JP2004144491A - 差圧・圧力検出器およびそれを用いた差圧伝送器 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の導圧管の詰まり検出の手法では、高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まったときでないと検出することができなかった。また、片方の導圧管の詰まりを検出するためには静圧の測定が必要であるので、別に圧力センサが必要になり、構成が複雑になったという課題を解決する。
【解決手段】シリコンチップに薄肉部を設け、この薄肉部の中央付近と周辺に歪み検出素子を配置し、これらの素子の出力から高圧側の静圧、低圧側の静圧および差圧を演算するようにした。また、これらの演算値の変動幅から導圧管の詰まりを診断するようにした。差圧と静圧を同時に測定できる素子を使用したので、構成が簡単になりかつ片方の導圧管の詰まりをも診断できる。
【選択図】 図1
【解決手段】シリコンチップに薄肉部を設け、この薄肉部の中央付近と周辺に歪み検出素子を配置し、これらの素子の出力から高圧側の静圧、低圧側の静圧および差圧を演算するようにした。また、これらの演算値の変動幅から導圧管の詰まりを診断するようにした。差圧と静圧を同時に測定できる素子を使用したので、構成が簡単になりかつ片方の導圧管の詰まりをも診断できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は差圧・圧力検出器およびそれを用いた差圧伝送器に関し、特に差圧と静圧の両方を測定することができる差圧・圧力検出器と、この差圧・圧力検出器を用いて導圧管の詰まりを検出することができる差圧伝送器に関するものである。
【0001】
【従来の技術】
図7に差圧伝送器の構成を示す。図7において、ダイヤフラム31,32にはそれぞれ高圧側、低圧側の圧力が加えられる。これらの圧力は内部に媒体が封入された管路4によって差圧検出器5に導かれて差圧が検出される。この差圧は変換器6に入力され、電流信号やデジタル信号に変換されて出力される。
【0002】
図8に差圧検出器5の構成の一例を示す。図2(A)は差圧検出器5の構造図であり、上側は上面図、下側は側面図である。差圧検出器5は中央に薄肉部51が形成されたシリコンチップであり、薄肉部51の端には不純物を拡散させた半導体歪みゲージ52が形成されている。
【0003】
図8(B)は薄肉部51に差圧が加わったときの状態を表している。この図では上側に高圧側の圧力が、下側に低圧側の圧力が加えられている。そのため、薄肉部51は下が凸になる方向に変形し、半導体歪みゲージ52の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化をブリッジ回路などで検出して、差圧信号として取り出す。
【0004】
図9に差圧伝送器の取り付けの例を示す。71は流体が流れる配管であり、その途中にオリフィス72が設置されている。このオリフィス72の高圧側と低圧側の圧力は導圧管82によって差圧伝送器81に導かれ、差圧が測定される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−328435号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような差圧伝送器には次のような課題があった。
【0007】
差圧は導圧管82で差圧伝送器に導かれるので、図9の91、92で示すように導圧管82に異物が詰まったり、継ぎ手部分のガスケットの異常や導圧管82自身の腐食によって流体が漏れると、正確な差圧を測定することができないという課題があった。また、差圧信号が異常になった場合、差圧伝送器の故障であるか、導圧管82の詰まりや漏れが原因であるかを特定することが困難であるという課題もあった。
【0008】
従来、正常時における差圧信号の変動幅を保存しておき、差圧信号の変動幅を測定して保存してある正常時の値と比較することによって、導圧管82の詰まりを検出する手法が考案されているが、高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まった場合でないと検出できないという課題もあった。
【0009】
また、高圧側または低圧側の静圧を測定して、この静圧信号と差圧信号の変動幅から導圧管82の詰まりを検出する手法も考案されているが、図8に示すような通常の差圧検出器では静圧を測定することができないので、静圧を測定する検出器を別に設けなければならないという課題もあった。
【0010】
従って本発明が解決しようとする課題は、差圧と静圧を同時に測定することができる差圧・圧力検出器、およびこの検出器を用いて導圧管の詰まりを診断することができる差圧伝送器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップと、この歪み検出素子の出力が入力される変換部とを有し、この変換部は前記シリコンチップの表および裏に圧力を印加したときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたものである。1つの素子で圧力と差圧の両方を検出することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたものである。汎用性が高い。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴としたものである。デジタル出力が得られる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴としたものである。