JP2004141311A - 脱臭体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の各種臭気を吸着する吸着剤を添着させた活性炭では硫化水素を脱臭する能力が極めて低いという課題があった。
【解決手段】硫化水素を吸着する能力が極めて高い化学吸着作用を有する吸着剤2を多数の細孔を有する構造体3に担持させた固体とすることで、脱臭能力が極めて高く、取り扱いやすい脱臭体を実現でき、大型施設に対応することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トイレ臭や寝たきりの方の介護時や用便時などに発生する複合臭気や、下水処理場などで発生する硫化水素等の硫黄系臭気を除去する脱臭体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、各種臭気を吸着する吸着剤を添着させた粒状の活性炭を充填させ、臭気を脱臭する脱臭体としたもの(例えば文献1参照。)や、硫黄系の臭気を化学吸着する吸着剤を粉末状で作製し、繊維で作ったハニカム体に担持させ脱臭体とするもの(例えば文献2参照。)であった。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−157620号公報
【特許文献2】
特開2001−321424号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各種臭気を吸着する吸着剤を添着させた活性炭は、トイレ臭などの複合臭気、特に硫黄系の臭気を脱臭する能力が十分ではなく、特に粒状で用いた場合、表面積が小さいため各種ガスの脱臭能力が極めて低いという課題があった。
【0005】
また、硫黄系の臭気を化学吸着する吸着剤を繊維で作ったハニカム体に担持させた脱臭体は、大型サイズを作製することが難しいため、下水処理場など大型施設に設置して用いることが極めて困難であるという課題もあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するものであり、化学吸着作用を有する吸着剤と、少なくとも前記化学吸着作用を有する吸着剤の平均径以下かつ気体分子の平均径以上の孔を有する構造体とを備え、前記化学吸着作用を有する吸着剤が前記構造体に担持された脱臭体としたもので、硫黄系の臭気、特に硫化水素を吸着する能力が極めて高い化学吸着作用を有する吸着剤を含んだ粒状固体とすることで脱臭体を容易に扱うことができるようになり、大型施設に対応することが容易となる。また、化学吸着作用を有する吸着剤と同じサイズの孔を多く持つ多孔質構造体とすることで、単位体積あたりの表面積を大きくすることができ、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の表面積を有する脱臭体とすることができ、従来の脱臭体と同等以上の脱臭性能を確保できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、化学吸着作用を有する吸着剤と、少なくとも前記化学吸着作用を有する吸着剤の平均径以下かつ気体分子の平均径以上の孔を有する構造体とを備え、前記化学吸着作用を有する吸着剤が前記構造体に担持された脱臭体としたもので、トイレ臭中に含まれる硫化水素や下水処理場で発生する硫化水素を化学吸着作用により極めて高い脱臭能力で除去することができ、また化学吸着であるため、一度吸着した硫化水素を再度放出することがない。さらに、運搬性、取扱い性がよく、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、化学吸着作用を有する吸着剤は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物である請求項1記載の脱臭体としたもので、これらは硫化水素を主に硫酸化物として化学吸着し脱臭するものだが、特にマンガン、コバルト、銅、亜鉛の酸化物や複合酸化物などは、硫酸化物を作りやすく、硫化水素を除去する能力が非常に高いので、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、物理吸着作用を有する吸着剤を含む請求項1記載の脱臭体としたもので、ゼオライトやセピオライト、シリカ、アルミナ等の物理吸着作用を有する吸着剤を加えることで、トイレ臭のアンモニアや二硫化ジメチルに対する脱臭作用を高めた脱臭体を実現できる。