JP2004142974A - 糞尿処理用簡易貯蔵施設および糞尿処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】家畜の堆積糞尿の堆肥化時に、れき汁の排出と良好な堆肥としての熟成とが低コストで容易かつ確実に行える糞尿処理用簡易貯蔵施設の提供。
【解決手段】糞尿処理用簡易貯蔵施設1は、糞尿堆積場所に敷き詰める遮水シート3と、遮水シート3上面に形成して糞尿を堆積させる床部4と、床部4上の堆積糞尿5に被せる被覆シート6とを備える。遮水シート3と被覆シート6とは堆積糞尿5の外周で互いの周縁部を着脱自在に密着して筒状に一体化し、被覆シート6は空気圧で堆積糞尿5上方に展張できるようにする。そして、被覆シート6を堆積糞尿5上方に展張し、堆積糞尿5の処理作業を被覆シート6に煩わされず容易に行えるようにする。また、遮水シート3と被覆シート6との間への圧縮空気13の注入状態を保ち、れき汁が抜けた後も空気が堆積糞尿5内に送り込めるようにし、好気性発酵として、よりよい熟成条件を生み出す。
【選択図】 図1
【解決手段】糞尿処理用簡易貯蔵施設1は、糞尿堆積場所に敷き詰める遮水シート3と、遮水シート3上面に形成して糞尿を堆積させる床部4と、床部4上の堆積糞尿5に被せる被覆シート6とを備える。遮水シート3と被覆シート6とは堆積糞尿5の外周で互いの周縁部を着脱自在に密着して筒状に一体化し、被覆シート6は空気圧で堆積糞尿5上方に展張できるようにする。そして、被覆シート6を堆積糞尿5上方に展張し、堆積糞尿5の処理作業を被覆シート6に煩わされず容易に行えるようにする。また、遮水シート3と被覆シート6との間への圧縮空気13の注入状態を保ち、れき汁が抜けた後も空気が堆積糞尿5内に送り込めるようにし、好気性発酵として、よりよい熟成条件を生み出す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、家畜の糞尿を堆積して堆肥化するための糞尿処理施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
糞尿処理施設としては、処理槽や攪拌ブレードなどの処理装置を備える大規模施設(例えば、特許文献1参照)と、シートを利用して処理を行う簡易施設(例えば、非特許文献1参照)とが一般に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特公昭61−58240号公報
【特許文献2】
特公平7−88267号公報
【特許文献3】
特開2002−211994号公報
【特許文献4】
実用新案登録第3081873号公報
【非特許文献1】
「簡易ふん尿堆積場の造成方法」(北海道農業試験会議資料)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の処理装置を備える大規模施設では、例えば、建設・施工費用が高額となり、経営面での畜産農家の大きな負担になっている。
【0005】
これに対して、前述した従来のシートを利用した簡易施設では、例えば、底部シートの上面に形成した床部に糞尿を堆積すると共に、その堆積糞尿の上面に上部シートを被せるというようなものであり、小規模の畜産農家でも自力で低コストで建設・施工できる。
【0006】
しかし、このシートを利用した簡易施設では、堆積糞尿に含有しているれき汁の排出を効率よく行うことができないものであった。
【0007】
例えば、前述した従来のシートを利用した簡易施設では、一定期間の貯蔵で自然に流れ出てくるのを待つことと共に、糞尿を堆積させる床部(排出管を設ける床部)の構造に問題があることから、れき汁の排出を効率よく行うことができずそのれき汁の排出処理に苦慮していた。
【0008】
一方、堆積糞尿の堆肥としての熟成は、堆積糞尿内への雨水侵入を阻止する等の熟成状態の維持と共に、堆積糞尿内における発酵菌の増殖を促すことが重要になる。
【0009】
この堆積糞尿の熟成状態の維持は堆積糞尿の上面をシートで覆うことにより対処できるが、発酵菌の増殖を促すためには堆積糞尿の内部に空気を送り込まなければうまくいかない。
【0010】
ところが、シートで堆積糞尿の上面を覆うシート利用の簡易施設では、堆積糞尿が密封状態となって堆積糞尿内への空気の供給を行えなくなり、良好な堆肥としての熟成がうまくいかないことになる。
【0011】
そのため、前述した従来のシートを利用した簡易施設では、例えば、熟成期間において、所定回数、トランター等で堆積糞尿を切り返し、堆積糞尿内に空気を供給している。
【0012】
この切り返しは堆積糞尿の上面に被せたシートを全て剥がさないと実施できないものであると共に、この切り返しの終了後は再び堆積糞尿の上面にシートを被せる必要がある。
【0013】
このような切り返しに伴う一連の作業は、かなり頻繁に行う必要があり、少人数の酪農家ではかなりの負担となっていた。
【0014】
なお、上面をシートで覆って熟成状態を維持することは、堆積糞尿の上面にシートを被せて空気を遮断してしまうので、嫌気性発酵となりやすく、良好な堆肥としての熟成が困難でもあった。
【0015】
この発明は前述した事情に鑑みて創案されたもので、その目的は家畜の糞尿を堆積して堆肥化する時に、低コストで、れき汁の排出と良好な堆肥としての熟成とが容易かつ確実に行える糞尿処理用簡易貯蔵施設を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明では、低コストで建設・施工が行えるシート利用で糞尿処理が行える簡易施設を用いることにする。
【0017】
即ち、この発明での糞尿処理用簡易貯蔵施設は、糞尿の堆積場所に敷き詰める遮水シートと、この遮水シートの上面に形成して糞尿を堆積させる床部と、この床部に堆積させた堆積糞尿の上面に被せる被覆シートとを備える。
【0018】
そして、遮水シートと被覆シートとは、堆積糞尿の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化している。また、被覆シートは、空気圧によって、堆積糞尿の上方に展張できるように構成している。
【0019】
このようなこの発明によれば、堆積糞尿の上面に被せる被覆シートを、空気圧によって、堆積糞尿の上方に展張できるので、堆積糞尿の切り返しなどの処理作業を被覆シート(剥がすや被せる)に煩わされることなく容易に行える。
【0020】
この被覆シートを空気圧で堆積糞尿の上方に展張させる手段としては、例えば、被覆シートに設けた空気注入部に空気を注入するもの(請求項2の発明)と、筒状に一体化した遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注排出できる構成(請求項3の発明)にして被覆シートと遮水シートとの間に圧縮空気を注入するもの(請求項4の発明)とが考えられる。
