JP2004141029A - イソマルトース生成酵素の遺伝子が欠損した、真菌類に属する微生物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真菌類に属し且つ主たるイソマルトース生成酵素の遺伝子を欠損した微生物である。当該微生物に目的のタンパク質をコードする遺伝子を導入して形質転換体を得る。導入された遺伝子が発現可能な条件下で当該形質転換体を培養してタンパク質を産生させる。
【選択図】 なし
Description
【発明が属する技術分野】
本発明はタンパク質の生産に利用される微生物に関する。詳しくは、タンパク質生産用微生物を作製するための宿主として用いることができる微生物、タンパク質生産用微生物、及び該微生物を用いたタンパク質の生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糸状菌は菌体外に各種の酵素蛋白質を分泌生産することが知られている。糸状菌の持つこうした特性を利用して古来より味噌、醤油、清酒製造などの醸造分野や酵素製剤の製造にAspergillus属糸状菌を始めとする各種の糸状菌が広く用いられてきた。菌体外酵素の生産能力を高めるために長期間にわたる育種が行われた結果、培養液1リットルあたり数十グラムの酵素蛋白質を生産できる菌株も得られている。
一方、近年の遺伝子組換え技術の応用により多様な蛋白質の生産が可能となった。遺伝子組換え菌による酵素蛋白質の生産においては目的の酵素を大量に生産させるための手段として、遺伝子の転写能力を高める事が高生産に繋がるとの考えから、より強い転写能力を持つプロモーターを検索し、これを利用することが行われている。このような観点から、これまでに種々の糸状菌由来のプロモーターが単離され、それらを用いたタンパク質の生産系が報告されている。例えば、アスペルギルス・オリゼのアミラーゼ遺伝子のプロモーター(例えば特許文献1及び非特許文献1参照)、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼ遺伝子のプロモーター(例えば非特許文献2参照)等が単離され、利用に供されている。さらに、エンハンサーの導入や調節領域の改変などによりプロモーターの能力を高める事も行われてきた。以上のようなプロモーターの能力に依存した遺伝子産物の生産によって、旧来の育種法による能力増強に比べると効率的に生産能力を上げる事が出来ている。しかしながら、絶対生産量として菌体外酵素蛋白質の生産量を上げるためには更に旧来の育種法を適用しての宿主菌株の育種改良が行われていた。
【0003】
【特許文献1】
特開昭62−272988号公報
【非特許文献1】
Biotechnology, 5, 368(1987)
【非特許文献2】
Biotechnology, 6, 1419(1988)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の背景に鑑み、目的のタンパク質をコードする遺伝子を導入した際に当該遺伝子の発現を効率的に高めることが可能な宿主微生物を提供することを目的とする。また、目的のタンパク質を高い効率で産生可能な形質転換体を提供することを目的とする。更には、目的のタンパク質を高い生産性で生産することが可能な生産方法を提供することをも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは以上の課題を解決すべく麹菌タカアミラーゼAに注目して種々の検討を行った。麹菌タカアミラーゼAはデンプンやマルトースで誘導され、グルコースで抑制される典型的な誘導酵素である。麹菌タカアミラーゼA遺伝子の誘導機構は詳細に解析されており、AmyRにより転写誘導が制御され、真の転写誘導物質はイソマルトースである事が明らかにされている。デンプンやマルトースにより麹菌タカアミラーゼA遺伝子が転写誘導されるのは、デンプンやマルトースにα−グルコシダーゼが作用することによりイソマルトースが生成することに起因することが明らかにされている。
【0006】
本発明者らはまず、麹菌タカアミラーゼA遺伝子の誘導機構を解明する過程で、アスペルギルス・ニドランスにおける主たるイソマルトース生成酵素であるα−グルコシダーゼBに着目し、これを欠損する変異株(ΔagdB株)を作製した。続いて当該欠失変異株にタカアミラーゼA遺伝子を導入した。このようにして得られた形質転換体において、イソマルトース源となるデンプン及びマルトースを用いてタカアミラーゼA遺伝子の誘導効果を調べたところ、コントロール(野生株を宿主としてタカアミラーゼA遺伝子を導入した形質転換体)に比較して飛躍的にタカアミラーゼAが発現していることが判明した。この結果から、イソマルトースによる発現誘導を受ける遺伝子のコードするタンパク質を生産する目的において、主たるイソマルトース生成酵素遺伝子を欠損した微生物を宿主として用いることが極めて有効な手段となるとの知見が得られた。本発明はかかる知見に基づき完成されたものであって次の各構成を提供する。
[1]真菌類に属し且つ主たるイソマルトース生成酵素の遺伝子を欠損した微生物。
[2]糸状菌に分類される微生物である、[1]に記載の微生物。
[3]α−グルコシダーゼB遺伝子が欠損したアスペルギルス・ニドランス。
[4]真菌類に属し且つ主たるイソマルトース生成酵素の遺伝子を欠損した微生物に、イソマルトースでその発現が誘導される外来遺伝子を導入してなる形質転換体。
[5]前記微生物が糸状菌に分類される微生物である、[4]に記載の形質転換体。
[6]α−グルコシダーゼB遺伝子を欠損したアスペルギルス・ニドランスに、イソマルトースでその発現が誘導される外来遺伝子を導入してなる形質転換体。
[7]前記外来遺伝子が次の改変プロモータを含有する、[4]〜[6]のいずれかに記載の形質転換体、
糸状菌で機能するプロモーターに、CCAATNNNNNN(第1塩基配列:配列番号1)を含む第1DNA断片と、CGGNNNNNNNNNGG(第2塩基配列:配列番号2)を含む第2DNA断片と、を挿入してなる改変プロモーター。
