JP2004138522A - 腫瘍診断剤およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の腫瘍関連疾患の診断技術である画像診断や病理組織検査等よりも、正確かつ安価に腫瘍関連疾患を診断することのできる腫瘍診断剤およびこれらを利用した診断方法を提供すること。
【解決手段】サバイビンを認識する抗体を含有することを特徴とする腫瘍診断剤およびこれらを利用したグリオーマ、膀胱癌等の腫瘍関連疾患の診断方法。
【選択図】 なし
【解決手段】サバイビンを認識する抗体を含有することを特徴とする腫瘍診断剤およびこれらを利用したグリオーマ、膀胱癌等の腫瘍関連疾患の診断方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍関連疾患の診断等に使用することのできる腫瘍診断剤および腫瘍診断キット並びにこれを利用した腫瘍関連疾患の診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
腫瘍は、身体の細胞あるいは組織が自律的に過剰増殖したものであり、腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍とに分けられる。このうち悪性腫瘍は脳、食道、肝臓、膀胱等の様々な部位に形成され癌等を引き起こす。
【0003】
例えば、腫瘍の1種であるグリオーマ(神経膠腫)は、本来は神経細胞の間にあって色々な意味で神経細胞を支えているグリアという細胞が腫瘍化したもので、脳に発生する悪性腫瘍のうち、原発性脳腫瘍の約1/3を占める。グリオーマの中で最も多いのは星細胞腫で、その悪性度によって大きく4段階(グレード1〜4)に分けられる。
【0004】
グリオーマのうち、最も悪性度の低いグレード1は、小児の小脳に発生する星細胞腫で、この腫瘍だけはあまり周囲の脳に浸潤しないので、手術のみで治癒することも可能である。グレード2以上のグリオーマは手術だけでは再発することが多く、手術後に放射線や抗がん剤による化学療法、免疫療法などが行われる。特にグレード4のグリオーマは、脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い腫瘍のひとつで、膠芽腫(こうがしゅ)と呼ばれる。膠芽腫は、現在なお治療が困難な疾患であり、手術だけでは大半が数ヶ月以内に再発するため、術後の放射線療法や化学療法は必須である。
【0005】
現在、ほとんどの脳腫瘍の診断は、CTやMRIによって行われている。専門医は、この画像データと病理診断などを実施することにより、腫瘍の部位だけでなく、多くはその腫瘍の種類まで診断しているが、専門性を有し、また検査コストも高価になることから、低コストで簡便かつ客観的な診断技術が望まれていた。
【0006】
また、前記したグリオーマの悪性度の判定は、患者の血管撮影、MRI、CT、病理診断などの検査をし、様々な角度より総合的に判定しており、この判定結果は患者の治療法を決めるための指標の一つとされている。しかし、悪性度と患者の予後が一致しないケースがあり、特にWHOの診断基準でグレード3以下と評価される症例では、個々の患者についての予後にばらつきが見られ、より正確に悪性度を決定する方法の確立が望まれている。
【0007】
一方、膀胱癌は、尿路(腎臓・腎盂、尿管、膀胱、尿道)に発生する悪性腫瘍の中で最も頻度が高い腫瘍である。発生のピークは60〜70歳で、男女比は約3:1と男性に多く見られる。その病因は、特殊な染料や化学薬品などにおいては膀胱発癌作用があることがわかっているが、一般に大部分は原因不明である。また喫煙者や特定の鎮痛薬の常用者では4〜10倍多いといわれている。
【0008】
また、膀胱癌の組織型はその約95%が移行上皮癌で、しばしば多発し、再発を繰り返す。この膀胱癌も細胞の異型度(悪性度)により4段階に分類されており、この異型度と腫瘍深達度はその予後とよく相関すると言われている。また、腫瘍深達度で重要な点は筋層への浸潤の有無であり、これが治療方針決定の上で重要である。膀胱癌の初発症状として最も多いのは血尿で、しかも通常は無痛性かつ肉眼的であり(無症候性血尿)、その他排尿障害、膀胱刺激症状がその主症状となることがある。
【0009】
現在、膀胱癌の診断には膀胱鏡(内視鏡検査)が最も重要で広く行われている。また、明らかな隆起を伴わない上皮内癌では尿細胞診も有用であり、更に、腫瘍の深達度を検索するために各種の画像診断(CT、MRI、超音波など)が行われる。最終的にはこれらの結果と、腫瘍の一部を採取して行う病理組織学的検査の結果を合わせ診断が行われる。このように、現在、膀胱癌は病理組織や、尿の細胞診、さらには高価な画像技術などの様々な角度より総合的に判定しているが、より安価で簡便かつ客観的な診断技術が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は従来よりも簡便に、腫瘍関連疾患、例えば、グリオーマや膀胱癌等の診断や、悪性度の判定を容易に行うことのできる診断技術の提供をその課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行っていたところ、グリオーマ患者の脳組織中にサバイビンと呼ばれるタンパクが発現している細胞が多いことを知った。また、この陽性頻度は悪性度が強くなるにつれて高くなっていることも知った。他方、本発明者らは膀胱癌患者の尿検体中からもサバイビンが検出されることを知った。
【0012】
これらの知見から本発明者らは、サバイビンがグリオーマや膀胱癌等の腫瘍関連疾患のマーカーとして利用できるものであることを見出した。そしてこのサバイビンを特異的に認識する抗体を使用すれば、腫瘍診断剤や腫瘍診断キットを得ることができ、これを利用することでグリオーマや膀胱癌等の腫瘍関連疾患の診断が簡便に行えることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明はサバイビンを認識する抗体を含有することを特徴とする腫瘍診断剤を提供するものである。
【0014】
また本発明は、サバイビンを認識する抗体を含有する第1の試薬と、標識された、サバイビンを認識する抗体に対する第2の抗体を含有する第2の試薬とを組合せてなることを特徴とする腫瘍診断キットを提供するものである。
【0015】
更に本発明は、サバイビンを認識する第1の抗体を含有する第1の試薬と、第1の抗体が認識するサバイビンのエピトープと異なるエピトープを認識する第3の抗体を含有する第3の試薬とを組み合わせてなり、それら試薬の一方の抗体が固相化されており、他方の抗体が標識化されていることを特徴とする腫瘍診断キットを提供するものである。
【0016】
また更に本発明は、脳組織検体中のサバイビンを免疫組織染色し、次いで全細胞に対するサバイビン陽性細胞数の比率を測定し、その値からグリオーマの悪性度を判定することを特徴とするグリオーマの悪性度判定方法を提供するものである。
【0017】
