JP2004139742A - 燃料供給装置および携帯機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料の補給時期を高精度に把握し得る。
【解決手段】燃料パック48,サブパック50を別々に接続したポンプ46は、燃料を両パック間に送液しかつ両パック内の燃料を燃料電池34に供給する。ポンプ46がサブパック内に燃料を備蓄した後に、燃料パック内の燃料を優先的に使用するようにポンプの切換えをコントロール部が制御する。燃料パック内の燃料が空になっても、備蓄しているサブパック内の燃料が空になる前に、ユーザに早期に燃料補充を促すことができる。ポンプが両パックに別々に接続したので、たとえ燃料パック内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。即ち、燃料パック内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。
【選択図】 図3
【解決手段】燃料パック48,サブパック50を別々に接続したポンプ46は、燃料を両パック間に送液しかつ両パック内の燃料を燃料電池34に供給する。ポンプ46がサブパック内に燃料を備蓄した後に、燃料パック内の燃料を優先的に使用するようにポンプの切換えをコントロール部が制御する。燃料パック内の燃料が空になっても、備蓄しているサブパック内の燃料が空になる前に、ユーザに早期に燃料補充を促すことができる。ポンプが両パックに別々に接続したので、たとえ燃料パック内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。即ち、燃料パック内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばメタノール直接型燃料電池(DMFC)などの燃料電池の燃料極に対して燃料を供給する燃料供給装置または携帯機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカメラには、太陽電池の起電力を2次電池に蓄え駆動する太陽電池ユニットを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、従来の燃料電池には、負荷変動によって所定量の燃料を燃料極に供給するものがある(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。さらに、従来の燃料電池には、水素ガスの圧力を調整する圧力調整器を備えるものがある(例えば、特許文献4および特許文献5参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−163965号公報
【特許文献2】
特開2000−106201公報
【特許文献3】
特開2002−49440公報
【特許文献4】
特開平10−64567号公報
【特許文献5】
特開平10−64572号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1の太陽電池ユニットは、太陽エネルギーを直接に電気エネルギーへ変換して2次電池に蓄積するタイプであるので、太陽が照射しない夜間などでは電気エネルギーを2次電池に充電することができない。そのため、特許文献1では、夜間などで2次電池に充電された電気エネルギーが全て消費(完全放電)されると、カメラを使用することができなくなる。従って、特許文献1に係るカメラでは、夜間などにおいて、長時間の使用が困難であった。
【0005】
一方、近年では、燃料と空気中の酸素とを電気化学反応させて生じた化学エネルギーを直接に電気エネルギーへ変換することにより、定常的に発電を続けることができる燃料電池が提案されている。ここで、カメラなどの携帯機器の高容量電源として注目されているのが、固定高分子型燃料電池(PEFC)である。
【0006】
固定高分子型燃料電池の中でも、水が混合されたメタノール水(燃料)を直接に燃料極へ供給するメタノール直接型燃料電池(DMFC)は、メタノール水から水素を作る改質器または二酸化炭素濃度制御用の反応器などの周辺補助機器が不要となるので、小型化に適している。そして、上記燃料電池を携帯機器であるカメラまたはノート型パーソナル・コンピュータなどの電源として適用することが想定し得る。
【0007】
一方、携帯機器において、例えば燃料パックなどに収容された燃料のメタノール水が空になり、燃料電池の発電が完全に停止した後に、空になった燃料パックを新品の燃料パックに交換しても、必ずしも直ちに機器セットとして機能しないことが想定される。即ち、燃料パック内の燃料が空になった後に、新品の燃料パックを装着する場合、機器本体の起動復帰に手間を要すことになるので、使い勝手が悪くなる。
【0008】
また、燃料電池において発電を行うためには、例えば燃料パックに収容された燃料を燃料極に供給する必要がある。しかし、燃料はメタノール水などの液体であるので、たとえば携帯機器などの使用方向によっては燃料タンク中の燃料の残容量を正確に把握することが困難であり、そして携帯機器を燃料の計測が正確にできる正位置とした場合突然に燃料が少ないことが検出されるという事態も考えられる。そして、突然に燃料が少ないと警告されても、現在のインフラにおいては燃料を迅速に入手できないことも想定される。
【0009】
なお、特許文献2乃至特許文献5では、負荷変動によって所定量の燃料を燃料極に供給する構造または圧力調整器が開示されているが、予備燃料機構などがないので、上述したように燃料タンク中の燃料が突然に空になるおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、燃料の補給時期を高精度に把握し得る燃料供給装置または携帯機器を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の燃料供給装置では、燃料極に供給される燃料と空気極に供給される酸素とを電気化学反応させて生じた化学エネルギーを、直接に電気エネルギーへ変換する燃料電池の前記燃料極に燃料を供給する燃料供給装置であって、燃料を収容する主燃料収容部と、燃料を収容する補助燃料収容部と、前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部がそれぞれ別に接続され、かつ燃料を前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部間で流通可能にすると共に、前記主燃料収容部内の燃料または前記補助燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給する燃料供給手段と、を備える。
【0012】
請求項1記載の燃料供給装置においては、主燃料収容部のほかに、補助燃料収容部を設け、かつ主燃料収容部および補助燃料収容部をそれぞれ別に接続した燃料供給手段によって燃料を主燃料収容部および補助燃料収容部間で流通させると共に、主燃料収容部内の燃料または補助燃料収容部内の燃料を燃料電池の燃料極に供給させる構成としたので、たとえば補助燃料収容部内に燃料が備蓄されている場合には、主燃料収容部内の燃料が空になっても、補助燃料収容部内の燃料を燃料電池の燃料極に供給できる。
【0013】
請求項1記載の燃料供給装置によれば、主燃料収容部内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。また、請求項1記載の燃料供給装置によれば、補助燃料収容部内に備蓄した燃料は燃料電池に供給できるので、バックアップ用の燃料容量が増大すると共に、燃料の入手に余裕が生じる。
【0014】
即ち、請求項1記載の燃料供給装置によれば、燃料供給手段が主燃料収容部および補助燃料収容部に対してそれぞれ別に接続したので、たとえ主燃料収容部内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。
【0015】
請求項2に係る発明では、請求項1記載の燃料供給装置において、前記補助燃料収容部内の燃料が所定レベル以上の場合には前記主燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御し、かつ前記補助燃料収容部内の燃料が所定レベル以下の場合には前記主燃料収容部内の燃料を前記補助燃料収容部に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御すると共に、前記主燃料収容部内の燃料が空の場合には前記補助燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御する切換制御手段を設ける。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、切換手段が補助燃料収容部内に燃料を備蓄した後に、主燃料収容部内の燃料を優先的に使用するように燃料供給手段の切換えを制御するので、主燃料収容部内の燃料が空になっても、備蓄している補助燃料収容部内の燃料が空になる前に、ユーザに早期に燃料補充たとえば空になった燃料パックを新品の燃料パックに交換するように促すことができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明では、請求項1記載の燃料供給装置において、前記主燃料収容部は前記燃料供給手段に対して着脱可能に配置され、前記補助燃料収容部は前記燃料供給手段に固定されているので、主燃料収容部たとえば燃料パック内の燃料が空になった場合には新品の燃料パックを空になった燃料パックと交換でき、燃料の補充が迅速に行える。
