JP2004136544A - 印刷装置、印刷用コンピュータプログラム、印刷用コンピュータシステムおよび印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】双方向印刷における補正量を迅速に求めること。
【解決手段】往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段(印刷ヘッドユニット)と、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行う制御手段(制御回路40)と、を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段(印刷ヘッドユニット)と、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行う制御手段(制御回路40)と、を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷装置、印刷用コンピュータプログラム、および印刷用コンピュータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクを吐出する印刷ヘッドが主走査方向に走査しつつインクを吐出して印刷を行うインクジェット型プリンタには、往路と復路でそれぞれインクを吐出して印刷するいわゆる「双方向印刷」を行う機能を有するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このようなプリンタにおいて、双方向印刷を行う際には、往路と復路のそれぞれにおいて形成されるインク滴の主走査方向におけるドットの形成位置(すなわち、インク滴の印刷用紙上における着弾位置)が合致するように補正する必要がある。
【0004】
ドット形成位置の補正量を決定する方法としては、例えば、図27に示すように、往路における印刷によって、印刷ヘッドの先端側のノズルを用いて、主走査方向に一定の間隔を隔て、副走査方向に延びる複数の縦ライン(500a〜500i)を印刷する。つぎに、復路においても同様に複数の縦ライン(501a〜5001i)を印刷するが、復路では往路の各縦ラインの間隔に異なる補正量を加え、少しずつ異なる間隔の縦ラインを印刷ヘッドの後端側のノズルを用いて印刷する。図27の例では、縦ライン500aと縦ライン501aのずれはΔL1であり、縦ライン500bと縦ライン501bのずれはΔL2である。そして、ΔL1とΔL2は、ΔL1>ΔL2の関係を有している。
【0005】
このようにして得られた印刷パターンの、往路の印刷による縦ライン500a〜500iと、復路の印刷による縦ライン501a〜501iとが、最も直線状に印刷されたところをユーザ等が選択し、選択した縦ラインを印刷した際に加えた補正量を、双方向印刷を行う際の補正量として決定する。図27の例では、縦ライン500dと、縦ライン501dとが最も直線状に印刷されていることから、これらを描画する際に加えられた補正量が双方向印刷を行う際の補正量として決定される。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−286142号公報(発明の詳細な説明第3ページ)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、階調性を向上させるために、印刷ヘッドから吐出されるインク滴の量を変化させる機能を有する印刷装置がある。
【0008】
ところで、インク滴の着弾位置は、インク滴の質量にも依存するため、インク滴の量、すなわち、インクの質量が変化すると、着弾位置にズレを生ずることになる。したがって、このような印刷装置の場合には、インク滴の設定量毎に補正量を求める必要があることから、インク量に応じた複数の補正用パターンを印刷する必要が生じる。
【0009】
また、補正用パターンを1回印刷しただけでは適切な補正量が求まらない場合があり、そのような場合には補正用パターンを繰り返し印刷する必要が生じる。したがって、インク滴の量を変化させる機能を有する印刷装置では、複数の補正用パターンを繰り返し印刷する必要が生じることから、補正量を求めるのに時間がかかるという問題点がある。
【0010】
また、インクジェット型プリンタにおいて、自然画像(例えば、ディジタルカメラによって撮像された画像)を印刷する場合には、カラー印刷に最低限必要なシアシ、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクの他に、例えば、淡色インク、すなわちライトシアン、ライトマゼンタや、ダークイエローのインクを加えて7色のインクを用いて印刷することがある。一方、限定された色しか必要としないイラストなどをカラー印刷する場合には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクを用いて印刷するため、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエローのインクは用いられない。このため、近年では各色のインクを別個のカートリッジとして設け、それらインクカートリッジをそれぞれ着脱可能な7つの印刷ヘッドを有し、自然画像を印刷する場合には、7色のインクカートリッジを用い、印刷速度を高めたい場合またはイラストを印刷する場合には、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエローのインクに換えてシアン、マゼンタ、イエローのインクカートリッジを装着し、各色それぞれ2つのノズルを用いて印刷することが可能なインクジェット型プリンタが提供されている。
【0011】
しかしながら、4色のインクを用いて印刷する際には、同色のインクが2カ所に装着されているため、それら同色のインクを吐出する異なるノズルについて、往路と復路において吐出したインク滴による主走査方向のドット形成位置を補正することが望ましい。一方、7色のインクを用いて印刷する際には、使用される頻度が高い淡色インク、特にライトシアンのインクを吐出するノズルとライトマゼンタのインクを吐出するノズルについて、往路と復路とにおいて吐出したインク滴による主走査方向のドット形成位置を補正することが望ましい。
【0012】
このため、往路と復路とにおいて吐出したインク滴による主査方向のドット形成位置を補正するための補正値は、7色印刷用の補正値と、4色印刷用の補正値とをそれぞれ別個に設定しなければならない。すなわち、7色印刷用の補正値と4色印刷用の補正値とを決定するための2種類の補正用パターンをそれぞれ異なるノズルを用いて印刷しなければならないため、補正量を求めるのに時間を要するという問題点がある。
【0013】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる印刷装置、印刷用コンピュータプログラム、および印刷用コンピュータシステムを提供しよう、とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置において、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段と、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行う制御手段と、を有している。
【0015】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された補正用パターンについては当該選択されたペアの近傍に位置するペアであって、いまだ印刷されていないペアが新たに印刷されるように補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行うようにしている。
【0017】
このため、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された場合には、いまだ印刷されていないペアを再印刷の際に新たに印刷するようにしたので、これとの比較により最適な補正量を求めることが可能になる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された補正用パターンについては当該選択されたペアが中央に位置するように制御して再印刷を行うようにしている。
【0019】
このため、中央に位置しているペアと、その左右に位置する他のペアとを比較することにより、最適な補正量を求めることが可能になる。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、第1の図形群中の各図形および第2の図形群中の各図形は、主走査方向に所定のドット幅を有する図形としている。
【0021】
このため、インクの吐出量が少ない場合等であっても、視認性を向上させることにより、最適な補正量を迅速に求めることが可能になる。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、補正用パターン印刷手段は、第2の図形群と同一の路において第3の図形群をさらに印刷し、制御手段は第3の図形群に対しても第2の図形群と同様の処理を実行するようにしている。
【0023】
このため、例えば、第1と第2の図形群により第1および第2のノズル列に対する補正量を求め、第1と第3の図形群により第1および第3のノズル列に対する補正量を同時に求めることが可能になる。
【0024】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備する印刷装置に、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷させる処理をコンピュータに実行させる印刷用コンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御する制御手段、として機能させるようにしている。
【0025】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0026】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置と、印刷装置に接続されているコンピュータとを有する印刷用コンピュータシステムにおいて、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段と、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御する制御手段と、を有するようにしている。
【0027】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0028】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷方法において、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷ステップと、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷ステップを制御して再印刷を行う制御ステップと、を有している。
【0029】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0030】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを有する印刷装置において、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段と、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段と、を有するようにしている。
【0031】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0032】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量の差異が所定の範囲内に収まる場合には、第2の図形群と第3の図形群を同一のパスで印刷するように第2および第3の図形群印刷手段を制御するようにしている。
【0033】
このため、第2の図形群と第3の図形群を同一のパス(走査)によって印刷することができるため、補正用パターンの印刷に必要な時間を短縮することが可能になる。
【0034】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量の差異が所定の範囲内に収まらない場合には、第2の図形群と第3の図形群をそれぞれ異なるパスで印刷するように第2および第3の図形群印刷手段を制御するようにしている。
【0035】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が大きく異なる場合であっても、同一の補正用パターンを用いてそれぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0036】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、第1の図形群中の各図形および第2の図形群中の各図形は、主走査方向に所定のドット幅を有する図形としている。
【0037】
このため、視認性を向上させることにより、インクの吐出量が少ない場合であっても最適な補正量を確実かつ迅速に求めることが可能になる。
【0038】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備するとともに、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを具備する印刷装置に対して、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷させる処理をコンピュータに実行させる印刷用コンピュータプログラムにおいて、印刷装置を、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段、として機能させるようにしている。
【0039】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0040】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを具備する印刷装置と、印刷装置に接続されているコンピュータとを有する印刷用コンピュータシステムにおいて、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段と、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段と、を有するようにしている。
【0041】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0042】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷方法であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを有する印刷方法において、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷ステップと、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷ステップと、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷ステップと、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷ステップを制御する制御ステップと、を有するようにしている。
【0043】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0045】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置の概要について、図1および図2を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る印刷装置であるインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」と略記する)22を備えた印刷システムの概略構成図であり、図2は、制御手段に相当する制御回路40を中心としたプリンタ22の構成例を示すブロック図である。
【0046】
プリンタ22は、紙送りモータ23によって印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる主走査送り機構とを有している。ここで、副走査送り機構による印刷用紙Pの送り方向を副走査方向といい、主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向を主走査方向という。
【0047】
また、プリンタ22は、キャリッジ31に搭載され、印刷ヘッド12を備えた印刷ヘッドユニット60(補正用パターン印刷手段、第1の図形群印刷手段、第2の図形群印刷手段、第3の図形群印刷手段に相当)と、この印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ23、キャリッジモータ24、印刷ヘッドユニット60、および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。
【0048】
制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。このコンピュータ90は、プリンタ22用のドライバーを搭載し、入力装置であるキーボードや、マウス等の操作によるユーザの指令を受け付け、また、プリンタ22における種々の情報を表示装置の画面表示によりに提示するユーザインターフェイスを構成している。
【0049】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ23の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレイン(図示せず)を備える。
【0050】
また、キャリッジ31を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と平行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39とを備えている。
【0051】
図2に示すように、制御回路40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)43、RAM(Random Access Memory)44、文字のドットマトリクスを記憶したCG(Character Generator)45、およびEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)46を備えた算術論理演算回路として構成されている。
【0052】
この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェース(I/F(Interface))であるI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ23およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54とを備えている。
【0053】
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。
【0054】
つぎに、コンピュータ90の構成について、図3を参照しつつ説明する。
【0055】
図3に示すように、コンピュータ90は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD(Hard Disk Drive)94、ビデオ回路95、I/F96、バス97、表示装置98、入力装置99、および外部記憶装置100によって構成されている。
【0056】
ここで、CPU91は、ROM92やHDD94に格納されているプログラムに従って補正用パターンの印刷処理等の各種演算処理を実行するとともに、装置の各部を制御する制御部となる。
【0057】
ROM92は、CPU91が実行する基本的なプログラムやデータを格納しているメモリである。
【0058】
RAM93は、CPU91が実行途中のプログラムや、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。
【0059】
HDD94は、CPU91からの要求に応じて、記録媒体であるハードディスクに記録されているデータやプログラムを読み出すとともに、CPU91の演算処理の結果として発生したデータを前述したハードディスクに記録する記録装置である。
【0060】
ビデオ回路95は、CPU91から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換して表示装置98に出力する回路である。
【0061】
I/F96は、入力装置99および外部記憶装置100から出力された信号の表現形式を適宜変換するとともに、プリンタ22に対して印刷信号PSを出力する回路である。
【0062】
バス97は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD94、ビデオ回路95、およびI/F96を相互に接続し、これらの間でデータの授受を可能とする信号線群である。
【0063】
表示装置98は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタによって構成され、ビデオ回路95から出力された映像信号に応じた画像を表示する装置である。
【0064】
入力装置99は、例えば、キーボードやマウスによって構成されており、ユーザの操作に応じた信号を生成して、I/F96に供給する装置である。
【0065】
外部記憶装置100は、例えば、CD−ROM(Compact Disk−ROM)ドライブユニット、MO(Magneto Optic)ドライブユニット、FDD(Flexible Disk Drive)ユニットによって構成され、CD−ROMディスク、MOディスク、FDに記録されているデータやプログラムを読み出してCPU91に供給する装置である。また、MOドライブユニットおよびFDDユニットは、CPU91から供給されたデータを、MOディスクまたはFDに記録する装置である。
【0066】
つぎに、印刷ヘッド12の構成について、図4および図5を参照しつつ説明する。ここで、図4は、印刷ヘッド12の内部の概略構成を示す図である。図5は、ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳細に示した図である。
【0067】
