JP2004138396A - 位置検出型放射線検出器 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線の量とその位置とを同時に測定できる位置検出型放射線検出器は、従来細管状の線量計を1次元検出器として用い、これを並列に多数並べて面状の検出器を構成していたので、位置検出回路が複雑で高価になるという課題があった。
【解決手段】陽電極1及び陰電極2を対向させた対向電極を電離箱3中に所定の間隔で配置し、所定の電圧を印加する。各対向電極に流れる電流を電流検出装置Iにより検出する。電流を検出したとき電流検出装置Iから電流が流れた電極の位置を特定する。
【選択図】 図1
【解決手段】陽電極1及び陰電極2を対向させた対向電極を電離箱3中に所定の間隔で配置し、所定の電圧を印加する。各対向電極に流れる電流を電流検出装置Iにより検出する。電流を検出したとき電流検出装置Iから電流が流れた電極の位置を特定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、原子力発電所、核燃料再処理工場など放射線量を測定する機会のある施設に於いて、被爆管理等の目的で放射線量とその二次元位置とを検出する位置検出型放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
被爆管理のため、放射性塵埃で汚染された人体または物体の放射線量を測定する場合には、放射線量の測定とともにその放射位置を測定することが、汚染部位を特定するなどの被爆管理上不可欠である。ここで位置の測定精度は数cmあれば一般的には十分である。そして、従来、この目的の検出器には放射位置を2次元的に測定できる位置検出型放射線検出器が用いられている。従来の位置検出型放射線検出器は、一次元(X方向)の位置を検出できるもの(例えば、X方向が約10cm、Y方向は検出器外径に等しい約2.5cm程度のもの)を複数本、面状に並べることで二次元(X−Y方向)の位置計測を実現している。(例えば特許文献1参照。)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−281246号公報、図4及び段落[0002]〜[0008]参照
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の位置検出型放射線検出器の位置検出原理は、線状の比例計数管を1次元測定の基本構成要素としているため、位置分解能は1mm程度と一般的被爆管理には必要以上な性能が得られる、また高感度であるが、計測可能な線量範囲が狭く経年特性劣化も大きい。また、1次元位置の検出を行うには比例計数管の両端に達する信号到着時間差から位置を計算するため、多数のプリアンプ、アンプ及び信号処理回路が必要となり、高価であるという課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、測定可能な線量範囲が広く、検出器及び信号処理回路の構成を単純化して安価に製作することが可能な位置検出型放射線検出器を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る位置検出型放射線検出器は、所定の間隔で対向して平行に配置され電圧を印加される板状の陰電極と陽電極とを有する対向電極を、複数個所定のガスを保持して密閉した電離箱中に、複数の前記対向電極を所定の間隔で、前記陰電極同士又は陽電極同士が互いにほぼ同一面内となるよう配置する。そして、前記対向電極のそれぞれごとに、対向する前記陰電極と陽電極間に流れる電流量を検出して出力する電流位置検出手段を備えたものである。
【0007】
各電流位置検出手段はどの位置の電極に接続されているかはわかっているので、この構成により放射線量を電極位置をパラメータとして、また、各電極の大きさを位置分解能として測定でき、位置を検出するための特定の回路を必要としない。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の位置検出型放射線検出器の構造斜視図、図2はその断面説明図である。気密状態で後述するガスを封入した電離箱3の内部に設けた複数の陽電極1と陰電極2とは、それぞれ例えば直径2.5cmの金属板で構成され、陽電極1と陰電極2との電極間距離0.2cmで対向して平行に配置し、また、ピッチ3cmで縦横に、ほぼ同一面内に(互いの陰電極同士または陽電極同士が同一面内にあるように)配置されている。対向する陽電極1と陰電極2とで対向電極を構成している。
【0009】
