JP2004142514A - 電動駐車ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の走行中にドライバーが作動スイッチを押して駐車ブレーキが作動している間に、車輪がロックする可能性があると判断されたときにはロックの可能性がないと判断されるまで駐車ブレーキの制動力を低減するとともに、ロックの可能性がないと判断された以後はロックの可能性があると判断されたときの車体減速度GRFの90%の値を目標減速度Gtとして車両を減速する(d位置参照)。これにより、そのときの路面摩擦係数に応じた最大限の減速度で車両を減速することができ、特にサービスブレーキが故障した緊急時等に車両を効果的に制動することができる。なぜならば、ロックの可能性があると判断されたときの車体減速度GRFは、その路面摩擦係数において発生可能な最大限の制動力に対応しているからである。
【選択図】 図31
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータにより駐車ブレーキを作動および解除させる電動駐車ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スイッチ操作や車両停止状態の検出により電動モータを駆動して駐車ブレーキを作動あるいは解除させる電動駐車ブレーキ装置は従来公知であり、この種の電動駐車ブレーキ装置は、ブレーキペダルによって作動するサービスブレーキが故障したときのバックアップとして使用される場合がある(例えば、下記特許文献参照)。
【0003】
【特許文献】
特公平4−28576号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両が低摩擦係数の路面を走行しているときに電動駐車ブレーキ装置を作動させた場合、路面摩擦係数に対して制動力が過大になると車輪がロックする可能性がある。この場合、推定車体速度と車輪速度との比較により、つまり車輪のスリップ率によりロックの可能性を判断し、ロックの可能性があると判断されたときに電動駐車ブレーキ装置の制動力を弱める制御(アンチロックブレーキ制御)を行うことが考えられる。
【0005】
しかしながら、車両の走行中に電動駐車ブレーキ装置を作動させるのはサービスブレーキが故障した緊急時である場合があるため、仮に車輪のロックの可能性があると判断された場合でも、車輪のロックを確実に回避しながら、そのときの路面摩擦係数に応じた最大限の制動力を発生させることが望まれる。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、走行中の車両を電動駐車ブレーキ装置によって制動する場合に、車輪のロックを回避しながら最大限の制動力を発生させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、電動モータにより駐車ブレーキを作動および解除させる電動駐車ブレーキ装置において、車両の走行中にドライバーから駐車ブレーキを作動させる作動指示が出されて駐車ブレーキが作動しているときに、制動力が作用している車輪がロックする可能性の有無を判断し、ロックの可能性があると判断されたときにはロックの可能性がないと判断されるまで駐車ブレーキの制動力を低減するとともに、ロックの可能性がないと判断された以後はロックの可能性があると判断されたときの車体減速度に基づいて決定した目標減速度で車両を減速するように駐車ブレーキの制動力を制御することを特徴とする電動駐車ブレーキ装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、車両の走行中に駐車ブレーキを作動させたときにロックの可能性があると判断されたときには、ロックの可能性がないと判断されるまで駐車ブレーキの制動力を低減するので、車輪のロックを確実に回避することができる。しかも、ロックの可能性がないと判断された以後はロックの可能性があると判断されたときの車体減速度に基づいて決定した目標減速度で車両を減速するので、そのときの路面摩擦係数に応じた最大限の減速度で車両を減速することができ、特にサービスブレーキが故障した緊急時等に車両を効果的に制動することができる。なぜならば、最大の車体減速度は車輪と路面との間にある程度のスリップが発生して車輪がロック傾向にあるときに得られるものであり、従ってロックの可能性があると判断されたときの車体減速度に基づいて目標減速度を決定することにより、その路面摩擦係数における最大限の制動力を得ることができるからである。
【0009】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記目標減速度は、ロックの可能性があると判断されたときの車体減速度よりも所定量だけ小さい減速度であることを特徴とする電動駐車ブレーキ装置が提案される。
【0010】
上記構成によれば、ロックの可能性があると判断されたときの車体減速度よりも所定量だけ小さい減速度として目標減速度を決定するので、駐車ブレーキの制動力を前記目標減速度に基づいて増加させた際に車輪が再ロックに入り難くなり、制動力の減少および増加が繰り返されて安定した車体減速度が得られなくなるのを防止することができ、しかも車輪ブレーキの耐久性への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0011】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1または請求項2の構成に加えて、前記目標減速度で車両を減速するように駐車ブレーキの制動力を制御する間に、車体減速度が目標減速度を下回って駐車ブレーキの制動力を増加させるときには、ロックの可能性があると判断される前に駐車ブレーキの制動力を増加させる場合に比べ、制動力の増加速度を小さくすることを特徴とする電動駐車ブレーキ装置が提案される。
【0012】
上記構成によれば、車体減速度が目標減速度を下回って駐車ブレーキの制動力を増加させるとき、ロックの可能性があると判断される前に駐車ブレーキの制動力を増加させる場合に比べて制動力がゆっくりと増加するので、車体減速度が目標減速度をオーバーシュートして減速過剰になるのを防止することができ、安定した車体減速度を得るとともに車輪ブレーキの耐久性への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0013】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記作動指示はドライバーによる操作部材の操作に基づいて出され、前記目標減速度で車両を減速するように駐車ブレーキの制動力を制御する間に再度作動指示が出されたときには、前記目標減速度を作動指示の回数に応じて定めた値に置き換えることを特徴とする電動駐車ブレーキ装置が提案される。
【0014】
上記構成によれば、ドライバーの作動指示に基づいて車輪ブレーキが作動している間に再度作動指示が出されると、目標減速度を作動指示の回数に応じて定めた値に置き換えるので、ドライバーの意志に応じた目標減速度を設定することができる。その結果、例えばドライバーが前方の道路状況の変化を察知した結果に基づいて、制動力の増加が可能であると判断したような場合に、再度作動指示を出すことで車両を効果的に制動することができる。
【0015】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記作動指示はドライバーによる操作部材の操作に基づいて出され、前記目標減速度で車両を減速するように駐車ブレーキの制動力を制御する間に再度作動指示が出されたときには、前記目標減速度を増加させることを特徴とする電動駐車ブレーキ装置が提案される。
【0016】
上記構成によれば、ドライバーの作動指示に基づいて車輪ブレーキが作動している間に再度作動指示が出されると目標減速度が増加するので、ドライバーの意志に応じて目標減速度を増加させることができる。その結果、例えばドライバーが前方の道路状況の変化を察知した結果に基づいて、制動力の増加が可能であると判断したような場合に、再度作動指示を出すことで車両を効果的に制動することができる。
【0017】
尚、実施例の手動動作指示スイッチ23bは本発明の操作部材に対応し、実施例の後輪Wrは本発明の車輪に対応する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図31は本発明の一実施例を示すもので、図1は電動駐車ブレーキ装置を搭載した車両の平面図、図2は電動駐車ブレーキ装置の制御系の説明図、図3は手動動作指示スイッチの形状を示す図、図4は手動動作指示スイッチの回路図、図5は手動動作指示スイッチの操作および出力信号の説明図、図6および図7は手動動作指示スイッチ動作判定ルーチンのフローチャート、図8は電動駐車ブレーキ装置の分解斜視図、図9は電動駐車ブレーキ装置の制御のメインルーチンのフローチャート、図10は停止判定ルーチンのフローチャート、図11〜図14は自動動作ルーチンのフローチャート、図15および図16は自動作動ルーチンのフローチャート、図17は自動解除ルーチンのフローチャート、図18は自動解除2ルーチンのフローチャート、図19および図20は自動増引ルーチンのフローチャート、図21〜図23は手動動作ルーチンのフローチャート、図24および図25は手動作動ルーチンのフローチャート、図26は手動解除ルーチンのフローチャート、図27は路面の傾斜度から電動駐車ブレーキ装置の牽引力を検索するマップ、図28は路面の傾斜度からスロットル開度を検索するマップ、図29は走行中に作動スイッチを間欠的に押した場合の作用を示すタイムチャート、図30は走行中に作動スイッチを連続的に押した場合の作用を示すタイムチャート、図31は路面摩擦係数が小さい状態での走行中に作動スイッチを間欠的に押した場合の作用を示すタイムチャートである。
【0020】
図1に示すように、エンジンの駆動力が自動変速機を介して伝達される左右の後輪Wr,Wrにドラム式の駐車ブレーキ11,11が設けられており、運転席の横に配置された電動駐車ブレーキ装置12が左右のボーデンワイヤー13,13を介して前記駐車ブレーキ11,11に接続される。各々の駐車ブレーキ11はブレーキドラム14と、ブレーキドラム14の内周面に接触可能な一対のブレーキシュー15,16と、両ブレーキシュー15,16を連結する連結ロッド17と、一方のブレーキシュー15にピン18を介して一端を回転自在に支持されたレバー19とを備えており、レバー19の他端に前記ボーデンワイヤー13が接続される。
【0021】
従って、電動駐車ブレーキ装置12に設けた電動モータ24でボーデンワイヤー13を牽引すると、レバー19がピン18まわりに図中時計方向に回転して連結ロッド17に圧縮荷重が作用し、その荷重で他方のブレーキシュー16が図中左方向に押されてブレーキドラム14に押し付けられ、かつ連結ロッド17およびピン18を介して一方のブレーキシュー15が図中右方向に押されてブレーキドラム14に押し付けられ、駐車ブレーキ11が制動力を発生する。逆に、電動モータ24でボーデンワイヤー13を緩めると、図示せぬリターンスプリングの弾発力でブレーキシュー15,16がブレーキドラム14から離反して駐車ブレーキ11の制動力が解除される。
【0022】
図2に示すように、電源系21から給電されて電動駐車ブレーキ装置12の作動を制御する電動駐車ブレーキ装置ECU22には、電動駐車ブレーキ装置12の自動動作の許可および不許可を切り換える自動動作許可スイッチ23aと、手動により電動駐車ブレーキ装置12の作動および解除を指示する手動動作指示スイッチ23bと、イグニッションスイッチ23cと、回転方向を含む各車輪速度を検出する4個の車輪速度センサ23d…と、「P」(パーキング),「N」(ニュートラル),「D」(ドライブ),「R」(リバース)の各シフトポジションを検出するシフトポジションセンサ23eと、サービスブレーキのブレーキペダルがオンしたことを検出するブレーキスイッチ23fと、サービスブレーキのブレーキ油圧を検出するブレーキ油圧センサ23gと、スロットル開度を検出するスロットルセンサ23hと、Gセンサで構成されて車両の傾斜状態(路面の傾斜状態)を検出する傾斜センサ23iと、ポテンショメータで構成されて電動駐車ブレーキ装置12のボーデンワイヤー13,13のストローク量を検出するストロークセンサ23jとから信号が入力され、それらの信号に基づいて電動駐車ブレーキ装置12の駆動源である電動モータ24の作動と、ドライバーに電動駐車ブレーキ装置12が作動中であることを表示する作動ランプ23kの作動とが制御される。
