JP2004145938A - 光ヘッド - Google Patents

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JP2004145938A
JP2004145938A JP2002307795A JP2002307795A JP2004145938A JP 2004145938 A JP2004145938 A JP 2004145938A JP 2002307795 A JP2002307795 A JP 2002307795A JP 2002307795 A JP2002307795 A JP 2002307795A JP 2004145938 A JP2004145938 A JP 2004145938A
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Fumio Isshiki
一色 史雄
Hiroshi Sato
佐藤 宏
Yukiko Ogiwara
荻原 由希子
Shigehisa Tanaka
田中 滋久
Tetsuo Ariyoshi
有吉 哲夫
Tomoyoshi Mishima
三島 友義
Hiroshi Ishikawa
石川 啓
Nobuhiro Shiromizu
白水 信弘
Koichi Watanabe
渡辺 康一
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Abstract

【課題】従来光ヘッド素子は、ガラス材またはプラスチックの光学部品上に発光素子や受光素子を外付けしていたため、部品の位置調節が難しかった。
【解決手段】光ヘッド素子の、回折格子4と光源6や光検出器5を、透明な半導体部材3に一体形成し、半導体部材結晶中をそのまま光路とする。
【効果】製造工程上、半導体部材にリソグラフィによって回折格子4と光源6や光検出器5を形成することができるため、リソグラフィ技術の高い加工精度により、部品の位置調整が容易で、信頼性の高い光ヘッドを得ることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ヘッド、または、この光ヘッドを有する光ディスク装置、またはこの光泥スク装置を備えたコンピュータ機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD(コンパクトディスク)やDVD(汎用デジタル光ディスク)に代表される光ディスクの小型化・高密度化のために、光ヘッドを小型化した構造がいくつか提案されている。小型化した光ヘッドの構造が提案されていた。
【0003】
例えば、その代表的なものは、特開平5−290402号公報にて提案されている。この構造を図2に示す。ガラスプリズム9上に、回折格子4を形成し、表面に受光素子5と側面出射半導体レーザ8を外付けし、対物レンズ1と組合せて、光ヘッドとした構造である。プリズム等のガラス部材上に回折格子を一体化し、フォトダイオードやレーザのチップは、ボンディング(接着)により外付けとしている。このような外付けの構成は、特開平6−162553号や特開平6−251410号にも記載されている。
【0004】
一方、半導体ウエハを基材として、リソグラフィにより一体化した光ヘッド素子が、特開平7−311972号公報に記載されている。これは、半導体ウエハの表面に薄い透明材料を積層して、光路となる導波層を形成したものがある。そして、この導波層に、発光素子や光検出器を組み込んだものである。この導波層は、II−IV族の半導体や酸化物強誘電体が用いられている。
【特許文献1】特開平5−290402号公報
【特許文献2】特開平6−162553号公報
【特許文献3】特開平6−251410号公報
【特許文献4】特開平7−311972号公報
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平5−290402号公報に記載の素子では、レーザやフォトダイオードのチップを後から接着する方法を取っているのは、ガラス部材上に直接レーザをエピタキシ成長することが事実上不可能であるためである。一般にガラス材は、原子の配列がランダムであり、上記の半導体レーザの様に、単結晶構造を成長する必要のある素子の基材としては使えない。このため、ガラス部材上に半導体素子を作り込んだ光ヘッドは実現されず、後から各チップを接着によって外付けせざるを得なかった。
【0005】
チップの接着時は、光軸を合わせながら素子を接着する必要があるため、例えばレーザダイオードに電流を流して発光させながら位置調節して接着する、アクティブボンディングなどの手法を用いる。フォトダイオード等の部品は、小型化するほど高周波に対する応答性能が良くなるが、各部品の大きさが極小チップのサイズとなることにより、位置調節が難しくなる。すなわち、外付けの場合、各々のチップについて調整時の位置合わせが難しくなる。
【0006】
上記特開平7−311972号公報記載の薄い導波層を用いる構成では、導波層の厚みのムラがあると、実質的に光が導波される光路の平均的な屈折率が変わってしまうため、収差を生じたり、光路が設計からずれるなど、加工精度(膜厚・組成)に対する許容度が厳しいという問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願では以下の構成とする。
【0008】
(1)光ヘッド素子に必要な光学部品と半導体光素子を、透明な半導体部材上に一体形成する。従来のガラス材に代えて、透明な半導体部材を用い、半導体部材結晶中をそのまま光路とする。このように、製造工程上、半導体部材にリソグラフィによって半導体光素子と光学部品の両方を形成することができるため、リソグラフィ技術の高い加工精度を活かして、5μm以下の高精度な位置合わせが容易にできる。また、一回の位置合わせで、ウエハ上の数十〜数百個のチップ全ての位置合わせを同時に行うことができるため、高い生産性も得られる。
【0009】
なお、本明細書で透明とは、照射された光を透過するものであり、ここでは透過率が30%以上のものを言うものとする。
【0010】
(2)光学部品としては、光ヘッドとして位置精度が要求される、例えば回折格子やレンズを集積する。この回折格子は、その格子の並びの方向が異なる複数の領域に、分割されている。
【0011】
(3)半導体光素子のうち、受光素子としては、従来多く用いられてきた表面入射のフォトダイオードに代えて、裏面入射フォトダイオードを用いる。これにより、透明な半導体ウエハ中を光路として伝わる光を、結晶中でそのまま受光する。ここで、裏面入射フォトダイオードとは、半導体ウエハの基板側(基板の一の面側)から入射された光をその基板を通して受光する構造を持つフォトダイオードをいう。
【0012】
(4)透明な半導体ウエハとして、例えば間接遷移型半導体の単結晶ウエハを用いる。これにより、単結晶中は高い透明度を確保しつつ、構造を作った部分にのみΓ−Xミキシングを起こして、選択的に発光や光吸収を起こさせる。例えば、このような半導体ウエハとしてGaPを用い、受光素子や発光素子部に、Gaを含む混晶半導体(AlGaP、GaAsP、InGaP等)を用いる。
【0013】
(5)半導体光素子のうち、発光素子としては、例えば間接遷移型半導体レーザを用いることで、短光路化に伴う光干渉ノイズの増大を抑える。
【0014】
(6)光学部品のうち回折格子は、リソグラフィによって、上記透明な半導体ウエハ上に、溝構造をエッチング加工で作製することにより形成する。また光学部品のうち、レンズ等の集光手段も、例えば回折レンズを形成してレンズとする。
【0015】
ここで、回折レンズやフレネルレンズの集光収差は、収差補正手段と組合せることで補正し、製造許容誤差マージンを確保する。
【0016】
また、ウエハ上に形成された光ヘッド素子を、ICやLSI同様、ダイシングによってロー切断、チップ切断することによって、数十〜数百個の光ヘッド素子を一度に大量に作製し、生産コストを下げる。
【0017】
以下、詳細に説明する。
【0018】
単結晶半導体部材の表面上に、溝構造を形成することで回折格子を形成し、半導体成長によって複数の裏面入射フォトダイオードを形成し、単結晶半導体部材内部を光路として、前記回折格子により分割された光を前記複数の裏面入射フォトダイオードにて受光することにより、トラッキングずれや焦点ずれを検出する。前記回折格子と前記裏面入射フォトダイオードは、前記単結晶半導体部材上にモノリシック(一枚岩的)に形成する。回折格子としては、格子の並びの方向が複数に区分された回折格子を用いる。
【0019】
または、単結晶半導体部材の表面上に、半導体レーザと、複数の裏面入射フォトダイオードとを形成し、前記単結晶半導体部材内部を光路として、前記半導体レーザを光源として出射された光を、前記複数の裏面入射フォトダイオードにて受光することにより、トラッキングずれや焦点ずれを検出する。前記半導体レーザと前記裏面入射フォトダイオードは、前記単結晶半導体部材上にモノリシック(一枚岩的)に形成する。
【0020】
その際、裏面入射フォトダイオードの受光層は、単結晶半導体部材よりもバンドギャップの狭い半導体材料によって形成する。
【0021】
また、単結晶半導体部材としては、当該裏面入射フォトダイオードの吸収端エネルギの光に対して透明なものを用いる。
【0022】
単結晶半導体部材としては、例えば、間接遷移型半導体単結晶を用いて、透明性を確保する。
【0023】
また、加えて、単結晶半導体部材上に、モノリシック(一枚岩的)に、トランジスタ素子(HEMT、HHMT、FET)を集積し、裏面入射フォトダイオードの受光信号を、フォトダイオード近傍で増幅する。
【0024】
半導体レーザの発光波長は、当該単結晶半導体部材中で吸収の少ない透明な波長にする。
【0025】
また、例えば、半導体レーザの活性層としては、間接遷移型半導体材料を用いる。なお、その場合、集光性能を改善する目的で、半導体レーザの光路の途中に、多層膜反射器を挿入するか、半値幅2nm以下に制限する波長帯域通過フィルタを挿入する。
【0026】
さらに、集光手段と、収差補正素子を組合せ、集光手段で生じた集光収差を、前記光ヘッド素子で検出し、前記収差補正素子で補正するよう、光ヘッドを構成する。
【0027】
各複数の裏面入射フォトダイオードは、各ペアとなるフォトダイオード間を、金属配線によって、チップ上で対称的に結線し、光ヘッド素子外部の配線数を節約する。
【0028】