[8]前記外来遺伝子が発現可能な条件下で[4]〜[7]のいずれかの形質転換体を培養するステップ、及び産生されたタンパク質を回収するステップ、を含む、タンパク質の生産方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。本発明の第1の局面は、真菌類に属し且つ主たるイソマルトース生成酵素の遺伝子が欠損した微生物を提供する。当該微生物は特定のタンパク質を生産する際に利用される形質転換体を作製する場合の宿主として用いられ得る。本発明における「真菌類に属する微生物」は特に限定されない。例えば、アスペルギルス・オリゼやアスペルギルス・ニドランス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、ペニシリウム・クリソゲノム、ニューロスポラ・クラッサ、トリコデルマ・レッセイなどの糸状菌(ツボカビ門、接合菌門、子嚢菌門、サビキン類、不完全菌類を含む)が含まれる。尚、本発明における糸状菌とは広義の糸状菌を意味し、酵母(子嚢菌類、端子菌類、不完全菌類)を包含する。
【0008】
本発明における「主たるイソマルトース生成酵素」とは当該微生物においてイソマルトースの生成に最も関与している酵素のことをいう。即ち、対象の微生物がイソマルトース生成活性を有する異なる種類の酵素を有する場合には、これら複数の酵素の中で最も活性の高いものがここでの主たるイソマルトース生成酵素に該当する。本発明における微生物は少なくともこのような酵素をコードする遺伝子が欠損しておればよく、例えばイソマルトースの生成に関与するその他の酵素(二つ以上ある場合には複数であってもよい)の遺伝子があわせて欠損していてもよい。イソマルトース生成酵素の具体例としてはα−グルコシダーゼA、α−グルコシダーゼB、トランスグルコシダーゼ、グルクアミラーゼ、イソプルラナーゼを挙げることができる。
【0009】
自然界に存在する微生物又は保存機関などから入手される微生物から適切なものを選択し、これに主たるイソマルトース生成酵素をコードする遺伝子が欠損するように変異処理を施すことによって本発明における微生物を作製することができる。変異処理の方法としては例えば、欠損させようとする遺伝子に相当する配列に予め変異を加えたものを含むベクターを用意し、これを宿主微生物の染色体に遺伝子工学的手法を用いて組込み、これによって宿主微生物染色体上に存在する目的の遺伝子を破壊する方法や、部位特異的変異法などを用いることができる。
【0010】
本発明の第二の局面は上記微生物を宿主として外来遺伝子を導入することにより得られる形質転換体に関し、具体的には、真菌類に属し且つ主たるイソマルトース生成酵素の遺伝子が欠損した微生物に、イソマルトースでその発現が誘導される外来遺伝子を導入してなる形質転換体を提供する。かかる本発明の形質転換体はタンパク質の生産に利用することができる。
【0011】
本発明の形質転換体を作製する際に用いられる形質転換方法は特に限定されず、公知の形質転換方法から適当なものを選択できる。例えばプロトプラスト化した菌体を用いたTurnerらの方法(Gene, 36, 321−331(1985))を利用することができる。その他、五味らの方法(Agric. Biol. Chem., 51, 323−328(1987))などを採用してもよい。
形質転換をベクターを用いて行う場合において、使用されるベクターの種類は特に限定されない。例えば、宿主との関係において形質転換に適した市販のベクターを用意し、これに目的の遺伝子を挿入したものを用いることができる。
【0012】
ベクターには、宿主微生物を形質転換した際に形質転換体を選択するのに好適な選択マーカーが組込まれていることが好ましい。選択マーカーは使用する宿主との関係で適当なものが採用される。オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ遺伝子(argB)、硝酸還元酵素遺伝子(niaD)、アセトアミダーゼ遺伝子(amdS)、トリプトファンシンターゼ遺伝子(trpC)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(DHFR)等の栄養要求性相補遺伝子、オリゴマイシン、デストマイシン、ハイグロマイシン等に対する薬剤耐性遺伝子などを選択マーカーの具体例として挙げることができる。
【0013】
本発明において使用される外来遺伝子は、原則的にはプロモーターと構造遺伝子(コード領域)とを含む。但し、形質転換に供される宿主微生物のプロモーターを利用できる場合(予め外来的に適当なプロモーターが宿主微生物に導入されている場合も含む)には、本発明の外来遺伝子としてプロモーター領域を含まないもの、即ちコード領域のみを含むものやコード領域及びターミネータ領域のみを含むものなどを用いてもよい。
プロモーターとしてはイソマルトースで誘導されるという性質を有するものが用いられ、一方、構造遺伝子としては形質転換体に組込まれた後に当該プロモーターの支配下となるものが用いられる。このような条件を満たす限りプロモーター及び構造遺伝子は特に限定されず、プロモーターとしては例えばアスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属等の微生物におけるタンパク質をコードする遺伝子の中でイソマルトースによる誘導が行われるプロモーターを用いることができる。より具体的には、アスペルギルス属のα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ等をコードする遺伝子のプロモーターを用いることができる。中でも、アスペルギルス・オリゼのタカアミラーゼのプロモーターを用いることが好ましい。これらのプロモーターはそれを有する微生物より制限酵素処理、PCR法などの遺伝子工学的手法を用いて取得することができる。また、目的とするプロモーターが組込まれたベクターを利用できる場合には当該ベクターから制限酵素処理やPCR法などによって取得することができる。一方、構造遺伝子としては例えば、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ等の糖質関連酵素をコードする遺伝子や、キモシン等のプロテアーゼをコードする遺伝子、或はリパーゼをコードする遺伝子などを用いることができる。尚、同種タンパク質をコードする遺伝子であっても異種タンパク質をコードする遺伝子であってもよい。ここでの同種タンパク質とは、宿主微生物が本来的に産生するタンパク質を意味する。一方、異種タンパク質とは、宿主微生物が本来は産生しないタンパク質、即ち外来的にそれをコードする遺伝子が導入されることにより初めて産生されるタンパク質を意味する。
形質転換の際にプロモーターと構造遺伝子(コード領域)とが同一のベクターから供与される必要はない。即ち、導入用プロモーターを保有する第1のベクターと、導入用構造遺伝子を保有する第2のベクターとを用意し、これら両者を用いて形質転換を行うことにより目的の外来遺伝子が導入された形質転換体を得ることとしてもよい。
【0014】
