JP2004139636A - 情報記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可搬性を有すると共に、使用環境による内部への影響を抑制して安定した記録再生動作を可能にし、様々な環境で使用可能な情報記憶装置を提供する。
【解決手段】機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体1が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジ2,7とを備え、このカートリッジ2,7に機器本体に接続されるコネクタ7が設けられ、カートリッジ2,7、コネクタ7、並びにカートリッジ2,7の内部の構成部品3,4,5,6に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている情報記憶装置を構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体1が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジ2,7とを備え、このカートリッジ2,7に機器本体に接続されるコネクタ7が設けられ、カートリッジ2,7、コネクタ7、並びにカートリッジ2,7の内部の構成部品3,4,5,6に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている情報記憶装置を構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる外付け型の情報記憶装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクドライブ装置(HDD)は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、データやプログラムの書き込みや、記録されているデータの等の読み込みが行われる記録再生装置として重要な役割を果たしている。
【0003】
このハードディスクドライブ装置は、情報処理装置の本体ばかりでなく、情報処理装置本体に対して着脱自在とされる、いわゆるデタッチャブルの拡張機器である小型で外付け型の情報記憶装置としての用途も検討されている。
【0004】
このような外付け型の情報記録装置は、必要に応じて情報処理装置本体から取り外され、それ自体携帯されたり、情報処理装置本体とは別個に保管されたりする。さらには、携帯用機器に装着されて使用される。
そして、外付け型の情報記憶装置として、可搬性をもたせるように、ハードディスク駆動機構部を筺体に収納してカートリッジ形式とした構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで、従来の一般的なハードディスクドライブ装置の要部の概略構成図(内部を示す図)を図9に示す。この図9は、ハードディスクドライブ装置の要部として、ハードディスク駆動機構部及びこれを収納した筐体(ハウジング)を示している。
図9に示すように、シャーシ41とこれに被せられるトップカバー42とにより、ディスク部43・ヘッド部44・並びにヘッド駆動部(図示せず)から成るハードディスク駆動機構部を収納する筐体即ちハウジング51を構成する。
このハウジング51(41,42)の外側には、HDDの動作及び信号の制御と処理を司るプリント基板(PCB)45が取り付けられている。
【0006】
また、ディスク部44及びその周辺の詳細を図10に示す。記録媒体として複数枚のディスク34が、これらディスク34を回転させるスピンドルモータ30に搭載されている。このスピンドルモータ30の回転により、その構成部品であるロータ35の外周に取り付けられたディスク34が回転する構成となっている。
【0007】
一方、ヘッド部44は、ディスク34の上下の主面にそれぞれアクセスする2本のアーム31、記録用磁気ヘッド及び再生用磁気ヘッドが設けられアーム31の先端に取り付けられているヘッドスライダ(図示せず)等を有して成り、アーム31の先端部が各ディスク34に差し込まれるように配置される。
そして、アーム31の先端のヘッドスライダが各ディスク34の必要部分にアクセスし、プリント基板45における処理を介してディスク34に対して情報の取り出しもしくは情報の書き込みが行われる。
【0008】
そして、ディスク34に対する情報の記録・再生は、いわゆるフライングヘッド技術を用いて行われる。このフライングヘッド技術は、情報の記録された、若しくは情報が記録されるべきディスク34の表面上を、ヘッドスライダが10〜20nm程度の極めて低い浮上量を維持して浮上するものである。これにより、ディスク34の盤面に接触することなく、情報の読み書きを行うことができる。この技術は、ディスク34の回転により発生するディスク34表面の空気流と、この空気流により発生するディスク34表面−ヘッドスライダ表面間の動圧により実現できるものである。
【0009】
さらに、ハウジング51の内部は、トップカバー42上面の通気孔9を介して外気とつながっている。この通気孔9の内側に取り付けられた呼吸フィルタ10によって、埃等が内部へ侵入することを防ぎ、内部の精密機械要素即ちディスク部43やヘッド部44等を保護すると共に、外圧とハウジング51内の気圧とが同じになるように調整をしている。これにより、周囲の気圧の変化に応じて、ハウジング51内の気圧も変化する。
従来のハードディスクドライブ装置は、このような開放型の構成とするのが一般的であった。
【0010】
そして、従来の据え置き型のハードディスクドライブ装置、並びに従来の外付け型のハードディスクドライブ装置は、上述した開放型の構造を採っており、密閉を考慮していないコンピュータ装置の内部か、特に密閉を考慮しない筺体に固定して使用するのが普通であった。
【0011】
これは、外付け型のハードディスクドライブ装置も、従来は据え置き型の装置が使用される環境と大きく異なっていなかったため、ハードディスク駆動機構部が収容された筐体(カートリッジ等)に、格別な気密性を要求されなかったためである。ただし、室内の使用であり、動作環境に大きな変化がないことが前提となっていた。
【0012】
【特許文献1】
特公平6−66111号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特に、近年ノートパソコン等の可搬型のコンピュータ装置が著しく進歩したことに伴って、情報記憶装置もパソコンだけではなく、更に他の機器(カメラ等)に対して外部に追加する外部記憶装置として使用されるようにもなり、屋外で使用される機会が増加してきている。
従って、外付け型の情報記憶装置においては、従来の据え置き型のハードディスクドライブ装置と比較して、より厳しい使用環境にも耐えうる条件が要求される。
【0014】
しかしながら、前述した開放型の構造を外付け型の情報記憶装置に適用すると、使用環境によっては、動作に支障を来す問題や損傷の問題等が発生することがある。
外付け型の情報記憶装置の場合、交換や搬送が可能であることから、上述のように、室内だけでなく、屋外を含む様々な場所に携帯される可能性があり、上述した問題が顕著になることも考えられる。
以下、開放型の構造において、使用環境によって発生する問題を詳述する。
【0015】
まず、開放型の構造では、外気圧によって、ディスクに対するデータの読み出しや書き込みに支障を来す場合がある。
前述したように、ハードディスクドライブ装置では、フライングヘッド技術によりディスクに対してデータの読み出し及び書き込みを行っているが、筺体の密閉性が低い開放型の構造では、気圧変化に応じて磁気ヘッドの浮上量を正常な状態に保持することが困難であり、データ等の読み出し及び書き込みに支障を来す場合がある。
【0016】
例えば情報記憶装置を富士山、アルプスやエベレストといった高地に携帯して使用した場合、これらの場所では大気の圧力が平地と比較して減少し、標高3000mでは約0.7気圧、5000mでは約0.5気圧、8000mでは約0.3気圧になる。これに伴いディスク表面の空気流による動圧も低下する。これにより、磁気ヘッドの浮上量が平地における浮上量よりも小さくなって、記録・再生ができない、さらには不完全な浮上が原因でディスクの表面に磁気ヘッドが接触してしまう不具合が生じることもある。このため、データを破壊してしまうことや、場合によっては磁気ヘッドやディスクが破損してしまうことが起こりうる。
従来は、高地での取り扱いを禁止することにより対応していた。
【0017】
また、開放型の構造では、外部から侵入したガスやイオンがディスク表面に付着することによりディスクに対するデータの読み出しや書き込みができなくなる不具合が発生するおそれがある。
【0018】
例えばH2 S、NO2 、Cl2 並びにSO2 といった金属腐食性ガスは、水分が存在するとイオン化して酸を発生し、イオンコンタミ源となる。これらH2 S,NO2 ,Cl2 ,SO2 等のガスがディスクに付着すると、ディスク表面が錆びたりしてデータが失われる場合もある。
さらに、ディスクが錆びた場合に限らず、Li,Na,K,Ca等のイオンが付着しただけでもデータの読み出しや書き込みに支障を来す場合もある。これは、磁気ヘッドの浮上量が、数十nmオーダーと非常に小さいことに起因しており、なるべく異物を入れない構造とすることが望ましい。
【0019】
また、ディスク表面に有機ガス(例えばエステル系、炭化水素系、シロキサン系、アミン系、アミド系、ブチルヒドロキシトルエン系)の分子が付着すると、反応等によりディスクとヘッドとのインターフェースに悪影響を及ぼすことがある。
これらの有機ガスは、揮発した有機溶剤や、ゴム、プラスチックを加熱した際に出る分解ガス等が発生源となる。
【0020】
上述した問題に対しては、ディスク及び磁気ヘッドが収納された筺体(ハウジング51等)に、図10に示したような呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)10を設けた構成を採用することが考えられる。
この構成では、呼吸フィルタを通過した空気だけがHDDの内部に入るようになっており、この呼吸フィルタにより、前述したように筺体の内部と外部とが等しい圧力となるように制御すると共に、イオン性ガスや有機ガスを捕捉する機能を有する。
そして、この呼吸フィルタの捕捉効果によって、情報記憶装置の外部からのコンタミも、情報記憶装置の構成部品(カートリッジや緩衝材、その他)からの有機ガス、イオン等のコンタミも、筐体の内部への侵入を抑制することができる。
【0021】
しかしながら、通常設けられている呼吸フィルタでは、主にオフィスや家庭内での使用が考慮されているだけであり、強力なガスろ過機構を有しているわけではないため、例えば温泉地に携帯して使用した場合には、硫黄成分を筐体の内部のハードディスク駆動機構部に侵入させてしまう可能性もある。
これは、従来情報記憶装置の使用が室内におけるパーソナルコンピュータや事務機器に限定されていたため、通常の室内環境基準のガスを充分に捕捉できる程度の能力のフィルタとなっているからである。
従って、前述したイオン性ガスや有機ガスの濃度が桁違いに高い環境においては、従来構成の呼吸フィルタでは短時間で飽和してしまい、フィルタの吸収能力を超えて捕捉できなくなったガスは、内部に侵入してディスク等に付着する。これにより、磁気ヘッドとディスクとのインターフェースに悪影響を及ぼすことになって、ヘッド浮上量の不安定化によるエラーの増加、ヘッドもしくはディスクの変質・腐食、ヘッドの破損等の原因になってしまう。また、プリント基板のパターン表面や、実装された電子部品を変質させてしまい、記録再生制御を誤動作させてしまうことも考えられる。
【0022】
イオン性ガスや有機ガスの濃度が高い環境としては、例えば海岸等の海水飛沫から発生する海塩微粒子が浮遊する環境や、火山地域や温泉地等のようにH2 S,SO2 ,Cl2 ,NO2 等のガスが大量に空気中に放出されている環境、自動車の排気ガスから放出されるSO2 ,NO2 ,NO3 の濃度の高い交通量の多い環境、通常の大気中の有機ガス濃度に比べて桁違いに濃度の高い特定の製造現場、並びに工業地帯等が想定される。
【0023】
さらに、開放型の構成では、例えば、持ち運びをする際に水辺で落下させしまい、水没させてしまったり、PCB(プリント基板)が水を被って絶縁破壊等が生じたりして、ハードディスクドライブ装置が破壊されて動作不良となることが考えられる。
【0024】
上述した問題の解決のために、本発明においては、可搬性を有すると共に、使用環境による内部への影響を抑制して安定した記録再生動作を可能にし、様々な環境で使用可能な情報記憶装置を提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記憶装置は、機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体と、この内筐体が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジとを備え、このカートリッジに機器本体に接続されるコネクタが設けられ、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられているものである。
【0026】
上述の本発明の情報記憶装置の構成によれば、ハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジを備えたことにより、装置の外部からハードディスク駆動機構部に、イオン系物質、有機ガス、空気、水分が侵入しないようにすることができる。
これにより、カートリッジの内外で空気の出入がないため、高地等で使用した場合のように外部の気圧が低くなっても、内部の気圧は変化しないので、ヘッドスライダの浮上に影響することなく、ハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがない。また、有害なイオン性物質や有機ガス、並びに水分が、内部に浸入してハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがない。