【0023】
図3〜図5に示すように、手動動作指示スイッチ23bは自己復帰型の3位置切換スイッチであって、手を離した状態では常にオフ位置にあり、上端を押している間だけ電動駐車ブレーキ装置ECU22へオン信号を出力し、下端を押している間だけ電動駐車ブレーキ装置ECU22へオフ信号を出力する。
【0024】
手動動作指示スイッチ23bは、並列に配置された作動スイッチ41および解除スイッチ42を含み、更に作動スイッチ41は並列に配置された常開接点41aおよび常閉接点41bで構成されるとともに、解除スイッチ42は並列に配置された常開接点42aおよび常閉接点42bで構成される。手動動作指示スイッチ23bの上端を押すと、押している間だけ作動スイッチ41の常開接点41aが閉成して常閉接点41bが開成する。また手動動作指示スイッチ23bの下端を押すと、押している間だけ解除スイッチ42の常開接点42aが閉成して常閉接点42bが開成する。
【0025】
【表1】
【0026】
表1には、手動動作指示スイッチ23bのオフ時と、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41のオン時と、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42のオン時との3つの場合について、常開接点41a、常閉接点41b、常開接点42aおよび常閉接点42bが出力する信号▲1▼〜信号▲4▼のオン・オフの組み合わせが示される。電動駐車ブレーキ装置ECU22は、前記信号▲1▼〜信号▲4▼の組み合わせに基づいて手動動作指示スイッチ23bの作動状態および故障を判定する。
【0027】
即ち、信号▲1▼〜信号▲4▼の組み合わせがオフ、オン、オフ、オンであれば(図4の状態)、手動動作指示スイッチ23bが操作されていない(ニュートラル状態)と判断する。また信号▲1▼〜信号▲4▼の組み合わせがオン、オフ、オフ、オンであれば手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が操作されたと判断し、信号▲1▼〜信号▲4▼の組み合わせがオフ、オン、オン、オフであれば手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42が操作されたと判断する。
【0028】
図5に示すように、電動駐車ブレーキ装置ECU22は上記判断に基づき、手動動作指示スイッチ23bがニュートラル状態にあるときにはハイレベルのパルス信号を形成せず、作動スイッチ41が押されると、押されている間だけ作動スイッチ41に対応するハイレベルのパルス信号を形成し、解除スイッチ42が押されると、押されている間だけ解除スイッチ42に対応するハイレベルのパルス信号を形成する。
【0029】
上記作用を、図6および図7のフローチャートに基づいて更に説明する。
【0030】
先ずステップS301で信号▲1▼〜信号▲4▼を読み込み、ステップS302で信号▲1▼および信号▲2▼が不一致であり、ステップS303で信号▲3▼および信号▲4▼が不一致であり、ステップS304で信号▲1▼がオンであり、ステップS305で信号▲3▼がオフであれば、ステップS306で電動駐車ブレーキ装置ECU22は電動駐車ブレーキ装置12の作動信号を出力する。また前記ステップS304で信号▲1▼がオフであり、ステップS307で信号▲3▼がオンであれば、ステップS308で電動駐車ブレーキ装置ECU22は電動駐車ブレーキ装置12の解除信号を出力する。また前記ステップS304で信号▲1▼がオフであり、前記ステップS307で信号▲3▼がオフであれば、手動動作指示スイッチ23bがニュートラル状態にあると判断し、作動信号も解除信号も出力しない。
【0031】
以上が手動動作指示スイッチ23bが正常な場合の動作であるが、前記ステップS304で信号▲1▼がオンであり、前記ステップS305で信号▲3▼がオンであれば、作動スイッチ41がオン側に固着した状態で解除スイッチ42がオン側に操作された場合、または解除スイッチ42がオン側に固着した状態で作動スイッチ41がオン側に操作された場合であり、ステップS309で手動動作指示スイッチ23bが固着故障したと判断して固着故障のフェールセーフモードとする。
【0032】
また前記ステップS302で信号▲1▼および信号▲2▼が一致すれば作動スイッチ41あるいは電源系21が故障したと判断する。即ち、ステップS310で信号▲1▼が(当然信号▲2▼も)オンレベルであれば、ステップS311で常開接点41aおよび常閉接点41b間の短絡故障が発生したと判断し、ステップS312で作動スイッチ41の故障のフェールセーフモードとする。一方、前記ステップS310で信号▲1▼が(当然信号▲2▼も)オフレベルであれば、ステップS313で電源系21が失陥したと判断し、ステップS314で電源系21の故障のフェールセーフモードとする。
【0033】
また前記ステップS303で信号▲3▼および信号▲4▼が一致すれば解除スイッチ42あるいは電源系21が故障したと判断する。即ち、ステップS315で信号▲3▼が(当然信号▲4▼も)オンレベルであれば、ステップS316で常開接点42aおよび常閉接点42b間の短絡故障が発生したと判断し、ステップS317で解除スイッチ42の故障のフェールセーフモードとする。一方、前記ステップS315で信号▲3▼が(当然信号▲4▼も)オフレベルであれば、ステップS318で電源系21が故障したと判断し、ステップS319で電源系21の故障のフェールセーフモードとする。
【0034】
以上のように、本実施例の手動動作指示スイッチ23bによれば、その作動スイッチ41および解除スイッチ42の固着故障および短絡故障の検出に止まらず、電源系21の故障、つまり電源自体の失陥や、電源系21および手動動作指示スイッチ23b間のハーネスの断線やコネクタの接触不良等を確実に検出できるので、手動動作指示スイッチ23bの信頼性を大幅に高めることができる。
【0035】
尚、前記自動動作許可スイッチ23a(図2参照)は2位置切換スイッチであり、電動駐車ブレーキ装置12の自動動作の許可位置および不許可位置の何れか一方を選択するようになっている。
【0036】
次に、図2および図8に基づいて電動駐車ブレーキ装置12の構造を説明する。
【0037】
電動駐車ブレーキ装置12のケーシング25の内部には、電動モータ24の回転を減速して牽引ケーブル26を牽引あるいは繰り出しするプラネタリギヤ機構27が収納される。プラネタリギヤ機構27は、サンギヤ28と、サンギヤ28の外周に同軸に配置されたリングギヤ29と、サンギヤ28およびリングギヤ29の両方に噛み合う複数個(実施例では4個)のプラネタリギヤ30…と、プラネタリギヤ30…を支持するプラネタリキャリヤ31とを備える。サンギヤ28と一体に形成されたウオームホイール32が、電動モータ24により回転するウオーム33に噛み合っている。
【0038】
またケーシング25に設けた支軸39にロックレバー34の中央部が揺動自在に支持されており、そのロックレバー34の上端に設けた係止爪34aが、リングギヤ29の外周に一体に形成した係止歯35…にスプリング36の弾発力で係合することで、プラネタリギヤ機構27のリングギヤ29がケーシング25に回転不能に拘束される。ロックレバー34の下端に結合されたロック解除ケーブル37の他端に設けた図示せぬロック解除レバーを引くと、スプリング36の弾発力に抗してロックレバー34が支軸39まわりに揺動し、係止爪34aが係止歯35…から離脱してリングギヤ29の回転が許容される。
【0039】
プラネタリキャリヤ31の外周には巻取ドラム31aが一体に形成されており、その巻取ドラム31aの外周に巻き付けられた牽引ケーブル26がイコライザ38の中央部に接続される。ボーデンワイヤー13,13はアウターチューブ13a,13aとインナーケーブル13b,13bとで構成されており、ケーシング25に端部を固定された一対のアウターチューブ13a,13aから外部に延びるインナーケーブル13b,13bが、両インナーケーブル13b,13bの張力を均一化するイコライザ38の両端部に接続される。
【0040】
従って、電動モータ24を正転駆動すると、ウオーム33およびウオームホイール32を介してプラネタリギヤ機構27のサンギヤ28が回転し、リングギヤ29がロックレバー34で回転を拘束されていることから、リングギヤ29に噛み合うプラネタリギヤ30…が自転しながらプラネタリキャリヤ31と共に公転する。このようにして電動モータ24の回転が減速してプラネタリキャリヤ31に伝達されると、巻取ドラム31aに巻き付けられた牽引ケーブル26が牽引され、その牽引力がイコライザー38を介して一対のボーデンワイヤー13,13のインナーケーブル13b,13bに均等に配分されることで、左右の駐車ブレーキ11,11が作動して制動力を発生する。また電動モータ24を逆転駆動すると巻取ドラム31aが逆方向に回転し、巻取ドラム31aから牽引ケーブル26が繰り出されることで、左右の駐車ブレーキ11,11が解除される。
【0041】
駐車ブレーキ装置12の作動中に、ボーデンワイヤー13,13のインナーケーブル13b,13bの張力はイコライザー38、牽引ケーブル26、巻取ドラム31a、プラネタリギヤ機構27、ウオームホイール32およびウオーム33を介して逆伝達され、電動モータ24を回転させようとする。しかしながら、ウオームホイール32およびウオーム33の動力伝達特性から、ウオームホイール32側からウオーム33側への駆動力の逆伝達は不能であるため、インナーケーブル13b,13bの張力によって電動モータ24にトルクが作用することはない。その結果、電動駐車ブレーキ装置12を作動状態に保持するための特別のロック手段や、外力による電動モータ24の回転を阻止するためのロック電流が不要になり、構造の簡素化および電動モータ24の電力消費量の削減に寄与することができる。
【0042】
尚、電動駐車ブレーキ装置12が作動した状態で電動モータ24が作動不能になった場合に、ロック解除ケーブル37でロックレバー34をスプリング36の弾発力に抗して揺動させると、ロックレバー34の係止爪34aが係止歯35…から外れてリングギヤ29の回転が許容される。その結果、作動不能の電動モータ24に接続されたサンギヤ28が回転不能でも、リングギヤ29が回転可能なために、プラネタリギヤ30…が自転しながらプラネタリキャリヤ31が巻取ドラム31aと共に回転することができる。その結果、車輪ブレーキ11,11に設けた図示せぬリターンスプリングの弾発力で巻取ドラム31aが回転し、牽引ケーブル26およびボーデンワイヤー13,13のインナーケーブル13b,13bが緩められるため、車輪ブレーキ11,11を解除して車両の走行を可能にすることができる。
【0043】
次に、電動駐車ブレーキ装置12の制御をフローチャートを参照しながら説明する。尚、以下の説明において、「自動動作モード」とは、自動動作許可スイッチ23a(図2参照)がオン位置(許可位置)あるときに選択されるモードであって、車両の運転状態に応じて電動駐車ブレーキ装置12が自動的に作動する「自動作動」と、電動駐車ブレーキ装置12が自動的に解除される「自動解除」とが含まれる。また「手動動作モード」とは、緊急時等にドライバーが手動動作指示スイッチ23b(図2参照)を操作することによって「手動作動」および「手動解除」の何れか一方をマニュアルで選択するモードである。
【0044】
先ず、図9のフローチャートに基づいてメインルーチンを説明する。
【0045】
