JP2005055372A - マイクロビア電極構造の多次元位置検出型放射線センサー素子 - Google Patents

マイクロビア電極構造の多次元位置検出型放射線センサー素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のMSGC型放射線センサーでは、絶縁基板表面上に50[μm]程度の狭い絶縁間隔で電極が配置されている結果、絶縁基板表面近傍のイオン群の移動に伴う絶縁基板下面のバックストリップへの電気誘導が表面の電極列によって大きく減損し、バックストリップ信号が極めて小さくなり、S/Nが小さくて、高い解像度のイメージング計測ができない課題があった。
【解決手段】
二次元即ちX軸及びY軸の両方の電気信号を絶縁基板表面に設けられる電極から読み出す手段として、陽電極線を絶縁基板の裏面に配置し、それぞれの陽電極線 二次元即ちX軸及びY軸の両方の電気信号を絶縁基板表面に設けられる電極から読みから櫛状構造により絶縁基板の表面まで中空または柱状のマイクロビア(導電性微細貫通孔)で電極を出して、個々の表面に四角形、円形または楕円形状のバンプ(微細電極)を設け、表面上の陰電極線を陽電極線と直交する方向に、それぞれのバンプ列を2本の陰電極線によって挟む形で配置した構造を採用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、エックス線または中性子散乱を用いた物質の構造解析実験において、高速応答性能、広い計測レンジ及び高位置検出分解能が要求されるエックス線及び中性子インメージング計測に用いられる1次元あるいは2次元放射線センサーに関する。
エックス線または中性子を計測するためのガスコンバータを用いたイメージングセンサーでは、それらから得られる一次電離電荷が3×10-15クーロン[C]以下と極めて微少であるため、センサー内で高電圧電場により電子増倍して、電気信号として取出している。上記の原理を用いた放射線センサーとしては、次のものがある。
(1)直径20[μm]程度の極めて細い金属線を数ミリメートル間隔で縦横に張り、それぞれの縦線出力をX軸信号として、横線出力をY軸信号とした構造のマルチワイヤ比例計数管(MWPC)型放射線センサー。
(2)絶縁基板表面上に幅10[μm]程度の陽極ストリップを、そして両脇に50[μm]程度の絶縁ギャップを介して陽極ストリップを挟む形で幅100[μm]程度の陰極ストリップを配置した電極対を多数並べ、裏面には陽極ストリップと直交する方向に表面の陽電極と同じピッチでバックストリップを配置して、それぞれの陽極ストリップ出力をX軸信号として、それぞれのバックストリップの出力をY軸信号とした構造のマイクロストリップガスカウンタ(MSGC)型放射線センサー。
(3)絶縁基板裏面に多数本の陽電極線を数100[μm]間隔で配置し、それそれの陽電極の長さ方向に陽電極線と接する絶縁基板部分に数100[μm]間隔で絶縁基板を貫通する直径50[μm]以下の円柱状の金属製スタッドピンを成形し、表面のスタッドピンの真上に陽電極線と直交する方向に陰電極線を配置して、その陰電極線とスタッドピンが重なる部分にスタッドピンと同心で幅100[μm]程度のドーナツ状絶縁ギャップを設け、それぞれの陽電極線出力をX軸信号、それぞれの陰電極線出力をY軸信号とした構造のマイクロピクセルガスカウンター(MPGC)型放射線センサー。
又、本発明の背景技術には、更に次のものがある。
(1) MWPC原理に基づいた二次元位置検出型検出器が中性子小角散乱
実験装置のために製作された。その検出器の有感面積は640x640mm2である。中性子検出効率と高位置分解能の性能を得るため、そして視差を最小にするため、混合ガスは190kPa 3He + 100kPa CF4にし、そして有感体積を30mm厚さにした。検出器の最大中性子計数率の設計は105イベント/秒である。計算上の中性子検出効率は2Åの中性子で60%であり、そしてアノードグリッドにおける測定された中性子エネルギー分解能は代表的で20%(半値幅)であった。有感面で検出された中性子の位置は、ワイヤ対ワイヤ法(高い分解能の5x5mm2はワイヤ座標によって定義された)を使って決定された。16チャンネルの電荷型前置増幅器/増幅器/コンパレーターモジュールは、チャンネル感度が0.1V/fC、ノイズラインの幅が0.4fCそしてチャンネル間クロストークが5%以下の性能を持ったものが開発された(非特許文献1)。