【0018】
請求項4に係る発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の燃料供給装置を携帯機器に設けるので、使い勝手が向上する。なお、上記携帯機器は、銀塩フィルムカメラ,デジタルカメラ,携帯電話,ノート型パーソナル・コンピュータ,PDA(Personal Digital Assistance)などを含む概念である。
【0019】
また、請求項5に係る発明では、請求項4記載の携帯機器において、前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部の燃料の残容量に基づき燃料の補充を注意または警告するので、ユーザはたとえば燃料パックの交換時期を的確に認識できる。さらに、請求項6に係る発明では、請求項4または5記載の携帯機器において、前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部の燃料の残容量に基づき機器動作を制限するので、省電力化が図られ、たとえば燃料パックが交換されるまで延長される。即ち、請求項6に係る発明よれば、電力消費を最小限にできるので、早期のシステムダウンを防止できる。
【0020】
なお、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の燃料供給装置に対し、前記燃料電池からの電気エネルギーを蓄積可能にすると共に、蓄積された電気エネルギー基づいて機器動作を可能とした充電蓄積手段を設けるようにしても良い。
【0021】
燃料電池は、燃料と空気中の酸素とを電気化学反応させて電気エネルギーを発生させるものであるので、携帯機器の起動時の応答が十分に速いとはいえない。即ち、燃料電池は、起動または停止を繰り返す携帯機器での使用よりも、安定的に使い続ける装置での使用に適している。つまり、燃料電池は、応答が十分に速いとはいえないので、起動または停止を繰り返す携帯機器の電源としては適さない。
【0022】
しかし、上記充電蓄積手段として2次電池またはコンデンサなどを設ければ、燃料電池で発電された電気エネルギーが蓄積されるので、起動または停止を繰り返す携帯機器にも対応できる。即ち、燃料電池を直接にCPU,モータなどの電子部品に接続せず、2次電池などの充電蓄積手段に電気エネルギーを蓄えかつ電子部品を駆動させる構成にすれば、起動または停止を繰り返す携帯機器の電源にも十分に対応できる。なお、たとえば燃料切れなどによって燃料電池での電気エネルギーの発生が停止した場合にも、充電蓄積手段に蓄えられた電気エネルギーに基づき、機器動作が可能となる。
【0023】
また、上記充電蓄積手段に接続可能に配置され、前記燃料電池での電気エネルギーの発生が停止し、さらに前記充電蓄積手段に蓄積された電気エネルギーがない場合には前記充電蓄積手段に対して電気エネルギーを供給する外部電源手段を設けるようにすれば、外部電源手段が充電蓄積手段に対して電気エネルギーを供給する起動電力源となるので、たとえば燃料パック内の燃料を完全に使い切り、燃料パック内の燃料が空になった場合に、たとえば空になった燃料パックを新品の燃料パックに交換した後の燃料電池への燃料供給動作などを復帰させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4に基づいて、本発明の実施形態に係る燃料供給装置または携帯機器について説明する。なお、本実施形態では、携帯機器をデジタルスチルカメラとした例であり、燃料電池をメタノール直接型燃料電池(DMFC)とした例である。また、図1は本実施形態に係る燃料電池を装着したデジタルスチルカメラのブロック図、図2は図1に示すメタノール直接型燃料電池の概略を示す図、図3は図1に示すポンプにおける燃料の流れを説明するための図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係るデジタルスチルカメラ(以下、単に「カメラ」という)10では、操作部12に配置されたレリーズスイッチが操作されると、シャッタ14が開き、レンズ16から入射された光はCCD18で結像し、光学データは電気的な画像データに変換される。この画像データは、画像処理部20へ送られ画像処理される。そして、画像処理部20で処理された画像データは、フラッシユメモリなどで構成される記録部22に保存されると共に、バックライト24を備える表示部(LCD)26に表示される。
【0026】
カメラ10を構成する各部は、切換制御手段または制限手段であるコントロール部28によって制御される。コントロール部28には2次電池30が接続されており、カメラ10を構成する各部は2次電池30にバッファされた電気エネルギーで作動される。なお、本実施形態では、充電蓄積手段の一部を構成する2次電池30を、たとえばコンデンサなどとしても良い。
【0027】
そして、2次電池30にバッファされた電気エネルギーが不足すると、コントロール部28は、コンバータなどで構成される変換部32を作動させ、メタノール直接型燃料電池(以下、単に「燃料電池」という)34の発電を行わせる。燃料電池34から電気エネルギーが供給されて2次電池30の充電が完了すると、コントロール部28は、変換部32の作動を停止させ、燃料電池34の発電を停止させる。
【0028】
充電蓄積手段の一部を構成する変換部32には、外部電源手段である外部電源回路36が接続されており、外部電源回路36の接続部には外部電源である例えば一次電池としての単三電池38が接続可能となっている。なお、外部電源回路36の接続部には、一次電池の他に、たとえば商業電源を供給するためのACアダプタを接続可能としても良い。
【0029】
ここで、図2に基づき、燃料電池34の構成について概説する。燃料電池34は、燃料であるメタノール水(CH3OH+H2O)を直接にアノード(燃料極)40に供給し、かつ空気中の酸素(O2)をカソード(空気極)42に供給することによって電力を得るタイプである。燃料極40には触媒(Pt/Ru)が含まれており、空気極42には触媒(Pt)が含まれている。燃料極40および空気極42との間には、電解質膜としてのプロトン導電膜44が、真中に挟まれた状態で配置されている。
【0030】
そして、メタノール水(CH3OH+H2O)は、燃料極40での触媒反応により、水素イオン(H−),電子(e−),二酸化炭素(CO2)に分解される。上記水素イオン(H−)はプロトン導電膜44を通過して空気極42に移動するが、上記電子(e−)はプロトン導電膜36を通過できず燃料極40および空気極42の端子間に流れる。
【0031】
即ち、燃料極40での触媒反応によって電子(e−)が発生すると、上記端子間に電流が発生し、発電される。また、プロトン導電膜36を透過した上記水素イオン(H−)などが空気極22中の酸素(O2)で触媒燃焼されると、水(H2O)が生成される。
【0032】
なお、図1に示す燃料電池34には、燃料極40(図2参照)側に燃料を収容する図示しない燃料室が形成されていると共に、空気極42(図2参照)側に空気を収容する図示しない空気室が形成されている。また、燃料室の入口には燃料を燃料室に供給させるためのパイプが連結されていると共に、燃料室の出口には二酸化炭素を外部に排出させるフィルタが配置されている。さらに、空気室の入口および出口には、フィルタがそれぞれ配置されている。
【0033】
燃料電池34の燃料室に連結されたパイプは、燃料供給手段のポンプ46に連結されている。ポンプ46には、主燃料収容部である燃料パック48および補助燃料収容部であるサブパック50がそれぞれ別に連結可能となっている。燃料パック48はポンプ46に対して着脱可能となっており、サブパック50はポンプ46に対して取外しできないように固定されている。
【0034】
図3に示すように、ポンプ46は、いわゆる3方向弁(図示省略)を備え、燃料パック48内の燃料を燃料電池34またはサブパック50にそれぞれ送液可能としており、かつサブパック50内の燃料を燃料電池34に送液可能としている。なお、本実施形態は、サブパック50内の燃料を燃料パック48に送液できるように、ポンプ46を設定変更しても良い。
【0035】
カメラ10には、燃料パック48内の燃料およびサブパック50内の燃料が、所定レベル以下か否かを検出する検出手段のセンサ52および54がそれぞれ配置されている。そして、センサ52,54およびポンプ46はコントロール部28に接続され、コントロール部28はセンサ52,54の検出信号に基づいてポンプ46の3方向弁を制御する。
【0036】
また、センサ52は、燃料パック48がポンプ46に装着されているかを検出すると共に、燃料パック48内の燃料が空であるかを検出できるように設定されている。さらに、コントロール部28は、2次電池30の電圧値などを検出することにより、2次電池30に所定レベル以上の充電容量があるかを判断し得るように設定されている。
【0037】
引続き、図1および図3に基づき、カメラ10に配置された燃料供給装置の作用について説明する。まず、新品の燃料パック48の図示しないキャップを外し、満タンの燃料が収容された燃料パック48をポンプ46の図示しない接続部に接続する。即ち、燃料パック48は、カメラ10の図示しない装填部に装填することにより、ポンプ46に接続される。
【0038】
燃料パック48の装填がセンサ52で検出されると、コントロール部28は、サブパック50内の燃料が所定レベル以下か否かを検出するセンサ54の検出信号に基づき、ポンプ46の弁方向(燃料の送液方向)を制御する。また、コントロール部28は、2次電池30の電圧値などを検出することにより、2次電池30に所定レベル以上の充電容量があるかを判断する。
