JP2004148491A - ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents

ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2004148491A
JP2004148491A JP2003351238A JP2003351238A JP2004148491A JP 2004148491 A JP2004148491 A JP 2004148491A JP 2003351238 A JP2003351238 A JP 2003351238A JP 2003351238 A JP2003351238 A JP 2003351238A JP 2004148491 A JP2004148491 A JP 2004148491A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zmp
moment
trajectory
priority
equation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003351238A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3674787B2 (ja
Inventor
Satoru Shimizu
悟 清水
Jinichi Yamaguchi
仁一 山口
Yoshihiro Kuroki
義博 黒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2003351238A priority Critical patent/JP3674787B2/ja
Publication of JP2004148491A publication Critical patent/JP2004148491A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3674787B2 publication Critical patent/JP3674787B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 機体上の部位毎の目標軌道を修正して未知外力モーメント及び未知外力を補償する。
【解決手段】 各部位毎の軌道からなる所望の動作データを基に、前記ロボットの機体に印加される各モーメントの釣合い関係を記述したZMP釣合い方程式を生成し、ZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーを算出し、機体を複数の部位に分割し、該モーメント・エラーを打ち消すために目標軌道を修正する部位の優先順位を設定し、優先順位に従った順番で、各部位毎に目標軌道を修正してモーメント・エラーを補償する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、少なくとも複数の可動部を備えたロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、可動脚などを備えた移動式のロボット装置において、ZMPを安定度判別規範に用いて姿勢安定化制御を行なうロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、機体上の部位毎の目標(希望)軌道を修正して未知外力モーメント及び未知外力を補償するロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット」という。ロボットの語源は、スラブ語の“ROBOTA(奴隷機械)”に由来すると言われている。わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
最近では、ヒトやサルなどの2足直立歩行を行なう動物の身体メカニズムや動作を模した脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。2足直立による脚式移動は、クローラ式や、4足又は6足式などに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、不整地や障害物など作業経路上に凹凸のある歩行面や、階段や梯子の昇降など不連続な歩行面に対応することができるなど、柔軟な移動作業を実現できるという点で優れている。
また、ヒトの生体メカニズムや動作を再現した脚式移動ロボットのことを、特に、「人間形」、若しくは「人間型」のロボット(humanoid robot)と呼ぶ。人間型ロボットは、例えば、生活支援、すなわち住環境その他の日常生活上のさまざまな場面における人的活動の支援などを行なうことができる。
人間の作業空間や居住空間のほとんどは、2足直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや行動様式に合わせて形成されおり、車輪その他の駆動装置を移動手段とした現状の機械システムが移動するのには多くの障壁が存在する。したがって、機械システムすなわちロボットがさまざまな人的作業を代行し、さらに人間の住空間に深く浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間のそれとほぼ同じであることが好ましい。これが、脚式移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でもある。
2足の脚式移動ロボットに関する姿勢制御や安定歩行に関する技術は既に数多提案されている。ここで言う安定な「歩行」とは、「転倒することなく、脚を使って移動すること」と定義することができる。ロボットの姿勢安定化制御は、ロボットの転倒を回避する上で非常に重要である。何故ならば、転倒は、ロボットが実行中の作業を中断することを意味し、且つ、転倒状態から起き上がって作業を再開するために相当の労力や時間が払われるからである。また、転倒によって、ロボット本体自体、あるいは転倒するロボットと衝突する相手側の物体にも、致命的な損傷を与えてしまう危険があるからである。
脚式移動ロボットの姿勢安定化制御や歩行時の転倒防止に関する提案の多くは、ZMP(Zero Moment Point)を歩行の安定度判別の規範として用いている。ZMPによる安定度判別規範は、歩行系から路面には重力と慣性力、並びにこれらのモーメントが路面から歩行系への反作用としての床反力並びに床反力モーメントとバランスするという「ダランベールの原理」に基づく。力学的推論の帰結として、足底接地点と路面の形成する支持多角形(すなわちZMP安定領域)の内側にピッチ軸及びロール軸モーメントがゼロとなる点、すなわちZMPが存在する(例えば、非特許文献1を参照のこと)。
要約すれば、ZMP規範とは、「歩行のあらゆる瞬間において、ZMPが足部と路面とが形成する支持多角形の内側に存在し、且つ、ロボットが路面に押す方向の力が作用すれば、ロボットが転倒(機体が回転運動)することなく安定に歩行できる」とするものである。
ZMP規範に基づく2足歩行パターン生成によれば、足底着地点をあらかじめ設定することができ、路面形状に応じた足先の運動学的拘束条件を考慮し易いなどの利点がある。また、ZMPを安定度判別規範とすることは、力ではなく軌道を運動制御上の目標値として扱うことを意味するので、技術的に実現可能性が高まる。
例えば、脚式移動ロボットは、ZMPがゼロとなる床面上の点を目標値に一致させるようにして安定歩行を行なうことができる(例えば、特許文献1を参照のこと)。
また、脚式移動ロボットは、ZMPが支持多面体(多角形)内部、又は、着地、離床時にZMPが支持多角形の端部から少なくとも所定の余裕を有する位置にあるように構成することができる(例えば、特許文献2を参照のこと)。この場合、外乱などを受けても所定距離だけZMPの余裕があり、歩行時の機体の安定性が向上する。
また、脚式移動ロボットの歩き速度をZMP目標位置によって制御することができる(例えば、特許文献3を参照のこと)。すなわち、あらかじめ設定された歩行パターン・データを用い、ZMPを目標位置に一致させるように脚部関節を駆動するとともに、上体の傾斜を検出してその検出値に応じて設定された歩行パターン・データの吐き出し速度を変更する。未知の凹凸を踏んでロボットが例えば前傾するときは、吐き出し速度を速めることで姿勢を回復することができる。またZMPを目標位置に制御するので、両脚支持期で吐き出し速度を変更しても支障がない。
また、脚式移動ロボットの着地位置をZMP目標位置によって制御することができる(例えば、特許文献4を参照のこと)。すなわち、同公報に記載の脚式移動ロボットは、ZMP目標位置と実測位置とのずれを検出し、それを解消するように脚部の一方又は双方を駆動するか、又はZMP目標位置まわりにモーメントを検出してそれが零になるように脚部を駆動することで、安定歩行を実現する。
また、脚式移動ロボットの傾斜姿勢をZMP目標位置によって制御することができる(例えば、特許文献5を参照のこと)。すなわち、ZMP目標位置まわりのモーメントを検出し、モーメントが生じたときは、それが零になるように脚部を駆動することで安定歩行を行なう。
上述したように、ZMPを安定度判別規範に用いたロボットの姿勢安定化制御は、足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側にピッチ及びロール軸モーメントがゼロとなる点を探索することにある。
しかしながら、本発明者らの先験的な検証の結果、ロボットが高速に脚式動作する際には、機体に対してはピッチ軸並びにロール軸回りのモーメントだけでなく、ヨー軸すなわちZ軸回りにもモーメントが発生することが判明した。
図6には、2足脚式移動ロボットの歩行速度[秒/歩]とヨー軸方向に発生するモーメントNmとの関係(例)を表している。同図からも判るように、脚式移動ロボットが1歩当りに要する時間が短くなる、すなわち歩行速度が増加するにつれて、ヨー軸モーメントは著しく増大していく。
このようなヨー軸モーメントは、やがて機体を旋回させるような作用を及ぼし、ロボットの足底と路面間にヨー軸回りの滑りが生じ、これが歩行の安定性に大きく影響するなど、期待された脚式作業を安定且つ正確に実現する上で障害となる。さらに、このヨー軸モーメントの影響が甚だしくなると、ロボットを転倒へと導き、機体や衝突物の損壊という事態も招きかねない。
また、脚式移動ロボットは、一般に、左右の上肢、下肢、体幹など複数の部位グループで構成され、さまざまな関節自由度を備えているが、歩行などの運動時にロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーを打ち消すために、これら複数の部位をどのように協調動作させればよいか、不明である。