自然界に存在するプロモーターを改変して得られる改変プロモーターを用いることもできる。以下に改変プロモーターの具体例を示す。尚、以下の説明においてプロモーター活性を高めることができる機能を「エンハンサー機能」という。
(1)糸状菌で機能するプロモーターに、CCAATNNNNNN(第1塩基配列:配列番号1)を含む第1DNA断片と、CGGNNNNNNNNNGG(第2塩基配列:配列番号2)を含む第2DNA断片と、を挿入してなる改変プロモーター。
(2)前記第1塩基配列がCCAATTAGAAG(配列番号3)である、(1)に記載の改変プロモーター。
(3)前記第2塩基配列がCGGHNWWWWNWHGG(配列番号4)である、(1)又は(2)に記載の改変プロモーター。
(4)前記第2塩基配列がCGGWWWWWWWWHGG(配列番号5)である、(1)又は(2)に記載の改変プロモーター。
(5)前記第2塩基配列がCGGAAATTTAAAGG(配列番号6)、CGGAATTTAAACGG(配列番号7)又はCGGAAATTTAACGG(配列番号8)である、(1)又は(2)に記載の改変プロモーター。
(6)前記プロモーターの5’末端側から3’末端側に向かって順に第1DNA断片、第2DNA断片が並ぶよう挿入される、(1)〜(5)のいずれかに記載の改変プロモーター。
(7)前記プロモーターに存在するCCAAT配列よりも5’側上流域、又はプロモーター領域に存在するSRE領域よりも3’側下流域に前記第1DNA断片及び前記第2DNA断片が挿入される、(6)に記載の改変プロモーター。
(8)複数個の前記第1DNA断片及び複数個の前記第2DNA断片が挿入される、(1)〜(7)のいずれかに記載の改変プロモーター。
(9)前記第1DNA断片と前記第2DNA断片が同じ数ずつ挿入される、(8)に記載の改変プロモーター。
(10)一つの第1DNA断片と一つの第2DNA断片とが組みをなし、かつ各組において第1DNA断片が前記プロモーターの5’末端側に位置するように、前記プロモーターに前記第1DNA断片と前記第2DNA断片が挿入される、(9)に記載の改変プロモーター。
(11)糸状菌で機能するプロモーターに、配列番号9の塩基配列を有するDNA断片、又は該DNA断片の一部が改変されたDNA断片であってエンハンサー機能を有するDNA断片を1〜数個組込んでなる改変プロモーター。
(12)前記糸状菌で機能するプロモーターがアスペルギルス・オリゼのタカアミラーゼのプロモーターである、(1)〜(11)のいずれかに記載の改変プロモーター。
尚、以上においてNはA、T、C、Gのいずれかであることを表す。
【0015】
以上の改変プロモーターにおける第1DNA断片及び第2DNA断片は、例えば市販のDNA合成機を用いて合成することができる。また、例えばアスペルギルス・オリゼのタカアミラーゼA遺伝子のプロモーター領域を鋳型とし、適当なプライマーを用いたPCR法によって調製することもできる。
第1DNA断片及び第2DNA断片を含む一つのDNA断片を調製し、これを糸状菌で機能するプロモーターへ組込むことにより改変プロモーターを作製することもできる。例えば、アスペルギルス属などにおけるプロモーターの中から第1DNA断片及び第2DNA断片に相当する配列を内包するプロモーターを選択し、これを鋳型としたPCR法などを行うことによって、このようなDNA断片を調製することができる。鋳型として用いることができる好適なプロモーターの例としてはアスペルギルス・オリゼのタカアミラーゼA遺伝子のプロモーター(配列番号12)を挙げることができる。プロモーターの改変に用いられるDNA断片の塩基配列の一例を配列番号9に示す。このDNA断片(CCAAT−SRE断片)はアスペルギルス・オリゼのタカアミラーゼA遺伝子におけるプロモーター領域の一部(240位〜367位(転写開始点を+1として−312位〜−185位))である。尚、このDNA断片に一部の改変を施したDNA断片であっても、それが組込まれるプロモーターの活性を高める機能(エンハンサー機能)を有する限りプロモーター領域の改変に利用できる。ここで、一部の改変とはDNA断片を構成する一部の塩基が置換、欠失される場合、又は1〜数個の塩基が付加若しくは挿入される場合をいう。このような改変が許容される程度は、改変が行われるDNA断片上の部位によって異なる。エンハンサー機能に重要な部分は第1DNA断片及び第2DNA断片に相当する配列部分であるので、当該配列部分の改変の程度は小さいことが好ましい。他方、その他の部分はエンハンサー機能に直接関与しないと予想されることから比較的大きな改変が許容されると考えられる。例えば、1〜20個程度、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個の塩基の置換、欠失、付加などを行うことができる。尚、このような改変には5’末端、3’末端、又はその他の部位への制限酵素切断配列の導入や、シグナルペプチドをコードする配列の付加などが含まれる。
【0016】
以上の改変プロモーターでは糸状菌で機能するプロモーターに第1DNA断片及び第2DNA断片(以下、これらのDNA断片及びこれらを含むDNA断片をまとめて、「エンハンサー機能を有するDNA断片」とも呼称する)が挿入されて改変プロモーターが構築されるが、これらのDNA断片の挿入部位は特に限定されない。但し、改変が施されるプロモーターとしてCCAAT配列及びSREを有するものを採用する場合にはこれら二つの配列の間以外の部位に挿入することが好ましい。即ち、CCAAT配列よりも5’末端側の部位又はSREよりも3’末端側の部位にエンハンサー機能を有するDNA断片を挿入することが好ましい。
【0017】
糸状菌で機能するプロモーターに複数個の第1DNA断片及び複数個の第2DNA断片を挿入して改変プロモーターを作製することもできる。この場合、使用する第1DNA断片と第2DNA断片の個数を同じとすることが好ましい。また、一つの第1DNA断片と一つの第2DNA断片とが組をなし、かつ各組において第1DNA断片が5’末端側に位置するようにプロモーターに挿入されることが好ましい。
第1DNA断片と第2DNA断片を含むDNA断片を用いる場合においても、これを複数挿入してプロモーターの改変を行ってもよい。この場合においても、改変が施されるプロモーターとしてCCAAT配列及びSREを有するものを採用するときには、これら二つの配列の間以外の部位に当該DNA断片を挿入することが好ましい。
【0018】
複数のエンハンサー機能を有するDNA断片を組込んでプロモーターの改変を行うことにより更なるプロモーター活性の向上が期待できる。
【0019】