さらに、本発明の情報記憶装置の構成によれば、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられていることにより、上述のように密閉されたカートリッジの内部において、有害なイオン性物質や有機ガスが発生して内部のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明は、機器本体に対して着脱自在とされる情報記憶装置であって、記録媒体及び該記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体と、この内筐体が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジとを備え、このカートリッジに機器本体に接続されるコネクタが設けられ、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている情報記憶装置である。
【0028】
また本発明は、上記情報記憶装置において、密閉性を有するカートリッジは、コネクタの金属端子が筐体に隙間なく形成されて密閉性を有するコネクタ部と、他の筐体とが、これらコネクタ部及び他の筐体との間に設けられた密閉部材を挟んではめ合わせされて構成され、この密閉部材に有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている構成とする。
【0029】
また本発明は、上記情報記憶装置において、内筐体に呼吸フィルタが設けられ、この呼吸フィルタはイオン性物質または有機系ガスの侵入を抑制するフィルタを有する構成とする。
【0030】
また本発明は、上記情報記憶装置において、内筐体とカートリッジとの間に緩衝材が設けられ、この緩衝材に有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている構成とする。
【0031】
また本発明は、上記情報記憶装置において、コネクタ部は、他の筐体と嵌め合わされる先端部分に、外壁と内壁とを有し、これら外壁及び内壁の間に設けられた溝に密閉部材が挟みこまれている構成とする。
【0032】
また本発明は、上記情報記憶装置において、密閉部材がゴム系材料からなり、上記密閉部材の幅に対して上記溝の幅が15%以上広く形成されている構成とする。
【0033】
また本発明は、上記情報記憶装置において、装置全体の比重が1.0以下とされている構成とする。
【0034】
図1は、本発明の一実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図(分解斜視図)を図1に示す。
この情報記憶装置は、ハードディスク駆動機構部が内部に収容された筐体(内筐体)であるハードディスクドライブ1が、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7とにより、これらの内部に包み込まれて構成されている。そして、これらカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7により、外付け型の情報記憶装置のカートリッジ(外筐体)を形成している。
【0035】
そして、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7との間に、密閉部材としてパッキン4を挟み、ネジ8によりカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7を隙間が存在しないように固定することにより、完全密閉されたカートリッジを構成する。
【0036】
ハードディスクドライブ1の一側面には、内部のハードディスク駆動機構部に電気的に接続されると共に、外部との電気的接続がなされる電極端子1Tが多数形成された接続部1Cが設けられている。
外部コネクタ7の一主面にも、同様に、外部との電気的接続がなされる電極端子7Tが多数形成された接続部7Cが設けられている。
そして、外部コネクタ7の電極端子7Tからハードディスクドライブ1の電極端子1Tまでの間は、柔軟性を有するハーネス6と内部コネクタ5とを通じて電気的に接続される。
内部コネクタ5をハードディスクドライブ1の接続部1Cに差し込むことにより、電極端子1Tを通じて電気的接続がなされる。また、外部の機器本体に接続されたコネクタを外部コネクタ7の接続部7Cに差し込むことにより、電極端子7Tを通じて電気的接続がなされる。
尚、外部コネクタ7の電極端子7Tと内部コネクタ5の電極端子(図示せず)は1対1で設けられ、その間での電気的な変換等は行われない。
【0037】
カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7から成るカートリッジと、ハードディスクドライブ1との間には、間隙が存在する。この間隙には、カートリッジへの衝撃が直接ハードディスクドライブ1に伝わらないように、緩衝材3が設けられている。緩衝材3は、ハードディスクドライブ1の筺体の各角部をそれぞれ覆うように、四隅に合計4個設けられている。
【0038】
尚、間隙の寸法と緩衝材3の厚さとの関係は、互いに一致させるか、或いは間隙の寸法よりも厚い緩衝材3を圧縮して使用するか、のいずれかとすることが望ましい。そして、これら間隙の寸法及び緩衝材3の厚さは、カートリッジを所定の高さから落下させたときにカートリッジ内部に入っているハードディスクドライブ1にかかる加速度を低減できるように設計する。
例えば、緩衝材3としてゴム系の材料を使用する場合には、1mm以上の厚さが必要である。
【0039】
ハードディスクドライブ1の上面には、ブリーザーフィルタ通気孔9があり、気圧の変化や温度変化が発生するとこの通気孔9から空気が出入りする。
通気孔9の内部側には、図9の従来の構成と同様に、呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)が設けられる。
【0040】
外部コネクタ7は、カートリッジ外の装置、機器本体等と特定プロトコルに従ったデータの入出力を行うインターフェースの役割を有する。
外部コネクタ7の部品構成としては、カートリッジの蓋の形状を有する樹脂製部材に、金属端子7Tがインサート成形された構成を採用することができる。
そして、外部コネクタ7を作製する際には、金属端子7Tと樹脂との間に隙間が発生しないように、樹脂に充分な圧力をかけて成形を行い、端子部分の気密性を確保する。これにより、強度と気密性を共に得ることができる。
【0041】
また、カートリッジ筐体2は、密閉性を有するカートリッジの本体として使用できるように、圧力変化を受けても筺体の最大変形が0.5mm以下となるように、カートリッジ筐体2の肉厚を最小でも2mm以上とすることが望ましい。
【0042】
そして、外部コネクタ7は、カートリッジの蓋として使用することができるように、圧力変化を受けても大きな変形がないようにする必要がある。そのため、カートリッジ筐体2と同様に、外部コネクタ7の樹脂製部材の肉厚を最小でも2mm以上とすることが望ましい。
【0043】
パッキン4は、長方形の環状に形成されており、1気圧環境での気密性だけでなく、高所低圧環境でもカートリッジの気密性が確保できるように、Oリングのような弾力を有する一方で、平滑な表面を有することが望ましい。
【0044】
そして、カートリッジの組立の際には、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7の間にパッキン4を挿入し、ネジ8を締める。ネジ8を締めることにより、パッキン4が変形する。さらに、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7との隙間がなくなるまで締める。
【0045】
一方、パッキン4が圧力差で変形したり、位置がずれたりすると、密閉性が損なわれるおそれがある。これを防ぐために、カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7のうち、一方もしくは両方に溝(凹部)を設ける必要がある。
この溝(凹部)の内面は、パッキン4に圧力をかけて変形させるために、平面度と平滑度が共に要求される。
【0046】
ここで、図1に示す本実施の形態の情報記憶装置における、密閉構造即ちカートリッジ筐体2・パッキン4・外部コネクタ7の接合部の構造について、その具体的な形態を以下に示す。
【0047】
まず、ネジを用いた場合の密閉構造の形態を図2に示す。
図2に示すように、外部コネクタ7は、カートリッジ筐体2に対してそれぞれ外側と内側に挟むように設けられた外壁21及び内壁22、さらにパッキン4用の溝24が設けられている。
カートリッジ筐体2は、外部コネクタ7の外壁21に対応して、先端部23の外縁が後退して形成されている。これにより、外部コネクタ7と組み立てたときに、外縁の大きさが一致するので、カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7により直方体状のカートリッジを構成することができる。
また、外部コネクタ7及びカートリッジ筐体2には、それぞれネジ8が挿入される孔が形成されている。
パッキン4は、Oリングのように略円形の断面を有している。溝24の幅はパッキン4の直径よりも大きく、一方溝24の深さはパッキン4の直径よりも小さくなっている。
ネジ8としては、例えばタッピングネジを使用することができる。
【0048】
組立の際には、カートリッジ筐体2の先端部23が、外部コネクタ7の外壁21及び内壁22の間に挿入され、さらに外部コネクタ7の溝24内にあるパッキン4と平面で接して、パッキン4を変形させる。これにより、変形されたパッキン4が溝24内に埋め込まれて、カートリッジの密閉性を確保することができる。
【0049】
尚、図1はネジ8を四隅で使用した構成を示しているが、カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7の強度によっては、充分な密閉性を確保するためにネジの本数をさらに増やす必要も生じる。
例えばカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7が比較的柔らかい場合には、外部の圧力変化や外部からの押圧により変形して、ネジ8の設けられていない部分で隙間が空いてしまうおそれがあり、これを防止するためにネジ8を短い間隔で設ける必要が生じる。
【0050】
次に、ネジを使用しない場合の密閉構造の形態を図3に示す。
図3ではネジを使用せず、外部コネクタ7の外壁21の先端に爪25を設け、一方カートリッジ筐体2の外縁が後退した先端部に爪25を受ける溝(爪溝)26を設けている。
外部コネクタ7の爪25が、カートリッジ筐体2の溝26に引っ掛けられることにより、外部コネクタ7とカートリッジ筐体2とが嵌め合わされる。
その他の構成は、図2に示した密閉構造と同様であるので、重複説明を省略する。
【0051】
この構成において、外部コネクタ7の爪25がカートリッジ筺体2の溝26に達するためには、パッキン4をつぶす必要がある。
そして、パッキン4が変形によりつぶれて、外部コネクタ7の爪25がカートリッジ筐体2の溝26に達すると、外部コネクタ7とカートリッジ筐体2とが嵌め合わされる。このとき、パッキン4が復元しようとする力と、外部コネクタ7の爪25でカートリッジ筐体2を保持する力とがつりあい、密閉性が確保される。
【0052】
外部コネクタ7の爪25は、パッキン4に沿って離散的に例えば4点や8点設けることもでき、全周にわたり形成することもできる。これらの構成は、いずれも比較的容易に作製することが可能である。
尚、樹脂の塑性変形の範囲内で爪25の変形をさせる必要があるため、爪25の突出量と厚さは、樹脂材料の弾性係数を考慮して決定する必要がある。
【0053】
図2に示した密閉構造の形態も、図3に示した密閉構造の形態も、いずれもカートリッジ筐体2・パッキン4・外部コネクタ7により構成される密閉性を有するカートリッジを実現することができる。
【0054】
次に、図1のハードディスクドライブ1における、ブリーザーフィルタ通気孔9周辺の断面図を図4に示す。
スピンドルモータ30に、ディスククランパ36によって、記録媒体であるディスク(磁気ディスク)34が取り付けられ、スピンドルモータ30の駆動によりディスク34が回転する。
ディスク34に対して記録・再生を行う磁気ヘッドは、図示しないがアーム31の先端に取り付けられるヘッドスライダの端面に取り付けられる。アーム31の他端は、図9と同様に図示しない部品により支持される。
そして、ディスク34が回転することによって生じる空気流により、動圧が発生し、これによりヘッドスライダが浮揚する。
【0055】
また、ハードディスクドライブ1の筐体に設けられたブリーザーフィルタ通気孔9の内部に、ブリーザーフィルタ10が配置されている。
このブリーザーフィルタ10は、その内部を通る空気の経路10Aの断面積を小さくし、かつこの経路10Aを長くすることにより、コンダクタンスを小さくして流量を制限している。この経路10Aの先に、イオンコンタミや有機コンタミを吸収する吸収層11と、ある大きさ以上の粒子を捕捉するフィルタ12を配置している。これら経路10A、吸収層11、フィルタ12を通じて、ハードディスクドライブ1の内部と外部とを空気が行き来する。
【0056】
即ち、図9に示した従来のハードディスクドライブ装置の内部構成と比較すると、詳細な構成は異なっているが、基本的な機能及び動作は同様となっている。
【0057】
ヘッドスライダとディスク34の距離は、ヘッド浮上量と呼ばれる。高記録密度化により、現在のヘッド浮上量は20nm程度まで小さくなっている。
【0058】
本実施の形態では、前述したように、カートリッジ筐体2とパッキン4と外部コネクタ7から構成される密閉性を有するカートリッジを構成している。これにより、カートリッジが気密性を有するので、外部の気圧の変化に影響されず高地など気圧の低い場所での使用を可能とし、カートリッジ内へのイオン系物質及び有機ガスの侵入を防ぎ、カートリッジ内への水の浸入を防ぐことが可能になる。
【0059】
ここで、気密性を有するカートリッジと比較するために、開放型の構成のカートリッジとほぼ等価な構成として、呼吸フィルタ10及び通気孔9が設けられたハードディスクドライブ1単体を高所に移動させたと想定する。
まず、ハードディスクが動作状態にあるときに、平地から3000m高度(約0.7気圧)までゆっくり移動させても、大きな問題は発生しない。
しかし、さらに3000m高度を超えると、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ33とディスク34との間に含まれる空気の分子数が減少して、ヘッドスライダ33の浮上を支えきれなくなるため、ヘッドスライダ33がディスク34に接触する。場合によっては、磁気ヘッドやディスク34が損傷(クラッシュ)することになる。
