JP2004135108A - 通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラム - Google Patents
通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】IPv6に代表されるグローバルIPアドレスの取得の機能を用いて、端末の移動、新設、廃棄などを容易に行なえるようにする。
【解決手段】通信端末MがIPv6ルータBのネットワークから別のIPv6ルータC下に移動した場合、通信端末Mは、移動先のIPv6ルータCからIPアドレス上位のプレフィクスを取得し、プレフィクスが移動前のプレフィクスと異なることを判断し、移動元のIPv6ルータBに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、一方、移動元のIPv6ルータBは、受信したグローバルIPアドレスの下位のインターフェースIDが以前と同じ場合、自己のルーティングアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、旧アドレス宛てのデータを移動先の通信端末Mに転送する。
【選択図】 図1
【解決手段】通信端末MがIPv6ルータBのネットワークから別のIPv6ルータC下に移動した場合、通信端末Mは、移動先のIPv6ルータCからIPアドレス上位のプレフィクスを取得し、プレフィクスが移動前のプレフィクスと異なることを判断し、移動元のIPv6ルータBに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、一方、移動元のIPv6ルータBは、受信したグローバルIPアドレスの下位のインターフェースIDが以前と同じ場合、自己のルーティングアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、旧アドレス宛てのデータを移動先の通信端末Mに転送する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IPv6に準拠したネットワーク通信を行なう通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IPネットワークを基礎とするインターネット技術が広く普及しつつある。IPネットワークにおいて、現在広く利用されている規格はいわゆるIPv4(IP version 4)であるが、IPv4における多くの問題を解決するものとして、IPv6(IP version 6:下記の非特許文献1〜3を参照)が提案されている。
【0003】
IPv4ネットワークにおける問題の1つとして、機器のIPアドレスの割り当て、あるいは機器の移設に伴なう設定変更の煩雑さが挙げられる。
【0004】
まず、以下では、IPv4ネットワークに接続された端末のアドレス管理に関して説明する。
【0005】
コンピュータ、その他の端末に付与されるIPアドレスは、ネットワークアドレスと、ホストアドレスの組み合わせで決められる。たとえば、ネットワークアドレス172.7.100のネットワークAと、ネットワークアドレス172.7.101のネットワークBがあり、その2つのネットワークがルータXによって接続されているとすると、従来、これらのアドレスは、ネットワークアドレスについては、同じものが存在しないように、また、ホストアドレスについては、1つのネットワーク内では同じものが存在しないように、ネットワーク管理者が設定しなければならない。これはある1つのアドレスがある1つの端末を特定できなければならない必要上、当然のことである。
【0006】
端末に設定されたアドレスは、必要に応じてネットワークどうしを接続するルータのルーティングテーブルに設定される。たとえば、複数のルータが同一ネットワーク内に存在するような場合は、ルータのルーティングテーブルにスタティックにルーティングアドレスを設定する必要があるが、このようなルータのルーティングテーブルの管理も従来ではネットワーク管理者が手動で行なわなければならない。
【0007】
ここで、ネットワークAに属する端末をネットワークBヘ移動させることを考えてみると、以下の手続きがネットワーク管理者によって行われることになる。
【0008】
(1)移動先の場所のネットワークアドレスを求める
(2)移動先のネットワーク内で、使用されていないホストアドレスを探す
(3)上の(1)、(2)により求めたアドレスを端末へ設定する
(4)ネームサーバの管理ファイル上の以前のアドレスについての記述を削除する
(5)ネームサーバの管理ファイルに新しく付与したアドレスを登録する。
【0009】
また、従来のIPv4に準拠するLANシステムでは、各端末が、撚り線対、同軸線、あるいは光ファイバ等の有線伝送路で直接的にバス状、あるいはリング状に接続されてLANを形成していた。また、各LANは、物理層の信号を中継する「リピータ」、MAC層フレームの中継を行なう「ブリッジ」、あるいはネットワーク層のパケットの中継を行なう「ルータ」等の中継装置によって他のLANと相互に接続されていた。なお、個々の端末がLANノードを介して基幹LANに接続される場合もあるが、この場合、LANノードは、端末とLANノードとの間に存在する1つのLANシステムと、複数のLANノードで形成される基幹LANシステムとを相互接続している装置とみなすことができ、機能的には、上述したリピータ、ブリッジ、あるいはルータの何れかに分類される。
【0010】
一般に、LANノードの機能としては、ブリッジがもつフレーム中継機能が適用される。しかしながら、LAN間を接続する場合や、大規模なネットワークでは、MAC層以下のプロトコルが異なる通信情報の中継が可能で、さらにネットワーク全体を複数のサブネットワークに分割して管理できるという利点から、ルータによる接続が一般的である。
【0011】
一方、LAN端末やエンドシステム(以下、本明細書ではこれらの装置を総称して「ホスト」と称する)の多くは、ネットワーク層にインターネットプロトコル(IP)を持っているため、従来のネットワークにおいては、ルータのほとんどは、IPアドレスに基いて受信パケットをルーティングするように構成されている。
【0012】
上記IPアドレスは、IPv4では32ビット長であり、ネットワークを識別するためのネットワーク番号と、個々の端末等を識別するためのホスト番号とから構成される。
【0013】
ルータは、受信パケットに含まれるネットワーク番号が自分のネットワーク番号と一致するか否かを判定し、不一致の場合は、上記受信パケットは、自分が接続されているネットワークとは異なるネットワークに属するホスト宛のものであると判断する。この場合、ルータ内に記憶されているルーティングテーブルから上記受信パケットを中継すべき経路上にある最初のルータ(以下、これを「転送先ルータ」と言う)のIPアドレスを求め、次に、ホストアドレステーブルから上記転送先ルータのIPアドレスと対応するMACアドレスを求め、このMACアドレスを宛先アドレスフィールドに、また、自分のMACアドレスを送信元アドレスフィールドに持つMACフレームを組み立て、これを伝送路に出力する。
【0014】
一方、受信パケットと自分のネットワーク番号が一致した場合は、ホストアドレステーブルから上記受信パケットのIPアドレスと対応するホストのMACアドレスを求め、このMACアドレスを宛先アドレスフィールドに、また、自分のMACアドレスを送信元アドレスフィールドに持つMACフレームを組み立て、これを伝送路に転送する。
【0015】
ルータのルーティング情報は、ネットワーク管理者が手動で設定する場合もあるが、機器の移設、移動などの際の便を考慮して、自動的に設定変更を行なうための技術が種々提案されている。たとえば、携帯端末のようなモバイル機器に関しては、mobile IPv6を利用する技術(下記の特許文献1および2)が知られている。
【0016】
【非特許文献1】
RFC1883 − Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification, http://www.faqs.org/rfcs/rfc1883.html
【非特許文献2】
RFC2461 − Neighbor Discovery for IP Version 6 (IPv6), http://www.faqs.org/rfcs/rfc2461.html
【非特許文献3】
RFC2462 − IPv6 Stateless Address Autoconfiguration, http://www.faqs.org/rfcs/rfc2462.html
【特許文献1】
特開2000−201183号
【特許文献2】
特開2001−197099号
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、IPv4技術では、端末を移動しようとしてもネットワーク管理者が手動で煩雑な設定作業を行わなければならないため、端末の使用者が自由に移動を行なえないという問題があった。
【0018】
たとえば、複数のLANがルータで相互接続されたLANシステムにおいては、何れかのLANに属していたホストをルータを越えて他のLANに移動する、すなわち他のネットワークに接続する場合、それまで有効であった自己のIPアドレスが、ネットワーク部(移動先においてネットワークに割当てられたIPv4上ではネットワーク番号、後述のIPv6上ではグローバルIPアドレス)と一致しなくなるため、上記ホスト宛のパケットが異動後のホストに届かないことになる。
【0019】
このように、移動先のネットワークに対応したIPアドレスをホストに付与するのは、手動設定では難しく、また誤りも多いために、ホストアドレスを自動設定するための技術として、IPv4においてはDHCPプロトコルが提案され、また、IPv6では、いわゆるプラグ・アンド・プレイホストアドレスを自動設定する仕様が最初から含まれることとなった。
【0020】
しかし、DHCPプロトコルや、また、IPv6のプラグ・アンド・プレイ(あるいはDHCPv6)では、設定可能なのは機器のIPアドレスおよびDNSアドレスの設定であり、ルータのルーティング情報などの設定変更は依然としてネットワーク管理者が必要に応じて(たとえば異なるネットワーク間で特定のスタティックルーティングを設定するような場合)手動で行なわなければならない。
【0021】
特に、無線LANのようにホストの移動が頻繁に発生するネットワークシステムでは、ホスト移動の都度、上述したIPアドレスやルーティングテーブルを変更、管理していくことは容易でない。
【0022】
また、モバイル機器に関しては、上述の特許文献1および2などにおいて、携帯型の端末が移動先のサブネットに接続されたとき、mobile IPv6を用いて移動前の携帯端末のアドレスに到着したパケットを移動後のアドレスに転送するシステムが提案されている。しかしながら、このようなシステムの場合、端末はmobile IPv6を利用可能な端末でしか移動情報の管理ができなかった。即ち、設置型の端末の場合には、依然として、移動情報の管理が困難であった。さらに、移動端末の追跡ができるようにするために、移動前のIPアドレスと移動後のIPアドレスを管理する専用のDNSサーバやホームエージェントを利用するとともに、mobile IPv6のようにIPv6をさらに拡張した手法を用いる必要があった。
【0023】
本発明の課題は、上記問題点を解決し、IPv6に代表されるグローバルIPアドレスの取得の機能を用いて、移動端末用のmobile IPv6などの手法やmobile端末専用の移動追跡などの特別な仕組みを用いることなく、通常のIPv6アドレスを用いて設置型の端末の移動、新設、廃棄などを容易に行なえるようにすることにある。