改変プロモーターの作製に供される、糸状菌で機能するプロモーターとしては糸状菌で機能するという性質を有する限りその種類は特に限定されない。例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属等の微生物におけるタンパク質をコードする遺伝子のプロモーターを挙げることができる。具体的には、アスペルギルス属のα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ等をコードする遺伝子のプロモーターを用いることができる。中でも、アスペルギルス・オリゼのタカアミラーゼのプロモーターを用いることが好ましい。これらのプロモーターはそれを有する微生物より、制限酵素処理、PCR法などの遺伝子工学的手法を用いて取得することができる。また、目的のプロモーターが組込まれたベクターを利用できる場合には、当該ベクターから制限酵素処理やPCR法などによって取得することができる。
【0020】
本発明の形質転換体を、導入された外来遺伝子を発現可能な条件下で培養することにより目的のタンパク質を産生させることができる。培養用の培地は使用される形質転換体に応じて適切なものが用いられる。例えば市販の各種培地又はこれらにアルギニン、ウリジン等の形質転換体の生育、選択、タンパク質の発現促進などに必要な成分を添加した培地などを用いることができる。
【0021】
所望時間培養した後の培養液又は菌体より目的のタンパク質が回収される。分泌型タンパク質であれば培養液より、それ以外であれば菌体内より回収することができる。培養液からの回収する場合には例えば、培養上清をろ過、遠心処理して不溶物を除去した後、硫安沈殿等の塩析、透析、各種クロマトグラフィーなどを組み合わせて分離、精製を行うことにより目的のタンパク質を取得することができる。他方菌体内から回収する場合には例えば、菌体を加圧処理、超音波処理などによって破砕した後、上記と同様に分離、精製を行うことにより目的のタンパク質を取得することができる。尚、ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後に上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1] α−グルコシダーゼB(agdB)の精製とagdB遺伝子のクローン化
(1−1)α−グルコシダーゼBの精製と酵素学的性質
Aspergillus nidulans ABPU1 (pyrG89,biA1, wA3, argB2,pyroA4:Mol. Gen. Genet. (1997) 253:520−528,Motoyama,T.,M. Fujisawa, N. Kojima, H. Horiuchi, A. Ohta and M. Takagi.)を、炭素源として2%スターチを含む最小培地2Lに胞子数106/mlとなるように接種し、37℃で24時間振とう培養した。吸引ろ過により菌体を分離し、液体窒素で凍結後、液体窒素存在下で菌体を粉末状に破砕した。菌体湿重量1gあたり5mlの抽出バッファー(0.5% Triton X−100, 1mM EDTA, 2mM PMSFを含む0.2M MES−KOHバッファー, pH5.5)を加えて懸濁させ、ポリトロンでホモゲナイズした。16,000 x g, 4℃で30分間遠心分離し、得られた上清を細胞抽出液とした。この細胞抽出液よりα−グルコシダーゼBを以下のようにして精製した。
【0023】
細胞抽出液を1mM EDTA, 0.5mM PMSFを含む20 mM MES−KOHバッファー(pH 5.5)に対して透析した後、あらかじめ20 mM MES−KOHバッファー(pH 5.5)で平衡化したDEAE−Tyopearl 650Mカラム(2.5 x 10 cm)に供した。本カラムに吸着したタンパク質を200 mlの0−0.5 M NaCl直線濃度勾配により溶出した。0.1 M NaClで溶出された主要なα−グルコシダーゼ活性画分を回収し、1.5 M 硫酸アンモニウムを含む20 mM MES−KOHバッファー(pH 5.5)に対して透析した。この活性画分を同バッファーで平衡化したPhenyl SepharoseCL−4Bカラム(1 x 12 cm)に吸着させ、40 mlの1.5−0 M硫酸アンモニウムの直線濃度勾配により溶出した。硫酸アンモニウム 0 Mで溶出された活性画分を回収し、20 mM HEPES−KOHバッファー(pH 7.4)に対して透析した後、Centriprep YM−10で1 mlに濃縮した。この濃縮サンプルをあらかじめ同バッファーで平衡化したResource Qカラムに供した。Resource QカラムクロマトグラフィーはAKTA explorer 10Sシステムを使用して行った。本カラムに吸着したタンパク質は60 mlの 0−1 M NaCl直線濃度勾配により溶出した。塩濃度0.3 Mで溶出された活性画分を20 mM HEPES−KOHバッファー(pH 7.4)に対して透析し、精製酵素とした。
【0024】
本精製酵素は74 kDaと54 kDaのサブユニットで構成され、至適pHは5.5、pH安定性はpH 5.0からpH8.5の間、また温度安定性は45℃までは酵素活性を90%以上保持しており、pH 4.0 以下、pH 11.0 以上、60℃以上で完全に酵素活性が失われた。
本酵素は分解活性に加えて位置選択的にα−1,6グルコシド結合を形成する糖転移活性を有している。マルトオリゴ糖に対して高い加水分解活性を示し、マルトトリオースに対して最も高い反応性を示し、マルトテトラオース、マルトペンタオースの順に反応性が低下することから、重合度の高いマルトオリゴ糖に反応性が低いことが示唆された。また、本酵素はイソマルトース、ニゲロース、コージビオース、α、α−トレハロースに対しても加水分解活性を示した。しかし、p−ニトロフェニルグルコシドおよびショ糖、スターチに対してほとんど活性を示さなかった。また、本酵素の糖転移活性により、マルトースからグルコースと複数の糖転移産物が合成された。その主要な糖転移産物はイソマルトースとパノースであった。反応開始から6時間で、基質として加えたマルトースの約50 %に相当する量の糖転移産物が生成し、そのうちの60 %がイソマルトースであった。また、コージビオース、ニゲロースを基質にした場合はイソマルトースが生成し、イソマルトースを基質にした場合はイソマルトトリオースが生成した。
【0025】
(1−2)α−グルコシダーゼB遺伝子のクローン化