(2) マイクロチップ モジュール(MCM)技術を用いて、検出
面積5cm x 5cmの二次元マイクロストリップ ガス チェンバ(MSGC)を開発した。それは17mmの薄い素子基板、200 mmのピッチの254アノードと255バックストリップを有している。MSGCは、500ピン以上を持った大きなピングリッドアレイ(PGA)パッケージにマウントされている。それは読出し電子回路と組み合わされたイメージングMSGCからの大量の信号を容易に接続することを可能にする。本誌において、我々は強烈なX線線源の近くで作動するX線イメージング検出器としてのMSGCの能力について報告する。高輝度X線の下での安定な作動を得るために、約20mm素子基板と約1015W/squareの表面抵抗が解決策であることがわかった。表面抵抗の制御はポリイミド素子基板の表面に有機チタンをコーティングすることで行った。この改善により、MSGCが107Hz/mm2の高計数率の下で約103秒間安定に作動した。また、MSGCはX線発生器からの中程度輝度のX線の下で数ヶ月間作動した。この測定において、ヒットした電極の位置を記録するだけのシンプルな読取り法を用い、約60mmRMS位置分解能を有した高品質デジタルX線イメージングを達成した(非特許文献2)。
(3) X線、ガンマ線及び荷電粒子のイメージングのために、斬新なガスを用いた検出器Micro Pixel Chamber(mu-PIC)が開発された。そのmu-PICは、大面積検出器が容易に生産できる両面プリント回路基板を基本にして製作される。0.4mmピッチ、3cmx3cm面積の mu-PICを用いた作動テストは成功裡に行われた。ガスゲインと安定性はこのテストで測定された。103のガスゲインにおける5日間の連続作動テストで、アノードとカソード間放電はおろかゲインの減少さえなかった。また、107cps/mm2の輝度のX線照射までゲインの低下は観測されなかった(非特許文献3)。
著者:Knott,-R.B.; Watt,-G.; Boldeman,-J.W.; Smith,-G.C.; et al.題名:A large 2D PSD for thermal neutron detector.発行所(書名):Nuclear-Instruments-and-Methods-in-Physics-Research.-SectionA,-Accelerators,Spectrometers.発行日:(21 Jun 1997). 該当頁:v.392(1-3). P.62-67 著者:Toru Tanimori; Atsuhiko Ochi; Seiji Minami, Tomofumi Naga.題名:Development of an imaging microstrip gas chamber with a 5cm x tcm area based on multi-chip module technology. 発行所(書名):Nuclear-Instruments-and-Methods-in-Physics-Research.-Section-A 381 (1996).受理日:(6 May 1996). 該当頁: P.280-288 著者:Ochi Atsuhiko; Nagayoshi Tsutomu; Koishi Satoshi, Tanimori,-Toru; et al.題名:Development of micro pixel chamber.Nuclear-Instruments-and-Methods-in-Physics-Research.-Section-A,-Accelerators,-Spectrometers,-Detectors-and-Associated-Equipment (1 Feb 2002) v. 478(1-2)発行日:(1 Feb 2002). 該当頁: p. 196-199