更にまた本発明は、尿検体中のサバイビンを検出することを特徴とする膀胱癌の診断方法を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の腫瘍診断剤(以下、「本発明診断剤」という)に使用される抗体は、サバイビン(survivin)を認識する抗体である。この抗体を得るための抗原として使用されるサバイビンは、バキュロウィルス由来のアポトーシス阻害タンパク質に含まれる、アポトーシス阻害ドメインと相同性のあるアミノ酸配列を含む蛋白の一つとして同定されているものである。その作用は活性型Caspase−3に結合し、そのタンパク質分解活性を阻害することである。また、サバイビンを欠損した細胞は増殖が阻害されることが知られており、細胞の増殖に必須の蛋白であると考えられる。このサバイビンは、生体内では多くのヒト癌細胞やリンパ腫で発現しており、癌細胞の増殖に関与していると考えられている。
【0019】
このように、サバイビン自体は公知であるが、このものとグリオーマや膀胱癌との関連についてはほとんど知られておらず、また、脳組織検体や尿検体中のサバイビンの量等を測定することによりこれらの腫瘍関連疾患の診断ができることは全く知られていなかった。
【0020】
本発明診断剤に含有されるサバイビンを認識する抗体(以下、「抗サバイビン抗体」という)は、サバイビンを特異的に認識する抗体であれば特に限定されず、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれも使用することができる。また、抗原となるサバイビンあるいはそのフラグメントペプチドは、得られた抗体がサバイビンを特異的に検出可能なものであれば、その起源について特に制約はなく、ヒト由来のものでなくても良い。
【0021】
サバイビンタンパクあるいはそのフラグメントペプチドを抗原として使用し、抗サバイビン抗体を調製するには、公知の方法、例えば「続生化学実験講座、免疫生化学研究法(日本生化学会編)」等に記載の方法に従えば良い。
【0022】
具体的に、抗サバイビン抗体を調製する手順を示せば次の通りである。すなわち、ポリクローナル抗体として抗サバイビン抗体を調製するには、まず、サバイビンのcDNA配列(Accession No. U75285)をコードするcDNAである配列表の配列番号1で示されるポリヌクレオチドをPCR法により作製する。次いで、これをpQE等のベクターに組み込み、このベクターを大腸菌等の宿主微生物に導入し、LB培地等で培養して配列表の配列番号2で示されるポリペプチドのリコンビナントタンパク質を産生させる。次いで、得られたリコンビナントタンパク質を抗原とし、これをリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)に溶解し、更にこれらとフロイント完全アジュバントまたは不完全アジュバントあるいはミョウバン等の補助剤と結合した後、これを免疫原として哺乳動物などを免疫する。
【0023】
免疫される動物としては当該分野で常用されたもの、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ等のいずれをも使用することができる。また、免疫の際の免疫原の投与法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射のいずれでもよいが、皮下注射または腹腔内注射が好ましい。免疫は1回または適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の間隔で複数回行うことができる。
【0024】
最後に、常法に従い、免疫した動物から血液を採取し、この血液から血清を分離し、この血清中からサバイビンを認識するポリクローナル抗体を得ることができる。
【0025】
また、モノクローナル抗体として抗サバイビン抗体を調製するには、モノクローナル抗体調製の常法に従い、上記リコンビナントタンパク質で動物を免疫して得た免疫細胞と、ミエローマ細胞とを融合させてハイブリドーマを得、当該ハイブリドーマの培養物から抗体を採取することによって得ることができる。
【0026】
かくして得られた抗サバイビン抗体は、必要により標識ないし固相化して、本発明の本発明診断剤あるいは診断用キットに適した形にすることができる。このうち標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下、「HRP」という)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などの標識物質を結合することにより行われる。また、固相化は、適切な固相に抗サバイビン抗体を結合させることにより行われる。固相としては、免疫化学的測定法において慣用される固相のいずれをも使用することができ、例えば、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレート、アミノ基結合型のマイクロタイタープレート等のプレートや、各種のピーズ類が挙げられる。抗サバイビン抗体を固相化させるには、例えば、抗体を含む緩衝液を担体上に加え、インキュベーションすればよい。
【0027】
本発明診断剤あるいはキットは、上記のようにして作製された抗サバイビン抗体により、腫瘍細胞中のサバイビンや細胞外へ放出されたサバイビンの存在やその量を検出することができるものである。そして、この抗サバイビン抗体を利用する免疫組織染色によりサバイビンの組織中での存在を検出したり、検体中のサバイビンの量を測定をすることで、グリーオーマの悪性度の判定や膀胱癌の診断等の腫瘍関連疾患の診断等を行うことができる。
【0028】
具体的に、本発明の診断キットを用いたグリオーマの悪性度の判定は、例えば、脳組織を検体として用い、この検体に本発明診断剤を作用させ、常法により免疫組織染色し、染色された細胞(サバイビン陽性細胞)の割合を求めることにより行うことができる。
【0029】
グリオーマの悪性度を診断するのに用いる検体としては、開頭手術等により外科的に摘出した脳組織を使用する。この検体は必要により適宜固定を行う。この固定には中性ホルマリン、10%ホルマリン、アセトン、メタノール等を含有する緩衝液等の固定液を使用することができる。その固定液の組成や固定法は、公知の手段により実施される(例えば、「改訂版 酵素抗体法」、編集 渡辺慶一、中根一穂 学際企画株式会社出版等参照)。固定後の組織は、ミクロトームにより薄切し、プレパラート上に乗せパラフィン切片とする。また、パラフィン切片に代えて、凍結切片を用いることも出来る。
【0030】
また、免疫組織染色は、公知の手段により実施される(例えば、「改訂版酵素抗体法」、編集 渡辺慶一、中根一穂 学際企画株式会社出版等参照)。すなわち、上記検体のパラフィン切片を脱パラフィン操作後、抗サバイビン抗体を含む本発明診断剤を用いてABC法、直接標識酵素抗体法、LSAB(Labelled Strept Avidin Biotin)法、SABC(Strept Avidin Biotin Complex)法、Envision(DAKO社製)、MAX−PO(ニチレイ社製)等を利用したポリマー法等により免疫組織染色が実施される。
【0031】
具体的にABC法による免疫組織染色は次の手順により行われる。まず組織上に存在するサバイビンを抗サバイビン抗体により捕捉し、サバイビン/一次抗体複合体を生成させる。更に、組織を洗浄後、この一次抗体に対する抗体(一般には、一次抗体を得た動物のIgに対する抗体)にビオチンを標識した二次抗体を加え、サバイビン/一次抗体複合体と結合させ、サバイビン/一次抗体複合体/ビオチン標識二次抗体を生成させる。ついで、ビオチンと共有結合できるストレプトアビジンに西洋わさびペルオキシダーゼ(以下、「HRP」という)を反応させ、最後に当該複合体の標識を発色剤により発色させる。この発色量によりサバイビンの量を測定することができる。