また、ハードディスクが動作状態或いは非動作状態であるかにかかわらず、急激な正の気圧変化(例えば低圧力から1気圧へ)を与えた場合には、呼吸フィルタ10からの吸気では間に合わなくなり、ハードディスクドライブ1本体のパッキンを破って外気がハードディスクドライブ1の内部に入り込むことになる。こうなると呼吸フィルタ10(11,12)を通らないで空気が侵入するため、ハードディスクドライブ1内部のコンタミが増加して、これもクラッシュの原因となる。
【0060】
一方、気密性を有するカートリッジを、動作中に高度3000m以上8000mまで移動させた場合を考える。このとき、カートリッジを構成するカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7の厚さを20mmとすると、空気圧の変化によるカートリッジの厚さの変化は、最大面積の面即ち上下の主面の中央でも0.5mm以下である。仮に全面で0.5mm膨れたとすると2.5%の体積増加が起こり、内部圧力は2.5%減少することになる。
この圧力減少は、前述したハードディスクドライブ1単体を同様に移動させた場合には70%の圧力減少があるのに比較して、充分小さくなっている。
また、気密性を有するカートリッジに対して、急激な正の気圧変化を与えても、ハードディスクドライブ1単体内部に影響はない。
【0061】
さらに、気密性を有するカートリッジは、屋外の過酷なガス環境で使用した場合でもガスに対する遮断効果を有する。通常の空気を構成する窒素と酸素の分子量がそれぞれ28と32であるのに対して、火山等のイオン性ガスH2 S,NO2 ,SO2 ,Cl2 はそれぞれ34,46,64,71の分子量を有するため、気密性を有して空気の通気がないカートリッジでは、これらのガスも同様に遮断することができる。
また、問題になる有害な有機ガスに関しても、炭化水素ではC8 H16(分子量112)程度、エステルではC16H30O4 (分子量286)程度が最小分子量のものであるので、これ以上の分子量の有機ガスは、気密性を有するカートリッジで完全に遮断することが可能である。
さらに、海岸等の海水飛沫から発生する海塩微粒子は、粒子径5μm程度であると言われているので、気体分子と比較して充分大きく、気密性を有するカートリッジを通過することはない。図5に海岸周辺で採取された海塩粒子の粒径分布(株式会社アクシーのホームページ、http://www.aqcnet.com/item_taiden/item _taiden_sult01.htmより引用)を示す。
【0062】
上述のようにカートリッジで気密性を確保したために、カートリッジ内部の構成部品は全てカートリッジ内部に完全に密閉されることになる。
このため、これらカートリッジ内部の構成部品から発生するイオン性ガスや有機ガスがハードディスクドライブの呼吸フィルタ10を経由してディスク34に付着する可能性が出てくる。
従来の開放型のカートリッジであれば、内部で発生したガスはカートリッジの外に放出されるが、気密性を持たせたことにより、ハードディスクドライブ1の内部への影響を無視できなくなる。
【0063】
実際のハードディスクドライブにおいて、ディスクに付着してヘッドとディスク間のインターフェースに悪影響を及ぼすイオン性コンタミは、Li+ ,Na+ ,K+ ,NH3 + ,Mg2+,Ca2+等のカチオンと、SO4 2− ,PO4 2− ,NO2 − ,Cl− 等のアニオンとがあり、その総和が30〜100μg/m2 を超えると、問題が発生すると言われている。
【0064】
また、有機ガスについては、エステル系、炭化水素系、シロキサン系、アミン系、アミド系、ブチルヒドロキシトルエン系等の総和が50〜100μg/m2 を超えると、磁気ヘッドとディスクの間のインターフェースに影響があると言われている。
【0065】
尚、イオン総和も有機ガス総和も幅が存在するのは、ヘッド浮上量の違いやディスク最表面に形成される潤滑剤の違いに由来するもので、各製造者がそれぞれ独自に基準を設定しているためである。記録密度の増加に伴って、付着量総量の基準値も今後小さくなっていくことが予想される。
【0066】
そこで、本実施の形態の情報記憶装置においては、特にカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7に、ディスクや磁気ヘッドにとって有害な、イオン性物質(イオン系ガス等)及び有機ガスを、ほとんど発生しない材料を使用する。
さらに、その材料が、充分な強度を確保するために充分な弾性定数を有することが望ましい。
このような材料としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂及びABS樹脂の複合物等が挙げられ、さらに弾性定数を増加する目的でカーボン繊維を混合してもよい。
そして、使用目的に応じて、予め定められた内外の圧力差に耐えうる充分な強度を有するように、筐体2,7の厚さを選定する。
【0067】
また、本実施の形態においては、同様にカートリッジ筐体2の内部にある各構成部品にも、ディスクや磁気ヘッドにとって有害な、イオン性物質(イオン系ガス等)及び有機ガスを、ほとんど発生しない材料を使用する。
【0068】
即ち、例えば、カートリッジ筐体2にはポリカーボネート樹脂を、緩衝材3にはゲル材料を、パッキン4にはフッ素樹脂系(例えばポリテトラフルイドエチレン)のゴムを、内部コネクタ5にはPPS(ポリフェニレンサルファイド)を、ハーネス6にはポリイミド樹脂を、外部コネクタ7にはPPSを、それぞれ使用する。
【0069】
イオン性物質の総和及び有機系ガスの総和の目安としては、前述した問題を生じる範囲を考慮すると、少なくとも、ディスクに付着するイオン性物質の総和を100μg/m2 未満、かつ有機系ガスの総和を100μg/m2 未満とする必要がある。
さらに、ヘッド浮上量の違いやディスク最表面に形成される潤滑剤の違いによりディスクに及ぼす影響が変化することや、記録密度の増加に伴って付着量総量の基準値も小さくなっていくと予想されることから、ディスクに付着するイオン性物質の総和及び有機系ガスの総和は、さらに少なくすることが望ましい。
【0070】
ここで、実際に上述した材料により各部品を構成したハードディスクドライブ装置のカートリッジに対して、ハードディスクを非動作状態として高温高湿環境(温度70℃、湿度90%)下に所定時間(200時間)保存した後に、構成部品からディスクに付着するイオン性物質及び有機系ガスを定量分析した。その結果、イオン性物質の総和は20μg/m2 で、有機系ガスの総和は40μg/m2 であった。即ち前述したヘッドとディスクとのインターフェースに影響がある範囲よりも低い濃度となることがわかった。
尚、温度、湿度、並びに保存時間の測定条件は、ハードディスクドライブ装置の構成や要求される仕様によって、適切な条件を選定する。
【0071】
上述したように各構成部品の材料を選定することにより、ブリーザーフィルタ10を通じて、内部のハードディスク駆動機構部に入る空気に含まれる、有害なイオン性物質及び有機ガスの量を充分に低減することができる。
【0072】
さらに、ハードディスクドライブ1本体の内部の構成部品、即ちハードディスク駆動機構部を構成するヘッド部、ディスク部、駆動回路部等の部品についても、同様に有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用することが望ましい。
これは、本実施の形態の情報記憶装置や本発明に係る情報記憶装置に限らず言えることであり、従来の開放型の構成であってもハードディスクドライブの内部の構成部品に上述した材料を使用することが望ましい。
【0073】
上述の本実施の形態によれば、外部コネクタ7が気密性を有し、この外部コネクタ7をカートリッジの一部として用い、外部コネクタ7の先端部に外壁21と内壁22が設けられ、これら外壁21及び内壁22の間にカートリッジ筐体2の先端部23が嵌め合わされる構成となっている。さらに、外壁21及び内壁22の間の凹部に、パッキン4を設けるための溝24が形成されている。
そして、ネジ8や爪25を利用することにより、カートリッジ筐体2の先端部23と、外部コネクタ7の溝24とによる押圧力でパッキン4を変形させ、溝24内にパッキン4による密閉構造を形成することができる。
【0074】
これにより、カートリッジ筐体2とパッキン4と外部コネクタ7とにより密閉性を有するカートリッジが構成され、カートリッジが気密性を有するので、カートリッジの外部からの空気、イオン性物質、有機ガス、水が内部に侵入することを防止することができる。
これにより、カートリッジの外部と内部の気圧が大きくなる例えば高地等の環境でも、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
また同様に、カートリッジの外部からのイオン性物質、例えば火山性ガスや、排気ガス、海塩等の内部への侵入を防止するので、例えば火山地域や、温泉地、交通量の多い地域、工業地帯、海岸等の環境でも、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
さらに、カートリッジの外部からの有機ガスの内部への侵入を防止するので、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
【0075】
例えば内部が1気圧で外部が0.3気圧の気圧差(0.7気圧)に耐えられるだけのカートリッジ材料を用い、密閉性を有するカートリッジを構成することにより、8000mまでの高度での使用が可能になる。
カートリッジ材料が、外部が0.5気圧(気圧差0.5気圧)となるまで耐えられるものであれば高度5000mまでの使用が可能となり、外部が0.7気圧(気圧差0.3気圧)となるまで耐えるものであれば高度3000mまでの使用が可能となる。
例えばヨーロッパアルプス等の、普通の人でも行くことができる環境を考慮すると、密閉性としては、外部が0.5気圧(気圧差0.5気圧)となっても漏れ(リーク)を生じない程度の性能を有することが望ましい。
【0076】
また、本実施の形態によれば、カートリッジの構成部品である、カートリッジ筐体2、緩衝材3、パッキン4、内部コネクタ5、ハーネス6、外部コネクタ7に、有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用していることにより、密閉性を有するカートリッジの内部において有害なイオン性物質や有機ガスが発生して、ハードディスクドライブ1の内部のハードディスク駆動機構部に侵入し、特にディスクとヘッドとのインターフェースへの悪影響を防止することができる。
【0077】
従って、屋外で使用されることもある外付け型の情報記憶装置においても、安定した記録再生動作を可能にし、室内で使用される据え置き型の情報記憶装置と同等以上のMTBF(平均故障間隔)を実現することが可能となる。
【0078】
続いて、本発明の他の実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図(断面図)を図6Aに示す。尚、図6Aでは、筐体内部に収容されたハードディスク駆動機構部の具体的な断面図は記載を省略している。
【0079】
図6Aに示すように、カートリッジ筐体2と筐体状のコネクタ部14とが、互いに勘合するように組み立てられて、カートリッジが構成されている。コネクタ部14は、例えば図示しない複数のネジにより、ハードディスク筐体2に固定される。
このカートリッジは、後述するように密閉性を有する構成とされ、このカートリッジの内部に、ハードディスクドライブ1が収容されて構成される。これにより、カートリッジの内部が外気と遮断される。
尚、ハードディスクドライブ1の内部構成は、例えば図10に示した内部構成や、図4に示した先の実施の形態における内部構成と同様の構成とすることができる。
【0080】
先の実施の形態では、機器本体と接続される外部コネクタ7とハードディスクドライブ1と接続される内部コネクタ5との間をハーネス6で接続した構成であったのに対して、本実施の形態では、機器本体と接続される表面から、筐体状のコネクタ部14に金属端子(電極)15が設けられ、この金属端子15がコネクタ部14から延長されて直接ハードディスクドライブ1に接続されるようにしている。
【0081】
図6Aのコネクタ部14の正面図を図6Bに示す。図6Bに示すように、例えば銅板、または金メッキされた銅板製の金属端子15が、コネクタ部14の筐体16に形成されている。図6Bでは数個の金属端子15が形成されているが、実際には例えば数十個の金属端子15が形成される。筐体16は、例えば樹脂で形成することができる。
【0082】
この金属端子15は、コネクタ部14の筐体16に形成された図示しないスリットに圧入する、もしくはコネクタ部14の筐体16を成形等で作製する際に共にインサートモールドすることにより、筐体16を貫通して形成することができる。
この金属端子15を通じて、情報記憶装置を取り付けた外部の装置本体との信号のやり取りを行うことができる。
【0083】
コネクタ部14は、先の実施の形態の外部コネクタ7と同様に、密閉性を有する構成とされる。密閉性を実現するには、金属端子15と、この金属端子15が挿入されている筐体16との隙間、例えばそのスリットとの隙間を極めて小さくすればよい。
その方法としては、例えば前述した筐体16の成形時のインサートモールドや、筐体16に予め形成された金属端子15よりも狭いスリットに、金属端子15を圧入して隙間を極力なくす方法、等の方法がある。
そして、なおも残存した隙間に対しては、例えばエポキシ系の接着剤をコネクタ部14の内側及び外側から流し込む工程等を行うことにより、コネクタ部14の密閉性を確保することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、コネクタ部14とカートリッジ筐体2とを組み立てて密閉性を有するカートリッジを構成する点では、先の実施の形態と同様であるが、これらコネクタ部14及びカートリッジ筐体2が接合された部分の詳細な構成が先の実施の形態とは異なっている。
【0085】
図7に、図6Aのコネクタ部14とカートリッジ筐体2との接合部付近の拡大断面図を示す。
コネクタ部14の筐体16の端部には、外壁21と内壁22とが形成され、これら外壁21と内壁22の間に溝24が形成されている。
このコネクタ部14の溝部に、カートリッジ筐体2の先端部分の挿入部23が挿入される。
【0086】
また、溝24内には密閉部材として、パッキン(ガスケット)4が配置されている。