【0021】
なお、筒状に一体化した遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注排出できる構成(請求項3の発明)にして被覆シートと遮水シートとの間に圧縮空気を注入し、被覆シートを堆積糞尿の上方に展張させる場合(請求項4の発明)では、圧縮空気を注入した状態を保てば、両シート内の堆積糞尿に直接、空気圧がかかり、堆積糞尿内からのれき汁の排出を促進させることができる。
【0022】
しかも、この圧縮空気の注入状態を保てば、堆積糞尿内かられき汁が抜けた後も、空気が堆積糞尿内に送り込まれるため、好気性発酵になって、堆肥としてのよりよい熟成条件を生み出すことができる。
【0023】
れき汁の排出をより積極的に促進させるには、遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気の注入する共に、堆積糞尿の上面の全面に圧力用シートを被せること(請求項5の発明)が考えられる。
【0024】
このような構成(請求項5の発明)では、圧力用シートで圧縮空気の空気圧を受けて、堆積糞尿を絞るようにして押圧することができ、より確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【0025】
また、れき汁の排出をより積極的に促進させるには、被覆シートを前記堆積糞尿の上方にテント状に展張すると共に、その被覆シートの堆積糞尿側に圧力用シートを被覆シートとで袋状となるように設けて、その圧力用シートと被服シートとの間に圧縮空気を注入すること(請求項6の発明)が考えられる。
【0026】
このような構成(請求項6の発明)では、圧力用シートを堆積糞尿の上面の全面に被せる作業が必要なく、より簡単で確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設を図示する実施形態によって説明する。
【0028】
家畜の糞尿2を堆積して堆肥化する糞尿処理用簡易貯蔵施設1(図1〜図5参照)は、糞尿2の堆積場所に敷き詰める遮水シート3と、この遮水シート3の上面に形成して糞尿2を堆積させる床部4と、この床部4に堆積させた堆積糞尿5の上面に被せる被覆シート6とを備えている。
【0029】
そして、この糞尿処理用簡易貯蔵施設1の遮水シート3と被覆シート6とは、堆積糞尿5の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化している。また、被覆シート6は、空気圧によって、堆積糞尿5の上方に展張できるように構成している。
【0030】
この実施形態での被覆シート6は、その所定箇所に設けた空気注入部7に空気を注入することで、例えば、テント状として、堆積糞尿5の上方に展張できるように構成している。
【0031】
この実施形態での筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6とは、被覆シート6が堆積糞尿5の上方に展張した時に、図2に示すように、全体として略かまぼこ形状となるように構成されている。
【0032】
この実施形態での空気注入部7は、図1に示すように、被覆シート6の外面に沿って設けており、空気注入時にアーチ状となるように構成している。そして、この空気注入部7は、図2に示すように、遮水シート3とで筒状に一体化した被覆シート6に、筒状の軸方向に一定間隔で複数設けている。
【0033】
なお、この空気注入部7としては、図3に示すように、空気の注入時に、堆積糞尿5の両側に柱状に立設するものも考えられる。この場合の被覆シート6は両側の柱状の空気注入部7の間に平面状に展張されることになる。
【0034】
また、この空気注入部7は、この実施形態では被覆シート6に直接設けているが、図4に示すように、空気注入部7を独立した部材とし、この空気注入部7に吊るされるようにして設けることも考えられる。
【0035】
さらに、この空気注入部7は、この実施形態では被覆シート6の外面に沿って設けているが、図5に示すように、被覆シート6の内面に沿って設けるものも考えられる。このように、被覆シート6の内面、即ち、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との内部に設けることで、空気の注排出を繰り返すことから劣化しやすい空気注入部7を保護することができる。
【0036】
この実施形態での床部4は、糞尿2を堆積させる上面側の上部4aを透水係数の比較的低い材料8で構成していると共に、堆積糞尿5のれき汁の排出管9を設置する下部4bを透水係数の高い材料10で構成している。
【0037】
そして、この床部4の下部4bは、最深部に設けられている排出管9と、この排出管9よりやや高いレベルまで敷き詰めた切り込み砕石やもみ殻などの透水係数の高い材料10とで構成している。また、床部4の上部4aは、砂質土や山砂などの透水係数の比較的低い材料8で構成している。
【0038】
なお、遮水シート3と被覆シート6との筒状の一体化は、例えば、チャック等で着脱自在に密着して行うことや、溶着等で完全に密着して行うことが考えられる。但し、チャック等で着脱自在に密着して行う方が、糞尿処理用簡易貯蔵施設1の施工が容易に行える。
【0039】
また、図2において、符号16は、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との筒状軸方向の端部を塞いでいる端部シートである。この端部シート16は、チャック等で被覆シート6に着脱自在に密着しており、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との筒状軸方向の端部を密閉できると共に、後述する切り返し作業を行うトランター11などの出入りを容易にしている。
【0040】
このような構成からなるこの発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1を使用して、家畜の糞尿2を堆積して堆肥化するには、次に述べるようにして行う。
【0041】
先ず、家畜の糞尿2を堆積して堆肥化する場所に遮水シート3を敷き詰めると共に、この遮水シート3の上面に排出管9を配置し、その周辺を砕石等の透水係数の高い材料10で覆い、さらに、その上を山砂等の透水係数の低い材料8で被覆した構造の床部4を構築する。
【0042】
次に、床部4の上面に糞尿2を堆積すると共に、この堆積糞尿5の上面に被覆シート6を被せる。そして、この被覆シート6と遮水シート3とを、堆積糞尿5の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化する。