半導体プロセスで簡単に作成することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、圧力が印加される一対のダイヤフラムと、このダイヤフラムに印加された圧力が入力される差圧・圧力検出部と、この差圧・圧力検出部の出力が入力される変換部とを有し、前記差圧・圧力検出部は薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップで構成され、前記変換部は前記シリコンチップの表および裏に前記ダイヤフラムに印加される圧力が導かれたときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を演算し、この差圧の値を出力すると共に、前記演算した圧力の値と差圧の値の変動から前記ダイヤフラムに圧力を導く導圧管が詰まっているかどうかの診断を行うようにしたものである。導圧管の詰まりを検出できる。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたものである。汎用性が高い。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴としたものである。デジタル出力が得られる。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴としたものである。半導体プロセスを用いて簡単に作成できる。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項5ないし請求項8いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち高圧側の導圧管が詰まったと診断するようにしたものである。高圧側の導圧管の詰まりを検出できる。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項5ないし請求項9いずれかに記載の発明において、前記変換部は、低圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、高圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち低圧側の導圧管が詰まったと診断するようにしたものである。低圧側の導圧管の詰まりを検出できる。
【0021】
請求項11記載の発明は、請求項5ないし請求項10いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値のいずれも正常時の値より小さいときに、前記導圧管のうち高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まったと診断するようにしたものである。両方の導圧管が詰まったことを検出できる。
【0022】
請求項12記載の発明は、請求項5ないし請求項11いずれかに記載の発明において、前記変換部は、前記歪み検出素子の出力から圧力を求める演算および導圧管が詰まっているかどうかの診断を間欠的に行うようにしたものである。差圧を高速に測定できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係る差圧伝送器の差圧・圧力検出部の構成である。なお、差圧伝送器自体の構成は図7と同様である。すなわち、高圧側と低圧側の圧力を受けるダイヤフラムと、このダイヤフラムの圧力を伝達する、内部に媒体が満たされた管路と、前記2つのダイヤフラムに加わる圧力の差圧および静圧を検出する差圧・圧力検出器と、この差圧・圧力検出器の出力を電流信号などに変換して出力する変換部とで構成される。
【0024】
図1において、1は差圧・圧力検出部であり、シリコンチップで構成される。(A)はこの差圧・圧力検出部の構造図であり、上段は上面図、下段は側面図である。11はこの差圧・圧力検出部1の中央に形成された薄肉部である。12はこの薄肉部11の周辺に形成された第1センサ、13は薄肉部11の中央付近に形成された第2センサである。
【0025】
これら第1、第2センサ12,13は一定の張力を与えられた振動子、あるいは不純物を拡散させた半導体歪みゲージを用いる。図8に示した従来例では半導体歪みゲージのセンサを薄肉部の周辺のみに1個用いたのに対して、本実施例では周辺部と中央部にそれぞれ1つ、合計2つのセンサを用いる。
【0026】
図2に差圧・圧力検出部1の出力を処理する変換部を含めた構成を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図2において、2は変換部であり、差圧・圧力検出部1の第1センサ12の出力である信号S、および第2のセンサ13の出力である信号Tが入力される。また、差圧・圧力検出部1には高圧側の圧力PHと低圧側の圧力PLが入力される。
【0027】
変換部2は演算式Fを用いて高圧側の静圧を演算し、演算式Gを用いて低圧側の静圧を演算して、高圧側静圧信号Ph、低圧側静圧信号Plを出力する。また、演算式Hを用いて差圧を演算し、差圧信号Pdを出力する。さらに、演算した静圧、差圧の値から導圧管の詰まりを診断して、警報を出力する。
【0028】
演算式F、G、Hは第1のセンサ12の出力である信号Sと第2のセンサ13の出力である信号Tを変数とする関数になる。すなわち、下記(1)〜(3)式で表される。
Ph=F(S、T) ・・・・・・・・・・ (1)
Pl=G(S、T) ・・・・・・・・・・ (2)
Pd=H(S、T) ・・・・・・・・・・ (3)
【0029】
関数F、G、Hの形は種々のものが考えられるが、例えば信号SとTの多項式展開を用いることができる。すなわち、信号Sの値をS、信号Tの値をTとすると、下記(4)式で表される。なお、k0〜k5は定数である。
k0+k1*S+k2*T+k3*S*T+k4*S2+k5*T2・・・・・・・ (4)
【0030】
