒーター側へ流れる電流値の許容値を選択するとともに、この選択した上限値に基づいて、ヒーター側へ流れる電流値の下限値及び上限値を決定し、その後、電源スイッチの投入により、サイリスタへ入力するゲート信号のパルス幅を調整しながら、ヒーター側へ流れる電流値が前記設定した上限値を超えないようにしている。
【0017】
そのため、使用するヒーターの大きさ、及び契約電流に応じて電流値の許容値の選択が可能であり、従って、例えば2個以上のヒーターを用いる場合においても、ヒーターに流れる電流値の合計を契約電流の範囲内に押えることが可能となる。
【0018】
また、本発明の電流制御方法では、電流がヒーターへ流れる前にこれを制御する方法としているため、ヒーターに電流を流した後にこれを検知して制御する方法と異なり、ヒーターが初期立ち上がり時に消費する電流が契約電流よりもはるかに大きい場合であっても、電源投入と同時にブレーカーが落ちてしまうという問題点を回避することが可能である。
【0019】
更に、本発明では、ヒーターの温度上昇に伴ってヒーターの抵抗値が高くなることでヒーターへ流れる電流値が下がっていき、これにより電流値が再び下限値を通過した後には、バイパス手段を用いることによってサイリスタを介さずにヒーターへ電源電圧を直接供給することを可能としているため、サイリスタが作動し続けることによるサイリスタの温度上昇を防止することができる。
【0020】
【実施例】
本発明の電流制御方法及びそれを実施するための電流制御装置の実施例について説明すると、図1は本実施例の電流制御装置を説明するための図であり、図において太線部分が主電流の経路である。そして、図において1は電源、及び17はPTCヒーターであり、即ち、本実施例の電流制御装置は、電源2とPTCヒーター17間に介在されて用いられる。
【0021】
次に、図において3は電流検知手段としての電流センサーであり、この電流センサー3は、PTCヒーター17へ流れる電流値を検知するために用いられる。
【0022】
また、図において15はサイリスタであり、このサイリスタ15は、電源2とPTCヒーター17間に介在され、これにより、PTCヒーター17へ流れる電流値を調節し、PTCヒーター17で消費する電流を契約電流内に抑えることを可能としている。なお、本実施例において、このサイリスタ15としては、双方向の電流コントロールが可能なトライアックを用いている。
【0023】
次に、前記電流センサー3には、直流増幅回路4を介してモード切替スイッチ5A、5Bが接続されており、このモード切替スイッチ5A、5Bによって電流値の許容値が設定される。
【0024】
ここで、図2はモード切替スイッチ5A、5Bにより設定される電流値の許容値を説明するための図であり、本実施例においては、モード切替スイッチとして2個のディップスイッチ5A、5Bを用いて、このディップスイッチ5A、5Bの組み合わせにより、20A、15A、12A、10Aの4通りの許容値を設定可能としている。但し、必ずしもディップスイッチを用いる必要は無く、またスイッチの数も2個には限定されず、更に、許容値の種類も前記に限定されるものではない。
【0025】
次に、図1において6は制御手段としてのマイコンであり、本実施例においてはまず、前記ディップスイッチ5A、5Bからの信号を受けて、マイコン6において、電流値の下限値及び上限値が設定される。そして、本実施例においては、図2に示すように、許容値を20Aにした場合には、下限値として19.3A、上限値として19.8Aを設定し、許容値を15Aにした場合には、下限値として14.3A、上限値として14.8Aを設定し、許容値を12Aにした場合には、下限値として11.3A、上限値として11.8Aを設定し、許容値を10Aにした場合には、下限値として9.3A、上限値として9.8Aを設定可能としている。
【0026】
次に、図において7は、前記トライアック15へ入力するゲート信号を生成するためのゲート信号生成手段であり、本実施例においてこのゲート信号生成手段7は、ラダー抵抗9、ゼロボルトスイッチ10、及びゲートパルス増幅回路11により構成されている。
【0027】
ここで、このゲート信号生成手段7の作用について説明すると、本実施例においては、まず、電源スイッチの投入により、前記マイコン6よりラダー抵抗9に対して、ビット毎の電流が出力されるとともに、この出力は、前記電流センサー3で検知している電流値が上限値に達するまでは1ビット毎加算されていき、電流値が上限値に達した後はこのビット毎の加算が停止される。また、前記電流センサー3で検知している電流値が上限値を下回った場合には、この電流値が再び下限値を通過して下限値を下回った場合を除いて、再び、電流値が上限値に達するまで、マイコン6から出力される電流が1ビットごと加算されていく。
