JP2004145486A - 証券担保金融システム及びその融資方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リスク低減した証券担保金融システム及びその融資方法。
【解決手段】融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて求められる維持率を監視し、この維持率が所定値を超えると前記担保証券を売却して融資を清算するようにした。前記担保証券の市場価格に基づく時価総額を演算する時価総額演算手段と、前記融資額を記憶する融資額記憶手段と、元本又は元利合計を融資総額として、前記融資総額を担保証券の時価総額で除した維持率を演算する維持率演算手段と、前記維持率を監視する維持率監視手段と、を備えた。維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、前記監視した結果に対応して融資を清算するように前記コンピュータの融資ファイルを更新し、前記融資ファイルを更新したことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にする。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、証券取引法及び銀行法に規制されない貸し金業に属する融資機関において、換金確実な有価証券を担保に供与するだけで、本人に対する信用調査等の必要も無く、誰にでも安全かつ簡易迅速に融資できる証券担保金融システム及びその融資方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
証券取引所又は商品取引所等の市場で、ほぼ毎日売り買いされ、相場による市場価格があり、換金性の確かな有価証券、すなわち前記市場で一定の資格や条件を備えた取引物件として登録された国債、社債、外国為替、上場株式の有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に、資金を融資する証券担保金融システム及びその融資方法が考えられる。
【0003】
従来の証券会社又は後述する証券保管振替機構(以下、「証券決済機構」とも称す)に保護預りされた状態の株券に対し、その株券に対する所有者又は占有者が、その占有権の移転を、証券決済機構に電話等で指図することにより、証券取引に係る決済の実行を瞬時に成立させていた通常の株式売り買いが周知である。
【0004】
これらは、民法184条に規定された「指図による占有権移転」に該当する行為であり、代理人である証券決済機構が保護預りとして顧客から預かった株券を事実上占有する時に、株券の所有者であった顧客本人がその代理人である証券決済機構に対し、株式売却等の決済により、第三者の為にその株券を占有せよと命じ、第三者がこれを承諾した時はその第三者は占有権を取得するのである。
【0005】
ここで、株券に対する占有権を取得した第三者は、株券の名義書き換え等の形式的な所有権移転の手続を経ること無しに当該株券を実効支配でき、配当金受け取りや売却処分をできることが周知である。さらに、株券の占有権者は現物株券を引き出して質入れ等することが当然にできる他、あまり知られていないこととして、証券決済機構に占有権の移転を命じるだけで、現物株券を引き出すことなしに別の第三者へ「事実上の質入れ」することも可能である。
【0006】
ここで、「事実上の質入れ」と称した理由は、動産でなる質物であればこの質物を質屋等の融資機関に支配された質倉に留置することが一般的な質の定義とされていたのに対し、その質物である現物株券は証券決済機構に保護預りされたままで、現在の占有者が証券決済機構に株券に対する占有権の移転を命じることにより、現物株券を引き出すことなく、別の第三者へ事実上の質入れできるからである。言わば「観念上の質入れ」と称することができる。
【0007】
従って、当該株券に対する現時点の占有権者は、その代理人である証券決済機構に現物株券を保護預りした状態において、株券の現物移動を伴わずに、相当の取引決済ができることになる。すなわち、株式は動産であるにもかかわらず、現実の引渡しを伴わずに相当の取引決済ができる。これらのことが成立する理由は、占有権の譲渡が、一般的な占有物の現実の引渡しによって行う(民法184条1項)のみならず、当事者の合意によっても占有権の譲渡が可能だからである。
【0008】
従来の有価証券を担保とした融資は、担保として差し入れた有価証券の価格が下がった場合は、不足した担保価値を補充するため、融資利用者(全文に亘り、同じ意味で「融資希望者」又は「顧客」ともいう)から融資機関に新たな追加担保入れ、いわゆる追証の必要があった。この追証は株式市場が開催している時間の全てに亘って発生する可能性を否定できず、融資機関にとっては追証発生の有無を確認し、追証発生したならば、その都度顧客への請求及びその受領確認等の事務が発生したのでわずらわしい。一方、顧客の立場にしてみれば、突然に追証を請求され、請求されたならば、資金等の捻出努力を強いられるので、追証の可能性が否定されない限りは昼夜の別なくストレスを感じて、精神衛生上も良くない。
【0009】
証券担保金融の場合、相場によって担保価値が変動する性質上、融資機関と融資利用者の双方にとって、苦痛を伴う追証発生の可能性は本質的に否定できない旨を、手段おいても覚悟においても承知の上で、取引に臨んでいたわけである。すなわち、双方の当事者にとって、融資の回収ばかりか、追証に関する事務と準備が不可欠であり、言わば、余裕の無い者に余裕を持って事に臨めと教え諭しているようなことであり、本来無理がある。
【0010】
ここで、追証の発生とそれに起因する最悪の事態を例示する。
▲1▼相場下落により担保証券の担保不足が発見され、融資機関から融資利用者へ追証要求の 連絡。
▲2▼融資利用者が追証手当ての資金捻出できずに担保証券の売却に到る。
▲3▼下落相場のなかで担保証券の売却に到るも、元利合計の融資総額は売却代金の範囲を超 えており、融資を完済するには不足が生じてしまう。
▲4▼融資完済するために、不足分を融資機関から融資利用者に請求し、回収するための回収 業務が発生するが、既に無担保状態のため、回収には困難を極める。従って、現実には 貸し倒れの可能性が高い。
【0011】
又、先行技術として、株式購入の目的に使途限定して、融資機関が購入資金を融資し、相場低落時におけるリスクの低減を可能とする株式売買システム及び株式売買方法(特許文献1を参照)を、本願発明者が出願済みであり、既に公開されている。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−92328号公報(要約書、第1図)
【0013】
又、先行技術の他の例として、個人、中小企業経営者等が容易に又簡便に必要な資金の融資を受けられる様な融資支援システム及び融資支援方法(例えば、特許文献2を参照)があった。具体的には、融資希望者が担保物件として供与可能な担保価値を評価し、担保物件の評価決定額に応答して、融資希望者に当該融資を実行するか否か或いは融資可能の場合に於ける最大融資額を決定し、その決定結果を通知すると共に、事業体が管理する通信回線に接続された公開市場で当該担保物件を売却する様に構成された融資支援システムである。
【0014】
【特許文献2】
特開2002−183444号公報(要約書、第1図)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示された株式売買システム及び株式売買方法は、融資機関からの融資は株式の購入資金に使途限定されており、他の用途に資金の流用ができない欠点があった。
【0016】
特許文献2に示された融資支援システムは、未上場の株式、或いは有価証券、組合等の会員権、不動産等を担保物件として認定できる。
しかし、当該融資希望者は、当該融資の審査に必要な当該融資希望者の有する担保物件の内容を証明する書類の写し或いは不動産の権利書の写等を、当該通信回線を介さずに直接に郵送その他宅配便等のルートを使用するか或いは持参により当該事業体に供与する必要がある。
その後、当該事業体では、当該融資希望者が供与した担保物件の担保価値を担保価値評価機能部で評価する事になる。
【0017】
係る担保物件の評価は、当該担保価値評価機能部ではソフトウェアを介して自動的に評価を決める事は出来ないので、人間が介在することに成らざるを得ない。このように、担保価値に関する審査を省くことはできないので、融資の申込から実行までに時間を必要とし、しかも当該融資審査決定には専門的な知識経験を備えた専門家を必要とするので、機械化することが困難であり、かつ人為的な間違いも起こり得るという欠点があった。
【0018】
又、当該担保物件の公開市場並びに当該公開市場を運営管理する公開市場運営管理手段は零細規模で効果的な運用は困難であり、かつ換金性は必ずしも確実である保証がなく、元本割れの可能性を否定できず、その場合の回収業務が不可避であった。ここで、周知の回収業務には融資審査決定機能とは異なる意味での専門的かつ特殊技能を有する人材を必要とする欠点があった。
【0019】
さらに、特許文献2に示された融資支援システムにおける、本質的な問題として、担保があっても、元本割れの可能性を否定できない以上は、融資希望者個人の資産及び信用に関する専門家による審査を必要とし、担保価値の信頼性に乏しい場合には連帯保証人による信用補充も必要となる欠点があった。
【0020】
本発明は、従来からある株式売買システムや証券担保金融システム等に残された欠点や課題を解決するため、新規に開発されたものであり、担保価値が予想に反して下落することも想定し、担保不足になっても追い証拠金の徴収が不要で、貸し倒れ損の極めて少ない証券担保金融システム及びその融資方法を供与するものである。
以下に、解決しようとする課題を箇条書きにして示す。
【0021】
(1)貸し倒れの発生金額及びその可能性を極小化し、その担保となる有価証券の性質上、その有価証券の時価の変動が市場開催している時間の全てに亘って発生する可能性があり、それにより担保価値不足になっても追い証拠金の徴収や追加担保入れが不要で、回収業務もなくした証券担保金融システム及びその融資方法。
【0022】
(2)融資希望者個人の資産及び信用に関する専門家による審査を省いて、市場での換金が確実な担保証券さえ担保に供与すれば、破産者でも連帯保証人なしに融資を受けられる証券担保金融システム及びその融資方法。
【0023】
(3)融資の可否及び融資限度額の決定に関する審査は、必要な担保証券の評価に関する客観的な情報を入力すれば、相手が誰であっても一義的に結論を出せるようにすることで、機械化も可能とし、無人店舗、インターネット貸し金業を開設を目指す。
【0024】
(4)担保証券を代理人に指図して占有権移転することにより、担保証券を現実に引渡すために移動する手間、コスト及び時間を省き、融資希望者が融資を申し込めば、即刻に融資可能となる外、融資希望者と融資機関などの間で証券売却に伴う電話連絡等の煩わしい作業を不要にした、簡易迅速なインターネット貸し金業の開設を目指す。
【0025】
(5)担保価値が予想に反して下落することも想定してリスク・ヘッジしながら、総じて手堅く融資する。
【0026】
(6)担保証券をもくろみ通りに換金売却できなかった場合を想定し、最終的には融資機関が融資希望者から担保証券を買取って清算することで、加速度的に増大する利子により返済不能に陥ること、担保不足に対応する追い証拠金、又は追加担保を要求される心配を無くし、融資希望者と融資機関の間で健全な関係を維持できる証券担保金融システム及びその融資方法。
【0027】
(7)実質上「有価証券投資損」が発生しても、これを回収放棄し、「貸し倒れ損」又は「有価証券投資損」と会計処理しても実害が無視できる範囲内に止められ、その会計処理が合法的に公認される、証券担保金融システム及びその融資方法であり、都道府県知事によって営業免許が付与される貸し金業。