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、少なくとも構造体の内部を貫通する孔を有する請求項1記載の脱臭体としたもので、トイレ臭などの臭気が脱臭体内部に浸入しやすく、脱臭体内部の面積を有効に使うことができるので、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、構造体の一部は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物からなる請求項1もしくは4いずれか1項に記載の脱臭体としたもので、担持体そのものに硫化水素を除去する能力が高いマンガン、コバルト、銅、亜鉛の酸化物や複合酸化物を含むことにより、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、構造体がエアロゲルである請求項1、4、5のうちいずれか1項に記載の脱臭体としたもので、容易に多孔質構造を有する脱臭体を作製することができ、また単位体積あたりの表面積を大きくすることができ、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の表面積を有する脱臭体とすることができる。さらには、空間率が99%程度までの多孔質構造を有する脱臭体を作製することができ、見かけの体積に匹敵するほどの空間を有することができるため、1パスで処理できる臭気ガス量を多くすることができる。したがって、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、構造体がキセロゲルである請求項1、4、5のうちいずれか1項に記載の脱臭体としたもので、容易に多孔質構造を有する脱臭体を作製することができ、また単位体積あたりの表面積を大きくすることができ、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の表面積を有する脱臭体とすることができる。さらには、空間率が99%程度までの多孔質構造を有する脱臭体を作製することができ、見かけの体積に匹敵するほどの空間を有することができるため、1パスで処理できる臭気ガス量を多くすることができる。したがって、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、構造体が疎水性もしくは撥水性を有する請求項1、4〜7のうちいずれか1項に記載の脱臭体としたもので、下水処理場のような水蒸気を多く含む臭気ガスの処理を行っても、水蒸気により多孔質構造体の孔がつぶれることないため、初期の大きな表面積の構造体を維持することができ、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0015】
また、請求項9記載の発明は、少なくとも吸水性もしくは吸湿性を有する物質を含む請求項1〜8いずれか1項に記載の脱臭体としたもので、マンガン、コバルト、銅、亜鉛の酸化物や複合酸化物などは、水蒸気が多いほど硫酸化物を作りやすく硫化水素の脱臭性能が向上するもので、吸水性もしくは吸湿性を有する物質を添加しておくことにより、吸水もしくは吸湿した水分がマンガン、コバルト、銅、亜鉛の酸化物や複合酸化物に供給され、硫化水素の除去性能が向上する。したがって、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0016】
また、請求項10記載の発明は、物理吸着作用を有する吸着剤が吸水性もしくは吸湿性を有する請求項3記載の脱臭体としたもので、マンガン、コバルト、銅、亜鉛の酸化物や複合酸化物などは、水蒸気が多いほど硫酸化物を作りやすく硫化水素の脱臭性能が向上するもので、物理吸着作用を有する吸着剤が吸水もしくは吸湿した水分がマンガン、コバルト、銅、亜鉛の酸化物や複合酸化物に供給され、硫化水素の除去性能が向上する。したがって、従来のハニカム体に担持した脱臭体と同等以上の脱臭性能を有する脱臭体を実現できる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は本発明の第一の実施例における脱臭体の模式図である。図1(a)は本実施例の脱臭体の模式図であり、(b)は脱臭体1の一部分を拡大した模式図である。脱臭体1は、化学吸着作用を有する吸着剤2(以下、本実施例では化学吸着剤2という)が構造体3に担持されている構造をとる。化学吸着剤2と構造体3はアンカー効果もしくは物理的な結合もしくは化学的な結合などの作用により結合されているが、バインダを添加しても良い。