【0028】
そして、ラダー抵抗9では、この出力された電流を電圧レベルに変換してゼロボルトスイッチ10に出力する。
【0029】
そうすると、ゼロボルトスイッチでは、ラダー抵抗9から出力された電圧レベルに応じて、ゲートパルス増幅回路11を介して、前記トライアック15にゲート信号を出力する。そしてそれにより、トライアック15の作動を制御して、PTCヒーター17へ供給する電流値を制御することが可能となる。即ち、本実施例においては、前記電流センサー3で検知している電流値に基づき、マイコン6により前記ゲート信号生成手段7を制御し、これにより前記サイリスタ15へ入力するゲート信号のパルス幅を調整している。
【0030】
なお、ここで図3は、このマイコン6とラダー抵抗9との関係を示すブロック図であり、本実施例において前記マイコン6は、0〜nまでの出力端子を有しており、この出力端子がそれぞれ順番に前記ラダー抵抗9に接続されている。そして、スイッチの投入により、0からnまでの出力端子が、順番に1ビットごとの電流を出力していく。即ち、マイコン6からは、スイッチ投入の時点から、0から初めて、1ビットごとが加算された電流が出力されていく。
【0031】
一方、ラダー抵抗9は、マイコン6よりの電流を受けてこれを電圧レベルに変換するとともに、この電圧をゼロボルトスイッチ10に出力する。そしてこのとき、マイコン6からは、1ビット毎が加算された電流がラダー抵抗9に出力されるため、ラダー抵抗9から出力される電圧レベルも、マイコン6からの電流値が増えていくにしたがって順次大きくなっていく。そうすると、この電圧を受けたゼロボルトスイッチ10から出力されるゲート信号のパルス幅もまた順次大きくなり、これにより、電源2からPTCヒーター17へ流れる電流値も大きくなっていき、PTCヒーター17の温度が次第に上昇していく。
【0032】
次に、図1において12はドライバー切替回路であり、このドライバー切替回路12は、リレー用ドライバー13を介してリレー14に接続されており、及び、このリレー14におけるA接点が前記トライアック15の前後に接続されてバイパス回路を形成しており、これにより、リレー14が作動してA接点16が閉じることにより、トライアック15を介さずに、電源電圧を直接PTCヒーター17に供給可能としている。
【0033】
そして、本実施例においては、前記マイコン6において、前記電流センサー3で検知している電流値が下限値を通過する回数を記憶しておき、電流値が2度目に下限値を通過した際に、マイコン6が所定の信号を前記ドライバー切替回路12に出力し、これにより、前記ドライバー切替回路12が作動してバイパスが作動するように構成している。
【0034】
即ち、前述したように、PTCヒーターでは、温度が上昇することにより抵抗値が高くなり、温度が一定温度に達した後には消費電流が低い値で安定していくものであるため、PTCヒーターが飽和領域に達した後においては、トライアックを用いて消費電流を制御することが不要であるのみならず、トライアックを用いている場合には、トライアックの温度上昇を防止するためのヒートシンク、ファン等が必要となり、それにより装置を大型化せざるを得なくなってしまう。そこで、本実施例では、PTCヒーター17が飽和領域に達した後には、トライアックを介さずに、バイパス手段を用いて電源電圧をPTCヒーター17に供給するように構成し、トライアックのヒートシンク等による装置の大型化を防止している。
【0035】
次に、このように構成される本実施例の電流制御装置の作用について、図4のフローチャートを用いて説明すると、まずステップ1の初期設定において、ディップスイッチ5A、5Bを操作して電流値の許容値を設定するとともに、これに基き、マイコン6において電流の下限値と上限値が設定される(図2参照)。
【0036】
次に、この初期設定の後にステップ2で電源スイッチを投入すると、PTCヒーター17への電源供給が開始されるとともに、ステップ3においてトライアック15に対するゲート信号の入力が開始され、更にそれとともにステップ4において、電流センサー3により、PTCヒーター17に流れる電流値の検知が開始される。