集光手段としては、例えば、単結晶半導体部材上に、モノリシック(一枚岩的)に回折レンズ(フレネルレンズ)を形成する。その際、上記収差補正素子との組合せで、フレネルレンズの生じた収差を補正する。
【0029】
光ヘッド素子と、集光手段と、収差補正素子と、駆動用コイルを組合せ、光ヘッド機構を構成する際には、光ヘッド素子と集光手段と収差補正素子を機械的に相互に固定して一体構造とし、その全体を、駆動用コイルによって駆動する。
【0030】
また、光源としては、別の例として、垂直共振器面発光レーザを用いて、光ヘッド素子と半導体レーザの組合せ構造を構成する。
【0031】
その際、光ヘッド素子と垂直共振器レーザの接面における、垂直共振器レーザの光出射端を、ピラミッド型または円錐・角錐状のテーパ構造とする。テーパ周りの電極は、テーパ周囲の溝の外側にまで広げておく。この様にすることで、露出する活性層からの光ノイズを、十分に遮光することができる。
【0032】
レーザの出射光と、戻り光の光路を分離するために、例えば、偏光性回折格子を本光ヘッド素子と媒体の間に挿入する。
【0033】
また、別の例として、光源として、側面出射の半導体レーザチップを用い、前記光ヘッド素子に対し、前記側面出射の半導体レーザチップのエピタキシ面側を接合する。その際、例えば、光ヘッド素子側のレーザ光導入口を、斜め45度の反射鏡構造のついた突起構造とし、光ヘッド素子とレーザの出射端を平面的に位置合わせして外付けする。これによって、平面的な位置合わせだけで済み、高さ合わせが不要となり、調整が簡易となる。
【0034】
また、光源として、側面出射の半導体レーザチップを用いる場合、例えば、前記光ヘッド素子のフォトダイオード面側と、前記側面出射の半導体レーザチップのエピタキシ面側を、各々実装基板に接合し、実装基板を介して結合する。これにより、平面的な位置合わせだけで済み、高さの合わせが不要となる利点がある他、レーザを電気的/光学的に分離できるためノイズが少なく、また突起構造の作製が不要で低コストとなる。
【0035】
これらの光ヘッド素子を用いて、光ディスク装置や、携帯情報機器など、光ディスク装置を備えたコンピュータ機器を構成する。
【0036】
単結晶半導体部材としては、例としてGaP単結晶を用いることができ、その場合、例えば、AlPとの混晶AlGaPでレーザのエピタキシ層を積層する。
【0037】
また、裏面入射フォトダイオードは、例えば、GaP基板上に、InGaP/GaP超格子を積層し、その上にGaAsP系混晶で(PN接合を作製し、)受光層を形成する。
【0038】
回折格子と裏面入射フォトダイオードとは、光ヘッド素子となる単結晶半導体部材の対面に配置して、ヘッドを小型化する。ウエハ工程の完了後に、ロー切断、チップ切断を行って、一枚のウエハから大量の光ヘッド素子を得る。
【0039】
また、光ヘッド素子の基材として用いる単結晶半導体部材としては、例として、Si単結晶を用いてもよい。その際、Si基板上に、SiGeステップグレーデッドバッファ層を積層しその上にSiGe混晶のPN接合を形成して受光層とする。発光素子としては、例として、SiGe混晶系の隣接閉じ込め構造を用いる。
【0040】
また、光ヘッド素子の基材として用いる単結晶半導体部材としては、例として、SiC単結晶(シリコン・カーバイド単結晶)を用いてもよい。その際、ポリタイプ(結晶構造)の異なるSiCを積層し、受光層となる層で光吸収が起こるようにする。例えば、ウエハ基板としてはバンドギャップの大きな6H−SiCを用い、受光層となる部分に3C−SiCのポリタイプSiCを積層して、PN接合を形成する。
【0041】
また、光ヘッド素子の基材となる単結晶半導体部材の材料としては、直接遷移型半導体を用いることも可能であり、例として、GaN単結晶を用いてもよい。その際、例えば、InGaN混晶またはGaAsN混晶を用いてPN接合形成して受光層とする。その下地層としては、例えばGaPN/GaNのステップグレーデッド超格子バッファを形成して、格子定数の変換を行う。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1および図3〜図26を用いて説明する。
【0043】
<実施例1>
本発明による光ヘッド素子の構成例を、図1および図3〜図15を用いて説明する。
【0044】
(光ヘッド素子と光学系構成)
図1に、本発明による光ヘッド素子を用いた光ヘッドの構成例を示す。図1(a)が側面図、図1(b)が底面図である。光ヘッド全体は、大きく分けて、対物レンズ1、収差補正素子2、回折格子と受光素子を一体化した光ヘッド素子3より成る。光ヘッド素子3は、2〜4mm角で厚さ1mm程度のGaP(ガリウム・リン)単結晶のチップで、チップの片面に回折格子4が、もう片面に図1(b)に示すような、受光素子5(フォトダイオード)と、レーザ発光層6が形成されている。GaPは、赤外〜黄色波長域で透明な半導体であり、GaAsと同様にエピタキシャル成長によって、発光ダイオードやレーザなどの発光素子や、フォトダイオードなどの受光素子を、モノリシック(一枚岩的)に形成可能である。また、GaPは間接遷移型半導体であり、バンドギャップ付近の波長域(530〜540nm)でも透明度が高い。この透明な半導体単結晶ウエハ上に、溝構造を形成することで、回折格子などの光学部品を、半導体素子と一緒に形成することができる。なお、ここでは上記半導体ウエハのチップのことを、単結晶半導体部材と呼ぶ。従って、図1の光ヘッド素子3の部分は、一塊の単結晶半導体部材である。受光素子5やレーザ発光層6の実態は、厚さ2μm〜数十μmの半導体膜構造であり、単結晶半導体部材の表面上に、薄膜として形成されている。
【0045】
受光素子5は、半導体ウエハの基板側から受光する、裏面入射フォトダイオードである。この一般的な構造は、基板に用いた単結晶半導体よりもバンドギャップの狭い材料を基板表面上に積層し、これを受光層とした構造で、受光層の対面(すなわち裏面)より光を入射し受光する。受光層には、その典型的な構造として、PN接合またはPIN構造が形成される。
【0046】
なお、特開平7−311972の従来例に示された構造中のフォトダイオードは、基板側ではなく、表面側から入射された光を受光するので、表面入射型のフォトダイオード構造である。エピタキシャル成長を用いずに、イオン打込みのみで安価に製造される、ほとんどの一般的なフォトダイオードは、裏面入射型ではなく、表面入射型である。
【0047】
細長いレーザ発光層6の一端には、エッチング面によって小さな反射鏡部7が形成されている。この反射鏡部7を用いて、レーザ発光層6にて発生した光を、収差補正素子2と対物レンズ1へ向けて反射する。反射された光は、収差補正素子2を透過し、対物レンズ1にて集光され、図1では図示されていないが、ディスク媒体記録面に照射される。ディスク媒体記録面にて反射された光は、再び対物レンズ1と収差補正素子2を逆戻りして、本発明による光ヘッド素子3へ戻る。光ヘッド素子3上面には、回折格子4が形成されており、回折格子によって、複数の光束に回折して分割され、光ヘッド素子3の対面(下面)に形成された複数の受光素子5上へ照射され、受光される。
【0048】
受光素子5は、図1(b)に示すような、複数の分割受光面を持ち、自動焦点調節(オートフォーカス)や、トラッキング制御(データ記録トラック追従制御)や、収差補正制御の為の、ずれ量検出または収差検出のために用いられる。この仕組みを、次に、図4〜図8を用いて説明する。
【0049】
(自動焦点、トラッキング、収差検出の仕組み)
図4に、光ヘッド素子の底面における、受光素子5の配置を示す。受光素子の対面にある回折格子4には、図5に示すような、複数分割された格子溝パターンを形成しておく。即ち、単結晶半導体部材の上面に図5の回折格子によって分割された光束が、各々、下面にある図4の受光素子(フォトダイオード)上に照射され、受光される。この回折格子上に、図6のように、円形の光束(収束光)を入射すると、光束が、回折格子上の各々のパターンに応じて分割され、受光素子面5a、5b、5c上に投影される。光束の一部の、何割かの光が回折され、回折された光(これを回折光と呼ぶ)が、受光素子面5a、5b上に投影される。回折されずに回折格子を通過した光(これを直接光と呼ぶ)が、受光素子面5c上に投影される。このうち、受光素子面5a上に投影されたパターンの例を示したものが、図7である。各パターンは、焦点距離や、収束光の収差の変化に応じて、(i)〜(v)のように変化する。例えば、(i)(ii)が、イン・フォーカス側の焦点ずれの場合、(iv)(v)が、逆のアウト・フォーカス側の焦点ずれの場合、(iii)−2 が合焦点時の場合である。収差がある場合は、(iii)−1 や、(iii)−3 のように、左右で互い違いのパターンが投影される。この光分布を、各々p、q、r、sの受光面(フォトダイオード)にて検知し、その電流量を加減算することで、ずれ量が検知できる。例えば、焦点ずれ量に比例した電気信号は、p−q+r−sによって得ることができ、収差に比例した電気信号は、p−q−r+sによって得ることができる。これらのずれ量信号をゼロにするように帰還制御(フィードバック制御)することで、焦点距離制御や収差補正制御ができる。具体的には、焦点距離の調節は、対物レンズを駆動するコイルの駆動電流の変えて、対物レンズと媒体の距離を変化させることで行う。具体的な光ヘッドの構成は、実施例2にて後述する。また、収差の補正は、例えば図8のように同心円状の電極を持つ、液晶を挟んだ屈折率変調素子を、収差補正素子2として光路の途中に挿入し、検出された収差の量に応じて印加電圧を変化させればよい。収差補正素子2は、印加電圧に応じて光路部の屈折率が変化する素子であり、これにより光の波面の進み具合を調整することができる。例えば、(iii)−1 のように収差が発生している場合には、内周部電極14と外周部電極16では、電圧により液晶部透過時の屈折率を小さくし、中周部電極15では、逆の電圧を印加して、透過時の屈折率を大きくすればよい。この電極形状は、対物レンズ1の特性に合わせて、収差曲線を補償するように設定すればよい。
【0050】
また、トラッキングずれは、図6中の受光素子面5c上の検出信号によって、位相差法(DPD法)を使って検出できるほか、図1(b)に示した受光素子5の配置によって、3ビーム法、差動プッシュプル法の、任意の組合せを用いて検出できる。検出されたずれ量に応じて、例えば対物レンズの駆動コイルの駆動電流を調節することで、トラッキング制御が実現できる。
【0051】