【0043】
次に、堆積糞尿5の上面に被覆シート6を被せた状態で一定期間貯蔵して、堆積糞尿5を高い温度に維持し堆肥として熟成させることになる。この間に、自然に堆積糞尿5に含まれるれき汁が自然に流れ下って排出管9に集まり、外部に排出される。
【0044】
このれき汁の排出は、排出管9を設けた床部4が、透水係数の低い材料8の上部4aと、透水係数の高い材料10の下部4bとから構成されているので、排出管9の近傍に濾過膜が発生して排出を阻害するようなことがなく、確実に行うことができる。
【0045】
次に、一定期間をおいて、トランター11(図2参照)等で堆積糞尿5を切り返しその内部に空気を供給することにより、堆積糞尿5における発酵菌の増殖させて、堆肥としての熟成を行う。
【0046】
この切り返し作業は、空気注入部7に空気を注入して、堆積糞尿5の上面に被せた被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張することにより、被覆シート6(シートを剥がすや被せる)に煩わされることなく容易に行うことができる。
【0047】
この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の切り返し作業時での優れた効果についても詳述する。
【0048】
従来の一般的なシートで上面を覆ったシート式簡易糞尿堆積方式では、堆積糞尿を切り返すなどの作業時に、シートを全て剥がないと作業が出来ない。これは少人数の畜産農家などではかなりの負担となる。
【0049】
そのため、堆積糞尿を切り返し作業を行うときなど、シートを剥がすことなくシートをトラクター作業に支障の無い高さまで上昇させることができれば、小規模畜産農家にとって非常な能率向上になる。
【0050】
そこで、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1では、例えば、図1または図3に示すように、被覆シート6の上面またはサイド面に細長いバルーンまたはシート筒状の空気注入部7を設け、この空気注入部7の内部に空気を圧入して膨らませることにより、空気注入部7がアーチ状または支柱状になって、被覆シート6を切り返し作業に支障のない高さまで簡単に持ち上げることが出来る。
【0051】
こうした構成とすることにより、通常時には空気注入部7から空気を抜いて被覆シート6を堆積糞尿5の上面にかけた状態にし、堆積糞尿5の上面を覆って処理状態を維持すると共に、強風時に被覆シート6が巻き上げ等により破損するようなことを少なくする。
【0052】
また、堆積糞尿の切り返し作業時にはエアーポンプ等により空気注入部7に空気を入れることで、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張した持ち上がった状態にして、作業効率の向上を図ることができる。
【0053】
このように、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1では、前述した各作業を適宜行うことにより、糞尿2を堆積しての堆肥化が行える。
【0054】
なお、図1〜図5において、符号12は堆積糞尿5の上方に展張した被覆シート6の支持ロープである。
【0055】
図6は、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示すものである。この実施形態では、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との間に、圧縮空気13を注排出できるように構成していると共に、遮水シート3と被覆シート6との間に圧縮空気13を注入した時に、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張できるように構成している。
【0056】
このように、この遮水シート3と被覆シート6との間に圧縮空気13を注入できるようにすれば、前述した実施形態のように被覆シート6に空気注入部7を設けなくても、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張することができる。この圧縮空気13の注排出手段は図示しないが、複数の手段が考えられる。
【0057】
また、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との間に、圧縮空気13を注入できることは、堆積糞尿5におけるれき汁の排出および発酵菌の増殖を促進させて、糞尿2を堆積しての堆肥化の期間を短縮できるようになる。
【0058】
詳述すると、れき汁排出の促進に関しては、遮水シート3と被覆シート6との間に注入した圧縮空気13の空気圧により、堆積糞尿5に含まれるれき汁の排出管9からの排出を効率よく短期間で行うことができるようになる。
【0059】
従って、図6に示したように、遮水シート3と被覆シート6との間に注入した圧縮空気13で、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張する構成では、被覆シート6の展張とれき汁の排出とを、簡単な構造で効率よく確実に行うことができる。
【0060】
このれき汁排出の促進に関しては、図7に示すように、遮水シート3と被覆シート6との間に圧縮空気13の注入する共に、堆積糞尿5の上面の全面に圧力用シート14を被せる構成も考えられる。
【0061】
また、図8に示すように、被覆シート6を堆積糞尿の上方にテント状に展張すると共に、その被覆シート6の堆積糞尿5側に圧力用シート14を被覆シート6とで袋状となるように設けて、その圧力用シート14と被覆シート6との間に圧縮空気13を注排出できるようにした構成も考えられる。
【0062】
このような図7および図8に示した構成によれば、堆積糞尿5の上面に被せた圧力用シート14、または袋状とした両シート6,14の間に圧縮空気13を注入して膨らませた時の圧力用シート14とにより、堆積糞尿5の全体を圧縮圧迫して、堆積糞尿5からから発生するれき汁を搾り取ることができる。
【0063】
次に、発酵菌の増殖の促進に関して述べる。堆積糞尿5の堆肥としての熟成には、発酵菌の増殖を促すために空気を送り込まなければうまくいかない。従来の一般的なシートで上面を覆ったシート式簡易糞尿堆積方式では密封状態となり、空気の堆積糞尿5内への供給が出来ず堆肥としての熟成はうまくいかない。
【0064】