【0037】
そして、それとともに、ステップ5において、電流値が上限値に達するまでは、トライアック15に入力されるゲート信号のパルス幅が任意の値ずつ加算されていく。具体的には、まず、マイコン6よりラダー抵抗9に対して、0から初めて、1ビットずつ加算された電流が出力されていき、この加算は、電流値が下限値を通過して上限値に達するまで繰り返される。
【0038】
そして、ラダー抵抗9では、この1ビットずつ加算されて入力されてくる電流を電圧レベルに変換するとともに、この電圧をゼロボルトスイッチ10に出力する。
【0039】
そして、ゼロボルトスイッチ10からはトライアック15に対してゲート信号が出力されるとともに、このゲート信号のパルス幅が順次大きくなっていき、これにより、PTCヒーター17に流れる電流値が次第に大きくなっていく。
【0040】
一方、PTCヒーター17に流れる電流値が上限値に達すると、ステップ6において、マイコン6から出力される電流の1ビットずつの加算が停止され、マイコン6からラダー抵抗9に出力される電流値は、PTCヒーター17に流れる電流値が上限値に達した時点の電流値で維持される。
【0041】
そしてその後、電流値が上限値を下回った場合は、この電流値が再び下限値を通過する場合を除き、ステップ7において、再びマイコン6から出力される電流が1ビットごと加算されていくとともに、この加算は電流値が上限値に達するまで繰り返され、これによりPTCヒーター17へ流れる電流値が増やされ、PTCヒーター17の温度を上昇させることができる。そして以後は、電流値が上限値を下回った場合においてこの電流値が再び下限値を通過する場合を除き、電流値が上限値に達するまでこのステップ7によるパルス幅の加算が行なわれる。
【0042】
一方、前記PTCヒーター17の温度上昇に伴いPTCヒーター17の抵抗値が高くなり、これにより電流値が前記上限値を下回るとともに再び下限値を通過して下限値を下回った場合には、2度目の下限値通過をマイコン6が検知するとともに所定の信号を出力し、これにより、ステップ8において、ドライバー切替回路12が作動してリレー14のA接点が閉じ、これにより、トライアック15を介さずに、電源電圧がPTCヒーター17に供給される。そして以後は、PTCヒーター17が飽和領域に達するために、消費電流が低い値で安定する。
【0043】
このように、本実施例では、ディップスイッチの組み合わせにより電流値の許容値を設定するとともに、その設定値に基づいて電流値の上限値と下限値を設定し、PTCヒーターに流れる電流値が上限値を超えないようにしているために、大口の電力契約をすることなく、PTCヒーターを使用することが可能であるとともに、使用するPTCヒーターの大きさ、及び電力契約に応じて電流値の選択が可能である。従って、例えば2個以上のPTCヒーターを用いる場合においても、ディップスイッチの組み合わせによって、PTCヒーターに流れる電流値の合計を契約電流の範囲内に押えることが可能となる。
【0044】
また、本実施例では、電流がPTCヒーターに流れる前にその値を制御することが可能であるために、冬場等において、PTCヒーターの初期立ち上がり時電流が大きい場合でも、スイッチ投入と同時にブレーカーが落ちてしまうという事態を防止することが可能である。
【0045】
更に、本実施例では、ヒーターの温度上昇に伴ってヒーターの抵抗値が高くなることによりヒーター側へ流れる電流値が下がっていき、電流値が再び下限値を通過した後には、バイパス手段を用いることによってサイリスタを介さずにヒーターへ電源電圧を直接供給することを可能としているため、サイリスタが作動し続けることによるサイリスタの温度上昇を防止することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の電流制御方法及びそれを実施するための電流制御装置は、以上説明した形態で実施され、以下に記載するような効果を奏する。
【0047】
本発明では、予めヒーター側へ流れる電流値の許容値を選択するとともに、この選択した上限値に基づいて、ヒーター側へ流れる電流値の下限値及び上限値を決定し、その後、電源スイッチの投入により、サイリスタへ入力するゲート信号のパルス幅を調整しながら、ヒーター側へ流れる電流値が前記設定した上限値を超えないようにしている。
【0048】
そのため、使用するヒーターの大きさ、及び契約電流に応じて電流値の許容値の選択が可能であり、従って、例えば2個以上のヒーターを用いる場合においても、ヒーターに流れる電流値の合計を契約電流の範囲内に押えることが可能となる。