上記精製酵素標品をSDS−PAGEに供し、74 kDa及び55 kDaの各サブユニットを分離し、電気泳動的にSequi−Blot PVDF膜に転写した。74 kDa及び55 kDaの各サブユニットに相当するバンドを膜より切り出し、Applied Biosystems model 473AプロテインシークエンサーによりN末端アミノ酸配列を決定した。74 kDa及び55 kDaの各サブユニットのN末端アミノ酸配列はそれぞれSQAGVDPLDRPGNDYVKD及びQSHRQLGAGRWRSAVRHであった。また、74 kDa及び55 kDaの各サブユニットの内部アミノ酸配列を決定するために、精製酵素をSDS−PAGEに供し、両サブユニットを分離し、それぞれをアクリルアミドから電気溶出した。各サブユニットをリジルエンドペプチダーゼで分解し、得られたペプチドを15% SDS−PAGEにより分画し、電気泳動的にPVDF膜へ転写した。それぞれの主要なバンドについてプロテインシークエンサーによりN末端アミノ酸配列を決定した。74 kDaサブユニットに由来する主要ペプチド(30 kDa)及び55 kDaサブユニットに由来する主要ペプチド(15kDa)のN末端アミノ酸配列はそれぞれTHLPQNPHLYGLGE及びDVSHWLGDNISDWLSYRLSIであった。
【0026】
74 kDaサブユニットのN末端および内部アミノ酸配列に基づいて、N末端のプライマーN1(5’−ARGCNGGNGTIGAYCCIYTNGA−3’), N2(5’−YTNGAYMGICCNGGIAAYGA−3’)および内部アミノ酸配列に相当するプライマーI1(5’−CCRTANARRTGIGGRTTYTGNGG−3’), I2(5’−TGIGGRTTYTGNGGIARRTGNGT−3’)を設計し、PCR反応に供した。A.nidulans染色体DNAを鋳型にプラーマーN1,I1を用いてPCR反応を行った。PCR反応物の一部とプライマーN2,I2を用いて再度PCR反応を行い、agdB遺伝子の一部(440bp)のDNA断片を増幅した。A.nidulans染色体DNAをHindIIIで消化し、HindIII消化DNA断片をアガロース電気泳動で大きさにより分画した。上述した440bpDNA断片とハイブリダイズする5−7 kbのDNA断片をpBluescript II KS+(STRATAGENE社)に連結し、大腸菌JM109(STRATAGENE社)を形質転換した。次に、440bpDNA断片とハイブリダイズする形質転換株を取得した。本形質転換株はagdB遺伝子を含む5.6 kbのHindIIIDNA断片を保持していた。このプラスミドをpGBH6と命名した。クローン化したDNA断片の塩基配列はLI−COR model 4000 DNA sequencerを使用してSangerらの方法で決定した。agdB遺伝子は57−72 bpの3つの短いイントロンを含む3,055 bpからなり、995アミノ酸残基をコードしている。本遺伝子の塩基配列(配列番号27)はDDBJ/EMBL/GenBankに登録した。そのaccession number はAB057788である。化学的に決定した74 kDa及び55 kDaの各サブユニットのN末端アミノ酸配列は、推定アミノ酸配列の21から39番目、515から531番目までのアミノ酸配列と一致し、また、両サブユニットの内部アミノ酸配列もそれぞれ167から187番目、637から656番目までのアミノ酸配列と一致していた。この結果はα−グルコシダーゼBが1本のポリペプチド前駆体として合成され、プロセシングを受けてヘテロ二量体構造をとることを示している。N末端から20番目までのアミノ酸配列はシグナルペプチドの典型的な特徴を有しており、本酵素は分泌性酵素であることを示唆している。
【0027】
[実施例2] 改変プロモーターの作製
(2−1)プロモーター領域のサブクローニング
アスペルギルス・オリゼJCM02239株のタカアミラーゼA遺伝子(taaG2)3164bp〔Gene,84,319−327(1989)〕を含むpTG−taa〔Mol. Gene. Genet.,254,119−126(1997)〕を出発材料としてタカアミラーゼA遺伝子プロモーター領域およびタカアミラーゼA遺伝子のコーディング領域を調製した。
まず、pTG−taaからタカアミラーゼA(taaG2)プロモーター領域を含む750bpのEcoRI−SalI断片を取得し、この断片をプラスミドpKF18K(東洋紡績株式会社)のマルチクローニングサイトのEcoRI−SalI部位に挿入してタカアミラーゼプロモーターを含むプラスミドpKF−taaPを取得した。プロモーター領域への変異導入操作および改変プロモーター領域の構築はこのプラスミドを用いて行った。
【0028】
(2−2)転写制御因子結合配列を含むDNA断片の取得
既に報告されている広域転写活性化因子(HAP)の結合因子であるCCAAT配列〔Mol. Gen. Genet., 237,251−260(1993)〕およびデンプン分解酵素遺伝子群の転写活性化因子(AmyR)の結合因子SRE〔Mol. Gen. Genet., 262, 668−676(1999)〕を含む断片を次の様に取得した。
まず、CCAAT配列の5’末端側にXhoI部位を、3’末端側にNotI部位を付加した合成DNAとしてXNF( 5’−CCGCTCGAGGCACCATCCAATTAGAAGCGCGGCCGCTAAACTAT−3’:配列番号13)と、この配列の相補鎖としてXNR( 5’−ATAGTTTAGCGGCCGCGCTTCTAATTGGATGGTGCCTCGAGCGG−3’:配列番号14)を合成し、続いてこれら合成DNAの相補鎖同士を混合して98℃10分間加熱後、2時間かけて30℃まで冷却し、その後4℃まで冷却してアニーリングさせることによってCCAAT配列を単独で含むDNA断片を取得した。
【0029】
一方、SREの5’末端側と3’末端側にSpeI部位およびHincII部位を付加した合成DNAとしてSREf( 5’−GACTAGTTAACCTAGGGGCGGAAATTTAACGGGATGTTAACTAGTC−3’:配列番号15)と、この配列の相補鎖としてSREr( 5’−GACTAGTTAACATCCCGTTAAATTTCCGCCCCTAGGTTAACTAGTC−3’:配列番号16)を合成し、上記と同様の方法でSREを単独で含むDNA断片を取得した。以後、ここで作製したCCAAT配列のみを含むDNA断片を「CCAAT断片」、SREのみを含むDNA断片を「SRE断片」とそれぞれ呼ぶことにする。
【0030】