【0024】
また、本発明の他の課題は、IPv6に代表されるグローバルIPアドレスの取得の機能を用いて、ホスト(通信端末、マルチファンクション端末、PCなど)がルータを介して接続されたネットワークにおいて、各ホストがルータを越えて他のネットワークに容易に移動できるようにすることにある。
【0025】
さらに本発明の他の課題は、通信端末およびマルチファンクション端末またはホストがルータを越えて他のネットワークに移動中でも、各ルータ管理下の記憶部を用いて、受信データが破棄されないようにすることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明によれば、IPv6に準拠したネットワーク通信を行なう通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラムにおいて、IPv6ルータに接続する手段と、IPv6ルータにIPアドレスのプレフィクスを要求する手段と、IPv6ルータから前記プレフィクスを取得する手段と、取得した前記プレフィクスにデバイス固有のインターフェースIDを付加し、IPv6アドレスを生成する手段と、生成された前記IPv6アドレスを前記IPv6ルータに同報する手段と、を有する通信端末が別のIPv6ルータ下に移動した場合、前記通信端末は、移動先のIPv6ルータにIPアドレス上位のプレフィクスを要求し、該IPv6ルータから前記プレフィクスを取得し、前記プレフィクスが移動前のプレフィクスと異なることを判断し、移動元のIPv6ルータに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、一方、移動元のIPv6ルータは、下位のインターフェースIDが前記通信端末と同じ場合、IPv6ルータのルーティングアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、前記旧アドレス宛てのデータを移動先の前記通信端末に転送する構成を採用した。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワークシステムの全体構成を示している。図1では、インターネット(またはWAN)1に、ネットワークa〜dが接続されている。インターネット(またはWAN)1とネットワークa〜dの間の経路は省略してあるが、適当なルータやブリッジにより接続されているものとする。
【0029】
ネットワークa〜dにはルータA(2)、ルータB(3)、ルータC(4)、およびルータD(5)が接続されており、これらルータA〜Dは、それぞれネットワークa〜dとセグメントの異なる(異なるネットワーク番号を持つ)ネットワーク(LAN)e、f、g、hの間をルーティングする。
【0030】
ネットワークeには送信側の端末A(6)が、ネットワークfにはマルチファンクション端末M(8)および端末M8のホスト端末である端末(PCなど)B(7)が、ネットワークgにはホスト端末(PCなど)C(9)が、ネットワークhにはホスト端末(PCなど)D(10)が接続されている。
【0031】
本実施形態ではマルチファンクション端末M(8)はたとえばプリンタ、スキャナ、ファクシミリなどの機能を複合した端末であるが、単機能の装置(たとえばプリンタやPC)であっても後述の説明は同様に通用する。マルチファンクション端末Mは、図中の丸数字(以下、文中では2重のかっこにより示す)で示されるように移動される。
【0032】
図1の各端末A〜D、M(以下、図中の参照符号のうち、数字のものは混乱を生じない限り省略する)、ルータA〜DはIPv6の規格を満足するものとし、RFC2462に記載されるようなプラグ・アンド・プレイ手法によりIPアドレスを自動的に割り当てることができる。
【0033】
すなわち、端末M(8)は、最初にルータB3のネットワークfに接続されると、ルータBから自動的にIPアドレスを取得し、端末M8およびルータB3に取得したIPアドレスを設定する。
【0034】
その後、端末M8をルータCのネットワークgに移動し(((1)))、接続すると新しいIPアドレスを同様にルータCから取得する。この時、本実施形態では、前に接続されていたルータBにIPアドレスを送信し、たとえば、端末Aから旧IPアドレス宛てのデータをルータBからルータCを介して端末Mに転送されるようルータBのルーティング情報を自動設定する。
【0035】
さらに、端末M8をルータDのネットワークhに移動し(((2)))、接続すると新しいIPアドレスを前述同様にルータDから取得する。この時、本実施形態では、前に接続されていたルータCにIPアドレスを送信し、ルータCのルーティング情報を自動設定し、たとえば、端末Aから旧IPアドレス宛てのデータをルータB→ルータC→ルータDを介して端末Mに転送されるように制御する。
【0036】
また、たとえば、端末M8を過去に接続されたルータCのネットワークgまたはルータBのネットワークfに戻した場合(((3))、((4)))、本実施形態では上述のルータB、Dの転送設定を解除するともに、経由したルータの不要な転送設定も自動で解除する。
【0037】
また、移動するために端末M8をルータBのネットワークbから取り外した(((5)))場合、本実施形態では、それまでの間にたとえばルータAのネットワークaに接続される端末A6から端末M8宛てにデータが送信されていれば、ルータBが、ルータB管理下のメモリに受信データを一時的に保管する。その後、端末M8が、ルータCのネットワークcに接続されると(((6)))、該接続を検知および通知して、端末M8宛てに自動的に前記データを転送する。
【0038】
以上のようにして、IPv6に代表されるIPアドレスの取得の機能を用い、さらにルータのルーティング情報を自動設定することにより、端末の移動、新設時にかかる手間をなくすことが可能なネットワークシステムを実現することができる。
【0039】
図2は、図1に示したルータ(たとえばB(3))、およびマルチファンクション端末(たとえばM(8))の構成を示している。
【0040】
図2において、ルータ11は、インターネットやWAN(World Area Network)に接続するためのインターネット接続I/F部12、ルータの主な制御であるアドレス配布、パケット中継、フィルタリング、経路制御の役割を統括する通信制御部13を有する。
【0041】
また、ルータ11は、IPアドレスを制御するIPアドレス処理部14を有する。このIPアドレス処理部14はアドレス配布に関わるIPアドレスの上位64ビットを送信するプレフィクス送信部15、プラグアンドプレイの機能の1つであるIPアドレスの重複時の処理を行なうIPアドレス重複処理部16から成る。
【0042】
また、ルータ11はパケット中継、フィルタリングに関する制御を行なうルーティング設定部17を有する。このルーティング設定部17はルーティング情報としてルーティングアドレスを記憶するルーティングアドレス記憶部18、ルーティングアドレスの上位のプレフィクスを設定するプレフィクス設定部19から成る。
【0043】
また、ルータ11は、ルータ11に接続される通信端末またはマルチファンクション端末の移動中の受信データを一時的に格納するルーティングデータ保持部20を有する。さらに、ルータ11は、通信端末およびマルチファンクション端末を接続するための端末接続I/F部21を介して、複数の端末を接続するためのスイッチングハブ22に接続されている。
【0044】
マルチファンクション端末23は次のような部材から構成される。ただし、ここではネットワーク関連部分のみを示しているので、図2に示した構成はマルチファンクション端末のみならず、他の機器(プリンタやPCなど)にも通用するものである。
【0045】
マルチファンクション端末23はルータ接続I/F24を介してスイッチングハブ22〜ルータ11と接続される(ただしハブなしでルータと直結される場合もある)。
【0046】
マルチファンクション端末23は、データおよびアドレスの送受信を制御する通信部25、およびメモリ制御部26を有する。メモリ制御部26は、管理テーブルや受信データを格納するメモリ27、および移動前のIPアドレス等を記憶しておくIPアドレス管理テーブル28を制御する。
【0047】
また、端末23は、本機側で転送中止命令や移動認証等、必要な操作を行なうための操作制御部29、自動および手動設定されたIPアドレス、ルータ等の情報を表示する表示部30を有する。
【0048】
また、端末23は、IPアドレス関連の処理を制御するIPアドレス処理部31を有する。IPアドレス処理部31は次の各部を含む。すなわち、プラグアンドプレイの機能の1つであるIPアドレス取得に関するプレフィクス要求部32、ルータからIPアドレスのプレフィクスを受信するプレフィクス受信部33、端末装置固有のアドレスを取得するMAC(Media Access Control)アドレス取得部36、MACアドレスからグローバルIPアドレスの下位アドレスであるインターフェースIDを生成するインターフェースID生成部35、生成されたインターフェースIDからグローバルIPアドレスを生成するIPアドレス生成部34、前記生成されたグローバルIPアドレスをルータ11または他のルータへ送信するIPアドレス送信部37である。
【0049】
さらに、端末23は、上記の各通信制御、メモリ制御、操作制御、表示制御、IPアドレス制御の全体を統括するシステム制御部38を有する。システム制御部38は、マイクロプロセッサのような制御手段と、その制御プログラムから構成される。
【0050】
前述のルータ11もシステム制御部38と同様のシステム制御部を有するものとし、本発明の方法は、図2のルータおよび端末により実行される。当然ながら、本発明の方法において、ルータの処理はルータ側のシステム制御部により、端末の処理は端末側のシステム制御部によりそれぞれ実行される。ルータおよび端末において、後述の通信制御手順を実現するための制御プログラムはルータおよび端末のシステム制御部のメモリ上に展開されて実行されるが、それに至るまでの制御プログラムの供給経路は任意であり、あらかじめ各機器のROMやハードディスクなどに格納しておく、ネットワーク経由でダウンロードする、フレキシブルディスク、MO、CD−ROMなどの記憶メディアにより供給する、などの任意の方法でルータおよび端末に供給すればよい。
【0051】
次に、本実施形態の通信制御の詳細につき図3〜図7のフローチャートを参照して説明する。各図の同一アルファベットを付した分岐はそれぞれの位置で連続しているものとする。
【0052】
まず、図3のフローチャートを参照して本実施形態におけるIPアドレスの自動設定制御手順について説明する。以下では、IPアドレスの自動設定の手法は任意であるが、以下ではIPv6に準拠した手法を前提とする。
【0053】
まず、通信端末M(またはマルチファンクション端末、以下省略)をルータBに接続する(ステップS1)。通信端末Mは、ルータ(またはスイッチングハブの場合も含む)に接続されたことを検知し、ルータBにIPアドレスの上位アドレスであるプレフィクスを要求する(ステップS2)。
【0054】
続いて、通信端末からの要求にしたがい、ルータBから通信端末Mにプレフィクスを送信する(ステップS3)。通信端末Mは、このプレフィクスをプレフィクス受信部33で受信し、IPアドレスの上位アドレスを取得する(ステップS4)。また、後述の端末の移動の際の制御のために、少なくともルータBから取得したプレフィクスの部分はメモリ27内のIPアドレス管理テーブル28に格納する(もちろん、下記のようにして生成するIPアドレス全体を格納してもよい)。
【0055】