また、ZMPを安定度判別規範に用いたロボットの姿勢安定化制御は、足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側にピッチ及びロール軸モーメントがゼロとなる点を探索するものであるが、ジャンプしたときや高台から飛び降りたときなど離床時においては、支持多角形そのものが存在しないため、支持多角形の内側にZMPを制御するという従来の手法が適用できないという問題もある。
特開平5−305579号公報 特開平5−305581号公報 特開平5−305583号公報 特開平5−305585号公報 特開平5−305586号公報 Miomir Vukobratovic著"LEGGED LOCOMOTION ROBOTS"(加藤一郎外著『歩行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社))
本発明の目的は、機体上の部位毎の目標軌道を修正して未知外力モーメント及び未知外力を補償することができる、優れたロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、機体を構成する各部位グループを協調的に動作させることにより、歩行などの運動時にロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーをそれぞれ好適に打ち消すことができる、優れたロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、ジャンプしたときや高台から飛び降りたときなど離床時においても、ロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーを好適に打ち消すことができる、優れたロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、少なくとも複数の可動部を備えたロボット装置の動作制御装置又は動作制御方法であって、
各部位毎の軌道からなる所望の動作データを基に、前記ロボットの機体に印加される各モーメントの釣合い関係を記述したZMP釣合い方程式を生成するZMP釣合い方程式生成手段又はステップと、
前記ZMP釣合い方程式生成手段又はステップにより生成されたZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーを算出するモーメント・エラー算出手段又はステップと、
機体を複数の部位に分割し、該モーメント・エラーを打ち消すために目標(希望)軌道を修正する部位の優先順位を設定する優先順位設定手段又はステップと、
該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標(希望)軌道を修正してモーメント・エラーを補償する軌道修正手段又はステップと、
を具備することを特徴とするロボット装置の動作制御装置又は動作制御方法である。
[従来の技術]欄でも説明したように、とりわけ2足歩行型の脚式移動ロボットにおいては、歩行速度の増加とともに機体に加わるヨー軸モーメントが著しく増大していく。このようなヨー軸モーメントは、機体の旋回や路面に対するヨー軸回りの滑り、さらにはバランスを失うことに伴う機体の転倒など、安定且つ正確な脚式作業を実現する上で障害となる。
本発明の第1の側面に係るロボット装置の動作制御装置並びに動作制御方法によれば、下肢、体幹部、上肢の運動の組み合わせからなる機体の運動パターンを実行する際に設定ZMP上で機体に印加されるヨー軸モーメントなどのモーメント・エラーを、所定の優先順位に従った順番に従い各部位毎に目標(希望)軌道を修正することによって打ち消すことができる。
また、本発明によれば、機体を構成する各部位グループを協調的に動作させることにより、歩行などの運動時にロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーを好適に打ち消すことができる。例えば、下肢や体幹部による脚式作業を継続しつつ、上肢の運動によって歩行やその他の脚式作業時における安定性を維持することができる。
上肢の運動は、より具体的には、肩関節や肘関節の駆動を利用した運動である。勿論、左右の各上肢は一般的には逆位相の動きであるが、本発明を実現する上で特にこれに限定する必要はない。
一般的な直立2足歩行型のロボットの機体設計によれば、体幹部(例えば体幹ヨー軸)よりも肩関節や肘関節の方が広い可動角を持つので、このような上肢の運動により、機体のヨー軸モーメントを効率的且つ高精度に打ち消して、高度な姿勢安定性を実現することができる。
また、このような上肢運動は、ロボットの上半身の動作を表現力豊かに見せるといった演出効果がある。
ここで、前記優先順位設定手段又はステップは、質量操作量若しくはモーメント操作量の大きさの順に各部位に目標(希望)軌道修正のための優先順位を与えるようにしてもよい。
あるいは、前記優先順位設定手段又はステップは、あらかじめ立案されている行動計画を参照して各部位に希望軌道修正又は達成のための優先順位を与えるようにしてもよい。例えば、歩行を始めとする脚式動作を行なっているときには下肢の軌道を修正することはできないので、下肢により低い(希望軌道を修正する優先度の場合)若しくはより高い(希望軌道を修正しない優先度の場合)優先順位を与える。また、物をつかむ手は軌道を修正できないので、より低い若しくはより高い優先順位を与える。また、狭い通路を横向きで歩いている場合には、腰の軌道を修正すると壁に衝突する可能性が高いので、より低い若しくはより高い優先順位を与える。
また、前記ZMP釣合い方程式生成手段又はステップはピッチ、ロール、ヨーの各軸毎にZMP方程式を導出し、前記軌道修正手段又はステップは各部位の目標(希望)軌道をピッチ、ロール、ヨーの各軸毎に修正してモーメント・エラーを補償するようにしてもよい。
また、機体がジャンプしたときや高台から飛び降りたときなど離床時においては、支持多角形そのものが存在しないため、支持多角形の内側にZMPを制御するという従来の手法が適用できないという問題もある。本発明によれば、離床時など支持多角形の内側にZMPがない場合や、外界に対する支持作用点が存在しない場合は、ZMP方程式に代えて、運動方程式を解く必要がある。このため、前記脚式移動ロボットの両脚離床時において、機体の並進及び/又は回転に関する重心運動を設定する重心運動設定手段又はステップをさらに備えてもよい。
このような場合、前記モーメント・エラー算出手段は、ZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーに加えて目標重心における力補償量を算出し、前記優先順位設定手段は、モーメント・エラー及び力補償量を打ち消すために目標(希望)軌道を修正する部位の優先順位を設定し、前記軌道修正手段は、該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標軌道を修正してモーメント・エラー及び力補償量を補償するようにすればよい。
また、本発明の第2の側面は、少なくとも複数の可動部を備えたロボット装置のための動作制御をコンピュータ・システム上で処理するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
各部位毎の軌道からなる所望の動作データを基に、前記ロボットの機体に印加される各モーメントの釣合い関係を記述したZMP釣合い方程式を生成するZMP釣合い方程式生成ステップと、
前記ZMP釣合い方程式生成ステップにより生成されたZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーを算出するモーメント・エラー算出ステップと、
機体を複数の部位に分割し、該モーメント・エラーを打ち消すために目標(希望)軌道を修正する部位の優先順位を設定する優先順位設定ステップと、
該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標(希望)軌道を修正してモーメント・エラーを補償する軌道修正ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第2の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係るロボット装置の動作制御装置又は動作制御方法と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、機体上の部位毎の目標軌道を修正して未知外力モーメント及び未知外力を補償することができる、優れたロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、機体を構成する各部位グループを協調的に動作させることにより、歩行などの運動時にロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーをそれぞれ好適に打ち消すことができる、優れたロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
また、本発明によれば、ジャンプしたときや高台から飛び降りたときなど離床時においても、ロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーを好適に打ち消すことができる、優れたロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
図1には、本発明の実施に供される脚式移動ロボットの自由度構成を模式的に示している。
同図に示すロボットは、二脚二腕を有する人間型ロボットである。本ロボットは、機体に四肢が取り付けられ、肩関節ピッチ軸、肩関節ロール軸、上腕ヨー軸、肘関節ピッチ軸、前腕ヨー軸、手首ロール軸、手首ピッチ軸という7自由度からなる左右の腕部と、股関節ヨー軸、股関節ロール軸、股関節ピッチ軸、膝ピッチ軸、足首ピッチ軸、足首ロール軸という6自由度からなる左右の脚部で構成されている。
これらの各関節自由度は、実際にはアクチュエータ・モータにより実現される。本実施形態では、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・アクチュエータを搭載する。なお、 この種のACサーボ・アクチュエータに関しては、例えば本出願人に既に譲渡されている特開2000−299970号公報(特願平11−33386号明細書)に開示されている。
本実施形態に係る脚式移動ロボットは、ZMP(Zero Moment Point)を歩行の安定度判別の規範として用いている。ZMPによる安定度判別規範は、系が適切なZMP空間を形成し、支持多角形の内側にZMPがある場合は、系に回転運動や並進運動が発生せず、回転や並進に関する運動方程式を解く必要がない。但し、支持多角形の内側にZMPがない場合や、外界に対する支持作用点が存在しない場合は、ZMP方程式に代えて、運動方程式を解く必要がある(後述)。