エックス線または中性子散乱を用いた物質の構造解析実験に用いられるエックス線及び中性子インメージングセンサーには、数100[μm]の極めて高い位置検出分解能と6桁以上のダイナミックレンジ、高い信号対雑音比(S/N)、その上、広い検出面積が求められる。これらを実現するためには、先ず、電極ピッチを1[mm]以下の狭い間隔で配置し、且つ電極間隔が作動中に位置的に変動しないことが要求される。また、高い S/Nを得るには、エックス線及び中性子から得られる一次電離電荷が極小であることから、大きなガス増倍率を達成することはもとより、センサー内で発生した電気信号を損失無く信号電極から取出せる構造のセンサーが重要になる。
従来のMWPC型放射線センサーでは直径20[μm]程度の極めて細い金属線を1[mm]以下の等間隔で広い面積に張ることは技術的に困難であり、この結果、位置検出分解能の向上には限界があった。また、空間に極めて細い金属線を狭い間隔で長く張った場合に検出器の振動により金属線が揺らいで出力信号が不安定になる、金属線が接触するなどの問題があった。
MSGC型放射線センサーでは、絶縁基板表面上に50[μm]程度の狭い絶縁間隔で電極が配置されている結果、絶縁基板表面近傍のイオン群の移動に伴う絶縁基板裏面のバックストリップへの電気誘導が表面の電極列によって大きく減損し、バックストリップ信号が極めて小さくなり、S/Nが悪く、高い解像度のイメージング計測が困難であった。また、陽電極ストリップはガス増倍を大きくするために、そのストリップ幅を10[μm]前後の細い金属薄膜を用いなければならず、現在の微細加工技術をもってしても長さ10[cm]以上のストリップを加工することが難しく、大面積の素子の製作ができないなどの課題があった。さらに、電極間の小さな放電が発生すると、ストリップがダメージを受けるまたは断線故障を起こすなどの問題があった。
MPGC型放射線センサー(作動原理は素子基板の構造が異なるだけでMSGCと同じである)では、絶縁基板表面にはそれぞれの貫通スタッドピンと重なる部分にスタッドピントと同心で200[μm]程度の円形の穴を開けた陰電極線を設ける必要がある。貫通スタッドピンと円形穴の中心がずれると、電界強度分布に偏りが生じて放電の原因になるため、総ての貫通スタッドピンと円形穴を高い精度で同心加工することが極めて重要である。例えば50×50[mm]の小さな有効検出面積の素子を製作する場合でも、スタッドピンピッチが400[μm]のメッシュでは絶縁基板の全面に基板を貫通した直径50[μm]以下の円柱状のスタッドピンを15,000本以上形成し、総てのスタッドピントと円形穴との同心加工誤差、スタッドピンの高さ加工誤差及び表面の凹凸を数マイクロメートル以下にする必要があり、製作するには極めて高度な加工技術を要し、また、貫通スタッドピンの形成には複雑な多数の加工工程を必要とする結果、MPGC型放射線センサーの製作コストが高くなるなどの課題があった。
上記MWPC(マルチワイヤ比例計数管)型放射線センサーとは、比例計数管の作動原理を応用した放射線センサーの一種である。MWPCでは、チェンバ内に直径20[mm]程度の細い金属製ワイヤ(陽極ワイヤ)を1〜3[mm]間隔で多数本張り、陽極ワイヤとチェンバ容器間に陽極ワイヤが正電圧になるように高電圧を印加する。放射線がチェンバ内のガスを電離することにより発生した電子を陽極ワイヤ近傍の大きな電界勾配でガス増幅することによりイオン群を発生させる。これらイオン群の誘導電流を個々の陽極ワイヤから放射線検出信号として取出す原理の放射線センサーである。放射線の位置検出は多数本の陽極ワイヤの内、信号を出力した陽極ワイヤの位置から計算される。二次元位置検出型MWPCでは、多数本張られた陽極ワイヤ(X軸ワイヤ)と直交する方向に、陽極ワイヤと同一のピッチでY軸ワイヤを張り、両軸ワイヤの出力から信号が発生した座標点を求めることによって、二次元位置を検出する。
