JP2004139162A - タッチパネルの製造方法と、該製造方法で製造されるタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス製の透明板(21)の一方の面に導電性物質(22)を被着した固定側透明電極板(20)の導電性物質を被着した面に向けてインクジェットプリンタ(1)の噴孔(3)からインクを吹付けてドットスペーサ(30)を形成する。インクジェットプリンタにはECU(5)が接続され、吹付けをおこなうインクジェットプリンタの位置、吹付け回数等を予め定めたプログラムにしたがって任意に容易に変更することができる。同じ位置で複数回吹付ければドットスペーサを高くでき、ずらしながら吹付ければドットスペーサのサイズを拡大できる。インクを紫外線硬化型や熱硬化型や電子線硬化型にし、移動中のインク粒(3)に紫外線、赤外線、電子線を照射すると半硬化してからドットスペーサ形成面に衝突し、衝突時に潰れ難くドットスペーサが安定して形成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、それぞれ導電性物質を被着した可動側透明電極板と固定側透明電極板を有し、少なくとも一方の透明電極板の導電性物質を被着した面の上に形成されるドットスペーサを有するタッチパネルの製造方法、および、該製造方法で製造されるタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
タッチパネルは、LCD等の表示装置前面に設けられ、指または専用のペン等により表面を押下することで、これらを装備する電子機器に信号を入力する装置である。表示面をそのまま入力装置とすることができる為、マン−マシンインターフェースとして非常に優れており、民生産業用を問わず広く一般に用いられており、今後もますます需要が増えると思われている。
【0003】
タッチパネルには、タッチパネル表面が不用意に押された場合や過酷な環境で上部電極パネルが撓んだ場合に、上部電極パネルと下部電極パネル間がショートしない様に、非導電性材料による微小なドットスペーサがこの面に形成されている。
このドットスペーサは、従来、フォトリソグラフィ法、あるいは、スクリーン印刷法によって形成されてきた。これらの方法では、それぞれの製品に合わせた露光マスクやスクリーンマスクが必要であり、これらマスクは製作に長い期間を要し価格も高いものであり、顧客要求に合わせた製品対応を迅速に行う事が困難である。また、多くの薬品を使用しその処理のための設備投資も大きい。さらにマスクの破損や目詰まりによりドットスペーサの形状不良や欠損等が生じ易かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題に鑑み、安価、容易、迅速にドットスペーサを形成できるタッチパネルの製造方法、およびその製造方法で製造されるタッチパネルを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、透明板の一方の面に導電性物質を被着した固定側透明電極板と、透明板の一方の面に導電性物質を被着した可動側透明電極板であって、該導電性物質を被着した面が可動側透明電極板の導電性物質を被着した面に対向するように配置される可動側透明電極板と、少なくとも一方の透明電極板の導電性物質を被着した面上に形成される複数のドットスペーサを具備するタッチパネルの製造方法であって、
ドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを吹付けてドットスペーサを形成する、ことを特徴とするタッチパネルの製造方法が提供される。
【0006】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、インクジェットプリンタの位置を電子制御ユニットで予め定めたプログラムにしたがって移動する、ことを特徴とするタッチパネルの製造方法が提供される。
【0007】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、同一位置においてドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを複数回吹付けて各ドットスペーサを形成する、ことを特徴とするタッチパネルの製造方法が提供される。
【0008】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、インクジェットプリンタを所定量ずらしながらドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを複数回吹付けて各ドットスペーサを形成する、ことを特徴とするタッチパネルの製造方法が提供される。
【0009】
請求項5の発明では、請求項1の発明において、インクを紫外線硬化型インクとし、インクジェットプリンタからドットスペーサ形成面に向かって移動中のインクに紫外線を照射することを特徴とするタッチパネルの製造方法が提供される。
請求項6の発明では、請求項1の発明において、インクを熱硬化型インクとし、インクジェットプリンタからドットスペーサ形成面に向かって移動中のインクに赤外線を照射することを特徴とするタッチパネルの製造方法が提供される。
請求項7の発明では、請求項1の発明において、インクを電子線硬化型インクとし、インクジェットプリンタからパネルに向かって移動中のインクに電子線を照射することを特徴とするタッチパネルの製造方法が提供される。
【0010】
請求項8の発明では、透明板の一方の面に導電性物質を被着した固定側透明電極板と、透明板の一方の面に導電性物質を被着した可動側透明電極板であって、該導電性物質を被着した面が可動側透明電極板の導電性物質を被着した面に対向するように配置される可動側透明電極板と、少なくとも一方の透明電極板の導電性物質を被着した面上に形成される複数のドットスペーサを具備するタッチパネルであって、
ドットスペーサがドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを吹付けて形成されている、ことを特徴とするタッチパネルが提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すのが第1の実施の形態を説明する図であって、1はインクジェットプリンタであって、インクジェットプリンタ1は、例えば、パソコン用の印刷機に使用されているのと同じものであって、詳細は図示しないが、内部で、ピエゾ素子等によりインクに圧力変化を印加し、それを噴孔2から高速で射出して対象物にインクを吹付けるものである。噴孔2から射出されたインク粒3は固定側透明電極板20の表面に衝突し、その衝撃によりつぶれて拡がりながら表面に付着し、その後、硬化してドットスペーサ30を形成する。
【0012】
なお、この実施の形態で使用されるインクジェットプリンタ1の解像度は1440dpiであり、固定側透明電極板20は厚さ約1mmのガラス製の透明板21の一方の面にITOから成る導電性物質22を被着したものであり、導電性物質22を被着した面に向かってインクを吹付けてドットスペーサ30が形成される。透明板21は、ガラス以外のポリカーボネイト、アクリルやポリエチレンテレフタレート等のプラスチック板でも良い。
【0013】
プリンタ1にはECU(電子コントロールユニット)5が接続されていて、インク粒3を吹付ける時のインクジェットプリンタ1の位置、吹付け回数等を予めさだめたプログラムにしたがって任意に動かすことができ、その変更はプログラムの変更だけでできる。
【0014】
次に、第2の実施の形態について説明する。前述したようにインク粒3は透明電極板20の表面に衝突した時に衝撃によりつぶれて拡がってしまい、1回の射出だけでは十分な高さを得ることができない。第2の実施の形態は、これに対応するものであって、同じ場所で複数回インクを吹付けるようにしたものである。図2がこの第2の実施の形態を説明する図であって、このようにすることにより、ドットスペーサ30の高さを高くすることができる。そして、回数を調整することにより、所望の高さにすることができる。
【0015】
次に、第3の実施の形態について説明する。図3がこの第3の実施の形態を説明する図であって、各ドットスペーサ30はインクジェットプリンタ1を少しずつ移動しながら複数回インクを吹付けて形成される。このようにすることによりドットスペーサ30の径を大きくすることができる。そして、移動範囲を調整することにより、所望の大きさにすることができる。
【0016】
図3においてP0は形成すべきドットスペーサ30の中心位置であるが、このP0を囲むようにPa、Pb、Pcの位置にインクジェットプリンタ1の噴孔2の中心を合せて、各々の位置において、インクを吹付ける。このようにすることにより、Paで吹付けたインクによるドットスペーサ30aと、Pbで吹付けたインクによるドットスペーサ30bと、Pcで吹付けたインクによるドットスペーサ30cとが部分的にオーバーラップした大きなドットスペーサ30が形成される。オーバーラップしている部分は高さが高くなるがさらに高さを大きくしたい場合は第2の実施の形態と同じように同じ位置で複数回射出すればよい。
【0017】
次に第4の実施の形態について説明する。これはインクを紫外線硬化型インクとするとともに、図4に示すような紫外線照射装置6でインクジェットプリンタ1から透明電極板10に向かうインク粒3に紫外線を照射する。このようにすることによりインク粒3は途中で半硬化されてから透明電極板10に衝突するので、その衝撃によるつぶれが抑制され、一回のインク粒3の射出で形成されるドットスペーサの高さが第1の実施の形態に比べて大きくなり、ばらつきも減少する。
【0018】
インクを紫外線硬化型インクのかわりに熱硬化型インクとするとし、紫外線照射装置6のかわりに赤外線照射装置7とした場合、あるいは、インクを紫外線硬化型インクのかわりに電子線硬化型インクとし、紫外線照射装置6のかわりに赤外線照射装置7とした場合も、第4の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
【0019】
図5に示すのが、上記のようにドットスペーサ30が形成されるタッチパネルの、全体な構成を示す分解図である。10は可動側透明電極板であって、可動側透明電極板10はプラスチック製の可撓性透明板11に透明導電性物質12をスパッタリング等で被着して形成される。
【0020】
この可動側透明電極板10を、透明導電性物質12が被着された面を、上述のように表面にドットスペーサ30が形成される固定側透明電極板20の透明導電性物質12が被着された面、すなわちドットスペーサ30の形成された面に向かい合わせて、額縁部材40を介して、対向配置する。このようにして完成されるタッチパネルは、例えば、液晶表示装置100の上に配設される。
【0021】
図6が外周部の断面図であって、額縁部材40は、固定側透明電極板20上に配設される銀配線パターン50の上に絶縁材から成るレジスト50を塗布し、その上に両面接着テープ70の下面を貼着して成り、固定側透明電極板20の上にドットスペーサ30を形成してから形成され、両面接着テープ70の上面が可動側透明電極板10の下面に貼着される。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、タッチパネルのドットスペーサは、ドットスペーサを形成する面にインクジェットプリンタでインクを吹付けて形成される。
したがって、従来のフォトリソ法やスクリーン印刷法に比較して以下のような利点がある。
【0023】
(1)ドット高さの変更が容易である。
フォトリソ法では、ドットスペーサの高さは塗布レジストの厚みで決まってくる為、塗布厚により高さ制御が可能であるが、厚くすることで紫外線硬化に悪影響を与えるため、高さを高くすることが難しかった。また、スクリーン印刷法ではスクリーン厚やインクのチキソ性により高さ制御が可能であった、しかしこれら方法では、同一製品内での高さ可変は実質的に不可能である。