そこで、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1のように、堆積糞尿5の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化した被覆シート6と遮水シート3との中に糞尿2を堆積することにより、被覆シート6と遮水シート3との間に圧縮空気13を注入すれば、堆積糞尿5を通して床部4の排出管9に空気が通ろうとする力を簡単に発生させることができる。
【0065】
この時に前述のれき汁排出の促進によって堆積糞尿5かられき汁が抜けていれば、空気はれき汁が排出された空隙をとおり、床部4の排出管9を通って外部へ排出される。当然に堆積糞尿5内に大量の空気が供給されて、堆積糞尿5は空気送り込みにより発酵熟化が促進されることになる。
【0066】
なお、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との間に、圧縮空気13を注排出できるようにする構成は、前述した図1〜図5に示した実施形態にも採用できる。従って、図1〜図5に示した実施形態でも、堆積糞尿5におけるれき汁の排出および発酵菌の増殖を促進させて、糞尿2を堆積しての堆肥化の期間を短縮できる。
【0067】
また、図6における符号17は、堆積糞尿5の両側の部分とシートとの間から圧縮空気13が漏れるのを阻止して気密を保持する気密用補助シートである。
【0068】
図9は、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1で用いた、れき汁排出の促進手段の応用状態を示している。ここでは、一般のコンクリート製堆肥盤において、堆積糞尿5の上に袋状シート15を設置して膨らませることで、れき汁の多い家畜の糞尿を簡単に搾り取ることができるようにしている。
【0069】
図10は、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示すものである。ここでの糞尿処理用簡易貯蔵施設1は、堆積糞尿5の上面に被せる被覆シート6に、空気の注排出ができる空気注入部7を設けると共に、その空気注入部7に空気を注入することで、被覆シート6を堆積糞尿の上方に展張できるように構成している。
【0070】
即ち、この実施形態は、被覆シート6を単独で用いる場合を想定したもので、例えば、図10に示すように、周縁部を地中に埋設して堆積糞尿5の上面に被せた被覆シート6を、空気注入部7への空気注入で、堆積糞尿の上方に展張できるように構成して、非常に簡単に糞尿処理用簡易貯蔵施設1を構築できるようにしたものである。
【0071】
【発明の効果】
この発明によれば、堆積糞尿の上面に被せる被覆シートを、空気圧によって、堆積糞尿の上方に展張できるので、堆積糞尿の切り返し作業などの処理作業を被覆シートに煩わされることなく容易に行える。
【0072】
また、筒状に一体化した遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注排出できる構成にして被覆シートと遮水シートとの間に圧縮空気を注入し、被覆シートを堆積糞尿の上方に展張させる場合では、圧縮空気を注入した状態を保てば、両シート内の堆積糞尿に直接、空気圧がかかり、堆積糞尿内からのれき汁の排出を促進させることができる。
【0073】
しかも、この圧縮空気の注入状態を保てば、堆積糞尿内かられき汁が抜けた後も、空気が堆積糞尿内に送り込まれるため、好気性発酵になって、堆肥としてのよりよい熟成条件を生み出すことができる。
【0074】
さらに、遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気の注入する共に、堆積糞尿の上面の全面に圧力用シートを被せれば、圧力用シートが圧縮空気の空気圧を受けて、堆積糞尿を絞るようにして押圧することができ、より確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【0075】
また、被覆シートを堆積糞尿の上方に展張すると共に、その被覆シートの堆積糞尿側に圧力用シートを被覆シートとで袋状となるように設けて、その圧力用シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注入すれば、圧力用シートを堆積糞尿の上面の全面に被せる作業が必要なく、より簡単確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1を示す概略図である。
【図2】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1を示す概略斜視図である。
【図3】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1における空気注入部の別形態を示す概略図である。
【図4】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1における空気注入部の別形態を示す概略図である。
【図5】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1における空気注入部の別形態を示す概略図である。
【図6】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【図7】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【図8】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【図9】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の応用形態を示す概略図である。
【図10】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…糞尿処理用簡易貯蔵施設、2…糞尿、3…遮水シート、4…床部、4a…上部、4b…下部、5…堆積糞尿、6…被覆シート、7…空気注入部、8…透水係数の低い材料、9…排出管、10…透水係数の高い材料、11…トランター、12…支持ロープ、13…圧縮空気、14…圧力用シート、15…袋状シート、16…端部シート、17…気密用補助シート。
【発明の属する技術分野】
この発明は、家畜の糞尿を堆積して堆肥化するための糞尿処理施設に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
糞尿処理施設としては、処理槽や攪拌ブレードなどの処理装置を備える大規模施設(例えば、特許文献1参照)と、シートを利用して処理を行う簡易施設(例えば、非特許文献1参照)とが一般に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特公昭61−58240号公報
【特許文献2】