上記MSGC(マイクロストリップ型ガスチェンバー)型放射線センサーとは、作動原理はMWPCと同じである。MSGCでは、素子基板として、線幅10[mm]程度の陽極線(陽極ストリップ)の両脇に幅数十[mm]の絶縁ギャップを開けて、線幅100[mm]程度の陰極ストリップで挟む形で電極を構成し、このような陽陰極ストリップ対を絶縁基板上に多数組プリントする。放射線の検出の際には、素子基板をガスチェバ内に装着し、素子基板表面から1〜2[cm]離れたところに電子を収集するための平板電極(ドリフト電極)を素子基板と並行に配置し、素子基板上の陽陰極ストリップ間に数百ボルト、ドリフト電極に数千ボルトの負電圧を印加する。放射線によりチェンバ内に発生した電子は素子基板面にドリフトされ、陽極ストリップ近傍の強電界勾配で大きくガス増幅され、発生したイオン群が狭いギャップで配置された陽陰極ストリップにより高速で電荷収集される。以上の結果、MSGCではMWPCに比べ格段に高い位置検出分解能と高計数率性能が実現される。二次元位置検出型のMSGCでは、素子基板の裏面に陽極ストリップと直交する方向に、陽極ストリップと同一のピッチでバックストリップをプリントする。そして、素子基板表面に発生したイオン群が収集される時の洩れ誘導電流をバックストリップで検知、信号を読取ることにより、二次元位置検出型MWPCと同様に放射線の検出位置を二次元で計測する。ただし、MSGCのバックストリップに誘導される洩れ誘導電流が小さいために、信号対雑音比(S/N)が低いことが課題である。
MPGC(マイクロピクセル型ガスチェンバー)型放射線センサーとは、作動原理は素子基板の構造が異なるだけでMSGCと同じである。MPGCの素子基板では、絶縁基板表面に線幅200[mm]程度の陰極ストリップを配置し、陰極ストリップには、長さ方向に間隔が数百[mm]で、絶縁基板が露出するように、直径150[mm]程度の穴を設ける。それぞれの穴の中央に、絶縁基板を貫通するように直径50[mm]程度のスタッドピンを形成する。これが1本のストリップラインを形成する。このようなストリップラインを絶縁基板上に多数本配置する。そして、絶縁基板の裏面には、表面のストリップラインに対して直交する方向で、裏面に出たスタッドピンを電気的に接続するようにバックストリップをプリントする。バックストリップはストリップラインと同じ本数だけプリントされる。個々のバックストリップからの出力はX軸用信号とし、ストリップラインからの出力をY軸用信号として用いて、二次元位置検出を実現する。MPGCの特徴は、X軸用信号を基板表面のピンから、Y軸用信号を基板表面の陰極ストリップから得られる結果、両出力とも大きな信号が得られ、高いS/Nを実現できることである。
一般のMSGCにおいては、絶縁基板表面に陽電極と陰電極ストリップが並行に、そして絶縁基板裏面には表面のストリップと直交する方向にバックストリップが多数本配置される。
本発明では、二次元即ちX軸及びY軸の両方の電気信号を絶縁基板表面に設けられる電極から読み出す手段として、陽電極線を絶縁基板の裏面に配置し、それぞれの陽電極線から櫛状構造により絶縁基板の表面まで中空または柱状のマイクロビア(導電性微細貫通孔)で電極を出して、個々の表面に四角形、円形または楕円形状のバンプ(微細電極)を設け、表面上の陰電極線を陽電極線と直交する方向に、それぞれのバンプ列を2本の陰電極線によって挟む形で配置した構造を採用する。信号の計測では、X軸信号は絶縁基板表面の夫々の陰電極線から、Y軸信号は絶縁基板表面のバンプから、絶縁基板裏面の陽電極線を経由して、読み出す。
もう一つの方法は、上記の陰電極と陽電極構造を総て逆にした構造で、陽電極線を絶縁基板の表面に、陰電極線を絶縁基板の裏面に夫々配置し、絶縁基板の表面に陰電極バンプを配列した櫛状構造を採用する方法である。
本発明は絶縁基板の表面上と裏面にプリントした導電性電極とマイクロビアの組合せで構成されるため、電極ピッチを200[μm]以下にすることも十分可能であり、電極間隔が振動等により変化することもなく、MWPC素子が有する課題を解決できる。
本発明は絶縁基板表面上の陰電極線と絶縁基板表面上に貫通したマイクロビアとの間あるいはマイクロビアに電気的に接続された導電性のバンプとの間に印加した高電圧により形成された非常に高い電界勾配によって、入射する電子を増倍する原理に基づくものであり、絶縁基板表面極近傍のガス中に発生した電子およびイオン群によって陽電極マイクロビアあるいはバンプと両側の陰電極線とに電気誘導される信号電流を等しくすることができて、従来品のMSGC素子のようにバックストリップに誘導される信号電流が減損してS/Nを低下させて位置検出分解能を大幅に低下させるといった問題点を解決する。また、本発明ではMSGC素子のように狭い幅の陽極ストリップを長くプリントする必要がないため、大面積化を可能にし、また小さな放電による陽電極ストリップの断線故障発生等の問題も解決する。