【0039】
そして、サブパック50内の燃料残容量が所定レベル以上であれば、コントロール部28はポンプ46を制御し、燃料パック48内の燃料を燃料電池34の燃料室に供給させる。また、2次電池30の充電容量が所定レベル以下であれば、コントロール部28は変換部32を制御し、図2で説明したように燃料電池34で発生した電気エネルギーを変換部32で受け、所定電圧レベルに変換させた後に、2次電池30に充電させる。2次電池30での充電が完了すると、コントロール部28は変換部32の動作を停止させ、燃料電池34での発電を停止させる。
【0040】
次に、表1に基づき、エネルギー残容量と動作モードの関係を説明する。動作モードにはモード0〜6があり、パック48,50の燃料残容量および2次電池30の充電容量によって分類されている。以下、表1に基づき、エネルギー残容量と動作モードの関係について説明する。
【0041】
【表1】
【0042】
モード0は、パック48,50内の燃料残容量および2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードであり、燃料パック48内の燃料を燃料電池34の燃料室に供給する。モード1は、燃料パック48内の燃料が空であると共に、サブパック50内の燃料残容量および2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードであり、サブパック50内の燃料を燃料電池34の燃料室に供給する。
【0043】
モード2は、サブパック50内の燃料が空であると共に、燃料パック48内の燃料残容量および2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードであり、燃料パック48内の燃料をサブパック50に送液する。モード3は、パック48および50内の燃料が空であると共に、2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードである。そして、モード3は、2次電池30がカメラ10の電源となっており、燃料補給待ちすなわち新品の燃料パック48の交換待ち状態である。
【0044】
モード4〜6は、2次電池30の充電容量が所定レベル以下(充電容量がない完全放電)のモードである。本実施形態では、2次電池30が燃料電池34へ燃料を供給するポンプ46を、駆動させる構成となっているので、2次電池30が完全放電してしまうと、カメラ10が独力で動作を開始することが困難となる。
【0045】
即ち、モード4〜6は、外部電源である単三電池38が外部電源回路36に接続されるのを待つモードであり、単三電池38が外部電源回路36に接続されると、単三電池38の電気エネルギーによってカメラ10が復帰する。即ち、単三電池38が外部電源回路36に接続されると、単三電池38の電気エネルギーが変換部32によって2次電池30の電圧に変換され充電されるので、2次電池30がポンプ46の動作トリガとしてポンプ46の動作を開始させる。
【0046】
2次電池30に最低限レベルのエネルギーが充電された場合、モード5のように、燃料パック48がポンプ46に装填されていると、2次電池30がポンプ46を駆動し、燃料電池34を発電させる。さらに、2次電池30に所定レベル以上のエネルギーが充電されると、モード2で説明したように、燃料パック48内の燃料をサブパック50に送液(補給)する。そのため、モード0へ移行するので、通常動作の実行モードとなる。
【0047】
なお、2次電池30がポンプ46を駆動し、燃料電池34を発電させた後は、単三電池38を外部電源回路36から取り外すことができる。 ここで、モード4は、上述したように2次電池30が完全放電された状態であり、パック48および50内の燃料が空である。
【0048】
モード5および6は、パック48および50が空である状態(モード4)から燃料が補給されるモードである。即ち、モード5は、2次電池30が完全放電された状態であり、燃料パック48内の燃料残容量が所定レベル以上であると共に、サブパック50内の燃料が空である。また、モード6は、2次電池30が完全放電された状態であり、パック48,50内の燃料残容量が所定レベル以上である。
【0049】
引続き、図4のフローチャートに基づき、上記各モードの移行処理について説明する。なお、図4は、例えばユーザによってカメラ10の操作部12に配置された電源スイッチ(図示省略)がオンされた際に、コントロール部28によって実行される。また、本フローチャートはセンサ52または54等からの検出信号が入力される毎に処理されるプログラムであり、このプログラムはコントロール部28の図示しないROMなどの記憶手段に予め記憶されている。
【0050】
ステップ100では燃料パック48が装填されているか否かをセンサ52の検出信号に基づいて判断し、ステップ100が肯定の場合(燃料パック48が装填されている場合)にはステップ102で燃料パック48内の燃料残量を確認する。なお、ステップ100の処理は、燃料パック48が装填されるまで続けられる。
【0051】
ステップ104では燃料パック48内の燃料残量が所定レベル以下であるか否かをセンサ52の検出信号に基づいて判断し、ステップ104が肯定の場合(残量が所定レベル以下である場合)にはステップ106で注意手段としての表示部26に「注意」に関するメッセージを表示させる。
【0052】
たとえば、上記メッセージは、燃料パック48内の燃料残量が所定レベル以下となっているので、「燃料パック残量少」などの内容である。そして、ユーザは、表示部26に表示された「注意」に関するメッセージを、視認することによって燃料パック48の交換時期が確認できる。
【0053】
ステップ104が否定の場合(残量が所定レベル以上である場合)には、ステップ108において、燃料パック48内の燃料が空か否かを、センサ52の検出信号に基づいて判断する。ステップ108が肯定の場合(燃料パック48内の燃料が空ではない場合)には、ステップ112において、サブパック50内の燃料が空か否かを、センサ54の検出信号に基づいて判断する。
【0054】
ステップ112が肯定の場合(サブパック50内の燃料が空である場合)には、ステップ114において、ポンプ46をサブパック50側に切換え、燃料パック48内の燃料をサブパック50内に送液させる。
【0055】
なお、ステップ112が肯定の場合において、2次電池30に所定以上の充電容量がある場合には、上述したモード2となっている。モード2は、上述したモード3からの復帰時に通過するモードである。ステップ116では、サブパック50が満タンになったか否かを、センサ54の検出信号に基づいて判断する。なお、ステップ116の処理は、サブパック50が満タンになるまで続けられる。
【0056】
ステップ116が肯定の場合(サブパック50が満タンになった場合)には、ステップ118において、ポンプ46の燃料供給を燃料パック48から燃料電池34の燃料室側へ切換える。そして、ステップ112が否定の場合(サブパック50内の燃料が空ではない場合)およびステップ118の処理後は「モード0」となる。ここで、モード0は、カメラ10の全動作(表1に示す通常動作)が実行可能な通常モードである。
【0057】
一方、ステップ108が肯定の場合(燃料パック48内の燃料が空である場合)にはステップ110で警告手段としての表示部26に「警告」に関するメッセージを表示させる。たとえば、上記メッセージは、燃料パック48内の燃料が空となっているので、「燃料パックの残量なし」などの内容である。
【0058】
そして、ユーザは、表示部26に表示された「警告」に関するメッセージを、視認することによって燃料パック48を迅速に交換する必要があることを認識する。なお、本実施形態では、注意手段または警告手段をたとえば音声出力装置または警告ランプなどに変更しても良い。
【0059】
ここで、本実施形態においては、後述するように、サブパック50内に燃料が備蓄されていれば(モード1の状態)、上記警告後であっても、カメラ10を暫くの間(サブパック50内に燃料が空になるまでの間、あるいは2次電池30が完全放電されるまでの間)は使用できるので、燃料の入手に余裕が生じる。
【0060】
ステップ120では、サブパック50内の燃料が空か否かを、センサ54の検出信号に基づいて判断する。ステップ120が否定の場合(サブパック50内に燃料が収容されている場合)には、ステップ122において、ポンプ46の燃料供給をサブパック50から燃料電池34の燃料室側へ切換える。
【0061】
そして、ステップ122の処理後は「モード1」となる。即ち、モード1は、燃料パック48内の燃料を使い切り、サブパック50内の燃料を燃料電池34に供給しているモードである。モード1においても、ステップ110のように、表示部26に「警告」に関するメッセージを表示させても良い。たとえば、上記メッセージは、サブパック50が燃料電池34に対し燃料を供給しているので、「サブパック使用中」などの内容である。
【0062】
さらに、サブパック50内の燃料が所定レベル以上であれば、モード1に切換った際に、ステップ106のように、表示部26に「注意」に関するメッセージを表示させても良い。たとえば、上記メッセージは、サブパック50が燃料電池34に対し燃料を供給し始めた段階であるので、「サブパック切換直後」などの内容である。
【0063】