【0028】
(8)売りたくない株式等を売らずに証券担保に供与して融資を受けられる証券担保金融システム及びその融資方法。
【0029】
(9)例えば、株式の信用取引の場合は、一部の劣悪銘柄のみが急落しても全銘柄に亘って総融資額と総平均維持率の関係で判断されるので、諸条件により担保株式を売却すると決まれば、全銘柄に亘って一括売却処分されてしまったので、下げ相場に対抗手段を考慮する猶予は与えられなかった。しかし、複数銘柄の担保証券が急落した場合にも、一括売却処分とせずに、下落の甚だしい銘柄から順次売却し、下げ相場の際にも意思決定する選択肢が残され、判断する猶予時間も稼げる証券担保金融システム及びその融資方法。
【0030】
(10)換金の確実性の視点から条件の悪い銘柄の担保証券であっても、買い手が付くであろう採算性の確実な範囲内に、採算ライン及び/又は融資限度額を設定できる証券担保金融システム及びその融資方法。
【0031】
(11)担保として預かる許容限度枠を、即日換金可能な範囲を目安として安全性を高める。又、売買量が大きい銘柄の場合には、融資限度額を大きくして自由度を持たせる。
【0032】
(12)融資希望者のプライバシーを保護する。
【0033】
本発明は、上記課題を解決し、融資希望者及び融資機関の得失の調和を図りつつ、リスクの低減を行うことのできる証券担保金融システム及びその融資方法を供与することを主たる目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために供与されるものであり、その請求項1に係る発明は、所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を監視し、この維持率が所定値を超えると前記担保証券を売却して融資を清算するようにした証券担保金融システムであって、前記担保証券の市場価格に基づく時価総額を演算する時価総額演算手段と、前記融資額を記憶する融資額記憶手段と、元本又は元利合計を融資総額として、前記融資総額を担保証券の時価総額で除した維持率を演算する維持率演算手段と、前記維持率を監視する維持率監視手段と、を備えたことを特徴とする証券担保金融システムである。
【0035】
又、その請求項2に係る発明は、所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を監視し、この維持率が所定値を超えると前記担保証券を前記融資希望者から融資機関が買い取ることにより融資を清算するようにした証券担保金融システムであって、前記担保証券の市場価格に基づく時価総額を演算する時価総額演算手段と、前記融資額を記憶する融資額記憶手段と、元本又は元利合計を融資総額として、前記融資総額を担保証券の時価総額で除した維持率を演算する維持率演算手段と、前記維持率を監視する維持率監視手段と、を備えたことを特徴とする証券担保金融システムである。
【0036】
又、その請求項5に係る発明は、前記融資希望者に対して、少なくとも前記担保証券の銘柄を特定する情報、前記融資総額及び前記時価総額を記載したバランスシートを、インターネットを介して閲覧可能とした構成を有する証券担保金融システムである。
【0037】
請求項5に係る証券担保金融システムによれば、融資希望者にとっては、担保証券に関する鮮度の高い相場情報と、借入利子が加算された融資情報と、をそれぞれリアルタイムで入手することができ、融資希望者は利便性の高いサービスを受けることが可能となる。又、融資機関に対する状況問い合わせや確認のためにする面倒な電話連絡等も不要になる。
【0038】
又、その請求項9に係る発明は、所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、前記監視した結果に対応して融資を清算するように前記コンピュータの融資ファイルを更新し、前記融資ファイルを更新したことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にすることを特徴とする融資方法である。
【0039】
又、その請求項10に係る発明は、所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、前記維持率が所定値を超えると前記担保証券を売却して融資を清算するように前記コンピュータの融資ファイルを更新し、前記融資ファイルが更新されたことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にすることを特徴とする融資方法である。
【0040】
又、その請求項11に係る発明は、所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、前記維持率が所定値を超えると前記担保証券を前記融資希望者から融資機関が買い取ることにより融資を清算するようにコンピュータの融資ファイルを更新し、前記融資ファイルが更新されたことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にすることを特徴とする融資方法である。
【0041】
請求項1〜2及び請求項9〜請求項11に係る、証券担保金融システム及びその融資方法によれば、維持率が所定値(指定維持率)以上になった場合には、即座に担保証券の売却又は買取りが自動的に行われる。融資希望者にとってはこの時点で利子も含めた融資総額(利子は別計算とすることもできる、以下同じ)の清算が完了し、当然に利子も拡大しない。又、融資希望者と融資機関などの間で証券売却に伴う電話連絡等の煩わしい作業が不要になり、証券売却作業を効率化することができる。
【0042】
担保に供与した担保証券の時価相場が低落して、及び/又は利子が増加して維持率が指定維持率(「定掛目」とも言う)以上になった銘柄があれば、当該銘柄の担保証券を換金売却する。この時点で融資希望者と融資機関にあった当該銘柄の担保証券に係る利子を含む融資額に関して清算され、係る利子も解消されるので、拡大することがない。ただし、担保銘柄毎の清算か一括清算かは融資時点の契約による。
【0043】
従って、予め指定維持率を100%以下の値に設定すれば、融資機関にとっては、貸し倒れ損失を発生させてもゼロに近い金額におさめることも可能となる。
なお、維持率とは担保証券の時価に対する評価額の割合のことで「掛目」とも言う。維持率は、融資総額を担保証券の時価総額で除して求められる。
【0044】
又、その請求項3に係る発明は、前記維持率監視手段は、少なくとも前記担保証券の銘柄に応じた格付けにより契約された指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段と、前記維持率が前記指定維持率以上になった銘柄の前記担保証券を融資機関の任意又は自動的に売却する自動売却手段と、前記自動売却手段を起動させる妥当な採算ラインとして前記融資希望者と前記融資機関が契約して定めた第1の指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段と、前記第1の指定維持率より高めに設定された第2の指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段と、前記第1の指定維持率で前記担保証券を売却指示したにもかかわらず売却できなかった場合に、前記第2の指定維持率により当該担保証券を前記融資希望者から前記融資機関が買取る買取手段とを備えたことを特徴とする証券担保金融システムである。
【0045】
請求項3に係る発明によれば、担保証券をもくろみ通りに換金売却できなかった場合を想定し、最終的には融資機関が融資希望者から担保証券を買取って清算する。その後、融資機関が当該担保証券を換金売却した際に、その売却額が融資額又はこの融資額に利子を加算した額を下回った場合には、その差額を融資機関が負担することから、融資希望者にとっては、利子が肥大して返済不能になることが無く、担保不足が原因による追い証拠金、又は追加担保を要求される心配が無いので、融資希望者と融資機関の間は健全な関係を維持できる。従って、破綻の原因を加速度的に増加するような事が無い。
【0046】
例えば、指定維持率を75%の値に設定した場合は、融資希望者が担保に供与した時点での担保評価を時価の75%と見なして、その金額を融資するので、従来からの貸し金業における慣習に近い印象であり、融資希望者の納得が得られやすい。
【0047】
一方、指定維持率を100%の値に設定した場合にも、融資金額に毎日の金利を足した価格まで担保証券の相場が下落した場合には、自動売却機能が採算ラインに係れば作動するので、貸し倒れ損の発生が極めて少ない。そして、貸し倒れ損の発生する危険が限りなく少なければ、融資する相手の資産及び信用状態は問題にならず、担保証券の供与があれば、破産者にも融資できる。そして、個人の審査が不要になり、無人店舗化及びインターネット対応が可能となり、さらに融資申込から融資実行までの時間をゼロに近づけられる。
【0048】
又、その請求項4に係る発明は、複数の銘柄の担保証券が供与されている場合に、前記自動売却手段が担保証券を自動的に売却する際には、前記複数の銘柄のうち指定維持率の高い順に担保証券の売却が行われる構成とした証券担保金融システムである。
【0049】
請求項4に係る証券担保金融システムによれば、全銘柄にわたる担保証券を同時売却されずに優良銘柄の順に最後まで温存しやすい。結果的に、全銘柄を売却するに到る場合でも、相当の時間稼ぎができるので、心理的な負担が軽くて済む。
【0050】
又、その請求項6に係る発明は、前記バランスシートには、個人を特定する情報として個人IDのみを記載した構成を有する証券担保金融システムである。
【0051】
請求項6に係る証券担保金融システムによれば、融資希望者及び融資機関の双方以外の不特定多数の第三者がインターネット上に開設されるホームページにアクセスしたとしても、融資希望者に関する情報が個人IDに限られるため、融資希望者が誰であるかを特定されることはなく、融資希望者のプライバシーが保護されることから、融資希望者は安心してこの証券担保金融システムを利用することが可能となる。
【0052】
又、その請求項7に係る発明は、市場における前記担保証券の売買量が多い銘柄に対しては大きく、売買量が少ない銘柄に対しては小さくなるように、銘柄毎に指定維持率及び/又は融資限度額を設定することを特徴とする証券担保金融システムである。
【0053】
請求項7に係る証券担保金融システムによれば、担保銘柄毎に採算ライン及び/又は融資限度額を加減するとともに、条件の悪い担保銘柄にも、低落相場で薄商いのなかにも買い手が付いて採算性の確実な範囲内に採算ライン及び/又は融資限度額を設定できる。言わば担保証券の評価に現実味を持たせている。
【0054】
特に、売買量が小さいマイナー銘柄の場合に指定維持率及び/又は融資限度額を小さくすれば、買い手の付き難いマイナー銘柄証券の売却が容易に行えないリスクに備えることができる。すなわち、担保証券市場における担保証券の売買量が少ない銘柄では、相場が低落した場合には売れ残ることを想定し、融資希望者に対する指定維持率及び/又は融資限度額を予め小さくすれば、リスクに備えることができる。担保証券市場における担保証券の売買量が多い銘柄では指定維持率及び/又は融資限度額を大きくして、自由度を持たせることができる。
【0055】
又、その請求項8に係る発明は、前記指定維持率及び/又は融資限度額は前記銘柄毎の担保証券の1日の売買量を基礎として設定する証券担保金融システムである。
【0056】
なお、指定維持率及び/又は融資限度額の制限に関与する売買量は直近の1日、1か月間、3か月間、半年間の平均等、適宜設定することもできる。例えば、担保として預かる許容限度枠、すなわち融資限度額を1日の売買出来高の範囲内の担保証券数量に止める。その結果、預かった担保証券を即日換金可能とする安全性を高められる。