従来品のMPGC素子では絶縁基板を貫通する多数のスタッドピンの加工及び絶縁基板表面の陰電極線に開けられる円形絶縁穴とスタッドピンとの同心加工、即ち位置合わせには極めて高度な微細加工技術を必要とし、製作歩留まりと高い製作コストが課題であった。本発明は絶縁基板の両面に設けた陽陰電極線とマイクロビアあるいはマイクロビアに付加されたバンプで構成されるため、電極は直線のプリント線とマイクロビアの組合せのシンプルな構造であり、製作を容易にする効果がある。絶縁基板に設けるマイクロビアは、絶縁基板に加工された貫通孔の内面にメッキ法等を用いて導電性薄膜を形成する方法、あるいは貫通孔を導電性ペーストで埋める方法で製作でき、電子回路基板製作で用いられている汎用の加工技術で製作可能である。また、マイクロビアにバンプを設けることにより、マイクロビアの位置加工誤差をMPGC素子に比べて寸法的に10倍以上大きくできること、マイクロビアの円柱形状の加工ゆがみ及び表面粗さによってその性能にほとんど影響を与えないことから、汎用のプリント基板加工技術を用いた製作を可能にし、低いコストでの製造を実現でき、従来のMPGC素子が有する微細加工の困難性、高コスト及び低い歩留まりの課題を解決する。
従来品では絶縁基板を薄くし、また、電極ピッチを小さくすると、1本の電極線に流れた信号電流が電磁誘導及びキャパシタンス結合によって他の電極線に誘導電流が流れる現象、即ちクロストークが問題であった。本発明は電極線間にガード電極を設け、総てのガード電極を電気的DC結合またはキャパシタンスを介した電気的AC結合によりグラウンドレベルに接続することでクロストークを十分小さくして、クロストークによる雑音の上昇課題を解決する。
本発明では、信号電極と信号電極の間に遮蔽電極を設け、遮蔽電極をDC或いはAC結合方式によりグランドに接続し、クロストークの誤信号をグランドへ流すことによって、他の信号電極へのクロストークを遮蔽することができる。
なお、本発明において、上記電気的DC結合とは、導体と導体間を電気的に直接または電気抵抗を介して接続した状態をいい、DC結合では導体間を直流及び交流電流が流れることができることを意味する。
又、上記電気的AC結合とは、キャパシタンスを介して導体と導体間を接続した状態をいい、AC結合では交流電流のみが流れることができることを意味している。
更に又、上記クロストークとは、1つの導体に信号電流が流れた時に、電磁誘導あるいはキャパシタンス結合によって、隣接した他の導体に電流が流れ、信号がない導体にあたかも信号があるような誤信号が発生することをいい、
本発明では、信号電極と信号電極の間に遮蔽電極を設け、遮蔽電極をDCあるいはAC結合方式によりグラウンドに接続し、クロストークの誤信号をグラウンドへ流すことによって、他の信号電極へのクロストークを遮蔽することができることを意味している。
図1に、本発明の二次元放射線センサー素子を用いた中性子イメージングセンサーの構成と作動原理を示す。1は本発明の二次元放射線センサー素子、2はドリフトプレート、3は圧力容器、4はヘリウム−3混合ガス、5は陽電極印加電圧ライン、6は陽電極線出力信号用アンプ、7は陰電極印加電圧ライン、8は陰電極線出力信号用アンプ、9はドリフトプレート印加電圧ライン、10は中性子、11はプロトン、12はトリトン、13は電離電子群を示す。
図2には、本発明の二次元放射線センサー素子にあって、陽電極線を絶縁基板の裏面に配置し、それぞれの陽電極線から櫛状構造により絶縁基板の表面まで中空マイクロビアで電極を出して、個々の表面に長方形状のバンプを設け、表面上の陰電極線を陽電極線と直交する方向に、それぞれのバンプ列を2本の陰電極線によって挟む形で配置した構造の二次元放射線センサー素子を示す。14は陽電極線、15は中空マイクロビア、16は陽電極用バンプ、17は陰電極線、18は絶縁基板、19は陽電極線信号出力、20は陰電極線信号出力、21は図3及び図4で拡大表示した部分を示す。
図3は、図2の21部分を拡大した図である。14は陽電極線、15は中空マイクロビア、16は長方形状バンプ、17は陰電極線、18は絶縁基板を示す。
