JP2004142590A - 動力出力装置及びその制御方法並びにハイブリッド車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッド車両においてバッテリの過充電の発生を防止するとともに、発進等がスムースに行われ、且つ、当該時点における車両等の乗り心地を向上する。
【解決手段】ハイブリッド車両は、エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とするAT(伝達手段)と、エンジンに対して動力を出力可能である第1モータジェネレータと、これに対して電源供給可能なバッテリと、前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2モータジェネレータを備えている。そして、本車両では、減速時に、バッテリにおける蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共にエンジンに対して動力を出力するように、バッテリ、AT及び第1モータジェネレータを制御する。
【選択図】 図2
【解決手段】ハイブリッド車両は、エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とするAT(伝達手段)と、エンジンに対して動力を出力可能である第1モータジェネレータと、これに対して電源供給可能なバッテリと、前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2モータジェネレータを備えている。そして、本車両では、減速時に、バッテリにおける蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共にエンジンに対して動力を出力するように、バッテリ、AT及び第1モータジェネレータを制御する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとモータジェネレータ装置とを組み合わせてなり、例えばハイブリッド車両等に好適に用いられる動力出力装置及びその制御方法の技術分野に属する。更に、本発明は、このような動力出力装置の中でも特に、ハイブリッド型の動力出力装置の技術分野にも属し、該ハイブリッド型の動力出力装置が搭載されたハイブリッド車両の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハイブリッド型の動力出力装置としては、例えば特許文献1等に開示されているように、モータジェネレータとエンジンとがベルトを介して接続されたものが知られている。このようなハイブリッド型の動力出力装置では、エンジンは、主として、通常走行時の動力出力源等として利用され、モータジェネレータは、主として発進時や通常走行時における補助的な動力出力源、或いは制動時におけるエネルギ回生等に利用される。
【0003】
この場合、「エネルギ回生」ないし「回生」とは、例えば当該ハイブリッド型の動力出力装置が車輪等を含む車両に備えられている場合において、該車両の制動時、前記車輪の回転がエンジンを介して又はエンジンを介することなくモータジェネレータに伝達されることにより、該モータジェネレータが発電機として機能して電気エネルギを生むことをいう。この電気エネルギは、通常、バッテリ、或いは大容量コンデンサ等の蓄電装置に蓄えられていく。
【0004】
このように、モータジェネレータに回生を行わせる際には、これに接続された駆動軸に対して制動力が働く。係る制動力を、車両等のブレーキの一部として積極的に利用するのが回生制動である。即ち、本願明細書では、ハイブリッド型の動力出力装置における回生ブレーキによる制動を、以下適宜「回生制動」と呼ぶ。
【0005】
ところで、前記車両等の制動が繰り返されると或いは継続して行われると、このようなエネルギ回生が繰り返される或いは継続して行われることになるから、前記蓄電装置はその許容充電量一杯まで充電されること(即ち、満充電の状態となること)がある。このような状態で更にエネルギ回生を行ってしまうと、蓄電装置は過充電状態となり、その耐久性の低下等を招きかねない。したがって、蓄電装置が満充電状態に至った後は、例えばアイドリングストップ中等において、前記車両等に搭載される空気調和機(エアコン)のコンプレッサを駆動したり、ウォータポンプやパワーステアリング用のポンプを駆動するなどして、該蓄電装置の電気エネルギの消費を図る構成が知られている。
【0006】
また、特許文献2においては、やはり蓄電装置が満充電状態にあるときには、モータで発生する回生電力を、エンジンの燃料から発生した蒸発燃料を吸着するキャニスタに付設されたヒータに供給するという技術が提案されている。特許文献2では、これにより、蓄電装置が満充電状態にあるときにも回生制動を実行することが可能となるとし、回生制動に代わる油圧制動等を実施することに伴い発生する燃料消費量の増大や、回生制動時及び油圧制動時間の制動フィーリングの変化等を防止することができるとする。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−195069号公報
【特許文献2】
特開11−343890号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のハイブリッド型の動力出力装置においては次のような問題点がある。すなわち、上述のように、満充電状態にある蓄電装置に対しそれ以上の充電を行わないために、回生制動を行えず、他のブレーキ機構に対する負担が増大する。これに対して例えば、回生制動を敢えて行おうとすれば、蓄電装置の過充電状態を発生させることになりかねない。或いは、例えば満充電状態にある場合に回生制動から油圧制動に切り替えようとすれば、前記特許文献2で指摘されているように、それを実施するための燃料消費の増大が生じたり、回生制動時及び油圧制動時間の制動フィーリングの変化等を生じさせるという問題点がある。
【0009】
他方で、前記車両等が減速中等のエンジンの負荷軽減中におけるエネルギ回生時、即ち充電時には、一般にエンジンへの燃料供給は停止され、エンジンは完全に停止した状態にある。このため、その後にアクセルが踏み込まれるなどしてエンジンを再び始動させる場合においては、当該始動の時点における車両等の運動のスムースさが損なわれ、或いはもたつきを生じさせるとともに、車両等の搭乗者に該エンジンの始動による振動等を伝えてしまうという難点がある。これは、前記始動を、該エンジンが完全に停止した状態から行わなければならないからであり、エンジン回転数への持ち上げに時間がかかるためである。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、蓄電装置の過充電の発生を防止するとともに、発進等がスムースに行われ、且つ、当該時点における車両等の乗り心地を向上可能なハイブリッド型の動力出力装置及びその制御方法並びにハイブリッド車両を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の動力出力装置は、上記課題を解決するため、車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置であって、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能である第1電気手段と、前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2電気手段と、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段とを備えている。
【0012】
本発明の第1の動力出力装置によれば、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段が備えられており、該制御手段は、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、これら各要素を制御することが可能となっている。
【0013】
これによれば、当該動力出力装置が、例えば前記駆動輪のほか、アクセル装置及びブレーキ装置等を備えた車両に搭載されている場合において、前記アクセル装置がOFFとされている場合、或いは前記ブレーキ装置がONとされている場合等の減速時、すなわち本来であればエンジンが停止されている期間、該エンジンは、蓄電装置から電源が供給されて駆動される第1電気手段によって回転させられることになる。これにより、該蓄電装置の蓄電量は迅速に減少していくことになり、その分だけ第2電気手段で発電可能となる発電量に応じて回生制動の利用が可能となる。
【0014】
また、前述の作用によれば、第1電気手段からエンジンに動力が出力されるので、駆動軸との結合度が低下された状態にあるエンジンを動かし続けておくことができる。したがって、これに引き続き、前記アクセル装置がONとされるとき等には、エンジンは所定の回転数で既に回転していることになるから、該エンジンの回転数の持ち上げ時間は低減され、該エンジンの始動(ここにいう「始動」とは、エンジンが自立運転を始めることを意味する。以下、特に断りがない限り同じ。)はスムースに行われることになる。このようなことから、本発明によれば、エンジンの始動を原因とする振動等を車両等の搭乗者に伝えるようなことも殆どなく、乗り心地を良好に維持することが可能となる。
【0015】
なお、本発明にいう「第1所定蓄電量」とは、例えば前記蓄電装置の許容充電量一杯に該当する蓄電量、すなわち満充電状態に該当する蓄電量とするとよい。或いは、この「第1所定蓄電量」とは、該蓄電装置の許容充電量よりも若干手前の蓄電量に一致するなどとしてもよい。この場合においては、該蓄電装置の過充電状態を引き起こすような可能性はより低減されることになる。
【0016】
また、本発明にいう「第1電気手段」の具体的態様としては、例えばモータ、或いはモータジェネレータ等、同じく「第2電気手段」の具体的態様としては、例えば単なるジェネレータ、或いはモータジェネレータ等が該当し得る。
【0017】
本発明の第1の動力出力装置の一態様では、前記第1電気手段は更に、前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能であり且つ前記蓄電装置を充電可能である第1電動発電手段からなる。
【0018】
この態様によれば、第1電気手段は、いわゆるモータジェネレータ等の第1電動発電手段からなるから、第一には、例えばエンジン等から動力の伝達を受けさせることで、この第1電動発電手段により、発電及び充電を行うことができ、第二には、該第1電動発電手段からエンジン或いはそれ以降のドライブシャフト等に動力を伝達することで、該エンジンのアシストを行うことができる。
【0019】
本発明の第1の動力出力装置の他の態様では、前記第2電気手段は更に、前記車両の駆動輪を駆動可能である第2電動発電手段からなる。
【0020】
この態様によれば、第2電気手段は、いわゆるモータジェネレータ等の第2電動発電手段からなる。そして、本態様では、該第2電動発電手段から駆動輪に動力が伝達可能であるから、本発明に係る車両全体から見て、その走行のアシストが行われ得ることになり、したがって結果的に、エンジンのアシストが行われ得ることになる。
【0021】
本発明の第2の動力出力装置は、上記課題を解決するために、車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置であって、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能であると共に前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能である第1電気手段と、少なくとも前記第1電気手段により充電可能であると共に前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、前記車両の駆動輪を駆動可能であると共に前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な第2電気手段と、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段とを備えている。
【0022】
本発明の第2の動力出力装置によれば、前述の本発明の第1の動力出力装置により奏された作用効果と略同様な作用効果を得ることができる。特に、本発明の第2の動力出力装置では、蓄電装置は、主に第1電気手段によって充電される。そして、第1電気手段により充電された電気は、第1電気手段によるエンジンに対する動力の出力によって使用されるので、充電量が低下した後には、第1電気手段による充電が再び可能となる。加えて、この充電動作に伴う第1電気手段による回生制動も実行可能となる。他方、蓄電装置は、第2電気手段によって補助的に充電されてもよいし、或いは充電されなくてもよい。蓄電装置が第2電気手段によって充電されない場合には、第2電気手段による回生制動に伴って発生する逆起電力は、補機類の駆動に用いられてもよいし、他の蓄電装置に蓄積されてもよいし、破棄されてもよい。いずれにせよ、車両の減速時における第2電気手段による回生制動は、第1電気手段による蓄電装置の過充電を招くことなく、実行可能である。
【0023】
本発明の第2の動力出力装置において、第1電気手段は、発電機及び発動機双方の機能を発揮しうるものとされている。これの具体的態様としては、例えばモータジェネレータ等が該当し得る。他方、第2電気手段は、少なくとも発動機の機能を有し、モータ又はモータジェネレータ等が該当しえる。これが、モータであっても、その充電機能は別にして、逆起電力の発生により減速時における回生制動が可能である。
【0024】