通信端末MがルータBと接続するインターフェース(図2のルータ接続I/F24)にMACアドレス(Media Access Control Address)を所有している場合(ステップS5)、通信端末MのMACアドレス取得部36で、MACアドレスを取得する(ステップS6)。通常はルータ接続I/F24を構成するネットワークインターフェース(イーサネット(商標名)カードなど)からMACアドレスを取得することができる。
【0056】
続いて、所定の手順(たとえばEUI−64)により、取得したMACアドレスを基にIPアドレスの下位アドレスであるインターフェースIDをインターフェースID生成部35で生成する(ステップS7)。この場合、インターフェースIDは装置固有のIDとなる。
【0057】
以上より、通信端末MのIPアドレス生成部34で、IPアドレスの上位と下位アドレスからグローバルIPアドレスを生成する(ステップS8)。そして通信端末MからルータBに生成したグローバルIPアドレスを送信する(ステップS9)。
【0058】
続いて、通信端末Mの新しいグローバルIPアドレスがルータB下のネットワークfにおいて重複が無いかを確認し(ステップS10)、重複が無ければ通信端末MにグローバルIPアドレスを自動設定する(ステップS11)。
【0059】
以上のように通信端末Mは、自分のIPv6アドレスを自ら作成し、ルータ接続I/F24のアドレスとして設定することができる(いわゆるステートレスアドレス自動設定)。
【0060】
一方、ステップS5で、通信端末MがMACアドレスを所有していない場合、およびステップS10で新グローバルIPアドレスの重複があった場合は、通信端末M固有のIDを所定の手順にしたがい取得する(ステップS12)。ステップS12に続き、DHCPv6(Dynamic Host Configuration Protocol version 6)サーバーと通信を行なうことにより、通信端末MにグローバルIPアドレスを自動設定する(ステップS13)。DHCPv6は一時的に接続する端末に、IPアドレスなど必要な情報を自動的に割り当てるプロトコルであり、DHCPサーバには、ゲートウェイサーバやDNSサーバのIPアドレスや、サブネットマスク、クライアントに割り当ててもよいIPアドレスの範囲などが設定されており、アクセスしてきた端末にこれらの情報を提供する。クライアントが通信を終えると自動的にアドレスを回収し、他の端末に割り当てることができる。DHCPを使うとネットワークの設定に詳しくないユーザでも簡単にインターネットに接続することができ、また、ネットワーク管理者は多くのクライアントを容易に一元管理することができる。このように管理者が明示的に端末にIPv6アドレスを割り当てるステートフルアドレス自動設定を備えることもできる。
【0061】
以上のようなステートフルアドレス自動設定は、ルーターがプレフィクス通知に失敗した場合や、プレフィクスを通知するルーターがネットワーク上にない場合、ルータ接続I/F24が(たとえばモデムなどであり)MACアドレスを有していない場合、そのほか、管理者が何らかの目的で特定の(あるいは特定の範囲の)IPv6アドレスを端末に割り当てたいときに利用することができる。
【0062】
以上のようにして、ユーザやネットワーク管理者は、ネットワーク端末をLANに接続するだけで、そのネットワークのルータとの通信により、あるいはDHCPサーバとの通信により、面倒な設定操作を必要とせず、自機のIPアドレスを設定することができる。
【0063】
次に、ステップS14において、通信端末MをルータBのネットワークfから永久的に取り外すために通信端末Mの操作制御部29からの転送中止命令が入力されたかどうかを判断する。この転送中止命令が入力された場合は、図7のステップS44に進む。
【0064】
次に図3のステップS15以降において行なわれるルータのルーティング情報の自動管理につき説明する。
【0065】
図3のIPアドレスの自動設定の後、ステップS15でルータ管理のデータ保持設定がなされていない場合、通信端末Mを別のルータCのネットワークgに移動して接続する(図4のステップS16)。
【0066】
通信端末Mは、ルータCに接続されたことを検知し、ルータCにIPアドレスの上位アドレスであるプレフィクスを要求する(ステップS17)。
【0067】
続いて、通信端末からの要求にしたがい、ルータCから通信端末にプレフィクスを送信する(ステップS18)。通信端末Mは、ルータCからプレフィクスをプレフィクス受信部33で受信し、IPアドレスの上位アドレスを取得する(ステップS19)。
【0068】
通信端末Mは、前述のステップS7で生成されたIPアドレスの下位アドレスであるインターフェースIDに基づき通信端末MのIPアドレス生成部34で、前述同様にしてグローバルIPアドレスを生成する(ステップS20)。そして通信端末MからルータCに生成したグローバルIPアドレスを送信する(ステップS21)。
【0069】
さらに、通信端末Mは、取得した新しいプレフィクスが、メモリ27内のIPアドレス管理テーブル28に保持されている直前に使用していたプレフィクスと同じであるかを判断する(ステップS22)。今回取得したプレフィクスがメモリ27内のIPアドレス管理テーブル28に記憶されている場合には、以前接続されていた同一ルータのネットワークに復帰したと判断する(ステップS23)。
【0070】
一方、取得した新しいプレフィクスが、メモリ27内のIPアドレス管理テーブル28中の直前のプレフィクスと異なる場合は、さらにルータCにおいて、ルータCのルーティング設定に同じインターフェースIDがあるかが判断される(ステップS24)。ここで、ルータCのルーティング設定に同じインターフェースIDがあれば、後述の図5のステップS30以降の処理が行なわれる。
【0071】
ステップS24で同じインターフェースIDが無い場合(今までに接続されていないルータ下への移動の場合)は、まず、ステップS25において通信端末Mから移動元のルータBに新しいグローバルIPアドレスを送信し、ルータBに対し通信端末M宛の情報の転送を命令する。
【0072】
これにより、ルータBにおいて、ルータBのルーティング設定に同じインターフェースIDがあるか否かが判断され(ステップS26)、同じインターフェースIDが無い場合、ルータBのルーティング設定部17に転送先の新しいIPアドレスが自動的に新規設定される(ステップS27)。
【0073】
なお、ここでルータBに同じインターフェースIDが無い場合は、もともとルータBに接続されていた移動端末でないためルータBで情報が受信されることはまずありえないが、誤って送られてきた場合のためにこのような処理を行っている。したがって、ルータBに同じインターフェースIDがない場合は、転送先の新しいIPアドレスが自動的に新規設定する代わりに、もともとルータBに接続されていた端末でないためルータBが受信した情報を破棄してもよい。
【0074】
また、ステップS26で、ルータBのルーティング設定に同じインターフェースIDがある場合、ルータBのネットワークfにあった移動端末Mが移動したと判断し、ルータBのルーティング設定部17内のルーティングアドレス記憶部18の転送先IPアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換える(ステップS28)。 以上の図4の処理を端末(M)およびルータ(B、C)で行なうことにより、旧アドレス(ルータB下のアドレス)宛てのデータを移動先(ルータC下のアドレス)の通信端末Mへ転送することが可能となる(ステップS29)。
【0075】
次に、図4のステップS24においてルータのルーティング設定に同じインターフェースIDがある場合、つまり、直前ではないが、以前にそのルータ下に接続されていた場合の処理を図5に示す。
【0076】
この場合は、まず、移動先のルータは、通信端末Mがルーティング設定された以前接続されていたルータ下に戻ったと判断し、ルーティングアドレス18のプレフィクスおよびインターフェースIDを削除する(ステップS30)。次に、戻り先のルータから転送先のルータへルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS31)。続いて、戻り先のルータから戻り先の1つ前の転送元ルータへルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS32)。さらに、転送元から転送先へルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS33)。さらに、逆方向も同様に転送先から転送元へルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS34)。
【0077】
以上のように、移動してきた対象ルータを両方向から経由して削除命令を伝送することにより、ルーティングの設定変更を確実に行なうことができる。たとえば、過去に接続されたルータの1つに命令伝送不良が発生しても、逆ルートから伝送されることにより削除命令が全体に伝送される。過去に接続されたルータの1つが両方向から削除命令を受信することにより、不要なルーティング設定が全て削除されたか判断し(ステップS35)、不要なルーティング設定が全て削除された場合、過去に接続されたルータへの戻り時の不要なルーティング設定削除等の処理を完了する(ステップS36)。ステップS35で、不要なルーティング設定が全て削除されていない場合、ステップS33に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0078】
次に、図6を参照して端末移動中のデータ保持手順について説明する。
【0079】
図6の処理は、図3のIPアドレスの自動設定制御手順の後、ルータ管理のデータ保持設定がされている(図3のステップS15)場合に実行される。
【0080】
まず、通信端末Mを現在のルータBのネットワークfから取り外す(ステップS37)と、ルータBは通信端末Mからの応答が無いことを検知する(ステップS38)。これにより、ルータBは応答無しの検知により通信端末Mが自己のネットワークfから外されたと判断し、ルーティングアドレス記憶部18のルーティングテーブルに含まれるルーティングアドレスから通信端末Mを削除する(端末Mへの転送を中止する)。たとえば、通信端末A6から外された通信端末M宛てにデータ送信(ステップS40)すると、ルータBは、送信データのヘッダ情報から宛先アドレスの下位のインターフェースIDが、接続されていたインターフェースIDと一致するかを判断し(ステップS41)、接続されていたインターフェースIDと一致する場合、ルータ管理下のルーティングデータ保持部20に端末Mに転送すべきデータを転送し、格納する(ステップS42)。
【0081】
データ保持部は、必ずしもルータ内に存在する必要はなく、ルータ外のネットワークに接続されていても同様に考えることができる。端末Mが図4のようにして別のルータに接続された後は、前述のようにして移動接続処理後、データ保持部20に格納された旧アドレス宛てのデータを移動先通信端末Mに自動転送する(ステップS29)。
【0082】
一方、ステップS40で接続されていたインターフェースIDと一致しない場合、他の何れのルーティングアドレスにも属さないことを確認し(ステップS43)、旧アドレス宛てのデータ転送を実行せずに処理を終了する(ステップS44)。
【0083】
図6の処理により、ルータ管理下のメモリに受信データを一時的に保管し、その後、通信端末Mが、別のルータのネットワークに接続されると、前述のようにしてIPアドレスの付与と各ルータのルーティング変更が行なわれ、通信端末M宛てに自動的にデータを転送することができる。
【0084】
次に、図7を参照して、本実施形態における通信端末取り外し時の制御手順について説明する。