【0032】
上記のようにして測定されたサバイビン量からも、グリオーマの診断が可能であるが、より正確に悪性度を識別するためには、全観察細胞数に対するサバイビン陽性細胞数の比率を測定してサバイビンインデックス(%)を算出し、この値からグリオーマの悪性度を判定するのが好ましい。具体的に顕微鏡を用いて細胞数を観察する場合、サバイビンインデックス(%)は下記式1により算出される。
【0033】
【式1】
【0034】
上記式1により算出されたサバイビンインデックスが80%未満であると生存率が長く予後の良好な低悪性度のグリオーマであると判定され、サバイビンインデックスが80%以上であると生存率の短い高悪性度のグリオーマが存在すると判定される。
【0035】
また、上記のようにグリオーマの悪性度を判定するにはサバイビンを認識する一次抗体を含有する第1の試薬と、サバイビンを認識する抗体の起源である動物のIgに対する抗体に標識した第2の抗体(第二抗体)を含む第2の試薬とを含有することを特徴とする腫瘍診断キットを作製し、これを免疫組織染色に使用することが好ましい。
【0036】
一方、具体的に本発明診断キットによる膀胱癌の診断は、例えば、尿等を検体として用い、この検体中のサバイビン量を、本発明診断剤を用いたサンドイッチ法、RIA法、ネフェロメトリー法、免疫比濁法等の免疫測定法における公知の手段により測定し、その量により膀胱癌を診断することができる。
【0037】
膀胱癌を診断するのに用いる検体としては尿を使用することができ、特に早朝尿を採取後すぐに使用するのが好ましい。この尿検体は、必要により適宜希釈してから使用することができ、この希釈にはリン酸、炭酸、トリス等を含有する緩衝液や、生理食塩水等を使用することができる。
【0038】
具体的に本発明診断キットを用いたサンドイッチ法は、次の手順により行われる。まず抗サバイビン抗体(1次抗体)が固定化された担体を、例えばBSAによりブロッキングする。次に、これに濃度を変化させた上記試料を加え、サバイビン/一次抗体複合体を生成させ、担体上に固定する。更に、この担体を洗浄後、標識された、一次抗体と異なるエピトープを認識する抗サバイビン抗体(二次抗体)を加え、サバイビン/一次抗体複合体と結合させる。最後に当該複合体の標識量を測定し、予め作成した検量線から検体中のサバイビンの量を決定することができる。
【0039】
上記測定において、抗サバイビン抗体を固相化するために使用する担体としては、例えば、ガラスチューブ、ポリスチレンビーズ、マイクロタイタープレート、メンブレン等、常用されるものをいずれも使用することができる。この担体の好ましい例としては、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレートあるいは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートが挙げられる。また、抗サバイビン抗体を標識化するのに使用される標識物質としては、HRP、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などが挙げられる。これらの固相化方法や標識方法は、いずれも周知であり、公知の方法により行うことができる。
【0040】
このようにして測定された尿検体中のサバイビンの量が、検出感度以下(測定不能)であれば膀胱癌である確率が低く、定量された場合には膀胱癌である確率が高いと判断することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約を受けるものではない。
【0042】
実 施 例 1
サバイビンを特異的に認識する抗体の調製:
(1)免疫原の調製
ヒトサバイビンのアミノ酸配列をコードするcDNAであるポリヌクレオチド(配列番号1)をpProEx3 GSTベクター(ライフテクノロジー社製)に組換え、大腸菌のコンピテントセル(JM109)に導入した。次いで、この大腸菌をイソプロピル−β−D(−)チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した後一晩培養し、ヒトサバイビンのリコンビナントタンパク質とグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質(以下、これを「サバイビンの融合タンパク質」という)を生成させた。この大腸菌の細胞膜を破壊することによりサバイビンの融合タンパク質を抽出した後、グルタチオンカラム(ライフテクノロジー社製)で精製した。
【0043】
(2)ポリクローナル抗体の作製
ポリクローナル抗体の作製に用いる免疫動物としてはウサギを用いた。上記(1)で作製したサバイビンの融合タンパク質100μgとコンプリートアジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、これをウサギに免疫した。免疫1週間後に、サバイビンの融合タンパク質の100μgとインコンプリートアジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、ウサギに追加免疫し、以後同様の操作を各週の間隔で3回行った。その後、全採血を行い1,500rpmで15分間の遠心により抗血清を分離し、ポリクローナル抗体を得た。
【0044】
(3)ウエスタンブロッティング
次に、(2)で得られたポリクローナル抗体がサバイビンを認識することを確認するために、サバイビンの融合タンパク質およびグリオーマ SNB19細胞をホモジナイズしたものを電気泳動し、ウエスタンブロッティングを行った。
【0045】
自家調整した12.5%のポリアクリルアミドゲル上、レムリ(Laemmli)の方法で電気泳動(SDS−PAGE法)を行った。電気泳動されたタンパクは、PVDF膜(NEN社製)へ電気的に転写した。メンブレンは10%牛胎児血清を添加した10mM トリス緩衝食塩水(TBS)でブロッキングし、0.2%のTween80を添加したTBS(TBS T)で1,000〜10,000倍希釈したポリクローナル抗体と4℃で一晩反応させた。次いで、メンブレンをTBS Tで洗浄し、アルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG(Cappel社製)を2,000倍に希釈して2次抗体として一時間反応させ、洗浄後にAttoPhos基質(ロッシュ社製)と反応させ、その蛍光を観察した。
【0046】
ウエスタンブロットの結果を図1に示す。上記で作製されたポリクローナル抗体は16.5および14kDa付近にサバイビンに相当する濃いバンドを確認し、この抗体がサバイビンのみを認識することが確認できた。
【0047】
実 施 例 2
脳組織中のサバイビンの検出:
(1)臨床検体
インフォームドコンセントを得たグリオーマ患者30例の、外科的に切除した脳組織を試料とした。この試料を、あらかじめ中性ホルマリン溶液に一昼夜浸し、固定を行った。固定後、パラフィンにより包埋しブロック切片を作成し、このブロック切片をミクロトームにより4μmに薄切し、プレパラート上に乗せパラフィン切片を作成した。病理診断による内訳は、グレード1が1例、グレード2が9例、グレード3が12例、グレード4が8例の計30例である。
【0048】
(2)測定と結果