本発明の第1又は第2の動力出力装置の他の態様では、前記制御手段は、前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記第1電気手段の動力を用いて前記エンジンをアイドル回転数で回転させるように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御する。
【0025】
この態様によれば、エンジンはアイドル回転数で制御されることにより、蓄電装置の電気エネルギ等の適度な消費が可能となる。
【0026】
本発明の第1又は第2の動力出力装置の他の態様では、前記伝達手段は、前記エンジンに接続される変速装置を備えてなり、前記制御手段は、前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記第1電気手段の動力を用いて前記エンジンを前記変速装置の状態に応じて定まる回転数で回転させるように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御する。
【0027】
この態様によれば、まず、エンジンには、該エンジンの駆動輪に対する動力伝達の態様を変化させる変速装置が備えられている。この変速装置としては、例えばMT(Manual Transmission;マニュアルトランスミッション)、AT(Automatic Transmission;オートマチックトランスミッション)及びCVT(Continuously Variable Transmission)等を採用し得る。
【0028】
そして本態様では特に、前記制御手段は、第1電気手段の動力を用いてエンジンを回転させる際において、該エンジンを、前記変速装置の状態に応じて定まる回転数で回転させる。ここで「変速装置の状態」とは、具体的には例えば、前述したMT及びATについては歯車の組合せに係るその時々の状態を意味し、CVTについては、例えばベルト式CVTにあっては、該ベルトが懸けられるプーリの溝幅のその時々の大きさ等を意味することになる。言い換えれば、「変速装置の状態」とは「変速装置により定まる変速比」ともいえる。本態様では、このような状態に応じてエンジンの回転数が定まる。
【0029】
したがって、本態様によれば、前述したように、前記アクセル装置がOFFとされている場合、或いは前記ブレーキ装置がONとされている場合等の状態から、前記アクセル装置がONとされるときには、エンジンは、変速装置の状態に応じた回転数で既に回転していることにより、該エンジンの始動ないし駆動力発生を極めてスムースに行うことができる。
【0030】
本発明の第1又は第2の動力出力装置の他の態様では、前記制御手段は、前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以下である場合又は前記エンジンを回転させる制御後に、前記蓄電量が第1所定蓄電量よりも小さい第2所定蓄電量以下となった場合には、当該エンジンの回転を停止するように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御する。
【0031】
この態様によれば、減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以下である場合又は前記エンジンを回転させる制御後に、前記蓄電量が第1所定蓄電量よりも小さい第2所定蓄電量以下となるときに、当該エンジンの回転が停止される。これにより、これ以降、その回転を実行するためのエネルギは消費されなくなることから、蓄電装置における蓄電量が減少するということがない。すなわち、ここにいう第2所定蓄電量を適当に定めておけば、必要以上に蓄電装置の放電を進行させることがなく、該蓄電装置は、好適な蓄電量を維持することが可能となる。
【0032】
なお、この態様では、場合により、前記制御手段は、前記第2所定蓄電量を、当該ハイブリッド型の動力出力装置を搭載する車両の運行速度に応じて変化させるように構成するとよい。例えば、車両の運行速度が大きい場合には、第2電気手段による蓄電装置の充電は比較速やかに行われ得ることになるから、第2所定蓄電量を比較的小さく設定することができ、その逆の場合には、逆であることから、第2所定蓄電量を比較的大きく設定することができる。ただし、例外的に、第2所定蓄電量の大小を、この逆の場合に設定するようにしてよい。
【0033】
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様によれば、前記動力は、補機類の駆動にも用いられる。
【0034】
この態様によれば、前記動力、すなわち第1電気手段からエンジンに対して出力される動力が、補機類の駆動にも用いられる。ここに補機類とは、当該動力出力装置を搭載する車両に装備される、例えば空気調和機(エアコン)のコンプレッサ、ウォータポンプやパワーステアリング用のポンプ、空気清浄機のモータ、更には前記蓄電装置とは別の蓄電装置(例えば、12V系のバッテリ)の充電等を指す。
【0035】
これにより、第1電気手段のエネルギの有効利用が可能となる。
【0036】
本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、上記課題を解決するために、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能である第1電気手段と、前第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2電気手段とを備えた前記車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置を制御する制御方法であって、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御工程を備えている。
【0037】
本発明の第1の動力出力装置の制御方法によれば、上述した本発明の第1の動力出力装置を好適に運用することが可能となる。
【0038】
本発明の第2の動力出力装置の制御方法は、上記課題を解決するために、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能であると共に前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能である第1電気手段と、少なくとも前記第1電気手段により充電可能であると共に前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、車両の駆動輪を駆動可能であると共に前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な第2電気手段とを備えた前記車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置を制御する制御方法であって、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御工程とを備えている。
【0039】
本発明の第2の動力出力装置の制御方法によれば、上述した本発明の第2の動力出力装置を好適に運用することが可能となる。
【0040】
本発明のハイブリッド車両は、上記課題を解決するために、前述の本発明の第1又は第2の動力出力装置(但し、その各種態様を含む。)と、該動力出力装置が搭載される車両本体と、該車両本体に取り付けられると共に前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪とを備えている。
【0041】
本発明のハイブリッド車両によれば、蓄電装置の過充電の発生が防止さるとともに、発進等がスムースで且つ当該時点における当該ハイブリッド車両の乗り心地が向上されたハイブリッド車両を提供することができる。
【0042】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明のハイブリッド型の動力出力装置を図1に示すようなハイブリッド車両に適用したものであり、更に、本発明に係る動力出力装置の制御方法は、当該ハイブリッド車両において実行されるものである。
【0044】
(ハイブリッド車両の基本構成及び動作)
先ず、本実施形態のハイブリッド車両の構成について図1を用いて説明する。ここに図1は、本実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【0045】
図1において、本実施形態のハイブリッド車両の動力系統は、エンジン150、第1電気手段及び第2電気手段の一例を構成するモータジェネレータMG1及びMG2、これらのモータジェネレータMG1及びMG2を夫々駆動する駆動回路191及び192、これらの駆動回路191及び192を制御する制御ユニット190、並びにエンジン150を制御するEFIECU(Electrical Fuel Injection Engine Control Unit)170等を備えて構成されている。
【0046】
本実施形態におけるエンジン150は、例えばガソリン等の燃料がシリンダ内に直接噴射される形式の直噴式ガソリンエンジンを採用可能である、その場合、該エンジン150は、ガソリン燃料をシリンダ内に噴射するための燃料噴射弁(高圧式インジェクタ)、シリンダ内に噴射されたガソリンと吸入された空気とによって形成される混合気に点火するための点火プラグ等を備えている。
【0047】
エンジン150は、ドライブシャフト158を回転させる。このドライブシャフト158には、クランクシャフト156が接続されていない側の一端に、デファレンシャルギア156DFが接続されている。このデファレンシャルギア156DFには更に、後輪側のタイヤTR1及びTR2が接続されている。また、エンジン150とデファレンシャルギア156DFの間には、本発明にいう「変速装置」の一例たるオートマチックトランスミッション(以下、「AT」と略す。)152が設けられている。これにより、エンジン150で発生した動力は、AT152で適当な変速を受けた後、ドライブシャフト158、デファレンシャルギア156DFを介して、タイヤTR1及びTR2に伝達されるようになっている。
【0048】
なお、AT152内には、エンジン150とドライブシャフト158との結合度の調整が可能なクラッチが設けられている。また、AT152とエンジン150との間には、図示しない流体式等の形式となるトルクコンバータ並びに始動用リングギア及び該ギアに係合可能な出力軸を備えた始動用モータ等が設けられ得る。
【0049】
また、このドライブシャフト158にはクランクシャフト156が接続されており、該クランクシャフト156の一端(図中上端)にはクランクシャフトプーリ156Pが備えられている。
【0050】
このようなエンジン150の運転は、EFIECU170により制御されている。EFIECU170は、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラム、並びに、図示しないアクセルペダルのON・OFF信号等に従い、エンジン150の燃料噴射量や回転速度その他の制御を実行する。図示を省略したが、これらの制御を可能とするために、EFIECU170にはエンジン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。
【0051】
他方、モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える(図1において、これらロータ及びステータはいずれも不図示)。モータジェネレータMG1及びMG2のステータに巻回された三相コイルは、それぞれ駆動回路191及び192を介してバッテリ194に接続されている。ここに駆動回路191及び192は、図示されないが、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備えたトランジスタインバータを含む。これら駆動回路191及び192は、より大きな構成であるモータ制御ユニット19Mに含まれる。
【0052】
このモータ制御ユニット19Mは、制御ユニット190に接続されている。制御ユニット190からの制御信号によって、モータ制御ユニット19M内の駆動回路191及び192のトランジスタがスイッチングされると、バッテリ194とモータジェネレータMG1及びMG2との間に電流が流れる。また、モータ制御ユニット19Mには、電圧電流センサ19S、DC/DCコンバータ19Cが設けられている。このうち電圧電流センサ19Sは、バッテリ194の充電状態を確認する。また、DC/DCコンバータ19Cは、低電圧バッテリ194Sに接続されている。このDC/DCコンバータ19Cは、バッテリ194の電圧又はモータジェネレータMG1によって発電された電力の電圧を降圧する役割を果たし、低電圧バッテリ194Sの充電を実現する。なお、この低電圧バッテリ194Sとしては、例えば12V仕様のものを採用することができる。これに対して、バッテリ194としては、例えば36V仕様のものを採用することができる。
【0053】
本実施形態においては特に、前記のモータジェネレータMG1及びMG2のうち、モータジェネレータMG1は、図1に示すように、ベルト300を介してエンジン150と機構的な連係が図られている。すなわち、モータジェネレータMG1のプーリMG1Pにはベルト300が懸架され、該ベルト300は前記クランクシャフトプーリ156Pに懸架されている。
【0054】
また、ドライブシャフト158には、電磁クラッチ160が設けられており、モータジェネレータMG1及びエンジン150間の動力伝達を断絶することが可能となっている。この電磁クラッチ160は、例えば湿式他板式であり、図示しないクラッチプレートとフライホイールとを備えている。なお、該電磁クラッチ160は、図1に示すようにクランクシャフトプーリ156Pとは別に設けられてもよいし、該クランクシャフトプーリ156P内に内蔵されていてもよい。