【0085】
図7の取り外し処理は、図3のステップS14において、通信端末で転送中止命令が入力された場合に実行される。あるいは図6のステップS41において、ネットワークfから端末Mが除去され、ルータBのデータ保持部20へのデータ保持が開始された後でも、再度ルータBに端末Mを接続することにより実行することができる。
【0086】
この状態で、通信端末MをルータBのネットワークfから永久的に取り外すには、通信端末Mの操作制御部29から転送中止命令により転送中止処理を起動する(図7ステップS45)。
【0087】
続いて、通信端末Mのルーティング設定を消去するため、通信端末MからルータBに所定のコマンドを送り、ルータBのルーティング情報からルーティングアドレスのプレフィクスおよびインターフェースIDを削除する(ステップS46)。
【0088】
次に現在の接続ルータへの転送元ルータが存在するかを判断し(ステップS47)、転送元ルータが存在する場合、現在のルータから1つ前の転送元ルータへルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS48)。さらに転送先から転送元へルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS49)。
【0089】
全てのルータのルーティング設定変更を終了した場合(ステップS50)、通信端末Mが、廃棄等により完全に取り外し可能になった旨を通信端末Mの表示部30に表示する(ステップS51)。
【0090】
また、ステップS46で転送元ルータが存在しない場合は、直接ステップS50に移行し、取り外し可能になった旨を通信端末Mの表示部30に直ちに表示する。
【0091】
その後、通信端末Mを現在接続されるルータのネットワークから取り外す(ステップS52)ことができる。このようにして、通信端末Mを完全にネットワークから取り外す場合の制御処理を完了する(ステップS53)。
【0092】
図7の処理により、通信端末(M)において簡単な操作を1度行なうだけで、それまでに当該通信端末までの経路のルータに転送設定がなされている場合はその不要なルーティング設定を削除することができる。ただし、転送設定がなされていないことをユーザが認識している場合は本操作を実行しなくても問題は無い。
【0093】
以上のようにして、本実施形態によれば、IPv6あるいはDHCP(v6)を用いて、面倒な設定操作を行なうことなく、ホスト(通信端末)にプラグアンドプレイにより、IPアドレスを動的に割り当てることができる。
【0094】
さらに、本実施形態によれば、ホストの新設、移動、取り外しなどの際に、ルータのルーティング情報(ルーティングテーブル)を面倒な設定操作を行なうことなく自動的に更新することができ、ネットワーク管理者あるいはユーザの負担を大幅に軽減することができる。
【0095】
さらに、本実施形態によれば、ホスト(通信端末)の移動中にルータ管理下に配置された記憶手段(データ保持部20)にホストの移動中に受信したデータを一時保存し、当該ホストが他のルータに接続、あるいは同一ルータに再接続された場合に当該ホストに対して一時保存しておいたデータを転送するようになっているので、ホストの移動中に送信されたデータが失なわれることがなく、通信の確実性を大きく向上できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、標準的なIPv6におけるアドレス自動設定のみにより、設定されたIPv6アドレスに基づき、通信端末の移動、あるいはさらにその移動が移動先から元にいた位置への戻りかを自ら判定し、転送、転送の中止等を行なうことができる。さらにネットワークから永久的に取り外す場合にも経路上の関連ルータのルーティング停止を確実に行なうことができる。通信端末側の主導によって、ルータの移動、ルーティング情報の管理を行なえ、mobile IPv6など特別な仕組みを用いなくても、標準的なIPv6のアドレス管理の仕組みのみを用いて設置型の端末でも端末の移動、移動した端末への情報の転送、転送の中止などを非常に容易に行なえるようになる。
【0097】
本実施形態では、あるホストが他のネットワークに移動しても、MACアドレスから生成されるインターフェースIDを利用して同一のホストかどうかをルータが判定でき、また、ホストでは、ルータから供給されるプレフィクスが以前と同じか否かを調べることにより容易に他のルータのネットワークに移動したか否かを判定することができ、それに応じてルータへのIPアドレスの報知、ルーティング変更、削除などの命令を送信することができる。すなわち、IPv6の仕様を利用して、容易にネットワーク通信制御を行なうことができる。
【0098】
本実施形態は、ルータのルーティング情報(ルーティングテーブル)を、面倒な設定操作を行なうことなく自動的に管理することができるので、ネットワークの個々のホスト(あるいは他のネットワーク)に対してスタティックなルーティング設定を用いる場合に特に有用である。
【0099】
なお、ホストの新設、移動、取り外しなどの後、ルータのルーティング変更に用いるプロトコルについては、たとえば、適当なソケットAPIなどを用いて行なうことができる。ルータ/ホスト間で授受されるコマンドのデータのフォーマットなどは利用するプロトコルに準じたものを用いる。
【0100】
また、ホストの移動、取り外しなどの際、そのホストまでの経路に存在するルーティング情報の更新の必要なルータを検出する、あるいは、ホストの移動後、ホストが再度接続されたことを報知すべきデータ保持部20に一時的に格納されたルータを検出するためには、ICMP(Internet Control Message Protocol:RFC0792、RFC2463など)、あるいはND(Neighbor Discovery)プロトコル(RFC2461)などを用いることができる。
【0101】
なお、上記実施形態は、便宜上、ホスト(通信端末)とルータを区別して記述したが、周知のようにホスト(通信端末)およびルータのようなネットワークノードの間にはさして大きな相違がない。両者のネットワーク関係のハードウェアには、通常、大きな相違は存在しない。
【0102】
ホストとしてのネットワークノードおよびルータとしてのネットワークノードの間の相違は、ルータとしてのネットワークノードが自己のインターフェースのIPアドレス宛てではないパケットを他のノードに転送(forward)し、ホストとしてのネットワークノードがこのような転送を行なわない点に過ぎない。そして、本発明の通信方法は、ホストとしてのネットワークノード、およびルータとしてのネットワークノードにおいて、自機がルータとして動作すべきかホストとして動作すべきかに応じて、ルータとしての動作ないしホストとしての動作を実行すればよく、また、各ネットワークノードの通信制御プログラムはルータとしての動作ないしホストとしての動作を実行できるもののうち適当な1つ(あるいはその双方とも)が当該ネットワークノードにインストールされていればよい。
【0103】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラムにおいて、IPv6ルータに接続する手段と、IPv6ルータにIPアドレスのプレフィクスを要求する手段と、IPv6ルータから前記プレフィクスを取得する手段と、取得した前記プレフィクスにデバイス固有のインターフェースIDを付加し、IPv6アドレスを生成する手段と、生成された前記IPv6アドレスを前記IPv6ルータに同報する手段と、を有する通信端末が別のIPv6ルータ下に移動した場合、前記通信端末は、移動先のIPv6ルータにIPアドレス上位のプレフィクスを要求し、該IPv6ルータから前記プレフィクスを取得し、前記プレフィクスが移動前のプレフィクスと異なることを判断し、移動元のIPv6ルータに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、一方、移動元のIPv6ルータは、下位のインターフェースIDが前記通信端末と同じ場合、IPv6ルータのルーティングアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、前記旧アドレス宛てのデータを移動先の前記通信端末に転送する構成を採用しているので、端末の移動、新設、廃棄などを容易に行なえ、各ホストがルータを越えて他のネットワークに容易に移動できる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施可能なネットワークシステムの構成を示したブロック図である。
【図2】図1のルータおよびホスト(通信端末)の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図4】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図5】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図6】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図7】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【符号の説明】
1 Internet(or WAN)
2,3,4,5 ルータA,B,C,D
6,7,8,9,10 通信端末
a,b,c,d,e,f,g,h ネットワーク
11 ルータ
12 インターネット接続I/F部
13 通信制御部
14 IPアドレス処理部
15 プレフィクス送信部
16 IPアドレス重複処理部
17 ルーティング設定部
18 ルーティングアドレス記憶部
19 プレフィクス設定部
20 ルーティングデータ保持部
21 端末接続I/F部
22 スイッチングハブ
23 通信端末
24 ルータ接続I/F
25 通信部
26 メモリ制御部
27 メモリ
28 IPアドレス管理テーブル
29 操作制御部
30 表示部
31 IPアドレス処理部
32 プレフィクス要求部
33 プレフィクス受信部
34 IPアドレス生成部
35 インターフェースID生成部
36 MACアドレス取得部
37 IPアドレス送信部
38 システム制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、IPv6に準拠したネットワーク通信を行なう通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IPネットワークを基礎とするインターネット技術が広く普及しつつある。IPネットワークにおいて、現在広く利用されている規格はいわゆるIPv4(IP version 4)であるが、IPv4における多くの問題を解決するものとして、IPv6(IP version 6:下記の非特許文献1〜3を参照)が提案されている。
【0003】
IPv4ネットワークにおける問題の1つとして、機器のIPアドレスの割り当て、あるいは機器の移設に伴なう設定変更の煩雑さが挙げられる。
【0004】
まず、以下では、IPv4ネットワークに接続された端末のアドレス管理に関して説明する。
【0005】
コンピュータ、その他の端末に付与されるIPアドレスは、ネットワークアドレスと、ホストアドレスの組み合わせで決められる。たとえば、ネットワークアドレス172.7.100のネットワークAと、ネットワークアドレス172.7.101のネットワークBがあり、その2つのネットワークがルータXによって接続されているとすると、従来、これらのアドレスは、ネットワークアドレスについては、同じものが存在しないように、また、ホストアドレスについては、1つのネットワーク内では同じものが存在しないように、ネットワーク管理者が設定しなければならない。これはある1つのアドレスがある1つの端末を特定できなければならない必要上、当然のことである。