パラフィン切片をキシレン濃度系列溶液とアルコール濃度系列溶液により、脱パラフィン・親水化した後、ベンタナ社の自動免疫組織染色装置を用いて免疫組織染色を行った。本装置で行った具体的な工程は以下の通りである。まず、3%過酸化水素溶液にて組織上を覆い、内因性パーオキシダーゼのブロッキング操作を行った。次いで、これをPBSにて良く洗浄後、5倍希釈の正常ヤギ血清で組織上を覆い、非特異反応部位のブロッキング操作を行った。PBSで良く洗浄した後、実施例1で得られたポリクローナル抗体をPBSにて250倍希釈した抗体液で組織上を覆い、一次反応として、4℃で一夜反応させた。反応後、PBSで良く洗浄し、調整済みのビオチン標識ヤギ抗ウサギIgG二次抗体にて組織上を覆い、室温で30分反応させた。PBSで良く洗浄した後、調整済みのHRP標識ストレプトアビジンにて組織上を覆い、室温で30分反応させた。最後に充分にPBSで洗浄した後、調整したジアミノベンチジン(DAB)溶液で組織上を覆い、15分間反応させた。核の対比染色としてヘマトキシリン溶液中に数秒浸し、良く水洗した。上記のように処理した組織を装置から取り出した後、脱水・透徹・封入操作を行い、顕微鏡下で検鏡観察した。
【0049】
免疫組織染色の結果を図2に示す。図2のAがグレード1のグリオーマ症例およびBはグレード4のグリオーマ症例を示す。明らかな陽性染色が認められる細胞をサバイビン陽性細胞とし、一視野中に認められる全細胞数に対するサバイビン陽性細胞数の割合をサバイビンインデックス(%)として下記式2により求めた。
【0050】
【式2】
【0051】
サバイビンインデックスを算出した結果を表1に示す。表1を病理診断のグレードで分類し、具現化したものを図3に示す。これらより、サバイビンインデックスと病理診断で示されるグレードとの相関が認められた。すなわち、インデックスが80%未満のものを低悪性度、インデックスが80%以上のものを高悪性度のグリオーマであると判定できた。
【0052】
また、Kaplan Meier法で累積生存率を計算した結果を図4に示す。サバイビンインデックスで抗悪性度(インデックスが80%以上)である患者の場合には、全グレードの患者について解析した結果(図4のA)でも、病理診断ではグレード3以下の軽度と診断された患者のみに限定しても(図4のB)、低悪性度の患者に比べて予後が不良であった。従って、サバイビンインデックスにより従来の診断法よりも正確に予後を予測することができる。
【0053】
【表1】
【0054】
実 施 例 3
サンドイッチELISA法の構築とサバイビンの測定法:
サンドイッチELISA法の構築は以下のように行った。実施例1で作製したポリクローナル抗体の5μg/mlの濃度調整液を10μlずつ96ウェルのELISA用プレートに加えた。4℃で一晩反応させた後、1%BSA/PBS/NaN3溶液にてブロッキングを行い、この状態をサンドイッチELISA用プレートとした。同じ抗体にHRPを酸化法にて結合した抗体を標識抗体とした。これらのサンドイッチELISA用プレートと標識抗体の組合せでサンドイッチELISA系を作製した。標準サバイビンは実施例1(1)で作成したサバイビンの融合タンパク質を用い、既知のタンパク量から得られる吸光度とタンパク濃度との標準曲線をあらかじめ求め、実際のサンプル測定で得られる吸光度よりそのタンパク量を測定した。
【0055】
上記のようにして構築されたサンドイッチELISA法を用い、サバイビンの測定を以下のように行った。まず、サンドイッチELISA用プレートに、サバイビンの標準液を100μl加え、37℃で1時間反応させた。反応後、0.05%のTween20を添加したPBSでプレートを洗浄し、標識抗体を100μl加え、4℃で30分間反応させた。反応後、十分に洗浄してから、TMB(Tetramethyl benzidine)溶液を100μl加え、室温、遮光下30分放置した。1N硫酸で反応を止め、450nmの吸光度を測定した。測定した吸光度と上記の標準曲線よりサバイビンの濃度を求めることができた。
【0056】
実 施 例 4
尿中のサバイビンの測定:
(1)臨床検体
インフォームドコンセントを得た健常人および膀胱癌患者の早朝尿を検体として用いた。検体の内訳は、健常人1例、膀胱癌患者16例である。
【0057】
(2)測定と結果
実施例3に示した方法に従って各検体中のサバイビンを測定し、実施例3で作成した標準曲線により尿検体中のサバイビン濃度を求めた。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表2より、健常人尿ではサバイビンは全く検出できなかった(2ng/ml以下)のに対し、膀胱癌患者においては14例中13例についてサバイビンを測定することができた。このように正常と膀胱癌を判定することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の腫瘍診断剤および腫瘍診断キットはグリオーマや膀胱癌等の腫瘍関連疾患の診断等に好適に使用することができる。
【0061】
特に、本発明の腫瘍診断剤等を使用すれば、従来の診断技術である画像診断などより正確かつ簡便にグリオーマの診断が可能であり、また、にグリオーマの悪性度も判定することができる。
【0062】
また、本発明の腫瘍診断剤等を使用すれば、従来の診断技術である画像診断や尿細胞診、病理組織診断などより簡便に測定が可能である。そして、本発明の診断方法では、従来より病院などの検査室で汎用されている自動比色装置がそのまま使用可能であり、簡便に膀胱癌の存在を判断することができるものであり、医療経済上有利なものである。
【0063】
更に、検体として、尿を使用することができるので、従来のように、肉体的あるいは精神的苦痛を伴う必要がないということも本発明のメリットである。
【0064】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作成された抗体の特異性を示す図である。
【図2】実施例1で作成された抗体による、グリオーマ患者の脳組織の免疫組織染色を示す写真である(Aはグレード1のグリオーマ症例、Bはグレード4のグリオーマ症例)。
【図3】実施例2で作成されたサバイビンインデックスとグリオーマの悪性度との関係を示す図である。
【図4】実施例2で作成された、サバイビンインデックスに基づくグリオーマの高悪性度と低悪性度の患者についての生存率の差異を示す図である(Aは全グレードの患者について解析した結果、Bは病理診断ではグレード3以下の軽度と診断された患者について解析した結果)。
以 上
【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍関連疾患の診断等に使用することのできる腫瘍診断剤および腫瘍診断キット並びにこれを利用した腫瘍関連疾患の診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
腫瘍は、身体の細胞あるいは組織が自律的に過剰増殖したものであり、腫瘍は良性腫瘍と悪性腫瘍とに分けられる。このうち悪性腫瘍は脳、食道、肝臓、膀胱等の様々な部位に形成され癌等を引き起こす。
【0003】
例えば、腫瘍の1種であるグリオーマ(神経膠腫)は、本来は神経細胞の間にあって色々な意味で神経細胞を支えているグリアという細胞が腫瘍化したもので、脳に発生する悪性腫瘍のうち、原発性脳腫瘍の約1/3を占める。グリオーマの中で最も多いのは星細胞腫で、その悪性度によって大きく4段階(グレード1〜4)に分けられる。