【0055】
他方、モータジェネレータMG2は、前輪側のタイヤTF1及びTF2に駆動軸TMSを介して接続されている。そして、モータジェネレータMG2は、バッテリ194からその電気エネルギの供給を受け得るようになっている。これにより、タイヤTF1及びTF2は、モータジェネレータMG2の直接的なアシストを受けて回転することが可能となっている。
【0056】
また、これらタイヤTF1及びTF2には、例えば油圧制動式のブレーキシステム180が付設されているとともに、該ブレーキシステム180には、ブレーキ制御ユニット172が接続されている。ブレーキ制御ユニット172には、図示しないブレーキペダルのON・OFF信号が伝えられ、これを受けた該ユニット172は、当該ON・OFF信号に応じて前記ブレーキシステム180を制御する。タイヤTF1及びTF2には、これによりその回転を停止させるような力が作用する。本実施形態においては、この際特に、タイヤTF1及びTF2が駆動軸TMSを介してモータジェネレータMG2と結合されていることによって、回生制動を行うことができる。この場合更に、タイヤTF1及びTF2の回転につられて回転するモータジェネレータMG2は発電を行うこととなり、これにより生じた電気エネルギは、バッテリ194に蓄えられていくことになる。すなわち、回生が行われるのである。
【0057】
次に以上の如く構成された本実施形態のハイブリッド車両の動力系統における動作について説明する。
【0058】
本実施形態に係るハイブリッド車両では、前述したエンジン150、モータジェネレータMG1及びMG2の協働的な動作が行われることになるが、該動作の態様は、該車両の状態(例えば、発進時、通常走行時等)に併せて適宜変化する。
【0059】
第一に、ハイブリッド車両が停車中においては、基本的に、エンジン150及びモータジェネレータMG2は停止状態にある。ただし、この場合、モータジェネレータMG1は、バッテリ194の電気エネルギを利用することで回転してよく、この場合、電磁クラッチ160が断絶状態にあるときには、後述するエアコン、或いはパワーステアリング用ポンプ等の補機類を動作させることが可能である。
【0060】
第二に、ハイブリッド車両の発進時においては、運転者がブレーキペダルから足を離す(即ち、ブレーキ信号がOFFとされる)と同時に、電磁クラッチ160が接続された状態にされ、モータジェネレータMG1とエンジン150との間に機構的連係が図られた状態とされる。これにより、バッテリ194の電気エネルギを用いて駆動されるモータジェネレータMG1は電動機として機能することになり、その動力は、まずエンジン150に伝達されて、該エンジン150をアイドル回転数付近まで回転させてエンジン150の始動を可能とする他、場合により、クランクシャフト156からデファレンシャルギア156DF並びにタイヤTR1及びTR2まで伝達されて、これらを駆動する。一方で、モータジェネレータMG2に対してもバッテリ194の電気エネルギは供給され、これにより、タイヤTF1及びTF2もモータジェネレータMG2によって、駆動される。このように、本実施形態に係るハイブリッド車両では、その発進時、基本的にはモータジェネレータMG1及びMG2で発生した動力によって、或いはエンジン150の駆動力をモータジェネレータMG1及びMG2の駆動力でアシストすることにより、車両の運動が実現されることになる。なお、アクセルペダルが踏下されると、エンジン150の自立運転(燃焼を伴い自分で回転する運転)が開始されることになる。
【0061】
第三に、ハイブリッド車両の通常走行時においては、該ハイブリッド車両は、エンジン150で発生した動力のみでもって、或いはエンジン150の駆動力をモータジェネレータMG1及びMG2の駆動力でアシストすることにより走行を行うことになる。或いは、バッテリー194の充電量が満充電に近い場合には、モータジェネレータMG1及びMG2の駆動力を積極的に使用することでもって、走行を行うことになる。このとき、電磁クラッチ160は接続又は断絶された状態にされ、モータジェネレータMG1とエンジン150との間に機構的連係は、図られた又は図られていない状態とされる。前者の場合は、バッテリ194の電圧が低下したときに採られ、モータジェネレータMG1は、エンジン150から回転動力の供給を受けて回転し、発電機として機能することになる。この場合、モータジェネレータMG1で発生した電気エネルギは、バッテリ194に蓄えられていくことになる。なお、このようなことが続けて又は断続的に行われると、バッテリ194はやがて満充電状態、或いはこれに近い状態に至るが、そのような場合において、本実施形態では、以下に記す「バッテリ満充電状態における処理」で述べるような特徴的な処理を実施する。詳細は、後に述べる。
【0062】
一方、後者の場合、すなわちハイブリッド車両の通常走行時において、モータジェネレータMG1及びエンジン150間の機構的連係が図られていない状態は、むしろ通常状態である。ただし、後に述べるハイブリッド車両の制動時においては、電磁クラッチ160が接続状態にされることで、エンジン150からモータジェネレータMG1に対する動力の伝達が可能とされる。
【0063】
他方で、上述のような二つの場合において、図1に示すハイブリッド車両では、モータジェネレータMG2にバッテリ194の電気エネルギを供給することにより、該モータジェネレータMG2を駆動するとともにタイヤTF1及びTF2を駆動させることが可能である。この場合、タイヤTR1及びTR2はエンジン150によって駆動されるから、四輪駆動されている状態が実現されることになる。このような運転状態は、当該ハイブリッド車両を、高負荷運転、或いは高速運転させる必要があるときなどに行われる。
【0064】
第四に、ハイブリッド車両の制動時においては、タイヤTR1及びTR2の回転が、AT152及びエンジン150を介してモータジェネレータMG1に伝達され、該モータジェネレータMG1は、これにより発電機として機能する。この状態は、いわゆる回生制動がかけられている状態に該当する。そして、このモータジェネレータMG1で生み出された電気エネルギは、バッテリ194に充電されることになる。
【0065】
また、このハイブリッド車両の制動時においては、タイヤTF1及びTF2の回転が、駆動軸TMSを介してモータジェネレータMG2に伝達され、該モータジェネレータMG2は、これにより発電機として機能する。この状態もまた、回生制動がかけられている状態に該当する。そして、このモータジェネレータMG2で生み出された電気エネルギは、バッテリ194に充電されることになる。
【0066】
ただし、本実施形態においては、上述の回生制動時におけるバッテリ194の充電によって、該バッテリ194がやがて満充電状態、或いはこれに近い状態に至った時には、既述したように後記の特徴的な処理を実施する。
【0067】
続いて、制御ユニット190による制御動作について図1を参照して説明する。
【0068】
図1において、本実施形態の動力出力装置の運転全体は、制御ユニット190により制御されている。制御ユニット190は、EFIECU170と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータである。制御ユニット190は、前述したEFIECU170、モータ制御ユニット19M及びブレーキ制御ユニット172と接続されており、両者は種々の情報を伝達し合うことが可能である。
【0069】
制御ユニット190は、エンジン150の制御に必要となるトルク指令値や回転数の指令値などの情報をEFIECU170に送信することにより、エンジン150の運転を間接的に制御可能に構成されている。また、制御ユニット190は、モータジェネレータMG1及びMG2の制御に必要となる前記駆動回路191及び192の駆動信号などの情報をモータ制御ユニット19Mに送信することにより、モータジェネレータMG1及びMG2の運転を間接的に制御可能に構成されている。さらに、制御ユニット190は、ブレーキシステム180の制御に必要となる油圧等の情報をブレーキ制御ユニット172に送信することにより、ブレーキシステム180の運用を間接的に制御可能に構成されている。
【0070】
制御ユニット190は、このようにして動力出力装置全体の運転を制御する。かかる制御を実現するために制御ユニット190には、種々のセンサ、例えば、ドライブシャフト158の回転数を知るためのセンサなどが設けられている。加えて更に、制御ユニット190には、図示しないアクセルペダルの踏下の有無、或いはブレーキペダルの踏下の有無等に関する信号が供給されるようになっており、当該ハイブリッド車両に対する運転者の要求が伝達されるようになっている。
【0071】
(バッテリ満充電状態における処理)
以下では、本発明に係る制御手段を構成する制御ユニット190、EFIECU170、ブレーキ制御ユニット172及びモータ制御ユニット19Mにより実施される、バッテリ194の充電を続行するのが不適当な場合におけるモータジェネレータMG1等の運用方法(以下、「満充電時処理」ということがある。)について、図2及び図3を参照して説明する。ここに図2は、バッテリ194の充電を続行するのが不適当な場合におけるモータジェネレータMG1の運用方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、図3は、図2に示す処理を実施した場合にみられる車速、ブレーキ、アクセル、バッテリ、モータジェネレータ及びエンジンの動作状態の遷移を示す説明図である。
【0072】
図2においてはまず、当該ハイブリッド型の動力出力装置は通常走行時であることが初期状態とされている。すなわち、上で述べたように、当該ハイブリッド車両は、エンジン150の動力のみにより走行しており、モータジェネレータMG1は動作していない状態となっている(ただし、これは通常状態である。)。
【0073】
このような初期状態において図2では、当該ハイブリッド車両が、現時点においてブレーキ制動中であるか否かが判断される(ステップS11)。これは、ブレーキペダルの踏下の有無に応じた、ブレーキ制御ユニット172を介するブレーキシステム180の作動の有無を基準に判断される。すなわち、ブレーキシステム180が作動している(ブレーキ制動中)と判断される場合には、モータジェネレータMG1の好適な運用を行うための新たなる処理へと進み(ステップS11からステップS12へ)、後者の場合には、満充電時処理を終了する(ステップS11からステップENDへ)。なお、ここでブレーキ制動中と判断されるときには、タイヤTF1及びTF2の回転につられてモータジェネレータMG2が回転していることにより、該モータジェネレータMG2は発電機として機能し、これにより生じた電気エネルギは、バッテリ194に蓄えられていくことになる。
【0074】
このステップS11において、ブレーキシステム180が作動している場合は当該ハイブリッド車両が減速中ということを意味するから、その場合における車速は、図3(a)に示すように、時間の経過に応じて次第に小さくなっていくことになる。また、この際、ブレーキ信号は、図3(b)に示すようにONとなる。さらに、この場合においては、エンジン150は、図3(f)に示すように、燃料供給が停止され且つ点火も停止されて、自立的な燃焼を止めた停止状態になる。
【0075】
さて次に、バッテリ194の充電状態が確認される(ステップS12)。具体的には、図1に示したモータ制御ユニット19Mに含まれる電圧電流センサ19Sの計測結果によって、バッテリ194が満充電状態にあるか否かが判断される。そして、前者の場合には、AT152内の図示しないクラッチを適当に調整することにより、エンジン150とドライブシャフト156との結合度を低下させると共に、モータジェネレータMG1の好適な運用を行うための新たなる処理へと進み(ステップS12からステップS13へ)、後者の場合には、満充電時処理を終了する(ステップS12からステップENDへ)。
【0076】
なお、上においては、バッテリ194が「満充電状態にあるか否か」が判断されるようになっていたが、本発明においては、より広く、該バッテリ194における蓄電量が、或る所定蓄電量(本発明にいう「第1所定蓄電量」に該当する。)以上であるか否かという判断を行うようにしてもよい。すなわち、バッテリ194の現在の蓄電量がSOCであり、満充電状態にかかる蓄電量がCFであるとした場合に、前記ステップS12において、厳密に「SOC=CF?」を判断の基準としてよいことは勿論、前記の所定蓄電量をCE(<CF)とした場合に、「SOC>CE?」を判断の基準としてもよい。この場合、所定蓄電量CEは、バッテリ194が必ずしも満充電状態にあるとは限らないが、該バッテリ194に対し、もはやこれ以上の充電を行うことが好ましくないという意味を有する数値となる。バッテリ194の過充電を回避するためには、むしろ後者の処理の方がより好ましいといえる。
【0077】
以上のように、当該ハイブリッド車両がブレーキ制動中であり(ステップS11)、且つ、バッテリ194が満充電状態、或いはこれに近い状態にあるときには、続いて、該バッテリ194の電気エネルギを用いてモータジェネレータMG1が駆動される(ステップS13(1))。そして更に、このモータジェネレータMG1の動力は、電磁クラッチ160が接続されることにより、現時点において自立的な燃焼を止め停止状態にあるエンジン150に伝達されることになる。これにより、エンジン150は、モータジェネレータMG1の動力を借りて回転することになる(ステップS14)。この場合、好ましくは例えば、図2のステップS14に示すように、該エンジン150をアイドル回転数で回転させるのがよい。ここにアイドル回転数とは、例えば、エンジン150内部で、ピストンがシリンダ内を摺動し、且つクランクシャフトが回転すること等により生じるフリクションと、これらの動作により外部へ導出されるトルクとが釣り合った状態における回転数などと定義することが可能である。