図2には、脚式移動ロボット100の制御システム構成を模式的に示している。同図に示すように、脚式移動ロボット100は、ヒトの四肢を表現した各機構ユニット30、40、50R/L、60R/Lと、各機構ユニット間の協調動作を実現するための適応制御を行なう制御ユニット80とで構成される(但し、R及びLの各々は、右及び左の各々を示す接尾辞である。以下同様)。
脚式移動ロボット100全体の動作は、制御ユニット80によって統括的に制御される。制御ユニット80は、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどの主要回路コンポーネント(図示しない)で構成される主制御部81と、電源回路やロボット100の各構成要素とのデータやコマンドの授受を行なうインターフェース(いずれも図示しない)などを含んだ周辺回路82とで構成される。
本発明を実現する上で、この制御ユニット80の設置場所は特に限定されない。図2では体幹部ユニット40に搭載されているが、頭部ユニット30に搭載してもよい。あるいは、脚式移動ロボット100外に制御ユニット80を配備して、脚式移動ロボット100の機体とは有線若しくは無線で交信するようにしてもよい。
図1に示した脚式移動ロボット100内の各関節自由度は、それぞれに対応するアクチュエータ・モータMによって実現される。すなわち、頭部ユニット30には、首関節ヨー軸、第1及び第2の首関節ピッチ軸、首関節ロール軸の各々を表現する首関節ヨー軸アクチュエータM1、首関節ピッチ軸アクチュエータM2A及びM2B、首関節ロール軸アクチュエータM3が配設されている。
また、体幹部ユニット40には、体幹ピッチ軸、体幹ロール軸の各々を表現する体幹ピッチ軸アクチュエータM11、体幹ロール軸アクチュエータM12が配備されている。
また、腕部ユニット50R/Lは、上腕ユニット51R/Lと、肘関節ユニット52R/Lと、前腕ユニット53R/Lに細分化されるが、肩関節ピッチ軸、肩関節ロール軸、上腕ヨー軸、肘関節ピッチ軸、肘関節ヨー軸、手首ロール軸、手首関節ピッチ軸の各々を表現する肩関節ピッチ軸アクチュエータM4、肩関節ロール軸アクチュエータM5、上腕ヨー軸アクチュエータM6、肘関節ピッチ軸アクチュエータM7、肘関節ヨー軸アクチュエータM8、手首関節ロール軸アクチュエータM9、手首関節ピッチ軸アクチュエータM10がそれぞれ配備されている。
また、脚部ユニット60R/Lは、大腿部ユニット61R/Lと、膝ユニット62R/Lと、脛部ユニット63R/Lに細分化されるが、股関節ヨー軸、股関節ピッチ軸、股関節ロール軸、膝関節ピッチ軸、足首関節ピッチ軸、足首関節ロール軸の各々を表現する股関節ヨー軸アクチュエータM13、股関節ピッチ軸アクチュエータM14、股関節ロール軸アクチュエータM15、膝関節ピッチ軸アクチュエータM16、足首関節ピッチ軸アクチュエータM17、足首関節ロール軸アクチュエータM18が配備されている。
各関節に用いられるアクチュエータM1、M2、M3…は、より好ましくは、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニット内に搭載したタイプの小型ACサーボ・アクチュエータ(前述)で構成することができる。
頭部ユニット30、体幹部ユニット40、腕部ユニット50、各脚部ユニット60などの機構ユニット毎に、アクチュエータ駆動制御用の副制御部35、45、55、65が配備されている。
機体の体幹部40には、加速度センサA1と、ジャイロ・センサなどからなる姿勢センサG1が配設されている。加速度センサA1は、例えばX、Y、Z各軸方向に配置する。機体の腰部に加速度センサA1を配設することによって、質量操作量が大きな部位である腰部を制御目標点として設定して、その位置における姿勢や加速度を直接計測して、ZMPに基づく姿勢安定化制御を行なうことができる。
また、各脚部60R、Lには、床反力センサF1〜F4、F5〜F8と、加速度センサA2及びA3、姿勢センサG2及びG3がそれぞれ配設されている。床反力センサF1〜F8は、例えば足底に圧力センサを装着することにより構成され、床反力の有無により足底が着床したか否かを検出することができる。また、加速度センサA2及びA3は、少なくともX及びYの各軸方向に配置する。左右の足部に加速度センサA2及びA3を配設することにより、ZMP位置に最も近い足部で直接ZMP釣合い方程式を組み立てることができる。
質量操作量が大きな部位である腰部にのみ加速度センサを配置した場合、腰部のみが制御目標点に設定され、足部の状態は、この制御目標点の計算結果を基に相対的に算出しなければならず、足部と路面との間では以下の条件を満たすことが、前提となってしまう。
(1)路面はどんな力やトルクが作用しても動くことがない。
(2)路面での並進に対する摩擦係数は充分に大きく、滑りが生じない。
これに対し、本実施形態では、路面との接触部位である足部にZMPと力を直接する反力センサ・システム(床反力センサなど)を配備するとともに、制御に用いるローカル座標とその座標を直接的に計測するための加速度センサを配設する。この結果、ZMP位置に最も近い足部で直接的にZMP釣合い方程式を組み立てることができる。したがって、より厳密な姿勢安定化制御を高速で実現することができる。この結果、力やトルクが作用すると路面が動いてしまう砂利上や毛足の長い絨毯上や、並進の摩擦係数が充分に確保できずに滑りが生じ易い住居のタイルなどであっても、機体の安定歩行(運動)を保証することができる。
主制御部80は、各センサA1〜A3、G1〜G3、F1〜F8の出力に応答して制御目標をダイナミックに補正することができる。より具体的には、副制御部35、45、55、65の各々に対して適応的な制御を行ない、脚式移動ロボット100の上肢、体幹、及び下肢が協調して駆動する全身運動パターンを実現する。
ロボット100の機体上での全身運動は、足部運動、ZMP軌道、体幹運動、上肢運動、腰部高さなどを設定するとともに、これらの設定内容に従った動作を指示するコマンドを各副制御部35、45、55、65に転送する。そして、各々の副制御部35、45…では、主制御部81からの受信コマンドを解釈して、各アクチュエータM1、M2、M3…に対して駆動制御信号を出力する。ここで言う「ZMP」とは、歩行中の床反力によるモーメントがゼロとなる床面上の点のことであり、また、「ZMP軌道」とは、例えばロボット100の歩行動作期間中にZMPが動く軌跡を意味する。
次いで、本実施例に係る脚式移動ロボット100における、脚式作業時すなわち足部、腰、体幹、下肢運動などからなる全身協調運動パターンの実行時における姿勢の安定化処理の手順について説明する。
本実施形態に係る脚式移動ロボットは、ZMPを歩行の安定度判別の規範として用いている。ZMPによる安定度判別規範は、系が適切なZMP空間を形成し、支持多角形の内側にZMPがある場合は、系に回転運動や並進運動が発生せず、回転や並進に関する運動方程式を解く必要がない。これに対し、支持多角形の内側にZMPがない場合や、外界に対する支持作用点が存在しない場合は、ZMP方程式に代えて、運動方程式を解く必要がある。例えば、ジャンプしたときや高台から飛び降りたときなど離床時には支持多角形が存在しないので、本実施形態では、ZMP方程式に代えて運動方程式を解くようにしている(後述)。
機体のZMP方程式は、目標ZMP上での各モーメントの釣合い関係を記述したものである。機体を多数の質点miで表わし、これらを制御目標点とした場合、すべての制御目標点miにおいて発生する目標ZMP上でのモーメントの総和がゼロとなる各制御点の軌道を求める式がZMP釣合い方程式である。
世界座標系(O−XYZ)で記述された機体のZMP釣合い方程式、並びに機体のローカル座標系(O−X’Y’Z’)で記述された機体のZMP釣合い方程式はそれぞれ以下の通りとなる。
Figure 2004148491
Figure 2004148491
上記の各式は、各質点(又は制御目標点)miにおいて印加された加速度成分により生成されるZMP回り(半径ri−Pzmp)のモーメントの総和と、印加されたj番目の外力モーメントMjの総和と、外力Fkにより生成されるZMP回り(k番目の外力Fkの作用点をSkとする)のモーメントの総和が釣り合うということを記述している。
このZMP釣合い方程式は、目標ZMPにおける床反力モーメント(モーメント・エラー成分)Tを含んでいる。このモーメント・エラーをゼロ又は所定の許容範囲内に抑えることによって、機体の姿勢安定性が維持される。言い換えれば、モーメント・エラーをゼロ又は許容値以下となるように機体運動(足部運動や上半身の各部位の軌道など)を修正することが、ZMPを安定度判別規範とした姿勢安定化制御の本質である。
本実施形態では、路面との接触部位である足部足底に加速度センサを設けていることから、世界座標系に対する実ロボットのローカル座標系を設定し、その原点としての足部足底を求め、ZMP釣合い方程式を直接的に導き出すことができる。さらに、腰部を始めとして質量操作量が大きな制御目標点にも加速度センサを配置することで、これら制御目標点毎のZMP回りのモーメント量を、加速度センサ出力値を用いて直接的に導き出すことができる。
ここで、制御対象としての実ロボットは移動体装置であることから、各制御目標点における世界座標上の位置ベクトルを求めることは難しい。その代案として、ローカル座標上における制御目標点の位置ベクトルは、逆キネマティクス演算など比較的容易な計算方法により求まる。そこで、機体のローカル座標系(O−X’Y’Z’)で記述された後者のZMP釣合い方程式を用いて実際の姿勢安定化処理を行なうようにすればよい。(ZMP軌道を正確に世界座標系で計測することがロボットに搭載された状態検出器では困難であることから、一般には、世界座標系に固定された外部計測器が必要となり、ロボット単体での行動(歩行など)が不可能となる。これに対し、接地部に加重センサを配置してZMP軌道を計測することにより、ローカル座標でZMP軌道を正確且つ直接的に得ることができる。且つ、ローカル座標原点付近に加速度センサを配置することにより、高速運動において支配的となる情報を直接的に計測することができる。このような理由により、本実施形態では、ローカル座標系でのZMP釣合い方程式を用いている。)
次いで、本実施形態に係る脚式移動ロボット100における姿勢安定化処理、すなわち腰、体幹、下肢などの運動により発生するモーメントをキャンセルする全身協調運動パターンの生成処理の手順について説明する。本実施形態では、脚式移動ロボット100の機体を複数の部位に分割し、各部位に軌道修正の優先順位を与え、部位毎の目標(希望)軌道の修正を行なうことによりモーメント・エラーをキャンセルすることに第1の特徴がある。