このようにして、受光素子面5a、5b上へ照射された回折光は、焦点検出、収差検出、トラッキングずれの検出に用いられる。一方、受光素子面5c上へ照射された直接光は、主として光ディスクに記録されたデータの再生のために使われるほか、上記のように、場合によってトラッキングずれ検出にも用いられる。
【0052】
(主面の定義)
なお、以上では、結晶ウエハの表面とその対面(裏面)を、上面、下面(または対面)と呼んできたが、これらを第1の主面、第2の主面とも呼ぶことにする。また、結晶上に他の斜めの面(劈開面・エッチング面・研磨面)が形成されるときにも、それらの面と区別して、主面とみなせる面を指すものとする。また、表面上に保護膜が形成されて回折格子溝が最表面に出ていない場合や、保護膜上に回折格子溝が形成されている場合にも、その保護膜の下の結晶表面を直接反映しているものとして、これも主面と呼ぶことにする。
【0053】
(受光素子の作製工程)
次に、図1に示した光ヘッド素子3の、構造と作製工程を、図9〜図12を用いて説明する。なお、GaP単結晶を用いる場合、図1(b)に示したチップ(ウエハ)の底面は、結晶軸方向の表記で、おおよそ(001)面となる面を利用し、また図1(b)全体の、各正方形の辺がおおよそ[110]または[1−10]に相当する方向となるように配置をとる。この[110]方向、[1−10]方向とは、結晶の劈開面となる方向(結晶が割れやすい方向)である。これらの結晶の方向は、後でレーザ発光層6と反射鏡部7の作製時に関係する。
【0054】
まず、受光素子の構造を図9を用いて説明する。図9は、P型GaP基板上に、受光素子を構成する場合の、受光素子の膜構造である。受光素子は、PIN構造のGaAsPフォトダイオードであり、ウエハ表面ではなく、ウエハ内側から光を検出する、裏面入射フォトダイオードである。本光ヘッド素子では、結晶中を光路にとるので、同一結晶中で受光素子を形成し受光する為には、受光素子は裏面入射でなければならない。フォトダイオードが複数であることは、光ヘッドとしてトラッキングずれ検出や焦点ずれ検出を実現する為に必要である。本構造によって、500〜550nm波長帯(緑色帯)の光を、裏面入射で検出することができる。なお、同様の裏面入射フォトダイオードを、N型GaP基板上に作製する場合は、以下の手順の内、P型とN型のドーパント材料と電極材料を入替えることで、同様に作製可能である。なお、以下では、単結晶ウエハのことを、一般に半導体成長の分野で呼ばれるように、基板とも呼ぶ。
【0055】
なお、成長法としては、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE法)や、ガスソース分子線エピタキシー法(GSMBE法)を用いることができる。層構造における材料の組合せは、例えばMOCVD法では、原料ガスのバルブの開閉によって制御できる。GSMBE法では、シャッターの開閉にて制御できる。
【0056】
なお、単結晶とは、格子定数の異なる材料が積層された場合であっても、結晶構造が連続的に続いている場合、本願ではこれを単結晶と呼ぶことにする。
【0057】
以下、受光素子(裏面入射フォトダイオード)の構造と成長手順を図9に沿って説明する。まず、P型GaP(100)基板20(オフ角12度)上に、基板温度650℃にて、P型GaPバッファ層21(〜300nm)を成長する。続いて、基板温度を750℃まで上げながら、P型InGaP層22(1nm)、P型GaP層23(1nm)を、交互に繰返し積層して超格子バッファとし、InGaP層のIn組成比を、ゼロ近くから徐々に0.5まで増加させ、20μm程度積層する。この上に、続けて、As組成0.25のP型GaAsP層24を100nm、真性GaAsP層25を3μm、N型GaAsP層26を1.5μmずつ積層する。MOCVD法ならば、P型のドーパントとしてはジメチル亜鉛、N型のドーパントとしてはシランを用いれば良い。GSMBE法ならば、P型ドーパントとしてはベリリウム(Be)、N型ドーパントとしては固体シリコンを用いれば良い。
【0058】
次に受光素子のリソグラフィ工程を、図10を用いて説明する。GaP基板30(図10(a))上に、図8にて説明した裏面入射フォトダイオード層31を成長する(図10(b))。成長後のGaPウエハは、フォトダイオードとして、パターンを残す部分に、不水溶性のレジストマスク32を形成し(図10(c))、王水でウエットエッチングするか、または塩素系ガスを用いてドライエッチングする(図10(d))。エッチング後、残ったレジストマスクを剥離する(図10(e))。こうして不要部分を除去したウエハ上の、フォトダイオード部(N型電極形成部)にN型電極金属27としてAuGeNiを、ウエハ上の電極部(P型電極形成部)にP型電極金属28としてAuZnを蒸着し、350℃でアニールすることで、裏面入射フォトダイオードが形成される。フォトダイオードとして残る部分は、表面側からのノイズ光を受光しないように、電極膜(ここではN型電極金属27)にて遮光する。なお、ウエハ上にレーザを一体に形成する場合は、電極を蒸着せずに、続けてレーザ構造の成長を行う。
【0059】
(レーザ発光層の作製工程)
次に、レーザ素子の構造と成長方法を、図11を用いて説明する。先程の図9とは、図の上下が逆となるのでご注意されたい。レーザを受光素子と一緒のウエハに形成する場合は、若干受光素子の高周波特性が落ちるが、基板にN型GaP基板を用い、受光素子のP型とN型は反転しておく。
【0060】
まず、N型GaP(100)基板40上に、基板温度670℃にて、N型GaPバッファ層41(300nm)を成長する。続けて、Al組成を0.5から0.25まで徐々に減少させながら、N型AlGaP傾斜組成層42(1000nm)を積層する。続けて、真性AlGaP層43(100nm)、真性AlP層44(2nm)、真性GaP層45(1nm)、真性AlGaP層46(50nm)、真性AlP層47(2nm)、真性GaP層48(1nm)、真性AlGaP層49(150nm)、真性AlP層50(2nm)、真性GaP層51(1nm)、真性AlGaP層52(50nm)、真性AlP層53(2nm)、真性GaP層54(1nm)、真性AlGaP層55(100nm)を積層する。続けて、Al組成を0.25から0.5まで徐々に増加させて戻しながら、P型AlGaP傾斜組成層56(1000nm)を積層し、最後にP型GaP層57(5nm)を積層する。
【0061】
基板にGaP基板を用い、発光層にこのようにAlGaP系を用いることによって、活性層を厚く積層することができる。AlGaP系は格子整合系であり、GaPとAlPは格子定数の差が非常に小さく、上記のように厚く積層しても、ほとんど結晶性が劣化しない。厚みのある活性層や導波層が形成でき、多種のデバイスを作り込む、モノリシックの集積構造の基板材料として適している。活性層を厚く積層できることで、レーザ光を十分に導波層内に閉じ込めることができ、端面から放出されるレーザ光が、広角出射される。この広角出射により、光路長が短くとも、開口数を高くとることができ、レンズ等集光手段による集光スポットサイズを小さくし、媒体における情報の記録密度を高くすることができる。
【0062】
この半導体レーザの発光波長は、発光層の膜厚や組成を変えることで、単結晶半導体部材中で透明となる波長に選択することができ、調整が可能である。
【0063】
次にレーザ構造のリソグラフィ工程を、図12を用いて説明する。図10にて作製した受光素子形成後の続きで、裏面入射フォトダイオード層31のパターニングされたGaP基板30(図12(a))上に、図11にて説明したレーザ素子の層構造60を、有機金属気相成長法等を用いて成長する(図12(b))。成長後のウエハは、レーザ素子部として、パターンを残す部分に、不水溶性のレジストマスク61を形成し(図12(c))、王水でウエットエッチングするか、または塩素系ガスを用いてドライエッチングする(図12(d))。エッチング後、残ったレジストマスク61を剥離する(図12(e))。こうして不要部分を除去したウエハ上に、再び、反射鏡部7となる部分をエッチングするレジストマスク62を形成し(図12(f))、王水でウエットエッチングすることで、反射鏡部7を形成する(図12(g))。この際、図12(e)の段階で、他にもエッチングを行いたい部分があれば、同時にマスクを形成してエッチングしておく。図12(f)〜(g)では、フォトダイオード部の分割溝と、回折格子溝63を同時にエッチングにより形成している。なお、ウエハの裏表間の位置合わせは、赤色光で観察しながらパターンを位置合わせすることによって、リソグラフィ時に簡易に精度5μm以内で実現できる。王水によるウエットエッチングでは、AlGaP系混晶の結晶の場合、(111)相当の結晶面が残りやすく、斜めにエッチング面が現れる。この結晶面が所望の角度となるように、あらかじめ(001)面からオフセット角をつけたGaP基板用いることで、45度の角度を持つ反射鏡部7が形成される。最後に、不要となったレジストマスク62を剥離する(図12(h))。さらに、必要な部分を、二酸化シリコン膜等で保護しても良い。例えば、レーザ上に電流狭窄構造(リッジ構造)を作製してもよい。
【0064】
この後、レーザ素子部のパターン上(P型電極形成部)に、P型電極金属を蒸着し、ウエハ上の電極部(N型電極形成部)にN型電極金属を蒸着し、電極を形成する。なお、裏面入射フォトダイオードを形成した部分にも、この時同時に電極を形成する。また、P型電極は、薄いCr膜(2nm)を蒸着してからAuを蒸着し、アニールせずにショットキ電極としても良い。裏面入射フォトダイオードの表面は、十分に金属電極で遮光し、迷光による光ノイズを受光しないようにする。このように電極で受光素子を覆うことにより、迷光を遮光できると共に、受光層(活性層)から電極までの距離を短くできるため、半導体中の電子の移動速度によって律速される素子の応答速度を速く(動作周波数を高く)できるという利点もある。
【0065】
なお、図4のようなフォトダイオードの配置を用いた際は、複数の裏面入射フォトダイオード間で、各ペアとなるフォトダイオードは、金属配線によって、チップ上で対称的に結線してもよい。あらかじめペアになる配線をチップ上で結合することで、外部配線の数を減らし、機械的な可動部分においてヘッドを動き易くすることができる。
【0066】
図11に示したレーザ構造は、多重バリア構造を有する活性層となるため、冷却素子を必要とせずに、室温にて発振が可能なレーザとなる。
【0067】