図3に高圧側の圧力PH、低圧側の圧力PLを与えたときの、演算式F、G、Hの計算値を示す。図3は上から高圧側の圧力PH、低圧側の圧力PL、演算式F(S、T)の値(=出力Ph)、演算式G(S、T)の値(=出力Pl)、演算式H(S、T)の値(=出力Pd)であり、No.1からNo.9までの9個のデータを示している。計算上はPH=F(S、T)、PL=G(S、T)、PH−PL=H(S、T)になる。
【0031】
なお、差圧伝送器はオリフィスなどの差圧を高精度に測定するために、測定範囲を限定している。また、静圧は1MPaから場合によっては7Mpa程度になることもある。図3の表では差圧の最大測定範囲を0〜0.1MPa、高圧側の静圧の上限を10MPaに設定している。これらの値から前記(4)式の定数k0〜k5〜を決定する。
【0032】
図4に、測定した高圧側の静圧Ph、低圧側の静圧Pl、差圧Pdの変動値から導圧管の詰まりを検出する手法の例を示す。どちらの導圧管も詰まっていない通常運転時では、高圧側静圧Ph、低圧側静圧Pl、差圧Pd共に一定値以上の変動が生じる。
【0033】
それに対して、高圧側導圧管が詰まると高圧側からの変動が伝わり難くなるので、高圧側静圧の変動値は小さくなり、低圧側の静圧と差圧の変動は通常時と同程度になる。低圧側の導圧管が詰まると低圧側からの変動が伝わり難くなるので、低圧側の静圧の変動値が小さくなり、高圧側静圧と差圧の変動値は通常時と同程度になる。両方の導圧管が詰まると、高圧側、低圧側からの変動が共に伝わり難くなるので、両方の静圧と差圧の変動値が小さくなる。
【0034】
このようにして、高圧側と低圧側の静圧および差圧の変動値を計算して正常時の値と比較することにより、どの導圧管が詰まっているかを特定することができる。変動値の演算は、例えば両方の静圧と差圧の値をそれぞれN個メモリに保存し、各々の最大値と最小値の差を変動値とすることによって行うことができる。
【0035】
なお、詰まりが激しいときは差圧の値が測定範囲を超える場合がある。この場合は出力Pdは振り切れた状態になり見かけ上変動値がゼロになるが、差圧は高圧側の静圧Pdと低圧側の静圧Plの差として求めることができるので、差圧の出力は振り切れるが、導圧管が詰まっているかどうかの判定は可能である。
【0036】
また、差圧の出力値Pdは正確な値が必要なので、演算式H(S、T)は信号SとTの高次項まで含む複雑な式になるが、静圧は導圧管の詰まり診断に用いるだけなので高い精度は必要ない。そのため、簡単な式を用いることができる。
【0037】
高速な制御を実現するためには、差圧出力Pdの更新周期を短くしなければならない。そのため、1更新周期内に演算式F、G、Hの全ての演算と導圧管の詰まりの診断を行うことが困難になる場合がある。このような場合には、高精度が必要ない静圧の演算を交互に行うことにより、演算の負荷を小さくすることができる。
【0038】
図5は更新周期が比較的長い場合の処理方式を示したものである。1更新周期内に演算式F、G、Hの演算と導圧管の詰まりの診断の全てを行う。図6は更新周期が短い場合の処理方式である。最初の周期で差圧の演算式Hの演算処理と高圧側静圧の演算式Fの演算処理を行い、次の周期で差圧の演算式Hの演算処理、低圧側静圧の演算式Gの演算処理と導圧管の詰まり判定の診断処理を行う。
【0039】
すなわち、図6の処理では静圧の演算式の演算処理を交互に行うことによって、演算の負荷を小さくしている。導圧管の詰まりが急激に発生することはほとんどないので、このように静圧演算の処理および詰まりの診断を2周期単位で行っても、実用上問題になることはほとんどない。なお、3周期以上の単位で行うようにしてもよい。
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、次の効果が期待できる。
請求項1記載の発明によれば、薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップと、この歪み検出素子の出力が入力される変換部とを有し、この変換部は前記シリコンチップの表および裏に圧力を印加したときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにした。
【0040】
1つのセンサで差圧と静圧の両方を同時に測定できるという効果がある。また、シリコンチップを用いているので半導体プロセスを使用することができ、かつ半導体プロセスを用いて容易に歪み検出素子を作り込むことができるという効果もある。
【0041】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにした。検出部の構造が変わっても、係数を変えるだけで同じ式が使えるので、汎用性が高くなるという効果がある。
【0042】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴とした。周波数の変化で歪みを測定することができるので、信号処理が容易になるという効果がある。また、半導体プロセスでシリコンチップ内に作り込むことができるという効果もある。
【0043】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴とした。半導体プロセスで容易に作成することができるという効果がある。
【0044】
請求項5記載の発明によれば、圧力が印加される一対のダイヤフラムと、このダイヤフラムに印加された圧力が入力される差圧・圧力検出部と、この差圧・圧力検出部の出力が入力される変換部とを有し、前記差圧・圧力検出部は薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップで構成され、前記変換部は前記シリコンチップの表および裏に前記ダイヤフラムに印加される圧力が導かれたときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を演算し、この差圧の値を出力すると共に、前記演算した圧力の値と差圧の値の変動から前記ダイヤフラムに圧力を導く導圧管が詰まっているかどうかの診断を行うようにした。