【0057】
このような融資方法によれば、例えば、融資機関は融資希望者から受け取った利子の一部で日経平均の値下がりオプション取引を行う。オプション取引とは、ある有価証券を定められた価格で将来のある期日以内に「買う権利(コール・オプション)」と「売る権利(プット・オプション)」を売買するものである。相場の先行きが上昇すると予想される時は、コール・オプションを買うかプット・オプションを売り、相場の先行きが低落すると予想される時は、コール・オプションを売るかプット・オプションを買うとよい。
【0058】
総じて相場が低落した場合、相場に連動して担保価値の下落する証券担保を多数預かっている融資機関にとって、融資した元本又は元利合計した融資総額に対して、担保証券の担保不足となる可能性が高まる。そのようにして維持率100%を超えた状態の担保証券を融資機関が買い取れば、当然に有価証券取引損が発生し、その累積赤字は融資機関の経営を圧迫する。
【0059】
そこで、前記累積赤字に備えて、融資機関は相場の低落時に融資の利用に応じて顧客から徴収した利子の一部をリスクヘッジ手当てに充当する。
具体的には、前述した日経平均オプションのプットオプションを買うかあるいはコールオプションを売ることにより、融資機関の総融資額全体から損失発生する可能性に対してのリスクヘッジが機能する。言わば保険である。
【0060】
なお、元利合計を融資総額として逐一計算し、しかる後に清算する元利合計方式を典型的な営業形態とし、前記融資総額を担保証券の時価総額で除した維持率を演算する維持率演算手段を用いるようにして、ほぼ一貫した説明をしている。
一方、利子は別徴収して元金の返済を据え置き可能とする元金据置き方式で融資契約し、元金のみを担保証券の時価総額で除した維持率を演算し、契約履行する営業形態も可能であるが、維持率の計算式から利子の要素を除外し、簡略化するだけなので説明は省略する。
【0061】
【発明の実施の形態】
本発明に係る証券担保金融システムの実施形態について、図1から図8を参照して説明する。図1は証券担保金融システムの概略構成図、図2は同システムにおける業務用コンピュータのブロック構成図、図4は融資ファイルの論理構成図、図5は融資ファイルの更新処理フローチャート、図6は証券担保金融システムの利用フローチャート、図7は顧客(お客様)台帳へのログイン画面、図8はバランスシートである。
【0062】
先ず、本発明の証券担保金融システムの概略構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、証券担保金融システム5は、融資機関1と、融資希望者端末2と、これらを接続する通信ネットワ−ク3とから構成される。ここで、融資機関1は、融資希望者から担保として供与された担保証券の換金性が確実であることを条件として、担保評価額に対する所定の掛け率を限度に、使途自由の資金を融資する機関である。
【0063】
顧客70より指示を受けたA証券会社80は、融資希望者との委任契約に基づき、融資希望者から担保として供与された担保証券の占有権を第三者に移転する(指図ができる)権限を有する代理人として機能する。顧客70より指示を受けたA証券会社80は、融資希望者の代理人として、後述する証券保管振替機構に対し、そこに融資希望者から予め寄託されている担保証券の占有権を移転する指図を適宜に行う。以下、有価証券の中でも上場株式を例示した方が説明容易なため随所でそうしているが、前述した様に市場で短期間、好ましくは即日に換金売却の確実性の高い有価証券であれば、国債等をはじめとして東証一・二部上場でなくとも店頭公開株まで含めて、本発明でいう担保証券として取り扱う。
【0064】
そして、占有権の譲渡を受けた第三者がその譲渡を承諾することにより、当該担保証券に対する占有権が移転され、新たな占有権者が当該担保証券に対応する資産を実効支配する。また、株券をはじめとする担保証券の大半に関して、現実の占有権者こそが実質的な所有権者であるの推定を受けられるので、現実の占有権者は当該担保証券に対する「使用」、「収益」及び「処分」が可能となる。なお、法定果実である利子又は配当金も獲得可能であり、例えば株式の場合は、利益の配当前又は議決権行使前の指定期間を占有したことを条件に配当金や議決権も得られる。
【0065】
ここでいう証券保管振替機構も任意代理人の一種であり、複数の当事者に代わって担保証券の代理占有する。そして、契約に基づく正当な占有権移転の指図により、利害関係人の間で占有権移転(以下、「占有改定」とも称す)しながら代理占有を継続する。また、正当な占有権者の指図により、当該担保証券を本人又は本人の指定する第三者へ現実に引渡したり、換金処分したりすることもできる。
【0066】
なお、利害の相反する依頼人の間で占有権移転することも、証券保管振替機構の内部で正当に委任された行為であるため、占有権の移転先に制限はなく、例えば、契約履行を目的として、担保の担保証券を換金処分し、売却代金を銀行振込みにすることができる。
【0067】
代理人による占有権移転を本人から指図する意思表示の手段として、通常に用いられる通信手段のほとんどを利用できる。例えば、郵便、電信、電話、FAX、インターネット、及び特定の契約関係に有るオンライン・システム上の符号通信連絡等によれば、意思表示及び権利行使できる。従って、担保証券を証券保管振替機構に予め寄託しておきさえすれば、前記通信手段により占有権移転を本人から代理人へと指図するだけで、瞬時に証券取引決済が完了する。
【0068】
この時、寄託されている担保証券に対する銘柄別の換金可能性まで含めた鑑定作業は定期的に実施されているので、取引決済の時点において、初めて又は再鑑定する時間ロスと鑑定ミスはない。逆の表現をすれば、銘柄別の定期的鑑定により、換金能力すなわち担保価値の下落したことの判明した担保証券の占有者が担保能力の限界まで金利込みの融資を受けていれば、契約された所定の担保掛け率を閾(しきい)値として、直ちに換金処分される。
【0069】
ここにいう、「契約された所定の担保掛け率を閾(しきい)値として、直ちに換金処分される」とあるのは、請求項1,10に定義する「維持率が所定値を超えると前記担保証券を売却して融資を清算する」の具体的解説である。
図3は担保維持率の説明図であり、図3を参照しながら融資の形態及び担保管理・処分について、前述の指定維持率の作用を数式も交えて詳しく説明する。
【0070】
融資希望者から融資の申込がなされ、その申込を融資機関が受諾し、予め証券保管振替機構に融資希望者が寄託中の担保証券の占有改定、すなわち融資希望者から融資機関へと占有権の移転を実行したその時点の時価を100万円(図3における「担保株式時価」)とする。厳密に定義する価格とは市場での商い成立の瞬間値を意味し、前記担保証券を占有改定した時点の時価は、その時点の前後に成立した市場取引価格の中間値とも考えられるが、現実的には前記外部情報供与機関が定期的に更新する市場情報の最新版に掲示された市場価格とする。
【0071】
担保証券を上場株式に限定すれば、証券取引所の電光掲示盤に掲示された銘柄別の時価情報に匹敵する情報がインターネットを介してもたらされるので、その情報を利用する。あるいは「融資日の市場終値を担保証券の時価と見なす」旨を契約で定めておけば、新聞掲載の終値で簡単に計算できる。
【0072】
融資時;担保証券を占有改定した時点の時価=100万円
融資額=X(任意決定事項なので80万円と設定して説明する)
融資後;担保証券の時価=Y(常時変動するが、当日の終値で仕切っても良い)
なお、融資額=Xと、担保証券の時価=Yの対応は、XとYが一対一の関係で説明するが、X= ΣX = X + X + X + X + X
Y= ΣY = Y + Y + Y + Y + Y
と示すように、複数銘柄で担保構成した場合に任意の何れか2銘柄以上を合算するか、個別計算するかは契約次第である。
【0073】
担保維持率(%)=(融資額X + 金利又は保証料I)/担保証券時価Y
金利は年利24%単利で毎日計算し、保証料(以下の説明では無視する)なら一律10%などと決める。
金利又は保証料を先取りして、この計算式から削除する融資方法でも良い。
なお、図3にも示した「担保維持率(%)」が各請求項でいう「維持率」又は「指定維持率」に該当し、特に請求項3でいう「第1の指定維持率」とは以下に示す「指定売却ラインα=90%」が該当し、「第2の指定維持率」とは以下に示す「買取実行ラインβ=100%」が該当する。
【0074】
担保証券の処分方法は指定維持率で契約し、定められた指定維持率に到達した時点で履行する。具体的には前記した担保維持率(%)を融資前に決定しておき、例えば、指定売却ラインα=90%で売却を実行するために、証券会社等に売り注文を出したとして、買取実行ラインβ=100%に到るまでに担保証券の売却が成立すれば、売却代金を融資額の返済に充当し、充当した残額は顧客(融資を受けた者)に返却し、買取実行ラインβ=100%に到っても担保証券の売却が未成立ならば、融資機関がβ=100%で買い取って、当該融資に関する債権債務は清算される。
【0075】
仮の金額を代入して説明すると、担保証券時価100万円で担保供与して80万円の融資を受け、担保証券時価Y=(X+I)/α=(80+1)/0.9=90万円に下落した時点で売り注文し、担保証券時価Y=(X+I)/β=(80+1)/1.0=81万円に下落しても市場では買い手がつかなかった場合、融資機関が81万円で買い取って清算し、当該融資に関する債権債務は清算される。
担保証券時価Y × β −(融資額X + 金利又は保証料I)=0
=81万円 × 100% −(80万円 + 1万円)=0(均衡清算)
ちなみに1万円は80万円に対する約19日分の金利Iであり、
金利I=1万円=80万円 × 年利24% × (19/365)日
なお、これらの数式は融資機関が融資希望者と融資契約する際、重要事項に関する説明資料として教示し、融資後はインターネットを介して常に最新情報を閲覧できるようになっている。
【0076】
融資機関1は、都道府県知事の許認可する「貸し金業」免許のみで比較的簡単に営業できるメリットがあり、貸し金利子が主な収益源であり、証券取引法及び銀行法に規制されない機関である。しかし、担保の担保証券を換金処分するために、その売却依頼等を証券会社に委任することもあるので、売却手数料も考慮する必要があり、計算式における「金利又は保証料I」に加味すれば良い。
【0077】
なお、本発明の融資機関を「質屋」と称することはできない。
その理由は商法207条[株式の質入]によれば株式の交付が質入の要件であり、株式の交付を伴わない「証券保管振替機構」における「占有改定」では質権設定できないからである。
同様に商法209条[株式の質入]によれば株主名簿に質権設定者の請求により質権設定者の氏名及び住所を記載することが要件とあり、特にその旨の指図をされない限りは株主名簿に関与しない「証券保管振替機構」における迅速な「占有改定」では質権設定できない。
又、「証券保管振替機構」における「占有改定」は、民法345条[質権設定者による代理占有の禁止]に抵触する場合も考えられる。
【0078】
従って、本発明の融資機関を「質屋」と称するためには、前述した商法207条、商法209条および民法345条を反対解釈できるように、「占有改定」を伴う「証券保管振替機構」を用いずに、担保証券を郵便又は宅配便等により現実の引渡しを伴った占有権移転すれば良い。
同様に商法209条を反対解釈できるように、株主の名義変更手続すれば完全であるが、昨今の簡素な手続により「実質株主」と成し得る便宜的手法を用いても良い。
【0079】