ステップS1でイグニッションスイッチ23cがオンしていれば、ステップS2で各センサやスイッチ類23a〜23jの出力を読み込み、その値が正常値にあるか否かにより故障の有無を診断する。ステップS3で何らかの故障があれば、ステップS4でフェールセーフ動作を行う。続くステップS5で電動駐車ブレーキ装置12の目標牽引力を算出し、ステップS6で停止判定を行い、続くステップS7で自動動作許可スイッチ23aがオンしていれば、ステップS8で自動動作(自動作動あるいは自動解除)を行い、続くステップS9で手動動作(手動作動あるいは手動解除)を行う。また前記ステップS1でイグニッションスイッチ23cがオフしていれば、ステップS10でエンジン停止時動作を行う。
【0046】
前記ステップS7で自動動作が不許可であって手動動作モードになっていれば前記ステップS8の自動動作をスキップするので、路面の傾斜で車両が逆方向に移動する可能性がある場合でも、電動駐車ブレーキ装置12を作動させて車両の逆方向への移動を阻止する自動増引(図14のステップS75参照)は実行されない。また手動動作モードで作動(解除)状態にあるときには、作動(解除)に至った理由が手動動作指示スイッチ23bの操作に起因する場合であろうと、自動動作モードのときの状態が継続している場合であろうと、手動動作指示スイッチ23bが操作されない限り、その作動(解除)状態は継続する。
【0047】
更に、前記ステップS7で自動動作モードにあるときに、手動動作指示スイッチ23bが操作されて自動動作モードの判定に反する作動(解除)がなされたとき、後述する自動解除(作動)禁止フラグが「1」にセットされることで、その後に自動動作モードの判定が変わって手動動作指示スイッチ23bの作動(解除)指示と一致するまで、つまり自動解除(作動)禁止フラグが「0」にリセットされるまで、自動動作モードの判定に従う自動解除(自動作動)は禁止される。
【0048】
このように、自動動作モードが選択されている状態で、自動動作モードの判定結果と不一致の手動動作指示が出されると、手動動作指示を優先して電動駐車ブレーキ装置12を作動および解除するので、自動動作モードが選択されているときでもドライバーの意志に応じて電動駐車ブレーキ装置12を作動および解除することができる。また、その後に自動動作モードの判定が変わり手動動作指示と一致すれば、自動動作モードの判定結果に基づいて電動駐車ブレーキ装置12を作動および解除するので、特別の操作を必要とせずに自動動作モードに復帰することができ、自動動作モードの機能を最大限に発揮させることができる。
【0049】
以下、前記ステップS5の「目標牽引力算出」、前記ステップS6の「停止判定」、前記ステップS8の「自動動作」および前記ステップS9の「手動動作」の内容を個々に説明する。
【0050】
先ず、目標牽引力算出の詳細を説明する。目標牽引力には第1の目標牽引力BfT1、第2の目標牽引力BfT2および第3の目標牽引力BfT3がある。
【0051】
第1の目標牽引力BfT1は、車両が停止していることを条件にして自動動作モードおよび手動動作モードの両方で使用されるもので、
BfT1=牽引力マップ値×状態係数k
によって算出される。
【0052】
牽引力マップは路面の傾斜度(傾斜角をθとしたときのtanθの値)をパラメータとして牽引力を検索するものであり、「P」,「N」,「D」,「R」の各シフトポジションについて上り傾斜用および下り傾斜用のものが用意されている。
【0053】
図27には「D」ポジションの上り傾斜用の牽引力マップが示されている。傾斜度が0%〜10%の領域では、牽引力マップ値として車両の移動を防止できる一定の牽引力が設定される。その理由は以下のとおりである。車両が傾斜地に停車していても、積み荷が車両の前部あるいは後部に偏って積載されていると、車体がほぼ水平になって傾斜センサ23iが「平地」を示す場合がある。このような場合に、傾斜センサ23iの「平地」を示す出力に基づいて駐車ブレーキ11,11を作動させると、ブレーキ力が不足して車両が移動する懸念があるからである。傾斜度が10%〜20%の領域では、人の乗り降りや荷物の積み卸しによる車両の荷重変化が大きいため、軽積時必要牽引力よりも大きめの定積時必要牽引力を牽引力マップ値としている。傾斜度が20%〜45%の領域では、牽引力マップ値が定積時必要牽引力から軽積時必要牽引力までリニアに変化する。そして傾斜度が45%〜の領域では、牽引力マップ値が一定の上限値に設定される。このように、路面の傾斜度の各領域において牽引力の変化率を異ならせることで、種々の傾斜度に応じた適切な牽引力を設定することができる。
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示すように、前記状態係数kは動作モードフラグによって変化し、動作モードフラグF=「0」の場合は状態係数k=1.0とし、動作モードフラグF=「1」の場合は状態係数k=1.5とし、動作モードフラグF≧「2」の場合は状態係数k=2.0とする。「P」,「N」,「D」,「R」の各シフトポジションに対応して牽引力マップが設定されているので、表2の状態係数kの値をシフトポジション間で変化させることはしない。
【0056】
尚、動作モードフラグは、推定車体速度VR4Rが2km/h未満の状態で、つまり車両が実質的に停止している状態で、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押す度に「0」→「1」→「2」と増加することで目標牽引力BfTを増加させ、上限値「2」になった後は手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押しても「2」に保持される。ちなみに、後述する指示レベルフラグは、推定車体速度VR4Rが2km/h以上の状態で、つまり車両が実質的に走行している状態で、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押す度に「0」→「1」→「2」と増加することで、目標減速度Gtを増加させる機能を有している。
【0057】
また本明細書では、減速度を負値で表しているが、減速度が大きいということは減速の絶対値が大きいことを意味し、減速度が小さいということは減速の絶対値が小さいことを意味している。例えば、−0.30Gの減速度は、−0.15Gの減速度に比べて大きい減速度である。
【0058】
第2の目標牽引力BfT2は、手動動作モードにおいて4輪の車輪速度から推定した推定車体速度VR4RがVR4R<2km/hであって車両の停止が確定していないときに使用されるもので、
BfT2=0.15G相当の制動力×状態係数k
によって算出される。
【0059】
上式において固定値である0.15Gを用いる理由は、停止が確定していない場合には、Gセンサよりなる傾斜センサ23iの出力が信頼できないからである。0.15G相当の制動力は、車両が急停止する制動力ではなく、ゆっくりと停止する制動力である。
【0060】
第3の目標牽引力BfT3は、自動動作モードおよび手動動作モードの両方における停止確定時であって、傾斜センサ23iの異常時に使用されるもので、
BfT3=傾斜度30%での停止保持相当の制動力×状態係数k
によって算出される。
【0061】
このように、傾斜センサ23iの異常時に第3の目標牽引力BfT3を充分大きめに設定しておくことにより、車両のずり下がりを確実に防止することができる。
【0062】
【表3】
【0063】
以上のように、車両の状態および動作モードの組み合わせにより、前記第1の目標牽引力BfT1〜第3の目標牽引力BfT3が選択される。表3に示すように、車両の停止が確定しているとき、自動動作モードおよび手動動作モードの何れにおいても、第1の目標牽引力BfT1あるいは第3の目標牽引力BfT3が採用される。また推定車体速度VR4Rが2km/h未満で車両の停止が確定していないとき、自動動作モードでは電動駐車ブレーキ装置12は作動せず、手動動作モードでは第2の目標牽引力BfT2が採用される。また推定車体速度VR4Rが2km/h以上のとき、自動動作モードでは電動駐車ブレーキ装置12は作動せず、手動動作モードでは目標減速度Gtで車両が減速するように電動駐車ブレーキ装置12の制動力が制御される。
【0064】
次に、図10のフローチャートに基づいて、図9のフローチャートのステップS6のサブルーチンである停止判定ルーチンを説明する。
【0065】
先ずステップS11で推定車体速度VR4Rが2km/hを越えていれば、ステップS12で停止確定フラグを「0」にリセットする。尚、停止確定フラグ=「0」は車両の停止が確定しない状態を記憶し、停止確定フラグ=「1」は車両の停止が確定した状態を記憶するものである。仮に、推定車体速度VR4Rが0km/hを越えたときに停止確定フラグを「0」にリセットすると、車体の微妙な揺れや車輪速度センサ23d…のノイズ等によって停止確定フラグが「0」リセットされてしまう不都合があるが、本実施例のように推定車体速度VR4Rが2km/hを越えたときに停止確定フラグを「0」リセットすれば、上記不都合を回避することができる。
【0066】
続くステップS13で停止確定タイマー(実施例では200msec)をリセットするとともに、ステップS14で坂判断タイマー(実施例では200msec)をリセットする。また前記ステップS11で推定車体速度VR4Rが2km/h以下であっても、ステップS15で4輪のうちの何れかの車輪速度センサ23d…の車輪速度パルスが出力されれば、前記ステップS13,S14に移行する。
【0067】
このように、車輪速度パルスが出力される度に停止確定タイマーをリセットすることで、車輪速度パルスが出力されない状態が連続して200msec以上継続しないと停止確定しない。また車輪速度パルスが出力される度に坂判断タイマーをリセットすることで、車輪速度パルスが出力されない状態が連続して200msec以上継続しないと坂判断を行わない。なぜならば、坂判断に使用される傾斜センサ23iはGセンサで構成され、微低速移動での加速度を感知して誤った傾斜量を出力してしまうからである。
【0068】
前記ステップS15で何れの車輪速度センサ23d…も車輪速度パルスを出力しなければ、ステップS16で停止確定タイマーをカウントアップし、ステップS17で停止確定タイマーが200msec以上になれば、ステップS18で停止確定フラグを「1」にセットする。停止確定する際に、ブレーキスイッチ23fの信号がオンであること、つまりブレーキペダルが踏まれていることを条件にしないのは、停止確定タイマーの200msecが経過する前にドライバーがブレーキペダルを離すと、停止確定が行われなくなって自動作動しなくなるからである。例えば、平地で停止してシフトポジションを「N」ポジションにした後に直ちにブレーキペダルをオフすると、本来は電動駐車ブレーキ装置12を自動作動させたいのに自動作動しなくなるからである。
【0069】
続くステップS19でブレーキペダルが踏まれてブレーキスイッチ23fがオンしており、かつステップS20でブレーキ油力センサ23gで検出したブレーキ油圧が所定値(実施例では1MPa)以上であれば、ステップS21で緊急作動フラグが「0」にリセットされ、続くステップS22でABSフラグが「0」にリセットされ、更にステップS23で低路面摩擦係数フラグが「0」にリセットされる。
【0070】
尚、緊急作動フラグは、推定車体速度VR4Rが2km/hを越えた状態で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押されたときに「1」にセットされ、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42が押されたときに「0」にリセットされるフラグである。ABSフラグは、電動駐車ブレーキ装置12の作動により後輪Wr,Wrがロックする可能性があるときに「1」にセットされれ、ロックする可能性がないときに「0」にリセットされるフラグである。低路面摩擦係数フラグは、路面摩擦係数が小さいときに「1」にセットされ、路面摩擦係数が大きいときに「0」にセットされるフラグである。
【0071】
次に、図11〜図14のフローチャートに基づいて、図9のフローチャートのステップS8のサブルーチンである自動動作ルーチンを説明する。
【0072】