次に、CCAAT配列からSREまでの領域を含むDNA断片(配列番号9。以下、「CCAAT−SRE断片」という)を、以下のプライマーおよび鋳型として(2−1)で調製したpKF−taaPを用いて、94℃ 30秒、54℃ 30秒、72℃ 1分30秒を1サイクルとして30サイクルのPCR反応を行うことによって取得した。尚、PstIサイトを含む断片(配列番号10。以下、「CCAAT−SRE(PstI)断片」という)とXhoI−NotIサイトを含む断片(配列番号11。以下、「CCAAT−SRE(XhoI−NotI)断片」という)の2種類を作製した。
【0031】
PstIサイトを付加した上流プライマー、
CSPf: 5’−AAACTGCAGACCACCTCTAGGCATCGGACG−3’(配列番号17)
PstIサイトを付加した下流プライマー、
CSPr: 5’−TTTCTGCAGTGTTGATTTGTGGTTGAGTGG−3’(配列番号18)
XhoIサイトを付加した上流プライマー、
CSXf: 5’−CGGCTCGAGGCATCGGACGCACCATCC−3’(配列番号19)
NotIサイトを付加した下流プライマー、
CSNr: 5’−ATAGTTTAGCGGCCGCCGACTGTGATTTGTGGTTGAGTGG−3’(配列番号20)
【0032】
(2−3)改変プロモーターを含むプラスミドの構築
タカアミラーゼA遺伝子プロモーター領域への変異導入を次のように行った。まず、(2−1)で調製したpKF−taaPへプロモーター領域改変用の制限酵素サイトを導入するために、以下に示すプライマーおよびMutan−Super Express Km Kit(TAKARA社)を用いてpKF−taaPに対する部位特異的変異導入を行った。なお、野生型プロモーターの配列(配列番号12)を図1に示し、導入した制限酵素サイトの位置を図2に示した。
【0033】
下流域(配列番号12に示すタカアミラーゼプロモーターの存在位置465)へのNotIサイト導入用のプライマー、
Not−b: 5’−CGCTTGGATTCCCCGCCCGCGGCCGCAGAGCTTAAAGTATGTCCC−3’(配列番号21)
下流域(配列番号12に示すタカアミラーゼプロモーターの存在位置440)へのXhoIサイト導入用のプライマー、
Xho−b; 5’−GAATGCAATTTAAACTCTTCCTCGAGTCGCTTGGATTCCCCGCCC−3’(配列番号22)
【0034】
上流域(配列番号12に示すタカアミラーゼプロモーターの存在位置153)へのNotIサイト導入用のプライマー、
Not−a: 5’−GTAGTAAAACCCCGGAGTCAGCGGCCGCCAAGCCCAAGTCCTTCACG−3’(配列番号23)
上流域(配列番号12に示すタカアミラーゼプロモーターの存在位置128)へのXhoIサイト導入用のプライマー、
Xho−a: 5’−CGTCAAGGGATGCAAGACTCGAGTAGTAAAACCCCGGAGTC−3’(配列番号24)
【0035】
CCAAT配列とSREに挟まれた領域(配列番号12に示すタカアミラーゼプロモーターの存在位置252)へのNotIサイト導入用のプライマー、
Not: 5’−GCACCATCCAATTAGAAGCGCGGCCGCGAAACAGCCCAAGAAAAAGG−3’(配列番号25)
下流域(配列番号12に示すタカアミラーゼプロモーターの存在位置490)へのSpeIサイト導入用のプライマー、
STATA: 5’−TAAAGTATGTCACTAGTCGATGCGAT−3’(配列番号26)
【0036】
次に、(2−2)で調製したCCAAT断片をXhoIおよびNotIで切断し、アガロースゲル電気泳動に供して回収・精製した。得られたDNA断片を上記のようにしてプロモーター下流域に導入したXhoI−NotI部位に挿入し、改変プロモーターPCCAATbを含むプラスミドpKF−CCAATbを作製した。同様に(2−2)で調製したSRE断片をHincIIで切断して得られるDNA断片がプロモーター下流域のXhoI−NotI部位に挿入された改変プロモーターPSREbを含むプラスミドpKF−SREb、(2−2)で調製したCCAAT−SRE(PstI)断片をPstIで切断して得られるDNA断片がプロモーター下流域のPstI部位に挿入された改変プロモーターPCSPを含むプラスミドpKF−PCSP、(2−2)で調製したCCAAT−SRE(XhoI−NotI)断片をXhoI、NotIで切断して得られるDNA断片がプロモーター下流域のXhoI−NotI部位に挿入された改変プロモーターPCSbを含むプラスミドpKF−PCSbをそれぞれ作製した。また、CCAAT−SRE(XhoI−NotI)断片をXhoI、NotIで切断し、回収・精製した断片をプロモーター下流域のXhoI−NotI部位に挿入し、その後、CCAAT−SRE(PstI)断片をPstI部位に挿入することにより、2箇所にCCAAT−SRE断片が挿入された改変プロモーターPCSPbを含むプラスミドpKF−PCSPbを作製した。
【0037】
[実施例3]アミラーゼ遺伝子発現ベクターの構築
アミラーゼ遺伝子発現ベクターの作製過程を図3に示す。まず、プラスミドpUC18(東洋紡績株式会社)をSalIで消化後、Klenow処理によって平滑末端化し、セルフライゲーションすることによってSalI部位の欠失したプラスミドpUC18(S−)を取得した。一方、プラスミドpTG−taaよりタカアミラーゼA遺伝子のEcoRI断片を単離し、この断片をpUC18(S−)のマルチクローニングサイトのEcoRI部位に挿入してpUC−taa(S−)を取得した。このプラスミドpUC−taa(S−)をEcoRIで部分分解し、taaG2遺伝子の3’末端側のEcoRIサイトが欠失したプラスミドpUC−taaを取得した。同様にして、pBluescriptII KS(+)のXhoI、SalI、BamHIを欠失させたプラスミドpBlue(XSE−)を取得した。
【0038】
次に、pUC−taaからtaaG2を含むEcoRI−HindIII断片を単離して、この断片をプラスミドpBlue(XSE−)のマルチクローニングサイトのEcoRI−HindIII部位に挿入して、taaG2を含むプラスミドpBlue−taaを取得した。