尚、先の実施の形態では断面略円形のパッキン4を使用していたが、本実施の形態では断面矩形のパッキン(ガスケット)4を使用している。さらに、先の実施の形態ではパッキン4が設けられた溝24は外壁21と内壁22との間の凹部に狭い幅の溝として形成されていたが、本実施の形態ではパッキン(ガスケット)が設けられた溝24は外壁21と内壁22との間の凹部と一致している。
そして、パッキン(ガスケット)4が、コネクタ部14の筐体16の溝24と、カートリッジ筐体2の挿入部23とに挟み込まれることにより、カートリッジ筐体2及びコネクタ部14の間が密閉される。これにより、カートリッジ筐体2・パッキン(ガスケット)4・コネクタ部14から成り、密閉性を有するカートリッジが構成される。
【0087】
パッキン(ガスケット)4を、外壁21及び内壁22により形成される溝24内に配置することにより、パッキン(ガスケット)4自体の引きつりや位置ずれは起こりにくくなる。
【0088】
内壁22は、パッキン(ガスケット)4の引きつりや位置ずれを確実に抑制するために、コネクタ部14の筐体16の先端部全周、又は先端部の大部分(例えば角部を除いた四辺の大部分)に設けることが望ましい。
尚、ハードディスク筐体の側に外壁・溝・内壁を設ける場合にも、内壁は全周もしくは大部分に設けられることが望ましい。
【0089】
もし、内壁22が存在しないとすると、パッキン(ガスケット)4の断面に合わせて、長手方向に直交する方向に対して、パッキン(ガスケット)4の引きつりが発生し易くなる。その結果、カートリッジ筐体2の挿入部23に対向する面即ち本来パッキン(ガスケット)4がある位置に対し、特に各辺の中央部で位置ずれが生じやすくなり、最悪の場合には、パッキン(ガスケット)4が内側に入り込んでしまい、挿入部23でいくら押しても密閉できなくなってしまう。
また、可搬時や移動時に、カートリッジの表面が押される可能性がある。特に接合部分付近のカートリッジ筐体2が押された場合には、挿入部23が内側にずれてしまい、パッキン(ガスケット)4のある面からはずれてしまうことがあり、密閉性を維持することができなくなる。
【0090】
パッキン(ガスケット)4は、その外縁が外壁21の内側に接するように作製することが望ましい。これは、外付け型の情報記憶装置の使用環境を考ると、平地から例えば数百m以上の高地に移動し内圧の方が高くなる確率(可能性)の方が、数mより深い水中で使用され外圧の方が高くなる確率(可能性)よりも高いと考えられるからである。
このように構成することにより、内圧の方が高く、差圧が大きくなったときには、内側から外壁方向に対して圧力が発生しようとするのを、パッキン(ガスケット)に接する外壁21で阻止することができる。
【0091】
パッキン(ガスケット)4の材料としては、先の実施の形態と同様に、有害なイオン系物質や有機ガスをほとんど発生しない材料を用いる。
例えば半導体用等で使用されているフッ素系ゴム(例えばデュポンダウエラストマー社のバイトン(登録商標))等が望ましいが、EPDM系のゴム材(例えばデュポンダウエラストマー社のノーデル(登録商標))でもよい。
【0092】
外壁21及び内壁22間の溝24の幅Wは、パッキン(ガスケット)4が圧縮されて応力を発生して、密閉部材として作用するのに必要な圧力が加えられたときに、圧力が印加される方向(溝の深さ方向)と直交する方向(溝の幅方向)に生じる膨らみ変形を阻害しない幅とする。
パッキン(ガスケット)4には、例えば上述したようなゴム系材料を使用した場合、圧力が加わったときに、密閉効果を発揮させ、且つ永久歪を生じない潰れ量は全厚の30%と言われており(出展:NOK社O−RINGSカタログ)、そのときのポアソン比は0.49(ゴム系材料の一般値)である。
従って、密閉効果を発揮させるためには、パッキン(ガスケット)4の幅WG(断面円形の場合は線径)に対して、溝24の幅Wを15%増し以上とすることが望ましい。
【0093】
さらに、パッキン(ガスケット)4は、その一部の平面図を図8Aに示すように、突起物のない平面形状とすることが望ましい。
これは、外壁21及び内壁22間の溝24は、筐体16の端部にあるため、面粗度があまり期待できないこと、さらに例えば筐体の剛性を上げるために樹脂に繊維等を加えた場合には、面粗度が悪化することが考えられるからである。
例えば図8Bに示すようにパッキン(ガスケット)がリップを有すると、線接触となるため、筐体2,16との接触面積が小さくなり密着が取れない部分が出てくる。
これに対して、図8Aに示したようにパッキン(ガスケット)4を平面形状とすることにより、面接触となるため接触面積が大きくなり、多少面状態が悪くても全体として密着が取り易くなる。
この観点によれば、パッキン(ガスケット)4には、面粗度に倣い易い程度の柔らかさを有するEPDM系のゴムを使用することがより望ましいことになる。
【0094】
さらに、密閉性を有するカートリッジ2,4,14にハードディスクドライブ1を収納した状態で、情報記憶装置全体としての比重が1.0以下になるように、カートリッジの寸法を設定することが望ましい。
即ちカートリッジの容積をV(ml),ハードディスクドライブ1を封入したときの重さをm(g重)とすると、m/Vの値が1.0以下になるようにVとmの値を決めてやればよい。
これにより、例えば搬送時に水辺で落下させたとしても、水中に没することなく浮かび上がる情報記憶装置を実現することができる。
尚、先の実施の形態の情報記憶装置においても、密閉性を有するカートリッジ2,4,7にハードディスクドライブ1を収納した状態で、全体としての比重が1.0以下になるように、カートリッジの寸法を設定することにより、同様の効果が得られる。
【0095】
上述の本実施の形態によれば、コネクタ部14が気密性を有し、このコネクタ部14をカートリッジの一部として用い、コネクタ部14の先端部に外壁21と内壁22が設けられ、これら外壁21及び内壁22の間の溝24にカートリッジ筐体2の先端部23が嵌め合わされると共に、この溝24にパッキン(ガスケット)4が設けられている。
そして、カートリッジ筐体2の先端部23と、コネクタ部14の溝24とによる押圧力でパッキン4を変形させ、溝24内にパッキン4による密閉構造を形成することができる。
従って、カートリッジ筐体2とパッキン(ガスケット)4と筐体状のコネクタ部14とにより密閉性を有するカートリッジが構成され、カートリッジの外部からの空気、イオン性物質、有機ガス、水が内部に侵入することを防止することができる。
これにより、カートリッジの外部と内部の気圧が大きくなる例えば高地等の環境でも、例えば火山地域や、温泉地、交通量の多い地域、工業地帯、海岸等の環境でも、また水中に落下させてしまったとしても、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、カートリッジの構成部品を、有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用していることにより、密閉性を有するカートリッジの内部において有害なイオン性物質や有機ガスが発生して、ハードディスクドライブ1の内部のハードディスク駆動機構部に侵入し、特にディスクとヘッドとのインターフェースへの悪影響を防止することができる。
【0097】
従って、屋外で使用されることもある外付け型の情報記憶装置においても、安定した記録再生動作を可能にし、室内で使用される据え置き型の情報記憶装置と同等以上のMTBF(平均故障間隔)を実現することが可能となる。
【0098】
続いて、図6〜図7に示した本発明の実施の形態のハードディスクドライブ装置(完全密閉型の構成の情報記憶装置)と、従来の開放型のハードディスクドライブ装置とを、それぞれ実際に作製して、想定される使用環境に合わせた条件下で実験を実施して、これらの装置を比較した。
【0099】
(実験1)
本発明に係る装置における、イオン性ガスに対する耐性の効果を確認するため、従来の開放型のハードディスクドライブ装置と図6〜図7に示した本発明の実施の形態のハードディスクドライブ装置即ち完全密閉型の構成との比較を行った。
温度40℃、SO2 濃度5ppmの温泉地を想定した環境に設定された密閉恒温層の中で、各装置を18日間保管し、その後内部のHDDを取り出して記録媒体上に付着したSO2 イオンの量を分析した。
その結果、従来の開放型の構成の装置では初期状態の3倍のイオン付着が見られたが、本発明に係る完全密閉型の構成の装置では初期状態と変化はなかった。
【0100】
(実験2)
本発明に係る装置における、気圧変化に対する耐性の効果を確認するため、従来の開放型のハードディスクドライブ装置と図6〜図7に示した本発明の実施の形態に示す完全密閉型のハードディスクドライブ装置との比較を行った。
温度20℃、密閉恒温層の中で、高山地帯を想定して気圧を1気圧から徐々に下げながら、各気圧において両者の動作確認を行った。
その結果、従来の開放型の構成の装置では0.4気圧程度から異音が発生してデータの送信ができなくなったのに対して、本発明に係る完全密閉型の構成の装置では0.2気圧まで下げてもデータ送信に対して初期状態と変化はなかった。
【0101】
(実験3)
本発明に係る装置における、耐水性の効果を確認するため、従来の開放型のハードディスクドライブ装置と図6〜図7に示した本発明の実施の形態に示す完全密閉型のハードディスクドライブ装置との比較を行った。
両者の装置を水中に投じて、その後の変化を調べた。
その結果、従来の開放型の構成の装置では完全に水中に没してしまったのに対して、本発明に係る完全密閉型の構成の装置は水面に浮かび、容易に回収することができた。
【0102】
尚、上述の各実施の形態では、いずれもハードディスク駆動機構部が収容された内筺体であるハードディスクドライブ1に呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)10を設けた構成であったが、本発明では呼吸フィルタを設ける構成に限定されるものではない。例えば、内筐体も密閉構造として情報記憶装置を構成することも可能である。
【0103】
内筐体も密閉構造とした場合には、内筐体の内部の構成部品を、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料により形成すれば、ハードディスク駆動機構部へ有害な物質が悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0104】
一方、内筐体に呼吸フィルタを設けて構成した場合には、内筐体及びその内部のハードディスク駆動機構部を、固定型(据え置き型)の情報記憶装置と共通にして、部品コストを低減することができる利点を有する。また、呼吸フィルタを通じてカートリッジ及び内筐体の間の隙間と空間がつながるので、空間の熱容量が大きくなることから、ハードディスクの駆動により発生した熱を内筐体の外に逃がして、ディスク付近の温度上昇を低減することが可能になると考えられる。
【0105】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0106】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、密閉性を有するカートリッジが構成されていることにより、カートリッジの外部からの空気、イオン性物質、有機ガス、水が内部に侵入することを防止することができる。
【0107】
また、本発明によれば、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用していることにより、密閉性を有するカートリッジの内部において有害なイオン性物質や有機ガスが発生して、内部のディスクやヘッド等のハードディスク駆動機構部へ悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0108】
従って、本発明により、屋外で使用されることもある外付け型の情報記憶装置においても、安定した記録再生動作を可能にし、室内で使用される据え置き型の情報記憶装置と同等以上のMTBF(平均故障間隔)を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(分解斜視図)である。
【図2】図1の情報記憶装置において、ネジを使用して密閉構造を形成した形態を示す図である。
【図3】図1の情報記憶装置において、ネジを使用しないで密閉構造を形成した形態を示す図である。
【図4】図1のハードディスクドライブのブリーザーフィルタ通気孔周辺の断面図である。
【図5】海岸周辺で採取された海塩粒子の粒径分布を示す図である。
【図6】A 本発明の他の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(断面図)である。
B 図6Aのコネクタ部の正面図である。
【図7】図6Aのコネクタ部とカートリッジ筐体との接合部付近の拡大断面図である。
【図8】A 突起物のない平面形状のパッキン(ガスケット)の一部の平面図である。
B リップを有するパッキン(ガスケット)の一部の平面図である。
【図9】従来の一般的なハードディスクドライブ装置の要部の概略構成図である。
【図10】ハードディスクドライブ装置のディスク部及びその周辺の詳細を示す図である。
【符号の説明】
1 ハードディスクドライブ、2 カートリッジ筐体、3 緩衝材、4 パッキン、5 内部コネクタ、6 ハーネス、7 外部コネクタ、8 ネジ、10 呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)、11 吸収層、12 フィルタ、14 コネクタ部、24 溝、34 ディスク
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる外付け型の情報記憶装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクドライブ装置(HDD)は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、データやプログラムの書き込みや、記録されているデータの等の読み込みが行われる記録再生装置として重要な役割を果たしている。
【0003】
このハードディスクドライブ装置は、情報処理装置の本体ばかりでなく、情報処理装置本体に対して着脱自在とされる、いわゆるデタッチャブルの拡張機器である小型で外付け型の情報記憶装置としての用途も検討されている。
【0004】
このような外付け型の情報記録装置は、必要に応じて情報処理装置本体から取り外され、それ自体携帯されたり、情報処理装置本体とは別個に保管されたりする。さらには、携帯用機器に装着されて使用される。