【0045】
差圧の測定だけでなく、導圧管の詰まりをも検出することができるという効果がある。また、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。さらに、測定値の変動幅の大きさで詰まりを診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。
【0046】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにした。検出部の構造が変わっても、係数を変えるだけで同じ式が使えるので、汎用性が高くなるという効果がある。
【0047】
請求項7記載の発明によれば、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴とした。周波数の変化で歪みを測定することができるので、信号処理が容易になるという効果がある。また、半導体プロセスでシリコンチップ内に作り込むことができるという効果もある。
【0048】
請求項8記載の発明によれば、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴とした。半導体プロセスで容易に作成することができるという効果がある。
【0049】
請求項9記載の発明によれば、請求項5ないし請求項8いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち高圧側の導圧管が詰まったと診断するようにした。
【0050】
高圧側の導圧管のが詰まったかどうかを診断できるという効果がある。また、変動幅の大きさで診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。さらに、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。
【0051】
請求項10記載の発明によれば、請求項5ないし請求項9いずれかに記載の発明において、前記変換部は、低圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、高圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち低圧側の導圧管が詰まったと診断するようにした。
【0052】
低圧側の導圧管が詰まったかどうかを診断できるという効果がある。また、変動幅の大きさで診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。さらに、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。
【0053】
請求項11記載の発明によれば、請求項5ないし請求項10いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値のいずれも正常時の値より小さいときに、前記導圧管のうち高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まったと診断するようにした。
【0054】
両方の導圧管が詰まったかどうかを診断できるという効果がある。また、変動幅の大きさで診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。さらに、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。
【0055】
請求項12記載の発明によれば、請求項5ないし請求項11いずれかに記載の発明において、前記変換部は、前記歪み検出素子の出力から圧力を求める演算および導圧管が詰まっているかどうかの診断を間欠的に行うようにした。演算の負荷が小さくなるので測定周期を短くすることができ、差圧を高速に測定できるという効果がある。また、より低速の演算処理装置を用いることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図3】入力圧力と演算結果の関係を示す表である。
【図4】導圧管の詰まり判定の基準を示す表である。
【図5】1測定周期の処理を示す表である。
【図6】1測定周期の処理を示す表である。
【図7】差圧伝送器の構成図である。
【図8】従来の差圧検出部の構成である。
【図9】導圧管の詰まりを説明するための図である。
【符号の説明】
1 シリコンチップ
11 薄肉部
12 第1のセンサ
13 第2のセンサ
2 変換部
31,32 ダイヤフラム
82 導圧管
この発明は差圧・圧力検出器およびそれを用いた差圧伝送器に関し、特に差圧と静圧の両方を測定することができる差圧・圧力検出器と、この差圧・圧力検出器を用いて導圧管の詰まりを検出することができる差圧伝送器に関するものである。
【0001】
【従来の技術】
図7に差圧伝送器の構成を示す。図7において、ダイヤフラム31,32にはそれぞれ高圧側、低圧側の圧力が加えられる。これらの圧力は内部に媒体が封入された管路4によって差圧検出器5に導かれて差圧が検出される。この差圧は変換器6に入力され、電流信号やデジタル信号に変換されて出力される。
【0002】
図8に差圧検出器5の構成の一例を示す。図2(A)は差圧検出器5の構造図であり、上側は上面図、下側は側面図である。差圧検出器5は中央に薄肉部51が形成されたシリコンチップであり、薄肉部51の端には不純物を拡散させた半導体歪みゲージ52が形成されている。
【0003】
図8(B)は薄肉部51に差圧が加わったときの状態を表している。この図では上側に高圧側の圧力が、下側に低圧側の圧力が加えられている。そのため、薄肉部51は下が凸になる方向に変形し、半導体歪みゲージ52の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化をブリッジ回路などで検出して、差圧信号として取り出す。