続いて、(2−3)で得られた改変プロモーターを含むプラスミドpKF−taaPMシリーズ(pKF−CCAATb、pKF−SREb、pKF−PCSP、pKF−PCSb、またはpKF−PCSPb)から改変プロモーター領域のEcoRI−SalI断片を単離して、プラスミドpBlue−taaのマルチクローニングサイトのEcoRI−SalIに挿入し、改変プロモーター領域とtaaG2遺伝子が連結したプラスミドpBlue−taaMを取得した。pBlue−taaMから改変プロモーターを含んだtaaG2遺伝子のXbaI−BamHI断片を単離し、プラスミドpBAR7 (pBluescriptII KS(+)にアスペルギルス・ニドランス由来のC末が欠失したargB遺伝子が挿入されたプラスミド)のマルチクローニングサイトのXbaI−BamHIに組み込み、プロモーター活性測定用プラスミドpBAR−taaMシリーズ(pBAR−CCAATb、pBAR−SREb、pBAR−PCSP、pBAR−PCSb、及びpBAR−PCSPb)とした。尚、野生型プロモーターを有するプラスミドを同様の手順で作製し、これをpBAR−taaとした。
【0039】
[実施例4] α−グルコシダーゼB欠損株を宿主とした形質転換体の取得
(4−1)α−グルコシダーゼB(agdB)遺伝子破壊株の構築
(1−2)で得られたプラスミドpGBH6に含まれるagdB遺伝子の一部(4.9 kb)のSacI断片(−3,132から+1,689)をpBluescriptII KS(+)にサブクローン化してpGBS5を構築した。pGBH6のClaI−HindIII4.9 kb断片(+222から+4,726)とpGBS5から調製したApaI−ClaI3.1 kb断片(−2,834から+221)をApaI、ClaI消化したpBluescript IIKS+に連結してpGBA8を構築した。agdB遺伝子破壊用プラスミドpGBΔP2は、pGBA8のSalI1断片(agdB遺伝子の−181から+3,435に相当)をN. crassa pyr4遺伝子を含むBspI 2.0 kb断片と置換して構築した。なお、BspI 2.0 kb断片はpyr4遺伝子を含むpTG1(Mol. Gen. Genet.(1997)254:119−126,M.Kato, A.Aoyama, F.Naruse, T.Kobayashi, and N.Tsukagoshi)より調製した。次にpGBΔP2から破壊されたagdB遺伝子を含む5.9 kb KpnI−SpeI断片を調製し、A. nidulans ABPU1を形質転換してΔagdB株DBP9を得た。agdB部位にpyr4遺伝子が挿入されていることはサザンブロット解析により確認した。尚、この菌株は以下のとおり寄託されている。
受託番号:FERM P−19070
国際寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、〒305−8566 茨城県つくば市東1丁目1番3号 中央第6
寄託日:2002年(平成14年)10月18日
【0040】
(4−2)形質転換
糸状菌の形質転換を次のように行った。まず、実施例3で得られたpBAR−taa、pBAR−PCSb、pBAR−PCSPbの各プラスミドをEcoRVで消化後、フェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈殿の操作を行い、精製したプラスミドを形質転換に用いた。形質転換は次のように行った。(4−1)で得られたアスペルギルス・ニドランスのα−グルコシダーゼ欠損株DBP9((pyrG89) biA1 wA3 argB2 pyroA4ΔagdB::pyr4)と、コントロール株としてアスペルギルス・ニドランス ABPU1株(biA1 pyrG89 wA3 argB2 pyroA4)をコンプリート培地(2% マルトエキス、2% グルコース、0.1% バクトペプトン)に必要な栄養源(アルギニン、ウリジン、ピリドキシン、及びビオチン)を添加した培地で、37℃、一晩振とう培養した後、得られた菌体を細胞壁溶解液〔20 mg/ml Yatalase(宝酒造社), 0.8 M NaCl, 10 mM リン酸緩衝液(pH6.0)〕に懸濁し、30℃で1〜2時間緩やかに振とうすることによりプロトプラスト化した。得られたプロトプラストをナイロンフィルターで濾過することにより、残存する菌体を除去した。次にこのプロトプラスト及び上記精製した各プラスミドを用いて、Turnerらの方法〔Gene, 36, 321−331(1985)〕により形質転換を行い、アルギニンを含まない培地(ツァペック・ドックス培地(0.2% NaNO3、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、2% グルコース(pH5.5))にウリジン、ピリドキシン、及びビオチンを添加した培地)で生育可能な形質転換体をそれぞれのプラスミドにつき、20から40株ずつ取得した。
【0041】
(4−3)サザンブロット解析による形質転換体の選択
各形質転換株から染色体DNAを次のように調製した。まず、形質転換株をコンプリート培地に必要な栄養源(ウリジン、ピリドキシン、及びビオチン)を添加した培地で37℃、一晩振とう培養後、得られた菌体をブフナー漏斗とNo.2のろ紙(アドバンテック社)で集めて滅菌水で洗浄した。余分な水分を除去したあと、−80℃で凍結し、FREEZONE(LABCONCO社)を用いて乾燥させた。乾燥後、1mmのガラス玉を加えて、マルチビーズショッカー(安井器械社)を用いて2000rpm、5分間破砕して微粉末状にし、この菌体破砕物に抽出溶液〔1% ヘキサデシルメチルアンモニウムブロマイド、0.7M NaCl、50mM Tris−HCl、10mM EDTA、1% β−メルカプトエタノール〕を加えて撹拌後、室温で30分間放置した。得られた溶菌液をフェノール/クロロホルム抽出して、夾雑するタンパク質を除去後、等量のイソプロパノールを加えて、DNAを沈殿させた。この沈殿物を0.1mg/mlのRNaseを含むTE溶液に溶解して、37℃、30分間反応させた後、さらに0.2mg/mlのproteinaseKを含むTE溶液を加え、37℃、30分間反応させた。この溶液をフェノール/クロロホルム抽出した後、2.5倍容の冷エタノールで沈殿させた。この沈殿物を70% エタノールでリンスして乾燥後、TE溶液に溶解したものを染色体DNA溶液とした。
【0042】
サザンブロット解析は、染色体DNAをPvuIIあるいはEcoRVで消化後、アガロースゲル電気泳動で分離してナイロンメンブレン(ロシュ社)にブロットした後、taaG2の約1000bpのBglII−SmaI消化物をプローブとして検出した。このとき、プローブのラベリングおよびシグナルの検出はDIG核酸検出キット(ロシュ社)を用いて行った。
【0043】