先ずステップS31で停止確定フラグが「1」であって車両の停止が確定しており、ステップS32でシフトポジションセンサ23eで検出したシフトポジションが「P」または「N」であるとき、ステップS33で電動駐車ブレーキ装置12を自動で作動させる自動作動を実行する。また前記ステップS31で停止確定フラグが「0」であって車両の停止が確定しておらず、かつステップS34で緊急作動フラグが「1」にセットされていなければ、走行中に電動駐車ブレーキ装置12が作動状態になって引きずりが発生しないように、ステップS35で電動駐車ブレーキ装置12を自動で解除する自動解除を実行する。
【0073】
前記ステップS32でシフトポジションが「P」でも「N」でもないとき、つまり「D」または「R」であり、かつステップS36でアクセルペダルがオフしているとき、ステップS37で作動継続フラグが「1」であるか、ステップS38で解除継続フラグが「1」であるか、ステップS39でブレーキペダルがオンしていれば、ステップS40に移行する。
【0074】
ところで、電動駐車ブレーキ装置12は一旦作動を開始すると、その後のブレーキペダルのオン・オフに関わらずに作動完了前に途中で停止することはなく、また一旦解除を開始すると、その後のブレーキペダルのオン・オフに関わらずに解除完了前に途中で停止することはない。そこで車両が停止した直後にブレーキペダルをオフしても電動駐車ブレーキ装置12の作動が途中で停止しないように、つまり電動駐車ブレーキ装置12が作動途中であることを記憶するために作動継続フラグが「1」にセットされる。またシフトポジションが「P」または「N」から「D」または「R」に変化した直後にブレーキペダルをオフしても電動駐車ブレーキ装置12の解除が途中で停止しないように、つまり電動駐車ブレーキ装置12が解除途中であることを記憶するために解除継続フラグが「1」にセットされる。
【0075】
さて、電動駐車ブレーキ装置12が作動途中であるか、解除途中であるか、あるいはブレーキペダルがオンしたとき、ステップS40でシフトポジションが「R」であり、かつステップS41で路面の傾斜が−5%未満でなければ、つまり前下がりの傾斜が弱ければ、「R」ポジションでの後退方向のクリープ力で車両が前方にずり下がるを阻止できるため、ステップS42で坂判断タイマーをリセットした後、ステップS43で解除継続フラグが「1」であって電動駐車ブレーキ装置12が解除途中であれば、ステップS45で電動駐車ブレーキ装置12の自動解除を実行(継続)するとともに、前記ステップS43で解除継続フラグが「0」であって電動駐車ブレーキ装置12が解除途中でなく、かつステップS44で前回シフトポジションが「R」以外であれば、つまり今回初めてシフトポジションが「R」になったならば、前記ステップS45で電動駐車ブレーキ装置12の自動解除を実行する。このように、路面の傾斜が弱いために車両が前方にずり下がる虞がないとき、シフトポジションが「R」ポジションになったときに電動駐車ブレーキ12を自動解除するので、ドライバーの操作負担を軽減してスムーズな後退発進を可能にすることができる。
【0076】
前記ステップS40でシフトポジションが「R」でないとき、つまりシフトポジションが「D」であるとき、ステップS46で路面の傾斜が5%を越えていなければ、つまり前上がりの傾斜が弱ければ、「D」ポジションでの前進方向のクリープ力で車両が後方にずり下がるのを阻止できるため、ステップS47で坂判断タイマーをリセットした後、ステップS48で解除継続フラグが「1」であって電動駐車ブレーキ装置12が解除途中であれば、ステップS50で電動駐車ブレーキ装置12の自動解除を実行(継続)するとともに、前記ステップS48で解除継続フラグが「0」であって電動駐車ブレーキ装置12が解除途中でなく、かつステップS49で前回シフトポジションが「D」以外であれば、つまり今回初めてシフトポジションが「D」になったならば、前記ステップS50で電動駐車ブレーキ装置12の自動解除を実行する。このように、路面の傾斜が弱いために車両が後方にずり下がる虞がないとき、シフトポジションが「D」ポジションになったときに電動駐車ブレーキ12を自動解除するので、ドライバーの操作負担を軽減してスムーズな前進発進を可能にすることができる。
【0077】
前記ステップS41で路面の傾斜が−5%未満であるか、前記ステップS46で路面の傾斜が5%を越えていれば、つまりクリープ力だけで車両のずり下がりを阻止できなければ、ステップS51で坂判断タイマーをカウントアップし、ステップS52で坂判断タイマーが200msec以上になるのを待ってステップS53で電動駐車ブレーキ装置12を自動作動させることで、車両のずり下がりを阻止することができる。
【0078】
車両が停止確定していないか、停止確定しているがブレーキペダルがオフであるかアクセルペダルがオフであるとき、ステップS54で緊急作動フラグが「0」であり、ステップS55でシフトポジションが「D」であり、ステップS56でスロットル開度が解除閾値THDを越えており、ステップS57で路面の傾斜が−15%よりも小さくなくて前下がりが極端に強くないか、前上がりのとき、ステップS58で車両が前進発進できるように電動駐車ブレーキ装置12の自動解除を実行する。一方、前記ステップS57で路面の傾斜が−15%よりも小さくて前下がりが極端に強いとき、ステップS59で車両が急発進しないように電動駐車ブレーキ装置12をゆっくりと解除する自動解除2を実行する。
【0079】
また前記ステップS55でシフトポジションが「D」でなく、ステップS60でシフトポジションが「R」であり、ステップS61でスロットル開度が解除閾値THDを越えており、ステップS62で路面の傾斜が10%よりも大きくなくて前上がりが極端に強くないか、前下がりのとき、前記ステップS58で車両が後退発進できるように電動駐車ブレーキ装置12の自動解除を実行する。一方、前記ステップS62で路面の傾斜が10%よりも大きくて前上がりが極端に強いとき、ステップS63で車両が急発進しないように電動駐車ブレーキ装置12をゆっくりと解除する自動解除2を実行する。
【0080】
以上のように、車両が下り坂にあってシフトポジジョンが「D」であるために、重力による移動力の方向とエンジンによるクリープ力の方向とが一致し、かつ前下りが極端に強い場合には、自動解除2で電動駐車ブレーキ装置12をゆっくりと解除するので、車両が急激に前進発進するのを防止することができる。同様に、車両が上り坂にあってシフトポジジョンが「R」であるために、重力による移動力の方向とエンジンによるクリープ力の方向とが一致し、かつ前上がりが極端に強い場合には、自動解除2で電動駐車ブレーキ装置12をゆっくりと解除するので、車両が急激に後退発進するのを防止することができる。
【0081】
前記ステップS56,S61でスロットル開度を解除閾値THDと比較する理由は次のとおりである。クリープ力の大きさや傾斜センサ23iの出力にはばらつきが存在するため、たとえ緩い傾斜地であってもブレーキペダルがオフするだけの条件で電動駐車ブレーキ装置12を解除すると、車両が逆方向に移動する可能性がある。従って、アクセルペダルがオンしてスロットル開度が解除閾値THDを越えたことを条件に電動駐車ブレーキ装置12を解除する。
【0082】
図28には、シフトポジションが「D」の場合に、路面の傾斜度からスロットル開度の解除閾値THDを検索するマップが示される。前上がりの傾斜地で前進発進する場合には、傾斜度が0%から増加するのに伴って、自動解除を実行する解除閾値THDは基本的にリニアに増加するが、傾斜度が0%〜10%の低傾斜地では、解除閾値THDが前記リニアな特性(破線参照)よりも小さく設定される。具体的には、傾斜度が0%〜5%の領域では解除閾値THDを0°に設定し、5%〜10%の領域では前記リニアな特性に復帰するように解除閾値THDの増加率を高めに設定している。このように、車両がずり下がる虞のない傾斜度が0%〜5%の領域では、つまりエンジンによるクリープ力が路面の傾斜による移動力を上回っている場合には、アクセルペダルを踏み込むと同時に電動駐車ブレーキ装置12を自動解除することで、発進時の引っ掛かり感を少なくしてスムーズな発進を可能にすることができる。傾斜度が5%〜の領域では、傾斜度の増加に応じて電動駐車ブレーキ装置12が自動解除されるスロットル開度が増加するので、発進時の車両の逆行を確実に防止することができる。
【0083】
尚、シフトポジションが「R」の場合の解除閾値THDのマップは、図28のマップを縦軸に関して反転したような特性となる。またステップS57の「D」ポジションでの傾斜度の閾値の絶対値が15%であるのに対し、ステップS62の「R」ポジションでの傾斜度の閾値の絶対値が10%であるのは、ドライバーにとって後方への急発進に対応する方が前方への急発進に対応するよりも困難であるため、後退発進時に路面の傾斜度が小さいうちから電動駐車ブレーキ装置12の解除速度を遅くしてドライバーの車両コントロールを容易にするためである。
【0084】
ところで、電動駐車ブレーキ装置12を作動させても、その制動力が不足しているために車両がずり下がる場合には、電動駐車ブレーキ装置12の制動力を自動的に増加(自動増引)させてずり下がりを防止する。ここでいう自動増引とは、電動駐車ブレーキ装置12が作動しているのに制動力が不足したために制動力を増加させる場合に限定されず、路面の傾斜によって車両が逆行した場合に電動駐車ブレーキ装置12を非作動から作動に切り換えて前記逆行を防止する場合を含むものとする。
【0085】
自動増引はステップS64で停止確定フラグが「1」にセットされていることを条件に実行されるものであり、停止確定フラグが「0」にリセットされていれば自動増引は実行されず、ステップS65で積算移動距離Sが0にリセットされる。前記ステップS64で停止確定フラグが「1」にセットされており、ステップS66で4個の車輪速度センサ23d…の何れかが車輪速度パルスが出力され、ステップS67で前記車輪速度パルスが正転(前進)のパルスであれば、ステップS68で積算移動距離の前回値S(n−1)に4cmを加算して積算移動距離の今回値Sを算出し、前記ステップS67で前記車輪速度パルスが逆転(後退)のパルスであれば、ステップS69で積算移動距離の前回値S(n−1)から4cmを減算して積算移動距離の今回値Sを算出する。前記4cmは、1パルスに対応する車両の移動距離である。
【0086】
そしてステップS70でシフトポジションセンサ23eで検出したシフトポジションが「D」であるとき、ステップS71で積算移動距離Sが−10cm未満であれば、つまり車両が10cmよりも長い距離を後退すれば、制動力が不足していると判断してステップS75で自動増引を実行する。また前記ステップS70でシフトポジションが「D」でなく、ステップS72でシフトポジションが「R」であるとき、ステップS73で積算移動距離Sが10cmを越えていれば、つまり車両が10cmよりも長い距離を前進すれば、制動力が不足していると判断してステップS75で自動増引を実行する。更に、前記ステップS72でシフトポジションが「R」でないとき、つまりシフトポジションが「P」または「N」であるとき、ステップS74で積算移動距離Sの絶対値が10cmを越えていれば、つまり車両が10cmよりも長い距離を前進または後退すれば、制動力が不足していると判断して前記ステップS75で自動増引を実行する。
【0087】
以上のように、シフトポジションにより決まる車両の移動方向と、実際の車両の移動方向とが不一致の場合に電動駐車ブレーキ装置12を作動させるので、車両がドライバーの意図する方向に対して逆行するのを確実に防止することができる。
【0088】
ところで、例えば「D」ポジションで前進走行している車両が停止する直前に「R」ポジションにシフトチェンジされた場合、シフトポジションに基づく移動方向と実際の移動方向とが不一致であると判定され、電動駐車ブレーキ装置12が不必要に作動してしまう問題がある。しかしながら本実施例によれば、前記ステップS64で車両が停止したことを確認した後に前記判定を行うので、電動駐車ブレーキ装置12が不必要に作動するのを未然に防止することができる。
【0089】
尚、前記ステップS66〜S74は、4個の車輪に対応する4個の車輪速度センサ23d…が出力する各々の車輪速度パルス毎に実行される。
【0090】
次に、図15および図16のフローチャートに基づいて、図11のフローチャートのステップS33および図12のフローチャートのステップS53のサブルーチンである自動作動ルーチンを説明する。