また、図1に示すように融資機関1は融資情報や損益情報を融資希望者がインターネットで閲覧できるようなホームページを開設する。ここで、融資機関1は、業務用コンピュータ11と、WWWサーバ13とから構成され、さらに、業務用コンピュータ11は融資ファイル12を、WWWサーバ13はホームページ用ファイル14をそれぞれ備えている。融資希望者端末2は、融資機関1から使途自由の資金を融資の申込し、その申込に対する諾否の応答連絡を受け、融資実行後は担保状況等をリアルタイムでモニターするために融資希望者が使用する端末である。融資希望者は融資希望者端末2を操作して、通信ネットワ−ク3を介して融資機関1のWWWサーバ13にアクセスして、銘柄毎の担保証券に関する融資情報や損益情報を入手する。
【0080】
次に、融資機関1の業務用コンピュータ11について図2を参照して説明する。業務用コンピュータ11は、融資ファイル12を生成・更新するコンピュータであり、図2に示すように、処理部21と、記憶部22と、通信制御部23と、表示部24と、入力部25とから構成される。処理部21は各種演算処理を行い、記憶部22は各種情報を記憶し、通信制御部23は通信ネットワーク3との接続処理を行い、表示部24は各種情報の入力操作等の画面表示を行うと共に維持率が指定維持率以上になった場合に当該情報の画面表示や印刷出力を行い、入力部25は各種情報の入力操作をそれぞれ行うものである。
【0081】
業務用コンピュータ11は、入力部25を介して記憶部22に記憶した融資希望者情報と融資情報、及び通信制御部23と通信ネットワーク3を介して得られる外部情報供与機関(図示しない)からの相場情報等を処理部21で演算処理することにより融資ファイル12を記憶部22の内部に生成・更新する。記憶部22は業務用コンピュータ11の内部記憶装置(メモリ)・外部記憶装置(ハードディスク等)を包含したものとする。
【0082】
次に、融資ファイル12の論理構成について図4を参照して説明する。融資ファイル12は、図4に示すように、融資希望者の融資希望者情報31と、融資希望者に対する融資情報32と、担保に供与された銘柄の担保証券に関する損益情報33とから構成される。融資希望者情報31は融資希望者の氏名、個人ID、住所、電話番号、自動売却の設定条件等の情報である。融資情報32は融資額、融資日、利子、融資総額等の情報である。損益情報33は担保銘柄、株数、相場、時価総額、現在維持率、売却指定維持率、買取指定維持率、損益等の情報である。ここでも説明の便宜上、担保証券は上場株式を例示している。
【0083】
なお、ここで説明した「現在維持率」とは請求項1,2でいう「元本又は元利合計を融資総額として、前記融資総額を担保証券の時価総額で除した維持率を演算する維持率演算手段」により最新市場価格に基づいて演算した最新の維持率である。
ただし、「元本又は元利合計を融資総額」とした理由は、利子を別計算及び別徴収する「元本据え置き」方式により融資する場合を含めているからである。その場合には数式を伴った説明において、利子を省略し「元本のみを融資総額」として計算する。
又、「売却指定維持率」とは請求項3でいう「第1の指定維持率」であり、「買取指定維持率」とは請求項3でいう「第2の指定維持率」を意味する。
【0084】
次に、融資ファイル12の更新処理について図5を参照して説明する。図5において、融資ファイル12の更新開始要求が発生すると(ステップ101)、業務用コンピュータ11は、処理部21において利子を基に融資日を起算日とする利子演算を行う(ステップ102)。次に、融資額にステップ102で演算した利子を加算する融資総額演算を行う(ステップ103)。
【0085】
次に、株数に通信制御部23と通信ネットワーク3を介して得られる外部情報供与機関(図示しない)からの相場情報を乗算する時価総額演算を行う(ステップ104)。次に、ステップ103で演算した融資総額をステップ104で演算した時価総額で除算する維持率演算を行う(ステップ105)。ここで、ステップ105で演算された維持率は記憶部22に格納されている指定維持率と比較が行われ(ステップ106)、維持率が第1の指定維持率α%以上の場合(図3参照)には、担保証券の売却指示される(ステップ107)。
【0086】
担保証券を売却指示する(ステップ107)際の問題点として、当該担保証券に対して自動売却に到らしめた相場価格と、自動売却の結果による約定価格には時間差の原因によるズレが生じる。具体的には、当該担保証券を自動売却の指示した(ステップ107)時には、たとえ売りが殺到して売り気配状態となる商い未成立であっても、融資希望者と融資機関1との融資契約上は換金売却の商いが成立し、当該担保証券に係る融資に関しては債権債務が清算されるものとの前提で担保設定している。
【0087】
ここで、市場に売り買いの注文を出しても対応する商いが未成立で待ちの状態の際に目安となる価格を意味する気配値の取り扱いに関して説明する。なお、気配値とは逆に予想外の高値で売却され、融資完済してなお余剰差益(つり銭)が生じたならば、払い戻せば済むので、更なる説明はしない。
【0088】
例えば、前日終値で計算された維持率が第1の指定維持率α%以上に達したならば、それ以降は当該担保証券に対する融資利用者の担保設定に基づく一切の権利が融資機関に移行する質流れ(法的には質物でない)することを代償として、融資総額の債務が完済するのである。融資機関と融資利用者だけが納得できる清算方法ならば、当該担保証券に関しては両当事者が相対取引して都合良く設定した自由価格で質流れ処分できる。
【0089】
しかし、維持率が第1の指定維持率α%〜第2の指定維持率β%の範囲内で、両当事者が相対取引して都合良く設定した自由価格で質流れ処分した場合に、前記自由価格が現実の市場価格から大幅に解離していると、税法上の問題が生じるのである。すなわち、市場価格とは異なる自由価格で取引して差益を生ぜしめた場合、差益獲得者は贈与税を納税する義務があるとされており、その納税義務を回避するためには、当事者間の相対取引といえども市場価格に沿った適正価格で売買取引したように形式を整える必要がある。
【0090】
そこで、当該担保証券に関する直近過去の市場価格の延長線にある気配値が維持率100%(第2の指定維持率β%)で算出される価格を通過した時点の市場価格を理論的買取り価格(以下、「理論値」という)に設定し、実務に供している。具体的には、前日終値で計算された維持率が第1の指定維持率α%以上に達したならば、売却指示され、維持率が第1の指定維持率α%〜第2の指定維持率β%の範囲内で、売却されたならばその売却価格で清算し、売れ残ったならば当該担保証券の市場価格以外の要素により維持率が第2の指定維持率β%=100%となるための理論値が演算されるので、当該担保証券に関する市場での売り買いが無くとも前記理論値で買い取れば、贈与税の支払い義務も無く清算完了するのである。
【0091】
顧客の立場からは、維持率が第1の指定維持率α%以上に達したならば、質流れした当該担保証券の処分は融資機関に任せれば良く、融資機関の立場からは、維持率が第2の指定維持率β%=100%となるための理論値で会計処理すれば、税法上の問題も生じない。
このように市場での売買が成立しなかった場合には、融資機関1に損金が発生するが、それでも融資機関1が融資希望者から損金を回収する事はしない。このことは、図3に沿って前述した通りの処理であり、その手順は図5に沿ってステップ111〜112により後述する。
【0092】
極端な例として、担保証券の相場が売り一色の買い手無しでストップ安を目指して急落し、維持率が急上昇している最中に融資機関1の自動売却機能が作動し、証券会社へ当該担保証券に対する売却指示が発令された直後に、当該担保証券すなわち上場株によって資本構成された株式会社が倒産して相場が1円になった場合には、当該担保証券を担保に融資した金額のほぼ全額が実質上「有価証券取引損」となり、本来ならば回収を要するが、本発明の特徴としてその回収を放棄しても、後述する理由により実害は僅少で済み、しかも「貸し倒れ損」とみなして融資機関が会計処理するので法的問題も残さない。
【0093】
逆に総融資額に近い相場価格で自動売却機能が作動し、売却指示した(ステップ107)直後に相場が急回復した場合、売却指示(ステップ107)時点の提示価格と、そこから1段階値上げした提示価格とを足して二で割った平均価格で換金売却したと見なして清算するので、融資機関1は融資額より高く売却できたことによる差益が得られることになるが、その場合は相場が反転して上がり始めた直後に売却の商いが成立するので、大幅な売却益は見込めない。
なお、請求項3で「前記維持率が前記指定維持率以上になった銘柄の前記担保証券を融資機関の任意又は自動的に売却する」とあるように、自動売却機能を停止させておくことにより、すぐには売却せずに値上がり期待することもできる。
【0094】
なお、有価証券取引損に関する法的問題として、証券会社の場合は顧客の指示により有価証券取引損を発生した時にその損失は全額を顧客の責めに帰すべき事由であり、証券会社が負担して顧客の損失を肩代わりすると「損失補填」として違法行為になるが、本発明の融資機関1は証券会社ではなく貸し金業のため、「貸し倒れ損」として会計処理できるので違法行為にはならない。
【0095】
このように、維持率が記憶部22に格納されている指定維持率と比較が行われ(ステップ106)、維持率が第1の指定維持率α%以上の時は、担保証券の自動売却指示が発令される(ステップ107)。この自動売却指示は、業務用コンピュータ11の処理部21が通信制御部23と通信ネットーワーク3を介して証券会社の証券売買コンピュータ(図示しない)に対して、担保証券の売却注文を自動的に発令するものである。この時点で当該担保証券に係る融資希望者の債務は、融資総額から売却済み証券を担保に融資された金額を差し引いた金額に減少する。
【0096】
また、複数銘柄の担保証券で担保構成されている場合は、最も値下がり率の大きい劣悪銘柄を売却処分すれば、残りの優良銘柄が相場価格に連動した担保能力を維持することになる。ただし、融資金額に毎日更新した金利を上乗せした金額が融資総額になるので、担保価格が一定であったとしても、維持率は日増しに上昇し、放置しておけば、担保証券は劣悪銘柄から始まって優良銘柄に到るまで順次に売却処分される。全ての担保証券が売却されるに到っても、前述の極端な例に示したように倒産会社株の株券が即日無価値になるような相場の急落に巻き込まれない限り、融資機関1にも、融資希望者にも第三者にも損失は発生しない。
【0097】
担保証券が売却される通常の手順では、維持率が第1の指定維持率α%以上かどうかの判定を行い(ステップ106)、担保証券の自動売却指示が発令され(ステップ107)、売却成立したとの確認(ステップ108)後に、これらの演算処理結果を最新情報として融資ファイル12の内容を書き換えて(ステップ109)、融資ファイル12の更新処理を終了(ステップ110)する。
【0098】
一方、売却未成立との確認(ステップ108)後に、維持率が第2の指定維持率β%以上かどうかの判定を行い(ステップ111)、指定値β%以上であれば担保証券は融資機関1に買取られ(ステップ112)、その後に、これらの演算処理結果を最新情報として融資ファイル12の内容を書き換えて(ステップ109)、融資ファイル12の更新処理を終了(ステップ110)する。
【0099】
又、維持率が第2の指定維持率β%未満の判定(ステップ111)であれば、(ステップ106)に戻って維持率が第1の指定維持率α%以上かどうかの判定され、指定値α%以上なら前述した自動売却指示される(ステップ107)が、指定値α%未満なら前述したように、これらの演算処理結果を最新情報として融資ファイル12の内容を書き換えて(ステップ109)、融資ファイル12の更新処理を終了(ステップ110)する。
【0100】