そして、外付け型の情報記憶装置として、可搬性をもたせるように、ハードディスク駆動機構部を筺体に収納してカートリッジ形式とした構成が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで、従来の一般的なハードディスクドライブ装置の要部の概略構成図(内部を示す図)を図9に示す。この図9は、ハードディスクドライブ装置の要部として、ハードディスク駆動機構部及びこれを収納した筐体(ハウジング)を示している。
図9に示すように、シャーシ41とこれに被せられるトップカバー42とにより、ディスク部43・ヘッド部44・並びにヘッド駆動部(図示せず)から成るハードディスク駆動機構部を収納する筐体即ちハウジング51を構成する。
このハウジング51(41,42)の外側には、HDDの動作及び信号の制御と処理を司るプリント基板(PCB)45が取り付けられている。
【0006】
また、ディスク部44及びその周辺の詳細を図10に示す。記録媒体として複数枚のディスク34が、これらディスク34を回転させるスピンドルモータ30に搭載されている。このスピンドルモータ30の回転により、その構成部品であるロータ35の外周に取り付けられたディスク34が回転する構成となっている。
【0007】
一方、ヘッド部44は、ディスク34の上下の主面にそれぞれアクセスする2本のアーム31、記録用磁気ヘッド及び再生用磁気ヘッドが設けられアーム31の先端に取り付けられているヘッドスライダ(図示せず)等を有して成り、アーム31の先端部が各ディスク34に差し込まれるように配置される。
そして、アーム31の先端のヘッドスライダが各ディスク34の必要部分にアクセスし、プリント基板45における処理を介してディスク34に対して情報の取り出しもしくは情報の書き込みが行われる。
【0008】
そして、ディスク34に対する情報の記録・再生は、いわゆるフライングヘッド技術を用いて行われる。このフライングヘッド技術は、情報の記録された、若しくは情報が記録されるべきディスク34の表面上を、ヘッドスライダが10〜20nm程度の極めて低い浮上量を維持して浮上するものである。これにより、ディスク34の盤面に接触することなく、情報の読み書きを行うことができる。この技術は、ディスク34の回転により発生するディスク34表面の空気流と、この空気流により発生するディスク34表面−ヘッドスライダ表面間の動圧により実現できるものである。
【0009】
さらに、ハウジング51の内部は、トップカバー42上面の通気孔9を介して外気とつながっている。この通気孔9の内側に取り付けられた呼吸フィルタ10によって、埃等が内部へ侵入することを防ぎ、内部の精密機械要素即ちディスク部43やヘッド部44等を保護すると共に、外圧とハウジング51内の気圧とが同じになるように調整をしている。これにより、周囲の気圧の変化に応じて、ハウジング51内の気圧も変化する。
従来のハードディスクドライブ装置は、このような開放型の構成とするのが一般的であった。
【0010】
そして、従来の据え置き型のハードディスクドライブ装置、並びに従来の外付け型のハードディスクドライブ装置は、上述した開放型の構造を採っており、密閉を考慮していないコンピュータ装置の内部か、特に密閉を考慮しない筺体に固定して使用するのが普通であった。
【0011】
これは、外付け型のハードディスクドライブ装置も、従来は据え置き型の装置が使用される環境と大きく異なっていなかったため、ハードディスク駆動機構部が収容された筐体(カートリッジ等)に、格別な気密性を要求されなかったためである。ただし、室内の使用であり、動作環境に大きな変化がないことが前提となっていた。
【0012】
【特許文献1】
特公平6−66111号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特に、近年ノートパソコン等の可搬型のコンピュータ装置が著しく進歩したことに伴って、情報記憶装置もパソコンだけではなく、更に他の機器(カメラ等)に対して外部に追加する外部記憶装置として使用されるようにもなり、屋外で使用される機会が増加してきている。
従って、外付け型の情報記憶装置においては、従来の据え置き型のハードディスクドライブ装置と比較して、より厳しい使用環境にも耐えうる条件が要求される。
【0014】
しかしながら、前述した開放型の構造を外付け型の情報記憶装置に適用すると、使用環境によっては、動作に支障を来す問題や損傷の問題等が発生することがある。
外付け型の情報記憶装置の場合、交換や搬送が可能であることから、上述のように、室内だけでなく、屋外を含む様々な場所に携帯される可能性があり、上述した問題が顕著になることも考えられる。
以下、開放型の構造において、使用環境によって発生する問題を詳述する。
【0015】
まず、開放型の構造では、外気圧によって、ディスクに対するデータの読み出しや書き込みに支障を来す場合がある。
前述したように、ハードディスクドライブ装置では、フライングヘッド技術によりディスクに対してデータの読み出し及び書き込みを行っているが、筺体の密閉性が低い開放型の構造では、気圧変化に応じて磁気ヘッドの浮上量を正常な状態に保持することが困難であり、データ等の読み出し及び書き込みに支障を来す場合がある。
【0016】
例えば情報記憶装置を富士山、アルプスやエベレストといった高地に携帯して使用した場合、これらの場所では大気の圧力が平地と比較して減少し、標高3000mでは約0.7気圧、5000mでは約0.5気圧、8000mでは約0.3気圧になる。これに伴いディスク表面の空気流による動圧も低下する。これにより、磁気ヘッドの浮上量が平地における浮上量よりも小さくなって、記録・再生ができない、さらには不完全な浮上が原因でディスクの表面に磁気ヘッドが接触してしまう不具合が生じることもある。このため、データを破壊してしまうことや、場合によっては磁気ヘッドやディスクが破損してしまうことが起こりうる。
従来は、高地での取り扱いを禁止することにより対応していた。
【0017】
また、開放型の構造では、外部から侵入したガスやイオンがディスク表面に付着することによりディスクに対するデータの読み出しや書き込みができなくなる不具合が発生するおそれがある。
【0018】
例えばH2 S、NO2 、Cl2 並びにSO2 といった金属腐食性ガスは、水分が存在するとイオン化して酸を発生し、イオンコンタミ源となる。これらH2 S,NO2 ,Cl2 ,SO2 等のガスがディスクに付着すると、ディスク表面が錆びたりしてデータが失われる場合もある。
さらに、ディスクが錆びた場合に限らず、Li,Na,K,Ca等のイオンが付着しただけでもデータの読み出しや書き込みに支障を来す場合もある。これは、磁気ヘッドの浮上量が、数十nmオーダーと非常に小さいことに起因しており、なるべく異物を入れない構造とすることが望ましい。
【0019】
また、ディスク表面に有機ガス(例えばエステル系、炭化水素系、シロキサン系、アミン系、アミド系、ブチルヒドロキシトルエン系)の分子が付着すると、反応等によりディスクとヘッドとのインターフェースに悪影響を及ぼすことがある。
これらの有機ガスは、揮発した有機溶剤や、ゴム、プラスチックを加熱した際に出る分解ガス等が発生源となる。
【0020】
上述した問題に対しては、ディスク及び磁気ヘッドが収納された筺体(ハウジング51等)に、図10に示したような呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)10を設けた構成を採用することが考えられる。
この構成では、呼吸フィルタを通過した空気だけがHDDの内部に入るようになっており、この呼吸フィルタにより、前述したように筺体の内部と外部とが等しい圧力となるように制御すると共に、イオン性ガスや有機ガスを捕捉する機能を有する。
そして、この呼吸フィルタの捕捉効果によって、情報記憶装置の外部からのコンタミも、情報記憶装置の構成部品(カートリッジや緩衝材、その他)からの有機ガス、イオン等のコンタミも、筐体の内部への侵入を抑制することができる。
【0021】
しかしながら、通常設けられている呼吸フィルタでは、主にオフィスや家庭内での使用が考慮されているだけであり、強力なガスろ過機構を有しているわけではないため、例えば温泉地に携帯して使用した場合には、硫黄成分を筐体の内部のハードディスク駆動機構部に侵入させてしまう可能性もある。
これは、従来情報記憶装置の使用が室内におけるパーソナルコンピュータや事務機器に限定されていたため、通常の室内環境基準のガスを充分に捕捉できる程度の能力のフィルタとなっているからである。
従って、前述したイオン性ガスや有機ガスの濃度が桁違いに高い環境においては、従来構成の呼吸フィルタでは短時間で飽和してしまい、フィルタの吸収能力を超えて捕捉できなくなったガスは、内部に侵入してディスク等に付着する。これにより、磁気ヘッドとディスクとのインターフェースに悪影響を及ぼすことになって、ヘッド浮上量の不安定化によるエラーの増加、ヘッドもしくはディスクの変質・腐食、ヘッドの破損等の原因になってしまう。また、プリント基板のパターン表面や、実装された電子部品を変質させてしまい、記録再生制御を誤動作させてしまうことも考えられる。
【0022】
イオン性ガスや有機ガスの濃度が高い環境としては、例えば海岸等の海水飛沫から発生する海塩微粒子が浮遊する環境や、火山地域や温泉地等のようにH2 S,SO2 ,Cl2 ,NO2 等のガスが大量に空気中に放出されている環境、自動車の排気ガスから放出されるSO2 ,NO2 ,NO3 の濃度の高い交通量の多い環境、通常の大気中の有機ガス濃度に比べて桁違いに濃度の高い特定の製造現場、並びに工業地帯等が想定される。
【0023】
さらに、開放型の構成では、例えば、持ち運びをする際に水辺で落下させしまい、水没させてしまったり、PCB(プリント基板)が水を被って絶縁破壊等が生じたりして、ハードディスクドライブ装置が破壊されて動作不良となることが考えられる。
【0024】
上述した問題の解決のために、本発明においては、可搬性を有すると共に、使用環境による内部への影響を抑制して安定した記録再生動作を可能にし、様々な環境で使用可能な情報記憶装置を提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記憶装置は、機器本体に対して着脱自在とされ、記録媒体及びこの記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体と、この内筐体が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジとを備え、このカートリッジに機器本体に接続されるコネクタが設けられ、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられているものである。
【0026】
上述の本発明の情報記憶装置の構成によれば、ハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジを備えたことにより、装置の外部からハードディスク駆動機構部に、イオン系物質、有機ガス、空気、水分が侵入しないようにすることができる。
これにより、カートリッジの内外で空気の出入がないため、高地等で使用した場合のように外部の気圧が低くなっても、内部の気圧は変化しないので、ヘッドスライダの浮上に影響することなく、ハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがない。また、有害なイオン性物質や有機ガス、並びに水分が、内部に浸入してハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがない。
さらに、本発明の情報記憶装置の構成によれば、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられていることにより、上述のように密閉されたカートリッジの内部において、有害なイオン性物質や有機ガスが発生して内部のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明は、機器本体に対して着脱自在とされる情報記憶装置であって、記録媒体及び該記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、このハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体と、この内筐体が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジとを備え、このカートリッジに機器本体に接続されるコネクタが設けられ、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている情報記憶装置である。
【0028】
また本発明は、上記情報記憶装置において、密閉性を有するカートリッジは、コネクタの金属端子が筐体に隙間なく形成されて密閉性を有するコネクタ部と、他の筐体とが、これらコネクタ部及び他の筐体との間に設けられた密閉部材を挟んではめ合わせされて構成され、この密閉部材に有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている構成とする。
【0029】
また本発明は、上記情報記憶装置において、内筐体に呼吸フィルタが設けられ、この呼吸フィルタはイオン性物質または有機系ガスの侵入を抑制するフィルタを有する構成とする。
【0030】
また本発明は、上記情報記憶装置において、内筐体とカートリッジとの間に緩衝材が設けられ、この緩衝材に有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている構成とする。
【0031】
また本発明は、上記情報記憶装置において、コネクタ部は、他の筐体と嵌め合わされる先端部分に、外壁と内壁とを有し、これら外壁及び内壁の間に設けられた溝に密閉部材が挟みこまれている構成とする。
【0032】
また本発明は、上記情報記憶装置において、密閉部材がゴム系材料からなり、上記密閉部材の幅に対して上記溝の幅が15%以上広く形成されている構成とする。
【0033】
また本発明は、上記情報記憶装置において、装置全体の比重が1.0以下とされている構成とする。
【0034】
図1は、本発明の一実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図(分解斜視図)を図1に示す。
