JP2004133317A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スキージーローラ51〜53は、感光体11の現像位置16と1次転写位置44との間の現像担持領域に対向配置されており、感光体11上の現像液に接触する接触位置と、その現像液に接触しない離間位置との間で往復移動可能に配設されている。スキージーローラ51〜53は、接触位置において感光体11に従動する方向に感光体11とほぼ等しい周速で回転する。スキージーローラ51〜53は、接触位置に配置されると感光体11から液体キャリアを剥ぎ取る。接触位置に配置するスキージーローラ51〜53の組合せにより液体キャリアの剥離量を調整する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、複写機やファクシミリ装置などの電子写真方式の画像形成技術に係り、特に現像方式として湿式現像を採用した画像形成技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、帯電している感光体(像担持体)を露光手段により露光して当該感光体に静電潜像を形成し、現像手段によりトナーを感光体に付着させて静電潜像を顕像化してトナー像を形成し、このトナー像を転写紙に転写して所定の画像を得るようにした電子写真方式の画像形成装置が実用化されている。ここで、現像手段の現像方式として、液体キャリアにトナーを分散した現像液を用いる湿式現像方式が知られている。この湿式現像方式は、トナーの平均粒子径が0.1〜2μmと小さいので高解像度の画像が得られる、液体のため流動性が高いことから均一な画像が得られる、などの利点を有しているため、種々の画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この装置は、高粘度で高濃度の現像液を用いるものであって、現像後における感光体上の現像液から液体キャリアなどを除去することにより画質を向上するようにしたものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−250319号公報(段落[0021]、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば静電潜像に占める画像部の比率である画占率が高い画像を連続して形成すると感光体上にトナーが多く付着するので、感光体に移動する液体キャリアは少ない。逆に、画占率が低い画像を連続して形成すると感光体上にはトナーが少量しか付着しないため、感光体に移動する液体キャリアは画占率が高い場合に比べて増大する。このように、感光体への液体キャリアの移動量は形成されるトナー像の態様に応じて大きく変動する。
【0005】
ところが、上記従来の特許文献1に記載の装置は、単に、一定量の液体キャリアを感光体上から除去する構成を備えているに過ぎず、感光体上の液体キャリア量の変動に対応することはできない。その結果、例えば感光体上の液体キャリア量が増大した場合には、液体キャリアが無駄に消費される虞が生じる。また、感光体上の液体キャリア量の変動により転写媒体への転写条件が変動してしまい、好適な転写が困難になることも考えられる。従って、良好な画像品質を得るためには、感光体上の現像液に含まれる液体キャリア量を調整することが重要な制御要素の一つとなっている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、液体キャリアが無駄に消費されるのを未然に防止しつつ、良好なトナー像を形成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、その表面に静電潜像を担持可能に構成された像担持体と、液体キャリアにトナーを分散した現像液を、その表面に担持しながら前記像担持体と対向する現像位置に搬送し、当該現像位置において前記像担持体に接触させることで前記像担持体に供給する現像液担持体と、前記現像液担持体から前記像担持体に供給される現像液中のトナーを前記像担持体に付着させ、前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する像形成手段と、前記現像液担持体から前記像担持体に供給された現像液に含まれる液体キャリアを前記像担持体から剥離する剥離動作を実行可能な複数の剥離機構とを備え、前記複数の剥離機構のうちで剥離動作を行わせる剥離機構の組合せを制御することにより液体キャリアの剥離量を調整することを特徴としている。
【0008】
この構成によれば、液体キャリアにトナーを分散した現像液が、現像液担持体により像担持体と対向する現像位置に搬送され、当該現像位置において像担持体に接触して像担持体に供給され、その供給された現像液中のトナーが像担持体に付着することにより、静電潜像が顕像化されてトナー像が形成される。ここで、現像液担持体から像担持体に供給された現像液に含まれる液体キャリアを像担持体から剥離する剥離動作を実行可能な複数の剥離機構のうちで、剥離動作を行わせる剥離機構の組合せが制御されることにより、液体キャリアの剥離量の調整を確実に行えることとなる。これによって、液体キャリアが無駄に消費されるのを未然に防止できるとともに、良好なトナー像を形成することができる。
【0009】
また、前記複数の剥離機構は、前記像担持体による現像液の搬送方向に互いに並んで設けられているとすると、剥離動作を行わせる剥離機構の組合せの制御、例えば剥離動作を行わせる剥離機構の個数の増減により、液体キャリアの剥離量の調整を容易、かつ確実に行うことができる。
【0010】
また、前記複数の剥離機構のうち少なくとも1つは、前記像担持体上の現像液に接触する接触位置と、前記像担持体上の現像液に接触しない離間位置との間で移動可能に構成されているとすると、その移動可能に構成された剥離機構を接触位置に移動させると剥離動作を行い、離間位置に移動させると剥離動作を行わないことから、その移動可能に構成された剥離機構の位置制御によって、液体キャリアの剥離量の調整を容易、かつ確実に行うことができる。
【0011】
また、前記現像液を貯留する容器と、前記剥離機構が剥離した液体キャリアを当該剥離機構から除去するクリーニング部材とをさらに備え、前記クリーニング部材により除去された液体キャリアを前記容器に戻すように構成すると、剥離機構により剥離された液体キャリアが当該剥離機構から除去されて容器に戻されることにより、液体キャリアを有効に利用することができる。
【0012】
また、前記クリーニング部材は、前記剥離機構に当接して前記液体キャリアを当該剥離機構から掻き取るもので、前記容器の開口が前記クリーニング部材の前記剥離機構への当接位置の下方に延設されており、前記クリーニング部材により除去された液体キャリアが自重で前記容器に戻るように構成してもよい。