特公平7−88267号公報
【特許文献3】
特開2002−211994号公報
【特許文献4】
実用新案登録第3081873号公報
【非特許文献1】
「簡易ふん尿堆積場の造成方法」(北海道農業試験会議資料)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の処理装置を備える大規模施設では、例えば、建設・施工費用が高額となり、経営面での畜産農家の大きな負担になっている。
【0005】
これに対して、前述した従来のシートを利用した簡易施設では、例えば、底部シートの上面に形成した床部に糞尿を堆積すると共に、その堆積糞尿の上面に上部シートを被せるというようなものであり、小規模の畜産農家でも自力で低コストで建設・施工できる。
【0006】
しかし、このシートを利用した簡易施設では、堆積糞尿に含有しているれき汁の排出を効率よく行うことができないものであった。
【0007】
例えば、前述した従来のシートを利用した簡易施設では、一定期間の貯蔵で自然に流れ出てくるのを待つことと共に、糞尿を堆積させる床部(排出管を設ける床部)の構造に問題があることから、れき汁の排出を効率よく行うことができずそのれき汁の排出処理に苦慮していた。
【0008】
一方、堆積糞尿の堆肥としての熟成は、堆積糞尿内への雨水侵入を阻止する等の熟成状態の維持と共に、堆積糞尿内における発酵菌の増殖を促すことが重要になる。
【0009】
この堆積糞尿の熟成状態の維持は堆積糞尿の上面をシートで覆うことにより対処できるが、発酵菌の増殖を促すためには堆積糞尿の内部に空気を送り込まなければうまくいかない。
【0010】
ところが、シートで堆積糞尿の上面を覆うシート利用の簡易施設では、堆積糞尿が密封状態となって堆積糞尿内への空気の供給を行えなくなり、良好な堆肥としての熟成がうまくいかないことになる。
【0011】
そのため、前述した従来のシートを利用した簡易施設では、例えば、熟成期間において、所定回数、トランター等で堆積糞尿を切り返し、堆積糞尿内に空気を供給している。
【0012】
この切り返しは堆積糞尿の上面に被せたシートを全て剥がさないと実施できないものであると共に、この切り返しの終了後は再び堆積糞尿の上面にシートを被せる必要がある。
【0013】
このような切り返しに伴う一連の作業は、かなり頻繁に行う必要があり、少人数の酪農家ではかなりの負担となっていた。
【0014】
なお、上面をシートで覆って熟成状態を維持することは、堆積糞尿の上面にシートを被せて空気を遮断してしまうので、嫌気性発酵となりやすく、良好な堆肥としての熟成が困難でもあった。
【0015】
この発明は前述した事情に鑑みて創案されたもので、その目的は家畜の糞尿を堆積して堆肥化する時に、低コストで、れき汁の排出と良好な堆肥としての熟成とが容易かつ確実に行える糞尿処理用簡易貯蔵施設を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明では、低コストで建設・施工が行えるシート利用で糞尿処理が行える簡易施設を用いることにする。
【0017】
即ち、この発明での糞尿処理用簡易貯蔵施設は、糞尿の堆積場所に敷き詰める遮水シートと、この遮水シートの上面に形成して糞尿を堆積させる床部と、この床部に堆積させた堆積糞尿の上面に被せる被覆シートとを備える。
【0018】
そして、遮水シートと被覆シートとは、堆積糞尿の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化している。また、被覆シートは、空気圧によって、堆積糞尿の上方に展張できるように構成している。
【0019】
このようなこの発明によれば、堆積糞尿の上面に被せる被覆シートを、空気圧によって、堆積糞尿の上方に展張できるので、堆積糞尿の切り返しなどの処理作業を被覆シート(剥がすや被せる)に煩わされることなく容易に行える。
【0020】
この被覆シートを空気圧で堆積糞尿の上方に展張させる手段としては、例えば、被覆シートに設けた空気注入部に空気を注入するもの(請求項2の発明)と、筒状に一体化した遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注排出できる構成(請求項3の発明)にして被覆シートと遮水シートとの間に圧縮空気を注入するもの(請求項4の発明)とが考えられる。
【0021】
なお、筒状に一体化した遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注排出できる構成(請求項3の発明)にして被覆シートと遮水シートとの間に圧縮空気を注入し、被覆シートを堆積糞尿の上方に展張させる場合(請求項4の発明)では、圧縮空気を注入した状態を保てば、両シート内の堆積糞尿に直接、空気圧がかかり、堆積糞尿内からのれき汁の排出を促進させることができる。
【0022】
しかも、この圧縮空気の注入状態を保てば、堆積糞尿内かられき汁が抜けた後も、空気が堆積糞尿内に送り込まれるため、好気性発酵になって、堆肥としてのよりよい熟成条件を生み出すことができる。
【0023】
れき汁の排出をより積極的に促進させるには、遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気の注入する共に、堆積糞尿の上面の全面に圧力用シートを被せること(請求項5の発明)が考えられる。
【0024】
このような構成(請求項5の発明)では、圧力用シートで圧縮空気の空気圧を受けて、堆積糞尿を絞るようにして押圧することができ、より確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【0025】
また、れき汁の排出をより積極的に促進させるには、被覆シートを前記堆積糞尿の上方にテント状に展張すると共に、その被覆シートの堆積糞尿側に圧力用シートを被覆シートとで袋状となるように設けて、その圧力用シートと被服シートとの間に圧縮空気を注入すること(請求項6の発明)が考えられる。
【0026】
このような構成(請求項6の発明)では、圧力用シートを堆積糞尿の上面の全面に被せる作業が必要なく、より簡単で確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設を図示する実施形態によって説明する。
【0028】
家畜の糞尿2を堆積して堆肥化する糞尿処理用簡易貯蔵施設1(図1〜図5参照)は、糞尿2の堆積場所に敷き詰める遮水シート3と、この遮水シート3の上面に形成して糞尿2を堆積させる床部4と、この床部4に堆積させた堆積糞尿5の上面に被せる被覆シート6とを備えている。
【0029】