この情報記憶装置は、ハードディスク駆動機構部が内部に収容された筐体(内筐体)であるハードディスクドライブ1が、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7とにより、これらの内部に包み込まれて構成されている。そして、これらカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7により、外付け型の情報記憶装置のカートリッジ(外筐体)を形成している。
【0035】
そして、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7との間に、密閉部材としてパッキン4を挟み、ネジ8によりカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7を隙間が存在しないように固定することにより、完全密閉されたカートリッジを構成する。
【0036】
ハードディスクドライブ1の一側面には、内部のハードディスク駆動機構部に電気的に接続されると共に、外部との電気的接続がなされる電極端子1Tが多数形成された接続部1Cが設けられている。
外部コネクタ7の一主面にも、同様に、外部との電気的接続がなされる電極端子7Tが多数形成された接続部7Cが設けられている。
そして、外部コネクタ7の電極端子7Tからハードディスクドライブ1の電極端子1Tまでの間は、柔軟性を有するハーネス6と内部コネクタ5とを通じて電気的に接続される。
内部コネクタ5をハードディスクドライブ1の接続部1Cに差し込むことにより、電極端子1Tを通じて電気的接続がなされる。また、外部の機器本体に接続されたコネクタを外部コネクタ7の接続部7Cに差し込むことにより、電極端子7Tを通じて電気的接続がなされる。
尚、外部コネクタ7の電極端子7Tと内部コネクタ5の電極端子(図示せず)は1対1で設けられ、その間での電気的な変換等は行われない。
【0037】
カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7から成るカートリッジと、ハードディスクドライブ1との間には、間隙が存在する。この間隙には、カートリッジへの衝撃が直接ハードディスクドライブ1に伝わらないように、緩衝材3が設けられている。緩衝材3は、ハードディスクドライブ1の筺体の各角部をそれぞれ覆うように、四隅に合計4個設けられている。
【0038】
尚、間隙の寸法と緩衝材3の厚さとの関係は、互いに一致させるか、或いは間隙の寸法よりも厚い緩衝材3を圧縮して使用するか、のいずれかとすることが望ましい。そして、これら間隙の寸法及び緩衝材3の厚さは、カートリッジを所定の高さから落下させたときにカートリッジ内部に入っているハードディスクドライブ1にかかる加速度を低減できるように設計する。
例えば、緩衝材3としてゴム系の材料を使用する場合には、1mm以上の厚さが必要である。
【0039】
ハードディスクドライブ1の上面には、ブリーザーフィルタ通気孔9があり、気圧の変化や温度変化が発生するとこの通気孔9から空気が出入りする。
通気孔9の内部側には、図9の従来の構成と同様に、呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)が設けられる。
【0040】
外部コネクタ7は、カートリッジ外の装置、機器本体等と特定プロトコルに従ったデータの入出力を行うインターフェースの役割を有する。
外部コネクタ7の部品構成としては、カートリッジの蓋の形状を有する樹脂製部材に、金属端子7Tがインサート成形された構成を採用することができる。
そして、外部コネクタ7を作製する際には、金属端子7Tと樹脂との間に隙間が発生しないように、樹脂に充分な圧力をかけて成形を行い、端子部分の気密性を確保する。これにより、強度と気密性を共に得ることができる。
【0041】
また、カートリッジ筐体2は、密閉性を有するカートリッジの本体として使用できるように、圧力変化を受けても筺体の最大変形が0.5mm以下となるように、カートリッジ筐体2の肉厚を最小でも2mm以上とすることが望ましい。
【0042】
そして、外部コネクタ7は、カートリッジの蓋として使用することができるように、圧力変化を受けても大きな変形がないようにする必要がある。そのため、カートリッジ筐体2と同様に、外部コネクタ7の樹脂製部材の肉厚を最小でも2mm以上とすることが望ましい。
【0043】
パッキン4は、長方形の環状に形成されており、1気圧環境での気密性だけでなく、高所低圧環境でもカートリッジの気密性が確保できるように、Oリングのような弾力を有する一方で、平滑な表面を有することが望ましい。
【0044】
そして、カートリッジの組立の際には、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7の間にパッキン4を挿入し、ネジ8を締める。ネジ8を締めることにより、パッキン4が変形する。さらに、カートリッジ筐体2と外部コネクタ7との隙間がなくなるまで締める。
【0045】
一方、パッキン4が圧力差で変形したり、位置がずれたりすると、密閉性が損なわれるおそれがある。これを防ぐために、カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7のうち、一方もしくは両方に溝(凹部)を設ける必要がある。
この溝(凹部)の内面は、パッキン4に圧力をかけて変形させるために、平面度と平滑度が共に要求される。
【0046】
ここで、図1に示す本実施の形態の情報記憶装置における、密閉構造即ちカートリッジ筐体2・パッキン4・外部コネクタ7の接合部の構造について、その具体的な形態を以下に示す。
【0047】
まず、ネジを用いた場合の密閉構造の形態を図2に示す。
図2に示すように、外部コネクタ7は、カートリッジ筐体2に対してそれぞれ外側と内側に挟むように設けられた外壁21及び内壁22、さらにパッキン4用の溝24が設けられている。
カートリッジ筐体2は、外部コネクタ7の外壁21に対応して、先端部23の外縁が後退して形成されている。これにより、外部コネクタ7と組み立てたときに、外縁の大きさが一致するので、カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7により直方体状のカートリッジを構成することができる。
また、外部コネクタ7及びカートリッジ筐体2には、それぞれネジ8が挿入される孔が形成されている。
パッキン4は、Oリングのように略円形の断面を有している。溝24の幅はパッキン4の直径よりも大きく、一方溝24の深さはパッキン4の直径よりも小さくなっている。
ネジ8としては、例えばタッピングネジを使用することができる。
【0048】
組立の際には、カートリッジ筐体2の先端部23が、外部コネクタ7の外壁21及び内壁22の間に挿入され、さらに外部コネクタ7の溝24内にあるパッキン4と平面で接して、パッキン4を変形させる。これにより、変形されたパッキン4が溝24内に埋め込まれて、カートリッジの密閉性を確保することができる。
【0049】
尚、図1はネジ8を四隅で使用した構成を示しているが、カートリッジ筐体2及び外部コネクタ7の強度によっては、充分な密閉性を確保するためにネジの本数をさらに増やす必要も生じる。
例えばカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7が比較的柔らかい場合には、外部の圧力変化や外部からの押圧により変形して、ネジ8の設けられていない部分で隙間が空いてしまうおそれがあり、これを防止するためにネジ8を短い間隔で設ける必要が生じる。
【0050】
次に、ネジを使用しない場合の密閉構造の形態を図3に示す。
図3ではネジを使用せず、外部コネクタ7の外壁21の先端に爪25を設け、一方カートリッジ筐体2の外縁が後退した先端部に爪25を受ける溝(爪溝)26を設けている。
外部コネクタ7の爪25が、カートリッジ筐体2の溝26に引っ掛けられることにより、外部コネクタ7とカートリッジ筐体2とが嵌め合わされる。
その他の構成は、図2に示した密閉構造と同様であるので、重複説明を省略する。
【0051】
この構成において、外部コネクタ7の爪25がカートリッジ筺体2の溝26に達するためには、パッキン4をつぶす必要がある。
そして、パッキン4が変形によりつぶれて、外部コネクタ7の爪25がカートリッジ筐体2の溝26に達すると、外部コネクタ7とカートリッジ筐体2とが嵌め合わされる。このとき、パッキン4が復元しようとする力と、外部コネクタ7の爪25でカートリッジ筐体2を保持する力とがつりあい、密閉性が確保される。
【0052】
外部コネクタ7の爪25は、パッキン4に沿って離散的に例えば4点や8点設けることもでき、全周にわたり形成することもできる。これらの構成は、いずれも比較的容易に作製することが可能である。
尚、樹脂の塑性変形の範囲内で爪25の変形をさせる必要があるため、爪25の突出量と厚さは、樹脂材料の弾性係数を考慮して決定する必要がある。
【0053】
図2に示した密閉構造の形態も、図3に示した密閉構造の形態も、いずれもカートリッジ筐体2・パッキン4・外部コネクタ7により構成される密閉性を有するカートリッジを実現することができる。
【0054】
次に、図1のハードディスクドライブ1における、ブリーザーフィルタ通気孔9周辺の断面図を図4に示す。
スピンドルモータ30に、ディスククランパ36によって、記録媒体であるディスク(磁気ディスク)34が取り付けられ、スピンドルモータ30の駆動によりディスク34が回転する。
ディスク34に対して記録・再生を行う磁気ヘッドは、図示しないがアーム31の先端に取り付けられるヘッドスライダの端面に取り付けられる。アーム31の他端は、図9と同様に図示しない部品により支持される。
そして、ディスク34が回転することによって生じる空気流により、動圧が発生し、これによりヘッドスライダが浮揚する。
【0055】
また、ハードディスクドライブ1の筐体に設けられたブリーザーフィルタ通気孔9の内部に、ブリーザーフィルタ10が配置されている。
このブリーザーフィルタ10は、その内部を通る空気の経路10Aの断面積を小さくし、かつこの経路10Aを長くすることにより、コンダクタンスを小さくして流量を制限している。この経路10Aの先に、イオンコンタミや有機コンタミを吸収する吸収層11と、ある大きさ以上の粒子を捕捉するフィルタ12を配置している。これら経路10A、吸収層11、フィルタ12を通じて、ハードディスクドライブ1の内部と外部とを空気が行き来する。
【0056】
即ち、図9に示した従来のハードディスクドライブ装置の内部構成と比較すると、詳細な構成は異なっているが、基本的な機能及び動作は同様となっている。
【0057】
ヘッドスライダとディスク34の距離は、ヘッド浮上量と呼ばれる。高記録密度化により、現在のヘッド浮上量は20nm程度まで小さくなっている。
【0058】
本実施の形態では、前述したように、カートリッジ筐体2とパッキン4と外部コネクタ7から構成される密閉性を有するカートリッジを構成している。これにより、カートリッジが気密性を有するので、外部の気圧の変化に影響されず高地など気圧の低い場所での使用を可能とし、カートリッジ内へのイオン系物質及び有機ガスの侵入を防ぎ、カートリッジ内への水の浸入を防ぐことが可能になる。
【0059】
ここで、気密性を有するカートリッジと比較するために、開放型の構成のカートリッジとほぼ等価な構成として、呼吸フィルタ10及び通気孔9が設けられたハードディスクドライブ1単体を高所に移動させたと想定する。
まず、ハードディスクが動作状態にあるときに、平地から3000m高度(約0.7気圧)までゆっくり移動させても、大きな問題は発生しない。
しかし、さらに3000m高度を超えると、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ33とディスク34との間に含まれる空気の分子数が減少して、ヘッドスライダ33の浮上を支えきれなくなるため、ヘッドスライダ33がディスク34に接触する。場合によっては、磁気ヘッドやディスク34が損傷(クラッシュ)することになる。
また、ハードディスクが動作状態或いは非動作状態であるかにかかわらず、急激な正の気圧変化(例えば低圧力から1気圧へ)を与えた場合には、呼吸フィルタ10からの吸気では間に合わなくなり、ハードディスクドライブ1本体のパッキンを破って外気がハードディスクドライブ1の内部に入り込むことになる。こうなると呼吸フィルタ10(11,12)を通らないで空気が侵入するため、ハードディスクドライブ1内部のコンタミが増加して、これもクラッシュの原因となる。
【0060】
一方、気密性を有するカートリッジを、動作中に高度3000m以上8000mまで移動させた場合を考える。このとき、カートリッジを構成するカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7の厚さを20mmとすると、空気圧の変化によるカートリッジの厚さの変化は、最大面積の面即ち上下の主面の中央でも0.5mm以下である。仮に全面で0.5mm膨れたとすると2.5%の体積増加が起こり、内部圧力は2.5%減少することになる。
この圧力減少は、前述したハードディスクドライブ1単体を同様に移動させた場合には70%の圧力減少があるのに比較して、充分小さくなっている。
また、気密性を有するカートリッジに対して、急激な正の気圧変化を与えても、ハードディスクドライブ1単体内部に影響はない。
【0061】
さらに、気密性を有するカートリッジは、屋外の過酷なガス環境で使用した場合でもガスに対する遮断効果を有する。通常の空気を構成する窒素と酸素の分子量がそれぞれ28と32であるのに対して、火山等のイオン性ガスH2 S,NO2 ,SO2 ,Cl2 はそれぞれ34,46,64,71の分子量を有するため、気密性を有して空気の通気がないカートリッジでは、これらのガスも同様に遮断することができる。
また、問題になる有害な有機ガスに関しても、炭化水素ではC8 H16(分子量112)程度、エステルではC16H30O4 (分子量286)程度が最小分子量のものであるので、これ以上の分子量の有機ガスは、気密性を有するカートリッジで完全に遮断することが可能である。
さらに、海岸等の海水飛沫から発生する海塩微粒子は、粒子径5μm程度であると言われているので、気体分子と比較して充分大きく、気密性を有するカートリッジを通過することはない。図5に海岸周辺で採取された海塩粒子の粒径分布(株式会社アクシーのホームページ、http://www.aqcnet.com/item_taiden/item _taiden_sult01.htmより引用)を示す。