【0013】
この構成によれば、クリーニング部材により剥離機構から剥離された液体キャリアは、現像液を貯留する容器に自重で戻るように構成されていることから、別途、回収用のタンクを設けたり、その回収用タンクから上記容器に液体キャリアを戻すためのパイプを設ける必要がなく、装置構成の簡素化および装置本体の小型化を図ることができる。
【0014】
また、前記像担持体上のトナー像を転写媒体に転写する転写手段をさらに備え、前記複数の剥離機構は、それぞれ前記転写媒体への転写前に前記剥離動作が実行可能であるとすると、転写媒体への転写後における像担持体上または転写媒体上に比べて、現像液に含まれる液体キャリア量が多いことから、多くの液体キャリアを剥離することができ、これによって、剥離量の調整幅を広くすることが可能になる。
【0015】
この場合において、前記剥離機構による液体キャリアの剥離後に前記像担持体上に残る現像液のトナー濃度が所定値に近づくように前記剥離量を調整するようにすると、転写媒体への転写時における現像液のトナー濃度が常に所定値に近い値に維持されることから、常にほぼ同一の転写条件で転写を行うことができ、転写トナー像を高品質で形成することができる。
【0016】
また、前記現像液を貯留する容器をさらに備え、前記剥離機構により剥離された液体キャリアを前記容器に戻すように構成するとともに、前記剥離機構による液体キャリアの剥離後に前記像担持体上に残る現像液のトナー濃度が前記容器に貯留される現像液のトナー濃度の初期値に近づくように前記剥離量を調整するとしてもよい。
【0017】
この構成によれば、剥離機構による液体キャリアの剥離後に像担持体上に残る現像液のトナー濃度が、容器に貯留される現像液のトナー濃度の初期値に近づくように剥離量が調整されて、その剥離された液体キャリアの全てが容器に戻される。例えば、像担持体上の現像液のトナー濃度が高いとき、すなわち容器から搬出される液体キャリアが少ないときは、容器に戻される液体キャリア量が低下またはゼロとされる。一方、上記トナー濃度が低いとき、すなわち容器から搬出される液体キャリアが多いときは、容器に戻される液体キャリア量が増加する。これによって、容器に貯留される現像液のトナー濃度を初期値に近い値に維持することができ、容器の現像液を有効に利用でき、容器へのトナーまたは液体キャリアの補充を必要最小限にすることができる。
【0018】
また、前記現像液を貯留する容器と、前記容器に貯留される現像液のトナー濃度を検出する濃度検出手段とをさらに備え、前記剥離機構により剥離された液体キャリアを前記容器に戻すように構成するとともに、前記濃度検出手段により検出されたトナー濃度が前記容器に貯留される現像液のトナー濃度の初期値に近づくように前記剥離量を調整するとしてもよい。
【0019】
この構成によれば、容器に貯留される現像液のトナー濃度が検出され、その検出されたトナー濃度が、容器に貯留される現像液のトナー濃度の初期値に近づくように、液体キャリアの剥離量が調整されて、その剥離された液体キャリアの全てが容器に戻される。すなわち容器の現像液のトナー濃度が初期値に比べて高いときは、容器に戻される液体キャリア量が増加され、上記トナー濃度が低いときは、容器に戻される液体キャリア量が低下またはゼロとされる。これによって、容器に貯留される現像液のトナー濃度を初期値に近い値に維持することができ、容器の現像液を有効に利用でき、容器へのトナーまたは液体キャリアの補充を必要最小限にすることができる。
【0020】
また、前記静電潜像に占める画像部の比率を画占率として求める手段をさらに備え、前記画占率に応じて前記剥離量を調整するようにすると、画占率は像担持体上の現像液中のトナー濃度に応じた値となることから、トナー濃度検出を行うことなく簡易に、上記トナー濃度に応じた剥離量の調整を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る画像形成装置の一実施形態であるプリンタの内部構成を示す図、図2は図1の要部拡大図、図3は同プリンタの電気的構成を示すブロック図である。このプリンタは、ブラック(K)のトナーを含む現像液を用いて単色画像を形成する湿式現像方式の画像形成装置であり、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号を含む印字指令信号が主制御部100に与えられると、この主制御部100からの制御信号に応じてエンジン制御部110がエンジン部1の各部を制御して、装置本体2の下部に配設された給紙カセット3から搬送した転写紙、複写紙および用紙(以下「転写紙」という)4に上記画像信号に対応する画像を印字出力する。
【0022】
上記エンジン部1は、感光体ユニット10、露光ユニット20、現像ユニット30、転写ユニット40などを備えている。これらのユニットのうち、感光体ユニット10は感光体11、帯電部12、除電部13およびクリーニング部14を備えている。また、現像ユニット30は現像ローラ31などを備えている。さらに、転写ユニット40は中間転写ローラ41などを備えている。
【0023】
感光体ユニット10では、感光体11が図1の矢印方向15(図中、時計回り方向)に回転自在に設けられている。そして、この感光体11の周りには、その回転方向15に沿って、帯電部12、現像ローラ31、スキージーローラ51,52,53(後述)、中間転写ローラ41、除電部13およびクリーニング部14が配設されている。また、帯電部12と現像ローラ31との間の表面領域が露光ユニット20からの光ビーム21の照射領域となっている。帯電部12は、本実施形態では帯電ローラからなり、帯電バイアス発生部111から帯電バイアスが印加されて、感光体11の外周面を所定の表面電位Vd(例えばVd=DC+600V)に均一に帯電するもので、帯電手段としての機能を有する。
【0024】
この帯電部12によって均一に帯電された感光体11の外周面に向けて露光ユニット20から例えばレーザで形成される光ビーム21が照射される。この露光ユニット20は、露光制御部112から与えられる制御指令に応じて光ビーム21により感光体11を露光して、感光体11上に画像信号に対応する静電潜像を形成するもので、露光手段としての機能を有する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース102を介して主制御部100のCPU101に画像信号を含む印字指令信号が与えられると、主制御部100のCPU101からの指令に応じてCPU113が露光制御部112に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力する。そして、この露光制御部112からの制御指令に応じて露光ユニット20から光ビーム21が感光体11に照射されて、画像信号に対応する静電潜像が感光体11上に形成される。このように、この実施形態では、感光体11が本発明の「像担持体」に相当する。