電離箱3の内部は、例えば窒素1気圧のガスが充填され、電極間には例えばE0=200vの電圧を印加する。図1の検出原理は電離箱方式と呼ばれるものであるため、従来の比例計数管方式で用いられた高電圧は必要ない。この構成の場合、コバルト60−1mgから放出される放射線に対して、1電極あたり約50nAの電極間電流が生じる。計測範囲の上限は電源回路の構成によって決まるが、100mA程度の電源であれば安価な市販品が数多くあり、適切な電源E0を用いることにより、コバルト60を例に取ると、1mgから1.5Kgまでの広範囲の計測ができる。出力電流値は電流計測回路Iにより計測される。
【0010】
図1では、理解を助けるため、図示左端の1列分の回路しか示していないが、各陽電極1と陰電極2で構成された個別の対向電極部分は、互いに電気的に分離し、個々に出力電流を取り出す回路としている。各電流計測回路Iが接続された電極の位置は当然わかつているから、どの電流計測回路Iに電流が流れたかを確認すれば電流がながれた電極位置をしることができ、放射線が通過した位置を知ることが出来る。電流計測回路Iはこの発明に言う電流位置検出手段である。
前述の印加電圧、電極間距離、極板の大きさなどは適宜変更し得る。電極の大きさを小さくして、個数を増やし、単位面積あたりの配置数を増せば、位置測定上の分解能を高めることが出来るが、一般の被爆管理を目的とする場合数cmの分解能で十分である。
なお、電極の形状は図では円板状としたが、円である必要はなく、三角や四角その他の多角形であってもよい。また図1はすべての電極が電気的に互いに独立しているため、時間的に連続した計測が可能である。なお、図1では平面に配列するものを示しているが、例えば測定対象が人体であれば、体を包むような曲面に配置しても良い。測定面積を拡大するため図1の電離箱3を複数並べて良いことは言うまでもない。
【0011】
実施の形態2.
実施の形態1の図1では1つの電離箱3内に多数の電極を配置しているが、図3に示すように、1対の対向電極のみを1つの小型電離箱30に挿入し、この小型電離箱30を電極の面がほぼ同一面にそろうように多数配置するようにしても良い。この場合の電極の接続や電流の測定については実施の形態1と同じであるので説明を省略する。小型電離箱30には1対の対向電極に限らず、例えば縦又は横1列の電極を全て収納するなど種々の形態を取ることが出来ることは言うまでもない。図3の構成の場合、使用する小型電離箱30の数を増減すれば測定対象の大きさに応じた最適の大きさの検出器が構成できるという効果が得られる。
【0012】
実施の形態3.
被爆管理の目的に使用する場合には、測定速度にそれほどの高速性は要求されない場合が多いので、図1や図3のように全ての電極に同時に電圧を印加するため多数の電源を用いるまでもなく、図4に示すように電源E0と電流測定装置Iをそれぞれ1つにして回路構成を簡略化することが出来る。図4では説明の都合上、電離箱は図示省略している。
図4では横配列(第1の方向という)の陰電極2を図5に示すように互いに同電位とするよう電線4により電気的に接続する。また、第1の方向と交差する方向(第2の方向という)例えば縦配列の陽電極1も互いに図5に示すように電気的に接続する。横の各列を選択的に切り替えるスイッチS1と、縦の各列を選択的に切り替えるスイッチS2とを以下に説明するように動作させて各個別対向電極毎に所定の時間長さづつ電圧を印加して、同時に流れる電流を電流計測回路Iにより計測する。これによってどの位置の電極にいくら電流が流れたか判定できる。
【0013】
測定速度(測定周期)については、検出器の大きさ及び測定回路の回路構成により異なるが、例えば図6に動作タイミング説明を示しているように、1カ所の電極に電圧を印加する時間を4msとする場合、横列のスイッチS1を4msづつ接点1〜4を順次切り替えこれを繰り返す。そして縦列のスイッチS2は4×4ms=16msごとに1ステップづつ3ステップを切り替える。これにより陽電極1と陰電極2との間に電圧が印加される場所はスイッチ動作により走査されて順次移動して、図4に示す12カ所の走査は4×12=48msで1サイクルを終了する。電極の数が例えば縦横各50個でも周期は50×50×4ms=10秒となり、被爆管理目的では十分な性能が得られる。
【0014】
図4の構成の場合、スイッチS1,S2とスイッチを切り替えるための走査回路(図示しない)が必要であるが電源装置E0と電流測定装置Iが1つですむという効果が得られる。また測定は間欠測定となるが1周期が短いので被爆管理の目的は十分達することが出来る。図4では図示説明の都合上、陽電極1と陰電極2とは直交して配置されているように書いているが、配列は直交である必要はない。また、第1の方向と第2の方向とは直交しているかのように説明したが、互いに交差する方向であればよい。また電流が流れた電極位置は両スイッチの位置から容易に判断できることは言うまでもない。図4の場合はスイッチS1と電流測定装置Iとでこの発明に言う電流位置検出手段を構成する。
【0015】
実施の形態4.