【0004】
図9に差圧伝送器の取り付けの例を示す。71は流体が流れる配管であり、その途中にオリフィス72が設置されている。このオリフィス72の高圧側と低圧側の圧力は導圧管82によって差圧伝送器81に導かれ、差圧が測定される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−328435号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような差圧伝送器には次のような課題があった。
【0007】
差圧は導圧管82で差圧伝送器に導かれるので、図9の91、92で示すように導圧管82に異物が詰まったり、継ぎ手部分のガスケットの異常や導圧管82自身の腐食によって流体が漏れると、正確な差圧を測定することができないという課題があった。また、差圧信号が異常になった場合、差圧伝送器の故障であるか、導圧管82の詰まりや漏れが原因であるかを特定することが困難であるという課題もあった。
【0008】
従来、正常時における差圧信号の変動幅を保存しておき、差圧信号の変動幅を測定して保存してある正常時の値と比較することによって、導圧管82の詰まりを検出する手法が考案されているが、高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まった場合でないと検出できないという課題もあった。
【0009】
また、高圧側または低圧側の静圧を測定して、この静圧信号と差圧信号の変動幅から導圧管82の詰まりを検出する手法も考案されているが、図8に示すような通常の差圧検出器では静圧を測定することができないので、静圧を測定する検出器を別に設けなければならないという課題もあった。
【0010】
従って本発明が解決しようとする課題は、差圧と静圧を同時に測定することができる差圧・圧力検出器、およびこの検出器を用いて導圧管の詰まりを診断することができる差圧伝送器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップと、この歪み検出素子の出力が入力される変換部とを有し、この変換部は前記シリコンチップの表および裏に圧力を印加したときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたものである。1つの素子で圧力と差圧の両方を検出することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたものである。汎用性が高い。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴としたものである。デジタル出力が得られる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴としたものである。半導体プロセスで簡単に作成することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、圧力が印加される一対のダイヤフラムと、このダイヤフラムに印加された圧力が入力される差圧・圧力検出部と、この差圧・圧力検出部の出力が入力される変換部とを有し、前記差圧・圧力検出部は薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップで構成され、前記変換部は前記シリコンチップの表および裏に前記ダイヤフラムに印加される圧力が導かれたときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を演算し、この差圧の値を出力すると共に、前記演算した圧力の値と差圧の値の変動から前記ダイヤフラムに圧力を導く導圧管が詰まっているかどうかの診断を行うようにしたものである。導圧管の詰まりを検出できる。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたものである。汎用性が高い。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴としたものである。デジタル出力が得られる。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴としたものである。半導体プロセスを用いて簡単に作成できる。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項5ないし請求項8いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち高圧側の導圧管が詰まったと診断するようにしたものである。高圧側の導圧管の詰まりを検出できる。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項5ないし請求項9いずれかに記載の発明において、前記変換部は、低圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、高圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち低圧側の導圧管が詰まったと診断するようにしたものである。低圧側の導圧管の詰まりを検出できる。
【0021】
請求項11記載の発明は、請求項5ないし請求項10いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値のいずれも正常時の値より小さいときに、前記導圧管のうち高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まったと診断するようにしたものである。両方の導圧管が詰まったことを検出できる。
【0022】
