JP2004137416A - コークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法及び検出装置 - Google Patents

コークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法及び検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出において、装置を小型化することのできる検出方法及び検出装置を提供する。また、カーボン付着と他の損傷とを明確に区別することのできる検出方法及び検出装置を提供する。
【解決手段】炭化室炉壁レンガ表面の赤外域のスペクトル情報を利用して壁面のカーボン付着有無を判断することを特徴とするコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法及びカーボン付着検出装置。高温の炉壁レンガ表面から発せられる熱放射に基づく赤外域のスペクトル情報を利用する。赤外域のスペクトル情報は、3μmより短い波長λと6μmより長い波長λの2波長における熱放射輝度測定値である。2波長における熱放射輝度測定値に基づいて波長λの分光放射率εを求め、該分光放射率εに基づいて壁面のカーボン付着有無を判断する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法及び検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉の炭化室は、過酷な条件下で通常20年以上の長期間にわたって連続操業されるものであり、炭化室を構成する耐火レンガは熱的、化学的および機械的要因によって徐々に劣化する。また、炭化室の壁面にカーボンが付着することがある。そのため耐火レンガの劣化やカーボン付着に起因するコークスの押し詰まりが生じたり、耐火レンガが脱落したりする。従って、炭化室内の特に炉壁におけるカーボン付着状況を常時把握しておくことは、コークス炉操業管理上極めて重要である。
【0003】
炭化室炉壁表面へのカーボン付着状況を観察し判断する方法としては、窯口からオペレータが目視で観察して判断する方法がある。しかし、操業の合間の短時間を利用してコークス炉窯口から炉内壁を観察する方法では、炉内が高温であるので窯口の外から内部を観察せざるをえず、炭化室は炉の奥行きが約15m以上と深いのに対して幅が約0.4mと狭いので、炉奥の内壁耐火物は遠方から浅い角度での観察となり、表面の観察は非常に難しい。
【0004】
炉壁表面状況を画像化する装置を炉内に挿入して炉壁表面画像を撮像し、この画像情報に基づいてカーボン付着状況を判断することができる。
【0005】
特許文献1に記載の方法では、コークス炉炭化室内に挿入したCCDカメラで炉壁を撮像し、撮像した画像から画像処理によって目地とレンガ面とに分離する。カーボン付着は、正常領域やその他損傷領域とは輝度分布が異なるため、輝度分布を用いて分離できるとしている。カメラ視野方向を炉壁に対して斜めに配置しているので、撮像される炉壁画像は近距離部と遠距離部で縮尺が異なる歪んだ画像となっている。
【0006】
特許文献2に記載の方法では、線状もしくはスリット状視野を有するカメラ及び鏡面を炭化室内に挿入し、カメラをスキャンしつつ撮像を行って炉壁の2次元画像を撮像する。併せて炉壁の凹凸情報も取得することができる。炉壁のカーボン付着部は自ら燃焼しているため輝度が高いので、炉壁画像における輝度情報と凹凸情報を組み合わせることにより、損傷箇所を認識することができる。
【0007】
特許文献3に記載の方法では、炭化室内壁画像から複数の損傷領域が抽出され、夫々の損傷領域に対して特徴量項目の値が計算され、特徴量項目の値から損傷名称が宛てられる。損傷名称がカーボン付着である損傷部位データについても、損傷部位データの全特徴量項目の値を順次、対応する特徴量劣化指数閾値と比較し、判定を行う。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−243975号公報(2、3ページ、図1、2)
【特許文献2】
特開平11−106755号公報(5ページ、図1、2、6)
【特許文献3】
特開平11−256166号公報(3〜5ページ、図2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
炭化室の炉壁画像をカメラで撮像しようとすると、カメラを内蔵した撮像装置を準備する必要がある。特許文献1に記載の撮像装置では、炉壁画像を歪みのない縮尺で撮像することができない。特許文献2に記載の撮像装置は、炉壁画像を歪みのない縮尺で撮像できる点で優れているが、装置構成の小型化が難しい。特許文献3に記載の方法では、特許文献2に記載のものと同様の撮像装置を必要とし、さらに記録装置、画像処理装置を備える必要がある。