以上説明した方法によって、透明な半導体ウエハ上に、回折格子構造と、裏面入射フォトダイオードと、半導体レーザを一体に集積して光ヘッド素子を形成することができる。なお、半導体レーザを本光ヘッド素子とは分離して、外付けとする場合、図12(a)〜(e)に示したレーザ発光層部分の形成工程は省くことができる。
【0068】
(本構造の利点)
作製された光ヘッド素子は、半導体部材上に、連続した単結晶で、モノリシック(一枚岩的)に、フォトダイオードと回折格子とが形成されている。これによって、回折格子とフォトダイオードの位置合わせが、リソグラフィ上のパターンの重合せで高精度に実現でき、手作業による組立てと調整の大部分を省いて、光ヘッドが構成できる。
【0069】
加えて、半導体レーザもモノリシック(一枚岩的)に集積した場合、一体化することで、アクティブボンディング(レーザを発光させながらチップの位置を調節して光軸を合わせてチップを接着すること)が不要となる。この時の位置合わせ精度は、図12(f)上で形成するパターンの精度で決まるため、非常に高精度にレーザ出射端と反射鏡の位置合わせができる。また、レーザのチップが外付けとなる場合に比べ、レーザチップを含め、光ヘッド素子全体が単結晶としてつながることで、高い熱伝導率が得られ、放熱特性が向上し、特性が安定化する。
【0070】
このように、本発明による光ヘッドの構成をとることで、各部品がリソグラフィ精度で位置合わせでき、組立て時に手作業で個々の部品の調整も不要となる。また、一回の位置合わせで、ウエハ上の数百個のチップ全ての位置合わせが同時にできるため、大量生産ができ、コストを大幅に下げられる。ウエハ工程の完了後に、ロー切断、チップ切断を行って、一枚のウエハから大量の光ヘッド素子を得る。また形成後に透明材(樹脂等)で充填し直す必要がないため、充填材料の屈折率歪(レンズの集光性能を劣化させる要因の一つ)が生じない。また、フォトダイオードや半導体レーザチップを外付けする場合に比べ、接着による、素子の傾きがなく、高い温度耐久性を持つという利点を有する。必要に応じて、一部のプロセスを省くことにより、レーザを作らずに、裏面入射フォトダイオードと回折格子のみを形成することも可能である。
【0071】
回折格子を、単結晶半導体部材上に直接形成することによって、耐熱性に優れ、機械的に強固となる。
【0072】
なお、ここで述べる回折格子は、トラッキングずれや焦点ずれや収差を検出するための回折格子であり、これとは別に、行きの光路と帰りの光路を分割する為の偏光性回折格子があってもよい。
【0073】
回折格子と裏面入射フォトダイオードとは、本構成例のように、光ヘッド素子となる単結晶半導体部材の対面に配置するとよい。対面に配置することで、光路長が短くなり、ウエハ内を多重反射して光路長をかせいだ場合に比べて、ウエハ厚みの誤差を受けにくくなり、歩留まりが上がるという利点がある。
【0074】
できあがった光ヘッド素子は、発光素子や受光素子を接着により外付けした場合に比較して、チップの外付けがなく凹凸が生じずに済む為、平面的な底面を持つ素子となり、機械的な支持・固定が容易となる。なお、いわゆる従来の、フォトダイオードやレーザチップを外付けした構造は、結晶が分かれているため、単結晶表面上に素子を作り込んだものでもなければ、モノリシックでもない。本発明による光ヘッド素子は、外付けのチップによる凹凸がなくなる分、光ヘッド素子自体のサイズも小型化できる。
【0075】
本構成の光ヘッド素子においては、半導体結晶のチップ内部を光が高い透明度で透過し、かつ受光素子にて効率良く受光される必要があるため、受光素子5の受光層は、半導体ウエハに用いた単結晶半導体材料よりも、バンドギャップの狭い材料で形成する。受光層に十分にバンドギャップの狭い材料を用いることにより、比較的薄い膜厚の受光層で、十分に光吸収でき、不要な光反射を抑えることができることによって、受光信号における光ノイズを減らすことができる。
【0076】
なお、図12では、複数のフォトダイオード間の受光面を、図12(f)〜(g)の段階で、エッチングで分割している。一般的なフォトダイオードで行われるように、境界にPN接合を形成して電気的に絶縁し受光面を分割する場合に比べ、分割溝を狭くし、受光面間の距離を短く形成しても、十分に絶縁による素子分離ができる。これによって本構成の光ヘッド素子の光学系が、小型化できている。
【0077】
図9のように、GaP基板上に、InGaP/GaP超格子を用いてバッファ層とし、格子定数変換を行って、その上にGaAsP系混晶でPN接合の受光層を形成することで、受光層であるGaAsP層の厚さを十分に厚く積層することができる。これによって、受光層で十分な検出光を吸収することができ、不要な光反射を抑えて、光信号におけるノイズを減らすことができる。
【0078】
(従来構造との比較)
本発明による光ヘッド素子は、特開平6−251410号公報に記載のような、基板の開口部内に透明材(樹脂等)で充填し直す製法に比べ、充填材料の屈折率歪(レンズの集光性能を劣化させる要因の一つ)が生じないため、高い集光性能を維持できる。
【0079】
本発明による構成例に示した、GaP単結晶(またはAlGaP混晶)は、光学異方性のない立方晶系であるため、屈折率異方性がなく、複屈折を生じない。光学的にレンズ等の集光構造や、回折素子が作りやすく、高い屈折率を持つため、レンズを形成した時に集光性能が高い。
【0080】
また、本発明においては、特開平7−311972号公報に記載の光ヘッド素子のように、膜厚むらが問題となるような、薄い導光路層を用いていない。半導体ウエハそのものが光路となることによって、膜厚の加工精度による収差の対策が不要となり、製造上の許容誤差(マージン)が大きく取れることで、歩留まりが向上し、低コスト化できる。
【0081】
また、本構成では、特開平7−311972号公報に記載の光ヘッド素子のように、回折格子(回折レンズ)により光路を直角に曲げる(回折効率が落ちやすい)必要がないために、光の利用効率が高いという利点が生じている。
【0082】
(フレネルレンズの形成)
なお、図12にて、光ヘッド素子に回折格子を形成する工程を示したが、回折格子に代えて、回折レンズ(フレネルレンズ)を作製することもできる。その場合のリソグラフィ工程を、図13に示す。回折レンズは、図13(c)〜(e)、図13(f)〜(h)の2段階のエッチングにより形成し、レンズ溝の浅い部分と深い部分を形成することで、半三角波形状(Semi−blazed)の回折レンズとする。これにより、単純な方波形の回折溝(Binary grating)の場合に比べ、集光効率を7割向上することができる。フレネルレンズも半導体ウエハ上に一体とすることによって、レンズをリソグラフィによりチップ上に高精度に位置合わせしながら加工できるため、チップとレンズの位置合わせが不要となり、製造時の歩留りが上げられる。
【0083】
フレネルレンズ自体は薄いので、光ヘッド全体を、小型・軽量化できるという利点がある。
【0084】
一方、図1のように、対物レンズとしてガラスレンズを用い、レンズを分離した構成は、ヘッド自体の大きさはレンズの分だけ大きくなるが、ガラスレンズの高い集光性能を生かして、短い焦点距離でも収差が小さく済む為、より高密度の記録が可能となるという利点がある。特に光軸の傾きに対しても高い集光性能を維持することができ、光ヘッド全体としての許容収差が拡大できる。どちらの構成を取るかは、要求される記録密度と加工精度の兼合いで選択すれば良い。
【0085】
フレネルレンズにさらに、回折格子の役割も兼ねる場合には、フレネルレンズのパターンを、レンズパターンと回折格子パターンの重畳パターンとすることで、2つの効果を併せ持つ回折パターンとすることができる。
【0086】
なお、フレネルレンズは、図14のように、収差補正素子などのガラス材上に、鋳型成形(モールド)等によって形成しても良い。このようにすると、レンズをリソグラフィで形成する必要がなくなるので、若干光ヘッド素子全体を低コスト化することができる。その場合、フレネルレンズの中心と、収差補正素子の中心は、典型的に20μm以内で合わせる必要があるが、これは収差補正素子の電極パターンの形成時に、フレネルレンズ中心との位置合わせによって行う。
【0087】
(トラッキングの定義)
なお、本発明では、受光素子によりトラッキングずれや焦点ずれを検出する光ヘッド素子を構成しているが、トラッキングとして、XY平面状にアレイ配列された記憶ビットへのX方向のトラック、Y方向のトラックに対し位置合わせするための光ヘッドも構成できる。その場合は、図1(b)のフォトダイオードの配置はそのままでよく、記録媒体である記録面上に二次元格子状にサンプルサーボパターンを配列すればよい。本願明細書では、二次元平面的に配列されたデータ列に対し、位置合わせ制御することも含めて、トラッキングと呼ぶことにする。
【0088】
(間接遷移型の利点)
次に、本光ヘッド素子において、素子基材に間接遷移型半導体を用いることの作用と利点について、以下に述べる。
【0089】
間接遷移型半導体とは、電子状態のバンド構造において、伝導帯下端の波数が、価電子帯頂上の波数と異なる位置にある半導体のことである。図15に、間接遷移型半導体のバンド構造の例を示す。
実線が間接遷移型1の半導体のバンド構造例、点線が直接遷移型2の半導体のバンド構造例である。縦軸はエネルギで、横軸は波数75である。
【0090】
直接遷移型半導体の場合は、伝導帯71の下端は、点線のように、価電子帯72の頂上のすぐ真上にある。電子73は伝導帯の底に蓄積し、ホール(正孔)74は価電子帯の頂上に蓄積する。波数空間上で同じ位置にある電子とホールは、ブロッホ波動関数の結晶並進対称性が一致しているため、発光遷移(光学遷移または発光性再結合)を起こしやすい。このため、電子とホールは直接発光遷移でき、発光や光吸収の活性が高く、電流注入によりレーザ発振を起こしやすい。ただし、その光学的な活性が高すぎるため、外部からの戻り光に対しても鋭く反応し、干渉共振などのレーザの光ノイズ(光雑音)の原因ともなる。
【0091】