【0004】
グリオーマのうち、最も悪性度の低いグレード1は、小児の小脳に発生する星細胞腫で、この腫瘍だけはあまり周囲の脳に浸潤しないので、手術のみで治癒することも可能である。グレード2以上のグリオーマは手術だけでは再発することが多く、手術後に放射線や抗がん剤による化学療法、免疫療法などが行われる。特にグレード4のグリオーマは、脳腫瘍の中でも最も悪性度の高い腫瘍のひとつで、膠芽腫(こうがしゅ)と呼ばれる。膠芽腫は、現在なお治療が困難な疾患であり、手術だけでは大半が数ヶ月以内に再発するため、術後の放射線療法や化学療法は必須である。
【0005】
現在、ほとんどの脳腫瘍の診断は、CTやMRIによって行われている。専門医は、この画像データと病理診断などを実施することにより、腫瘍の部位だけでなく、多くはその腫瘍の種類まで診断しているが、専門性を有し、また検査コストも高価になることから、低コストで簡便かつ客観的な診断技術が望まれていた。
【0006】
また、前記したグリオーマの悪性度の判定は、患者の血管撮影、MRI、CT、病理診断などの検査をし、様々な角度より総合的に判定しており、この判定結果は患者の治療法を決めるための指標の一つとされている。しかし、悪性度と患者の予後が一致しないケースがあり、特にWHOの診断基準でグレード3以下と評価される症例では、個々の患者についての予後にばらつきが見られ、より正確に悪性度を決定する方法の確立が望まれている。
【0007】
一方、膀胱癌は、尿路(腎臓・腎盂、尿管、膀胱、尿道)に発生する悪性腫瘍の中で最も頻度が高い腫瘍である。発生のピークは60〜70歳で、男女比は約3:1と男性に多く見られる。その病因は、特殊な染料や化学薬品などにおいては膀胱発癌作用があることがわかっているが、一般に大部分は原因不明である。また喫煙者や特定の鎮痛薬の常用者では4〜10倍多いといわれている。
【0008】
また、膀胱癌の組織型はその約95%が移行上皮癌で、しばしば多発し、再発を繰り返す。この膀胱癌も細胞の異型度(悪性度)により4段階に分類されており、この異型度と腫瘍深達度はその予後とよく相関すると言われている。また、腫瘍深達度で重要な点は筋層への浸潤の有無であり、これが治療方針決定の上で重要である。膀胱癌の初発症状として最も多いのは血尿で、しかも通常は無痛性かつ肉眼的であり(無症候性血尿)、その他排尿障害、膀胱刺激症状がその主症状となることがある。
【0009】
現在、膀胱癌の診断には膀胱鏡(内視鏡検査)が最も重要で広く行われている。また、明らかな隆起を伴わない上皮内癌では尿細胞診も有用であり、更に、腫瘍の深達度を検索するために各種の画像診断(CT、MRI、超音波など)が行われる。最終的にはこれらの結果と、腫瘍の一部を採取して行う病理組織学的検査の結果を合わせ診断が行われる。このように、現在、膀胱癌は病理組織や、尿の細胞診、さらには高価な画像技術などの様々な角度より総合的に判定しているが、より安価で簡便かつ客観的な診断技術が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は従来よりも簡便に、腫瘍関連疾患、例えば、グリオーマや膀胱癌等の診断や、悪性度の判定を容易に行うことのできる診断技術の提供をその課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を行っていたところ、グリオーマ患者の脳組織中にサバイビンと呼ばれるタンパクが発現している細胞が多いことを知った。また、この陽性頻度は悪性度が強くなるにつれて高くなっていることも知った。他方、本発明者らは膀胱癌患者の尿検体中からもサバイビンが検出されることを知った。
【0012】
これらの知見から本発明者らは、サバイビンがグリオーマや膀胱癌等の腫瘍関連疾患のマーカーとして利用できるものであることを見出した。そしてこのサバイビンを特異的に認識する抗体を使用すれば、腫瘍診断剤や腫瘍診断キットを得ることができ、これを利用することでグリオーマや膀胱癌等の腫瘍関連疾患の診断が簡便に行えることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明はサバイビンを認識する抗体を含有することを特徴とする腫瘍診断剤を提供するものである。
【0014】
また本発明は、サバイビンを認識する抗体を含有する第1の試薬と、標識された、サバイビンを認識する抗体に対する第2の抗体を含有する第2の試薬とを組合せてなることを特徴とする腫瘍診断キットを提供するものである。
【0015】
更に本発明は、サバイビンを認識する第1の抗体を含有する第1の試薬と、第1の抗体が認識するサバイビンのエピトープと異なるエピトープを認識する第3の抗体を含有する第3の試薬とを組み合わせてなり、それら試薬の一方の抗体が固相化されており、他方の抗体が標識化されていることを特徴とする腫瘍診断キットを提供するものである。
【0016】
また更に本発明は、脳組織検体中のサバイビンを免疫組織染色し、次いで全細胞に対するサバイビン陽性細胞数の比率を測定し、その値からグリオーマの悪性度を判定することを特徴とするグリオーマの悪性度判定方法を提供するものである。
【0017】
更にまた本発明は、尿検体中のサバイビンを検出することを特徴とする膀胱癌の診断方法を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の腫瘍診断剤(以下、「本発明診断剤」という)に使用される抗体は、サバイビン(survivin)を認識する抗体である。この抗体を得るための抗原として使用されるサバイビンは、バキュロウィルス由来のアポトーシス阻害タンパク質に含まれる、アポトーシス阻害ドメインと相同性のあるアミノ酸配列を含む蛋白の一つとして同定されているものである。その作用は活性型Caspase−3に結合し、そのタンパク質分解活性を阻害することである。また、サバイビンを欠損した細胞は増殖が阻害されることが知られており、細胞の増殖に必須の蛋白であると考えられる。このサバイビンは、生体内では多くのヒト癌細胞やリンパ腫で発現しており、癌細胞の増殖に関与していると考えられている。
【0019】
このように、サバイビン自体は公知であるが、このものとグリオーマや膀胱癌との関連についてはほとんど知られておらず、また、脳組織検体や尿検体中のサバイビンの量等を測定することによりこれらの腫瘍関連疾患の診断ができることは全く知られていなかった。
【0020】
本発明診断剤に含有されるサバイビンを認識する抗体(以下、「抗サバイビン抗体」という)は、サバイビンを特異的に認識する抗体であれば特に限定されず、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれも使用することができる。また、抗原となるサバイビンあるいはそのフラグメントペプチドは、得られた抗体がサバイビンを特異的に検出可能なものであれば、その起源について特に制約はなく、ヒト由来のものでなくても良い。
【0021】
サバイビンタンパクあるいはそのフラグメントペプチドを抗原として使用し、抗サバイビン抗体を調製するには、公知の方法、例えば「続生化学実験講座、免疫生化学研究法(日本生化学会編)」等に記載の方法に従えば良い。
【0022】