【0078】
以上のような処理により、本実施形態においては、次のような作用効果が得られることになる。
【0079】
第一に、バッテリ194が満充電状態、或いはこれに近い状態にあるときには、該バッテリ194の電気エネルギが用いられて、モータジェネレータMG1、ひいてはエンジン150が回転されることにより、バッテリ194の充電量を減少させることができる。すなわち、バッテリ194の満充電状態等を解消することができる。また、このことは同時に、当該状態において、バッテリ194に対する充電が行われないことを意味するから、該バッテリ194が過充電によって耐久性が低下すること等がない。
【0080】
更に、本実施形態においては、タイヤTF1及びTF2並びにモータジェネレータMG2による回生制動が同時に行われていることに加えて、上述のようにモータジェネレータMG1及びエンジン150によるバッテリ194の電気エネルギの消費が行われたとしても、このモータジェネレータMG2に起因する回生によって、バッテリ194における電気エネルギを無用に消費するわけではない。
【0081】
第二に、前述のように、バッテリ194の電気エネルギが用いられて、モータジェネレータMG1が駆動され、エンジン150がアイドル回転数で回転させられることにより、このような状態の開始以後、アクセルがONとされ、再びエンジン150を始動させる必要が生じたときには、該エンジン150の始動を非常にスムースに行うことができる。
【0082】
例えば、図3に示すように、車速が次第に減少していく途中で、ブレーキがOFFとされるとともに(図3(b))、アクセルがONとされ(図3(c))、車速が増加に転じた場合(図3(a))、エンジン150は再び始動を開始することになるが(図3(f)、なお、上述の「ハイブリッド車両の発進時」に関する説明参照。)、この際における当該始動は、その前段階における「エンジン停止」状態においてもアイドル回転数が維持されていることにより、これをスムースに行うことができるのである。
【0083】
ちなみに、このような作用効果をより好適に得るためには、「エンジン停止」状態における、モータジェネレータMG1によるエンジン150の回転数を、AT152の状態に応じて定めるようにするとよい。例えば、AT152が1速乃至6速であれば、エンジン150の回転数をN1乃至N6等と個別に定めておくのである。これによれば、「エンジン停止」状態において、該エンジン150は、AT152の状態に応じた回転数で既に回転していることにより、該エンジン150の始動ないし駆動力発生を極めてスムースに行うことができる。
【0084】
なお、上述の図2のステップ13においては、バッテリ194の電気エネルギを用いて、モータジェネレータMG1及びエンジン150の駆動のみが行われる形態について説明したが、本実施形態においては、図2のステップS13に併せて示すように、モータジェネレータMG1及びエンジン150の駆動と同時に、満充電状態にあるバッテリ194の電気エネルギを用いて、前記ハイブリッド車両に搭載されキャビン内を暖房・冷房するための空気調和機(エアコン)のコンプレッサ(ステップS13(2))、パワーステアリング用ポンプ(ステップS13(3))、或いは空気清浄機(ステップS13(4))、更には図2及び図1ともに図示されていないがウォータポンプ等の補機類を駆動するようにしてよい。
【0085】
この場合においては、前述のコンプレッサやポンプ等は、モータジェネレータMG1との間で機構的に連係されているようにするとよい。例えば、これらコンプレッサやポンプ等の入力軸と、モータジェネレータMG1のプーリMG1P又はこれとは別に該モータジェネレータMG1に付設されたプーリとの間で、ベルトを懸架しておくようにするとよい
更には、当該バッテリ194の電気エネルギは、図2のステップS13(5)、或いは図1に示すように、低電圧バッテリ194Sの充電に用いられていてもよい。
【0086】
このように、満充電状態にあるバッテリ194の電気エネルギを、エンジン150の回転のみに用いるのではなく、その他当該ハイブリッド車両を構成する各種の要素に利用すれば、当該バッテリ194の電気エネルギの有効利用を図ることができる。なお、本発明においては、補機類として、上記以外の要素が含まれていてもよいことは言うまでもない。
【0087】
また、図2において、当該ハイブリッド車両がブレーキ制動中であってバッテリ194が満充電状態にある場合には、該バッテリ194の電気エネルギを用いて、モータジェネレータMG1が駆動されることで、その電気エネルギが消費されるようになっているから、モータジェネレータMG2による回生が行われているとしても、バッテリ194の満充電状態、或いはこれに近い状態はやがて解消される可能性が高くなる。ところが、そのような状態が解消されたにもかかわらず、前述のようなモータジェネレータMG1の駆動が続行されると、バッテリ194の電気エネルギを無用に消費してしまうおそれがある。
【0088】
そこで、本実施形態においては、上述の処理に併せて、図4に示すような処理を実行するとよい。ここに図4は、バッテリ194の蓄電量が無用に消費されないようにするため、図2のステップS13及びステップS14の実施中にこれと併せて実行すると好ましい処理の流れのフローチャートである。
【0089】
この図4においてはまず、バッテリ194の電気エネルギを用いながら行われているモータジェネレータMG1の駆動、ひいてはエンジン150等の回転の実施中に、該バッテリ194の蓄電量が逐次どの程度になったかを確認する(ステップS21)。
【0090】
次に、ステップS21で確認されたバッテリ194の蓄電量が、予め定められた所定蓄電量AC2(本発明にいう「第2所定蓄電量」に該当する。)以下となるか否かを確認する(ステップS22)。そして、バッテリ194の現時点における蓄電量SOCが、所定蓄電量AC2以下となる場合においては、バッテリ194の電気エネルギを用いたモータジェネレータMG1及びエンジン150等の駆動を停止するとともに当該変形形態に係る処理を終了し(ステップS23及びステップEND)、そうでなければステップS21に戻る(ステップS22からステップS21)。
【0091】
このような処理を実施すれば、バッテリ194の蓄電量が相当程度低下しているにもかかわらず、その電気エネルギを用いたモータジェネレータMG1及びエンジン150の運転が延々と続行するという事態を未然に回避することができるから、当該電気エネルギの無駄な消費がなく、したがってまた、バッテリ194における蓄電量を好適に維持することができる。
【0092】
さらに、上記実施形態においては、ハイブリッド型の動力出力装置として、図1に示すような構成、すなわちモータジェネレータMG1及びエンジン150が、ベルト300を介して動力を伝達しあう構成を有する場合について説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、モータジェネレータMG11及びMG21とエンジン150とが、ベルト300で機構的に連係されているのではなく、両者の間にプラネタリギア120を介することで、機構的な連係が図られる形態を採用してもよい。
【0093】
ちなみに、この場合の図5における前記プラネタリギア120は、遊星歯車とも呼ばれ、以下に示す夫々のギヤに結合された3つの回転軸を有している。プラネタリギヤ120を構成するギヤは、中心で回転するサンギヤ121、サンギヤの周辺を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ123、及びその外周で回転するリングギヤ122である。そして、図5におけるプラネタリギア120は、そのプラネタリピニオンギア123にエンジン150が接続されるとともに、サンギア121にモータジェネレータMG11が接続され、且つ、リングギア122にモータジェネレータMG21が接続された形態となっている。そして、このリングギア122の回転は、チェーンベルト129を介して駆動軸112、更に車輪116R及び116Lに伝達される。
【0094】
なお、図5において、モータジェネレータMG11及びMG21は、それぞれ、ロータ132及び142並びにステータ133及び143を備え、このうちステータ133及び143はケース119に固定されている。また、エンジン150のクランクシャフト156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸127に結合されている。さらに、リングギア122とモータジェネレータMG21との結合は、リングギア軸126によりなされている。なお、その他、図5において、EFIECU及びエンジン、並びに駆動回路及び制御ユニット、更にはバッテリは、図1に示すのと実質的に同様な構成であり、同じ作用を発揮する。したがって、符号は図1に示されているもの(即ち、EFIECU170、エンジン150、駆動回路191及び192、制御ユニット190、バッテリ194)を援用している(なお、クランクシャフト156についても同様である。)
なお、上述の実施形態では、モータジェネレータ装置が同期電動機からなるモータジェネレータを複数備えてなるが、その少なくとも一部に代えて又は加えて、誘導電動機、バーニアモータ、直流電動機、超伝導モータ、ステップモータ等を用いることも可能である。
【0095】
上述の実施形態では、エンジン150としてガソリンにより運転される直噴型のガソリンエンジンを用いていたが、その他に、伝統的なポート噴射型のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、タービンエンジン、ジェットエンジン等の各種の内燃あるいは外燃機関を用いることができる。
【0096】
加えて、本発明の動力出力装置は、既存の若しくは現在開発中又は今後開発される各種パラレルハイブリッド方式や各種シリアルハイブリッド方式の車両にも適用してもよい。
【0097】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う動力出力装置及びその制御方法、ハイブリッド車両もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る動力出力装置等によれば、例えば制動時に、蓄電手段の電気エネルギを用いて駆動される外的動力付与手段の動力がエンジンに伝達されることで、該蓄電装置の過充電の発生を防止するとともに、発進等がスムースに行われ、且つ、当該時点における車両等の乗り心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【図2】バッテリの充電を続行するのが不適当な場合におけるモータジェネレータの運用方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す処理を実施した場合にみられる車速、ブレーキ、アクセル、バッテリ、モータジェネレータ及びエンジンの動作状態の遷移を示す説明図である。
【図4】バッテリの電気エネルギを使いつづけることが不適当な場合における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【符号の説明】
150…エンジン
170…EFIECU
172…ブレーキ制御ユニット
180…ブレーキシステム
190…制御ユニット
194…バッテリ
19M…モータ制御ユニット
19S…電流電圧センサ
MG1、MG2…モータジェネレータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンとモータジェネレータ装置とを組み合わせてなり、例えばハイブリッド車両等に好適に用いられる動力出力装置及びその制御方法の技術分野に属する。更に、本発明は、このような動力出力装置の中でも特に、ハイブリッド型の動力出力装置の技術分野にも属し、該ハイブリッド型の動力出力装置が搭載されたハイブリッド車両の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハイブリッド型の動力出力装置としては、例えば特許文献1等に開示されているように、モータジェネレータとエンジンとがベルトを介して接続されたものが知られている。このようなハイブリッド型の動力出力装置では、エンジンは、主として、通常走行時の動力出力源等として利用され、モータジェネレータは、主として発進時や通常走行時における補助的な動力出力源、或いは制動時におけるエネルギ回生等に利用される。
【0003】
この場合、「エネルギ回生」ないし「回生」とは、例えば当該ハイブリッド型の動力出力装置が車輪等を含む車両に備えられている場合において、該車両の制動時、前記車輪の回転がエンジンを介して又はエンジンを介することなくモータジェネレータに伝達されることにより、該モータジェネレータが発電機として機能して電気エネルギを生むことをいう。この電気エネルギは、通常、バッテリ、或いは大容量コンデンサ等の蓄電装置に蓄えられていく。
【0004】
このように、モータジェネレータに回生を行わせる際には、これに接続された駆動軸に対して制動力が働く。係る制動力を、車両等のブレーキの一部として積極的に利用するのが回生制動である。即ち、本願明細書では、ハイブリッド型の動力出力装置における回生ブレーキによる制動を、以下適宜「回生制動」と呼ぶ。
【0005】