そして、この糞尿処理用簡易貯蔵施設1の遮水シート3と被覆シート6とは、堆積糞尿5の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化している。また、被覆シート6は、空気圧によって、堆積糞尿5の上方に展張できるように構成している。
【0030】
この実施形態での被覆シート6は、その所定箇所に設けた空気注入部7に空気を注入することで、例えば、テント状として、堆積糞尿5の上方に展張できるように構成している。
【0031】
この実施形態での筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6とは、被覆シート6が堆積糞尿5の上方に展張した時に、図2に示すように、全体として略かまぼこ形状となるように構成されている。
【0032】
この実施形態での空気注入部7は、図1に示すように、被覆シート6の外面に沿って設けており、空気注入時にアーチ状となるように構成している。そして、この空気注入部7は、図2に示すように、遮水シート3とで筒状に一体化した被覆シート6に、筒状の軸方向に一定間隔で複数設けている。
【0033】
なお、この空気注入部7としては、図3に示すように、空気の注入時に、堆積糞尿5の両側に柱状に立設するものも考えられる。この場合の被覆シート6は両側の柱状の空気注入部7の間に平面状に展張されることになる。
【0034】
また、この空気注入部7は、この実施形態では被覆シート6に直接設けているが、図4に示すように、空気注入部7を独立した部材とし、この空気注入部7に吊るされるようにして設けることも考えられる。
【0035】
さらに、この空気注入部7は、この実施形態では被覆シート6の外面に沿って設けているが、図5に示すように、被覆シート6の内面に沿って設けるものも考えられる。このように、被覆シート6の内面、即ち、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との内部に設けることで、空気の注排出を繰り返すことから劣化しやすい空気注入部7を保護することができる。
【0036】
この実施形態での床部4は、糞尿2を堆積させる上面側の上部4aを透水係数の比較的低い材料8で構成していると共に、堆積糞尿5のれき汁の排出管9を設置する下部4bを透水係数の高い材料10で構成している。
【0037】
そして、この床部4の下部4bは、最深部に設けられている排出管9と、この排出管9よりやや高いレベルまで敷き詰めた切り込み砕石やもみ殻などの透水係数の高い材料10とで構成している。また、床部4の上部4aは、砂質土や山砂などの透水係数の比較的低い材料8で構成している。
【0038】
なお、遮水シート3と被覆シート6との筒状の一体化は、例えば、チャック等で着脱自在に密着して行うことや、溶着等で完全に密着して行うことが考えられる。但し、チャック等で着脱自在に密着して行う方が、糞尿処理用簡易貯蔵施設1の施工が容易に行える。
【0039】
また、図2において、符号16は、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との筒状軸方向の端部を塞いでいる端部シートである。この端部シート16は、チャック等で被覆シート6に着脱自在に密着しており、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との筒状軸方向の端部を密閉できると共に、後述する切り返し作業を行うトランター11などの出入りを容易にしている。
【0040】
このような構成からなるこの発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1を使用して、家畜の糞尿2を堆積して堆肥化するには、次に述べるようにして行う。
【0041】
先ず、家畜の糞尿2を堆積して堆肥化する場所に遮水シート3を敷き詰めると共に、この遮水シート3の上面に排出管9を配置し、その周辺を砕石等の透水係数の高い材料10で覆い、さらに、その上を山砂等の透水係数の低い材料8で被覆した構造の床部4を構築する。
【0042】
次に、床部4の上面に糞尿2を堆積すると共に、この堆積糞尿5の上面に被覆シート6を被せる。そして、この被覆シート6と遮水シート3とを、堆積糞尿5の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化する。
【0043】
次に、堆積糞尿5の上面に被覆シート6を被せた状態で一定期間貯蔵して、堆積糞尿5を高い温度に維持し堆肥として熟成させることになる。この間に、自然に堆積糞尿5に含まれるれき汁が自然に流れ下って排出管9に集まり、外部に排出される。
【0044】
このれき汁の排出は、排出管9を設けた床部4が、透水係数の低い材料8の上部4aと、透水係数の高い材料10の下部4bとから構成されているので、排出管9の近傍に濾過膜が発生して排出を阻害するようなことがなく、確実に行うことができる。
【0045】
次に、一定期間をおいて、トランター11(図2参照)等で堆積糞尿5を切り返しその内部に空気を供給することにより、堆積糞尿5における発酵菌の増殖させて、堆肥としての熟成を行う。
【0046】
この切り返し作業は、空気注入部7に空気を注入して、堆積糞尿5の上面に被せた被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張することにより、被覆シート6(シートを剥がすや被せる)に煩わされることなく容易に行うことができる。
【0047】
この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の切り返し作業時での優れた効果についても詳述する。
【0048】
従来の一般的なシートで上面を覆ったシート式簡易糞尿堆積方式では、堆積糞尿を切り返すなどの作業時に、シートを全て剥がないと作業が出来ない。これは少人数の畜産農家などではかなりの負担となる。
【0049】
そのため、堆積糞尿を切り返し作業を行うときなど、シートを剥がすことなくシートをトラクター作業に支障の無い高さまで上昇させることができれば、小規模畜産農家にとって非常な能率向上になる。
【0050】
そこで、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1では、例えば、図1または図3に示すように、被覆シート6の上面またはサイド面に細長いバルーンまたはシート筒状の空気注入部7を設け、この空気注入部7の内部に空気を圧入して膨らませることにより、空気注入部7がアーチ状または支柱状になって、被覆シート6を切り返し作業に支障のない高さまで簡単に持ち上げることが出来る。
【0051】
こうした構成とすることにより、通常時には空気注入部7から空気を抜いて被覆シート6を堆積糞尿5の上面にかけた状態にし、堆積糞尿5の上面を覆って処理状態を維持すると共に、強風時に被覆シート6が巻き上げ等により破損するようなことを少なくする。