請求項12記載の発明は、請求項5ないし請求項11いずれかに記載の発明において、前記変換部は、前記歪み検出素子の出力から圧力を求める演算および導圧管が詰まっているかどうかの診断を間欠的に行うようにしたものである。差圧を高速に測定できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係る差圧伝送器の差圧・圧力検出部の構成である。なお、差圧伝送器自体の構成は図7と同様である。すなわち、高圧側と低圧側の圧力を受けるダイヤフラムと、このダイヤフラムの圧力を伝達する、内部に媒体が満たされた管路と、前記2つのダイヤフラムに加わる圧力の差圧および静圧を検出する差圧・圧力検出器と、この差圧・圧力検出器の出力を電流信号などに変換して出力する変換部とで構成される。
【0024】
図1において、1は差圧・圧力検出部であり、シリコンチップで構成される。(A)はこの差圧・圧力検出部の構造図であり、上段は上面図、下段は側面図である。11はこの差圧・圧力検出部1の中央に形成された薄肉部である。12はこの薄肉部11の周辺に形成された第1センサ、13は薄肉部11の中央付近に形成された第2センサである。
【0025】
これら第1、第2センサ12,13は一定の張力を与えられた振動子、あるいは不純物を拡散させた半導体歪みゲージを用いる。図8に示した従来例では半導体歪みゲージのセンサを薄肉部の周辺のみに1個用いたのに対して、本実施例では周辺部と中央部にそれぞれ1つ、合計2つのセンサを用いる。
【0026】
図2に差圧・圧力検出部1の出力を処理する変換部を含めた構成を示す。なお、図1と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図2において、2は変換部であり、差圧・圧力検出部1の第1センサ12の出力である信号S、および第2のセンサ13の出力である信号Tが入力される。また、差圧・圧力検出部1には高圧側の圧力PHと低圧側の圧力PLが入力される。
【0027】
変換部2は演算式Fを用いて高圧側の静圧を演算し、演算式Gを用いて低圧側の静圧を演算して、高圧側静圧信号Ph、低圧側静圧信号Plを出力する。また、演算式Hを用いて差圧を演算し、差圧信号Pdを出力する。さらに、演算した静圧、差圧の値から導圧管の詰まりを診断して、警報を出力する。
【0028】
演算式F、G、Hは第1のセンサ12の出力である信号Sと第2のセンサ13の出力である信号Tを変数とする関数になる。すなわち、下記(1)〜(3)式で表される。
Ph=F(S、T) ・・・・・・・・・・ (1)
Pl=G(S、T) ・・・・・・・・・・ (2)
Pd=H(S、T) ・・・・・・・・・・ (3)
【0029】
関数F、G、Hの形は種々のものが考えられるが、例えば信号SとTの多項式展開を用いることができる。すなわち、信号Sの値をS、信号Tの値をTとすると、下記(4)式で表される。なお、k0〜k5は定数である。
k0+k1*S+k2*T+k3*S*T+k4*S2+k5*T2・・・・・・・ (4)
【0030】
図3に高圧側の圧力PH、低圧側の圧力PLを与えたときの、演算式F、G、Hの計算値を示す。図3は上から高圧側の圧力PH、低圧側の圧力PL、演算式F(S、T)の値(=出力Ph)、演算式G(S、T)の値(=出力Pl)、演算式H(S、T)の値(=出力Pd)であり、No.1からNo.9までの9個のデータを示している。計算上はPH=F(S、T)、PL=G(S、T)、PH−PL=H(S、T)になる。
【0031】
なお、差圧伝送器はオリフィスなどの差圧を高精度に測定するために、測定範囲を限定している。また、静圧は1MPaから場合によっては7Mpa程度になることもある。図3の表では差圧の最大測定範囲を0〜0.1MPa、高圧側の静圧の上限を10MPaに設定している。これらの値から前記(4)式の定数k0〜k5〜を決定する。
【0032】
図4に、測定した高圧側の静圧Ph、低圧側の静圧Pl、差圧Pdの変動値から導圧管の詰まりを検出する手法の例を示す。どちらの導圧管も詰まっていない通常運転時では、高圧側静圧Ph、低圧側静圧Pl、差圧Pd共に一定値以上の変動が生じる。
【0033】
それに対して、高圧側導圧管が詰まると高圧側からの変動が伝わり難くなるので、高圧側静圧の変動値は小さくなり、低圧側の静圧と差圧の変動は通常時と同程度になる。低圧側の導圧管が詰まると低圧側からの変動が伝わり難くなるので、低圧側の静圧の変動値が小さくなり、高圧側静圧と差圧の変動値は通常時と同程度になる。両方の導圧管が詰まると、高圧側、低圧側からの変動が共に伝わり難くなるので、両方の静圧と差圧の変動値が小さくなる。
【0034】
このようにして、高圧側と低圧側の静圧および差圧の変動値を計算して正常時の値と比較することにより、どの導圧管が詰まっているかを特定することができる。変動値の演算は、例えば両方の静圧と差圧の値をそれぞれN個メモリに保存し、各々の最大値と最小値の差を変動値とすることによって行うことができる。
【0035】
なお、詰まりが激しいときは差圧の値が測定範囲を超える場合がある。この場合は出力Pdは振り切れた状態になり見かけ上変動値がゼロになるが、差圧は高圧側の静圧Pdと低圧側の静圧Plの差として求めることができるので、差圧の出力は振り切れるが、導圧管が詰まっているかどうかの判定は可能である。
【0036】
また、差圧の出力値Pdは正確な値が必要なので、演算式H(S、T)は信号SとTの高次項まで含む複雑な式になるが、静圧は導圧管の詰まり診断に用いるだけなので高い精度は必要ない。そのため、簡単な式を用いることができる。
【0037】
高速な制御を実現するためには、差圧出力Pdの更新周期を短くしなければならない。そのため、1更新周期内に演算式F、G、Hの全ての演算と導圧管の詰まりの診断を行うことが困難になる場合がある。このような場合には、高精度が必要ない静圧の演算を交互に行うことにより、演算の負荷を小さくすることができる。