【0025】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット30の現像ローラ31から供給されるトナーによって顕像化される。現像ユニット30は、現像ローラ31に加えて、現像液32を貯留するタンク33、タンク33に貯留された現像液32を汲み上げて現像ローラ31に塗布位置34aで塗布する塗布ローラ34、塗布ローラ34上の現像液層の厚さを均一に規制する規制ブレード35、感光体11へのトナー供給後に現像ローラ31上に残留した現像液を除去するクリーニングブレード36および後述するメモリ37(図3)を備えている。現像ローラ31は感光体11に従動する方向(図1中、反時計回り)に感光体11とほぼ等しい周速で回転する。塗布ローラ34は現像ローラ31と同一方向(同図中、反時計回り)に約2倍の周速で回転する。
【0026】
現像液32は、本実施形態では、着色顔料、この着色顔料を接着するエポキシ樹脂などの接着剤、トナーに所定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料を均一に分散させる分散剤等からなるトナーが、液体キャリア中に分散されてなる。本実施形態では、液体キャリアとして例えばポリジメチルシロキサンオイルなどのシリコーンオイルを用いており、トナー濃度を5〜40重量%として、湿式現像方式で多く用いられる低濃度現像液(トナー濃度が1〜2重量%)に比べて高濃度にしている。なお、液体キャリアの種類はシリコーンオイルに限定されるものではなく、また、現像液32の粘度は、使用する液体キャリアやトナーを構成する各材料、トナー濃度などによって決まるが、本実施形態では、例えば粘度を50〜6000mPa・sとしている。
【0027】
感光体11と現像ローラ31との間隔(現像ギャップ=現像液層の厚さ)は、本実施形態では例えば5〜40μmに設定し、現像ニップ距離(現像液層が感光体11および現像ローラ31の双方に接触している周方向の距離)は、本実施形態では例えば5mmに設定している。上述した低濃度現像液の場合にはトナー量を稼ぐべく100〜200μmの現像ギャップを必要とするのに比べて、高濃度現像液を用いる本実施形態では現像ギャップを短縮することができる。従って、現像液中を電気泳動によって移動するトナーの移動距離が短縮するとともに、同一の現像バイアスを印加してもより高い電界が発生するので、現像効率を向上することができ、現像を高速に行えることとなる。
【0028】
このような構成の現像ユニット30において、タンク33に貯留された現像液32が塗布ローラ34により汲み上げられ、規制ブレード35により塗布ローラ34上の現像液層の厚さが均一に規制され、この均一な現像液32が現像ローラ31の表面に付着し、現像ローラ31の回転に伴って感光体11に対向する現像位置16に搬送される。現像液中のトナーは、荷電制御剤などの作用によって例えば正に帯電している。
【0029】
そして、現像位置16において現像ローラ31に担持されている現像液が現像ローラ31から供給されて感光体11に付着し、現像バイアス発生部114から現像ローラ31に印加される現像バイアスVb(例えばVb=DC+400V)によってトナーが現像液中を現像ローラ31から感光体11に移動して、静電潜像が顕像化される。また、感光体11に付着せずに現像ローラ31上に残った現像液は、クリーニングブレード36により掻き落とされ、自重でタンク33に戻る。このように、この実施形態では、現像ローラ31が本発明の「現像液担持体」に相当し、タンク33が本発明の「容器」に相当する。
【0030】
上記のようにして感光体11上に形成されたトナー像は、感光体11の回転に伴って中間転写ローラ41に対向する1次転写位置44に搬送される。中間転写ローラ41は感光体11に従動する方向(図1中、反時計回り)に感光体11とほぼ等しい周速で回転しており、転写バイアス発生部115から1次転写バイアス(例えばDC−400V)が印加されると、感光体11上のトナー像が中間転写ローラ41(転写媒体)に1次転写される。1次転写後における感光体11上の残留電荷はLEDなどからなる除電部13により除去され、残留現像液はクリーニング部14により除去される。
【0031】
中間転写ローラ41の適所(図1では中間転写ローラ41の鉛直下方)に2次転写ローラ42が対向配置されており、中間転写ローラ41に1次転写された1次転写トナー像は中間転写ローラ41の回転に伴って2次転写ローラ42に対向する2次転写位置45に搬送される。一方、給紙カセット3に収容されている転写紙4は、1次転写トナー像の搬送に同期して搬送駆動部(図示省略)により2次転写位置45に搬送される。そして、2次転写ローラ42は中間転写ローラ41に従動する方向(図1中、時計回り)に中間転写ローラ41と等しい周速で回転しており、転写バイアス発生部115から2次転写バイアス(例えば定電流制御で−100μA)が印加されると、中間転写ローラ41上のトナー像が転写紙4に2次転写される。2次転写後における中間転写ローラ41上の残留現像液はクリーニング部43により除去される。こうしてトナー像が2次転写された転写紙4は、所定の転写紙搬送経路5(図1中、一点鎖線)に沿って搬送され、定着ユニット6によってトナー像が定着され、装置本体2の上部に設けられた排出トレイに排出される。また、装置本体2の上面には、例えば液晶ディスプレイおよびタッチパネルからなる操作表示パネル7が配設されており、使用者による操作指示を受け付けるとともに、所定の情報を表示して使用者に報知する。このように、この実施形態では、転写バイアス発生部115が本発明の「転写手段」に相当する。
【0032】
次に、スキージーローラ51,52,53の構成について説明する。スキージーローラ51,52,53は、感光体11上の現像位置16と1次転写位置44との間、すなわちトナー像が担持されている現像担持領域に、回転方向(現像液の搬送方向)15に並んで対向配置されている。スキージーローラ51,52,53は、それぞれ、感光体11に対して接離方向に移動可能に支持されている。すなわち、例えばソレノイドまたはモータなどからなるアクチュエータ61,62,63(図3)が接離駆動部118(図3)によって駆動されると、スキージーローラ51,52,53は、それぞれ、接触位置(図1中、実線)と離間位置(図1中、破線)との間で往復移動する。接触位置は、感光体11上に担持されている現像液にスキージーローラ51,52,53が接触する位置であり、離間位置は、上記現像液にスキージーローラ51,52,53が接触しない位置である。
【0033】