図1に示すように、キャリッジ31には、ダークイエロー(DY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の7色のインクを各々個別に収納したインクカートリッジ71〜77が着脱可能に搭載される。
【0068】
同じく、図1に示すように、キャリッジ31の下部には印刷ヘッド12が設けられ、印刷ヘッド12にはインク吐出箇所としてのノズルNzが印刷用紙Pの搬送方向に列状に配置されたインク吐出部としてのノズル列R1〜R8が設けられている。印刷ヘッド12におけるノズルNzの配列の詳細については後述する。
【0069】
図4(a)に示すように、キャリッジ31の底部には、各色用印刷ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管69が設けられている。キャリッジ31にインクカートリッジ71〜77を上方から装着すると、各インクカートリッジ71〜77に設けられた接続孔に導入管69が挿入され、各インクカートリッジ71〜77から各ノズルNz(図4(b)参照)へのインクの供給が可能となる。
【0070】
そして、インクカートリッジ71〜77がキャリッジ31に装着されると、インクカートリッジ内のインクが導入管69(図4(a)参照)を介して吸い出され、キャリッジ31の下部に設けられたノズルNz(図4(b)参照)に導かれる。
【0071】
キャリッジ31の下部に設けられ、各色毎に対応づけられたノズル列R1〜R8には、ノズル毎に、電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている(図4(a),(b)参照)。そして、図5(a)に示すように、ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路70に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う。
【0072】
本実施の形態では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図5(b)に示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路70の一側壁を変形させる。この結果、インク通路70の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴Ipとなって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク滴Ipがプラテン26に沿わされた印刷用紙Pに染み込むことにより、ドットが形成されて印刷が行われる。
【0073】
図6は、印刷ヘッド12におけるインクジェットノズルNzの配列を示す図である。図示するように、印刷ヘッド12には、各列180個のノズルNzを副走査方向に列状に配置して形成されたノズル列R1〜R8が、主走査方向に8列並べて形成されている。8列のノズル列R1〜R8のうちの隣り合う一対のノズル列(例えばR1とR2)に属するノズルNz同士は、副走査方向に所定ピッチずつ互いにずれており、また、1列置きの一対のノズル列(例えばR1とR3)に属するノズルNz同士は副走査方向において互いに同一位置に配置されている。
【0074】
そして、本実施の形態による印刷ヘッド12においては、8列のノズル列R1〜R8のそれぞれに供給されるインクが、副走査方向と直交する主走査方向において印刷ヘッド12の中央側に位置するノズル列R4,R5から端部側に位置するノズル列R1,R8に向かって濃色から淡色に変化している。
【0075】
具体的には、主走査方向における印刷ヘッド12の中央に位置し、隣り合う一対のノズル列R4,R5からはブラック系インクが吐出され、これらのノズル列R4,R5の外側に位置する一対のノズル列R3,R6からはシアン系インクが吐出され、これらのノズル列R3,R6の外側に位置する一対のノズル列R2,R7からはマゼンタ系インクが吐出され、これらのノズル列R2,R7の外側の隣に位置する一対のノズル列R1,R8からはイエロー系インクが吐出される。
【0076】
ここで、ブラック系インクはブラックインク(K)であり、シアン系インクはシアンインク(C)またはライトシアンインク(LC)であり、マゼンタ系インクはマゼンタインク(M)またはライトマゼンタインク(LM)であり、イエロー系インクはイエローインク(Y)またはダークイエローインク(DY)である。
【0077】
本実施の形態のプリンタ22は、第1色数印刷としての7色印刷モード(高画質印刷モード)と第2色数印刷としての4色印刷モード(高速印刷モード)とを選択可能である。7色印刷モードにおいては、シアン系インクが吐出される一対のノズル列R3,R6のうちの一方のノズル列R6からシアンインクが吐出され他方のノズル列R3からライトシアンインクが吐出され、マゼンタ系インクが吐出される一対のノズル列R2,R7のうちの一方のノズル列R7からマゼンタインクが吐出され他方のノズル列R2からライトマゼンタインクが吐出され、イエロー系インクが吐出される一対のノズル列R1,R8のうちの一方のノズル列R8からイエローインクが吐出され他方のノズル列R1からダークイエローインクが吐出される。
【0078】
一方、4色印刷モードにおいては、シアン系インクが吐出される一対のノズル列R3,R6の両方からシアンインクが吐出され、マゼンタ系インクが吐出される一対のノズル列R2,R7の両方からマゼンタインクが吐出され、イエロー系インクが吐出される一対のノズル列R1,R8の両方からイエローインクが吐出される。
【0079】
また、本実施の形態のプリンタ22においては、図1に示したようにキャリッジ31にインクカートリッジ71〜77を着脱可能に装着することが可能である。より具体的には、図7に示すように、印刷ヘッド12の各ノズルNzから吐出される各色のインクがそれぞれ充填された各インクカートリッジ71〜77をそれぞれ独立して着脱可能に装着できる。本実施の形態では、インクカートリッジ71にはダークイエロー(DY)、72にはライトマゼンタ(LM)、73にはライトシアン(LC)、74にはブラック(K)、75にはシアン(C)、76にはマゼンタ(M)、77にはイエロー(Y)のインクが、それぞれ充填されている。
【0080】
さらに、図7に示すように、キャリッジ31には各インクカートリッジ71〜77に対応させて接点端子9がそれぞれ設けられている。これらの接点端子9は、インクカートリッジ71〜77がそれぞれ有するROM14に記憶された各種情報、例えば充填されているインクの種類に関する情報を電気的に読み出す。すなわち、インクカートリッジ71〜77がキャリッジ31に装着されると、ROM14と接点端子9とが接触して導通するように構成され、接点端子9を通じてROM14に記憶されている情報が、制御回路40によって読み取り可能となる。なお、ROM14は、EEPROM等の書き換え可能な記憶素子により構成することができる。
【0081】
制御回路40は、インクカートリッジ71〜77に充填されているインクの種類をインクカートリッジ71〜77がそれぞれ有するROM14からの情報に基づいて識別し、インクカートリッジ71〜77に充填されているインクが、指定された7色または4色の印刷モードに適合するか否かを判定する。
【0082】
そして、キャリッジ31に装着されたインクカートリッジ71〜77が所定の種類のインクを貯留していないと判断された場合には、警告音や警告表示を出すことによってインクカートリッジ71〜77の確認をユーザに促すように構成されている。
【0083】
なお、制御回路40がインクカートリッジ71〜77に充填されているインクの種類をROM14からの情報に基づいて識別し、インクカートリッジ71〜77に充填されているインクの種類に応じて7色または4色の印刷モードを自動的に切り換える構成としてもよい。
【0084】
つぎに、印刷ヘッド12の駆動について、図8を参照しつつ説明する。
【0085】
図8は、ヘッド駆動回路52(図2参照)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。この図に示すように、駆動信号発生部は、原駆動信号発生部121、複数のマスク回路122、および補正回路123を備えている。
【0086】
原駆動信号発生部121は、ノズル列を構成するノズルN1〜N180に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、図9に示すように、一画素分の主走査期間内に、第1のパルスW1と第2のパルスW2の2つのパルスを含む信号である。補正回路123は、マスク回路122が整形した駆動信号波形のタイミングを復路全体で前後にずらし、補正を行う。この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される、すなわち、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが補正される。
【0087】
マスク回路122は、印刷ヘッド12のノズルN1〜N180をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子PEに対応して設けられており、シリアル印刷信号PRT(i)(iは1〜180の整数)の状態に応じて、印刷する必要がない画素については原駆動信号ODRVをマスクする。なお、図8において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
【0088】
図8に示すように、入力されたシリアル印刷信号PRT(i)は、原駆動信号発生部121から出力される原駆動信号ODRVとともに各マスク回路122にそれぞれ入力される。このシリアル印刷信号PRT(i)は、一画素当たり2ビットのシリアル信号であり、各ビットは、図9に示すように、第1のパルスW1と第2のパルスW2とにそれぞれ対応している。
【0089】
そして、マスク回路122は、シリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクする。すなわち、マスク回路122は、シリアル印刷信号PRT(i)の論理が“1”のときには原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子PEに供給し、一方、シリアル印刷信号PRT(i)の論理が“0”のときには原駆動信号ODRVの対応するパルスを遮断(マスク)する。
【0090】
ドットの形成位置ズレの補正方法は、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが目立たなくなるように、復路におけるインクの吐出タイミングを復路全体で意図的にずらす、というものである。なお、往路におけるインクの吐出タイミングを往路全体で意図的にずらしてもよく、また、往路および復路におけるインクの吐出タイミングを往路および復路全体でそれぞれ意図的にずらしてもよい。なお、往路と復路における主走査方向のドットの形成位置ズレの原因としては、インクの吐出速度のばらつきや、主走査方向の駆動機構のバックラッシュや、印刷用紙Pを支えているプラテン26の反り等がある。
【0091】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の動作について説明する。以下では、本発明の第1の実施の形態の動作について簡単に説明した後、詳細な動作について説明する。
【0092】
図10は、本発明の第1の実施の形態において印刷される単一の補正用パターンの一例を示す図である。図示するように、補正用パターンは、主走査方向に適宜間隔を隔てて印刷された9個の罫線対(ペア)140,141によって構成されている。なお、以下では、7色モードの場合を例に挙げて説明する。
【0093】
第1の図形群に対応する罫線140a〜140iは、印刷ヘッド12の往路においてライトマゼンタのインクによって印刷されるパターンであり、それぞれが一定の間隔をおいて印刷される。第2の図形群に対応する罫線141a〜141iは、印刷ヘッド12の復路においてライトシアンのインクによって印刷されるパターンであり、罫線毎に吐出タイミングを変化させ、主走査方向にその変化量が順次変化するように印刷される。すなわち、吐出タイミングの変化量は、補正量を選択するために仮に設定した単位補正量ずつ往路と復路の罫線のずれ量が変化するように設定する。ここで、単位補正量は、例えば、ノズル間距離(=1/180インチ)を、例えば、8等分に分割した距離(1/180インチ)/8=1/1440インチとし、罫線141a〜141iが主査方向に、1/1440インチずつずれるように復路のタイミングをずらして印刷される。
【0094】
例えば、罫線140aおよび罫線141aのずれΔL1と、罫線140bおよび罫線141bのずれΔL2との差は、ΔL1−ΔL2=1/1440インチとなっている。同様に、罫線140bおよび罫線141bのずれΔL2と、罫線140cおよび罫線141cのずれΔL3(図示せず)との差は、ΔL2−ΔL3=1/1440インチとなっている。それ以外の罫線についても同様である。
【0095】
なお、罫線対の上部に印刷されている“−8”〜“8”の数字は、補正量が適切である罫線対を指示するための数字(以下、「指示値」と称する)である。
【0096】
本実施の形態では、図10に示すような単一の補正用パターンを、インクの吐出量を段階的に変化させて印刷する。図11は、インクの吐出量を変化させて印刷した補正用パターン群の一例を示す図である。この例は、インクの吐出量が2pl(pico liter)、4pl、6pl、8pl、および10plである場合に対応する補正用パターン群である。すなわち、罫線群150,151は、2plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群150は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群151は印刷ヘッド12の復路において印刷される。
【0097】
同様に、罫線群152,153は、4plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群152は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群153は印刷ヘッド12の復路において印刷される。罫線群154,155は、6plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群154は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群155は印刷ヘッド12の復路において印刷される。罫線群156,157は、8plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群156は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群157は印刷ヘッド12の復路において印刷される。罫線群158,159は、10plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群158は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群159は印刷ヘッド12の復路において印刷される。
【0098】
このような補正用パターン群が印刷されると、ユーザ(または、製造工程における調整者)は、罫線が最も直線状に並んでいるペアを各吐出量毎に選択する。例えば、図11では、2plの吐出量の場合には、指示値“−2”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“−2”を選択する。
【0099】
また、4plの吐出量の場合には、指示値“2”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“2”を選択する。6plの吐出量の場合には、指示値“8”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“8”を選択する。8plの吐出量の場合には、指示値“4”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“4”を選択する。10plの吐出量の場合には、罫線対が完全に一致しているものは存在しないが、指示値“−8”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“−8”を選択する。
【0100】
ところで、6plに対応する補正用パターンについては、右端に存在している罫線対が選択されている。しかし、実際にはさらに右側にも罫線対が存在しており、これとの比較ができないため、選択された右端の罫線対が最適であるか否かが明確でない。また、10plに対応する補正用パターンについては、左端に存在している罫線対が選択されているが、この罫線対は直線状とはなっていないため、この左側に存在する罫線対またはさらに左側に存在する罫線対の方が最適であると考えられる。
【0101】
したがって、本実施の形態では、左端または右端(以下、両端と称する)に印刷されている罫線対が選択された補正用パターンについては、当該罫線対が最適であるか否かの判断ができないため、選択された罫線対が中央にくるように再度補正用パターンを印刷し、それ以外の罫線対が選択された補正用パターンについては印刷対象から除外することにより印刷時間を短縮させる。
【0102】
図12は、図11において上述の指示値が選択された場合において、再印刷される補正用パターン群の一例を示す図である。この図の例では、図11において、6plと10plのみ両端の罫線対が選択されたので、これらの補正用パターンについては図11において選択された罫線対が中央に位置するように(すなわち、選択された罫線対が指示値“0”の位置にくるように)補正量が変更されて印刷されている。また、6plおよび10pl以外については印刷対象から除外されている。
【0103】
つぎに、ユーザは、図12に示す補正用パターン群を参照し、6plおよび10plに対応する補正用パターンのそれぞれについて、最も直線状になっている罫線対を選択する。この図の例では、6plについては指示値“0”に対応する罫線対が最も直線状であり、また、10plについては指示値“−2”に対応する罫線対が最も直線状であるので、これらが選択されることになる。ここで、“0”および“−2”に対応する罫線対は、両端に位置する罫線対ではないので、全ての吐出量についての補正量が決定される。
【0104】
このように、補正用パターン群のうち両端に位置する罫線対が選択された場合には、当該罫線対が最も直線状であるか否か(すなわち、最適な補正量か否か)の判断ができないので、選択された罫線対が中央にくるように再度補正用パターンを印刷し、それ以外の補正用パターンについては印刷対象から除外するようにしたので、2回目以降の印刷においては印刷する補正用パターンの数を減少させることができるため、印刷に必要な時間を短縮するとともに、補正用パターンの印刷に浪費されるインクの量を削減することができる。また、両端に位置する罫線については、中央に位置するように再度印刷し、他の罫線対との比較により、最適な罫線対を選択できるようにしたので、補正量を正確に求めることが可能になる。
【0105】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の詳細な動作について説明する。
【0106】
図3に示すコンピュータ90の入力装置99を操作することにより、補正用パターンを印刷するアプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーションプログラム」と記述する)を起動する指示がなされると、CPU91は、HDD94または外部記憶装置100に記憶されているアプリケーションプログラムを読み出して実行する。その結果、アプリケーションプログラムは、所定の印字信号PSを生成し、I/F96を介してプリンタ22に供給する。
【0107】
プリンタ22では、制御回路40のCPU41がI/F専用回路50を介して印刷信号PSを受信し、コンピュータ90において実行されているアプリケーションプログラムからの指示に応じた動作を実行する。
【0108】
すなわち、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、紙送りモータ23を制御して、印刷用紙Pを1枚だけプリンタ22内部に吸引させる。そして、キャリッジモータ24を制御して、印刷ヘッド12をホームポジション(例えば、図1の右端)に移動させる。
【0109】
つぎに、CPU41は、インクカートリッジのROM14に記憶されている情報を参照し、4色モードまたは7色モードのいずれに対応するインクカートリッジが装着されているかを判定する。その結果、7色モードに対応するインクカートリッジが装着されている場合には、補正用パターンを描画するインクとして、画質に最も大きな影響を与えるライトマゼンタとライトシアンとを選択する。また、4色モードに対応するインクカートリッジが装着されている場合には、視認性が高いマゼンダを選択する。なお、イエローについては、視認性が低いことと、印刷した際にイエローがずれを生じても画質の低下にそれほど関係しないことから、これ以外の色を使用することが望ましい。
【0110】
つづいて、CPU41は、CG45に対して制御信号を送り、“−8”〜“8”に対応するキャラクタを発生させ、印刷用紙Pの横方向に所定の間隔を隔てて印刷させる。その結果、図11に示す“−8”から“8”までの指示値が印刷用紙P上に印刷される。
【0111】
つづいて、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、紙送りモータ23を制御して印刷用紙Pを所定量だけ紙送りする。
【0112】
つづいて、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、キャリッジモータ24を制御して印刷ヘッドユニット60を往路方向(図11の左方向)に移動させるとともに、ヘッド駆動回路52に制御信号を送り、所定の間隔毎にライトマゼンダインクを吐出させ、罫線150a〜150iを描画する。なお、このとき、インクの吐出量が2plとなるようにピエゾ素子に印加する電圧を調整する。
【0113】
つづいて、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、キャリッジモータ24を制御して印刷ヘッドユニット60を復路方向(図11の右方向)に移動させるとともに、ヘッド駆動回路52に制御信号を送り、それぞれが所定のズレ量を有するようにライトシアンインクを吐出させ、罫線151a〜151iを描画する。なお、このとき、インクの吐出量が2plとなるようにピエゾ素子に印加する電圧を調整する。
【0114】
同様にして、4pl〜10plに対応する補正用パターンを、紙送り制御を行いながら行う。その結果、印刷用紙Pには、図11に示すような補正用パターン群が印刷されることになる。