ここで、維持率が指定維持率以上になった場合には、融資機関1では表示部24に自動売却の結果等も含めた当該情報をリストアップして印刷出力を行うことや、後記するバランスシート40にその旨の記載を行うことや、インターネットメール等で融資希望者に自動通知を行うこともできる。
【0101】
すなわち、WWWサーバ13にメールサーバ機能を持たせ、融資希望者の個人IDとメールアドレスを格納しておき、業務用コンピュータ11よりWWWサーバ13に個人ID及び当該情報を送信して、WWWサーバ13が個人IDに対応したメールアドレスがあれば、そのメールアドレスを持つ融資希望者宛に電子メールを自動的に送信する。
【0102】
なお、融資ファイル12の更新開始要求(ステップ101)は、通信ネットワーク3を介して得られる外部情報供与機関(図示しない)からの相場情報の受信と同期して自動的に行うことや、予め定めた日時に自動的に行うことや、融資希望者端末2からのサービス要求又は業務用コンピュータ11の入力部25からの入力操作により行うことや、あるいはこれらを組み合わせて行うなどもできるように動作プログラムを構成する。
【0103】
上記の各ステップにおける演算処理に使用する利子、株数、融資額、指定維持率、指定維持率は、自己資金額等の情報と共に、業務用コンピュータ11の記憶部22に格納される。すなわち、自己資金額記憶手段、融資額記憶手段、指定維持率記憶手段、指定維持率記憶手段は記憶部22である。
【0104】
又、各演算処理、表示処理、自動売却処理及び融資ファイル12の書き換え処理を行う動作プログラムは記憶部22に格納され、処理部21において処理が行われる。すなわち、利子演算手段、時価総額演算手段、融資総額演算手段、維持率演算手段、自動売却手段、買取手段は処理部21である。又、維持率が指定維持率以上になった場合に当該情報を表示する表示手段は表示部24である。
【0105】
なお、処理部21にある「買取手段」は請求項11でいう「維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、前記維持率が所定値を超えると前記担保証券を前記融資希望者から融資機関が買い取ることにより融資を清算するようにコンピュータの融資ファイルを更新し、前記融資ファイルが更新されたことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にする」に該当し、「融資ファイルの更新」には融資機関1における会計帳簿上の「有価証券取引損」等による会計処理も含める。
【0106】
指定維持率は業務用コンピュータ11の入力部25の入力操作により任意の数値を記憶部22に格納できるように構成する。すなわち、売買量が多い銘柄に対しては指定維持率を大きく、売買量が少ない銘柄に対しては指定維持率を小さく設定する。指定維持率は融資希望者及び融資機関1の双方の損失発生防止の観点から、100%以下の値が設定される。
【0107】
なお、指定維持率は銘柄毎に個別に定めることもできるが、例えば、第1の指定維持率に関し、日・米の国債ならば75%、株式市場の第一部上場銘柄に対しては一律80%、第二部上場銘柄に対しては一律85%、店頭銘柄に対しては一律90%、そして第2の指定維持率は第1の指定維持率に各7%上乗せした設定値などのように定めても良い。このように指定維持率を市場種別毎に設定すれば証券担保金融システムの処理を簡素化でき、演算処理におけるメモリの有効利用等が可能となる。
【0108】
指定維持率に関しては、業務用コンピュータ11の入力部25の入力操作により任意の数値を記憶部22に格納できるように構成されている。これらにより、請求項3でいう「前記自動売却手段を起動させる妥当な採算ラインとして前記融資希望者と前記融資機関が契約して定めた第1の指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段と、前記第1の指定維持率より高めに設定された第2の指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段」が構成されている。
【0109】
買取手段は、前記第1の指定維持率で前記担保証券を売却指示したにもかかわらず売却できなかった場合に、前記第2の指定維持率により当該担保証券を前記融資希望者から前記融資機関が買取る物権移動に関する会計処理及び当事者への告知である。
外部情報機関より提供された相場情報及び各種設定値等から演算処理した結果で、第2の指定維持率へ到達したことを、業務用コンピュータ11が判断し、そのプログラムにより買取を実行すれば、その旨の会計処理及び当事者への告知を行う。具体的には処理部21、記憶部22、表示部24及び入力部25で構成された融資ファイル12を含む会計帳簿上での振替の記帳及び融資希望者端末2への通信であり、図1〜2に示した構成により、買取の実行は瞬時に完了する。
【0110】
又、これらの融資に関する融資情報や損益情報は、融資希望者端末2の入力操作あるいは業務用コンピュータ11の入力部25の入力操作により、個別銘柄毎に演算処理することも、複数銘柄を一まとめにして演算処理することも可能なように動作プログラムを構成して、融資を個別銘柄毎に行うことも、複数銘柄を一まとめにして行うことも可能な態様とする。
【0111】
次に、これらの融資に関する融資情報や損益情報をバランスシートとして、インターネットを介して融資希望者に供与する方法を、図6〜8を参照して説明する。図6は証券担保金融システムの利用フローチャートである。図7は顧客(お客様)台帳へのログイン画面である。図8はバランスシートである。
【0112】
図6において、融資希望者は融資希望者端末2に個人IDと暗誦番号を入力してWWWサーバ13のホームページにアクセスしてサービス要求を行う(ステップ201)。WWWサーバ13は融資希望者端末2からサービス要求を受けると、業務用コンピュータ11に対して融資希望者からのサービス要求と融資希望者に関する認証処理要求を行う(ステップ202)。
【0113】
業務用コンピュータ11は融資希望者端末2から送信されたサービス要求データに含まれている個人ID及び暗誦番号を予め記憶部22に登録された個人ID及び暗誦番号と照合する(ステップ203)。業務用コンピュータ11は両者の照合結果が一致した場合のみ、正規の融資希望者からのサービス要求とみなして、融資ファイル12を最新の状態に書き換える更新処理を行う(ステップ204)。なお、この更新処理は、融資ファイル12が通信ネットワーク3を介して得られる外部情報供与機関(図示しない)からの相場情報の受信と同期して更新される等の場合には省略される。
【0114】
業務用コンピュータ11は更新処理された融資ファイル12のうち、融資希望者に供与するバランスシート40に記載する情報のみをWWWサーバ13に送信する(ステップ205)。WWWサーバ13は業務用コンピュータ11から送信されたバランスシート40に記載する情報をHTML形式で編集してホームページ用ファイル14として生成・更新する(ステップ206)。
【0115】
次いでWWWサーバ13は融資希望者端末2に対してバランスシート40をHTML形式で送信する(ステップ207)。融資希望者端末2は、その内部にWWWサーバ13から送信されたHTML形式の情報を翻訳して画面表示するブラウザ機能を備えており、このブラウザ機能によりバランスシート40を画面に表示する(ステップ208)。このような手順で融資希望者は融資希望者端末2の画面上で図8に示すバランスシート40を閲覧することが可能となる。
【0116】
図7で示したように、融資希望者を特定する情報は個人IDであり、本人確認のセキュリティは暗誦番号で対応する。これらの番号は融資機関1が融資希望者との契約時に設定・登録した番号である。担保証券の銘柄を特定する情報は銘柄名であり、例えば「9999 ××××株式会社」と株式市場における銘柄コードに続いて企業名が表示される。あるいは、国債等であればその旨を表示する。
【0117】
次に、図8を参照してバランスシート40について説明する。図8において、バランスシート40は、融資ファイル12に格納されている担保証券の売買に関する情報のうち、少なくとも担保銘柄46、融資総額45、時価総額49を記載したものであり、融資額43、利子44、株数47、証券単価48、現在維持率50、売却指定維持率51、買取指定維持率52、只今の売却を想定した損益53等を記載しても良い。バランスシート40は、個別銘柄毎に生成しても良いし、複数銘柄を一まとめにして生成しても良い。
【0118】
又、バランスシート40に記載する融資希望者に関する情報は、個人ID41のみであり「110163様」と記載される。すなわち、業務用コンピュータ11は融資ファイル12を生成・更新した後、バランスシート40に記載する情報をWWWサーバ13に送信する際に、融資希望者が誰であるか特定できないように氏名や住所に関する情報は送信せず、個人ID41のみを送信する。
【0119】
なお、本実施形態では図示していないが、通信ネットワーク3と業務用コンピュータ11との間、及び業務用コンピュータ11とWWWサーバ13との間に、ルータ等のファイアウォール機能を備えた装置を設置する等のセキュリティ措置を施す。
【0120】
なお、本実施形態では、業務用コンピュータ11をWWWサーバ13と別体のものとして記載したが、これは論理的な構成を示したものであり、ハードウェア上は同一装置として構成しても良い。又、WWWサーバ13は融資機関1の内部に備えた構成としたが、外部のインターネットプロバイダのサーバ(図示しない)を間借りする構成としても良い。その他、融資ファイル12の論理構成や、バランスシート40の構成等は、図面に記載したものに限定されることなく実施可能である。
【0121】
次に、以上の構成からなる証券担保金融システム5の作用について、図1から図9を参照して説明する。なお、作用の外に後述する実施例を説明する図9〜12では担保証券として上場銘柄株を主な取り扱い銘柄と想定して例示した説明にしているが、国債等でも構わない。
【0122】
先ず、融資希望者は融資機関1の窓口又はインターネットを利用して融資機関1との間で融資に関する契約を結ぶ。融資機関1が契約時に融資希望者に対して個人IDとインターネット利用時に使用する暗誦番号を交付する。個人IDと暗誦番号はそれぞれユニークな番号である。融資機関1の業務用コンピュータ11の記憶部22にこの個人ID41と暗誦番号が登録されると、融資希望者は証券担保金融システム5を利用できる状態となる。なお、金融機関の現金引き出し機等において、馴染みの暗誦番号であるが、番号に限定せず、パスワードとしても構わない。
【0123】
又、融資希望者がこの証券担保金融システム5を利用して融資情報や損益情報を入手する場合は、融資希望者端末2から融資機関1のWWWサーバ13上のホームページにアクセスし、個人ID及び暗誦番号を入力してサービス要求を行う。WWWサーバ13は融資希望者端末2からサービス要求を受けると、業務用コンピュータ11に対して融資希望者からのサービス要求と融資希望者に関する認証処理要求を行う。
【0124】
業務用コンピュータ11は融資希望者端末2から送信されたサービス要求データに含まれている個人ID及び暗誦番号を予め記憶部22に登録された個人ID及び暗誦番号と照合する。業務用コンピュータ11は両者の照合結果が一致した場合のみ、正規の融資希望者からのサービス要求とみなして、融資ファイル12を最新の状態に書き換える更新処理を開始する。
【0125】
業務用コンピュータ11は、処理部21において利子を基に融資日を起算日とする利子演算と、融資額に利子を加算する融資総額演算と、株数に通信制御部23と通信ネットワーク3を介して得られる外部情報供与機関(図示しない)からの相場情報を乗算する時価総額演算と、融資総額を時価総額で除算する維持率演算とを行い、これらの演算処理結果を最新情報として融資ファイル12の内容を書き換えて更新処理を終了する。さらに、業務用コンピュータ11は更新処理された融資ファイル12のうち、融資希望者に供与するバランスシート40に記載する情報のみをWWWサーバ13に送信する。