【0019】
構造体3は、構造体を形成する骨格4(以下、本実施例では骨格4という)からなり、骨格4同士間の骨格間距離5は化学吸着剤2の平均径以下かつ気体分子の平均径以上のものが存在し、その数が多い方が化学吸着剤2の表面を有効に使うことができ、脱臭性能は向上する。そして、これら骨格の隙間が多数の孔を形成し、脱臭体1は多孔質構造となっている。
【0020】
骨格の太さや孔の大きさ、化学吸着剤2の平均径は小さい方が脱臭性能は向上する傾向にあるが、孔の大きさがあまりに小さすぎると、臭気を有する気体分子が脱臭体内部まで浸入できず、脱臭性能は低下することとなる。また、孔は構造体の外部と連通しているのが望ましく、構造体を貫通する孔を有することにより、その孔を臭気が通り抜けることで効率よく脱臭される。
【0021】
骨格の材質は特に限定するものではないが、臭気を発せず、むしろ臭気を吸着するものが望ましく、少なくとも骨格の一部が化学吸着剤2から成るものにより、さらに脱臭性能を上げることができる。
【0022】
次に化学吸着剤2について説明する。本実施例では、化学吸着剤2にマンガン、銅、コバルトの複合酸化物(以下、本実施例では複合酸化物Aという)を用いた。なお、本実施例ではマンガン、銅、コバルトの複合酸化物を用いたが、これに限定するものではなく、マンガン、銅、亜鉛、コバルトのいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物あるいはその混合物とすることにより、同様に硫化水素に対する強力な化学吸着作用を有する脱臭体とすることができる。
【0023】
本実施例で用いた複合酸化物Aは、特に硫化水素の除去に優れ、硫化水素を最終的に硫酸塩の形や硫黄単体として化学吸着するものである。また、同じ硫黄系臭気であるメチルメルカプタンを二硫化ジメチルに転化する触媒作用も有する。複合酸化物Aは0.1〜1μm程度の大きさであり、脱臭体1は平均径が約2mm程度の大きさであったが、いずれもこれらの大きさに拘るものではないが、より小さい方が同体積あたりの表面積を大きくとることができるので、脱臭性能は向上する。
【0024】
さらに、化学吸着剤2の形は球状に限定されるものでなく、また脱臭体1の形も球状に限定されるものではない。脱臭体1の表面に凹凸を設けることにより、単位体積あたりの表面積を増やすことができるようになり、より効果的である。
【0025】
このような脱臭体1の重量は非常に軽く、運搬性、取扱性ともに非常によく、また化学吸着剤2をハニカム体に担持したものより初期の脱臭性能、寿命ともに同等以上のものを実現することができる。これにより、成形困難な大型のハニカム体を作製することなく、高性能な脱臭体を大きな施設に応用することができる。
【0026】
(実施例2)
図2は本発明の第二の実施例における脱臭体の模式図である。図2(a)は本実施例の脱臭体の模式図であり、(b)は脱臭体11の一部分を拡大した模式図である。(実施例1)における脱臭体1にさらに物理吸着作用を有する吸着剤6(以下、本実施例では物理吸着剤6という)が添加された構造を有し、脱臭体1は化学吸着剤2と物理吸着剤6とが構造体3に担持されている構造をとる。化学吸着剤2と物理吸着剤6とが構造体3にアンカー効果もしくは物理的な結合もしくは化学的な結合などの作用により結合されている。
【0027】
これにより、トイレ臭に含まれる硫化水素は化学吸着作用により除去でき、さらにアンモニアや二硫化ジメチルを物理吸着作用により除去できるため、トイレ臭が全般的に除去することが可能となる。また、メチルメルカプタンを二硫化ジメチルに転化する触媒作用をも有する化学吸着作用を有する吸着剤を用いることにより、トイレ臭に含まれるメチルメルカプタンは二硫化ジメチルとなり、物理吸着作用を有する吸着剤に吸着されることで、さらにトイレ臭が全般的に除去することが可能となる。
【0028】
本実施例では、物理吸着剤6として、疎水性ゼオライトを用いたが、親水性のゼオライト、セピオライト、シリカ、アルミナ等を用いても同様な効果が得られる。