一方、間接遷移型半導体の場合は、伝導帯71の下端が、実線のように、価電子帯72の頂上の真上ではなく、斜め上にある。このため、蓄積した電子とホールは、直接発光遷移できない。このため、発光は、フォノンと呼ばれる格子振動や、界面不均一や組成不均一のような空間ポテンシャル揺らぎ等と相互作用して、中間状態を介して2回連続して遷移することで起こる。これを間接遷移と呼ぶ。例えばAlGaP系の半導体では、ちょうど図15のようなバンド構造を持っているため、間接遷移型半導体である。このため、間接遷移型半導体は、通常バルク中では発光しにくく、またバンドギャップ付近のエネルギの光もほとんど吸収しないという特性を持つ(Xバンドギャップのエネルギを超えた光であっても、Γ点間のエネルギ未満であれば、ほとんど光吸収が起きない)。間接遷移型半導体の一般的な、バンドギャップ(エキシトンニック・ギャップ)付近のエネルギの光に対する光学的な吸収係数は、30/cm以下(光が結晶中を1cm進む間に、自然対数eのマイナス30乗にまで減衰する吸収度以下)であり、本願明細書においては、これを透明であると呼ぶことにする。例として、GaPは2.27eVで吸収係数25/cmであり、この値の範囲内である。
【0092】
この間接遷移型半導体を単結晶半導体部材として用いた場合には、透明度が高いことによって、光路中の光のロスがなくなり、光の利用効率が高く、受光素子における検出S/Nも良くなる。フォトダイオード以外の部分での不要な光吸収を抑えることができるため、光の利用効率が良くなる。また不要な光吸収によるキャリア(電子やホール)の発生がなくなることで、高速光変調信号に対する受光素子の応答性能も上がる。
【0093】
さらに間接遷移型半導体では、量子井戸層などの構造を作ることで、結晶の周期性を崩して、Γ−Xミキシングの効果を生じさせることで、局部的に発光や光吸収が起こりやすくできる。このため、通常バルクでは透明度が高く、構造を作った所だけ、選択的に発光や光吸収を起こすことができる。構造によって、局所的に光学活性を高めることができるため、活性層の部分のみを発光しやすい状態にでき、ロスの少ないレーザを作ることができる。このため、間接遷移型半導体を用いることで、閾値の低いレーザを作ることができる。発振時の発熱が少ないため、放熱について特に構造が必要なく、ヘッドとして性能の安定する。
【0094】
さらに、間接遷移型半導体レーザでは、光学的な活性が適度に低く、戻り光や干渉共振による光ノイズを生じにくいという利点を有する。このため、間接遷移型半導体レーザを用いることで、戻り光に対するノイズ対策が不要となり、直接遷移型半導体レーザの駆動回路にてよく利用されているような高周波重畳回路を省くことができる。高周波重畳が不要となるため、重畳周波数の限界で制限されていた光路長をさらに短くすることができ、さらにヘッドを小型化できる。なお、本願明細書では、直接遷移型半導体レーザと間接遷移型半導体レーザの両方を合わせて、半導体レーザと呼ぶことにする。
【0095】
(吸収端の定義)
なお、間接遷移型半導体における吸収端とは、一般的に、吸収係数の2分の1乗を光のエネルギに対してプロットした際に、その吸収曲線が、吸収率=0の線へ向かってクロスする点のエネルギで表現される。また、直接遷移型半導体の場合は、より明瞭に吸収率がほぼゼロとなるエネルギが吸収曲線上に現れるので、その光のエネルギを吸収端と呼ぶ。
【0096】
なお、本発明の光ヘッド素子が正常に機能するためには、レーザ発光層から放出された光を、媒体にて反射後、フォトダイオードにて受光する必要があるため、単結晶半導体部材は、当該裏面入射フォトダイオードの吸収端エネルギの光に対して透明であることと、かつレーザ発光層の発光波長のエネルギに対して透明であることの両方が必要である。
【0097】
(他材料系)
なお、光ヘッド素子の基材として用いる単結晶半導体部材としては、Si単結晶を用いてもよい。その際、Si基板上に、SiGeステップグレーデッドバッファ層を積層しその上にSiGe混晶のPN接合を形成して受光層とすればよい。
【0098】
また、光ヘッド素子の基材として用いる単結晶半導体部材としては、SiC単結晶(シリコン・カーバイド単結晶)を用いてもよい。その際、ポリタイプ(結晶構造)の異なるSiCを積層し、受光層となる層でのみ光吸収が起こるようにする。例えば、ウエハ基板としてはバンドギャップの大きな6H−SiCを用い、受光層となる部分に3C−SiCのポリタイプSiCを積層して、PN接合を形成する。
【0099】
また、光ヘッド素子の基材として用いる単結晶半導体部材としては、GaN単結晶を用いてもよい。GaNは直接遷移型半導体であるが、バンドギャップ付近で急峻な吸収係数の変化を持つため、387nm以上の波長では透明であり(立方晶)、基材として使用可能である。その際、例えば、InGaN混晶またはGaAsN混晶を用いてPN接合形成して受光層とすればよい。GaN基材との格子定数の違いについては、バッファ層も透明である必要があるため、例えばGaPN/GaNのステップグレーデッド超格子バッファを形成して、格子定数の変換を行う。
【0100】
(収差補正の効果)
なお、本実施例では、収差補正素子との組合せ構成例を示した。これは、半導体は、温度によってキャリア密度が変化することによって、屈折率が少し変動するため、収差が発生することを補正するためである。収差補正素子との組合せによって、ウエハとして用いたGaPの屈折率変化により発生する収差を補正し、集光性能の温度安定性を確保するためである。
【0101】
また、回折レンズは、ガラスレンズに比べて、光源の波長の揺らぎ、光軸の傾き、基板厚の誤差によって、集光性能が大きく変化しやすいため、収差補正素子との組合せによって、収差を補正することで、集光性能を安定化させる目的がある。
【0102】
即ち、本光ヘッド素子は、収差補正素子と組合せることで、性能を安定化させることができる。
【0103】
(実施例2)
次に、本願発明による光ディスク装置の構成例を、図16〜図17を用いて説明する。図16は、光ヘッドにおいて、本光ヘッド素子を用いた光ディスク装置の構成例である。
【0104】
点線で囲まれた部分が、機械的に可動する部分に取り付けられている光ヘッド部である。本構成では、ここに先の実施例の図1に示した光ヘッド素子を用いている。なお、図1や図14に示した、光ヘッド素子と、収差補正素子と、対物レンズの組合せ構造を、以下では組合せ光ヘッド構造と呼ぶことにする。以下、図16に戻って、光ディスク装置の構成の詳細を述べる。
【0105】
光の反射率変化により情報を記録したパターン有する光ディスク媒体101を、回転サーボ回路102によって一定回転速度に制御されたモータ103上に設置し、回転する。レーザドライバ104によって、組合せ光ヘッド構造100中のレーザ発光部からレーザ光を発生させ、光ディスク媒体101の方へ向けて導入する。この光は、組合せ光ヘッド構造中の収差補正素子を通過後、組合せ光ヘッド構造中の対物レンズにより集光されて、光ディスク媒体8上に照射される。組合せ光ヘッド構造100全体は、コイル駆動のアクチュエータ106上に設置されており、焦点深度方向と、ディスクの半径方向に電気信号によって可動となっている。焦点深度方向は焦点サーボ回路107によって、半径方向はトラッキングサーボ回路108によって、各々、前記集光照射された光が、光ディスク媒体101上の、希望のトラック上のパターンの上にて焦点を結ぶように制御される。なお、光ディスク媒体101中に記録されるピットパターンのピット高さは、ピット部と非ピット部の反射光の位相が、180度反転するように、媒体の材料(通常ポリカーボネート等)の屈折率に合わせて調節される。
【0106】
光ディスク媒体101上のパターンによって変調された反射光は、反転して、組合せ光ヘッド構造100中の対物レンズを通過した後、同じく組合せ光ヘッド構造100中の収差補正素子を通過して、組合せ光ヘッド構造100中の光ヘッド素子(半導体単結晶チップ)に照射される。この光束は、光ヘッド素子上の回折格子により分割されて、光ヘッド素子上の複数の受光素子にて検出されて、各々の受光面の光量に比例した電気信号を発生する。この電気信号を、光電流アンプ109にて増幅し、その信号電圧を加減算することで、焦点ずれ量、トラッキングずれ量、残収差量に対応した電気信号を得ることができる。なお、ディスクの記録情報を読み出す、信号光の電気信号(RF信号)のみは、高速な変調信号であるため、高周波まで検出する必要がある。そこで、記録情報を読出す目的で取出される電気信号(RF信号)のみ、光ヘッド素子の直近で、プリアンプ105により増幅してから伝送する。
【0107】
上記の焦点ずれに対応する信号を、焦点サーボ回路107を経由して、アクチュエータ106に帰還することで、自動焦点調節が実現される。また、残収差量に対応する信号を、収差サーボ回路119を経由して、光ヘッド素子上の収差補正素子へ帰還することで、自動収差補正が実現される。なお、トラッキングずれ量は、再生信号中のサンプルサーボ信号より得る方式もあるので、以下では、その両方に対応した構成例を述べることにする。
【0108】
一方、光電流アンプ109にて増幅された反射光信号は、信号処理によって情報を再生するためにも用いられる。光電流アンプ109の信号は、まず等化回路110によって、周波数・反射光量に応じて補正される。次にこの信号は、レベル検出回路111、同期検出回路112、サンプリング回路114に供給される。レベル検出回路111では、同期パターンの先頭を示す、同期信号を検知する。この信号を受けて、同期検出回路112にて、光ディスク媒体101の回転数に同期した、同期タイミング信号を生成する。この信号を位相ロック回路113にて受け、同期タイミング信号に同期した逓倍化信号を生成する。この逓倍化信号をサンプリングクロックとして、サンプリング回路114に供給し、変調データの通過点に合わせて、再生信号をサンプリングする。このサンプリングされた再生信号を、復調回路115とトラッキング誤差検出回路116に供給する。復調回路115では、サンプリングされた再生信号より、各変調信号を複号変換すると同時に、メモリ117に記憶して、次に読出すビット信号の復号に用いる。一方、トラッキング誤差検出回路へ供給された、サンプリングされた再生信号は、サーボピットに相当するトラッキングのズレを検出できるエッジ位置の信号を抽出して、理想トラック位置からのズレ量をトラッキングサーボ回路108へ帰還する。これにより集光点のトラッキング制御が実現する。なお、これらのサーボ回路、駆動回路、信号処理回路は、主制御回路118によって、統括的に制御される。
【0109】
復調回路115より出力された、復号されたビット信号を、使用目的に合わせて信号処理することで、ディスクに記録されたデータが利用できる。一般的に、エラー訂正処理や、スクランブルの復号化等の処理が行われる。
【0110】
(本構成の利点)