具体的に、抗サバイビン抗体を調製する手順を示せば次の通りである。すなわち、ポリクローナル抗体として抗サバイビン抗体を調製するには、まず、サバイビンのcDNA配列(Accession No. U75285)をコードするcDNAである配列表の配列番号1で示されるポリヌクレオチドをPCR法により作製する。次いで、これをpQE等のベクターに組み込み、このベクターを大腸菌等の宿主微生物に導入し、LB培地等で培養して配列表の配列番号2で示されるポリペプチドのリコンビナントタンパク質を産生させる。次いで、得られたリコンビナントタンパク質を抗原とし、これをリン酸ナトリウム緩衝液(PBS)に溶解し、更にこれらとフロイント完全アジュバントまたは不完全アジュバントあるいはミョウバン等の補助剤と結合した後、これを免疫原として哺乳動物などを免疫する。
【0023】
免疫される動物としては当該分野で常用されたもの、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ等のいずれをも使用することができる。また、免疫の際の免疫原の投与法は、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射のいずれでもよいが、皮下注射または腹腔内注射が好ましい。免疫は1回または適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の間隔で複数回行うことができる。
【0024】
最後に、常法に従い、免疫した動物から血液を採取し、この血液から血清を分離し、この血清中からサバイビンを認識するポリクローナル抗体を得ることができる。
【0025】
また、モノクローナル抗体として抗サバイビン抗体を調製するには、モノクローナル抗体調製の常法に従い、上記リコンビナントタンパク質で動物を免疫して得た免疫細胞と、ミエローマ細胞とを融合させてハイブリドーマを得、当該ハイブリドーマの培養物から抗体を採取することによって得ることができる。
【0026】
かくして得られた抗サバイビン抗体は、必要により標識ないし固相化して、本発明の本発明診断剤あるいは診断用キットに適した形にすることができる。このうち標識は、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下、「HRP」という)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などの標識物質を結合することにより行われる。また、固相化は、適切な固相に抗サバイビン抗体を結合させることにより行われる。固相としては、免疫化学的測定法において慣用される固相のいずれをも使用することができ、例えば、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレート、アミノ基結合型のマイクロタイタープレート等のプレートや、各種のピーズ類が挙げられる。抗サバイビン抗体を固相化させるには、例えば、抗体を含む緩衝液を担体上に加え、インキュベーションすればよい。
【0027】
本発明診断剤あるいはキットは、上記のようにして作製された抗サバイビン抗体により、腫瘍細胞中のサバイビンや細胞外へ放出されたサバイビンの存在やその量を検出することができるものである。そして、この抗サバイビン抗体を利用する免疫組織染色によりサバイビンの組織中での存在を検出したり、検体中のサバイビンの量を測定をすることで、グリーオーマの悪性度の判定や膀胱癌の診断等の腫瘍関連疾患の診断等を行うことができる。
【0028】
具体的に、本発明の診断キットを用いたグリオーマの悪性度の判定は、例えば、脳組織を検体として用い、この検体に本発明診断剤を作用させ、常法により免疫組織染色し、染色された細胞(サバイビン陽性細胞)の割合を求めることにより行うことができる。
【0029】
グリオーマの悪性度を診断するのに用いる検体としては、開頭手術等により外科的に摘出した脳組織を使用する。この検体は必要により適宜固定を行う。この固定には中性ホルマリン、10%ホルマリン、アセトン、メタノール等を含有する緩衝液等の固定液を使用することができる。その固定液の組成や固定法は、公知の手段により実施される(例えば、「改訂版 酵素抗体法」、編集 渡辺慶一、中根一穂 学際企画株式会社出版等参照)。固定後の組織は、ミクロトームにより薄切し、プレパラート上に乗せパラフィン切片とする。また、パラフィン切片に代えて、凍結切片を用いることも出来る。
【0030】
また、免疫組織染色は、公知の手段により実施される(例えば、「改訂版酵素抗体法」、編集 渡辺慶一、中根一穂 学際企画株式会社出版等参照)。すなわち、上記検体のパラフィン切片を脱パラフィン操作後、抗サバイビン抗体を含む本発明診断剤を用いてABC法、直接標識酵素抗体法、LSAB(Labelled Strept Avidin Biotin)法、SABC(Strept Avidin Biotin Complex)法、Envision(DAKO社製)、MAX−PO(ニチレイ社製)等を利用したポリマー法等により免疫組織染色が実施される。
【0031】
具体的にABC法による免疫組織染色は次の手順により行われる。まず組織上に存在するサバイビンを抗サバイビン抗体により捕捉し、サバイビン/一次抗体複合体を生成させる。更に、組織を洗浄後、この一次抗体に対する抗体(一般には、一次抗体を得た動物のIgに対する抗体)にビオチンを標識した二次抗体を加え、サバイビン/一次抗体複合体と結合させ、サバイビン/一次抗体複合体/ビオチン標識二次抗体を生成させる。ついで、ビオチンと共有結合できるストレプトアビジンに西洋わさびペルオキシダーゼ(以下、「HRP」という)を反応させ、最後に当該複合体の標識を発色剤により発色させる。この発色量によりサバイビンの量を測定することができる。
【0032】
上記のようにして測定されたサバイビン量からも、グリオーマの診断が可能であるが、より正確に悪性度を識別するためには、全観察細胞数に対するサバイビン陽性細胞数の比率を測定してサバイビンインデックス(%)を算出し、この値からグリオーマの悪性度を判定するのが好ましい。具体的に顕微鏡を用いて細胞数を観察する場合、サバイビンインデックス(%)は下記式1により算出される。
【0033】
【式1】
【0034】
上記式1により算出されたサバイビンインデックスが80%未満であると生存率が長く予後の良好な低悪性度のグリオーマであると判定され、サバイビンインデックスが80%以上であると生存率の短い高悪性度のグリオーマが存在すると判定される。
【0035】
また、上記のようにグリオーマの悪性度を判定するにはサバイビンを認識する一次抗体を含有する第1の試薬と、サバイビンを認識する抗体の起源である動物のIgに対する抗体に標識した第2の抗体(第二抗体)を含む第2の試薬とを含有することを特徴とする腫瘍診断キットを作製し、これを免疫組織染色に使用することが好ましい。
【0036】
一方、具体的に本発明診断キットによる膀胱癌の診断は、例えば、尿等を検体として用い、この検体中のサバイビン量を、本発明診断剤を用いたサンドイッチ法、RIA法、ネフェロメトリー法、免疫比濁法等の免疫測定法における公知の手段により測定し、その量により膀胱癌を診断することができる。
【0037】
膀胱癌を診断するのに用いる検体としては尿を使用することができ、特に早朝尿を採取後すぐに使用するのが好ましい。この尿検体は、必要により適宜希釈してから使用することができ、この希釈にはリン酸、炭酸、トリス等を含有する緩衝液や、生理食塩水等を使用することができる。