ところで、前記車両等の制動が繰り返されると或いは継続して行われると、このようなエネルギ回生が繰り返される或いは継続して行われることになるから、前記蓄電装置はその許容充電量一杯まで充電されること(即ち、満充電の状態となること)がある。このような状態で更にエネルギ回生を行ってしまうと、蓄電装置は過充電状態となり、その耐久性の低下等を招きかねない。したがって、蓄電装置が満充電状態に至った後は、例えばアイドリングストップ中等において、前記車両等に搭載される空気調和機(エアコン)のコンプレッサを駆動したり、ウォータポンプやパワーステアリング用のポンプを駆動するなどして、該蓄電装置の電気エネルギの消費を図る構成が知られている。
【0006】
また、特許文献2においては、やはり蓄電装置が満充電状態にあるときには、モータで発生する回生電力を、エンジンの燃料から発生した蒸発燃料を吸着するキャニスタに付設されたヒータに供給するという技術が提案されている。特許文献2では、これにより、蓄電装置が満充電状態にあるときにも回生制動を実行することが可能となるとし、回生制動に代わる油圧制動等を実施することに伴い発生する燃料消費量の増大や、回生制動時及び油圧制動時間の制動フィーリングの変化等を防止することができるとする。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−195069号公報
【特許文献2】
特開11−343890号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のハイブリッド型の動力出力装置においては次のような問題点がある。すなわち、上述のように、満充電状態にある蓄電装置に対しそれ以上の充電を行わないために、回生制動を行えず、他のブレーキ機構に対する負担が増大する。これに対して例えば、回生制動を敢えて行おうとすれば、蓄電装置の過充電状態を発生させることになりかねない。或いは、例えば満充電状態にある場合に回生制動から油圧制動に切り替えようとすれば、前記特許文献2で指摘されているように、それを実施するための燃料消費の増大が生じたり、回生制動時及び油圧制動時間の制動フィーリングの変化等を生じさせるという問題点がある。
【0009】
他方で、前記車両等が減速中等のエンジンの負荷軽減中におけるエネルギ回生時、即ち充電時には、一般にエンジンへの燃料供給は停止され、エンジンは完全に停止した状態にある。このため、その後にアクセルが踏み込まれるなどしてエンジンを再び始動させる場合においては、当該始動の時点における車両等の運動のスムースさが損なわれ、或いはもたつきを生じさせるとともに、車両等の搭乗者に該エンジンの始動による振動等を伝えてしまうという難点がある。これは、前記始動を、該エンジンが完全に停止した状態から行わなければならないからであり、エンジン回転数への持ち上げに時間がかかるためである。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、蓄電装置の過充電の発生を防止するとともに、発進等がスムースに行われ、且つ、当該時点における車両等の乗り心地を向上可能なハイブリッド型の動力出力装置及びその制御方法並びにハイブリッド車両を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の動力出力装置は、上記課題を解決するため、車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置であって、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能である第1電気手段と、前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2電気手段と、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段とを備えている。
【0012】
本発明の第1の動力出力装置によれば、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段が備えられており、該制御手段は、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、これら各要素を制御することが可能となっている。
【0013】
これによれば、当該動力出力装置が、例えば前記駆動輪のほか、アクセル装置及びブレーキ装置等を備えた車両に搭載されている場合において、前記アクセル装置がOFFとされている場合、或いは前記ブレーキ装置がONとされている場合等の減速時、すなわち本来であればエンジンが停止されている期間、該エンジンは、蓄電装置から電源が供給されて駆動される第1電気手段によって回転させられることになる。これにより、該蓄電装置の蓄電量は迅速に減少していくことになり、その分だけ第2電気手段で発電可能となる発電量に応じて回生制動の利用が可能となる。
【0014】
また、前述の作用によれば、第1電気手段からエンジンに動力が出力されるので、駆動軸との結合度が低下された状態にあるエンジンを動かし続けておくことができる。したがって、これに引き続き、前記アクセル装置がONとされるとき等には、エンジンは所定の回転数で既に回転していることになるから、該エンジンの回転数の持ち上げ時間は低減され、該エンジンの始動(ここにいう「始動」とは、エンジンが自立運転を始めることを意味する。以下、特に断りがない限り同じ。)はスムースに行われることになる。このようなことから、本発明によれば、エンジンの始動を原因とする振動等を車両等の搭乗者に伝えるようなことも殆どなく、乗り心地を良好に維持することが可能となる。
【0015】
なお、本発明にいう「第1所定蓄電量」とは、例えば前記蓄電装置の許容充電量一杯に該当する蓄電量、すなわち満充電状態に該当する蓄電量とするとよい。或いは、この「第1所定蓄電量」とは、該蓄電装置の許容充電量よりも若干手前の蓄電量に一致するなどとしてもよい。この場合においては、該蓄電装置の過充電状態を引き起こすような可能性はより低減されることになる。
【0016】
また、本発明にいう「第1電気手段」の具体的態様としては、例えばモータ、或いはモータジェネレータ等、同じく「第2電気手段」の具体的態様としては、例えば単なるジェネレータ、或いはモータジェネレータ等が該当し得る。
【0017】
本発明の第1の動力出力装置の一態様では、前記第1電気手段は更に、前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能であり且つ前記蓄電装置を充電可能である第1電動発電手段からなる。
【0018】
この態様によれば、第1電気手段は、いわゆるモータジェネレータ等の第1電動発電手段からなるから、第一には、例えばエンジン等から動力の伝達を受けさせることで、この第1電動発電手段により、発電及び充電を行うことができ、第二には、該第1電動発電手段からエンジン或いはそれ以降のドライブシャフト等に動力を伝達することで、該エンジンのアシストを行うことができる。
【0019】
本発明の第1の動力出力装置の他の態様では、前記第2電気手段は更に、前記車両の駆動輪を駆動可能である第2電動発電手段からなる。
【0020】
この態様によれば、第2電気手段は、いわゆるモータジェネレータ等の第2電動発電手段からなる。そして、本態様では、該第2電動発電手段から駆動輪に動力が伝達可能であるから、本発明に係る車両全体から見て、その走行のアシストが行われ得ることになり、したがって結果的に、エンジンのアシストが行われ得ることになる。
【0021】
本発明の第2の動力出力装置は、上記課題を解決するために、車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置であって、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能であると共に前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能である第1電気手段と、少なくとも前記第1電気手段により充電可能であると共に前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、前記車両の駆動輪を駆動可能であると共に前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な第2電気手段と、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段とを備えている。
【0022】
本発明の第2の動力出力装置によれば、前述の本発明の第1の動力出力装置により奏された作用効果と略同様な作用効果を得ることができる。特に、本発明の第2の動力出力装置では、蓄電装置は、主に第1電気手段によって充電される。そして、第1電気手段により充電された電気は、第1電気手段によるエンジンに対する動力の出力によって使用されるので、充電量が低下した後には、第1電気手段による充電が再び可能となる。加えて、この充電動作に伴う第1電気手段による回生制動も実行可能となる。他方、蓄電装置は、第2電気手段によって補助的に充電されてもよいし、或いは充電されなくてもよい。蓄電装置が第2電気手段によって充電されない場合には、第2電気手段による回生制動に伴って発生する逆起電力は、補機類の駆動に用いられてもよいし、他の蓄電装置に蓄積されてもよいし、破棄されてもよい。いずれにせよ、車両の減速時における第2電気手段による回生制動は、第1電気手段による蓄電装置の過充電を招くことなく、実行可能である。
【0023】
本発明の第2の動力出力装置において、第1電気手段は、発電機及び発動機双方の機能を発揮しうるものとされている。これの具体的態様としては、例えばモータジェネレータ等が該当し得る。他方、第2電気手段は、少なくとも発動機の機能を有し、モータ又はモータジェネレータ等が該当しえる。これが、モータであっても、その充電機能は別にして、逆起電力の発生により減速時における回生制動が可能である。
【0024】
本発明の第1又は第2の動力出力装置の他の態様では、前記制御手段は、前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記第1電気手段の動力を用いて前記エンジンをアイドル回転数で回転させるように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御する。
【0025】
この態様によれば、エンジンはアイドル回転数で制御されることにより、蓄電装置の電気エネルギ等の適度な消費が可能となる。
【0026】
本発明の第1又は第2の動力出力装置の他の態様では、前記伝達手段は、前記エンジンに接続される変速装置を備えてなり、前記制御手段は、前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記第1電気手段の動力を用いて前記エンジンを前記変速装置の状態に応じて定まる回転数で回転させるように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御する。
【0027】
この態様によれば、まず、エンジンには、該エンジンの駆動輪に対する動力伝達の態様を変化させる変速装置が備えられている。この変速装置としては、例えばMT(Manual Transmission;マニュアルトランスミッション)、AT(Automatic Transmission;オートマチックトランスミッション)及びCVT(Continuously Variable Transmission)等を採用し得る。
【0028】
そして本態様では特に、前記制御手段は、第1電気手段の動力を用いてエンジンを回転させる際において、該エンジンを、前記変速装置の状態に応じて定まる回転数で回転させる。ここで「変速装置の状態」とは、具体的には例えば、前述したMT及びATについては歯車の組合せに係るその時々の状態を意味し、CVTについては、例えばベルト式CVTにあっては、該ベルトが懸けられるプーリの溝幅のその時々の大きさ等を意味することになる。言い換えれば、「変速装置の状態」とは「変速装置により定まる変速比」ともいえる。本態様では、このような状態に応じてエンジンの回転数が定まる。
【0029】
したがって、本態様によれば、前述したように、前記アクセル装置がOFFとされている場合、或いは前記ブレーキ装置がONとされている場合等の状態から、前記アクセル装置がONとされるときには、エンジンは、変速装置の状態に応じた回転数で既に回転していることにより、該エンジンの始動ないし駆動力発生を極めてスムースに行うことができる。
【0030】
本発明の第1又は第2の動力出力装置の他の態様では、前記制御手段は、前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以下である場合又は前記エンジンを回転させる制御後に、前記蓄電量が第1所定蓄電量よりも小さい第2所定蓄電量以下となった場合には、当該エンジンの回転を停止するように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御する。
【0031】
この態様によれば、減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以下である場合又は前記エンジンを回転させる制御後に、前記蓄電量が第1所定蓄電量よりも小さい第2所定蓄電量以下となるときに、当該エンジンの回転が停止される。これにより、これ以降、その回転を実行するためのエネルギは消費されなくなることから、蓄電装置における蓄電量が減少するということがない。すなわち、ここにいう第2所定蓄電量を適当に定めておけば、必要以上に蓄電装置の放電を進行させることがなく、該蓄電装置は、好適な蓄電量を維持することが可能となる。
【0032】