【0062】
上述のようにカートリッジで気密性を確保したために、カートリッジ内部の構成部品は全てカートリッジ内部に完全に密閉されることになる。
このため、これらカートリッジ内部の構成部品から発生するイオン性ガスや有機ガスがハードディスクドライブの呼吸フィルタ10を経由してディスク34に付着する可能性が出てくる。
従来の開放型のカートリッジであれば、内部で発生したガスはカートリッジの外に放出されるが、気密性を持たせたことにより、ハードディスクドライブ1の内部への影響を無視できなくなる。
【0063】
実際のハードディスクドライブにおいて、ディスクに付着してヘッドとディスク間のインターフェースに悪影響を及ぼすイオン性コンタミは、Li+ ,Na+ ,K+ ,NH3 + ,Mg2+,Ca2+等のカチオンと、SO4 2− ,PO4 2− ,NO2 − ,Cl− 等のアニオンとがあり、その総和が30〜100μg/m2 を超えると、問題が発生すると言われている。
【0064】
また、有機ガスについては、エステル系、炭化水素系、シロキサン系、アミン系、アミド系、ブチルヒドロキシトルエン系等の総和が50〜100μg/m2 を超えると、磁気ヘッドとディスクの間のインターフェースに影響があると言われている。
【0065】
尚、イオン総和も有機ガス総和も幅が存在するのは、ヘッド浮上量の違いやディスク最表面に形成される潤滑剤の違いに由来するもので、各製造者がそれぞれ独自に基準を設定しているためである。記録密度の増加に伴って、付着量総量の基準値も今後小さくなっていくことが予想される。
【0066】
そこで、本実施の形態の情報記憶装置においては、特にカートリッジ筐体2及び外部コネクタ7に、ディスクや磁気ヘッドにとって有害な、イオン性物質(イオン系ガス等)及び有機ガスを、ほとんど発生しない材料を使用する。
さらに、その材料が、充分な強度を確保するために充分な弾性定数を有することが望ましい。
このような材料としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂及びABS樹脂の複合物等が挙げられ、さらに弾性定数を増加する目的でカーボン繊維を混合してもよい。
そして、使用目的に応じて、予め定められた内外の圧力差に耐えうる充分な強度を有するように、筐体2,7の厚さを選定する。
【0067】
また、本実施の形態においては、同様にカートリッジ筐体2の内部にある各構成部品にも、ディスクや磁気ヘッドにとって有害な、イオン性物質(イオン系ガス等)及び有機ガスを、ほとんど発生しない材料を使用する。
【0068】
即ち、例えば、カートリッジ筐体2にはポリカーボネート樹脂を、緩衝材3にはゲル材料を、パッキン4にはフッ素樹脂系(例えばポリテトラフルイドエチレン)のゴムを、内部コネクタ5にはPPS(ポリフェニレンサルファイド)を、ハーネス6にはポリイミド樹脂を、外部コネクタ7にはPPSを、それぞれ使用する。
【0069】
イオン性物質の総和及び有機系ガスの総和の目安としては、前述した問題を生じる範囲を考慮すると、少なくとも、ディスクに付着するイオン性物質の総和を100μg/m2 未満、かつ有機系ガスの総和を100μg/m2 未満とする必要がある。
さらに、ヘッド浮上量の違いやディスク最表面に形成される潤滑剤の違いによりディスクに及ぼす影響が変化することや、記録密度の増加に伴って付着量総量の基準値も小さくなっていくと予想されることから、ディスクに付着するイオン性物質の総和及び有機系ガスの総和は、さらに少なくすることが望ましい。
【0070】
ここで、実際に上述した材料により各部品を構成したハードディスクドライブ装置のカートリッジに対して、ハードディスクを非動作状態として高温高湿環境(温度70℃、湿度90%)下に所定時間(200時間)保存した後に、構成部品からディスクに付着するイオン性物質及び有機系ガスを定量分析した。その結果、イオン性物質の総和は20μg/m2 で、有機系ガスの総和は40μg/m2 であった。即ち前述したヘッドとディスクとのインターフェースに影響がある範囲よりも低い濃度となることがわかった。
尚、温度、湿度、並びに保存時間の測定条件は、ハードディスクドライブ装置の構成や要求される仕様によって、適切な条件を選定する。
【0071】
上述したように各構成部品の材料を選定することにより、ブリーザーフィルタ10を通じて、内部のハードディスク駆動機構部に入る空気に含まれる、有害なイオン性物質及び有機ガスの量を充分に低減することができる。
【0072】
さらに、ハードディスクドライブ1本体の内部の構成部品、即ちハードディスク駆動機構部を構成するヘッド部、ディスク部、駆動回路部等の部品についても、同様に有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用することが望ましい。
これは、本実施の形態の情報記憶装置や本発明に係る情報記憶装置に限らず言えることであり、従来の開放型の構成であってもハードディスクドライブの内部の構成部品に上述した材料を使用することが望ましい。
【0073】
上述の本実施の形態によれば、外部コネクタ7が気密性を有し、この外部コネクタ7をカートリッジの一部として用い、外部コネクタ7の先端部に外壁21と内壁22が設けられ、これら外壁21及び内壁22の間にカートリッジ筐体2の先端部23が嵌め合わされる構成となっている。さらに、外壁21及び内壁22の間の凹部に、パッキン4を設けるための溝24が形成されている。
そして、ネジ8や爪25を利用することにより、カートリッジ筐体2の先端部23と、外部コネクタ7の溝24とによる押圧力でパッキン4を変形させ、溝24内にパッキン4による密閉構造を形成することができる。
【0074】
これにより、カートリッジ筐体2とパッキン4と外部コネクタ7とにより密閉性を有するカートリッジが構成され、カートリッジが気密性を有するので、カートリッジの外部からの空気、イオン性物質、有機ガス、水が内部に侵入することを防止することができる。
これにより、カートリッジの外部と内部の気圧が大きくなる例えば高地等の環境でも、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
また同様に、カートリッジの外部からのイオン性物質、例えば火山性ガスや、排気ガス、海塩等の内部への侵入を防止するので、例えば火山地域や、温泉地、交通量の多い地域、工業地帯、海岸等の環境でも、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
さらに、カートリッジの外部からの有機ガスの内部への侵入を防止するので、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
【0075】
例えば内部が1気圧で外部が0.3気圧の気圧差(0.7気圧)に耐えられるだけのカートリッジ材料を用い、密閉性を有するカートリッジを構成することにより、8000mまでの高度での使用が可能になる。
カートリッジ材料が、外部が0.5気圧(気圧差0.5気圧)となるまで耐えられるものであれば高度5000mまでの使用が可能となり、外部が0.7気圧(気圧差0.3気圧)となるまで耐えるものであれば高度3000mまでの使用が可能となる。
例えばヨーロッパアルプス等の、普通の人でも行くことができる環境を考慮すると、密閉性としては、外部が0.5気圧(気圧差0.5気圧)となっても漏れ(リーク)を生じない程度の性能を有することが望ましい。
【0076】
また、本実施の形態によれば、カートリッジの構成部品である、カートリッジ筐体2、緩衝材3、パッキン4、内部コネクタ5、ハーネス6、外部コネクタ7に、有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用していることにより、密閉性を有するカートリッジの内部において有害なイオン性物質や有機ガスが発生して、ハードディスクドライブ1の内部のハードディスク駆動機構部に侵入し、特にディスクとヘッドとのインターフェースへの悪影響を防止することができる。
【0077】
従って、屋外で使用されることもある外付け型の情報記憶装置においても、安定した記録再生動作を可能にし、室内で使用される据え置き型の情報記憶装置と同等以上のMTBF(平均故障間隔)を実現することが可能となる。
【0078】
続いて、本発明の他の実施の形態として、情報記憶装置の概略構成図(断面図)を図6Aに示す。尚、図6Aでは、筐体内部に収容されたハードディスク駆動機構部の具体的な断面図は記載を省略している。
【0079】
図6Aに示すように、カートリッジ筐体2と筐体状のコネクタ部14とが、互いに勘合するように組み立てられて、カートリッジが構成されている。コネクタ部14は、例えば図示しない複数のネジにより、ハードディスク筐体2に固定される。
このカートリッジは、後述するように密閉性を有する構成とされ、このカートリッジの内部に、ハードディスクドライブ1が収容されて構成される。これにより、カートリッジの内部が外気と遮断される。
尚、ハードディスクドライブ1の内部構成は、例えば図10に示した内部構成や、図4に示した先の実施の形態における内部構成と同様の構成とすることができる。
【0080】
先の実施の形態では、機器本体と接続される外部コネクタ7とハードディスクドライブ1と接続される内部コネクタ5との間をハーネス6で接続した構成であったのに対して、本実施の形態では、機器本体と接続される表面から、筐体状のコネクタ部14に金属端子(電極)15が設けられ、この金属端子15がコネクタ部14から延長されて直接ハードディスクドライブ1に接続されるようにしている。
【0081】
図6Aのコネクタ部14の正面図を図6Bに示す。図6Bに示すように、例えば銅板、または金メッキされた銅板製の金属端子15が、コネクタ部14の筐体16に形成されている。図6Bでは数個の金属端子15が形成されているが、実際には例えば数十個の金属端子15が形成される。筐体16は、例えば樹脂で形成することができる。
【0082】
この金属端子15は、コネクタ部14の筐体16に形成された図示しないスリットに圧入する、もしくはコネクタ部14の筐体16を成形等で作製する際に共にインサートモールドすることにより、筐体16を貫通して形成することができる。
この金属端子15を通じて、情報記憶装置を取り付けた外部の装置本体との信号のやり取りを行うことができる。
【0083】
コネクタ部14は、先の実施の形態の外部コネクタ7と同様に、密閉性を有する構成とされる。密閉性を実現するには、金属端子15と、この金属端子15が挿入されている筐体16との隙間、例えばそのスリットとの隙間を極めて小さくすればよい。
その方法としては、例えば前述した筐体16の成形時のインサートモールドや、筐体16に予め形成された金属端子15よりも狭いスリットに、金属端子15を圧入して隙間を極力なくす方法、等の方法がある。
そして、なおも残存した隙間に対しては、例えばエポキシ系の接着剤をコネクタ部14の内側及び外側から流し込む工程等を行うことにより、コネクタ部14の密閉性を確保することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、コネクタ部14とカートリッジ筐体2とを組み立てて密閉性を有するカートリッジを構成する点では、先の実施の形態と同様であるが、これらコネクタ部14及びカートリッジ筐体2が接合された部分の詳細な構成が先の実施の形態とは異なっている。
【0085】
図7に、図6Aのコネクタ部14とカートリッジ筐体2との接合部付近の拡大断面図を示す。
コネクタ部14の筐体16の端部には、外壁21と内壁22とが形成され、これら外壁21と内壁22の間に溝24が形成されている。
このコネクタ部14の溝部に、カートリッジ筐体2の先端部分の挿入部23が挿入される。
【0086】
また、溝24内には密閉部材として、パッキン(ガスケット)4が配置されている。
尚、先の実施の形態では断面略円形のパッキン4を使用していたが、本実施の形態では断面矩形のパッキン(ガスケット)4を使用している。さらに、先の実施の形態ではパッキン4が設けられた溝24は外壁21と内壁22との間の凹部に狭い幅の溝として形成されていたが、本実施の形態ではパッキン(ガスケット)が設けられた溝24は外壁21と内壁22との間の凹部と一致している。
そして、パッキン(ガスケット)4が、コネクタ部14の筐体16の溝24と、カートリッジ筐体2の挿入部23とに挟み込まれることにより、カートリッジ筐体2及びコネクタ部14の間が密閉される。これにより、カートリッジ筐体2・パッキン(ガスケット)4・コネクタ部14から成り、密閉性を有するカートリッジが構成される。
【0087】
パッキン(ガスケット)4を、外壁21及び内壁22により形成される溝24内に配置することにより、パッキン(ガスケット)4自体の引きつりや位置ずれは起こりにくくなる。
【0088】
内壁22は、パッキン(ガスケット)4の引きつりや位置ずれを確実に抑制するために、コネクタ部14の筐体16の先端部全周、又は先端部の大部分(例えば角部を除いた四辺の大部分)に設けることが望ましい。
尚、ハードディスク筐体の側に外壁・溝・内壁を設ける場合にも、内壁は全周もしくは大部分に設けられることが望ましい。
【0089】
もし、内壁22が存在しないとすると、パッキン(ガスケット)4の断面に合わせて、長手方向に直交する方向に対して、パッキン(ガスケット)4の引きつりが発生し易くなる。その結果、カートリッジ筐体2の挿入部23に対向する面即ち本来パッキン(ガスケット)4がある位置に対し、特に各辺の中央部で位置ずれが生じやすくなり、最悪の場合には、パッキン(ガスケット)4が内側に入り込んでしまい、挿入部23でいくら押しても密閉できなくなってしまう。
また、可搬時や移動時に、カートリッジの表面が押される可能性がある。特に接合部分付近のカートリッジ筐体2が押された場合には、挿入部23が内側にずれてしまい、パッキン(ガスケット)4のある面からはずれてしまうことがあり、密閉性を維持することができなくなる。
【0090】
パッキン(ガスケット)4は、その外縁が外壁21の内側に接するように作製することが望ましい。これは、外付け型の情報記憶装置の使用環境を考ると、平地から例えば数百m以上の高地に移動し内圧の方が高くなる確率(可能性)の方が、数mより深い水中で使用され外圧の方が高くなる確率(可能性)よりも高いと考えられるからである。
このように構成することにより、内圧の方が高く、差圧が大きくなったときには、内側から外壁方向に対して圧力が発生しようとするのを、パッキン(ガスケット)に接する外壁21で阻止することができる。
