JP2004142056A - 食品吸着装置および食品移送方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】食品吸着装置および食品移送方法において、表面に剥離しやすい装飾を施した固体の食品であっても、そのような表面の装飾を損なうことなく空気吸引することができる吸引装置及び移送方法を提供する。
【解決手段】柔軟性のある弾性体で形成された吸着部2に、被吸着面を覆う大きさの吸着口2aを設け、その後ろ側に貫通孔からなる吸引室2bを設ける。吸着部2を、吸着口2aの中心位置に吸着口2aより小さい径断面を備えるベース内管路3aを設けた吸着部保持ベース3に固定し、吸着口2a側にネット5をかぶせて固定する。ベース内管路3aから空気を吸引し、ネット5を介して、被吸着物を吸着口2aに吸着する構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】柔軟性のある弾性体で形成された吸着部2に、被吸着面を覆う大きさの吸着口2aを設け、その後ろ側に貫通孔からなる吸引室2bを設ける。吸着部2を、吸着口2aの中心位置に吸着口2aより小さい径断面を備えるベース内管路3aを設けた吸着部保持ベース3に固定し、吸着口2a側にネット5をかぶせて固定する。ベース内管路3aから空気を吸引し、ネット5を介して、被吸着物を吸着口2aに吸着する構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品吸着装置および食品移送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、崩れやすい食品を吸着保持して搬送等を行う吸着装置が知られている。そのような例として、特許文献1には、コロッケ・厚揚げなどの崩れやすい食品を、ネット、十字格子体、線状体などの支持体が設けられた円形の開口部から、これらの支持体越しに空気吸引することにより吸着する吸着式ロボットハンドが記載されている。
また、他の吸着装置としては、特許文献2には、被搬送物を多孔質プレートとパンチングメタルを介して吸着する吸着ジグが記載されている。
また、腰のない布地を凹状に変形しないように吸着把持する布地把持装置が、特許文献3に記載されている。この装置には、開口部に布地が凹状に変形するのを防止する網状体からなる通気性ストッパー部が設けられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−152088号公報(第1−3頁、図2)
【特許文献2】
特開2002−144270(第3−4頁、図1−2)
【特許文献3】
実開平4−41375(第5−6頁、図1−4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術に係る装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の吸着式ロボットハンドは、長円形や矩形などのコロッケ・厚揚げの一部を円形の開口部から吸引するものであるが、例えば、表面に粉糖、ココア粉などをデコレーションとしてまぶした菓子などの食品を吸着する場合には、開口部の内側では、それらの粉末が表面から吸引されてしまい、円形の吸引痕が食品表面に残ってしまうという問題があった。デコレーション菓子は、見映えが商品価値を左右するので、このような吸引痕がつくと不良品として破棄しなくてはならなかった。
特許文献2に記載の吸着ジグは、多孔質プレートしてスポンジ状の平板を介して被搬送物を吸着するが、スポンジは吸引や被搬送物との接触を繰り返すうちに、徐々に劣化して、微細クズが脱落するという特性を有しており、食品を吸着する材料として使うことはできないという問題があった。また、吸引口の目詰まりが発生し、吸引力の不足のため吸引物の落下や詰まった粉に菌が発生するという衛生上の問題もあった。
特許文献3に記載の布地把持装置は、布地を変形させないような硬い網状体を通気性ストッパー部として用いるものなので、デコレーション菓子のように表面が軟らかいものを吸着すれば、網目が食い込んで表面にその痕が残り、商品価値が失われてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、例えば粉糖などの付着物や凹凸形状を設けて装飾を施した菓子など、表面に剥離しやすい装飾を施した固体の食品であっても、そのような表面の装飾を損なうことなく空気吸引することができる食品吸着装置および食品移送方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、固体の食品を吸着口に吸着保持する食品吸着装置であって、前記吸着口が、前記食品の被吸着面を含む上面側の平面視形状の範囲を覆う大きさに設けられるとともに、該吸着口に、前記被吸着面の表面形状に沿って変形可能な柔軟性を有するネット部材が設けられた構成とする。