【0038】
図5は更新周期が比較的長い場合の処理方式を示したものである。1更新周期内に演算式F、G、Hの演算と導圧管の詰まりの診断の全てを行う。図6は更新周期が短い場合の処理方式である。最初の周期で差圧の演算式Hの演算処理と高圧側静圧の演算式Fの演算処理を行い、次の周期で差圧の演算式Hの演算処理、低圧側静圧の演算式Gの演算処理と導圧管の詰まり判定の診断処理を行う。
【0039】
すなわち、図6の処理では静圧の演算式の演算処理を交互に行うことによって、演算の負荷を小さくしている。導圧管の詰まりが急激に発生することはほとんどないので、このように静圧演算の処理および詰まりの診断を2周期単位で行っても、実用上問題になることはほとんどない。なお、3周期以上の単位で行うようにしてもよい。
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば、次の効果が期待できる。
請求項1記載の発明によれば、薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップと、この歪み検出素子の出力が入力される変換部とを有し、この変換部は前記シリコンチップの表および裏に圧力を印加したときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにした。
【0040】
1つのセンサで差圧と静圧の両方を同時に測定できるという効果がある。また、シリコンチップを用いているので半導体プロセスを使用することができ、かつ半導体プロセスを用いて容易に歪み検出素子を作り込むことができるという効果もある。
【0041】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにした。検出部の構造が変わっても、係数を変えるだけで同じ式が使えるので、汎用性が高くなるという効果がある。
【0042】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴とした。周波数の変化で歪みを測定することができるので、信号処理が容易になるという効果がある。また、半導体プロセスでシリコンチップ内に作り込むことができるという効果もある。
【0043】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴とした。半導体プロセスで容易に作成することができるという効果がある。
【0044】
請求項5記載の発明によれば、圧力が印加される一対のダイヤフラムと、このダイヤフラムに印加された圧力が入力される差圧・圧力検出部と、この差圧・圧力検出部の出力が入力される変換部とを有し、前記差圧・圧力検出部は薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップで構成され、前記変換部は前記シリコンチップの表および裏に前記ダイヤフラムに印加される圧力が導かれたときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を演算し、この差圧の値を出力すると共に、前記演算した圧力の値と差圧の値の変動から前記ダイヤフラムに圧力を導く導圧管が詰まっているかどうかの診断を行うようにした。
【0045】
差圧の測定だけでなく、導圧管の詰まりをも検出することができるという効果がある。また、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。さらに、測定値の変動幅の大きさで詰まりを診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。
【0046】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明において、前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにした。検出部の構造が変わっても、係数を変えるだけで同じ式が使えるので、汎用性が高くなるという効果がある。
【0047】
請求項7記載の発明によれば、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴とした。周波数の変化で歪みを測定することができるので、信号処理が容易になるという効果がある。また、半導体プロセスでシリコンチップ内に作り込むことができるという効果もある。
【0048】
請求項8記載の発明によれば、請求項5または請求項6記載の発明において、前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴とした。半導体プロセスで容易に作成することができるという効果がある。
【0049】
請求項9記載の発明によれば、請求項5ないし請求項8いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち高圧側の導圧管が詰まったと診断するようにした。
【0050】
高圧側の導圧管のが詰まったかどうかを診断できるという効果がある。また、変動幅の大きさで診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。さらに、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。
【0051】
請求項10記載の発明によれば、請求項5ないし請求項9いずれかに記載の発明において、前記変換部は、低圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、高圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち低圧側の導圧管が詰まったと診断するようにした。
【0052】