このように、本発明による光ヘッド素子と、組合せ光ヘッド構造を用いることにより、光ヘッドのフォーカス検出、収差検出、トラッキング検出、RF信号(反射光信号)検出が、3〜5mm角のチップで可能となり、全体をコイルにより駆動されるアクチュエータ上の可動部分に収めることができる。
【0111】
ヘッドが小型となるため、光ディスク円板の内周まで記録データ領域として使える。特に小型のディスクにおいて、記憶容量を大きくとれる。また、高周波重畳が不要で、重畳周波数で制限されてきた光路長を短縮でき、ヘッドを小型化できる。また、重畳高周波の発振回路も省け、光ヘッドをさらに小型化できる。光ヘッドの小型化に伴って、光ディスク装置を組み込んだノート型パーソナルコンピュータ等、コンピュータ機器のサイズ自体をも小さくできる。たとえば、図17のような光ディスクドライブを内蔵したノート型パーソナルコンピュータにおいては、光ヘッド可動部122のサイズが光ディスクドライブ121の厚みを決めており、半導体レーザの直近に配置する必要のあった重畳高周波発振回路123が不要となることで、光ヘッド可動部122を小型化・軽量化できる。これにより、光ディスクドライブ121自体の高さを低く抑え、ノート型パーソナルコンピュータ筐体120の厚みを薄くできる。また、ディスクの内周まで記憶領域として使えるため、同じ記憶容量でもディスクサイズが小さくて済む。このため、回転に伴う振動を小さくすることができ、その分、回転速度を速くすることができる。コンピュータ機器において、情報の読み出し速度を上げることができる。光ディスク装置の、情報の転送レートが高速化することで、コンピュータ機器の動作速度をも高速化できる。
【0112】
また、本発明による光ヘッドの構成においては、光ヘッド素子と対物レンズを含む光学系全体が、アクチュエータにより駆動されるため、トラッキングずれの追従時に、コマ収差が発生しないという利点を有する。従来例(図2)の構成では、トラッキングずれの追従のために、ボイスコイルが大きく駆動されると、対物レンズの中心軸が、他の素子(受光素子やレーザ)の光軸に対してずれるため、光軸のズレ(傾き)によるコマ収差が発生し、光スポットが変形することで、情報が正しく読出せなくなり、特に高密度記録において問題となる。これに対し、本発明による光ヘッドの構成では、対物レンズと受光系が一体となって、光学系の全体が、チップごとアクチュエータにより駆動されるため、対物レンズと光ヘッド素子との位置関係が変わらない。このため光軸のずれが起こらず、コマ収差が生じない。これにより、ヘッドの集光性能が維持でき、特に高密度の光ディスクにおいて、再生信号品質の信頼性を高く保つことができる。
【0113】
また、光ヘッド素子の光源として間接遷移型半導体レーザを積載した構成では、高周波重畳が不要となるので、本実施例のように、重畳高周波の発振回路を省くことができる。このため、発振回路をレーザ直近に配置する必要がなくなり、インピーダンス整合さえ確保されていれば、レーザドライバと光ヘッド素子を離して配置することができる。レーザドライバはヘッドの可動部上に積載する必要がなくなり、ヘッドの可動部がさらに小型化できる。これにより、光ディスク装置全体を、さらに小型化することができる。
【0114】
(実施例3:光ヘッド素子の構成例2)
次に、本願発明による光ヘッド素子の、他の組合せ構造(組合せ光ヘッド素子)の構成例を、図1および図18〜図26を用いて説明する。
【0115】
(二枚組レンズとの組合せ構成例)
図18は、本発明による光ヘッド素子とレンズと収差補正素子の組合せ構成例で、記録密度の高い光ディスクに適した構成例である。
【0116】
対物レンズ1と光ヘッド素子3の間に、λ/4板80、収差補正素子2、コリメートレンズ81、偏光性回折格子82が、順に挿入されている。対物レンズ1に加え、コリメートレンズ81を用いて、レンズを二枚使った構成としている。
【0117】
偏光性回折格子82は、本共焦点系の光学系において、光路の往路と復路の光軸の角度をずらすために挿入されている。この偏光性回折格子が正しく機能するために、往路と復路で偏光方向を変えるよう、λ/4板80が挿入されている。
【0118】
本構成においては、2枚のレンズを用いているため、全体としてのレンズの収差が小さく、ヘッドの光学分解能が高いため、光ディスクの記録密度を高くできるという利点を有する。
【0119】
(外付け垂直共振器面発光レーザとの組合せ構成例)
図19は、本発明による、光ヘッド素子とレンズと収差補正素子と外付けレーザとの組合せ構成例で、レーザとして垂直共振器面発光レーザを用いた構成例である。
【0120】
図1の構成例に比較して、レーザが外付けとなっている。レーザには、垂直共振器面発光レーザ86を用いている。光ヘッド素子3と、レーザの接合部分にて、垂直共振器面発光レーザ86の光の出射端を、テーパ状に加工している。出射光をテーパ端に一度集光し、集光された光を出射することで、光の広がり角を大きくしている。
【0121】
まず、この垂直共振器面発光レーザの構造例を図20〜図21を用いて説明する。以後、垂直共振器面発光レーザのことを、単に面発光レーザとも呼ぶ。まず、図20に、面発光レーザの素子構造を示す。
【0122】
まず、N型GaP(100)基板90上に、基板温度650℃にて、N型GaPバッファ層91(300nm)を成長する。続けて、Al組成0.7のN型AlGaP層92(50nm)とN型GaP層93(45nm)を交互に繰返し積層し、下面の多層膜反射鏡(DBR)を形成する。繰返し数は、求める特性に応じて増減してもよい。続けて、Al組成0.4の真性AlGaP層94(48nm)、真性AlP層95(2nm)、真性GaP層96(1nm)、Al組成0.4の真性AlGaP層97(48nm)を積層し、活性層部88を形成する。最後に、Al組成0.7のP型AlGaP層98(50nm)、P型GaP層99(45nm)を繰返し積層し、上面の多層膜反射鏡(DBR)を形成する。成長法と、N型/P型ドーピングの方法については、実施例1のレーザ発光層の作製法と同様である。DBR層におけるドーピング濃度は、1立方センチメートル当り5×10の17乗から、1×10の18乗で、若干高めにしておく。なお、以下では、活性層部88の手前から基板側を、面発光レーザ基材部87と呼ぶ。活性層部88より表面側にある多層膜反射層を、表面DBR部89と呼ぶ。
【0123】
次に、この面発光レーザの出射端を、テーパ状に加工する。その構造とリソグラフィ工程を、図21を用いて説明する。
【0124】
図20にて作製した面発光レーザ層の形成後(図21(a))、テーパ部と、その周囲のガード部のパターンを、不水溶性のレジストマスク76によってマスキングする(図21(b))。これを、王水によってウエットエッチングし、表面DBR部89を削って、テーパ部77(中央の突起部)とガード部78(中央の突起周囲を囲む突起部)とを形成する(図21(c))。エッチング後、残ったレジストマスクを剥離する(図21(d))。こうしてテーパ構造を形成したウエハ上に、再び、テーパ部77とガード部78を保護するレジストマスク76を形成し(図21(e))、ガード部のさらに外側部分は、レーザの活性層部88までエッチングする(図21(f))。残ったレジストマスクを剥離し(図21(g))、こんどはレーザ光の出射端となるテーパ部77の頂上と、面発光レーザ基材部87の露出部に、再びレジストマスクを形成し(図21(h))、レーザの電極金属を蒸着する(図21(i))。電極金属としては、実施例1に示したAu/Crを用いる。最後に、レジストマスクを剥離することにより、不要部分の金属膜を同時に除去する(図21(j))。これにより、テーパ部77の周囲が、電極金属膜79で覆われた構造となる。ピラミッド状のテーパ構造が形成され、テーパ部77の頂上(テーパ端)にのみ開口が形成される。この開口部から光が放出される。なお、開口径は発光波長の1〜2倍程度でよく、あまり小さく絞る必要はない。
【0125】
ここではテーパ構造として、ピラミッド型の構造の例を挙げたが、ピラミッド型以外にも、円錐・角錐状に、先端が尖った形状でよく、これらを含めてテーパ構造と呼ぶことにする。
【0126】
一方、図19に戻り、光ヘッド素子3上には、スリット状に金属膜電極を形成しておく。上記にて作製したテーパ構造付きの面発光レーザを、このスリットと位置合わせしながら接合する。テーパ部77がスリットの間から覗くように、垂直共振器面発光レーザ86のチップを配置する。
【0127】
本構造では、垂直共振器面発光レーザ上に、テーパ構造を形成し、テーパ端から出射される光が、広角に広がることを利用して、レンズにおける開口数を大きく取っている。これにより、集光性能を高くし、媒体上の記録情報の読み書きに用いる光スポットを小さくでき、情報の記録密度を高くすることができる。
【0128】
さらに、本構造では、面発光レーザと光ヘッド素子が分離し、開口部以外は遮光されているため、レーザの他の部分からの迷光が光ヘッド素子3中に入りにくい。これによって、受光素子における光信号の検出時に、迷光による光ノイズの混入を最小限に抑えることができ、光ヘッド素子の信号品質(S/N比)を高めることができる。
【0129】
テーパ型の構造をとることによって、光がテーパ端(テーパ頂上)に集光する効果がある。さらに、先端部を中心として光が共振し、レーザの活性層との相互作用で発光することによって、レーザの発光自体が集中する効果がある。また、テーパ周囲の金属膜を、ガード部の外側まで十分に広げておくことで、テーパ先端以外の部分からの迷光が遮光できる。また、エッチングされたテーパの周囲では、表面DBR層の厚さが減り、活性層に近づくことにより、電極が低抵抗化し、駆動電圧が低く済むという効果がある。
【0130】
また、本構造では、面発光レーザが、光ヘッド素子の基板と電気的にも分離するため、光ヘッド素子の基板に面発光レーザの基板とP型/N型が逆のドープの基板(ここではP型基板)を用いることができ、受光素子と面発光レーザで、各々の素子に最適な、P型・N型が異なる基板を用いることができる。例えば、光ヘッド素子の基板にP型基板を用いることができ、受光素子の動作周波数特性を高くすることができる。
【0131】
(側面出射レーザとの組合せ構成例1)
図22は、本発明による光ヘッド素子とレンズと収差補正素子と外付けレーザとの組合せ構成例で、実装基板を介して、光ヘッド素子と外付けレーザを結合した場合の構成例である。
【0132】