これに対し本発明の方法では、同一箇所に多数回インキを吹付けることで高さを自由に制御することが可能である。
【0024】
(2)ドットサイズの変更が容易である。
ドットサイズは、従来法では、マスクの穴径や遮光域のサイズにより固定されてしまったが、本発明の方法ではインクの射出位置をずらすことでドットサイズを小さなものから大きなものまで変えることができる。
【0025】
(3)印刷パターンの複雑化への対応が容易である。
近年のタッチパネルには高度な機能や性能が要求されてきており、この為、ドットスペーサにも不均等ピッチの採用など複雑なパターンとすることが要求されるようになっている。これら複雑なパターンは、従来技術では形成が困難でマスクの作成費用も高価なものであったが、本発明の方法では、インクジェットプリンタの位置を変えることで容易に対応が可能である。
【0026】
(4)ドット形成に要する時間が短い。
フォトリソ法では、レジスト塗布〜露光〜現像〜洗浄〜乾燥といった長い工程を経て形成されるため工程時間が長くなる。スクリーン印刷法は、印刷〜硬化といった短い工程であり、インクジェット印刷法も同じ工程での形成が可能である
【0027】
(5)ドット形成に薬品を使用しない。
フォトリソ法ではドットスペーサを形成するためにレジスト、現像液や洗浄液といった大量の薬品を必要とする。スクリーン印刷法もフォトリソ法ほどではないが残留インク等の洗浄に有機溶剤が大量に必要となる。これに対し、本発明の方法では、せいぜい、インクジェットプリンタのノズルの洗浄に少量の薬品を使用する程度である。
【0028】
(6)ドット形成のための設備投資が小さい。
フォトリソ法やスクリーン印刷法では、上述のように大量の薬品を必要とし、それらを供給するための設備、使用した薬品を廃棄する前に処理する設備に多額の設備投資が必要であるが、本発明の方法ではこれらが不要でインクジェットプリンタを準備するだけでよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明する図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を説明する図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を説明する図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態を説明する図である。
【図5】タッチパネルの全体の構成を説明する分解斜視図である。
【図6】図5のタッチパネルの周辺部分の断面図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ
2…噴孔
3…インク粒
5…ECU(電子制御ユニット)
10…可動側透明電極板
11…可撓性透明板
12…透明導電性物質
20…固定側透明電極板
21…透明板
22…透明導電性物質
30…ドットスペーサ
Claims (8)
- 透明板の一方の面に導電性物質を被着した固定側透明電極板と、透明板の一方の面に導電性物質を被着した可動側透明電極板であって、該導電性物質を被着した面が可動側透明電極板の導電性物質を被着した面に対向するように配置される可動側透明電極板と、少なくとも一方の透明電極板の導電性物質を被着した面上に形成される複数のドットスペーサを具備するタッチパネルの製造方法であって、
ドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを吹付けてドットスペーサを形成する、ことを特徴とするタッチパネルの製造方法。 - インクジェットプリンタの位置を電子制御ユニットで予め定めたプログラムにしたがって移動する、ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
- 同一位置においてドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを複数回吹付けて各ドットスペーサを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
- インクジェットプリンタを所定量ずらしながらドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを複数回吹付けて各ドットスペーサを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
- インクを紫外線硬化型インクとし、インクジェットプリンタからドットスペーサ形成面に向かって移動中のインクに紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
- インクを熱硬化型インクとし、インクジェットプリンタからドットスペーサ形成面に向かって移動中のインクに赤外線を照射することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
- インクを電子線硬化型インクとし、インクジェットプリンタからパネルに向かって移動中のインクに電子線を照射することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
- 透明板の一方の面に導電性物質を被着した固定側透明電極板と、透明板の一方の面に導電性物質を被着した可動側透明電極板であって、該導電性物質を被着した面が可動側透明電極板の導電性物質を被着した面に対向するように配置される可動側透明電極板と、少なくとも一方の透明電極板の導電性物質を被着した面上に形成される複数のドットスペーサを具備するタッチパネルの製造方法であって、
ドットスペーサがドットスペーサ形成面にインクジェットプリンタでインクを吹付けて形成されている、ことを特徴とするタッチパネル。
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