【0126】
WWWサーバ13は業務用コンピュータ11から送信されたバランスシート40に記載する情報をHTML形式で編集してホームページ用ファイル14として生成・更新する。次いでWWWサーバ13は融資希望者端末2に対してバランスシート40をHTML形式で送信する。
【0127】
融資希望者端末2は、その内部に備えたブラウザ機能によりWWWサーバ13から送信されたHTML形式の情報を翻訳してバランスシート40を画面に表示する。維持率が指定維持率以上になると、担保証券の自動売却が行われる。この自動売却は、業務用コンピュータ11の処理部21が通信制御部23と通信ネットーワーク3を介して証券会社の融資コンピュータ(図示しない)に対して、担保証券の売却注文を自動的に発するものである。この時点で融資希望者と融資機関にあった利子を含む融資総額に関しての債権債務が清算され、利子も解消されるので、利子が肥大し債務が拡大することもない。
【0128】
図9は証券担保金融システムの実施例1に関する概念図であり、顧客70と、顧客70が現在取引のあるA証券会社80と、融資機関1と、融資機関1と現在取引のあるB証券会社90とはインターネットを介してリアルタイムで情報通信できるようにネットワーク接続されており、融資の申込(矢印71)、株式82の口座振替依頼(矢印72)、株式82の口座振替(矢印73)ができる。後述するように、株式82はA証券会社80の顧客口座81から、B証券会社90にある顧客口座91及び融資機関口座92へと、現実に株券を移動させる必要はなく、インターネットを介して代理占有の譲渡・移転するだけである。
なお、A証券会社80とB証券会社90を2社に区別しているが、同一の1社に全ての機能を具有しても構わない。
【0129】
次に、このような証券担保金融システム5を利用した融資方法について図10を参照して説明する。図10は融資の流れを示すフローチャートである。図10において、融資希望者が証券担保の条件で融資機関1に融資を申し込む(ステップ301)。この時、当該証券の市場における売買量に応じて融資限度額を設定して(ステップ401)、この融資限度額に基づいて融資を行うようにする(ステップ402)。
【0130】
担保証券の売買量が少ない銘柄では、相場が低落した場合には売却が容易に行えないため、例えば、融資希望者に対する融資限度額を予め小さくすれば、リスクに備えることができる。担保証券の売買量が多い銘柄では融資限度額を大きくして自由度を持たせるようにする。次に、融資希望者が差し出した担保証券は融資機関1が担保として預かる(ステップ302)。
【0131】
ここで、融資機関1は第三者との間で当該担保証券の値下がりオプション取引を行うようにしてもよい(ステップ403)。これは、相場の先行きが低落することを想定して、日経平均等の値下がりオプション取引を行うものである。例えば、融資希望者から受け取った利子の一部でプット・オプションを買うようにする。
【0132】
その後、例えば、融資希望者が差し出した担保証券の相場が続落すれば、融資機関1が融資希望者から担保として供与され、占有権を確保していた担保証券を、融資機関1はその代理人に指図して売却する(ステップ303)。この時の売却額が融資額に利子合計を足し合わせた額を下回った場合は、融資機関1がその差額を負担し、損失として計上する(ステップ304)。この時、融資機関1は、ステップ403で示した値下がりオプション取引によって得られた利益を、この損失の補填に充てることができる(ステップ404)。
【0133】
一般的に、所有する証券等の先行きが下落相場と予想される場合は、「予め時価で空売りし、下げた後に安く買戻す」ことにより利益追求し、たとえ予想外であっても「予め時価で空売りし、予想が外れて値上がりしたならば買い戻さず、現実に証券等を引渡す(占有権を譲渡する)」周知のリスク・ヘッジ手段を講じてもよく、そのようにすればリスク・ヘッジ手段を講じるための手数料負担を除き、融資機関1が担保証券の担保価値下落による損害を被ることは免れる。
【0134】
【実施例】
「実施例1」次に、証券担保金融システム5の一実施例について図1から図9を参照して主に実際の利用状況に即した説明する。証券担保金融システム5の概略構成は図1に、融資機関1の業務用コンピュータ11のブロック構成は図2に、融資ファイル12の論理構成は図4に、融資ファイル12の更新処理フローチャートは図5に、証券担保金融システム5の利用フローチャートは図6に、顧客(お客様)台帳へのログイン画面は図7に、バランスシートは図8に、証券担保金融システム5の実施例1に関する概念図は図9にそれぞれ示すとおりである。
【0135】
図7に示す「お客様台帳ログイン画面」により、融資希望者(以下、「顧客」とも称す)は融資希望者端末2に個人ID及び暗誦番号を入力してWWWサーバ13上のホームページにアクセスすると、バランスシート40を閲覧することができる。又、融資機関1においては当該情報の表示が暗誦番号の入力を要せずに行われる。
【0136】
図9において、顧客70は融資機関1にインターネットを介して融資の申込(矢印71)をするに際し、顧客70が現在取引のあるA証券会社80に株式の口座振替依頼(矢印72)し、融資機関1と現在取引のあるB証券会社90に株式の口座振替(矢印73)ができるように手続する。株式の口座振替とは、前述したように、当事者の合意によっても占有権の譲渡が可能であるので「代理人に寄託された株式に対して指図による占有権の移転・譲渡」を意味する。
【0137】
具体的には、証券決裁機構である証券保管振替機構の株式口座振替を利用する。従って、株券を実際に移動する必要はない。それだから、インターネットによる電子商取引が遠隔地間でも瞬時に成立するのである。ただし、一刻を争う危急の場合でなければ、例外的に、証券保管振替機構を介せずに株券を書留郵便等により移動したり、人手による現実の引渡しを行えば、「(動産に対して一般的に)占有権の譲渡は占有物を現実に引渡すことにより行う(民法182条1項)」とあるように、原則に戻って有効な取引形態となる。なお、現実の引渡しの手段に関してさらなる説明は省略し、証券保管振替機構の利用を前提にした説明を続ける。
【0138】
詳しくは、A証券会社80に開設され維持管理された顧客口座81で株式82の売買を管理し、観念的には株式82を保護預りしている。なお、現実に株券を保護預りしているのは証券保管振替機構の金庫であるが、前述したように動産であっても代理人に占有権移転の指図すれば第三者に占有権移転できるので、株券の保管場所は取引上の問題外とし、図9の表記上はA証券会社80の金庫に保護預りされているものとする。
なお、ここでもA証券会社80とB証券会社90を2社に区別しているが、同一の1社に全ての機能を具有しても構わない。
【0139】
要するに、本発明において、株券をはじめとする担保証券を現実に移動することは基本的に一切不要であり、単に株式に対する占有権の移転・譲渡を代理人に指図するだけで済む。ここにいう「担保証券に対する占有権」を、従来の証券会社では取引に伴って「ある顧客から別の顧客へと移転・譲渡」していたので、占有権が融資機関1まで移転されず、使途無制限の資金を調達するためには相当の段階を経る必要があったが、本願発明では「融資希望者から融資機関1へとインターネットを介して直接に移転・譲渡」するようにしたから、担保評価額に所定掛け率を乗じた融資限度額の資金が、瞬時に融資できる。
【0140】
このように、株式82はA証券会社の80の顧客口座81から、B証券会社90の顧客口座91又はB証券会社90に開設され維持管理されている融資機関1の融資機関口座92へと、株式の口座振替(矢印73)が成され、その旨は株式の入庫確認として融資機関1への連絡される(矢印74)。そうすると、融資機関1からインターネットを介して顧客70へと融資承諾連絡(矢印75)され、融資(矢印76)が実行される。
【0141】
そして、融資機関1が、インターネット経由で、担保株式の維持率管理及び株価下落時の担保株式売却・買取(矢印77)を行う。前述したように担保株式の維持率管理して換金処分の時機を逸することがなければ、保証会社100の危険負担も無い。なお、担保株式の売却のみならず買取(矢印77)を行うとすれば融資機関1には相当の資金力が必要であるが、前述した下げ相場におけるリスク・ヘッジ対策を完備することにより小資本でも運用が可能となる。あるいは、潤沢な資金力の裏付けに基づいて、難平買(なんぴんがい)すなわち相場が安くなるにつれて値下がり銘柄を買増して買値の平均を安くする財務運用もできる。
【0142】
ここで、顧客70が融資機関1にインターネットを介して融資の申込(矢印71)をしてから、融資(矢印76)が実行されるまでの所要時間を限りなくゼロに近づけられる可能性がある。何故ならば、矢印71〜77に示した一連の操作に審査等の人為的判断要素と、現物移動の物理的要素は含まれておらず、全て情報通信と帳簿の付け替えだけなので、インターネットとコンピュータを駆使すれば、瞬時に完了できる処理である。
【0143】
ただし、融資(矢印76)の実行に現金の移動を指定した場合の所要時間は除外している。例えば、ある月の給与支給日と手形決裁日が重なり、両方の債務を同時履行するには資金不足であることを、その日の午前9時に知った事業主が、直ちに融資機関1へ融資を申し込み、無審査で瞬時に融資を受け、同日午前10時に両方の債務を無事に履行できた。この時、融資の具体的な実行は融資機関1から事業主の当座預金口座(図示せず)宛に融資の金額を振り込む行為であり、それで問題は解決するが、前述したように現金の移動を指定した場合の現金輸送時間に関しては本発明とは無関係の別問題である。
【0144】
実施例1における説明で、現在の維持率は指定維持率未満を維持した状態であり、ここで現在の維持率が指定維持率以上になった場合には、現在の維持率が超過した旨の表示(例えば現在維持率50の表示欄を赤色点滅)がなされ、担保証券は売却される。売却益によって融資希望者と融資機関1との債権債務は清算され、融資総額が利子で肥大しないようにすることができる。
【0145】
又、この実施例では、指定維持率を80%(図示せず)に設定しており、維持率が80%以上になると、通信ネットワーク3を介し、証券会社に対して自動的に当該担保証券の売却注文が出される。融資希望者は融資機関1のホームページにアクセスすることにより、担保証券の預かり状況、融資内容、本日の相場をリアルタイムで閲覧することができる。また、今売却した場合の損益に関し、融資希望者は融資を受けた時点で既に融資機関1から現金による融資が行われており、後述するように融資総額を上回る売却益が発生すれば、融資機関1から融資希望者へ戻せば良い。ここで、必ずしも融資希望者に損益を見せる必要はなく、僅かしかない返金の事実をもって損益の明細報告及び清算の通知に代えても構わない。
【0146】
「実施例2」次に、このような証券担保金融システム5を利用した融資方法の他の実施例2について、図11から図13を参照して主に実際の利用状況に即した説明をする。図11は証券担保金融システムの実施例2に関する概念図、図12は個別融資明細の一例、図13は担保預り明細の一例である。
【0147】
図11に示すように、銀行等の金融機関101は、保証会社100の連帯保証があれば顧客70に融資(矢印96)可能である。保証会社100は実施例1における融資機関1と同等の機能を備えている。顧客口座91と保証会社口座102があるB証券会社90は株式の口座振替(矢印93)を受け、観念上で株式の入庫確認(矢印94)したことをインターネット経由で保証会社100に通知する。
【0148】