【0049】
また、本発明の電流制御方法では、電流がヒーター側へ流れる前にこれを制御する方法としているため、ヒーター側に電流を流した後にこれを検知して制御する方法と異なり、ヒーターが初期立ち上がり時に消費する電流が契約電流よりもはるかに大きい場合であっても、電源投入と同時にブレーカーが落ちてしまうという問題点を回避することが可能である。
【0050】
更に、本発明では、ヒーターの温度上昇に伴ってヒーターの抵抗値が高くなることによりヒーター側へ流れる電流値が下がっていき、電流値が再び下限値を通過した後には、バイパス手段を用いることによってサイリスタを介さずにヒーターへ電源電圧を直接供給することを可能としているため、サイリスタが作動し続けることによるサイリスタの温度上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電流制御装置の実施例を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の電流制御装置の実施例におけるディップスイッチの組み合わせ例とそれに基づいた電流の下限値及び上限値の例を示した図である。
【図3】本発明の電流制御装置の実施例に用いられるマイクロプロセッサーの作用を説明するための図である。
【図4】本発明の電流制御装置の実施例を用いた電流制御方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2 電源
3 電流センサー
4 直流増幅回路
5A、5B ディップスイッチ
6 マイコン
7 ゲート信号生成手段
9 ラダー抵抗
10 ゼロボルトスイッチ
11 ゲートパルス増幅回路
12 ドライバー切替回路
13 リレー用ドライバー
14 リレー
15 トライアック
16 A接点
17 PTCヒーター
Claims (2)
- 正極性のサーミスター特性を有するヒーターに電源を供給するに際して、前記ヒーターへ流れる電流値を検知しながら、検知した電流値に応じて、サイリスタを用い、このサイリスタに入力するゲート信号を調整することによって前記ヒーターへ流れる電流値を制御する電流制御方法であって、
予めヒーター側へ流れる電流値の許容値を選択するとともに、この選択した許容値に基づいて、ヒーター側へ流れる電流値の下限値及び上限値を決定し、
電源スイッチの投入により、電流値の検知を開始するとともに、任意のパルス幅を有するゲート信号を、検知している電流値が、前記下限値を通過して前記上限値に達するまで、パルス幅を任意の値ずつ加算していきながらサイリスタへ入力していき、
電流値が上限値に達した後は、前記ゲート信号のパルス幅の加算を停止して当該時点におけるパルス幅を維持し、
その後、電流値が前記上限値を下回った場合は、電流値が再び下限値を通過した場合を除いて、前記電流値が前記上限値に達するまでパルス幅の加算を再開するとともに、これにより電流値が上限値に達した後は、再び前記ゲート信号のパルス幅の加算を停止して当該時点におけるパルス幅を維持して、以後電流値が前記上限値を下回った場合にこれを繰り返して、
前記ヒーターの温度上昇に伴いヒーターの抵抗値が高くなり、これにより電流値が前記上限値を下回るとともに再び下限値を通過して下限値を下回った場合には、前記サイリスタを介さずに、電源電圧を直接前記ヒーターへ供給する、ことを特徴とする電流制御方法。 - 請求項1に記載の電流制御方法を実施するための電流制御装置であって、
ヒーター側へ流れる電流値を検知するための電流検知手段(3)と、
ヒーター側へ流れる電流値を制御するためのサイリスタ(15)と、
該サイリスタ(15)へ入力するゲート信号を生成するためのゲート信号生成手段(7)と、
ヒーター側へ流れる電流値の許容値を設定するためのモード切替スイッチ(5A、5B)と、
該モード切替スイッチ(5A、5B)の設定に基づいて電流の下限値と上限値とを設定するとともに、現在の電流値に基づいて前記ゲート信号生成手段(7)を制御して、前記サイリスタ(15)へ入力するゲート信号のパルス幅を調整するための制御手段(6)と、
現在の電流値が再び下限値を通過した場合にヒーター側へ電源電圧を供給するためのバイパス手段(14)と、を具備したことを特徴とする電流制御装置。
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