【0029】
化学吸着剤2と物理吸着剤6との比率は、臭気の成分により変えることができる。すなわち、硫化水素が多い場合は化学吸着剤2を多くし、アンモニアや二硫化ジメチルが多い場合、物理吸着剤6を多くすると臭気全般を効率よく脱臭することができる。通常のトイレ臭の場合は、化学吸着作用を有する吸着剤と物理吸着作用を有する吸着剤は重量比で1:1程度が望ましい。
【0030】
なお、アンモニア等のガスを吸着し吸着作用を喪失した物理吸着作用を有する吸着剤に、臭気を含まない空気を流通させることにより、吸着したガスを放出させ、吸着作用を再生させることができる。また、温度を上げることによっても、吸着作用を喪失した物理吸着作用を有する吸着剤の吸着作用を再生させることができる。
【0031】
このような脱臭体1の重量は非常に軽く、運搬性、取扱性ともに非常によく、また化学吸着剤2と物理吸着剤6とをハニカム体に担持したものより初期の脱臭性能、寿命ともに同等以上のものを実現することができる。これにより、成形困難な大型のハニカム体を作製することなく、高性能な脱臭体を大きな施設に応用することができる。
【0032】
(実施例3)
以下、本発明の第三の実施例を図に基づいて説明する。
【0033】
図3は本発明の第三の実施例における脱臭体の模式図である。図3(a)は本実施例の脱臭体の模式図であり、(b)は脱臭体21の一部分を拡大した模式図である。脱臭体21は、化学吸着作用を有する吸着剤22(以下、本実施例では化学吸着剤22という)が構造体23に担持されている構造をとる。化学吸着剤22と構造体23はアンカー効果もしくは物理的な結合もしくは化学的な結合などの作用により結合されているが、バインダを添加しても良い。
【0034】
化学吸着剤22は(実施例1)の化学吸着剤2と同様のものであり、本実施例では複合酸化物Aを用いた。
【0035】
構造体23は、エアロゲルやキセロゲルからなる。エアロゲルやキセロゲルは主に金属酸化物や、カーボン、ウレタンなどの有機物が0.1〜20nm程度の一次粒子24を形成し、それが数珠状につながり粒子間距離25の多数の連通孔を形成する。そのため構造体23は多孔質構造となっており、粒子間距離25が化学吸着剤22の平均径以下かつ気体分子の平均径以上のものを多数有することが望ましく、さらには粒子間距離は1nm〜1μm程度が望ましい。また、空間率は大きい方が1パスで処理できる臭気ガス量を多くすることができるので望ましいが、大きすぎると担持できる化学吸着剤22の量が少なくなるため、70%〜95%程度の空間率が望ましい。また本実施例では、平均径が約2mm程度の大きさの脱臭体21を用いたが、これらの大きさに拘るものではないが、より小さい方が表面積を大きくとることができるので、脱臭性能は向上する。
【0036】
エアロゲルやキセロゲルの材質は特に限定するものではないが、エアロゲルやキセロゲルの一部が化学吸着剤22から形成されたものは、より脱臭効果が高い。また、材質にシリカを選択すると、原材料が安価で種類も豊富であり、作製プロセスも簡単であるので、非常に望ましい。
【0037】
次に、脱臭体21の作製方法について簡単に説明する。水ガラスや、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の金属アルコキシドをゲル原料として、水やアルコール等の溶媒と必要に応じて酸あるいはアルカリ触媒を混合することで、溶媒中でゲル原料を反応させ湿潤ゲルを形成させ、内部の溶媒を蒸発乾燥させることにより作製される。湿潤ゲル形成時に複合酸化物Aを混合させておくことにより、複合酸化物Aを担持した湿潤ゲルを形成できる。金属アルコキシドの場合、加水分解・縮重合を経て、湿潤ゲルとなる。また、ゲル原料として水ガラスを用いる場合は、水ガラスに直接塩酸等の触媒を加え、ゲル化させ、湿潤ゲルを形成させる。このとき、水ガラスに含まれるナトリウム分などを触媒を入れる前に、電気透析処理などで取り除いておくか、ゲル化後に塩になったものを水で洗浄することで除去する。本実施例では、ゲル原料としてテトラメトキシシラン(以下、TMOSという)を用いた。これは珪素のアルコキシドで、入手しやすく、また反応速度が速いため、非常に好ましいからである。また、複合酸化物Aを化学吸着剤22に用いる場合、触媒にアンモニアなどのアルカリ触媒が望ましい。酸触媒では、複合酸化物Aを冒してしまうおそれがあるからである。