また、サブパック50内の燃料が所定レベル以下になった段階において、ステップ110のように、表示部26に「警告」に関するメッセージを表示させても良い。たとえば、上記メッセージは、サブパック50内の燃料が少なくなっているので、「サブパック残量少」などの内容である。上記の場合には、表示部26に「注意」または「警告」が表示されるので、ユーザに新規な燃料パック48の交換を促すことができる。
【0064】
さらに、モード1では、表1に示すように、ユーザすなわちコントロール部28からのコマンドを拒否し、電力消費を最小限にする「スリープ」モードに移行させても良い。または、モード1では、表1に示すように、フラッシユ撮影禁止,動画撮影禁止などのカメラ動作に制限を設ける「動作モード制限」に移行させても良い。上記の場合には、スリープモードまたは動作モード制限に移行するので、ユーザに新規な燃料パック48の交換を強力に促すことができる。
【0065】
ステップ120が肯定の場合(サブパック50内の燃料が空である場合)には、ステップ124において、2次電池30に所定以上の充電容量があるか否かを判断する。ステップ124が肯定の場合(2次電池30に所定以上の充電容量がある場合)はモード3であり、ステップ124が否定の場合(2次電池30が完全放電している場合)はモード4である。
【0066】
ここで、モード3では、パック48および50内の燃料が空になり、2次電池30のみに電気エネルギーが蓄えられている状態ではあるが、表1に示すように燃料補給で動作復帰が可能である。モード3は、モード1よりも電源装置全体の残エネルギー容量が少ないので、さらに省電力化にする必要がある。
【0067】
即ち、モード3では、カメラ10がシステムダウンしないように、たとえば上記スリープモードおよび動作モード制限などを同時に行い、新規な燃料パック48に交換されるまでの時間的余裕を延長可能とする。また、2次電池30に所定以上の充電容量がある場合には、その充電容量をモニタ(検出)することにより、所定レベルまでは動作を許容し、所定レベル以下になった場合には上記動作モード制限などを行うようにしても良い。
【0068】
即ち、本実施形態においては、パック48および50内の燃料の残容量に基づき燃料の補充を注意または警告するので、ユーザは燃料パック48の交換時期を的確に認識できる。また、本実施形態においては、パック48および50内の燃料の残容量に基づき動作を制限するので、省電力化が図られ、燃料パック48が交換されるまで延長される。即ち、本実施形態よれば、電力消費を最小限にできるので、早期のシステムダウンを防止できる。
【0069】
上述したように、本実施形態においては、燃料パック48のほかに、サブパック50を設け、かつパック48および50をそれぞれ別に接続したポンプ46により、燃料パック48内の燃料またはサブパック50内の燃料を燃料電池34の燃料極40(図2参照)に供給させる構成としたので、サブパック50内に燃料が備蓄されている場合には、燃料パック48内の燃料が空になっても、サブパック50内の燃料を燃料電池34の燃料極40に供給できる。
【0070】
即ち、本実施形態においては、ポンプ46がサブパック50内に燃料を備蓄した後に、燃料パック48内の燃料を優先的に使用するようにポンプ46の切換えをコントロール部28が制御するので、燃料パック48内の燃料が空になっても、備蓄しているサブパック50内の燃料が空になる前に、ユーザに早期に燃料補充を促すことができる。
【0071】
従って、本実施形態によれば、ポンプ46が燃料パック48およびサブパック50に対してそれぞれ別に接続したので、たとえ燃料パック48内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池34の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。
【0072】
また、本実施形態によれば、燃料パック48内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。なお、本実施形態によれば、サブパック50内に備蓄した燃料は燃料電池34に供給できるので、バックアップ用の燃料容量が増大する。
【0073】
なお、本実施形態によれば、燃料パック48をポンプ46に対して着脱可能に配置したので、燃料パック48内の燃料が空になった場合には新品の燃料パックを空になった燃料パックと交換でき、燃料の補充が迅速に行える。また、本実施形態によれば、上記燃料供給装置をカメラ10に設けたので、使い勝手が向上する。
【0074】
また、本実施形態においては、燃料電池34からの電気エネルギーを蓄積する2次電池30を設けると共に、この2次電池30に蓄積された電気エネルギーに基づいてカメラ10を駆動可能としたので、燃料電池34を起動または停止を繰り返すカメラ10にも対応できる。なお、本実施形態によれば、たとえば燃料切れなどによって燃料電池34での電気エネルギーの発生が停止した場合にも、2次電池30に蓄えられた電気エネルギーに基づき、機器動作が可能となる。
【0075】
さらに、本実施形態においては、変換部32に接続可能に配置され、燃料電池34での電気エネルギーの発生が停止し、さらに2次電池30に蓄積された電気エネルギーがない場合にも、変換部32に対して電気エネルギーを供給する外部電源手段の外部電源回路36および単三電池38を設けたので、外部電源回路36および単三電池38が変換部32に対して電気エネルギーを供給する起動電力源となる。
【0076】
即ち、本実施形態によれば、パック48および50内の燃料を完全に使い切り、パック48および50内の燃料が空になった場合でも、空になった燃料パック48を新品の燃料パック48に交換した後の燃料電池34への燃料供給動作などを復帰させることができる。
【0077】
なお、本実施形態に係る燃料電池34の構成などは任意に変更でき、または図1に示す燃料供給装置および電源装置を含むカメラ10の構成なども任意に変更できる。例えば、本実施形態では主燃料収容部の燃料パック48を着脱可能とした例であるが、本発明に係る請求項1または2では主燃料収容部内の燃料が空になった場合に燃料を主燃料収容部内に再充填(補充)できるように構成しても良い。
【0078】
また、本実施形態では補助燃料収容部のサブパック50を燃料供給手段のポンプ46に対し取外しできないよう固定した例であるが、本発明に係る請求項1または2では補助燃料収容部を燃料供給手段に対して着脱可能としても良い。さらに、本実施形態では補助燃料収容部のサブパック50が1個である例を示したが、本発明では補助燃料収容部を複数個設けるようにしても良い。
【0079】
上記実施形態に係る携帯機器は、デジタルスチルカメラの他に、例えば銀塩フィルムカメラ,デジタルビデオカメラ,携帯電話,パーソナル・コンピュータ,PDA(Personal Digital Assistance)などであっても、同様に適用できる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、主燃料収容部内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。また、本発明によれば、補助燃料収容部内に備蓄した燃料は燃料電池に供給できるので、バックアップ用の燃料容量が増大すると共に、燃料の入手に余裕が生じる。
【0081】
即ち、本発明によれば、燃料供給手段が主燃料収容部および補助燃料収容部に対してそれぞれ別に接続したので、たとえ主燃料収容部内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るメタノール直接型燃料電池を装着したデジタルスチルカメラのブロック図である。
【図2】図1に示すメタノール直接型燃料電池の概略を示す図である。
【図3】図1に示すポンプにおける燃料の流れを説明するための図である。
【図4】図1に示すデジタルスチルカメラの各モードへ移行する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 デジタルスチルカメラ(携帯機器)
26 表示部(注意手段または警告手段)
28 コントロール部(切換制御手段または制限手段)
30 2次電池(充電蓄積手段)
32 変換部(充電蓄積手段)
34 燃料電池
36 外部電源回路(外部電源手段)
38 単三電池(外部電源手段)
40 アノード(燃料極)
42 カソード(空気極)
44 プロトン導電膜(電解質膜)
46 ポンプ(燃料供給手段)
48 燃料パック(主燃料収容部)
50 サブパック(補助燃料収容部)
52 燃料パックのセンサ(検出手段)
54 サブパックのセンサ(検出手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばメタノール直接型燃料電池(DMFC)などの燃料電池の燃料極に対して燃料を供給する燃料供給装置または携帯機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカメラには、太陽電池の起電力を2次電池に蓄え駆動する太陽電池ユニットを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、従来の燃料電池には、負荷変動によって所定量の燃料を燃料極に供給するものがある(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。さらに、従来の燃料電池には、水素ガスの圧力を調整する圧力調整器を備えるものがある(例えば、特許文献4および特許文献5参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−163965号公報