図3には、機体の全身運動パターンを安定化処理するための手順の一例をフローチャートの形式で示している。
まず、足部などの接地部位における運動の設定を行なう(ステップS1)。足部運動は、2以上の機体のポーズを時系列的に連結されてなるモーション・データである。モーション・データは、例えば、モーション編集装置などを利用してあらかじめ作成・編集されたデータであり、足部の各関節角の変位を表わした関節空間情報と、関節位置を表わしたデカルト空間情報で構成される。
次いで、設定された足部などの接地部位における運動を基にZMP安定領域を算出する(ステップS2)。あるいは、部位グループ毎に設定された優先順位付きの希望軌道(ステップS14:後述)を基に、ZMP安定領域を算出する。なお、床運動や逆立ち運動など、ロボットが路面と接地する点が足底でない場合には、足底以外の接地点と路面とが形成する支持多角形に基づいてZMP安定領域を算出する。
ZMPは、機体に印加されるモーメントがゼロとなる点であり(前述)、基本的には足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側に存在する。ZMP安定領域は、この支持多角形のさらに内側に設定された領域であり、該領域にZMPを収容させることによって機体を高度に安定した状態にすることができる。
そして、足部運動とZMP安定領域を基に、足部運動中におけるZMP軌道を設定する(ステップS3)。但し、床運動や逆立ち運動など、ロボットが路面と接地する点が足底でない場合には、足底以外の接地点と路面とが形成する支持多角形に基づいてZMP軌道を設定する。
また、機体の各部位については、腰部、体幹部、上肢、頭部などのようにグループ設定する(ステップS11)。
図7には、機体の部位グループを設定した例を示している。同図に示す例では、腰部、体幹部、右腕部、頭部、左腕部、左脚部、右脚部の順に1〜7部の各部位グループが設定されている。各部位グループは、複数の質点で構成されている。質点の設定方法は、設計者のマニュアル入力であっても、所定の規則に従った自動生成のいずれであっても構わない(例えば、関節アクチュエータなど、質量操作量の大きな箇所が質点として設定される)。i番目の部位の質点の数をniとすると、i番目の部位グループ(i部)の総質量miは下式の通りとなる。
Figure 2004148491
そして、各部位グループ毎に希望軌道を設定する(ステップS12)。機体の各部位グループについての希望軌道の設定は、例えばモーション編集装置を利用してオフラインで行なわれる。
次いで、各部位のグループ設定の調整(再グルーピング)を行ない(ステップS13)、さらにこれらグループに対して優先順位を与える(ステップS14)。ここで言う優先順位とは、機体の姿勢安定制御のため処理演算に投入する順位のことであり、例えば質量操作量若しくはモーメント操作量に応じて割り振られる。この結果、機体の各部位についての優先順位付き希望軌道群が出来上がる。なお、このときに、各部位の接続条件(ローカル座標接続、特定部位の世界座標位置固定接続、特定部位の世界座標姿勢接続など)も設定する。また、優先順位は、時間tにおいて変化させるようにしてもよい。
また、各部位についての優先順位は、質量操作量若しくはモーメント操作量以外に、あらかじめ立案されている行動計画を参照して決定される。例えば、歩行を始めとする脚式動作を行なっているときには接地している足部の軌道を修正することはできないので、接地している足部により低い優先順位を与える。また、物をつかむ手は軌道を修正できないので、より低い優先順位を与える。また、狭い通路を横向きで歩いている場合には、腰の軌道を修正すると壁に衝突する可能性が高いので、より低い優先順位を与える。
また、機体の各部位グループ毎に、モーメント補償に利用できる質量を算出しておく(ステップS15)。図7に示した例では、右脚が支持脚となり右足部にZMP位置PZMPが存在することから、各部位グループにおいてモーメント補償に利用できる質量Miは以下の通りとなる。
Figure 2004148491
1部すなわち腰部は、腰部自体の他、支持している体幹部、右腕部、頭部、左腕部をモーメント補償に利用することができる。また、2部すなわち体幹部は、体幹部自体の他、支持している右腕部、頭部、左腕部をモーメント補償に利用することができる。また、3〜6部すなわち右腕部、頭部、左腕部、並びに遊脚としての左脚部は、他に支持している部位グループがないことから、それぞれ自部位のみがモーメント補償に利用することができる質量となる。また、立脚としての7部すなわち右脚部は、すべての部位グループを支持していることから、機体のすべての部位の質量の合計M7をモーメント補償に利用することができる。この場合の質量M7の重心位置は、足部ではなく機体の重心位置に相当する(図8を参照のこと)。
そして、足部などの接地部位の運動と、ZMP軌道、並びに機体の各部位グループ毎の希望軌道群を基に、ステップS14により設定された優先順位に従って、各部位グループの運動パターンを姿勢安定化処理に投入する。
この姿勢安定化処理では、まず、処理変数iに初期値1を代入する(ステップS20)。そして、すべての部位グループに目標軌道を設定した場合における、目標ZMP上でのモーメント量すなわち総モーメント補償量Ωを算出する(ステップS21)。総モーメント補償量Ωには、すべての部位グループの目標ZMP上でのモーメント量の総和に、上式で同定された未知外力モーメントと未知外力が既知項として加えられる。
Figure 2004148491
さらに目標軌道が算出されていない部位については、希望軌道を用いる。
次いで、ステップS15において算出された当該部位iのモーメント補償に利用できる質量Miを用いて、その絶対モーメント補償量係数αiを設定し(ステップS22)、当該部位グループiにおけるモーメント補償量Ωiを算出する(ステップS23)。
Figure 2004148491
次いで、算出されたi番目の部位のモーメント補償量Ωiを用いて、i部に関するZMP方程式(E1)を導出する(ステップS24)。
Figure 2004148491
しかしながら、上記のZMP方程式は、未知変数が非常に多いため解析的にも数値計算的にも解を求めることは困難である。そこで、ここではi番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の希望重心軌道rMiを既知変数に、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の希望重心軌道に対する変更量ΔrMiを未知変数とする以下の近似ZMP方程式(E2)を導出することにした。但し、rMiは、i番目の部位グループにおけるモーメント補償に利用できる質量Miの重心の位置ベクトルである。
Figure 2004148491
そして、まず、この近似ZMP方程式を解くことで、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の希望重心軌道に対する変更量ΔrMiを算出し、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道を下式により算出する。
Figure 2004148491
なお、回転関節により各リンクが連結されている脚式移動ロボットの場合、上式(E2)は一般にZ方向の運動を共有するため、非線形で干渉のある2階微分方程式となり、解析的に求めることは困難である。そこで、以下に示すようにZ方向の運動を共有しないものとし、式(E2)の線形・非干渉化を行なう。
Figure 2004148491
そして、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解を算出し、この近似解から算出できるi番目の部位の各質点riの変更量Δriを厳密ZMP方程式としての式(E1)に代入し、モーメント誤差を求め、この誤差の符号を反転したものを線形・非干渉化を行なった式(E2)の右辺に蓄積し、再び近似解を求めるという操作を、誤差が所定の許容値以下になるまで繰り返すことで当該部位のモーメント補償運動を算出するこができる(ステップS25)。このようにして、優先順位が先頭からi番目までの部位についての目標軌道を得ることができる。
なお、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解からi番目の部位の各質点の軌道を算出するには、i番目の任意の部位に操作点を配置し、その並進位置(X,Y,Z)若しくは回転角度(θx,θy,θz)を未知変数とする重心ベクトルC(X,Y,Z,θx,θy,θz)を導出し、この重心ベクトルC(X,Y,Z,θx,θy,θz)を未知変数として左辺に、質量Miの重心の位置ベクトルrMiを既知変数として右辺に配置した方程式C(X,Y,Z,θx,θy,θz)=riMiを導出し、この方程式の解を数値探索法などを用いて算出したり、解析的に求めたりすることで、i番目の部位の各質点の軌道を決定することができる。
このような処理をすべての部位グループについて行なうことにより、安定運動(例えば歩行)が可能な全身運動パターンが生成される。
図3に示した処理手順によれば、脚式移動ロボット100の機体を複数の部位に分割し、各部位に軌道修正の優先順位を与え、部位毎の目標(希望)軌道の修正を行なうことにより、全身協調運動におけるモーメント・エラーをキャンセルすることができる。ここで、ZMPを安定度判別規範とする姿勢安定化処理は、基本的には、足底などの接地点と路面の形成する支持多角形の内側にピッチ及びロール軸モーメントがゼロとなる点を探索することにあるが、他方、機体のヨー軸すなわちZ軸回りに発生するモーメント・エラーに関しては明示的には対処していないという問題がある。
そこで、本実施形態の変形例として、歩行などの全身協調運動パターンにおいて、ロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーを好適に打ち消すようにした。図4には、機体のロール、ピッチ、ヨーの各軸回りのモーメント・エラーを打ち消して全身運動パターンを安定化処理するための手順をフローチャートの形式で示している。
まず、足部運動の設定を行なう(ステップS31)。足部運動は、2以上の機体のポーズを時系列的に連結されてなるモーション・データである。モーション・データは、足部の各関節角の変位を表わした関節空間情報と、関節位置を表わしたデカルト空間情報で構成される(同上)。
次いで、足部などの設定された接地部位における運動を基にZMP安定領域を算出する(ステップS32)。あるいは、部位グループ毎に設定された優先順位付きの希望軌道(ステップS44:後述)を基に、ZMP安定領域を算出する。なお、床運動や逆立ち運動など、ロボットが路面と接地する点が足底でない場合には、足底以外の接地点と路面とが形成する支持多角形に基づいてZMP安定領域を算出する。