なお、この態様では、場合により、前記制御手段は、前記第2所定蓄電量を、当該ハイブリッド型の動力出力装置を搭載する車両の運行速度に応じて変化させるように構成するとよい。例えば、車両の運行速度が大きい場合には、第2電気手段による蓄電装置の充電は比較速やかに行われ得ることになるから、第2所定蓄電量を比較的小さく設定することができ、その逆の場合には、逆であることから、第2所定蓄電量を比較的大きく設定することができる。ただし、例外的に、第2所定蓄電量の大小を、この逆の場合に設定するようにしてよい。
【0033】
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様によれば、前記動力は、補機類の駆動にも用いられる。
【0034】
この態様によれば、前記動力、すなわち第1電気手段からエンジンに対して出力される動力が、補機類の駆動にも用いられる。ここに補機類とは、当該動力出力装置を搭載する車両に装備される、例えば空気調和機(エアコン)のコンプレッサ、ウォータポンプやパワーステアリング用のポンプ、空気清浄機のモータ、更には前記蓄電装置とは別の蓄電装置(例えば、12V系のバッテリ)の充電等を指す。
【0035】
これにより、第1電気手段のエネルギの有効利用が可能となる。
【0036】
本発明の第1の動力出力装置の制御方法は、上記課題を解決するために、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能である第1電気手段と、前第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2電気手段とを備えた前記車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置を制御する制御方法であって、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御工程を備えている。
【0037】
本発明の第1の動力出力装置の制御方法によれば、上述した本発明の第1の動力出力装置を好適に運用することが可能となる。
【0038】
本発明の第2の動力出力装置の制御方法は、上記課題を解決するために、エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能であると共に前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能である第1電気手段と、少なくとも前記第1電気手段により充電可能であると共に前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、車両の駆動輪を駆動可能であると共に前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な第2電気手段とを備えた前記車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置を制御する制御方法であって、前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御工程とを備えている。
【0039】
本発明の第2の動力出力装置の制御方法によれば、上述した本発明の第2の動力出力装置を好適に運用することが可能となる。
【0040】
本発明のハイブリッド車両は、上記課題を解決するために、前述の本発明の第1又は第2の動力出力装置(但し、その各種態様を含む。)と、該動力出力装置が搭載される車両本体と、該車両本体に取り付けられると共に前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪とを備えている。
【0041】
本発明のハイブリッド車両によれば、蓄電装置の過充電の発生が防止さるとともに、発進等がスムースで且つ当該時点における当該ハイブリッド車両の乗り心地が向上されたハイブリッド車両を提供することができる。
【0042】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明のハイブリッド型の動力出力装置を図1に示すようなハイブリッド車両に適用したものであり、更に、本発明に係る動力出力装置の制御方法は、当該ハイブリッド車両において実行されるものである。
【0044】
(ハイブリッド車両の基本構成及び動作)
先ず、本実施形態のハイブリッド車両の構成について図1を用いて説明する。ここに図1は、本実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【0045】
図1において、本実施形態のハイブリッド車両の動力系統は、エンジン150、第1電気手段及び第2電気手段の一例を構成するモータジェネレータMG1及びMG2、これらのモータジェネレータMG1及びMG2を夫々駆動する駆動回路191及び192、これらの駆動回路191及び192を制御する制御ユニット190、並びにエンジン150を制御するEFIECU(Electrical Fuel Injection Engine Control Unit)170等を備えて構成されている。
【0046】
本実施形態におけるエンジン150は、例えばガソリン等の燃料がシリンダ内に直接噴射される形式の直噴式ガソリンエンジンを採用可能である、その場合、該エンジン150は、ガソリン燃料をシリンダ内に噴射するための燃料噴射弁(高圧式インジェクタ)、シリンダ内に噴射されたガソリンと吸入された空気とによって形成される混合気に点火するための点火プラグ等を備えている。
【0047】
エンジン150は、ドライブシャフト158を回転させる。このドライブシャフト158には、クランクシャフト156が接続されていない側の一端に、デファレンシャルギア156DFが接続されている。このデファレンシャルギア156DFには更に、後輪側のタイヤTR1及びTR2が接続されている。また、エンジン150とデファレンシャルギア156DFの間には、本発明にいう「変速装置」の一例たるオートマチックトランスミッション(以下、「AT」と略す。)152が設けられている。これにより、エンジン150で発生した動力は、AT152で適当な変速を受けた後、ドライブシャフト158、デファレンシャルギア156DFを介して、タイヤTR1及びTR2に伝達されるようになっている。
【0048】
なお、AT152内には、エンジン150とドライブシャフト158との結合度の調整が可能なクラッチが設けられている。また、AT152とエンジン150との間には、図示しない流体式等の形式となるトルクコンバータ並びに始動用リングギア及び該ギアに係合可能な出力軸を備えた始動用モータ等が設けられ得る。
【0049】
また、このドライブシャフト158にはクランクシャフト156が接続されており、該クランクシャフト156の一端(図中上端)にはクランクシャフトプーリ156Pが備えられている。
【0050】
このようなエンジン150の運転は、EFIECU170により制御されている。EFIECU170は、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラム、並びに、図示しないアクセルペダルのON・OFF信号等に従い、エンジン150の燃料噴射量や回転速度その他の制御を実行する。図示を省略したが、これらの制御を可能とするために、EFIECU170にはエンジン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。
【0051】
他方、モータジェネレータMG1及びMG2は、同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える(図1において、これらロータ及びステータはいずれも不図示)。モータジェネレータMG1及びMG2のステータに巻回された三相コイルは、それぞれ駆動回路191及び192を介してバッテリ194に接続されている。ここに駆動回路191及び192は、図示されないが、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備えたトランジスタインバータを含む。これら駆動回路191及び192は、より大きな構成であるモータ制御ユニット19Mに含まれる。
【0052】
このモータ制御ユニット19Mは、制御ユニット190に接続されている。制御ユニット190からの制御信号によって、モータ制御ユニット19M内の駆動回路191及び192のトランジスタがスイッチングされると、バッテリ194とモータジェネレータMG1及びMG2との間に電流が流れる。また、モータ制御ユニット19Mには、電圧電流センサ19S、DC/DCコンバータ19Cが設けられている。このうち電圧電流センサ19Sは、バッテリ194の充電状態を確認する。また、DC/DCコンバータ19Cは、低電圧バッテリ194Sに接続されている。このDC/DCコンバータ19Cは、バッテリ194の電圧又はモータジェネレータMG1によって発電された電力の電圧を降圧する役割を果たし、低電圧バッテリ194Sの充電を実現する。なお、この低電圧バッテリ194Sとしては、例えば12V仕様のものを採用することができる。これに対して、バッテリ194としては、例えば36V仕様のものを採用することができる。
【0053】
本実施形態においては特に、前記のモータジェネレータMG1及びMG2のうち、モータジェネレータMG1は、図1に示すように、ベルト300を介してエンジン150と機構的な連係が図られている。すなわち、モータジェネレータMG1のプーリMG1Pにはベルト300が懸架され、該ベルト300は前記クランクシャフトプーリ156Pに懸架されている。
【0054】
また、ドライブシャフト158には、電磁クラッチ160が設けられており、モータジェネレータMG1及びエンジン150間の動力伝達を断絶することが可能となっている。この電磁クラッチ160は、例えば湿式他板式であり、図示しないクラッチプレートとフライホイールとを備えている。なお、該電磁クラッチ160は、図1に示すようにクランクシャフトプーリ156Pとは別に設けられてもよいし、該クランクシャフトプーリ156P内に内蔵されていてもよい。
【0055】
他方、モータジェネレータMG2は、前輪側のタイヤTF1及びTF2に駆動軸TMSを介して接続されている。そして、モータジェネレータMG2は、バッテリ194からその電気エネルギの供給を受け得るようになっている。これにより、タイヤTF1及びTF2は、モータジェネレータMG2の直接的なアシストを受けて回転することが可能となっている。
【0056】
また、これらタイヤTF1及びTF2には、例えば油圧制動式のブレーキシステム180が付設されているとともに、該ブレーキシステム180には、ブレーキ制御ユニット172が接続されている。ブレーキ制御ユニット172には、図示しないブレーキペダルのON・OFF信号が伝えられ、これを受けた該ユニット172は、当該ON・OFF信号に応じて前記ブレーキシステム180を制御する。タイヤTF1及びTF2には、これによりその回転を停止させるような力が作用する。本実施形態においては、この際特に、タイヤTF1及びTF2が駆動軸TMSを介してモータジェネレータMG2と結合されていることによって、回生制動を行うことができる。この場合更に、タイヤTF1及びTF2の回転につられて回転するモータジェネレータMG2は発電を行うこととなり、これにより生じた電気エネルギは、バッテリ194に蓄えられていくことになる。すなわち、回生が行われるのである。
【0057】
次に以上の如く構成された本実施形態のハイブリッド車両の動力系統における動作について説明する。
【0058】
本実施形態に係るハイブリッド車両では、前述したエンジン150、モータジェネレータMG1及びMG2の協働的な動作が行われることになるが、該動作の態様は、該車両の状態(例えば、発進時、通常走行時等)に併せて適宜変化する。
【0059】
第一に、ハイブリッド車両が停車中においては、基本的に、エンジン150及びモータジェネレータMG2は停止状態にある。ただし、この場合、モータジェネレータMG1は、バッテリ194の電気エネルギを利用することで回転してよく、この場合、電磁クラッチ160が断絶状態にあるときには、後述するエアコン、或いはパワーステアリング用ポンプ等の補機類を動作させることが可能である。
【0060】
第二に、ハイブリッド車両の発進時においては、運転者がブレーキペダルから足を離す(即ち、ブレーキ信号がOFFとされる)と同時に、電磁クラッチ160が接続された状態にされ、モータジェネレータMG1とエンジン150との間に機構的連係が図られた状態とされる。これにより、バッテリ194の電気エネルギを用いて駆動されるモータジェネレータMG1は電動機として機能することになり、その動力は、まずエンジン150に伝達されて、該エンジン150をアイドル回転数付近まで回転させてエンジン150の始動を可能とする他、場合により、クランクシャフト156からデファレンシャルギア156DF並びにタイヤTR1及びTR2まで伝達されて、これらを駆動する。一方で、モータジェネレータMG2に対してもバッテリ194の電気エネルギは供給され、これにより、タイヤTF1及びTF2もモータジェネレータMG2によって、駆動される。このように、本実施形態に係るハイブリッド車両では、その発進時、基本的にはモータジェネレータMG1及びMG2で発生した動力によって、或いはエンジン150の駆動力をモータジェネレータMG1及びMG2の駆動力でアシストすることにより、車両の運動が実現されることになる。なお、アクセルペダルが踏下されると、エンジン150の自立運転(燃焼を伴い自分で回転する運転)が開始されることになる。
【0061】