【0091】
先ずステップS81で自動解除禁止フラグを「0」をリセットする。その理由は、自動動作モードでも自動作動させる判定になったので、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41をオンしたときに自動解除が行われるのを防止すべく「1」にセットした自動解除禁止フラグを、ここで「0」をリセットして自動解除を許可しておくためである。続くステップS82で解除継続フラグを「0」をリセットする。その理由は、例えばブレーキペダルがオンの状態で「N」→「D」→「N」のシフトを素早く行った場合などにおいて、解除継続フラグが「1」であって電動駐車ブレーキ装置12が解除途中にあるときに作動判定に切り換わる場合があるからである。
【0092】
続くステップS83で自動作動禁止フラグ(「0」で作動許可、「1」で作動禁止)が「0」であり、ステップS84で動作モードフラグ(「0」で非作動、「1」以上で作動済)が「0」であり、ステップS85で傾斜センサ23iの異常検出フラグ(「0」で正常、「1」で異常)が「0」であれば、つまり電動駐車ブレーキ装置12の作動が許可された状態で非作動であり、かつ傾斜センサ23iが正常なとき、ステップS86で目標牽引力BfTを第1の目標牽引力BfT1に設定する。一方、前記ステップS85で傾斜センサ23iが異常なとき、ステップS87で目標牽引力BfTを第3の目標牽引力BfT3に設定する。
【0093】
続くステップS88で電動モータ24に供給する目標電流TAを、
TA=目標牽引力BfT×変換係数a
によって算出する。前記変換係数aは、牽引力を電流に変換するための係数である。続くステップS89でデューティ比100%で電動モータ24を正転駆動し、電動駐車ブレーキ装置12を作動させる。続くステップS90で前回作動動作でない場合、つまり今回初めて作動動作になった場合に、ステップS91で作動タイマーをリセットした後、ステップS92で作動タイマーをカウントアップする。そしてステップS93で作動タイマーが100msecを越えるのを待ち、電動モータ24に通電した直後のサージ電流を無視する。
【0094】
続くステップS94で電動モータ24の電流値が目標電流TA以上になれば、電動駐車ブレーキ装置12が必要な牽引力を発生して作動が完了したと判断し、ステップS95で動作モードフラグをインクリメントし、ステップS96で電動駐車ブレーキ装置12の作動が完了したことを示す作動ランプ23kを点灯し、ステップS97で電動モータ24の正転を停止し、ステップS98で作動継続フラグを「0」にリセットする。
【0095】
一方、前記ステップS94で電動モータ24の電流値が目標電流TA未満であり、かつステップS99で作動タイマーが3.0sec未満であれば、ステップS100で電動駐車ブレーキ装置12が作動継続中であると判断して作動継続フラグを「1」にセットする。そして前記ステップS99で作動タイマーが3.0sec以上になれば、ボーデンワイヤー13,13が破断したために電動駐車ブレーキ装置12が作動完了状態にならないと推定され、ステップS101で作動中フェールセーフ処理を行った後に、前記ステップS97に移行する。
【0096】
次に、図17のフローチャートに基づいて、図11のフローチャートのステップS35、図12のフローチャートのステップS45,S50および図13のフローチャートのステップS58のサブルーチンである自動解除ルーチンを説明する。
【0097】
先ずステップS111で自動作動禁止フラグを「0」をリセットする。その理由は、自動動作モードでも自動解除させる判定になったので、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42をオンしたときに自動作動が行われるのを防止すべく「1」にセットした自動作動禁止フラグを、ここで「0」をリセットして自動作動を許可しておくためである。続くステップS112で作動継続フラグを「0」をリセットする。その理由は、例えばブレーキペダルがオンの状態で「N」ポジションにシフトした直後に「D」ポジションにシフトした場合などにおいて、作動継続フラグが「1」であって電動駐車ブレーキ装置12が作動途中にあるときに解除判定に切り換わる場合があるからである。
【0098】
続くステップS113で自動解除禁止フラグが「0」であって電動駐車ブレーキ装置12の自動解除が許可されており、ステップS114で前回解除動作でない場合、つまり今回初めて解除動作になった場合、ステップS115で解除タイマーをリセットする。
【0099】
続くステップS116でストロークセンサ23j(図2参照)で検出した電動駐車ブレーキ装置12のストロークが0位置(解除完了位置)+2mm以下でなければ、電動駐車ブレーキ装置12を解除すべくステップS117で電動モータ24をデューティ比100%で逆転駆動し、電動駐車ブレーキ装置12を解除する。続くステップS118で解除タイマーをカウントアップした後、ステップS119で解除タイマーが3.0sec未満であれば、ステップS120で電動駐車ブレーキ装置12が解除継続中であると判断して解除継続フラグを「1」にセットする。そして前記ステップS119で解除タイマーが3.0sec以上になれば、電動駐車ブレーキ装置12の駆動系が凍結して解除完了状態にならないと推定され、ステップS121で解除中フェールセーフ処理を実行する。
【0100】
前記ステップS116でストロークが0位置(解除完了位置)+2mm以下になれば解除が完了したと判断し、ステップS122で動作モードフラグを「0」にリセットし、ステップS123で作動ランプ23kを消灯し、ステップS124で電動モータ24の逆転駆動を停止し、ステップS125で解除継続フラグを「0」にリセットする。尚、ストロークが0位置の2mm手前になるまで電動モータ24を逆転駆動するのは、給電を停止した後も電動モータ24が慣性でしばらく回転するのを考慮し、ストロークが0位置で電動モータ24を停止させるためである。
【0101】
次に、図18のフローチャートに基づいて、図13のフローチャートのステップS59,S63のサブルーチンである自動解除2ルーチンを説明する。
【0102】
先ずステップS131で自動作動禁止フラグを「0」をリセットする。その理由は、自動動作モードでも自動解除させる判定になったので、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42をオンしたときに自動作動が行われるのを防止すべく「1」にセットした自動作動禁止フラグを、ここで「0」をリセットして自動作動を許可しておくためである。続くステップS132で作動継続フラグを「0」をリセットする。その理由は、前述の自動解除ルーチンの場合と同じである。
【0103】
続くステップS133で自動解除禁止フラグが「0」であって電動駐車ブレーキ装置12の自動解除が許可されており、ステップS134で前回解除2動作でない場合、つまり今回初めて解除2動作になった場合、ステップS135で解除タイマーをリセットする。
【0104】
続くステップS136でストロークセンサ23jで検出した電動駐車ブレーキ装置12のストロークが0位置(解除完了位置)+2mm以下でなければ、電動駐車ブレーキ装置12を解除すべくステップS137で電動モータ24をデューティ比50%(図17で説明した自動解除のデューティ比の半分)でゆっくりと逆転駆動し、電動駐車ブレーキ装置12を解除する。続くステップS138で解除タイマーをカウントアップした後、ステップS139で解除タイマーが2.0sec以上になれば、電動駐車ブレーキ装置12の電力不足等により解除完了状態にならないと推定され、ステップS140で電動モータ24を100%のデューティ比で逆転駆動する自動解除(図17のフローチャート参照)を実行する。
【0105】
前記ステップS136でストロークが0位置(解除完了位置)+2mm以下になれば解除が完了したと判断し、ステップS141で動作モードフラグを「0」にリセットし、ステップS142で作動ランプ23kを消灯し、ステップS143で電動モータ24の逆転駆動を停止する。尚、ストロークが0位置の2mm手前になるまで電動モータ24を逆転駆動するのは、給電を停止した後も電動モータ24が慣性でしばらく回転するのを考慮し、ストロークが0位置で電動モータ24を停止させるためである。
【0106】
次に、図19および図20のフローチャートに基づいて、図14のフローチャートのステップS75のサブルーチンである自動増引ルーチンを説明する。
【0107】
先ずステップS151で自動解除禁止フラグを「0」をリセットする。その理由は、自動動作モードでも自動作動(自動増引)させる判定になったので、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41をオンしたときに自動解除が行われるのを防止すべく「1」にセットした自動解除禁止フラグを、ここで「0」をリセットして自動解除を許可しておくためである。続くステップS152で解除継続フラグを「0」をリセットする。その理由は、解除継続フラグが「1」であって電動駐車ブレーキ装置12が解除途中にあるときに路面の傾斜により車両が逆行し自動増引を必要とする場合があるからである。
【0108】
続くステップS153で自動作動禁止フラグが「0」で自動作動が許可されており、ステップS154で傾斜センサ23iの異常検出フラグが「0」で正常であれば、ステップS155で目標牽引力BfTを第1の目標牽引力BfT1に設定する。一方、前記ステップS154で傾斜センサ23iの異常検出フラグが「1」で異常であれば、ステップS156で目標牽引力BfTを第3の目標牽引力BfT3に設定する。
【0109】
続くステップS157で電動モータ24に供給する目標電流TAを、
TA=目標牽引力BfT×変換係数a
によって算出し、ステップS158でデューティ比100%で電動モータ24を正転駆動し、電動駐車ブレーキ装置12を増引する。続くステップS159で前回増引動作でない場合、つまり今回初めて増引動作になった場合に、ステップS160で作動タイマーをリセットした後、ステップS161で作動タイマーをカウントアップする。そしてステップS162で作動タイマーが100msecを越えるのを待ち、電動モータ24に通電した直後のサージ電流を無視する。
【0110】
続くステップS163で電動モータ24の電流値が目標電流TA以上になれば、電動駐車ブレーキ装置12が必要な牽引力を発生して増引が完了したと判断し、ステップS164で動作モードフラグをインクリメントし、ステップS165で電動駐車ブレーキ装置12の増引が完了したことを示す作動ランプ23kを点灯し、ステップS166で電動モータ24の正転を停止し、ステップS167で積算移動距離Sをリセットする。
【0111】
一方、前記ステップS163で電動モータ24の電流値が目標電流TA未満であり、かつステップS168で作動タイマーが3.0sec以上になれば、ボーデンワイヤー13,13が破断したために電動駐車ブレーキ装置12が増引完了状態にならないと推定され、ステップS169で作動中フェールセーフ処理を実行する。
【0112】
次に、図21〜図23のフローチャートに基づいて、図9のフローチャートのステップS9のサブルーチンである手動動作ルーチンを説明する。
【0113】
先ずステップS171で自己復帰型の手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押された際のパルス信号の立ち上がり(図5参照)を作動指示として検出する。このとき、パルス信号が立ち上がった後のハイレベル状態の信号は作動指示として検出せず、これにより手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41がオン固着する故障が発生しても、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42の操作を優先して電動駐車ブレーキ装置12を解除することができ、作動スイッチ41のオン固着により電動駐車ブレーキ装置12が解除不能になる事態を回避することができる。
【0114】