【0038】
具体的に本発明診断キットを用いたサンドイッチ法は、次の手順により行われる。まず抗サバイビン抗体(1次抗体)が固定化された担体を、例えばBSAによりブロッキングする。次に、これに濃度を変化させた上記試料を加え、サバイビン/一次抗体複合体を生成させ、担体上に固定する。更に、この担体を洗浄後、標識された、一次抗体と異なるエピトープを認識する抗サバイビン抗体(二次抗体)を加え、サバイビン/一次抗体複合体と結合させる。最後に当該複合体の標識量を測定し、予め作成した検量線から検体中のサバイビンの量を決定することができる。
【0039】
上記測定において、抗サバイビン抗体を固相化するために使用する担体としては、例えば、ガラスチューブ、ポリスチレンビーズ、マイクロタイタープレート、メンブレン等、常用されるものをいずれも使用することができる。この担体の好ましい例としては、ポリスチレン製の96穴マイクロタイタープレートあるいは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートが挙げられる。また、抗サバイビン抗体を標識化するのに使用される標識物質としては、HRP、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フルオレセインイソシアネート、ローダミン等の蛍光物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質などが挙げられる。これらの固相化方法や標識方法は、いずれも周知であり、公知の方法により行うことができる。
【0040】
このようにして測定された尿検体中のサバイビンの量が、検出感度以下(測定不能)であれば膀胱癌である確率が低く、定量された場合には膀胱癌である確率が高いと判断することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約を受けるものではない。
【0042】
実 施 例 1
サバイビンを特異的に認識する抗体の調製:
(1)免疫原の調製
ヒトサバイビンのアミノ酸配列をコードするcDNAであるポリヌクレオチド(配列番号1)をpProEx3 GSTベクター(ライフテクノロジー社製)に組換え、大腸菌のコンピテントセル(JM109)に導入した。次いで、この大腸菌をイソプロピル−β−D(−)チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した後一晩培養し、ヒトサバイビンのリコンビナントタンパク質とグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質(以下、これを「サバイビンの融合タンパク質」という)を生成させた。この大腸菌の細胞膜を破壊することによりサバイビンの融合タンパク質を抽出した後、グルタチオンカラム(ライフテクノロジー社製)で精製した。
【0043】
(2)ポリクローナル抗体の作製
ポリクローナル抗体の作製に用いる免疫動物としてはウサギを用いた。上記(1)で作製したサバイビンの融合タンパク質100μgとコンプリートアジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、これをウサギに免疫した。免疫1週間後に、サバイビンの融合タンパク質の100μgとインコンプリートアジュバントを等量混合してエマルジョンを作製し、ウサギに追加免疫し、以後同様の操作を各週の間隔で3回行った。その後、全採血を行い1,500rpmで15分間の遠心により抗血清を分離し、ポリクローナル抗体を得た。
【0044】
(3)ウエスタンブロッティング
次に、(2)で得られたポリクローナル抗体がサバイビンを認識することを確認するために、サバイビンの融合タンパク質およびグリオーマ SNB19細胞をホモジナイズしたものを電気泳動し、ウエスタンブロッティングを行った。
【0045】
自家調整した12.5%のポリアクリルアミドゲル上、レムリ(Laemmli)の方法で電気泳動(SDS−PAGE法)を行った。電気泳動されたタンパクは、PVDF膜(NEN社製)へ電気的に転写した。メンブレンは10%牛胎児血清を添加した10mM トリス緩衝食塩水(TBS)でブロッキングし、0.2%のTween80を添加したTBS(TBS T)で1,000〜10,000倍希釈したポリクローナル抗体と4℃で一晩反応させた。次いで、メンブレンをTBS Tで洗浄し、アルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG(Cappel社製)を2,000倍に希釈して2次抗体として一時間反応させ、洗浄後にAttoPhos基質(ロッシュ社製)と反応させ、その蛍光を観察した。
【0046】
ウエスタンブロットの結果を図1に示す。上記で作製されたポリクローナル抗体は16.5および14kDa付近にサバイビンに相当する濃いバンドを確認し、この抗体がサバイビンのみを認識することが確認できた。
【0047】
実 施 例 2
脳組織中のサバイビンの検出:
(1)臨床検体
インフォームドコンセントを得たグリオーマ患者30例の、外科的に切除した脳組織を試料とした。この試料を、あらかじめ中性ホルマリン溶液に一昼夜浸し、固定を行った。固定後、パラフィンにより包埋しブロック切片を作成し、このブロック切片をミクロトームにより4μmに薄切し、プレパラート上に乗せパラフィン切片を作成した。病理診断による内訳は、グレード1が1例、グレード2が9例、グレード3が12例、グレード4が8例の計30例である。
【0048】
(2)測定と結果
パラフィン切片をキシレン濃度系列溶液とアルコール濃度系列溶液により、脱パラフィン・親水化した後、ベンタナ社の自動免疫組織染色装置を用いて免疫組織染色を行った。本装置で行った具体的な工程は以下の通りである。まず、3%過酸化水素溶液にて組織上を覆い、内因性パーオキシダーゼのブロッキング操作を行った。次いで、これをPBSにて良く洗浄後、5倍希釈の正常ヤギ血清で組織上を覆い、非特異反応部位のブロッキング操作を行った。PBSで良く洗浄した後、実施例1で得られたポリクローナル抗体をPBSにて250倍希釈した抗体液で組織上を覆い、一次反応として、4℃で一夜反応させた。反応後、PBSで良く洗浄し、調整済みのビオチン標識ヤギ抗ウサギIgG二次抗体にて組織上を覆い、室温で30分反応させた。PBSで良く洗浄した後、調整済みのHRP標識ストレプトアビジンにて組織上を覆い、室温で30分反応させた。最後に充分にPBSで洗浄した後、調整したジアミノベンチジン(DAB)溶液で組織上を覆い、15分間反応させた。核の対比染色としてヘマトキシリン溶液中に数秒浸し、良く水洗した。上記のように処理した組織を装置から取り出した後、脱水・透徹・封入操作を行い、顕微鏡下で検鏡観察した。
【0049】
免疫組織染色の結果を図2に示す。図2のAがグレード1のグリオーマ症例およびBはグレード4のグリオーマ症例を示す。明らかな陽性染色が認められる細胞をサバイビン陽性細胞とし、一視野中に認められる全細胞数に対するサバイビン陽性細胞数の割合をサバイビンインデックス(%)として下記式2により求めた。
【0050】
【式2】
【0051】