【0006】
端末に設定されたアドレスは、必要に応じてネットワークどうしを接続するルータのルーティングテーブルに設定される。たとえば、複数のルータが同一ネットワーク内に存在するような場合は、ルータのルーティングテーブルにスタティックにルーティングアドレスを設定する必要があるが、このようなルータのルーティングテーブルの管理も従来ではネットワーク管理者が手動で行なわなければならない。
【0007】
ここで、ネットワークAに属する端末をネットワークBヘ移動させることを考えてみると、以下の手続きがネットワーク管理者によって行われることになる。
【0008】
(1)移動先の場所のネットワークアドレスを求める
(2)移動先のネットワーク内で、使用されていないホストアドレスを探す
(3)上の(1)、(2)により求めたアドレスを端末へ設定する
(4)ネームサーバの管理ファイル上の以前のアドレスについての記述を削除する
(5)ネームサーバの管理ファイルに新しく付与したアドレスを登録する。
【0009】
また、従来のIPv4に準拠するLANシステムでは、各端末が、撚り線対、同軸線、あるいは光ファイバ等の有線伝送路で直接的にバス状、あるいはリング状に接続されてLANを形成していた。また、各LANは、物理層の信号を中継する「リピータ」、MAC層フレームの中継を行なう「ブリッジ」、あるいはネットワーク層のパケットの中継を行なう「ルータ」等の中継装置によって他のLANと相互に接続されていた。なお、個々の端末がLANノードを介して基幹LANに接続される場合もあるが、この場合、LANノードは、端末とLANノードとの間に存在する1つのLANシステムと、複数のLANノードで形成される基幹LANシステムとを相互接続している装置とみなすことができ、機能的には、上述したリピータ、ブリッジ、あるいはルータの何れかに分類される。
【0010】
一般に、LANノードの機能としては、ブリッジがもつフレーム中継機能が適用される。しかしながら、LAN間を接続する場合や、大規模なネットワークでは、MAC層以下のプロトコルが異なる通信情報の中継が可能で、さらにネットワーク全体を複数のサブネットワークに分割して管理できるという利点から、ルータによる接続が一般的である。
【0011】
一方、LAN端末やエンドシステム(以下、本明細書ではこれらの装置を総称して「ホスト」と称する)の多くは、ネットワーク層にインターネットプロトコル(IP)を持っているため、従来のネットワークにおいては、ルータのほとんどは、IPアドレスに基いて受信パケットをルーティングするように構成されている。
【0012】
上記IPアドレスは、IPv4では32ビット長であり、ネットワークを識別するためのネットワーク番号と、個々の端末等を識別するためのホスト番号とから構成される。
【0013】
ルータは、受信パケットに含まれるネットワーク番号が自分のネットワーク番号と一致するか否かを判定し、不一致の場合は、上記受信パケットは、自分が接続されているネットワークとは異なるネットワークに属するホスト宛のものであると判断する。この場合、ルータ内に記憶されているルーティングテーブルから上記受信パケットを中継すべき経路上にある最初のルータ(以下、これを「転送先ルータ」と言う)のIPアドレスを求め、次に、ホストアドレステーブルから上記転送先ルータのIPアドレスと対応するMACアドレスを求め、このMACアドレスを宛先アドレスフィールドに、また、自分のMACアドレスを送信元アドレスフィールドに持つMACフレームを組み立て、これを伝送路に出力する。
【0014】
一方、受信パケットと自分のネットワーク番号が一致した場合は、ホストアドレステーブルから上記受信パケットのIPアドレスと対応するホストのMACアドレスを求め、このMACアドレスを宛先アドレスフィールドに、また、自分のMACアドレスを送信元アドレスフィールドに持つMACフレームを組み立て、これを伝送路に転送する。
【0015】
ルータのルーティング情報は、ネットワーク管理者が手動で設定する場合もあるが、機器の移設、移動などの際の便を考慮して、自動的に設定変更を行なうための技術が種々提案されている。たとえば、携帯端末のようなモバイル機器に関しては、mobile IPv6を利用する技術(下記の特許文献1および2)が知られている。
【0016】
【非特許文献1】
RFC1883 − Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification, http://www.faqs.org/rfcs/rfc1883.html
【非特許文献2】
RFC2461 − Neighbor Discovery for IP Version 6 (IPv6), http://www.faqs.org/rfcs/rfc2461.html
【非特許文献3】
RFC2462 − IPv6 Stateless Address Autoconfiguration, http://www.faqs.org/rfcs/rfc2462.html
【特許文献1】
特開2000−201183号
【特許文献2】
特開2001−197099号
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、IPv4技術では、端末を移動しようとしてもネットワーク管理者が手動で煩雑な設定作業を行わなければならないため、端末の使用者が自由に移動を行なえないという問題があった。
【0018】
たとえば、複数のLANがルータで相互接続されたLANシステムにおいては、何れかのLANに属していたホストをルータを越えて他のLANに移動する、すなわち他のネットワークに接続する場合、それまで有効であった自己のIPアドレスが、ネットワーク部(移動先においてネットワークに割当てられたIPv4上ではネットワーク番号、後述のIPv6上ではグローバルIPアドレス)と一致しなくなるため、上記ホスト宛のパケットが異動後のホストに届かないことになる。
【0019】
このように、移動先のネットワークに対応したIPアドレスをホストに付与するのは、手動設定では難しく、また誤りも多いために、ホストアドレスを自動設定するための技術として、IPv4においてはDHCPプロトコルが提案され、また、IPv6では、いわゆるプラグ・アンド・プレイホストアドレスを自動設定する仕様が最初から含まれることとなった。
【0020】
しかし、DHCPプロトコルや、また、IPv6のプラグ・アンド・プレイ(あるいはDHCPv6)では、設定可能なのは機器のIPアドレスおよびDNSアドレスの設定であり、ルータのルーティング情報などの設定変更は依然としてネットワーク管理者が必要に応じて(たとえば異なるネットワーク間で特定のスタティックルーティングを設定するような場合)手動で行なわなければならない。
【0021】
特に、無線LANのようにホストの移動が頻繁に発生するネットワークシステムでは、ホスト移動の都度、上述したIPアドレスやルーティングテーブルを変更、管理していくことは容易でない。
【0022】
また、モバイル機器に関しては、上述の特許文献1および2などにおいて、携帯型の端末が移動先のサブネットに接続されたとき、mobile IPv6を用いて移動前の携帯端末のアドレスに到着したパケットを移動後のアドレスに転送するシステムが提案されている。しかしながら、このようなシステムの場合、端末はmobile IPv6を利用可能な端末でしか移動情報の管理ができなかった。即ち、設置型の端末の場合には、依然として、移動情報の管理が困難であった。さらに、移動端末の追跡ができるようにするために、移動前のIPアドレスと移動後のIPアドレスを管理する専用のDNSサーバやホームエージェントを利用するとともに、mobile IPv6のようにIPv6をさらに拡張した手法を用いる必要があった。
【0023】
本発明の課題は、上記問題点を解決し、IPv6に代表されるグローバルIPアドレスの取得の機能を用いて、移動端末用のmobile IPv6などの手法やmobile端末専用の移動追跡などの特別な仕組みを用いることなく、通常のIPv6アドレスを用いて設置型の端末の移動、新設、廃棄などを容易に行なえるようにすることにある。
【0024】
また、本発明の他の課題は、IPv6に代表されるグローバルIPアドレスの取得の機能を用いて、ホスト(通信端末、マルチファンクション端末、PCなど)がルータを介して接続されたネットワークにおいて、各ホストがルータを越えて他のネットワークに容易に移動できるようにすることにある。
【0025】
さらに本発明の他の課題は、通信端末およびマルチファンクション端末またはホストがルータを越えて他のネットワークに移動中でも、各ルータ管理下の記憶部を用いて、受信データが破棄されないようにすることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明によれば、IPv6に準拠したネットワーク通信を行なう通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラムにおいて、IPv6ルータに接続する手段と、IPv6ルータにIPアドレスのプレフィクスを要求する手段と、IPv6ルータから前記プレフィクスを取得する手段と、取得した前記プレフィクスにデバイス固有のインターフェースIDを付加し、IPv6アドレスを生成する手段と、生成された前記IPv6アドレスを前記IPv6ルータに同報する手段と、を有する通信端末が別のIPv6ルータ下に移動した場合、前記通信端末は、移動先のIPv6ルータにIPアドレス上位のプレフィクスを要求し、該IPv6ルータから前記プレフィクスを取得し、前記プレフィクスが移動前のプレフィクスと異なることを判断し、移動元のIPv6ルータに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、一方、移動元のIPv6ルータは、下位のインターフェースIDが前記通信端末と同じ場合、IPv6ルータのルーティングアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、前記旧アドレス宛てのデータを移動先の前記通信端末に転送する構成を採用した。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワークシステムの全体構成を示している。図1では、インターネット(またはWAN)1に、ネットワークa〜dが接続されている。インターネット(またはWAN)1とネットワークa〜dの間の経路は省略してあるが、適当なルータやブリッジにより接続されているものとする。
【0029】
ネットワークa〜dにはルータA(2)、ルータB(3)、ルータC(4)、およびルータD(5)が接続されており、これらルータA〜Dは、それぞれネットワークa〜dとセグメントの異なる(異なるネットワーク番号を持つ)ネットワーク(LAN)e、f、g、hの間をルーティングする。
【0030】
ネットワークeには送信側の端末A(6)が、ネットワークfにはマルチファンクション端末M(8)および端末M8のホスト端末である端末(PCなど)B(7)が、ネットワークgにはホスト端末(PCなど)C(9)が、ネットワークhにはホスト端末(PCなど)D(10)が接続されている。
【0031】
本実施形態ではマルチファンクション端末M(8)はたとえばプリンタ、スキャナ、ファクシミリなどの機能を複合した端末であるが、単機能の装置(たとえばプリンタやPC)であっても後述の説明は同様に通用する。マルチファンクション端末Mは、図中の丸数字(以下、文中では2重のかっこにより示す)で示されるように移動される。