この発明によれば、食品の被吸着面を含む上面側の平面視形状の範囲を覆う吸着口に設けられたネット部材が、その被吸着面の表面形状に沿って変形して、被吸着面に当接することにより、空気吸引力が分散され、その結果、被吸着面の崩れを防止するとともに、被吸着面上に装飾用などの付着物があっても明瞭な吸引痕が残らないようにすることができる。
【0007】
ここで、被吸着面に沿うとは、ネット部材が形成するネット面と被吸着面との間に部分的な隙間が生じた状態で沿っていてもよい、という意味である。つまり、被吸着面に局部的な凹凸がある場合には、ネット部材がその凹凸に忠実に密着している必要はない。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の食品吸着装置において、前記吸着口が、前記被吸着面に沿って弾性変形可能な材料により形成された構成とする。
この発明によれば、吸着口が弾性変形可能な材料からなるので、圧変動が大きい吸引時には、弾性変形して吸着時の衝撃を和らげることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、上面に粉体が付着した固体の食品を、請求項1または2に記載の食品吸着装置により、吸着して、移送することを特徴とする食品移送方法とする。
この発明によれば、請求項1または2に記載の発明と同様の作用効果を備えるので、食品の上面に付着した粉体の吸着口に沿った吸引痕が残らないように、食品を移送することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。すべての図面において、同一または相当する部材は同一符号を付すことにより、重複する説明は省略している。
図1は、本発明の実施形態に係る食品吸着装置の概略構成を説明するための平面説明図およびそのA−A断面図である。
【0011】
本発明の実施形態に係る食品吸着装置1は、例えば、ブロア、吸引ポンプなどを空気吸引手段(不図示)として、管路内に負圧を形成してその端部に設けられた吸着口に食品(被吸着物)を吸着させる装置であり、具体的には、吸着部2、吸着部保持ベース3およびネット5(ネット部材)を備える。
【0012】
吸着部2は、矩形の板状に切断された弾性部材の板厚方向の表面に、ほぼ矩形状開口である吸着口2aを形成して、それらを、例えば6個整列させた部材である。
吸着口2aから吸着部2の内部側には、貫通孔である吸引室2bが吸引室内壁面2cに囲まれた空間として形成されている。
吸着部2の材質は、耐熱性と耐久性に優れ、柔軟性を有する弾性体からなり、例えば、適宜種類のエラストマーや合成ゴムなどを採用することができる。特に、シリコンゴムは好適な材質である。
このような材質によれば、吸着部2を一体成形により製造することができる。したがって、部品点数を削減でき製作コストを低減することができるという利点がある。
【0013】
吸着部2の開口の大きさは、被吸着物の被吸着面を完全に覆うとともに、被吸着物の被吸着面を含む上面側の平面視形状の範囲を覆う大きさとされている。
【0014】
吸着部保持ベース3は、柔軟性を有する吸着部2を安定して保持するために設けるもので、吸着部2に比べて剛性の高い板部材に、吸着口2aより小さな径断面を有する貫通孔であるベース内管路3aを板厚方向に設けたものである。図1(a)に示したように、ベース内管路3aは、吸着部2の2個分の吸着口2aと同数・同ピッチで設けられている。
【0015】
吸着部保持ベース3の上面には、吸着部2が、それぞれの吸着口2aとベース内管路3aとの中心位置を一致させた状態で重ねて固定されている。ベース内管路3aには、不図示の空気吸引手段に接続するためのパイプなどが取付可能とされている。
このため、空気が吸引されると、ベース内管路3a内、吸引室2bが負圧となり、吸着口2aから空気が流入するようになっている。
吸着部保持ベース3の材質は、適宜の合成樹脂板や金属板を採用することができる。
【0016】
ネット5は、吸着部2を吸着口2aの設けられた表面側から覆う伸縮可能なシート状の網状体である。