【0010】
炉壁の撮像画像を用いて人がカーボン付着を判断する場合、あるいは画像処理装置が特徴量項目に従って自動的にカーボン付着を判断する場合のいずれも、炉壁のカーボン付着部は自ら燃焼しているため輝度が高いので、主に画像における輝度情報を用いて判断を行う。一方、炉壁の損傷箇所は一般に耐火物の厚さが薄くなっていて隣接する燃焼室との距離が短くなり、周辺の健全部に比較して高温となって輝度が高くなる。従って、輝度情報のみでは、カーボン付着なのか炉壁損傷なのか判断がつかない場合がある。
【0011】
本発明は、コークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出において、装置を小型化することのできる検出方法及び検出装置を提供することを目的とする。本発明はまた、カーボン付着と他の損傷とを明確に区別することのできる検出方法及び検出装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)炭化室炉壁レンガ表面の赤外域のスペクトル情報を利用して壁面のカーボン付着有無を判断することを特徴とするコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
(2)高温の炉壁レンガ表面から発せられる熱放射に基づく赤外域のスペクトル情報を利用することを特徴とする上記(1)に記載のコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
(3)前記赤外域のスペクトル情報は、3μmより短い波長λと6μmより長い波長λの2波長における熱放射輝度測定値であることを特徴とする上記(2)に記載のコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
(4)前記2波長における熱放射輝度測定値に基づいて波長λの分光放射率εを求め、該分光放射率εに基づいて壁面のカーボン付着有無を判断することを特徴とする上記(3)に記載のコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
(5)炉壁レンガ表面から発せられる赤外領域における異なった波長の熱放射輝度を検出する2台の放射計2と、各放射計で検出する波長を選択する波長選択フィルタ4と、検出した熱放射輝度に基づいて壁面のカーボン付着有無を判断する演算装置3とを有することを特徴とするコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出装置。
【0013】
コークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出は、コークス炉稼働中であって、乾留が終了した高温のコークスを押し出した直後、あるいは押出中において実施する場合が多い。従って、炭化室壁面は隣接する燃焼室から供給される熱で高温に加熱されており、壁面からは可視領域の光放射及び赤外領域の熱放射がなされている。熱放射輝度は、主に当該炉壁表面の温度及び放射率εによって定まる。放射率εは、表面の材質によって異なり、さらに放射する波長の関数となっている。
【0014】
炉壁レンガを構成する珪石レンガと、カーボン付着部を構成するカーボンとでは、赤外域における放射率εの波長依存性に大きな相違がある。本発明はこの特徴に着目し、炭化室炉壁レンガ表面に照射した赤外線の反射光、あるいは高温の炭化室炉壁レンガ表面からの熱放射を検出し、この検出データに基づく赤外域のスペクトル情報を用いることによって壁面のカーボン付着有無を判断することが可能であることを見いだした。たとえカーボン付着部の輝度が正常部位あるいは炉壁損傷部位と同一であったとしても、赤外域のスペクトル情報を検出すればカーボン付着部を明確に判定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
炉壁レンガを構成する珪石レンガとカーボンとについて、赤外域における分光放射率εを波長を横軸にして描くと、図3のようになる。カーボンは波長1〜20μmにおいてほぼ0.9以上の一定の分光放射率を示す。それに対し、珪石レンガについては、波長3μm以下において0.2以下の分光放射率の低い領域が存在し、一方波長6〜8μmにおいては0.9以上の高い分光放射率を示し、波長9μm付近においてまた分光放射率が低下する。以上のような珪石レンガとカーボンの放射率の波長依存性については、コークス炉炭化室炉壁表面温度領域(700〜1100℃)において成立している。