【0115】
ユーザは、このような補正用パターン群を参照して、各補正用パターンにおいて最も直線状になっている罫線対をそれぞれ選択する。CPU91は、ビデオ回路95に所定の描画命令を供給し、表示装置98に図13に示すような画面170を表示させる。この画面170では、画面上部にメッセージ「それぞれのインク吐出量において最も上下の罫線が一致している罫線対の数字を入力してください。」が表示され、また、吐出量2pl〜10plのそれぞれについて、最も直線状である罫線対に付与された指示値を入力するためのテキストボックス171〜175が表示されている。
【0116】
図11に示す例では、2pl、4pl、6pl、8pl、および10plのそれぞれで、最も直線状になっている罫線対は、指示値“−2”、“2”、“8”、“4”、および“−8”に対応する罫線対であるので、テキストボックス171〜175には、数字“−2”、“2”、“8”、“4”、および“−8”が入力されることになる。
【0117】
CPU91は、このような画面170において入力された指示値を取得し、まず、両端が選択された補正用パターンを特定する。この例では、6plと10plに対応する補正用パターンについて両端に位置する指示値(“8”または“−8”)が選択されているので、これらについては再印刷の対象とする。また、それ以外の補正用パターンについては、入力された指示値に対応する補正量が最適な補正量であると考えられるので、CPU91は、入力された指示値に対応する補正量を、プリンタ22に対して供給する。
【0118】
プリンタ22では、コンピュータ90から供給された補正量を受信し、EEPROM46に補正量として格納する。
【0119】
つづいて、CPU91は、両端の罫線対が選択された補正用パターンを、前述の場合と同様の手順に従って再度印刷する。その結果、図12に示すような補正用パターン群が印刷用紙Pに新たに印刷されることになる。
【0120】
CPU91は、図13に示すのと同様の画面であって、6plと10plのみが表示された画面を表示装置98に表示する。そして、そのような画面において、両端に対応する“−8”または“8”以外の指示値が入力された補正用パターンについては補正が完了したとして、前述の場合と同様にプリンタ22に対して補正量を供給し、EEPROM46に格納させる。また、“−8”または“8”が入力された場合には、前述の場合と同様に補正用パターンを再度印刷し、両端以外が選択されるまで同様の処理を繰り返す。
【0121】
その結果、EEPROM46には、各インクの吐出量に対応する補正量が格納されることになる。これ以降において、7色モードにて印刷が行われる場合には、インクの吐出量に応じた補正量がEEPROM46から読み出されて補正回路123に供給され、往路と復路でドットの形成位置が合致するように調整されるので、復路方向における補正量として使用されることから、自然画像において多用されるライトマゼンタとライトシアンの吐出タイミングを最適に設定することができ、高品質の画像を得ることができる。
【0122】
なお、以上においては、7色モードを例に挙げて説明したが、4色モードの場合には、ノズル列R2(マゼンタ)とノズル列R7(マゼンタ)とを用いて同様のパターンを印刷し、前述の場合と同様の処理を行うことにより、各吐出力について補正量を求めることができる。
【0123】
図14は、本発明の第1の実施の形態において実行される処理の流れを説明するフローチャートである。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0124】
ステップS10:CPU91は、プリンタ22に印刷命令を供給し、図11に示すような、補正用パターン群を印刷させる。
【0125】
ステップS11:CPU91は、ビデオ回路95に描画命令を供給し、表示装置98に対して図13に示すような画面を表示させ、指示値の入力を受ける。
【0126】
ステップS12:CPU91は、図13に示す画面から入力された指示値を参照し、両端の指示値が入力された補正用パターンを検索する。
【0127】
ステップS13:CPU91は、ステップS12の検索において、該当する候補が存在するか否かを判定する。そして、存在する場合にはステップS14に進み、それ以外の場合には処理を終了する。
【0128】
ステップS14:CPU91は、入力された指示値に対応する値をプリンタ22に供給し、補正量として格納させる。すなわち、CPU91は、入力された指示値に対応する補正量を算出し、プリンタ22に供給してEEPROM46に格納させる。
【0129】
ステップS15:CPU91は、ステップS12において検索された候補に対応する補正用パターン、すなわち、両端の指示値が選択された際に、その指示値に対応するパターンが中央である“0”の指示値部分に印刷される補正用パターンを再度印刷させ、ステップS11に進み、前述の場合と同様の処理を実行する。
【0130】
以上のフローチャートによれば、前述した機能を実現することが可能になる。
【0131】
ところで、以上の実施の形態では、補正用パターンとして罫線対からなる図形を印刷するようにしたが、図15に示すようなブロック群を印刷するようにしてもよい。なお、図15においてはブロックをハッチングで便宜上表現しているが、実際にはブロック内全体が印刷される(他の図でも同様である)。
【0132】
この図の例では、補正用パターン200は、主走査方向に適宜間隔を隔てて印刷された9組の矩形形状を有するブロック対(ペア)によって構成されている。なお、以下では、7色モードの場合を例に挙げて説明する。
【0133】
第1の図形群に対応するブロック200a〜200iは、印刷ヘッド12の往路においてライトマゼンタのインクによって印刷されるパターンであり、一定の間隔をおいて印刷される。第2の図形群に対応するブロック201a〜201iは、印刷ヘッド12の復路においてライトシアンのインクによって印刷されるパターンであり、ブロック毎に吐出タイミングを変化させ、主走査方向にその変化量が順次変化するように並べて印刷される。すなわち、吐出タイミングの変化量は、補正量を選択するために仮に設定した単位補正量ずつ往路と復路のブロックのずれ量が変化するように設定する。ここで、単位補正量は、例えば、ノズル間距離(=1/180インチ)を、例えば、8等分に分割した距離(1/180インチ)/8=1/1440インチとし、ブロック201a〜201iが主査方向に、1/1440インチずつずれるように復路のタイミングをずらして印刷される。
【0134】
例えば、ブロック200aおよびブロック201aの左端のずれΔL1と、ブロック200bおよびブロック201bの左端のずれΔL2との差は、ΔL1−ΔL2=1/1440インチとなっている。同様に、ブロック200bおよびブロック201bの左端のずれΔL2と、ブロック200cおよびブロック201cの左端のずれΔL3(図示せず)との差は、ΔL2−ΔL3=1/1440インチとなっている。それ以外のブロックについても同様である。
【0135】
このような補正用パターンを印刷用紙Pに印刷し、ブロック対の対向する1組の辺が最も近接しているものを見つけ出し、そのブロック対の上部に印刷されている指示値を選択することにより、7色モードにおける最適な補正量を得ることができる。図15の例では、ブロック200fおよびブロック201fの対向する1組の辺が最も近接している。一方、ブロック200eおよびブロック201eでは、ブロック間に隙間が生じており、また、ブロック200gおよびブロック201gでは、ブロックの一部が重複している。したがって、ブロック200fおよびブロック201fの上部に印刷されている指示値“2”が選択され、前述した場合と同様の処理により補正量が決定される。
【0136】
図16は、図15に示すブロック200a,200bおよびブロック201a,201bを拡大して示す図である。この図の例では、20ドット幅のブロック200a,200bがライトマゼンタによって描画され、20ドット幅のブロック201a,201bがライトシアンによって描画され、また、ブロック201aとブロック200bとは、40ドット隔てて描画される。
【0137】
図17は、このとき使用されるノズル列の一例を示す図である。図6に示すように、各ノズル列は、N1〜N180の180個のノズルを有しているが、ブロックを描画する場合には、中央部分に位置する全体の1/3に該当するノズルN61〜N120を用いて印刷される。このように、中央部分の一部のノズル群を用いてブロックを描画するのは、印刷ヘッド12が主走査方向に対してずれを有して装着されている場合(すなわち、ノズルN1〜N180が主走査方向に対して完全に垂直ではない場合)に、ブロックの先端部分で誤差が生じることを防止するためである。
【0138】
なお、以上の実施の形態では、補正用の各ブロックを往復1回の走査によって描画するようにしたが、2回以上の走査によって描画することも可能である。図18および図19は、各ブロックを往復2回の走査によって描画する場合の例を示す図である。
【0139】
この図の例では、説明を簡略化するためにブロック200a,200bおよびブロック201a,201bのみを示してある。図18に示すように、第1回目の走査ではブロック200aとブロック200bが往路方向の走査によって描画され、所定量だけ紙送りが行われた後、同じく往路方向の第2回目の走査によってブロック200aとブロック200bが再度描画される。この結果、図18に示す領域wが2度打ちされる部分となる。
【0140】
つづいて、図19に示すように、第3回目の走査ではブロック201aとブロック201bが復路方向の走査によって描画され、所定量だけ紙送りが行われた後、同じく復路方向の第4回目の走査によってブロック201aとブロック201bが再度描画される。なお、紙送り制御を伴う描画がなされることから、ブロック対は、副走査方向に対してΔLのずれを有することになる。
【0141】
このような描画方法によれば、1回の走査によって描画する場合に比較して、描画されるパターンのドット密度を高めることができるので、視認性をより向上させることが可能になり、補正量をさらに正確に求めることが可能になる。
【0142】
なお、以上の説明では、7色モードを例に挙げて説明したが、4色モードの場合には、例えば、往路方向はノズル列R2によってブロック200a〜200iを印刷し、復路方向はノズル列R7によってブロック201a〜201iを印刷すればよい。
【0143】
また、以上の説明では、7色モードでは、ライトシアンとライトマゼンダを、また、4色モードでは、マゼンダ同士を用いて補正用パターンを印刷するようにしたが、これ以外の色(例えば、ブラック)を異なるノズルを用いて印刷するようにしてもよいし、同一の色を同一のノズルを用いて印刷することもできる。例えば、文字等を印刷する場合には、ブラックが多用されるので、ブラックを用いて補正用パターンを印刷して補正量を求めれば、文字を高い解像度で印刷してもきれいな文字を描画することができる。
【0144】
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置ついて説明する。
【0145】
本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置の構成は、図1〜図8と同様であるのでその説明は省略し、動作についてのみ説明する。以下では、本発明の第2の実施の形態の動作の概要について説明した後、詳細な動作について説明する。
【0146】
本発明の第2の実施の形態では、図20に示すような補正用パターンが印刷される。この補正用パターンは、7色モードと4色モードの双方の補正を同時に行うことが可能な構成とされている。すなわち、往路において印刷される罫線群300a〜300iは、4色モードと7色モードの双方において補正の対象となるノズル列(例えば、7色モードにおいてライトマゼンタ、4色モードにおいてマゼンタが吐出されるノズル列R2)によって印刷され、また、復路において印刷される罫線群301a〜301iは、7色モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列(例えば、7色モードにおいてライトシアンが吐出されるノズル列R3)によって印刷され、さらに復路において印刷される罫線群302a〜302iは、4色モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列(例えば、4色モードにおいてマゼンタが吐出されるノズル列R7)によって印刷される。
【0147】
また、罫線群300a〜300iは、往路においてそれぞれが一定の間隔を保つように印刷され、また、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iは、復路においてそれぞれが補正量に応じたズレを有するように印刷される。例えば、罫線300aおよび罫線301aのずれΔL1と、罫線300bおよび罫線301bのずれΔL2との差は、ΔL1−ΔL2=1/1440インチとなっている。同様に、罫線300bおよび罫線301bのずれΔL2と、罫線300cおよび罫線301cのずれΔL3(図示せず)との差は、ΔL2−ΔL3=1/1440インチとなっている。
【0148】
また、罫線群302a〜302iについては、罫線群301a〜301iにおいて設定されている補正量と同一の補正量または異なる補正量に基づいて印刷されている。補正量の設定方法については後述する。
【0149】
なお、罫線対の上部に印刷されている“−8”〜“8”の数字は、第1の実施の形態の場合と同様に補正量が適切である罫線対を指示するための指示値である。
【0150】
ユーザは、このような補正パターンを参照し、7色モードと4色モードのそれぞれに対応する罫線群301a〜301iおよび罫線群302a〜302iの中から、双方のモードに対応している罫線群300a〜300iとの関係が最も直線状になっている罫線を選択し、その指示値をそれぞれ入力することにより、4色モードと7色モードのそれぞれの補正量を、同一の補正用パターンを用いて決定することが可能になる。図20の例では、罫線300dと罫線301dとが、また、罫線300eと罫線302eとが最も直線状となっているので、7色モードでは指示値“−2”が選択され、また、4色モードでは指示値“0”が選択され、これらの指示値に対応する補正量がプリンタ22に設定されることになる。
【0151】
つぎに、このような補正用パターンの印刷方法の概略について説明する。
【0152】
本発明の第2の実施の形態では、4色モードと7色モードの補正量のズレの大小によって図20に示す補正用パターンの印刷方法が異なる。すなわち、これらのズレが小さい場合には、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iが1回の走査によって印刷され(同一のパスで印刷され)、これらのズレが大きい場合には、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iが別々の走査によって印刷される(異なるパスで印刷される)。
【0153】
ここで、各ノズル列は、図6に示すように副走査方向に180個のノズル(N1〜N180)が集まって構成されているため、例えば、往路において罫線群300a〜300iをノズルN61〜N120によって印刷し、復路において罫線群301a〜301iをノズルN1〜N60によって印刷し、また、同一の復路において罫線群302a〜302iをノズルN121〜N180によって印刷すれば、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iを1回のパス(1回の走査)で印刷できるので、図20に示す補正用パターン(指示値は除く)を2パスで印刷することができるため、印刷時間の短縮化に貢献できる。
【0154】
ところで、補正量はノズル列全体として設定する(具体的には復路の先頭となるノズル列R8を基準に設定する)ので、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iを1回のパスで印刷するためには、これらを同一の補正量で印刷する必要が生じる。その場合、7色モードまたは4色モードのいずれか一方の補正量を使用して罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iの双方を印刷することになる。
【0155】
7色モードの補正量を基準にする場合について考えると、7色モードにおいて現在設定されている補正量が、指示値“0”の位置の罫線301eを印刷する際の補正量とされ、この罫線301eを中心として“−8”〜“8”の範囲で補正量を可変して罫線群301a〜301dおよび罫線群301f〜301iが印刷される。また、罫線群302a〜302iを同一のパスで印刷する場合には、罫線群301a〜301iの場合と同様に、7色モードにおいて現在設定されている補正量が指示値“0”の位置の罫線302eを印刷する際の補正量となり、この罫線302eを中心として“−8”〜“8”の範囲で補正量を可変して罫線群302a〜302dおよび罫線群302f〜302iが印刷される。
【0156】
したがって、7色モードと4色モードの補正量が同一である場合には、双方ともに現在の設定値を基準として“−8”〜“8”の範囲で罫線群を印刷することができるが、これらが異なっている場合には4色モードの範囲が7色モードを基準とした場合の“−8”〜“8”の範囲とはならない。たとえば、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも+6だけずれている場合には、4色モードの補正量の範囲、すなわち、7色モード時の“−8”〜“8”に相当する範囲は、4色モードにとっては“−14”〜“2”の範囲となってしまい、プラス方向の補正量の範囲が十分に確保できなくなってしまう。
【0157】
ここで、罫線群301a〜301iを描画するノズル列(R3)およびインク色(ライトシアン)と、罫線群302a〜302iを描画するノズル列(R7)およびインク色(マゼンタ)とはそれぞれ異なっている。ノズル列が異なれば主走査方向の位置が異なるため吐出タイミングが異なり、また、ピエゾ素子PEのばらつき等によって吐出速度が異なる。さらに、インク色が異なればインクの粘度が異なるためインクの吐出速度が異なる。そのため、4色モードと7色モードの補正量は一般には異なる場合が多い。
【0158】
そこで、本発明の第2の実施の形態では、4色モードと7色モードの補正量の差が小さい場合には、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iとを同一のパスで印刷し、補正量の差が大きい場合には罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iとを異なるパスで印刷することにしている。
【0159】
つぎに、本発明の第2の実施の形態の詳細な動作について説明する。なお、以下では、7色モードの補正量を基準にして補正用パターンを印刷する場合を例に挙げて説明する。
【0160】
図3に示すコンピュータ90の入力装置99を操作することにより、補正用パターンを印刷するアプリケーションプログラムを起動する指示がなされると、CPU91は、HDD94または外部記憶装置100に記憶されているアプリケーションプログラムを読み出して実行する。その結果、アプリケーションプログラムは、所定の印字信号PSを生成し、I/F96を介してプリンタ22に供給する。
【0161】
プリンタ22のCPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、紙送りモータ23を制御して、印刷用紙Pを1枚だけプリンタ22内部に吸引させる。そして、キャリッジモータ24を制御して、印刷ヘッド12をホームポジションに移動させる。
【0162】
つぎに、CPU91は、4色モードと7色モードの補正量の差を計算する。その結果、補正量の差が“±2”以内である場合には補正用パターンの罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iを同一のパスで印刷することを決定し、それ以外の場合にはこれらを別のパスで印刷することを決定する。以下では、補正量の差が“±2”以内の場合と、それ以外の場合に分けて説明する。
(1)補正量の差が“±2”以内の場合
【0163】
補正量の差が“±2”以内である場合であって、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも“+2”だけ大きい場合には、CPU91は、4色モードについても“+2”を基準として、“−8”〜“+8”の範囲を確保するとともに、4色モードと7色モードの罫線群を同一のパスで印刷するために“−8”〜“10”の範囲で補正用パターンを印刷する。すなわち、CPU91は、まず、プリンタ22に対して“−8”〜“10”の指示値を印刷するように要求する。その結果、印刷用紙Pには、図21(a)に示すように往路において“−8”〜“10”の指示値が印刷される。
【0164】
つぎに、CPU91は、往路においてノズル列R2によって罫線群300a〜300jを印刷するように要求する。その結果、図21(b)に示すように往路において罫線群300a〜300jが印刷される。つぎに、CPU91は、復路においてノズル列R3によって罫線群301a〜301jを、また、ノズル列R7によって罫線群302a〜302jを7色モードの補正量を基準にして同一のパスにより印刷するように要求する。その結果、図21(c)に示すように復路において罫線群301a〜301jと、罫線群302a〜302jが印刷されることになる。その結果、4色モードの補正量の範囲は“+2”を0とみれば、“−10”〜“8”となり、また、7色モードの補正量の範囲は“0”が基準となるので、“−8”〜“10”となり、双方ともに“−8”〜“8”の範囲を確保できる。
【0165】
このような補正用パターンを参照し、ユーザが7色モードと4色モードのそれぞれにおいて、最も直線状となっている罫線対を選択してその指示値を入力すると、入力された指示値に対応する補正量がプリンタ22に供給され、EEPROM46の所定の領域に格納されることになる。
【0166】
具体的には、図21の例では、7色モードについては罫線群300a〜300jと罫線群301a〜301jのうち罫線300eと罫線301eが最も直線状になっているため、指示値“0”が入力される。また、4色モードについては罫線群300a〜300jと罫線群302a〜302jのうち罫線300gと罫線301gが最も直線状になっているため、指示値“4”が入力される。その結果、補正量としては、7色モードについては現在設定されている7色モードの補正量がそのまま設定され、4色モードについては現在設定されている7色モードの補正量を、指示値“4”に対応する量だけずらした補正量が設定されることになる。
【0167】
一方、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも“−2”だけ大きい場合には、“−10”〜“+8”の範囲で罫線群が印刷され、前述の場合と同様に補正量が設定されることになる。