【0052】
また、堆積糞尿の切り返し作業時にはエアーポンプ等により空気注入部7に空気を入れることで、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張した持ち上がった状態にして、作業効率の向上を図ることができる。
【0053】
このように、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1では、前述した各作業を適宜行うことにより、糞尿2を堆積しての堆肥化が行える。
【0054】
なお、図1〜図5において、符号12は堆積糞尿5の上方に展張した被覆シート6の支持ロープである。
【0055】
図6は、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示すものである。この実施形態では、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との間に、圧縮空気13を注排出できるように構成していると共に、遮水シート3と被覆シート6との間に圧縮空気13を注入した時に、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張できるように構成している。
【0056】
このように、この遮水シート3と被覆シート6との間に圧縮空気13を注入できるようにすれば、前述した実施形態のように被覆シート6に空気注入部7を設けなくても、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張することができる。この圧縮空気13の注排出手段は図示しないが、複数の手段が考えられる。
【0057】
また、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との間に、圧縮空気13を注入できることは、堆積糞尿5におけるれき汁の排出および発酵菌の増殖を促進させて、糞尿2を堆積しての堆肥化の期間を短縮できるようになる。
【0058】
詳述すると、れき汁排出の促進に関しては、遮水シート3と被覆シート6との間に注入した圧縮空気13の空気圧により、堆積糞尿5に含まれるれき汁の排出管9からの排出を効率よく短期間で行うことができるようになる。
【0059】
従って、図6に示したように、遮水シート3と被覆シート6との間に注入した圧縮空気13で、被覆シート6を堆積糞尿5の上方に展張する構成では、被覆シート6の展張とれき汁の排出とを、簡単な構造で効率よく確実に行うことができる。
【0060】
このれき汁排出の促進に関しては、図7に示すように、遮水シート3と被覆シート6との間に圧縮空気13の注入する共に、堆積糞尿5の上面の全面に圧力用シート14を被せる構成も考えられる。
【0061】
また、図8に示すように、被覆シート6を堆積糞尿の上方にテント状に展張すると共に、その被覆シート6の堆積糞尿5側に圧力用シート14を被覆シート6とで袋状となるように設けて、その圧力用シート14と被覆シート6との間に圧縮空気13を注排出できるようにした構成も考えられる。
【0062】
このような図7および図8に示した構成によれば、堆積糞尿5の上面に被せた圧力用シート14、または袋状とした両シート6,14の間に圧縮空気13を注入して膨らませた時の圧力用シート14とにより、堆積糞尿5の全体を圧縮圧迫して、堆積糞尿5からから発生するれき汁を搾り取ることができる。
【0063】
次に、発酵菌の増殖の促進に関して述べる。堆積糞尿5の堆肥としての熟成には、発酵菌の増殖を促すために空気を送り込まなければうまくいかない。従来の一般的なシートで上面を覆ったシート式簡易糞尿堆積方式では密封状態となり、空気の堆積糞尿5内への供給が出来ず堆肥としての熟成はうまくいかない。
【0064】
そこで、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1のように、堆積糞尿5の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化した被覆シート6と遮水シート3との中に糞尿2を堆積することにより、被覆シート6と遮水シート3との間に圧縮空気13を注入すれば、堆積糞尿5を通して床部4の排出管9に空気が通ろうとする力を簡単に発生させることができる。
【0065】
この時に前述のれき汁排出の促進によって堆積糞尿5かられき汁が抜けていれば、空気はれき汁が排出された空隙をとおり、床部4の排出管9を通って外部へ排出される。当然に堆積糞尿5内に大量の空気が供給されて、堆積糞尿5は空気送り込みにより発酵熟化が促進されることになる。
【0066】
なお、筒状に一体化した遮水シート3と被覆シート6との間に、圧縮空気13を注排出できるようにする構成は、前述した図1〜図5に示した実施形態にも採用できる。従って、図1〜図5に示した実施形態でも、堆積糞尿5におけるれき汁の排出および発酵菌の増殖を促進させて、糞尿2を堆積しての堆肥化の期間を短縮できる。
【0067】
また、図6における符号17は、堆積糞尿5の両側の部分とシートとの間から圧縮空気13が漏れるのを阻止して気密を保持する気密用補助シートである。
【0068】
図9は、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1で用いた、れき汁排出の促進手段の応用状態を示している。ここでは、一般のコンクリート製堆肥盤において、堆積糞尿5の上に袋状シート15を設置して膨らませることで、れき汁の多い家畜の糞尿を簡単に搾り取ることができるようにしている。
【0069】
図10は、この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示すものである。ここでの糞尿処理用簡易貯蔵施設1は、堆積糞尿5の上面に被せる被覆シート6に、空気の注排出ができる空気注入部7を設けると共に、その空気注入部7に空気を注入することで、被覆シート6を堆積糞尿の上方に展張できるように構成している。
【0070】
即ち、この実施形態は、被覆シート6を単独で用いる場合を想定したもので、例えば、図10に示すように、周縁部を地中に埋設して堆積糞尿5の上面に被せた被覆シート6を、空気注入部7への空気注入で、堆積糞尿の上方に展張できるように構成して、非常に簡単に糞尿処理用簡易貯蔵施設1を構築できるようにしたものである。
【0071】
【発明の効果】
この発明によれば、堆積糞尿の上面に被せる被覆シートを、空気圧によって、堆積糞尿の上方に展張できるので、堆積糞尿の切り返し作業などの処理作業を被覆シートに煩わされることなく容易に行える。