図4は、図2の21部分を拡大した図で、マイクロビアを導電性ペーストで埋めた場合の構造を示す図である。19は導電性ペーストで埋められたマイクロビアを示す。
図5は、本発明の絶縁基板表面のバンプを除いた以外、図2と同構造の二次元放射線センサー素子を示す。20は中空マイクロビアが絶縁基板表面上に突き出た構造を示す。
図6は、本発明の絶縁基板表面上の陽電極用マイクロビア列間に配置される陰電極線を1本にした以外、図2と同構造の二次元放射線センサー素子を示す図である。21は幅広の陰電極線を示す。
図7は、本発明の陽電極線から櫛型構造で製作するマイクロビアをそれぞれ2本並びにした二次元放射線センサー素子を示す図である。22は2本並びのマイクロビアを示す。
図8は、本発明の電極線間のクロストークを低減する目的で、並行に引かれた陰電極線と陰電極線間及び陽電極線と陽電極線間にそれぞれガード電極線を配置した二次元放射線センサー素子を示す図である。23は陽電極線間のガード電極、24はグラウンドライン、25は陰電極線間のガード電極、26はグラウンドラインを示す。
図9は、本発明の絶縁基板の表面に陽電極ストリップ、裏面に陰電極線を配置し、陰電極線からマイクロビアを絶縁基板表面に出して、それぞれのマイクロビアに長方形状の陰電極用バンプを設けた構造の二次元放射線センサー素子を示す図である。27は陽電極マイクロストリップ、28は陰電極線、29はマイクロビア、30は陰電極用バンプ、31は陽電極出力、32は陰電極出力を示す。
一例として、本発明を中性子イメージングセンサーに応用した場合の構成及び作動原理は図1に示した通りである。中性子イメージングセンサーでは1.二次元放射線センサー素子、2.ドリフトプレート、3.圧力容器、封入された4.ヘリウム−3(3He)混合ガスから構成される。外部から圧力容器内に入射した中性子が3He原子と核反応して、11.プロトンと12.トリトンが放出されて、混合ガスが電離される。電離により発生した電子はドリフトプレートに印加された9.負電圧の電界によって、二次元放射線センサー素子面方向に移動する。センサー素子表面の極近傍で陽電極と陰電極間の強力な電界勾配によって電子が電子なだれを起こすことによりガス増倍されて、電子なだれで発生したイオン群が二次元放射線センサー素子の陰極へ高速で移動して、両電極にそれぞれ逆極性の電流パルスを発生させる。それぞれの陽電極線及び陰電極線から出力される電流パルスを6.及び8.のアンプを介してモニターすることによって、個々の中性子の検出位置を計測することが可能となる。
本発明は、絶縁基板表面上に陽電極及び陰電極を格子状に配置し、電極間でガス中の電子を増倍させて放射線を検出する原理に基づいた二次元放射線センサー素子において、二次元のそれぞれの電気パルス出力が同等でかつ大きな信号を与え、高い信号対雑音比が得られ、かつ汎用な基板加工技術をもって数10[cm]角の大面積センサー素子の製作も可能な、低コストの多次元位置検出型放射線センサー素子を提供することにある。
本発明の二次元放射線センサー素子を用いた中性子イメージングセンサーの構成と作動原理を示す図である。
(符号の説明)
1.本発明の二次元放射線センサー素子、2.ドリフトプレート、3.圧力容器、4.ヘリウム−3混合ガス、5.陽電極印加電圧ライン、6.陽電極線出力信号用アンプ、7.陰電極印加電圧ライン、8.陰電極線出力信号用アンプ、9.ドリフトプレート印加電圧ライン、10.中性子、11.プロトン、12.トリトン、13.電離電子群
本発明の二次元放射線センサー素子にあって、陽電極線を絶縁基板の裏面に配置し、それぞれの陽電極線から櫛状構造により絶縁基板の表面まで中空マイクロビアで電極を出して、個々の表面に長方形状のバンプを設け、表面上の陰電極線を陽電極線と直交する方向に、それぞれのバンプ列を2本の陰電極線によって挟む形で配置した構造の二次元放射線センサー素子を示す図である。
(符号の説明)
14.陽電極線、15.中空マイクロビア、16.陽電極用バンプ、17.陰電極線、18.絶縁基板、19.陽電極線信号出力、20.陰電極線信号出力、21.図3及び図4で拡大表示した部分
図2の21部分を拡大した図である。
(符号の説明)
14.陽電極線、15.中空マイクロビア、16.長方形状バンプ、17.陰電極線、18.絶縁基板23は陽電極線間のガード電極