続くステップS172で解除指示フラグを「0」にリセットし、ステップS173で指示レベルフラグをインクリメントし、ステップS174でABSフラグおよび低路面摩擦係数フラグを「0」にリセットする。一方、ステップS175で手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42が押されると、ステップS176で指示レベルフラグを「0」にリセットし、ステップS177で緊急作動フラグを「0」にリセットし、ステップS178で解除指示フラグを「1」にセットした後、前記ステップS174に移行する。
【0115】
尚、指示レベルフラグは、推定車体速度VR4R<2km/hの領域では、作動指示フラグとしての機能のみを持ち、電動駐車ブレーキ装置12の作動が完了すると「0」にリセットされる。また推定車体速度VR4R≧2km/hの領域では、作動指示フラグとしての機能に加えて、目標減速度Gtを決めるパラメータとして機能を持つので、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42が押されない限り「0」にリセットされない。
【0116】
続くステップS179で解除指示フラグが「0」であれば、ステップS180で以下の4つのパラメータを算出する。
【0117】
第1のパラメータは推定車体速度VR4Rであり、4輪の車輪速度の最大値として算出される。電動駐車ブレーキ装置12の作動により何れかの車輪がロック状態になる可能性があるため、すべての車輪速度を取り込んで、そのうち最大の車輪速度を選択する。
【0118】
第2のパラメータは車体減速度GRFであり、{右前輪速度の今回値FRVw(n)−右前輪速度の前回値FRVw(n−1)}/dtと、{左前輪速度の今回値FLVw(n)−左前輪速度の前回値FLVw(n−1)}/dtとの平均値として、つまり左右の前輪の加減速度の平均値として算出される。電動駐車ブレーキ装置12の作動により後輪Wr,Wrがロックしている可能性があるため、前輪の車輪速度から算出する。また旋回時には左右の前輪の車輪速度が異なるため、左右の前輪から算出した値の平均値を採用する。
【0119】
第3のパラメータは前輪推定車体速度VRFであり、左右の前輪の車輪速度FRVw,FLVwのローセレクト値として算出される。ローセレクト値を採用することで、旋回時に前輪推定車体速度VRFが実際以上に大きくなることを防止する。
【0120】
第4のパラメータは後輪加減速度RrGであり、左右の後輪Wr,Wrの加減速度のローセレクト値(減速度の大きい方)として算出される。ローセレクト値を採用することで、後輪Wr,Wrのロックを確実に検出することができる。
【0121】
続くステップS181で指示レベルフラグが「1」以上であって手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41から作動指示が既に出力されており、ステップS182で推定車体速度VR4Rが2km/h未満であれば、つまり車両が実質的に停止していれば、ステップS183で目標減速度Gtを0.0Gにリセットし、ステップS184で手動作動を実行する。このときの目標牽引力BfTは、第1の目標牽引力BfT1、第2の目標牽引力BfT2および第3の目標牽引力BfT3の何れかである。また前記ステップS179で解除指示フラグが「1」であって手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42から解除指示が出力されていれば、ステップS185で目標減速度Gtを0.0Gにリセットし、ステップS186で手動解除を実行する。
【0122】
前記ステップS182で推定車体速度VR4Rが2km/h以上であれば、つまり車両が走行中であれば、そのときの車両の状態に応じた目標減速度Gtを設定する。即ち、ステップS187で低路面摩擦係数フラグが「0」であって路面摩擦係数が高い状態にあり、ステップS188で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押され続けていて出力がハイレベルであり、ステップS189で車体減速度GRFが目標減速度Gt以下であれば、ステップS190でそのときの車体減速度GRFで目標減速度Gtを更新する。このとき、目標減速度Gtは−0.15G〜−0.30Gの範囲に制限される。−0.30Gは乾燥したアスファルト路で後輪Wr,Wrが発生可能な最大の減速度である。
【0123】
一方、前記ステップS188で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押され続けていないか、前記ステップS189で車体減速度GRFが目標減速度Gt以下でなければ、ステップS191で目標減速度Gtを指示レベル×(−0.15G)により算出する。このときも、目標減速度Gtは−0.15G〜−0.30Gの範囲に制限される。更に、前記ステップS187で低路面摩擦係数フラグが「1」であって路面摩擦係数が低い状態にあれば、後述する後輪加減速度RrG≦0.0Gとなって目標減速度Gtを車体減速度GRf×90%に設定する場合を除いて、基本的に目標減速度Gtの更新は行わない。そしてステップS192緊急作動フラグを「1」にセットする。
【0124】
車両の走行中にサービスブレーキが失陥した場合に、電動駐車ブレーキ装置12を作動させて車両を制動するのが緊急作動であり、緊急作動フラグは、自動動作モードが選択されているときに自動動作モードのフローを実質的にバイパスさせる役割を持ち、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42が押されるか(図21のフローチャートのステップS177参照)、停止確定してブレーキペダルがオンしてブレーキ油圧が1MPa以上にならないと(図10のステップS21参照)、「0」にリセットされることはない。
【0125】
続くステップS193で前輪推定車体速度VRFから左右の後輪Wr,Wrの車輪速度のローセレクト値を減算した値が2km/h以上であれば、路面摩擦係数が小さいために後輪Wr,Wrがロック傾向にあると判断し、ステップS194で低路面摩擦係数フラグを「1」にセットする。左右の後輪Wr,Wrの車輪速度のローセレクト値を使用するのは、後輪Wr,Wrのロックを確実に検出するためである。続くステップS195で後輪加減速度RrGが0.0G以下であれば、つまり後輪Wr,Wrの車輪速度が減少しつつあれば、後輪Wr,Wrがロックする可能性があると判断し、後輪Wr,Wrがロックを防止すべくステップS196で目標減速度Gtを車体減速度GRF×90%により算出する。このとき、算出された目標減速度Gtは−0.10G〜−0.30Gの範囲に制限される。
【0126】
続くステップS197でABS(アンチロックブレーキ)制御が実行されていることを示すABSフラグを「1」にセットし、ステップS198で継続タイマー(実施例では500msec)をリセットする。尚、低路面摩擦係数フラグおよびABSフラグは一旦「1」にセットされると、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41あるいは解除スイッチ42が押されるか(図21のフローチャートのステップS174参照)、車両の停止が確定するまで(図10のフローチャートのステップS22,S23参照)、「0」にリセットされることはない。但し、ABSフラグは継続タイマーの500msecが経過すると「0」にリセットされる(図23のフローチャートのステップS207参照)。
【0127】
続くステップS199で電動駐車ブレーキ装置12のストロークが0位置+2mmを越えていれば、ステップS200で電動モータ24を逆転駆動して制動力を低減し、後輪Wr,Wrのロックを抑制する。そして前記ステップS199でストロークが0位置+2mm未満になれば、戻し過ぎを防止するためにステップS204で電動モータ24をの逆転を停止する。
【0128】
前記ステップS193で前輪推定車体速度VRFから左右の後輪Wr,Wrの車輪速度のローセレクト値を減算した値が2km/h未満であり、後輪Wr,Wrがロック傾向にない場合でも、ステップS201で車体減速度GRF<−0.4Gであれば制動力が過剰であると判断し、前記ステップS195〜S200およびステップS203,S204を実行して電動駐車ブレーキ装置12の制動力を低減する。このように、車体減速度GRFの上限値を−0.4Gに設定することにより、後輪Wr,Wrのロックを確実に防止して車両挙動の安定を図ることができる。特に、電動駐車ブレーキ装置12が発生する制動力の大きさを、電動モータ24の電流値や電動駐車ブレーキ装置12のストローク量ではなく、車体減速度GRFに基づいて制御するので、ブレーキシュー15,16の温度や摩耗状態に関わらずに制動力の大きさを正確に制御し、後輪Wr,Wrのロックを確実に防止することができる。
【0129】
前記ステップS201で車体減速度GRF≧−0.4Gであり、かつステップS202で車体減速度GRF<目標減速度Gtであって制動力が過剰であれば、ステップS203で継続タイマーをリセットし、ステップS204で制動力が過剰になるのを防止すべく電動モータ24の正転を停止する。前記ステップS203で継続タイマーをリセットするのは、そのセット時間である500msecが経過する前に、車体減速度GRF<目標減速度Gtとなって電動モータ24の正転を停止した後、再び車体減速度GRF≧目標減速度Gtとなって再び電動モータ24が正転駆動される場合があるからである。
【0130】
前記ステップS202で車体減速度GRF≧目標減速度Gtであって制動力が不足していれば、ステップS205で継続タイマーをカウントアップする。続くステップS206で継続タイマーが500msecを越えれば、ステップS207でABSフラグを「0」にリセットする。即ち、制動力の不足を補うために電動モータ24を正転駆動して制動力を増加させるということは、後輪Wr,Wrがロックする可能性が無くなったということで、500msecの経過を待ってABSフラグを「0」にリセットする。
【0131】
ステップS208でABSフラグが「1」であれば、ステップS209で電動モータ24のデューティ比を100未満に設定する。一方、前記ステップS208でABSフラグが「0」であれば、ステップS210で電動モータ24のデューティ比を100%に設定する。そしてステップS211で前記各デューティ比に基づいて電動モータ24を正転駆動し、電動駐車ブレーキ装置12の制動力を増加させる。
【0132】
以上のように、車体減速度GRFが目標減速度Gt以上であって制動力が不足しており、かつABSフラグが「1」にセットされているとき、100%未満のデューティ比で電動モータ24を正転駆動し、車体減速度GRFが目標減速度Gtになるように制動力をゆっくりと増加させる。そして500msecが経過しても車体減速度GRFが目標減速度Gtに達しない場合には、電動駐車ブレーキ装置12のブレーキシュー15,16の過熱等で制動力で出難い状態にあることが考えられるので、そのときはABSフラグを「0」にリセットして100%のデューティ比で電動モータ24を駆動して制動力を増加させる。
【0133】
次に、図24および図25のフローチャートに基づいて、図22のフローチャートのステップS184のサブルーチンである手動作動ルーチンを説明する。
【0134】
先ずステップS221で電動駐車ブレーキ装置12の自動解除の判定があれば、ステップS222で自動解除禁止フラグを「1」にセットして自動解除を禁止する。即ち、自動動作モードが選択されており、その自動動作モードで自動解除の判定がなされているときに手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押された場合に、手動作動を可能にするために自動解除禁止フラグを「1」にセットして自動解除を禁止する。
【0135】
続くステップS223で、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42が押されたときに「1」にセットされた自動作動禁止フラグを「0」にリセットする。また図16のフローチャートの作動動作の途中あるいは図17のフローチャートの解除動作の途中で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押される場合があるので、作動継続フラグおよび解除継続フラグを「0」にリセットする。