図7に示すように全ての陽電極1(又は陰電極2)を電気的に接続して共通電位とし、陰電極2(又は陽電極1)を任意の方向に互いに高電気抵抗線5で接続する。以下、図7に従って陽電極1を共通接続し、陰電極2は横方向に接続した場合について説明する。横方向に接続した陰電極2の各列にスイッチS3を切り替えて順次電圧を印加する。スイッチS3で選択された回路の横方向に並んだ3個の電極の内のいずれかに電流が流れた場合、どの電極に流れたかは電流測定装置IでもスイッチS3でも知ることが出来ない。そこで、高電気抵抗線5の他端にもスイッチS3と同期して動作するスイッチS3を設け、その外側に公知の電流タイミング測定装置6(この発明に言う電流位置演算手段)を設ける。電流が流れた電極の横方向の位置の差によつて両端に生じるパルスの検出タイミングが異なること(特許文献1参照)を利用して位置を検出する。この場合、位置検出精度は電極板の分解能以上を要しないから線量計における場合の位置精度より格段に低くて良いという効果が得られる。あるいはもう一つの方法として、縦方向の各列に電流測定回路Iを挿入してどの列に電流が流れたかを検出しても良い。なお、接続線だけでなく電極板も高抵抗素材としてもよいし、しなくてもそれなりの効果は得られる。
【0016】
図7の場合、横1列ごとの電圧の印加時間を4msecとすると、50段でも200ms周期で信号が取り出されるので、図4のものよりは測定周期を短くすることが出来る。被爆管理の目的で位置検出型放射線検出器を用いる場合にはこの早さで充分実用に耐える。また、電極に中性子有感物質を塗布すれば、中性子の計測も可能である。
【0017】
実施の形態5.
用途を限定(例えば被爆管理)することにより、極端に高い放射線レベルの測定はないものと仮定することが出来る場合がある。これにより検出器の絶縁材料に樹脂を使う事が可能になり、図8の断面図、図9の平面図に示すように、アクリル等の樹脂板の絶縁材料7に穴10を設け、穴10の両端に電極(いずれも金属板)を埋め込むという、従来の線量計に比して簡易な構造にすることが出来る。穴10は貫通穴でもよいし貫通しない穴でも良い。電極間に注入するガス8の種類および純度は、被爆管理の用途には乾燥空気を1気圧程度封入することで充分対応できるため、電極材料の表面処理を行うのみで、線量計などを用いる場合に必要な金属内からのアウトガスを放出させるための排気工程を省略した簡易な製作が可能となり安価に製作できる。図9の接続線4は各陽電極1から個別に引き出した図としているが、この図の構成に限らず実施の形態3、4に示した各構成を用いて良いことは言うまでもない。実施の形態3の図4の構成を本実施の形態の図9に用いる場合、陽電極1は各対向電極ごとに分離せず縦方向の短冊形に、また、陰電極2も横方向の短冊形とすることが出来る。
また、実施の形態4の図7の構成を用いる場合には、図10に示すように片側の電極は全電極を1枚の電極板とすることが出来る。
【0018】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、測定可能な線量範囲が広く、被爆管理に十分な位置測定精度を備えた位置検出型放射線検出器を安価に製造する事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図5】図4の構成の細部説明図である。
【図6】図4の動作タイミング説明図である。
【図7】この発明の実施の形態4の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図8】この発明の実施の形態5の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図9】図8の平面図である。
【図10】実施の形態5の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 陽電極、 2 陰電極、 3 電離箱、 4 接続線、
5 高抵抗線、 6 電流タイミング測定装置、 7 絶縁材料、
8 電離ガス、 10 穴、 30 小型電離箱、
S1 第1のスイッチ、 S2 第2のスイッチ、
E0 電源装置、 I 電流測定装置。
【発明の属する技術分野】