第三に、ハイブリッド車両の通常走行時においては、該ハイブリッド車両は、エンジン150で発生した動力のみでもって、或いはエンジン150の駆動力をモータジェネレータMG1及びMG2の駆動力でアシストすることにより走行を行うことになる。或いは、バッテリー194の充電量が満充電に近い場合には、モータジェネレータMG1及びMG2の駆動力を積極的に使用することでもって、走行を行うことになる。このとき、電磁クラッチ160は接続又は断絶された状態にされ、モータジェネレータMG1とエンジン150との間に機構的連係は、図られた又は図られていない状態とされる。前者の場合は、バッテリ194の電圧が低下したときに採られ、モータジェネレータMG1は、エンジン150から回転動力の供給を受けて回転し、発電機として機能することになる。この場合、モータジェネレータMG1で発生した電気エネルギは、バッテリ194に蓄えられていくことになる。なお、このようなことが続けて又は断続的に行われると、バッテリ194はやがて満充電状態、或いはこれに近い状態に至るが、そのような場合において、本実施形態では、以下に記す「バッテリ満充電状態における処理」で述べるような特徴的な処理を実施する。詳細は、後に述べる。
【0062】
一方、後者の場合、すなわちハイブリッド車両の通常走行時において、モータジェネレータMG1及びエンジン150間の機構的連係が図られていない状態は、むしろ通常状態である。ただし、後に述べるハイブリッド車両の制動時においては、電磁クラッチ160が接続状態にされることで、エンジン150からモータジェネレータMG1に対する動力の伝達が可能とされる。
【0063】
他方で、上述のような二つの場合において、図1に示すハイブリッド車両では、モータジェネレータMG2にバッテリ194の電気エネルギを供給することにより、該モータジェネレータMG2を駆動するとともにタイヤTF1及びTF2を駆動させることが可能である。この場合、タイヤTR1及びTR2はエンジン150によって駆動されるから、四輪駆動されている状態が実現されることになる。このような運転状態は、当該ハイブリッド車両を、高負荷運転、或いは高速運転させる必要があるときなどに行われる。
【0064】
第四に、ハイブリッド車両の制動時においては、タイヤTR1及びTR2の回転が、AT152及びエンジン150を介してモータジェネレータMG1に伝達され、該モータジェネレータMG1は、これにより発電機として機能する。この状態は、いわゆる回生制動がかけられている状態に該当する。そして、このモータジェネレータMG1で生み出された電気エネルギは、バッテリ194に充電されることになる。
【0065】
また、このハイブリッド車両の制動時においては、タイヤTF1及びTF2の回転が、駆動軸TMSを介してモータジェネレータMG2に伝達され、該モータジェネレータMG2は、これにより発電機として機能する。この状態もまた、回生制動がかけられている状態に該当する。そして、このモータジェネレータMG2で生み出された電気エネルギは、バッテリ194に充電されることになる。
【0066】
ただし、本実施形態においては、上述の回生制動時におけるバッテリ194の充電によって、該バッテリ194がやがて満充電状態、或いはこれに近い状態に至った時には、既述したように後記の特徴的な処理を実施する。
【0067】
続いて、制御ユニット190による制御動作について図1を参照して説明する。
【0068】
図1において、本実施形態の動力出力装置の運転全体は、制御ユニット190により制御されている。制御ユニット190は、EFIECU170と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータである。制御ユニット190は、前述したEFIECU170、モータ制御ユニット19M及びブレーキ制御ユニット172と接続されており、両者は種々の情報を伝達し合うことが可能である。
【0069】
制御ユニット190は、エンジン150の制御に必要となるトルク指令値や回転数の指令値などの情報をEFIECU170に送信することにより、エンジン150の運転を間接的に制御可能に構成されている。また、制御ユニット190は、モータジェネレータMG1及びMG2の制御に必要となる前記駆動回路191及び192の駆動信号などの情報をモータ制御ユニット19Mに送信することにより、モータジェネレータMG1及びMG2の運転を間接的に制御可能に構成されている。さらに、制御ユニット190は、ブレーキシステム180の制御に必要となる油圧等の情報をブレーキ制御ユニット172に送信することにより、ブレーキシステム180の運用を間接的に制御可能に構成されている。
【0070】
制御ユニット190は、このようにして動力出力装置全体の運転を制御する。かかる制御を実現するために制御ユニット190には、種々のセンサ、例えば、ドライブシャフト158の回転数を知るためのセンサなどが設けられている。加えて更に、制御ユニット190には、図示しないアクセルペダルの踏下の有無、或いはブレーキペダルの踏下の有無等に関する信号が供給されるようになっており、当該ハイブリッド車両に対する運転者の要求が伝達されるようになっている。
【0071】
(バッテリ満充電状態における処理)
以下では、本発明に係る制御手段を構成する制御ユニット190、EFIECU170、ブレーキ制御ユニット172及びモータ制御ユニット19Mにより実施される、バッテリ194の充電を続行するのが不適当な場合におけるモータジェネレータMG1等の運用方法(以下、「満充電時処理」ということがある。)について、図2及び図3を参照して説明する。ここに図2は、バッテリ194の充電を続行するのが不適当な場合におけるモータジェネレータMG1の運用方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、図3は、図2に示す処理を実施した場合にみられる車速、ブレーキ、アクセル、バッテリ、モータジェネレータ及びエンジンの動作状態の遷移を示す説明図である。
【0072】
図2においてはまず、当該ハイブリッド型の動力出力装置は通常走行時であることが初期状態とされている。すなわち、上で述べたように、当該ハイブリッド車両は、エンジン150の動力のみにより走行しており、モータジェネレータMG1は動作していない状態となっている(ただし、これは通常状態である。)。
【0073】
このような初期状態において図2では、当該ハイブリッド車両が、現時点においてブレーキ制動中であるか否かが判断される(ステップS11)。これは、ブレーキペダルの踏下の有無に応じた、ブレーキ制御ユニット172を介するブレーキシステム180の作動の有無を基準に判断される。すなわち、ブレーキシステム180が作動している(ブレーキ制動中)と判断される場合には、モータジェネレータMG1の好適な運用を行うための新たなる処理へと進み(ステップS11からステップS12へ)、後者の場合には、満充電時処理を終了する(ステップS11からステップENDへ)。なお、ここでブレーキ制動中と判断されるときには、タイヤTF1及びTF2の回転につられてモータジェネレータMG2が回転していることにより、該モータジェネレータMG2は発電機として機能し、これにより生じた電気エネルギは、バッテリ194に蓄えられていくことになる。
【0074】
このステップS11において、ブレーキシステム180が作動している場合は当該ハイブリッド車両が減速中ということを意味するから、その場合における車速は、図3(a)に示すように、時間の経過に応じて次第に小さくなっていくことになる。また、この際、ブレーキ信号は、図3(b)に示すようにONとなる。さらに、この場合においては、エンジン150は、図3(f)に示すように、燃料供給が停止され且つ点火も停止されて、自立的な燃焼を止めた停止状態になる。
【0075】
さて次に、バッテリ194の充電状態が確認される(ステップS12)。具体的には、図1に示したモータ制御ユニット19Mに含まれる電圧電流センサ19Sの計測結果によって、バッテリ194が満充電状態にあるか否かが判断される。そして、前者の場合には、AT152内の図示しないクラッチを適当に調整することにより、エンジン150とドライブシャフト156との結合度を低下させると共に、モータジェネレータMG1の好適な運用を行うための新たなる処理へと進み(ステップS12からステップS13へ)、後者の場合には、満充電時処理を終了する(ステップS12からステップENDへ)。
【0076】
なお、上においては、バッテリ194が「満充電状態にあるか否か」が判断されるようになっていたが、本発明においては、より広く、該バッテリ194における蓄電量が、或る所定蓄電量(本発明にいう「第1所定蓄電量」に該当する。)以上であるか否かという判断を行うようにしてもよい。すなわち、バッテリ194の現在の蓄電量がSOCであり、満充電状態にかかる蓄電量がCFであるとした場合に、前記ステップS12において、厳密に「SOC=CF?」を判断の基準としてよいことは勿論、前記の所定蓄電量をCE(<CF)とした場合に、「SOC>CE?」を判断の基準としてもよい。この場合、所定蓄電量CEは、バッテリ194が必ずしも満充電状態にあるとは限らないが、該バッテリ194に対し、もはやこれ以上の充電を行うことが好ましくないという意味を有する数値となる。バッテリ194の過充電を回避するためには、むしろ後者の処理の方がより好ましいといえる。
【0077】
以上のように、当該ハイブリッド車両がブレーキ制動中であり(ステップS11)、且つ、バッテリ194が満充電状態、或いはこれに近い状態にあるときには、続いて、該バッテリ194の電気エネルギを用いてモータジェネレータMG1が駆動される(ステップS13(1))。そして更に、このモータジェネレータMG1の動力は、電磁クラッチ160が接続されることにより、現時点において自立的な燃焼を止め停止状態にあるエンジン150に伝達されることになる。これにより、エンジン150は、モータジェネレータMG1の動力を借りて回転することになる(ステップS14)。この場合、好ましくは例えば、図2のステップS14に示すように、該エンジン150をアイドル回転数で回転させるのがよい。ここにアイドル回転数とは、例えば、エンジン150内部で、ピストンがシリンダ内を摺動し、且つクランクシャフトが回転すること等により生じるフリクションと、これらの動作により外部へ導出されるトルクとが釣り合った状態における回転数などと定義することが可能である。
【0078】
以上のような処理により、本実施形態においては、次のような作用効果が得られることになる。
【0079】
第一に、バッテリ194が満充電状態、或いはこれに近い状態にあるときには、該バッテリ194の電気エネルギが用いられて、モータジェネレータMG1、ひいてはエンジン150が回転されることにより、バッテリ194の充電量を減少させることができる。すなわち、バッテリ194の満充電状態等を解消することができる。また、このことは同時に、当該状態において、バッテリ194に対する充電が行われないことを意味するから、該バッテリ194が過充電によって耐久性が低下すること等がない。
【0080】
更に、本実施形態においては、タイヤTF1及びTF2並びにモータジェネレータMG2による回生制動が同時に行われていることに加えて、上述のようにモータジェネレータMG1及びエンジン150によるバッテリ194の電気エネルギの消費が行われたとしても、このモータジェネレータMG2に起因する回生によって、バッテリ194における電気エネルギを無用に消費するわけではない。
【0081】
第二に、前述のように、バッテリ194の電気エネルギが用いられて、モータジェネレータMG1が駆動され、エンジン150がアイドル回転数で回転させられることにより、このような状態の開始以後、アクセルがONとされ、再びエンジン150を始動させる必要が生じたときには、該エンジン150の始動を非常にスムースに行うことができる。
【0082】
例えば、図3に示すように、車速が次第に減少していく途中で、ブレーキがOFFとされるとともに(図3(b))、アクセルがONとされ(図3(c))、車速が増加に転じた場合(図3(a))、エンジン150は再び始動を開始することになるが(図3(f)、なお、上述の「ハイブリッド車両の発進時」に関する説明参照。)、この際における当該始動は、その前段階における「エンジン停止」状態においてもアイドル回転数が維持されていることにより、これをスムースに行うことができるのである。
【0083】
ちなみに、このような作用効果をより好適に得るためには、「エンジン停止」状態における、モータジェネレータMG1によるエンジン150の回転数を、AT152の状態に応じて定めるようにするとよい。例えば、AT152が1速乃至6速であれば、エンジン150の回転数をN1乃至N6等と個別に定めておくのである。これによれば、「エンジン停止」状態において、該エンジン150は、AT152の状態に応じた回転数で既に回転していることにより、該エンジン150の始動ないし駆動力発生を極めてスムースに行うことができる。
【0084】
なお、上述の図2のステップ13においては、バッテリ194の電気エネルギを用いて、モータジェネレータMG1及びエンジン150の駆動のみが行われる形態について説明したが、本実施形態においては、図2のステップS13に併せて示すように、モータジェネレータMG1及びエンジン150の駆動と同時に、満充電状態にあるバッテリ194の電気エネルギを用いて、前記ハイブリッド車両に搭載されキャビン内を暖房・冷房するための空気調和機(エアコン)のコンプレッサ(ステップS13(2))、パワーステアリング用ポンプ(ステップS13(3))、或いは空気清浄機(ステップS13(4))、更には図2及び図1ともに図示されていないがウォータポンプ等の補機類を駆動するようにしてよい。
【0085】
この場合においては、前述のコンプレッサやポンプ等は、モータジェネレータMG1との間で機構的に連係されているようにするとよい。例えば、これらコンプレッサやポンプ等の入力軸と、モータジェネレータMG1のプーリMG1P又はこれとは別に該モータジェネレータMG1に付設されたプーリとの間で、ベルトを懸架しておくようにするとよい
更には、当該バッテリ194の電気エネルギは、図2のステップS13(5)、或いは図1に示すように、低電圧バッテリ194Sの充電に用いられていてもよい。