対物レンズとしては、収差補正素子2上に、フレネルレンズ17を形成している。光ヘッド素子3のレーザ発光層に代えて、導波路83を形成している。導波路は、基本的に図11に示したレーザと同じ層構造で、図11のうち、量子井戸層である真性AlP層(2nm)と真性GaP層(1nm)の層を省いて、残る層のドープ(N型およびP型)を省略した構造でよい。そのまま屈折率導波路層となりる。導波路層の底面パターンは、光ヘッド素子3の側面まで延長し、幅を10μm程度で調節すればよい。図22に戻って、このようにして構成した導波路83により、レーザチップ84からのレーザ光を、光ヘッド素子3内に導入している。レーザチップ84と光ヘッド素子3とは、実装基板85を介して固定している。その他の構成は、実施例1中にて示した図16の構成と同様である。
【0133】
レーザチップ84は、最も一般的な、活性層の成長面(エピタキシ面)に対し垂直な側面(劈開面)からレーザ光が出射されるタイプのレーザである。このようなレーザを、側面出射レーザと呼ぶことにする。
【0134】
通常、半導体レーザは、エピタキシ成長された、素子表面部に活性層と導波路があり、側面出射レーザの場合、レーザとなる半導体結晶側面部のエピタキシ面側の角(上端部または下端部)からレーザ出力光が出射される。側面出射レーザの出射端と、本光ヘッド素子の導波路とを、各々平らな実装基板85上に接着するだけで、出射端の高さと、導波路入口の高さを合わせることができる。従って、本光ヘッド素子と、側面出射レーザを向かい合わせに配置することで、簡易に位置合わせができる。
【0135】
本構成では、側面出射のレーザを用いることができるので、既存の安価で性能の安定したレーザを用いることができる。また、性能の良いレーザチップを、光ヘッド素子と別に選別して、組合せて利用することができる。このため、レーザの歩留りが問題となる場合に、製造コストを下げることができる。
【0136】
また、面発光レーザの場合と同様に、レーザと光ヘッド素子を分離することにより、迷光による光ノイズの混入を最小限に抑えることができる。また、電極が逆バイアス構造となるレーザを用いることができるという利点も同様に有する。
【0137】
(側面出射レーザとの組合せ構成例2)
図23は、本発明による光ヘッド素子とレンズと収差補正素子と外付けレーザとの組合せ構成例で、側面出射レーザを、光ヘッド素子3の底面に外付けした場合の構成例である。
【0138】
実装基板のようなものを用いずに、光ヘッド素子3の底面に直接、側面出射レーザのレーザチップ84のエピタキシ面側(活性層面側)を接合する。この際、側面出射レーザを接合する部分について、光ヘッド素子3の底面を、数μm分、あらかじめ塩素系のドライエッチングにより切削しておき、その場所にレーザチップ84を埋込む。その他は図1と同様である。これにより、光ヘッド素子のレーザ光の導入口(入射口)を、斜め45度の反射鏡構造のついた突起構造のようにすることができ、光ヘッド素子内へレーザ光を導入することができる。レーザ光の出射端と、導入口は、自動的に高さが合うため、必要となる位置合わせは、光ヘッド素子3とレーザチップ84の出射端の、平面的な位置合わせだけで良く、調整が非常に簡易となる。
【0139】
また、本構造においても、面発光レーザの場合と同様に、レーザと光ヘッド素子が分離していることにより、迷光による光ノイズの混入を最小限に抑えることができる。また、電極が逆バイアス構造となるレーザを用いることができるという利点も同様に有する。
【0140】
(トランジスタ素子を集積した光ヘッド素子の構成例)
図24は、本発明による光ヘッド素子と、フレネルレンズを備えた収差補正素子と、トランジスタ素子(HEMT・HHMT・FET・HBT)を組合せた場合の構成例で、図14に比較して、光ヘッド素子上に、モノリシック(一枚岩)的にトランジスタ素子33を集積した場合の例である。
【0141】
まず、トランジスタ素子33の層構造と成長手順を、図25を用いて説明する。
【0142】
P型GaP(100)基板20上に、基板温度650℃にて、以下の層構造を順に積層する。N型GaPバッファ層34(300nm)、P型GaP層35(200nm)、低濃度P型AlGaP層36(2000nm)、真性GaP層37(10nm)、N型GaP層38(100nm)。最後に、高濃度N型GaP層39(100nm)を積層する。なお低濃度P型AlGaP層36は、層がわずかにN型からP型となる程度のドープ量に調節する。
【0143】
次に、リソグラフィ工程を、図26を用いて説明する。
【0144】
図10にて作製した受光素子形成後の続きで、裏面入射フォトダイオード層31のパターニングされたGaP基板30(図26(a))上に、図25にて説明したトランジスタ素子の層構造64を、ガスソース分子線エピタキシ法(GSMBE法)を用いて成長する(図26(b))。成長後のウエハは、レーザ素子部として、パターンを残す部分に、不水溶性のレジストマスク65を形成し(図26(c))、王水でウエットエッチングするか、または塩素系ガスを用いてドライエッチングする(図26(d))。エッチング後、残ったレジストマスク65を剥離する(図26(e))。こうして不要部分を除去したウエハ上に、再び、トランジスタ素子のゲート部となる部分をエッチングするレジストマスク65を形成し(図26(f))、王水でウエットエッチングすることで、ゲート部の凹みを形成する(図26(g))。この凹みの深さは、100nm以上とし、最表面の電極用の高濃度N型GaP層を十分に切削して除去する。なお、図26(e)の段階で、他にもエッチングを行いたい部分があれば、同時にマスクを形成してエッチングしておく。エッチング後、残ったレジストマスク65を剥離する(図26(h))。こうして不要部分を除去したウエハ上に、再び、トランジスタ素子のゲート電極の形状のレジストマスク65を形成し(図26(i))、レジスト上からアルミニウムを蒸着する(図26(j))。蒸着後、残ったレジストマスク65を剥離する(図26(k))。この状態では、ゲート電極だけが形成されたトランジスタ素子が形成されている。最後に、ソース電極、ドレイン電極の形状のレジストマスクを形成し(図26(l))、レジスト上から電極金属(ここではAuGeNi)を蒸着し(図26(m))、蒸着後、不要となったレジストマスクを剥離する(図26(n))。
【0145】
このようにして、各受光素子5の近傍に、各々の受光面に対応したトランジスタ素子を配置して、各受光素子の生じた電気信号を増幅する。本構成例によるトランジスタ素子は、電子ガスを、Alのショットキーゲートにより制御する、電界効果トランジスタ(FET)の一種であるが、AlGaP系中の電子は有効質量が重いため、遮断周波数はあまり高くない。それでも1GHz帯まで本構成により増幅することができる。裏面入射フォトダイオードの信号を、ゲートに接続し、ゲートとソース間に抵抗(200〜2kΩ)を形成することで、PIN−FET型のプリアンプ回路構成となり、これにより受光信号を増幅して出力する。その他の構成・動作は、図14と同様である。
【0146】
また、本構成においては、フォトダイオードから信号を、近傍に配置したトランジスタ素子により増幅して光ヘッド素子の外部へ伝送できるため、(1)伝送路のインピーダンスを空気中のインピーダンス(331Ω)よりも低くでき、同軸ケーブルを利用して、高周波特性が落ちることなく信号を伝送することができる。また、(2)外部からの電磁放射によるノイズが加わる配線長が短くなるので、ノイズ特性が向上する。また、(3)モノリシックに一体化することにより、配線の静電容量(キャパシタンス)が少なくなるため、さらに高周波特性が向上する。具体的には、配線の静電容量を1pF以下とすることができるため、光ヘッドの受光周波数帯域を300MHz以上に伸ばすことができる。
【0147】
なお、本例では増幅用のトランジスタ素子構造として、電界効果トランジスタ(FET)を用いた例を示したが、トランジスタ素子としては他にも、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、高ホール移動度トランジスタ(HHMT)、ヘテロ・バイポーラ・トランジスタ(HBT)等でもよい。
【0148】
以上のように、上述の実施例によれば、間接遷移型半導体レーザを用いて、光ディスク装置の、情報の読み出し用の光を、光干渉によるノイズをほとんど生じない、連続スペクトルの光とすることができる。半導体レーザの光雑音が問題となる、特に小型の光ヘッドの再生系においても、再生信号のS/N(信号/雑音強度比)を確保しながら、光干渉に基づくノイズや、レーザ雑音を防ぐことができる。高周波重畳が不要となり、高周波重畳回路を省いてコストダウンできる。さらに、重畳周波数で制限されていた記録/再生速度(ビットレート)を向上させることができる。
【0149】
光干渉ノイズの発生を防ぐことで、一定の光路長を確保する必要がなくなり、光路を短くして、光ヘッド全体をコンパクトにまとめることができる。
【0150】
これらによって、光ヘッドのサイズが小さくなることで、光ディスク装置においては、媒体ディスクの内周まで有効に記録領域として使え、同じサイズのディスクでも記憶容量を上げられると共に、携帯機器用の小型光ディスクドライブが可能となる。また、同じ記憶容量ならば媒体ディスクのサイズを小さくできるため、ディスクの回転振動が少なくなり、その分回転数を上げられることで、情報の記録再生スピードを上げることができる。
【0151】
また、本光ヘッド素子を備えた光ディスクは、光ヘッドの位置合わせが必要となる素子部分を一枚のウエハから大量に作製できるため、光ヘッドの製造コストを下げることができる。
【0152】
【発明の効果】
本発明によれば、各部品の位置調節が容易であり、その結果、小型かつ高精度な光ヘッド素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ヘッド素子を用いた光ヘッド(組合せ光ヘッド構造)の構成例を示す図である。
【図2】従来提案の代表的な光学素子一体型光ヘッドの構成例を示す図である。
【図3】直接遷移型半導体レーザと間接遷移型半導体の典型的な発振スペクトルを示す図である。
【図4】本発明による光ヘッド素子における受光素子部の受光面の構成例を示す図である。
【図5】自動焦点・トラッキング・収差検出用の、光束分割用の回折格子の溝構造例を示す図である。
【図6】回折格子による光束分割の様子と、受光素子の受光面上に投影される光束像の例を示す図である。
【図7】受光素子の受光面上の一つに投影される光束像の例と、焦点ずれ量・収差量の関係を説明する図である。