【特許文献2】
特開2000−106201公報
【特許文献3】
特開2002−49440公報
【特許文献4】
特開平10−64567号公報
【特許文献5】
特開平10−64572号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1の太陽電池ユニットは、太陽エネルギーを直接に電気エネルギーへ変換して2次電池に蓄積するタイプであるので、太陽が照射しない夜間などでは電気エネルギーを2次電池に充電することができない。そのため、特許文献1では、夜間などで2次電池に充電された電気エネルギーが全て消費(完全放電)されると、カメラを使用することができなくなる。従って、特許文献1に係るカメラでは、夜間などにおいて、長時間の使用が困難であった。
【0005】
一方、近年では、燃料と空気中の酸素とを電気化学反応させて生じた化学エネルギーを直接に電気エネルギーへ変換することにより、定常的に発電を続けることができる燃料電池が提案されている。ここで、カメラなどの携帯機器の高容量電源として注目されているのが、固定高分子型燃料電池(PEFC)である。
【0006】
固定高分子型燃料電池の中でも、水が混合されたメタノール水(燃料)を直接に燃料極へ供給するメタノール直接型燃料電池(DMFC)は、メタノール水から水素を作る改質器または二酸化炭素濃度制御用の反応器などの周辺補助機器が不要となるので、小型化に適している。そして、上記燃料電池を携帯機器であるカメラまたはノート型パーソナル・コンピュータなどの電源として適用することが想定し得る。
【0007】
一方、携帯機器において、例えば燃料パックなどに収容された燃料のメタノール水が空になり、燃料電池の発電が完全に停止した後に、空になった燃料パックを新品の燃料パックに交換しても、必ずしも直ちに機器セットとして機能しないことが想定される。即ち、燃料パック内の燃料が空になった後に、新品の燃料パックを装着する場合、機器本体の起動復帰に手間を要すことになるので、使い勝手が悪くなる。
【0008】
また、燃料電池において発電を行うためには、例えば燃料パックに収容された燃料を燃料極に供給する必要がある。しかし、燃料はメタノール水などの液体であるので、たとえば携帯機器などの使用方向によっては燃料タンク中の燃料の残容量を正確に把握することが困難であり、そして携帯機器を燃料の計測が正確にできる正位置とした場合突然に燃料が少ないことが検出されるという事態も考えられる。そして、突然に燃料が少ないと警告されても、現在のインフラにおいては燃料を迅速に入手できないことも想定される。
【0009】
なお、特許文献2乃至特許文献5では、負荷変動によって所定量の燃料を燃料極に供給する構造または圧力調整器が開示されているが、予備燃料機構などがないので、上述したように燃料タンク中の燃料が突然に空になるおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、上記事実を考慮して、燃料の補給時期を高精度に把握し得る燃料供給装置または携帯機器を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の燃料供給装置では、燃料極に供給される燃料と空気極に供給される酸素とを電気化学反応させて生じた化学エネルギーを、直接に電気エネルギーへ変換する燃料電池の前記燃料極に燃料を供給する燃料供給装置であって、燃料を収容する主燃料収容部と、燃料を収容する補助燃料収容部と、前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部がそれぞれ別に接続され、かつ燃料を前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部間で流通可能にすると共に、前記主燃料収容部内の燃料または前記補助燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給する燃料供給手段と、を備える。
【0012】
請求項1記載の燃料供給装置においては、主燃料収容部のほかに、補助燃料収容部を設け、かつ主燃料収容部および補助燃料収容部をそれぞれ別に接続した燃料供給手段によって燃料を主燃料収容部および補助燃料収容部間で流通させると共に、主燃料収容部内の燃料または補助燃料収容部内の燃料を燃料電池の燃料極に供給させる構成としたので、たとえば補助燃料収容部内に燃料が備蓄されている場合には、主燃料収容部内の燃料が空になっても、補助燃料収容部内の燃料を燃料電池の燃料極に供給できる。
【0013】
請求項1記載の燃料供給装置によれば、主燃料収容部内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。また、請求項1記載の燃料供給装置によれば、補助燃料収容部内に備蓄した燃料は燃料電池に供給できるので、バックアップ用の燃料容量が増大すると共に、燃料の入手に余裕が生じる。
【0014】
即ち、請求項1記載の燃料供給装置によれば、燃料供給手段が主燃料収容部および補助燃料収容部に対してそれぞれ別に接続したので、たとえ主燃料収容部内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。
【0015】
請求項2に係る発明では、請求項1記載の燃料供給装置において、前記補助燃料収容部内の燃料が所定レベル以上の場合には前記主燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御し、かつ前記補助燃料収容部内の燃料が所定レベル以下の場合には前記主燃料収容部内の燃料を前記補助燃料収容部に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御すると共に、前記主燃料収容部内の燃料が空の場合には前記補助燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御する切換制御手段を設ける。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、切換手段が補助燃料収容部内に燃料を備蓄した後に、主燃料収容部内の燃料を優先的に使用するように燃料供給手段の切換えを制御するので、主燃料収容部内の燃料が空になっても、備蓄している補助燃料収容部内の燃料が空になる前に、ユーザに早期に燃料補充たとえば空になった燃料パックを新品の燃料パックに交換するように促すことができる。
【0017】
また、請求項3に係る発明では、請求項1記載の燃料供給装置において、前記主燃料収容部は前記燃料供給手段に対して着脱可能に配置され、前記補助燃料収容部は前記燃料供給手段に固定されているので、主燃料収容部たとえば燃料パック内の燃料が空になった場合には新品の燃料パックを空になった燃料パックと交換でき、燃料の補充が迅速に行える。
【0018】
請求項4に係る発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の燃料供給装置を携帯機器に設けるので、使い勝手が向上する。なお、上記携帯機器は、銀塩フィルムカメラ,デジタルカメラ,携帯電話,ノート型パーソナル・コンピュータ,PDA(Personal Digital Assistance)などを含む概念である。
【0019】
また、請求項5に係る発明では、請求項4記載の携帯機器において、前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部の燃料の残容量に基づき燃料の補充を注意または警告するので、ユーザはたとえば燃料パックの交換時期を的確に認識できる。さらに、請求項6に係る発明では、請求項4または5記載の携帯機器において、前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部の燃料の残容量に基づき機器動作を制限するので、省電力化が図られ、たとえば燃料パックが交換されるまで延長される。即ち、請求項6に係る発明よれば、電力消費を最小限にできるので、早期のシステムダウンを防止できる。
【0020】
なお、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の燃料供給装置に対し、前記燃料電池からの電気エネルギーを蓄積可能にすると共に、蓄積された電気エネルギー基づいて機器動作を可能とした充電蓄積手段を設けるようにしても良い。
【0021】
燃料電池は、燃料と空気中の酸素とを電気化学反応させて電気エネルギーを発生させるものであるので、携帯機器の起動時の応答が十分に速いとはいえない。即ち、燃料電池は、起動または停止を繰り返す携帯機器での使用よりも、安定的に使い続ける装置での使用に適している。つまり、燃料電池は、応答が十分に速いとはいえないので、起動または停止を繰り返す携帯機器の電源としては適さない。
【0022】
しかし、上記充電蓄積手段として2次電池またはコンデンサなどを設ければ、燃料電池で発電された電気エネルギーが蓄積されるので、起動または停止を繰り返す携帯機器にも対応できる。即ち、燃料電池を直接にCPU,モータなどの電子部品に接続せず、2次電池などの充電蓄積手段に電気エネルギーを蓄えかつ電子部品を駆動させる構成にすれば、起動または停止を繰り返す携帯機器の電源にも十分に対応できる。なお、たとえば燃料切れなどによって燃料電池での電気エネルギーの発生が停止した場合にも、充電蓄積手段に蓄えられた電気エネルギーに基づき、機器動作が可能となる。