【0038】
湿潤ゲルは、珪素原子と酸素原子が交互に結合した3次元網目構造のシリカ粒子を作り、それらシリカ粒子が重合して数珠状となり、それら粒子同士の隙間すなわち孔に水等の溶媒が入り込む構造となっている。また、複合酸化物Aは3次元網目構造の一部分や一部の孔に入り込む構造となっている。したがって、本実施例でのキセロゲルやエアロゲルの材質としてはシリカとなる。
【0039】
この後、湿潤ゲルを普通に熱風乾燥させたものは、溶媒が乾燥するときの表面張力により、収縮してしまい孔を潰してしまうので、空間率が小さくなり、脱臭性能を低下させる原因となる。しかしながら、湿潤ゲル表面のシラノール基をヘキサメチルジシラザン、ジメチルジメトキシシラン等でメチル基を導入することにより疎水化を行い、さらに溶媒をトルエンやキシレンやアセトンやヘキサンなどの表面張力が比較的小さな溶媒に置換し、熱風乾燥させたものは、表面張力がほとんど働かず、図3に示すように0.1〜20nm程度の径をもつシリカ一次粒子24が集合し、1nm〜1μm程度の粒子間距離25をもった集合体となる。一次粒子径や粒子間距離の大きさは、用いる湿潤ゲル原料の種類や量、溶媒と触媒の種類や量、水の量で決定され、湿潤ゲルの構造がほぼそのまま脱臭体21の構造となる。そして、一次粒子の集合体が1μm〜10mm程度の二次粒子を形成することとなる。本実施例では、この二次粒子が、約2mm程度の大きさで、脱臭体21として用いられるもので、このときの構造体23がキセロゲルと称されるものである。
【0040】
また、湿潤ゲルに疎水化処理を施さずとも、有機溶剤で置換した湿潤ゲル中の溶媒を超臨界状態にすることで乾燥させる、もしくは二酸化炭素を超臨界状態で流通させることにより溶媒を抽出する超臨界乾燥により乾燥することでも、図3に示すような脱臭体21を得ることができ、このときの構造体23がエアロゲルと称されるものである。
【0041】
エアロゲルとキセロゲルとの物性はよく似ているが、キセロゲルの方が安価に作製できるというメリットがあり、またエアロゲルは疎水化せずに作製できるため構造体23内部へ水が浸入しやすい脱臭体21を作製でき、下水処理場やトイレなど湿度の高いところで用いた場合、非常に脱臭性能を向上させることができるというメリットがある。
【0042】
また、(実施例2)に示すように、物理吸着作用を有する吸着剤(以下、本実施例では物理吸着剤という)を担持させておくことにより、(実施例2)と同様の効果が得られる。
【0043】
このような脱臭体21の重量は非常に軽く、運搬性、取扱性ともに非常によく、また化学吸着剤22と物理吸着剤とをハニカム体に担持したものより初期の脱臭性能、寿命ともに同等以上のものを実現することができる。これにより、成形困難な大型のハニカム体を作製することなく、高性能な脱臭体を大きな施設に応用することができる。
【0044】
以下、実験例を示す。
【0045】
<実験例3>
TMOS45.6gとメタノール41.4gに平均径300μm程度の複合酸化物A9gを混合し、攪拌を行った溶液を(以下、溶液Aという)を用意した。次に、水21.6gに約29wt%のアンモニア水0.1gを添加し、攪拌を行った溶液(以下、溶液Xという)を用意した。溶液Aに溶液Xを攪拌しながら添加することにより、約20分で湿潤ゲルを作製し、40℃の恒温槽で24時間静置した。その後、湿潤ゲルの径が2mm程度になるように破砕した後、ジメチルジメトキシシラン84.7gを添加し、40℃の恒温槽で72時間静置することにより、疎水化処理を行った。その後、湿潤ゲルをアセトンに浸すことにより湿潤ゲル中の水を脱水し、湿潤ゲル中の溶媒をアセトンに置換した。その後、130℃の恒温槽で6時間乾燥を行い、脱臭体を作製した(以下、本実施例ではナノ脱臭体1という)。
【0046】
ナノ脱臭体1と同様条件で、湿潤ゲル作製時にさらに平均径300μm程度の疎水性ゼオライト9gを添加し、同様の処理を施した脱臭体を作製した(以下、本実施例ではナノ脱臭体2という)。
【0047】
ナノ脱臭体1と同様条件で、湿潤ゲル作製時にさらに平均径300μm程度の高吸湿性シリカゲル9gを添加し、同様の処理を施した脱臭体を作製した(以下、本実施例ではナノ脱臭体3という)。
【0048】