図2(a)は、ネット5の展開形状を示す平面展開図である。図2(b)は、図2(a)におけるB部詳細図である。
図2(a)に示したように、ネット5は、吸着口2aを覆う矩形状の吸着ネット部5aの各辺から外側に延ばされた保持部5bを有し、展開図では十字型とされている。そして、組立状態では、吸着部2の表面に吸着ネット部5aを重ね合わせ、各保持部5bを側方に折り曲げてから、吸着部2の側部に嵌合する四角枠状のネットホルダ4をはめ込むことにより、吸着部2に固定されている。
【0017】
ネット5は、被吸着面の形状に応じて、吸着口2aでの張りを調整して固定する。例えば、被吸着面が凸形状であれば、張りを緩くして、ネット5が被吸着面の凸形状に沿い易いようにしておく。
【0018】
ネット5の網状体の材質としては、無毒性で汚れにくく、耐久性と抗張力が高い合成樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、その一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)が採用できる。そして、網状体は、図2(b)に示したように、所定の大きさを有する格子状の網目5cが多数隣接するものなどが採用できる。このような網状体は、例えば、PET繊維を布状に編むことにより製作することができる。そのようにすれば、網目5cが変形することにより、ネット5が弾性的に伸縮することが可能となる。
網目5cの大きさは、被吸着物の表面に滑らかに当接するためには、小さい方が好ましいが、被吸着物に剥がれやすい粉体など付着している場合は、網目5cがそれら粉体により目詰まりしないような大きさに留めるようにする。
【0019】
次に、食品吸着装置1の作用効果について説明する。
図3は、本実施形態の食品吸着装置1により、被吸着物の一例として、菓子10(固体の食品)を吸着した様子を示す側面方向の概略断面図である。食品吸着装置1は、1度に12個吸着できるが、図3では、1個が吸着されている様子を示し、他は割愛している。
【0020】
菓子10は、全体的には、ほぼ直方体で、その上面側の平面視形状が吸着口2aに覆われる形状を備える小型の菓子である。具体例を挙げれば、例えば、直方体状のスポンジケーキからなる菓子本体の上面にクリーム層をトッピングしてドーム状に膨らんだ上面を形成し、これらの外周にチョコレート層を被覆し、このようにして形成された菓子上面10a(被吸着面)に、白色の粉糖10b(粉体)をまぶして装飾が施されたものである。粉糖10bは、それぞれ互いに凝集して不定形の団塊をなしており、菓子上面10aに弱い力で密着している。このようなタイプの菓子の類型は多く、粉糖10bは、例えば、ココア粉や色付粉糖など様々な変形例がある。また、菓子本体の形も、球体、三角錐など種々の立体がある。
【0021】
ベース内管路3aから、小さい吸引力で空気が吸引されると、吸引室2bが負圧となって、菓子上面10aがソフトに吸引される。そして、ネット5に吸着保持される。このとき、菓子10は、菓子上面10a全体から吸引力を受けるので、吸引圧が分散され、かつ柔軟なネット5で覆われている。吸着口2aが菓子上面10aより大きいので、菓子上面10aは、ネット5のみで覆われ、吸着口2aの端部に当接しない。
【0022】
その結果、菓子上面10aの崩れと粉糖10bの剥がれとを防止することができる。弱い力で密着している粉糖10bは、上面側から少し剥がれる場合もあるが、その場合でも、菓子上面10aの全体にわたって均等に起こるものである。したがって、菓子上面10aに部分的な吸引痕が残ることはない。その結果、商品価値を有する良好な美観を保持することができる。粉糖10bの層厚が減る分は、あらかじめ剥がれを見込んで層を厚くしておいてもよい。
【0023】
また、吸着部2は、柔軟性を有する弾性体からなるので、吸引室2bの圧変動が大きい吸着時には、吸着部2自体が弾性変形して吸着時の衝撃を和らげることができる。したがって、吸着時の衝撃による粉糖10bの剥がれを効果的に防止できるという利点がある。
【0024】
このように、本実施形態に係る食品吸着装置1によれば、被吸着面の崩れを防止するとともに、被吸着面上に明瞭な吸引痕が残らないようにすることができる。
また、このような食品吸着装置1を用いて食品を吸着し、そのまま搬送するという食品移送方法を実施すれば、食品の美観を損ねることなく、製造工程内での搬送や、食品トレーへの移送や、箱詰め作業などを行えるので、食品製造工程の効率を向上することができる。