【図8】収差補正素子における、電極配置の例を示す図である。
【図9】受光素子であるGaP基板上の裏面入射フォトダイオードの積層膜構造の例を示す図である。
【図10】受光素子部のリソグラフィ工程の例を示す図である。
【図11】光源であるGaP基板上のレーザ発光部の積層膜構造の例を示す図である。
【図12】受光素子とレーザ発光部のリソグラフィ工程の例として、対面に回折格子を形成する場合の工程の一例を示す図である。
【図13】受光素子とレーザ発光部のリソグラフィ工程の例として、対面にフレネルレンズを形成する場合の工程の一例を示す図である。
【図14】本発明の一例で、液晶収差補正素子上に、フレネルレンズを形成した場合の、光ヘッド素子との組合せ構成例である。
【図15】直接遷移型半導体と、間接遷移型半導体の、波数空間上でのバンド構造と、発光遷移の過程を説明する図である。
【図16】本発明による光ヘッド素子を用いた、光ディスク装置の構成例を示す図である。
【図17】本発明による光ディスク装置を用いたコンピュータ機器の構成例を示す図である。
【図18】本発明の一例で、対物レンズとコリメートレンズの2枚のガラスレンズを用いた場合の、光ヘッド素子との組合せ構成例である。
【図19】本発明の一例で、光源として垂直共振器面発光レーザを用いた場合の、光ヘッド素子との組合せ構成例である。
【図20】光源として用いるAlGaP系の垂直共振器面発光レーザの積層膜構造の例を示す図である。
【図21】光源として垂直共振器面発光レーザを用い、光ヘッド素子と接合する場合の、レーザ光の出射端の加工方法と、リソグラフィ工程の例を示す図である。
【図22】本発明の一例で、光源として側面出射半導体レーザを用い、実装基板を用いてモジュール化した場合の、光ヘッド素子との組合せ構成例である。
【図23】本発明の一例で、光源として側面出射半導体レーザを用い、光ヘッド素子上に直接接合した場合の、光ヘッド素子との組合せ構成例である。
【図24】本発明の一例で、トランジスタ素子を共に集積した場合の、光ヘッド素子の構成例である。
【図25】AlGaP系でトランジスタ素子を構成する場合の、トランジスタ素子の積層膜構造の例を示す図である。
【図26】AlGaP系でトランジスタ素子を構成する場合の、トランジスタ素子部のリソグラフィ工程の例を示す図である。
【符号の説明】
1…対物レンズ、2…収差補正素子、3…光ヘッド素子、4…回折格子、5…受光素子(フォトダイオード)、5a、5b、5c…受光素子面、6…レーザ発光層、7…反射鏡部、8…側面出射半導体レーザ、9…ガラスプリズム、10…駆動コイル、11…間接遷移型、12…直接遷移型、13…波長、14…内周部電極、15…中周部電極、16…外周部電極、17…フレネルレンズ、
20…P型GaP(100)基板、21…P型GaPバッファ層、22…P型InGaP層22、23…P型GaP層23、24…P型GaAsP層24、25…真性GaAsP層、26…N型GaAsP層26、27…N型電極金属、28…P型電極金属、
30…GaP基板、31…裏面入射フォトダイオード層、32…レジストマスク、33…トランジスタ素子部、34…N型GaPバッファ層、35…P型GaP層、36…低濃度P型AlGaP層、37…真性GaP層、38…N型GaP層、39…高濃度N型GaP層、
40…N型GaP(100)基板、41…N型GaPバッファ層、442…N型AlGaP傾斜組成層、43、46、49、52、55…真性AlGaP層、44、47、50、53…真性AlP層、45、48、51、54…真性GaP層、56…P型AlGaP傾斜組成層、57…P型GaP層、
60…レーザ素子の層構造、61…レジストマスク、62…レジストマスク、63…回折格子溝、64…トランジスタ素子の層構造、65…レジストマスク、66…ゲート電極、67…ソース電極、68…ドレイン電極、
71…伝導帯、72…価電子帯、73…電子、74…ホール(正孔)、75…波数、76…レジストマスク、77…テーパ部、78…ガード部、79…電極膜構造、
80…λ/4板、81…コリメートレンズ、82…偏光性回折格子、83…導波路、84…レーザチップ、85…実装基板、86…垂直共振器面発光半導体レーザ、87…面発光レーザ基材部、88…活性層部、89…表面DBR部、
90…N型GaP(100)基板、91…N型GaPバッファ層、92…N型GaP層、93…N型AlGaP層、94…真性AlGaP層、95…真性AlP層、96…真性GaP層、97…真性AlGaP層、98…P型AlGaP層、99…P型GaP層、
100…組合せ光ヘッド素子、101…光ディスク媒体、102…回転サーボ回路、103…モータ、104…レーザドライバ、105…プリアンプ、106…アクチュエータ、107…焦点サーボ回路、108…トラッキングサーボ回路、109…光電流アンプ、110…等化回路、111…レベル検出回路、112…同期検出回路、113…位相ロック回路、114…サンプリング回路、115…復調回路、116…トラッキング誤差検出回路、117…メモリ、118…主制御回路、119…収差サーボ回路、
120…ノート型パーソナルコンピュータ筐体、121…光ディスクドライブ、122…光ヘッド可動部、123…重畳高周波発振回路。

Claims (20)

  1. 半導体部材と、
    前記半導体部材の第1の主面上に、溝構造を有する回折格子と、
    前記回折格子によって回折された回折光と、前記回折格子を通過した直接光とを、前記半導体部材内部を光路とし、前記半導体部材の前記第1の主面に対向する第2の主面上にて、各々受光する受光素子とを有することを特徴とする光ヘッド。
  2. 前記回折格子は、その格子の並びの方向が異なる複数の領域に、分割されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド。
  3. 前記受光素子はフォトダイオードであり、前記フォトダイオードの受光層は、前記半導体部材よりもバンドギャップの狭い半導体材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド。
  4. 前記半導体部材は、前記受光素子の吸収端エネルギの光に対して透明であることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド
  5. 前記半導体部材は、間接遷移型半導体単結晶であることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド。
  6. 前記受光素子は、前記半導体部材の前記第主面内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド。
  7. 前記半導体部材には、更に、前記受光素子により検出された信号を増幅するトランジスタ素子が集積されていることを特徴とする請求項1に記載の光ヘッド。
  8. 前記光ヘッドは、記録媒体に対して情報を記録または再生するものであり、更に、集光手段と、収差補正素子を有し、
    前記集光手段にて生じた集光収差を、前記受光素子にて検出し、前記収差補正素子にて補正するようにされたことを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
  9. 前記半導体部材には、更に、回折レンズが集積されていることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
  10. 前記光ヘッドは、更に、集光手段と、収差補正素子と、駆動用コイルとを有し、前記半導体部材と前記集光手段と前記収差補正素子とが、一体として駆動用コイルによって駆動されることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
  11. 前記光ヘッドは、光源を有し、前記光源は垂直共振器面発光レーザであることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
  12. 前記半導体部材と前記垂直共振器面発光レーザの接合面で、前記垂直共振器面発光レーザの光出射端が、テーパ構造となっていることを特徴とする請求項11記載の光ヘッド。
  13. 前記光ヘッドは、光源を有し、前記光源は側面出射の半導体レーザであり、前記半導体部材に対し、前記側面出射の半導体レーザのエピタキシ面側が接合されていることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
  14. 前記光ヘッドは、光源を有し、前記光源は側面出射の半導体レーザであり、
    前記受光素子はフォトダイオードであり、
    前記フォトダイオード面側と、前記側面出射の半導体レーザチップのエピタキシ面側が、各々実装基板に接合されることによって、実装基板を介して結合されていることを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
  15. 請求項1に記載の光ヘッドを用いた光ディスク装置。
  16. 請求項14に記載の光ヘッドを備えた光ディスク装置を有するコンピュータ機器。
  17. 半導体部材と、
    前記半導体部材の第1の主面上に、溝構造を有する回折格子と、
    前記第1の主面とは対向する第2の主面上表に、光源と、前記光源からの光を前記回折格子を介して受光する受光素子とを有することを特徴とする光ヘッド。
  18. 前記光源の発光波長が、前記半導体部材中で透明な波長であることを特徴とする請求項17記載の光ヘッド。
  19. 前記光源は半導体レーザであり、前記半導体レーザの活性層として、間接遷移型半導体材料を用いたことを特徴とする請求項17記載の光ヘッド。
  20. GaP基板上に、InGaP/GaP超格子が積層され、その上にGaAsP系混晶の受光層が形成された受光素子を有することを特徴とする光ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015103273A (ja) * 2013-11-25 2015-06-04 エイチジーエスティーネザーランドビーブイ 熱アシスト磁気記録ヘッド用のレーザを監視するためのサブマウント一体型光検出器
CN112470068A (zh) * 2018-10-23 2021-03-09 松下知识产权经营株式会社 光设备及光检测系统

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