【0032】
図1の各端末A〜D、M(以下、図中の参照符号のうち、数字のものは混乱を生じない限り省略する)、ルータA〜DはIPv6の規格を満足するものとし、RFC2462に記載されるようなプラグ・アンド・プレイ手法によりIPアドレスを自動的に割り当てることができる。
【0033】
すなわち、端末M(8)は、最初にルータB3のネットワークfに接続されると、ルータBから自動的にIPアドレスを取得し、端末M8およびルータB3に取得したIPアドレスを設定する。
【0034】
その後、端末M8をルータCのネットワークgに移動し(((1)))、接続すると新しいIPアドレスを同様にルータCから取得する。この時、本実施形態では、前に接続されていたルータBにIPアドレスを送信し、たとえば、端末Aから旧IPアドレス宛てのデータをルータBからルータCを介して端末Mに転送されるようルータBのルーティング情報を自動設定する。
【0035】
さらに、端末M8をルータDのネットワークhに移動し(((2)))、接続すると新しいIPアドレスを前述同様にルータDから取得する。この時、本実施形態では、前に接続されていたルータCにIPアドレスを送信し、ルータCのルーティング情報を自動設定し、たとえば、端末Aから旧IPアドレス宛てのデータをルータB→ルータC→ルータDを介して端末Mに転送されるように制御する。
【0036】
また、たとえば、端末M8を過去に接続されたルータCのネットワークgまたはルータBのネットワークfに戻した場合(((3))、((4)))、本実施形態では上述のルータB、Dの転送設定を解除するともに、経由したルータの不要な転送設定も自動で解除する。
【0037】
また、移動するために端末M8をルータBのネットワークbから取り外した(((5)))場合、本実施形態では、それまでの間にたとえばルータAのネットワークaに接続される端末A6から端末M8宛てにデータが送信されていれば、ルータBが、ルータB管理下のメモリに受信データを一時的に保管する。その後、端末M8が、ルータCのネットワークcに接続されると(((6)))、該接続を検知および通知して、端末M8宛てに自動的に前記データを転送する。
【0038】
以上のようにして、IPv6に代表されるIPアドレスの取得の機能を用い、さらにルータのルーティング情報を自動設定することにより、端末の移動、新設時にかかる手間をなくすことが可能なネットワークシステムを実現することができる。
【0039】
図2は、図1に示したルータ(たとえばB(3))、およびマルチファンクション端末(たとえばM(8))の構成を示している。
【0040】
図2において、ルータ11は、インターネットやWAN(World Area Network)に接続するためのインターネット接続I/F部12、ルータの主な制御であるアドレス配布、パケット中継、フィルタリング、経路制御の役割を統括する通信制御部13を有する。
【0041】
また、ルータ11は、IPアドレスを制御するIPアドレス処理部14を有する。このIPアドレス処理部14はアドレス配布に関わるIPアドレスの上位64ビットを送信するプレフィクス送信部15、プラグアンドプレイの機能の1つであるIPアドレスの重複時の処理を行なうIPアドレス重複処理部16から成る。
【0042】
また、ルータ11はパケット中継、フィルタリングに関する制御を行なうルーティング設定部17を有する。このルーティング設定部17はルーティング情報としてルーティングアドレスを記憶するルーティングアドレス記憶部18、ルーティングアドレスの上位のプレフィクスを設定するプレフィクス設定部19から成る。
【0043】
また、ルータ11は、ルータ11に接続される通信端末またはマルチファンクション端末の移動中の受信データを一時的に格納するルーティングデータ保持部20を有する。さらに、ルータ11は、通信端末およびマルチファンクション端末を接続するための端末接続I/F部21を介して、複数の端末を接続するためのスイッチングハブ22に接続されている。
【0044】
マルチファンクション端末23は次のような部材から構成される。ただし、ここではネットワーク関連部分のみを示しているので、図2に示した構成はマルチファンクション端末のみならず、他の機器(プリンタやPCなど)にも通用するものである。
【0045】
マルチファンクション端末23はルータ接続I/F24を介してスイッチングハブ22〜ルータ11と接続される(ただしハブなしでルータと直結される場合もある)。
【0046】
マルチファンクション端末23は、データおよびアドレスの送受信を制御する通信部25、およびメモリ制御部26を有する。メモリ制御部26は、管理テーブルや受信データを格納するメモリ27、および移動前のIPアドレス等を記憶しておくIPアドレス管理テーブル28を制御する。
【0047】
また、端末23は、本機側で転送中止命令や移動認証等、必要な操作を行なうための操作制御部29、自動および手動設定されたIPアドレス、ルータ等の情報を表示する表示部30を有する。
【0048】
また、端末23は、IPアドレス関連の処理を制御するIPアドレス処理部31を有する。IPアドレス処理部31は次の各部を含む。すなわち、プラグアンドプレイの機能の1つであるIPアドレス取得に関するプレフィクス要求部32、ルータからIPアドレスのプレフィクスを受信するプレフィクス受信部33、端末装置固有のアドレスを取得するMAC(Media Access Control)アドレス取得部36、MACアドレスからグローバルIPアドレスの下位アドレスであるインターフェースIDを生成するインターフェースID生成部35、生成されたインターフェースIDからグローバルIPアドレスを生成するIPアドレス生成部34、前記生成されたグローバルIPアドレスをルータ11または他のルータへ送信するIPアドレス送信部37である。
【0049】
さらに、端末23は、上記の各通信制御、メモリ制御、操作制御、表示制御、IPアドレス制御の全体を統括するシステム制御部38を有する。システム制御部38は、マイクロプロセッサのような制御手段と、その制御プログラムから構成される。
【0050】
前述のルータ11もシステム制御部38と同様のシステム制御部を有するものとし、本発明の方法は、図2のルータおよび端末により実行される。当然ながら、本発明の方法において、ルータの処理はルータ側のシステム制御部により、端末の処理は端末側のシステム制御部によりそれぞれ実行される。ルータおよび端末において、後述の通信制御手順を実現するための制御プログラムはルータおよび端末のシステム制御部のメモリ上に展開されて実行されるが、それに至るまでの制御プログラムの供給経路は任意であり、あらかじめ各機器のROMやハードディスクなどに格納しておく、ネットワーク経由でダウンロードする、フレキシブルディスク、MO、CD−ROMなどの記憶メディアにより供給する、などの任意の方法でルータおよび端末に供給すればよい。
【0051】
次に、本実施形態の通信制御の詳細につき図3〜図7のフローチャートを参照して説明する。各図の同一アルファベットを付した分岐はそれぞれの位置で連続しているものとする。
【0052】
まず、図3のフローチャートを参照して本実施形態におけるIPアドレスの自動設定制御手順について説明する。以下では、IPアドレスの自動設定の手法は任意であるが、以下ではIPv6に準拠した手法を前提とする。
【0053】
まず、通信端末M(またはマルチファンクション端末、以下省略)をルータBに接続する(ステップS1)。通信端末Mは、ルータ(またはスイッチングハブの場合も含む)に接続されたことを検知し、ルータBにIPアドレスの上位アドレスであるプレフィクスを要求する(ステップS2)。
【0054】
続いて、通信端末からの要求にしたがい、ルータBから通信端末Mにプレフィクスを送信する(ステップS3)。通信端末Mは、このプレフィクスをプレフィクス受信部33で受信し、IPアドレスの上位アドレスを取得する(ステップS4)。また、後述の端末の移動の際の制御のために、少なくともルータBから取得したプレフィクスの部分はメモリ27内のIPアドレス管理テーブル28に格納する(もちろん、下記のようにして生成するIPアドレス全体を格納してもよい)。
【0055】
通信端末MがルータBと接続するインターフェース(図2のルータ接続I/F24)にMACアドレス(Media Access Control Address)を所有している場合(ステップS5)、通信端末MのMACアドレス取得部36で、MACアドレスを取得する(ステップS6)。通常はルータ接続I/F24を構成するネットワークインターフェース(イーサネット(商標名)カードなど)からMACアドレスを取得することができる。
【0056】
続いて、所定の手順(たとえばEUI−64)により、取得したMACアドレスを基にIPアドレスの下位アドレスであるインターフェースIDをインターフェースID生成部35で生成する(ステップS7)。この場合、インターフェースIDは装置固有のIDとなる。
【0057】
以上より、通信端末MのIPアドレス生成部34で、IPアドレスの上位と下位アドレスからグローバルIPアドレスを生成する(ステップS8)。そして通信端末MからルータBに生成したグローバルIPアドレスを送信する(ステップS9)。
【0058】
続いて、通信端末Mの新しいグローバルIPアドレスがルータB下のネットワークfにおいて重複が無いかを確認し(ステップS10)、重複が無ければ通信端末MにグローバルIPアドレスを自動設定する(ステップS11)。
【0059】
以上のように通信端末Mは、自分のIPv6アドレスを自ら作成し、ルータ接続I/F24のアドレスとして設定することができる(いわゆるステートレスアドレス自動設定)。
【0060】
一方、ステップS5で、通信端末MがMACアドレスを所有していない場合、およびステップS10で新グローバルIPアドレスの重複があった場合は、通信端末M固有のIDを所定の手順にしたがい取得する(ステップS12)。ステップS12に続き、DHCPv6(Dynamic Host Configuration Protocol version 6)サーバーと通信を行なうことにより、通信端末MにグローバルIPアドレスを自動設定する(ステップS13)。DHCPv6は一時的に接続する端末に、IPアドレスなど必要な情報を自動的に割り当てるプロトコルであり、DHCPサーバには、ゲートウェイサーバやDNSサーバのIPアドレスや、サブネットマスク、クライアントに割り当ててもよいIPアドレスの範囲などが設定されており、アクセスしてきた端末にこれらの情報を提供する。クライアントが通信を終えると自動的にアドレスを回収し、他の端末に割り当てることができる。DHCPを使うとネットワークの設定に詳しくないユーザでも簡単にインターネットに接続することができ、また、ネットワーク管理者は多くのクライアントを容易に一元管理することができる。このように管理者が明示的に端末にIPv6アドレスを割り当てるステートフルアドレス自動設定を備えることもできる。
【0061】
以上のようなステートフルアドレス自動設定は、ルーターがプレフィクス通知に失敗した場合や、プレフィクスを通知するルーターがネットワーク上にない場合、ルータ接続I/F24が(たとえばモデムなどであり)MACアドレスを有していない場合、そのほか、管理者が何らかの目的で特定の(あるいは特定の範囲の)IPv6アドレスを端末に割り当てたいときに利用することができる。
【0062】
以上のようにして、ユーザやネットワーク管理者は、ネットワーク端末をLANに接続するだけで、そのネットワークのルータとの通信により、あるいはDHCPサーバとの通信により、面倒な設定操作を必要とせず、自機のIPアドレスを設定することができる。
【0063】