【0023】
また、上記充電蓄積手段に接続可能に配置され、前記燃料電池での電気エネルギーの発生が停止し、さらに前記充電蓄積手段に蓄積された電気エネルギーがない場合には前記充電蓄積手段に対して電気エネルギーを供給する外部電源手段を設けるようにすれば、外部電源手段が充電蓄積手段に対して電気エネルギーを供給する起動電力源となるので、たとえば燃料パック内の燃料を完全に使い切り、燃料パック内の燃料が空になった場合に、たとえば空になった燃料パックを新品の燃料パックに交換した後の燃料電池への燃料供給動作などを復帰させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4に基づいて、本発明の実施形態に係る燃料供給装置または携帯機器について説明する。なお、本実施形態では、携帯機器をデジタルスチルカメラとした例であり、燃料電池をメタノール直接型燃料電池(DMFC)とした例である。また、図1は本実施形態に係る燃料電池を装着したデジタルスチルカメラのブロック図、図2は図1に示すメタノール直接型燃料電池の概略を示す図、図3は図1に示すポンプにおける燃料の流れを説明するための図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係るデジタルスチルカメラ(以下、単に「カメラ」という)10では、操作部12に配置されたレリーズスイッチが操作されると、シャッタ14が開き、レンズ16から入射された光はCCD18で結像し、光学データは電気的な画像データに変換される。この画像データは、画像処理部20へ送られ画像処理される。そして、画像処理部20で処理された画像データは、フラッシユメモリなどで構成される記録部22に保存されると共に、バックライト24を備える表示部(LCD)26に表示される。
【0026】
カメラ10を構成する各部は、切換制御手段または制限手段であるコントロール部28によって制御される。コントロール部28には2次電池30が接続されており、カメラ10を構成する各部は2次電池30にバッファされた電気エネルギーで作動される。なお、本実施形態では、充電蓄積手段の一部を構成する2次電池30を、たとえばコンデンサなどとしても良い。
【0027】
そして、2次電池30にバッファされた電気エネルギーが不足すると、コントロール部28は、コンバータなどで構成される変換部32を作動させ、メタノール直接型燃料電池(以下、単に「燃料電池」という)34の発電を行わせる。燃料電池34から電気エネルギーが供給されて2次電池30の充電が完了すると、コントロール部28は、変換部32の作動を停止させ、燃料電池34の発電を停止させる。
【0028】
充電蓄積手段の一部を構成する変換部32には、外部電源手段である外部電源回路36が接続されており、外部電源回路36の接続部には外部電源である例えば一次電池としての単三電池38が接続可能となっている。なお、外部電源回路36の接続部には、一次電池の他に、たとえば商業電源を供給するためのACアダプタを接続可能としても良い。
【0029】
ここで、図2に基づき、燃料電池34の構成について概説する。燃料電池34は、燃料であるメタノール水(CH3OH+H2O)を直接にアノード(燃料極)40に供給し、かつ空気中の酸素(O2)をカソード(空気極)42に供給することによって電力を得るタイプである。燃料極40には触媒(Pt/Ru)が含まれており、空気極42には触媒(Pt)が含まれている。燃料極40および空気極42との間には、電解質膜としてのプロトン導電膜44が、真中に挟まれた状態で配置されている。
【0030】
そして、メタノール水(CH3OH+H2O)は、燃料極40での触媒反応により、水素イオン(H−),電子(e−),二酸化炭素(CO2)に分解される。上記水素イオン(H−)はプロトン導電膜44を通過して空気極42に移動するが、上記電子(e−)はプロトン導電膜36を通過できず燃料極40および空気極42の端子間に流れる。
【0031】
即ち、燃料極40での触媒反応によって電子(e−)が発生すると、上記端子間に電流が発生し、発電される。また、プロトン導電膜36を透過した上記水素イオン(H−)などが空気極22中の酸素(O2)で触媒燃焼されると、水(H2O)が生成される。
【0032】
なお、図1に示す燃料電池34には、燃料極40(図2参照)側に燃料を収容する図示しない燃料室が形成されていると共に、空気極42(図2参照)側に空気を収容する図示しない空気室が形成されている。また、燃料室の入口には燃料を燃料室に供給させるためのパイプが連結されていると共に、燃料室の出口には二酸化炭素を外部に排出させるフィルタが配置されている。さらに、空気室の入口および出口には、フィルタがそれぞれ配置されている。
【0033】
燃料電池34の燃料室に連結されたパイプは、燃料供給手段のポンプ46に連結されている。ポンプ46には、主燃料収容部である燃料パック48および補助燃料収容部であるサブパック50がそれぞれ別に連結可能となっている。燃料パック48はポンプ46に対して着脱可能となっており、サブパック50はポンプ46に対して取外しできないように固定されている。
【0034】
図3に示すように、ポンプ46は、いわゆる3方向弁(図示省略)を備え、燃料パック48内の燃料を燃料電池34またはサブパック50にそれぞれ送液可能としており、かつサブパック50内の燃料を燃料電池34に送液可能としている。なお、本実施形態は、サブパック50内の燃料を燃料パック48に送液できるように、ポンプ46を設定変更しても良い。
【0035】
カメラ10には、燃料パック48内の燃料およびサブパック50内の燃料が、所定レベル以下か否かを検出する検出手段のセンサ52および54がそれぞれ配置されている。そして、センサ52,54およびポンプ46はコントロール部28に接続され、コントロール部28はセンサ52,54の検出信号に基づいてポンプ46の3方向弁を制御する。
【0036】
また、センサ52は、燃料パック48がポンプ46に装着されているかを検出すると共に、燃料パック48内の燃料が空であるかを検出できるように設定されている。さらに、コントロール部28は、2次電池30の電圧値などを検出することにより、2次電池30に所定レベル以上の充電容量があるかを判断し得るように設定されている。
【0037】
引続き、図1および図3に基づき、カメラ10に配置された燃料供給装置の作用について説明する。まず、新品の燃料パック48の図示しないキャップを外し、満タンの燃料が収容された燃料パック48をポンプ46の図示しない接続部に接続する。即ち、燃料パック48は、カメラ10の図示しない装填部に装填することにより、ポンプ46に接続される。
【0038】
燃料パック48の装填がセンサ52で検出されると、コントロール部28は、サブパック50内の燃料が所定レベル以下か否かを検出するセンサ54の検出信号に基づき、ポンプ46の弁方向(燃料の送液方向)を制御する。また、コントロール部28は、2次電池30の電圧値などを検出することにより、2次電池30に所定レベル以上の充電容量があるかを判断する。
【0039】
そして、サブパック50内の燃料残容量が所定レベル以上であれば、コントロール部28はポンプ46を制御し、燃料パック48内の燃料を燃料電池34の燃料室に供給させる。また、2次電池30の充電容量が所定レベル以下であれば、コントロール部28は変換部32を制御し、図2で説明したように燃料電池34で発生した電気エネルギーを変換部32で受け、所定電圧レベルに変換させた後に、2次電池30に充電させる。2次電池30での充電が完了すると、コントロール部28は変換部32の動作を停止させ、燃料電池34での発電を停止させる。
【0040】
次に、表1に基づき、エネルギー残容量と動作モードの関係を説明する。動作モードにはモード0〜6があり、パック48,50の燃料残容量および2次電池30の充電容量によって分類されている。以下、表1に基づき、エネルギー残容量と動作モードの関係について説明する。
【0041】
【表1】
【0042】
モード0は、パック48,50内の燃料残容量および2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードであり、燃料パック48内の燃料を燃料電池34の燃料室に供給する。モード1は、燃料パック48内の燃料が空であると共に、サブパック50内の燃料残容量および2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードであり、サブパック50内の燃料を燃料電池34の燃料室に供給する。
【0043】
モード2は、サブパック50内の燃料が空であると共に、燃料パック48内の燃料残容量および2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードであり、燃料パック48内の燃料をサブパック50に送液する。モード3は、パック48および50内の燃料が空であると共に、2次電池30の充電容量が所定レベル以上のモードである。そして、モード3は、2次電池30がカメラ10の電源となっており、燃料補給待ちすなわち新品の燃料パック48の交換待ち状態である。
【0044】
モード4〜6は、2次電池30の充電容量が所定レベル以下(充電容量がない完全放電)のモードである。本実施形態では、2次電池30が燃料電池34へ燃料を供給するポンプ46を、駆動させる構成となっているので、2次電池30が完全放電してしまうと、カメラ10が独力で動作を開始することが困難となる。
【0045】