(2)補正量の差が“±2”以内でない場合
【0168】
補正量の差が“±2”以内でない場合には、CPU91は、まず、プリンタ22に対して“−8”〜“8”の指示値を印刷するように要求する。その結果、印刷用紙Pには、図22(a)に示すように往路において“−8”〜“8”の指示値が印刷される。
【0169】
つぎに、CPU91は、往路においてノズル列R2によって罫線群300a〜300iを所定の間隔毎に印刷するように要求する。その結果、図22(b)に示すように往路において罫線群300a〜300iが印刷される。
【0170】
つぎに、CPU91は、復路においてノズル列R3によって罫線群301a〜301iを7色モードの補正量を基準にして、すなわち、その補正量が“0”の位置となるようにして印刷するように要求する。その結果、図22(c)に示すように復路において罫線群301a〜301iが印刷されることになる。
【0171】
つぎに、CPU91は、再度の復路においてノズル列R7によって罫線群302a〜302iを4色モードの補正量を基準にして、すなわち、その補正量が“0”の位置となるようにして印刷するように要求する。その結果、図22(d)に示すように復路において罫線群302a〜302iが印刷されることになる。
【0172】
なお、この場合も前述の場合と同様に、4色モードと7色モードのそれぞれについて、補正量の範囲として“−8”〜“8”を確保することができる。
【0173】
このような補正用パターンを参照し、ユーザが7色モードと4色モードのそれぞれにおいて、最も直線状となっている罫線対を選択してその指示値を入力すると、入力された指示値に対応する補正量がプリンタ22に供給され、EEPROM46の所定の領域に格納されることになる。
【0174】
具体的には、図22の例では、7色モードについては罫線群300a〜300iと罫線群301a〜301iのうち罫線300eと罫線301eが最も直線状になっているため、指示値“0”が入力される。また、4色モードについては罫線群300a〜300iと罫線群302a〜302iのうち罫線300gと罫線302gが最も直線状になっているため、指示値“4”が入力される。その結果、補正量としては、7色モードについては現在設定されている7色モードの補正量がそのまま設定され、4色モードについては現在設定されている4色モードの補正量を指示値“4”に対応する量だけずらした補正量が設定されることになる。
【0175】
以上に示す、(1)または(2)の処理の結果、EEPROM46には、4色モードと7色モードのそれぞれに対応する補正量が格納されることになる。これ以降において、7色モードにて印刷が行われる場合には、7色モードに対応する補正量がEEPROM46から読み出されて補正回路123に供給され、往路と復路でドットの形成位置が合致するように調整されるので、自然画像において多用されるライトマゼンタとライトシアンの吐出タイミングを最適に設定することができ、高品質の画像を得ることができる。
【0176】
また、4色モードにて印刷が行われる場合には、4色モードに対応する補正量がEEPROM46から読み出されて補正回路123に供給され、往路と復路でドットの形成位置が合致するように調整されるので、マゼンタとシアンの吐出タイミングを最適に設定することができ、高品質のイラスト画像を高速に印刷することができる。
【0177】
つぎに、本発明の第2の実施の形態において実行される処理の流れについて説明する。図23は、本発明の第2の実施の形態において実行される処理の流れを説明するフローチャートである。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0178】
ステップS30:CPU91は、プリンタ22のEEPROM46に格納されている4色モード用の補正量を取得する。
【0179】
ステップS31:CPU91は、プリンタ22のEEPROM46に格納されている7色モード用の補正量を取得する。
【0180】
ステップS32:CPU91は、4色モードと7色モードの補正量の差が“±2”以内であるか否か判定し、該当する場合にはステップS33に進み、それ以外の場合にはステップS36に進む。
【0181】
ステップS33:CPU91は、プリンタ22に所定の範囲で指示値を印刷させる。例えば、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも+2だけずれている場合には、指示値として“−8”〜“10”を印刷させ、−2だけずれている場合には、指示値として“−10”〜“8”を印刷させる。
【0182】
ステップS34:CPU91は、基準となる罫線群300a〜300jをプリンタ22にノズル列R2により印刷させる。
【0183】
ステップS35:CPU91は、7色用の罫線群301a〜301jと、4色用の罫線群302a〜302jとをプリンタ22に同一のパスでノズル列R3とノズル列R7によりそれぞれ印刷させる。
【0184】
ステップS36:CPU91は、ステップS32で否定的な判定がなされた場合、プリンタ22に“−8”〜“8”の範囲で指示値を印刷させる。
【0185】
ステップS37:CPU91は、基準となる罫線群300a〜300iをプリンタ22にノズル列R2により印刷させる。
【0186】
ステップS38:CPU91は、7色用の罫線群301a〜301iをプリンタ22にノズル列R3により印刷させる。この際、EEPROM46に格納されている7色用の補正量が基準位置“0”となるように印刷される。
【0187】
ステップS38:CPU91は、4色用の罫線群302a〜302iをプリンタ22にノズル列R7により印刷させる。この際、EEPROM46に格納されている4色用の補正量が基準位置“0”となるように印刷される。
【0188】
なお、本発明の第2の実施の形態では、罫線を用いて補正用パターンを描画するようにしたが、第1の実施の形態において説明したように、ブロックを用いて補正用パターンを描画することも可能である。
【0189】
図24は、罫線の代わりにブロックによって補正用パターンを印刷した場合の一例を示す図である。この図の例は、第1の図形群に相当するブロック400a〜400i、第2の図形群に相当するブロック401a〜401i、および第3の図形群に相当するブロック402a〜402iによって構成されている。ここで、ブロック400a〜400iは、7色モードと4色モードの補正用パターンの印刷において共通して使用されるノズル列によって印刷されるブロックである。また、ブロック401a〜401iは、7色モードの補正用パターン印刷においてのみ使用されるノズル列によって印刷されるブロックであり、ブロック402a〜402iは、4色モードの補正用パターン印刷においてのみ使用されるノズル列によって印刷されるブロックである。
【0190】
ここで、7色モードの補正用パターンの描画の際には、ノズル列R2,R3が使用され、4色モードの補正用パターンの描画の際には、ノズル列R2,R7が使用される。したがって、共通して使用されるのは、ノズル列R2であることから、ブロック400a〜400iは、ノズル列R2によって描画される。また、ノズル列R3は7色モードの補正において使用され、ノズル列R7は4色モードの補正において使用されることから、ブロック401a〜401iは、ノズル列R3によって描画され、また、ブロック402a〜402iは、ノズル列R7によって描画される。なお、ブロック400a〜400iは、往路において印刷され、ブロック401a〜401iおよびブロック402a〜402iは、復路において同時または個別に印刷される。
【0191】
また、図25に示すように、ブロック400a〜400i、ブロック401a〜401i、およびブロック402a〜402iは、主走査方向に20ドットの幅を有し、ブロック400b〜400iは、それぞれ左側に配置されているブロック401a〜401hまたはブロック402a〜402hから40ドットだけ間隔を置いて配置されている。
【0192】
なお、これらのブロックが描画される際には、図26に示すように、まず、ブロック400a〜400iが往路方向の走査において、ノズル列R2の中央付近のノズルN61〜N120によって描画される。つぎに、ノズル列R3のノズルN31〜N90によってブロック401a〜401iが復路方向の走査で描画されると同時に、ノズル列R7のノズルN91〜N150によってブロック402a〜402iが描画される。なお、図24の上部に示す指示値は、前述の場合と同様に所定の補正量を指示する際に使用される。
【0193】
このようなブロックによって構成された補正用パターンを使用すれば、視認性を向上させることができるので、少ない吐出量について補正量を求めるような場合であっても、補正量を正確に求めることが可能になる。
【0194】
なお、本発明の第2の実施の形態では、インクの吐出量については言及していないが、吐出量の多少によって別途補正が必要になる場合がある。その場合には、吐出量毎に前述の補正用パターンを作成し、7色モードおよび4色モードのそれぞれについて吐出量毎に補正量を求める。そして、求めたこれらの補正量をEEPROM46に格納しておき、コンピュータ90から印刷信号PSを受信した場合には、吐出量に応じた補正量を対応する補正回路123に供給し、適正な補正を行うことができる。
【0195】
また、本発明の第2の実施の形態では、7色モードと4色モードの補正量の差が“±2”以内である場合には、罫線またはブロックの本数を増やして印刷するようにしたが、通常の場合と同一の本数の罫線またはブロックを印刷するようにしてもよい。また、“±2”を基準にするのではなく、これ以外の値(例えば、“±4”等)を基準にすることも可能である。さらに、“±2”以内である場合には、罫線またはブロックの本数を増加させず、それ以外の場合であって“±4”以内である場合には罫線またはブロックを1本だけ増加させることも可能である。要は、4色モードと7色モードの補正量が異なる場合には、必要に応じて罫線またはブロックの本数を適宜増加させればよい。
【0196】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。
【0197】
例えば、第1〜第3の図形としては、以上の実施の形態では直線や矩形を用いたが、これ以外の形状の図形(例えば、台形)としてもよい。要は、主走査方向のズレを発見できる形状とすればよく、矩形の場合には所定の幅を有するようにすればよい。
【0198】
また、第1および第2の実施の形態では、ピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタ22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する気泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンタに適用することも可能である。
【0199】
そして、制御回路40の構成も、各吐出駆動素子に駆動信号を供給し、主走査の往路と復路において、インクの経時的な吐出順序を同一に保つように駆動信号を生成するものであれば、どのようなものでもよい。
【0200】
さらに、以上の実施の形態では、コンピュータ90(または、外部記憶装置100)に補正用パターンを印刷するためのアプリケーションプログラムを格納しておき、このアプリケーションプログラムからの指令に応じてプリンタ22が補正用パターンを印刷するようにしたが、プリンタ22のROM43またはEEPROM46に同等の機能を有するアプリケーションプログラムを格納しておき、操作パネル32が所定の手順で操作された場合に、このアプリケーションを起動し、補正用パターンを印刷することも可能である。要は、コンピュータ90またはプリンタ22のいずれかにアプリケーションプログラムを格納しておき、補正用パターンを印刷する際には、これらのアプリケーションプログラムをコンピュータ90またはプリンタ22のいずれかで起動して実行すればよい。
【0201】
さらに、第1の実施の形態において、第2の実施の形態と同様に、4色モードと7色モードの補正用パターンを同一の補正用パターンとして印刷するようにしてもよい。その場合には、4色用と7色用の双方について両端以外が選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外し、いずれか一方について両端が選択された場合には、再印刷の対象とすればよい。また、いずれか一方について両端が選択された場合には、そのパターンのみ印刷し、他方は省略することも可能である。
【0202】
なお、以上の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、印刷装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MOなどがある。
【0203】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0204】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0205】
【発明の効果】
本発明によれば、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置となるプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すプリンタが有する制御回路を中心としたプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すプリンタに接続されたコンピュータの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すプリンタが有する印刷ヘッドの内部の概略構成を示す図である。
【図5】図1に示すプリンタが有するピエゾ素子とノズルとの構造を詳細に示した図である。
【図6】図1に示すプリンタが有する印刷ヘッドにおけるノズルおよびノズル列の配置を示す図である。
【図7】図1に示すプリンタが有するキャリッジの概略構成を示す図である。
【図8】図1に示すプリンタが有するヘッド駆動回路内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。
【図9】図1に示すプリンタに供給される1画素区間におけるシリアル印刷信号のヘッド駆動波形の時間的変化を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態において印刷される補正用パターンの一例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態において、1回目の印刷において得られる補正用パターンの一例を示す図である。
【図12】図11に示す補正用パターンにおいて、「6pl」の右端の罫線対と、「10pl」の左端の罫線対が選択された場合に、再印刷される補正用パターンの一例を示す図である。
【図13】指示値を入力するために図1に示すコンピュータが有する表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図15】本実施の第1の形態において印刷される補正用パターンの他の一例を示す図である。
【図16】図15に示す補正用パターンの詳細を示す図である。
【図17】図15に示す補正用パターンを描画するノズルを示す図である。
【図18】図15に示す補正用パターンの他の描画方法を示す図である。
【図19】図15に示す補正用パターンの他の描画方法を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において印刷される補正用パターンの一例を示す図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において、4色モードと7色モードの補正量の差が“±2”以内である場合の補正用パターンの印刷手順を説明する図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において、4色モードと7色モードの補正量の差が“±2”以内でない場合の補正用パターンの印刷手順を説明する図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において印刷される補正用パターンの他の一例を示す図である。
【図25】図24に示す補正用パターンの詳細を示す図である。
【図26】図24に示す補正用パターンを描画するノズルを示す図である。
【図27】従来における補正用パターンを示す図である。
【符号の説明】
60 印刷ヘッドユニット(補正用パターン印刷手段、第1の図形群印刷手段、第2の図形群印刷手段、第3の図形群印刷手段)
40 制御回路(制御手段)
140a〜140i 罫線(第1の図形群)
141a〜141i 罫線(第2の図形群)
150,152,154,156,158 罫線(第1の図形群)
151,153,155,157,159 罫線(第2の図形群)
200a〜200i ブロック(第1の図形群)
201a〜201i ブロック(第2の図形群)
300a〜300j 罫線(第1の図形群)
301a〜301j 罫線(第2の図形群)
302a〜302j 罫線(第3の図形群)
400a〜400i ブロック(第1の図形群)
401a〜401i ブロック(第2の図形群)
402a〜402i ブロック(第3の図形群)
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷装置、印刷用コンピュータプログラム、および印刷用コンピュータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクを吐出する印刷ヘッドが主走査方向に走査しつつインクを吐出して印刷を行うインクジェット型プリンタには、往路と復路でそれぞれインクを吐出して印刷するいわゆる「双方向印刷」を行う機能を有するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このようなプリンタにおいて、双方向印刷を行う際には、往路と復路のそれぞれにおいて形成されるインク滴の主走査方向におけるドットの形成位置(すなわち、インク滴の印刷用紙上における着弾位置)が合致するように補正する必要がある。
【0004】
ドット形成位置の補正量を決定する方法としては、例えば、図27に示すように、往路における印刷によって、印刷ヘッドの先端側のノズルを用いて、主走査方向に一定の間隔を隔て、副走査方向に延びる複数の縦ライン(500a〜500i)を印刷する。つぎに、復路においても同様に複数の縦ライン(501a〜5001i)を印刷するが、復路では往路の各縦ラインの間隔に異なる補正量を加え、少しずつ異なる間隔の縦ラインを印刷ヘッドの後端側のノズルを用いて印刷する。図27の例では、縦ライン500aと縦ライン501aのずれはΔL1であり、縦ライン500bと縦ライン501bのずれはΔL2である。そして、ΔL1とΔL2は、ΔL1>ΔL2の関係を有している。
【0005】
このようにして得られた印刷パターンの、往路の印刷による縦ライン500a〜500iと、復路の印刷による縦ライン501a〜501iとが、最も直線状に印刷されたところをユーザ等が選択し、選択した縦ラインを印刷した際に加えた補正量を、双方向印刷を行う際の補正量として決定する。図27の例では、縦ライン500dと、縦ライン501dとが最も直線状に印刷されていることから、これらを描画する際に加えられた補正量が双方向印刷を行う際の補正量として決定される。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−286142号公報(発明の詳細な説明第3ページ)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、階調性を向上させるために、印刷ヘッドから吐出されるインク滴の量を変化させる機能を有する印刷装置がある。
【0008】
ところで、インク滴の着弾位置は、インク滴の質量にも依存するため、インク滴の量、すなわち、インクの質量が変化すると、着弾位置にズレを生ずることになる。したがって、このような印刷装置の場合には、インク滴の設定量毎に補正量を求める必要があることから、インク量に応じた複数の補正用パターンを印刷する必要が生じる。
【0009】
また、補正用パターンを1回印刷しただけでは適切な補正量が求まらない場合があり、そのような場合には補正用パターンを繰り返し印刷する必要が生じる。したがって、インク滴の量を変化させる機能を有する印刷装置では、複数の補正用パターンを繰り返し印刷する必要が生じることから、補正量を求めるのに時間がかかるという問題点がある。
【0010】
また、インクジェット型プリンタにおいて、自然画像(例えば、ディジタルカメラによって撮像された画像)を印刷する場合には、カラー印刷に最低限必要なシアシ、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクの他に、例えば、淡色インク、すなわちライトシアン、ライトマゼンタや、ダークイエローのインクを加えて7色のインクを用いて印刷することがある。一方、限定された色しか必要としないイラストなどをカラー印刷する場合には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクを用いて印刷するため、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエローのインクは用いられない。このため、近年では各色のインクを別個のカートリッジとして設け、それらインクカートリッジをそれぞれ着脱可能な7つの印刷ヘッドを有し、自然画像を印刷する場合には、7色のインクカートリッジを用い、印刷速度を高めたい場合またはイラストを印刷する場合には、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエローのインクに換えてシアン、マゼンタ、イエローのインクカートリッジを装着し、各色それぞれ2つのノズルを用いて印刷することが可能なインクジェット型プリンタが提供されている。
【0011】
しかしながら、4色のインクを用いて印刷する際には、同色のインクが2カ所に装着されているため、それら同色のインクを吐出する異なるノズルについて、往路と復路において吐出したインク滴による主走査方向のドット形成位置を補正することが望ましい。一方、7色のインクを用いて印刷する際には、使用される頻度が高い淡色インク、特にライトシアンのインクを吐出するノズルとライトマゼンタのインクを吐出するノズルについて、往路と復路とにおいて吐出したインク滴による主走査方向のドット形成位置を補正することが望ましい。
【0012】
このため、往路と復路とにおいて吐出したインク滴による主査方向のドット形成位置を補正するための補正値は、7色印刷用の補正値と、4色印刷用の補正値とをそれぞれ別個に設定しなければならない。すなわち、7色印刷用の補正値と4色印刷用の補正値とを決定するための2種類の補正用パターンをそれぞれ異なるノズルを用いて印刷しなければならないため、補正量を求めるのに時間を要するという問題点がある。