株式の口座振替により代理占有の移転・譲渡することにより、担保株式に対する事実上の支配権を得た保証会社100は、提携関係にある金融機関101に融資についての保証承諾及び保証額連絡、又は担保差し入れに関して連絡(矢印95)すると、金融機関101は顧客70に融資(矢印96)を実行する。ここで、金融機関101が顧客70に融資した債権の全額に対して、保証会社100が連帯保証する関係にあり、しかも融資額の限度は連帯保証できる範囲内に設定されているので、金融機関101は危険負担が無い。
【0149】
そして、保証会社100が、インターネット経由で、担保株式の維持率管理及び株価下落時の担保株式売却・買取(矢印97)を行う。前述したように担保株式の維持率管理して換金処分の時機を逸することがなければ、保証会社100の危険負担も無い。なお、担保株式の売却のみならず買取(矢印97)を行うとすれば、前述した下げ相場におけるリスク・ヘッジ対策が奏効する。従って、本発明の証券担保金融システム及びその融資方法によれば、担保株式が下げ相場であったとしても、保証会社100及び金融機関101の危険負担が無い。
【0150】
実施例2における、金融機関101の機能は展開する店舗数に裏付けられた知名度による大規模集客機能及び資金力であり、保証会社100の機能に知名度及び資金力は不要である。資金力が不要である理由は、金利収入が確実であることのみならず融資資金は不要であり、担保証券の急落にもリスク・ヘッジ対策が講じられていれば、インターネット等の設備維持程度の運転資金のみで対応可能である。
【0151】
従って、実施例2では金融機関101の下請けに位置付けられても有効に機能し、その場合は顧客70が先ず金融機関101に融資申込し、簡易審査により連帯保証人又は担保供与が必要と判断された時点で、保証会社100を紹介されても良い。その時、顧客70が担保証券を前述したA証券会社80の顧客口座81に株式82を寄託していれば、実施例1で説明したように審査等に時間を要することなく、相当の融資を受けられる。このような、大規模かつ有名な銀行等の金融機関101と小規模かつ無名の保証会社100と提携した融資ビジネスを展開した場合、顧客70にとって保証会社100を必要とする時にのみ金利を保証会社100が獲得し、保証会社100が不要な時には金融機関101が獲得すれば良い。
【0152】
実施例1,2(図9,図11)では融資の管理を行うにあたり、図示しないが負の預金通帳のような「融資記録」、「個別融資明細(図12)」、「担保預り明細(図13)」の三種類の帳票によって。これらの帳票は融資希望者毎に作成され、インターネット上で24時間何時でも閲覧が可能である。融資希望者がこれらの帳票を閲覧する時は、個人ID及び暗証番号を入力して、自分の専用取引ページにアクセスする。「個別融資明細」は、担保証券の売買に伴う入出金履歴を示す明細である。「担保預り明細」は、担保されている担保証券の預り状況を示す明細である。
【0153】
図12に示す「個別融資明細」において、融資希望者は、自己が所有する富山化学工業の株式を2002年5月24日に融資日の株価@590円×千株=59万円相当を担保に供与して、59万円×8割=472,000円の融資を受けた。年利24%の毎日単利計算で18日分(初日も算入する)の利子額5,586円を上乗せした融資総額が472,000円+5,586円=477,586円となり、2002年6月10日に時価@580円×千株=58万円の株価合計で融資総額を除すると、477,586円/58万円=82.34%となる。
【0154】
そして、融資機関の損益分岐点である維持率100%の近辺での損益を簡単なシミュレーションにより説明する。ただし、通常はα=90%(75〜100の任意値)前後,β=100%(固定)で実施するところを、α=β=100%と仮定する。すなわち、損益分岐点である維持率100%に達した時点で、指定売却ラインα=100%と、買取実行ラインβ=100%が同時に到来し、買取り実行と同時に換金売却の指示した場合の典型例である。
【0155】
ここで、維持率100%に達した時点であっても、融資日の株価@590円×千株=59万円相当の担保価値には変動ないと仮定して、59万円×8割=472,000円の融資金額に年利24%の毎日単利計算でD日分(初日も算入する)の利子額I円を上乗せした融資総額が(472,000円+118,000円)×100%=59万円となるためには、
I=47.2万円×年利24%×(D/365)日=118,000円 よって、D=380.2日 従って、担保は株価が変動しなかったとして380日間は買取り又は売却処分されずに維持される。
【0156】
仮に、融資後の担保株価が年率24%の上昇を継続すれば維持率80%のままで推移する。逆にいえば、担保株式の時価が変動しなければ、融資の380日後に買取り実行又は売却処分される。
なお、図12〜13に示す例では、310.36円/日の利子であるが、この利子を3〜6月毎の定期的に払い続けて担保株式を維持する融資契約でも良い。
【0157】
又、前述した下げ相場に対するリスク・ヘッジ等を講じていない場合、最悪の想定として、融資を受けたその日のうちに担保の株価が約2割程度の急落した場合、@590円−118円=@472円となれば維持率100%に達した時点で自動売却機能が作動し、担保証券を換金売却処分される設定であるが、その日は売り気配のなか、終値が@590円−100円=@490円のストップ安で取引停止となれば、自動売却機能が作動せずに、翌日の前場で寄り付きから@490円−50円=@440円まで一気に下げた時に初めて千株売れたとする。
【0158】
この場合は、金利額として310.36円/日×2日分=620.7円を加味すると、融資総額は472,000円+620.7円=472,620.7円に対して、売却額44万円となり単純計算しても3万円を超える赤字になるし、担保株式の売却手数料その他を差し引けば5万円近い損失が発生する。
なお、ここでは融資機関が被る損失を問題としているので、損失発生とその処理方法だけを示している。逆に融資機関が買い取った担保証券の値上がりを期待して、融資機関が売却保留し、あるいは後日に売却益を獲得した場合の説明は省略する。
【0159】
もし、証券会社がこの種の証券取引に係る損失を計上すれば、顧客から回収することになり、特定の顧客に対して支払い免除しようものなら周知の「損失補填」として違法行為となる。しかし、融資機関1は証券会社ではなく、貸し金業であるために「貸し倒れ損」又は「有価証券投資損」として会計処理する。従って、回収経費が回収金額を上回るような無益な回収業務は発生しない。
【0160】
他の銘柄についても、売買が行われる都度「個別融資明細」と「融資記録」にその結果が反映される。ここで、図13に示す「担保預り明細」は、融資希望者が担保に供与した全銘柄について、現時点における預り状況(資産状況)を示したものである。このように、融資希望者は融資機関1のホームページにアクセスすることにより、各銘柄別の個別融資明細、融資履歴、担保されている各々の担保証券の資産状況をリアルタイムに閲覧することができる。
【0161】
図14は、申込書と同等効果の画面であり、Eメールによる申し込みの場合にも申込書と呼んでいる。この申込書には融資希望者の氏名、氏名のフリガナ、生年月日、郵便番号、住所、電話番号及びEメールアドレス、そして、担保予定株式、銘柄名、コード及び株数を記入し、融資機関宛のEメールアドレスに送信することにより融資を申し込む。なお、ここで融資希望者の氏名を明示しても、第三者に対しては秘密を保つのでプライバシーは保たれる。
【0162】
図15は、ご融資実行についてのご連絡の画面であり、担保評価額である担保株式の時価に所定掛け率(%)を乗じた融資限度額で融資が実行される旨を連絡される。この種の連絡も全てEメールによるが、前記申込書より以上に第三者に対する守秘義務があり、秘密を保つのでプライバシーは保たれる。
【0163】
図16は、ご融資見合わせについてのご連絡の画面であり、担保評価額である担保株式の時価に所定掛け率(%)を乗じた融資限度額が、既に妥当な基準による融資限度に達しているか、あるいは融資できない何らかの事情があればこのフォームにより、融資を見合わせる旨が連絡される。この種の連絡も全てEメールによるが、前記申込書及び融資実行連絡よりも、第三者に対する高度の守秘義務があり、秘密を保つのでプライバシーは保たれる。
【0164】
なお、本発明は、前記した実施の形態及び実施例に限定されることなく広く変形実施可能である。例えば、説明を簡単にするために単利計算しているが、複利計算により実施しても、法定金利以内であればその旨を契約で明示すれば構わない。
又、本発明における各動作処理は適宜手作業に置き換えることができる。
【0165】
【発明の効果】
(1)本発明の証券担保金融システムは、担保証券に対して自動損切り売却機能が作動する。すなわち、維持率が所定値(指定維持率)以上になった場合に、自動損切り売却機能が作動し、即座に売却処分を自動的に行うことから、早めに損失額の拡大を防止することにより、貸し倒れの発生金額及びその可能性を極小化したので、「貸し倒れ損」又は「有価証券投資損」の会計処理してもその被害は僅少で済み、担保不足になっても追い証拠金の徴収が不要で、追加担保入れもなくした。従って、回収業務が不要になる。
【0166】
(2)換金性の手堅い有価証券を担保に万一の損害も僅少とし、融資希望者個人の信用に関する審査を省略可能で、破産者へも連帯保証人なしに融資できる。
【0167】
(3)融資の可否及び融資限度額の決定に関する審査は、専門的な知識経験を必用とするところを、担保証券の評価に関する客観的な情報を入力すれば、相手が誰であっても一義的に結論が出るので、機械化することが可能。従って、無人店舗、インターネット貸し金業の開設ができる。
【0168】
(4)証券保管振替機構に寄託中の担保証券があれば、その担保証券を代理人に指図して占有権移転するので、担保証券を現実に引渡すために移動する手間、コスト及び時間が不要であり、融資の申込から実行までに長時間を必要としない。従って、融資希望者が融資を申し込めば、即刻に融資可能となる外、融資希望者と融資機関などの間で証券売却に伴う電話連絡等の煩わしい作業を不要にした、簡易迅速なインターネット貸し金業の開設ができる。
【0169】
(5)融資機関の立場からリスクヘッジする視点によれば、相場全体が低落した時に融資機関が担保として預かっている有価証券の担保価値が全体的に下落した場合を想定し、融資機関は融資の利用に応じて顧客から徴収した利子の一部で日経平均オプションのプットオプションを買うかあるいはコールオプションを売ることにより、いわゆる大暴落時に融資機関の損失負担の増加分を穴埋めするリスクヘッジが機能し、保険をかけたことになるので総じて手堅い融資となる。
また、融資利用者の立場からリスクヘッジする視点によれば、融資機関に買取らせるために予め契約された第2の指定維持率で算出される担保証券の下落を限度にリスクから開放される。従って決断力の乏しい者でもリスク回避の意思決定が代行処理されるので、安全である。具体的には「下がった株価が戻ることを期待する」ような希望的観測に基づく決断の遅れによる破産等を避けられるように担保証券を融資機関が契約した価格で買取る責任を明示している。この買取る責任を融資機関が果たした場合は、当該担保証券を質流れの要領で処分される代償として、融資を完済できる。
また、担保証券毎にリスクヘッジする視点によれば、前記質流れの要領で処分される代償として契約した掛け率で融資を受けている(リスクヘッジ相当額の先取り)ということは、当該担保証券(特に劣悪銘柄株)を新規購入または所有する融資利用者にとっては、契約した価格でリスクヘッジしたことになる。
【0170】