ZMPは、機体に印加されるモーメントがゼロとなる点であり(前述)、基本的には足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側に存在する。ZMP安定領域は、この支持多角形のさらに内側に設定された領域であり、該領域にZMPを収容させることによって機体を高度に安定した状態にすることができる。
そして、足部運動とZMP安定領域を基に、足部運動中におけるZMP軌道を設定する(ステップS33)。但し、床運動や逆立ち運動など、ロボットが路面と接地する点が足底でない場合には、足底以外の接地点と路面とが形成する支持多角形に基づいてZMP軌道を設定する。
また、機体の各部位については、腰部、体幹部、上肢、頭部などのようにグループ設定する(ステップS41)。機体の部位グループの設定例は、図7に示した通りであり、腰部、体幹部、右腕部、頭部、左腕部、左脚部、右脚部の順に1〜7部の各部位グループが設定されている。
そして、各部位グループ毎に希望軌道を設定する(ステップS42)。機体の各部位グループについての希望軌道の設定は、例えばモーション編集装置を利用してオフラインで行なわれる。
次いで、各部位のグループ設定の調整(再グルーピング)を行ない(ステップS43)、さらにこれらグループに対して優先順位を与える(ステップS44)。ここで言う優先順位とは、機体の姿勢安定制御のため処理演算に投入する順位のことであり、例えば質量操作量若しくはモーメント操作量に応じて割り振られる。この結果、機体の各部位についての優先順位付き希望軌道群が出来上がる。ここでは、優先順位ρは、ピッチ軸優先順位ρp、ロール軸優先順位ρr、並びにヨー軸優先順位ρyawの3要素で構成されるものとする。また、各部位についての優先順位は、質量操作量若しくはモーメント操作量以外に、あらかじめ立案されている行動計画を参照して決定される。なお、このときに、各部位の接続条件(ローカル座標接続、特定部位の世界座標位置固定接続、特定部位の世界座標姿勢接続など)も設定する。また、優先順位は、時間tにおいて変化させるようにしてもよい。
また、機体の各部位グループ毎に、モーメント補償に利用できる質量を算出しておく(ステップS45)。図7に示した例では、右脚が支持脚となり右足部にZMP位置PZMPが存在することから、各部位グループにおいてモーメント補償に利用できる質量Miは上述した通りとなる。
そして、足部などの接地部位の運動と、ZMP軌道、並びに各部位グループ毎の希望軌道群を基に、ステップS44により設定された優先順位に従って、各部位グループの運動パターンを姿勢安定化処理に投入する。
この姿勢安定化処理では、まず、処理変数iに初期値1を代入する(ステップS50)。そして、すべての部位グループに目標軌道を設定した場合における、目標ZMP上でのモーメント量すなわち総モーメント補償量Ωを算出する(ステップS51)。総モーメント補償量Ωは、すべての部位グループの目標ZMP上でのモーメント量に、上式で同定された未知外力モーメントと未知外力が既知項として加えられる。
Figure 2004148491
さらに、目標軌道が算出されていない部位については、希望軌道を用いる。
次いで、ステップS45において算出された当該部位iのモーメント補償に利用できる質量Miを用いて、その絶対モーメント補償量係数αiを設定し(ステップS52)、当該部位グループiにおけるモーメント補償量Ωiを下式により算出する(ステップS53)。
Figure 2004148491
次いで、算出されたi番目の部位のモーメント補償量Ωiを用いて、i部に関するZMP方程式(E1)を導出する(ステップS54)。
Figure 2004148491
しかしながら、上記のZMP方程式は、未知変数が非常に多いため解析的にも数値計算的にも解を求めることは困難である。そこで、ここではi番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の希望重心軌道rMiを既知変数とするとともに、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の希望重心軌道に対する変更量ΔrMiを未知変数とする以下の近似ZMP方程式(E2)を導出することにした。但し、rMiは、i番目の部位グループにおけるモーメント補償に利用できる質量Miの重心の位置ベクトルである。
Figure 2004148491
そして、まず、この近似ZMP方程式を解くことで、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の希望重心軌道に対する変更量ΔrMiを算出し、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道を下式により算出する。
Figure 2004148491
なお、回転関節により各リンクが連結されている脚式移動ロボットの場合、上式(E2)は一般にZ方向の運動を共有するため、非線形で干渉のある2階微分方程式となり、解析的に求めることは困難である。そこで、以下に示すようにZ方向の運動を共有しないものとし、式(E2)の線形・非干渉化を行なう。
Figure 2004148491
そして、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解を算出し、この近似解から算出できるi番目の部位の各質点riの変更量Δriを厳密ZMP方程式としての式(E1)に代入し、モーメント誤差を求め、この誤差の符号を反転したものを線形・非干渉化を行なった式(E2)の右辺に蓄積し、再び近似解を求めるという操作を、誤差が所定の許容値以下になるまで繰り返すことで当該部位のモーメント補償運動を算出するこができる(ステップS55)。このようにして、優先順位が先頭からi番目までの部位についての目標軌道を得ることができる。
なお、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解からi番目の部位の各質点の軌道を算出するには、i番目の任意の部位に操作点を配置し、その並進位置(X,Y,Z)若しくは回転角度(θx,θy,θz)を未知変数とする重心ベクトルC(X,Y,Z,θx,θy,θz)を導出し、この重心ベクトルC(X,Y,Z,θx,θy,θz)を未知変数として左辺に、質量Miの重心の位置ベクトルrMiを既知変数として右辺に配置した方程式C(X,Y,Z,θx,θy,θz)=riMiを導出し、この方程式の解を数値探索法などを用いて算出したり、解析的に求めたりすることで、i番目の部位の各質点の軌道を決定することができる。
また、i番目の部位の自由度構成によっては,優先順位ρ(ρp,ρr,ρyaw)を満たす運動が存在しない場合もある(例えば、ピッチ運動やロール運動に対する干渉が少ない、ヨー軸運動自由度がない場合など)。このような場合には、ステップS44に戻り優先順位の再設定を行なう。
このような処理をすべての部位グループについて行なうことにより、安定運動(例えば歩行)が可能な全身運動パターンが生成される。
図4に示した処理手順によれば、脚式移動ロボット100の機体を複数の部位に分割し、各部位に軌道修正の優先順位を与え、ロール、ピッチ、ヨーの各軸回りに機体に印加されるモーメント・エラーを好適に打ち消すように全身運動パターンを安定化処理することができる。ここで、ZMPを安定度判別規範に用いたロボットの姿勢安定化制御は、足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側にピッチ及びロール軸モーメントがゼロとなる点を探索するものであるが、ジャンプしたときや高台から飛び降りたときなど離床時においては、支持多角形そのものが存在しないため、支持多角形の内側にZMPを制御するという従来の手法が適用できないという問題もある。
そこで、本実施形態の変形例として、離床時など支持多角形の内側にZMPがない場合や、外界に対する支持作用点が存在しない場合を想定ことにした。図5には、機体の全身運動パターンを安定化処理するための手順についてのさらに他の例をフローチャートの形式で示している。同図に示す処理手順では、離床時など支持多角形の内側にZMPがない場合や、外界に対する支持作用点が存在しない場合を想定しており、ZMP方程式に加えて、運動方程式を解くようになっている。
まず、足部運動の設定を行なう(ステップS61)。足部運動は、2以上の機体のポーズを時系列的に連結されてなるモーション・データである。モーション・データは、足部の各関節角の変位を表わした関節空間情報と、関節位置を表わしたデカルト空間情報で構成される(同上)。
次いで、足部などの設定された接地部位における足部運動を基にZMP安定領域を算出する(ステップS62)。あるいは、部位グループ毎に設定された優先順位付きの希望軌道(ステップS74:後述)を基に、ZMP安定領域を算出する。なお、床運動や逆立ち運動など、ロボットが路面と接地する点が足底でない場合には、足底以外の接地点と路面とが形成する支持多角形に基づいてZMP安定領域を算出する。
ZMPは、機体に印加されるモーメントがゼロとなる点であり(前述)、基本的には足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側に存在する。ZMP安定領域は、この支持多角形のさらに内側に設定された領域であり、該領域にZMPを収容させることによって機体を高度に安定した状態にすることができる。
そして、足部運動とZMP安定領域を基に、足部運動中におけるZMP軌道を設定する(ステップS63)。但し、床運動や逆立ち運動など、ロボットが路面と接地する点が足底でない場合には、足底以外の接地点と路面とが形成する支持多角形に基づいてZMP軌道を設定する。
また、離床時(例えば、ジャンプしたときや高台から飛び降りたとき)など支持多角形の内側にZMPがない場合や、外界に対する支持作用点が存在しない場合を想定しており、ZMP方程式に加えて、運動方程式を解く必要があることから、重心運動(並進、回転)を設定する(ステップS91)。
また、離床時(例えば、ジャンプしたときや高台から飛び降りたとき)など支持多角形の内側にZMPがない場合や、外界に対する支持作用点が存在しない場合を想定しており、ZMP方程式に加えて、運動方程式を解く必要があることから、重心運動(並進、回転)を設定する(ステップS91)。
なお、ジャンプ後や高台からの飛び降りた後、着床瞬間時の機体の姿勢変化を押さえる場合には、ステップS91の直後に、仮想ZMPを算出し、着床時に形成される支持多角形内に仮想ZMPが存在するよう着床部位に関する運動の希望軌道を設定すればよい。ここで言う「仮想ZMP」とは、実際には支持多角形を形成できないが、着床予定路面に非常に大きな支持多角形を形成しているという仮定の下で、ZMPを算出した結果、求めることができるZMPのことである。