サザンブロット解析の結果より、宿主として用いた菌株のアミラーゼ生産能の比較に適した形質転換体、即ちプラスミドがargB座位へ相同的に1コピー組み込まれた株で、染色体に組み込まれるときの位置による影響と、導入される遺伝子のコピー数の影響を受けずにアミラーゼ生産能を比較できる形質転換体を、使用したプラスミドにつき、任意に2株以上選択した。
【0044】
[実施例5] アミラーゼ活性の比較
実施例4で得られた、pBAR−taa、pBAR−PCSb、及びpBAR−PCSPbがそれぞれ組み込まれた各形質転換体を用いて、α−グルコシダーゼB欠損株を宿主とした場合とABPU1株を宿主とした場合のアミラーゼ生産性を以下の手順で比較した。
まず、各形質転換体を最少培地(0.9% NaNO3、0.05% KCl、0.15% KH2PO4、0.15% Trace element、0.05% MgSO4・7H2O、1% グルコース(pH6.5))に必要な栄養源(ウリジン、ピリドキシン、及びビオチン)を添加した寒天培地に放射状に植菌し、37℃、3日間培養した後、この寒天培地から分生胞子を胞子懸濁用溶液(0.01% tween80、0.8% NaCl)に懸濁して綿で濾過し、胞子懸濁液を調製した。この胞子懸濁液から、分生胞子1×108個をSP培地(1% Starch、1% polypeptone、0.5% KH2PO4、0.1% NaNO3、0.05% MgSO4・7H2O (pH6.5))またはMP培地(1% Maltose、1% polypeptone、0.5% KH2PO4、0.1% NaNO3、0.05% MgSO4・7H2O (pH6.5))にアルギニン以外の必要な栄養源(ウリジン、ピリドキシン、及びビオチン)を添加した培地100mlに接種し、37℃、36時間振とう培養後、ブフナー漏斗とろ紙で菌体と上清を分離して、上清を酵素溶液とした。
【0045】
アミラーゼ活性は20mM 酢酸ナトリウムbuffer、10mM CaCl2、2% Soluble Starch (ナカライテスク社)に酵素溶液を加えて150μlの反応系を調製し、これを37℃で20分間反応させて生成した還元糖量をNelson−Somogyi法により定量した。また、1分間に1μmolのグルコースを遊離する酵素量を1unitとした。次に、測定したアミラーゼ活性値からアミラーゼ生産量を求めて、α−グルコシダーゼB欠損株を宿主とした場合と、ABPU1株を宿主とした場合のアミラーゼ生産性を比較し
た。
【0046】
アミラーゼ活性測定の結果を図4に示す。ΔagdB株を宿主としたtaaG2遺伝子の形質転換体を、デンプンをC源とする培地で培養したときのアミラーゼ生産量は、ABPU1株を宿主としたときの約6倍の生産量であった。これは、α−グルコシダーゼBが欠損していることにより、誘導物質であるイソマルトースの分解が抑えられ、誘導効果が持続することに因ると考えられる。この結果から、α−グルコシダーゼBの欠損が、アミラーゼ生産能の増強に非常に有効であることが確認できた。
【0047】
次に、マルトースをC源とするMP培地で培養した時のアミラーゼ活性を測定した。ΔagdB株を宿主としたtaaG2遺伝子の形質転換体を用いた場合のアミラーゼ生産量は、ABPU1株を宿主としたときの約7倍であり、ΔagdB株を宿主として改変プロモーター(PCSb又はPCSPb)を組み込んだ株のアミラーゼ生産量は、ABPU1株を宿主としたときの約2倍の生産量であった。この結果から、イソマルトースを合成しやすいマルトースなどのC源を培地に利用した場合には、agdB遺伝子を欠損した宿主を用いることにより、アミラーゼ生産能を一層増強できることが分った。また改変プロモーターを用いることによりさらに高い生産性が得られることが明らかとなった。尚、図4の表に示されるように、本実施例の系においては最高で1g/Lのアミラーゼの生産が認められた。
【0048】
本出願は文部科学省の科学技術振興調整費による委託業務として実施した平成14年度「カビの酵素高生産能を利用した環境調和型工業プロセス技術の基盤研究」の成果である。
【0049】
【発明の効果】
本発明により、遺伝子を外来的に導入した際に当該遺伝子の発現を効率的に高めることが可能な宿主微生物が提供される。目的タンパク質をコードする遺伝子を当該宿主微生物に導入して得られる形質転換体を用いれば、目的タンパク質を高い生産性で生産することができる。
【0050】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はタカアミラーゼA遺伝子(アスペルギルス・オリゼ)のプロモーター領域の配列を示す図である。
【図2】図2はタカアミラーゼA遺伝子(アスペルギルス・オリゼ)のプロモーター領域の模式図であり、転写制御因子結合配列(CCAAT配列・SRE)の位置と、変異導入箇所を示す。部位特異的変異によって導入した制限酵素サイトを下線で示す。CCAATはCCAAT配列(広域転写活性化因子(HAP複合体)の結合因子)、SREはデンプン分解酵素遺伝子群の転写活性化因子(AmyR)の結合因子、TATAはTATA−box、+1は転写開始点をそれぞれ表す。
【図3】図3は実施例3におけるアミラーゼ遺伝子発現ベクターの作製過程を示す図である。
【図4】図4は実施例4におけるアミラーゼ活性測定の結果をまとめた表である。表中のN.D.はNot Determined(未決定)を表す。
Claims (8)
- 真菌類に属し且つ主たるイソマルトース生成酵素の遺伝子を欠損した微生物。
- 糸状菌に分類される微生物である、請求項1に記載の微生物。
- α−グルコシダーゼB遺伝子が欠損したアスペルギルス・ニドランス。
- 真菌類に属し且つ主たるイソマルトース生成酵素の遺伝子を欠損した微生物に、イソマルトースでその発現が誘導される外来遺伝子を導入してなる形質転換体。
- 前記微生物が糸状菌に分類される微生物である、請求項4に記載の形質転換体。
- α−グルコシダーゼB遺伝子を欠損したアスペルギルス・ニドランスに、イソマルトースでその発現が誘導される外来遺伝子を導入してなる形質転換体。
- 前記外来遺伝子が次の改変プロモータを含有する、請求項4〜6のいずれかに記載の形質転換体、
糸状菌で機能するプロモーターに、CCAATNNNNNN(第1塩基配列:配列番号1)を含む第1DNA断片と、CGGNNNNNNNNNGG(第2塩基配列:配列番号2)を含む第2DNA断片と、を挿入してなる改変プロモーター。 - 前記外来遺伝子が発現可能な条件下で請求項4〜7のいずれかの形質転換体を培養するステップ、及び
産生されたタンパク質を回収するステップ、
を含む、タンパク質の生産方法。
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