【0025】
なお、上記の説明では、吸着口2aが菓子上面10aより大きいとして説明したが、本実施形態では、吸着部2が菓子上面10aに沿って弾性変形することが可能となっているから、万一、吸着口2aの近傍や端部が菓子上面10aに当たっても、それらが菓子上面10aに食い込んで条痕が付く不良は発生しない。
【0026】
なお、上記の説明では、吸着部2の材質の例として、エラストマーや合成ゴムを挙げたが、これらは、適宜に弾性を備えていれば、ソリッドのものでも、発泡体でもよい。
【0027】
また、上記の説明では、ネット5の例として、PET繊維を織った布状のものとして説明したが、合成樹脂フィルムに、網目5cに相当する貫通孔を多数形成したシート状のものでもよい。このような構成によっても、その厚さや貫通孔の大きさや密度などを適宜調整することにより伸縮性が得られる。
【0028】
また、上記の説明では、最も効果が大きい例として、菓子上面10aに粉糖10bを設けた食品を吸着した例で説明したが、固体の食品であれば、菓子以外を吸着するものであってもよい。また、被吸着面に粉糖10bなどが付着していないものでもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の食品吸着装置および食品移送方法によれば、被吸着面の崩れを防止するとともに、被吸着面上に装飾用などの付着物があっても、被吸着面上に明瞭な吸引痕が残らないようにすることができるから、表面に剥離しやすい装飾を施した固体の食品であってもその表面の装飾を損なうことなく吸着することができ、その状態で移送することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る食品吸着装置の概略構成を説明するための平面説明図およびそのA−A断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るネット部材を説明するための平面図である。
【図3】本実施形態の食品吸着装置により、固体の食品を吸着した様子を示す側面方向の概略断面図である。
【符号の説明】
1 食品吸着装置
2a 吸着口
2b 吸引室
3 吸着部保持ベース
5 ネット(ネット部材)
10 菓子(固体の食品)
10a 菓子上面(被吸着面)
10b 粉糖(粉体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品吸着装置および食品移送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、崩れやすい食品を吸着保持して搬送等を行う吸着装置が知られている。そのような例として、特許文献1には、コロッケ・厚揚げなどの崩れやすい食品を、ネット、十字格子体、線状体などの支持体が設けられた円形の開口部から、これらの支持体越しに空気吸引することにより吸着する吸着式ロボットハンドが記載されている。
また、他の吸着装置としては、特許文献2には、被搬送物を多孔質プレートとパンチングメタルを介して吸着する吸着ジグが記載されている。
また、腰のない布地を凹状に変形しないように吸着把持する布地把持装置が、特許文献3に記載されている。この装置には、開口部に布地が凹状に変形するのを防止する網状体からなる通気性ストッパー部が設けられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−152088号公報(第1−3頁、図2)
【特許文献2】
特開2002−144270(第3−4頁、図1−2)
【特許文献3】
実開平4−41375(第5−6頁、図1−4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術に係る装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の吸着式ロボットハンドは、長円形や矩形などのコロッケ・厚揚げの一部を円形の開口部から吸引するものであるが、例えば、表面に粉糖、ココア粉などをデコレーションとしてまぶした菓子などの食品を吸着する場合には、開口部の内側では、それらの粉末が表面から吸引されてしまい、円形の吸引痕が食品表面に残ってしまうという問題があった。デコレーション菓子は、見映えが商品価値を左右するので、このような吸引痕がつくと不良品として破棄しなくてはならなかった。