【0013】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる印刷装置、印刷用コンピュータプログラム、および印刷用コンピュータシステムを提供しよう、とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置において、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段と、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行う制御手段と、を有している。
【0015】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された補正用パターンについては当該選択されたペアの近傍に位置するペアであって、いまだ印刷されていないペアが新たに印刷されるように補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行うようにしている。
【0017】
このため、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された場合には、いまだ印刷されていないペアを再印刷の際に新たに印刷するようにしたので、これとの比較により最適な補正量を求めることが可能になる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された補正用パターンについては当該選択されたペアが中央に位置するように制御して再印刷を行うようにしている。
【0019】
このため、中央に位置しているペアと、その左右に位置する他のペアとを比較することにより、最適な補正量を求めることが可能になる。
【0020】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、第1の図形群中の各図形および第2の図形群中の各図形は、主走査方向に所定のドット幅を有する図形としている。
【0021】
このため、インクの吐出量が少ない場合等であっても、視認性を向上させることにより、最適な補正量を迅速に求めることが可能になる。
【0022】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、補正用パターン印刷手段は、第2の図形群と同一の路において第3の図形群をさらに印刷し、制御手段は第3の図形群に対しても第2の図形群と同様の処理を実行するようにしている。
【0023】
このため、例えば、第1と第2の図形群により第1および第2のノズル列に対する補正量を求め、第1と第3の図形群により第1および第3のノズル列に対する補正量を同時に求めることが可能になる。
【0024】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備する印刷装置に、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷させる処理をコンピュータに実行させる印刷用コンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御する制御手段、として機能させるようにしている。
【0025】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0026】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置と、印刷装置に接続されているコンピュータとを有する印刷用コンピュータシステムにおいて、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段と、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷手段を制御する制御手段と、を有するようにしている。
【0027】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0028】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷方法において、往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷ステップと、各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように補正用パターン印刷ステップを制御して再印刷を行う制御ステップと、を有している。
【0029】
このため、最適なペアが選択されたと考えられる補正用パターンについては再印刷の対象から除外することにより印刷対象を減少させ、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【0030】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを有する印刷装置において、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段と、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段と、を有するようにしている。
【0031】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0032】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量の差異が所定の範囲内に収まる場合には、第2の図形群と第3の図形群を同一のパスで印刷するように第2および第3の図形群印刷手段を制御するようにしている。
【0033】
このため、第2の図形群と第3の図形群を同一のパス(走査)によって印刷することができるため、補正用パターンの印刷に必要な時間を短縮することが可能になる。
【0034】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、制御手段は、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量の差異が所定の範囲内に収まらない場合には、第2の図形群と第3の図形群をそれぞれ異なるパスで印刷するように第2および第3の図形群印刷手段を制御するようにしている。
【0035】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が大きく異なる場合であっても、同一の補正用パターンを用いてそれぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0036】
また、他の発明は、上述の発明に加えて、第1の図形群中の各図形および第2の図形群中の各図形は、主走査方向に所定のドット幅を有する図形としている。
【0037】
このため、視認性を向上させることにより、インクの吐出量が少ない場合であっても最適な補正量を確実かつ迅速に求めることが可能になる。
【0038】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備するとともに、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを具備する印刷装置に対して、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷させる処理をコンピュータに実行させる印刷用コンピュータプログラムにおいて、印刷装置を、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段、として機能させるようにしている。
【0039】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0040】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを具備する印刷装置と、印刷装置に接続されているコンピュータとを有する印刷用コンピュータシステムにおいて、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段と、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段と、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段と、を有するようにしている。
【0041】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0042】
また、本発明は、インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷方法であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを有する印刷方法において、第1の印刷モードと第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷ステップと、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を第1の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷ステップと、第1の図形群とは異なる路において第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を第2の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷ステップと、第1の印刷モードと第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように第1から第3の図形群印刷ステップを制御する制御ステップと、を有するようにしている。
【0043】
このため、第1の印刷モードと第2の印刷モードの補正量が異なっている場合であっても、ひとつの補正用パターンを用いて、それぞれの印刷モードにおける最適な補正量を求めることが可能になる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0045】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置の概要について、図1および図2を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る印刷装置であるインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」と略記する)22を備えた印刷システムの概略構成図であり、図2は、制御手段に相当する制御回路40を中心としたプリンタ22の構成例を示すブロック図である。
【0046】
プリンタ22は、紙送りモータ23によって印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる主走査送り機構とを有している。ここで、副走査送り機構による印刷用紙Pの送り方向を副走査方向といい、主走査送り機構によるキャリッジ31の移動方向を主走査方向という。
【0047】
また、プリンタ22は、キャリッジ31に搭載され、印刷ヘッド12を備えた印刷ヘッドユニット60(補正用パターン印刷手段、第1の図形群印刷手段、第2の図形群印刷手段、第3の図形群印刷手段に相当)と、この印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ23、キャリッジモータ24、印刷ヘッドユニット60、および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。
【0048】
制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。このコンピュータ90は、プリンタ22用のドライバーを搭載し、入力装置であるキーボードや、マウス等の操作によるユーザの指令を受け付け、また、プリンタ22における種々の情報を表示装置の画面表示によりに提示するユーザインターフェイスを構成している。
【0049】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ23の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレイン(図示せず)を備える。
【0050】
また、キャリッジ31を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と平行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39とを備えている。
【0051】
図2に示すように、制御回路40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)43、RAM(Random Access Memory)44、文字のドットマトリクスを記憶したCG(Character Generator)45、およびEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)46を備えた算術論理演算回路として構成されている。
【0052】
この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェース(I/F(Interface))であるI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ23およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54とを備えている。
【0053】
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷信号PSを受け取ることができる。
【0054】
つぎに、コンピュータ90の構成について、図3を参照しつつ説明する。
【0055】
図3に示すように、コンピュータ90は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD(Hard Disk Drive)94、ビデオ回路95、I/F96、バス97、表示装置98、入力装置99、および外部記憶装置100によって構成されている。
【0056】
ここで、CPU91は、ROM92やHDD94に格納されているプログラムに従って補正用パターンの印刷処理等の各種演算処理を実行するとともに、装置の各部を制御する制御部となる。
【0057】
ROM92は、CPU91が実行する基本的なプログラムやデータを格納しているメモリである。
【0058】
RAM93は、CPU91が実行途中のプログラムや、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモリである。
【0059】
HDD94は、CPU91からの要求に応じて、記録媒体であるハードディスクに記録されているデータやプログラムを読み出すとともに、CPU91の演算処理の結果として発生したデータを前述したハードディスクに記録する記録装置である。
【0060】
ビデオ回路95は、CPU91から供給された描画命令に応じて描画処理を実行し、得られた画像データを映像信号に変換して表示装置98に出力する回路である。
【0061】
I/F96は、入力装置99および外部記憶装置100から出力された信号の表現形式を適宜変換するとともに、プリンタ22に対して印刷信号PSを出力する回路である。
【0062】
バス97は、CPU91、ROM92、RAM93、HDD94、ビデオ回路95、およびI/F96を相互に接続し、これらの間でデータの授受を可能とする信号線群である。
【0063】
表示装置98は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタによって構成され、ビデオ回路95から出力された映像信号に応じた画像を表示する装置である。
【0064】
入力装置99は、例えば、キーボードやマウスによって構成されており、ユーザの操作に応じた信号を生成して、I/F96に供給する装置である。
【0065】
外部記憶装置100は、例えば、CD−ROM(Compact Disk−ROM)ドライブユニット、MO(Magneto Optic)ドライブユニット、FDD(Flexible Disk Drive)ユニットによって構成され、CD−ROMディスク、MOディスク、FDに記録されているデータやプログラムを読み出してCPU91に供給する装置である。また、MOドライブユニットおよびFDDユニットは、CPU91から供給されたデータを、MOディスクまたはFDに記録する装置である。
【0066】
つぎに、印刷ヘッド12の構成について、図4および図5を参照しつつ説明する。ここで、図4は、印刷ヘッド12の内部の概略構成を示す図である。図5は、ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳細に示した図である。
【0067】
図1に示すように、キャリッジ31には、ダークイエロー(DY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の7色のインクを各々個別に収納したインクカートリッジ71〜77が着脱可能に搭載される。
【0068】
同じく、図1に示すように、キャリッジ31の下部には印刷ヘッド12が設けられ、印刷ヘッド12にはインク吐出箇所としてのノズルNzが印刷用紙Pの搬送方向に列状に配置されたインク吐出部としてのノズル列R1〜R8が設けられている。印刷ヘッド12におけるノズルNzの配列の詳細については後述する。
【0069】
図4(a)に示すように、キャリッジ31の底部には、各色用印刷ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管69が設けられている。キャリッジ31にインクカートリッジ71〜77を上方から装着すると、各インクカートリッジ71〜77に設けられた接続孔に導入管69が挿入され、各インクカートリッジ71〜77から各ノズルNz(図4(b)参照)へのインクの供給が可能となる。
【0070】
そして、インクカートリッジ71〜77がキャリッジ31に装着されると、インクカートリッジ内のインクが導入管69(図4(a)参照)を介して吸い出され、キャリッジ31の下部に設けられたノズルNz(図4(b)参照)に導かれる。
【0071】
キャリッジ31の下部に設けられ、各色毎に対応づけられたノズル列R1〜R8には、ノズル毎に、電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている(図4(a),(b)参照)。そして、図5(a)に示すように、ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路70に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う。
【0072】
本実施の形態では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図5(b)に示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路70の一側壁を変形させる。この結果、インク通路70の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴Ipとなって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク滴Ipがプラテン26に沿わされた印刷用紙Pに染み込むことにより、ドットが形成されて印刷が行われる。
【0073】
図6は、印刷ヘッド12におけるインクジェットノズルNzの配列を示す図である。図示するように、印刷ヘッド12には、各列180個のノズルNzを副走査方向に列状に配置して形成されたノズル列R1〜R8が、主走査方向に8列並べて形成されている。8列のノズル列R1〜R8のうちの隣り合う一対のノズル列(例えばR1とR2)に属するノズルNz同士は、副走査方向に所定ピッチずつ互いにずれており、また、1列置きの一対のノズル列(例えばR1とR3)に属するノズルNz同士は副走査方向において互いに同一位置に配置されている。
【0074】
そして、本実施の形態による印刷ヘッド12においては、8列のノズル列R1〜R8のそれぞれに供給されるインクが、副走査方向と直交する主走査方向において印刷ヘッド12の中央側に位置するノズル列R4,R5から端部側に位置するノズル列R1,R8に向かって濃色から淡色に変化している。
【0075】
具体的には、主走査方向における印刷ヘッド12の中央に位置し、隣り合う一対のノズル列R4,R5からはブラック系インクが吐出され、これらのノズル列R4,R5の外側に位置する一対のノズル列R3,R6からはシアン系インクが吐出され、これらのノズル列R3,R6の外側に位置する一対のノズル列R2,R7からはマゼンタ系インクが吐出され、これらのノズル列R2,R7の外側の隣に位置する一対のノズル列R1,R8からはイエロー系インクが吐出される。
【0076】
ここで、ブラック系インクはブラックインク(K)であり、シアン系インクはシアンインク(C)またはライトシアンインク(LC)であり、マゼンタ系インクはマゼンタインク(M)またはライトマゼンタインク(LM)であり、イエロー系インクはイエローインク(Y)またはダークイエローインク(DY)である。
【0077】
本実施の形態のプリンタ22は、第1色数印刷としての7色印刷モード(高画質印刷モード)と第2色数印刷としての4色印刷モード(高速印刷モード)とを選択可能である。7色印刷モードにおいては、シアン系インクが吐出される一対のノズル列R3,R6のうちの一方のノズル列R6からシアンインクが吐出され他方のノズル列R3からライトシアンインクが吐出され、マゼンタ系インクが吐出される一対のノズル列R2,R7のうちの一方のノズル列R7からマゼンタインクが吐出され他方のノズル列R2からライトマゼンタインクが吐出され、イエロー系インクが吐出される一対のノズル列R1,R8のうちの一方のノズル列R8からイエローインクが吐出され他方のノズル列R1からダークイエローインクが吐出される。
【0078】
一方、4色印刷モードにおいては、シアン系インクが吐出される一対のノズル列R3,R6の両方からシアンインクが吐出され、マゼンタ系インクが吐出される一対のノズル列R2,R7の両方からマゼンタインクが吐出され、イエロー系インクが吐出される一対のノズル列R1,R8の両方からイエローインクが吐出される。
【0079】