また、機体の各部位については、腰部、体幹部、上肢、頭部などのようにグループ設定する(ステップS71)。機体の部位グループの設定例は、図7に示した通りであり、腰部、体幹部、右腕部、頭部、左腕部、左脚部、右脚部の順に1〜7部の各部位グループが設定されている。
そして、各部位グループ毎に希望軌道を設定する(ステップS72)。機体の各部位グループについての希望軌道の設定は、例えばモーション編集装置を利用してオフラインで行なわれる。
次いで、各部位のグループ設定の調整(再グルーピング)を行ない(ステップS73)、さらにこれらグループに対して優先順位を与える(ステップS44)。ここで言う優先順位とは、機体の姿勢安定制御のため処理演算に投入する順位のことであり、例えば質量操作量若しくはモーメント操作量に応じて割り振られる。この結果、機体の各部位についての優先順位付き希望軌道群が出来上がる。ここでは、優先順位ρは、ピッチ軸優先順位ρp、ロール軸優先順位ρr、並びにヨー軸優先順位ρyaw、X方向優先順位ρx、Y方向優先順位ρy、Z方向優先順位ρzの6要素で構成されるものとする。また、各部位についての優先順位は、質量操作量若しくはモーメント操作量以外に、あらかじめ立案されている行動計画を参照して決定される。なお、このときに、各部位の接続条件(ローカル座標接続、特定部位の世界座標位置固定接続、特定部位の世界座標姿勢接続など)も設定する。また、優先順位は、時間tにおいて変化させるようにしてもよい。
また、機体の各部位グループ毎に、モーメント補償及び力補償に利用できる質量を算出しておく(ステップS75)。図7に示した例では、右脚が支持脚となり右足部にZMP位置PZMPが存在することから、各部位グループにおいてモーメント補償に利用できる質量Miは上述した通りとなる。
そして、足部などの接地部位の運動と、ZMP軌道、並びに各部位グループ毎の希望軌道群を基に、ステップS74により設定された優先順位に従って、各部位グループの運動パターンを姿勢安定化処理に投入する。
この姿勢安定化処理では、まず、処理変数iに初期値1を代入する(ステップS80)。そして、そして、すべての部位グループに目標軌道を設定した場合における、目標ZMP上でのモーメント量すなわち総モーメント補償量Ω及び力補償量Γを算出する(ステップS81)。総モーメント補償量Ω及び力補償量Γは、すべての部位グループの目標ZMP上でのモーメント量並びに力補償量の総和に、上式で同定された未知外力モーメントと未知外力が既知項として加えられる。
Figure 2004148491
Figure 2004148491
さらに、目標軌道が算出されていない部位については、希望軌道を用いる。
次いで、ステップS75において算出された当該部位iのモーメント補償及び力補償に利用できる質量Miを用いて、その絶対モーメント補償量係数αi及び絶対力補償量係数χiを設定し(ステップS82)、モーメント補償量Ωi、力補償量Γiを下式により算出する(ステップS83)。
Figure 2004148491
次いで、算出されたいi番目の部位のモーメント補償量Ωiと力補償量Γiを用いて、i部に関するZMP方程式(E1)又は重心における回転に関する運動方程式(E1')、そして並進に関する運動方程式(E3)を導出する(ステップS84)。
Figure 2004148491
しかしながら、これらの式は未知変数が非常に多いため解析的にも数値計算的にも解を求めることは困難である。そこで、ここではi番目の部位のモーメント補償及び力補償に利用できる質量の希望重心軌道rMi、希望重心加速度μMiを既知変数とするとともに、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の希望重心軌道に対する変更量ΔrMi並びに変更加速度量(ΔμMiの時間による2階微分)を未知変数とする近似ZMP方程式(E2)又は重心における回転に関する近似運動方程式(E2')、そして並進に関する近似運動方程式(E4)を導出する。但し、rMiは、i番目の部位グループにおけるモーメント補償に利用できる質量Miの重心の位置ベクトルである。
Figure 2004148491
次に、導出された方程式を同時に解かなければならないが、回転関節により各リンクが連結されている脚式移動ロボットの場合、上記の各式はお互いにZ方向の運動を共有するため、非線形で干渉のある2階微分方程式となり、解析的に求めることは困難である。
そこで、まずZ方向の運動を共有しないものとし、上式(E4)の線形・非干渉化を行ない、i番目の部位の力補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解riMiを算出し、この近似解から算出できるi番目の部位の各質点riの変更量Δriを厳密運動方程式(E3)に代入し、力補償誤差を算出し、この誤差の符号を反転したものを線形・非干渉化を行なった式(E4)の右辺に蓄積する。
次に、ΔrMi(未知変数)をriMi(算出された既知変数)−rMi(既知変数)+ΔrMi(未知変数)に置き換え、先ほど算出された目標重心軌道からi番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道への変更量ΔrMiの近似解の算出を行なう。具体的には、Z方向の運動を共有しないものとし、上式(E2)若しくは(E2')の線形・非干渉化を行ない、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解を算出する。そして、この近似解から算出できるi番目の部位の各質点riの変更量Δriを厳密運動方程式(E1)若しくは(E1')に代入し、モーメント補償誤差を算出し、この誤差の符号を反転したものを線形・非干渉化を行なった式(E2)若しくは式(E2')の右辺に蓄積する。
そして、再びi番目の部位の力補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解を算出し、この近似解から算出できるi番目の部位の各質点riの変更量Δriを厳密運動方程式(E3)に代入し、力補償誤差を算出し、この誤差の符号を反転したものを線形・非干渉化を行なった式(E4)の右辺に再び蓄積する。
次に、ΔrMi(未知変数)をriMi(算出された既知変数)−rMi(既知変数)+ΔrMi(未知変数)に置き換え、i番目の部位のモーメント補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解を算出し、この近似解から算出できるi番目の部位の各質点riの変更量Δriを厳密運動方程式(E1)若しくは(E1')に代入する。そして、モーメント補償誤差を算出し、この誤差の符号を反転したものを線形・非干渉化を行なった式(E2)若しくは式(E2')の右辺に再び蓄積する。
以上の操作を誤差が許容値以下になるまで繰り返すことで、当該部位の力に加えモーメントの補償運動を算出するこができる(ステップS85)。そして、優先順位が先頭からi番目までの部位についての目標軌道を得ることができる。
一般には、ZMP方程式と運動方程式のどちらかを満たす運動を算出すればよい。しかしながら、例えば跳躍や走行時の離床時や着地時などは、上式(E1)と式(E3)を同時に満たさなければならない場合がある。
なお、i番目の部位のモーメント補償又は力補償に利用できる質量の目標重心軌道の近似解からi番目の部位の各質点の軌道算出には、i番目の任意の部位に操作点を配置しその並進位置(X,Y,Z)若しくは回転角度(θx,θy,θz)を未知変数とする重心ベクトルC(X,Y,Z,θx,θy,θz)を導出し、この重心ベクトルC(X,Y,Z,θx,θy,θz)を未知変数として左辺に、riMiを既知変数として右辺に配置した方程式C(X,Y,Z,θx,θy,θz)=riMiを導出し、この方程式の解を算出することで、i番目の部位の各質点の軌道決定することができる。
また、i番目の部位の自由度構成によっては、優先順位ρ(ρp,ρr,ρyaw,ρx,ρy,ρz)を満たす運動が存在しない場合もある(例えば、XYの各方向運動に対する干渉が少ないピッチ・ロール軸運動自由度がない場合など)。このような場合には、ステップS61、S72、若しくはS74に戻り、設定項目の再設定を行なう必要がある。
また、i番目の部位の姿勢によっては、優先順位ρ(ρp,ρr,ρyaw,ρx,ρy,ρz)の各要素の繰り返し計算における誤差の収束速度に大きさ差が生じ、収束速度の遅い要素の方程式の厳密解が求まらず、収束速度の速い要素の方程式のみ先に厳密解が求まってしまう場合がある。そこで、このような場合には、厳密方程式において算出する。各モーメント補償量誤差若しくは力補償量誤差に収束速度調整係数μ(μp,μr,μyaw,μx,μy,μz)を各誤差に掛けた後に、各近似方程式の右辺に蓄積させ、収束速度の均一化を行なう必要がある。
このような処理をすべての部位グループについて行なうことにより、安定運動(例えば歩行)が可能な全身運動パターンが生成される。
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本発明の要旨は、必ずしも「ロボット」と称される製品には限定されない。すなわち、電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置あるいはその他一般的な移動体装置であるならば、例えば玩具などのような他の産業分野に属する製品であっても、同様に本発明を適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
図1は、本発明の実施に供される脚式移動ロボットの自由度構成を模式的に示した図である。 図2は、脚式移動ロボット100の制御システム構成を模式的に示した図である。 図3は、機体の全身運動パターンを安定化処理するための手順の一例を示したフローチャートである。 図4は、機体の全身運動パターンを安定化処理するための手順についての他の例を示したフローチャートである。 図5は、機体の全身運動パターンを安定化処理するための手順についてのさらに他の例を示したフローチャートである。 図6は、2足脚式移動ロボットの歩行速度[秒/歩]とヨー軸方向に発生するモーメントNmとの関係(例)を表した図である。 図7は、機体の部位グループを設定した例を模式的に示した図である。 図8は、質量M7の重心位置を示した図である。
符号の説明
30…頭部ユニット
40…体幹部ユニット
50…腕部ユニット
51…上腕ユニット
52…肘関節ユニット
53…前腕ユニット
60…脚部ユニット
61…大腿部ユニット
62…膝関節ユニット
63…脛部ユニット
80…制御ユニット
81…主制御部
82…周辺回路
100…脚式移動ロボット