特許文献2に記載の吸着ジグは、多孔質プレートしてスポンジ状の平板を介して被搬送物を吸着するが、スポンジは吸引や被搬送物との接触を繰り返すうちに、徐々に劣化して、微細クズが脱落するという特性を有しており、食品を吸着する材料として使うことはできないという問題があった。また、吸引口の目詰まりが発生し、吸引力の不足のため吸引物の落下や詰まった粉に菌が発生するという衛生上の問題もあった。
特許文献3に記載の布地把持装置は、布地を変形させないような硬い網状体を通気性ストッパー部として用いるものなので、デコレーション菓子のように表面が軟らかいものを吸着すれば、網目が食い込んで表面にその痕が残り、商品価値が失われてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、例えば粉糖などの付着物や凹凸形状を設けて装飾を施した菓子など、表面に剥離しやすい装飾を施した固体の食品であっても、そのような表面の装飾を損なうことなく空気吸引することができる食品吸着装置および食品移送方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、固体の食品を吸着口に吸着保持する食品吸着装置であって、前記吸着口が、前記食品の被吸着面を含む上面側の平面視形状の範囲を覆う大きさに設けられるとともに、該吸着口に、前記被吸着面の表面形状に沿って変形可能な柔軟性を有するネット部材が設けられた構成とする。
この発明によれば、食品の被吸着面を含む上面側の平面視形状の範囲を覆う吸着口に設けられたネット部材が、その被吸着面の表面形状に沿って変形して、被吸着面に当接することにより、空気吸引力が分散され、その結果、被吸着面の崩れを防止するとともに、被吸着面上に装飾用などの付着物があっても明瞭な吸引痕が残らないようにすることができる。
【0007】
ここで、被吸着面に沿うとは、ネット部材が形成するネット面と被吸着面との間に部分的な隙間が生じた状態で沿っていてもよい、という意味である。つまり、被吸着面に局部的な凹凸がある場合には、ネット部材がその凹凸に忠実に密着している必要はない。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の食品吸着装置において、前記吸着口が、前記被吸着面に沿って弾性変形可能な材料により形成された構成とする。
この発明によれば、吸着口が弾性変形可能な材料からなるので、圧変動が大きい吸引時には、弾性変形して吸着時の衝撃を和らげることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、上面に粉体が付着した固体の食品を、請求項1または2に記載の食品吸着装置により、吸着して、移送することを特徴とする食品移送方法とする。
この発明によれば、請求項1または2に記載の発明と同様の作用効果を備えるので、食品の上面に付着した粉体の吸着口に沿った吸引痕が残らないように、食品を移送することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。すべての図面において、同一または相当する部材は同一符号を付すことにより、重複する説明は省略している。
図1は、本発明の実施形態に係る食品吸着装置の概略構成を説明するための平面説明図およびそのA−A断面図である。
【0011】
本発明の実施形態に係る食品吸着装置1は、例えば、ブロア、吸引ポンプなどを空気吸引手段(不図示)として、管路内に負圧を形成してその端部に設けられた吸着口に食品(被吸着物)を吸着させる装置であり、具体的には、吸着部2、吸着部保持ベース3およびネット5(ネット部材)を備える。
【0012】
吸着部2は、矩形の板状に切断された弾性部材の板厚方向の表面に、ほぼ矩形状開口である吸着口2aを形成して、それらを、例えば6個整列させた部材である。
吸着口2aから吸着部2の内部側には、貫通孔である吸引室2bが吸引室内壁面2cに囲まれた空間として形成されている。
吸着部2の材質は、耐熱性と耐久性に優れ、柔軟性を有する弾性体からなり、例えば、適宜種類のエラストマーや合成ゴムなどを採用することができる。特に、シリコンゴムは好適な材質である。
このような材質によれば、吸着部2を一体成形により製造することができる。したがって、部品点数を削減でき製作コストを低減することができるという利点がある。
【0013】
吸着部2の開口の大きさは、被吸着物の被吸着面を完全に覆うとともに、被吸着物の被吸着面を含む上面側の平面視形状の範囲を覆う大きさとされている。
【0014】