【0136】
続くステップS224で停止確定フラグが「1」にセットされていて停止が確定しており、ステップS225で異常検出フラグが「0」にリセットされていて傾斜センサ23iが正常であるとき、ステップS226で目標牽引力BfTを第1の目標牽引力BfT1にセットする。前記ステップS224で停止確定フラグが「0」にリセットされていて停止が確定していないとき、ステップS227で目標牽引力BfTを第2の目標牽引力BfT2にセットする。前記ステップS225で異常検出フラグが「1」にセットされていて異常センサ23iが異常であるとき、ステップS228で目標牽引力BfTを第3の目標牽引力BfT3にセットする。
【0137】
続くステップS229で電動モータ24に供給する目標電流TAを、
TA=目標牽引力BfT×変換係数a
によって算出し、ステップS230でデューティ比100%で電動モータ24を正転駆動し、電動駐車ブレーキ装置12を作動させる。続くステップS231で前回作動動作でない場合、つまり今回初めて作動動作になった場合に、ステップS232で作動タイマーをリセットした後、ステップS233で作動タイマーをカウントアップする。そしてステップS234で作動タイマーが100msecを越えるのを待ち、電動モータ24に通電した直後のサージ電流を無視する。
【0138】
続くステップS235で電動モータ24の電流値が目標電流TA以上になれば、電動駐車ブレーキ装置12が必要な牽引力を発生して作動が完了したと判断し、ステップS236で動作モードフラグをインクリメントし、ステップS237で電動駐車ブレーキ装置12の作動が完了したことを示す作動ランプ23kを点灯し、ステップS238で電動モータ24の正転を停止し、ステップS239で指示レベルフラグを「0」にリセットする。
【0139】
一方、前記ステップS235で電動モータ24の電流値が目標電流TA未満であり、かつステップS240で作動タイマーが3.0sec以上になれば、ボーデンワイヤー13,13が破断したために電動駐車ブレーキ装置12が作動完了状態にならないと推定され、ステップS241で作動中フェールセーフ処理を実行する。
【0140】
尚、前記ステップS240で作動タイマーが3.0sec未満のとき、手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42が押されない限り、作動が完了する前に作動動作を中止させてしまう要因はないので、図16のフローチャートのステップS100のように作動継続フラグを「1」に設定することは行わない。
【0141】
次に、図26のフローチャートに基づいて、図22のフローチャートのステップS186のサブルーチンである手動解除ルーチンを説明する。
【0142】
先ずステップS251で電動駐車ブレーキ装置12の自動作動の判定があれば、ステップS252で自動作動禁止フラグを「1」にセットして自動作動を禁止する。即ち、自動動作モードが選択されており、その自動動作モードで自動作動の判定がなされているときに手動解除指示スイッチ23bの解除スイッチ42が押された場合に、手動解除を可能にするために自動作動禁止フラグを「1」にセットして自動作動を禁止する。
【0143】
続くステップS253で、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押されたときに「1」にセットされた自動解除禁止フラグを「0」にリセットする。また図16のフローチャートの作動動作の途中あるいは図17のフローチャートの解除動作の途中で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41が押される場合があるので、作動継続フラグおよび解除継続フラグを「0」にリセットする。
【0144】
続くステップS254で前回解除動作でなければ、つまり今回初めて解除動作であれば、ステップS255で解除タイマーをリセットする。続くステップS256で電動駐車ブレーキ装置12のストロークが0位置+2mm以下でなければ、ステップS257で電動モータ24をデューティ比100%で逆転駆動し、ステップS258で解除タイマーをカウントアップし、ステップS259で解除タイマーが3.0sec以上になれば、ステップS260で解除中フェールセーフ処理を実行する。
【0145】
一方、前記ステップS256で電動駐車ブレーキ装置12のストロークが0位置+2mm以下であれば、ステップS261で動作モードフラグを「0」にリセットし、ステップS262で作動ランプ23kを消灯する。このようにして電動駐車ブレーキ装置12が解除され、あるいは解除中にフェールセーフ処理が実行されると、ステップS263で電動モータ24の逆転駆動を停止し、ステップS264で解除指示フラグを「0」にリセットする。
【0146】
次に、図29のタイムチャートを参照して、車両の走行時に手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押した場合の作用を具体的に説明する。
【0147】
2km/h以上の車速での走行中にa位置で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押すと、指示レベルフラグ=「1」に応じて目標減速度Gtが−0.15Gに設定され(図22のフローチャートのステップS191参照)、−0.15Gの減速度を発生すべく電動駐車ブレーキ装置12の電動モータ24に通電される。その瞬間、b位置において一時的にサージ電流が流れるが、その後はc位置においてボーデンワイヤー13,13の張力増加に伴って電動モータ24の電流値が次第に増加し、これと並行して電動駐車ブレーキ装置12のストロークが次第に増加して制動力を発生する。その結果、車体減速度GRFが次第に増加し、やがてd位置において車体減速度GRf<−0.15Gになると、電動モータ24に対する通電が停止される。
【0148】
ドライバーが更なる減速を要求し、e位置で再び手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押すと、指示レベルフラグ=「2」に応じて目標減速度Gtが−0.30Gに設定され、−0.30Gの減速度を発生すべく電動駐車ブレーキ装置12の電動モータ24に再度通電される。その瞬間、f位置において一時的にサージ電流が流れるが、その後はg位置においてボーデンワイヤー13,13の張力が増加するに伴って電動モータ24の電流値が次第に増加し、これと並行して電動駐車ブレーキ装置12のストロークが次第に増加して制動力が増加する。その結果、車体減速度GRFが更に減少し、やがてh位置において車体減速度GRF<−0.30Gになると、電動モータ24に対する通電が停止される。
【0149】
その間、車輪速度Vw(左右の後輪Wr,Wrの車輪速度のローセレクト値)が次第に減少し、ドライバーが更なる減速が不要であると判断してi位置で手動動作指示スイッチ23bの解除スイッチ42を押すと、目標減速度Gtが0.0Gにリセットされる。そしてj位置で電動モータ24を逆転させることで電動駐車ブレーキ装置12のストロークを減少させ、k位置でストロークが0位置になるように電動モータ24への通電を停止する。このとき、電動モータ24の回転方向がボーデンワイヤー13,13の張力によって付勢される逆転方向であるため、j位置における電動モータ24の電流値は、正転方向であるc位置およびg位置に比べて小さくなる。
【0150】
以上のように、車両の走行中にサービスブレーキが故障したような場合に、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押すことによって電動駐車ブレーキ装置12を作動させることができるので、サービスブレーキを使用せずに車両を減速・停止させることができる。また作動スイッチ41を押す回数が増えると、その回数に応じて目標減速度Gtが増加するので、ドライバーの要求に見合った減速度で車両を減速することができる。
【0151】
しかも、電動駐車ブレーキ装置12を作動させて走行中の車両を制動する際に、電動駐車ブレーキ装置12のストロークや電動モータ24の電流値に基づいて電動駐車ブレーキ装置12の制動力を制御するのではなく、車両の目標減速度Gtに基づいて電動駐車ブレーキ装置12の制動力を制御するので、駐車ブレーキ11,11のブレーキシュー15,16の温度や摩耗状態に影響されずに所望の減速度を得ることができる。
【0152】
次に、図30のタイムチャートを参照して、車両の走行時に手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押し続けた場合の作用を具体的に説明する。
【0153】
2km/h以上の車速での走行中にa位置で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押すと、指示レベルフラグ=「1」に応じて目標減速度Gtが−0.15Gに設定され、−0.15Gの減速度を発生すべく電動駐車ブレーキ装置12の電動モータ24に通電される。その瞬間、b位置において一時的にサージ電流が流れるが、その後はc位置においてボーデンワイヤー13,13の張力増加に伴って電動モータ24の電流値が次第に増加し、これと並行して電動駐車ブレーキ装置12のストロークが次第に増加して制動力を発生する。
【0154】
d位置において車体減速度GRF≦0.15Gになっても、作動スイッチ41が依然として押し続けられていると、e位置において現在の車体減速度GRFで目標減速度Gtを更新する(図22のフローチャートのステップS190参照)。その結果、目標減速度Gt<0.15Gになって、制動力が更に大きくなる。やがてf位置で車体減速度GRFが下限減速度である−0.30Gまで減少すると、電動モータ24への通電を停止して制動力を保持する。尚、d位置以後のg位置でドライバーが手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を離しても、その制動制御は継続される。
【0155】
電動モータ24への通電の停止によりやがて増加に転じた車体減速度GRFが、h位置でGRF>−0.30Gになると、i位置で再び電動モータ24に通電して制動力を増加させ、j位置で車体減速度GRFが再びGRF≦−0.30Gになると電動モータ24への通電を停止する。
【0156】
その後、k位置で車体減速度GRFがアンダーシュートしてGRF≦−0.4G(減速度の上限値)になり、かつ後輪加減速度RrG≦0.0Gで後輪Wr,Wrの回転数が減少していれば、目標減速度Gtを車体減速度GRFの90%に設定し(図23のフローチャートのステップS201,S195,S196参照)、l位置で制動力を減少させるべく電動モータ24を逆転駆動する。そしてm位置で後輪加減速度RrG>0.0Gになって後輪Wr,Wrの回転数が増加に転じた時点で、電動モータ24の逆転駆動を停止する。
【0157】
以上のように、車両の走行中にサービスブレーキが故障したような場合に、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を押し続けることによって電動駐車ブレーキ装置12を作動させることができるので、サービスブレーキを使用せずに車両を減速・停止させることができる。特に、作動スイッチ41を押し続けることで目標減速度Gtが次第に増加するので、最大限の制動力を発生させて車両を効果的に減速することができる。その際に目標減速度Gt≦−0.4G(減速度の上限値)になると制動力を減少させるので、過剰な制動力で後輪Wr,Wrがロックするのを防止することができる。
【0158】
また車両の走行中に手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を間欠的あるいは連続的に押すことにより電動駐車ブレーキ装置12の制動力が増加するので、例えばドライバーが前方の道路状況を察知し、制動力の増加が可能であると判断した場合に、作動スイッチ41の操作により制動力を任意に増加させて有効な制動効果を得ることができる。