図2の21部分を拡大した図で、マイクロビアを導電性ペーストで埋めた場合の構造を示す図である。
(符号の説明)
19.導電性ペーストで埋められたマイクロビア
絶縁基板表面のバンプを除いた以外、図2と同構造の二次元放射線センサー素子を示す図である。
(符号の説明)
20.中空マイクロビアが絶縁基板表面上に突き出た構造
絶縁基板表面上の陽電極用マイクロビア列間に配置される陰電極線を1本にした以外、図2と同構造の二次元放射線センサー素子を示す図である。
(符号の説明)
21.幅広の陰電極線
陽電極線から櫛型構造で製作するマイクロビアをそれぞれ2本並びにした二次元放射線センサー素子を示す図である。
(符号の説明)
22.2本並びのマイクロビア
電極線間のクロストークを低減する目的で、並行に引かれた陰電極線と陰電極線間及び陽電極線と陽電極線間にそれぞれガード電極線を配置した二次元放射線センサー素子を示す図である。
(符号の説明)
23.陽電極線間のガード電極、24.グラウンドライン、25.陰電極線間のガード電極、26.グラウンドライン
絶縁基板の表面に陽電極ストリップ、裏面に陰電極線を配置し、陰電極線からマイクロビアを絶縁基板表面に出して、それぞれのマイクロビアに長方形状の陰電極用バンプを設けた構造の二次元放射線センサー素子を示す図である。
(符号の説明)
27.陽電極マイクロストリップ、28。陰電極線、29.マイクロビア、30.陰電極用バンプ、31.陽電極出力、32.陰電極出力

Claims (7)

  1. 絶縁基板表面上に陽電極及び陰電極を格子状に配置し、電極間でガス中の電子を増倍させて放射線を検出する原理に基づいた一次元または二次元放射線センサー素子において、絶縁基板表面上に少なくとも1本以上の陰電極線を配置し、絶縁基板裏面に陰電極線と直交する方向に少なくとも1本以上の陽電極線を配置して、陽電極線から絶縁基板表面上のそれぞれの陰電極線と陰電極線の間の絶縁基板露出部に少なくとも1本以上の内面が導電性薄膜で覆われたあるいは導電性材料で埋められた貫通孔(以下この貫通孔をマイクロビアと呼ぶ)を設けて、陽電極の長さ方向断面が櫛型構造をしていることを特徴とし、それぞれの陽電極線または陰電極線あるいは陽陰電極線の両方から電気パルス信号を取出した構造の放射線センサー素子。
  2. 請求項1の放射線センサー素子であって、絶縁基板表面上に出たそれぞれの陽電極マイクロビアに電気的に接続された長方形、四角形、円形、あるいは楕円形等の形状をした導電性薄膜のバンプを設けた構造の放射線センサー素子。
  3. 請求項1又は請求項2の放射線センサー素子であって、絶縁基板表面上のそれぞれの陰電極線を2本に分けて配置し、それぞれの陽電極マイクロビア列を挟む2本の陰極線からの電気パルス信号をまとめて1チャンネルの信号として取出した構造の放射線センサー素子。
  4. 請求項1又は請求項2の放射線センサー素子であって、絶縁基板表面上のそれぞれの電極線を3本に分けて配置し、それぞれの3本組の中央電極線をガード電極として使用し、また、それぞれの陽電極マイクロビア列を挟む2本の陰電極線からの電気パルス信号をまとめて1チャンネルの出力信号として取出した構造の放射線センサー素子。
  5. 請求項1、請求項2又は請求項4のいずれかの放射線センサー素子であって、絶縁基板裏面のそれぞれの陽電極線間に少なくとも1本の電極線を配置し、それらの電極線をガード電極として使用した構造の放射線センサー素子。
  6. 請求項1又は請求項2の放射線センサー素子であって、絶縁基板表面上の陰電極線を陽電極線として、また、絶縁基板裏面の陽電極線を陰電極線として作動させる構造で、絶縁基板表面の陽電極線の幅を50[μm]以下のマイクロストリップにして、絶縁基板裏面の陰電極線から表面に貫通したマイクロビアの真上に電気的に接続された長方形、四角形、円形、あるいは楕円形等の形状をした導電性薄膜のバンプを設けた構造の放射線センサー素子。
  7. 請求項6の放射線センサー素子であって、絶縁基板裏面のそれぞれの陰電極線間に少なくとも1本の電極線を配置し、それらの電極線をガード電極として使用した構造の放射線センサー素子。
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