吸着部保持ベース3は、柔軟性を有する吸着部2を安定して保持するために設けるもので、吸着部2に比べて剛性の高い板部材に、吸着口2aより小さな径断面を有する貫通孔であるベース内管路3aを板厚方向に設けたものである。図1(a)に示したように、ベース内管路3aは、吸着部2の2個分の吸着口2aと同数・同ピッチで設けられている。
【0015】
吸着部保持ベース3の上面には、吸着部2が、それぞれの吸着口2aとベース内管路3aとの中心位置を一致させた状態で重ねて固定されている。ベース内管路3aには、不図示の空気吸引手段に接続するためのパイプなどが取付可能とされている。
このため、空気が吸引されると、ベース内管路3a内、吸引室2bが負圧となり、吸着口2aから空気が流入するようになっている。
吸着部保持ベース3の材質は、適宜の合成樹脂板や金属板を採用することができる。
【0016】
ネット5は、吸着部2を吸着口2aの設けられた表面側から覆う伸縮可能なシート状の網状体である。
図2(a)は、ネット5の展開形状を示す平面展開図である。図2(b)は、図2(a)におけるB部詳細図である。
図2(a)に示したように、ネット5は、吸着口2aを覆う矩形状の吸着ネット部5aの各辺から外側に延ばされた保持部5bを有し、展開図では十字型とされている。そして、組立状態では、吸着部2の表面に吸着ネット部5aを重ね合わせ、各保持部5bを側方に折り曲げてから、吸着部2の側部に嵌合する四角枠状のネットホルダ4をはめ込むことにより、吸着部2に固定されている。
【0017】
ネット5は、被吸着面の形状に応じて、吸着口2aでの張りを調整して固定する。例えば、被吸着面が凸形状であれば、張りを緩くして、ネット5が被吸着面の凸形状に沿い易いようにしておく。
【0018】
ネット5の網状体の材質としては、無毒性で汚れにくく、耐久性と抗張力が高い合成樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、その一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)が採用できる。そして、網状体は、図2(b)に示したように、所定の大きさを有する格子状の網目5cが多数隣接するものなどが採用できる。このような網状体は、例えば、PET繊維を布状に編むことにより製作することができる。そのようにすれば、網目5cが変形することにより、ネット5が弾性的に伸縮することが可能となる。
網目5cの大きさは、被吸着物の表面に滑らかに当接するためには、小さい方が好ましいが、被吸着物に剥がれやすい粉体など付着している場合は、網目5cがそれら粉体により目詰まりしないような大きさに留めるようにする。
【0019】
次に、食品吸着装置1の作用効果について説明する。
図3は、本実施形態の食品吸着装置1により、被吸着物の一例として、菓子10(固体の食品)を吸着した様子を示す側面方向の概略断面図である。食品吸着装置1は、1度に12個吸着できるが、図3では、1個が吸着されている様子を示し、他は割愛している。
【0020】
菓子10は、全体的には、ほぼ直方体で、その上面側の平面視形状が吸着口2aに覆われる形状を備える小型の菓子である。具体例を挙げれば、例えば、直方体状のスポンジケーキからなる菓子本体の上面にクリーム層をトッピングしてドーム状に膨らんだ上面を形成し、これらの外周にチョコレート層を被覆し、このようにして形成された菓子上面10a(被吸着面)に、白色の粉糖10b(粉体)をまぶして装飾が施されたものである。粉糖10bは、それぞれ互いに凝集して不定形の団塊をなしており、菓子上面10aに弱い力で密着している。このようなタイプの菓子の類型は多く、粉糖10bは、例えば、ココア粉や色付粉糖など様々な変形例がある。また、菓子本体の形も、球体、三角錐など種々の立体がある。
【0021】
ベース内管路3aから、小さい吸引力で空気が吸引されると、吸引室2bが負圧となって、菓子上面10aがソフトに吸引される。そして、ネット5に吸着保持される。このとき、菓子10は、菓子上面10a全体から吸引力を受けるので、吸引圧が分散され、かつ柔軟なネット5で覆われている。吸着口2aが菓子上面10aより大きいので、菓子上面10aは、ネット5のみで覆われ、吸着口2aの端部に当接しない。
【0022】