【0159】
次に、図31のタイムチャートを参照して、路面摩擦係数の小さい状態での走行中に、手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を間欠的に押した場合の作用を具体的に説明する。
【0160】
2km/h以上の車速での走行中にa位置で手動動作指示スイッチ23bの作動スイッチ41を2回連続して押すと、目標減速度Gtが0.0G→0.15G→0.30Gと減少し、b位置で電動駐車ブレーキ装置12の制動力を発生させるべく電動モータ24が正転駆動される。その結果、後輪Wr,Wrが制動され、前輪推定車体速度VRFと、車輪速度Vw(左右の後輪Wr,Wrの車輪速度のローセレクト値)との偏差が次第に増加し、c位置で前記偏差がスリップ量規定値(実施例では2km/h)以上になると(図23のフローチャートのステップS193参照)、路面摩擦係数が小さいために後輪Wr,Wrがロックする可能性があると判断し、d位置で目標減速度Gtが車体減速度GRFの90%になるように絶えず更新する。
【0161】
一般に最大の制動力は車輪が多少スリップしている状態で発生するものであり、車輪ロックの可能性があると判断している間の車体減速度GRFが、その路面で発生することのできる最大の車体減速度GRFである可能性が高い。従って、ロックの可能性がある場合の目標減速度Gtを前記車体減速度GRFに基づいて(実施例では車体減速度GRFの90%)に設定することで、車輪ロックの発生を防止しながら最大限の制動力を得ることができる。しかも、電動駐車ブレーキ装置12の制動力の増加および減少が何度も繰り返されるのを防止して安定した減速感を得るとともに、電動駐車ブレーキ装置12の耐久性への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0162】
そして、d位置で設定された目標減速度Gtを発生させるべく、e位置で電動モータ24を逆転駆動して制動力を減少させ、車輪速度Vwを回復させることでロックの発生を防止する。やがて、f位置で後輪加減速度RrG>0.0Gに回復すると、車輪ロックが発生する可能性がなくなったと判断し、電動モータ24の逆転駆動を停止して制動力を保持する。このとき、後輪加減速度RrG≧0.0Gに回復したときに車輪ロックが発生する可能性がなくなったと判断する代わりに、前輪推定車体速度VRFと車輪速度Vwとの偏差がスリップ量規定値未満になったときに車輪ロックが発生する可能性がなくなったと判断しても良い。
【0163】
制動力を弱めたことで車輪速度Vwが次第に回復し、g位置で前輪推定車体速度VRFと車輪速度Vwとの偏差がスリップ量規定値未満になり、かつ車体減速度GRF≧目標減速度Gtであれば、目標減速度Gtを得るべく、h位置で電動モータ24を正転方向に駆動して制動力を増加させる。但し、このときの電動モータ24のデューティ比は100%ではなく、それよりも小さいデューティ比に設定することで、制動力をゆっくりと増加させる(図23のフローチャートのステップS209参照)。そして制動力をゆっくりと増加させることにより、車体減速度GRFが目標減速度Gtを超えてオーバーシュートするのを防止することができ、安定した減速感が得られるとともに、電動駐車ブレーキ装置12の耐久性への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0164】
そして、i位置で車体減速度GRF<目標減速度になると、それ以上制動力が増加しないように電動モータ24の正転駆動を停止する。
【0165】
以上のように、サービスブレーキが故障したような場合に電動駐車ブレーキ装置12を作動させて車両を制動するとき、サービスブレーキと同様のアンチロックブレーキ制御が行われるので、後輪Wr,Wrのロックを防止して車両挙動の安定を図りながら最大限の制動力を得ることができる。
【0166】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0167】
例えば、実施例では後輪Wr,Wrのロックの可能性がないと判断された以後にロックの可能性があると判断されたとき、目標減速度Gtを車体減速度GRFの90%に設定することで目標減速度Gtを減少させているが、車体減速度GRFから固定値(例えば0.05G)を減算したものを目標標減速度Gtとしても良い。
【0168】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、車両の走行中に駐車ブレーキを作動させたときにロックの可能性があると判断されたときには、ロックの可能性がないと判断されるまで駐車ブレーキの制動力を低減するので、車輪のロックを確実に回避することができる。しかも、ロックの可能性がないと判断された以後はロックの可能性があると判断されたときの車体減速度に基づいて決定した目標減速度で車両を減速するので、そのときの路面摩擦係数に応じた最大限の減速度で車両を減速することができ、特にサービスブレーキが故障した緊急時等に車両を効果的に制動することができる。なぜならば、最大の車体減速度は車輪と路面との間にある程度のスリップが発生して車輪がロック傾向にあるときに得られるものであり、従ってロックの可能性があると判断されたときの車体減速度に基づいて目標減速度を決定することにより、その路面摩擦係数における最大限の制動力を得ることができるからである。
【0169】
また請求項2に記載された発明によれば、ロックの可能性があると判断されたときの車体減速度よりも所定量だけ小さい減速度として目標減速度を決定するので、駐車ブレーキの制動力を前記目標減速度に基づいて増加させた際に車輪が再ロックに入り難くなり、制動力の減少および増加が繰り返されて安定した車体減速度が得られなくなるのを防止することができ、しかも車輪ブレーキの耐久性への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0170】
また請求項3に記載された発明によれば、車体減速度が目標減速度を下回って駐車ブレーキの制動力を増加させるとき、ロックの可能性があると判断される前に駐車ブレーキの制動力を増加させる場合に比べて制動力がゆっくりと増加するので、車体減速度が目標減速度をオーバーシュートして減速過剰になるのを防止することができ、安定した車体減速度を得るとともに車輪ブレーキの耐久性への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0171】
また請求項4に記載された発明によれば、ドライバーの作動指示に基づいて車輪ブレーキが作動している間に再度作動指示が出されると、目標減速度を作動指示の回数に応じて定めた値に置き換えるので、ドライバーの意志に応じた目標減速度を設定することができる。その結果、例えばドライバーが前方の道路状況の変化を察知した結果に基づいて制動力の増加が可能であると判断したような場合に、再度作動指示を出すことで車両を効果的に制動することができる。
【0172】
また請求項5に記載された発明によれば、ドライバーの作動指示に基づいて車輪ブレーキが作動している間に再度作動指示が出されると目標減速度が増加するので、ドライバーの意志に応じて目標減速度を増加させることができる。その結果、例えばドライバーが前方の道路状況の変化を察知した結果に基づいて制動力の増加が可能であると判断したような場合に、再度作動指示を出すことで車両を効果的に制動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動駐車ブレーキ装置を搭載した車両の平面図
【図2】電動駐車ブレーキ装置の制御系の説明図
【図3】手動動作指示スイッチの形状を示す図
【図4】手動動作指示スイッチの回路図
【図5】手動動作指示スイッチの操作および出力信号の説明図
【図6】手動動作指示スイッチ動作判定ルーチンのフローチャートの第1分図
【図7】手動動作指示スイッチ動作判定ルーチンのフローチャートの第2分図
【図8】電動駐車ブレーキ装置の分解斜視図
【図9】電動駐車ブレーキ装置の制御のメインルーチンのフローチャート
【図10】停止判定ルーチンのフローチャート
【図11】自動動作ルーチンのフローチャートの第1分図
【図12】自動動作ルーチンのフローチャートの第2分図
【図13】自動動作ルーチンのフローチャートの第3分図
【図14】自動動作ルーチンのフローチャートの第4分図
【図15】自動作動ルーチンのフローチャートの第1分図
【図16】自動作動ルーチンのフローチャートの第2分図
【図17】自動解除ルーチンのフローチャート
【図18】自動解除2ルーチンのフローチャート
【図19】自動増引ルーチンのフローチャートの第1分図
【図20】自動増引ルーチンのフローチャートの第2分図
【図21】手動動作ルーチンのフローチャートの第1分図
【図22】手動動作ルーチンのフローチャートの第2分図
【図23】手動動作ルーチンのフローチャートの第3分図
【図24】手動作動ルーチンのフローチャートの第1分図
【図25】手動作動ルーチンのフローチャートの第2分図
【図26】手動解除ルーチンのフローチャート
【図27】路面の傾斜度から電動駐車ブレーキ装置の牽引力を検索するマップ
【図28】路面の傾斜度からスロットル開度を検索するマップ
【図29】走行中に作動スイッチを間欠的に押した場合の作用を示すタイムチャート
【図30】走行中に作動スイッチを連続的に押した場合の作用を示すタイムチャート
【図31】路面摩擦係数が小さい状態での走行中に作動スイッチを間欠的に押した場合の作用を示すタイムチャート
【符号の説明】
11 駐車ブレーキ
23b 手動動作指示スイッチ(操作部材)
24 電動モータ
GRF 車体減速度
Gt 目標減速度
Wr 後輪(車輪)
Claims (5)
- 電動モータ(24)により駐車ブレーキ(11)を作動および解除させる電動駐車ブレーキ装置において、
車両の走行中にドライバーから駐車ブレーキ(11)を作動させる作動指示が出されて駐車ブレーキ(11)が作動しているときに、制動力が作用している車輪(Wr)がロックする可能性の有無を判断し、ロックの可能性があると判断されたときにはロックの可能性がないと判断されるまで駐車ブレーキ(11)の制動力を低減するとともに、ロックの可能性がないと判断された以後はロックの可能性があると判断されたときの車体減速度(GRF)に基づいて決定した目標減速度(Gt)で車両を減速するように駐車ブレーキ(11)の制動力を制御することを特徴とする電動駐車ブレーキ装置。 - 前記目標減速度(Gt)は、ロックの可能性があると判断されたときの車体減速度(GRF)よりも所定量だけ小さい減速度であることを特徴とする、請求項1に記載の電動駐車ブレーキ装置。
- 前記目標減速度(Gt)で車両を減速するように駐車ブレーキ(11)の制動力を制御する間に、車体減速度(GRF)が目標減速度(Gt)を下回って駐車ブレーキ(11)の制動力を増加させるときには、ロックの可能性があると判断される前に駐車ブレーキ(11)の制動力を増加させる場合に比べ、制動力の増加速度を小さくすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電動駐車ブレーキ装置。
- 前記作動指示はドライバーによる操作部材(23b)の操作に基づいて出され、前記目標減速度(Gt)で車両を減速するように駐車ブレーキ(11)の制動力を制御する間に再度作動指示が出されたときには、前記目標減速度(Gt)を作動指示の回数に応じて定めた値に置き換えることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動駐車ブレーキ装置。
- 前記作動指示はドライバーによる操作部材(23b)の操作に基づいて出され、前記目標減速度(Gt)で車両を減速するように駐車ブレーキ(11)の制動力を制御する間に再度作動指示が出されたときには、前記目標減速度(Gt)を増加させることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の電動駐車ブレーキ装置。
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