また、スキージーローラ51,52,53は、接触位置においてローラ駆動モータ64(図3)がモータ駆動部119(図3)によって回転駆動されると、感光体11に従動する方向(図1中、反時計回り)に感光体11とほぼ等しい周速で回転する。スキージーローラ51,52,53は、接触位置に配置されて感光体11の表面に担持されている現像液32の表層の液体キャリアに接触することにより感光体11から液体キャリアを剥ぎ取るものである。
【0034】
図2に示すように、スキージーローラ51,52,53にはクリーニングブレード54が当接しており、スキージーローラ51,52,53により感光体11から剥ぎ取られた液体キャリアは、それぞれクリーニングブレード54により掻き取られてスキージーローラ51,52,53から除去される。ここで、タンク33の開口は、各クリーニングブレード54のスキージーローラ51,52,53への当接位置の下方まで延設されている。これによって、クリーニングブレード54によりスキージーローラ51〜53から除去された液体キャリアは、自重でタンク33に戻される。
【0035】
なお、本実施形態では、除去された液体キャリアを自重でタンク33に戻すように構成しているが、これに限られず、除去された液体キャリアを受ける受け皿、この受け皿とタンク33とを連通する回収用パイプおよびポンプを備え、このポンプを駆動して液体キャリアを強制的にタンク33に戻すように構成してもよい。スキージーローラ51,52,53による液体キャリアの剥ぎ取り動作については後に詳述する。
【0036】
図3において、主制御部100は、インターフェース102を介して外部装置から与えられた画像信号を記憶するための画像メモリ103を備えており、CPU101は、外部装置から画像信号を含む印字指令信号をインターフェース102を介して受信すると、エンジン部1の動作指示に適した形式のジョブデータに変換し、エンジン制御部110に送出する。
【0037】
エンジン制御部110のメモリ116は、予め設定された固定データを含むCPU113の制御プログラムを記憶するROMや、エンジン部1の制御データやCPU113による演算結果などを一時的に記憶するRAMなどからなる。CPU113はCPU101を介して外部装置から送られた画像信号に関するデータをメモリ116に格納する。
【0038】
現像ユニット30のメモリ37は、当該現像ユニット30の製造ロット、使用履歴、内蔵トナーの特性、現像液32の残量やトナー濃度などに関するデータを記憶するものである。このメモリ37は通信部38と電気的に接続されており、通信部38は例えばタンク33に取り付けられている。そして、現像ユニット30が装置本体2に装着されると、通信部38がエンジン制御部110の通信部117と所定距離以内、例えば10mm以内に対向配置されるように構成されており、赤外線などの無線通信により互いに非接触状態でデータを送受信可能となっている。これによって、CPU113により現像ユニット30に関する消耗品管理等の各種情報の管理が行われる。
【0039】
なお、この実施形態では無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受信を行うようにしているが、例えば装置本体2および現像ユニット30にそれぞれコネクタを設けておき、装置本体2に現像ユニット30を装着すると、両コネクタが機械的に嵌合することで相互にデータ送受信を行うようにしてもよい。また、メモリ37は、電源オフ状態や現像ユニット30が装置本体2から取り外された状態でもそのデータを保存できる不揮発性メモリであることが望ましく、このような不揮発性メモリとしては、例えばフラッシュメモリなどのEEPROMや強誘電体メモリなどを用いることができる。
【0040】
図4はスキージーローラ51による感光体11からの液体キャリアの剥ぎ取り動作を説明する図である。同図において、領域A、すなわち感光体11の回転方向15におけるスキージーローラ51の上流側では、現像ローラ31(図1)から現像液32が供給されて感光体11に付着するとともに、現像バイアスVbにより液体キャリア321中をトナー322が移動して感光体11に付着し、トナー像(図4では黒べた画像)が形成されている。なお、トナー322の厚さをt1、液体キャリア321の厚さをt2としている。すなわち、感光体11上の現像液32の厚さは(t1+t2)となる。
【0041】
そして、接触位置に配置されたスキージーローラ51と感光体11との間で感光体11上の現像液32がニップされ、現像液32の表層の液体キャリア321がスキージーローラ51に接触して付着する。さらにスキージーローラ51および感光体11が回転すると、液体キャリア321層のほぼ中央で分離する。すなわち、感光体11に残る液体キャリア321の厚さと、スキージーローラ51に移動する液体キャリア321の厚さとは、いずれも約t2/2となる。
【0042】
このようにして、液体キャリア321の一部がスキージーローラ51により感光体11から剥ぎ取られることとなる。この実施形態では、3個のスキージーローラ51〜53を備え、それぞれ、接触位置と離間位置とに移動可能に構成しており、CPU113によって、各スキージーローラ51〜53の位置制御が行われる。そして、接触位置に配置するスキージーローラ51〜53の組合せを制御することにより液体キャリア321の剥離量が調整されることとなる。このように、本実施形態では、スキージーローラ51〜53が、それぞれ本発明の「剥離機構」に相当する。
【0043】
図5〜図8は画占率と液体キャリアの剥離量との関係を説明する図で、各図の(A)は感光体11上のトナー像を示し、(B)、(C)、(D)はそれぞれスキージーローラ51,52,53の配置位置を示している。なお、図5〜図8では、図1と同様に、接触位置のスキージーローラを実線で示し、離間位置のスキージーローラを破線で示している。また、説明の便宜上、感光体11を平板状にしている。
【0044】
画占率は静電潜像に占める画像部の比率である。主制御部100(図3)は、例えば静電潜像を構成する画素のうちでトナーが付着するオンドット数をカウントするドットカウンタを備えており、画像全体のドット数に対するオンドット数の比率を画占率として求める機能を有している。例えば黒べた画像の画占率は100%になり、画像のうち白べたの部分(画像の空白部分)の画占率は0%になる。なお、主制御部100に代えてエンジン制御部110(図3)が上記ドットカウンタを備えるようにしてもよい。
【0045】
ここで、本実施形態では、上述したように、タンク33の現像液32は、5〜40重量%の高濃度現像液を用いているが、その範囲に含まれる値として、現像液32のトナー濃度を例えば20体積%(トナー濃度の初期値)とする。また、図4において、現像により感光体11に付着するトナー322の厚さt1=2μmとし、液体キャリア321の厚さt2=8μmとする。すなわち、感光体11上の現像液32の厚さ(t1+t2)=10μmになる。