低圧側の導圧管が詰まったかどうかを診断できるという効果がある。また、変動幅の大きさで診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。さらに、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。
【0053】
請求項11記載の発明によれば、請求項5ないし請求項10いずれかに記載の発明において、前記変換部は、高圧側の圧力の変動値、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値のいずれも正常時の値より小さいときに、前記導圧管のうち高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まったと診断するようにした。
【0054】
両方の導圧管が詰まったかどうかを診断できるという効果がある。また、変動幅の大きさで診断するようにしたので、プロセスの状態に影響されず正確に診断できるという効果もある。さらに、単一の素子で差圧と静圧の両方を測定できる素子を使用したので、構成が簡単になるという効果もある。
【0055】
請求項12記載の発明によれば、請求項5ないし請求項11いずれかに記載の発明において、前記変換部は、前記歪み検出素子の出力から圧力を求める演算および導圧管が詰まっているかどうかの診断を間欠的に行うようにした。演算の負荷が小さくなるので測定周期を短くすることができ、差圧を高速に測定できるという効果がある。また、より低速の演算処理装置を用いることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図3】入力圧力と演算結果の関係を示す表である。
【図4】導圧管の詰まり判定の基準を示す表である。
【図5】1測定周期の処理を示す表である。
【図6】1測定周期の処理を示す表である。
【図7】差圧伝送器の構成図である。
【図8】従来の差圧検出部の構成である。
【図9】導圧管の詰まりを説明するための図である。
【符号の説明】
1 シリコンチップ
11 薄肉部
12 第1のセンサ
13 第2のセンサ
2 変換部
31,32 ダイヤフラム
82 導圧管
Claims (12)
- その一部に薄肉部が形成され、この薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップと、この歪み検出素子の出力が入力される変換部とを有し、この変換部は前記シリコンチップの表および裏に圧力を印加したときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたことを特徴とする差圧・圧力検出器。
- 前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたことを特徴とする請求項1記載の差圧・圧力検出器。
- 前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の差圧・圧力検出器。
- 前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の差圧・圧力検出器。
- 圧力が印加される一対のダイヤフラムと、このダイヤフラムに印加された圧力が入力される差圧・圧力検出部と、この差圧・圧力検出部の出力が入力される変換部とを有し、
前記差圧・圧力検出部にはその一部に薄肉部が形成され、この薄肉部のほぼ中央および周辺に歪み検出素子が配置されたシリコンチップで構成され、前記変換部は前記シリコンチップの表および裏に前記ダイヤフラムに印加される圧力が導かれたときの前記歪み検出素子の出力から前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を演算し、この差圧の値を出力すると共に、前記演算した圧力の値と差圧の値の変動から前記ダイヤフラムに圧力を導く導圧管が詰まっているかどうかの診断を行うようにしたことを特徴とする差圧伝送器。 - 前記変換部は、入力された前記歪み検出素子の出力値を変数とする多項式により、前記シリコンチップの表および裏に印加された圧力およびこれらの圧力の差圧を求めるようにしたことを特徴とする請求項5記載の差圧伝送器。
- 前記歪み検出素子は、一定の張力を与えられた振動子であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の差圧伝送器。
- 前記歪み検出素子は、不純物を拡散させた半導体歪みゲージであることを特徴とする請求項5または請求項6記載の差圧伝送器。
- 前記変換部は、高圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち高圧側の導圧管が詰まったと診断するようにしたことを特徴とする請求項5ないし請求項8いずれかに記載の差圧伝送器。
- 前記変換部は、低圧側の圧力の変動値が正常時より小さく、高圧側の圧力の変動値および差圧の変動値が正常時の値に近い値であるときに、前記導圧管のうち低圧側の導圧管が詰まったと診断するようにしたことを特徴とする請求項5ないし請求項9いずれかに記載の差圧伝送器。
- 前記変換部は、高圧側の圧力の変動値、低圧側の圧力の変動値および差圧の変動値のいずれも正常時の値より小さいときに、前記導圧管のうち高圧側と低圧側の両方の導圧管が詰まったと診断するようにしたことを特徴とする請求項5ないし請求項10いずれかに記載の差圧伝送器。
- 前記変換部は、前記歪み検出素子の出力から圧力を求める演算および導圧管が詰まっているかどうかの診断を間欠的に行うようにしたことを特徴とする請求項5ないし請求項11いずれかに記載の差圧伝送器。
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-
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