【0072】
また、筒状に一体化した遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注排出できる構成にして被覆シートと遮水シートとの間に圧縮空気を注入し、被覆シートを堆積糞尿の上方に展張させる場合では、圧縮空気を注入した状態を保てば、両シート内の堆積糞尿に直接、空気圧がかかり、堆積糞尿内からのれき汁の排出を促進させることができる。
【0073】
しかも、この圧縮空気の注入状態を保てば、堆積糞尿内かられき汁が抜けた後も、空気が堆積糞尿内に送り込まれるため、好気性発酵になって、堆肥としてのよりよい熟成条件を生み出すことができる。
【0074】
さらに、遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気の注入する共に、堆積糞尿の上面の全面に圧力用シートを被せれば、圧力用シートが圧縮空気の空気圧を受けて、堆積糞尿を絞るようにして押圧することができ、より確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【0075】
また、被覆シートを堆積糞尿の上方に展張すると共に、その被覆シートの堆積糞尿側に圧力用シートを被覆シートとで袋状となるように設けて、その圧力用シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注入すれば、圧力用シートを堆積糞尿の上面の全面に被せる作業が必要なく、より簡単確実に堆積糞尿のれき汁の排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1を示す概略図である。
【図2】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1を示す概略斜視図である。
【図3】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1における空気注入部の別形態を示す概略図である。
【図4】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1における空気注入部の別形態を示す概略図である。
【図5】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1における空気注入部の別形態を示す概略図である。
【図6】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【図7】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【図8】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【図9】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の応用形態を示す概略図である。
【図10】この発明の糞尿処理用簡易貯蔵施設1の別形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…糞尿処理用簡易貯蔵施設、2…糞尿、3…遮水シート、4…床部、4a…上部、4b…下部、5…堆積糞尿、6…被覆シート、7…空気注入部、8…透水係数の低い材料、9…排出管、10…透水係数の高い材料、11…トランター、12…支持ロープ、13…圧縮空気、14…圧力用シート、15…袋状シート、16…端部シート、17…気密用補助シート。
Claims (8)
- 家畜の糞尿を堆積して堆肥化する糞尿処理用簡易貯蔵施設であり、
前記糞尿の堆積場所に敷き詰める遮水シートと、この遮水シートの上面に形成して糞尿を堆積させる床部と、この床部に堆積させた堆積糞尿の上面に被せる被覆シートとを備えており、
前記遮水シートと被覆シートとは、前記堆積糞尿の外周において互いの周縁部を密着し筒状に一体化していると共に、前記被覆シートは、空気圧によって、前記堆積糞尿の上方に展張できるように構成していることを特徴とする糞尿処理用簡易貯蔵施設。 - 前記被覆シートに空気の注排出ができる空気注入部を設けると共に、その空気注入部に空気を注入することで、前記被覆シートを前記堆積糞尿の上方に展張できるように構成していることを特徴とする請求項1記載の糞尿処理用簡易貯蔵施設。
- 前記筒状に一体化した遮水シートと被覆シートとの間に、圧縮空気を注排出できるように構成していることを特徴とする請求項1記載の糞尿処理用簡易貯蔵施設。
- 前記遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注入した時に、前記被覆シートを前記堆積糞尿の上方に展張できるように構成していることを特徴とする請求項1または3記載の糞尿処理用簡易貯蔵施設。
- 前記遮水シートと被覆シートとの間に圧縮空気の注入していると共に、前記堆積糞尿の上面の全面に圧力用シートを被せていることを特徴とする請求項1、2、3、4記載の糞尿処理用簡易貯蔵施設。
- 前記被覆シートを前記堆積糞尿の上方に展張していると共に、その被覆シートの前記堆積糞尿側に圧力用シートを被覆シートとで袋状となるように設けて、その圧力用シートと被覆シートとの間に圧縮空気を注排出できるように構成していることを特徴とする請求項1、2、4記載の糞尿処理用簡易貯蔵施設。
- 前記床部は、前記糞尿を堆積させる上面側の上部を透水係数の低い材料で構成していると共に、前記堆積糞尿のれき汁の排出管を設置する下部を透水係数の高い材料で構成していることを特徴とする請求項1記載の糞尿処理用簡易貯蔵施設。
- 家畜の糞尿を堆積して堆肥化する糞尿処理用簡易貯蔵施設において、堆積糞尿の上面に被せる被覆シートに、空気の注排出ができる空気注入部を設けると共に、その空気注入部に空気を注入することで、前記被覆シートを前記堆積糞尿の上方に展張できるように構成していることを特徴とする糞尿処理用簡易貯蔵施設。
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JP2008500161A (ja) * | 2004-05-28 | 2008-01-10 | ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | ゴミ処理プラント |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002307866A patent/JP2004142974A/ja active Pending
Cited By (1)
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