また、本実施の形態のプリンタ22においては、図1に示したようにキャリッジ31にインクカートリッジ71〜77を着脱可能に装着することが可能である。より具体的には、図7に示すように、印刷ヘッド12の各ノズルNzから吐出される各色のインクがそれぞれ充填された各インクカートリッジ71〜77をそれぞれ独立して着脱可能に装着できる。本実施の形態では、インクカートリッジ71にはダークイエロー(DY)、72にはライトマゼンタ(LM)、73にはライトシアン(LC)、74にはブラック(K)、75にはシアン(C)、76にはマゼンタ(M)、77にはイエロー(Y)のインクが、それぞれ充填されている。
【0080】
さらに、図7に示すように、キャリッジ31には各インクカートリッジ71〜77に対応させて接点端子9がそれぞれ設けられている。これらの接点端子9は、インクカートリッジ71〜77がそれぞれ有するROM14に記憶された各種情報、例えば充填されているインクの種類に関する情報を電気的に読み出す。すなわち、インクカートリッジ71〜77がキャリッジ31に装着されると、ROM14と接点端子9とが接触して導通するように構成され、接点端子9を通じてROM14に記憶されている情報が、制御回路40によって読み取り可能となる。なお、ROM14は、EEPROM等の書き換え可能な記憶素子により構成することができる。
【0081】
制御回路40は、インクカートリッジ71〜77に充填されているインクの種類をインクカートリッジ71〜77がそれぞれ有するROM14からの情報に基づいて識別し、インクカートリッジ71〜77に充填されているインクが、指定された7色または4色の印刷モードに適合するか否かを判定する。
【0082】
そして、キャリッジ31に装着されたインクカートリッジ71〜77が所定の種類のインクを貯留していないと判断された場合には、警告音や警告表示を出すことによってインクカートリッジ71〜77の確認をユーザに促すように構成されている。
【0083】
なお、制御回路40がインクカートリッジ71〜77に充填されているインクの種類をROM14からの情報に基づいて識別し、インクカートリッジ71〜77に充填されているインクの種類に応じて7色または4色の印刷モードを自動的に切り換える構成としてもよい。
【0084】
つぎに、印刷ヘッド12の駆動について、図8を参照しつつ説明する。
【0085】
図8は、ヘッド駆動回路52(図2参照)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。この図に示すように、駆動信号発生部は、原駆動信号発生部121、複数のマスク回路122、および補正回路123を備えている。
【0086】
原駆動信号発生部121は、ノズル列を構成するノズルN1〜N180に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、図9に示すように、一画素分の主走査期間内に、第1のパルスW1と第2のパルスW2の2つのパルスを含む信号である。補正回路123は、マスク回路122が整形した駆動信号波形のタイミングを復路全体で前後にずらし、補正を行う。この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される、すなわち、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが補正される。
【0087】
マスク回路122は、印刷ヘッド12のノズルN1〜N180をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子PEに対応して設けられており、シリアル印刷信号PRT(i)(iは1〜180の整数)の状態に応じて、印刷する必要がない画素については原駆動信号ODRVをマスクする。なお、図8において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
【0088】
図8に示すように、入力されたシリアル印刷信号PRT(i)は、原駆動信号発生部121から出力される原駆動信号ODRVとともに各マスク回路122にそれぞれ入力される。このシリアル印刷信号PRT(i)は、一画素当たり2ビットのシリアル信号であり、各ビットは、図9に示すように、第1のパルスW1と第2のパルスW2とにそれぞれ対応している。
【0089】
そして、マスク回路122は、シリアル印刷信号PRT(i)のレベルに応じて原駆動信号ODRVをマスクする。すなわち、マスク回路122は、シリアル印刷信号PRT(i)の論理が“1”のときには原駆動信号ODRVの対応するパルスをそのまま通過させて駆動信号DRVとしてピエゾ素子PEに供給し、一方、シリアル印刷信号PRT(i)の論理が“0”のときには原駆動信号ODRVの対応するパルスを遮断(マスク)する。
【0090】
ドットの形成位置ズレの補正方法は、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが目立たなくなるように、復路におけるインクの吐出タイミングを復路全体で意図的にずらす、というものである。なお、往路におけるインクの吐出タイミングを往路全体で意図的にずらしてもよく、また、往路および復路におけるインクの吐出タイミングを往路および復路全体でそれぞれ意図的にずらしてもよい。なお、往路と復路における主走査方向のドットの形成位置ズレの原因としては、インクの吐出速度のばらつきや、主走査方向の駆動機構のバックラッシュや、印刷用紙Pを支えているプラテン26の反り等がある。
【0091】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の動作について説明する。以下では、本発明の第1の実施の形態の動作について簡単に説明した後、詳細な動作について説明する。
【0092】
図10は、本発明の第1の実施の形態において印刷される単一の補正用パターンの一例を示す図である。図示するように、補正用パターンは、主走査方向に適宜間隔を隔てて印刷された9個の罫線対(ペア)140,141によって構成されている。なお、以下では、7色モードの場合を例に挙げて説明する。
【0093】
第1の図形群に対応する罫線140a〜140iは、印刷ヘッド12の往路においてライトマゼンタのインクによって印刷されるパターンであり、それぞれが一定の間隔をおいて印刷される。第2の図形群に対応する罫線141a〜141iは、印刷ヘッド12の復路においてライトシアンのインクによって印刷されるパターンであり、罫線毎に吐出タイミングを変化させ、主走査方向にその変化量が順次変化するように印刷される。すなわち、吐出タイミングの変化量は、補正量を選択するために仮に設定した単位補正量ずつ往路と復路の罫線のずれ量が変化するように設定する。ここで、単位補正量は、例えば、ノズル間距離(=1/180インチ)を、例えば、8等分に分割した距離(1/180インチ)/8=1/1440インチとし、罫線141a〜141iが主査方向に、1/1440インチずつずれるように復路のタイミングをずらして印刷される。
【0094】
例えば、罫線140aおよび罫線141aのずれΔL1と、罫線140bおよび罫線141bのずれΔL2との差は、ΔL1−ΔL2=1/1440インチとなっている。同様に、罫線140bおよび罫線141bのずれΔL2と、罫線140cおよび罫線141cのずれΔL3(図示せず)との差は、ΔL2−ΔL3=1/1440インチとなっている。それ以外の罫線についても同様である。
【0095】
なお、罫線対の上部に印刷されている“−8”〜“8”の数字は、補正量が適切である罫線対を指示するための数字(以下、「指示値」と称する)である。
【0096】
本実施の形態では、図10に示すような単一の補正用パターンを、インクの吐出量を段階的に変化させて印刷する。図11は、インクの吐出量を変化させて印刷した補正用パターン群の一例を示す図である。この例は、インクの吐出量が2pl(pico liter)、4pl、6pl、8pl、および10plである場合に対応する補正用パターン群である。すなわち、罫線群150,151は、2plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群150は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群151は印刷ヘッド12の復路において印刷される。
【0097】
同様に、罫線群152,153は、4plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群152は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群153は印刷ヘッド12の復路において印刷される。罫線群154,155は、6plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群154は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群155は印刷ヘッド12の復路において印刷される。罫線群156,157は、8plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群156は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群157は印刷ヘッド12の復路において印刷される。罫線群158,159は、10plのインク吐出量によって印刷された補正用パターンであり、罫線群158は印刷ヘッド12の往路において印刷され、また、罫線群159は印刷ヘッド12の復路において印刷される。
【0098】
このような補正用パターン群が印刷されると、ユーザ(または、製造工程における調整者)は、罫線が最も直線状に並んでいるペアを各吐出量毎に選択する。例えば、図11では、2plの吐出量の場合には、指示値“−2”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“−2”を選択する。
【0099】
また、4plの吐出量の場合には、指示値“2”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“2”を選択する。6plの吐出量の場合には、指示値“8”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“8”を選択する。8plの吐出量の場合には、指示値“4”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“4”を選択する。10plの吐出量の場合には、罫線対が完全に一致しているものは存在しないが、指示値“−8”に対応する罫線対が最も直線状となっているので、ユーザは“−8”を選択する。
【0100】
ところで、6plに対応する補正用パターンについては、右端に存在している罫線対が選択されている。しかし、実際にはさらに右側にも罫線対が存在しており、これとの比較ができないため、選択された右端の罫線対が最適であるか否かが明確でない。また、10plに対応する補正用パターンについては、左端に存在している罫線対が選択されているが、この罫線対は直線状とはなっていないため、この左側に存在する罫線対またはさらに左側に存在する罫線対の方が最適であると考えられる。
【0101】
したがって、本実施の形態では、左端または右端(以下、両端と称する)に印刷されている罫線対が選択された補正用パターンについては、当該罫線対が最適であるか否かの判断ができないため、選択された罫線対が中央にくるように再度補正用パターンを印刷し、それ以外の罫線対が選択された補正用パターンについては印刷対象から除外することにより印刷時間を短縮させる。
【0102】
図12は、図11において上述の指示値が選択された場合において、再印刷される補正用パターン群の一例を示す図である。この図の例では、図11において、6plと10plのみ両端の罫線対が選択されたので、これらの補正用パターンについては図11において選択された罫線対が中央に位置するように(すなわち、選択された罫線対が指示値“0”の位置にくるように)補正量が変更されて印刷されている。また、6plおよび10pl以外については印刷対象から除外されている。
【0103】
つぎに、ユーザは、図12に示す補正用パターン群を参照し、6plおよび10plに対応する補正用パターンのそれぞれについて、最も直線状になっている罫線対を選択する。この図の例では、6plについては指示値“0”に対応する罫線対が最も直線状であり、また、10plについては指示値“−2”に対応する罫線対が最も直線状であるので、これらが選択されることになる。ここで、“0”および“−2”に対応する罫線対は、両端に位置する罫線対ではないので、全ての吐出量についての補正量が決定される。
【0104】
このように、補正用パターン群のうち両端に位置する罫線対が選択された場合には、当該罫線対が最も直線状であるか否か(すなわち、最適な補正量か否か)の判断ができないので、選択された罫線対が中央にくるように再度補正用パターンを印刷し、それ以外の補正用パターンについては印刷対象から除外するようにしたので、2回目以降の印刷においては印刷する補正用パターンの数を減少させることができるため、印刷に必要な時間を短縮するとともに、補正用パターンの印刷に浪費されるインクの量を削減することができる。また、両端に位置する罫線については、中央に位置するように再度印刷し、他の罫線対との比較により、最適な罫線対を選択できるようにしたので、補正量を正確に求めることが可能になる。
【0105】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の詳細な動作について説明する。
【0106】
図3に示すコンピュータ90の入力装置99を操作することにより、補正用パターンを印刷するアプリケーションプログラム(以下、単に「アプリケーションプログラム」と記述する)を起動する指示がなされると、CPU91は、HDD94または外部記憶装置100に記憶されているアプリケーションプログラムを読み出して実行する。その結果、アプリケーションプログラムは、所定の印字信号PSを生成し、I/F96を介してプリンタ22に供給する。
【0107】
プリンタ22では、制御回路40のCPU41がI/F専用回路50を介して印刷信号PSを受信し、コンピュータ90において実行されているアプリケーションプログラムからの指示に応じた動作を実行する。
【0108】
すなわち、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、紙送りモータ23を制御して、印刷用紙Pを1枚だけプリンタ22内部に吸引させる。そして、キャリッジモータ24を制御して、印刷ヘッド12をホームポジション(例えば、図1の右端)に移動させる。
【0109】
つぎに、CPU41は、インクカートリッジのROM14に記憶されている情報を参照し、4色モードまたは7色モードのいずれに対応するインクカートリッジが装着されているかを判定する。その結果、7色モードに対応するインクカートリッジが装着されている場合には、補正用パターンを描画するインクとして、画質に最も大きな影響を与えるライトマゼンタとライトシアンとを選択する。また、4色モードに対応するインクカートリッジが装着されている場合には、視認性が高いマゼンダを選択する。なお、イエローについては、視認性が低いことと、印刷した際にイエローがずれを生じても画質の低下にそれほど関係しないことから、これ以外の色を使用することが望ましい。
【0110】
つづいて、CPU41は、CG45に対して制御信号を送り、“−8”〜“8”に対応するキャラクタを発生させ、印刷用紙Pの横方向に所定の間隔を隔てて印刷させる。その結果、図11に示す“−8”から“8”までの指示値が印刷用紙P上に印刷される。
【0111】
つづいて、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、紙送りモータ23を制御して印刷用紙Pを所定量だけ紙送りする。
【0112】
つづいて、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、キャリッジモータ24を制御して印刷ヘッドユニット60を往路方向(図11の左方向)に移動させるとともに、ヘッド駆動回路52に制御信号を送り、所定の間隔毎にライトマゼンダインクを吐出させ、罫線150a〜150iを描画する。なお、このとき、インクの吐出量が2plとなるようにピエゾ素子に印加する電圧を調整する。
【0113】
つづいて、CPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、キャリッジモータ24を制御して印刷ヘッドユニット60を復路方向(図11の右方向)に移動させるとともに、ヘッド駆動回路52に制御信号を送り、それぞれが所定のズレ量を有するようにライトシアンインクを吐出させ、罫線151a〜151iを描画する。なお、このとき、インクの吐出量が2plとなるようにピエゾ素子に印加する電圧を調整する。
【0114】
同様にして、4pl〜10plに対応する補正用パターンを、紙送り制御を行いながら行う。その結果、印刷用紙Pには、図11に示すような補正用パターン群が印刷されることになる。
【0115】
ユーザは、このような補正用パターン群を参照して、各補正用パターンにおいて最も直線状になっている罫線対をそれぞれ選択する。CPU91は、ビデオ回路95に所定の描画命令を供給し、表示装置98に図13に示すような画面170を表示させる。この画面170では、画面上部にメッセージ「それぞれのインク吐出量において最も上下の罫線が一致している罫線対の数字を入力してください。」が表示され、また、吐出量2pl〜10plのそれぞれについて、最も直線状である罫線対に付与された指示値を入力するためのテキストボックス171〜175が表示されている。
【0116】
図11に示す例では、2pl、4pl、6pl、8pl、および10plのそれぞれで、最も直線状になっている罫線対は、指示値“−2”、“2”、“8”、“4”、および“−8”に対応する罫線対であるので、テキストボックス171〜175には、数字“−2”、“2”、“8”、“4”、および“−8”が入力されることになる。
【0117】
CPU91は、このような画面170において入力された指示値を取得し、まず、両端が選択された補正用パターンを特定する。この例では、6plと10plに対応する補正用パターンについて両端に位置する指示値(“8”または“−8”)が選択されているので、これらについては再印刷の対象とする。また、それ以外の補正用パターンについては、入力された指示値に対応する補正量が最適な補正量であると考えられるので、CPU91は、入力された指示値に対応する補正量を、プリンタ22に対して供給する。
【0118】
プリンタ22では、コンピュータ90から供給された補正量を受信し、EEPROM46に補正量として格納する。
【0119】
つづいて、CPU91は、両端の罫線対が選択された補正用パターンを、前述の場合と同様の手順に従って再度印刷する。その結果、図12に示すような補正用パターン群が印刷用紙Pに新たに印刷されることになる。
【0120】
CPU91は、図13に示すのと同様の画面であって、6plと10plのみが表示された画面を表示装置98に表示する。そして、そのような画面において、両端に対応する“−8”または“8”以外の指示値が入力された補正用パターンについては補正が完了したとして、前述の場合と同様にプリンタ22に対して補正量を供給し、EEPROM46に格納させる。また、“−8”または“8”が入力された場合には、前述の場合と同様に補正用パターンを再度印刷し、両端以外が選択されるまで同様の処理を繰り返す。
【0121】
その結果、EEPROM46には、各インクの吐出量に対応する補正量が格納されることになる。これ以降において、7色モードにて印刷が行われる場合には、インクの吐出量に応じた補正量がEEPROM46から読み出されて補正回路123に供給され、往路と復路でドットの形成位置が合致するように調整されるので、復路方向における補正量として使用されることから、自然画像において多用されるライトマゼンタとライトシアンの吐出タイミングを最適に設定することができ、高品質の画像を得ることができる。
【0122】
なお、以上においては、7色モードを例に挙げて説明したが、4色モードの場合には、ノズル列R2(マゼンタ)とノズル列R7(マゼンタ)とを用いて同様のパターンを印刷し、前述の場合と同様の処理を行うことにより、各吐出力について補正量を求めることができる。
【0123】
図14は、本発明の第1の実施の形態において実行される処理の流れを説明するフローチャートである。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0124】
ステップS10:CPU91は、プリンタ22に印刷命令を供給し、図11に示すような、補正用パターン群を印刷させる。
【0125】
ステップS11:CPU91は、ビデオ回路95に描画命令を供給し、表示装置98に対して図13に示すような画面を表示させ、指示値の入力を受ける。
【0126】
ステップS12:CPU91は、図13に示す画面から入力された指示値を参照し、両端の指示値が入力された補正用パターンを検索する。
【0127】
ステップS13:CPU91は、ステップS12の検索において、該当する候補が存在するか否かを判定する。そして、存在する場合にはステップS14に進み、それ以外の場合には処理を終了する。
【0128】
ステップS14:CPU91は、入力された指示値に対応する値をプリンタ22に供給し、補正量として格納させる。すなわち、CPU91は、入力された指示値に対応する補正量を算出し、プリンタ22に供給してEEPROM46に格納させる。
【0129】
ステップS15:CPU91は、ステップS12において検索された候補に対応する補正用パターン、すなわち、両端の指示値が選択された際に、その指示値に対応するパターンが中央である“0”の指示値部分に印刷される補正用パターンを再度印刷させ、ステップS11に進み、前述の場合と同様の処理を実行する。
【0130】
以上のフローチャートによれば、前述した機能を実現することが可能になる。
【0131】
ところで、以上の実施の形態では、補正用パターンとして罫線対からなる図形を印刷するようにしたが、図15に示すようなブロック群を印刷するようにしてもよい。なお、図15においてはブロックをハッチングで便宜上表現しているが、実際にはブロック内全体が印刷される(他の図でも同様である)。
【0132】
この図の例では、補正用パターン200は、主走査方向に適宜間隔を隔てて印刷された9組の矩形形状を有するブロック対(ペア)によって構成されている。なお、以下では、7色モードの場合を例に挙げて説明する。
【0133】
第1の図形群に対応するブロック200a〜200iは、印刷ヘッド12の往路においてライトマゼンタのインクによって印刷されるパターンであり、一定の間隔をおいて印刷される。第2の図形群に対応するブロック201a〜201iは、印刷ヘッド12の復路においてライトシアンのインクによって印刷されるパターンであり、ブロック毎に吐出タイミングを変化させ、主走査方向にその変化量が順次変化するように並べて印刷される。すなわち、吐出タイミングの変化量は、補正量を選択するために仮に設定した単位補正量ずつ往路と復路のブロックのずれ量が変化するように設定する。ここで、単位補正量は、例えば、ノズル間距離(=1/180インチ)を、例えば、8等分に分割した距離(1/180インチ)/8=1/1440インチとし、ブロック201a〜201iが主査方向に、1/1440インチずつずれるように復路のタイミングをずらして印刷される。