次に、ステップS14において、通信端末MをルータBのネットワークfから永久的に取り外すために通信端末Mの操作制御部29からの転送中止命令が入力されたかどうかを判断する。この転送中止命令が入力された場合は、図7のステップS44に進む。
【0064】
次に図3のステップS15以降において行なわれるルータのルーティング情報の自動管理につき説明する。
【0065】
図3のIPアドレスの自動設定の後、ステップS15でルータ管理のデータ保持設定がなされていない場合、通信端末Mを別のルータCのネットワークgに移動して接続する(図4のステップS16)。
【0066】
通信端末Mは、ルータCに接続されたことを検知し、ルータCにIPアドレスの上位アドレスであるプレフィクスを要求する(ステップS17)。
【0067】
続いて、通信端末からの要求にしたがい、ルータCから通信端末にプレフィクスを送信する(ステップS18)。通信端末Mは、ルータCからプレフィクスをプレフィクス受信部33で受信し、IPアドレスの上位アドレスを取得する(ステップS19)。
【0068】
通信端末Mは、前述のステップS7で生成されたIPアドレスの下位アドレスであるインターフェースIDに基づき通信端末MのIPアドレス生成部34で、前述同様にしてグローバルIPアドレスを生成する(ステップS20)。そして通信端末MからルータCに生成したグローバルIPアドレスを送信する(ステップS21)。
【0069】
さらに、通信端末Mは、取得した新しいプレフィクスが、メモリ27内のIPアドレス管理テーブル28に保持されている直前に使用していたプレフィクスと同じであるかを判断する(ステップS22)。今回取得したプレフィクスがメモリ27内のIPアドレス管理テーブル28に記憶されている場合には、以前接続されていた同一ルータのネットワークに復帰したと判断する(ステップS23)。
【0070】
一方、取得した新しいプレフィクスが、メモリ27内のIPアドレス管理テーブル28中の直前のプレフィクスと異なる場合は、さらにルータCにおいて、ルータCのルーティング設定に同じインターフェースIDがあるかが判断される(ステップS24)。ここで、ルータCのルーティング設定に同じインターフェースIDがあれば、後述の図5のステップS30以降の処理が行なわれる。
【0071】
ステップS24で同じインターフェースIDが無い場合(今までに接続されていないルータ下への移動の場合)は、まず、ステップS25において通信端末Mから移動元のルータBに新しいグローバルIPアドレスを送信し、ルータBに対し通信端末M宛の情報の転送を命令する。
【0072】
これにより、ルータBにおいて、ルータBのルーティング設定に同じインターフェースIDがあるか否かが判断され(ステップS26)、同じインターフェースIDが無い場合、ルータBのルーティング設定部17に転送先の新しいIPアドレスが自動的に新規設定される(ステップS27)。
【0073】
なお、ここでルータBに同じインターフェースIDが無い場合は、もともとルータBに接続されていた移動端末でないためルータBで情報が受信されることはまずありえないが、誤って送られてきた場合のためにこのような処理を行っている。したがって、ルータBに同じインターフェースIDがない場合は、転送先の新しいIPアドレスが自動的に新規設定する代わりに、もともとルータBに接続されていた端末でないためルータBが受信した情報を破棄してもよい。
【0074】
また、ステップS26で、ルータBのルーティング設定に同じインターフェースIDがある場合、ルータBのネットワークfにあった移動端末Mが移動したと判断し、ルータBのルーティング設定部17内のルーティングアドレス記憶部18の転送先IPアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換える(ステップS28)。 以上の図4の処理を端末(M)およびルータ(B、C)で行なうことにより、旧アドレス(ルータB下のアドレス)宛てのデータを移動先(ルータC下のアドレス)の通信端末Mへ転送することが可能となる(ステップS29)。
【0075】
次に、図4のステップS24においてルータのルーティング設定に同じインターフェースIDがある場合、つまり、直前ではないが、以前にそのルータ下に接続されていた場合の処理を図5に示す。
【0076】
この場合は、まず、移動先のルータは、通信端末Mがルーティング設定された以前接続されていたルータ下に戻ったと判断し、ルーティングアドレス18のプレフィクスおよびインターフェースIDを削除する(ステップS30)。次に、戻り先のルータから転送先のルータへルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS31)。続いて、戻り先のルータから戻り先の1つ前の転送元ルータへルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS32)。さらに、転送元から転送先へルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS33)。さらに、逆方向も同様に転送先から転送元へルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS34)。
【0077】
以上のように、移動してきた対象ルータを両方向から経由して削除命令を伝送することにより、ルーティングの設定変更を確実に行なうことができる。たとえば、過去に接続されたルータの1つに命令伝送不良が発生しても、逆ルートから伝送されることにより削除命令が全体に伝送される。過去に接続されたルータの1つが両方向から削除命令を受信することにより、不要なルーティング設定が全て削除されたか判断し(ステップS35)、不要なルーティング設定が全て削除された場合、過去に接続されたルータへの戻り時の不要なルーティング設定削除等の処理を完了する(ステップS36)。ステップS35で、不要なルーティング設定が全て削除されていない場合、ステップS33に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0078】
次に、図6を参照して端末移動中のデータ保持手順について説明する。
【0079】
図6の処理は、図3のIPアドレスの自動設定制御手順の後、ルータ管理のデータ保持設定がされている(図3のステップS15)場合に実行される。
【0080】
まず、通信端末Mを現在のルータBのネットワークfから取り外す(ステップS37)と、ルータBは通信端末Mからの応答が無いことを検知する(ステップS38)。これにより、ルータBは応答無しの検知により通信端末Mが自己のネットワークfから外されたと判断し、ルーティングアドレス記憶部18のルーティングテーブルに含まれるルーティングアドレスから通信端末Mを削除する(端末Mへの転送を中止する)。たとえば、通信端末A6から外された通信端末M宛てにデータ送信(ステップS40)すると、ルータBは、送信データのヘッダ情報から宛先アドレスの下位のインターフェースIDが、接続されていたインターフェースIDと一致するかを判断し(ステップS41)、接続されていたインターフェースIDと一致する場合、ルータ管理下のルーティングデータ保持部20に端末Mに転送すべきデータを転送し、格納する(ステップS42)。
【0081】
データ保持部は、必ずしもルータ内に存在する必要はなく、ルータ外のネットワークに接続されていても同様に考えることができる。端末Mが図4のようにして別のルータに接続された後は、前述のようにして移動接続処理後、データ保持部20に格納された旧アドレス宛てのデータを移動先通信端末Mに自動転送する(ステップS29)。
【0082】
一方、ステップS40で接続されていたインターフェースIDと一致しない場合、他の何れのルーティングアドレスにも属さないことを確認し(ステップS43)、旧アドレス宛てのデータ転送を実行せずに処理を終了する(ステップS44)。
【0083】
図6の処理により、ルータ管理下のメモリに受信データを一時的に保管し、その後、通信端末Mが、別のルータのネットワークに接続されると、前述のようにしてIPアドレスの付与と各ルータのルーティング変更が行なわれ、通信端末M宛てに自動的にデータを転送することができる。
【0084】
次に、図7を参照して、本実施形態における通信端末取り外し時の制御手順について説明する。
【0085】
図7の取り外し処理は、図3のステップS14において、通信端末で転送中止命令が入力された場合に実行される。あるいは図6のステップS41において、ネットワークfから端末Mが除去され、ルータBのデータ保持部20へのデータ保持が開始された後でも、再度ルータBに端末Mを接続することにより実行することができる。
【0086】
この状態で、通信端末MをルータBのネットワークfから永久的に取り外すには、通信端末Mの操作制御部29から転送中止命令により転送中止処理を起動する(図7ステップS45)。
【0087】
続いて、通信端末Mのルーティング設定を消去するため、通信端末MからルータBに所定のコマンドを送り、ルータBのルーティング情報からルーティングアドレスのプレフィクスおよびインターフェースIDを削除する(ステップS46)。
【0088】
次に現在の接続ルータへの転送元ルータが存在するかを判断し(ステップS47)、転送元ルータが存在する場合、現在のルータから1つ前の転送元ルータへルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS48)。さらに転送先から転送元へルーティングアドレスの削除命令を送信する(ステップS49)。
【0089】
全てのルータのルーティング設定変更を終了した場合(ステップS50)、通信端末Mが、廃棄等により完全に取り外し可能になった旨を通信端末Mの表示部30に表示する(ステップS51)。
【0090】
また、ステップS46で転送元ルータが存在しない場合は、直接ステップS50に移行し、取り外し可能になった旨を通信端末Mの表示部30に直ちに表示する。
【0091】
その後、通信端末Mを現在接続されるルータのネットワークから取り外す(ステップS52)ことができる。このようにして、通信端末Mを完全にネットワークから取り外す場合の制御処理を完了する(ステップS53)。
【0092】
図7の処理により、通信端末(M)において簡単な操作を1度行なうだけで、それまでに当該通信端末までの経路のルータに転送設定がなされている場合はその不要なルーティング設定を削除することができる。ただし、転送設定がなされていないことをユーザが認識している場合は本操作を実行しなくても問題は無い。
【0093】
以上のようにして、本実施形態によれば、IPv6あるいはDHCP(v6)を用いて、面倒な設定操作を行なうことなく、ホスト(通信端末)にプラグアンドプレイにより、IPアドレスを動的に割り当てることができる。
【0094】
さらに、本実施形態によれば、ホストの新設、移動、取り外しなどの際に、ルータのルーティング情報(ルーティングテーブル)を面倒な設定操作を行なうことなく自動的に更新することができ、ネットワーク管理者あるいはユーザの負担を大幅に軽減することができる。
【0095】