即ち、モード4〜6は、外部電源である単三電池38が外部電源回路36に接続されるのを待つモードであり、単三電池38が外部電源回路36に接続されると、単三電池38の電気エネルギーによってカメラ10が復帰する。即ち、単三電池38が外部電源回路36に接続されると、単三電池38の電気エネルギーが変換部32によって2次電池30の電圧に変換され充電されるので、2次電池30がポンプ46の動作トリガとしてポンプ46の動作を開始させる。
【0046】
2次電池30に最低限レベルのエネルギーが充電された場合、モード5のように、燃料パック48がポンプ46に装填されていると、2次電池30がポンプ46を駆動し、燃料電池34を発電させる。さらに、2次電池30に所定レベル以上のエネルギーが充電されると、モード2で説明したように、燃料パック48内の燃料をサブパック50に送液(補給)する。そのため、モード0へ移行するので、通常動作の実行モードとなる。
【0047】
なお、2次電池30がポンプ46を駆動し、燃料電池34を発電させた後は、単三電池38を外部電源回路36から取り外すことができる。 ここで、モード4は、上述したように2次電池30が完全放電された状態であり、パック48および50内の燃料が空である。
【0048】
モード5および6は、パック48および50が空である状態(モード4)から燃料が補給されるモードである。即ち、モード5は、2次電池30が完全放電された状態であり、燃料パック48内の燃料残容量が所定レベル以上であると共に、サブパック50内の燃料が空である。また、モード6は、2次電池30が完全放電された状態であり、パック48,50内の燃料残容量が所定レベル以上である。
【0049】
引続き、図4のフローチャートに基づき、上記各モードの移行処理について説明する。なお、図4は、例えばユーザによってカメラ10の操作部12に配置された電源スイッチ(図示省略)がオンされた際に、コントロール部28によって実行される。また、本フローチャートはセンサ52または54等からの検出信号が入力される毎に処理されるプログラムであり、このプログラムはコントロール部28の図示しないROMなどの記憶手段に予め記憶されている。
【0050】
ステップ100では燃料パック48が装填されているか否かをセンサ52の検出信号に基づいて判断し、ステップ100が肯定の場合(燃料パック48が装填されている場合)にはステップ102で燃料パック48内の燃料残量を確認する。なお、ステップ100の処理は、燃料パック48が装填されるまで続けられる。
【0051】
ステップ104では燃料パック48内の燃料残量が所定レベル以下であるか否かをセンサ52の検出信号に基づいて判断し、ステップ104が肯定の場合(残量が所定レベル以下である場合)にはステップ106で注意手段としての表示部26に「注意」に関するメッセージを表示させる。
【0052】
たとえば、上記メッセージは、燃料パック48内の燃料残量が所定レベル以下となっているので、「燃料パック残量少」などの内容である。そして、ユーザは、表示部26に表示された「注意」に関するメッセージを、視認することによって燃料パック48の交換時期が確認できる。
【0053】
ステップ104が否定の場合(残量が所定レベル以上である場合)には、ステップ108において、燃料パック48内の燃料が空か否かを、センサ52の検出信号に基づいて判断する。ステップ108が肯定の場合(燃料パック48内の燃料が空ではない場合)には、ステップ112において、サブパック50内の燃料が空か否かを、センサ54の検出信号に基づいて判断する。
【0054】
ステップ112が肯定の場合(サブパック50内の燃料が空である場合)には、ステップ114において、ポンプ46をサブパック50側に切換え、燃料パック48内の燃料をサブパック50内に送液させる。
【0055】
なお、ステップ112が肯定の場合において、2次電池30に所定以上の充電容量がある場合には、上述したモード2となっている。モード2は、上述したモード3からの復帰時に通過するモードである。ステップ116では、サブパック50が満タンになったか否かを、センサ54の検出信号に基づいて判断する。なお、ステップ116の処理は、サブパック50が満タンになるまで続けられる。
【0056】
ステップ116が肯定の場合(サブパック50が満タンになった場合)には、ステップ118において、ポンプ46の燃料供給を燃料パック48から燃料電池34の燃料室側へ切換える。そして、ステップ112が否定の場合(サブパック50内の燃料が空ではない場合)およびステップ118の処理後は「モード0」となる。ここで、モード0は、カメラ10の全動作(表1に示す通常動作)が実行可能な通常モードである。
【0057】
一方、ステップ108が肯定の場合(燃料パック48内の燃料が空である場合)にはステップ110で警告手段としての表示部26に「警告」に関するメッセージを表示させる。たとえば、上記メッセージは、燃料パック48内の燃料が空となっているので、「燃料パックの残量なし」などの内容である。
【0058】
そして、ユーザは、表示部26に表示された「警告」に関するメッセージを、視認することによって燃料パック48を迅速に交換する必要があることを認識する。なお、本実施形態では、注意手段または警告手段をたとえば音声出力装置または警告ランプなどに変更しても良い。
【0059】
ここで、本実施形態においては、後述するように、サブパック50内に燃料が備蓄されていれば(モード1の状態)、上記警告後であっても、カメラ10を暫くの間(サブパック50内に燃料が空になるまでの間、あるいは2次電池30が完全放電されるまでの間)は使用できるので、燃料の入手に余裕が生じる。
【0060】
ステップ120では、サブパック50内の燃料が空か否かを、センサ54の検出信号に基づいて判断する。ステップ120が否定の場合(サブパック50内に燃料が収容されている場合)には、ステップ122において、ポンプ46の燃料供給をサブパック50から燃料電池34の燃料室側へ切換える。
【0061】
そして、ステップ122の処理後は「モード1」となる。即ち、モード1は、燃料パック48内の燃料を使い切り、サブパック50内の燃料を燃料電池34に供給しているモードである。モード1においても、ステップ110のように、表示部26に「警告」に関するメッセージを表示させても良い。たとえば、上記メッセージは、サブパック50が燃料電池34に対し燃料を供給しているので、「サブパック使用中」などの内容である。
【0062】
さらに、サブパック50内の燃料が所定レベル以上であれば、モード1に切換った際に、ステップ106のように、表示部26に「注意」に関するメッセージを表示させても良い。たとえば、上記メッセージは、サブパック50が燃料電池34に対し燃料を供給し始めた段階であるので、「サブパック切換直後」などの内容である。
【0063】
また、サブパック50内の燃料が所定レベル以下になった段階において、ステップ110のように、表示部26に「警告」に関するメッセージを表示させても良い。たとえば、上記メッセージは、サブパック50内の燃料が少なくなっているので、「サブパック残量少」などの内容である。上記の場合には、表示部26に「注意」または「警告」が表示されるので、ユーザに新規な燃料パック48の交換を促すことができる。
【0064】
さらに、モード1では、表1に示すように、ユーザすなわちコントロール部28からのコマンドを拒否し、電力消費を最小限にする「スリープ」モードに移行させても良い。または、モード1では、表1に示すように、フラッシユ撮影禁止,動画撮影禁止などのカメラ動作に制限を設ける「動作モード制限」に移行させても良い。上記の場合には、スリープモードまたは動作モード制限に移行するので、ユーザに新規な燃料パック48の交換を強力に促すことができる。
【0065】
ステップ120が肯定の場合(サブパック50内の燃料が空である場合)には、ステップ124において、2次電池30に所定以上の充電容量があるか否かを判断する。ステップ124が肯定の場合(2次電池30に所定以上の充電容量がある場合)はモード3であり、ステップ124が否定の場合(2次電池30が完全放電している場合)はモード4である。
【0066】
ここで、モード3では、パック48および50内の燃料が空になり、2次電池30のみに電気エネルギーが蓄えられている状態ではあるが、表1に示すように燃料補給で動作復帰が可能である。モード3は、モード1よりも電源装置全体の残エネルギー容量が少ないので、さらに省電力化にする必要がある。
【0067】
即ち、モード3では、カメラ10がシステムダウンしないように、たとえば上記スリープモードおよび動作モード制限などを同時に行い、新規な燃料パック48に交換されるまでの時間的余裕を延長可能とする。また、2次電池30に所定以上の充電容量がある場合には、その充電容量をモニタ(検出)することにより、所定レベルまでは動作を許容し、所定レベル以下になった場合には上記動作モード制限などを行うようにしても良い。
【0068】
即ち、本実施形態においては、パック48および50内の燃料の残容量に基づき燃料の補充を注意または警告するので、ユーザは燃料パック48の交換時期を的確に認識できる。また、本実施形態においては、パック48および50内の燃料の残容量に基づき動作を制限するので、省電力化が図られ、燃料パック48が交換されるまで延長される。即ち、本実施形態よれば、電力消費を最小限にできるので、早期のシステムダウンを防止できる。
【0069】