この発明は、原子力発電所、核燃料再処理工場など放射線量を測定する機会のある施設に於いて、被爆管理等の目的で放射線量とその二次元位置とを検出する位置検出型放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
被爆管理のため、放射性塵埃で汚染された人体または物体の放射線量を測定する場合には、放射線量の測定とともにその放射位置を測定することが、汚染部位を特定するなどの被爆管理上不可欠である。ここで位置の測定精度は数cmあれば一般的には十分である。そして、従来、この目的の検出器には放射位置を2次元的に測定できる位置検出型放射線検出器が用いられている。従来の位置検出型放射線検出器は、一次元(X方向)の位置を検出できるもの(例えば、X方向が約10cm、Y方向は検出器外径に等しい約2.5cm程度のもの)を複数本、面状に並べることで二次元(X−Y方向)の位置計測を実現している。(例えば特許文献1参照。)
【0003】
【特許文献1】
特開平9−281246号公報、図4及び段落[0002]〜[0008]参照
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の位置検出型放射線検出器の位置検出原理は、線状の比例計数管を1次元測定の基本構成要素としているため、位置分解能は1mm程度と一般的被爆管理には必要以上な性能が得られる、また高感度であるが、計測可能な線量範囲が狭く経年特性劣化も大きい。また、1次元位置の検出を行うには比例計数管の両端に達する信号到着時間差から位置を計算するため、多数のプリアンプ、アンプ及び信号処理回路が必要となり、高価であるという課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、測定可能な線量範囲が広く、検出器及び信号処理回路の構成を単純化して安価に製作することが可能な位置検出型放射線検出器を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る位置検出型放射線検出器は、所定の間隔で対向して平行に配置され電圧を印加される板状の陰電極と陽電極とを有する対向電極を、複数個所定のガスを保持して密閉した電離箱中に、複数の前記対向電極を所定の間隔で、前記陰電極同士又は陽電極同士が互いにほぼ同一面内となるよう配置する。そして、前記対向電極のそれぞれごとに、対向する前記陰電極と陽電極間に流れる電流量を検出して出力する電流位置検出手段を備えたものである。
【0007】
各電流位置検出手段はどの位置の電極に接続されているかはわかっているので、この構成により放射線量を電極位置をパラメータとして、また、各電極の大きさを位置分解能として測定でき、位置を検出するための特定の回路を必要としない。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の位置検出型放射線検出器の構造斜視図、図2はその断面説明図である。気密状態で後述するガスを封入した電離箱3の内部に設けた複数の陽電極1と陰電極2とは、それぞれ例えば直径2.5cmの金属板で構成され、陽電極1と陰電極2との電極間距離0.2cmで対向して平行に配置し、また、ピッチ3cmで縦横に、ほぼ同一面内に(互いの陰電極同士または陽電極同士が同一面内にあるように)配置されている。対向する陽電極1と陰電極2とで対向電極を構成している。
【0009】
電離箱3の内部は、例えば窒素1気圧のガスが充填され、電極間には例えばE0=200vの電圧を印加する。図1の検出原理は電離箱方式と呼ばれるものであるため、従来の比例計数管方式で用いられた高電圧は必要ない。この構成の場合、コバルト60−1mgから放出される放射線に対して、1電極あたり約50nAの電極間電流が生じる。計測範囲の上限は電源回路の構成によって決まるが、100mA程度の電源であれば安価な市販品が数多くあり、適切な電源E0を用いることにより、コバルト60を例に取ると、1mgから1.5Kgまでの広範囲の計測ができる。出力電流値は電流計測回路Iにより計測される。
【0010】