【0016】
以上のような炉壁表面材質毎の赤外領域放射率波長依存性の特性に基づき、炭化室炉壁レンガ表面の赤外域のスペクトル情報を利用して壁面のカーボン付着有無を判断する。赤外域のスペクトル情報を利用するに際しては、図6に示すように炉壁21に赤外線を照射して反射光を観察する方法と、図1〜図2に示すように高温の炉壁21の自発光を利用する方法とがある。炉壁21が自発光していないとき、例えば炉壁温度が低下しているときには、図6に示すように炉壁に赤外線を照射し、炉壁で反射した赤外線のスペクトルを検出する。本発明においては、稼働中のコークス炉炭化室の炉壁カーボン付着を検出するに当たり、図1〜図2に示すように高温の炉壁レンガ表面から発せられる自発光の熱放射に基づく赤外域のスペクトル情報を利用するとより好ましい。
【0017】
前述したように、カーボンと珪石レンガの赤外域における放射率の波長依存性を調べると、波長3μm以下の分光放射率と波長6μm以上の分光放射率の関係に大きな相違がある。従って、高温の炉壁レンガ表面から発せられる熱放射に基づく赤外域のスペクトル情報を利用するにあたり、赤外域のスペクトル情報として3μmより短い波長λと6μmより長い波長λの2波長における熱放射輝度測定値を用いると好ましい。2波長における熱放射輝度測定値を用いて演算した結果として、波長λにおける分光放射率εが波長λにおける分光放射率εの値より大幅に低ければ、観察した炉壁部分は珪石レンガ部分であると判断できる。一方、波長λにおける分光放射率εと波長λにおける分光放射率εの値がほぼ等しい値となれば、観察した炉壁部分はカーボン付着部であると判断できる。
【0018】
上記分光放射率の比較において、具体的には、前記2波長における熱放射輝度測定値に基づいて波長λの分光放射率εを求め、該分光放射率εに基づいて壁面のカーボン付着有無を判断することとすると好ましい。
【0019】
波長λ、λにおける熱放射輝度I(λ)、I(λ)は、各波長での分光放射率ε、εおよび温度Tの関数として、以下のように表される。
I(λ)=ε×k×Cλ −5/[exp{C/(λT)}−1] (1)
I(λ)=ε×k×Cλ −5/[exp{C/(λT)}−1] (2)
ここで、k、kはそれぞれ波長λ、λの熱放射輝度測定に用いた放射計の感度係数であり、予め求めておくことができる。また、C、Cはプランクの第1係数、第2係数である。
【0020】
図3より、波長λ(6μm以上)における分光放射率εは、珪石レンガの分光放射率もカーボンの分光放射率も0.9以上であって両者ほぼ同等の値となっているので、ここでは珪石レンガもカーボンも
ε≒1
と近似する。この値を上記(2)式に代入すると、
I(λ)=k×Cλ −5/[exp{C/(λT)}−1]  (2a)
となる。(2a)式を温度Tについて解くと、
T=(C/λ)/ln[(k)/{I(λ)λ }+1] (3)
としてTが求まる。
【0021】
(1)式を変形してεの式とすると、
ε=I(λ)[exp{C/(λT)}−1]/(k×Cλ −5) (4)
となる。(4)式の温度Tに(3)式のTを代入することにより、波長λ(3μm以下)における分光放射率εが求まる。
【0022】
波長λ(3μm以下)における分光放射率εは、珪石レンガにおいて0.4以下、カーボンにおいて0.9以上であることがわかっているので、上記求まった分光放射率εが0.4以下であれば測定部位は珪石レンガであり、分光放射率εが0.9以上であれば測定部位はカーボン付着であると判定することができる。
【0023】
次に、本発明のコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出に用いるための検出装置について説明する。
【0024】
まず、高温の炉壁レンガ表面から発せられる熱放射に基づく赤外域のスペクトル情報、特に2波長における熱放射輝度を利用する場合の検出装置について図1、2、4、5に基づいて説明する。
【0025】
放射計2を2台準備し、同一の炉壁レンガ表面から発せられる熱放射を測定可能な位置に配置する。放射計を格納する筐体には、炉壁レンガ表面から発した赤外線を放射計で検出するため、赤外線を透過する赤外窓15を設置する。2台の放射計2をそれぞれ放射計2S、放射計2Lと名付ける。放射計2Sは波長λ(3μm以下)の熱放射輝度を測定するための放射計であり、放射計2Sの前に波長λの赤外線のみを透過する波長λ選択フィルタ4Sを配置する。放射計2Lは波長λ(6μm以上)の熱放射輝度を測定するための放射計であり、放射計2Lの前に波長λの赤外線のみを透過する波長λ選択フィルタ4Lを配置する。放射計2Sの出力として、計測している炉壁レンガ表面の波長λにおける熱放射輝度I(λ)を出力する。放射計2Lの出力として、計測している炉壁レンガ表面の波長λにおける熱放射輝度I(λ)を出力する。