【0046】
図5は同図(A)に示すように画占率が100%(黒べた画像)の場合である。この場合には、感光体11上の現像液32のトナー濃度は20体積%で、タンク33のトナー濃度の初期値と等しくなる。そこで、同図(B)〜(D)に示すように、スキージーローラ51〜53を全て離間位置に配置することにより、液体キャリア321を剥離しないこととする。すなわち、液体キャリア321の剥離量を0としている。これによって、感光体11上の現像液32が全て消費されることになるが、この消費される現像液のトナー濃度がタンク33の現像液32のトナー濃度の初期値に等しいので、タンク33のトナー濃度は初期値の20体積%に維持される。
【0047】
図6は同図(A)に示すように画占率が50%の場合である。この場合には、感光体11上の現像液32のトナー濃度は10体積%であり、t1=2μm、t2=8μmではあるが、平均的には、トナー322の厚さが1μm、液体キャリア321の厚さが9μmとなる。従って、図5の場合に比べてより多くの液体キャリアが感光体11に移動している。
【0048】
そこで、同図(B)に示すように、スキージーローラ51を接触位置に配置すると、表層の液体キャリア321の約半分が剥ぎ取られる。その結果、領域B、すなわち感光体11上に残る液体キャリア321の平均的な厚さは約4.5μmとなる。従って、領域Bでの現像液32のトナー濃度は約18体積%となり、タンク33のトナー濃度にほぼ等しくなる。
【0049】
そして、同図(C)、(D)に示すように、スキージーローラ52,53を離間位置に配置しておくことにより、感光体11上に残る現像液32のトナー濃度は約18体積%が維持される。また、タンク33のトナー濃度は、多くの液体キャリア321が感光体11に移動した時点で上昇していたが、スキージーローラ51により剥ぎ取られた液体キャリア321がタンク33に戻されることにより、低下して初期値である20体積%に近づくこととなる。
【0050】
図7は同図(A)に示すように画占率が20%の場合である。この場合には、感光体11上の現像液32のトナー濃度は4体積%であり、t1=2μm、t2=8μmではあるが、平均的には、トナー322の厚さが0.4μm、液体キャリア321の厚さが9.6μmとなる。従って、図6の場合に比べてさらにより多くの液体キャリアが感光体11に移動している。
【0051】
そこで、同図(B)に示すように、スキージーローラ51を接触位置に配置すると、表層の液体キャリア321の約半分が剥ぎ取られる。その結果、感光体11上に残る領域Bの液体キャリア321の平均的な厚さは約4.8μmとなり、領域Bでの現像液32のトナー濃度は約7.7体積%となる。さらに、同図(C)に示すように、スキージーローラ52を接触位置に配置すると、表層の液体キャリア321の約半分が剥ぎ取られる。その結果、感光体11上に残る領域Cの液体キャリア321の平均的な厚さは約2.4μmとなる。従って、領域Cでの現像液32のトナー濃度は約14体積%となり、タンク33のトナー濃度に近づく。なお、同図(D)に示すように、スキージーローラ53は離間位置に配置して液体キャリア321を剥ぎ取らない。これは、これ以上液体キャリア321を剥ぎ取ると、感光体11上のトナー像に悪影響を及ぼす虞があるためである。
【0052】
これによって、感光体11上に残る現像液32のトナー濃度は約14体積%となる。また、タンク33のトナー濃度は、多くの液体キャリア321が感光体11に移動した時点で上昇していたが、スキージーローラ51,52により剥ぎ取られた液体キャリア321がタンク33に戻されることにより、低下して初期値である20体積%に近づくこととなる。
【0053】
図8は同図(A)に示すように画占率が0%(白べた画像)の場合である。この場合には、感光体11上の現像液32のトナー濃度は0体積%で、液体キャリア321のみが消費され、タンク33のトナー濃度が上昇する。そこで、同図(B)〜(D)に示すように、スキージーローラ51〜53を全て接触位置に配置することにより、それぞれ液体キャリア321を剥離する。これによって、スキージーローラ51によって剥ぎ取られた後の領域Bでの厚さは約5μmになり、スキージーローラ52によって剥ぎ取られた後の領域Cでの厚さは約2.5μmになり、スキージーローラ53によって剥ぎ取られた後の領域Dでの厚さは約1.25μmになる。そして、各スキージーローラ51〜53により剥ぎ取られた液体キャリア321がタンク33に戻されることにより、タンク33のトナー濃度の上昇が抑制されることとなる。
【0054】
図9は剥離量調整処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。エンジン制御部110のメモリ116には予め液体キャリアの剥離量調整処理プログラムが記憶されている。そして、CPU113が該プログラムにしたがって装置各部を制御することで、以下の剥離量調整処理が実行される。
【0055】
まず、静電潜像に占める画像部の比率である画占率P(%)を求め(#10)、求められた画占率のレベルを判別する。すなわち、55<Pか否かが判別され(#12)、P≦55であれば(#12でNO)、30<P≦55か否かが判別され(#14)、P≦30であれば(#14でNO)、0<P≦30か否かが判別される(#16)。そして、#16でNOであればP=0であるので、図8で説明したように、スキージーローラ51〜53を全て接触位置に移動させる(#18)。
【0056】
また、55<Pであれば(#12でYES)、感光体11上のトナー濃度が高いので、図5で説明したように、スキージーローラ51〜53を全て離間位置に配置したままで、このルーチンを終了する。また、30<P≦55であれば(#14でYES)、感光体11上のトナー濃度が中程度であるので、図6で説明したように、例えばスキージーローラ51を接触位置に移動させる(#20)。この移動は1個であればよく、スキージーローラ51に代えて、スキージーローラ52または53を移動させてもよい。
【0057】
また、0<P≦30であれば(#16でYES)、感光体11上のトナー濃度が低いので、図7で説明したように、例えばスキージーローラ51,52を接触位置に移動させる(#22)。この移動は2個であればよく、スキージーローラ51,53またはスキージーローラ52,53を移動させてもよい。なお、ステップ#12,#14,#16での画占率のレベルを判別するのに用いた閾値は一例であり、他の値を用いてもよい。
【0058】