これらをそれぞれ50ccの容器に約40%の充填率で充填させた充填層を作製した(以下、本実施例ではそれぞれナノカラム1、ナノカラム2、ナノカラム3という)。ナノカラム1には複合酸化物Aが0.05g/ccで担持されており、ナノカラム2には複合酸化物Aと疎水性ゼオライトが0.1g/cc、ナノカラム3には複合酸化物Aと高吸湿性シリカゲルが0.1g/cc担持されている。さらに、粒径2mm程度のヨウ素を添着した活性炭を50ccの容器に約40%の充填率で充填させた充填層を作製した(以下、本実施例では活性炭カラムという)。
【0049】
次に1平方インチあたりのセル数が205のセラミックス繊維を原料とした50ccのハニカム体に、複合酸化物Aと疎水性ゼオライトとを重量比1:1でシリカ分20wt%のコロイダルシリカ(溶媒は水)をバインダとして、ハニカム体1ccあたり0.10gの重量で担持したものを作製した(以下、本実施例ではハニカムカラムという)。
【0050】
これら5種類のカラムを用いて硫化水素、メチルメルカプタン、アンモニア、二硫化ジメチルの通気試験を行った。このとき、空間速度を7200h−1に設定し、これらのガスをカラムの入口でいったん水に通し、湿度の高い状態でカラムに流入させた。それぞれのガスを濃度50ppmで流入させ、このときのカラム出口でのそれぞれのガス濃度を測定し、除去率を算出した。そして、流通開始直後の除去率を初期性能とし、除去率が80%になる時間を破過時間として、これら脱臭体の脱臭性能を喪失する時間とした。その結果を(表1)に示す。
【0051】
【表1】
Figure 2004141311
【0052】
(表1)より、ハニカムカラムと同等以上の初期性能、寿命を有する脱臭体を実現できる。またこれにより、成形困難な大型のハニカム体を作製することなく、高性能な脱臭体を大きな施設に応用することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、特に硫化水素について極めて高い除去能力を有する脱臭体を実現することができ、その脱臭体は、取扱い性、量産性、輸送性の良さから下水処理施設のような硫化水素が発生する大型施設に簡単に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の第一の実施例における脱臭体の模式図
(b)同、脱臭体の一部分を拡大した模式図
【図2】(a)本発明の第二の実施例における脱臭体の模式図
(b)同、脱臭体の一部分を拡大した模式図
【図3】(a)本発明の第三の実施例における脱臭体の模式図
(b)同、脱臭体の一部分を拡大した模式図
【符号の説明】
1 脱臭体
2 化学吸着作用を有する吸着剤
3 構造体
4 構造体を形成する骨格
5 骨格間距離
6 物理吸着作用を有する吸着剤
21 脱臭体
22 化学吸着作用を有する吸着剤
23 構造体
24 一次粒子
25 粒子間距離

Claims (10)

  1. 化学吸着作用を有する吸着剤と、少なくとも前記化学吸着作用を有する吸着剤の平均径以下かつ気体分子の平均径以上の孔を有する構造体とを備え、前記化学吸着作用を有する吸着剤が前記構造体に担持された脱臭体。
  2. 化学吸着作用を有する吸着剤は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物である請求項1記載の脱臭体。
  3. 物理吸着作用を有する吸着剤を含む請求項1記載の脱臭体。
  4. 少なくとも構造体の内部を貫通する孔を有する請求項1記載の脱臭体。
  5. 構造体の一部は少なくともマンガン、コバルト、銅、亜鉛のいずれかを含む酸化物、水酸化物、複合酸化物、あるいはその混合物からなる請求項1から4いずれか1項に記載の脱臭体。
  6. 構造体がエアロゲルである請求項1、4、5のうちいずれか1項に記載の脱臭体。
  7. 構造体がキセロゲルである請求項1、4、5のうちいずれか1項に記載の脱臭体。
  8. 構造体が疎水性もしくは撥水性を有する請求項1、4〜7のうちいずれか1項に記載の脱臭体。
  9. 少なくとも吸水性もしくは吸湿性を有する物質を含む請求項1〜8いずれか1項に記載の脱臭体。
  10. 物理吸着作用を有する吸着剤が吸水性もしくは吸湿性を有する請求項3記載の脱臭体。
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