上述したように、本実施形態においては、燃料パック48のほかに、サブパック50を設け、かつパック48および50をそれぞれ別に接続したポンプ46により、燃料パック48内の燃料またはサブパック50内の燃料を燃料電池34の燃料極40(図2参照)に供給させる構成としたので、サブパック50内に燃料が備蓄されている場合には、燃料パック48内の燃料が空になっても、サブパック50内の燃料を燃料電池34の燃料極40に供給できる。
【0070】
即ち、本実施形態においては、ポンプ46がサブパック50内に燃料を備蓄した後に、燃料パック48内の燃料を優先的に使用するようにポンプ46の切換えをコントロール部28が制御するので、燃料パック48内の燃料が空になっても、備蓄しているサブパック50内の燃料が空になる前に、ユーザに早期に燃料補充を促すことができる。
【0071】
従って、本実施形態によれば、ポンプ46が燃料パック48およびサブパック50に対してそれぞれ別に接続したので、たとえ燃料パック48内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池34の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。
【0072】
また、本実施形態によれば、燃料パック48内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。なお、本実施形態によれば、サブパック50内に備蓄した燃料は燃料電池34に供給できるので、バックアップ用の燃料容量が増大する。
【0073】
なお、本実施形態によれば、燃料パック48をポンプ46に対して着脱可能に配置したので、燃料パック48内の燃料が空になった場合には新品の燃料パックを空になった燃料パックと交換でき、燃料の補充が迅速に行える。また、本実施形態によれば、上記燃料供給装置をカメラ10に設けたので、使い勝手が向上する。
【0074】
また、本実施形態においては、燃料電池34からの電気エネルギーを蓄積する2次電池30を設けると共に、この2次電池30に蓄積された電気エネルギーに基づいてカメラ10を駆動可能としたので、燃料電池34を起動または停止を繰り返すカメラ10にも対応できる。なお、本実施形態によれば、たとえば燃料切れなどによって燃料電池34での電気エネルギーの発生が停止した場合にも、2次電池30に蓄えられた電気エネルギーに基づき、機器動作が可能となる。
【0075】
さらに、本実施形態においては、変換部32に接続可能に配置され、燃料電池34での電気エネルギーの発生が停止し、さらに2次電池30に蓄積された電気エネルギーがない場合にも、変換部32に対して電気エネルギーを供給する外部電源手段の外部電源回路36および単三電池38を設けたので、外部電源回路36および単三電池38が変換部32に対して電気エネルギーを供給する起動電力源となる。
【0076】
即ち、本実施形態によれば、パック48および50内の燃料を完全に使い切り、パック48および50内の燃料が空になった場合でも、空になった燃料パック48を新品の燃料パック48に交換した後の燃料電池34への燃料供給動作などを復帰させることができる。
【0077】
なお、本実施形態に係る燃料電池34の構成などは任意に変更でき、または図1に示す燃料供給装置および電源装置を含むカメラ10の構成なども任意に変更できる。例えば、本実施形態では主燃料収容部の燃料パック48を着脱可能とした例であるが、本発明に係る請求項1または2では主燃料収容部内の燃料が空になった場合に燃料を主燃料収容部内に再充填(補充)できるように構成しても良い。
【0078】
また、本実施形態では補助燃料収容部のサブパック50を燃料供給手段のポンプ46に対し取外しできないよう固定した例であるが、本発明に係る請求項1または2では補助燃料収容部を燃料供給手段に対して着脱可能としても良い。さらに、本実施形態では補助燃料収容部のサブパック50が1個である例を示したが、本発明では補助燃料収容部を複数個設けるようにしても良い。
【0079】
上記実施形態に係る携帯機器は、デジタルスチルカメラの他に、例えば銀塩フィルムカメラ,デジタルビデオカメラ,携帯電話,パーソナル・コンピュータ,PDA(Personal Digital Assistance)などであっても、同様に適用できる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、主燃料収容部内の燃料が空になったことを認識することで、燃料の補給時期を高精度に把握できるので、燃料切れに対する不安が解消され、使い勝手が向上する。また、本発明によれば、補助燃料収容部内に備蓄した燃料は燃料電池に供給できるので、バックアップ用の燃料容量が増大すると共に、燃料の入手に余裕が生じる。
【0081】
即ち、本発明によれば、燃料供給手段が主燃料収容部および補助燃料収容部に対してそれぞれ別に接続したので、たとえ主燃料収容部内の燃料が空になった場合でも、直ちに燃料電池の発電が停止しないので、燃料の入手に猶予ができ、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るメタノール直接型燃料電池を装着したデジタルスチルカメラのブロック図である。
【図2】図1に示すメタノール直接型燃料電池の概略を示す図である。
【図3】図1に示すポンプにおける燃料の流れを説明するための図である。
【図4】図1に示すデジタルスチルカメラの各モードへ移行する処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 デジタルスチルカメラ(携帯機器)
26 表示部(注意手段または警告手段)
28 コントロール部(切換制御手段または制限手段)
30 2次電池(充電蓄積手段)
32 変換部(充電蓄積手段)
34 燃料電池
36 外部電源回路(外部電源手段)
38 単三電池(外部電源手段)
40 アノード(燃料極)
42 カソード(空気極)
44 プロトン導電膜(電解質膜)
46 ポンプ(燃料供給手段)
48 燃料パック(主燃料収容部)
50 サブパック(補助燃料収容部)
52 燃料パックのセンサ(検出手段)
54 サブパックのセンサ(検出手段)
Claims (6)
- 燃料極に供給される燃料と空気極に供給される酸素とを電気化学反応させて生じた化学エネルギーを、直接に電気エネルギーへ変換する燃料電池の前記燃料極に燃料を供給する燃料供給装置であって、
燃料を収容する主燃料収容部と、
燃料を収容する補助燃料収容部と、
前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部がそれぞれ別に接続され、かつ燃料を前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部間で流通可能にすると共に、前記主燃料収容部内の燃料または前記補助燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給する燃料供給手段と、
を備える燃料供給装置。 - 前記補助燃料収容部内の燃料が所定レベル以上の場合には前記主燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御し、かつ前記補助燃料収容部内の燃料が所定レベル以下の場合には前記主燃料収容部内の燃料を前記補助燃料収容部に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御すると共に、前記主燃料収容部内の燃料が空の場合には前記補助燃料収容部内の燃料を前記燃料極に供給するように前記燃料供給手段の切換えを制御する切換制御手段を設ける請求項1記載の燃料供給装置。
- 前記主燃料収容部は前記燃料供給手段に対して着脱可能に配置され、前記補助燃料収容部は前記燃料供給手段に固定されている請求項1または2に記載の燃料供給装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の燃料供給装置を備える携帯機器。
- 前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部の燃料の残容量に基づき、燃料の補充を注意または警告する請求項4に記載の携帯機器。
- 前記主燃料収容部および前記補助燃料収容部の燃料の残容量に基づき、機器動作を制限する請求項4または5に記載の携帯機器。
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Cited By (1)
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JP2007080731A (ja) * | 2005-09-15 | 2007-03-29 | Nec Personal Products Co Ltd | 燃料供給システムおよび燃料供給方法 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002282545A patent/JP2004139742A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2007080731A (ja) * | 2005-09-15 | 2007-03-29 | Nec Personal Products Co Ltd | 燃料供給システムおよび燃料供給方法 |
JP4632910B2 (ja) * | 2005-09-15 | 2011-02-16 | Necパーソナルプロダクツ株式会社 | 燃料供給システムおよび燃料供給方法 |
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