図10は剥離量調整処理ルーチンの別の例を示すフローチャートである。この動作の場合には、図3に破線で示すように、現像ユニット30は粘度計39を備えている。粘度計39はタンク33内に配設されており、この粘度計39によって検出された現像液32の粘度に基づきCPU113によりトナー濃度が求められる。なお、粘度計39に代えて、例えば透過型光センサからなる濃度センサをタンク33内に配設し、直接、タンク33内の現像液32のトナー濃度を検出するようにしてもよい。このように、この形態では、粘度計39が本発明の「濃度検出手段」に相当する。
【0059】
まず、粘度計39からの検出信号に基づきタンク33内の現像液32のトナー濃度N(%)を求める(#30)。ここで、粘度計39により検出される現像液32の粘度とトナー濃度との関係が演算式またはテーブルデータ形式で予め求められてメモリ116に格納されたプログラムに含まれており、上記関係に基づき#30のトナー濃度を求める処理が実行される。
【0060】
そして、求めたトナー濃度がN1<Nか否かが判別され(#32)、N≦N1であれば(#32でNO)、N0<N≦N1か否かが判別され(#34)、N≦N0であれば(#32でNO)、トナー濃度が低下しているので液体キャリアの剥離は行わずに、このルーチンを終了する。なお、N0はタンク33内の現像液32のトナー濃度の初期値であり、N1は予め実験などによって求められたN0<N1となる値である。
【0061】
一方、N1<Nであれば(#32でYES)、トナー濃度が大幅に上昇しているので、図7で説明したように、例えばスキージーローラ51,52を接触位置に移動させる(#36)。この移動は2個であればよく、スキージーローラ51,53またはスキージーローラ52,53を接触位置に移動させてもよい。
【0062】
また、N0<N≦N1であれば(#34でYES)、トナー濃度が小幅だけ上昇しているので、図6で説明したように、例えばスキージーローラ51を接触位置に移動させる(#38)。この移動は1個であればよく、スキージーローラ51に代えて、スキージーローラ52または53を接触位置に移動させてもよい。
【0063】
なお、粘度計39により検出される現像液32の粘度と現像液32のトナー濃度との関係に基づき、現像液32のトナー濃度の比較値(図10ではN0およびN1)に対応する現像液32の粘度の値を予め求めてメモリ116に記憶しておき、検出した粘度を直接対応する値と比較することによって、図10のステップ#32,#34の判別を行うようにしてもよい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、感光体11上の現像液32に接触する接触位置と接触しない離間位置との間で移動可能なスキージーローラ51〜53を備え、接触位置に配置するスキージーローラ51〜53の組合せを制御するようにしているので、感光体11からの液体キャリア321の剥離量を調整することができる。その結果、液体キャリア321が無駄に消費されるのを未然に防止することができるとともに、良好なトナー像を形成することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、タンク33の開口を、各クリーニングブレード54がスキージーローラ51〜53に当接する位置の下方に延設しており、クリーニングブレード54によりスキージーローラ51〜53から掻き取られた液体キャリア321は自重でタンク33に戻るように構成しているので、別途、回収用のタンクを設けたり、その回収用タンクからタンク33に液体キャリア321を戻すためのパイプなどを設ける必要がなく、装置構成の簡素化および装置本体の小型化を図ることができる。また、剥ぎ取った液体キャリア321をタンク33に戻すことにより、液体キャリア321を有効利用することができ、液体キャリア321の補給量を必要最小限にすることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、スキージーローラ51〜53を現像担持領域に対向配置することにより、1次転写前に感光体11から液体キャリア321を剥離するようにしているので、1次転写後における感光体11上または中間転写ローラ41上に比べて、現像液に含まれる液体キャリア量が多いことから、多くの液体キャリアを剥離することができ、これによって、剥離量の調整幅を広くすることが可能になる。
【0067】
また、本実施形態によれば、1次転写前に感光体11から液体キャリア321を剥離するとともに、画占率を求め、剥離後に感光体11上に残る現像液のトナー濃度が所定値(本実施形態ではタンク33のトナー濃度の初期値)に近づくように液体キャリアの剥離量を調整しているので、1次転写が行われる際の転写条件、すなわち現像液のトナー濃度を常にほぼ等しいものにすることができ、これによって、1次転写を常に好適に行うことができる。
【0068】
また、図9の動作によれば、画占率を求め、剥離後に感光体11上に残る現像液のトナー濃度が、タンク33の現像液32のトナー濃度の初期値に近づくように液体キャリア321の剥離量を調整するとともに、感光体11からスキージーローラ51〜53により剥ぎ取った液体キャリア321の全てをクリーニングブレード54により掻き落としてタンク33に戻すように構成しているので、タンク33の現像液32のトナー濃度変化を抑制し、初期値に維持することができる。これによって、タンク33の現像液32を最後まで無駄なく使用することができ、また、外部からの液体キャリアやトナーなどの補給量を最小限にすることができる。なお、この図9の動作の場合には、粘度計39などのタンク33のトナー濃度検出手段を不要としているので、図10の場合に比べて装置構成を簡素化することができるという利点がある。
【0069】
また、図10の動作によれば、粘度計39の検出値に基づきタンク33のトナー濃度を求め、その値に基づき感光体11からの液体キャリアの剥離量を調整し、剥ぎ取った液体キャリアをタンク33に戻すように構成しているので、タンク33のトナー濃度変化を抑制し、初期値に維持することができる。これによって、タンク33の現像液32を最後まで無駄なく使用することができ、また、外部からの液体キャリアやトナーなどの補給量を最小限にすることができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能であり、例えば以下の変形形態(1)〜(10)を採用することができる。
【0071】
(1)上記実施形態では、3個のスキージーローラ51〜53を備えているが、これに限られず、2個または4個以上備えるようにしてもよい。すなわち複数のスキージーローラを備えておれば、接触位置に配置するスキージーローラの組合せを制御することにより、感光体11からの液体キャリア321の剥離量を調整することができる。
【0072】