サバイビンインデックスを算出した結果を表1に示す。表1を病理診断のグレードで分類し、具現化したものを図3に示す。これらより、サバイビンインデックスと病理診断で示されるグレードとの相関が認められた。すなわち、インデックスが80%未満のものを低悪性度、インデックスが80%以上のものを高悪性度のグリオーマであると判定できた。
【0052】
また、Kaplan Meier法で累積生存率を計算した結果を図4に示す。サバイビンインデックスで抗悪性度(インデックスが80%以上)である患者の場合には、全グレードの患者について解析した結果(図4のA)でも、病理診断ではグレード3以下の軽度と診断された患者のみに限定しても(図4のB)、低悪性度の患者に比べて予後が不良であった。従って、サバイビンインデックスにより従来の診断法よりも正確に予後を予測することができる。
【0053】
【表1】
【0054】
実 施 例 3
サンドイッチELISA法の構築とサバイビンの測定法:
サンドイッチELISA法の構築は以下のように行った。実施例1で作製したポリクローナル抗体の5μg/mlの濃度調整液を10μlずつ96ウェルのELISA用プレートに加えた。4℃で一晩反応させた後、1%BSA/PBS/NaN3溶液にてブロッキングを行い、この状態をサンドイッチELISA用プレートとした。同じ抗体にHRPを酸化法にて結合した抗体を標識抗体とした。これらのサンドイッチELISA用プレートと標識抗体の組合せでサンドイッチELISA系を作製した。標準サバイビンは実施例1(1)で作成したサバイビンの融合タンパク質を用い、既知のタンパク量から得られる吸光度とタンパク濃度との標準曲線をあらかじめ求め、実際のサンプル測定で得られる吸光度よりそのタンパク量を測定した。
【0055】
上記のようにして構築されたサンドイッチELISA法を用い、サバイビンの測定を以下のように行った。まず、サンドイッチELISA用プレートに、サバイビンの標準液を100μl加え、37℃で1時間反応させた。反応後、0.05%のTween20を添加したPBSでプレートを洗浄し、標識抗体を100μl加え、4℃で30分間反応させた。反応後、十分に洗浄してから、TMB(Tetramethyl benzidine)溶液を100μl加え、室温、遮光下30分放置した。1N硫酸で反応を止め、450nmの吸光度を測定した。測定した吸光度と上記の標準曲線よりサバイビンの濃度を求めることができた。
【0056】
実 施 例 4
尿中のサバイビンの測定:
(1)臨床検体
インフォームドコンセントを得た健常人および膀胱癌患者の早朝尿を検体として用いた。検体の内訳は、健常人1例、膀胱癌患者16例である。
【0057】
(2)測定と結果
実施例3に示した方法に従って各検体中のサバイビンを測定し、実施例3で作成した標準曲線により尿検体中のサバイビン濃度を求めた。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表2より、健常人尿ではサバイビンは全く検出できなかった(2ng/ml以下)のに対し、膀胱癌患者においては14例中13例についてサバイビンを測定することができた。このように正常と膀胱癌を判定することができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の腫瘍診断剤および腫瘍診断キットはグリオーマや膀胱癌等の腫瘍関連疾患の診断等に好適に使用することができる。
【0061】
特に、本発明の腫瘍診断剤等を使用すれば、従来の診断技術である画像診断などより正確かつ簡便にグリオーマの診断が可能であり、また、にグリオーマの悪性度も判定することができる。
【0062】
また、本発明の腫瘍診断剤等を使用すれば、従来の診断技術である画像診断や尿細胞診、病理組織診断などより簡便に測定が可能である。そして、本発明の診断方法では、従来より病院などの検査室で汎用されている自動比色装置がそのまま使用可能であり、簡便に膀胱癌の存在を判断することができるものであり、医療経済上有利なものである。
【0063】
更に、検体として、尿を使用することができるので、従来のように、肉体的あるいは精神的苦痛を伴う必要がないということも本発明のメリットである。
【0064】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作成された抗体の特異性を示す図である。
【図2】実施例1で作成された抗体による、グリオーマ患者の脳組織の免疫組織染色を示す写真である(Aはグレード1のグリオーマ症例、Bはグレード4のグリオーマ症例)。
【図3】実施例2で作成されたサバイビンインデックスとグリオーマの悪性度との関係を示す図である。
【図4】実施例2で作成された、サバイビンインデックスに基づくグリオーマの高悪性度と低悪性度の患者についての生存率の差異を示す図である(Aは全グレードの患者について解析した結果、Bは病理診断ではグレード3以下の軽度と診断された患者について解析した結果)。
以 上
Claims (10)
- サバイビンを認識する抗体を含有することを特徴とする腫瘍診断剤。
- 腫瘍細胞の免疫組織染色に使用するものである請求項第1項記載の腫瘍診断剤。
- グリオーマの悪性度を判定するものである請求項第1項記載の腫瘍診断剤。
- 膀胱癌の診断をするものである請求項第1項記載の腫瘍診断剤。
- サバイビンを認識する抗体を含有する第1の試薬と、標識された、サバイビンを認識する抗体に対する第2の抗体を含有する第2の試薬とを組合せてなることを特徴とする腫瘍診断キット。
- グリオーマの悪性度の判定に使用するものである請求項第5項記載の腫瘍診断キット。
- サバイビンを認識する第1の抗体を含有する第1の試薬と、第1の抗体が認識するサバイビンのエピトープと異なるエピトープを認識する第3の抗体を含有する第3の試薬とを組み合わせてなり、それら試薬の一方の抗体が固相化されており、他方の抗体が標識化されていることを特徴とする腫瘍診断キット。
- 膀胱癌の診断に使用するものである請求項第7項記載の腫瘍診断キット。
- 脳組織検体中のサバイビンを免疫組織染色し、次いで全観察細胞数に対するサバイビン陽性細胞数の比率を測定し、その値からグリオーマの悪性度を判定することを特徴とするグリオーマの悪性度判定方法。
- 尿検体中のサバイビンを検出することを特徴とする膀胱癌の診断方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2002
- 2002-10-18 JP JP2002303893A patent/JP2004138522A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017031222A (ja) * | 2008-07-15 | 2017-02-09 | メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングMerck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung | 二酸化ケイ素ナノ粒子およびワクチン接種のためのその使用 |
US10111952B2 (en) | 2008-07-15 | 2018-10-30 | Merck Patent Gmbh | Silicon dioxide nanoparticles and the use thereof for vaccination |
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