(6)担保証券をもくろみ通りに換金売却できなかった場合を想定し、最終的には融資機関が融資希望者から担保証券を買取って清算することで、担保証券の売却額が融資額又はこの融資額に利子を加算した額を下回った場合には、その差額を融資機関が負担することから、融資希望者にとっては、利子が肥大して返済不能になることが無く、担保不足が原因による追い証拠金、又は追加担保を要求される心配が無いので、融資希望者と融資機関の間は健全な関係を維持できる。従って、破綻の原因を加速度的に増加するような事が無い。
【0171】
(7)本発明の融資機関は貸し金業であり、証券会社でも銀行でもないので、営業免許の取得が比較的容易な貸し金業の免許により設立できる。また、営業形態が証券会社でなく、貸し金業のため、融資総額の一部又は全部が回収不能の場合「証券取引に伴う損失補填」と見なされず、「貸し倒れ損」又は「有価証券投資損」として合法的な会計処理ができる。このことは、証券会社であれば、証券会社を規制する証券取引法における禁止事項である「損失補填」と見なされるので、回収業務が不可避であるが、都道府県知事によって営業免許が付与される貸し金業であれば、証券取引法の範囲外、すなわち金融庁の監督外であり、実質上「有価証券投資損」が発生しても「貸し倒れ損」又は「有価証券投資損」として会計処理すれば、回収放棄しても差し支えない。
【0172】
(8)取引先と相互に持ち合い関係を維持して長期安定に資する株式、自社株式の外、簿記、立場上、又は心情的にも売りたくない株式の場合、これらを売らずに証券担保に供与して融資を受けられる。例えば、かつてのインフレ経済体制時期に企業が財務運用の目的で投機の対象として購入し抱え込んだ大量の株式を、バブル崩壊後のデフレ経済体制下の昨今に換金処分しようとする場合、もくろみ外れにより、購入時より株価が値下がりしていれば、その株式を購入した高値の簿価により資産として記帳された会計帳簿において、売却すると決算上は損金が計上され、当該企業の信用格付けが下がる。このように、格下げされた状態で金融機関に更なる融資を申し込んでも融資審査で不利に作用するが、本システムを利用すれば、審査はその都度受ける必要が無く、担保できる有価証券があればすぐに融資を受けられて、有価証券投資損が発生しないので信用格下げの心配もない。いわゆる塩漬け株の有効利用が図れる。
【0173】
(9)担保に供与した複数銘柄による担保証券の価格が総合的に下落した場合は、複数銘柄のうち最も下落の甚だしい銘柄だけを選択的に売却し、その他の健全な銘柄は温存され、その後に値上がり利益を得ることも期待できる。下げ相場の際にも意思決定する選択肢が残され、判断する猶予時間も稼げる。
【0174】
(10)市場における有価証券の売買量に応じて指定維持率及び/又は融資限度額を最適設定するように加減し、換金の確実性の視点から条件の悪い銘柄の担保証券であれば、低落相場で薄商いのなかにも買い手が付いて採算性の確実な範囲内に採算ライン及び/又は融資限度額を設定できる。
【0175】
(11)担保として預かる許容限度枠を、例えば1日の売買出来高の範囲内の担保証券数量に止める。その結果、預かった担保証券を即日換金可能とする安全性を高められる。可能性市場における売買量に応じて銘柄毎に融資限度額を設定し、この融資限度額に基づいて融資を行うことから、売買量が小さいマイナー銘柄の場合に融資限度額を小さくすれば、マイナー銘柄であるために買い手の付き難い当該証券の売却が容易に行えないリスクに備えることができる。逆に売買量が大きい銘柄の場合には、融資限度額を大きくして自由度を持たせることができる。
【0176】
(12)融資希望者及び融資機関の双方以外の第三者がインターネット上に開設されるホームページにアクセスしたとしても、融資希望者に関する情報が個人IDに限られて融資希望者のプライバシーは保護されることから、融資希望者は安心してこの証券担保金融システムを利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】証券担保金融システムの概略構成図である。
【図2】証券担保金融システムにおける業務用コンピュータのブロック構成図である。
【図3】担保維持率の説明図である。
【図4】融資ファイルの論理構成図である。
【図5】融資ファイルの更新処理フローチャートである。
【図6】証券担保金融システムの利用フローチャートである。
【図7】顧客(お客様)台帳へのログイン画面である。
【図8】バランスシートである。
【図9】証券担保金融システムの実施例1に関する概念図である。
【図10】融資の流れを示すフローチャートである。
【図11】証券担保金融システムの実施例2に関する概念図である。
【図12】個別融資明細の一実施例である。
【図13】担保預り明細の一実施例である。
【図14】申込書と同等効果の画面である。
【図15】ご融資実行についてのご連絡の画面である。
【図16】ご融資見合わせについてのご連絡の画面である。
【符号の説明】
1 融資機関
2 融資希望者端末
3 通信ネットワーク
5 証券担保金融システム
11 業務用コンピュータ
12 融資ファイル
13 WWWサーバ
14 ホームページ用ファイル
21 処理部(利子演算手段、時価総額演算手段、融資総額演算手段、維持率演算手段    、自動売却手段、)
22 記憶部(融資額記憶手段、指定維持率記憶手段)
23 通信制御部
24 表示部(表示手段)
25 入力部
31 融資希望者情報
32 融資情報
33 損益情報
40 バランスシート
41 個人ID
43 融資額
44 利子
45 融資総額
46 担保銘柄
47 株数
48 証券単価
49 時価総額
50 現在維持率
51 売却指定維持率
52 買取指定維持率
53 只今の売却を想定した損益
70 顧客
71 融資の申し込み
73 株式の口座振替
74 株式の入庫確認
75 融資承諾連絡
76 融資
77,97 維持率管理及び株価下落時の担保株式売却・買取
80 A証券会社
81 顧客口座
82 株式
90 B証券会社
91 顧客口座
92 融資機関口座
100 保証会社
101 銀行等の金融機関
102 保証会社口座

Claims (11)

  1. 所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を監視し、この維持率が所定値を超えると前記担保証券を売却して融資を清算するようにした証券担保金融システムであって、
    前記担保証券の市場価格に基づく時価総額を演算する時価総額演算手段と、
    前記融資額を記憶する融資額記憶手段と、
    元本又は元利合計を融資総額として、前記融資総額を担保証券の時価総額で除した維持率を演算する維持率演算手段と、
    前記維持率を監視する維持率監視手段と、を備えたことを特徴とする証券担保金融システム。
  2. 所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を監視し、この維持率が所定値を超えると前記担保証券を前記融資希望者から融資機関が買い取ることにより融資を清算するようにした証券担保金融システムであって、
    前記担保証券の市場価格に基づく時価総額を演算する時価総額演算手段と、
    前記融資額を記憶する融資額記憶手段と、
    元本又は元利合計を融資総額として、前記融資総額を担保証券の時価総額で除した維持率を演算する維持率演算手段と、
    前記維持率を監視する維持率監視手段と、を備えたことを特徴とする証券担保金融システム。
  3. 前記維持率監視手段は、
    少なくとも前記担保証券の銘柄に応じた格付けにより契約された指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段と、
    前記維持率が前記指定維持率以上になった銘柄の前記担保証券を融資機関の任意又は自動的に売却する自動売却手段と、
    前記自動売却手段を起動させる妥当な採算ラインとして前記融資希望者と前記融資機関が契約して定めた第1の指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段と、
    前記第1の指定維持率より高めに設定された第2の指定維持率を記憶する指定維持率記憶手段と、
    前記第1の指定維持率で前記担保証券を売却指示したにもかかわらず売却できなかった場合に、前記第2の指定維持率により当該担保証券を前記融資希望者から前記融資機関が買取る買取手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の証券担保金融システム。
  4. 複数の銘柄の担保証券が供与されている場合に、前記自動売却手段が担保証券を自動的に売却する際には、前記複数の銘柄のうち指定維持率の高い順に担保証券の売却が行われることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の証券担保金融システム。
  5. 前記融資希望者に対して、少なくとも前記担保証券の銘柄を特定する情報、前記融資総額及び前記時価総額を記載したバランスシートを、インターネットを介して閲覧可能としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の証券担保金融システム。
  6. 前記バランスシートには、個人を特定する情報として個人IDのみを記載したことを特徴とする請求項5に記載の証券担保金融システム。
  7. 市場における前記担保証券の売買量が多い銘柄に対しては大きく、売買量が少ない銘柄に対しては小さくなるように、銘柄毎に指定維持率及び/又は融資限度額を設定することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の証券担保金融システム。
  8. 前記指定維持率及び/又は融資限度額は前記銘柄毎の担保証券の1日の売買量を基礎として設定することを特徴とする請求項7に記載の証券担保金融システム。
  9. 所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、
    前記監視した結果に対応して融資を清算するように前記コンピュータの融資ファイルを更新し、
    前記融資ファイルを更新したことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にすることを特徴とする融資方法。
  10. 所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、
    前記維持率が所定値を超えると前記担保証券を売却して融資を清算するように前記コンピュータの融資ファイルを更新し、
    前記融資ファイルが更新されたことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にすることを特徴とする融資方法。
  11. 所有する有価証券を担保に融資を受けようとする融資希望者に融資した融資機関が、担保として預かった担保証券の時価と融資額に基づいて少なくとも求められる維持率を前記融資機関のコンピュータにより監視し、
    前記維持率が所定値を超えると前記担保証券を前記融資希望者から融資機関が買い取ることにより融資を清算するようにコンピュータの融資ファイルを更新し、
    前記融資ファイルが更新されたことを示すバランスシートを前記コンピュータから通信ネットワークを介して閲覧可能にすることを特徴とする融資方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006277161A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Nomura Research Institute Ltd 証券担保融資管理システム、方法及びプログラム
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