さらに、本実施形態によれば、ホスト(通信端末)の移動中にルータ管理下に配置された記憶手段(データ保持部20)にホストの移動中に受信したデータを一時保存し、当該ホストが他のルータに接続、あるいは同一ルータに再接続された場合に当該ホストに対して一時保存しておいたデータを転送するようになっているので、ホストの移動中に送信されたデータが失なわれることがなく、通信の確実性を大きく向上できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、標準的なIPv6におけるアドレス自動設定のみにより、設定されたIPv6アドレスに基づき、通信端末の移動、あるいはさらにその移動が移動先から元にいた位置への戻りかを自ら判定し、転送、転送の中止等を行なうことができる。さらにネットワークから永久的に取り外す場合にも経路上の関連ルータのルーティング停止を確実に行なうことができる。通信端末側の主導によって、ルータの移動、ルーティング情報の管理を行なえ、mobile IPv6など特別な仕組みを用いなくても、標準的なIPv6のアドレス管理の仕組みのみを用いて設置型の端末でも端末の移動、移動した端末への情報の転送、転送の中止などを非常に容易に行なえるようになる。
【0097】
本実施形態では、あるホストが他のネットワークに移動しても、MACアドレスから生成されるインターフェースIDを利用して同一のホストかどうかをルータが判定でき、また、ホストでは、ルータから供給されるプレフィクスが以前と同じか否かを調べることにより容易に他のルータのネットワークに移動したか否かを判定することができ、それに応じてルータへのIPアドレスの報知、ルーティング変更、削除などの命令を送信することができる。すなわち、IPv6の仕様を利用して、容易にネットワーク通信制御を行なうことができる。
【0098】
本実施形態は、ルータのルーティング情報(ルーティングテーブル)を、面倒な設定操作を行なうことなく自動的に管理することができるので、ネットワークの個々のホスト(あるいは他のネットワーク)に対してスタティックなルーティング設定を用いる場合に特に有用である。
【0099】
なお、ホストの新設、移動、取り外しなどの後、ルータのルーティング変更に用いるプロトコルについては、たとえば、適当なソケットAPIなどを用いて行なうことができる。ルータ/ホスト間で授受されるコマンドのデータのフォーマットなどは利用するプロトコルに準じたものを用いる。
【0100】
また、ホストの移動、取り外しなどの際、そのホストまでの経路に存在するルーティング情報の更新の必要なルータを検出する、あるいは、ホストの移動後、ホストが再度接続されたことを報知すべきデータ保持部20に一時的に格納されたルータを検出するためには、ICMP(Internet Control Message Protocol:RFC0792、RFC2463など)、あるいはND(Neighbor Discovery)プロトコル(RFC2461)などを用いることができる。
【0101】
なお、上記実施形態は、便宜上、ホスト(通信端末)とルータを区別して記述したが、周知のようにホスト(通信端末)およびルータのようなネットワークノードの間にはさして大きな相違がない。両者のネットワーク関係のハードウェアには、通常、大きな相違は存在しない。
【0102】
ホストとしてのネットワークノードおよびルータとしてのネットワークノードの間の相違は、ルータとしてのネットワークノードが自己のインターフェースのIPアドレス宛てではないパケットを他のノードに転送(forward)し、ホストとしてのネットワークノードがこのような転送を行なわない点に過ぎない。そして、本発明の通信方法は、ホストとしてのネットワークノード、およびルータとしてのネットワークノードにおいて、自機がルータとして動作すべきかホストとして動作すべきかに応じて、ルータとしての動作ないしホストとしての動作を実行すればよく、また、各ネットワークノードの通信制御プログラムはルータとしての動作ないしホストとしての動作を実行できるもののうち適当な1つ(あるいはその双方とも)が当該ネットワークノードにインストールされていればよい。
【0103】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、通信制御方法、通信端末、ルータ、通信端末の制御プログラム、およびルータの制御プログラムにおいて、IPv6ルータに接続する手段と、IPv6ルータにIPアドレスのプレフィクスを要求する手段と、IPv6ルータから前記プレフィクスを取得する手段と、取得した前記プレフィクスにデバイス固有のインターフェースIDを付加し、IPv6アドレスを生成する手段と、生成された前記IPv6アドレスを前記IPv6ルータに同報する手段と、を有する通信端末が別のIPv6ルータ下に移動した場合、前記通信端末は、移動先のIPv6ルータにIPアドレス上位のプレフィクスを要求し、該IPv6ルータから前記プレフィクスを取得し、前記プレフィクスが移動前のプレフィクスと異なることを判断し、移動元のIPv6ルータに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、一方、移動元のIPv6ルータは、下位のインターフェースIDが前記通信端末と同じ場合、IPv6ルータのルーティングアドレスのプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、前記旧アドレス宛てのデータを移動先の前記通信端末に転送する構成を採用しているので、端末の移動、新設、廃棄などを容易に行なえ、各ホストがルータを越えて他のネットワークに容易に移動できる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施可能なネットワークシステムの構成を示したブロック図である。
【図2】図1のルータおよびホスト(通信端末)の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図4】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図5】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図6】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【図7】本発明によるネットワーク通信制御の流れを示したフローチャート図である。
【符号の説明】
1 Internet(or WAN)
2,3,4,5 ルータA,B,C,D
6,7,8,9,10 通信端末
a,b,c,d,e,f,g,h ネットワーク
11 ルータ
12 インターネット接続I/F部
13 通信制御部
14 IPアドレス処理部
15 プレフィクス送信部
16 IPアドレス重複処理部
17 ルーティング設定部
18 ルーティングアドレス記憶部
19 プレフィクス設定部
20 ルーティングデータ保持部
21 端末接続I/F部
22 スイッチングハブ
23 通信端末
24 ルータ接続I/F
25 通信部
26 メモリ制御部
27 メモリ
28 IPアドレス管理テーブル
29 操作制御部
30 表示部
31 IPアドレス処理部
32 プレフィクス要求部
33 プレフィクス受信部
34 IPアドレス生成部
35 インターフェースID生成部
36 MACアドレス取得部
37 IPアドレス送信部
38 システム制御部
Claims (10)
- IPv6ルータに接続する手段と、IPv6ルータにIPアドレスのプレフィクスを要求する手段と、IPv6ルータから前記プレフィクスを取得する手段と、取得した前記プレフィクスにデバイス固有のインターフェースIDを付加し、IPv6アドレスを生成する手段と、生成された前記IPv6アドレスを前記IPv6ルータに同報する手段と、を有する通信端末が別のIPv6ルータ下に移動した時、
前記通信端末は、移動先のIPv6ルータにIPアドレス上位のプレフィクスを要求し、該IPv6ルータから前記プレフィクスを取得し、
前記プレフィクスが移動前のプレフィクスと異なる場合、移動元のIPv6ルータに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、
一方、移動元のIPv6ルータは、受信したグローバルIPアドレスの下位のインターフェースIDが過去に接続されていた前記通信端末のものと一致した場合、ルーティング情報のプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、前記旧アドレス宛てのデータを移動先の前記通信端末に転送することを特徴とする通信制御方法。 - 前記通信端末が、過去に接続され、既にルーティング設定されたIPv6ルータ下に戻った場合、前記通信端末は、戻り先のIPv6ルータにIPアドレス上位のプレフィクスを要求し、該IPv6ルータから前記プレフィクスを取得し、前記プレフィクスが戻る前のプレフィクスと異なることを判断し、戻り先のIPv6ルータに移動後の新グローバルIPアドレスを送信し、一方、戻り先のIPv6ルータは、ルーティング情報中に、前記新グローバルIPアドレスの下位と同じインターフェースIDが存在する場合、ルーティング設定された元居たIPv6ルータ下に戻ったと判断し、前記ルーティング情報中のプレフィクスおよびインターフェースIDを削除し、同時に戻り先のIPv6ルータから転送先IPv6ルータおよび戻り先の1つ前の転送元IPv6ルータに同様のルーティング情報の削除を行なわせるための削除命令を送信し、さらに転送元から転送先へ、転送先から転送元へと前記削除命令を繰り返し送信することにより全ての不要なルーティング設定を削除することを特徴とする請求項1に記載の通信制御方法。
- 前記通信端末が、接続されていたIPv6ルータから外された場合、前記IPv6ルータは、送信アドレスがルーティング情報に属さず、かつ、前記通信端末の下位のインターフェースIDと一致した時、前記IPv6ルータから外されたまたは移動中と判断し、前記記憶手段に受信データをIPv6ルータ管理下に配置された記憶手段に一時的に記憶することを特徴とする請求項1に記載の通信制御方法。
- 前記通信端末が移動先のIPv6ルータに接続された時、移動元のIPv6ルータは、下位のインターフェースIDが前記通信端末と同じ場合、IPv6ルータのルーティング情報中のプレフィクスを移動先のプレフィクスに書き換え、前記記憶手段に格納された旧アドレス宛てのデータを移動先の前記通信端末に転送することを特徴とする請求項3に記載の通信制御方法。
- 前記通信端末が、接続されていたIPv6ルータから外され、再度、接続されていたIPv6ルータに再接続された時、再接続されたIPv6ルータは、下位のインターフェースIDが前記通信端末と同じ場合、前記記憶手段に格納されたデータを前記通信端末に転送することを特徴とする請求項3に記載の通信制御方法。
- 前記通信端末を接続されていたネットワークから永久的に取り外すために、操作部より転送の中止命令を選択し、接続されるIPv6ルータの1つ前の転送元IPv6ルータにルーティング情報中のプレフィクスおよびインターフェースIDを削除するための削除命令を送信し、さらに転送先から転送元へと前記削除命令を繰り返し送信することにより全ての不要なルーティング設定を削除することを特徴とする請求項1に記載の通信制御方法。
- 前記請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の通信制御方法を実施することを特徴とする通信端末。
- 前記請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の通信制御方法を実施することを特徴とするルータ。
- 前記請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の通信制御方法に基づき通信端末を制御することを特徴とする通信端末の制御プログラム。
- 前記請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の通信制御方法に基づきルータを制御することを特徴とするルータの制御プログラム。
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