図1では、理解を助けるため、図示左端の1列分の回路しか示していないが、各陽電極1と陰電極2で構成された個別の対向電極部分は、互いに電気的に分離し、個々に出力電流を取り出す回路としている。各電流計測回路Iが接続された電極の位置は当然わかつているから、どの電流計測回路Iに電流が流れたかを確認すれば電流がながれた電極位置をしることができ、放射線が通過した位置を知ることが出来る。電流計測回路Iはこの発明に言う電流位置検出手段である。
前述の印加電圧、電極間距離、極板の大きさなどは適宜変更し得る。電極の大きさを小さくして、個数を増やし、単位面積あたりの配置数を増せば、位置測定上の分解能を高めることが出来るが、一般の被爆管理を目的とする場合数cmの分解能で十分である。
なお、電極の形状は図では円板状としたが、円である必要はなく、三角や四角その他の多角形であってもよい。また図1はすべての電極が電気的に互いに独立しているため、時間的に連続した計測が可能である。なお、図1では平面に配列するものを示しているが、例えば測定対象が人体であれば、体を包むような曲面に配置しても良い。測定面積を拡大するため図1の電離箱3を複数並べて良いことは言うまでもない。
【0011】
実施の形態2.
実施の形態1の図1では1つの電離箱3内に多数の電極を配置しているが、図3に示すように、1対の対向電極のみを1つの小型電離箱30に挿入し、この小型電離箱30を電極の面がほぼ同一面にそろうように多数配置するようにしても良い。この場合の電極の接続や電流の測定については実施の形態1と同じであるので説明を省略する。小型電離箱30には1対の対向電極に限らず、例えば縦又は横1列の電極を全て収納するなど種々の形態を取ることが出来ることは言うまでもない。図3の構成の場合、使用する小型電離箱30の数を増減すれば測定対象の大きさに応じた最適の大きさの検出器が構成できるという効果が得られる。
【0012】
実施の形態3.
被爆管理の目的に使用する場合には、測定速度にそれほどの高速性は要求されない場合が多いので、図1や図3のように全ての電極に同時に電圧を印加するため多数の電源を用いるまでもなく、図4に示すように電源E0と電流測定装置Iをそれぞれ1つにして回路構成を簡略化することが出来る。図4では説明の都合上、電離箱は図示省略している。
図4では横配列(第1の方向という)の陰電極2を図5に示すように互いに同電位とするよう電線4により電気的に接続する。また、第1の方向と交差する方向(第2の方向という)例えば縦配列の陽電極1も互いに図5に示すように電気的に接続する。横の各列を選択的に切り替えるスイッチS1と、縦の各列を選択的に切り替えるスイッチS2とを以下に説明するように動作させて各個別対向電極毎に所定の時間長さづつ電圧を印加して、同時に流れる電流を電流計測回路Iにより計測する。これによってどの位置の電極にいくら電流が流れたか判定できる。
【0013】
測定速度(測定周期)については、検出器の大きさ及び測定回路の回路構成により異なるが、例えば図6に動作タイミング説明を示しているように、1カ所の電極に電圧を印加する時間を4msとする場合、横列のスイッチS1を4msづつ接点1〜4を順次切り替えこれを繰り返す。そして縦列のスイッチS2は4×4ms=16msごとに1ステップづつ3ステップを切り替える。これにより陽電極1と陰電極2との間に電圧が印加される場所はスイッチ動作により走査されて順次移動して、図4に示す12カ所の走査は4×12=48msで1サイクルを終了する。電極の数が例えば縦横各50個でも周期は50×50×4ms=10秒となり、被爆管理目的では十分な性能が得られる。
【0014】
図4の構成の場合、スイッチS1,S2とスイッチを切り替えるための走査回路(図示しない)が必要であるが電源装置E0と電流測定装置Iが1つですむという効果が得られる。また測定は間欠測定となるが1周期が短いので被爆管理の目的は十分達することが出来る。図4では図示説明の都合上、陽電極1と陰電極2とは直交して配置されているように書いているが、配列は直交である必要はない。また、第1の方向と第2の方向とは直交しているかのように説明したが、互いに交差する方向であればよい。また電流が流れた電極位置は両スイッチの位置から容易に判断できることは言うまでもない。図4の場合はスイッチS1と電流測定装置Iとでこの発明に言う電流位置検出手段を構成する。
【0015】
実施の形態4.