【0134】
例えば、ブロック200aおよびブロック201aの左端のずれΔL1と、ブロック200bおよびブロック201bの左端のずれΔL2との差は、ΔL1−ΔL2=1/1440インチとなっている。同様に、ブロック200bおよびブロック201bの左端のずれΔL2と、ブロック200cおよびブロック201cの左端のずれΔL3(図示せず)との差は、ΔL2−ΔL3=1/1440インチとなっている。それ以外のブロックについても同様である。
【0135】
このような補正用パターンを印刷用紙Pに印刷し、ブロック対の対向する1組の辺が最も近接しているものを見つけ出し、そのブロック対の上部に印刷されている指示値を選択することにより、7色モードにおける最適な補正量を得ることができる。図15の例では、ブロック200fおよびブロック201fの対向する1組の辺が最も近接している。一方、ブロック200eおよびブロック201eでは、ブロック間に隙間が生じており、また、ブロック200gおよびブロック201gでは、ブロックの一部が重複している。したがって、ブロック200fおよびブロック201fの上部に印刷されている指示値“2”が選択され、前述した場合と同様の処理により補正量が決定される。
【0136】
図16は、図15に示すブロック200a,200bおよびブロック201a,201bを拡大して示す図である。この図の例では、20ドット幅のブロック200a,200bがライトマゼンタによって描画され、20ドット幅のブロック201a,201bがライトシアンによって描画され、また、ブロック201aとブロック200bとは、40ドット隔てて描画される。
【0137】
図17は、このとき使用されるノズル列の一例を示す図である。図6に示すように、各ノズル列は、N1〜N180の180個のノズルを有しているが、ブロックを描画する場合には、中央部分に位置する全体の1/3に該当するノズルN61〜N120を用いて印刷される。このように、中央部分の一部のノズル群を用いてブロックを描画するのは、印刷ヘッド12が主走査方向に対してずれを有して装着されている場合(すなわち、ノズルN1〜N180が主走査方向に対して完全に垂直ではない場合)に、ブロックの先端部分で誤差が生じることを防止するためである。
【0138】
なお、以上の実施の形態では、補正用の各ブロックを往復1回の走査によって描画するようにしたが、2回以上の走査によって描画することも可能である。図18および図19は、各ブロックを往復2回の走査によって描画する場合の例を示す図である。
【0139】
この図の例では、説明を簡略化するためにブロック200a,200bおよびブロック201a,201bのみを示してある。図18に示すように、第1回目の走査ではブロック200aとブロック200bが往路方向の走査によって描画され、所定量だけ紙送りが行われた後、同じく往路方向の第2回目の走査によってブロック200aとブロック200bが再度描画される。この結果、図18に示す領域wが2度打ちされる部分となる。
【0140】
つづいて、図19に示すように、第3回目の走査ではブロック201aとブロック201bが復路方向の走査によって描画され、所定量だけ紙送りが行われた後、同じく復路方向の第4回目の走査によってブロック201aとブロック201bが再度描画される。なお、紙送り制御を伴う描画がなされることから、ブロック対は、副走査方向に対してΔLのずれを有することになる。
【0141】
このような描画方法によれば、1回の走査によって描画する場合に比較して、描画されるパターンのドット密度を高めることができるので、視認性をより向上させることが可能になり、補正量をさらに正確に求めることが可能になる。
【0142】
なお、以上の説明では、7色モードを例に挙げて説明したが、4色モードの場合には、例えば、往路方向はノズル列R2によってブロック200a〜200iを印刷し、復路方向はノズル列R7によってブロック201a〜201iを印刷すればよい。
【0143】
また、以上の説明では、7色モードでは、ライトシアンとライトマゼンダを、また、4色モードでは、マゼンダ同士を用いて補正用パターンを印刷するようにしたが、これ以外の色(例えば、ブラック)を異なるノズルを用いて印刷するようにしてもよいし、同一の色を同一のノズルを用いて印刷することもできる。例えば、文字等を印刷する場合には、ブラックが多用されるので、ブラックを用いて補正用パターンを印刷して補正量を求めれば、文字を高い解像度で印刷してもきれいな文字を描画することができる。
【0144】
つぎに、本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置ついて説明する。
【0145】
本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置の構成は、図1〜図8と同様であるのでその説明は省略し、動作についてのみ説明する。以下では、本発明の第2の実施の形態の動作の概要について説明した後、詳細な動作について説明する。
【0146】
本発明の第2の実施の形態では、図20に示すような補正用パターンが印刷される。この補正用パターンは、7色モードと4色モードの双方の補正を同時に行うことが可能な構成とされている。すなわち、往路において印刷される罫線群300a〜300iは、4色モードと7色モードの双方において補正の対象となるノズル列(例えば、7色モードにおいてライトマゼンタ、4色モードにおいてマゼンタが吐出されるノズル列R2)によって印刷され、また、復路において印刷される罫線群301a〜301iは、7色モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列(例えば、7色モードにおいてライトシアンが吐出されるノズル列R3)によって印刷され、さらに復路において印刷される罫線群302a〜302iは、4色モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列(例えば、4色モードにおいてマゼンタが吐出されるノズル列R7)によって印刷される。
【0147】
また、罫線群300a〜300iは、往路においてそれぞれが一定の間隔を保つように印刷され、また、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iは、復路においてそれぞれが補正量に応じたズレを有するように印刷される。例えば、罫線300aおよび罫線301aのずれΔL1と、罫線300bおよび罫線301bのずれΔL2との差は、ΔL1−ΔL2=1/1440インチとなっている。同様に、罫線300bおよび罫線301bのずれΔL2と、罫線300cおよび罫線301cのずれΔL3(図示せず)との差は、ΔL2−ΔL3=1/1440インチとなっている。
【0148】
また、罫線群302a〜302iについては、罫線群301a〜301iにおいて設定されている補正量と同一の補正量または異なる補正量に基づいて印刷されている。補正量の設定方法については後述する。
【0149】
なお、罫線対の上部に印刷されている“−8”〜“8”の数字は、第1の実施の形態の場合と同様に補正量が適切である罫線対を指示するための指示値である。
【0150】
ユーザは、このような補正パターンを参照し、7色モードと4色モードのそれぞれに対応する罫線群301a〜301iおよび罫線群302a〜302iの中から、双方のモードに対応している罫線群300a〜300iとの関係が最も直線状になっている罫線を選択し、その指示値をそれぞれ入力することにより、4色モードと7色モードのそれぞれの補正量を、同一の補正用パターンを用いて決定することが可能になる。図20の例では、罫線300dと罫線301dとが、また、罫線300eと罫線302eとが最も直線状となっているので、7色モードでは指示値“−2”が選択され、また、4色モードでは指示値“0”が選択され、これらの指示値に対応する補正量がプリンタ22に設定されることになる。
【0151】
つぎに、このような補正用パターンの印刷方法の概略について説明する。
【0152】
本発明の第2の実施の形態では、4色モードと7色モードの補正量のズレの大小によって図20に示す補正用パターンの印刷方法が異なる。すなわち、これらのズレが小さい場合には、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iが1回の走査によって印刷され(同一のパスで印刷され)、これらのズレが大きい場合には、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iが別々の走査によって印刷される(異なるパスで印刷される)。
【0153】
ここで、各ノズル列は、図6に示すように副走査方向に180個のノズル(N1〜N180)が集まって構成されているため、例えば、往路において罫線群300a〜300iをノズルN61〜N120によって印刷し、復路において罫線群301a〜301iをノズルN1〜N60によって印刷し、また、同一の復路において罫線群302a〜302iをノズルN121〜N180によって印刷すれば、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iを1回のパス(1回の走査)で印刷できるので、図20に示す補正用パターン(指示値は除く)を2パスで印刷することができるため、印刷時間の短縮化に貢献できる。
【0154】
ところで、補正量はノズル列全体として設定する(具体的には復路の先頭となるノズル列R8を基準に設定する)ので、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iを1回のパスで印刷するためには、これらを同一の補正量で印刷する必要が生じる。その場合、7色モードまたは4色モードのいずれか一方の補正量を使用して罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iの双方を印刷することになる。
【0155】
7色モードの補正量を基準にする場合について考えると、7色モードにおいて現在設定されている補正量が、指示値“0”の位置の罫線301eを印刷する際の補正量とされ、この罫線301eを中心として“−8”〜“8”の範囲で補正量を可変して罫線群301a〜301dおよび罫線群301f〜301iが印刷される。また、罫線群302a〜302iを同一のパスで印刷する場合には、罫線群301a〜301iの場合と同様に、7色モードにおいて現在設定されている補正量が指示値“0”の位置の罫線302eを印刷する際の補正量となり、この罫線302eを中心として“−8”〜“8”の範囲で補正量を可変して罫線群302a〜302dおよび罫線群302f〜302iが印刷される。
【0156】
したがって、7色モードと4色モードの補正量が同一である場合には、双方ともに現在の設定値を基準として“−8”〜“8”の範囲で罫線群を印刷することができるが、これらが異なっている場合には4色モードの範囲が7色モードを基準とした場合の“−8”〜“8”の範囲とはならない。たとえば、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも+6だけずれている場合には、4色モードの補正量の範囲、すなわち、7色モード時の“−8”〜“8”に相当する範囲は、4色モードにとっては“−14”〜“2”の範囲となってしまい、プラス方向の補正量の範囲が十分に確保できなくなってしまう。
【0157】
ここで、罫線群301a〜301iを描画するノズル列(R3)およびインク色(ライトシアン)と、罫線群302a〜302iを描画するノズル列(R7)およびインク色(マゼンタ)とはそれぞれ異なっている。ノズル列が異なれば主走査方向の位置が異なるため吐出タイミングが異なり、また、ピエゾ素子PEのばらつき等によって吐出速度が異なる。さらに、インク色が異なればインクの粘度が異なるためインクの吐出速度が異なる。そのため、4色モードと7色モードの補正量は一般には異なる場合が多い。
【0158】
そこで、本発明の第2の実施の形態では、4色モードと7色モードの補正量の差が小さい場合には、罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iとを同一のパスで印刷し、補正量の差が大きい場合には罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iとを異なるパスで印刷することにしている。
【0159】
つぎに、本発明の第2の実施の形態の詳細な動作について説明する。なお、以下では、7色モードの補正量を基準にして補正用パターンを印刷する場合を例に挙げて説明する。
【0160】
図3に示すコンピュータ90の入力装置99を操作することにより、補正用パターンを印刷するアプリケーションプログラムを起動する指示がなされると、CPU91は、HDD94または外部記憶装置100に記憶されているアプリケーションプログラムを読み出して実行する。その結果、アプリケーションプログラムは、所定の印字信号PSを生成し、I/F96を介してプリンタ22に供給する。
【0161】
プリンタ22のCPU41は、モータ駆動回路54に制御信号を送り、紙送りモータ23を制御して、印刷用紙Pを1枚だけプリンタ22内部に吸引させる。そして、キャリッジモータ24を制御して、印刷ヘッド12をホームポジションに移動させる。
【0162】
つぎに、CPU91は、4色モードと7色モードの補正量の差を計算する。その結果、補正量の差が“±2”以内である場合には補正用パターンの罫線群301a〜301iと罫線群302a〜302iを同一のパスで印刷することを決定し、それ以外の場合にはこれらを別のパスで印刷することを決定する。以下では、補正量の差が“±2”以内の場合と、それ以外の場合に分けて説明する。
(1)補正量の差が“±2”以内の場合
【0163】
補正量の差が“±2”以内である場合であって、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも“+2”だけ大きい場合には、CPU91は、4色モードについても“+2”を基準として、“−8”〜“+8”の範囲を確保するとともに、4色モードと7色モードの罫線群を同一のパスで印刷するために“−8”〜“10”の範囲で補正用パターンを印刷する。すなわち、CPU91は、まず、プリンタ22に対して“−8”〜“10”の指示値を印刷するように要求する。その結果、印刷用紙Pには、図21(a)に示すように往路において“−8”〜“10”の指示値が印刷される。
【0164】
つぎに、CPU91は、往路においてノズル列R2によって罫線群300a〜300jを印刷するように要求する。その結果、図21(b)に示すように往路において罫線群300a〜300jが印刷される。つぎに、CPU91は、復路においてノズル列R3によって罫線群301a〜301jを、また、ノズル列R7によって罫線群302a〜302jを7色モードの補正量を基準にして同一のパスにより印刷するように要求する。その結果、図21(c)に示すように復路において罫線群301a〜301jと、罫線群302a〜302jが印刷されることになる。その結果、4色モードの補正量の範囲は“+2”を0とみれば、“−10”〜“8”となり、また、7色モードの補正量の範囲は“0”が基準となるので、“−8”〜“10”となり、双方ともに“−8”〜“8”の範囲を確保できる。
【0165】
このような補正用パターンを参照し、ユーザが7色モードと4色モードのそれぞれにおいて、最も直線状となっている罫線対を選択してその指示値を入力すると、入力された指示値に対応する補正量がプリンタ22に供給され、EEPROM46の所定の領域に格納されることになる。
【0166】
具体的には、図21の例では、7色モードについては罫線群300a〜300jと罫線群301a〜301jのうち罫線300eと罫線301eが最も直線状になっているため、指示値“0”が入力される。また、4色モードについては罫線群300a〜300jと罫線群302a〜302jのうち罫線300gと罫線301gが最も直線状になっているため、指示値“4”が入力される。その結果、補正量としては、7色モードについては現在設定されている7色モードの補正量がそのまま設定され、4色モードについては現在設定されている7色モードの補正量を、指示値“4”に対応する量だけずらした補正量が設定されることになる。
【0167】
一方、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも“−2”だけ大きい場合には、“−10”〜“+8”の範囲で罫線群が印刷され、前述の場合と同様に補正量が設定されることになる。
(2)補正量の差が“±2”以内でない場合
【0168】
補正量の差が“±2”以内でない場合には、CPU91は、まず、プリンタ22に対して“−8”〜“8”の指示値を印刷するように要求する。その結果、印刷用紙Pには、図22(a)に示すように往路において“−8”〜“8”の指示値が印刷される。
【0169】
つぎに、CPU91は、往路においてノズル列R2によって罫線群300a〜300iを所定の間隔毎に印刷するように要求する。その結果、図22(b)に示すように往路において罫線群300a〜300iが印刷される。
【0170】
つぎに、CPU91は、復路においてノズル列R3によって罫線群301a〜301iを7色モードの補正量を基準にして、すなわち、その補正量が“0”の位置となるようにして印刷するように要求する。その結果、図22(c)に示すように復路において罫線群301a〜301iが印刷されることになる。
【0171】
つぎに、CPU91は、再度の復路においてノズル列R7によって罫線群302a〜302iを4色モードの補正量を基準にして、すなわち、その補正量が“0”の位置となるようにして印刷するように要求する。その結果、図22(d)に示すように復路において罫線群302a〜302iが印刷されることになる。
【0172】
なお、この場合も前述の場合と同様に、4色モードと7色モードのそれぞれについて、補正量の範囲として“−8”〜“8”を確保することができる。
【0173】
このような補正用パターンを参照し、ユーザが7色モードと4色モードのそれぞれにおいて、最も直線状となっている罫線対を選択してその指示値を入力すると、入力された指示値に対応する補正量がプリンタ22に供給され、EEPROM46の所定の領域に格納されることになる。
【0174】
具体的には、図22の例では、7色モードについては罫線群300a〜300iと罫線群301a〜301iのうち罫線300eと罫線301eが最も直線状になっているため、指示値“0”が入力される。また、4色モードについては罫線群300a〜300iと罫線群302a〜302iのうち罫線300gと罫線302gが最も直線状になっているため、指示値“4”が入力される。その結果、補正量としては、7色モードについては現在設定されている7色モードの補正量がそのまま設定され、4色モードについては現在設定されている4色モードの補正量を指示値“4”に対応する量だけずらした補正量が設定されることになる。
【0175】
以上に示す、(1)または(2)の処理の結果、EEPROM46には、4色モードと7色モードのそれぞれに対応する補正量が格納されることになる。これ以降において、7色モードにて印刷が行われる場合には、7色モードに対応する補正量がEEPROM46から読み出されて補正回路123に供給され、往路と復路でドットの形成位置が合致するように調整されるので、自然画像において多用されるライトマゼンタとライトシアンの吐出タイミングを最適に設定することができ、高品質の画像を得ることができる。
【0176】
また、4色モードにて印刷が行われる場合には、4色モードに対応する補正量がEEPROM46から読み出されて補正回路123に供給され、往路と復路でドットの形成位置が合致するように調整されるので、マゼンタとシアンの吐出タイミングを最適に設定することができ、高品質のイラスト画像を高速に印刷することができる。
【0177】
つぎに、本発明の第2の実施の形態において実行される処理の流れについて説明する。図23は、本発明の第2の実施の形態において実行される処理の流れを説明するフローチャートである。このフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0178】
ステップS30:CPU91は、プリンタ22のEEPROM46に格納されている4色モード用の補正量を取得する。
【0179】
ステップS31:CPU91は、プリンタ22のEEPROM46に格納されている7色モード用の補正量を取得する。
【0180】
ステップS32:CPU91は、4色モードと7色モードの補正量の差が“±2”以内であるか否か判定し、該当する場合にはステップS33に進み、それ以外の場合にはステップS36に進む。
【0181】
ステップS33:CPU91は、プリンタ22に所定の範囲で指示値を印刷させる。例えば、4色モードの補正量が7色モードの補正量よりも+2だけずれている場合には、指示値として“−8”〜“10”を印刷させ、−2だけずれている場合には、指示値として“−10”〜“8”を印刷させる。
【0182】
ステップS34:CPU91は、基準となる罫線群300a〜300jをプリンタ22にノズル列R2により印刷させる。
【0183】
ステップS35:CPU91は、7色用の罫線群301a〜301jと、4色用の罫線群302a〜302jとをプリンタ22に同一のパスでノズル列R3とノズル列R7によりそれぞれ印刷させる。
【0184】
ステップS36:CPU91は、ステップS32で否定的な判定がなされた場合、プリンタ22に“−8”〜“8”の範囲で指示値を印刷させる。
【0185】
ステップS37:CPU91は、基準となる罫線群300a〜300iをプリンタ22にノズル列R2により印刷させる。
【0186】
ステップS38:CPU91は、7色用の罫線群301a〜301iをプリンタ22にノズル列R3により印刷させる。この際、EEPROM46に格納されている7色用の補正量が基準位置“0”となるように印刷される。
【0187】
ステップS38:CPU91は、4色用の罫線群302a〜302iをプリンタ22にノズル列R7により印刷させる。この際、EEPROM46に格納されている4色用の補正量が基準位置“0”となるように印刷される。
【0188】
なお、本発明の第2の実施の形態では、罫線を用いて補正用パターンを描画するようにしたが、第1の実施の形態において説明したように、ブロックを用いて補正用パターンを描画することも可能である。
【0189】