(2)図11はスキージーローラ51の接触位置として、感光体11との距離が異なる3箇所の接触位置を設けた場合の、各接触位置における液体キャリアの剥離量を説明する図である。なお、図11では、説明の便宜上、感光体11を平板状にしている。また、図11ではスキージーローラ51についてのみ示しているが、スキージーローラ52,53についても同様である。
【0073】
この形態は、アクチュエータ54(図3)を例えばモータで構成し、スキージーローラ51〜53の接触位置として、感光体11からの距離が互いに異なる複数の接触位置にスキージーローラ51〜53を配置可能にしたものである。ここでは、図11(A)に示すように、感光体11には黒べた画像が形成されているとする。また、上記実施形態と同様に、トナー322の厚さはt1で、液体キャリア321の厚さはt2である。また、スキージーローラ51の半径をRとしている。
【0074】
同図(B)では、接触位置をスキージーローラ51の表面がかろうじて感光体11上の現像液32に接触する位置に設定している。すなわち、スキージーローラ51の中心と現像液32の表面との距離L1を、L1≒RかつL1≦Rに設定している。これによって、感光体11上に残る液体キャリア321の厚さがt3になり、感光体11上の現像液32の表層の液体キャリア321が少量だけ剥ぎ取られることとなる。
【0075】
同図(C)では、接触位置を同図(B)より感光体11に近接した位置に設定している。すなわち、スキージーローラ51の中心と現像液32の表面との距離L2を、L2<L1に設定している。これによって、感光体11上に残る液体キャリア321の厚さがt4(<t3)になり、感光体11上の現像液32の表層の液体キャリア321が同図(B)の場合より多く剥ぎ取られる。
【0076】
同図(D)では、接触位置を同図(C)よりさらに感光体11に近接した位置に設定している。すなわち、スキージーローラ51の中心と現像液32の表面との距離L3を、L3<L2に設定している。これによって、感光体11上に残る液体キャリア321の厚さがt5(<t4)になり、感光体11上の現像液32の表層の液体キャリア321が同図(C)の場合よりさらに多く剥ぎ取られる。
【0077】
このように、図11の形態によれば、スキージーローラ51〜53の接触位置として、感光体11からの距離が互いに異なる複数の接触位置にスキージーローラ51〜53を配置可能にしているので、スキージーローラ51〜53の接触位置を変更することにより、液体キャリア321の剥離量をさらにきめ細かく調整したり、或いはその調整幅を広げることが可能になる。
【0078】
(3)上記実施形態において、ローラ駆動モータ64によりスキージーローラ51〜53の回転速度をそれぞれ変更可能にして、感光体11により搬送される現像液に対するスキージーローラ51〜53の接触面の相対速度を変更するようにしてもよい。この形態によれば、感光体11の周速に対してスキージーローラ51〜53の周速をそれぞれ増減することにより、液体キャリア321の剥離量を増減することができ、これによって、液体キャリア321の剥離量をさらにきめ細かく調整したり、或いはその調整幅を広げることが可能になる。
【0079】
(4)上記実施形態では、例えば図7(A)に示すように、トナー322の厚さt1=2μm、液体キャリア321の厚さt2=8μmとしているので、同図(D)において、スキージーローラ53を接触位置に配置すると、トナー像に悪影響を及ぼす虞があることになる。しかし、例えばトナー322の厚さt1=1μmであるなど、スキージーローラ53を接触位置に配置してもトナー像に悪影響を及ぼす虞がない場合には、例えば同図(D)においてスキージーローラ53を接触位置に配置するようにしてもよい。
【0080】
また、スキージーローラ53を接触位置に配置してもトナー像に悪影響を及ぼす虞がない場合には、図9、図10の動作では接触位置に移動するスキージーローラの個数を最大2個までとしているのに対して、比較するステップを1個増やして、スキージーローラ51〜53を3個とも接触位置に配置するステップを設けるようにしてもよい。
【0081】
例えば図9の動作では、判別する画占率のレベルを細分化すればよい。すなわち、例えば0<P≦20であれば3個のスキージーローラを接触位置に移動させ、20<P≦35であれば2個のスキージーローラを接触位置に移動させ、35<P≦55であれば1個のスキージーローラを接触位置に移動させればよい。また、例えば図10の動作では、N1<N2となる値N2についてもトナー濃度Nと比較して、N2<Nであれば3個のスキージーローラを接触位置に移動させ、N1<N≦N2であれば2個のスキージーローラを接触位置に移動させ、N0<N≦N1であれば1個のスキージーローラを接触位置に移動させればよい。
【0082】
(5)上記実施形態の図9の動作では、画占率が低い範囲では液体キャリアを十分に剥離してタンク33に戻すことができず、タンク33のトナー濃度が上昇する傾向になってしまう。すなわち、例えば図7(A)に示すように、トナー322の厚さt1=2μm、液体キャリア321の厚さt2=8μmとしているので、同図(D)において、スキージーローラ53を接触位置に配置すると、トナー像に悪影響を及ぼす虞があることになる。そのため、図7を参照して説明したように、画占率が20%の場合には、感光体11上に残る現像液32のトナー濃度は約14体積%までは近付くものの、初期値である20体積%には達しない。
【0083】
そこで、例えばステップ#12において、55<Pのときにも1個だけスキージーローラを接触位置に配置するようにしてもよい。これによって、液体キャリア321の剥離量を増加させてタンク33に戻す量を増加させることができ、タンク33内のトナー濃度の上昇を抑制して、可能な限り初期値に維持することができる。
【0084】
(6)上記実施形態では、静電潜像を構成する画素のうちでトナーが付着するオンドット数をカウントするドットカウンタを備え、画像全体のドット数に対するオンドット数の比率を画占率としているが、画占率を求める手法はこれに限られない。画占率は現像量、すなわち現像ローラ31から感光体11へのトナーの移動量に応じた値となるので、例えば現像ローラ31から感光体11に流れる電流を現像電流として検出し、この現像電流に基づきトナーの移動量(現像量)を求めて、これを画占率としてもよい。
【0085】
(7)上記実施形態では、中間転写ローラ41を備え、感光体11のトナー像を1次転写位置44において中間転写ローラ41に1次転写した後、2次転写位置45において2次転写ローラ42により転写紙4に2次転写するようにしているが、これに限られず、例えば中間転写ローラ41を省いて2次転写ローラ42を1次転写位置44に配置し、感光体11のトナー像を直接転写紙4(転写媒体)に転写する構成でもよい。この形態では、転写バイアス発生部115および2次転写ローラ42が本発明の「転写手段」に相当する。