【0086】
このように、満充電状態にあるバッテリ194の電気エネルギを、エンジン150の回転のみに用いるのではなく、その他当該ハイブリッド車両を構成する各種の要素に利用すれば、当該バッテリ194の電気エネルギの有効利用を図ることができる。なお、本発明においては、補機類として、上記以外の要素が含まれていてもよいことは言うまでもない。
【0087】
また、図2において、当該ハイブリッド車両がブレーキ制動中であってバッテリ194が満充電状態にある場合には、該バッテリ194の電気エネルギを用いて、モータジェネレータMG1が駆動されることで、その電気エネルギが消費されるようになっているから、モータジェネレータMG2による回生が行われているとしても、バッテリ194の満充電状態、或いはこれに近い状態はやがて解消される可能性が高くなる。ところが、そのような状態が解消されたにもかかわらず、前述のようなモータジェネレータMG1の駆動が続行されると、バッテリ194の電気エネルギを無用に消費してしまうおそれがある。
【0088】
そこで、本実施形態においては、上述の処理に併せて、図4に示すような処理を実行するとよい。ここに図4は、バッテリ194の蓄電量が無用に消費されないようにするため、図2のステップS13及びステップS14の実施中にこれと併せて実行すると好ましい処理の流れのフローチャートである。
【0089】
この図4においてはまず、バッテリ194の電気エネルギを用いながら行われているモータジェネレータMG1の駆動、ひいてはエンジン150等の回転の実施中に、該バッテリ194の蓄電量が逐次どの程度になったかを確認する(ステップS21)。
【0090】
次に、ステップS21で確認されたバッテリ194の蓄電量が、予め定められた所定蓄電量AC2(本発明にいう「第2所定蓄電量」に該当する。)以下となるか否かを確認する(ステップS22)。そして、バッテリ194の現時点における蓄電量SOCが、所定蓄電量AC2以下となる場合においては、バッテリ194の電気エネルギを用いたモータジェネレータMG1及びエンジン150等の駆動を停止するとともに当該変形形態に係る処理を終了し(ステップS23及びステップEND)、そうでなければステップS21に戻る(ステップS22からステップS21)。
【0091】
このような処理を実施すれば、バッテリ194の蓄電量が相当程度低下しているにもかかわらず、その電気エネルギを用いたモータジェネレータMG1及びエンジン150の運転が延々と続行するという事態を未然に回避することができるから、当該電気エネルギの無駄な消費がなく、したがってまた、バッテリ194における蓄電量を好適に維持することができる。
【0092】
さらに、上記実施形態においては、ハイブリッド型の動力出力装置として、図1に示すような構成、すなわちモータジェネレータMG1及びエンジン150が、ベルト300を介して動力を伝達しあう構成を有する場合について説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、図5に示すように、モータジェネレータMG11及びMG21とエンジン150とが、ベルト300で機構的に連係されているのではなく、両者の間にプラネタリギア120を介することで、機構的な連係が図られる形態を採用してもよい。
【0093】
ちなみに、この場合の図5における前記プラネタリギア120は、遊星歯車とも呼ばれ、以下に示す夫々のギヤに結合された3つの回転軸を有している。プラネタリギヤ120を構成するギヤは、中心で回転するサンギヤ121、サンギヤの周辺を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ123、及びその外周で回転するリングギヤ122である。そして、図5におけるプラネタリギア120は、そのプラネタリピニオンギア123にエンジン150が接続されるとともに、サンギア121にモータジェネレータMG11が接続され、且つ、リングギア122にモータジェネレータMG21が接続された形態となっている。そして、このリングギア122の回転は、チェーンベルト129を介して駆動軸112、更に車輪116R及び116Lに伝達される。
【0094】
なお、図5において、モータジェネレータMG11及びMG21は、それぞれ、ロータ132及び142並びにステータ133及び143を備え、このうちステータ133及び143はケース119に固定されている。また、エンジン150のクランクシャフト156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸127に結合されている。さらに、リングギア122とモータジェネレータMG21との結合は、リングギア軸126によりなされている。なお、その他、図5において、EFIECU及びエンジン、並びに駆動回路及び制御ユニット、更にはバッテリは、図1に示すのと実質的に同様な構成であり、同じ作用を発揮する。したがって、符号は図1に示されているもの(即ち、EFIECU170、エンジン150、駆動回路191及び192、制御ユニット190、バッテリ194)を援用している(なお、クランクシャフト156についても同様である。)
なお、上述の実施形態では、モータジェネレータ装置が同期電動機からなるモータジェネレータを複数備えてなるが、その少なくとも一部に代えて又は加えて、誘導電動機、バーニアモータ、直流電動機、超伝導モータ、ステップモータ等を用いることも可能である。
【0095】
上述の実施形態では、エンジン150としてガソリンにより運転される直噴型のガソリンエンジンを用いていたが、その他に、伝統的なポート噴射型のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、タービンエンジン、ジェットエンジン等の各種の内燃あるいは外燃機関を用いることができる。
【0096】
加えて、本発明の動力出力装置は、既存の若しくは現在開発中又は今後開発される各種パラレルハイブリッド方式や各種シリアルハイブリッド方式の車両にも適用してもよい。
【0097】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う動力出力装置及びその制御方法、ハイブリッド車両もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る動力出力装置等によれば、例えば制動時に、蓄電手段の電気エネルギを用いて駆動される外的動力付与手段の動力がエンジンに伝達されることで、該蓄電装置の過充電の発生を防止するとともに、発進等がスムースに行われ、且つ、当該時点における車両等の乗り心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【図2】バッテリの充電を続行するのが不適当な場合におけるモータジェネレータの運用方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す処理を実施した場合にみられる車速、ブレーキ、アクセル、バッテリ、モータジェネレータ及びエンジンの動作状態の遷移を示す説明図である。
【図4】バッテリの電気エネルギを使いつづけることが不適当な場合における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態のハイブリッド車両における動力系統のブロック図である。
【符号の説明】
150…エンジン
170…EFIECU
172…ブレーキ制御ユニット
180…ブレーキシステム
190…制御ユニット
194…バッテリ
19M…モータ制御ユニット
19S…電流電圧センサ
MG1、MG2…モータジェネレータ
Claims (11)
- 車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置であって、
エンジンと、
該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、
前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能である第1電気手段と、
前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、
前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2電気手段と、
前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする動力出力装置。 - 前記第1電気手段は更に、前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能であり且つ前記蓄電装置を充電可能である第1電動発電手段からなることを特徴とする請求項1に記載の動力出力装置。
- 前記第2電気手段は更に、前記車両の駆動輪を駆動可能である第2電動発電手段からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の動力出力装置。
- 車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置であって、
エンジンと、
該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、
前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能であると共に前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能である第1電気手段と、
少なくとも前記第1電気手段により充電可能であると共に前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、
前記車両の駆動輪を駆動可能であると共に前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な第2電気手段と、
前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする動力出力装置。 - 前記制御手段は、
前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記第1電気手段の動力を用いて前記エンジンをアイドル回転数で回転させるように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の動力出力装置。 - 前記伝達手段は、前記エンジンに接続される変速装置を備えてなり、
前記制御手段は、
前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記第1電気手段の動力を用いて前記エンジンを前記変速装置の状態に応じて定まる回転数で回転させるように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の動力出力装置。 - 前記制御手段は、
前記減速時に、前記蓄電量が前記第1所定蓄電量以下である場合又は前記エンジンを回転させる制御後に、前記蓄電量が第1所定蓄電量よりも小さい第2所定蓄電量以下となった場合には、当該エンジンの回転を停止するように、前記伝達手段及び前記第1電気手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の動力出力装置。 - 前記動力は、補機類の駆動にも用いられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の動力出力装置。
- エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能である第1電気手段と、前第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、車両の減速時に前記車両の回生制動可能な且つ該回生制動に伴う発電によって前記蓄電装置を充電可能な第2電気手段とを備えた前記車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置を制御する制御方法であって、
前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御工程を備えたことを特徴とする動力出力装置の制御方法。 - エンジンと、該エンジンの動力を一の駆動軸に選択的に伝達すべく該一の駆動軸に対する前記エンジンの結合度を可変とする伝達手段と、前記伝達手段を介することなく前記エンジンに対して動力を出力可能であると共に前記エンジンの駆動力の一部を用いて発電可能である第1電気手段と、少なくとも前記第1電気手段により充電可能であると共に前記第1電気手段に対して電源供給可能な蓄電装置と、車両の駆動輪を駆動可能であると共に前記車両の減速時に前記車両の回生制動可能な第2電気手段とを備えた前記車両に搭載されるハイブリッド型の動力出力装置を制御する制御方法であって、
前記減速時に、前記蓄電装置における蓄電量が第1所定蓄電量以上となった場合には、前記結合度を低下させると共に前記エンジンに対して前記動力を出力するように、前記蓄電装置、前記伝達手段及び前第1電気手段を制御する制御工程と
を備えたことを特徴とする動力出力装置。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の動力出力装置と、
該動力出力装置が搭載される車両本体と、
該車両本体に取り付けられると共に前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪と
を備えたことを特徴とするハイブリッド車両。
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