図24は、罫線の代わりにブロックによって補正用パターンを印刷した場合の一例を示す図である。この図の例は、第1の図形群に相当するブロック400a〜400i、第2の図形群に相当するブロック401a〜401i、および第3の図形群に相当するブロック402a〜402iによって構成されている。ここで、ブロック400a〜400iは、7色モードと4色モードの補正用パターンの印刷において共通して使用されるノズル列によって印刷されるブロックである。また、ブロック401a〜401iは、7色モードの補正用パターン印刷においてのみ使用されるノズル列によって印刷されるブロックであり、ブロック402a〜402iは、4色モードの補正用パターン印刷においてのみ使用されるノズル列によって印刷されるブロックである。
【0190】
ここで、7色モードの補正用パターンの描画の際には、ノズル列R2,R3が使用され、4色モードの補正用パターンの描画の際には、ノズル列R2,R7が使用される。したがって、共通して使用されるのは、ノズル列R2であることから、ブロック400a〜400iは、ノズル列R2によって描画される。また、ノズル列R3は7色モードの補正において使用され、ノズル列R7は4色モードの補正において使用されることから、ブロック401a〜401iは、ノズル列R3によって描画され、また、ブロック402a〜402iは、ノズル列R7によって描画される。なお、ブロック400a〜400iは、往路において印刷され、ブロック401a〜401iおよびブロック402a〜402iは、復路において同時または個別に印刷される。
【0191】
また、図25に示すように、ブロック400a〜400i、ブロック401a〜401i、およびブロック402a〜402iは、主走査方向に20ドットの幅を有し、ブロック400b〜400iは、それぞれ左側に配置されているブロック401a〜401hまたはブロック402a〜402hから40ドットだけ間隔を置いて配置されている。
【0192】
なお、これらのブロックが描画される際には、図26に示すように、まず、ブロック400a〜400iが往路方向の走査において、ノズル列R2の中央付近のノズルN61〜N120によって描画される。つぎに、ノズル列R3のノズルN31〜N90によってブロック401a〜401iが復路方向の走査で描画されると同時に、ノズル列R7のノズルN91〜N150によってブロック402a〜402iが描画される。なお、図24の上部に示す指示値は、前述の場合と同様に所定の補正量を指示する際に使用される。
【0193】
このようなブロックによって構成された補正用パターンを使用すれば、視認性を向上させることができるので、少ない吐出量について補正量を求めるような場合であっても、補正量を正確に求めることが可能になる。
【0194】
なお、本発明の第2の実施の形態では、インクの吐出量については言及していないが、吐出量の多少によって別途補正が必要になる場合がある。その場合には、吐出量毎に前述の補正用パターンを作成し、7色モードおよび4色モードのそれぞれについて吐出量毎に補正量を求める。そして、求めたこれらの補正量をEEPROM46に格納しておき、コンピュータ90から印刷信号PSを受信した場合には、吐出量に応じた補正量を対応する補正回路123に供給し、適正な補正を行うことができる。
【0195】
また、本発明の第2の実施の形態では、7色モードと4色モードの補正量の差が“±2”以内である場合には、罫線またはブロックの本数を増やして印刷するようにしたが、通常の場合と同一の本数の罫線またはブロックを印刷するようにしてもよい。また、“±2”を基準にするのではなく、これ以外の値(例えば、“±4”等)を基準にすることも可能である。さらに、“±2”以内である場合には、罫線またはブロックの本数を増加させず、それ以外の場合であって“±4”以内である場合には罫線またはブロックを1本だけ増加させることも可能である。要は、4色モードと7色モードの補正量が異なる場合には、必要に応じて罫線またはブロックの本数を適宜増加させればよい。
【0196】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能である。
【0197】
例えば、第1〜第3の図形としては、以上の実施の形態では直線や矩形を用いたが、これ以外の形状の図形(例えば、台形)としてもよい。要は、主走査方向のズレを発見できる形状とすればよく、矩形の場合には所定の幅を有するようにすればよい。
【0198】
また、第1および第2の実施の形態では、ピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタ22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する気泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンタに適用することも可能である。
【0199】
そして、制御回路40の構成も、各吐出駆動素子に駆動信号を供給し、主走査の往路と復路において、インクの経時的な吐出順序を同一に保つように駆動信号を生成するものであれば、どのようなものでもよい。
【0200】
さらに、以上の実施の形態では、コンピュータ90(または、外部記憶装置100)に補正用パターンを印刷するためのアプリケーションプログラムを格納しておき、このアプリケーションプログラムからの指令に応じてプリンタ22が補正用パターンを印刷するようにしたが、プリンタ22のROM43またはEEPROM46に同等の機能を有するアプリケーションプログラムを格納しておき、操作パネル32が所定の手順で操作された場合に、このアプリケーションを起動し、補正用パターンを印刷することも可能である。要は、コンピュータ90またはプリンタ22のいずれかにアプリケーションプログラムを格納しておき、補正用パターンを印刷する際には、これらのアプリケーションプログラムをコンピュータ90またはプリンタ22のいずれかで起動して実行すればよい。
【0201】
さらに、第1の実施の形態において、第2の実施の形態と同様に、4色モードと7色モードの補正用パターンを同一の補正用パターンとして印刷するようにしてもよい。その場合には、4色用と7色用の双方について両端以外が選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外し、いずれか一方について両端が選択された場合には、再印刷の対象とすればよい。また、いずれか一方について両端が選択された場合には、そのパターンのみ印刷し、他方は省略することも可能である。
【0202】
なお、以上の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、印刷装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MOなどがある。
【0203】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0204】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0205】
【発明の効果】
本発明によれば、補正量を求める処理に必要な時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る印刷装置となるプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すプリンタが有する制御回路を中心としたプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すプリンタに接続されたコンピュータの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すプリンタが有する印刷ヘッドの内部の概略構成を示す図である。
【図5】図1に示すプリンタが有するピエゾ素子とノズルとの構造を詳細に示した図である。
【図6】図1に示すプリンタが有する印刷ヘッドにおけるノズルおよびノズル列の配置を示す図である。
【図7】図1に示すプリンタが有するキャリッジの概略構成を示す図である。
【図8】図1に示すプリンタが有するヘッド駆動回路内に設けられた駆動信号発生部の構成を示すブロック図である。
【図9】図1に示すプリンタに供給される1画素区間におけるシリアル印刷信号のヘッド駆動波形の時間的変化を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態において印刷される補正用パターンの一例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態において、1回目の印刷において得られる補正用パターンの一例を示す図である。
【図12】図11に示す補正用パターンにおいて、「6pl」の右端の罫線対と、「10pl」の左端の罫線対が選択された場合に、再印刷される補正用パターンの一例を示す図である。
【図13】指示値を入力するために図1に示すコンピュータが有する表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態において実行される処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図15】本実施の第1の形態において印刷される補正用パターンの他の一例を示す図である。
【図16】図15に示す補正用パターンの詳細を示す図である。
【図17】図15に示す補正用パターンを描画するノズルを示す図である。
【図18】図15に示す補正用パターンの他の描画方法を示す図である。
【図19】図15に示す補正用パターンの他の描画方法を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において印刷される補正用パターンの一例を示す図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において、4色モードと7色モードの補正量の差が“±2”以内である場合の補正用パターンの印刷手順を説明する図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において、4色モードと7色モードの補正量の差が“±2”以内でない場合の補正用パターンの印刷手順を説明する図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図24】本発明の第2の実施の形態に係る印刷装置において印刷される補正用パターンの他の一例を示す図である。
【図25】図24に示す補正用パターンの詳細を示す図である。
【図26】図24に示す補正用パターンを描画するノズルを示す図である。
【図27】従来における補正用パターンを示す図である。
【符号の説明】
60 印刷ヘッドユニット(補正用パターン印刷手段、第1の図形群印刷手段、第2の図形群印刷手段、第3の図形群印刷手段)
40 制御回路(制御手段)
140a〜140i 罫線(第1の図形群)
141a〜141i 罫線(第2の図形群)
150,152,154,156,158 罫線(第1の図形群)
151,153,155,157,159 罫線(第2の図形群)
200a〜200i ブロック(第1の図形群)
201a〜201i ブロック(第2の図形群)
300a〜300j 罫線(第1の図形群)
301a〜301j 罫線(第2の図形群)
302a〜302j 罫線(第3の図形群)
400a〜400i ブロック(第1の図形群)
401a〜401i ブロック(第2の図形群)
402a〜402i ブロック(第3の図形群)
Claims (15)
- インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置において、
往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段と、
各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように上記補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行う制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。 - 前記制御手段は、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された補正用パターンについては当該選択されたペアの近傍に位置するペアであって、いまだ印刷されていないペアが新たに印刷されるように前記補正用パターン印刷手段を制御して再印刷を行うことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記制御手段は、両端から所定の範囲内に存するペアが選択された補正用パターンについては当該選択されたペアが中央付近に位置するように制御して再印刷を行うことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記第1の図形群中の各図形および第2の図形群中の各図形は、主走査方向に所定のドット幅を有する図形であることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記補正用パターン印刷手段は、前記第2の図形群と同一の路において第3の図形群をさらに印刷し、
前記制御手段は上記第3の図形群に対しても前記第2の図形群と同様の処理を実行することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。 - インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備する印刷装置に、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷させる処理をコンピュータに実行させる印刷用コンピュータプログラムにおいて、
上記コンピュータを、
往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段、
各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように上記補正用パターン印刷手段を制御する制御手段、
として機能させるコンピュータ読み取り可能な印刷用コンピュータプログラム。 - インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置と、上記印刷装置に接続されているコンピュータとを有する印刷用コンピュータシステムにおいて、
往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷手段と、
各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように上記補正用パターン印刷手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷用コンピュータシステム。 - インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷方法において、
往路または復路のいずれかにおいて印刷される第1の図形群と、上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群のそれぞれとペアを構成するように隣接して印刷されるとともに、各ペアが異なる補正量を有するように設定されている第2の図形群とを有する補正用パターンを印刷条件を変えて複数印刷する補正用パターン印刷ステップと、
各補正用パターン毎に適切な位置関係を有するペアが選択された場合に、当該ペアが当該補正用パターンの両端から所定の範囲内に存するペアである場合には、当該補正用パターンについては再印刷の対象とし、それ以外のペアが選択された補正用パターンについては再印刷の対象から除外するように上記補正用パターン印刷ステップを制御して再印刷を行う制御ステップと、
を有することを特徴とする印刷方法。 - インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを有する印刷装置において、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段と、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を上記第1の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段と、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を上記第2の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段と、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように上記第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。 - 前記制御手段は、前記第1の印刷モードと前記第2の印刷モードにおいて設定されている補正量の差異が所定の範囲内に収まる場合には、前記第2の図形群と前記第3の図形群を同一のパスで印刷するように前記第2および第3の図形群印刷手段を制御することを特徴とする請求項9記載の印刷装置。
- 前記制御手段は、前記第1の印刷モードと前記第2の印刷モードにおいて設定されている補正量の差異が所定の範囲内に収まらない場合には、前記第2の図形群と前記第3の図形群をそれぞれ異なるパスで印刷するように前記第2および第3の図形群印刷手段を制御することを特徴とする請求項9記載の印刷装置。
- 前記第1の図形群中の各図形および第2の図形群中の各図形は、主走査方向に所定のドット幅を有する図形であることを特徴とする請求項9記載の印刷装置。
- インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備するとともに、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを具備する印刷装置に対して、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷させる処理をコンピュータに実行させる印刷用コンピュータプログラムにおいて、
上記印刷装置を、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を上記第1の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を上記第2の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように上記第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段、
として機能させるコンピュータ読み取り可能な印刷用コンピュータプログラム。 - インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷装置であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを具備する印刷装置と、上記印刷装置に接続されているコンピュータとを有する印刷用コンピュータシステムにおいて、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷手段と、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を上記第1の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷手段と、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を上記第2の印刷モードにおいてのみ補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷手段と、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように上記第1から第3の図形群印刷手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷用コンピュータシステム。 - インクを吐出してドットを形成するための複数のノズルを有する印刷ヘッドを具備し、上記印刷ヘッドの主走査方向の往路におけるドット形成位置と、復路におけるドット形成位置とのずれを補正するための補正量を求める際に使用する補正用パターンを印刷する印刷方法であって、第1の色数によって印刷する第1の印刷モードと、第2の色数によって印刷する第2の印刷モードとを有する印刷方法において、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードの双方において補正の対象となるノズル列により、往路または復路のいずれかにおいて第1の図形群を印刷する第1の図形群印刷ステップと、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第2の図形群を上記第1の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第2の図形群印刷ステップと、
上記第1の図形群とは異なる路において上記第1の図形群とペアを構成するとともに、各ペアが異なる補正量を有するように第3の図形群を上記第2の印刷モードにおいて補正の対象となるノズル列により印刷する第3の図形群印刷ステップと、
上記第1の印刷モードと上記第2の印刷モードにおいて設定されている補正量が異なる場合には、双方の印刷モードの補正量の範囲が少なくとも一定の範囲を包含するように上記第1から第3の図形群印刷ステップを制御する制御ステップと、
を有することを特徴とする印刷方法。
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JP2002303214A JP2004136544A (ja) | 2002-10-17 | 2002-10-17 | 印刷装置、印刷用コンピュータプログラム、印刷用コンピュータシステムおよび印刷方法 |
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Cited By (4)
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---|---|---|---|---|
JP2007216475A (ja) * | 2006-02-15 | 2007-08-30 | Canon Inc | インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、プログラム及び記憶媒体 |
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-
2002
- 2002-10-17 JP JP2002303214A patent/JP2004136544A/ja not_active Withdrawn
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