【0091】
パッキン(ガスケット)4の材料としては、先の実施の形態と同様に、有害なイオン系物質や有機ガスをほとんど発生しない材料を用いる。
例えば半導体用等で使用されているフッ素系ゴム(例えばデュポンダウエラストマー社のバイトン(登録商標))等が望ましいが、EPDM系のゴム材(例えばデュポンダウエラストマー社のノーデル(登録商標))でもよい。
【0092】
外壁21及び内壁22間の溝24の幅Wは、パッキン(ガスケット)4が圧縮されて応力を発生して、密閉部材として作用するのに必要な圧力が加えられたときに、圧力が印加される方向(溝の深さ方向)と直交する方向(溝の幅方向)に生じる膨らみ変形を阻害しない幅とする。
パッキン(ガスケット)4には、例えば上述したようなゴム系材料を使用した場合、圧力が加わったときに、密閉効果を発揮させ、且つ永久歪を生じない潰れ量は全厚の30%と言われており(出展:NOK社O−RINGSカタログ)、そのときのポアソン比は0.49(ゴム系材料の一般値)である。
従って、密閉効果を発揮させるためには、パッキン(ガスケット)4の幅WG(断面円形の場合は線径)に対して、溝24の幅Wを15%増し以上とすることが望ましい。
【0093】
さらに、パッキン(ガスケット)4は、その一部の平面図を図8Aに示すように、突起物のない平面形状とすることが望ましい。
これは、外壁21及び内壁22間の溝24は、筐体16の端部にあるため、面粗度があまり期待できないこと、さらに例えば筐体の剛性を上げるために樹脂に繊維等を加えた場合には、面粗度が悪化することが考えられるからである。
例えば図8Bに示すようにパッキン(ガスケット)がリップを有すると、線接触となるため、筐体2,16との接触面積が小さくなり密着が取れない部分が出てくる。
これに対して、図8Aに示したようにパッキン(ガスケット)4を平面形状とすることにより、面接触となるため接触面積が大きくなり、多少面状態が悪くても全体として密着が取り易くなる。
この観点によれば、パッキン(ガスケット)4には、面粗度に倣い易い程度の柔らかさを有するEPDM系のゴムを使用することがより望ましいことになる。
【0094】
さらに、密閉性を有するカートリッジ2,4,14にハードディスクドライブ1を収納した状態で、情報記憶装置全体としての比重が1.0以下になるように、カートリッジの寸法を設定することが望ましい。
即ちカートリッジの容積をV(ml),ハードディスクドライブ1を封入したときの重さをm(g重)とすると、m/Vの値が1.0以下になるようにVとmの値を決めてやればよい。
これにより、例えば搬送時に水辺で落下させたとしても、水中に没することなく浮かび上がる情報記憶装置を実現することができる。
尚、先の実施の形態の情報記憶装置においても、密閉性を有するカートリッジ2,4,7にハードディスクドライブ1を収納した状態で、全体としての比重が1.0以下になるように、カートリッジの寸法を設定することにより、同様の効果が得られる。
【0095】
上述の本実施の形態によれば、コネクタ部14が気密性を有し、このコネクタ部14をカートリッジの一部として用い、コネクタ部14の先端部に外壁21と内壁22が設けられ、これら外壁21及び内壁22の間の溝24にカートリッジ筐体2の先端部23が嵌め合わされると共に、この溝24にパッキン(ガスケット)4が設けられている。
そして、カートリッジ筐体2の先端部23と、コネクタ部14の溝24とによる押圧力でパッキン4を変形させ、溝24内にパッキン4による密閉構造を形成することができる。
従って、カートリッジ筐体2とパッキン(ガスケット)4と筐体状のコネクタ部14とにより密閉性を有するカートリッジが構成され、カートリッジの外部からの空気、イオン性物質、有機ガス、水が内部に侵入することを防止することができる。
これにより、カートリッジの外部と内部の気圧が大きくなる例えば高地等の環境でも、例えば火山地域や、温泉地、交通量の多い地域、工業地帯、海岸等の環境でも、また水中に落下させてしまったとしても、カートリッジの内部、特にハードディスクドライブ1内のハードディスク駆動機構部に悪影響を及ぼすことがなく、情報記憶装置を問題なく使用することが可能になる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、カートリッジの構成部品を、有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用していることにより、密閉性を有するカートリッジの内部において有害なイオン性物質や有機ガスが発生して、ハードディスクドライブ1の内部のハードディスク駆動機構部に侵入し、特にディスクとヘッドとのインターフェースへの悪影響を防止することができる。
【0097】
従って、屋外で使用されることもある外付け型の情報記憶装置においても、安定した記録再生動作を可能にし、室内で使用される据え置き型の情報記憶装置と同等以上のMTBF(平均故障間隔)を実現することが可能となる。
【0098】
続いて、図6〜図7に示した本発明の実施の形態のハードディスクドライブ装置(完全密閉型の構成の情報記憶装置)と、従来の開放型のハードディスクドライブ装置とを、それぞれ実際に作製して、想定される使用環境に合わせた条件下で実験を実施して、これらの装置を比較した。
【0099】
(実験1)
本発明に係る装置における、イオン性ガスに対する耐性の効果を確認するため、従来の開放型のハードディスクドライブ装置と図6〜図7に示した本発明の実施の形態のハードディスクドライブ装置即ち完全密閉型の構成との比較を行った。
温度40℃、SO2 濃度5ppmの温泉地を想定した環境に設定された密閉恒温層の中で、各装置を18日間保管し、その後内部のHDDを取り出して記録媒体上に付着したSO2 イオンの量を分析した。
その結果、従来の開放型の構成の装置では初期状態の3倍のイオン付着が見られたが、本発明に係る完全密閉型の構成の装置では初期状態と変化はなかった。
【0100】
(実験2)
本発明に係る装置における、気圧変化に対する耐性の効果を確認するため、従来の開放型のハードディスクドライブ装置と図6〜図7に示した本発明の実施の形態に示す完全密閉型のハードディスクドライブ装置との比較を行った。
温度20℃、密閉恒温層の中で、高山地帯を想定して気圧を1気圧から徐々に下げながら、各気圧において両者の動作確認を行った。
その結果、従来の開放型の構成の装置では0.4気圧程度から異音が発生してデータの送信ができなくなったのに対して、本発明に係る完全密閉型の構成の装置では0.2気圧まで下げてもデータ送信に対して初期状態と変化はなかった。
【0101】
(実験3)
本発明に係る装置における、耐水性の効果を確認するため、従来の開放型のハードディスクドライブ装置と図6〜図7に示した本発明の実施の形態に示す完全密閉型のハードディスクドライブ装置との比較を行った。
両者の装置を水中に投じて、その後の変化を調べた。
その結果、従来の開放型の構成の装置では完全に水中に没してしまったのに対して、本発明に係る完全密閉型の構成の装置は水面に浮かび、容易に回収することができた。
【0102】
尚、上述の各実施の形態では、いずれもハードディスク駆動機構部が収容された内筺体であるハードディスクドライブ1に呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)10を設けた構成であったが、本発明では呼吸フィルタを設ける構成に限定されるものではない。例えば、内筐体も密閉構造として情報記憶装置を構成することも可能である。
【0103】
内筐体も密閉構造とした場合には、内筐体の内部の構成部品を、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料により形成すれば、ハードディスク駆動機構部へ有害な物質が悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0104】
一方、内筐体に呼吸フィルタを設けて構成した場合には、内筐体及びその内部のハードディスク駆動機構部を、固定型(据え置き型)の情報記憶装置と共通にして、部品コストを低減することができる利点を有する。また、呼吸フィルタを通じてカートリッジ及び内筐体の間の隙間と空間がつながるので、空間の熱容量が大きくなることから、ハードディスクの駆動により発生した熱を内筐体の外に逃がして、ディスク付近の温度上昇を低減することが可能になると考えられる。
【0105】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【0106】
【発明の効果】
上述の本発明によれば、密閉性を有するカートリッジが構成されていることにより、カートリッジの外部からの空気、イオン性物質、有機ガス、水が内部に侵入することを防止することができる。
【0107】
また、本発明によれば、カートリッジ、コネクタ、並びにカートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質及び有機ガスをほとんど発生しない材料を使用していることにより、密閉性を有するカートリッジの内部において有害なイオン性物質や有機ガスが発生して、内部のディスクやヘッド等のハードディスク駆動機構部へ悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0108】
従って、本発明により、屋外で使用されることもある外付け型の情報記憶装置においても、安定した記録再生動作を可能にし、室内で使用される据え置き型の情報記憶装置と同等以上のMTBF(平均故障間隔)を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(分解斜視図)である。
【図2】図1の情報記憶装置において、ネジを使用して密閉構造を形成した形態を示す図である。
【図3】図1の情報記憶装置において、ネジを使用しないで密閉構造を形成した形態を示す図である。
【図4】図1のハードディスクドライブのブリーザーフィルタ通気孔周辺の断面図である。
【図5】海岸周辺で採取された海塩粒子の粒径分布を示す図である。
【図6】A 本発明の他の実施の形態の情報記憶装置の概略構成図(断面図)である。
B 図6Aのコネクタ部の正面図である。
【図7】図6Aのコネクタ部とカートリッジ筐体との接合部付近の拡大断面図である。
【図8】A 突起物のない平面形状のパッキン(ガスケット)の一部の平面図である。
B リップを有するパッキン(ガスケット)の一部の平面図である。
【図9】従来の一般的なハードディスクドライブ装置の要部の概略構成図である。
【図10】ハードディスクドライブ装置のディスク部及びその周辺の詳細を示す図である。
【符号の説明】
1 ハードディスクドライブ、2 カートリッジ筐体、3 緩衝材、4 パッキン、5 内部コネクタ、6 ハーネス、7 外部コネクタ、8 ネジ、10 呼吸フィルタ(ブリーザーフィルタ)、11 吸収層、12 フィルタ、14 コネクタ部、24 溝、34 ディスク
Claims (7)
- 機器本体に対して着脱自在とされる情報記憶装置であって、
記録媒体及び該記録媒体に対する情報の記録再生手段を内蔵したハードディスク駆動機構部と、
上記ハードディスク駆動機構部が内部に収容された内筐体と、
上記内筐体が内部に収容され、かつ密閉性を有するカートリッジとを備え、
上記カートリッジに、上記機器本体に接続されるコネクタが設けられ、
上記カートリッジ、上記コネクタ、並びに上記カートリッジの内部の構成部品に、有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられている
ことを特徴とする情報記憶装置。 - 上記密閉性を有するカートリッジは、上記コネクタの金属端子が筐体に隙間なく形成されて密閉性を有するコネクタ部と、他の筐体とが、該コネクタ部及び該他の筐体との間に設けられた密閉部材を挟んではめ合わせされて構成され、該密閉部材に有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられていることを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
- 上記ハードディスク駆動機構部が、上記内筐体に呼吸フィルタが設けられ、該呼吸フィルタはイオン性物質または有機系ガスの侵入を抑制するフィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
- 上記ハードディスク駆動機構部が、上記内筐体と上記カートリッジとの間に緩衝材が設けられ、該緩衝材に有害なイオン性物質や有機ガスをほとんど発生しない材料が用いられていることを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
- 上記コネクタ部は、上記他の筐体と嵌め合わされる先端部分に、外壁と内壁とを有し、該外壁及び該内壁の間に設けられた溝に上記密閉部材が挟みこまれていることを特徴とする請求項2に記載の情報記憶装置。
- 上記密閉部材がゴム系材料からなり、上記密閉部材の幅に対して上記溝の幅が15%以上広く形成されていることを特徴とする請求項5に記載の情報記憶装置。
- 装置全体の比重が1.0以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の情報記憶装置。
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JP2002300792A JP2004139636A (ja) | 2002-10-15 | 2002-10-15 | 情報記憶装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008130105A (ja) * | 2006-11-16 | 2008-06-05 | Victor Co Of Japan Ltd | ハードディスクドライブカートリッジ |
-
2002
- 2002-10-15 JP JP2002300792A patent/JP2004139636A/ja active Pending
Cited By (1)
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JP2008130105A (ja) * | 2006-11-16 | 2008-06-05 | Victor Co Of Japan Ltd | ハードディスクドライブカートリッジ |
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