図7に示すように全ての陽電極1(又は陰電極2)を電気的に接続して共通電位とし、陰電極2(又は陽電極1)を任意の方向に互いに高電気抵抗線5で接続する。以下、図7に従って陽電極1を共通接続し、陰電極2は横方向に接続した場合について説明する。横方向に接続した陰電極2の各列にスイッチS3を切り替えて順次電圧を印加する。スイッチS3で選択された回路の横方向に並んだ3個の電極の内のいずれかに電流が流れた場合、どの電極に流れたかは電流測定装置IでもスイッチS3でも知ることが出来ない。そこで、高電気抵抗線5の他端にもスイッチS3と同期して動作するスイッチS3を設け、その外側に公知の電流タイミング測定装置6(この発明に言う電流位置演算手段)を設ける。電流が流れた電極の横方向の位置の差によつて両端に生じるパルスの検出タイミングが異なること(特許文献1参照)を利用して位置を検出する。この場合、位置検出精度は電極板の分解能以上を要しないから線量計における場合の位置精度より格段に低くて良いという効果が得られる。あるいはもう一つの方法として、縦方向の各列に電流測定回路Iを挿入してどの列に電流が流れたかを検出しても良い。なお、接続線だけでなく電極板も高抵抗素材としてもよいし、しなくてもそれなりの効果は得られる。
【0016】
図7の場合、横1列ごとの電圧の印加時間を4msecとすると、50段でも200ms周期で信号が取り出されるので、図4のものよりは測定周期を短くすることが出来る。被爆管理の目的で位置検出型放射線検出器を用いる場合にはこの早さで充分実用に耐える。また、電極に中性子有感物質を塗布すれば、中性子の計測も可能である。
【0017】
実施の形態5.