Claims (11)

  1. 少なくとも複数の可動部を備えたロボット装置の動作制御装置であって、
    各部位毎の軌道からなる所望の動作データを基に、前記ロボット装置の機体に印加される各モーメントの釣合い関係を記述したZMP釣合い方程式を生成するZMP釣合い方程式生成手段と、
    前記ZMP釣合い方程式生成手段により生成されたZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーを算出するモーメント・エラー算出手段と、
    機体を複数の部位に分割し、該モーメント・エラーを打ち消すために目標軌道を修正する部位の優先順位を設定する優先順位設定手段と、
    該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標軌道を修正してモーメント・エラーを補償する軌道修正手段と、
    を具備することを特徴とするロボット装置の動作制御装置。
  2. 前記優先順位設定手段は、質量操作量若しくはモーメント操作量の大きさの順に各部位に目標軌道修正のための優先順位を与える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置の動作制御装置。
  3. 前記優先順位設定手段は、あらかじめ立案されている行動計画を参照して各部位に目標軌道修正のための優先順位を与える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置の動作制御装置。
  4. 前記ZMP釣合い方程式生成手段は、ピッチ、ロール、ヨーの各軸毎にZMP方程式を導出し、
    前記軌道修正手段は、各部位の目標軌道をピッチ、ロール、ヨーの各軸毎に修正してモーメント・エラーを補償する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置の動作制御装置。
  5. 前記ロボット装置の両脚離床時において、機体の並進及び/又は回転に関する重心運動を設定する重心運動設定手段をさらに備え、
    前記モーメント・エラー算出手段は、ZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーに加えて目標重心における力補償量を算出し、
    前記優先順位設定手段は、モーメント・エラー及び力補償量を打ち消すために目標軌道を修正する部位の優先順位を設定し、
    前記軌道修正手段は、該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標軌道を修正してモーメント・エラー及び力補償量を補償する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置の動作制御装置。
  6. 少なくとも複数本の可動部を備えたロボット装置の動作制御方法であって、
    各部位毎の軌道からなる所望の動作データを基に、前記ロボットの機体に印加される各モーメントの釣合い関係を記述したZMP釣合い方程式を生成するZMP釣合い方程式生成ステップと、
    前記ZMP釣合い方程式生成ステップにより生成されたZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーを算出するモーメント・エラー算出ステップと、
    機体を複数の部位に分割し、該モーメント・エラーを打ち消すために目標軌道を修正する部位の優先順位を設定する優先順位設定ステップと、
    該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標軌道を修正してモーメント・エラーを補償する軌道修正ステップと、
    を具備することを特徴とするロボット装置の動作制御方法。
  7. 前記優先順位設定ステップでは、質量操作量若しくはモーメント操作量の大きさの順に各部位に目標軌道修正のための優先順位を与える、
    ことを特徴とする請求項6に記載のロボット装置の動作制御方法。
  8. 前記優先順位設定ステップでは、あらかじめ立案されている行動計画を参照して各部位に目標軌道修正のための優先順位を与える、
    ことを特徴とする請求項6に記載のロボット装置の動作制御方法。
  9. 前記ZMP釣合い方程式生成ステップでは、ピッチ、ロール、ヨーの各軸毎にZMP方程式を導出し、
    前記軌道修正ステップでは、各部位の目標軌道をピッチ、ロール、ヨーの各軸毎に修正してモーメント・エラーを補償する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のロボット装置の動作制御方法。
  10. 前記ロボット装置の両脚離床時において、機体の並進及び/又は回転に関する重心運動を設定する重心運動設定ステップをさらに備え、
    前記モーメント・エラー算出ステップでは、ZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーに加えて目標重心における力補償量を算出し、
    前記優先順位設定ステップでは、モーメント・エラー及び力補償量を打ち消すために目標軌道を修正する部位の優先順位を設定し、
    前記軌道修正ステップでは、該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標軌道を修正してモーメント・エラー及び力補償量を補償する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のロボット装置の動作制御方法。
  11. 少なくとも複数本の可動部を備えたロボット装置のための動作制御をコンピュータ・システム上で処理するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
    各部位毎の軌道からなる所望の動作データを基に、前記ロボットの機体に印加される各モーメントの釣合い関係を記述したZMP釣合い方程式を生成するZMP釣合い方程式生成ステップと、
    前記ZMP釣合い方程式生成ステップにより生成されたZMP釣合い方程式上で現れるモーメント・エラーを算出するモーメント・エラー算出ステップと、
    機体を複数の部位に分割し、該モーメント・エラーを打ち消すために目標軌道を修正する部位の優先順位を設定する優先順位設定ステップと、
    該設定された優先順位に従った順番で、各部位毎に目標軌道を修正してモーメント・エラーを補償する軌道修正ステップと、
    を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
JP2003351238A 2002-10-10 2003-10-09 ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラム Expired - Lifetime JP3674787B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003351238A JP3674787B2 (ja) 2002-10-10 2003-10-09 ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラム

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002297206 2002-10-10
JP2003351238A JP3674787B2 (ja) 2002-10-10 2003-10-09 ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004148491A true JP2004148491A (ja) 2004-05-27
JP3674787B2 JP3674787B2 (ja) 2005-07-20

Family

ID=32473550

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003351238A Expired - Lifetime JP3674787B2 (ja) 2002-10-10 2003-10-09 ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3674787B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006015430A (ja) * 2004-06-30 2006-01-19 Kawasaki Heavy Ind Ltd ロボット制御方法およびロボットシステム
JP2011035536A (ja) * 2009-07-30 2011-02-17 Mitsubishi Electric Corp 画像投射装置
JP2017209750A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 本田技研工業株式会社 機能装置ならびにその制御装置および制御方法
JP2020501918A (ja) * 2016-12-13 2020-01-23 ボストン ダイナミクス,インコーポレイテッド 動的バランスを使用する脚ロボットに対する全身マニピュレーション

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006015430A (ja) * 2004-06-30 2006-01-19 Kawasaki Heavy Ind Ltd ロボット制御方法およびロボットシステム
JP4488811B2 (ja) * 2004-06-30 2010-06-23 川崎重工業株式会社 ロボット制御方法およびロボットシステム
JP2011035536A (ja) * 2009-07-30 2011-02-17 Mitsubishi Electric Corp 画像投射装置
JP2017209750A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 本田技研工業株式会社 機能装置ならびにその制御装置および制御方法
JP2020501918A (ja) * 2016-12-13 2020-01-23 ボストン ダイナミクス,インコーポレイテッド 動的バランスを使用する脚ロボットに対する全身マニピュレーション
JP2021059011A (ja) * 2016-12-13 2021-04-15 ボストン ダイナミクス,インコーポレイテッド 動的バランスを使用する脚ロボットに対する全身マニピュレーション
JP2022020784A (ja) * 2016-12-13 2022-02-01 ボストン ダイナミクス,インコーポレイテッド 動的バランスを使用する脚ロボットに対する全身マニピュレーション
US11667343B2 (en) 2016-12-13 2023-06-06 Boston Dynamics, Inc. Whole body manipulation on a legged robot using dynamic balance
JP7469282B2 (ja) 2016-12-13 2024-04-16 ボストン ダイナミクス,インコーポレイテッド 動的バランスを使用する脚ロボットに対する全身マニピュレーション

Also Published As

Publication number Publication date
JP3674787B2 (ja) 2005-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4513320B2 (ja) ロボット装置、並びにロボット装置の運動制御方法
KR100959472B1 (ko) 로봇 장치 및 로봇 장치의 제어 방법
JP3599244B2 (ja) ロボット装置、ロボット装置の運動制御装置並びに運動制御方法
KR100937268B1 (ko) 다리식 이동 로봇 및 그 동작 제어 방법
KR100977348B1 (ko) 다리식 이동 로봇의 동작 제어 장치 및 동작 제어 방법 및 로봇 장치
US8271137B2 (en) Robot and method of controlling the same
KR20010050355A (ko) 로보트 및 로보트용 관절 장치
JPWO2005051612A1 (ja) 移動ロボットの制御装置
US7765030B2 (en) Gait generator for mobile robot
WO1998033629A1 (fr) Appareil de controle de robot mobile du type a jambes
WO2002045913A1 (fr) Dispositif et procede permettant de commander le fonctionnement d'un robot a jambes et ensemble robot
JP2001277159A (ja) 脚式移動ロボット及びその制御方法、並びに、脚式移動ロボット用相対移動測定センサ
WO2004033160A1 (ja) ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法
JP2004142095A (ja) ロボット装置及びロボット装置の制御方法
JP3674779B2 (ja) 脚式移動ロボットのための動作制御装置及び動作制御方法、並びにロボット装置
JP4660870B2 (ja) 脚式移動ロボット及びその制御方法
JP3674787B2 (ja) ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法、並びにコンピュータ・プログラム
JP3522742B1 (ja) ロボット装置、脚式移動ロボットの動作制御装置及び動作制御方法、脚式移動ロボットのためのセンサ・システム、並びに移動体装置
JP4770990B2 (ja) 脚式移動ロボット及びその制御方法
JP3568527B2 (ja) 移動体装置
JP4352774B2 (ja) 脚式歩行ロボットの運動制御装置及び運動制御方法
Sari et al. Implementation and integration of fuzzy algorithms for descending stair of KMEI humanoid robot
JP3555947B2 (ja) 移動ロボット装置、移動ロボット装置の制御方法、移動ロボット装置の運動パターン生成方法、並びに移動ロボット装置の運動制御プログラム
JP3555948B2 (ja) 移動ロボット装置、移動ロボット装置の動作制御装置及び動作制御方法
JP2006095661A (ja) ロボット装置並びにロボット用車輪装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3674787

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090513

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090513

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100513

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110513

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120513

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130513

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term