【0026】
2台の放射計2からの出力は演算装置3に送られる。演算装置3においては、熱放射輝度I(λ)、I(λ)に基づいて演算を行い、計測している炉壁レンガ表面が珪石レンガであるかカーボン付着部であるかを判定する。例えば、測定値I(λ)を用い上記(3)式に基づいて温度Tを算出し、次いで算出した温度Tと測定値I(λ)を上記(4)式に代入することにより、分光放射率εを算出する。次に演算装置は、求まった放射率εが0.4以下であれば測定部位は珪石レンガであると判定し、放射率εが0.9以上であれば測定部位はカーボン付着であると判定する。
【0027】
2台の放射計で観測する炉壁表面部位を連続的に移動することにより、順次炉壁表面の各部におけるカーボン付着状況を検出することができる。例えば、図4に示すように2台の放射計を収納したカーボン付着検出装置1を押出機25の所定の高さに架台27を用いて取り付け、押出機25が炭化室の炉長方向を移動する間に連続的にカーボン付着検出を行えば、当該所定の高さの炉長方向全長におけるカーボン付着部位を検出することが可能である。
【0028】
2台の放射計2および演算装置3は小型の筐体に収納可能であるので、本発明の検出装置を小型化することが可能である。
【0029】
カーボン付着検出を行う炭化室内部は高温状態にあるため、放射計2および演算装置3を収納した筐体は外部からの熱を遮断して内部を低温に保持する構造を有している必要がある。
【0030】
筐体を水冷構造とし、炉外から定常的に冷却水を供給して筐体内部を低温に保持することが可能である。この場合には冷却水供給・排出配管を有しているので、この配管を用いて検出データを電気信号として炉外に伝達するための電気配線を配置することもできる。ただし、炉外から筐体までの冷却水供給・排水配管を設置する必要があるため、例えばコークス押出機に検出装置を設置する場合においても、検出装置の設置・取り外しには大がかりな組み立て・取り外し作業が必要になり、コークス炉操業の合間に短時間で検出作業を行うことは困難である。
【0031】
コークス炉炭化室の炉幅測定装置において、測定装置全体を断熱材で覆った断熱箱に収納し、この測定装置を極めて短時間の間炉内に挿入して測定を行い、測定装置内部の温度が上昇する前に炉内から取り出すことを特徴とする測定装置が知られている。また、特開2002−213922号公報に記載の炉幅測定装置においては、水などの吸熱能力を有する液体を充填した吸熱箱を準備し、吸熱箱の外側は断熱材で被覆して断熱箱としている。測定装置を高温の炭化室に挿入すると、雰囲気から供給された入熱は表面を被覆する断熱材によって遮断され、断熱材を通して進入した熱は吸熱箱の液体に吸収される。従って、単に測定装置全体を断熱材で覆った場合と比較し、炭化室内に滞在可能な時間を延長することができる。測定装置に冷却水を供給・排出する配管を設置する必要がないので、装置をコンパクト化することができるとともに、コークス押出機などに測定装置を取り付け、取り外す作業を極めて簡単に行うことができる。
【0032】
本発明のカーボン付着検出装置についても、上記のような断熱材で被覆した断熱箱、あるいは図1、図2に示すように水などの吸熱能力を有する液体12を充填した吸熱箱11をさらに断熱材13で被覆した断熱箱10を用いることにより、カーボン付着検出に必要とする時間だけ炭化室内に滞在することが可能であり、なおかつカーボン検出装置をコークス押出機25などに簡単に取り付け、取り外すことが可能になる。
【0033】
カーボン付着検出装置1の筐体として上記のような断熱箱10を用いる場合には、炉内に挿入した検出装置から炉外までの信号線の配線は行わない。従って、放射計と演算装置によるカーボン付着判定結果は、図1に示すように同じ断熱箱内に収納した記録装置5に記録するか、あるいは図2、図4に示すように断熱箱10からワイヤレス伝送19でデータを炉外に伝送した上で炉外の記録装置5に記録することができる。
【0034】
ワイヤレス伝送19を行う場合には、図2に示すように炉内に配置するカーボン付着検出装置1内にワイヤレス伝送送信機6を配置し、図4に示すように炉外にワイヤレス伝送受信機7を配置し、ワイヤレス伝送受信機7で受信したデータを記録装置5に記録する。ワイヤレス伝送としては、電磁波を用いた無線送信、あるいは可視光や赤外線などの光を用いた方法を用いることができる。
【0035】