用途を限定(例えば被爆管理)することにより、極端に高い放射線レベルの測定はないものと仮定することが出来る場合がある。これにより検出器の絶縁材料に樹脂を使う事が可能になり、図8の断面図、図9の平面図に示すように、アクリル等の樹脂板の絶縁材料7に穴10を設け、穴10の両端に電極(いずれも金属板)を埋め込むという、従来の線量計に比して簡易な構造にすることが出来る。穴10は貫通穴でもよいし貫通しない穴でも良い。電極間に注入するガス8の種類および純度は、被爆管理の用途には乾燥空気を1気圧程度封入することで充分対応できるため、電極材料の表面処理を行うのみで、線量計などを用いる場合に必要な金属内からのアウトガスを放出させるための排気工程を省略した簡易な製作が可能となり安価に製作できる。図9の接続線4は各陽電極1から個別に引き出した図としているが、この図の構成に限らず実施の形態3、4に示した各構成を用いて良いことは言うまでもない。実施の形態3の図4の構成を本実施の形態の図9に用いる場合、陽電極1は各対向電極ごとに分離せず縦方向の短冊形に、また、陰電極2も横方向の短冊形とすることが出来る。
また、実施の形態4の図7の構成を用いる場合には、図10に示すように片側の電極は全電極を1枚の電極板とすることが出来る。
【0018】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、測定可能な線量範囲が広く、被爆管理に十分な位置測定精度を備えた位置検出型放射線検出器を安価に製造する事が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図5】図4の構成の細部説明図である。
【図6】図4の動作タイミング説明図である。
【図7】この発明の実施の形態4の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図8】この発明の実施の形態5の位置検出型放射線検出器の構成図である。
【図9】図8の平面図である。
【図10】実施の形態5の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 陽電極、 2 陰電極、 3 電離箱、 4 接続線、
5 高抵抗線、 6 電流タイミング測定装置、 7 絶縁材料、
8 電離ガス、 10 穴、 30 小型電離箱、
S1 第1のスイッチ、 S2 第2のスイッチ、
E0 電源装置、 I 電流測定装置。
Claims (7)
- 所定の間隔で対向して平行に配置され電圧を印加される板状の陰電極と陽電極とを有する対向電極、
所定のガスを保持するとともに、このガス中に複数の前記対向電極を所定の間隔で、前記陰電極同士又は陽電極同士が互いにほぼ同一面内となるよう配置した電離箱、
前記対向電極のそれぞれに設けられ、対向する前記陰電極と陽電極間に流れる電流量を検出して出力する電流位置検出手段を備えたことを特徴とする位置検出型放射線検出器。 - 所定の間隔で対向して平行に配置され電圧を印加される板状の陰電極と陽電極とを有する対向電極、
所定のガスを保持し、このガス中に前記対向電極を収納するとともに、それぞれの前記対向電極の陰電極同士または陽電極同士が互いにほぼ同一面内となるよう、所定の間隔で複数配置した電離箱、
前記対向電極のそれぞれに設けられ、対向する前記陰電極と陽電極間に流れる電流量を検出して出力する電流位置検出手段を備えたことを特徴とする位置検出型放射線検出器。 - 前記陰電極の内、第1の方向に配列されたもの同士は互いに電気的に接続され、前記陽電極の内、前記第1の方向と交差する第2の方向に配列されたもの同士は互いに電気的に接続されているとともに、前記第1の方向に接続する複数の接続線のいずれかを選択する第1のスイッチと、前記第2の方向に接続する複数の接続線のいずれかを選択する第2のスイッチとを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出型放射線検出器。
- 前記陽電極と前記陰電極のいずれか一方は、その全てが互いに同電位に接続されるとともに、
前記互いに同電位に接続されなかった陰電極又は陽電極の内、第1の方向に配列されたもの同士を互いに接続する複数の高電気抵抗線、
前記複数の高電気抵抗線のいずれかを選択する第3のスイッチ、
前記選択された高電気抵抗線の両端から得られる信号の時間差により、電流が流れた前記対向電極を特定する電流位置演算手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出型放射線検出器。 - 前記高電気抵抗線で接続された陰電極又は陽電極は高電気抵抗素材で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の位置検出型放射線検出器。
- 前記所定のガスは、ほぼ1気圧の乾燥空気であることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出型放射線検出器。
- 前記電離箱は、絶縁性の樹脂板に設けた穴の底面または開口面に金属板製の電極を貼り付けて構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の位置検出型放射線検出器。
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008064664A (ja) * | 2006-09-08 | 2008-03-21 | Mitsubishi Electric Corp | 荷電粒子線の線量分布測定装置 |
JP2013246068A (ja) * | 2012-05-28 | 2013-12-09 | Dainippon Printing Co Ltd | 放射線検出器、及びその検出効率の向上法 |
JPWO2017199496A1 (ja) * | 2016-05-18 | 2018-08-02 | 三菱電機株式会社 | 線量分布モニタおよび放射線照射システム |
-
2002
- 2002-10-15 JP JP2002300730A patent/JP2004138396A/ja active Pending
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