【0086】
(8)上記実施形態では、現像液担持体として、ローラ状の現像ローラ31を用いているが、これに限られず、例えばベルト状のものを用いてもよい。また、剥ぎ取り部材として、ローラ状のスキージーローラ51〜53を用いているが、これに限られず、例えばベルト状のものを用いてもよい。
【0087】
(9)上記実施形態では、スキージーローラ51〜53の全てを接触位置と離間位置との間で移動可能に構成しているが、これに限られず、少なくとも1つのスキージーローラを移動可能に構成しておけばよい。例えばスキージーローラ51を移動可能に構成し、スキージーローラ52,53を接触位置に固定配置しておく形態でも、スキージーローラ51の位置制御によって、接触位置に配置するスキージーローラの組合せを制御することができ、これによって液体キャリアの剥離量を調整することができる。
【0088】
(10)上記実施形態では、ホストコンピュータなどの外部装置より与えられた画像を転写紙に印刷するプリンタを用いて説明しているが、本発明はこれに限られず、複写機やファクシミリ装置などを含む一般の電子写真方式の画像形成装置に適用することができる。また、上記実施形態は単色印字の画像形成装置に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されず、カラー画像形成装置にも本発明を適用することができる。この場合、例えば各色ごとに感光体ユニット、露光ユニットおよび現像ユニットを備え、中間転写ベルトに順次転写するように構成したいわゆるタンデム方式の装置であれば、各色ごとに感光体上の液体キャリアの剥離量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるプリンタの内部構成を示す図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】同プリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図4】スキージーローラによる液体キャリアの剥離量の説明図。
【図5】画占率と液体キャリアの剥離量との関係を説明する図。
【図6】画占率と液体キャリアの剥離量との関係を説明する図。
【図7】画占率と液体キャリアの剥離量との関係を説明する図。
【図8】画占率と液体キャリアの剥離量との関係を説明する図。
【図9】剥離量調整処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図10】剥離量調整処理ルーチンの別の例を示すフローチャート。
【図11】変形形態における液体キャリアの剥離量を説明する図。
【符号の説明】11…感光体(像担持体)、31…現像ローラ(現像液担持体)、33…タンク(容器)、39…粘度計(濃度検出手段)、41…中間転写ローラ(転写手段)、42…2次転写ローラ(転写手段)、51〜53…スキージーローラ(剥離機構)、113…CPU、115…転写バイアス発生部(転写手段)
Claims (10)
- その表面に静電潜像を担持可能に構成された像担持体と、
液体キャリアにトナーを分散した現像液を、その表面に担持しながら前記像担持体と対向する現像位置に搬送し、当該現像位置において前記像担持体に接触させることで前記像担持体に供給する現像液担持体と、
前記現像液担持体から前記像担持体に供給される現像液中のトナーを前記像担持体に付着させ、前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する像形成手段と、
前記現像液担持体から前記像担持体に供給された現像液に含まれる液体キャリアを前記像担持体から剥離する剥離動作を実行可能な複数の剥離機構とを備え、
前記複数の剥離機構のうちで剥離動作を行わせる剥離機構の組合せを制御することにより液体キャリアの剥離量を調整することを特徴とする画像形成装置。 - 前記複数の剥離機構は、前記像担持体による現像液の搬送方向に互いに並んで設けられている請求項1記載の画像形成装置。
- 前記複数の剥離機構のうち少なくとも1つは、前記像担持体上の現像液に接触する接触位置と、前記像担持体上の現像液に接触しない離間位置との間で移動可能に構成されている請求項2記載の画像形成装置。
- 前記現像液を貯留する容器と、
前記剥離機構が剥離した液体キャリアを当該剥離機構から除去するクリーニング部材とをさらに備え、
前記クリーニング部材により除去された液体キャリアを前記容器に戻すように構成した請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記クリーニング部材は、前記剥離機構に当接して前記液体キャリアを当該剥離機構から掻き取るもので、
前記容器の開口が前記クリーニング部材の前記剥離機構への当接位置の下方に延設されており、前記クリーニング部材により除去された液体キャリアが自重で前記容器に戻るように構成した請求項4記載の画像形成装置。 - 前記像担持体上のトナー像を転写媒体に転写する転写手段をさらに備え、
前記複数の剥離機構は、それぞれ前記転写媒体への転写前に前記剥離動作が実行可能である請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記剥離機構による液体キャリアの剥離後に前記像担持体上に残る現像液のトナー濃度が所定値に近づくように前記剥離量を調整する請求項6記載の画像形成装置。
- 前記現像液を貯留する容器をさらに備え、
前記剥離機構により剥離された液体キャリアを前記容器に戻すように構成するとともに、前記剥離機構による液体キャリアの剥離後に前記像担持体上に残る現像液のトナー濃度が前記容器に貯留される現像液のトナー濃度の初期値に近づくように前記剥離量を調整する請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記現像液を貯留する容器と、
前記容器に貯留される現像液のトナー濃度を検出する濃度検出手段とをさらに備え、
前記剥離機構により剥離された液体キャリアを前記容器に戻すように構成するとともに、前記濃度検出手段により検出されたトナー濃度が前記容器に貯留される現像液のトナー濃度の初期値に近づくように前記剥離量を調整する請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記静電潜像に占める画像部の比率を画占率として求める手段をさらに備え、
前記画占率に応じて前記剥離量を調整する請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
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