カーボン付着判定結果を炉外に配置した記録装置5に記録する場合には、同時に炉内におけるカーボン付着判定部位情報を記録することもできる。例えばコークス押出機にカーボン付着検出装置を載置し、コークス押出機の炉長方向移動に伴ってカーボン付着判定を行う場合においては、コークス押出機の炉長方向現在位置データに基づいて炉長方向のカーボン付着判定部位20を知ることができる。図5に示すようにこのデータ(カーボン付着判定部位20)を記録装置5に同時に入力すれば、カーボン付着判定結果と結合することにより、炉長方向のカーボン付着部位マップを作成することも可能である。記録装置5に表示装置8を接続することにより、リアルタイムにカーボン付着部位マップを表示させることができる。
【0036】
図4に示すように、カーボン付着検出装置1を例えば押出機25の押出ラム26の一定高さ部分に装着し、押出機25を水平移動しつつカーボン付着検出を行って検出結果を記録装置5に記録すれば、コークス炉内の一定高さ部分のカーボン付着部位を連続的に検出することができる。断熱箱10に収納した本発明のカーボン付着検出装置は形状がコンパクトかつ軽量であり、冷却配管等の設置が不要なので、押出ラム26に取り付ける高さは任意に変更することが容易であり、所定の各高さ毎に取り付け位置を変えて検出を行うことにより、炉高全体のカーボン付着部位を知ることができる。
【0037】
押出機以外に炭化室内に挿入可能な装置、例えば炉内測定装置を有している場合には、該炉内測定装置に本発明のカーボン付着検出装置を取り付け、押出機に取り付けた場合と同じようにカーボン付着検出を行うこともできる。
【0038】
本発明のカーボン付着検出装置には、図2に示すように同じ筐体内に炉幅計14を同時に配置しても良い。カーボン付着はレンガを保護する作用があると考えられており、必ずしも有害ではないが、カーボン層が成長して異常に厚くなると、コークス押出し時に抵抗となり、押詰りや炉壁破壊を引き起こす危険が生じる。そこで、炉幅測定とカーボン付着検出とを組み合わせれば、より精度の高いカーボン付着管理が可能になる。なお、炉幅測定だけでは炉幅そのものが変形しているのかカーボンが付着しているのかがわからない。炉幅計としては、2台のレーザ距離計14を用い、各レーザ距離計をレーザ射出窓16を通じて対向する2面の炭化室炉壁に向け、各レーザ距離計と向かい合う炭化室炉壁との間の距離を測定する方法を採用することができる。
【0039】
本発明のカーボン付着検出装置は、装置から炉壁に向かって赤外線を照射し、炉壁で反射した赤外線に基づく赤外域のスペクトル情報、特に2波長における反射赤外線強度を利用する検出装置とすることもできる。この場合は、図6に示すようにカーボン付着検出装置内に炉壁に赤外線を照射する赤外線照射装置18を具備する。そのほかの点については、高温の炉壁レンガ表面から発せられる熱放射に基づく赤外域のスペクトル情報を利用する場合の検出装置の場合と同様である。
【0040】
【実施例】
図2に示すような、炉幅計を組み込んだ本発明のカーボン付着検出装置を用い、コークス炉炭化室のカーボン付着検出を行った。コークス炉炭化室の寸法は、奥行16.5m、高さ6m、幅390mm(押出し機側窯口)〜460mm(反対側)である。カーボン付着検出装置の筐体は、水12を充填した吸熱箱11をさらに断熱材13で被覆した断熱箱10を用いた。この結果、炉外から冷却水を供給していないにも関わらず、高温の炭化室内に5分間滞在してカーボン付着検出を行うことが可能である。また、冷却水供給・排出配管を必要としていないので、可搬式のコンパクトな装置とすることができる。カーボン付着検出装置を、図4に示すようにコークス炉押出し機の押出しラムに搭載した。これにより、乾留が完了したコークスを押出す操業と同時にカーボン付着検出を行うことができる。
【0041】
波長3μm以下の赤外線検出には、InGaAsを受光素子とした放射計2Sに透過帯域1.2〜1.7μmの干渉フィルタを波長選択フィルタ4Sとして取り付けている。また、6μm以上の赤外線検出には、HgCdTeを受光素子とした放射計2Lに透過帯域7〜8μmの干渉フィルタを波長選択フィルタ4Lとして取り付けている。
【0042】
演算装置3は、放射計2Sによる熱放射輝度I(λ)、放射計2Lによる熱放射輝度I(λ)を受け取り、測定値I(λ)を用い上記(3)式に基づいて温度Tを算出し、次いで算出した温度Tと測定値I(λ)を上記(4)式に代入することにより、分光放射率εを算出する。次に演算装置3は、求まった放射率εが0.4以下であれば測定部位は珪石レンガであると判定し、放射率εが0.9以上であれば測定部位はカーボン付着であると判定する。演算装置3がカーボン付着を検出するとカーボン付着検出信号としてTTLレベル信号(5Vデジタル信号)を出力する。
【0043】
炉幅計としては、2台のレーザ距離計14を用い、各レーザ距離計をレーザ射出窓16を通じて対向する2面の炭化室炉壁に向け、各レーザ距離計と向かい合う炭化室炉壁との間の距離を測定して炉幅とする。