その結果、菓子上面10aの崩れと粉糖10bの剥がれとを防止することができる。弱い力で密着している粉糖10bは、上面側から少し剥がれる場合もあるが、その場合でも、菓子上面10aの全体にわたって均等に起こるものである。したがって、菓子上面10aに部分的な吸引痕が残ることはない。その結果、商品価値を有する良好な美観を保持することができる。粉糖10bの層厚が減る分は、あらかじめ剥がれを見込んで層を厚くしておいてもよい。
【0023】
また、吸着部2は、柔軟性を有する弾性体からなるので、吸引室2bの圧変動が大きい吸着時には、吸着部2自体が弾性変形して吸着時の衝撃を和らげることができる。したがって、吸着時の衝撃による粉糖10bの剥がれを効果的に防止できるという利点がある。
【0024】
このように、本実施形態に係る食品吸着装置1によれば、被吸着面の崩れを防止するとともに、被吸着面上に明瞭な吸引痕が残らないようにすることができる。
また、このような食品吸着装置1を用いて食品を吸着し、そのまま搬送するという食品移送方法を実施すれば、食品の美観を損ねることなく、製造工程内での搬送や、食品トレーへの移送や、箱詰め作業などを行えるので、食品製造工程の効率を向上することができる。
【0025】
なお、上記の説明では、吸着口2aが菓子上面10aより大きいとして説明したが、本実施形態では、吸着部2が菓子上面10aに沿って弾性変形することが可能となっているから、万一、吸着口2aの近傍や端部が菓子上面10aに当たっても、それらが菓子上面10aに食い込んで条痕が付く不良は発生しない。
【0026】
なお、上記の説明では、吸着部2の材質の例として、エラストマーや合成ゴムを挙げたが、これらは、適宜に弾性を備えていれば、ソリッドのものでも、発泡体でもよい。
【0027】
また、上記の説明では、ネット5の例として、PET繊維を織った布状のものとして説明したが、合成樹脂フィルムに、網目5cに相当する貫通孔を多数形成したシート状のものでもよい。このような構成によっても、その厚さや貫通孔の大きさや密度などを適宜調整することにより伸縮性が得られる。
【0028】
また、上記の説明では、最も効果が大きい例として、菓子上面10aに粉糖10bを設けた食品を吸着した例で説明したが、固体の食品であれば、菓子以外を吸着するものであってもよい。また、被吸着面に粉糖10bなどが付着していないものでもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の食品吸着装置および食品移送方法によれば、被吸着面の崩れを防止するとともに、被吸着面上に装飾用などの付着物があっても、被吸着面上に明瞭な吸引痕が残らないようにすることができるから、表面に剥離しやすい装飾を施した固体の食品であってもその表面の装飾を損なうことなく吸着することができ、その状態で移送することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る食品吸着装置の概略構成を説明するための平面説明図およびそのA−A断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るネット部材を説明するための平面図である。
【図3】本実施形態の食品吸着装置により、固体の食品を吸着した様子を示す側面方向の概略断面図である。
【符号の説明】
1 食品吸着装置
2a 吸着口
2b 吸引室
3 吸着部保持ベース
5 ネット(ネット部材)
10 菓子(固体の食品)
10a 菓子上面(被吸着面)
10b 粉糖(粉体)
Claims (3)
- 固体の食品を吸着口に吸着保持する食品吸着装置であって、
前記吸着口が、前記食品の被吸着面を含む上面側の平面視形状の範囲を覆う大きさに設けられるとともに、
該吸着口に、前記被吸着面の表面形状に沿って変形可能な柔軟性を有するネット部材が設けられたことを特徴とする食品吸着装置。 - 前記吸着口が、前記被吸着面に沿って弾性変形可能な材料により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の食品吸着装置。
- 上面に粉体が付着した固体の食品を、請求項1または2に記載の食品吸着装置により、吸着して、移送することを特徴とする食品移送方法。
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-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311220A patent/JP2004142056A/ja active Pending
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