【0044】
ワイヤレス伝送にはデジタル無線機を使用した。演算装置3から出力されるカーボン付着検出信号と炉幅計が測定する炉幅が、ワイヤレス伝送送信機6としてのデジタル無線送信機に入力され、炉外のデジタル無線受信機にリアルタイムで送られる。
【0045】
図7に測定結果例を示す。図の横軸は炭化室の炉奥行方向距離であり、演算装置3がカーボン付着を検出した部位が「カーボン付着と判定された部位」として示され、炉幅計による炉幅測定値が実線グラフで示されている。なお、築炉時の炉幅設計寸法を図中の破線で示している。炉は奥に行くほど炉幅が広くなるテーパーを有している。
【0046】
炉幅測定データからは、図中の(a)〜(e)の5箇所で炉幅が狭くなっている箇所が見受けられたが、狭さく量が大きく操業トラブルを招く可能性のある(b)および(d)については、カーボン付着と判定された部位と一致しており、カーボン付着であることが判明した。そこで、(b)と(d)の部位にエアーを吹き付けてカーボンを燃焼させて除去するなどの対策を実施し、これによってコークス炉の操業を安定させることができた。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、コークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出において、炭化室炉壁レンガ表面の赤外域のスペクトル情報を利用することにより、装置を小型化することが可能になる。また、カーボン付着と他の損傷とを明確に区別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカーボン付着検出装置を示す図である。
【図2】本発明のカーボン付着検出装置を示す図である。
【図3】カーボンと珪石レンガの赤外領域放射率波長依存性を示す図である。
【図4】コークス押出機に取り付けた本発明のカーボン付着検出装置を示す図である。
【図5】ワイヤレス伝送送受信機を有する本発明の機器接続状況を示す概念図である。
【図6】本発明のカーボン付着検出装置を示す図である。
【図7】本発明のカーボン付着検出装置を用いた測定結果の一例であり、横軸は炭化室の炉奥行方向距離、「カーボン付着と判定された部位」は検出装置がカーボン付着を検出した部位、実線は炉幅計による炉幅測定値、破線は築炉時の炉幅設計寸法である。
【符号の説明】
1 カーボン付着検出装置
2 放射計
2S 放射計(波長λ
2L 放射計(波長λ
3 演算装置
4 波長選択フィルタ
5 記録装置
6 ワイヤレス伝送送信機
7 ワイヤレス伝送受信機
8 表示装置
9 電源装置
10 断熱箱
11 吸熱箱
12 液体
13 断熱材
14 レーザ距離計
15 赤外窓
16 レーザ出射窓
17 ワイヤレス伝送窓
18 赤外線照射装置
19 ワイヤレス伝送
20 カーボン付着判定部位
21 炉壁
22 珪石レンガ
23 カーボン付着部位
25 押出機
26 押出ラム
27 架台

Claims (5)

  1. 炭化室炉壁レンガ表面の赤外域のスペクトル情報を利用して壁面のカーボン付着有無を判断することを特徴とするコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
  2. 高温の炉壁レンガ表面から発せられる熱放射に基づく赤外域のスペクトル情報を利用することを特徴とする請求項1に記載のコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
  3. 前記赤外域のスペクトル情報は、3μmより短い波長λと6μmより長い波長λの2波長における熱放射輝度測定値であることを特徴とする請求項2に記載のコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
  4. 前記2波長における熱放射輝度測定値に基づいて波長λの分光放射率εを求め、該分光放射率εに基づいて壁面のカーボン付着有無を判断することを特徴とする請求項3に記載のコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出方法。
  5. 炉壁レンガ表面から発せられる赤外領域における異なった波長の熱放射輝度を検出する2台の放射計と、各放射計で検出する波長を選択する波長選択フィルタと、検出した熱放射輝度に基づいて壁面のカーボン付着有無を判断する演算装置とを有することを特徴とするコークス炉炭化室壁面のカーボン付着検出装置。
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